JP2021507097A - 改善された乾式精錬工程 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1.0重量%のスズ及び少なくとも1.0重量%の鉛とともに、少なくとも50%の銅を含む黒銅組成物から出発して、少なくとも1つの粗はんだ製品とともに少なくとも1つの濃縮銅製品を製造する工程であって、該工程が、黒銅を部分的に酸化して第1銅精錬スラグを形成し、続いて第1銅精錬スラグを部分的に還元して第1鉛−スズ系金属組成物と第1使用済みスラグとを形成するステップを含み、還元ステップへの総供給原料が、存在するSnとPbとの合計量の少なくとも1.5倍の量の銅を含み、それにより、第1使用済みスラグが、合わせて最大20重量%の銅、スズ及び鉛を含む、工程が開示される。【選択図】図1

Description

本発明は、乾式冶金による非鉄金属の製造、特に銅(Cu)の製造に関する。より具体的には、本発明は、商業的に望ましい純度の金属製品にさらに精錬するための主要製品として、一次及び二次供給原料から銅流及びはんだ流を同時に製造する改善された工程に関する。はんだ流は、多くの場合、多量のスズ(Sn)を、必ずではないが通常は鉛(Pb)と一緒に含有する金属組成物又は合金である。
非鉄金属は、一次供給源とも呼ばれる出発材料としての新しい鉱石から、又は二次供給原料としても知られる再生可能材料から、又はそれらの組み合わせから製造することができる。再生可能材料は、例えば、副製品、廃棄材料、及び使用済み材料であり得る。二次供給原料からの非鉄金属の回収は、長年にわたって最も重要な活動になっている。使用後の非鉄金属の再利用は、金属需要がひき続き強く、高品質な新しい金属鉱石の入手性は低下しているため、業界の主要な貢献要素である。特に銅の製造に関しては、二次供給原料からの回収は産業上重要になっている。さらに、高品質な新しい金属鉱石の入手性の低下によって、低品質の金属供給原料から非鉄金属を回収することの重要性も高まっている。銅回収のための低品質の金属鉱石は、例えば、他の非鉄金属を多量に含み得る。これらの他の金属は、それ自体が、スズ及び/又は鉛など、潜在的な商業的価値が高い場合もあるが、これらの一次及び二次供給原料には、亜鉛、ビスマス、アンチモン、ヒ素又はニッケルなど、経済的価値が低いか又は全くない他の金属が含まれ得る。多くの場合、これらの他の金属は、主要非鉄金属製品では望ましくないか、又は非常に限られた含有量でのみ許容され得る。
このように、銅の製造のための供給原料として利用可能な材料は、典型的には、複数の金属を含んでいる。銅が豊富な二次供給原料は、例えば、主に銅とスズとの合金である青銅と、主に銅と亜鉛との合金である黄銅である。
これらの異なる金属は、製造工程で銅から分離する必要がある。加えて、供給原料は、鉄、ビスマス、アンチモン、ヒ素、アルミニウム、マンガン、硫黄、リン及びケイ素を含む他の元素を少量含んでいる場合があり、それらのほとんどは、主要金属製品での許容量が限られている。
銅を含む二次供給原料は、使用済みの電子部品及び/又は電気部品であり得る。これらの供給原料は、典型的には、銅に加えて、はんだ成分、主にスズ及び鉛を含むが、通常、鉄及びアルミニウムなどのさらなる金属も含み、加えて場合によっては、少量の貴金属、さらにプラスチック、塗料、ゴム、にかわ、木、紙、ボール紙などの非金属部品も含む。これらの供給原料は、典型的にきれいではなく、通常は、汚れ、グリース、ワックス、土及び/又は砂などの不純物もさらに含む。そのような原材料中の金属はまた、多くの場合、部分的に酸化されている。
一次供給原料及び二次供給原料の両方において、純度が低く、汚染物質濃度が高い原料の方がはるかに豊富に利用できるため、銅などの非鉄金属の回収又は製造のための供給原料の一部として、このような低品位原料の許容量を増加させるために、非鉄金属製造工程の受容能力を拡大させる必要がある。
非鉄金属製造工程は、典型的には、少なくとも1つ、通常は複数の乾式冶金工程ステップを含む。低品位の二次材料から銅を回収する非常に一般的な最初の乾式冶金ステップは、製錬ステップである。製錬炉で金属が溶融され、有機物及びその他の可燃材料が燃焼される。さらに、製錬炉に導入されるいくつかの他の成分間で様々な化学反応が発生する。酸素に対して比較的高い親和性を有する金属は、それらの酸化物に変換され、より低密度の上澄みスラグ相に集まる。より揮発性の高い金属は、液相から気相に脱出して、形成され得るすべての炭素酸化物及び/又はSOと一緒に、排気ガスとともに炉を出ることができる。酸素に対してより低い親和性を有する金属は、酸化状態で存在する場合、それらの元素金属形態に容易に還元され、下にあるより重い金属相に移動する。酸化されない場合、これらの金属は元素金属として残り、製錬炉底部のより高密度の液体金属相に残る。銅製造ステップでは、製錬ステップは、ほとんどの鉄が最終的にスラグになり、一方、銅、スズ及び鉛が最終的に金属製品、典型的に「黒銅」と呼ばれる流れになるように操作され得る。また、ニッケル、アンチモン、ヒ素及びビスマスのほとんどは、典型的には、最終的に黒銅製品の一部になる。
特許文献1は、原材料を溶融するステップから始まる、二次供給原料から銅を製造する工程を記載している。製錬ステップでは、銅、スズ、鉛及びニッケルを含むスラグ相を得ることが記載されている。スラグは、さらなる処理のために回転ドラム炉に移された。このさらなる処理は、毎回分離されて炉から除去される特定の金属製品を連続的に回収するための、還元剤として炭素を使用する一連の連続的な部分的化学還元ステップから構成されていた。製錬スラグで実施される最初の「予備」ステップ(「Vorstufe」)では、アノード炉で処理するための銅製品(「A−metall」)が回収された。十分に高品質の銅を得るためには、スズ及び鉛のほとんどが、多量の銅とともに、スラグに残っている必要がある。Vorstufeからのスラグは、後続のステップ1で処理され、別の残りのスラグ相とともに、黒銅製品に製造されて造粒された。ステップ2では、このスラグ相から未精製の混合スズ製品が製造され、この混合スズ製品は、その後、ケイ素金属を使用して予備精錬され、混合スズ製品及びケイ素残留物を製造した。最後のステップでは、最終スラグが得られ、これも造粒された。特許文献1の工程の問題は、工程条件下で酸素との親和性が高い金属が、連続するすべての工程ステップを通過する必要があり、それによって貴重な炉容積を占めることである。
非特許文献1は、ISASMELT(商標)技術に典型的な浸漬ランス炉を使用して、二次供給原料から銅を回収する工程を開示している。この文献はまた、そのような金属が工程中に十分に存在する場合のPb−Sn合金副製品の製造について記載している。この文献は、工程中に発生する限られた数の金属組成物の銅含有量を開示しているが、他の組成情報は開示されていない。
特許文献3及びその対応案件の特許文献4は、銅の精錬工程について記載しており、該精錬工程は、黒銅流をもたらす溶融ステップから始まり、その後、この黒銅をさらに乾式冶金的に精錬して、電解精錬のためのアノードへの鋳造に適した、アノード品位の銅流にする。特許文献3に記載の黒銅の精錬により、多数の連続した銅精錬スラグが形成され、初期スラグは亜鉛が豊富であり、中間スラグは鉛及びスズが豊富、最終スラグは銅が豊富である。異なる精錬スラグが蓄積され、それらのスラグに含まれる銅、鉛及びスズを回収するために、単一の中間流としてスラグ再処理炉に移された。
特許文献3に記載の蓄積された銅精錬スラグの再処理は、銅精錬スラグ内の銅及びニッケルから鉛及びスズを乾式冶金的に分離することを目的とした、一連の2つの金属還元ステップ又は段階で構成される。最初のステップ又は段階は、スラグからの銅の選択的還元に関する。蓄積された精錬スラグとともに、十分な量の金属鉄が導入され、銅の酸化物が金属銅に還元される。反応後、炉内の金属相は底から出湯され、精錬スラグから抽出された、主に鉛及びスズを含むスラグが残される。底から出湯された銅含有金属相は、黒銅として銅精錬炉に再循環される。2番目のスラグ再処理ステップ又は段階は、スラグ再処理炉から黒銅を底部出湯した後に残されたスラグ内の鉛、スズ、及び残留銅の還元に関する。この還元は、鉄くずの追加によって得られる。この鉛及びスズの還元の完了後、得られたスラグは使用済みスラグとして注ぎ出され、鉛/スズ金属はさらなる処理のために注ぎ出される。ニッケルのほとんどは、アノード銅の不純物として、特許文献3の工程を離れる。表XIVの金属とともに630kgのニッケルが再循環されたが、表VIの再循環された黒銅に存在したのは500kgのみであったため、特許文献3の工程中に存在するニッケルの量は、時間とともに増加すると予想される。
特許文献3の工程の問題は、すべてのスラグ分離ステップの前に、典型的には砂の、ある量のシリカフラックスが炉に添加されることである。4つの銅精錬段階で、合計10,000kgのシリカフラックス又は砂が追加される。このフラックス材料は、毎回、最終的にスラグ相になって銅精錬炉から除去されるため、このフラックス材料のすべては、蓄積された銅精錬スラグに集積し、スラグ再処理炉に移される。選択的銅還元段階では、このフラックス材料はスラグ相の希釈剤になる。したがって、スラグ再処理炉から黒銅を底部出湯した後に残されるスラグの量は、回収される黒銅の量に比べて非常に多くなる。したがって、この選択的銅還元段階での銅の回収は、かなり制限される。表XIVの29,500kgのスラグには、まだ3重量%の銅が含まれている。この量は、885kgの銅に相当し、これは、その段階で炉内に存在する9,767.8kgの銅の9.0%を超える。その銅のほとんどは、13.54重量%の銅(947.5kg)を含有する、次のスラグ再処理段階で回収される鉛/スズ金属中に回収される。したがって、特許文献3の選択的銅還元段階での銅の回収率は、91%未満である。9%を超える量がスラグ内に留まり、これは、有価金属の損失となるだけでなく、高純度のスズや鉛への下流のはんだ処理にとって深刻な負担となる。
特許文献3の2番目のスラグ再処理ステップでは、適度なそれほど多くない7,000kgの鉛/スズ金属、別名はんだ製品が、極めて多量の、すなわち26,900kgの使用済みスラグとともに製造され、これにより、43,952kgの銅(表VIの合計の銅)が最初の銅精錬ステップに流入する。この使用済みスラグは、工程のスラグ再処理部分に導入された鉄、アルミニウム、及び酸素との親和性が高いその他の金属の酸化物とともに、実にすべてのフラックス材料を収集する。したがって、特許文献3のスラグ再処理で2つの還元ステップを通過する必要がある希釈材料の量は、上流の溶融/予備精錬ステップによって提供される黒銅がすでに85.12%もの高率で銅に富むにもかかわらず(表VIの新しい黒銅)、非常に多い。したがって、特許文献3では、稼働あたりのはんだの製造量は、処理される銅の量に比べてかなり低く、また、スラグ再処理炉を通過する必要のある余剰のスラグ希釈材料の量が比較的多く、それがスラグ再処理炉の炉容積を占め、選択的銅還元ステップでの銅の回収を減らし、はんだ製品への銅の余分な損失を引き起こし、高純度の鉛及びスズ金属製品への下流の処理の負担となる。
これらの問題は、製錬炉が、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、亜鉛、クロム、ビスマス、マンガン、バナジウム、チタン若しくはヒ素などの他の非鉄金属、又は鉄、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、カルシウム、ナトリウム若しくはカリウムなどの酸素との親和性がさらに高い金属及び元素の含有量が高いが、銅含有量の点で低品質の原材料を受け入れる場合、さらに大きくなる一方である。
したがって、一次及び/又は二次のこのような低品質の原材料から、銅とともにスズ及び/又は鉛を回収するための工程が依然として必要とされている。好ましくは、この工程は、炉容積の占有の観点からより効率的であるべきである。
本発明は、上記の問題を除去又は少なくとも軽減すること、及び/又は全般に改善することを目的とする。
本発明によれば、添付の特許請求の範囲のいずれかに定義される工程が提供される。
本発明は、第1鉛−スズ系金属組成物を製造する工程であって、
a)少なくとも1.0重量%のスズ及び少なくとも1.0重量%の鉛とともに少なくとも50重量%の銅を含む黒銅組成物を提供するステップと、
b)黒銅組成物を部分的に酸化して、第1銅濃縮金属相と第1銅精錬スラグとを形成し、続いて、第1銅濃縮金属相から第1銅精錬スラグを分離するステップと、
c)第1銅精錬スラグを部分的に還元して、第1鉛−スズ系金属組成物と第1使用済みスラグとを形成し、続いて、第1鉛−スズ系金属組成物から第1使用済みスラグを分離し、第1鉛−スズ系金属組成物は第1液浴の基礎を形成するステップと
を含み、
これにより、ステップc)への総供給原料は、存在するSnとPbとの合計の少なくとも1.5倍の量の銅を含み、
これにより、第1使用済みスラグは、乾燥重量ベースで、合わせて最大20重量%の銅、スズ及び鉛を含む、工程を提供する。
本発明による工程のステップb)は、酸化ステップである。炉内の金属相の銅含有量は、ステップb)で、銅よりも酸素に対する親和性が高い存在する金属及び他の元素を酸化することにより、供給原料濃度からさらに黒銅に濃縮される。これらの元素の酸化物の大部分が回収されて第1銅精錬スラグに分離される。分離により、その金属相として、さらなる処理に適した第1銅濃縮金属相が残される。炉の環境及び温度では、スズ及び鉛は銅よりも酸素との親和性が高いため、第1銅精錬スラグには、第1ステップへの供給原料中の一部のスズ及び鉛の酸化物が含まれている。乾式冶金における化学反応及び物理的分離は決して完全及び/又は理想的ではないため、第1銅精錬スラグには、典型的には、第1ステップに存在するかなりの量の銅が含まれ、通常はその一部は酸化銅として含まれる。
本発明による工程のステップc)は、還元ステップである。その目的は、工程条件下で酸素との親和性がより低い金属をそれぞれの金属に選択的に還元することである。これらの還元された金属は、次に、液体金属相として分離され、分離により、これらの金属がほとんど濃縮されていないが、酸素に対する親和性がより高い金属及び元素を含有した液体スラグ相が残され得る。本発明の文脈において、第2ステップの目的は、できる限り多くの存在するスズ及び/又は鉛とともに、第1銅精錬スラグから銅のほとんどを銅金属として選択的に回収することである。したがって、ステップc)における還元は、第1使用済みスラグが合わせて最大20重量%の銅、スズ及び鉛を一緒に含むように操作される。好ましくは、第1使用済みスラグは、合わせて20重量%未満の、より好ましくはさらに少ない銅、スズ及び鉛を含む。非常に好ましくは、このスラグ中の銅、スズ及び/又は鉛の量は、それらがもはや経済的にほとんど価値を持たない程度に十分に低い。最も好ましくは、銅、スズ及び/又は鉛の濃度は、第1使用済みスラグがそのまま廃棄されても環境問題を引き起こさない程度に、又は限られたさらなる処理を行うだけで廃棄が許容される程度に十分に低い。
出願人らは、ステップc)への総供給原料において、存在するSnとPbとの合計の存在に対して銅の存在を指定の下限にすることによって、Sn及びPbがスラグ相からより良好に抽出され、しかもスラグ相に多量の銅を導入することなく行われるという利点がもたらされることを見出した。出願人らは、ステップc)への供給原料中の銅の高い存在が、ステップc)の終わりのスラグ相と金属相との間のスズ及び鉛の平衡に影響を与え、これらのはんだ金属のスラグ相から金属相への移動を促進することを見出した。出願人らは、この効果は、ステップc)から得られる使用済みスラグ中の銅の濃度を、経済的に有意な、場合によって許容できない濃度まで増加させることなく達成され得ることを見出した。出願人らは、ステップc)への供給原料中の銅の量が多いことにより、低濃度のスズ及び/又は鉛、並びに銅のみを含む使用済みスラグがステップc)から得られることを見出した。これは、ステップc)からの使用済みスラグが、その責任ある廃棄又は適切な下流用途での使用のために、たとえあったとしても、必要とするさらなる処理がより少ないという利点をもたらす。
出願人らは、はんだ金属、すなわちSn及びPbの合計に対する規定量の銅によって、はんだ金属をスラグ相から第1鉛−スズ系金属組成物に抽出するための溶媒として作用するのに十分な銅が存在し、したがって、ステップc)におけるスラグからの貴重なスズ及び/又は鉛の回収を改善するという利点がもたらされることを見出した。出願人らは、この利点は、ステップc)で形成されるスラグ相への貴重な銅の許容できない損失をもたらすことなく得られることを見出した。
出願人らは、本発明は、特にステップc)への供給原料中のはんだ金属Pb及びSnの量に対する銅の存在量が最小であるおかげで、有価金属であるスズ、鉛、及び必要に応じて銅若しくは場合によってニッケルが、それらの存在が望まれる製品流により高率に回収されるという利益がもたらされることを見出した。これはまた、これらの金属がほとんど存在しないか又は存在しないことが望ましい製品流にこれらの金属が存在することによって引き起こされ得る負担を低減する。
本発明による工程の第1使用済みスラグでは、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い元素のほとんどが回収される。これは、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、その他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属などの金属だけでなく、ケイ素又はリンなどの他の元素にも特に当てはまる。
出願人らは、本発明による工程が、さらなる処理に非常に適した、特にそれ自体で商業的価値を有し、及び/又は商業的に許容可能なより高い純度のスズ及び/又は鉛製品の回収に適した粗はんだ金属組成物の製造に非常に適した第1鉛−スズ系金属組成物を製造することを見出した。
出願人らは驚くべきことに、本発明による工程のステップc)において、金属相中の有価金属である銅、ニッケル、スズ及び鉛と、スラグ相中の鉄及びアルミニウムなどの低価値金属、ケイ素などのその他の元素との間のかなり明確な分離を得ることが可能であることを見出した。これにより、有価金属の非常に高い回収が可能になる一方、これらの金属が非常に少ないスラグ相が生成されるため、スラグ相は直接又は比較的少ないさらなる処理で廃棄することができる。出願人らによれば、炉全体の含有物の一部としてのステップc)の銅の存在が特定の濃度枠内にあるため、このような明確な分離が可能であると考えられる。一方で、銅は、スラグ相からのスズ及び鉛の抽出剤として作用する。他方で、銅の存在は十分に低いため、スラグ相への銅の損失は非常に制限される。
別の主要な利点は、本発明による工程の銅以外の元素に対する許容度がはるかに高く、それらの元素のほとんどが工程条件下で銅、スズ及び鉛よりも酸素に対して高い親和性を有する元素であり、したがって、最終的に第1使用済みスラグの一部になることである。これにより、ステップb)に追加で、すなわち黒銅に加えて供給され得る原材料の許容基準が大幅に拡大される。さらに、これにより、黒銅自体の許容基準も大幅に緩和される。したがって、この特徴により、通常は製錬ステップで黒銅の製造に使用される原材料の許容基準が大幅に広がる。したがって、製錬ステップは、経済的により魅力的な条件でより豊富に入手可能な、低品質の原材料をはるかに多く受け入れることができる。
さらに別の利点は、ステップb)のスラグの量が、全炉の含有量に比べて多いことである。したがって、炉からのスラグの除去により、炉の容積の大部分が解放され、通常同じ炉内で実施される、第1銅濃縮金属相のさらなる処理において、さらに追加の原材料を導入するための追加の余地が生まれる。
出願人らは、第1鉛−スズ系金属組成物のこのさらなる処理は、少なくとも金属及び元素の大部分が、工程条件下で酸素に対して高い親和性を有する第1使用済みスラグの一部として、上流で工程から除去されるおかげで、はるかに効果的及びはるかに効率的に操作され得ることを見出した。出願人らは、工程のこの特徴が、ステップb)の下流で、第1鉛−スズ系金属組成物の処理に大きな利益をもたらすことを見出した。
主な利点の1つは、ステップc)で、すなわち、はんだ金属(Sn及び/又はPb)を回収する前に、第1使用済みスラグとして多量の材料を除去することにより、下流で処理される材料の量が大幅に減少することである。さらに下流のステップでは、この材料は重荷となり、利益よりも主に欠点をもたらす。本発明による工程において、第1鉛−スズ系金属組成物のさらなる処理は、はるかに多量に効率的に操作することができ、つまり、より小規模の設備を使用することができるか、又は本発明による工程に、既知の工程では余地が少ないかまったくない追加の流れを処理する機会をもたらす。さらに、処理を要する高温の材料の量が減少するため、これらの下流の工程ステップでのエネルギー消費量も削減され得る。
出願人らはさらに、驚くべきことに、本発明による工程から第1使用済みスラグを除去することにより、下流の乾式冶金工程ステップ、すなわち第1鉛−スズ系金属組成物を処理するための工程ステップにおける分離もはるかに改善されることを見出した。それぞれの金属相とそれに対応するスラグ相との分離をより明確にすることにより、下流の有価金属の回収をより効果的及びより効率的に操作することができ、すなわち、主要製品の収率が向上し、有価金属の廃棄が少なくなり、例えば再循環量がより少ないために必要なエネルギー入力がより少なくなる。
本発明による工程のさらなる利点は、第1鉛−スズ系金属組成物のさらなる処理において、本発明による工程からの多量の第1使用済みスラグの除去により利用可能になった追加の炉空間のおかげで、追加の材料が導入され得ることである。そのような追加の材料は、例えば、スズ及び/又は鉛が豊富であり得る。そのような追加の材料は、例えば、スズ及び/又は鉛の流れをさらに精製して商業的に価値のある主要製品にするための一部として、下流の精錬ステップからの副製品として生成される工程スラグ及び/又はドロスであり得る。
本発明による工程の別の主要な利点は、処理される同じ量の銅に対して、はるかに多量の粗はんだの同時製造を可能にすることである。出願人らは、第1銅精錬ステップで処理される銅の量に対する粗はんだの同時製造量が、米国特許第3682623号に記載された工程で得られる量と比較して約29%増加し得ることを見出した。粗はんだの経済的価値は、特に高純度スズ製品を製造する際の可能な中間体としては、黒銅から得られるアノード銅主要製品の価値に比べて非常に重要である。したがって、第1銅精錬ステップで処理される銅の量に対する粗はんだの同時製造の相対量の増加は、本発明による工程の操作者にかなりの経済的利点をもたらす。
出願人らはまた、ステップc)が第1銅精錬スラグのみを受け取ることが有利であり、後続の銅精錬スラグは別々に、好ましくはそれぞれ異なる方法でより良く処理されることを見出した。出願人らは、第1銅精錬スラグは、銅以外の元素、特に、炉条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高い、より具体的にはさらにスズ及び鉛よりも酸素に対する親和性が高い元素の総量が最も多い銅精錬スラグであることを見出した。したがって、出願人らは、驚くべきことに、第1銅精錬スラグで、すなわち、ステップb)の下流の工程ステップで製造される他の銅精錬スラグを混合する前にステップc)を実施することが最も効果的であることを見出した。出願人らは、後続の銅精錬スラグが典型的により高濃度の銅を含むことを見出した。したがって、出願人らによれば、これらの下流の銅精錬スラグは第1銅精錬スラグとは異なる方法で処理することが好ましい。
本発明による工程の工程流れ図を示し、本図は、上流の製錬ステップによって提供される黒銅組成物から出発し、アノード鋳造に適した少なくとも1つの銅製品及び少なくとも1つの粗はんだ製品の製造に至る。
本発明は、特定の実施形態において、特定の図面を可能な限り参照して以下に説明されるが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明されている図面はすべて概略図であり、非限定的である。図面において、いくつかの要素の大きさは強調されている場合があり、例示の目的で縮尺どおりに描かれていない。図面の寸法及び相対的寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に必ずしも対応しない。
さらに、明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時間的順序を説明するためではない。これらの用語は適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、本明細書で説明及び/又は図示された以外の順序で操作することができる。
さらに、明細書及び特許請求の範囲における上部、下部、上側、下側などの用語は、説明の目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明又は図示された以外の向きで操作してもよい。
請求項で使用される「含む(comprising)」という用語は、それに関連して列挙された要素に限定されると見なされるべきではない。この用語は、他の要素又はステップがあることを排除するものではない。この用語は、必要に応じて、これらの特徴、整数、ステップ、又は構成要素が存在すると見なすべきであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ又は構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及びBを含む物品」とは、媒体A及びBのみから構成される物体に限定されない場合がある。これは、A及びBが、単に本発明に関連する主題にとって重要な要素であることを意味する。これに従って、「含む」又は「包埋する」という用語は、「から本質的になる」及び「からなる」というより制限的な用語も包含する。したがって、「含む(comprise)」又は「含む(include)」を「からなる(consist of)」で置き換えることにより、これらの用語は、本発明に関するこの文書の内容の一部としても提供される、好ましいが狭められた実施形態の基礎を表す。
特に明記しない限り、本明細書で提供されるすべての値は、与えられた端点までを含み、組成物の構成成分又は構成要素の値は、組成物中の各成分の重量パーセント又は重量%で表される。
さらに、本明細書で使用される各化合物は、その化学式、化学名、略語などに関して互換的に論じられる場合がある。
本明細書では、特に明記しない限り、流れの組成物は重量ベースで、組成物の総乾燥重量に対して表される。
本発明の文脈内では、「少なくとも部分的に」という用語は、その端点を「完全に」含む。工程の特定の酸化又は還元ステップが実施される程度に関して、好ましい実施形態は、典型的には部分的な実施である。特定の工程ステップへの工程の流れの追加又は再循環に関して、好ましい実施形態は、典型的には、「少なくとも部分的に」という用語に含まれる範囲内の「完全な」操作点である。
本明細書では、特に明記しない限り、金属及び酸化物の量は、乾式冶金の一般的な慣例に従って表される。各金属の存在は、金属が元素形態(酸化状態=0)であるか、化学的に結合した形態、典型的には酸化形態(酸化状態>0)で存在するかに関係なく、典型的に、その全体の存在で表される。比較的容易に元素形態に還元され、乾式冶金工程で溶融金属として発生し得る金属の場合、スラグの組成が与えられている場合でも、元素金属形態でその存在を表すことが極めて一般的であり、そのような金属の大部分は、実際には酸化形態で存在し得る。したがって、本明細書のスラグの組成は、元素金属としてFe、Zn、Pb、Cu、Sb、Biの含有量を明記している。卑金属は、非鉄乾式冶金条件下で還元するのがより難しく、ほとんどが酸化形態で発生する。これらの金属は、典型的には、最も一般的な酸化物の形で表される。したがって、スラグ組成は、典型的には、Si、Ca、Al、Naの含有量を、それぞれSiO、CaO、Al、NaOとして表している。
出願人らは、金属相の化学分析の結果がスラグ相分析の結果よりもはるかに信頼できることを見出した。本明細書では、数値が1つ以上の工程ステップにわたる物質収支から導き出される場合、出願人らによれば、可能な場合、可能な限り多くの金属相分析に基づいてそのような計算を行い、スラグ分析の使用を最小限に抑えることがはるかに好ましい。例えば、出願人らによれば、ステップb)からの第1銅精錬スラグにおけるスズ及び/又は鉛の回収率を、第1銅精錬スラグについて報告されたスズ及び/又は鉛の濃度に基づくのではなく、ステップb)からの第1銅濃縮金属相中ではそれ以上回収されない、ステップb)への組み合わせ供給原料中のスズ及び/又は鉛の量に基づいて計算することが好ましい。
出願人らはさらに、さらに処理されたスラグ相の分析は、多くの場合、下流の工程ステップにわたってマスバランスをとり、下流のステップで得られた製品の量を、これらの製品の分析と組み合わせて使用して逆算することで修正できることを見出した。これらの製品の少なくとも1つは、より信頼性の高い分析結果を提供する液体金属製品であることが望ましい。このような逆算は、いくつかの関連する特定の金属に対して個別に実行することができ、本発明による工程のほとんどの個々のステップにわたって信頼できる物質収支の確立を可能にすることができる。そのような逆算はまた、代表的なサンプルの取得が非常に困難であり得る液体金属流、例えば、スズとともに多量の鉛を含む溶融はんだ金属流の組成を決定する際に役立ち得る。
出願人らによれば、本発明の文脈において、金属相の分析に蛍光X線(XRF)を使用することが好ましい。出願人らによれば、この分析には溶融液体金属からサンプルを取ることが好ましく、出願人らによれば、銅精錬での分析を迅速に行うため、Heraeus Electro Nite社製のサンプラーを使用することが好ましく、これにより、さらなる処理のための固体の冷却サンプルがすぐに得られる。冷サンプルの表面は、XRFプローブを使用した分析の実施前に、適切に表面処理される。しかしながら、XRF分析手法では、サンプル内の酸素濃度は分析されない。したがって、必要に応じて、酸素含有量を含む金属相の完全な組成を確立するために、出願人らによれば、好ましくは銅精錬のバッチ工程にHeraeus Electro Nite社が提供する使い捨てのワンタイム電気化学センサを使用して、炉に存在する溶融液体金属中の金属の酸素含有量を個別に測定することが好ましい。次に、上記のように、XRFによる金属相分析の分析結果を、必要に応じて、別の酸素分析から得られた酸素含有量に合わせて調整してもよい。本明細書の実施例で報告されている組成は、酸素含有量を含めるように調整されていない。
本発明は、主に、目的の金属である銅、ニッケル、スズ及び/又は鉛を、高純度の主要金属製品を得るのに適した製品流に回収することに関する。本発明による工程は、異なる工程ステップを含み、これらの工程ステップは、酸化ステップ又は還元ステップのいずれかに分類され得る。この分類を用いて、出願人らによれば、これらの目的の金属が受ける可能性のある化学反応に対処することが望ましい。したがって、還元ステップは、これらの目的の金属の少なくとも1つが、炉内のスラグ相から金属相に移動されることを意図して、その対応する酸化物の少なくとも1つからその元素金属形態に還元されることを含む。このような還元ステップは、本明細書のいくつかの箇所で説明されているように、還元剤の添加により促進されることが好ましい。還元ステップとして、工程ステップに参照番号400、600、700、900、1000、1100を付す。酸化ステップでは、主な目的は、目的の金属を炉内で金属相からスラグ相に移動させることを意図して、目的の金属の少なくとも1つをその対応する酸化物の少なくとも1つに変換することである。その変換のための酸素は、本発明の文脈では、様々な供給源から供給され得る。酸素は、必ずしも液浴に吹き込まれる空気又は酸素に由来する必要はない。酸素は同様に、別の工程ステップから得られ、酸素が少なくとも1つの他の金属の酸化物に結合しているスラグ相の導入によって供給されてもよい。したがって、本発明の文脈における酸化ステップは、空気又は酸素を注入することなく実施することもできる。したがって、酸化ステップとして、工程ステップに参照番号100、200、300、500、800、1200を付す。
本発明が回収している目的の金属のうち、Sn及びPbは、「はんだ金属」と見なされる。これらの金属は、他の目的の金属である銅及び/又はニッケルとは区別される。これは、主要量のこれらの金属を含む混合物は、通常、主要量の銅及び/又はニッケルを含む混合物よりも融点がはるかに低いためである。そのような組成物は、すでに数千年前に2つの金属片間の永久的な結合を作成するために使用されており、この結合は、最初に「はんだ」を溶融し、所定の位置に配置して固化することによる。したがって、はんだの溶融温度は、接続している金属片よりも低い必要があった。本発明の文脈において、はんだ製品又ははんだ金属組成物、この2つの用語は本明細書全体を通して互換的に使用され、はんだ金属の組み合わせ、したがってPbとSnとを合わせた含有量が、組成物の主要部分を構成する、すなわち少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも65重量%になる金属組成物を意味する。はんだ製品は、少量の他の目的の金属である銅及び/又はニッケル、及び非目的の金属、例えばSb、As、Bi、Zn、Al及び/又はFe、及び/又はSiなどの元素をさらに含んでいてもよい。本発明の文脈において、工程は、粗はんだ製品及び銅製品の製造を対象としているため、ステップe)及び/又はn)の工程によって得られる粗はんだ製品又は粗はんだ金属組成物は、不可避の不純物としてであったとしても、測定可能な量の少なくとも銅を含むことが予想される。
本発明による工程の一実施形態では、ステップb)に存在するスズの総量に対して、ステップb)における第1銅精錬スラグの一部としてのスズの回収は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40.00%、さらにより好ましくは少なくとも45%、さらになおより好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも57%である。特定の元素の%回収率の単位を指定する必要はなく、これは、原子又は重量のどちらを考慮しても、%回収率は同じであるからである。
本発明による工程の一実施形態では、ステップb)に存在する鉛の総量に対して、ステップb)における第1銅精錬スラグの一部としての鉛の回収率は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30.00%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも45%、さらになおより好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%である。
第1銅精錬スラグの一部としてのステップb)におけるスズ及び/又は鉛の回収に関する指定の下限は、黒銅に対して実施される第1酸化ステップですでに、存在する多量のスズ及び/又は鉛が、銅以外の多量の他の元素とともに除去されるという利点をもたらす。これにより、第1銅濃縮金属相に対して下流で実施されるステップに供給される不純物がより少なくなるという利点がもたらされる。これは、第1銅濃縮金属相に対する下流の工程ステップが対処する必要のある不純物の量がより少なく、また、第1銅濃縮金属相によって占有される容積がより少ないことを意味する。これは通常、第1銅濃縮金属相に対して実施される後続の工程ステップでより多くの貴重な炉容積が解放され、それにより、これらの工程ステップで追加の材料を導入する余地が生まれ、したがって、同じ炉容積の制約内で最終的な銅製品の製造量増加の機会が得られることを意味する。列挙された利点は、ステップb)でのスズの回収の下限、ステップb)での鉛の回収の下限、及びステップb)でのスズの回収の下限と鉛の回収の下限との組み合わせに関連する。効果は、スズ及び鉛の2つの金属に関して累積的であり、2つの個別の効果の合計に比べて、2つが一緒の場合、効果を強化しさえする。
出願人らは、必要に応じて酸素の捕捉剤の制御された添加及びフラックス材料の添加と組み合わせて、ステップb)の酸素及び/又は酸素ドナーの存在を適切な制限内に制御することにより、ステップb)における望ましい回収率が得られうることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、ステップc)への総供給原料は、少なくとも29.0重量%の銅、好ましくは少なくとも30.0重量%、より好ましくは少なくとも31.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも32.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも33.0重量%、好ましくは少なくとも34.0重量%、より好ましくは少なくとも35.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも36.0重量%、好ましくは少なくとも37.0重量%、より好ましくは少なくとも38.0重量%の銅を含む。
本発明による工程の一実施形態では、ステップc)への総供給原料は、存在するはんだ金属の総量、すなわちSnとPbとの合計の少なくとも1.6倍、存在するはんだ金属の総量の好ましくは少なくとも1.7倍、より好ましくは少なくとも1.8倍、さらにより好ましくは少なくとも1.9倍、好ましくは少なくとも2.0倍、より好ましくは少なくとも2.1倍の銅を含む。
出願人らは、規定量の銅によって、はんだ金属をスラグ相から第1鉛−スズ系金属組成物に抽出するための溶媒として作用するのに十分な銅が存在し、したがって、ステップc)におけるスラグからの貴重なスズ及び/又は鉛の回収を改善するという利点がもたらされることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第1使用済みスラグは、合わせて最大20.0重量%、さらに良好には合わせて最大18重量%の銅、スズ及び鉛、好ましくは合わせて最大15重量%、より好ましくは合わせて最大12重量%、さらにより好ましくは合わせて最大9.0重量%、さらになおより好ましくは合わせて最大7.0重量%、好ましくは合わせて最大5.0重量%、より好ましくは合わせて最大4.0重量%、さらにより好ましくは合わせて最大3.0重量%、さらになおより好ましくは合わせて最大2.0重量%、好ましくは合わせて最大1.5重量%、より好ましくは合わせて最大1.10重量%の銅、スズ及び鉛を含む。
本発明による工程の一実施形態では、第1使用済みスラグは、最大7.0重量%の銅、好ましくは最大5.0重量%、より好ましくは最大3.0重量%、さらにより好ましくは最大2.0重量%、さらになおより好ましくは最大1.50重量%、好ましくは最大1.00重量%、より好ましくは最大0.75重量%、さらにより好ましくは最大0.60重量%、さらになおより好ましくは最大0.50重量%、好ましくは最大0.40重量%の銅を含む。
本発明による工程の一実施形態では、第1使用済みスラグは、最大7.0重量%のスズ、好ましくは最大5.0重量%、より好ましくは最大3.0重量%、さらにより好ましくは最大2.0重量%、さらになおより好ましくは最大1.50重量%、好ましくは最大1.00重量%、より好ましくは最大0.75重量%、さらにより好ましくは最大0.60重量%、さらになおより好ましくは最大0.50重量%、好ましくは最大0.40重量%、より好ましくは最大0.30重量%のスズを含む。
本発明による工程の一実施形態では、第1使用済みスラグは、最大7.0重量%の鉛、好ましくは最大5.0重量%、より好ましくは最大3.0重量%、さらにより好ましくは最大2.0重量%、さらになおより好ましくは最大1.50重量%、好ましくは最大1.00重量%、より好ましくは最大0.75重量%、さらにより好ましくは最大0.60重量%、さらになおより好ましくは最大0.50重量%、好ましくは最大0.40重量%の鉛を含む。
第1使用済みスラグに含まれる銅、スズ、鉛、及び3つの金属合計の存在に関する指定の上限は、それぞれ個別に、ステップc)から第1使用済みスラグとともに工程を離れる経済的価値のある3つの目的金属の量が制限されて維持されるという利益をもたらす。これにより、第1使用済みスラグの廃棄前に、第1使用済みスラグに追加の工程ステップを提供する必要性又は要望が減り、第1使用済みスラグの廃棄前、又はスラグが経済的により魅力的な用途若しくは最終用途で許容可能と見なされる前に、必要とされる追加の処理ステップが少ないか、又は場合によっては不要になるという利益がもたらされる。
本発明による工程の第1使用済みスラグでは、工程条件下でスズ及び/又は鉛及び/又は銅及び/又はニッケルよりも酸素に対する親和性が高い元素のほとんどが回収される。これは、亜鉛、クロム、マンガン、バナジウム、チタン、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、その他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属などの金属だけでなく、ケイ素又はリンなどの他の元素にも特に当てはまる。
出願人らは、必要に応じて酸素の捕捉剤の制御された添加及びフラックス材料の添加と組み合わせて、ステップb)の酸素及び/又は酸素ドナーの存在を適切な制限内に制御することにより、ステップb)における望ましい回収率も得られることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、いくつかの工程ステップで使用される黒銅組成物は、以下の条件、
・少なくとも51重量%の銅を含むこと、
・最大96.9重量%の銅を含むこと、
・少なくとも0.1重量%のニッケルを含むこと、
・最大4.0重量%のニッケルを含むこと、
・少なくとも1.5重量%のスズを含むこと、
・最大15重量%のスズを含むこと、
・少なくとも1.5重量%の鉛を含むこと、
・最大25重量%の鉛を含むこと、
・最大3.5重量%の鉄を含むこと、及び
・最大8.0重量%の亜鉛を含むこと
の少なくとも1つ、最も好ましくはすべてに準拠する。
出願人らによれば、本発明による工程で使用することができる任意の黒銅、すなわち、ステップb)以外の工程ステップで使用される任意の黒銅が、上記の条件の少なくとも1つ、好ましくはすべてに準拠することが好ましい。
本発明による工程の一実施形態において、黒銅は、最大96.9重量%又はより良くは最大96.5重量%の銅、好ましくは最大96.0重量%、より好ましくは最大95.0重量%、さらにより好ましくは最大90.0重量%、さらになおより好ましくは最大85.0重量%、好ましくは最大83.0重量%、より好ましくは最大81.0重量%、さらにより好ましくは最大80.0重量%、さらになおより好ましくは80.0重量%未満、好ましくは最大79.0重量%の銅を含む。これは、黒銅を製造する上流工程が、銅以外のはるかに多くの金属を含む原材料を受け入れることができるというさらなる利点をもたらす。黒銅の製造においてより多くのスズ及び/又は鉛を受け入れることは特に有利であり、これらのより多量のスズ及び/又は鉛を処理して、粗はんだ副製品、すなわち経済的価値が比較的高い製品の量を容易に増加させることができる。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、少なくとも51重量%の銅、好ましくは少なくとも52重量%、より好ましくは少なくとも53重量%、さらにより好ましくは少なくとも54重量%、さらになおより好ましくは少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも57重量%、より好ましくは少なくとも59重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%、さらになおより好ましくは少なくとも62重量%、好ましくは少なくとも64重量%、より好ましくは少なくとも66重量%、さらにより好ましくは少なくとも68重量%、さらになおより好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも71重量%、より好ましくは少なくとも72重量%、さらにより好ましくは少なくとも73重量%、さらになおより好ましくは少なくとも74重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも77.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも85重量%の銅を含む。
これにより、米国特許第3682623号で提供されているような、黒銅の銅含有量を75〜80重量%から約85重量%以上(実施例では85.12重量%の銅、表VI)に向上させる予備精錬ステップを省略することができるという利点がある。
出願人らはさらに、工程全体がより操作可能で効率的であり、通常、黒銅の銅濃度が規定の下限内に留まる場合、より多くの主要製品が製造されることを見出した。黒銅の銅濃度が低い場合、他の元素がバランスを構成する。これは、バランスを構成するのが鉛などの有価金属である場合だけでなく、さらにより重要にはスズも含む場合、非常に許容されやすく、多くの場合望ましくさえある。これらの金属は、任意の酸化及び/又は還元ステップ中に化学物質を消費するが、最終的にはその大部分が主要製品流になる。しかし、逆に、バランスを構成するのが最終的に使用済み工程スラグの1つに到達することが避けられないより価値の低い金属又は元素である場合、これらの金属及び/又は元素は、銅精錬ステップの一部としての酸化ステップで化学物質を消費するため、及び/又は本発明による工程のステップc)などの下流の還元ステップの1つで他の化学物質を消費する可能性があるため、銅濃度が低いことは、むしろ不利である。さらに、これらの価値の低い金属又は元素は、炉内で体積を占めるため、それらが存在すると、より大きな炉が必要になり、したがって投資コストが高くなる。特定の利用可能な設備規模内では、これらの金属又は元素の存在によって、銅、スズ、及び/又は鉛を高濃度で含む原材料など、より価値の高い原材料を任意の工程ステップに導入する際の制約が厳しくなる。黒銅組成物は、典型的には、別の乾式冶金工程ステップ、すなわち製錬ステップによって製造される中間体である。製錬ステップは、通常は多量のシリカの存在下で、溶融金属製品、いわゆる「黒銅」と、主に金属酸化物の液体スラグとをもたらす。出願人らによれば、高い銅の存在が他の有価金属、例えばスズ及び鉛の抽出剤として作用するため、製錬ステップにおいて、指定された少なくとも最小量の銅を有する黒銅製品を得ることが好ましい。したがって、黒銅組成物中の銅濃度を指定の制限を超えて維持すると、これらの有価金属が典型的にはほとんど乃至全く価値を持たない、さらには負担になることさえある製錬スラグの一部としてこれらの有価金属を失うよりも、黒銅組成物中に存在するこれらの他の有価金属の回収率が高くなる。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、少なくとも1.5重量%のスズ、より好ましくは少なくとも2.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも2.5重量%、さらになおより好ましくは少なくとも3.0重量%、好ましくは少なくとも3.5重量%、より好ましくは少なくとも3.75重量%、さらにより好ましくは少なくとも4.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも4.5重量%、好ましくは少なくとも5.0重量%、より好ましくは少なくとも5.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも6.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも6.5重量%、好ましくは少なくとも7.0重量%、より好ましくは少なくとも7.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも8.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも8.5重量%、好ましくは9.0重量%、より好ましくは少なくとも9.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも10.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも11.0重量%のスズを含む。スズは非常に価値のある金属であり、その純度の高い製品形態ではかなり入手が困難である。したがって、出願人らによれば、本工程が扱うことのできる最大量のスズを製造することが好ましい。さらに、本出願人らによれば、スズが典型的に低濃度で存在する経済的価値の低い原材料からこのスズを回収することが好ましい。そのような低価値の原材料は、多くの場合、乾式冶金銅精錬工程での処理が難しい多量の元素を含んでいるため、通常は最初に製錬ステップで処理される。したがって、これらの低価値の原材料に含まれるスズは、最終的に主に黒銅組成物の一部となる。出願人らによれば、そのような低価値の原材料から可能な限り多くのスズを処理することが好ましく、したがって、本発明による工程の黒銅組成物が他の工程制約内で可能な限り多くのスズを含むことが好ましい。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、少なくとも1.5重量%の鉛、より好ましくは少なくとも2.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも2.5重量%、さらになおより好ましくは少なくとも3.0重量%、好ましくは少なくとも3.5重量%、より好ましくは少なくとも3.75重量%、さらにより好ましくは少なくとも4.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも4.5重量%、好ましくは少なくとも5.0重量%、より好ましくは少なくとも5.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも6.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも7.0重量%、好ましくは少なくとも8.0重量%、より好ましくは少なくとも9.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも10.0重量%、さらになおより好ましく鉛の少なくとも11.0重量%、好ましくは少なくとも12.0重量%、より好ましくは少なくとも13.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも14.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも15.0重量%の鉛を含む。
鉛も有価金属である。さらに、鉛はスズと同様に挙動し、最終的に同じ工程流になって「はんだ」と呼ばれる混合物を形成し、得られたはんだ流は密度が高く、したがって、スラグなどの低密度液体流又はドロスなどの低密度固体流からより簡単に分離されるため、鉛の存在によって、さらに価値の高いスズ金属の回収が容易になる。したがって、出願人らによれば、本工程に多量の鉛を含めることが好ましい。さらに、出願人らによれば、鉛が典型的に低濃度で存在する経済的価値の低い原材料からこの鉛を回収することが好ましい。そのような低価値の原材料は、多くの場合、乾式冶金銅精錬工程での処理が難しい多量の元素を含んでいるため、通常は最初に製錬ステップで処理される。したがって、これらの低価値の原材料に含まれる鉛は、最終的に主に黒銅組成物の一部となる。出願人らによれば、そのような低価値の原材料から可能な限り多くの鉛を得ることが好ましく、したがって、本発明による工程の黒銅組成物が他の工程制約内で可能な限り多くの鉛を含むことが好ましい。
黒銅中のスズ及び/又は鉛のより高い存在は、このスズ及び/又は鉛を含む原材料が、スズ及び/又は鉛などの他の非鉄金属の同時製造に関連するステップを含む、銅精錬工程の一部として実施される典型的なステップよりはるかに多量に、他の不純物に対して許容度が高い製錬ステップで処理され得るという利点をもたらす。したがって、これらの許容可能な原材料は、典型的には、品質がはるかに低く、したがって経済的価値も低い。本発明による工程の黒銅中のスズ及び/又は鉛のほとんどは、最終的に比較的高い経済的価値の製品である粗はんだ副製品になる。したがって、本発明による工程に供給される黒銅中のスズ及び/又は鉛の経済的な価値の向上は、典型的には、付随物を含む、銅精錬工程のステップの1つで直接許容され得るはるかに濃縮された原材料の一部として導入される同量よりもはるかに高い。
したがって、出願人らによれば、製造されるこれらの金属の設備上の制限による制限量内で、これらの金属が低価値の原材料からより多く回収され、したがってこれらの金属が、原材料におけるそれらのより低い価値から経済的価値を向上させ、最終製品においてそれらが高い経済的価値を有してより多く回収され得るという利点がもたらされるため、黒銅中のスズ及び/又は鉛の量がより多いことが好ましい。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、最大15.0重量%のスズ、好ましくは最大14.0重量%、より好ましくは最大13.0重量%、さらにより好ましくは最大12.0重量%、さらになおより好ましくは最大11.0重量%、好ましくは最大10.0重量%、より好ましくは最大9.0重量%、さらにより好ましくは最大8.0重量%、さらになおより好ましくは最大7.0重量%、好ましくは最大6.0重量%のスズを含む。出願人らは、黒銅組成物中のスズ濃度を指定の上限に制限することにより、他の金属及び元素のために黒銅組成物中に十分な余地が残されるという利点がもたらされることを見出した。上で議論したように、銅の存在は上流の製錬ステップで非常に有利であり、鉛の存在もそうである。したがって、出願人らによれば、スズの濃度を指定の上限内に維持することが好ましい。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、最大25.0重量%の鉛、好ましくは最大24.0重量%、より好ましくは最大23.0重量%、さらにより好ましくは最大22.0重量%、さらになおより好ましくは最大21.0重量%、好ましくは最大20.0重量%、より好ましくは最大19.0重量%、さらにより好ましくは最大18.0重量%、さらになおより好ましくは最大17.0重量%、好ましくは最大16.0重量%、より好ましくは最大15.0重量%、さらになおより好ましくは最大14.0重量%、さらにより好ましくは最大13.0重量%、さらになおより好ましくは最大12.0重量%、好ましくは最大11.0重量%、より好ましくは最大10.0重量%、さらにより好ましくは最大9.0重量%、さらになおより好ましくは最大8.0重量%、好ましくは最大7.0重量%の鉛を含む。出願人らは、黒銅組成物中の鉛濃度を指定の上限に制限することにより、他の金属及び元素のために黒銅組成物中に十分な余地が残されるという利点がもたらされることを見出した。上で議論したように、銅の存在は上流の製錬ステップで非常に有利であり、多量のスズの存在も非常に望ましい。したがって、出願人らによれば、鉛の濃度を指定の上限内に維持することが好ましい。
出願人らは、黒銅中の過剰量のスズ及び/又は鉛が、一方の銅(及びニッケル)と他方のスズ及び鉛との間の分離ステップに影響を与えることを見出した。分離は不明確であり、より多くのスズ及び/又は鉛が銅とともに留まる傾向がある。これにより、銅流が少なくとも部分的に再循環されたとしても、より多量のスズ及び/又は鉛が工程内を循環し、炉の容積を占領する。しかし、その分離からの銅流又はその一部が工程から除去される場合も、その流れ内のより多量のスズ及び/又は鉛は、その下流の処理において追加の負担となる。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、少なくとも0.1重量%、最大4.0重量%のニッケル(Ni)を含む。好ましくは、ステップb)への黒銅供給原料は、少なくとも0.2重量%のニッケル、より好ましくは少なくとも0.3重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.4重量%、さらになおより好ましくは少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも0.75重量%、より好ましくは少なくとも1.00重量%のニッケルを含む。
ニッケルは、銅、スズ、及び/又は鉛を含有する多くの原材料に存在する金属であり、鉄を含むか、又は鉄をベースとする多くの合金にも存在する。ニッケルは、炉条件下で、酸素に対する親和性がスズ及び/又は鉛よりも低く、銅よりもやや高い。したがって、乾式冶金によって銅から分離するのが難しい金属である。米国特許第3682623号では、予備精錬された黒銅に含まれるニッケル(表VI、541.8kg)のほとんどが、精錬された銅製品中の不純物として工程を離れ(表XII、300kg)、精錬銅製品はアノードに鋳造された(col.19、61〜62行目)。少量のニッケルが鉛/スズ金属製品に流入する(表XV、110kg)。この工程は、多量の黒銅の再循環流を含み、再循環流のニッケルは各循環で増加するように見える(表XIV、630kgを表VI、500kgとを比較)。出願人らは、銅アノード中のニッケルが、下流の電気精錬ステップにおける妨害要素であることを見出した。電気精錬工程条件下では、ニッケルは電解液に溶解するが、カソードには堆積しない。そのため、電解液に蓄積し、溶解限度を超えるとニッケル塩が沈殿する可能性がある。しかし、より低い濃度であっても、アノード表面でのニッケル濃度勾配の蓄積の可能性があるため、ニッケルはすでにアノード不動態化を引き起こす可能性がある。したがって、米国特許第3682623号の工程は、そのニッケル処理能力に制限がある。したがって、米国特許第3682623号の溶融ステップは、多量のニッケルを含む原材料をかなり限られた量しか受け入れられない可能性がある。
出願人らは、本発明による工程が、例えば、上流の製錬ステップからの黒銅の一部として、はるかに多くの量のニッケルを受け入れることができることを見出した。ニッケルに対するこのより高い許容度は、本発明による工程、及び上流で実施される任意の工程ステップに、原材料に関してより広い許容範囲をもたらす。したがって、本発明による工程、同様にその上流工程ステップのいずれかは、当技術分野で知られている代替工程が受け入れることができない、又は非常に限られた量しか受け入れることができない、したがって経済的により魅力的な条件でより容易に入手可能な原材料を受け入れることができる。
出願人らはまた、ニッケルに対するより高い許容度にもかかわらず、本発明による工程は、米国特許第3682623号で製造されるアノード銅と比較して、銅がより豊富でニッケルがより少ない主要アノード銅製品を製造する能力を有し得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、最大3.5重量%の鉄、好ましくは最大3.0重量%、より好ましくは最大2.5重量%、さらにより好ましくは最大2.0重量%、さらになおより好ましくは最大1.80重量%、好ましくは最大1.60重量%の鉄を含む。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、最大8.0重量%の亜鉛、好ましくは最大7.5重量%、より好ましくは最大7.0重量%、さらにより好ましくは最大6.5重量%、さらになおより好ましくは最大6.0重量%、好ましくは最大5.5重量%、より好ましくは最大5.0重量%、さらにより好ましくは最大4.7重量%の亜鉛を含む。
出願人らは、鉄及び/又は亜鉛の濃度を指定の境界内に維持することが賢明であることを見出した。これらの金属は、典型的には、銅の精錬ステップで酸化され、付随物を消費する。亜鉛は、工程の還元ステップのいずれかで容易に還元され、したがってそこで付随物も消費する。さらに、これらの金属は炉の容積を占領する。これらの理由により、出願人らによれば、これらの金属を指定のそれぞれの濃度に制限することが望ましい。
本発明による工程の一実施形態では、ステップb)及び/又はステップc)におけるスラグの温度は、少なくとも1000℃、好ましくは少なくとも1020℃、より好ましくは少なくとも1040℃、さらにより好ましくは少なくとも1060℃、好ましくは少なくとも1080℃、より好ましくは少なくとも1100℃、さらにより好ましくは少なくとも1110℃、好ましくは少なくとも1120℃、より好ましくは少なくとも1130℃、さらにより好ましくは少なくとも1140℃、好ましくは少なくとも1150℃である。出願人らは、スラグの温度が規定の制限値に準拠し、好ましくは規定の制限値を超えると、金属相とスラグ相との間の分離がより良好になることを見出した。この理論に縛られることを望まないが、出願人らによれば、少なくともスラグの粘度が高温ではより低いため、より高い温度がより良好な分離をもたらすと考えられる。スラグ粘度が低いほど、より重い金属の泡がより速く結合してより大きな泡になり、下にある金属相に到達して金属相と結合するまで、スラグ相を通過してより速く沈降することができる。より高い温度はまた、反応速度がより早くなるという利点をもたらし、その結果、所望の平衡により速く到達することができる。
しかしながら、出願人らによれば、同様に、金属相とスラグ相との間の平衡は温度によって影響を受けると考えられる。通常、温度が高いほど、工程条件下での酸素に対する親和性の観点から、異なる金属間の違いは低減する傾向がある。したがって、出願人らによれば、ステップb)及び/又はステップc)における炉の温度を最大1300℃、好ましくは最大1250℃、より好ましくは最大1200℃に制限することが好ましい。出願人らによれば、少なくとも2つの液相間、通常は上澄みスラグ相と下にある金属相との間で相分離が行われる本発明による工程のすべてではないにしても、ほとんどのステップにこの制限を適用することが好ましい。
本発明による工程の一実施形態では、追加の原材料が新しい供給原料としてステップb)に加えられる。出願人らによれば、固体金属の溶融が反応熱の一部を吸収することができ、炉の温度を好ましい範囲内に保つのを助けるので、固体金属を含む原材料を加えることが好ましい。出願人らによれば、この目的のために、銅に富み、少なくとも少量のSn及び/又はPbを含み得る原材料を使用することが好ましい。好ましい温度範囲は、その温度未満では少なくとも1つの液相の粘度が炉を作動させるには高すぎることになる下限によって制限される。好ましい温度範囲は、その温度を超えると有価金属、特にスズ及び/又は鉛の揮発性が過剰になり、炉ダストの一部としてのこれらの金属の回収が非常に面倒で複雑かつ高価になる上限によって制限される。
非鉄金属の製錬又は精錬ステップの高温では、金属及び金属酸化物はどちらも液体の溶融状態で発生する。金属酸化物は通常、金属よりも密度が低く、分離したいわゆる「スラグ」相を形成し、これは、溶融金属相の上部に上澄み液相として浮遊する。したがって、金属酸化物は、溶融金属相とは別の液体スラグ相として重力によって分離され得る。シリカは通常、通常の砂の形で、いわゆる「フラックス材料」として、すなわちスラグ希釈剤として、及び/又はスラグの流動性を改善して、スラグが金属相からより容易に分離し、より処理が簡単になるように添加され得る。シリカは特定の元素を結合することもできるため、その元素が金属相ではなくスラグ相の一部になるようにする狙いにも影響を与える。出願人らは、シリカの添加が、スラグ相と金属相とが互いに分離されるべきである本発明による工程の一部である多くのステップにとって非常に望ましい工程要素であることを見出した。なぜなら、シリカは、多くの状況で、金属相に望ましい金属及びスラグ相に留まることが好ましい金属に関して望ましい分離を支持して、金属相とスラグ相との間の平衡を変化させるのを助けるからである。出願人らはさらに、スラグが鉄を含み、炉から引き出されて、高温の液体スラグを水と接触させることによって造粒される場合、シリカの添加により、鉄が水の分解、したがって爆発の危険をもたらす水素ガスの形成を起こす触媒として作用する形態で存在するおそれを避けることができることを見出した。シリカはまた、スラグ中のスズの活性を高め、一部のSnOをSn金属に還元し、Snは金属相に移動する。この最後のメカニズムにより、下にある同じ金属組成物のスラグに残るSnの量が減少する。
乾式冶金の操作条件では、炉内の様々な金属と酸化物との間でいくつかの化学反応が起こる。酸素との親和性が高い金属は酸化されやすく、これらの酸化物はスラグ相に移動する傾向があるが、酸素との親和性が低い金属は、酸化物として存在する場合、還元されて金属状態に戻りやすく、これらの金属は液体金属相に移動する傾向がある。十分な接触面及び時間がある場合、工程条件下で酸素に対する親和性が低い金属が集まる金属相と、工程条件下で酸素に対する親和性が高い金属がそれらの酸化物の形態で集まるスラグ相との間に平衡が確立される。
ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si)などの金属は、酸素との親和性が非常に高く、ほとんどがスラグ相でのみ回収される。銀(Ag)、金(Au)、その他の貴金属などの金属は、酸素との親和性が非常に低く、ほとんどが金属相でのみ回収される。他のほとんどの金属は、典型的には、これらの両極の「中間」で挙動し、それらの優先度は、他の元素若しくは物質の存在、又はそれらの相対的な不在によって影響を受ける可能性がある。
本発明の対象となる金属は、非鉄金属精錬の典型的な炉条件下で、酸素に対する親和性を有し、金属相とスラグ相との間に分布する傾向がある。酸素に対する親和性が低いものから高いものへ、したがって金属相への親和性が比較的高いものから低いものへと、これらの金属を順位付けると、おおよそ次のように表される:Au>Ag>>Bi/Cu>Ni>As>Sb>Pb>Sn>>Fe>Zn>Si>Al>Mg>Ca。便宜上、これは、貴金属から卑金属への順位付けと呼んでもよいが、この条件付けは、非鉄金属の乾式冶金工程の特定の条件及び状況と関連付ける必要があり、他の分野へは転用できない可能性がある。このリストでの特定の金属の相対位置は、とりわけ、例えばケイ素などの炉内の他の要素の有無によって影響を受ける可能性がある。
金属相とスラグ相との間の金属の平衡分布は、酸素及び/又は酸素捕捉物質(又は還元剤)を炉内の液浴に加えることによっても影響され得る。
酸素を添加すると、金属相の一部の金属が酸化形態に変換され、この酸化物はスラグ相に移動する。酸素に対する親和性が高い金属相の金属は、この変換を受けて移動する傾向がある。したがって、金属相とスラグ相との間の平衡分布は、より変化しやすい可能性がある。
酸素捕捉物質を添加することによって、これとは反対の結果が得られる可能性がある。適切な酸素消費物は、例えば木材又は天然ガスなどの他の可燃物などの有機材料中の任意の形状又は形態の炭素及び/又は水素であり得る。炭素及び水素は、容易に酸化(「燃焼」)し、HO及び/又はCO/COに変換され、これらの成分は、液浴を容易に離れ、浴からその含有酸素を同伴する。しかし、Si、Fe、Al、Zn及び/又はCaなどの金属も、適切な還元剤である。鉄(Fe)及び/又はアルミニウム(Al)は、入手が容易であるため、特に重要である。これらの成分は、酸化によって、スラグ相の金属の一部を酸化状態から金属状態に還元し、これらの金属は金属相に移動する。ここで、この還元反応が起こりやすく、反対方向に移動しやすいのは、酸素への親和性が低いスラグ相中の金属である。
製錬ステップにおいて、目的の1つは、供給原料とともに流入する貴重な非鉄金属の酸化物を還元して、それらの対応する還元金属にすることである。製錬ステップで発生する反応の方向及び速度は、炉内の雰囲気の性質を制御することによってさらに操作することができる。代替的又は追加的に、酸素供与物質又は酸素捕捉物質を精錬ステップに加えることができる。
このような操作に非常に適した酸素捕捉物質は、鉄金属であり、通常は鉄くずが好ましい。典型的な操作条件下では、鉄は高温の酸化物、シリケート、及び鉄よりも酸素に対する親和性が低い他の金属化合物と反応し、元素形態で後者の金属を含む溶融物を生成する。典型的な反応は次のとおりである。
MeO+Fe→FeO+Me+熱
(MeO)SiO+x Fe→(FeO)SiO+x Me+熱
浴の温度は、反応熱及び燃焼熱により高いままである。温度は、スラグが液体のままであり、鉛及び/又はスズの揮発が制限されたままである範囲内で容易に維持することができる。
溶融炉で行われる各還元反応は平衡を形成する。したがって、各反応を通じて実現される変換は、以下のような関係で定義された平衡によって制限される。
[FeO][Me]
K1=−−−−−−−−−−−−−−−−−
[MeO][Fe]
[(FeO)SiO][Me]
K2=−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[(MeO)SiO][Fe]
これらの式のパラメータは、操作条件下での言及された化学成分の活性を表しており、多くの場合、成分の濃度に操作条件下での成分の活量係数を掛けたものであり、これにより、後者は常に1.0と等しいわけでも、異なる成分に対して同じでもない。出願人らは、活量係数が、場合によってスラグ形成剤とも呼ばれるいわゆるフラックス化合物などの他の化学化合物の存在によって、特に二酸化ケイ素の添加によって影響を受ける可能性があることを見出した。
Meが銅の場合、K1及びK2は通常の反応温度では高くなり、したがって、銅化合物の還元が進行して実質的に完了する。鉛及びスズの場合、K1及びK2はどちらも比較的低いものの、金属相の銅はスラグ反応領域から金属鉛及びスズを抽出し、それによってスラグ内のこれらの金属の活性は低下し、結合した鉛及びスズの還元が進められて完了する。
亜鉛の蒸気圧は、典型的な反応温度で比較的高く、鉛及びスズとは対照的に、亜鉛の大部分は炉から容易に揮発する可能性がある。炉を離れる亜鉛蒸気は、例えば炉口とフード及び/又は排気管との間で吸引され得る空気によって酸化される。得られた酸化亜鉛ダストは、従来のダスト収集システムによって凝縮及び収集される。
好ましくは、製錬炉内のスラグの銅、スズ及び鉛含有量は、それぞれ0.5重量%以下に低減される。その目的のために、金属相は、スラグから存在する鉛及びスズを抽出するための溶媒として作用するのに十分な銅を含む必要がある。またこの理由から、出願人らによれば、本発明による工程に供給される黒銅中の銅濃度が、本明細書の他の場所で指定された下限を超えることが好ましい。
本発明による工程の一実施形態では、ステップc)は、好ましくは第1銅精錬スラグの還元前に還元剤を第1銅精錬スラグに加えることによって、ステップc)に第1還元剤を加えることを含む。出願人らは、還元剤の添加が所望の化学的還元の達成を助けることを見出した。出願人らは、第1還元剤が可能性としてメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第1還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含み、好ましくはそのような金属である。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きく、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにほとんど必要とされない場合があることを見出した。出願人らはさらに、上記で説明したように、ステップc)がシリカの添加によってさらに利益を得る可能性があることを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、
d)第1液浴を部分的に酸化して、第1銅希薄金属組成物と第1はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第1銅希薄金属組成物から第1はんだ精錬スラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、ステップd)が、第1液浴中に存在するはんだ金属、すなわちスズ及び/又は鉛の主要量を、第1液浴に存在する銅、及び場合によってさらにニッケルの大部分を同伴することなく、第1はんだ精錬スラグに濃縮するのに非常に適しており、これは、同時に、第1液浴に存在するほとんどの銅及びニッケルを含む金属流を、ステップd)の条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い多量の金属を同伴することなく、回収することによって行われることを見出した。特に、ステップd)は、存在する場合、ほとんどの銅及びニッケルを第1銅希薄金属組成物の一部として除去し、それによって、銅及び/又はニッケルを少量のみ含むが、スズ及び/又は鉛を比較的多量に、工程条件下で鉛及び/又はスズよりも酸素に対する親和性がさらに高いほとんどの金属とともに含むスラグ相を生成する。一方、ステップd)は、ほとんど乃至全く価値がない金属でほとんど希釈されずに有価金属に富むため、その含有金属の回収に非常に適した金属流を製造する。
出願人らは、ステップd)における銅希薄金属組成物の生成は、一方では銅を高純度の銅流に、潜在的にはさらにアノード品質まで、他方では、本明細書の以下でさらに説明されるステップe)で得られる第1粗はんだ金属組成物などの粗はんだ流に、比較的明確に分離する点で大きな利点をもたらすことを見出した。ステップd)の元素銅は、ステップd)でスズ及び/又は鉛の抽出剤として作用するだけでなく、上流にも作用する。したがって、銅はスズ及び/又は鉛の担体として働く。ステップb)及び/又は本明細書の以下でさらに説明されるh)において、一部の銅をそれぞれのスラグ相に同伴することは、主要な銅工程流からより多くのスズ及び/又は鉛を除去するのに役立ち、主要な銅工程流は、金属流として、銅精錬工程ステップb)及び/又はh)を通過し、高純度の銅製品にさらに処理するのに十分な濃度の主要銅製品流になる。銅は、工程ステップc)のスズ及び/又は鉛の溶媒としても役立つ。したがって、ステップc)の銅は、ステップc)の金属相、すなわち第1鉛−スズ系金属組成物にスズ及び/又は鉛を保持するのに役立ち、ステップc)から第1使用済みスラグに流入し得るスズ及び/又は鉛の量を低減する。
出願人らはさらに、酸化ステップd)が、金属相として第1銅希薄金属組成物が製造されるおかげで、第1はんだ精錬スラグに同伴する銅の量に対して、スズ及び/又は鉛が豊富な、特にスズ及び鉛を合わせて豊富な第1はんだ精錬スラグを生成することができることを見出した。第1はんだ精錬スラグは、スズ及び/又は鉛に富むため、これにより、この第1はんだ精錬スラグからはんだ金属(すなわち、スズ及び/又は鉛)を下流で回収することが容易になる。
出願人らはまた、ステップd)における第1銅希薄金属組成物の生成は、より多くのスズ及び/又は鉛を原材料とともに導入することができるというさらなる利点を提供することを見出した。これにより、工程b)に追加で、すなわち黒銅に加えて供給され得るすべての原材料の許容基準が広がるだけでなく、その下流の工程、例えばステップh)、c)、d)、及び本明細書の以下でさらに説明されるステップj)においても同様である。さらに、これにより、黒銅自体の許容基準も大幅に緩和される。したがって、この特徴は、黒銅の製造に使用される、通常は製錬ステップからの主製品として得られる原材料の許容基準を著しく拡大する。したがって、製錬ステップは、経済的により魅力的な条件でより豊富に入手可能な、低品質の原材料をはるかに多く受け入れることができる。
出願人らはさらに、第1銅希薄金属組成物の生成は、ステップd)において、第1銅希薄金属組成物への流入が意図される銅及びニッケルと、第1はんだ精錬スラグへの流入が意図されるスズ及び鉛とをより良く分離することができるというさらなる利点をもたらすことを見出した。
出願人らは、ステップd)の上流又は前のステップc)の実施が、ステップd)において、ステップd)の銅及び/又はニッケルの金属製品への有利に高い回収を可能にし、存在する場合でも比較的少量のみの銅及び/又はニッケルを第1はんだ精錬スラグにすることを見出した。
最終的に粗はんだの汚染物質となる銅及び/又はニッケルの量は、存在する鉄とともに、特に精錬工程がケイ素金属を使用して行われる場合、粗はんだ精錬工程の負担となり、したがって望ましくない。出願人らは、ステップd)の下流で、銅、ニッケル及び鉄を合わせた含有量が米国特許第3682623号における含有量の18.11重量%よりも大幅に少ない粗はんだ金属が製造され得ることを見出した。
出願人らはさらに、スラグ再処理炉から回収される第1銅希薄金属相に含まれる低価値金属がはるかに少ない可能性があることを見出した。米国特許第3682623号では、再循環のための黒銅(表XIV)には、Cu、Sn、Pb及びNiの合計の97.52重量%のみが含まれており、残りは2.48重量%である。この差は、第1銅希薄金属相が、特に流れに含まれる有価金属を回収する場合、さらに処理が容易になるという利点をもたらす。
出願人らはさらに、ステップd)から回収される第1銅希薄金属相が比較的多量のスズ及び/又は鉛を含み得ることを見出した。これは、ステップd)から得られる対応するスラグ相、すなわち、十分な時間及び混合がもたらされた場合に第1銅希薄金属相と平衡状態になるはずの第1はんだ精錬スラグでも、スズ及び/又は鉛がより豊富になるという利点をもたらす。結果として、第1はんだ精錬スラグをさらに処理してはんだ金属、すなわちスズ及び/又は鉛をそこから回収することにより、下流でより多くのスズ及び/又は鉛を回収することができる。全体的な結果として、本発明による工程から製造される銅の量と比較して、より多くの粗はんだが製造され得る。この利益に関連して、本発明による工程の銅製造率と比較して、はるかに多量の高純度スズ製品が製造され得るという追加の利点がもたらされる。スズの同時製造は、銅の製造収益を上回る追加の収益を生み出すため、この利点は、工程操作者にとって大きな経済的利益となり得る。
出願人らはさらに、ステップd)から回収される第1銅希薄金属相におけるスズ及び/又は鉛のより多い存在が、米国特許第3682623号で行われているように、この流れをそのまま第1銅精錬ステップb)に単に再循環するのではなく、この流れを分離して処理することによって、この流れからのスズ及び/又は鉛の回収を技術的により容易に、経済的にもより有利にすることを見出した。出願人らは、ステップd)から得られる第1銅希薄金属相又は組成物が、一方ではスズ及び/又は鉛がより濃縮された流れ、他方では銅及び/又はニッケルがより濃縮された流れにさらに分離されるのに非常に適していることを見出した。スズ及び/又は鉛がより濃縮された別の流れの生成は、銅の製造に比べてさらにより高純度のスズ副製品を生成する可能性をもたらし、これはその主題に関して上記で議論された利点に追加される。米国特許第3682623号で行われたのと同様に、追加の分離に続いて、銅及び/又はニッケルがより濃縮された流れの少なくとも一部が第1銅精錬ステップb)に再循環される場合でも、再循環流におけるスズ及び/又は鉛は銅含有量に対して少なくなるため、この再循環流が通過するステップにおける追加の新しい供給原料の処理に利用可能な炉容積はより多くなる。
出願人らはまた、ステップd)を含む工程がスラグ相、すなわち第1はんだ精錬スラグの製造に非常に効果的であり、このスラグは、高純度のスズ及び/又は鉛製品の回収のための中間体として役立ち得る誘導粗はんだ流の製造に特に適していることを見出した。出願人らは、この効果が、特に工程d)で第1銅希薄金属組成物を得ることに起因するだけでなく、本発明による工程で特定される一連の酸化及び還元ステップにも起因することを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、
e)第1はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第1粗はんだ金属組成物と第2はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第1粗はんだ金属組成物から第2はんだ精錬スラグを分離するステップ
をさらに含む。
このステップe)によって、第1はんだ精錬スラグに同伴された比較的少量の銅及び/又はニッケルのほとんども含む、スズ及び/又は鉛が豊富な粗はんだ流が製造される。第1粗はんだ流は、例えば独国特許出願公開第102012005401号に記載のケイ素金属での処理によって、スズ及び/又は鉛をさらに濃縮するためにさらに処理するのに適している。代替的又は追加的に、この粗はんだ流は、任意選択的にスズ及び/又は鉛含有量を増加させるための濃縮ステップ後に、国際公開第2018/060202号又は類似案件に記載のようにさらに調整され、その後、同じ文献に記載のように、蒸留して、高純度金属製品としてスズ及び/又は鉛を回収してもよい。
出願人らは、ステップe)における還元は、適切な金属流(第2還元剤)を加えることによって、すなわち、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、例えば亜鉛、ケイ素、マグネシウム、鉄、カルシウム又はアルミニウムを含む金属組成物を加えることによって、少なくとも部分的に実施され得ることを見出した。この金属流は、好ましくはさらにスズ及び/又は鉛も含み、任意選択的にいくらかのアンチモン及び/又はヒ素も含み得る。この追加のアンチモン、スズ、及び/又は鉛は、最終的にステップe)からの第1粗はんだ金属組成物の一部に容易になり、精製された金属主要製品の一部として下流で容易に回収され得る。追加される金属流は、好ましくは、ニッケル及び/又は銅、すなわち、最終的にステップe)からの第1粗はんだ金属組成物の一部となる可能性も高いが、第1粗はんだ金属組成物の精錬の下流にケイ素処理ステップを設ける場合の追加のケイ素消費など、余分な工程負担及び運用費用をもたらす可能性がある金属を、少量のみ含むことが好ましい。また、追加された鉄のすべてがスラグ相になるわけではなく、第1粗はんだ金属組成物とともにステップe)を離れて、下流の工程の負担を増やすため、鉄は、限られた量のみ存在するのが好ましい。
出願人らは、ステップe)でのはんだ金属の第1粗はんだ金属組成物への回収が有利に高くなり、スズ及び/又は鉛だけでなく、銅及び/又はニッケルの第2はんだ精錬スラグへの同伴も有利に低く維持され得ることを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、
f)第2はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第2鉛−スズ系金属組成物と第2使用済みスラグとを形成し、続いて、第2鉛−スズ系金属組成物から第2使用済みスラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、粗はんだ製造ステップe)の下流に、追加の還元ステップf)を、特に上記ステップe)から回収された第2はんだ精錬スラグの還元ステップを設けることが有利であることを見出した。出願人らは、ステップf)によって、この第2はんだ精錬スラグからより多くの有価金属を抽出しながら、残りのスラグを価値のある最終使用用途での使用のために、及び/又は使用済みスラグとして廃棄するためにさらにより適切に処理し得ることを見出した。出願人らはさらに、追加の還元ステップf)が、スラグ中の鉛などの浸出可能な金属を十分に低い濃度に還元することができ、その結果、ステップf)から残ったスラグはさらに貴重な材料として使用可能になり、又は責任をもって廃棄可能になり、これはまた、鉛及び/又は亜鉛などの敏感な金属の濃度を下げるために、非常に限られた数の追加の処理ステップで、場合によってはさらなる処理ステップなしで行われ得ることを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、好ましくは第2はんだ精錬スラグの還元前に、ステップf)に第1新しい銅含有供給原料を加えることを含む。
出願人らは、銅が、ステップe)の後に残される第2はんだ精錬スラグ中に残存する他の有価金属の優れた抽出剤として作用することができ、また、この有利な抽出は、ステップf)で製造される第2使用済みスラグへの多量の銅の損失を伴わずに実行することができるため、還元ステップf)への銅の添加は大きな利点をもたらすことを見出した。
出願人らはさらに、ステップf)に添加され得る新しい銅含有供給原料が、多量の他の有価金属、特に亜鉛、ニッケル、スズ及び/又は鉛を含み得ることを見出した。出願人らは、十分な銅が提供されている場合、特にスズ及び/又は鉛の第2使用済みスラグへの損失を非常に低く保つことができるため、この第2使用済みスラグのさらなる使用又は経路づけを脅かすことも、有価金属の経済的に重要な損失を招くこともないことを見出した。
出願人らは、多種多様な材料が、ステップf)への新しい銅含有供給原料として適していることを見出した。しかしながら、出願人らによれば、ステップf)への新しい銅含有供給原料が、可燃物、すなわち工程条件下で容易に酸化する物質、例えばプラスチック及び/又は炭化水素などの有機材料、燃料又はオイルの残りなどを、限られた量のみ含み、好ましくはほとんど乃至全く含まず、そのため、ステップf)の温度が容易に制御可能であることが好ましい。
本発明による工程の一実施形態では、第1新しい銅含有供給原料は、黒銅及び/又は使用済み若しくは排除銅アノード材料を含む。
出願人らは、ステップf)において、ステップa)で提供された黒銅と組成が類似した多量の黒銅をステップf)に添加して、ステップe)からの第2はんだ精錬スラグからより多くの有価金属を抽出することができ、その際、追加の有価金属をステップf)からの第2使用済みスラグに過剰に失わないことを見出した。出願人らは、ステップf)で許容される上流の製錬ステップからのそのような黒銅の量は、ステップb)の供給原料としてステップa)で提供される黒銅量が桁違いの大きさであったとしても、非常に大きいことを見出した。出願人らは、ステップf)を本発明による工程に含めることにより、製錬タイプの黒銅を処理する能力を、したがって、低価値の、つまり、高価値に高められる可能性のある有価金属を持ち込む低品質の原材料を多量に処理する能力を大幅に高めることを見出した。出願人らは、ステップf)を操作するこの方法は、上流の製錬ステップからの黒銅の大部分が、これらのすべての黒銅が銅精錬シーケンスの少なくとも第1ステップb)を通過する必要なく処理され得るという追加の利点をもたらすことを見出した。ステップf)への黒銅供給原料中の、工程条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高いすべての金属は、この新しい黒銅供給原料からステップf)への銅がステップb)に流入し、ステップb)、h)及びj)の銅精錬工程シーケンスを通過する前に、すでに除去されている可能性が高い。
出願人らはまた、ステップf)が使用済み及び/又は排除銅アノード材料を導入するのにも非常に適していることを見出した。高品質の銅の製造は、典型的に電気分解ステップを含み、銅はアノードから電解液に溶解し、カソードに再堆積する。アノードは、典型的には完全には消費されず、アノードは、その最後の銅が溶解する前に電解浴から使用済み銅アノード材料として除去される。出願人らは、ステップf)がそのような使用済み銅アノード材料を導入するのに非常に適していることを見出した。そのような銅電気分解ステップのための銅アノードは、典型的には、適量の溶融アノード品質銅を鋳型に注ぎ、冷却時に銅を凝固させることにより鋳造される。銅の電気分解を適切に機能させるために、アノードはかなり厳格な寸法及び形状要件に準拠する必要がある。非準拠のアノードは使用しないことが好ましいが、排除銅アノード材料を表す。出願人らは、ステップf)はそのような排除銅アノード材料を導入するのにも非常に適していることを見出した。
出願人らによれば、使用済み及び/又は排除銅アノード材料を、予熱をほとんど乃至全く伴わずに固体として導入することが好ましい。これは、この材料の溶融が、ステップf)で発生する化学反応によって生成される反応熱の少なくとも一部を消費するという利点をもたらす。
本発明による工程の一実施形態では、ステップf)は、第3還元剤をステップf)、すなわち第2はんだ精錬スラグを還元するステップに加えることを含む。
出願人らは、第3還元剤が、還元ステップf)の生成物を所望の通りに分離するように駆り立て、有価金属を第2鉛−スズ系金属組成物中に分離し、排除可能金属を第2使用済みスラグに維持することを可能にすることを見出した。出願人らは、第3還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第3還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含み、好ましくはそのような金属である。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きく、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにわずかでよいか、又はほとんど必要とされない場合さえあることを見出した。出願人らはさらに、上記で説明したように、ステップf)がシリカの添加によってさらに利益を得る可能性があることを見出した。
出願人らによれば、ステップf)に、鉄を豊富に含む第3還元剤を、好ましくはマルチメタル材料として追加することが好ましく、これは、上記マルチメタル材料が、高純度のスズ、高純度の銅、又は高純度の鉄よりも有利な条件で容易に入手できるからである。別の適切な材料は、電気モータ、好ましくは使用済みのそのようなモータであり得る。なぜなら、そのようなモータは、コアに鉄を、巻線に銅を多く含むからである。出願人らは、銅及び/又はスズが金属相に容易に保持され、スラグ相への移動が阻止される一方、この新しい銅含有供給原料に含まれる鉄は酸化鉄としてスラグ相に容易に移動し、ただしそれによって、工程条件下で鉄よりも酸素に対する親和性が低い他の金属の化学的還元が助けられることを見出した。
本発明による一実施形態では、工程は、
g)第2鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部をステップc)に再循環し、好ましくは第1銅精錬スラグを還元する前に、好ましくはすべてではないにしてもほとんどの第2鉛−スズ系金属組成物をステップc)に加えるステップ
をさらに含む。
出願人らは、ステップf)からの第2鉛−スズ系金属組成物中の有価金属が、この組成物をステップc)に加えることによって容易に回収され得ることを見出した。工程条件下で酸素に対する親和性がより高い第2鉛−スズ系金属組成物中の金属は、容易に酸化し、同じ条件下で酸素に対して親和性がより低い第2鉛−スズ系金属組成物中の金属は、ステップc)に供給されて還元される。ステップc)におけるステップf)からの追加の金属の存在は、第1銅精錬スラグ中に酸化物として存在する金属の部分的な還元をもたらす。その結果、Cu、Ni、Sn、Pb、Sb、Asなどのより多くの有価金属がステップc)の金属相に移動し、Fe、Si、Alなどのより多くの排除可能金属がステップc)で製造される第1使用済みスラグに移動する。したがって、この第2鉛−スズ系金属組成物をステップc)に加えると、ステップf)から回収された金属の所望の分離が得られることと組み合わせて、ステップc)への他の供給原料の所望の分離が改善される。
本発明による工程の一実施形態では、ステップe)は、第2還元剤をステップe)に、好ましくは第1はんだ精錬スラグの還元前に第1はんだ精錬スラグに加えることを含む。出願人らはさらに、ステップe)で還元を行うために、ステップe)に加えられ得る金属流に加えて、又は代替として、還元剤をステップe)に加えてもよいことを見出した。出願人らは、還元剤の添加が所望の化学的還元の達成を助けることを見出した。出願人らは、第2還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第2還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属を含み、好ましくはそのような金属であり、好ましくは第2還元剤は、鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きいため、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにわずかでよいか、又はほとんど必要とされない場合さえあることを見出した。出願人らはさらに、上記で説明したように、ステップe)がシリカの添加によってさらに利益を得る可能性があることを見出した。
本発明による工程の一実施形態において、第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料がステップe)に、好ましくは第1はんだ精錬スラグの還元前に第1はんだ精錬スラグに加えられ、好ましくは第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料は、Pb及び/又はSnの濃縮流の下流処理から得られるドロスを含み、好ましくはそのようなドロスである。
出願人らは、ステップe)が、スズ及び/又は鉛が豊富だが、銅及びニッケルが少ない、ただし工程条件下でスズ及び鉛よりも酸素への親和性が高い金属を含む可能性がある材料を導入するための本工程における非常に適切な場所であることを見出した。上記材料のステップe)への追加は、スズ及び/又は鉛が第1粗はんだ金属組成物の一部として容易に回収され、工程から引き出される一方、いわゆる「卑金属」と呼ばれる金属は、短い直線の工程経路で下流のステップf)で製造される第2使用済みスラグに入るという利点をもたらす。
出願人らは、ステップe)が、そのような金属が豊富であるが銅及び/又はニッケルが比較的少ない原材料又は工程副製品において、スズ及び/又は鉛、並びに任意選択的にアンチモン及び/又はヒ素を回収するのに非常に適していることを見出した。出願人らは、第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料が、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムなどをさらに含み得ることを見出した。そのような金属は、例えば、第1粗はんだ金属組成物又は下流の誘導物などのスズ及び/又は鉛に富む流れを精錬するための下流ステップで使用される工程薬品の一部として導入され得る。出願人らは、ステップe)が、国際公開第2018/060202号又は類似案件に開示された工程の一部として実施される精錬ステップの1つで形成されたドロス副製品から有価金属を回収するのに非常に適していることを見出した。そのようなドロス副製品流は、典型的には、経済的に多量のスズ及び/又は鉛を同伴するが、工程薬品の一部として導入された可能性がある他の金属も含む。
一実施形態では、本発明による工程は、ステップd)の炉装入物への新しい供給原料の添加を含む。出願人らは、ステップd)が有価金属をそれらの酸化物から回収するのに非常に適していることを見出した。酸化物形態でステップd)への新しい供給原料の一部として追加される銅、スズ及び/又は鉛は、工程条件下でステップd)、e)又はf)で形成される金属相において元素金属として容易に回収され得る。したがって、出願人らは、ステップd)が、例えば、望ましい量を超える特定の金属を含み、したがって経済的又は生態学的に廃棄に適さない最終スラグ体積、又は溶融スラグを1つの工程ステップから別の工程ステップに輸送するために使用されるコンテナの内側に堆積し得るクラストとして収集されたスラグ層体積を再循環するのに適していることを見出した。出願人らは、そのような材料を新しい供給原料としてステップd)に加えることにより、その中の有価金属の回収が改善されることを見出した。
本発明の一実施形態では、工程は、
h)第1銅濃縮金属相を部分的に酸化して、第2銅濃縮金属相と第2銅精錬スラグとを形成し、続いて、第2銅濃縮金属相から第2銅精錬スラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、ステップb)で形成された第1銅濃縮金属相が、その流れを後続の酸化ステップに送ることにより、銅をさらに濃縮することができることを見出した。後続の酸化ステップは、第2銅精錬スラグの形成をもたらし、第2銅精錬スラグは、経済的に多量の銅以外の有価金属を含み得るが、経済的に多量の銅も同伴する。
ステップh)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)及び/又はh)を介して処理されるスズ及び鉛の総量の少なくとも37.0重量%が、第1銅精錬スラグと第2銅精錬スラグとに合わせて回収される。
ステップh)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)及び/又はh)を介して処理されるスズ及び鉛の総量の少なくとも37.5重量%、より良好には少なくとも38重量%が、第1銅精錬スラグと第2銅精錬スラグとに合わせて回収され、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも45重量%、さらにより好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも92重量%、さらにより好ましくは少なくとも94重量%、さらになおより好ましくは少なくとも95重量%が回収される。出願人らは、銅精錬ステップシーケンスの初期スラグへのスズ及び/又は鉛の高い回収率が、一方の銅と他方のはんだ金属のスズ及び/又は鉛との間のより良好な分離を得るために有利であることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)を介して処理されるスズ及び鉛の総量の少なくとも8.5重量%が、第1銅精錬スラグに回収され、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも45重量%、さらになおより好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、さらにより好ましくは少なくとも64重量%、さらになおより好ましくは少なくとも68重量%が回収される。出願人らは、銅精錬ステップb)及びh)のシーケンスの初期で、より多くのスズ及び/又は鉛が酸化されて銅精錬スラグ相に移動するほど、一方の銅と他方のはんだ金属との間の分離全体がより良好になることを見出した。
ステップh)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)及び/又はh)を介して処理されるスズの総量の少なくとも41.0重量%は、第1銅精錬スラグと第2銅精錬スラグとに合わせて回収され、好ましくは少なくとも45重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも65重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも92重量%が回収される。
ステップh)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)及び/又はh)を介して処理される鉛の総量の少なくとも34.5重量%が第1銅精錬スラグと第2銅精錬スラグとに合わせて回収され、好ましくは少なくとも35重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも45重量%、さらにより好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも60重量%、さらになおより好ましくは少なくとも65重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも91重量%が回収される。
本発明により工程の一実施形態では、工程は、
i)第2銅精錬スラグの少なくとも一部を第1液浴に加える、及び/又は第2銅精錬スラグの少なくとも一部をステップd)に加えるステップ
をさらに含む。
出願人らは、第2銅精錬スラグの組成が、第1液浴への添加に非常に適していることを見出した。したがって、出願人らによれば、すべての第2銅精錬スラグを第1液浴に加えるのが好ましい。第一に、第2銅精錬スラグは、対象となる有価金属のスズ及び鉛を既に比較的豊富に含むだけでなく、下流でスズ及び鉛などの非銅金属の抽出剤として作用し得る銅も多量に含むため、この流れは適している。第二に、第2銅精錬スラグは、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、より具体的には最終精製金属製品である銅、スズ、及び/又は鉛中に所望されない金属であって、使用済みスラグの一部として工程から除去する必要がある金属を少量のみ含む。第2銅精錬スラグにはそのような金属が比較的乏しいため、このスラグを第1液浴に添加しても、工程シーケンスd)、e)及びf)、すなわち、このような「卑金属」が最終的に使用済みスラグ、この場合は第2使用済みスラグになる好ましい工程経路の下流のステップのいずれにおいても、無駄に多くの炉容積を消費しない。
出願人らは、ステップb)、h)、c)、i)及びd)を含む本発明による工程が、スラグ相、すなわち第1はんだ精錬スラグの製造に非常に効果的であり、このスラグは、誘導物はんだ流、すなわち第1粗はんだ金属組成物の製造に特に適しており、この誘導物はんだ流は、高純度のスズ及び/又は鉛製品を回収するための中間体として役立ち得ることを見出した。出願人らは、この効果が、特にステップd)で第1銅希薄金属組成物を得ることに起因するだけでなく、指定の一連の酸化及び還元ステップにも起因することを見出した。
本出願人らはさらに、本発明による工程はエネルギー効率も非常によいことを見出した。ステップi)では、第1液浴及び/又はステップd)に加えられた第2銅精錬スラグが、第1液浴中の不純物の酸化剤として作用する。第2銅精錬スラグ中の酸化銅は、その浴中で元素銅に容易に還元され、それにより、工程条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高い金属をそれらの元素金属形態から酸化物に変換するための酸素を放出する。したがって、ステップd)で形成された元素銅は金属相に移動し、第1銅希薄金属組成物とともにステップd)を離れる。ステップd)で酸化物に変換される金属はスラグ相に移動し、第1はんだ精錬スラグに回収される。出願人らは、ステップd)において、多量のSn及び/又はPbが、炉に流入する金属相から、ステップd)の終わりに存在する第1はんだ精錬スラグに向かって移動する可能性があることを見出した。出願人らはまた、ステップd)におけるこれらの化学的変換、すなわち酸化銅から元素銅、及びスズ、鉛又は他の金属からそれらの酸化物への変換は、エネルギー、外部の酸化剤及び/又は還元剤の追加の投入が比較的少なくても達成することができ、したがって、比較的限られたエネルギーの消費又は工程薬品の投入で済むことを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、工程は、
j)第2銅濃縮金属相を部分的に酸化して、第3銅濃縮金属相と第3銅精錬スラグとを形成し、続いて、第3銅濃縮金属相から第3銅精錬スラグを分離するステップと、
k)第3銅精錬スラグの少なくとも一部を第1銅希薄金属組成物に加えて、第2液浴を形成する、及び/又は第3銅精錬スラグの少なくとも一部をステップl)に加えるステップと、
l)第2液浴を部分的に酸化して、第1高銅金属組成物と第3はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第1高銅金属組成物から第3はんだ精錬スラグを分離するステップと
をさらに含む。
出願人らは、ステップh)で形成された第2銅濃縮金属相が、その流れを後続の酸化ステップj)に送ることにより、銅をさらに濃縮することができることを見出した。後続の酸化ステップは、第3銅精錬スラグの形成をもたらし、第3銅精錬スラグは、経済的に多量の銅以外の有価金属を含み得るが、経済的に多量の銅も同伴する。この利点は、非銅金属が工程の負担になる傾向がある高純度銅回収のための銅電気精錬ステップに第3銅精錬スラグが供される場合、これらの貴重な非銅金属が、第3銅濃縮金属相に残っている非銅金属と比べてはるかに簡単な方法で、第3銅精錬スラグから回収できることである。一部の非銅金属は、電気精錬中にいわゆるアノードスライムに残り、他の一部の非銅金属は電解液に溶解する。
出願人らはさらに、一連のステップb)、h)及びj)の一部としての3つの連続した酸化ステップが、銅がかなり希薄だがスズ及び/又は鉛に富んだ黒銅出発原料から、電気精錬によるさらなる精製に非常に適した銅濃度を有して「アノード品位」と呼ばれ得る第3銅濃縮金属相を製造することができることを見出した。出願人らは、指定された一連の酸化ステップが、75重量%をほとんど超えない黒銅から、99.0重量%もの銅を含む第3銅濃縮金属相を製造することができることを見出した。出願人らはさらに、ステップb)に供給された黒銅の処理とともに、追加の銅含有原材料が指定の一連の酸化ステップを通して処理され得ることを見出した。
出願人らは、第3銅精錬スラグの組成が、第2液浴への添加に非常に適していることを見出した。したがって、出願人らによれば、すべての第3銅精錬スラグを第2液浴に加えるのが好ましい。
第一に、第3銅精錬スラグは、重要なスズ及び/又は鉛といった有価金属を経済的に多量に含むだけでなく、スズ及び/又は鉛などの非銅金属の有用な抽出剤として使用され得る銅も比較的豊富であるため、この流れは適している。
第二に、第3銅精錬スラグは、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、より具体的には最終精製金属製品である銅、スズ、及び/又は鉛中にあまり所望されない金属であって、使用済みスラグの一部として本発明による工程から除去されるのが好ましい金属を極少量のみ含む。第3銅精錬スラグはそのような金属が非常に乏しいため、このスラグを第2液浴に添加しても、ステップl)を含む本工程の下流の任意のステップだけでなく、そのような「卑金属」が最終的に使用済みスラグになる前に経る必要がある工程経路の任意の下流ステップにおいても、無駄に消費される炉容積は極めて少ない。
出願人らはさらに、ステップl)などの、第2液浴からの有価金属のさらなる回収は、ステップk)における第3銅精錬スラグの少なくとも一部の添加により、非常にエネルギー効率がよい可能性があることを見出した。ステップk)では、さらなる金属回収ステップの上流の第2液浴に添加される第3銅精錬スラグは、第2液浴中の不純物に対する酸化剤として作用する。第3銅精錬スラグ中の酸化銅は、ステップl)で元素銅に容易に還元され、それにより、工程条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高い金属をそれらの元素金属形態から酸化物に変換するための酸素を放出する。したがって、ステップl)における第2液浴の処理で形成された元素銅は、ステップl)で金属相に移動し、第1高銅金属組成物になる。ステップl)でそれらの酸化物に変換する金属は、スラグ相、すなわち第3はんだ精錬スラグに移動する。出願人らは、ステップl)において、多量のSn及び/又はPbが、供給されたときの金属相からスラグ相に向かって移動する可能性があることを見出した。出願人らはまた、ステップl)におけるこれらの化学的変換、すなわち酸化銅から元素銅、並びにスズ、鉛及び/又は他の金属からそれらの酸化物への変換は、エネルギー、外部の酸化剤及び/又は還元剤の追加の投入が比較的限られていても達成することができ、したがって、比較的限られたエネルギーの消費又は工程薬品の投入で済むことを見出した。
出願人らは、ステップl)で、第1銅希薄金属組成物、同様に第3銅精錬スラグに存在する銅及びニッケルのほとんどが、存在し得るビスマスとアンチモンの一部とともに、第1高銅金属組成物に回収され得る一方、これらの流中のスズ及び/又は鉛のほとんどが第3はんだ精錬スラグに回収され得ることを見出した。出願人らは、第3はんだ精錬スラグが有利にスズ及び/又は鉛に富み、さらに銅が比較的乏しくなり得るため、このスラグは、そのはんだ金属のほとんどを、粗はんだ流に類似した、粗はんだ流として処理されるのに適した流れに回収するために比較的簡単にさらに処理され得ることを見出した。
ステップb)、h)、c)、d)、j)及びl)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1高銅金属組成物は、工程の上流の適切な場所に少なくとも部分的に再循環される。好ましくは、この場所はステップb)であるが、再循環された流れの一部は、ステップh)及び/又はステップj)及び/又はステップc)及び/又はステップd)に再循環されてもよい。
出願人らは、一方で、上流の任意の場所で工程に導入されるニッケルはいずれも最終的に第1高銅金属組成物の一部になりやすいため、ステップl)は、製造工程全体からニッケルの少なくとも一部を除去するための経路を提供するのにも非常に適していることを見出した。出願人らは、他方で、工程全体に供給原料とともにニッケルが全く導入されないか、ごく少量しか導入されない場合、第1高銅金属組成物は、ステップa)で提供される黒銅供給原料に高度に匹敵する組成を有し、したがって、この第1高銅金属組成物流は、ステップb)に、又は代替的に及び/又は追加的に部分的に、後続の銅酸化ステップh)及びj)のいずれか1つに容易に再循環して、第3銅濃縮金属相の一部としてその銅を回収することができることを見出した。米国特許第3682623号に記載の工程は、黒銅に対して実施される第1酸化ステップへの銅に富む流れのそのような再循環を含む。しかしながら、ステップb)、又は後続のステップh)及び/又はj)の1つへの第1高銅金属組成物の再循環はいずれも、先行技術と比較して、ステップc)で製造される第1使用済みスラグ及び/又はステップf)で製造される第2使用済みスラグなどの使用済みスラグの1つに不純物を上流で除去することに利益がある。
出願人らは、工程への供給原料にニッケルが存在する場合、第1高銅金属組成物の工程の上流の場所、例えばステップb)、h)又はj)などへの部分的な再循環が、そのような部分的な再循環を行わない工程と比較して、ニッケルが第1高銅金属組成物中でより高い濃度まで濃縮されるという利点をもたらすことを見出した。この濃縮効果は、例えば、工程の特定のステップにおけるニッケルの濃度を特定の濃度より低く保つために、工程から特定の量のニッケルを引き出すには、ニッケル量とともにより少量の銅を引き出す必要があるという利点をもたらす。これは、工程からのニッケルの除去がより効果的であり、引き出された銅/ニッケル混合物のさらなる処理が、より効果的により小さな設備で操作され、さらに、より効率的に、すなわちより少ないエネルギー及び/又は工程薬品の消費で操作され得るという利点をもたらす。
出願人らは、工程から引き出された第1高銅金属組成物を、当技術分野で既知の手段によって、又は好ましくは、2018年5月16日に出願された「Improvement in Copper Electrorefining」という発明名称の同時係属中の特許出願EPA18172598.7に記載された手段によって、第1高銅金属組成物中に含まれる銅及びニッケルの回収のためにさらに処理することができることを見出した。
ステップl)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップl)の終わりに、第1高銅金属組成物が炉から部分的にのみ除去され、この金属組成物の一部は、第3はんだ精錬スラグとともに炉内に保持される。この部分は、ステップl)の終わりに炉内に存在する第1高銅金属組成物の全体の少なくとも3重量%、4重量%又は5重量%、好ましくは炉内に存在する第1高銅金属組成物の全体の少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%、さらになおより好ましくは少なくとも40重量%である。出願人らは、この量の金属が、現在及びその後の少なくとも1つの工程ステップの間の炉の操作性を改善することを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、工程は、
m)第3はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第2銅希薄金属組成物と第4はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第2銅希薄金属組成物から第4はんだ精錬スラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、第3はんだ精錬スラグが、このスラグから粗はんだ系の流れを導き出すにはなおかなり高い量の銅及び/又はニッケルを含み得ることを見出した。したがって、出願人らによれば、本発明による工程の一部として追加の部分的還元ステップm)を含むことが好ましい。出願人らは、第3はんだ精錬スラグに存在する多量の銅及び/又はニッケルが、ステップm)で形成される第2銅希薄金属組成物の一部として容易に除去され得る一方、スズ及び/又は鉛のほとんどが、第4はんだ精錬スラグをさらなる処理に供する前に、第4はんだ精錬スラグの一部として保持され得ることを見出した。好ましくは、ステップm)は、ステップm)に存在する銅の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも90重量%が第2銅希薄金属組成物の一部として除去されるように操作される。代替的又は追加的に、好ましくは、ステップm)は、ステップm)に存在するスズの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも90重量%が第4はんだ精錬スラグに回収されるように操作される。
ステップm)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップm)の終わりに、第2銅希薄金属組成物が炉から部分的にのみ除去され、この金属組成物の一部は、第4はんだ精錬スラグとともに炉内に保持される。この部分は、ステップm)の終わりに炉内に存在する第2銅希薄金属組成物の全体の少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%又は5重量%、好ましくは炉内に存在する第2銅希薄金属組成物の全体の少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%、さらになおより好ましくは少なくとも40重量%であり得る。出願人らは、この量の金属が、後続の工程ステップの少なくとも1つの間の炉の操作性を改善することを見出した。
本発明による方法の一実施形態では、工程は、
n)第4はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第2粗はんだ金属組成物と第5はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第5はんだ精錬スラグから第2粗はんだ金属組成物を分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、第4はんだ精錬スラグが粗はんだ系材料を回収するのに非常に適した供給原料であり、より高純度のスズ及び/又は鉛主要製品にさらに処理するのに非常に適していることを見出した。出願人らは、部分還元ステップn)において、炉に存在するスズ及び/又は鉛の大部分が、実質的にすべての存在する銅及び/又はニッケルとともに、第2粗はんだ金属組成物に回収される一方、工程条件下で酸素に対する親和性が高い鉄などの金属のほとんどは、第5はんだ精錬スラグの一部として保持され得ることを見出した。出願人らは、第2粗はんだ金属組成物が、独国特許出願公開第102012005401号に記載のように流れをケイ素金属での処理に供することなどによって、さらに処理するのに適していることを見出した。代替的又は追加的に、この粗はんだ流は、任意選択的にスズ及び/又は鉛含有量を増加させるための濃縮ステップ後に、国際公開第2018/060202号又は類似案件に記載のようにさらに調整され、その後、同じ文献に記載のように、蒸留して、高純度金属製品としてスズ及び/又は鉛を回収してもよい。
本発明による一実施形態では、工程は、
o)第5はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第3鉛−スズ系金属組成物と第3使用済みスラグとを形成し、続いて、第3鉛−スズ系金属組成物から第3使用済みスラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、粗はんだ製造ステップn)の下流に、追加の還元ステップo)を、特に上記ステップn)から回収された第5はんだ精錬スラグの部分還元ステップを設けることが有利であることを見出した。出願人らは、ステップo)によって、この第5はんだ精錬スラグからより多くの有価金属を抽出しながら、残りのスラグを価値のある最終使用用途での使用のために、及び/又は使用済みスラグとして廃棄するためにさらにより適切に処理し得ることを見出した。出願人らはさらに、追加の還元ステップo)が、スラグ中の鉛などの浸出可能な金属を十分に低い濃度に還元することができ、その結果、ステップo)から残ったスラグはさらに貴重な材料として使用可能になり、又は責任をもって廃棄可能になり、これはまた、鉛及び/又は亜鉛などの敏感な金属の濃度を下げるために、非常に限られた数の追加の処理ステップで、場合によってはさらなる処理ステップなしで行われ得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、工程は、
p)第3鉛−スズ系金属組成物を部分的に酸化して、第4鉛−スズ系金属組成物と第6はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第4鉛−スズ系金属組成物から第6はんだ精錬スラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、ステップp)が、ステップo)から回収された第3鉛−スズ系金属組成物が分割されて、一方は、存在するニッケルのほとんどとともに、ステップp)からの銅が濃縮された金属流に、他方は、鉄及び存在する場合は亜鉛のほとんどとともに、銅が極めて少ないがステップp)で存在するスズ及び/又は鉛の大部分が濃縮されたスラグ相になるという利点をもたらすことを見出した。出願人らは、この分割により、ステップp)から得られる2つの流れが、それらの組成物により適切に適合するステップを使用して、別々に、好ましくはさらに異なるように処理され得るという利点がもたらされることを見出した。
本発明による一実施形態では、工程は、
q)第6はんだ精錬スラグの少なくとも一部を、好ましくは第1液浴を酸化する前に、ステップd)に再循環する、及び/又は第6はんだ精錬スラグの少なくとも一部を第1液浴に添加する、及び/又は第6はんだ精錬スラグの少なくとも一部を、好ましくは第1はんだ精錬スラグを還元する前に、ステップe)に再循環するステップ
をさらに含む。
出願人らによれば、第6はんだ精錬スラグをステップd)及び/又はステップe)に再循環することが好ましい。これにより、このスラグ流のスズ及び/又は鉛を、ステップe)からの第1粗はんだ金属組成物、又はステップn)からの第2粗はんだ金属組成物に回収することができる一方、第6はんだ精錬スラグに存在する鉄が、ステップf)からの第2使用済みスラグにかなり容易に流入し、鉄が本発明による工程の循環の一部として蓄積するリスクが生まれないからである。
ステップp)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程は、
r)第4鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部をステップl)に再循環する、及び/又は第4鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部を、好ましくはステップl)の一部として第2液浴を酸化する前に、第2液浴に添加するステップ
をさらに含む。
出願人によれば、第4鉛−スズ系金属組成物を工程l)に再循環することが好ましい。なぜなら、この金属流は、ステップd)からの第1銅希薄金属組成物とともに、第2液浴に添加されるステップj)からの第3銅精錬スラグと接触させるのに非常に適しており、それによって、第3銅精錬スラグが部分的に還元され、添加された2つの金属組成物が部分的に酸化されて平衡が確立され、炉内に存在する銅のほとんどが、ニッケルと一部のスズおよび/または鉛とともに、最終的に第1高銅金属組成物になる一方、排除可能金属(鉄、ケイ素、アルミニウム)が、存在するスズおよび/または鉛の大部分とともに、ステップl)で製造される第3はんだ精錬スラグの一部になるからである。
ステップo)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップo)は、好ましくは第5はんだ精錬スラグの還元前に、ステップo)に第2新しい銅含有供給原料を加えることを含む。
出願人らは、銅が、ステップn)の後に残される第5はんだ精錬スラグ中に残存する他の有価金属の優れた抽出剤として作用することができ、また、この有利な抽出は、ステップo)で製造される第3使用済みスラグへの多量の銅の損失を伴わずに実行することができるため、還元ステップo)への銅の添加は大きな利点をもたらすことを見出した。
出願人らはさらに、ステップo)に添加され得る新しい銅含有供給原料が、多量の他の有価金属、特に亜鉛、ニッケル、スズ及び/又は鉛を含み得ることを見出した。出願人らは、十分な銅が提供される場合、特にスズ及び/又は鉛の第3使用済みスラグへの損失を非常に低く保つことができるため、この第3使用済みスラグの可能なさらなる使用又は経路づけを脅かすことも、有価金属の経済的に大きな損失を招くこともないことを見出した。
出願人らは、多種多様な材料が、ステップo)への新しい銅含有供給原料として適していることを見出した。しかしながら、出願人らによれば、ステップo)への新しい銅含有供給原料が、可燃物、すなわち工程条件下で容易に酸化する物質、例えばプラスチック及び/又は炭化水素などの有機材料、燃料又はオイルの残りなどを、限られた量のみ含み、好ましくはほとんど乃至全く含まず、そのため、ステップo)の温度が容易に制御可能であることが好ましい。
ステップo)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2新しい銅含有供給原料は、黒銅及び/又は使用済み若しくは排除銅アノード材料を含む。
出願人らは、ステップo)に、ステップa)で提供された黒銅と組成が類似した多量の黒銅を添加して、ステップn)から得られる第5はんだ精錬スラグからより多くの有価金属を抽出することができ、その際、追加の有価金属をステップo)からの第3使用済みスラグに過剰に失わないことを見出した。出願人らは、ステップo)で許容される上流の製錬ステップからのそのような黒銅の量は、ステップb)の供給原料としてステップa)で提供される黒銅量が桁違いの大きさであったとしても、非常に大きいことを見出した。出願人らは、ステップo)を本発明による工程に含めることにより、製錬タイプの黒銅を処理する能力を、したがって、低価値の、つまり、高価値に高められる可能性のある有価金属を持ち込む低品質の原材料を多量に処理する能力を大幅に高めることを見出した。出願人らは、ステップo)を操作するこの方法は、上流の製錬ステップからの黒銅の大部分が、これらのすべての黒銅が銅精錬シーケンスの少なくとも第1ステップb)を通過する必要なく処理され得るという追加の利点をもたらすことを見出した。ステップo)への黒銅供給原料中の、工程条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高いすべての金属は、この新しい黒銅供給原料からステップo)への銅がステップb)に流入し、ステップb)、h)及びj)の銅精錬工程シーケンスを通過する前に、すでに除去されている可能性が高い。
出願人らはまた、ステップo)が使用済み及び/又は排除銅アノード材料を導入するのにも非常に適していることを見出した。高品質の銅の製造は、典型的に電気分解ステップを含み、銅はアノードから電解液に溶解し、カソードに再堆積する。アノードは、典型的には完全には消費されず、アノードは、その最後の銅が溶解する前に電解浴から使用済み銅アノード材料として除去される。出願人らは、ステップo)がそのような使用済み銅アノード材料を導入するのに非常に適していることを見出した。そのような銅電気分解ステップのための銅アノードは、典型的には、適量の溶融アノード品質銅を鋳型に注ぎ、冷却時に銅を凝固させることにより鋳造される。銅の電気分解を適切に機能させるために、アノードはかなり厳格な寸法及び形状要件に準拠する必要がある。非準拠のアノードは使用しないことが好ましいが、排除銅アノード材料を表す。出願人らは、ステップo)はそのような排除銅アノード材料を導入するのにも非常に適していることを見出した。
出願人らによれば、使用済み及び/又は排除銅アノード材料を、予熱をほとんど乃至全く伴わずに固体として導入することが好ましい。これは、この材料の溶融が、ステップo)で発生する化学反応によって生成される反応熱の少なくとも一部を消費するという利点をもたらす。
ステップo)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップo)は、好ましくは第5はんだ精錬スラグの還元前に、ステップo)に第6還元剤を加えることを含む。
出願人らは、第6還元剤が、還元ステップo)の生成物を所望の通りに分離するように駆り立て、有価金属を第3鉛−スズ系金属組成物中に分離し、排除可能金属を第3使用済みスラグに維持することを可能にすることを見出した。出願人らは、第6還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第6還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含み、好ましくはそのような金属である。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きく、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにほとんど必要とされない場合があることを見出した。出願人らはさらに、上記で説明したように、ステップo)がシリカの添加によってさらに利益を得る可能性があることを見出した。
出願人らによれば、ステップo)に、銅及び鉄を豊富に含む第6還元剤を、好ましくはマルチメタル材料として添加することが好ましく、これは、このマルチメタル材料が、高純度のスズ、高純度の銅、又は高純度の鉄よりも有利な条件で容易に入手できるからである。別の適切な材料は、電気モータ、好ましくは使用済みのそのようなモータであり得る。なぜなら、そのようなモータは、コアに鉄を、巻線に銅を多く含むからである。出願人らは、銅及び/又はスズが金属相に容易に保持され、スラグ相への移動が阻止される一方、この新しい銅含有供給原料に含まれる鉄は酸化鉄としてスラグ相に容易に移動し、ただしそれによって、工程条件下で鉄よりも酸素に対する親和性が低い他の金属の化学的還元が助けられることを見出した。
ステップn)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップn)は、好ましくは第4はんだ精錬スラグの還元前に、ステップn)に第5還元剤を加えることを含む。
出願人らは、第5還元剤が、還元ステップn)の生成物を所望の通りに分離するように駆り立て、有価金属を第2粗はんだ金属組成物中に分離し、排除可能金属を第5はんだ精錬スラグに維持することを可能にすることを見出した。出願人らは、第5還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
ステップn)を含む本発明による工程の一実施形態では、第5還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属を含み、好ましくはそのような金属であり、好ましくは第5還元剤は鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きいため、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにわずかでよいか、又はほとんど必要とされない場合もあることを見出した。出願人らはさらに、上記で説明したように、ステップn)がシリカの添加によってさらに利益を得る可能性があることを見出した。
好ましくは、第5還元剤は、銅及び/又はニッケルをほとんど含まず、より好ましくは、合わせて1重量%未満の銅及びニッケルを含む。これは、第2粗はんだ金属組成物中に余分な銅及びニッケルがほとんど又は全く現れず、そのため、この粗はんだ組成物を精錬するための下流ステップにおける工程薬品の消費は大幅に増加しないという利点をもたらす。
ステップn)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料が、好ましくは第4はんだ精錬スラグの還元前に、ステップn)に加えられ、好ましくは第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料は、Pb及び/又はSnの濃縮流の下流処理から得られるドロスを含み、より好ましくはそのようなドロスである。
出願人らは、ステップn)が、スズ及び/又は鉛が豊富だが、銅及びニッケルが少ない、ただし工程条件下でスズ及び鉛よりも酸素への親和性が高い金属を含む可能性がある材料を導入するための本工程における非常に適切な場所であることを見出した。上記材料のステップn)への追加は、スズ及び/又は鉛が第2粗はんだ金属組成物の一部として容易に回収され、工程から引き出される一方、いわゆる「卑金属」と呼ばれる金属は、短い直線の工程経路で下流のステップo)で製造される第3使用済みスラグに入るという利点をもたらす。
出願人らは、ステップn)が、そのような金属が豊富であるが銅及び/又はニッケルが比較的少ない原材料又は工程副製品において、スズ及び/又は鉛、並びに任意選択的にアンチモン及び/又はヒ素を回収するのに非常に適していることを見出した。出願人らは、第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料が、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムなどをさらに含み得ることを見出した。そのような金属は、例えば、第1粗はんだ金属組成物又は下流の誘導物などのスズ及び/又は鉛に富む流れを精錬するための下流ステップで使用される工程薬品の一部として導入され得る。出願人らは、ステップn)が、国際公開第2018/060202号又は類似案件に開示された工程の一部として実施される精錬ステップの1つで形成されたドロス副製品から有価金属を回収するのに非常に適していることを見出した。そのようなドロス副製品流は、典型的には、経済的に多量のスズ及び/又は鉛を同伴するが、工程薬品の一部として導入された可能性がある他の金属も含む。
ステップm)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程は、
s)ステップm)で形成される第2銅希薄金属組成物の少なくとも一部を、好ましくは第1銅精錬スラグが還元される前に、ステップc)に再循環する、及び/又は第2銅希薄金属組成物の少なくとも一部を、好ましくは第1鉛−スズ金属組成物が酸化される前に、ステップd)に再循環する、及び/又は第2銅希薄金属組成物の少なくとも一部を第1液浴に加えるステップ
をさらに含む。
出願人らは、第2銅希薄金属組成物を再循環するためにどの再循環選択肢を選択しても、存在し得るニッケルに加えて、第2銅希薄金属組成物に回収された銅が、ステップd)で形成され、さらに下流でステップl)で形成される第1高銅金属組成物に容易に流入する第1銅希薄金属組成物に容易に回収され、これによって銅が工程から容易に引き出される一方、同時に、第2銅希薄金属組成物中のスズ及び/又は鉛は、ステップd)で形成される第1はんだ精錬スラグに容易に流入し、その後、さらに下流でステップe)で形成される第1粗はんだ金属組成物の一部として回収され、これによってスズ及び/又は鉛が工程から引き出され得ることを見出した。
ステップm)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップm)は、好ましくは第3はんだ精錬スラグの還元前に、ステップm)に第4還元剤を加えることをさらに含む。
出願人らは、第4還元剤が、還元ステップm)の生成物を所望の通りに分離するように駆り立て、有価金属を第2銅希薄金属組成物中に分離し、排除可能金属を第4はんだ精錬スラグに維持することを可能にすることを見出した。出願人らは、第4還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
ステップm)を含む本発明による工程の一実施形態では、第4還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含み、好ましくはそのような金属である。
出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きく、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにわずかでよいか、又はほとんど必要とされない場合さえあることを見出した。出願人らはさらに、上記で説明したように、ステップm)がシリカの添加によってさらに利益を得る可能性があることを見出した。
出願人らによれば、ステップm)に、銅及び鉄を豊富に含む第4還元剤を、好ましくはマルチメタル材料として添加することが好ましく、これは、このマルチメタル材料が、高純度のスズ、高純度の銅、又は高純度の鉄よりも有利な条件で容易に入手できるからである。別の適切な材料は、電気モータ、好ましくは使用済みのそのようなモータであり得る。なぜなら、そのようなモータは、コアに鉄を、巻線に銅を多く含むからである。出願人らは、銅が金属相に容易に保持され、スラグ相への移動が阻止される一方、この新しい銅含有供給原料に含まれるスズ、鉛及び鉄はそれらの各酸化物としてスラグ相に容易に移動し、ただしそれによって、工程条件下でスズ、鉛及び鉄よりも酸素に対する親和性が低い他の金属の化学的還元が助けられることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、スラグ相から金属相を分離することを含む工程ステップの少なくとも1つに、ある量のシリカが、好ましくは砂の形態で添加される。
出願人らは、シリカがスラグ相の形成を促進し、スラグの流動性を改善し、重力によってスラグ相からの金属相の分離を改善することを見出した。この理論に縛られることを望まないが、出願人らによれば、化学的還元によりスラグ相に形成される金属の泡がスラグ相をより容易に移動して、2つの相の間の界面に到達し、そこで下にある連続した金属相と結合され得るため、スラグ粘度の低下自体が相分離を改善すると考えられる。シリカの添加は、特に鉛に関して、金属相とスラグ相との間の特定の金属の平衡にさらに有利に影響を与える。シリカはスラグの酸性度も高め、これは、異なる相間の炉内の平衡にさらに影響を与える。スラグが鉄を含み、炉から引き出されて、高温の液体スラグを水と接触させることによって造粒される場合、シリカの添加により、鉄が水の分解、したがって爆発の危険をもたらす水素ガスの形成を起こす触媒として作用する形態で存在するおそれを避けることができる。シリカはまた、スラグ中のスズの活性を高め、一部のSnOをSn金属に還元し、Snは金属相に移動する。この最後のメカニズムにより、下にある同じ金属組成物のスラグに残るSnの量が減少する。
黒銅がステップb)、f)及びo)の少なくとも1つに添加される本発明による工程の一実施形態では、黒銅は製錬ステップによって製造される。
出願人らは、本発明による工程のステップ、特にステップb)、h)、f)及び/又はo)への可能な供給原料及び新しい供給原料として使用される黒銅組成物のいずれか、好ましくはすべてを製造するために、製錬ステップが非常に適しており、さらには好ましいことを見出した。製錬ステップは、操作及び設備が単純であるという利点を提供し、したがって経済的に有利である。製錬ステップは、原材料の品質の観点で許容性があるというさらなる利点をもたらす。本明細書の上記で説明したように、製錬ステップは、多様な成分で高度に希釈及び/又は汚染された原材料を受け入れることができる。これらの混合及び/又は汚染された原材料には他の最終用途がほとんどないため、経済的に非常に魅力的な条件で供給され得る。したがって、これらの原材料を処理し、そこに含まれる有価金属の価値を向上させる能力は、本発明による工程の操作者にとって関心がある。
製錬炉で金属が溶融され、有機物及びその他の可燃材料が燃焼される。酸素に対して比較的高い親和性を有する金属は、それらの酸化物に変換され、より低密度の上澄みスラグ相に集まる。酸素に対して比較的低い親和性を有する金属は、元素金属として残り、製錬炉底部のより高密度の液体金属相に残る。銅製造ステップでは、製錬ステップは、ほとんどの鉄が最終的にスラグになり、一方、銅、スズ及び鉛が最終的に金属製品、典型的に「黒銅」と呼ばれる流れになるように操作され得る。また、ニッケル、アンチモン、ヒ素及びビスマスのほとんどは、最終的に黒銅製品の一部になる。
出願人らは、製錬ステップからの金属製品は溶融液体として本発明による工程に導入され得るが、代替的に、造粒などによって固化及び冷却されてもよく、それによって、様々な工業用地間の輸送が可能になり、その後、溶融前又は再溶融後に工程に導入され得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第1粗はんだ金属組成物及び第2粗はんだ金属組成物の少なくとも1つは、ケイ素金属を使用して予備精錬され、予備精錬はんだ金属組成物が製造される。そのような粗はんだ金属組成物に適した予備精錬処理は、独国特許出願公開第102012005401号に記載されている。
一実施形態では、本発明による工程は、第1粗はんだ金属組成物及び/又は第2粗はんだ金属組成物及び/又は予備精錬はんだ金属組成物を最大825℃の温度まで冷却し、重力によって第1液状溶融調整はんだ相上に浮遊する第1上澄みドロスを含む浴を製造するステップをさらに含む。出願人らは、このさらなる下流の工程ステップによって、多量の銅及び他の望ましくない金属を粗はんだから除去することができることを見出した。このステップの詳細は、国際公開第2018/060202号で参照することができる。出願人らはさらに、この冷却ステップが、この鉛/スズ流で実施されるいくつかのさらなる下流工程ステップと組み合わせて、少なくとも部分的に、本明細書の他の場所で言及されたケイ素金属による予備再処理の代替を提供し得ることを見出した。これは、ケイ素金属はかなり希少な工程薬品であり、その使用が削減及び/又は排除される場合に有益であるため、有利である。
一実施形態では、本発明による工程は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、又はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む化学化合物を、第1粗はんだ金属組成物及び/又は第2粗はんだ金属組成物及び/又は予備精錬はんだ金属組成物及び/又は第1液状溶融調整はんだ相に添加し、重力によって第2液状溶融調整はんだ相の上部に浮遊する第2上澄みドロスを含む浴を形成するステップをさらに含む。
一実施形態では、本発明による工程は、第2液状溶融調整はんだ相から第2上澄みドロスを除去し、それにより第2調整はんだを形成するステップをさらに含む。
一実施形態では、本発明による工程は、第1液状溶融調整はんだ相から第1上澄みドロスを除去し、それにより第1調整はんだを形成するステップをさらに含む。
一実施形態では、本発明による工程は、第1調整はんだ及び/又は第2調整はんだを蒸留するステップをさらに含み、鉛(Pb)が蒸発によってはんだから除去され、蒸留塔頂生成物及び蒸留塔底生成物が好ましくは真空蒸留によって得られる。
本発明による工程の一実施形態では、少なくとも1つのはんだ流を蒸留してはんだから鉛(Pb)を蒸発により除去するステップを含み、蒸留塔頂生成物及び蒸留塔底生成物が得られ、蒸留塔底生成物は少なくとも0.6重量%の鉛を含む。その利点は、国際公開第2018/060202号に説明されている。
本発明の一実施形態では、工程の少なくとも一部は、好ましくはコンピュータプログラムによって電子的に監視及び/又は制御される。出願人らは、本発明による工程からのステップの電子的、好ましくはコンピュータプログラムによる制御は、処理性にはるかに優れるという利点をもたらし、結果として、はるかに優れた予測ができ、工程目標により近づくことを見出した。例えば、温度測定に基づいて、必要に応じて圧力及び/又は濃度測定に基づいて、及び/又は工程流から取得したサンプルの化学分析の結果及び/又はオンラインで取得した分析結果と組み合わせて、制御プログラムは、電気エネルギーの供給又は除去、熱又は冷却媒体の供給、流れ及び/又は圧力制御に関連する設備を制御することができる。出願人らは、そのような監視又は制御が、連続モードで操作されるステップで特に有利であるだけでなく、バッチ又はセミバッチで操作されるステップでも有利であり得ることを見出した。さらに、好ましくは、本発明による工程のステップの実施中又は実施後に得られる監視結果は、本発明による工程の一部としての他のステップの監視及び/又は制御にも、及び/又は本発明による工程が一部のみである工程全体の一部としての本発明による工程の上流又は下流に適用される工程の監視及び/又は制御にも役立つ。好ましくは、全工程全体が電子的に監視され、より好ましくは少なくとも1つのコンピュータプログラムによって監視される。好ましくは、工程全体は可能な限り電子的に制御される。
出願人らによれば、コンピュータ制御によって、本明細書で説明されている工程を含むがこれらに限定されない他の工程の監視及び/又は制御のために、データ及び命令が1つのコンピュータ又はコンピュータプログラムから少なくとも1つの他のコンピュータ又はコンピュータプログラム又は同じコンピュータプログラムのモジュールに渡されることがさらに行われることが好ましい。
出願人らによれば、本発明による工程の特定のステップを、上吹回転炉(TBRC)、任意選択的に、米国特許第3682623号、図3〜図5及びそれらの関連説明に開示されている炉、又は一般にカルド炉又はカルド転炉として知られている炉で操作することが好ましい。出願人らによれば、化学反応が起こっているステップ及び/又は溶融スラグ相と下にある溶融金属相との間の平衡が望まれるステップで、このタイプの炉を使用することが特に好ましい。
出願人らは、このタイプの炉が、複合材料、多量のスラグ相を生成する材料、及び物理的外観と化学組成とに関して多様性を有する材料の処理を可能にすることを見出した。このタイプの炉は、供給原料として、他の工程ステップからのスラグ及び/又は大きな固体材料片、すなわち他のタイプの炉設計への導入がはるかに難しい供給原料を受け入れることができる。
そのような炉は、固体と液体との間、及び異なる液相間でより強力な接触が得られるように、炉が回転され得るという利点をもたらし、それにより、所望の相間平衡のより早い達成及び/又は実現を可能にする。
好ましくは、炉の回転速度は、炉内で実施される工程ステップに適合可能であるように、可変である。反応を要し、炉の内容物を平衡状態に移動させる工程ステップは、高速回転が好ましく、一方、新しい固体供給原料を溶融する必要がある場合など、他の工程ステップは、低速回転が好ましく、又は場合によって全く回転しないことが好ましい。
好ましくは、炉の傾斜角は可変であり、それにより、より優れた混合制御を可能にし、それによって反応速度論的制御も可能にする。可変の傾斜角はまた、十分量の十分に熱い液体、したがってより流動性の高い液体が形成されて残りの固体を浮遊させておくようになるまで、固体供給原料に対する開始が、好ましくは低傾斜角で、より良好に成されることを可能にする。
出願人らによれば、特定の条件下で、少なくとも定期的に、従来の回転モードではなく、いわゆる「ロッキングモード」で、すなわち全360°回転の一部のみを反対方向に交互に回転させることで、炉を操作することが好ましい。出願人らは、この操作モードが、炉が同じ内容物で完全に回転している場合に炉の駆動装置にかかり得る過大な力を回避し得ることを見出した。出願人らによれば、炉装入物に比較的多量の固体がまだあり、これらの固体を浮遊させておくには液体の存在が低すぎる場合、又は、例えば炉内の液体がまだかなり冷たいために流動性がまだ不十分である場合、この操作モードを適用することが好ましい。
出願人らによれば、TBRCが耐火性ライニングを有することが好ましく、このライニングが2層であるとより好ましい。好ましくは、ライニングの内層、すなわち、炉の内容物と接触する層は、完全操作中に炉の内容物が高温のときに視覚的に明るくなる材料で作製され、一方、下にある層の材料は、槽の内部温度に曝されたときに暗いままである。この設定により、炉の操作中に簡単な目視検査でライニングの欠陥をすばやく見つけることができる。
したがって、ライニングの外層は、一種の安全層として機能する。出願人らによれば、この安全ライニングは内部ライニング層よりも熱伝導率が低いことが好ましい。
TBRCのライニングを設置する場合、ライニングは個別の円錐形の耐火れんがを配置することによって構築するのが好ましく、出願人らによれば、ボール紙又は屋根材の層など、個々のライニング要素又はれんがの間に犠牲層を設けることが好ましい。これにより、最初の稼働中に炉の温度が上昇するため、犠牲層が焼却されて消失し、れんがの熱膨張の余地が生まれるという利点がもたらされる。
本発明による工程のいくつかのステップでは、上澄み液体スラグ相がまだ炉内にある間に、下にある溶融金属相が炉から出湯されることが好ましい。出願人らによれば、炉の耐火性ライニングのドレン孔又は出湯孔によってこの液体金属を出湯するのが好ましい。出願人らによれば、操作する炉の移動中は犠牲金属棒によってこの孔を塞ぐことが好ましい。金属の出湯を準備するためには、出願人らによれば、この棒を炉の液位より上に保ったまま焼損させ、焼損した出湯孔を、例えばボール紙製の可燃性プラグで一時的に塞ぎ、その後、炉を金属出湯位置に回転することが好ましい。出願人らは、可燃性プラグの焼却時間が、炉が金属出湯位置に回転し、出湯孔がスラグ相を通過する時間をもたらすことを見出した。
外部の熱供給で炉を加熱するために、出願人らによれば、燃料と酸素源を別々に炉に導入するのではなく、燃料と酸素源との混合物を燃焼させる燃焼装置を使用するのが好ましい。出願人らは、そのような混合物燃焼装置は、操作がより難しい場合があるが、火炎がより正確に炉内の好ましいスポットに向けられるという利点をもたらすことを見出した。
出願人らは、酸素源に対する燃料の比を使用して、炉内の酸化/還元の炉体制を容易に制御することができ、したがって、炉内で起こることが想定される化学反応の方向を調整及び/又は制御するのを助けることができることを見出した。
出願人らは、冷たい供給原料が導入される本発明による工程の一部としてのそれらのステップが、ダイオキシン及び/又は揮発性有機化合物(VOC)を生成する可能性があることを見出した。出願人らによれば、ダイオキシン及び/又はVOCを排出蒸気から捕捉するための適切な設備を備えた炉でこれらの工程ステップを実施することが好ましい。出願人らは、炉の一部のみがそのような排気処理設備を必要とし、一方、他の炉ダストについては法的に課せられた排出基準を満たすために収集及び/又はろ過で十分である方法で、工程を操作することができることを見出した。
本発明による工程は、液体溶融金属及び/又はスラグ相を1つの炉から別の炉に移送するいくつかの機会を含む。出願人らは、この移送が移送取鍋を使用して最も便利に行われることを見出した。移送取鍋の構築材料を保護するために、出願人らによれば、取鍋に固体スラグコーティングの内層を設けることが好ましい。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す。実施例は、本発明による工程の中核部分の流れ図を示す図1によってさらに示されている。この工程部分では、様々な供給原料に由来して、及び黒銅組成物1から開始して、精錬アノード品位銅製品9、高銅金属組成物副製品22、2つの粗はんだ金属組成物製品18、26、及び3つの使用済みスラグ12、20、28が回収される。
図1では、数字は以下の特許請求の範囲の特徴を表している。
1 ステップb)(100)への黒銅組成物供給原料
2 ステップb)(100)への新しい供給原料
3 第1銅精錬スラグ
4 第1銅濃縮金属相
5 ステップh)(200)への新しい供給原料
6 第2銅精錬スラグ
7 第2銅濃縮金属相
8 第3銅精錬スラグ
9 第3銅濃縮金属相−アノード品位
10 第2鉛−スズ系金属組成物
11 第2銅希薄金属組成物
12 第1使用済みスラグ
13 第1鉛−スズ系金属組成物
14 ステップd)(500)の前の第1液浴(450)への第6はんだ精錬スラグ
15 第1銅希薄金属組成物
16 第1はんだ精錬スラグ
17 ステップe)(600)への第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料
18 第1粗はんだ金属組成物
19 第2はんだ精錬スラグ
20 第2使用済みスラグ
21 第4鉛−スズ系金属組成物
22 第1高銅金属組成物−工程から除去された部分
23 第3はんだ精錬スラグ
24 第4はんだ精錬スラグ
25 ステップn)(1000)への第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料
26 第2粗はんだ金属組成物
27 第5はんだ精錬スラグ
28 第3使用済みスラグ
29 第3鉛−スズ系金属組成物
30 第1高銅金属組成物−ステップb)及び/又はステップd)に再循環される部分
31 ステップj)(300)への新しい供給原料
50 ステップf)(700)への第1新しい銅含有供給原料
51 ステップp)(1200)への新しい供給原料
52 ステップl)(800)の前の第2液浴(550)への新しい供給原料
53 ステップe)(600)に再循環される第6はんだ精錬スラグ
55 ステップo)(1100)への第2新しい銅含有供給原料
56 ステップc)(400)への新しい供給原料
57 ステップd)(500)の前の第1液浴(450)への新しい供給原料
58 ステップm)(900)への新しい供給原料
450 第1液浴
550 第2液浴
100 工程ステップb)
200 工程ステップh)
300 工程ステップj)
400 工程ステップc)
500 工程ステップd)
600 工程ステップe)
700 工程ステップf)
701 工程ステップg)
800 工程ステップl)
801 ステップl)から工程ステップb)及び/又はd)への流れ30の再循環
900 工程ステップm)
901 工程ステップs)、すなわち、ステップm)から工程ステップc)への流れ11の再循環
1000 工程ステップn)
1100 工程ステップo)
1200 工程ステップp)
1201 工程ステップq)−第6はんだ精錬スラグ(14)の一部のステップp)から第1液浴(450)への再循環及び/又は工程ステップe)(600)への再循環(53)
1202 工程ステップr)−第4鉛−スズ系金属組成物(21)のステップp)から第2液浴(550)への再循環
ステップb)(100):本明細書ではステップb)(100)の精錬炉として使用される上吹回転炉(TBRC)には、上流の溶融炉からの21,345kgの黒銅1、前の工程循環の一部として下流の工程ステップl)(800)から再循環された30,524kgの第1高銅金属組成物30、及び86,060kgの新しい供給原料2を装入した。新しい供給原料2は、主に、青銅、赤黄銅、及び銅が豊富で他の有価金属が少ないいくらかの供給原料から構成されていた。ステップb)(100)への炉装入物のすべての供給原料の組成及び量を表Iに示す。このようにして装入された供給原料に、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスの形のシリカフラックスを加えた。供給原料は、炉を回転させながら、酸化条件下で、部分的に酸素を吹き込みながら溶融及び/又は加熱した。

供給原料中に存在する多量の亜鉛を炉から発煙させた。第1酸化ステップb)(100)の終わりに、第1銅精錬スラグ3を注ぎ出し、工程ステップc)(400)に供するためにスラグ再処理炉に移した。この第1銅精錬スラグ3は、鉛、スズ、亜鉛及び鉄が豊富であった。このスラグ3、同様に第1銅濃縮金属相4、及びステップb)(100)中に生成されたダストの詳細な組成を、それらの量とともに表IIに示す。第1銅濃縮金属相4は、工程ステップh)(200)に供するために別のTBRCに移した。

ステップh)(200):第1銅濃縮金属相4に、27,091kgの新しい銅豊富供給原料5と、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとを追加した。この新しい供給原料5は、炉の温度を冷却するために、銅豊富固体材料に加えて、上流の製錬炉からのいくらかの追加の黒銅から構成されていた。ステップh)(200)の炉装入物の供給原料の組成及び量を表IIIに示す。

炉内容物の酸化は、炉内容物に酸素を吹き込むことにより行った。第2酸化ステップの終わりに、第2銅精錬スラグ6を注ぎ出し、ステップd)(500)に供するために別のスラグ再処理炉に移した。残りの第2銅濃縮金属相7は、ステップj)(300)に供するために別のTBRCに移した。第2銅精錬スラグ6及び第2銅濃縮金属相7の組成及び量を表IVに示す。表IVからわかるように、金属相7は、表IIIの炉供給流4及び5と比較して、銅含有量が大幅に濃縮されていた。

ステップj)(300):第2銅濃縮金属相7に、さらに22,096kgの新しい銅豊富供給原料31を加えた。ステップj)(300)の炉装入物の供給原料の組成及び量を表Vに示す。

炉の内容物に酸素吹き込みを行い、吹き込み期間の終わりに、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスを加えてから、第3銅精錬スラグ8を注ぎ出した。残りのアノード品位の銅金属相9は、例えば電気精錬による精製などのさらなる処理のために炉から除去した。第3銅精錬スラグ8及びアノード品位の銅9の組成及び量を表VIに示す。表VIからわかるように、金属相9は、表Vの炉供給流7及び/又は31と比較して、銅含有量がさらに豊富であった。

ステップc)(400):26,710kgの第1銅精錬スラグ3(表VIIに示す組成)を、スラグ再処理炉として使用される別のTBRCに、6,099kgの新しい供給原料56と、前の工程循環からの工程ステップm)(900)から得られた11,229kgの第2銅希薄金属相11とともに、及び前の工程循環からの工程ステップf)(700)から得られた23,000kgの第2鉛−スズ系金属相又は組成物10とともに導入した。この炉内容物に、10,127kgの鉄くずを還元剤として加えた。さらに、所望の安全性、相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスを加えた。充填が完了したら、18〜20rpmの範囲の速度で炉を回転させた。ステップc)(400)の炉装入物の供給原料の組成及び量を表VIIに示す。

銅、スズ及び鉛の還元が十分に進行すると、第1鉛−スズ系金属組成物13、ダスト、及び第1使用済みスラグ12が製造された。これらの製品の組成及び量を表VIIIに示す。第1使用済みスラグ12を注ぎ出し、工程から除去した。第1鉛−スズ系金属組成物13を別のTBRCに移し、第1液浴450の一部とした。

ステップd)(500):第1液浴450を形成するために、46,718kgの第1鉛−スズ系金属組成物13に、17,164kgの第2銅精錬スラグ6(表IVに示される組成を有する)を、9,541kgの新しい供給原料57と、(前の工程循環の一部として下流の工程ステップp)(1200)から再循環された)474kgの第6はんだ精錬スラグ14とともに加えた。さらに、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスを加えた。ステップd)(500)の炉装入物を形成した第1液浴450の成分の組成及び量を表IXに示す。

スラグと金属相との混合物は、スラグ相で銅及び/又はニッケルの濃度が十分に低下するまで反応させた。反応は、より多くのスズ及び鉛をスラグ相に移動させた。その時点で、炉の底部から出湯させ、第1銅希薄金属組成物15を炉から除去した。第1はんだ精錬スラグ16は、第1銅希薄金属相15から残された約1メトリックトンとともに、次のステップe)(600)に供するために別のTBRCに渡した。ステップ500から得られた両方の製品流の組成及び量は、スラグ相とともに残っていた1メトリックトンの金属相を除いて、表Xに示す。
ステップd)からの第1Cu希薄金属相15は、約0.08重量%の銀(Ag)及び0.03重量%の硫黄を含んでいた。
ステップe)(600):14,987kgの第1新しい鉛及びスズ含有供給原料17を第1はんだ精錬スラグ16に加えてから、この混合物をステップe)(600)で還元した。還元は、還元剤として8,017kgの鉄くずを加えることにより行った。所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスに加えて、前の工程循環の一部として下流の工程ステップp)(1200)から得られた8,650kgの第6はんだ精錬スラグ53を、ステップe)(600)の一部として炉にさらに追加した。ステップe)(600)の炉装入物を形成する供給原料の組成及び量を表XIに示す。

この部分還元ステップ中に、多量の亜鉛を炉内容物から発煙させた。スラグ相のSn濃度がほぼ目標の濃度に達したときに、還元を停止した。その時点で、炉の底部から出湯させ、工程から第1粗はんだ金属組成物18を除去した。第1粗はんだ金属組成物18を、さらに処理して、鉛及びスズ主要製品にした。第2はんだ精錬スラグ19を、ステップf)(700)の一部としてさらに処理するために別のTBRCに渡した。第1粗はんだ金属18、第2はんだ精錬スラグ19、同様にステップe)(600)から得られたダストの組成及び量を表XIIに示す。

ステップf)(700):還元剤として1,207kgの鉄くずを添加することにより、第2はんだ精錬スラグ19に対してさらなる還元ステップを実施した。22,234kgの第1新しい銅豊富供給原料50と、所望の安全性、相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとを、ステップf)(700)の一部としてさらに追加した。この新しい供給原料50は、他の工程ステップから残されたいくらかのスラグ材料に加えて、上流の製錬炉からのいくらかの追加の黒銅から構成されていた。ステップf)(700)への炉装入物の供給原料の組成及び量を表XIIIに示す。

スラグ中のCu、Sn及びPbがそれぞれ最大0.50%まで減少すると、第2鉛−スズ系金属相10及び第2使用済みスラグ20が製造された。それらの組成及び量を表XIVに示す。第2使用済みスラグ20を注ぎ出し、工程から除去した。第2鉛−スズ系金属組成物10は、第1銅精錬スラグ(3)を還元する前に、次の工程循環のステップc)(400)に先に渡した。

ステップl)(800):17,024kgの第3銅精錬スラグ8(表VIに示す組成を有する)は、スラグ再処理炉として使用されるTBRCに、14,920kgの新しい銅豊富供給原料52と、ステップd)(500)から得られた49,792kgの第1銅希薄金属相15とともに供給した。さらに、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスを加えた。これらの材料は、前の工程循環の一部として下流の工程ステップp)(1200)から得られた第4鉛−スズ系金属相21(20,665kg)とともに溶融した。これらの供給原料は一緒に、第2液浴550を構成した。充填及び溶融が完了したら、20rpmの速度で炉を回転させた。ステップl)(800)のスラグ再処理炉装入物の供給原料の組成及び量を表XVに示す。

スラグ中の銅及びニッケルの濃度がほぼ目標値に達するまで、必要に応じてさらに酸素吹き込みを使用して部分的に酸化して、混合物を反応させた。その時点で、炉の底部から出湯させ、第3はんだ精錬スラグ23から64,500kgの第1高銅金属組成物(流れ22と30とを合わせて)を除去した。第3はんだ精錬スラグ23は、スラグとともに保持された約6メトリックトンの第1高銅金属相とともに、ステップm)(900)の一部としてさらに処理するために別のTBRCに渡した。ステップl)(800)の終わりの製品流の組成及び量を表XVIに示し、ここでは、次の処理ステップへの途中でスラグ相とともに残った6メトリックトンの金属相が含まれている。

炉内の第1高銅金属組成物のうち、30,524kgを次の循環の新しいステップb)(100)を開始するための流れ30として銅精錬炉に供給した。さらに33,976kgを、さらに処理するために、流れ22として工程から除去した。
ステップm)(900):(30,524kg+33,976kg=)64,500kgの第1高銅金属相(22+30)を炉から除去した後、ステップm)(900)の一部としてさらに処理するために、炉の内容物を別のTBRCに渡した。39,276kgの第3はんだ精錬スラグ23と、第1高銅金属組成物の組成を有する6トンの金属との混合物を、ステップm)(900)の一部として部分的に還元した。還元剤として鉄くずを導入した。所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスと、少量(37kg)の新しい供給原料58とを、ステップm)にさらに加えた。ステップm)(900)の炉装入物を形成する供給原料の組成及び量を表XVIIに示す。

スラグ相中の銅及びニッケルの濃度が十分に減少したとき、還元ステップm)(900)を停止した。その時点で、次の工程循環のステップc)(400)でさらに処理するために、炉の底部から出湯させ、11,229kgの第2銅希薄金属組成物11を除去した。第4はんだ精錬スラグ24は、第2銅希薄金属相11の組成を有する約1400kgの金属とともに、ステップn)(1000)に供するために別のTBRCに渡した。第2銅希薄金属相又は組成物11と第4はんだ精錬スラグ24との組成及び総量を表XVIIIに示し、この際、スラグ相とともに残っている1,400kgの金属相が第2銅希薄金属相11について報告される総量に含まれる。

ステップm)からの第2Cu希薄金属相11は、約0.11重量%の銀(Ag)及び0.01重量%の硫黄を含んでいた。
ステップn)(1000):11,229kgの第2銅希薄金属相11を炉から出湯させた後、残りの炉内容物は、ステップn)(1000)を実施するために別のTBRCに移した。11,789kgの第2新しい鉛及びスズ含有供給原料25をステップn)(1000)の一部として加え、炉内容物をさらに還元した。還元は、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとともに、還元剤として9,692kgの鉄くずを加えることにより行った。ステップn)(1000)の異なる炉供給原料の組成及び量を表XIXに示す。

スラグ相のスズ濃度がほぼ目標の濃度に達したときに、部分還元ステップを停止した。その時点で、炉の底部から出湯させ、第2粗はんだ金属組成物26を炉から除去し、第5はんだ精錬スラグ27のみを炉内に残した。第2粗はんだ金属組成物26を、さらに処理して、鉛及びスズ主要製品にした。第5はんだ精錬スラグ27は、ステップo)(1100)を実施するために、別のTBRCに渡した。第2粗はんだ金属26及び第5はんだ精錬スラグ27の組成及び量を表XXに示す。

ステップo)(1100):第5はんだ精錬スラグ27に、還元剤として922kgの鉄くずを、23,735kgの新しい銅豊富供給原料55と、所望の安全性、相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとともに加えることにより、さらなる還元ステップを実施した。第2新しい銅含有供給原料55は、上流の製錬炉からの追加の黒銅で主に構成されていた。ステップo)(1100)への供給原料の組成及び量を表XXIに示す。

許容可能な使用済みスラグ品質が得られるまで、還元を続けた。この目標が達成されたとき、第3鉛−スズ系金属相29と第3使用済みスラグ28とが製造され、それらの組成及び量を表XXIIに示す。第3使用済みスラグ28を注ぎ出し、工程から除去した。第3鉛−スズ系金属組成物29は、ステップp)(1200)の実施を目的としたTBRCに移した。

ステップp)(1200):第3鉛−スズ系金属組成物29に、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとともに、5,204kgの新しい供給原料51を加えた。その後、部分酸化により、鉄及び亜鉛のほとんどを金属相からスラグ相に酸化した。この酸化ステップp)(1200)からの生成物の組成及び量を表XXIIIに示す。

鉄及び亜鉛の酸化が十分に進行したとき、第4鉛−スズ系金属組成物21及び第6はんだ精錬スラグ14が製造され、それらの組成及び量を表XXIVに示す。第6はんだ精錬スラグ14を注ぎ出し、少なくとも部分的に流れ14として第1液浴(450)に、及び/又は少なくとも部分的に流れ53として次の工程循環のステップe)(600)に加えた。第4鉛−スズ系金属組成物21は、別のTBRCに移し、第2液浴550の一部となり、次の工程循環の一部としてステップl)(800)を実施した。

溶融金属及び/又はスラグ相に関する工程ステップ100〜1200はすべて、1100〜1250℃の範囲の温度で操作される。ステップの目的に応じて、その操作温度は、この温度範囲の上限又は下限に近いことが好ましい場合がある。
出願人らは、この実施例に記載された工程の実施形態は、限られた数のTBRCで実施され得ることを見出した。出願人らによれば、この工程はわずか8つの炉で実施することができ、それらのいくつかは、好ましくはTBRCタイプの炉である。出願人らによれば、この工程はわずか6つの炉で、より好ましくは5つの炉のみで、さらにより好ましくは4つの炉のみで、さらになおより好ましくは3つの炉のみで実施することが好ましい。
これで本発明を完全に説明したが、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、特許請求される範囲内の広い範囲のパラメータ内で実行できることが当業者には理解されよう。
独国特許出願公開第102012005401号 米国特許第4073646号 米国特許第3682623号 オーストラリア特許第505015号
Gerardo Alvear Flores et al,"ISASMELTTM for the Recycling of E−scrap and Copper in the U.S.Case Study Example of a New Compact Recycling Plant",in Journal of Metals,Springer New York LLC,USA,vol.66,no.5,18March2014,pp.823−832,ISSN:1047−4838
非特許文献1は、ISASMELT(商標)技術に典型的な浸漬ランス炉を使用して、二次供給原料から銅を回収する工程を開示している。この文献はまた、そのような金属が工程中に十分に存在する場合のPb−Sn合金副製品の製造について記載している。この文献は、工程中に発生する限られた数の金属組成物の銅含有量を開示しているが、他の組成情報は開示されていない。
特許文献2は、溶融相中の汚染された銅の熱精錬のための方法を開示しており、重ねられた溶融相が処理槽内で形成され、下部相は銅含有材料であり、上部相はスラグを含み、反応性ガスは各溶融相に同時に注入される。下部反応相では、酸化反応相が注入され、上部反応相には、還元反応媒体が注入される。これらの炉条件は、銅がスラグ内から、大部分が金属に再び還元されるため、銅の過酸化を制限する。単一の工程ステップの後、アノード品質の精錬銅と転炉スラグとが炉から排出された。特許文献2は、転炉スラグ又は転炉ダストのさらなる処理については記載していない。
本発明による工程のステップc)は、還元ステップである。その目的は、工程条件下で酸素との親和性がより低い金属をそれぞれの金属に選択的に還元することである。これらの還元された金属は、次に、液体金属相として分離され、分離により、これらの金属がほとんど濃縮されていないが、酸素に対する親和性がより高い金属及び元素を含有した液体スラグ相が残され得る。本発明の文脈において、第2ステップの目的は、できる限り多くの存在するスズ及び/又は鉛とともに、第1銅精錬スラグから銅のほとんどを銅金属として選択的に回収することである。したがって、ステップc)における還元は、第1使用済みスラグが合わせて最大20重量%の銅、スズ及び鉛を一緒に含むように操作される。好ましくは、第1使用済みスラグは、合わせて20重量%未満の、より好ましくはさらに少ない銅、スズ及び鉛を含む。非常に好ましくは、このスラグ中の銅、スズ及び/又は鉛の量は、それらがもはや経済的にほとんど価値を持たない程度に十分に低い。最も好ましくは、銅、スズ及び/又は鉛の濃度は、第1使用済みスラグがそのまま廃棄されても環境問題を引き起こさない程度に、又は限られたさらなる処理を行うだけで廃棄が許容される程度に十分に低い。
米国特許第4073646号に記載の工程では、ブラスト操作の開始時に、主にスラグ中の亜鉛が還元されて揮発する。続いて、SnOからSnO2への酸化が防止されると、スズの割合の最大部分がSnOとして揮発する。その後、ブラスト雰囲気はほぼ中性に調整され、鉛の部分的な揮発中に鉛からPbOへの酸化が起こった。供給原料中の利用可能な鉛、スズ及び亜鉛の合計の約3分の1が転炉ダストに回収され、精錬された転炉銅には1.4%のみが残された。したがって、転炉スラグは、合わせて22.5重量%鉛、スズ及び亜鉛を含んでいたはずである。銅の収支から、スラグが少なくとも35.2重量%の銅をさらに含んでいたはずであることがわかる。供給原料中の利用可能なすべての亜鉛を割り引くと、スラグには、合わせて少なくとも41.9%の銅、スズ及び鉛が含まれていたはずである。米国特許第4073646号の工程では、汚染された銅供給原料を精錬して、アノード品質の銅にする。他のほとんどすべての金属は最終的に転炉ダストに、さらに重要なことには転炉スラグになる。転炉スラグは、35.2重量%の銅の上に合わせて少なくとも6.75重量%から最大18.3重量%の範囲のスズ及び鉛を含み、このスラグの銅、スズ及び鉛の合計は少なくとも40重量%を超える。この文献には、この転炉スラグをさらに処理する方法も教示されていない。したがって、このスラグを、銅、スズ及び鉛の合計が特許請求の範囲に明記された程度に低い最終スラグとなり得る濃度にまで還元するための提案はなされていない。

Claims (53)

  1. 第1鉛−スズ系金属組成物(13)を製造する工程であって、該工程は、
    a)少なくとも1.0重量%のスズ及び少なくとも1.0重量%の鉛とともに少なくとも50重量%の銅を含む黒銅組成物(1)を提供するステップと、
    b)前記黒銅組成物(1)を部分的に酸化(100)して、第1銅濃縮金属相(4)と第1銅精錬スラグ(3)とを形成し、続いて、前記第1銅濃縮金属相(4)から前記第1銅精錬スラグ(3)を分離するステップと、
    c)前記第1銅精錬スラグ(3)を部分的に還元(400)して、第1鉛−スズ系金属組成物(13)と第1使用済みスラグ(12)とを形成し、続いて、前記第1鉛−スズ系金属組成物(13)から前記第1使用済みスラグ(12)を分離し、前記第1鉛−スズ系金属組成物(13)は第1液浴(450)の基礎を形成するステップと、を含み、
    これにより、ステップc)(400)への総供給原料は、存在するSnとPbとの合計の少なくとも1.5倍の量の銅を含み、
    これにより、前記第1使用済みスラグ(12)は、合わせて最大20重量%の銅、スズ及び鉛を含む、工程。
  2. ステップb)(100)に存在するスズの総量に対して、前記第1銅精錬スラグ(3)の一部としてステップb)(100)で回収されるスズが、少なくとも20%である、請求項1に記載の工程。
  3. ステップb)(100)に存在する鉛の総量に対して、前記第1銅精錬スラグ(3)の一部としてステップb)(100)で回収される鉛が、少なくとも20%である、請求項1又は2に記載の工程。
  4. ステップc)(400)への総供給原料が、少なくとも29.0重量%の銅を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の工程。
  5. ステップc)(400)への総供給原料が、存在するSnとPbとの合計の少なくとも1.6倍の量の銅を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の工程。
  6. 前記第1使用済みスラグ(12)が、合わせて最大18重量%の銅、スズ及び鉛を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の工程。
  7. 前記第1使用済みスラグ(12)が、最大7.0重量%の銅を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の工程。
  8. 前記第1使用済みスラグ(12)が、最大7.0重量%のスズを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の工程。
  9. 前記第1使用済みスラグ(12)が、最大7.0重量%の鉛を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の工程。
  10. 前記黒銅組成物(1)が、以下の条件、
    ・少なくとも51重量%の銅を含むこと、
    ・最大96.9重量%の銅を含むこと、
    ・少なくとも0.1重量%のニッケルを含むこと、
    ・最大4.0重量%のニッケルを含むこと、
    ・少なくとも1.5重量%のスズを含むこと、
    ・最大15重量%のスズを含むこと、
    ・少なくとも1.5重量%の鉛を含むこと、
    ・最大25重量%の鉛を含むこと、
    ・最大3.5重量%の鉄を含むこと、及び
    ・最大8.0重量%の亜鉛を含むこと
    の少なくとも1つに準拠する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の工程。
  11. ステップb)(100)及び/又はステップc)(400)における前記スラグの温度が少なくとも1000℃である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の工程。
  12. ステップc)(400)が、ステップc)(400)に第1還元剤(R1)を加えることを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の工程。
  13. 前記第1還元剤(R1)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項12に記載の工程。
  14. d)前記第1液浴(450)を部分的に酸化(500)して、第1銅希薄金属組成物(15)と第1はんだ精錬スラグ(16)とを形成し、続いて、前記第1銅希薄金属組成物(15)から前記第1はんだ精錬スラグ(16)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工程。
  15. e)前記第1はんだ精錬スラグ(16)を部分的に還元(600)して、第1粗はんだ金属組成物(18)と第2はんだ精錬スラグ(19)とを形成し、続いて、前記第1粗はんだ金属組成物(18)から前記第2はんだ精錬スラグ(19)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項14に記載の工程。
  16. f)前記第2はんだ精錬スラグ(19)を部分的に還元(700)して、第2鉛−スズ系金属組成物(10)と第2使用済みスラグ(20)とを形成し、続いて、前記第2鉛−スズ系金属組成物(10)から前記第2使用済みスラグ(20)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項15に記載の工程。
  17. 第1新しい銅含有供給原料(50)をステップf)(700)に加えることをさらに含む、請求項16に記載の工程。
  18. 前記第1新しい銅含有供給原料(50)が、黒銅及び/又は使用済み又は排除銅アノード材料を含む、請求項17に記載の工程。
  19. ステップf)(700)が、第3還元剤(R3)をステップf)(700)に加えることを含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の工程。
  20. 前記第3還元剤(R3)が、工程条件下で、スズ及び鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項19に記載の工程。
  21. g)前記第2鉛−スズ系金属組成物(10)の少なくとも一部を工程c)(400)に再循環(701)するステップ
    をさらに含む、請求項16〜20のいずれか一項に記載の工程。
  22. ステップe)(600)が、第2還元剤(R2)をステップe)に加えることを含む、請求項15〜21のいずれか一項に記載の工程。
  23. 前記第2還元剤(R2)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属を含み、好ましくは前記第2還元剤(R2)が、鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項22に記載の工程。
  24. 第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料(17)が、ステップe)に添加される、好ましくは前記第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料(17)が、Pb及び/又はSnの濃縮流の下流処理から得られるドロスを含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の工程。
  25. h)前記第1銅濃縮金属相(4)を部分的に酸化(200)して、第2銅濃縮金属相(7)と第2銅精錬スラグ(6)とを形成し、続いて、前記第2銅濃縮金属相(7)から前記第2銅精錬スラグ(6)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の工程。
  26. i)前記第2銅精錬スラグ(6)の少なくとも一部を前記第1液浴(450)に加える、及び/又は前記第2銅精錬スラグ(6)の少なくとも一部をステップd)(500)に加えるステップ
    をさらに含む、請求項25に記載の工程。
  27. j)前記第2銅濃縮金属相(7)を部分的に酸化(300)して、第3銅濃縮金属相(9)と第3銅精錬スラグ(8)とを形成し、続いて、前記第3銅濃縮金属相(9)から前記第3銅精錬スラグ(8)を分離するステップと、
    k)前記第3銅精錬スラグ(8)の少なくとも一部を前記第1銅希薄金属組成物(15)に加えて、第2液浴(550)を形成する、及び/又は前記第3銅精錬スラグ(8)の少なくとも一部をステップl)(800)に加えるステップと、
    l)前記第2液浴(550)を部分的に酸化(800)して、第1高銅金属組成物(22)と第3はんだ精錬スラグ(23)とを形成し、続いて、前記第1高銅金属組成物(22)から前記第3はんだ精錬スラグ(23)を分離するステップと、
    をさらに含む、請求項25又は26に記載の工程。
  28. m)前記第3はんだ精錬スラグ(23)を部分的に還元(900)して、第2銅希薄金属組成物(11)と第4はんだ精錬スラグ(24)とを形成し、続いて、前記第2銅希薄金属組成物(11)から前記第4はんだ精錬スラグ(24)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項27に記載の工程。
  29. n)前記第4はんだ精錬スラグ(24)を部分的に還元(1000)して、第2粗はんだ金属組成物(26)と第5はんだ精錬スラグ(27)とを形成し、続いて、前記第5はんだ精錬スラグ(27)から前記第2粗はんだ金属組成物(26)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項28に記載の工程。
  30. o)前記第5はんだ精錬スラグ(27)を部分的に還元(1100)して、第3鉛−スズ系金属組成物(29)と第3使用済みスラグ(28)とを形成し、続いて、前記第3鉛−スズ系金属組成物(29)から前記第3使用済みスラグ(28)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項29に記載の工程。
  31. p)前記第3鉛−スズ系金属組成物(29)を部分的に酸化(1200)して、第4鉛−スズ系金属組成物(21)と第6はんだ精錬スラグ(14)とを形成し、続いて、前記第4鉛−スズ系金属組成物(21)から前記第6はんだ精錬スラグ(14)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項30に記載の工程。
  32. q)前記第6はんだ精錬スラグ(14)の少なくとも一部をステップd)(500)に再循環(1201)する、及び/又は前記第6はんだ精錬スラグ(14)の少なくとも一部を前記第1液浴(450)に加える、及び/又は前記第6はんだ精錬スラグの少なくとも一部(53)をステップe)(600)に再循環(1201)するステップ
    をさらに含む、請求項31に記載の工程。
  33. r)前記第4鉛−スズ系金属組成物(21)の少なくとも一部をステップl)(800)に再循環(1202)する、及び/又は前記第4鉛−スズ系金属組成物(21)の少なくとも一部を前記第2液浴(550)に加えるステップ
    をさらに含む、請求項31又は32に記載の工程。
  34. ステップo)(1100)が、第2新しい銅含有供給原料(55)をステップo)に加えることを含む、請求項30〜33のいずれか一項に記載の工程。
  35. 前記第2新しい銅含有供給原料(55)が、黒銅及び/又は使用済み若しくは排除銅アノード材料を含む、請求項34に記載の工程。
  36. ステップo)(1100)が、第6還元剤(R6)をステップo)に加えることを含む、請求項30〜35のいずれか一項に記載の工程。
  37. 前記第6還元剤(R6)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項36に記載の工程。
  38. ステップn)(1000)が、第5還元剤(R5)をステップn)に加えることを含む、請求項29〜37のいずれか一項に記載の工程。
  39. 前記第5還元剤(R5)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項38に記載の工程。
  40. 第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料(25)が、ステップn)に添加される、好ましくは前記第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料(25)が、Pb及び/又はSnの濃縮流の下流処理から得られるドロスを含む、請求項29〜39のいずれか一項に記載の工程。
  41. s)ステップm)(900)で形成された前記第2銅希薄金属組成物(11)の少なくとも一部をステップc)(400)に再循環(901)する、及び/又は前記第2銅希薄金属組成物(11)の少なくとも一部をステップd)(500)に再循環する、及び/又は前記第2銅希薄金属組成物(11)の少なくとも一部を前記第1液浴(450)に再循環するステップ
    をさらに含む、請求項28〜40のいずれか一項に記載の工程。
  42. ステップm)(900)が、好ましくは前記第3はんだ精錬スラグ(23)を還元(900)する前に、第4還元剤(R4)をステップm)に加えることを含む、請求項28〜41のいずれか一項に記載の工程。
  43. 前記第4還元剤(R4)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項42に記載の工程。
  44. スラグ相から金属相を分離することに関する工程ステップの少なくとも1つに、ある量のシリカが、好ましくは砂の形態で添加される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の工程。
  45. 黒銅がステップb)、f)及びo)の少なくとも1つに添加され、前記黒銅が製錬ステップによって製造される、請求項1〜44のいずれか一項に記載の工程。
  46. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)及び前記第2粗はんだ金属組成物(26)の少なくとも1つが、ケイ素金属を使用して予備精錬され、予備精錬はんだ金属組成物が製造される、請求項1〜45のいずれか一項に記載の工程。
  47. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)及び/又は前記第2粗はんだ金属組成物(26)及び/又は前記予備精錬はんだ金属組成物を最大825℃の温度まで冷却し、重力によって第1液状溶融調整はんだ相上に浮遊する第1上澄みドロスを含む浴を製造するステップをさらに含む、請求項1〜46のいずれか一項に記載の工程。
  48. アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、又はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む化学化合物を、前記第1粗はんだ金属組成物(18)及び/又は前記第2粗はんだ金属組成物(26)及び/又は前記予備精錬はんだ金属組成物及び/又は第1液状溶融調整はんだ相に添加し、重力によって第2液状溶融調整はんだ相の上部に浮遊する第2上澄みドロスを含む浴を形成するステップをさらに含む、請求項15〜47のいずれか一項に記載の工程。
  49. 前記第2液状溶融調整はんだ相から前記第2上澄みドロスを除去し、それにより第2調整はんだを形成するステップをさらに含む、請求項48に記載の工程。
  50. 前記第1液状溶融調整はんだ相から前記第1上澄みドロスを除去し、それにより第1調整はんだを形成するステップをさらに含む、請求項47〜49のいずれか一項に記載の工程。
  51. 前記第1調整はんだ及び/又は前記第2調整はんだを蒸留するステップをさらに含み、鉛(Pb)が蒸発によってはんだから除去され、蒸留塔頂生成物及び蒸留塔底生成物が好ましくは真空蒸留によって得られる、請求項49又は50に記載の工程。
  52. 前記蒸留塔底生成物が、少なくとも0.6重量%の鉛を含む、請求項51に記載の工程。
  53. 前記工程の少なくとも一部が、電子的に監視及び/又は制御される、請求項1〜52のいずれか一項に記載の工程。
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