JP2021513370A - 目的タンパク質を産生するための宿主細胞 - Google Patents

目的タンパク質を産生するための宿主細胞 Download PDF

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Abstract

異種目的タンパク質(POI)を産生するように設計された真核宿主細胞であって、3つの異なる内因性の宿主細胞タンパク質(HCP)のうちの少なくとも1つの産生を低減するように遺伝子改変された真核宿主細胞及びPOIを産生する方法におけるその使用。

Description

本発明は、真核宿主細胞培養物中の不純物を低減するように設計された真核宿主細胞におけるタンパク質産生に関する。
真核細胞培養で産生されるタンパク質は、診断薬及び治療薬としてますます重要になっている。この目的のため、細胞は、組換え又は異種目的タンパク質を非常に高いレベルで産生するように設計及び/又は選択される。細胞培養条件の最適化は、組換え又は異種タンパク質の商業的産生を成功させるために重要である。宿主細胞から宿主細胞タンパク質(HCP)として放出され、培養物中に蓄積される副産物は、組換え若しくは異種タンパク質の精製を困難とするか、又は、製品の有効性若しくは患者の安全性に対するリスクとなる可能性がある。
哺乳動物宿主細胞に加えて、酵母菌及び糸状菌類が、バルクケミカルだけでなくバイオ医薬タンパク質の産生宿主として一般に使用される。メチロトローフ酵母、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)は、異種タンパク質を効率的に分泌することでよく知られている。ピキア・パストリスは、コマガタエラ属(Komagataella)という新しい属に再分類され、コマガタエラ・パストリス(K. pastoris)、コマガタエラ・ファフィ(K. phaffii)及びコマガタエラ・シュードパストリス(K. pseudopastoris)の3つの種に分けられている。バイオテクノロジーで一般的に使用される菌株は、2つの提案された種、コマガタエラ・パストリス及びコマガタエラ・ファフィに属する。GS115株、X-33株、CBS2612株及びCBS7435株は、コマガタエラ・ファフィであり、SMD系統のプロテアーゼ欠損株(例えば、SMD1168)は、コマガタエラ・パストリスに分類され、これは、入手可能な全てのピキア・パストリス株の標準菌株である(Mattanovich et al. 2009, Microb Cell Fact. 8: 29; Kurtzman 2009, J Ind Microbiol Biotechnol. 36(11): 1435-8)。
コマガタエラ(ピキア)・パストリスのバイオテクノロジー菌株は、多重遺伝子の配列解析により決定されたコマガタエラ・ファフィである。
Mattanovichら(Microbial Cell Factories 2009, 8:29 doi:10.1186/1475-2859-8-29)は、コマガタエラ・パストリスの基準株DSMZ70382のゲノム配列決定を示し、そのセレクトーム及び糖輸送体を分析している。
Huangら(Appl Microbiol Biotechnol. 2011 Apr; 90(1): 235-47. doi:10.1007/s00253-011-3118-5. Epub 2011 Feb 9)は、メタノール誘導性培養物中のピキア・パストリスのセクレトームのプロテオーム解析を示し、ピキア・パストリスX-33のメタノール誘導性発酵培養物の培地中に分泌又は放出されたタンパク質を同定している。
Heissら(Appl Microbiol Biotechnol. 2013 Feb; 97(3): 1241-9. doi:10.1007/s00253-012-4260-4. Epub 2012 Jul 17)は、細胞外タンパク質X1(Epx1)が、抗体Fabフラグメントを産生するピキア・パストリスの、主要な汚染宿主細胞タンパク質として同定された。EPX1は、一般には上方調節されないが、異なるストレス状況においてのみ上方調節されることが見出された。それぞれの欠失株(Δepx1)が産生され、細胞壁損傷剤Calcofluor white及びCongo redに対して野生型よりも感受性が高いことが見出され、このことは、Epx1が細胞壁に対して保護的役割を有し得ることを示す。野生型とΔepx1株の間で、増殖及び生産物の産生に明白な差は観察されなかった。
しかしながら、本発明者らは、Epx1pは生産量が多いタンパク質ではなく、ピキア・パストリス細胞培養物中の全HCPの約3%(mol/mol)未満であることを見出した。
HCPは、産生プロセスにおいて使用される細胞又は生物によって産生又はコードされたタンパク質であり、目的とする生産物とは無関係である。増殖、生存及び正常な細胞プロセシングに必要なものもあれば、必須でないものもある。HCPは、その有用性の有無にかかわらず、一般に、最終原薬において望ましくない。一般に少量(ppm、目的とするタンパク質のミリグラム当たりのナノグラムとして表される)で存在するが、それを除去するために多くの努力及びコストが費やされている。
異種及び/又は組換えタンパク質の産生及び/又は精製に適する改良型宿主細胞の開発が必要とされている。
本発明の目的は、組換え又は異種タンパク質を産生する時に、HCP不純物を低減させるように改変された宿主細胞を提供することである。本発明の別の目的は、組換え又は異種タンパク質のHCP不純物による汚染のリスクが低減された、宿主細胞において組換え又は異種タンパク質を産生する方法を提供することである。
この目的は、請求項に記載された主題によって解決される。
本発明によると、異種目的タンパク質(POI)を産生するように設計された真核宿主細胞であって、かかる細胞は、第1の宿主細胞タンパク質(HCP1)、第2の宿主細胞タンパク質(HCP2)及び第3の宿主細胞タンパク質(HCP3)からなる群より選択される少なくとも1つの内因性の宿主細胞タンパク質(HCP)の産生を低減するように遺伝子改変され、
a)HCP1は、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含み、又は宿主細胞が別の種である場合、宿主細胞に対して内因性である当該配列の相同配列を含み、
b)HCP2は、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号3で示されるアミノ酸配列を含み、又は宿主細胞が別の種である場合、宿主細胞に対して内因性である当該配列の相同配列を含み、
c)HCP3は、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号5で示されるアミノ酸配列を含み、又は宿主細胞が別の種である場合、宿主細胞に対して内因性である当該配列の相同配列を含む、真核宿主細胞が提供される。
特定の側面によると、かかる細胞は、更なるHCPであるHCP4の産生を低減するように更に遺伝子改変され、ここで
d)HCP4は、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含み、又は宿主細胞が別の種である場合、宿主細胞に対して内因性である当該配列の相同配列を含む、真核宿主細胞が提供される。
具体的には、当該少なくとも1つのHCPは、HCP1、HCP2、HCP3のうちのいずれか1つ、2つ又は3つを含む。また、具体的には、当該少なくとも1つのHCPはHCP4を含む。
具体的には、当該少なくとも1つのHCPはHCP1であり、任意に又は加えて、HCP2及び/又はHCP3及び/又はHCP4である。特定の態様は、HCP1を含む2つ以上のHCPの低減に関する。具体的には、当該少なくとも1つのHCPは、HCP1と、HCP2、HCP3又はHCP4のうちのいずれか1つ、2つ又は3つを含む。
更に具体的には、当該少なくとも1つのHCPはHCP2であり、任意にHCP1及び/又はHCP3及び/又はHCP4である。
更に具体的には、当該少なくとも1つのHCPはHCP3であり、任意にHCP1及び/又はHCP2及び/又はHCP4である。
特定の態様は、2つ以上のHCP、例えば、HCP1及びHCP2、又はHCP1及びHCP3、又はHCP2及びHCP3の低減に関する。
特定の態様は、2つ以上のHCPの低減に関し、HCP1及びHCP4、又はHCP2及びHCP4、又はHCP3及びHCP4のいずれかの低減を含む。
具体的には、配列番号1、3、5及び7で示されるアミノ酸配列は、それぞれコマガタエラ・ファフィの野生型(天然)内因性配列である。
具体的には、それぞれの相同配列は、コマガタエラ・ファフィ以外の種のもの、例えば酵母又は糸状菌類のもの、好ましくはコマガタエラ属、ピキア属(Pichia)又はサッカロマイセス属(Saccharomyces)の酵母のもの、又は任意のメチロトローフ酵母のものである。
特定の側面によると、宿主細胞は、
a)ピキア属、ハンセヌラ属(Hansenula)、コマガタエラ属、サッカロマイセス属、クルイウェロマイセス属(Kluyveromyces)、カンジダ属(Candida)、オガタエア属(Ogataea)、ヤロウィア属(Yarrowia)及びゲオトリクム属(Geotrichum)からなる群より選択される属の酵母細胞、例えば、ピキア・パストリス、コマガタエラ・ファフィ、コマガタエラ・パストリス、コマガタエラ・シュードパストリス、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、オガタエア・ミヌタ(Ogataea minuta)、クルイウェロマイセス・ラクチス(Kluyveromces lactis)、クルイウェロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromes marxianus)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)若しくはハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、又は、
b)糸状菌類の細胞、例えば、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)若しくはトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)である。
しかし、本明細書に記載の目的のため、それぞれのHCPは、動物細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、植物細胞、線虫細胞、無脊椎動物細胞、例えば、昆虫細胞若しくは軟体動物細胞、又は前述のいずれかに由来する幹細胞、特に任意の真菌細胞又は酵母細胞のいずれか1つである宿主細胞において低減され得る。
それぞれの相同配列は、本明細書に記載のとおり、POIを産生する宿主細胞として使用される宿主細胞に対して内因性であると理解される。
例えば、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、HCP1は配列番号1で示されるアミノ酸配列によって特徴付けられる。しかし、宿主細胞が異なる種(コマガタエラ・ファフィ以外)である場合、宿主細胞に対して内因性であるHCP1の配列は、配列番号1で示されるアミノ酸配列と相同配列、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のオルソログ配列である。
同様に、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、HCP2は配列番号3で示されるアミノ酸配列によって特徴付けられる。しかし、宿主細胞が異なる種(コマガタエラ・ファフィ以外)である場合、宿主細胞に対して内因性であるHCP2の配列は、配列番号3で示されるアミノ酸配列と相同配列、例えば、配列番号3で示されるアミノ酸配列のオルソログ配列である。
同様に、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、HCP3は配列番号5で示されるアミノ酸配列によって特徴付けられる。しかし、宿主細胞が異なる種(コマガタエラ・ファフィ以外)である場合、宿主細胞に対して内因性であるHCP3の配列は、配列番号5で示されるアミノ酸配列と相同配列、例えば、配列番号5で示されるアミノ酸配列のオルソログ配列である。
同様に、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、HCP4は配列番号7で示されるアミノ酸配列によって特徴付けられる。しかし、宿主細胞が異なる種(コマガタエラ・ファフィ以外)である場合、宿主細胞に対して内因性であるHCP4の配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列と相同配列、例えば、配列番号7で示されるアミノ酸配列のオルソログ配列である。
具体的には、相同配列は、コマガタエラ・ファフィにおけるそれぞれのアミノ酸配列に対する少なくとも50%の配列同一性、具体的には、少なくとも、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の配列同一性のうちの少なくともいずれか1つにより特徴付けられる。
具体的には、相同配列は、コマガタエラ・ファフィにおけるそれぞれのアミノ酸配列と比較して、その定量的な活性は異なり得るが、同じ機能、例えば構造タンパク質又は酵素としての機能によって特徴付けられる。
具体的には、宿主細胞は、当該少なくとも1つのHCPをコードするポリヌクレオチドの発現を低減するゲノム変異を含む、1つ以上の遺伝子改変によって遺伝子改変される。
具体的には、1つ以上の遺伝子改変は、第1及び/又は第2及び/又は第3の内因性ポリヌクレオチドの発現を低減するゲノム変異を含み、
− 第1の内因性ポリヌクレオチドはHCP1をコードし、
− 第2の内因性ポリヌクレオチドはHCP2をコードし、
− 第3の内因性ポリヌクレオチドはHCP3をコードする。
任意に及び加えて、宿主細胞は、更なる内因性ポリヌクレオチドの発現を低減するゲノム変異を導入するように更に改変され、
− 当該更なる内因性ポリヌクレオチドはHCP4をコードする。
具体的には、それぞれのHCPをコードする内因性ポリヌクレオチドは、宿主細胞において天然に生じる配列を有する野生型(天然)の内因性ポリヌクレオチドである。
具体的には、コマガタエラ・ファフィにおけるHCP1をコードする内因性ポリヌクレオチドは配列番号2で示される塩基配列を含む。しかし、宿主細胞が異なる種(コマガタエラ・ファフィ以外)である場合、宿主細胞に対して内因性であるHCP1のコード配列は、配列番号2で示される塩基配列と相同配列、例えば、配列番号2で示される塩基配列のオルソログ配列である。
具体的には、コマガタエラ・ファフィにおけるHCP2をコードする内因性ポリヌクレオチドは配列番号4で示される塩基配列を含む。しかし、宿主細胞が異なる種(コマガタエラ・ファフィ以外)である場合、宿主細胞に対して内因性であるHCP2のコード配列は、配列番号4で示される塩基配列と相同配列、例えば、配列番号4で示される塩基配列のオルソログ配列である。
具体的には、コマガタエラ・ファフィにおけるHCP3をコードする内因性ポリヌクレオチドは配列番号6で示される塩基配列を含む。しかし、宿主細胞が異なる種(コマガタエラ・ファフィ以外)である場合、宿主細胞に対して内因性であるHCP3のコード配列は、配列番号6で示される塩基配列と相同配列、例えば、配列番号6で示される塩基配列のオルソログ配列である。
具体的には、コマガタエラ・ファフィにおけるHCP4をコードする内因性ポリヌクレオチドは配列番号8で示される塩基配列を含む。しかし、宿主細胞が異なる種(コマガタエラ・ファフィ以外)である場合、宿主細胞に対して内因性であるHCP4のコード配列は、配列番号8で示される塩基配列と相同配列、例えば、配列番号8で示される塩基配列のオルソログ配列である。
具体的には、宿主細胞は、宿主細胞ゲノムの、
(i)1つ以上の内因性ポリヌクレオチド若しくはその一部の、又は
(ii)好ましくは、プロモーター、リボソーム結合部位、転写若しくは翻訳の開始及び停止配列、エンハンサー及びアクティベータ配列からなる群より選択される、当該1つ以上の内因性ポリヌクレオチドの発現制御配列の、破壊、置換、欠失又はノックアウトを含む1以上の遺伝子改変によって、遺伝子改変される。
具体的には、遺伝子改変又はノックアウト改変は、そのような遺伝子改変を伴わないそれぞれの宿主と比較して、遺伝子若しくは遺伝子の一部の発現を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%若しくは95%低減するか、又はその発現を終了する、遺伝子又はゲノム配列の欠失又は不活性化を含む1つ以上のゲノム変異を含む。
具体的には、遺伝子改変は、発現制御配列の少なくとも1つの改変、例えば、プロモーター、エンハンサー、シグナル、リーダー又は任意の他の調節配列、特に、タンパク質の発現及び/又は分泌を制御する配列の、欠失又は不活性化を含む。具体的には、発現制御配列は、関連するタンパク質のコード遺伝子に操作可能に連結される。
具体的には、1つ以上の遺伝子改変は、1つ以上の内因性ポリヌクレオチドの発現を構成的に損なうか、さもなければ低減するゲノム変異を含む。
具体的には、1つ以上の遺伝子改変は、1つ以上の内因性ポリヌクレオチドの発現を条件付きで損なうか、さもなければ低減する1つ以上の誘導性又は抑制性の調節配列を導入するゲノム変異を含む。そのような条件付き活性型の改変は、特に細胞培養条件に依存して活性化及び/又は発現する、これらの調節エレメント及び遺伝子を標的とする。
具体的には、当該少なくとも1つのHCPをコードする遺伝子が、当該1つ以上の遺伝子改変によってノックアウトされる。
具体的には、当該1つ以上の内因性ポリヌクレオチドの発現は、POIを産生するときに低減する。具体的には、遺伝子改変の際に、少なくとも1つのHCPをコードする当該1つ以上の内因性ポリヌクレオチドの発現は、POIが産生される宿主細胞培養の条件下で低減する。
具体的には、宿主細胞は、改変を伴わない宿主細胞と比較して、当該少なくとも1つのHCPを、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%若しくは95%(mol/mol)、又は100%低減するように遺伝子改変され、これによりHCPの産生を終了する。具体的には、HCP1及びHCP2、HCP3又はHCP4の1つ、2つ又は3つの量が、改変を伴わない宿主細胞と比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%(mol/mol)低減する。特定の態様によると、そのような低減は、当該少なくとも1つのHCPをコードする遺伝子のノックアウトによって達成される。
したがって、特定の態様によると、本明細書に記載の宿主細胞が細胞培養物中で培養されると、細胞培養上清中の全HCPの量は、当該遺伝子改変を伴わない宿主細胞を培養した場合の培養上清中の全HCPの量と比較して、少なくとも、5%若しくは10%、又は更には少なくとも15%(mol/mol)低減する。
細胞培養物における全宿主細胞タンパク質(HCP)は、POIを発現する細胞に由来し、例えば遠心分離によって細胞を培地から分離した細胞培養上清中に存在する、POI以外の全てのタンパク質の合計を意味する。
具体的には、宿主細胞は、当該少なくとも1つのHCPの量を、細胞培養上清中の全HCPの10%、5%又は3%(mol/mol)未満に低減するように遺伝子改変される。
具体的には、本明細書に記載の当該少なくとも1つのHCPの量は、例えば、質量分析により測定した場合、細胞培養上清中の全HCPの1%(mol/mol)未満に低減、又は破棄される。
具体的には、細胞培養上清中の全HCPの量は、当該遺伝子改変を伴わない宿主細胞の細胞培養物と比較して、少なくとも5%、又は少なくとも10%(mol/mol)だけ低減する。
当該少なくとも1つのHCPの産生を低減することにより、細胞培養上清において得られる当該少なくとも1つのHCPの量(例えば、レベル又は濃度、特に、基準又は全HCPに対する量)が低減する。
当該少なくとも1つのHCPの産生を低減するための当該遺伝子改変の効果について本明細書に記載の宿主細胞を比較する場合、典型的には、そのような遺伝子改変を伴わない宿主細胞と比較する。比較は、典型的には、特に、組換え又は異種POIを産生する条件下で培養したときに当該POIを産生するように設計された宿主細胞と同じ型で、そのような遺伝子改変を伴わない宿主細胞との間で行われる。あるいは、組換え又は異種POIを産生するように更に設計されていない、同じ型の宿主細胞と比較する。
特定の側面によると、当該少なくとも1つのHCPの低減は、細胞培養上清中の当該少なくとも1つのHCPの量(例えば、レベル若しくは濃度、又は、基準若しくは全HCPに対する相対量)が低減する。具体的には、個々のHCPの量又は全HCPの量は、適切な方法、例えば、ELISAアッセイ、HPLC、SDS−PAGEなどのキャピラリー電気泳動又は質量分析法により測定され、特に、質量分析法は、例えば、Doneanuら(MAbs. 2012; 4(1): 24-44)が示した液体クロマトグラフィー質量分析法(LC−MS)又は液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC−MS/MS)である。
具体的には、POI以外の副産物としてのHCPの量を低減させることができる宿主細胞が提供される。HCPは、特定のPOI産生プロセスとは無関係に存在する内因性のタンパク質又はプロセスに特異的なタンパク質を含み、かかるタンパク質は、POI調製物、例えば、POIを含む細胞培養上清の調製物又は細胞培養上清からPOIを精製する際に得られる調製物における、不純物又は汚染物である。
特定の態様によると、宿主細胞は、(1つ以上の)ゲノム配列の1つ以上の欠失を含むように遺伝子改変される。そのような宿主細胞は、典型的には、欠失株として提供される。
特定の側面によると、本明細書に記載の宿主細胞は、POIをコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結された1つ以上の調節核酸配列を含む発現カセットを含み、特に、当該操作可能に連結された1つ以上の配列はPOIをコードする配列と天然には関連付けられていない。
具体的には、発現カセットは、POIをコードする遺伝子に操作可能に連結されたプロモーターを含み、かつ、分泌タンパク質としてPOIを発現及び産生するために必要に応じて、シグナル配列及びリーダー配列を含む。
具体的には、発現カセットは、構成的、誘導的又は抑制的プロモーターを含む。
構成的プロモーターの具体例には、例えば、pGAP及びその機能的変異体、国際公開第2014/139608号に公開されている構成的プロモーターのいずれか、例えばpCS1が含まれる。
誘導的又は抑制的プロモーターの具体例には、例えば、天然のpAOX1又はpAOX2及びその機能的変異体、国際公開第2013/050551号において公開されたpG1‐pG8及びその断片のような調節プロモーター、国際公開第2017/021541号において公開されたpG1及びpG1−xのような調節プロモーターが含まれる。
酵母宿主細胞での使用に適したプロモーター配列は、Mattanovichら(Methods Mol. Biol. (2012) 824: 329-58)によって示されており、解糖系酵素、例えば、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH又はGAP)及びそれらの変異体、ラクターゼ(LAC)及びガラクトシダーゼ(GAL)、ピキア・パストリスのグルコース-6-リン酸イソメラーゼプロモーター(PPGI)、3-ホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター(PPGK)、グリセロールアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(pGAP)、翻訳伸長因子プロモーター(PTEF)、並びにピキア・パストリスのエノラーゼ1(PEN01)のプロモーター、トリオースリン酸イソメラーゼ(PTPI)、リボソームサブユニットタンパク質(PRPS2、PRPS7、PRPS31、PRPL1)、アルコールオキシダーゼプロモーター(PAOX1、PAOX2)又は改変された特徴を有するその変異体、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼプロモーター(PFLD)、イソクエン酸リアーゼプロモーター(PICL)、α-ケトイソカプロン酸デカルボキシラーゼプロモーター(PTHI)、ヒートショックプロテインファミリーメンバーのプロモーター(PSSA1、PHSP90、PKAR2)、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(PGND1)、ホスホグリセリン酸ムターゼ(PGPM1)、トランスケトラーゼ(PTKL1)、ホスファチジルイノシトールシンターゼ(PPIS1)、フェロ-02-オキシドレダクターゼ(PFET3)、高親和性鉄パーミアーゼ(PFTR1)、抑制性アルカリホスファターゼ(PPH08)、N-ミリストイルトランスフェラーゼ(PNMT1)、フェロモン応答転写因子(PMCM1)、ユビキチン(PUBI4)、一本鎖DNAエンドヌクレアーゼ(PRAD2)、ミトコンドリア内膜の主要なADP/ATPキャリアのプロモーター(PPET9)(国際公開第2008/128701号)及びギ酸デヒドロゲナーゼ(FMD)プロモーターを含む。GAPプロモーター、AOX1若しくはAOX2プロモーター、又は、GAP、AOX1若しくはAOX2プロモーター由来のプロモーターが特に好ましい。AOXプロモーターはメタノールによって誘導することができ、グルコースによって抑制される。
好適なプロモーターの更なる例には、サッカロマイセス・セレビシエ エノラーゼ(ENO-1)、サッカロマイセス・セレビシエ ガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロマイセス・セレビシエ アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH1、ADH2/GAP)、サッカロマイセス・セレビシエ トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、サッカロマイセス・セレビシエ メタロチオネイン(CUP1)、及びサッカロマイセス・セレビシエ 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、並びにマルターゼ遺伝子プロモーター(MAL)が含まれる。
特定の側面によると、発現カセットは、宿主細胞の染色体内又はプラスミド内に組み込まれる。
発現カセットは、宿主細胞に導入され、宿主細胞ゲノムに染色体内エレメントとして、例えば、特定の組込み部位で組み込まれるか又はランダムに組み込まれてもよく、その後、高生産性の宿主の株化細胞が選択される。あるいは、発現カセットは、染色体外遺伝子エレメント、例えば、プラスミド又はYAC内に組み込まれてもよい。特定の例によると、発現カセットは、ベクター、特に発現ベクターによって宿主細胞に導入され、かかるベクターは、好適なトランスフェクション法によって宿主細胞に導入される。この目的のため、POIをコードするポリヌクレオチドは、発現ベクターに連結されてもよい。
好ましい酵母発現ベクター(好ましくは酵母における発現のために使用される)は、pPICZ、pGAPZ、pPIC9、pPICZalfa、pGAPZalfa、pPIC9K、pGAPHis又はpPUZZLEに由来するプラスミドからなる群より選択される。
ベクター又はプラスミドを導入している真核細胞をトランスフェクト又は形質転換させるための手法は、当該技術分野で周知である。これらの手法は、脂質小胞媒介取り込み、ヒートショック媒介取り込み、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション(リン酸カルシウム/DNA共沈)、ウイルス感染、及び、特に、例えば改変アデノウイルスのような改変ウイルス、マイクロインジェクション並びにエレクトロポレーションの使用を含み得る。
特定の側面によると、本明細書に記載の宿主細胞は、例えば、タンパク質産生を改善するための1つ以上の更なる遺伝子改変がされてもよい。
具体的には、宿主細胞は、プロテアーゼ欠損株、特にカルボキシペプチダーゼY活性を欠損している株を作製するために使用される、タンパク質分解活性に影響を及ぼす1つ以上の遺伝子を改変するように更に設計される。特定の例は、国際公開第92/07595号に記載されている。液胞プロテアーゼ、例えば、プロテイナーゼA又はプロテイナーゼBの機能的欠損を伴う、プロテアーゼ欠損ピキア株の別の例は、米国特許第6153424号明細書に記載されている。更なる例は、ade2欠失を伴うピキア株及び/又はプロテアーゼ遺伝子であるPEP4及びPRB1の一方若しくは両方の欠失を伴うピキア株であり、例えば、ThermoFisher Scientificによって提供される。
具体的には、宿主細胞は、国際公開第2010/099195号に開示されるような機能的遺伝子産物、特に、PEP4、PRB1、YPS1、YPS2、YMP1、YMP2、YMP1、DAP2、GRHl、PRD1、YSP3及びPRB3からなる群より選択されるプロテアーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列を改変するように設計される。
POIは、真核生物の、原核生物の、又は合成の、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は宿主細胞代謝産物のいずれか1つであり得る。
具体的には、POIは宿主細胞の種に対して異種である。
具体的には、POIは、分泌性の、宿主細胞から細胞培養上清へ分泌されるペプチド、ポリペプチド又はタンパク質である。
具体的には、POIは、真核生物タンパク質、好ましくは、哺乳動物に由来する若しくは関連するタンパク質、例えばヒトタンパク質若しくはヒトタンパク質配列を含むタンパク質、又は、細菌タンパク質若しくは細菌由来のタンパク質である。
好ましくは、POIは、哺乳動物において機能する治療用タンパク質である。
特定の場合は、POIは多量体タンパク質、具体的には二量体又は四量体である。
特定の側面によると、POIは、抗原結合タンパク質、治療用タンパク質、酵素、ペプチド、タンパク質抗生物質、毒素融合タンパク質、炭水化物−タンパク質コンジュゲート、構造タンパク質、調節タンパク質、ワクチン抗原、成長因子、ホルモン、サイトカイン、プロセス酵素及び代謝酵素からなる群より選択されるペプチド又はタンパク質である。
特定のPOIは、抗原結合分子、例えば、抗体又はそのフラグメント、特に抗原結合ドメインを含む抗体フラグメントである。特定のPOIの中には、モノクローナル抗体(mAb)、免疫グロブリン(Ig)、免疫グロブリンクラスG(IgG)若しくは重鎖抗体(HcAb’s)のような抗体、若しくは、フラグメント−抗原結合(Fab)、Fd、単鎖可変フラグメント(scFv)のような抗体、若しくは、Fv二量体(ダイアボディ)、Fv三量体(トリアボディ)、Fv四量体、若しくはミニボディ及び単一ドメイン抗体、例えば、VH、VHH、IgNAR若しくはV−NARのようなその改変体、又は免疫グロブリンフォールドドメインを含む任意のタンパク質がある。更なる抗原結合分子は、抗体ミメティック、又は(代替の)足場タンパク質、例えば、設計されたクニッツドメイン、アドネクチン、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、又はDARPinから選択されてもよい。
特定の側面によると、POIは、例えば、BOTOX、Myobloc、Neurobloc、Dysport(又はボツリヌス神経毒素の他の血清型)、アルグルコシダーゼα、ダプトマイシン、YH-16、コリオゴナドトロピンα、フィルグラスチム、セトロレリックス、インターロイキン-2、アルデスロイキン、テセロイキン(teceleulin)、デニロイキンジフチトクス、インターフェロンα-n3(注射剤)、インターフェロンα-n1、DL-8234、インターフェロン、Suntory(γ-1a)、インターフェロンγ、サイモシンα1、タソネルミン、DigiFab、ViperaTAb、EchiTAb、CroFab、ネシリチド、アバタセプト、アレファセプト、レビフ、eptoterminalfa、テリパラチド(骨多孔症)、カルシトニン注射製剤(骨疾患)、カルシトニン(鼻、骨多孔症)、エタナーセプト、ヘモグロビングルタマー250(ウシ)、ドロトレコギンα、コラーゲナーゼ、カルペリチド、遺伝子組換えヒト上皮成長因子(局所用ゲル、創傷治癒)、DWP401、ダルベポエチンα、エポエチンオメガ、エポエチンベータ、エポエチンα、デシルジン、レピルジン、ビバリルジン、ノナコグα、モノニン、エプタコグα(活性型)、遺伝子組換え第VIII因子+VWF、リコネイト、遺伝子組換え第VIII因子、第VIII因子(遺伝子組換え)、Alphnmate、オクトコグα、第VIII因子、パリフェルミン、indikinase、テネクテプラーゼ、アルテプラーゼ、パミテプラーゼ、レテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、フォリトロピンα、rFSH、hpFSH、ミカファンギン、ペグフィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチム、セルモレリン、グルカゴン、エクセナチド、プラムリンチド、イミグルセラーゼ(iniglucerase)、ガルスルファーゼ、ロイコトロピン、モルグラモスチム(molgramostirn)、トリプトレリンアセテート、ヒストレリン(皮下インプラント、Hydron)、デスロレリン、ヒストレリン、ナファレリン、ロイプロリド徐放性デポー(ATRIGEL)、ロイプロリドインプラント(DUROS)、ゴセレリン、Eutropin、KP-102プログラム、ソマトロピン、メカセルミン(成長不全)、エンフビルチド(enlfavirtide)、Org-33408、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリン(吸入用)、インスリンリスプロ、インスリンdeternir、インスリン(頬側、RapidMist)、メカセルミンリンファバエート、アナキンラ、セルモロイキン、99mTc−アプシチド注射、myelopid、ベタセロン、酢酸グラチラマー、ゲポン、サルグラモスチム、オプレルベキン、ヒト白血球由来αインターフェロン、Bilive、インスリン(遺伝子組換え)、遺伝子組換えヒトインスリン、インスリンアスパルト、mecasenin、ロフェロン-A、インターフェロン-α2、αフェロン、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンα、アボネックス遺伝子組換えヒト黄体形成ホルモン、ドルナーゼα、トラフェルミン、ジコノチド、タルチレリン、ジボテルミンα、アトシバン、ベカプレルミン、エプチフィバチド、ゼマイラ、CTC-111、Shanvac-B、HPVワクチン(四価)、オクトレオチド、ランレオチド、ancestirn、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼα、ラロニダーゼ、プレザチド酢酸銅(局所用ゲル)、ラスブリカーゼ、ラニビズマブ、アクチミューン、PEG-イントロン、Tricomin、遺伝子組換えチリダニアレルギー脱感作注射剤、遺伝子組換えヒト副甲状腺ホルモン(PTH)1−84(sc、骨多孔症)、エポエチンデルタ、トランスジェニックアンチトロンビンIII、Granditropin、ビトラーゼ、遺伝子組換えインスリン、インターフェロン-α(経口ロゼンジ)、GEM-21S、バプレオチド、イズルスルファーゼ、オマパトリラト、遺伝子組換え血清アルブミン、セルトリズマブペゴル、グルカルピダーゼ、ヒト遺伝子組換えC1エステラーゼインヒビター(血管性浮腫)、ラノテプラーゼ、遺伝子組換えヒト成長ホルモン、エンフビルチド(無針注射、Biojector2000)、VGV-1、インターフェロン(α)、ルシナクタント、アビプタジル(吸入用、肺疾患)、イカチバント、エカランチド、オミガナン、Aurograb、pexigananacetate、ADI-PEG-20、LDI-200、デガレリクス、シントレデキン・ベスドトックス、Favld、MDX-1379、ISAtx-247、リラグルチド、テリパラチド(骨粗鬆症)、チファコギン、AA4500、T4N5リポソームローション、カツマキソマブ、DWP413、ART-123、Chrysalin、デスモテプラーゼ、アメディプラーゼ、コリフォリトロピンα、TH-9507、テドグルチド、Diamyd、DWP-412、成長ホルモン(徐放性注射剤)、遺伝子組換えG-CSF、インスリン(吸入用、AIR)、インスリン(吸入用、テクノスフィア)、インスリン(吸入用、AERx)、RGN-303、DiaPep277、インターフェロンベータ(C型肝炎ウイルス感染(HCV))、インターフェロンα-n3(経口)、ベラタセプト、経皮インスリンパッチ、AMG-531、MBP-8298、Xerecept、オペバカン、AIDSVAX、GV-1001、LymphoScan、ランピルナーゼ、Lipoxysan、ルスプルチド、MP52(β-リン酸三カルシウム担体、骨再生)、メラノーマワクチン、シプリューセル-T、CTP-37、インセジア、ビテスペン、ヒトトロンビン(凍結、外科的出血)、トロンビン、TransMID、アルフィメプラーゼ、紫斑病、テルリプレシン(静脈内、肝腎症候群)、EUR-1008M、遺伝子組換えFGF-1(注射可、血管疾患)、BDM-E、ロチガプチド、ETC-216、P-113、MBI-594AN、デュラマイシン(吸入用、嚢胞性線維症)、SCV-07、OPI-45、エンドスタチン、アンジオスタチン、ABT-510、ボーマンバークインヒビター濃縮物、XMP-629、99mTc-Hynic-アネキシンV、カハラリドF、CTCE-9908、テベレリックス(徐放性)、オザレリクス、ロミデプシン(rornidepsin)、BAY-504798、インターロイキン4、PRX-321、ペプスキャン、iboctadekin、rhラクトフェリン、TRU-015、IL-21、ATN-161、シレンジチド、アルブフェロン、Biphasix、IRX-2、オメガインターフェロン、PCK-3145、
CAP-232、パシレオチド、huN901-DMI、卵巣がん免疫療法ワクチン、SB-249553、Oncovax-CL、OncoVax-P、BLP-25、CerVax-16、マルチエピトープペプチドメラノーマワクチン(MART-1、gp100、チロシナーゼ)、ネミフィチド、rAAT(吸入用)、rAAT(皮膚科用)、CGRP(吸入用、喘息)、ペグスネルセプト、チモシンβ4、プリチデプシン、GTP-200、ラモプラニン、GRASPA、OBI-1、AC-100、サーモンカルシトニン(経口、eligen)、カルシトニン(経口、骨多孔症)、エキサモレリン、カプロモレリン、Cardeva、ベラフェルミン、131I-TM-601、KK-220、T-10、ウラリチド、デペレスタット、ヘマタイド、Chrysalin(局所用)、rNAPc2、遺伝子組換え第V因子111(PEG化リポソーム)、bFGF、PEG化遺伝子組換えスタフィロキナーゼ変異体、V-10153、SonLysis Prolyse、NeuroVax、CZEN-002、膵島細胞新生療法、rGLP-1、BIM-51077、LY-548806、エクセナチド(制御放出、メディソーブ)、AVE-0010、GA-GCB、アボレリン、ACM-9604、リナクロチド アセタート、CETi-1、ヘモスパン、VAL(注射可)、速効型インスリン(注射可、Viadel)、鼻腔内用インスリン、インスリン(吸入用)、インスリン(経口、eligen)、遺伝子組換えメチオニルヒトレプチン、ピトラキンラ皮下注射薬、湿疹)、ピトラキンラ(吸入用乾燥粉末、喘息)、Multikine、RG-1068、MM-093、NBI-6024、AT-001、PI-0824、Org-39141、Cpn10(自己免疫疾患/炎症)、talactoferrin(局所用)、rEV-131(眼用)、rEV-131(呼吸器疾患)、経口遺伝子組換えヒトインスリン(糖尿病)、RPI-78M、オプレルベキン(経口)、CYT-99007CTLA4-Ig、DTY-001、バラテグラスト、インターフェロンα-n3(局所用)、IRX-3、RDP-58、タウフェロン、胆汁酸塩刺激リパーゼ、Merispase、アラリンホスファターゼ、EP-2104R、メラノタン-II、ブレメラノチド、ATL-104、遺伝子組換えヒトマイクロプラスミン、AX-200、セマックス、ACV-1、Xen-2174、CJC-1008、ダイノルフィンA、SI-6603、LAB GHRH、AER-002、BGC-728、マラリアワクチン(ビロソーム、PeviPRO)、ALTU-135、パルボウイルスB19ワクチン、インフルエンザワクチン(遺伝子組換えニューラミニダーゼ)、マラリア/HBVワクチン、炭疽菌ワクチン、Vacc-5q、Vacc-4x、HIVワクチン(経口)、HPVワクチン、Tatトキソイド、YSPSL、CHS-13340、PTH(1−34)リポソームクリーム(Novasome)、Ostabolin-C、PTH類似体(局所用、乾癬)、MBRI-93.02、MTB72Fワクチン(結核)、MVA-Ag85Aワクチン(結核)、FARA04、BA-210、遺伝子組換えペストFIVワクチン、AG-702、OxSODrol、rBetV1、Der-p1/Der-p2/Der-p7アレルゲン標的ワクチン(チリダニアレルギー)、PR1ペプチド抗原(白血病)、変異rasワクチン、HPV-16E7リポペプチドワクチン、迷路ワクチン(腺がん)、CMLワクチン、WT1-ペプチドワクチン(がん)、IDD-5、CDX-110、Pentrys、Norelin、CytoFab、P-9808、VT-111、イクロカプチド、テルベルミン(皮膚潰瘍、糖尿病性足部潰瘍)、ルピントリビル、レチクロース、rGRF、HA、α-ガラクトシダーゼA、ACE-011、ALTU-140、CGX-1160、アンジオテンシン治療ワクチン、D-4F、ETC-642、APP-018、rhMBL、SCV-07(経口、結核)、DRF-7295、ABT-828、ErbB2特異的免疫毒素(抗がん)、DT3SSIL-3、TST-10088、PRO-1762、Combotox、コレシストキニン-B/ガストリン受容体結合ペプチド、111In-hEGF、AE-37、トラスツズマブ(trasnizumab)−DM1、アンタゴニストG、IL-12(遺伝子組換え)、PM-02734、IMP-321、rhIGF-BP3、BLX-883、CUV-1647(局所用)、L-19系放射免疫療法薬(がん)、Re-188-P-2045、AMG-386、DC/1540/KLHワクチン(がん)、VX-001、AVE-9633、AC-9301、NY-ESO-1ワクチン(ペプチド)、NA17.A2ペプチド、メラノーマワクチン(パルス抗原治療薬)、前立腺がんワクチン、CBP-501、遺伝子組換えヒトラクトフェリン(ドライアイ)、FX-06、AP-214、WAP-8294A(注射可)、ACP-HIP、SUN-11031、ペプチドYY[3−36](肥満、鼻腔用)、FGLL、アタシセプト、BR3-Fc、BN-003、BA-058、ヒト副甲状腺ホルモン1−34(鼻用、骨多孔症)、F-18-CCR1、AT-1100(セリアック病/糖尿病)、JPD-003、PTH(7−34)リポソームクリーム(Novasome)、デュラマイシン(眼用、ドライアイ)、CAB-2、CTCE-0214、GlycoPEGylatedエリスロポエチン、EPO-Fc、CNTO-528、AMG-114、JR-013、第XIII因子、アミノカンジン、PN-951、716155、SUN-E7001、TH-0318、BAY-73-7977、テベレリックス(即時放出)、EP-51216、hGH(制御放出、Biosphere)、OGP-I、シフビルチド、TV4710、ALG-889、Org-41259、rhCC10、F-991、チモペンチン(肺疾患)、r(m)CRP、肝選択的インスリン、subalin、L19−IL-2融合タンパク質、エラフィン、NMK-150、ALTU-139、EN-122004、rhTPO、トロンボポエチン受容体アゴニスト(血小板低減症)、AL-108、AL-208、神経成長因子アンタゴニスト(疼痛)、SLV-317、CGX-1007、INNO-105、経口テリパラチド(eligen)、GEM-OS1、AC-162352、PRX-302、LFn-p24融合ワクチン(Therapore)、EP-1043、肺炎連鎖球菌小児用ワクチン、マラリアワクチン、髄膜炎菌B群ワクチン、新生児B群連鎖球菌ワクチン、炭疽菌ワクチン、HCVワクチン(gpE1+gpE2+MF-59)、中耳炎治療薬、HCVワクチン(コア抗原+ISCOMATRIX)、hPTH(1−34)(経皮、ViaDerm)、768974、SYN-101、PGN-0052、aviscumnine、BIM-23190、結核ワクチン、マルチエピトープチロシナーゼペプチド、がんワクチン、enkastim、APC-8024、GI-5005、ACC-001、TTS-CD3、血管標的TNF(固形腫瘍)、デスモプレシン(口腔制御放出)、オナセプト、又はTP-9201、アダリムマブ(ヒューミラ)、インフリキシマブ(レミケイド(登録商標)、リツキシマブ(リツキサン(登録商標)/MAB THERA(登録商標))、エタナーセプト(エンブレル(登録商標))、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、ペグリルグラスチム(ニューラスタ(登録商標))、又はバイオシミラー及びバイオベターを含む任意の他の好適なPOIである。
特定の側面によると、宿主細胞は、任意の動物細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、植物細胞、線虫細胞、無脊椎動物細胞、例えば、昆虫細胞若しくは軟体動物細胞、前述のいずれかに由来する幹細胞、又は真菌細胞若しくは酵母細胞であり得る。具体的には、宿主細胞は、ピキア属、ハンセヌラ属、コマガタエラ属、サッカロマイセス属、クルイウェロマイセス属、カンジダ属、オガタエア属、ヤロウィア属及びゲオトリクム属からなる群より選択される属の細胞、具体的には、サッカロマイセス・セレビシエ、ピキア・パストリス、オガタエア・ミヌタ若しくはハンセヌラ・ポリモルファであるか、又は糸状菌類、例えば、アスペルギルス・アワモリ若しくはトリコデルマ・リーセイの細胞である。好ましくは、宿主細胞はメチロトローフ酵母、好ましくはピキア・パストリスである。本明細書において、ピキア・パストリスは、コマガタエラ・パストリス、コマガタエラ・ファフィ及びコマガタエラ・シュードパストリス全ての同義語として用いられる。
特定の側面によると、宿主細胞は、ピキア・パストリス、ハンセヌラ・ポリモルファ、トリコデルマ・リーセイ、サッカロマイセス・セレビシエ、クルイウェロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ヤロウィア・リポリティカ、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、コマガタエラ・ファフィ、コマガタエラ・パストリス及びシゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)からなる群より選択される、酵母細胞又は糸状菌類細胞である。
特定の側面によると、宿主細胞は、下等真核細胞、例えば、酵母細胞(例えば、ピキア属(例えば、ピキア・パストリス、ピキア・メタノリカ、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)及びピキア・アングスタ(Pichia angusta))、コマガタエラ属(例えば、コマガタエラ・パストリス、コマガタエラ・シュードパストリス、若しくはコマガタエラ・ファフィ)、サッカロマイセス属(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ、サッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロマイセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum))、クルイウェロマイセス属(例えば、クルイウェロマイセス・ラクチス、クルイウェロマイセス・マルキシアヌス)、カンジダ属(例えば、カンジダ・ユーティリス(Candida utilis)、カンジダ・カカオイ(Candida cacaoi)、カンジダ・ボイジニイ)、ゲオトリクム属(例えば、ゲオトリクム・フェルメンタンス(Geotrichum fermentans))、ハンセヌラ・ポリモルファ、ヤロウィア・リポリティカ、又はシゾサッカロマイセス・ポンベである。好ましいのは、ピキア・パストリス種である。ピキア・パストリス菌株の例として、X33、GS115、KM71、KM71H;CBS2612及びCBS7435が挙げられる。
具体的には、宿主細胞は、CBS704、CBS2612、CBS7435、CBS9173-9189、DSMZ70877、X-33、GS115、KM71、KM71H及びSMD1168からなる群より選択されるピキア・パストリス菌株である。
出所:CBS704(NRRL Y−1603、DSMZ70382)、CBS2612(NRRL Y−7556)、CBS7435(NRRL Y−11430)、CBS9173−9189(CBS菌株:CBS-KNAW Fungal Biodiversity Centre, Centraalbureau voor Schimmelculturen, Utrecht, The Netherlands)及びDSMZ70877(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures);Invitrogen提供の菌株、例えば、X-33、GS115、KM71、KM71H及びSMD1168。サッカロマイセス・セレビシエ菌株の例には、W303、CEN.PK及びBY系統(EUROSCARFコレクション)が含まれる。上記の菌株は全て、形質転換体を産生し、異種遺伝子を発現するために成功裏に利用されている。
真核宿主細胞は、真菌細胞(例えば、アスペルギルス属(Aspergillus)(例えば、アスペルギルス・ニゲル(A. niger)、アスペルギルス・フミガタス(A. fumigatus)、アスペルギルス・オリゼ(A. oryzae)、アスペルギルス・ニドランス(A. nidulans))、アクレモニウム属(Acremonium)(例えば、アクレモニウム・テルモフィルム(A. thermophilum))、ケトミウム属(Chaetomium)(例えば、ケトミウム・テルモフィルム(C. thermophilum))、クリソスポリウム属(Chrysosporium)(例えば、クリソスポリウム・テルモフィレ(C. thermophile))、コルジセプス属(Cordyceps)(例えば、コルジセプス・ミリタリス(C. militaris))、コリナスカス属(Corynascus)、クテノマイセス属(Ctenomyces)、フザリウム属(Fusarium)(例えば、フザリウム・オキシスポラム(F. oxysporum))、グロメレラ属(Glomerella)(例えば、グロメレラ・グラミ二コラ(G. graminicola))、ヒポクレア属(Hypocrea)(例えば、ヒポクレア・ジェコリナ(H. jecorina))、マグナポルテ属(Magnaporthe)(例えば、マグナポルテ・オリゼ(M. oryzae))、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)(例えば、ミセリオフトラ・テルモフィレ(M. thermophile))、ネクトリア属(Nectria)(例えば、ネクトリア・ヘマトコッカ(N. haematococca))、ネウロスポラ属(Neurospora)(例えば、ネウロスポラ・クラッサ(N. crassa))、ペニシリウム属(Penicillium)、スポロトリクム属(Sporotrichum)(例えば、スポロトリクム・テルモフィレ(S. thermophile))、チエラビア属(Thielavia)(例えば、チエラビア・テレストリス(T. terrestris)、チエラビア・ヘテロタリカ(T. heterothallica))、トリコデルマ属(Trichoderma)(例えば、トリコデルマ・リーセイ)、又はベルチシリウム属(Verticillium)(例えば、ベルチシリウム・ダーリア(V. dahlia))であり得る。
特定の側面によると、哺乳動物細胞は、ヒト、齧歯類又はウシの、細胞、株化細胞又は細胞株である。本明細書に記載の宿主細胞として好適な、特定の哺乳動物細胞の例として、マウス骨髄腫(NSO)株化細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)株化細胞、HT1080、H9、HepG2、MCF7、MDBK Jurkat、MDCK、NIH3T3、PC12、BHK(ベビーハムスター腎細胞)、VERO、SP2/0、YB2/0、Y0、C127、L細胞、COS、例えば、COS1及びCOS7、QC1-3、HEK-293、VERO、PER.C6、HeLA、EBl、EB2、EB3、腫瘍細胞破壊性の株化細胞又はハイブリドーマの株化細胞が挙げられる。好ましくは、哺乳動物細胞はCHO株化細胞である。一態様では、細胞はCHO細胞である。一態様では、細胞は、CHO-K1細胞、CHO-K1SV細胞、DG44CHO細胞、DUXB11CHO細胞、DUKX CHO細胞、CHO-S、CHO FUT8ノックアウトCHO GSノックアウト細胞、CHO FUT8GSノックアウト細胞、CHOZN、又はCHO由来の細胞である。CHO GSノックアウト細胞(例えば、GSKO細胞)は、例えば、CHO-K1SV GSノックアウト細胞である。CHO FUT8ノックアウト細胞は、例えば、Potelligent(登録商標)CHOK1SV(Lonza Biologics, Inc.製)である。真核細胞は、鳥類の、細胞、株化細胞、又は細胞株、例えば、EBx(登録商標)細胞、EB14、EB24、EB26、EB66、又はEBvl3も含む。
別の特定の側面によると、真核細胞は、昆虫細胞(例えば、Sf9、Mimic(登録商標)Sf9、Sf21、High Five(登録商標)(BT1-TN-5B1-4)、若しくはBT1-Ea88細胞)、藻類細胞(例えば、アンフォラ属(Amphora)、珪藻綱(Bacillariophyceae)、ドナリエラ属(Dunaliella)、クロレラ属(Chlorella)、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、シアノフィタ属(Cyanophyta)(シアノバクテリア)、ナンノクロロプシス属(Nannochloropsis)、スピルリナ属(Spirulina)、若しくはオクロモナス属(Ochromonas))、又は植物細胞(例えば、単子葉植物(例えば、トウモロコシ、イネ、コムギ、若しくはセタリア属(Setaria))由来の、又は双子葉植物(例えば、キャッサバ、ジャガイモ、ダイズ、トマト、タバコ、アルファルファ、ニセツリガネゴケ(Physcomitrella patens)若しくはシロイヌナズナ属(Arabidopsis))由来の細胞)である。
好適な宿主細胞は、カルチャー・コレクション、例えば、(DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH, Braunschweig, Germany)又はATCC(American Type Culture Collection)から市販されている。
特定の態様によると、本発明は、真核宿主細胞において目的タンパク質(POI)を産生する方法であって、
i)第1の宿主細胞タンパク質(HCP1)、第2の宿主細胞タンパク質(HCP2)及び第3の宿主細胞タンパク質(HCP3)からなる群より選択される少なくとも1つの内因性の宿主細胞タンパク質(HCP)の産生を低減するように宿主細胞を遺伝子改変する工程、
a)HCP1は、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含み、又は宿主細胞が別の種である場合、宿主細胞に対して内因性である当該配列の相同配列を含み、
b)HCP2は、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号3で示されるアミノ酸配列を含み、又は宿主細胞が別の種である場合、宿主細胞に対して内因性である当該配列の相同配列を含み、
c)HCP3は、宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号5で示されるアミノ酸配列を含み、又は宿主細胞が別の種である場合、宿主細胞に対して内因性である当該配列の相同配列を含み、
ii)POIをコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結された1つ以上の調節核酸配列を含む発現カセットを宿主細胞に導入する工程、
iii)当該POIを産生する条件下で当該宿主細胞を培養する工程、及び任意に、
iv)当該POIを細胞培養物から、特に細胞培養上清から、単離する工程、及び任意に、
v)当該POIを精製する工程を含む方法を提供する。
具体的には、適切な培地中で宿主細胞を培養し、培養物、特に細胞培養上清から発現したPOIを単離し、特に細胞とPOIを分離するための発現物に適した方法によって精製することにより、POIを産生することができる。これにより、精製されたPOIが産生される。
更なる特定の態様によると、本発明は、宿主細胞培養物で目的タンパク質(POI)を産生することができる真核宿主細胞を生産する方法を提供する。
具体的には、本明細書に記載の方法の工程i)は、工程ii)の前、若しくは後、又は工程ii)と同時に行われる。特定の側面によると、宿主細胞は、異種又は組換えPOIを産生するために設計される前に、先ず、当該少なくとも1つのHCPを低減するように遺伝子改変される。特定の例によると、野生型の宿主細胞は、本明細書に記載の方法の工程i)にしたがって遺伝子改変される。具体的には、宿主細胞はHCP低減のための当該1つ以上の遺伝子改変を野生型の宿主細胞株に導入ことで提供される。
更なる側面によると、宿主細胞は、当該少なくとも1つのHCPを低減するように更に遺伝子改変される前に、先ず、異種又は組換えPOIを産生するように設計される。特定の例によると、野生型の宿主細胞を、先ず、POI産生のための発現カセットを含むように設計してもよい。次いで、このように設計された宿主細胞を、本明細書に記載されるように、HCPを低減するように更に改変してもよい。
更なる態様によると、宿主細胞は、1つの工程で、例えば、1つ以上の反応混合物中でそれぞれの発現カセット、試薬及びツールを使用して、POI産生のために設計され、HCP低減のために遺伝子改変されている。
具体的には、宿主細胞は、細胞培養物中で培養された株化細胞、特に産生宿主の株化細胞である。
更なる特定の態様によると、本発明は、本明細書に記載の宿主細胞、又は本明細書に記載の方法によって得ることができる宿主細胞を、目的タンパク質(POI)を産生する条件下で培養することによる、POIを産生する方法を提供する。
更なる特定の態様によると、本発明は、POIの産生のための、本明細書に記載の宿主細胞の使用を提供する。
特定の態様によると、株化細胞は、回分、流加又は連続培養条件下で培養される。培養は、最初の工程として回分段階から始まり、次の工程として流加段階又は連続培養段階が続く、マイクロタイタープレート、振とうフラスコ、又はバイオリアクター中で行われてもよい。
具体的には、本明細書に記載の方法は、宿主細胞の、当該少なくとも1つのHCPの量を低減させる少なくとも1つの遺伝子改変を含む。特に、少なくとも1つの遺伝子改変は、当該POIを発現する条件下で培養する場合に特に、HCP低減のための当該遺伝子改変を伴わない宿主細胞と比較して、宿主細胞におけるHCP低減の以下の特徴の1つ以上を導入する:
・ 宿主細胞によって産生される当該少なくとも1つのHCPの量が、全HCPの10%、5%、又は3%(mol/mol)未満に低減され;
・ 宿主細胞によって産生される当該少なくとも1つのHCPの量が、50%、60%、70%、80%、90%、95%、(mol/mol)の少なくともいずれかだけ、又は100%までも低減され、これによりそれぞれのHCPの産生を止め;
・ 宿主細胞によって産生される当該少なくとも1つのHCPのそれぞれの量、特にHCP1及びHCP2、HCP3、又はHCP4のいずれか1つ、2つ、又は3つのそれぞれの量が、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%(mol/mol)のうちの少なくともいずれかだけ低減され;
・ 宿主細胞によって産生される当該少なくとも1つのHCPのそれぞれの量、特にHCP1及びHCP2、HCP3、又はHCP4のいずれか1つ、2つ、又は3つのそれぞれの量が、全HCPの1%(mol/mol)未満に低減され;
・ 細胞培養上清における全HCPの量が、5%、又は10%、又は15%(mol/mol)の少なくともいずれかだけ低減されている。
更なる特定の態様によると、本発明は、目的タンパク質(POI)を産生する条件下で、本明細書に記載の宿主細胞を培養すること、及び、POIを当該細胞培養物から単離することによる、宿主細胞培養物中に産生されたPOIの内因性の宿主細胞タンパク質(HCP)による汚染のリスクを低減する方法を提供する。HCPの量を低減させることによって、宿主細胞培養物中のPOIの純度、又はその画分を効果的に増加させることができる。
本明細書に記載のHCP配列コマガタエラ・ファフィのHCP1 配列番号1:F2QXM5(NCBIアクセッション番号)のアミノ酸配列:特徴付けられていないタンパク質、PP7435_Chr3-1213、PAS_Chr3_0030、gi I 254570259、gi I 328353755、PIPA05357、CCA40153; 配列番号2:F2QXM5(NCBIアクセッション番号)に対応する塩基配列:特徴付けられていないタンパク質、PP7435_Chr3-1213、PAS_Chr3_0030、gi I 254570259、gi I 328353755、PIPA05357、CCA40153; 本明細書に記載のHCP配列コマガタエラ・ファフィのHCP2 配列番号3:F2QNG1(NCBIアクセッション番号)のアミノ酸配列:グルカナーゼと類似性を有する細胞壁タンパク質、PP7435_Chr1-0232、PAS_Chr1-3_0229、gi I 25456492、gi I 328349994、PIPA04722; 配列番号4:F2QNG1(NCBIアクセッション番号)に対応する塩基配列:グルカナーゼと類似性を有する細胞壁タンパク質、PP7435_Chr1-0232、PAS_Chr1-3_0229、gi I 25456492、gi I 328349994、PIPA04722;コマガタエラ・ファフィのHCP3 配列番号5:F2QQT7(NCBIアクセッション番号)のアミノ酸配列:SUNファミリーのタンパク質(Sim1p、Uth1p、Nca3p、Sun4p)、PAS_chr2-2_0064; 本明細書に記載のHCP配列 配列番号6:F2QQT7に対応する塩基配列:SUNファミリーのタンパク質(Sim1p、Uth1p、Nca3p、Sun4p)、PAS_chr2-2_0064;コマガタエラ・ファフィのHCP4 配列番号7:F2QXH5(NCBIアクセッション番号)のアミノ酸配列:EPX1;細胞外タンパク質X1、PAS_chr3_0076、PIPA00934、PP7435_Chr3-1160; 配列番号8:F2QXH5(NCBIアクセッション番号)に対応する塩基配列:EPX1;細胞外タンパク質X1、PAS_chr3_0076、PIPA00934、PP7435_Chr3-1160; 本明細書に記載のHCP配列コマガタエラ・パストリスのHCP1ホモログ 配列番号20:以下のNCBIアクセッション番号のアミノ酸配列:BA75_00021T0 [Komagataella pastoris]、GenBank:ANZ74151.1;コマガタエラ・パストリスのHCP2ホモログ 配列番号21:以下のNCBIアクセッション番号のアミノ酸配列:BA75_01624T0 [Komagataella pastoris]、GenBank:ANZ73790.1;コマガタエラ・パストリスのHCP3ホモログ 配列番号22:以下のNCBIアクセッション番号のアミノ酸配列:BA75_01931T0 [Komagataella pastoris]、GenBank:ANZ76017.1;コマガタエラ・パストリスのHCP4ホモログ 配列番号23:以下のNCBIアクセッション番号のアミノ酸配列:BA75_00070T0 [Komagataella pastoris]、GenBank:ANZ73364.1; 本明細書に記載のHCP配列サッカロマイセス・セレビシエのHCP2ホモログ 配列番号24:以下のNCBIアクセッション番号のアミノ酸配列:SCW10 [Saccharomyces cerevisiae]、GenBank:KZV09161.1;>SCW10YMR305C SGDID:S000004921;サッカロマイセス・セレビシエのHCP2ホモログ 配列番号25:以下のNCBIアクセッション番号のアミノ酸配列:SCW4 [Saccharomyces cerevisiae]、GenBank:KZV11513.1;>SCW4YGR279C SGDID:S000003511;サッカロマイセス・セレビシエのHCP3ホモログ 配列番号26:以下のNCBIアクセッション番号のアミノ酸配列:SUN4 [Saccharomyces cerevisiae]、GenBank:CAA95939.1;>SUN4YNL066W SGDID:S000005010。 HCP1ノックアウト株のPCR検査CBS2612野生型株、及び3つの目的タンパク質(POI1〜3)のそれぞれ1つを発現する3つの株においてスプリットマーカーカセット系を使用して、HCP1をコードする遺伝子を部分的に欠失させた。コントロールフォワード及びコントロールリバースのプライマー対を使用した検査PCRにより、HCP1ノックアウトの場合は4602bpのPCR産物が生じ、これに比し、ゲノム遺伝子座が依然として損なわれていない場合は3699bpのPCR産物が生じている。EcoR1又はNco1のいずれかを用いて、PCR産物に対し2種類の制限酵素消化処理を行って、PCR増幅産物を更に検査した。ポジティブノックアウト株のPCR産物は、EcoR1によっては切断されないが(4602bpのフラグメント)、Nco1によって消化される(1955bp及び2647bpのフラグメント)。全てのノックアウト株について、欠失が成功していることが確認できた。 バックグラウンドHCP1KO株のPCR検査 野生型ピキア(CBS2612)及び3つのPOIのいずれかを発現する野生型ピキア株におけるその他全てのHCPと比較したHCP1の存在量のグラフ表示。HCP1は、驚くべきことに、最終発酵試料における全HCP含量の43〜70%を占める。 野生型株との比較における、HCP1KO株中全HCPの20〜79%の低減。
発明の詳細な説明
本明細書を通して使用される特定の用語は、以下の意味を有する。
「宿主細胞」との用語は、本明細書で使用される場合、単一細胞、単一細胞クローン、又は宿主細胞の株化細胞に関する。
「株化細胞」との用語は、本明細書で使用される場合、長期間にわたり増殖する能力を獲得した特定の細胞型の樹立クローンを意味する。株化細胞は、典型的には、内因性の若しくは組換え型の遺伝子、又はポリペプチドを産生する代謝経路の産物若しくはそのようなポリペプチドによって媒介される細胞代謝産物を発現させるために使用される。「産生宿主株化細胞」又は「産生株化細胞」は、産生プロセスの産物、例えばPOIを得るために、バイオリアクターでの細胞培養にすぐに使用できる株化細胞であると一般に理解される。
本明細書に記載のPOIを産生する宿主細胞は、「産生宿主細胞」ともいい、それぞれの株化細胞は「産生株化細胞」という。
本明細書に記載の特定の態様は、HCP低発現により特徴付けられる産生宿主株化細胞に関する。
「真核宿主細胞」との用語は、POI又は宿主細胞代謝産物を産生するために培養されてもよい、任意の真核細胞又は生物を意味するものとする。この用語はヒトを含まないことが十分に理解される。
「細胞培養」との用語は、宿主細胞に関して本明細書で使用される場合、人工的な環境、例えば、インビトロ環境において、細胞の増殖、分化又は継続的な生存能力に有利な条件下で、活性状態又は休止状態で細胞を維持することを意味し、特に、当該技術分野で公知の方法にしたがって制御されたバイオリアクターにおいて細胞を維持することを意味する。
適切な培地を使用して細胞を培養する場合、細胞の培養を維持するのに適した条件で、細胞を培養容器中の培地又は基質と接触させる。本明細書に記載されるように、真核細胞、特に酵母又は糸状菌類の増殖のために使用することができる培養培地が提供される。標準的な細胞培養技術は、当該技術分野において周知である。
本明細書に記載の細胞培養物は、例えば、細胞培養培地においてPOIを得るために、分泌POIの産生に備える手法を採用し、この細胞培養培地は、細胞バイオマスから分離可能であり、本明細書において「細胞培養上清」といい、かつ、より高い純度でPOIを得るために精製されてもよい。タンパク質(例えば、HCP又はPOI)が細胞培養物中の宿主細胞によって産生及び分泌される場合、そのようなタンパク質は、細胞培養上清中に分泌され、宿主細胞バイオマスから細胞培養上清を分離し、及び、任意にタンパク質を更に精製して精製タンパク質を産生することによって得られることが本明細書において理解される。
細胞培養培地は、管理された人工的なインビトロ環境において細胞を維持及び増殖させるために必要な栄養分を提供する。細胞培養培地の特徴及び組成は、特定の細胞に応じて変化する。重要なパラメータには、浸透圧、pH及び栄養製剤が含まれる。栄養分の供給は、当該技術分野で公知の方法にしたがって連続又は不連続方式で行われてもよい。
回分プロセスが、細胞を培養するために必要な全ての栄養分が最初の培養培地中に含有されており、発酵中に更なる栄養分を追加的に供給することのない細胞培養方式であるのに対し、流加プロセスにおいては、回分段階の後に、1種以上の栄養分が流加によって培養物に供給される流加段階がとられる。ほとんどのプロセスにおいて、流加の方式は重大かつ重要であるが、本明細書に記載の宿主細胞及び方法は、細胞培養の特定方式について制限されない。
ある特定の態様では、細胞培養プロセスは、流加プロセスである。具体的には、所望の組換えPOIをコードする核酸構築物で形質転換させた宿主細胞を増殖期で培養し、所望の組換えPOIを産生するために産生期に移行させる。
別の態様では、本明細書に記載の宿主細胞は、連続方式、例えばケモスタットで培養される。連続発酵プロセスは、新鮮な培養培地を、所定の、一定かつ連続的な速度でバイオリアクターへ流加することによって特徴付けられ、これにより、同時に、培養ブロスが、同様の、所定の一定かつ連続的な除去速度でバイオリアクターから除去される。培養培地、流加速度及び除去速度を同じ、かつ一定に維持することによって、バイオリアクターにおける細胞培養パラメータ及び条件は一定に維持される。
組換えPOIは、本明細書に記載の宿主細胞及びそれぞれの株化細胞を使用して、適切な培地中で培養し、培養物から発現産物又は代謝産物を単離し、及び、任意に、適切な方法によってそれを精製することによって産生され得る。
本明細書に記載のPOIの産生のためのいくつかの異なるアプローチが好ましい。関連タンパク質をコードする組換えDNAを保有する発現ベクターで真核生物宿主細胞を形質転換し、形質転換した細胞の培養物を調製し、培養物を増殖させ、転写及びPOI産生を誘導し、及びPOIを回収することによって、POIは、発現され、プロセシングを受け、及び、任意に分泌されるであろう。
「宿主細胞タンパク質(HCP)」との用語は、本明細書で使用される場合、宿主細胞によって産生される個々の分泌タンパク質を意味する。宿主細胞がPOIを発現している場合、HCPはPOIの副産物として理解される。したがって、POIはHCPとして理解されない。典型的には、HCPは、例えば遠心分離によって細胞がから分離された細胞培養培地又は細胞培養上清中に存在する。全てのHCPの合計を「全HCP」と呼ぶ。例えばPOI又はPOI調製物を含む宿主細胞産物は、HCPにより汚染されているリスクがある。POI産物中のHCPの存在についてアッセイするための現在の分析方法には、ELISA、HPLC、キャピラリー電気泳動、SDS−PAGE、又は質量分析法が含まれ、特に、質量分析法は、液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MS)、又は、好ましくは、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC−MS/MS)であり、例えば当該技術分野で公知であり及び/又は実施例に更に記載されている。
本明細書に記載の宿主細胞は、典型的には、以下の試験のいずれかによって、その発現能力、HCP含量又はPOI収量について試験される:ELISA、活性アッセイ、HPLC、又は他の適切な試験、例えばSDS−PAGE及びウェスタンブロッティング法、又は質量分析法。
細胞培養物中のHCPの低減に対する遺伝子改変の効果、及び、例えば、そのように産生されたPOI中の不純物の量に対する遺伝子改変の効果を決定するために、宿主株化細胞を、それぞれの細胞においてこのような遺伝子改変を伴わない株と比較して、流加発酵又は連続発酵を使用して、マイクロタイタープレート、振とうフラスコ、又はバイオリアクター中で培養してもよい。
本明細書に記載の産生方法は、特に、パイロット又は工業規模での発酵を可能にする。工業的プロセス規模は、好ましくは少なくとも10L、具体的には少なくとも50L、好ましくは少なくとも1m、好ましくは少なくとも10m、最も好ましくは少なくとも100mである。
工業規模での産生条件が好ましく、この条件は、例えば、典型的には数日のプロセス回数を採用する100L〜10m以上の反応器での流加培養、又は約50〜1000L以上の発酵槽での連続プロセスを意味し、希釈率は約0.02〜0.15h−1である。
本明細書に記載の目的のために使用される、装置、設備及び方法は、原核生物及び/又は真核生物の株化細胞を含む任意の所望の株化細胞の培養における使用及び培養との併用に特に適している。更に、ある態様では、かかる装置、設備及び方法は、懸濁細胞又は足場依存性(接着)細胞を含む任意の細胞型を培養するために好適であり、医薬品及びバイオ医薬品、例えば、ポリペプチド産物(POI)、核酸産物(例えば、DNA若しくはRNA)、又は細胞及び/若しくはウイルス、例えば、細胞及び/若しくはウイルス療法において使用される細胞及び/若しくはウイルスの生産に適するように構成された産生操作に好適である。
ある態様では、かかる細胞は、産物、例えば、組換え体治療用又は診断用の産物を発現又は産生する。本明細書においてより詳細に記載されるように、細胞によって産生される産物の例には、本明細書において例示されるようなPOIが含まれ、このPOIは、抗体分子(例えば、モノクローナル抗体、二重特異性抗体)、抗体ミメティック(抗原に特異的に結合するが抗体とは構造的に関連しないポリペプチド分子、例えば、DARPin、アフィボディ、アドネクチン、又はIgNAR)、融合タンパク質(例えば、Fc融合タンパク質、キメラサイトカイン)、他の組換えタンパク質(例えば、グリコシル化タンパク質、酵素、ホルモン)又はウイルス治療薬(例えば、抗がん腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療用ウイルスベクター及びウイルス免疫療法)、細胞治療薬(例えば、多能性幹細胞、間葉系幹細胞及び成体幹細胞)、ワクチン又は脂質被包粒子(例えば、エキソソーム、ウイルス様粒子)、RNA(例えば、siRNA)若しくはDNA(例えば、プラスミドDNA)、抗生物質又はアミノ酸を含むが、これらに限定されない。ある態様において、かかる装置、設備及び方法を、バイオシミラーを産生するために使用することができる。
上述したように、ある態様では、装置、設備及び方法は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞又は下等真核細胞、例えば、酵母細胞若しくは糸状菌類細胞、又は原核細胞、例えば、グラム陽性若しくはグラム陰性細胞の生産を可能とし、及び/又は真核若しくは原核細胞の産物、例えば、タンパク質、ペプチド若しくは抗生物質、アミノ酸、核酸(例えば、DNA若しくはRNA)を含むPOIを、当該細胞によって大規模に合成することを可能にする。本明細書において特に明記しない限り、かかる装置、設備及び方法は、ベンチ規模、パイロット規模及びフル生産規模の生産能力を含むがこれらに限定されない、任意の所望の容積又は生産能力を含み得る。
更に、本明細書において特に明記しない限り、かかる装置、設備及び方法は、撹拌タンク、エアリフト、繊維、マイクロファイバー、中空繊維、セラミックマトリックス、流動床、固定床及び/又は噴流床バイオリアクターを含むがこれらに限定されない、任意の好適な反応器を含み得る。本明細書で使用される場合、「反応器」は、発酵槽若しくは発酵ユニット、又は任意の他の反応容器を含み得、「反応器」との用語は、「発酵槽」と交換可能に使用される。例えば、いくつかの側面では、例示的なバイオリアクターユニットは、以下の1つ以上又は全てを行うことができる:栄養分及び/又は炭素源の流加、好適な気体(例えば、酸素)の注入、発酵又は細胞培養培地の流入及び流出、気相及び液相の分離、温度の維持、酸素及びCO2レベルの維持、pHレベルの維持、アジテーション(例えば、撹拌)、及び/又は、洗浄/滅菌。例示的な反応器ユニット、例えば、発酵ユニットは、ユニット内に複数の反応器を含んでいてもよく、例えば、このユニットは、各ユニット内に1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、若しくは100以上のバイオリアクターを持つことができ、及び/又は、設備は、設備内に単一又は複数のリアクターを有する複数のユニットを含んでいてもよい。様々な態様では、バイオリアクターは、回分、セミ流加、流加、灌流、及び/又は、連続発酵プロセスに好適であり得る。任意の好適な反応器直径を用いることができる。ある態様では、バイオリアクターは、約100mL〜約50,000Lの容積を有し得る。非限定的な例には、100mL、250mL、500mL、750mL、1L、2L、3L、4L、5L、6L、7L、8L、9L、10L、15L、20L、25L、30L、40L、50L、60L、70L、80L、90L、100L、150L、200L、250L、300L、350L、400L、450L、500L、550L、600L、650L、700L、750L、800L、850L、900L、950L、1000L、1500L、2000L、2500L、3000L、3500L、4000L、4500L、5000L、6000L、7000L、8000L、9000L、10,000L、15,000L、20,000L、及び/又は50,000Lの容量が含まれる。加えて、好適な反応器は、多用途、単一用途、使い捨て、又は非使い捨てであり得、金属合金、例えば、ステンレス鋼(例えば、316L若しくはその他任意の好適なステンレス鋼)及びインコネル、プラスチック、並びに/又はガラスを含む、任意の好適な材料から形成され得る。
ある態様では、また、本明細書に別段の記載がない限り、本明細書に記載の装置、設備、及び方法はまた、別段の記載がないが任意の好適なユニット操作及び/又は機器、例えば、そのような産物を分離、精製及び単離するための操作及び/又は機器を含み得る。任意の好適な設備及び環境、例えば、従来の現場組立型の設備、モジュール式、移動式及び仮設式の設備、又はその他任意の好適な組立、設備及び/若しくはレイアウトを使用することができる。例えば、いくつかの態様では、モジュール式クリーンルームを使用することができる。加えて、特に明記しない限り、本明細書に記載の装置、システム及び方法は、単一の場所又は設備に収容及び/又は実行され得るか、あるいは別個の若しくは複数の場所及び/又は設備に収容及び/又は実行され得る。
好適な手法は、回分段階で開始し、その後、高い比増殖速度での短指数関数的な流加段階が続き、更にその後、低い比増殖速度での流加段階が続く、バイオリアクター中での培養を包含していてもよい。別の好適な培養手法は、任意の好適な特定の増殖速度又は特定の増殖速度の組合せ、例えば、POI産生時間にわたって高い増殖速度から低い増殖速度へ、若しくは、POI産生時間にわたって低い増殖速度から高い増殖速度へと進む増殖速度の組合せでの流加段階が続く回分段階を包含していてもよい。別の好適な培養手法は、低い希釈率での連続培養段階が続く回分段階を包含していてもよい。
好ましい態様は、高収率のPOI産生のための流加培養が後に続く、バイオマスを提供するための回分培養を含む。
本明細書に記載の宿主細胞は、少なくとも1g/L細胞乾燥重量、より好ましくは少なくとも10g/L細胞乾燥重量、好ましくは少なくとも20g/Lの細胞乾燥重量、好ましくは、少なくとも30、40、50、60、70又は80g/Lの細胞乾燥重量の細胞密度を得るための増殖条件下のバイオリアクターで培養されることが好ましい。パイロット又は工業規模における、そのような収率のバイオマス産生に備えることは有利である。
バイオマスの蓄積を可能にする増殖培地、具体的には基礎増殖培地は、典型的には、炭素源、窒素源、硫黄源及びリン酸塩源を含む。典型的には、そのような培地は、微量元素及びビタミンを更に含み、かつ、アミノ酸、ペプトン又は酵母抽出物を更に含んでもよい。
好ましい窒素源としては、NHPO、NH又は(NHSOが挙げられる。
好ましい硫黄源としては、MgSO、(NHSO又はKSOが挙げられる。
好ましいリン酸塩源としては、NHPO、HPO、NaHPO、KHPO、NaHPO又はKHPOが挙げられる。
更なる典型的な培地成分としては、KCl、CaCl、及び微量元素、例えば:Fe、Co、Cu、Ni、Zn、Mo、Mn、I、Bが挙げられる。
好ましくは、培地にビタミンBを補充する。
ピキア・パストリスの典型的な増殖培地は、グリセロール、ソルビトール又はグルコース、NHPO、MgSO、KCl、CaCl、ビオチン及び微量元素を含む。
産生期において、産生培地は、少量の補充炭素源とのみ特異的に使用される。
好ましくは、宿主株化細胞は、好適な炭素源を含む無機培地中で培養され、これにより、単離プロセスを有意に更に単純化する。好ましい無機培地の例は、利用可能な炭素源(例えば、グルコース、グリセロール、ソルビトール又はメタノール)、マクロ元素(カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、塩化物、硫酸塩、リン酸塩)及び微量元素(銅、ヨウ化物、マンガン、モリブデン酸塩、コバルト、亜鉛、鉄塩及びホウ酸)を含有する塩、並びに、任意に、例えば栄養要求株を補完するための、ビタミン又はアミノ酸を含有するものである。
具体的には、発現系及び発現したタンパク質の性質、例えば、タンパク質がシグナルペプチドに融合されているか否か、及びタンパク質が可溶性であるか膜結合性であるかに応じて、細胞又は培養培地から精製することができる所望のPOIの発現をもたらすのに適した条件下で、細胞を培養する。当業者によって理解されるように、培養条件は、宿主細胞の型及び採用される特定の発現ベクターを含む要因に応じて変化する。
典型的な産生培地は、補充炭素源、並びに、更にNHPO、MgSO、KCl、CaCl、ビオチン及び微量元素を含む。
例えば、発酵に添加される補充炭素源の供給物は、利用可能な糖を50重量%まで有する炭素源を含んでいてもよい。
発酵は、好ましくは3乃至8のpHで行われる。
典型的な発酵時間は、20℃〜35℃、好ましくは22〜30℃の温度で、約24〜120時間である。
好ましくは少なくとも1mg/L、好ましくは少なくとも10mg/L、好ましくは少なくとも100mg/L、最も好ましくは少なくとも1g/Lの収量をもたらす条件を採用して、POIを発現させる。
「発現」又は「発現カセット」との用語は、本明細書で使用される場合、操作可能に連結された所望のコード配列及び制御配列を含有する核酸分子を意味し、その結果、これらの配列で形質転換又はトランスフェクトされた宿主は、コードされたタンパク質又は宿主細胞代謝産物を産生することができる。形質転換をもたらすためには、発現系をベクターに含めてもよいが、関連するDNAを宿主染色体に組み込んでもよい。発現は、ポリペプチド又は代謝産物を含む、分泌又は非分泌発現産物を意味していてもよい。
発現カセットは、発現構築物として、例えば、「ベクター」又は「プラスミド」の形態で都合よく提供され、これらは、典型的には、クローニングされた組換えヌクレオチド配列、すなわち、組換え遺伝子の転写、及び好適な宿主生物におけるそれらのmRNAの翻訳に必要とされるDNA配列である。発現ベクター又はプラスミドは、通常、宿主細胞における自律複製のための起点、選択マーカー(例えば、アミノ酸合成遺伝子又は抗生物質、例えば、ゼオシン、カナマイシン、G418若しくはハイグロマイシン、ノーセオトリシン(nourseothricin)に対する耐性を付与する遺伝子)、多数の制限酵素切断部位、好適なプロモーター配列及び転写ターミネーターを含み、これらの成分は、操作可能に一緒に連結されている。「プラスミド」及び「ベクター」との用語は、本明細書で使用される場合、自律的に複製するヌクレオチド配列及びゲノム組込みヌクレオチド配列、例えば、人工染色体、例えば、酵母人工染色体(YAC)を含む。
発現ベクターは、クローニングベクター、改変クローニングベクター及び特異的にデザインされたプラスミドを含んでいてもよいが、これらに限定されない。本明細書に記載の好ましい発現ベクターは、真核宿主細胞における組換え遺伝子の発現に好適な発現ベクターであり、宿主生物に応じて選択される。適切な発現ベクターは、典型的には、POIをコードするDNAの真核宿主細胞における発現に好適な調節配列を含む。調節配列の例には、オペレーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、並びに転写及び翻訳の開始及び終結を制御する配列が含まれる。調節配列は、発現させるDNA配列に操作可能に連結されていてもよい。
宿主細胞における組換えヌクレオチド配列の発現を可能にするために、発現ベクターは、コード配列の5’末端に隣接する位置、例えば、目的遺伝子(GOI)又はPOIの分泌を可能にするシグナルペプチド遺伝子の上流、にプロモーターを設けていてもよい。このプロモーター配列により、転写が調節及び開始される。
本明細書に記載の発現構築物は、具体的には、POIをコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結されたプロモーターを含み、当該プロモーターの転写制御を受ける。具体的には、プロモーターは、POIのコード配列と天然には関連付けられない。
マルチクローニング部位を有するベクターであるマルチクローニングベクターも、本明細書に記載のように使用でき、所望の異種遺伝子をマルチクローニング部位に組み入れて発現ベクターを提供することができる。マルチクローニングベクターの場合、POIの遺伝子はマルチクローニング部位に導入されるので、プロモーターは、典型的にはマルチクローニング部位の上流に配置される。
「内因性の」との用語は、本明細書で使用される場合、内因性のタンパク質を低減させるための改変以前に、野生型(天然)宿主細胞中に存在している分子及び配列、特に内因性タンパク質を含んでいることを意味する。特に、天然に見出される特定の宿主細胞に存在する(及びそこから得ることができる)内因性の核酸分子(例えば、遺伝子)又はタンパク質は、「宿主細胞内因性である」又は「宿主細胞に対して内因性である」と理解される。更に、核酸又はタンパク質を「内因的に発現している」細胞は、天然に見出されるのと同様の特定の型の宿主が発現するように、その核酸又はタンパク質を発現する。更に、核酸、タンパク質又は他の化合物を「内因的に産生している」又は「内因的に産生する」宿主細胞は、天然に見出されるのと同様の特定の型の宿主細胞が産生するように、その核酸、タンパク質又は化合物を産生する。
したがって、タンパク質をコードする遺伝子が不活性化又は欠失している、宿主細胞のノックアウト変異体におけるように、内因性タンパク質が宿主細胞によってもはや産生されない場合であっても、このタンパク質は、本明細書では、依然として「内因性である」という。
「異種」との用語は、ヌクレオチド若しくはアミノ酸配列又はタンパク質に関して本明細書で使用される場合、外来、すなわち、所定の宿主細胞に対して「外因性」である(天然に見出されない)化合物、又は、所定の宿主細胞において天然に見出される化合物、例えば、異種核酸を使用した異種構築物との関係においてではあるが、「内因性である」化合物を意味する。内因的に見出されるような異種ヌクレオチド配列はまた、非天然の量(例えば、予想される量よりも多い量又は天然に見出される量よりも多い量)で細胞において産生されていてもよい。異種ヌクレオチド配列、又は異種ヌクレオチド配列を含む核酸は、おそらく、内因性ヌクレオチド配列とは配列が異なるが、内因的に見出されるのと同じタンパク質をコードする。具体的には、異種ヌクレオチド配列は、天然では宿主細胞と同じ関係で見出されないものである。任意の組換え又は人工ヌクレオチド配列は、異種であると理解される。異種ポリヌクレオチドの例としては、例えばハイブリッドプロモーターを得るために、プロモーターと天然に関連付けられていないか、又は本明細書に記載のように、コード配列に操作可能に連結されていないヌクレオチド配列が挙げられる。その結果、ハイブリッド又はキメラポリヌクレオチドが得られてもよい。異種化合物の更なる例としては、転写制御因子、例えば、プロモーターに操作可能に連結されたPOIコードポリヌクレオチドが挙げられ、この転写制御因子には、内因性の、天然に存在しているPOIコード配列が通常は操作可能に連結されていない。
「宿主細胞」との用語は、本明細書では、具体的には、人工生物及び天然(野生型)の宿主細胞の誘導体を意味する。本明細書に記載の宿主細胞、方法及び使用(例えば、1つ以上の遺伝子改変物、発現構築物、形質転換させた宿主細胞及び組換えタンパク質を具体的にいう)は、天然に存在せず、「人工」又は合成されたものであり、したがって、「自然法則」の結果とはみなされないことが十分に理解される。
宿主細胞は、具体的には、宿主細胞によって産生され、かつ、細胞培養上清において得られる宿主細胞の内因性HCPの量を低減するように設計された、組換え宿主細胞である。具体的には、野生型の宿主細胞の培養物中に豊富に存在する1つ以上のタンパク質が、その発現を低減するための遺伝子改変の標的である。タンパク質は、それが細胞培養上清中に高レベルで存在する場合、例えば、それが全HCPの少なくとも10%、又は少なくとも5%(mol/mol)に達する場合、豊富であると特に考えられる。特定の態様によると、宿主細胞は、最も豊富に分泌される内因性タンパク質の少なくとも1つ、2つ又は3つをコードする宿主細胞遺伝子を(遺伝子又はその一部の不活性化又は欠失のために)ノックダウン又はノックアウトするように設計されている。
具体的には、遺伝子が破壊されている欠失株が提供される。
「破壊する」との用語は、本明細書で使用される場合、宿主細胞における1つ以上の内因性タンパク質の発現の完全な除去へ向けた著しい低減、例えばノックダウン又はノックアウトを意味する。これは、宿主細胞の培養培地中のこの1つ以上の内因性タンパク質の存在として、例えば、質量分析法によって測定されてもよく、内因性タンパク質の全含有量は、閾値未満又は検出不可であってもよい。
「破壊された」との用語は、具体的には、遺伝子サイレンシング、遺伝子ノックダウン、遺伝子ノックアウト、ドミナントネガティブ構築物の送達、条件付き遺伝子ノックアウト、及び/又は特定の遺伝子に関する遺伝子改変からなる群より選択される少なくとも1つの工程による遺伝子設計の結果を意味する。
遺伝子発現の文脈における「ノックダウン」、「低減」又は「減退」との用語は、本明細書で使用される場合、対照細胞における発現と比較して所定の遺伝子の発現の低減をもたらす実験的アプローチを意味する。遺伝子のノックダウンは、様々な実験手段、例えば、遺伝子のmRNAの一部とハイブリダイズしてその分解をもたらす核酸分子(例えば、shRNA、RNAi、miRNA)を細胞に導入すること、又は転写の低減、mRNA安定性の低減若しくはmRNA翻訳の減弱をもたらすように遺伝子の配列を変更することによって達成することができる。
所与の遺伝子の発現の完全な阻害は、「ノックアウト」と呼ばれる。遺伝子のノックアウトは、機能的転写物が当該遺伝子から全く合成されず、この遺伝子によって通常提供される機能の喪失をもたらすことを意味する。遺伝子ノックアウトは、遺伝子若しくはその調節配列、又はそのような遺伝子若しくは調節配列の一部の破壊又は欠失をもたらすDNA配列を変更することによって達成される。ノックアウト技術には、重要な部分又は遺伝子配列全体を置換、中断、又は欠失させるための相同組換え法の使用、又は、例えばGajら(Trends Biotechnol. 2013; 31(7): 397-405)によって示されているような、標的遺伝子のDNAに二本鎖切断を導入するためのジンクフィンガー又はメガヌクレアーゼなどのDNA改変酵素の使用が含まれる。
特定の態様は、宿主細胞にトランスフェクトされる1つ以上のノックアウトプラスミドを用いる。相同組換えにより、宿主細胞中の標的遺伝子を破壊することができる。この手順は、典型的には、標的遺伝子の全ての対立遺伝子が安定に除去されるまで繰り返される。
本明細書に記載の特定の遺伝子をノックアウトするための1つの特定の方法は、例えば、Weningerら(J. Biotechnol. 2016, 235: 139-49)によって示されているCRISPR-Cas9法である。
別の態様は、低分子干渉RNA(siRNA)を使用して宿主細胞をトランスフェクトし、当該宿主細胞によって内因的に発現される標的タンパク質をコードするmRNAを標的化することによる、標的mRNAの分解に関する。
「遺伝子発現」との用語は、本明細書で使用される場合、mRNAへのDNA転写、mRNAプロセシング、非コードmRNAの成熟、mRNA核外輸送、翻訳、タンパク質フォールディング及び/又はタンパク質輸送からなる群より選択される少なくとも1つの工程を包含することを意味する。
遺伝子の遺伝子発現は、遺伝子発現に直接干渉する方法によって阻害又は低減されてもよく、この方法は、DNA転写の阻害若しくは低減(例えば、特定プロモーターに関連したリプレッサーの使用による、所定のプロモーターの部位特異的変異導入による、プロモーター交換による)、又は翻訳の阻害若しくは低減(例えば、RNAiによって誘導された転写後遺伝子サイレンシングによる)を含むがこれらに限定されない。活性の低減した、機能不全の又は不活性な遺伝子産物の発現は、例えば、コード遺伝子内の部位特異的又はランダム変異導入、挿入又は欠失により達成することができる。
遺伝子産物の活性の阻害又は低減は、例えば、タンパク質発現の前又はタンパク質発現と同時に、それぞれの酵素に対するインヒビターを投与するか又はこれとインキュベーションすることによって達成することができる。そのようなインヒビターの例には、阻害ペプチド、抗体、アプタマー、融合タンパク質若しくは当該酵素に対する抗体ミメティック、又はそのリガンド若しくは受容体、又は阻害性の、ペプチド若しくは核酸、又は同様の結合活性を有する小分子が含まれるが、これらに限定されない。酵素を阻害する他の方法は、培地中の酵素の特異的補因子、例えば、PAM特異的イオン補因子である銅(例えば、CuSOの形態)、PAMに対する電子供与体として作用するアスコルビン酸塩、酸素分子、カタラーゼ、及び当業者に今日知られているか又は将来発見される他の特異的補因子の低減である。
遺伝子サイレンシング、遺伝子ノックダウン及び遺伝子ノックアウトは、遺伝子改変によって、又はmRNA転写物若しくは遺伝子のいずれかに相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた処理によって、遺伝子の発現を低減させる手法を意味する。DNAの遺伝子改変が行われる場合、結果はノックダウン又はノックアウト生物である。遺伝子発現の変化が、mRNAに結合しているか又は遺伝子に一時的に結合しているオリゴヌクレオチドによって引き起こされる場合、これは、染色体DNAの改変を伴わない遺伝子発現の一時的変化となり、一過性ノックダウンと呼ばれる。
上記用語によっても包含される一過性ノックダウンにおいて、このオリゴヌクレオチドの活性遺伝子又はその転写物への結合は、転写の阻止(遺伝子結合の場合)、mRNA転写物の分解(例えば、低分子干渉RNA(siRNA)又はRNase-H依存性アンチセンスによる)、又はmRNA翻訳、プレmRNAスプライシング部位若しくは他の機能的RNA、例えば、miRNAの成熟のために使用されるヌクレアーゼ切断部位のいずれかの阻止(例えば、モルフォリノオリゴ又は他のRNase-H非依存性アンチセンスによる)によって発現の低下を引き起こす。他のアプローチは、shRNA(RNA干渉を介して遺伝子発現をサイレンシングするために使用することができるタイトなヘアピンターンを形成するRNAの配列である、低分子ヘアピンRNA)、esiRNA(長い二本鎖RNA(dsRNA)のエンドリボヌクレアーゼによる切断から生じるsiRNAオリゴの混合物である、エンドリボヌクレアーゼ調製siRNA)、又はRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)の活性化の使用を含む。
遺伝子サイレンシング、ノックダウン又はノックアウトを実施するための他のアプローチは、それぞれの文献から当業者に公知であり、本発明との関係におけるそれらの適用は定型的であると考えられている。遺伝子ノックアウトは、遺伝子の発現を完全にブロックする、すなわち、それぞれの遺伝子を無効化するか、又は除去する手法を意味する。この目的を達成する方法論的アプローチは多様であり、当業者に公知である。例としては、所与の遺伝子に対してドミナントネガティブである変異体の産生が挙げられる。このような変異体は、部位特異的変異導入(例えば、欠失、部分的欠失、挿入又は核酸置換)によって、好適なトランスポゾンの使用によって、又はそれぞれの文献から当業者に公知である他のアプローチによって産生することができ、したがって、本発明との関係におけるその適用は定型的であると考えられる。一例としては、標的化されたジンクフィンガーヌクレアーゼの使用によるノックアウトが挙げられる。それぞれのキットは、「CompoZR knockout ZFN」としてSigma Aldrichによって提供されている。別のアプローチは、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用を包含する。
ドミナントネガティブ構築物の送達は、例えば、トランスフェクションによる、機能不全の酵素をコードする配列の導入を含む。当該コード配列は、機能不全の酵素の遺伝子発現が野生型酵素の生来の発現を凌駕し、ひいてはそれぞれの酵素活性の有効な生理学的欠陥をもたらすように、強力なプロモーターに機能的に結合されている。
条件付き遺伝子ノックアウトは、組織特異的又は時間特異的に遺伝子発現を阻止することを可能にする。これは、例えば、目的遺伝子の近くにloxP部位と呼ばれる短い配列を導入することによって行われる。また、他のアプローチは、それぞれの文献から当業者に公知であり、本発明との関係におけるそれらの適用は定型的であると考えられている。
1つの他のアプローチは、機能不全の遺伝子産物又は活性の低減した遺伝子産物をもたらし得る遺伝子変質である。このアプローチは、フレームシフト変異、ナンセンス変異(すなわち、未成熟終止コドンの導入)、又は全遺伝子産物を機能不全にするか、若しくは活性の低減を引き起こすアミノ酸置換をもたらす変異の導入を含む。このような遺伝子変質は、例えば、非特異的(ランダム)変異導入又は部位特異的変異導入のいずれかの変異導入(例えば、欠失、部分的欠失、挿入又は核酸置換)によって引き起こすことができる。遺伝子サイレンシング、遺伝子ノックダウン、遺伝子ノックアウト、ドミナントネガティブ構築物の送達、条件付き遺伝子ノックアウト、及び/又は遺伝子変質の実際の適用を記載するプロトコルは、当業者にとって一般に入手可能であり、当業者の定型業務の範囲内である。したがって、本明細書において提供される技術的教示は、遺伝子産物の遺伝子発現の阻害若しくは低減、又は機能不全の若しくは不活性の遺伝子産物の発現、又は活性の低減をもたらす全ての想定される方法に関して完全に実施可能である。
本明細書に記載の遺伝子改変は、例えば、J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (2001)に記載されているような、当該技術分野で公知のツール、方法及び手法を採用してもよい。
「操作可能に連結された」との用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上のヌクレオチド配列の機能が、当該核酸分子上に存在する少なくとも1つの他のヌクレオチド配列によって影響を受けるように、単一の核酸分子、例えば、ベクター又は発現カセット上のヌクレオチド配列が関連付けられていることを意味する。例えば、プロモーターは、組換え遺伝子のコード配列の発現をもたらすことができるとき、そのコード配列と操作可能に連結されている。更なる例として、シグナルペプチドをコードする核酸は、タンパク質を、分泌形態、例えば、成熟タンパク質のプレフォーム又は成熟タンパク質の形態で発現することができるとき、POIをコードする核酸配列に操作可能に連結されている。具体的には、互いに操作可能に連結されたそのような核酸は、直ちに、すなわち、シグナルペプチドをコードする核酸とPOIをコードする核酸配列との間に更なる要素又は核酸配列を伴わずに連結されていてもよい。
プロモーター配列は、典型的には、プロモーターがコード配列の転写を制御する場合、コード配列に操作可能に連結されていると理解される。プロモーター配列がコード配列と天然に関連付けられていない場合、その転写は、天然(野生型)の細胞においてプロモーターによって制御されないか、又はこれらの配列は、異なる連続配列と組み換えられるかのいずれかである。
調節エレメント、例えば、プロモーターに関する「構成的」との用語は、異なる培地又は基質を使用して、異なる細胞培養条件で活性であるエレメントに関する。酵母細胞の構成的プロモーターの中でも、特にGAP及びTEFプロモーターは強力であり、組換えタンパク質産生に有用であると評されてきた。
プロモーターは、誘導の必要も抑制の可能性もなく発現を制御することができる場合、構成的プロモーターとして特に理解される。したがって、あるレベルで連続的かつ安定した発現がある。好ましくは、プロモーターは、宿主細胞の全ての増殖期又は増殖速度で高いプロモーター強度を有する。
誘導性又は抑制性の調節エレメント、例えば、プロモーターに関して「調節可能な」との用語は、流加戦略にしたがって、過剰量の物質(例えば、細胞培養培地中の栄養分)の存在下、例えば回分培養の増殖期において、宿主細胞中で抑制され、例えば産生期において(例えば栄養分の量を低減させる際、又は補充基質を供給する際)、強い活性を誘導するように抑制解除されるエレメントに関する。調節エレメントは、エレメントが細胞培養添加剤の添加なしでは不活性であり、そのような添加剤の存在下では活性であるように、調節可能にデザインすることもできる。したがって、そのような調節エレメントの制御下でのPOIの発現は、そのような添加剤の添加の際に誘導することができる。
「目的タンパク質(POI)」との用語は、本明細書で使用される場合、宿主細胞において組換え技術によって産生されるポリペプチド又はタンパク質を意味する。より具体的には、タンパク質は、宿主細胞中に天然に存在しないポリペプチド、すなわち異種タンパク質であってもよく、あるいは宿主細胞に自生のもの、すなわち宿主細胞に相同なタンパク質であってもよいが、例えば、POIをコードする核酸配列を含有する自己複製ベクターによる形質転換によって、又はPOIをコードする核酸配列の1つ以上のコピーの宿主細胞のゲノムへの組換え技術による組込みの際、又はPOIをコードする遺伝子の発現を制御する1つ以上の調節配列、例えばプロモーター配列の組換え改変によって産生される。場合によっては、POIとの用語は、本明細書で使用される場合、組換え発現させたタンパク質によって媒介される、宿主細胞の任意の代謝産物も意味する。
「足場」との用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合分子の作製のための出発点として機能する、サイズ、構造及び起源の異なる、コンパクトで安定に折り畳まれたタンパク質の広範囲な群を表す。抗体(免疫グロブリン)の構造−機能関係に触発されて、そのような代替的タンパク質の足場は、所定の(生体)分子標的の密接かつ特異的な認識のために再形成することができる相互作用部位を支持する、強固で保存された構造骨格を提供する。
親ヌクレオチド又はアミノ酸配列と比較した場合の、変異体、ホモログ又はオルソログの「配列同一性」との用語は、2以上の配列の同一性の程度を示す。2以上のアミノ酸配列は、100%までのある程度まで、対応する位置に同じ又は保存されたアミノ酸残基を有し得る。2以上のヌクレオチド配列は、100%までのある程度まで、対応する位置に同じ又は保存された塩基対を有し得る。
配列類似性検索は、過剰な(例えば、少なくとも50%の)配列同一性を有するホモログを同定するための効果的かつ信頼性のある戦略である。頻繁に使用される配列類似性検索ツールは、例えば、BLAST、FASTA及びHMMERである。
配列類似性検索は、過剰な類似性及び共通の祖先を反映する統計的に有意な類似性を検出することによって、そのような相同なタンパク質又は遺伝子を同定することができる。ホモログは、異なる生物における同じタンパク質、例えば、異なる生物又は種におけるそのようなタンパク質の変異体として本明細書において理解されるオルソログを包含し得る。
異なる生物又は種、特に同じ属の異なる生物又は種の同じタンパク質のホモログ又はオルソログ配列は、典型的には、少なくとも約50%の配列同一性、好ましくは少なくとも約60%の同一性、より好ましくは少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、より好ましくは少なくとも約90%の同一性、より好ましくは少なくとも約95%の同一性を有する。
配列番号1〜8で示される配列によって特徴付けられるHCPは、コマガタエラ・ファフィのものである。他の真核宿主細胞には相同配列が存在することはよく理解されている。例えば、酵母細胞は、新しい属であるコマガタエラ属に再分類され、コマガタエラ・パストリス、コマガタエラ・ファフィ及びコマガタエラ・シュードパストリスの3つの種に分けられている、ピキア・パストリスの酵母において特に、それぞれの相同配列を含む。更なる相同配列は、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ又はヤロウィア・リポリティカにおいて見出される。
HCP1 (コマガタエラ・ファフィ):F2QXM5: NCBIによると、このタンパク質は凝集素のファミリーに属するゾナドヘシンであるが、blast解析においても、サブチリシン様セリンプロテーゼSUB2に対して限定された相同性が呈されている。ほとんどのデータベースにおいて、このタンパク質は、依然として、特徴付けられていないタンパク質として指定されている。63kDa、587AAs。
コマガタエラ・パストリスにおけるそれぞれの相同配列は、本明細書においてHCP1ホモログといい、配列番号20で示されるアミノ酸配列(NCBIアクセッション番号:BA75_00021T0 [Komagataella pastoris]、GenBank:ANZ74151.1)を含むか又はそれのみからなるアミノ酸配列によって特徴付けられる。
HCP2(コマガタエラ・ファフィ):F2QNG1: SCW10は、グルカナーゼと類似性を有する細胞壁タンパク質である。これは、炭水化物代謝過程に関与し、ヒドロラーゼ活性を有する。サッカロマイセス・セレビシエにおけるホモログは、交配中に接合する役割を果たしてもよい。
コマガタエラ・パストリスにおけるそれぞれの相同配列は、本明細書においてHCP2ホモログといい、配列番号21で示されるアミノ酸配列(NCBIアクセッション番号:BA75_01624T0 [Komagataella pastoris]、GenBank:ANZ73790.1)を含むか又はそれのみからなるアミノ酸配列によって特徴付けられる。
HCP3 (コマガタエラ・ファフィ):F2QQT7: SUN4はグルカナーゼと類似性を有する別のタンパク質である。このタンパク質は、サッカロマイセス・セレビシエにおけるホモログについてのデータによると、DNA複製及び/又は細胞壁隔壁形成に関与し得る、SUNファミリー(Sim1p、Uth1p、Nca3p、Sun4p)のタンパク質である。45kDa、431AAs。
コマガタエラ・パストリスにおけるそれぞれの相同配列は、本明細書においてHCP3ホモログといい、配列番号22で示されるアミノ酸配列(NCBIアクセッション番号:BA75_01931T0 [Komagataella pastoris]、GenBank:ANZ76017.1)を含むか又はそれのみからなるアミノ酸配列によって特徴付けられる。
HCP4 (コマガタエラ・ファフィ):F2QXH5: EPX1、又は細胞外タンパク質1。このタンパク質には明確な機能は割り当てられていないが、それぞれの欠失株(Δepx1)が産生され、細胞壁損傷剤Calcofluor white及びCongo redに対して野生型よりも感受性が高いことが見出され、Epx1は細胞壁に対して保護的役割を有し得ることを明らかにした。
コマガタエラ・パストリスにおけるそれぞれの相同配列は、本明細書においてHCP4ホモログといい、配列番号23で示されるアミノ酸配列(NCBIアクセッション番号:BA75_00070T0 [Komagataella pastoris]、GenBank:ANZ73364.1)を含むか又はそれのみからなるアミノ酸配列によって特徴付けられる。
コマガタエラ・ファフィ以外の酵母において見出される、本明細書に記載のHCPの例示的な更なる相同配列は以下のとおりである。
サッカロマイセス・セレビシエにおけるHCP2の相同配列は、本明細書においてHCP2ホモログといい、配列番号24で示されるアミノ酸配列(NCBIアクセッション番号:SCW10 [Saccharomyces cerevisiae]、GenBank:KZV09161.1;>SCW10 YMR305C SGDID:S000004921)を含むか又はそれのみからなるアミノ酸配列によって特徴付けられる。
サッカロマイセス・セレビシエにおけるHCP2の更なる相同配列は、本明細書においてHCP2ホモログといい、配列番号25で示されるアミノ酸配列(NCBIアクセッション番号:SCW4 [Saccharomyces cerevisiae]、GenBank:KZV11513.1;>SCW4 YGR279C SGDID:S000003511)を含むか又はそれのみからなるアミノ酸配列によって特徴付けられる。
サッカロマイセス・セレビシエにおけるHCP3の相同配列は、本明細書においてHCP3ホモログといい、配列番号26で示されるアミノ酸配列(NCBIアクセッション番号:SUN4 [Saccharomyces cerevisiae];GenBank:CAA95939.1;>SUN4 YNL066W SGDID:S000005010)を含むか又はそれのみからなるアミノ酸配列によって特徴付けられる。
本明細書に記載のアミノ酸配列、ホモログ及びオルソログに関する、「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を達成するために必要に応じてギャップを導入した後、特定のポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義され、いかなる保存的置換も配列同一性の一部としてみなさない。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。
本明細書に記載の目的のため、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、以下の代表的なパラメータに設定されたblastpを用いて、NCBI BLAST program version 2.2.29(Jan-06-2014)を使用して決定される。Program: blastp, Word size: 6, Expect value: 10, Hitlist size: 100, Gapcosts: 11.1, Matrix: BLOSUM62, Filter string: F, Genetic Code: 1, Window Size: 40, Threshold: 21, Composition-based stats: 2。
ヌクレオチド配列、例えば、プロモーター又は遺伝子のヌクレオチド配列に関する「パーセント(%)同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を達成するために必要に応じてギャップを導入した後、DNA配列中のヌクレオチドと同一である、候補DNA配列中のヌクレオチドのパーセンテージとして定義され、いかなる保存的置換も配列同一性の一部としてみなさない。パーセントヌクレオチド配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当該技術分野の技術の範囲内である様々な方法で、例えば、公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。
「単離された」又は「単離」との用語は、POIに関して本明細書で使用される場合、当然に付随するであろう環境、特に細胞培養上清から、「精製された」又は「実質的に純粋な」形態で存在するように十分に分離された化合物に関する。しかし、「単離された」は、他の化合物若しくは材料との人工若しくは合成混合物、又は、例えば不完全な精製のために存在し得る、基本的な活性に干渉しない不純物の存在の排除を必ずしも意味しない。単離された化合物は、更に調合してその調製物を作製することができ、そしてなお実用的な目的のために単離することができる(例えば、POIは、診断又は治療において使用される場合、薬学的に許容可能なキャリア又は賦形剤と混合することができる)。
「精製された」との用語は、本明細書で使用される場合、化合物(例えば、POI)を少なくとも50%(mol/mol)、好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%又は95%含む調製物に関する。純度は、化合物に適切な方法(例えば、クロマトグラフィー法、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、HPLC分析など)によって測定される。本明細書に記載の、単離され、精製されたPOIは、細胞培養上清を精製して不純物を低減することによって得られる。
組換えポリペプチド又はタンパク質産物を得るための単離及び精製方法としては、溶解度の差を利用する方法、例えば、塩析及び溶媒沈殿、分子量の差を利用する方法、例えば、限外ろ過及びゲル電気泳動、電荷の差を利用する方法、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、特異的親和性を利用する方法、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性の差を利用する方法、例えば、逆相高速液体クロマトグラフィー、並びに、等電点の差を利用する方法、例えば、等電点電気泳動などの方法が使用され得る。
以下の標準的な方法が好ましい:マイクロフィルター法、タンジェンシャルフロー・フィルター(TFF)又は遠心分離による細胞(デブリ)の分離及び洗浄、沈殿又は熱処理によるPOIの精製、酵素消化によるPOIの活性化、クロマトグラフィー、例えば、イオン交換(IEX)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除(SEC)又はHPLCクロマトグラフィーによるPOIの精製、限外ろ過工程によるPOIの濃縮沈殿及び洗浄。
高度に精製された産物は、汚染タンパク質、特に汚染HCPを本質的に含まず、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更に少なくとも98%、100%までの純度を有する。精製された産物は、細胞培養上清の精製によってか、又は細胞デブリから得られる。
単離及び精製されたPOIは、従来の方法、例えば、ウェスタンブロット、HPLC、活性アッセイ、又はELISAによって同定することができる。
「組換え」との用語は、本明細書で使用される場合、「遺伝子工学によって調製されること、又は遺伝子工学の結果であること」を意味するものとする。組換え宿主は、1つ以上のヌクレオチド又はヌクレオチド配列を欠失及び/又は不活性化するように設計されてもよく、特に、宿主にとって外来のヌクレオチド配列を使用して、組換え核酸配列を含有する発現ベクター又はクローニングベクターを特に含んでもよい。組換えタンパク質は、宿主においてそれぞれの組換え核酸を発現させることによって産生される。POIに関する「組換え」との用語は、本明細書で使用される場合、組換え手段によって調製、発現、作製又は単離されたPOI、例えば、POIを発現するように形質転換された宿主細胞から単離されたPOIを含む。本発明にしたがって、当業者の範囲内の、従来の分子生物学、微生物学及び組換えDNA技術が使用され得る。このような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Maniatis, Fritsch & Sambrook, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, (1982)を参照のこと。
前述の説明は、以下の実施例を参照してより完全に理解されるであろう。しかしながら、このような実施例は、本発明の1つ以上の態様を実施する方法を単に代表するものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1:ピキア・パストリスの宿主細胞タンパク質不純物の同定
POIとして組換えタンパク質を産生するピキア・パストリス細胞(CBS2612株)に由来する宿主細胞タンパク質(HCP)不純物を同定するために、細胞培養上清試料を、以下に記載されるように、HCP組成、含量及び同一性について分析した。異なるシグナルペプチド(POI1:国際公開第2014/067926号の配列番号12、POI2及びPOI3:α交配因子のシグナルペプチド(例えば、米国特許第9534039号明細書の配列番号1))を含む、2つの異なる発現システム:pG1-3(国際公開第2017/021541号の配列番号38)及びpAOX1(例えばStrattonら、1998(High Cell-Density Fermentation. In: Higgins D.R., Cregg J.M. (eds) Pichia Protocols. Methods in Molecular Biology, vol 103. Humana Press))を使用して、毎回、表1に示す様々なpH及び温度の発酵条件で、3つの異なるPOIを流加培養により発現させた。各試料を、HCP組成、含量及び同一性について、3回試験した。
レポータータンパク質は3つの異なるタンパク質である。POI1:細菌起源の抗原結合性タンパク質、POI2:人工抗原結合性タンパク質、POI3:ヒト起源の抗原結合性タンパク質。
Figure 2021513370
LC‐MS/MS試料の調製
試料を6.6M グアニジンHCl中で変性させ、TCEPで還元し、分析前にトリプシンで消化した。各試料について3つの複製物を調製した。体積18.5μlの各試料を96ウェルプレートに移した。90μlの0.5M 2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)pH5.5、6.6M グアニジンHCl、10mM トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を各複製物に添加した。インキュベーションを50℃で30分間行った。その後、全ての試料を、ZebaSpin脱塩プレート(Thermo)を使用して、製造者の説明書にしたがって、0.1M 3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-モルフォリンプロパンスルホン酸 pH7.3、2M 尿素、2mM CaCl、1mM TCEPに緩衝液交換した。質量分析グレードのトリプシン(Promega)で消化を行った。緩衝液交換後の各試料のアリコート75μlに、25μlのトリプシン消化溶液(4mg/mlトリプシン、0.1M MOPS pH7.3、2M 尿素、2mM CaCl、1mM TCEPを添加及び混合した。試料を30±2℃で一晩インキュベートした。2%(最終)トリフルオロ酢酸(TFA)の添加によって消化をクエンチした。
LC‐MS/MSデータ収集
Thermo Fusion Tribrid Q-OT-qIT(Quadrupole-Orbitrap-Linear Ion Trap)質量分析器に連結されたDionex RSSLnano nanoLCシステムを使用してデータを収集した。各試料について体積1μlのトリプシンペプチドを、水:アセトニトリル(98:2)及び0.05%TFAからなるローディングバッファーで12μl/分で3分間、Acclaim PepMap100C18 5μm、100Å、内径300μm×5mm Nano-Trapカラム(Thermo)に注入した。3分後、nanoLCフローを、トラップカラムを通して分析カラム(EasySpray PepMap C18 2μm、100Å、75μm×25cm(Thermo))上に逆方向に向けた。水中の0.1%ギ酸とアセトニトリル:水(80:20)中の0.08%ギ酸との間に直線勾配を適用した。
ソースイオン化設定は、2500Vのスプレー電圧及び275℃のトランスファーチューブ温度での収集の間、静的であった。質量分析器を、200〜2000m/zの走査範囲、2.0e5のAGCターゲット及び50msの最大注入時間で、120,000FWHMの公称分解能におけるオービトラップでMSデータを収集するためにポジティブイオン化モードに構成した。別のイオン源から作製されたフルオランテンイオンロックマスに基づく内部標準を使用して、データを質量補正した。z=2〜z=8の電荷状態のみをMSフラグメンテーションのために選択した。
HCD及びETD法を含むデータ依存決定法を使用して、リニアイオントラップでMSフラグメンテーションを行った。HCDは、28%の衝突エネルギー、1.0e4のAGCターゲット、及び「通常」トラップ走査速度で100msの最大走査時間で行った。ETDは、15%の補助活性化衝突エネルギー、1.0e4のAGCターゲット、及び「通常」トラップ走査速度で100msの最大走査時間で行った。
質量分析データ分析
MSフラグメンテーションに基づくタンパク質同定を、PEAKS Studioソフトウェアを使用して行った。清澄化細胞培養上清(CCCS)についてのみタンパク質同定を行った。ペプチドレベルでの偽発見率は、デコイ融合法(Zhang, J, et al., "PEAKS DB: de novo sequencing assisted database search for sensitive and accurate peptide identification", Mol. Cell Proteomics 4(11), 111 (2012))を用いて、<0.5%に制御した。少なくとも2つの特異的ペプチドが各タンパク質の割り当てに必要であった。質量許容差は、親イオンについては<5ppmで、フラグメントイオンについては<0.3Daで特定した。
作成されたLC−MS/MSデータを、3つのPOIのそれぞれについて別々に分析して、処理中のデータのより良好なアラインメントを可能にした。UniProtデータベースからのコマガタエラ・ファフィ(ATCC76273/CBS7435/CECT11047/NRRL Y−11430/Wegner21−1)(酵母)(ピキア・パストリス)のプロテオームに対してデータベース検索を行い、PEAKS studio7を用いて存在するタンパク質を同定した。Progenesis QI for Proteomicsを使用して、全ての試料を処理した。PEAKSからの同定は、定量化のために実験の間ずっとProgenesisにインポートした。各POIのデータを別個に処理した。Hi5法を用いて定量化を行った。発現プロファイルの有意な変化(q値<0.01)及び倍率変化>2を呈するタンパク質を、発現プロファイルの類似性について評価した。
全HCPは以下のように決定される。同定された各タンパク質について、そのタンパク質に由来する5つの最も強いペプチドシグナルのピーク面積を決定し、次いでまとめて加算する。得られた数により、モルベースでのタンパク質の存在量の比較が可能となる(Silva et al., 2006: "Absolute quantification of proteins by LCMSE: a virtue of parallel MS acquisition." Mol Cell Proteomics 5(1): 144-56.)。試験試料中の個々のHCPの全てについてこのようにして得られた値を合計した。得られた合計値は、試験試料中の全HCPの量(mol)に正比例する。したがって、HCPにおける百分率又は倍率変化の差に関して試料間で比較を行うことができる。
結果
pAOX1発現系を用いた試料は、メタノール代謝に特異的なタンパク質(アルコールオキシダーゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ)、並びにメタノール代謝中に生成される活性酸素種の代謝(スーパーオキシドジスムターゼ、ペルオキシレドキシンPMP、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、チオレドキシン)の有意な増加を示した。試料7、8及び10と比較して、試料9及び11の高力価と相関する更なる変化がこの実験内で観察された。これらの変化には、タンパク質、例えば、タンパク質フォールディングに関与するATPase、GPIアンカー細胞表面糖タンパク質、ペプチジル-プロピルシストランスイソメラーゼ及び翻訳伸長因子EF-1γ(コマガタエラ・ファフィ)(C4R6E8)と相同性を示す特徴付けられていないタンパク質F2QUJ0が含まれていた。pG1−3発現系を使用した試料は、炭水化物のプロセシングに関与する酵素(グルカナーゼ、グルコシダーゼ)及び構造タンパク質の発現の増加を呈した。様々な発酵条件(温度、pH)は、HCP発現プロファイルの変化をもたらすことが示され、例えば、高い温度及びpHで発酵を行った場合にシャペロンタンパク質HSP90の量の増加が観察された。
驚くべきことに、わずか少数の異なるHCPが、(上記のような)異なる発現条件下で異なるPOIを発現する全てのピキア・パストリス細胞培養上清中に存在する最も豊富なタンパク質を構成することが見出された。
同定された最も豊富なHCPを以下の表2に要約する。
POI3は、試料7及び8においてAOX1プロモーターの制御下で発現され、試料9、10及び11においてG1.3プロモーターの制御下で発現された。2つの誘導系のうちの1つに特異的ないくつかのHCPを観察することができたが、それらの存在量は、主要なHCP1と比較して無視できる程度であり、HCP2及び3の存在量よりも少ない程度であった。
Figure 2021513370
合わせて、全HCP含量の約56〜81%、平均して全HCP含量の約68%を表しているHCP1及びHCP2は、実験に依存していた。興味深いことに、Heissら(Appl Microbiol Biotechnol. 2013 Feb; 97(3): 1241-9. doi:10.1007/s00253-012-4260-4. Epub 2012 Jul 17)が示したEpx1(F2QXH5)タンパク質は、HCP1、HCP2、又はHCP3の単独又は組合せよりもはるかに少ないこと、すなわち、ピキア・パストリスの全HCPの3%を占めることが見出された。
実施例2:ピキア属におけるHCP1ノックアウト株の作製
HCP1(F2QXM5:配列番号1及び2により示される)は、実施例1の宿主細胞タンパク質同定分析において同定され、異なる発現系及び発酵条件を用いて3つの異なるPOIを発現する異なるピキア・パストリス株における全HCP負荷の26〜64%、平均して約50%を占めた(実施例1)。
ピキア・パストリス(CBS2612株)におけるHCP1をコードする遺伝子の破壊のために、Heissら(Appl Microbiol Biotechnol. 2013; 97(3): 1241-9)が示したスプリットマーカーカセットアプローチを使用した。
HCP1をコードする遺伝子の破壊のために使用したプライマーを以下の表3に列挙する(ノックアウト標的あたり2つの重複するスプリットマーカーカセットを使用する)。
Figure 2021513370
A_フォワード/A_リバース、B_フォワード/B_リバース、C_フォワード/C_リバース、D_フォワード/D_リバースのプライマー対を用いて、PCR(Q5 High-Fidelity 2X Master Mix, New England Biolabs)によりフラグメントA、B、C及びDを増幅した。HCP1をコードする遺伝子をノックアウトするためのフラグメントAを、(HCP1をコードする遺伝子の)それぞれのATGの5プライム方向の1500bpから開始して、ATGの5プライム方向の1bpまで、ピキア・パストリスのゲノムDNAから増幅する。HCP1をコードする遺伝子をノックアウトするためのフラグメントDを、(標的遺伝子の)それぞれのATGの3プライム方向の500bpから開始して、ATGの3プライム方向の2000bpまで、ピキア・パストリスのゲノムDNAから増幅する。フラグメントBは、KanMX選択マーカーカセットの最初の3分の2からなり、KanMXカセットベクターDNA鋳型を含むプラスミドから増幅される。フラグメントCは、KanMX選択マーカーカセットの最後の3分の2からなり、また、KanMXカセット’ベクターDNA鋳型を含むプラスミドから増幅される。フラグメントA及びBを、A_フォワード及びB_リバースのプライマーを使用してオーバーラップPCRにより、合わせてアニールする(フラグメントAB)。フラグメントC及びDを、C_フォワード及びD_リバースのプライマーを使用してオーバーラップPCRにより、合わせてアニールする(フラグメントCD)。
ノックアウト株を作製するために、4つの宿主株(KO株1:HCP1ノックアウトを含むCBS2612株(CBS2612 KO HCP1);KO株2:POI1をコードする異種遺伝子を含みHCP1ノックアウトを含むCBS2612株(CBS2612 KO HCP1+POI1);KO株3:POI2をコードする異種遺伝子を含みHCP1ノックアウトを含むCBS2612株(CBS2612 KO HCP1+POI2);及びKO株4:POI3をコードする異種遺伝子を含みHCP1ノックアウトを含むCBS2612株(CBS2612 KO HCP1+POI3))を、合計0.5μgのフラグメントAB及びCDで形質転換した。500μg/mLのジェネティシン(Geneticin)を含有するYPD寒天プレート上で細胞を選択した。ポジティブノックアウトクローンを、コントロール_フォワード(フラグメントAの上流に結合する)及びコントロール_リバース(フラグメントDの下流に結合する)のプライマー対を使用してPCRにより確認した。開始コドン付近の領域をKanMXカセットで置換することにより、ポジティブノックアウト株のPCR産物バンドは、野生型配列のものよりも大きい(図2)。EcoR1又はNco1のいずれかを用いて、PCR産物に対し制限酵素消化処理を行って、PCR増幅産物を更に検査した。ポジティブノックアウト株のPCR産物は、EcoR1によっては切断されるべきでないが(4602bpのフラグメント)、Nco1によって消化されるはずである(1955bp及び2647bpのフラグメント)。
HCP1ノックアウト株の全宿主細胞タンパク質(HCP)含量を分析し、インタクトなHCP1遺伝子座を含む株と比較するために、POI3を発現するCBS2612株(CBS2612 POI3)及びHCP3ノックアウトも更に含む株(CBS2612 KO HCP1+POI3)を、流加培養で培養し、それぞれの培養上清の全HCPは、プロモーターpG1.3及びシグナルペプチドaMF_EAEA(テトラペプチドEAEAを有するサッカロマイセス・セレビシエのα交配因子 シグナルペプチド、テトラペプチドEAEAはPOI3産生のための配列番号19として示される)を使用する実施例1に概説した通りであった。分析結果を表4に示す。
Figure 2021513370
表4から分かるように、HCP1をコードする遺伝子のノックアウトを含む株は、HCP1タンパク質をコードする遺伝子を含むそれぞれの株と比較して、約50%(mol/mol)少ない総量のHCPを生成した。
実施例3:ピキア属HCP1ノックアウト株における複数の組換えタンパク質発現株の作製
HCP1をノックアウトする際のHCPの総量の強い低減を更に示すために、更なる株を作製した。実施例2とは対照的に、先ず、ノックアウト株を作製し、次いで、この株を、目的タンパク質を発現する3つのプラスミドのうちの1つで形質転換した。
ピキア・パストリス(CBS2612株)の配列番号2において、HCP1をコードする遺伝子の破壊のために、実施例2に記載されるのと同じアプローチを使用した。HCP1KO株を、4つの異なるPCR反応によって確認した(図3)。PCR1(コントロールフォワード及びコントロールリバース2のプライマー対を用いた、表3)を用いて、正しいゲノム位置におけるノックアウトカセットの組込みの5’側を確認し、野生型株において増幅産物を与えるべきではないが、HCP1KO株については1687bpの増幅産物が得られるべきである。PCR2(コントロールフォワード2及びコントロールリバースのプライマー対を用いた)を用いて、正しいゲノム位置におけるノックアウトカセットの組込みの3’側を確認し、野生型株において増幅産物を与えるべきではないが、HCP1KO株については1723bpの増幅産物が得られるべきである。PCR3(コントロールフォワード3及びコントロールリバースのプライマー対を用いた)を用いて、HCP1ゲノム位置を確認し、野生型株において2172bpの増幅産物を与えるはずだが、HCP1KO株について増幅産物は得られないはずである。PCR4(コントロールフォワード4及びコントロールリバース3のプライマー対を用いた)を使用して、HCP1遺伝子のノックアウトフラグメントがゲノム中のどこか他の場所に再び組み込まれていないことを確認する。野生型株では115bpの増幅産物が得られるはずであるが、HCP1KO株について増幅産物は得られないはずである。
第2の工程において、野生型(CBS2612)株及びHCP1KO株の両者を、G1−3プロモーター(国際公開第2017/021541号の配列番号38)の制御下で、POI1、POI2又はPOI3をそれぞれコードする3つのプラスミドのうちの1つを1〜5μgで形質転換した。100〜1000μg/mLのゼオシン(Zeocin)を含有するYPD寒天プレート上で細胞を選択した。ポジティブクローンを、少し適応させて、すなわち培地をMedia Development Kit(M-KIT-100, m2pLabs, DE)からの培地に交換して、国際公開第2017/021541号に記載されているように、発現について分析した。更に、遺伝子コピー数(GCN)を、当業者に公知の方法(例えば、Abad et al., 2010)を使用して分析した。野生型及びHCP1KOバックグラウンドにおける類似のPOI力価及びGCNに基づいて、8つの株を選択した。
実施例4:実施例3の株の培養上清における宿主細胞タンパク質不純物の特徴付け
8つの選択された株(実施例3)に由来するHCP不純物を特徴付けるために、株を、実施例1に記載されるような流加発酵で培養した。発酵終了試料をHCP同定に使用した。
試料を調製し、MSデータを収集し、実施例1に記載されたワークフローに軽微な変更を加えたものと同様のワークフローを使用してデータを分析した。分析は以下のように行った。
LC‐MS/MS試料の調製
試料を6.6M グアニジンHCl中で変性させ、TCEPで還元し、分析前にトリプシンで消化した。各試料について3つの複製物を調製した。体積60μlの各試料を96ウェルプレートに移した。90μlの0.5M 2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)pH5.5、6.6M グアニジンHCl、10mM トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を各複製物に添加した。インキュベーションを50℃で30分間行った。その後、全ての試料を、ZebaSpin脱塩プレート(Thermo)を使用して、製造者の説明書にしたがって、0.1M 3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-モルフォリンプロパンスルホン酸)pH7.3、2M 尿素、2mM CaCl、1mM TCEPに緩衝液交換した。質量分析グレードのトリプシン(Promega)で消化を行った。緩衝液交換後の各試料のアリコート50μlに、16.6μlのトリプシン消化溶液(4mg/mlトリプシン、0.1M MOPS pH7.3、2M 尿素、2mM CaCl、1mM TCEPを添加及び混合した。試料を30±2℃で一晩インキュベートした。2%(最終)トリフルオロ酢酸(TFA)の添加によって消化をクエンチした。試料を消化緩衝液で1:10に希釈した。
LC‐MS/MSデータ収集
Thermo Fusion Tribrid Q-OT-qIT(Quadrupole-Orbitrap-Linear Ion Trap)質量分析器に連結されたDionex RSSLnano nanoLCシステムを使用してデータを収集した。各試料について体積1μlのトリプシンペプチドを、水:アセトニトリル(98:2)及び0.05%TFAからなるローディングバッファーで12μl/分で3分間、Acclaim PepMap100C18 5μm、100Å、内径300μm×5mm Nano-Trapカラム(Thermo)に注入した。3分後、nanoLCフローを、トラップカラムを通して分析カラム(EasySpray PepMap C18 2μm、100Å、75μm×25cm(Thermo))上に逆方向に向けた。水中の0.1%ギ酸とアセトニトリル:水(80:20)中の0.08%ギ酸との間に直線勾配を適用した。ソースイオン化設定は、2500Vのスプレー電圧及び275℃のトランスファーチューブ温度での収集の間、静的であった。質量分析器を、350〜1500m/zの走査範囲、5.0e5のAGCターゲット及び150msの最大注入時間で、120,000FWHMの公称分解能におけるオービトラップでMSデータを収集するためにポジティブイオン化モードに構成した。別のイオン源から生成されたフルオランテンイオンロックマスに基づく内部標準を使用して、データを質量補正した。z=2〜z=8の電荷状態のみをMSフラグメンテーションのために選択した。HCD法を用いたTopNの最も強いデータ依存性モードを使用して、リニアイオントラップでMSフラグメンテーションを行った。HCDは、28%の衝突エネルギー、1.0e4のAGCターゲット、及び「高速」トラップ走査速度で100msの最大走査時間で行った。
質量分析データ分析
MSフラグメンテーションに基づくタンパク質同定を、PEAKS Studioソフトウェアを使用して行った。清澄化細胞培養上清(CCCS)についてのみタンパク質同定を行った。ペプチドレベルでの偽発見率は、デコイ融合法(Zhang, J, et al., "PEAKS DB: de novo sequencing assisted database search for sensitive and accurate peptide identification", Mol. Cell Proteomics 4(11), 111 (2012))を用いて、<0.1%に制御した。少なくとも2つの特異的ペプチドが各タンパク質の割り当てに必要であった。質量許容差は、親イオンについては<5ppmで、フラグメントイオンについては<0.3Daで特定した。作成されたLC−MS/MSデータを、3つのPOIのそれぞれについて別々に分析して、処理中のデータのより良好なアラインメントを可能にした。UniProtデータベースからのコマガタエラ・ファフィ(ATCC76273/CBS7435/CECT11047/NRRL Y−11430/Wegner21−1)(酵母)(ピキア・パストリス)のプロテオームに対してデータベース検索を行い、PEAKS studio7を用いて存在するタンパク質を同定した。Progenesis QI for Proteomicsを使用して、全ての試料を処理した。PEAKSからの同定は、定量化のために実験の間ずっとProgenesisにインポートした。各POIのデータを別個に処理した。Hi3法を用いて定量化を行った。発現プロファイルの有意な変化(p値<0.05)及び倍率変化>2を呈するタンパク質を、発現プロファイルの類似性について評価した。全HCPは以下のように決定される。同定された各タンパク質について、そのタンパク質に由来する3つの最も強いペプチドシグナルのピーク面積を決定し、次いでまとめて加算する。得られた数により、モルベースでのタンパク質の存在量の比較が可能となる(Silva et al., 2006: "Absolute quantification of proteins by LCMSE: a virtue of parallel MS acquisition."
Mol Cell Proteomics 5(1): 144-56)。試験試料中の個々のHCPの全てについてこのようにして得られた値を合計した。得られた合計値は、試験試料中の全HCPの量(mol)に正比例する。したがって、HCPにおける百分率又は倍率変化の差に関して試料間で比較を行うことができる。
結果
実施例1に見られるように、非設計株の全HCPプールにおけるHCP1の驚くほど高い存在量が、この実験で確認された(図4)。HCP1は、組換えタンパク質の発現を伴う又は伴わない野生型株の上清中の全HCPの43〜70%を構成する。
野生型株及びHCP1ノックアウト株におけるHCPの総量を比較すると、全HCPにおいて20〜79%の低減が得られた(図5)。POI1を発現する野生型株のHCP1含量は全HCPの40%を超えた一方、全HCPの量は20%しか低減しなかった。これは、この株のバックグラウンドにおける他のHCPのわずかな上方調節に起因する。それにもかかわらず、全ての株について、HCP1のノックアウトは、無細胞培地中の組換え産生タンパク質の不純物プロファイルに対して実質的なプラスの影響を与え、これは予想外であった。

Claims (15)

  1. 異種目的タンパク質(POI)を産生するように設計された真核宿主細胞であって、前記細胞は、第1の宿主細胞タンパク質(HCP1)、第2の宿主細胞タンパク質(HCP2)及び第3の宿主細胞タンパク質(HCP3)からなる群より選択される少なくとも1つの内因性の宿主細胞タンパク質(HCP)の産生を低減するように遺伝子改変され、
    a)HCP1は、前記宿主細胞がコマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)である場合、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含み、又は前記宿主細胞が別の種である場合、前記宿主細胞に対して内因性である前記配列の相同配列を含み、
    b)HCP2は、前記宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号3で示されるアミノ酸配列を含み、又は前記宿主細胞が別の種である場合、前記宿主細胞に対して内因性である前記配列の相同配列を含み、
    c)HCP3は、前記宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号5で示されるアミノ酸配列を含み、又は前記宿主細胞が別の種である場合、前記宿主細胞に対して内因性である前記配列の相同配列を含む、
    真核宿主細胞。
  2. 前記少なくとも1つのHCPはHCP1であり、任意にHCP2及び/又はHCP3である、請求項1に記載の宿主細胞。
  3. 前記細胞は、更なるHCPであるHCP4の産生を低減するように更に遺伝子改変され、
    a)HCP4は、前記宿主細胞がコマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)である場合、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含み、又は前記宿主細胞が別の種である場合、宿主細胞に対して内因性である前記配列の相同配列を含む、請求項1又は2に記載の宿主細胞。
  4. 前記相同配列は、それぞれのアミノ酸配列に対する少なくとも50%の配列同一性により特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  5. 前記宿主細胞は、前記宿主細胞ゲノムの、
    (i)1つ以上の内因性ポリヌクレオチド若しくはその一部の、又は
    (ii)好ましくは、プロモーター、リボソーム結合部位、転写若しくは翻訳の開始及び停止配列、エンハンサー及びアクティベータ配列からなる群より選択される発現制御配列の、
    破壊、置換、欠失又はノックアウトを含む1以上の遺伝子改変によって、遺伝子改変された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  6. 前記少なくとも1つのHCPのいずれかをコードする遺伝子が、前記1以上の遺伝子改変によってノックアウトされている、請求項5に記載の宿主細胞。
  7. 前記少なくとも1つのHCPの量を、好ましくは、前記少なくとも1つのHCPをコードする遺伝子のノックアウトによって、改変を伴わない前記宿主細胞と比較して少なくとも50%(mol/mol)低減するように遺伝子改変された、請求項1〜6のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  8. 前記POIをコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結された1つ以上の調節核酸配列を含む発現カセットを含み、前記操作可能に連結された1つ以上の配列は前記POIをコードする配列と天然には関連付けられていない、請求項1〜7のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  9. 前記POIは、抗原結合タンパク質、治療タンパク質、酵素、ペプチド、タンパク質抗生物質、毒素融合タンパク質、炭水化物−タンパク質コンジュゲート、構造タンパク質、調節タンパク質、ワクチン抗原、成長因子、ホルモン、サイトカイン、プロセス酵素及び代謝酵素からなる群より選択されるペプチド又はタンパク質である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  10. 動物細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、植物細胞、線虫細胞、無脊椎動物細胞、昆虫細胞、軟体動物細胞、前述のいずれかに由来する幹細胞、又は酵母若しくは真菌細胞のいずれか1つである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  11. a)ピキア属(Pichia)、ハンセヌラ属(Hansenula)、コマガタエラ属(Komagataella)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、クルイウェロマイセス属(Kluyveromyces)、カンジダ属(Candida)、オガタエア属(Ogataea)、ヤロウィア属(Yarrowia)及びゲオトリクム属(Geotrichum)からなる群より選択される属の酵母細胞、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、コマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)、コマガタエラ・シュードパストリス(Komagataella pseudopastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、オガタエア・ミヌタ(Ogataea minuta)、クルイウェロマイセス・ラクチス(Kluyveromces lactis)、クルイウェロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromes marxianus)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)若しくはハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、又は
    b)糸状菌類の細胞、例えば、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)若しくはトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  12. 真核宿主細胞において目的タンパク質(POI)を産生する方法であって、
    i)第1の宿主細胞タンパク質(HCP1)、第2の宿主細胞タンパク質(HCP2)及び第3の宿主細胞タンパク質(HCP3)からなる群より選択される少なくとも1つの内因性の宿主細胞タンパク質(HCP)の産生を低減するように前記宿主細胞を遺伝子改変する工程、
    a)HCP1は、前記宿主細胞がコマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)である場合、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含み、又は前記宿主細胞が別の種である場合、前記宿主細胞に対して内因性である前記配列の相同配列を含み、
    b)HCP2は、前記宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号3で示されるアミノ酸配列を含み、又は前記宿主細胞が別の種である場合、前記宿主細胞に対して内因性である前記配列の相同配列を含み、
    c)HCP3は、前記宿主細胞がコマガタエラ・ファフィである場合、配列番号5で示されるアミノ酸配列を含み、又は前記宿主細胞が別の種である場合、前記宿主細胞に対して内因性である前記配列の相同配列を含む、
    ii)前記POIをコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結された1つ以上の調節核酸配列を含む発現カセットを前記宿主細胞に導入する工程、
    iii)前記POIを産生する条件下で前記宿主細胞を培養する工程、及び任意に、
    iv)前記POIを前記細胞培養物から単離する工程、及び任意に
    v)前記POIを精製する工程
    を含む方法。
  13. 前記目的タンパク質(POI)を産生する条件下で請求項1〜11のいずれか1項に記載の宿主細胞を培養することによる、POIを産生する方法。
  14. 前記少なくとも1つのHCPの量が、好ましくは、前記少なくとも1つのHCPをコードする遺伝子のノックアウトによって、改変を伴わない前記宿主細胞と比較して少なくとも50%(mol/mol)低減されている、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記目的タンパク質(POI)を産生する条件下で請求項1〜10のいずれか1項に記載の宿主細胞を培養すること、及び、前記POIを前記細胞培養物から単離することによる、宿主細胞培養物中に産生されたPOIの内因性の宿主細胞タンパク質(HCP)による汚染のリスクを低減する方法。
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