JP2021505658A - クロモリン組成物及びその方法 - Google Patents

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Abstract

クロモリンを必要とする患者にこれをデリバリーする方法、アミロイド関連状態及び炎症性若しくはアレルギー性肺疾患を治療する方法、並びにクロモリンを備えるパック及びキットについて記載される。

Description

本発明は、概して、クロモリン組成物及びその方法に関する。具体的には、本発明は、さまざまな疾患の治療のために、クロモリン粒子をこれを必要とする患者内に効果的にデリバリーすることに関する。
クロモリン(クロモグリク酸、クロモグリケート(cromoglycate)又はクロモグリケート(cromoglicate)とも称される)はこれまで喘息への使用が承認されている。その承認された形態は、ジナトリウム塩の形態のクロモリンナトリウム(クロモリンジナトリウム又はDSCGとしても知られている)として入手可能である。クロモリンは経口吸収が良くない。吸入を介したクロモリンのデリバリーは、クロモリンナトリウムの吸湿性が少なくとも部分的に原因で、非効率かつ困難である。例えば、クロモリンナトリウム粒子を含む微粉末は自然に水を吸収して、クロモリン粉末の効率的なデリバリーを妨げる凝集塊を形成する。Kellerら著,Expert Opin.Drug Deliv.8,1−17(2011)を参照されたい。加えて、これまで使用されている吸入装置の性能及び効率は患者の吸気流量に大きく依存し、患者にデリバリーされるクロモリンナトリウムの量に大きなばらつきが生じることとなる。Richardsら著,Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,241,1028−1032(1987)を参照されたい。
本発明は、クロモリンを、吸入を介して、吸気流量の範囲にわたって効率的にかつ一貫してデリバリーするための改良された組成物及び方法を提供する。
本発明は、クロモリンを、これを必要とする患者にデリバリーするための方法を対象とする。そのような患者には、例えば脳又は他の非肺組織へのクロモリンの全身デリバリーを必要とする患者が含まれる。実施例では、患者はアミロイド関連状態を有する。クロモリンを必要とする患者には、肺又は気道に関連する状態に関しクロモリンの肺デリバリーを必要とする患者も含まれる。実施例では、患者は喘息などの炎症性又はアレルギー性肺疾患を有する。
前記方法は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを、前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を備える粉末の形態で、患者に経口吸入を介して投与する工程を有する。前記粒子の大部分が約2ミクロンから約5ミクロンの直径を有する。前記粉末は、前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの投与された量のうちの(a)少なくとも1.5mg、及び(b)少なくとも20重量%を、例えば20L/分から90L/分の流量で、次世代医薬インパクタ(NGI)カスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージに堆積させる装置を用いて、投与される。
また、本発明は、関連する方法において、クロモリンを、これを必要とする患者にデリバリーする方法であって、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを、粉末の形態で、次の条件下で、経口吸入を介して患者に投与する工程を含み、前記条件とは、前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの投与された量のうちの(a)少なくとも1.5mg及び(b)少なくとも20重量%が前記患者の下気道にデリバリーされるようにするという条件である。本明細書で用いる場合、「下気道」との用語は、次世代医薬インパクタ(NGI)カスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージに対応する気道/肺の領域を指す。
また、本発明は、クロモリンを、これを必要とする患者にデリバリーする方法を提供し、この方法は、粉末を解凝集するよう構成された圧電バイブレータ又は超音波バイブレータを備えるチャンバと、内部で前記解凝集された粉末がピックアップされて患者による経口吸入のために運ばれる空気流通路と、を備えたドライ粉末吸入装置(DPI)を用いて、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を含む粉末の形態のクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを、経口吸入を介して患者に投与する工程を有する。前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子の大部分が約2ミクロンから約5ミクロンの直径を有してもよい。
種々の実施形態では、約3mgから約20mg(例えば約16.1mgから約19.9mg)のクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルが患者に投与される。オプションで、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルは、1つ又は複数の医薬的に許容される医薬品添加物と共に投与される。種々の実施形態では、粉末は、医薬品添加物を約0.1重量%から約80重量%、例えば約40重量%から約80重量%含む。種々の実施形態では、医薬品添加物は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類又は多価アルコールであり、例えばラクトース、マンニトール又はソルビトールである。
さらに、本発明は、アミロイド関連状態の治療を、これを必要とする患者に施す方法を提供する。この方法は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を備える粉末の量を、患者に経口吸入を介して、肺デリバリーを介して投与する工程を有し、前記粒子の大部分が約2ミクロンから約5ミクロンの直径を有し、前記投与する工程は、前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの投与された量のうちの(a)少なくとも1.5mg及び(b)少なくとも20重量%を、例えば20L/分から90L/分の流量で(例えば約4秒間で)、次世代医薬インパクタ(NGI)カスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージに堆積させる装置を用いて行われる。
本発明は、炎症性又はアレルギー性肺疾患の治療を、これを必要とする患者に施す方法をさらに提供する。この方法は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を備える粉末の量を、患者に経口吸入を介して、1日1回又は2回の頻度で投与する工程を有し、前記粒子の大部分が約2ミクロンから約5ミクロンの直径を有し、各投与量は約3mgから約20mgのクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを含む。この方法における投与量及び/又はデリバリーの頻度は、従来の投与量及び頻度と比較して減少したものとなっている。
本発明の種々の態様において、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を備える粉末は、ドライ粉末を解凝集するよう構成された圧電バイブレータ又は超音波バイブレータを備えるチャンバと、内部で前記解凝集された粉末がピックアップされて患者による経口吸入のために運ばれる空気流通路と、を備えたドライ粉末吸入装置などのアクティブ型ドライ粉末吸入装置を用いて患者に投与される。
種々の態様において、本発明は、アミロイド関連状態の治療を、これを必要とする患者に施す方法に向けられたものであり、この方法は、ネブライザーを用いて、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを含む溶液の液中粒子(liquid particles)の量を、経口吸入を介して患者に投与する工程を有する。粒子は、空気動力学質量中央径(MMAD)が、約0.5ミクロンから約15ミクロンである。一部の実施形態では、粒子の大部分は、直径が約2ミクロンから約5ミクロンである。
本発明は、炎症性又はアレルギー性肺疾患の治療を、これを必要とする患者に施すための薬剤の調製において、約3mgから約20mg(例えば約16.1mgから約19.9mg)の量のクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの使用をさらに含む。薬剤は、1日1回又は2回の頻度で経口吸入を介して投与され、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルは、オプションで直径が約0.5ミクロンから約15ミクロン、好ましくは平均粒子サイズが約5ミクロン以下の、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を備える粉末の形態を有する。本発明は、アミロイド関連状態の治療を、これを必要とする患者に施すための薬剤の調製においてクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの使用をさらに考慮する。薬剤は肺デリバリー又は経口吸入を介して患者に投与される。一部の実施形態では、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルは、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を備える粉末の形態であり、前記粒子の大部分が約2ミクロンから約5ミクロンの直径を有する。薬剤は、オプションで、本明細書に記載のドライ粉末吸入装置を用いてデリバリーされる。あるいは、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルは溶液中に存在し、ネブライザーを用いて投与される。
加えて、本発明は、クロモリンを、これを必要とする患者にデリバリーするためのブリスターパックを提供する。ブリスターパックは、約3mgから約20mg(例えば約16.1mgから約19.9mg)のクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを含むブリスターを備える。また、本発明は、本明細書に記載のブリスターパックと、ドライ粉末吸入装置(DPI)と、を備えるキットにも向けられたものである。一部の実施形態では、この装置は、粉末を解凝集するよう構成された圧電バイブレータ又は超音波バイブレータを備えるチャンバと、内部で前記解凝集された粉末がピックアップされて患者による経口吸入のために運ばれる空気流通路と、を備えたドライ粉末吸入装置などのアクティブ型ドライ粉末吸入装置である。一部の実施形態では、キットはイブプロフェンのタブレットをさらに備える。
本発明のさらなる態様は、添付の特許請求の範囲と合わせて以下の詳細な説明を読むことで当業者に明らかとなるであろう。本発明は種々の形態の実施形態の影響を受けやすくはあるが、以下に記載された特定の実施形態は、その開示内容が説明を目的としたものであって本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図しないものであるとの理解を前提とした上で記載されている。文献全体が統合的開示として関係するものであり、また、本明細書に記載された特徴について、たとえ特徴の組み合わせがこの文献の同じ文、段落又は章に一緒にない場合であっても、特徴の全ての組み合わせが予期されることは、理解されるべきである。例えば、クロモリンをデリバリーする方法に関する実施形態が記載されている箇所において、同じ特性および特徴を有する治療方法及びキットなどを伴う実施形態が具体的に考えられ、その逆も考えられる。
本発明は、上記のものに加えて、追加の態様として、上記の具体的なバリエーションよりもあらゆる形でより狭い範囲の発明の全実施形態を含む。包括的に記載された本発明の態様について、全ての個々の種は、本発明の別個の態様として個別に考慮される。ある範囲内の選択肢として記載された要素について、その範囲内の全ての離散的なサブ単位が本発明の実施形態であると考えられることは理解されるべきである。範囲について、本明細書では、「約」又は「およそ」ある特定の値から「約」又は「およそ」別の特定の値までとして表現している場合がある。そのような範囲が表現されている場合、本発明の別の実施形態は、ある特定の値から他の特定の値までを含む。同様に、特定の値が、「約」、「少なくとも約」又は「約〜未満」などのようにおよその値として、但し先行詞が使用されずに表現されている場合には、その特定の値は別の実施形態であると理解されるべきである。
「a」又は「an」を用いて記載又は請求された本発明の態様については、これらの用語は、文脈のなかでより厳密な意味でなければならないことが明記されていない限り、「1又は複数の」を意味するものと理解されるべきである。「又は(若しくは)」との用語は、文脈の中で特に別の意味でなければならないことが明記されていない限り、代替的な又は合わせたアイテムを包括するものと理解されるべきである。本発明の態様がある特徴を「備える(含む)」と記載されている場合、実施形態は、その特徴から「構成される」又は「主に構成される」ものも考えられる。
本発明は、クロモリンを、吸入を介して効率的にかつ一貫してデリバリーするための改良された方法及び組成物を提供する。そのような方法は、好ましくは、幅広い範囲の患者の吸気流量にわたって一定量の薬剤をデリバリーする。本発明の方法の一部の態様によれば、クロモリンの投与された量の大部分が、例えば下気道といった全身循環系内への輸送を仲介する肺の領域(気管支、気管支梢及び肺胞)にデリバリーされる。したがって、本発明の方法は、クロモリンを全身的に、即ち血流のなか(そして拡張によって脳などの体の肺以外の他の領域)にデリバリーするための効率的な手段を提供することができる。本発明の方法に関連する高められたデリバリー効率によって、肺デリバリー又は全身デリバリーを必要とするあらゆる状態において所望の生物学的反応を達成するために、投与されるクロモリンの量をより少なくすること及び/又はクロモリンの投与頻度をより少なくすることができる。利点として、従来の投与量において治療の有効性が改善される、あるいはより少ない投与量又はより少ない投与頻度での治療の有効性が維持又は改善されることで、使用がより容易となり、患者コンプライアンスが高まり、そして治療効果が高まり、そして薬剤の使用量が減少することでコストが削減される、といったことが挙げられる。加えて、ブリスターパック又はカプセルなどの個々のデリバリー単位からなるグループを含む多くの薬剤パッケージシステムは、個々のデリバリー構成単位のなかに包装できる薬剤の1回投与量についての最大容量が決まっている。クロモリンのより効率的なデリバリーによって、1つ1つのデリバリー単位のなかに治療に効果的な投与量を包装することが容易となるという利点もある。利点として、1回の投与当たりより多くの投与量をデリバリーできること、複数の投与レジメンにおいて均一な投与量をデリバリーできる(即ち投与量間のばらつきが小さい)こと、及び/又は1回の投与当たり複数の個々のデリバリー単位ではなく1回の投与当たり1つのデリバリー単位を使用できることが挙げられる。
本発明について、以下により詳細に記載する。章の見出しは読む際の便宜のためのものであってそれ自体は限定を意図するものではない。
<粉末投与>
本発明は、一態様において、クロモリンを、これを必要とする患者にデリバリーする方法を提供する。そのような患者には、クロモリンの肺又は全身デリバリーの必要がある患者、アミロイド関連状態を有する患者及び喘息などの炎症性又はアレルギー性肺疾患を患う患者が含まれる。本明細書に記載の実施形態の何れかにおいて、クロモリン(クロモグリク酸、クロモグリケート(cromoglycate)、クロモグリケート(cromoglicate)又は5,5’−(2−ヒドロキシプロパンー1,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(4−オキソ−4H−クロメン−2−カルボン酸)とも称される)は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を備える粉末として投与することができる。
医薬的に許容される塩は、当業者によく知られたものであり、医薬的に許容される無機及び有機ベース付加塩を含み、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は有機アミンなどの金属又はアミンから形成されてもよい。化合物の医薬的に許容される塩は、医薬的に許容されるカチオンを用いて調製されてもよい。これらの塩は、in situで投与溶剤のなかで又は剤形製造プロセスにおいて調製することができ、あるいは精製化合物を別々に遊離酸のかたちで適切な基剤と反応させる、例えば、医薬的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩をアンモニア又は医薬的に許容される有機一級、二級若しくは三級アミンと反応させることで、調製することができる。適切な医薬的に許容されるカチオンは、当業者によく知られたものであり、アルカリ、アルカリ土類、アンモニウム及び四級アンモニウムカチオンを含む。カチオンとして使用される金属の例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウム、アルミニウム又は第二鉄などである。適切なアミンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン及びプロカインを含む。適切なクロモリンのエステルは、脂肪族エステル(例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、t−ブチルエステルなどのブチルエステル、ペンチルエステル)、アリールエステル(例えばフェニルエステル及びベンジルエステル)などのクロモリンのカルボン酸のうちの1つ又は両方のカルボン酸エステル、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。一例では、クロモリンの医薬的に許容される塩はクロモリンジナトリウムである。
クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルは、吸入を介して、通常は経口吸入を介して投与されるが、鼻からの吸入、あるいは経口吸入と鼻からの吸入の組み合わせを用いることもできる。全身デリバリーが望まれる場合には、本明細書に記載の吸入を介する投与によってクロモリンが患者の肺にデリバリーされ、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルが、例えば下気道といった血流内への吸収を可能にする肺の表面(気管支、気管支梢及び肺胞)の上に堆積される。
一実施形態では、クロモリン塩又はエステルの粒子は、中央粒径(D50)が約5ミクロン未満、約4.8ミクロン未満、約4.5ミクロン未満、約4.2ミクロン未満、約4ミクロン未満、約3.8ミクロン未満、約3.5ミクロン未満、約3.2ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2.8ミクロン未満、約2.5ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1.8ミクロン未満、約1.5ミクロン未満、約1.2ミクロン未満、約1ミクロン未満、約0.1ミクロンから約5ミクロン、約0.5ミクロンから約5ミクロン、約0.8ミクロンから約5ミクロン、約1ミクロンから約5ミクロン、約1.2ミクロンから約5ミクロン、約1.5ミクロンから約5ミクロン、約1.8ミクロンから約5ミクロン、約2ミクロンから約5ミクロン、約1.2ミクロンから約5ミクロン、約2.5ミクロンから約5ミクロン、約2.8ミクロンから約5ミクロン、約3ミクロンから約5ミクロン、約3.2ミクロンから約5ミクロン、約3.5ミクロンから約5ミクロン、約3.8ミクロンから約5ミクロン、約4ミクロンから約5ミクロン、約4.2ミクロンから約5ミクロン、約4.5ミクロンから約5ミクロン及び/又は約4.8ミクロンから約5ミクロンである。クロモリン塩又はエステルの粒子は、オプションで、D90が、15ミクロン未満、14ミクロン未満、13ミクロン未満、12ミクロン未満、11ミクロン未満、10ミクロン未満、9.5ミクロン未満、9ミクロン未満、8.5ミクロン未満、8ミクロン未満、7.5ミクロン未満、7ミクロン未満、6.5ミクロン未満、6ミクロン未満、5.5ミクロン未満、5ミクロン未満、4.5ミクロン未満、4ミクロン未満、3.9ミクロン未満、3.8ミクロン未満、3.7ミクロン未満、3.6ミクロン未満、約3ミクロンから約15ミクロン、約5ミクロンから約13ミクロン、約7ミクロンから約11ミクロン及び/又は約9ミクロンから約10ミクロンである。
50との用語は、本明細書で用いる場合、サンプルの質量の50%が、D50より小さい粒子からなるような粒径を指す。D90との用語は、本明細書で用いる場合、サンプルの質量の90%が、D90より小さい粒子からなるような粒径を指す。D50は、これによってサンプルが等量に分けられることから「質量中央径」としても知られる。
別の実施形態では、クロモリン塩又はエステルの粒子は、空気動力学質量中央径(MMAD)が、約0.5から約15ミクロン、約0.5から約10ミクロン、約1から約5ミクロン、約1から約4ミクロン、約1から約3.5ミクロン、約1から約3ミクロン、約1から約2.5ミクロン及び/又は約1から約2ミクロンである。所望のサイズの粒子は、微粒子化又は粉砕を含む当業者に周知の方法などのあらゆる方法で得ることができる。「空気動力学径」との用語は、本明細書で用いる場合、任意の密度の非球状粒子として気流中において同じ速度に到達するような単位密度の球の直径を指す。「空気動力学質量中央径」との用語は、本明細書で用いる場合、粒子の50重量%がこれより大きくかつ50重量%がこれより小さくなる空気動力学径を指す。空気動力学径を決定する方法は当該分野で周知であるとともに、例えばChowら著,「肺薬剤デリバリーのための粒子エンジニアリング」,Pharm.Res.,24(3),411−437(2007)に記載されている。
クロモリン塩又はエステルの粒子は、幾何学的標準偏差(GSD)が、約1.3から約2.5、約1.4から約2.4、約1.5から約2.3、約1.6から約2.2、約1.7から約2.1及び/又は約1.8から約2であってもよい。「幾何学的標準偏差」との用語は、本明細書で用いる場合、空気動力学粒子サイズ分布の広がりを指す。GSDは、GSD=(d84/d161/2のように計算することができ、式中、d84及びd16は、それぞれ、エアロゾル質量の84%及び16%がd84及びd16より小さい直径となる直径を表す。
粉末は、オプションで、1つ又は複数の医薬的に許容される医薬品添加物を含む。適切な医薬品添加物は、肺組織について良好な耐容性を示すものであって、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、多価アルコール及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。例示的な医薬品添加物は、ラクトース、マンニトール、ソルビトール及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。(複数の)医薬的に許容される医薬品添加物は、存在する場合には、粉末中に含まれる総量が、約0.1重量%から約80重量%、約1重量%から約80重量%、約5重量%から約80重量%、約10重量%から約80重量%、約15重量%から約80重量%、約20重量%から約80重量%、約25重量%から約80重量%、約30重量%から約80重量%、約35重量%から約80重量%、約40重量%から約80重量%、約20重量%から約75重量%、約20重量%から約70重量%、約20重量%から約65重量%、約20重量%から約60重量%、約25重量%から約55重量%、約30重量%から約50重量%、約35重量%から約45重量%及び/又は約40重量%である。医薬的に許容される医薬品添加物は、無水形態で又は一水和物若しくはより大きいオーダーの水和物などの水和物として含有させることができる。(複数の)医薬品添加物は、オプションで、例えば約10ミクロンから約150ミクロンなど約250ミクロン以下の粒子サイズを有するが、本発明との関連で他の医薬品添加物粒子サイズを用いてもよい。
特定の患者に対する具体的な投与レジメンは、治療中の状態、施されている併用療法、患者のサイズ、投与の頻度などといった複数のファクターに依存する。種々の実施形態では、患者に投与される粉末の量は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを約3mgから約20mg含み、例えば、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを、約3mgから約19mg、約3mgから約18mg、約3mgから約17mg、約3mgから約16mg、約3mgから約15mg、約3mgから約14mg、約3mgから約13mg、約3mgから約12mg、約3mgから約11mg、約3mgから約10mg、約3mgから約9mg、約3mgから約8mg、約3mgから約7mg、約4mgから約20mg、約6mgから約19mg、約8mgから約18mg、約10mgから約18mg、約12mgから約18mg、約14mgから約18mg、約16mgから約18mg、約17mgから約18mg、約16.1mgから約19.9mg又は約16.1mgから約19.9mg含む。粉末の量は、オプションで、1回量又は投与で投与され、これを一息で吸入する又は1回投与の間に複数の吸気にわたって吸入するようにしてもよい。オプションで、1回量又は投与は、1つのブリスター又は1つのカプセルなどの1つのデリバリー単位から投与される。この1回量(1回投与)は、治療期間の間にあらゆる間隔で繰り返し患者に投与してもよい。例えば、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの1回量(例えば約16.1mgから約19.9mg)は、治療期間中に1日1回、1日2回又は1日3回患者に投与される。治療期間の例には、少なくとも1、2、3、4、5、6若しくは7日間、又は少なくとも1、2、3若しくは4週間、又は少なくとも1、2、3、4、5若しくは6か月間、又は1年以上が含まれる。
一般的に、粉末の投与は、粉末を気体(空気又は酸素など)中に分散(suspending)させ、これにより粉末及び気体を含むエアロゾルを形成することを伴う。分散体(suspension)の形成と同時に又はこれに続いて、粉末分散体が患者によって吸入される。一部の実施形態では、投与することが吸入される気流中に粉末を分散させることを含むように、患者によって吸入される気流中に粉末が分散される。
気体(空気又は酸素など)中に粉末を分散させることは、振動を含むあらゆる手段によって行われてもよい。粉末を振動させることで、一般的に、粉末の少なくとも一部(即ち少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%及び/又は少なくとも約90%)がエアロゾル化される。例えば、粉末を振動させることは、一般的に、粉末のすぐ近くの気体中に粉末の少なくとも一部を分散させることを伴う。加えて、クロモリンの粒子を含む粉末及びオプションの医薬的に許容される(複数の)医薬品添加物は凝集体を含むことができ、例えば、2つ以上のクロモリン粒子の凝集体及び/又はクロモリン粒子と医薬品添加物粒子との凝集体を含むことができる。特定の理論に縛られることは意図していないものの、粉末を振動させることで粒子の凝集体が解凝集され、有利なことに例えば下気道といった肺の領域(気管支、気管支梢及び肺胞)により容易にデリバリーされて血流内に輸送可能なより小さい粒子を提供すると考えられる。オプションで、粉末をエアロゾル化及び/又は解凝集させるシンセティックジェットを生成するような振動を生み出すように、バイブレータが振動される。シンセティックジェットを形成する方法は、例えば、米国特許第7,318,434号に記載されており、この全内容は参照により本明細書に盛り込まれているものとする。好ましくは、粉末の投与は、例えば約10kHzから約50kHz、約15kHzから約40kHz及び/又は約20kHzから約30kHzの振動数などの高振動数で粉末を振動させることを伴う。
本発明の一部の実施形態では、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を含む粉末の量が、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの投与された量のうちの(a)少なくとも1.5mg及び(b)少なくとも20重量%を、例えば20L/分から90L/分の流量で、約1秒間から約10秒間で(例えば約4秒間で)次世代医薬インパクタ(NGI)カスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージに堆積させる装置を用いて、投与される。例示的な実施形態では、この装置は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの投与された量のうちの(a)少なくとも1mg、少なくとも1.5mg、少なくとも1.8mg、少なくとも2mg、少なくとも2.2mg、少なくとも2.5mg、少なくとも2.8mg、少なくとも3mg、少なくとも3.2mg、少なくとも3.5mg、少なくとも3.8mg、少なくとも4mg、少なくとも4.2mg、少なくとも4.5mg、少なくとも4.8mg、少なくとも5mg、少なくとも5.2mg、少なくとも5.5mg、少なくとも5.8mg、少なくとも6mg、少なくとも6.2mg、少なくとも6.5mg、少なくとも6.8mg、少なくとも7mg、少なくとも7.2mg、少なくとも7.5mg、少なくとも7.8mg、少なくとも8mg、少なくとも8.2mg、少なくとも8.5mg、少なくとも8.8mg、少なくとも9mg、少なくとも9.2mg、少なくとも9.5mg、少なくとも9.8mg、少なくとも10mg、約1.3mgから約7mg、約1.5mgから約3mg、約1.5mgから約5mg、約1.5mgから約7mg、約1mgから約4mg、約1mgから約5mg、約1mgから約7mg、約1.8mgから約5.8mg、約1.5mgから約5.5mg及び/又は約2mgから約5mg並びに(b)少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、約30重量%から約75重量%、約30重量%から約65重量%、約30重量%から約60重量%、約30重量%から約55重量%及び/又は約30重量%から約50重量%を、例えば20L/分から90L/分といった流量で、約10秒間又はそれより短い時間で、NGIカスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージに堆積させる。「投与された量のうちの・・・重量%」というフレーズにおける「投与された量」との用語は、本明細書で用いる場合、装置に連結されている1つ1つのデリバリー単位(例えばブリスター又はカプセル又は他の単位投与量容器)内に存在するクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの量を指す。したがって、一実例としての実施形態では、装置は、例えば約17.1mgの、医薬品添加物が添加された又は添加されていないクロモリン塩又はエステルを含むカプセル又はブリスターから、本明細書に記載のようなNGIカスケードインパクタのステージ4及びこれより高いステージに、少なくとも約4mgから約5mgのクロモリン塩又はエステルをデリバリーする。NGIカスケードインパクタは、エアロゾルの空気動力学的サイズ分布の研究及び肺の異なる領域へのデリバリーのシミュレーションに有用である。呼吸器は粒子サイズ選択的系を形成し、漸進的により細かい粒子が口、咽頭及びより大きい気道を通って、抹消部の肺(例えば肺胞空間)に堆積される。同様に、カスケードインパクタは、漸進的により細かい粒子が系を通過するようにする複数の「ステージ」を含む。粒子を運ぶエアロゾル流は、一定の流量(例えば20L/分から90L/分)で各ステージを通過する。特定のステージには同じような空気動力学的サイズの粒子が堆積され、より小さい粒子は、より大きい粒子よりも、NGIカスケードインパクタのさらなるステージに堆積される。一例では、70L/分から90L/分の流量(例えば合計駆動が約4秒間)で、NGIカスケードインパクタのステージ4及びこれより高いステージによって、空気動力学質量中央径(MMAD)が約5ミクロン以下の粒子がトラップされる。NGIカスケードインパクタは、一般的に、相対湿度が20%以下などの低い相対湿度の条件下で作動される。肺の中央(気管支)領域における堆積は通常約4ミクロンから約6ミクロンのMMADを有する粒子でピークとなり、肺の抹消(肺胞)領域における堆積は通常、約2ミクロンから約4ミクロンのMMADを有する粒子でピークとなる。Mitchell及びNagel著,「医療用吸入装置からのエアロゾルの粒子サイズ分析」,KONA,22,32−65(2004)を参照されたい。したがって、70L/分から90L/分の流量(例えば合計駆動が約4秒間)において、NGIカスケードインパクタのステージ4及びこれより高いステージは、薬剤が血流内へとかなり体内吸収される肺の領域をシミュレートする。NGIカスケードインパクタ装置は、ミネソタ州ショアビューのMSP社から販売されている。
クロモリンをデリバリーするための本発明の方法は、幅広い範囲の流量について活性薬剤を一貫してデリバリーできるという利点がある。例えば、20L/分から100L/分、あるいは20L/分から80L/分、20L/分から60L/分、40L/分から80L/分、60L/分から80L/分、60L/分から90L/分、70L/分から90L/分又は75L/分から85L/分といった吸入流量で粉末の一貫した量が患者にデリバリーされる。「一貫した量」とは、患者が受け取る粉末量において相対標準偏差(RSD)が10%以下(例えば5%以下、3%以下及び/又は2.5%以下)であることを意味する。
<粉末投与のための装置>
本明細書に記載の粉末を投与するための装置は、ドライ粉末吸入装置(DPI)、定量噴霧式吸入装置(MDI)及びドライ粉末ネブライザー装置(DPN)を含むが、これらに限定されない。適切な装置は典型的に定量又は所定量投与する。そのような投与量は通常、設定された期間又は設定された空気体積で投与される。種々の実施形態では、装置は患者の吸気流量とは独立して機能する。したがって、例えば、装置は、20L/分から100L/分、あるいは20L/分から80L/分、20L/分から60L/分、40L/分から80L/分、60L/分から80L/分、60L/分から90L/分、70L/分から90L/分又は75L/分から85L/分といった吸入流量などの幅広い範囲の流量についてクロモリンの一貫した量をデリバリーする。特定の実施形態では、装置は、80L/分の吸入流量でクロモリンの一貫した量をデリバリーする。
オプションで、装置は、空気流通路と流体連通したチャンバを備えるドライ粉末吸入装置である。チャンバ内には、ドライ粉末のエアロゾル化及び/又は解凝集に適した、例えば圧電バイブレータ又は超音波バイブレータなどのバイブレータが含まれる。吸入装置は、オプションで、圧電バイブレータ又は超音波バイブレータを作動開始するため及びブリスターに穴をあける手段又はブリスターを開けるオープン手段と協働するためのレバーを含む。
一実施形態では、圧電又は超音波バイブレータの付近の動作位置において粉末を含むパック(例えばカプセル又はブリスター)を受け取ることで、吸入装置から粉末がデリバリーされる。患者は、吸入装置のマウスピースを口のなかに位置付けて、彼/彼女の唇でマウスピースの周囲を密閉し、レバーを押しながら空気流通路を介して空気を吸い込む。レバー又は他のトリガイベントによる作動開始がされると、パックが壊され、圧電又は超音波バイブレータが作動開始され、そして解凝集された粉末が患者の吸気流内にピックアップされて、患者による吸入のために空気流通路を通って運ばれる。
吸入装置は、オプションで、空気流通路を通る空気の動きを検出する吸入流量検出器を含む。一部の実施形態では、吸入装置が吸入流量検出器を含む場合、粉末の解放をトリガするイベントとしては、空気流通路を通る空気の動きが閾流量を超えることが含まれる。
一部の実施形態では、粉末は、例えば約1秒間から約5秒間の総吸入時間、例えば約1秒間から約2秒間、の期間内にデリバリーされる。吸入期間は視覚的インジケータを用いて、例えば発光ダイオードの点滅や色の変更によってモニターすることができ、あるいは可聴式インジケータを用いてモニターすることができる。
オプションで、レバー、吸入流量及び圧電若しくは超音波バイブレータの機能がモニターされて、フラッシュドライブ又は吸入装置と直接接触している若しくは吸入装置から取り外されているが吸入装置と通信する他のコンピュータメモリなどのメモリに記録される。例えば、装置の機能パラメータは、装置から遠隔位置に送信されてもよく、メモリに記録されてもよく、有線又は無線通信ネットワークを介して医療提供者が利用可能なようにしてもよい。また情報は、オプションで、治療をモニターするためにポイント・オブ・ケア装置に送られてもよい。記録された性能情報によって医療提供者は装置を使用する力をモニターすることができ、このことは、患者の装置を動作させる能力が、認知力及び/又は身体の健康の衰えによって低下した時に特に役に立つ。
装置については、米国特許第6,026,809号、第7,318,434号、第7,334,577号、第7,779,837号、第8,322,338号及び第8,371,294号、米国特許出願公開第2009/0090361号、第2010/0294278号及び第2012/0077786号、国際公開第2005/076872号、並びに欧州特許第0591136号にも記載されており、これらは全内容が参照によって本明細書に盛り込まれているものとする。
<ネブライザーを用いる溶液投与>
種々の実施形態では、本発明は、好ましくはアミロイド関連状態の治療を、これを必要とする患者に施すための方法において、ネブライザーを用いて患者にクロモリンを投与する工程を有する方法も含む。この方法は、ネブライザーを用いて患者による吸入(例えば経口吸入)を介してクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを含む溶液の液中粒子を投与する工程を有する。これらの溶液粒子(solution particles)は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルとあらゆるオプションの医薬品添加物とが溶解された溶液の液滴である。クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルは、溶液中に、約1mg/mLから約100mg/mLの濃度、例えば約5mg/mLから約50mg/mL及び/又は約10mg/mLから約20mg/mLの濃度で存在することができる。(複数の)医薬品添加物は、含有される場合、溶液中に、約1mg/mLから約100mg/mLの濃度、例えば約5mg/mLから約50mg/mL及び/又は約10mg/mLから約20mg/mLの濃度で存在することができる。液中粒子(即ち液滴)は、空気動力学質量中央径(MMAD)が約1ミクロンから約10ミクロン、例えば約1ミクロンから約8ミクロン、約1ミクロンから約4ミクロン、約1ミクロンから約3.5ミクロン、約1ミクロンから約3ミクロン、約1ミクロンから約2.5ミクロン、約1ミクロンから約2ミクロン、約2ミクロンから約4ミクロン及び/又は約2.5ミクロンから約3.5ミクロンである。また液中粒子(即ち液滴)は、オプションで、中央径が、約2ミクロン未満、約1.8ミクロン未満、約1.5ミクロン未満、約1.2ミクロン未満、約1ミクロン未満、約0.5ミクロンから約2ミクロン、約0.8ミクロンから約2ミクロン、約1ミクロンから約2ミクロン、約1.2ミクロンから約2ミクロン、約1.5ミクロンから約2ミクロン及び/又は約1.8ミクロンから約2ミクロンである。医薬品添加物、容量、肺のターゲット領域、デリバリー量及び効率並びに肺のターゲット領域へのデリバリーを見積もる方法については上記のとおりである。
溶液としてのクロモリンを投与するのに適した装置は、ジェット、超音波又は圧電ネブライザーを含むが、これらに限定されない。そのようなネブライザー装置は、医薬的に許容される溶液(例えば低張液又は等張液)からクロモリンのエアロゾル化された粒子(例えば、クロモリンナトリウムなどのクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステル)を形成する。ネブライザー装置は、オプションで、マウスピース又はフェイスマスクから、振動メッシュ、圧電素子又は圧縮ガスアトマイザー素子によって分離された液体用容器を含む。そのような構成では、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを含む溶液が液体用容器内に存在し、そして装置によって経口吸入用の粒子のミストが生成される。ネブライザーを使用する際には、クロモリン溶液は、オプションで、約10分以下の期間(例えば2分間)にわたって吸入(経口吸入、鼻からの吸入又はこれらの組み合わせ)を介して患者にデリバリーされる。
ネブライザーは、本明細書に記載のドライ粉末投与装置の特徴の何れかを有してもよい。例示的な実施形態では、装置は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを、少なくとも1mg、少なくとも1.5mg、少なくとも1.8mg、少なくとも2mg、少なくとも2.2mg、少なくとも2.5mg、少なくとも2.8mg、少なくとも3mg、少なくとも3.2mg、少なくとも3.5mg、少なくとも3.8mg、少なくとも4mg、少なくとも4.2mg、少なくとも4.5mg、少なくとも4.8mg、少なくとも5mg、少なくとも5.2mg、少なくとも5.5mg、少なくとも5.8mg、少なくとも6mg、少なくとも6.2mg、少なくとも6.5mg、少なくとも7.8mg、少なくとも7mg、少なくとも7.2mg、少なくとも7.5mg、少なくとも7.8mg、少なくとも8mg、少なくとも8.2mg、少なくとも8.5mg、少なくとも8.8mg、少なくとも9mg、少なくとも9.2mg、少なくとも9.5mg、少なくとも9.8mg、少なくとも10mg、約1.3mgから約7mg、約1.5mgから約3mg、約1.5mgから約5mg、約1.5mgから約7mg、約1mgから約4mg、約1mgから約5mg、約1mgから約7mg、約1.8mgから約5.8mg、約1.5mgから約5.5mg及び/又は約2mgから約5mgを、例えば20L/分−90L/分の流量で、約10秒間又はそれより短い時間で、NGIカスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージに堆積させる/デリバリーする。例示的な実施形態では、装置は、(上記の)クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの投与された量のうちの少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、約30重量%から約75重量%、約30重量%から約65重量%、約30重量%から約60重量%、約30重量%から約55重量%及び/又は約30重量%から約50重量%を、例えば(例えば約10秒間又はそれより短い時間で)20L/分から90L/分の流量で、NGIカスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージに堆積させる/デリバリーする。
ネブライザーについては、米国特許第8,263,645号及び米国特許出願公開第2007/0193577号、第2009/0118249号及び第2012/0118991号にも記載されており、これらは全内容が参照により本明細書に盛り込まれているものとする。
<アミロイド関連状態>
本明細書に記載の方法の何れかは、アミロイド関連状態の治療を、これを必要とする患者に施すための方法を含む。種々の実施形態では、この方法は、本明細書に記載のクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を含む粉末の量を吸入を介して患者に投与する工程を有する。上記のように、代替的な実施形態では、方法は、ネブライザーを用いてクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを含む溶液の粒子の量を吸入を介して患者に投与する工程を有する。
特定の理論に縛られることを望むものではないが、クロモリンジナトリウムは、血液−脳バリアを貫通してベータアミロイドペプチドと結合し、アミロイドペプチドの集合並びに/又はオリゴマー及びより高次の凝集体への重合を抑制する。ベータアミロイドの集合及び/又は重合の抑制は、神経のアミロイド媒介障害を抑えると考えられるとともに、オリゴマー及び/又は凝集体の脳からの除去を促進して、これによって脳内におけるアミロイドの蓄積を遅くする、抑止する又は減少させ得る。
「アミロイド関連状態」とは、異常なアミロイドの凝集及び/又は蓄積に関連する疾患又は病的障害を意味する。Eisenberg及びJucker著,Cell,148,1188−1203(2012)を参照されたい。アミロイドの蓄積は、神経変性疾患から全身性アミロイドーシス、関節炎にわたる幅広い疾患に結び付けられてきた。アミロイド関連状態の例は、アルツハイマー病(ベータアミロイド)、認知症、2型糖尿病(IAPP)、パーキンソン病(アルファ−シヌクレイン)、突発性骨髄腫、アミロイド多発性神経障害、アミロイド心筋症、老人性全身性アミロイドーシス、伝達性海綿状脳症(例えばクロイツフェルト・ヤコブ病)(PrPSc)、ダウン症、ハンチントン病(ハンチントン)、甲状腺髄様癌(カルシトニン)、アテローム性動脈硬化(アポリポタンパク質)、リューマチ性関節炎(血清アミロイドA)、大動脈中間アミロイド(Medin)、プロラクチノーマ(プロラクチン)、家族性アミロイド多発性神経障害(FAP)(トランスチレチン)、前頭側頭葉変性症−タウ(Tau)、家族性イギリス型及びデンマーク型認知症(BriPP)、遺伝性非神経障害性全身性アミロイドーシス(リゾチーム)、透析関連アミロイドーシス(ベータ2ミクログロブリン)、フィンランド型アミロイドーシス(ゲルゾリン)、心房性アミロイドーシス(心房性ナトリウム利尿因子)、トランスチレチン家族性アミロイドーシス(TTR)、遺伝性フィブリノゲンアルファ鎖アミロイドーシス(フィブリノゲンアルファ鎖)、運動ニューロン病、格子状角膜ジストロフィ(ケラトエピセリン)、筋萎縮性側索硬化症(SOD1)及び脳アミロイド血管障害(ベータアミロイド、システイン)を含むが、これらに限定されない。Kooら著,PNAS,96(18),9989−9990(1999)並びに上記のEisenberg及びJucker著の文献を参照されたい。アミロイド関連状態の他の例は頭部損傷(外傷性脳損傷)を含み、外傷性脳損傷後の数時間以内に患者においてアミロイドβプラークが発見された。Johnsonら著,Nature Reviews Neuroscience,11,361−370(2010)を参照されたい。
「治療する」及び「治療」との用語は、本明細書で用いる場合、アミロイド関連状態又は炎症性又はアレルギー性肺疾患(後述のもの)などの病気に関連する兆候又は症状の重症度及び/又は発症を低減することを指す。したがって、「治療する」及び「治療」とは、兆候又は症状の何れかを低減するような治療上の及び予防のための対策を含む。アミロイド関連状態又はこれに関連する症状からの保護又はその改善は、どの程度であれ、人間の患者などといった対象に有益であることは、当業者であれば理解するであろう。例えば、検出可能なアミロイドプラークなどのサインの減少は有益である。別の例では、脳脊髄液中の溶性アミロイドのレベルの異常に低いレベルから正常な年齢相応のレベルまでの上昇も、有益である。対象における症状の重症度をあらゆる程度にまで軽減すること及び/又は症状の発現を遅らせることによって、患者のクオリティ・オブ・ライフが向上する。したがって、一態様における方法は、対象がアミロイド関連状態のリスクを有すると認められてから可能な限り早く、又は対象においてアミロイド関連状態が明らかとなってから可能な限り早く実行される。例えば、外傷性脳損傷患者ではアミロイドβプラークが急激に蓄積されることから、頭部損傷が起こってから可能な限り早く治療を開始することで予後が改善し得る。
アミロイド関連状態のリスク、徴候又は存在の検出は、多くの技法の何れかを用いて実行される。アミロイドの蓄積は、例えば蛍光染料、円偏光二色性及びX線回折を用いて、生体外で検出することができる。例えば、生検により得られた組織中のアミロイドは、通常、コンゴレッドで染色されて偏光顕微鏡で見たときに緑色の複屈折を示す。アミロイドプラークは、例えば核磁気共鳴撮像法(MRI)(例えばBaltesら著,Methods Mol Bio.,711,511−33(2011)参照)及び陽電子放射断層撮影(PET)(Kepeら著,Methods Enzymol.,412,144−60(2006)参照)を用いて、生体内で検出することができる。本明細書において参照する神経変性疾患の多くは、精神状態及び神経心理学的検査(例えば記憶及び問題解決の評価)及び血液検査(例えばアルツハイマー病バイオマーカーシグネチャについての血液検査)によっても診断される。Burnhamら著,「アルツハイマー病における新皮質Aβ蓄積についての血液ベースプレディクタ:AIBL研究の結果」,Molecular Psychiatry(2013年4月)を参照されたい。
<炎症性又はアレルギー性肺疾患>
本発明は、炎症性又はアレルギー性肺疾患の治療を、これを必要とする患者に行うための方法を提供し、この方法は、本明細書に記載のクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を含む粉末の量を、患者に吸入を介して投与する工程を有する。そのような方法における投与量及び/又は投与の頻度は、従来の投与量及び頻度と比較して減少したものである。
炎症性又はアレルギー性肺疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺線維症、嚢胞性線維症を含む。例えば喘息は、肺の気道の炎症及び気道過敏性(AHR)に関連する状態である。また喘息は、過剰な粘液産生も特徴とする。症状は、軽度のもの(例えば呼吸がわずかに短い)から重度のもの(呼気性喘鳴、呼吸困難及び/又は胸部狭窄感)まで幅があり、人によって異なる。喘息発作中、気道の被覆が膨張し、これにより気道が圧迫されて肺に出入りする空気の流れが減少する。喘息は、例えば感染、アレルゲン、化学物質及びヒューム、汚染物質、薬物、身体運動、ストレス並びに食品添加物などによって生じる又は引き起こされる。喘息は、4つの一般的カテゴリー、即ち、軽症間欠型(最大で2日/週の軽度の症状)、軽症持続型(2回/週より多いが、毎日ではなく、夜間エピソードが1又は2回/月の症状)、中等症持続型(連日の症状及び夜間症状が3又は4回/月の症状)及び重度持続型(1日の大半にわたる症状及び夜間に頻繁な症状)、に分類される。
本明細書に記載するように、「治療する」及び「治療」とは、炎症性又はアレルギー性肺疾患(例えば喘息)に関連する症状の重症度及び/又は発症を低減することを指し、そして、治療上の及び予防のための対策を含む。例えば、治療は、アレルギー又は気道過敏性の傾向がある患者における喘息発作の回数及び/又は重症度を低減する結果をもたらし得る。一態様における方法は、対象が炎症性又はアレルギー性肺疾患のリスクがあるとの決定(例えばアレルギー又は気道過敏性との診断)がされてから可能な限り早く、あるいは対象において炎症性又はアレルギー性肺疾患(例えば喘息)が明らかとなってから可能な限り早く実行される。
<併用療法>
クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルは、オプションで、1つ又は複数の追加の薬剤とともに投与される。例えばアミロイド関連状態については、追加の抗アミロイド薬又は抗炎症薬を投与することができる。炎症性又はアレルギー性肺疾患については、追加の抗喘息薬又は抗炎症薬又は気道過敏性の治療に用いられる他の薬剤を投与することができる。
追加の薬剤は、固形剤形(例えばタブレット、カプセル及び粉末)及び液状剤形(例えば溶液、懸濁液、エマルション、シロップ及びエリキシル剤)を含むあらゆる剤形で提供してもよい。追加の薬剤は、経口(例えば摂取又は吸入)、注入(例えば静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、皮内、関節内、くも膜下腔内、硬膜外、脳内又は腹腔内)、頬側、直腸、局所、経皮、鼻腔内、肺ルート経由、吸入経由又は眼内を含むあらゆる既知の投与ルートを用いて投与してもよい。追加の薬剤は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルと同時に又は順番に(即ち前後に)投与してもよい。
追加の薬剤は、例えば、レボドパ(シネメット)、抗コリン作用薬、エルデプリル、ステロイド、抗ヒスタミン剤、長時間作用型又は短時間作用型ベータアゴニスト、免疫調節剤(例えばオマリズマブ)及びテオフィリンを含む。
アミロイド関連状態の場合、追加の薬剤は、コリンエステラーゼ阻害薬(例えばドネペジル(アリセプト(登録商標))、リバスチグミン(エクセロン(登録商標))、ガランタミン(ラザダイン(登録商標))又はタクリン(コグネックス(登録商標))、NMDA受容体アンタゴニスト(例えばメマンチン(ナメンダ(登録商標)))、ガンマセクレターゼ阻害薬(例えばLY451039(イーライリリー社のセマガセスタット)、金属イオン運搬体(例えばPBT2(Prana))、スタチン及び/又は内在性カンナビノイド(例えばアラキドノイルエタノールアミン、テトラヒドロカンナビノール、2−アラキドニルグリセロール、2−アラキドニルグリセリルエーテル、N−アラキドノイルドーパミン又はビロダミン)とすることができる。非ステロイド性抗炎症薬の例は、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、ジフルニサル、サルサラート、デクスイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブ、リコフェロン、ハイパーフォリン及びゴマノハグサ科植物を含むが、これらに限定されない。好ましくは、非ステロイド系抗炎症薬は、経口(摂取又は吸入を介して)投与される。非ステロイド系抗炎症薬(例えばイブプロフェン)の投与量は、1日当たり約5mgから約80mg、例えば1日当たり約5mgから約60mg、1日当たり約5mgから約50mg、1日当たり約5mgから約40mg、1日当たり約5mgから約30mg、1日当たり約5mgから約20mg及び/又は1日当たり約5mgから約15mgとすることができる。非ステロイド系抗炎症薬(例えばイブプロフェン)は、1日当たり1回から4回、例えば1日当たり1回から2回、投与してもよい。例えば、イブプロフェンを、1日1回約5mgから20mgの投与量、好ましくは1日1回約10mgの投与量で投与してもよい。
<ブリスターパック及びキット>
本発明は、例えばクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを含有するブリスターを備えるブリスターパックといった、個々のデリバリー単位からなる集まりをさらに提供する。ブリスターパックは当該分野で周知であり、一般的に、所定量の薬剤を保持するための複数の間隔をあけて配置された水膨れ即ちウェル(本明細書では「ブリスター」と総称する)を備えた固体状支持部材を備える。ウェルはフィルム又は膜で密閉し、フィルム又は膜は薬剤をデリバリーに使用するために穴あけし易い又は固体状支持部材から解放し易いものである。ブリスターパック及び個々のブリスターの具体的な形状、プロポーション及び寸法は特定のデリバリー装置での使用のために調整することができる。例えば、ブリスターパックは、オプションで、ドライ粉末吸入装置での挿入用にコイル状又は円形(例えばカルーセル)カートリッジとして提供され、ブリスターは逆向きの円錐又はドームの形状を有する。加えて、(投与量の数に対応した)複数のブリスターは変更可能である。
ブリスターパックはブリスターの内容物を環境への露出から保護する材料から構成され、クロモリンを患者にデリバリーするための吸入装置との併用に適合している。適切な材料は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVC/PVDC(ポリ塩化ビニリデン)混合物、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ポリスチレン、セロハン、ポリエステル(例えばポリエステルテレフタラート)、紙、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタラート)、COC(環状オレフィンコポリマー)、金属製(例えばアルミニウム)箔及びこれらのあらゆる混合物を含むが、これらに限定されない。必要に応じて異なる材料を積層して個々のブリスター又はブリスターパックを形成してもよい。ブリスターパックについては、例えば米国特許第5,497,763号、第7,080,644号、第7,828,150号、第7,931,022号及び第8,291,900号及び国際公開第1999/23180号及び第1989/01348号にさらに記載されている(これらは全て全内容、特にブリスターパックについてのそれぞれの記載が参照により本明細書に盛り込まれているものとする)。
一般的に、ブリスターは最大容量が成分約15mgから20mgであり、このなかには有効成分(即ちクロモリン又はその医薬的に許容される塩若しくはエステル)及び医薬的に許容される医薬品添加物の両方が含まれる。
本発明に関連していえば、ブリスターパックのブリスターは、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを約3mgから約20mg含み、例えばクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを、3mgから約19mg、3mgから約18mg、3mgから約17mg、約3mgから約15mg、約3mgから約14mg、約3mgから約13mg、約3mgから約12mg、約3mgから約11mg、約3mgから約10mg、約3mgから約9mg、約3mgから約8mg、約3mgから約7mg、約4mgから約20mg、約6mgから約18mg、約8mgから約17.5mg又は約16.1mgから約19.9mg含む。オプションで、医薬的に許容される医薬品添加物の追加量がクロモリンを含むブリスターの中に含まれる。一部の実施形態では、ブリスターの代わりにカプセルが使用される。吸入装置用のカプセルは当該分野で周知である。
クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルは、固形の剤形で提供され、好ましくは本明細書に記載のクロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を含む粉末で提供される。粉末は、オプションで、上記の1つ又は複数の医薬的に許容される医薬品添加物を含む。医薬的に許容される医薬品添加物は、存在する場合には、粉末中に、総量が、約0.1重量%から約80重量%、約1重量%から約80重量%、約5重量%から約80重量%、約10重量%から約80重量%、約15重量%から約80重量%、約20重量%から約80重量%、約25重量%から約80重量%、約30重量%から約80重量%、約35重量%から約80重量%、約40重量%から約80重量%、約20重量%から約75重量%、約20重量%から約70重量%、約20重量%から約65重量%、約20重量%から約60重量%、約25重量%から約55重量%、約30重量%から約50重量%、約35重量%から約45重量%及び/又は約40重量%となるように含まれる。
あるいは、本明細書の一部の実施形態では、クロモリンは溶液の剤形で提供される。
一例では、本発明は、本明細書に記載のブリスターパックなどのブリスターパックと、ドライ粉末吸入装置(DPI)と、を備えるキットをさらに提供する。一部の実施形態では、キットは、カプセルパックと、ドライ粉末吸入装置(DPI)と、を備える。種々の実施形態では、装置は、ドライ粉末を解凝集するための圧電バイブレータを備えるチャンバと、解凝集された粉末が内部でピックアップされて患者による吸入のために通過する空気流通路と、を備えるドライ粉末吸入装置などのアクティブ型ドライ粉末吸入装置である。キットは、オプションで、非ステロイド性抗炎症薬(例えばイブプロフェン、アセチルサリチル酸、ジフルニサル、サルサラート、デクスイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブ、リコフェロン、ハイパーフォリン及びゴマノハグサ科植物)などの追加の薬剤を1つ又は複数含む。そのような追加の薬剤は、固形剤形(例えばタブレット、カプセル及び粉末)及び液状剤形(例えば溶液、懸濁液、エマルション、シロップ及びエリキシル剤)を含むあらゆる周知の剤形で提供されてもよい。
<例>
・例1
次世代医薬インパクタ(NGI)カスケードインパクタ装置(米国ミネソタ州のショアビューのMSP社)を用いて、4つの異なる吸入装置によるクロモリンのデリバリーについて評価が行われた。
使い捨てのパッシブ型ドライ粉末吸入装置によるクロモリンのデリバリーについて、評価が行われた。パッシブ型吸入装置は、デリバリーされる粉末を含むメッシュ状パッケージを呼吸によって拍動させることを伴うアクティブ粒子分散メカニズム(ACTIVEMESH、Aespira)を含む。
クロモリンジナトリウム(DSCG)(Cambrex)とLactohale LH300ラクトース(Friesland Foods Domo)とを含む混合物が、Alpine Picoline高せん断ミキサー(Picomixモジュール)(ドイツ,アウクスブルクのHosokawa Alpine社)のなかで4000rpmの速度で3分間混合することで調製された。この混合物は、DSCG:ラクトースが80:20(重量/重量)で含まれていた。DSCGのみのもの(neat DSCG)についても試験を行った。サンプル(クロモリンのみ又はクロモリン:ラクトース混合物)を、パッシブ型ドライ粉末吸入装置内に搭載し、NGIカスケードインパクタ装置を用いておよそ100L/分の流量で2.4秒間試験した。
試験の結果を表1に示す。パッシブ型吸入装置は、DSCGのみのものについては初期投与量の3%のみ、そして混合されたクロモリンについては初期投与量の6%のみを、カスケードインパクタのステージ4及びこれより高いステージにデリバリーした。
Figure 2021505658
PROHALER事前計量マルチドース(multidose)パッシブ型ドライ粉末吸入装置(Aptar)によるクロモリンのデリバリーについて、評価が行われた。PROHALER吸入装置は、患者による経口吸入の前にブリスターから放出される粒子を解凝集するために急変動空気流/せん断及びゆらぎを生じさせることから、クロモリンをより効率的にデリバリーすると初めは予想されていた。また、PROHALER吸入装置は、呼吸によって引き起こされる投与量の開封及びブリスターカートリッジシステムも含む。
クロモリンジナトリウム(DSCG)(Cambrex)とラクトース・一水和物(DMV−Fonterra Excipients社)(グレード:微粒子を13%含むlactohale 200)とを含む2つの混合物が、90rpmの速度で60分間混合することによって調製された。これらの混合物は、DSCGとラクトースの相対量が異なっており、DSCG:ラクトースが50:50(重量/重量)又はDSCG:ラクトースを20:80(重量/重量)で含まれている。これらの混合物はブリスターストリップのなかに充填され、これらは次にPROHALER吸入装置のなかに組み入れられ、NGI装置を用いておよそ35L/分の流量で試験された。
試験の結果を表2に示す。放出された投与量は、インパクタ内にうちこまれたDSCGの総量を表す。微粒子のフラクションは、微粒子のフラクション=100%*微粒子投与量/放出された投与量のように算出された。サイズが3μm未満の粒子を含む微粒子投与量は、NGI装置のステージ4及びこれより高いステージにデリバリーされたクロモリンの量におおよそで対応する。したがって、PROHALER吸入装置は、混合クロモリン(50:50混合物)については初期投与量の約4.4%のみ、そして混合クロモリン(20:80混合物)については初期投与量の9.6%のみを、カスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージにデリバリーした。
Figure 2021505658
さらに、TWISTER吸入装置(Aptar)によるクロモリンのデリバリーにつても、評価が行われた。TWISTER吸入装置はカプセルベースのドライ粉末吸入装置である。ブリスターと比較すると、カプセルは通常、薬剤充填容量がかなり大きい。
クロモリンジナトリウム(DSCG)とラクトースとを含む混合物が調製された。この混合物は、TWISTER吸入装置のなかに組み入れられ、NGIカスケードインパクタ装置を用いておよそ30L/分の流量で試験された。
試験の結果を表3に示す。TWISTER吸入装置は、混合クロモリンについて初期投与量の約24%のみを、NGIカスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージにデリバリーした。
Figure 2021505658
アクティブ型ドライ粉末吸入装置によるクロモリンのデリバリーについても評価が行われた。吸入装置には、インジェクション成形プラスチック部品、電子部品、バッテリ及び薬剤が充填されたブリスターが含まれている。吸入装置にはレバーアームが含まれており、これを作動した時にブリスターが装置内の圧電バイブレータと接触するように置かれてその後針で穴あけされるよう構成されている。また、吸入装置には、最低吸気流量が超された後に圧電バイブレータを自動でオンするよう構成された空気流センサも含まれている。圧電バイブレータが作動開始することで粉末粒子が解凝集され、これらがエアロゾル化されてブリスターの外に出され吸気気流内に入れられる。吸入装置は、投与がうまく完了したことの確認をするための、投与の開始時における視覚的なフィードバックを含み、これにより患者コンプライアンスの改善が促進される。同様の装置についても、20L/分から60L/分の範囲の試験された異なる流量のそれぞれについて薬剤の一貫した量をデリバリーすることが示された。
クロモリンジナトリウム(DSCG)(Cambrex)とラクトース・一水和物(DFE Pharma)(グレード:lactohale LH201)とを含む混合物が、150rpmの速度で15分間混合することによって調製された。この混合物は、DSCG:ラクトースが60:40(重量/重量)で含まれていた。DSCGのみのものについても試験を行った。サンプル(クロモリンのみのもの又はクロモリン:ラクトース混合物)は、ブリスター内に充填され、これが次に吸入装置内に組み入れられ、NGI装置を用いて、およそ30L/分の流量で2秒間試験された。
試験の結果を表4に示す。微粒子投与量は、5μmの直径よりも下で回収されたクロモリンの量である。5μm未満(<5μm)の微粒子フラクションは、NGIカスケードインパクタ装置から回収されたクロモリンの量のパーセンテージ(即ちデリバリーされた投与量)である。アクティブ吸入装置は、DSCGのみのものについては初期投与量の約42%を、そして混合クロモリンについては初期投与量の43%を、NGIカスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージにデリバリーした。したがって、表1から表3で示した結果とは対照的に、アクティブ型ドライ粉末吸入装置は、投与される投与量の1.5mg以上及び30%以上をNGIカスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージにデリバリーすることを示す。
Figure 2021505658
・例2
クロモリンの薬物動態研究
−材料および方法
[投与経路]
アメリカ食品医薬品局が承認したクロモリンについての投与経路は、1カプセル当たり20mgのクロモリンが充填されたカプセルベースのドライ粉末吸入装置を用いる経口吸入である。研究によって、吸気速度が速いと、吸入されたクロモリンは人間の肺にデリバリーされ、その際吸入された薬剤によってデリバリーされた投与量の10%から15%が血流内に吸収されたことが示された。
[クロモリンの調製]
クロモリンは、Cambrex Proforma社(イタリア、ミラノ)により供給され、これを用いて吸入グレード医薬品添加物を用いる吸入用のクロモリンの投与量を17.1mg調合した。
クロモリンは、平均粒子サイズが5ミクロン以下になるようにCambrex社にて微粒子化された。粒子が10ミクロン未満でありかつ粒子の大部分が2ミクロンから5ミクロンの範囲に入ることは重要であり、何故ならこのことは吸入後の気道の二次気管支への堆積を成功させるために必要だからである。
吸入用のクロモリンのカプセルはPharmaterials社(イギリス、レディング)によって製造された。製造されたクロモリンの初期特性評価はPharmaterials社によってなされ、その結果、吸入に適した粒子サイズ分布(d50<5μm及びd90<10μm)を有する結晶質の吸湿性材料であることがわかった。したがって、製品性能及び安定性を改善するために粉末製剤中に疎水性医薬品添加物を用いる必要があった。疎水性医薬品添加物を添加することにより、ドライ粉末吸入製剤への湿気によるマイナス効果に対する、ドライ粉末吸入製剤の自然耐性が得られる。ステアリン酸マグネシウムは、ドライ粉末吸入装置(DPI)製品において商用使用されていることから、これが適切な疎水性医薬品添加物として選択された。加えて、その安全性プロファイルもよく研究されており、吸入製品で使用されることが示されている。このケースでは、希釈液としてラクトース・一水和物が追加で使用された。製造されたカプセル、ALZT−OP1aは、各々、17.1mgのクロモリンを含有する。表5に製剤(クロモリン及びプラセボ)を示す。
Figure 2021505658
[AZHALER]
AZHALER DPI(239700001AB−Rs01)は、ALZT−OP1a(クロモリン)と併用されるPlastiape社(イタリア)製の単回投与(monodose)吸入装置である。これは、吸入粉末をエアロゾルの形で患者の肺にデリバリーするのに使用される1回投与装置である。吸入装置は、容器、バルブ及びマウスピースから構成されている。本研究では、低抵抗モデル(80L吸気抵抗)が使用された。これらの装置は、c.80L/分で4kPaの圧力降下に達し、年配者、子供及び重度の呼吸障害を患う患者を含む幅広い患者人口における使用に適している。
[投与量]
AZHALERを用いた場合、結果は、有効活性成分(API)17.1mg当たり約4−5mgのクロモリン(インパクタ内において、全身取り込みに必要な3ミクロン未満のサイズの粒子を有する部分)を示した(NGIステージ4−MOC、表1参照)。
・4〜5×10-3g/512g/mol=7.8〜9.8マイクロモルのクロモリン血漿レベル
血漿からの脳内への取り込みを0.2%から1%と仮定=16ナノモルから98ナノモルを1.5L脳で割り算=脳内で11nMから66nMのクロモリン/L(1日当たり)。したがって、AZHALERを用いて吸入された17.1mgのクロモリンは、脳内で11nMから66nMの濃度となることが推定される。
[研究デザイン]
第I相オープンラベル研究の主目的は、単回の17.1mgのクロモリンの吸入投与量の投与した後の、血漿中のクロモリン及び脳脊髄液(CSF)の薬物動態(PK)を決定することであった。また、本研究は、34.2mgのクロモリンを投与(17.1mgの吸入投与量を2つ、2分より長い間隔はあけずに続けて投与)した後の血漿中のクロモリン及びCSFのPKの評価も行った。本研究の2つ目の目的は、クロモリンの単回又は倍増投与量の、投与の後の安全性及び忍容性の評価を行うことであった。研究被験者集団は、年齢が55から75歳の、全体的に健康状態が良好で呼吸器疾患がないことが肺機能検査で確認された、24人の正常で健康なボランティアから構成された。
−結果
結果は、血漿中のクロモリンのPKプロファイルが急激な吸収フェーズによって特徴づけられ、1回投与量(17.1mg)吸入後22.8±16.6分(6分から60分の範囲に及ぶ)で平均Cmaxが46.7±33.0ng/ml(14.0ng/mlから133.0ng/mlの範囲に及ぶ)、及び、倍増投与量(34.2mg)吸入後22.2±19.4分(6分から60分の範囲に及ぶ)で平均Cmaxが96.8±46.2ng/ml(36.1ng/mlから236.0ng/mlの範囲に及ぶ)であったことを示した。血漿中のクロモリンの平均の明らかなt1/2は、1回投与量(17.1mg)の吸入後1.75±0.9h(0.6hから3.7hの範囲に及ぶ)であり、そして、倍増投与量(34.2mg)の吸入後1.91±0.7h(0.7hから3.8hの範囲に及ぶ)であり、そこそこのクリアランス(moderate clearance)があることを示している。血漿中のクロモリンの平均AUC0-inf(血中薬物濃度時間曲線下面積)は、投与量の増大とともに増大し、1回投与量(17.1mg)及び倍増投与量(34.2mg)それぞれの吸入後、195.71±97.33h*ng/ml(93.3h*ng/mlから287.0h*ng/mlの範囲に及ぶ)から284.55±91.29h*ng/ml(154.8h*ng/mlから443.3h*ng/mlの範囲に及ぶ)に増大した。
クロモリン血漿PKパラメータを表6にまとめた。
Figure 2021505658
CSF中のクロモリンの検出可能レベルは、脳への薬物デリバリーを示すものであった。最大4時間の観察時間間隔の間のCSF中の平均Cmaxは、1回投与量(17.1mg)吸入後3.72±0.704hで0.24±0.077ng/ml(0.2ng/mlから0.4ng/mlの範囲に及ぶ)であり、倍増投与量(34.2mg)吸入後3.45±0.952hで0.34±0.171ng/ml(0.2ng/mlから0.6ng/mlの範囲に及ぶ)であった。CSFサンプルについての観察期間(0から4時間)は、t1/2の決定をするには短すぎた。血漿中のクロモリンAUCは、CSF中よりも、1回投与量(17.1mg)及び倍増投与量(34.2mg)の吸入の2時間後においてそれぞれ675及び809倍高く、1回投与量及び倍増投与量の吸入の4時間後においてそれぞれ232及び299倍高かった。
これらの結果は、吸入されたクロモリンが深部の肺を介して血液に輸送され、そして脳及びCSFに輸送されたことを示す。CSF中のクロモリンの濃度は、腰椎穿刺から最大4時間までで増大した。
・例3
処理アルツハイマー病のエビデンスを有する被験者におけるALZT−OP1の臨床第III相安全性及び有効性試験
−研究デザイン
[研究における被験者]
この臨床第III相試験は、初期ADのエビデンスがある被験者についてのランダム化された、二重盲検の、プラセボを対照とした研究である。
被験者は、クロモリンを吸入する被験者からなるグループIアーム、又は、プラセボを吸入した被験者からなるグループIIプラセボアームに、ランダムに割り付けられる。
Figure 2021505658
最低200人の評価可能な被験者は、活性研究薬物又はプラセボを含む2つの考え得る治療割り付けのうちの1つを受けるようランダム化される。
被験者のドロップアウト(見積割合30%)を考慮に入れ、1治療アーム当たり最低100人の評価可能な被験者を達成するために、最大300人(又は1治療アーム当たり150人の被験者)を補充及びランダム化することが見込まれる。
[投与量及び製剤]
研究薬物は、1日目、12週目、24週目及び48週目において、12又は24週分調剤される。クロモリン粉末混合物又はプラセボは、AZHALERドライ粉末吸入装置と共に使用するためにカプセルに充填される。各カプセルは、有効製品成分(クロモリン)を17.1mgと、医薬品添加物として吸入グレードラクトース・一水和物及びステアリン酸マグネシウムと、を含む、あるいはプラセボ(ラクトース単体)を含む。本研究において試験される1日1回当たりのクロモリン投与量は、喘息の治療についての1日4回承認投与量レベル(1日当たり合計80mgのクロモリン[17.1/80])の約21%である。
[研究レジメン]
被験者が参加する合計期間は、およそ74週又は7回の来診であることが期待される。全被験者には、適格性を判断するための初回スクリーニング来診(−21日目から−1日目)と、治療開始前の適格性を確認するためのベースライン来診(1日目)とが求められ、また、その後72週間にわたる毎日の投薬を成し遂げることが求められ、これには4週目、12週目、24週目、48週目及び72週目にクリニックに戻る必要がある。
研究薬物コンプライアンス及び同時薬物使用が、研究中のスケジュールされた来診において評価される。
[(複数の)研究目的]
・プラセボと比較した際の経口吸入されたクロモリンの治療レジメンのCDR−SB評価による有効性の評価を行うため。
・この治療レジメンが、初期ADのエビデンスがある被験者の認知力及び機能低下を遅くする、抑止する又は元に戻すか否かを決定するため。
[研究エンドポイント]
本研究の主なエンドポイントは、プラセボグループと比較した場合のクロモリン治療グループの被験者について、ベースラインから72週目までで、臨床的認知症重症度評価法(CDR−SB)により測定された認知力及び機能的能力が大幅に安定化/改善することである。
−有効性の評価
[有効性パラメータの評価、記録及び分析の方法]
主有効性変数が、繰り返し測定混合効果モデル(MMRM)アプローチを用いて分析される。このモデルは、固定効果治療、来診、来診相互作用による治療、地域(米国、欧州、アジア/太平洋)及び共変量APOe4(1つ又は複数のアレル、アレル無し)、抗認知症薬の使用(有、無)、ベースラインCDR−SB及び年齢を含み、構造化されていない(unstructured)相関行列を仮定する。
[臨床的認知症重症度評価法(CDR)]
CDRは、認知症についての臨床病期手段である。これは、記憶、見当識、判断力と問題解決、社会適応、家庭状況及び趣味、介護状況を含む、認知力及び機能的能力の6項目を特徴づける。各評価を行うために必要な情報は、患者の半構造的面接において及び信頼性のある情報提供者又は付帯的ソース(例えば親族)から得られる。CDR質問事項は、面接データ及び臨床的判断に基づく的確な評価ができるよう臨床医をガイドする描写的なアンカーを提供する。CDRは、スクリーニングにおいて及び12週目、24週目、48週目及び72週目において行われる。
[グローバル臨床的認知症重症度評価法(CDR):病期分類]
初期ADと一致する被験者集団をスクリーニング及び選択するために選択基準としてワシントン大学グローバルCDRスコア(5ステージ:0,0.5,1,2,3)を用いる。被験者は、グローバルCDRスコアが0.5(軽度の障害)でメモリボックススコア(Memory Box score)が少なくとも0.5でなければならない。各グローバルスコアは、ワシントン大学オンラインアルゴリズムを用いて算出される。
[臨床的認知症重症度評価法−判定尺度(CDR−SB):疾患重症度]
CDR−SBスコア(スコアは0から18の範囲に及ぶ)は、本研究についての主エンドポイントの役割を果たすとともに、研究グループ比較、病気進行モニタリング及び活性グループとプラセボグループ間の治療効果の評価に用いられる。CDR−SBスコアが0であることは正常機能を表し、スコアが18であることは重度の障害を表す。総合的に、CDR−SBは、軽度認知症患者においてグローバルCDRよりも詳細な定量的総合指標を提供すると期待されている。CDR−SBは、スクリーニングにおいて及び12週目、24週目、48週目及び72週目において行われる。
[ミニメンタルステート検査(MMSE)]
MMSEは、成人参加者の認知機能レベルを評価するための簡易検査である。この検査は、時間及び場所の見当識、学習及び即時想起、精神コントロール及び集中力、短期想起、物品呼称、言語表現、言語理解、記述理解、記述能力及び図形描写の領域で行われる。スコアは0(最大認知障害)から30(認知障害無し)の範囲に及ぶ。MMSEは、スクリーニングにおいて及び12週目、24週目、48週目及び72週目において行われる。
[ウェクスラー記憶検査法・第3版(WMS−III):論理的記憶(LM II)]
ウェクスラー記憶検査法・第3版(WMS−III)は、異なる記憶機能を測定するようデザインされた神経心理学検査である。完全なWMS−IIIは、以下の11個のサブ検査から構成される。
1)簡易認知状態検査(オプション)
2)視覚的再現性I
3)理論的記憶I
4)空間的加算
5)視覚的再現性II
6)理論的記憶II
7)口述でのペアに関連付ける学習I
8)デザインI
9)シンボルスパン
10)口述でのペアに関連付ける学習II
11)デザインII
本研究では、理論的記憶IIサブ検査を用いて遅延記憶機能を評価する。WMS−III論理的記憶I(即時想起)及び論理的記憶II(遅延想起)の両方をスクリーニング(のみ)において実施するが、論理的記憶IIスコアのみが選択基準として用いられる。選択基準として許容可能な論理的記憶IIスコアは、被験者の教育を受けた年数によって分類される。
論理的記憶IIは、論理的記憶Iの実施の30分後に実施される。
[CSFバイオマーカー分析]
CSF Aβ−42レベルが200pg/mL以上かつ600pg/mL以下であることが、研究エントリーに必要となる。研究適格性の確認のために、その他の全ての研究エントリー要件を満たす被験者に対し、CSF採取手順の承諾後、スクリーニング(−21日目から−1日目)においてCSF採取のための腰椎穿刺が施される。自発的ベースで、被験者は、ベースライン分析からの追跡及び変更を調べるために研究の終わり(72週目又は72週目から1週間以内)においてCSFサンプルを提供してもよい。CSF控え用サンプルが、スクリーニング及び研究の終わりにおいて採取される。1つのスクリーニングCSFサンプルが研究適格性の確認のために分析され、バックアップ用のサンプルが研究の完了まで−20℃又は−80℃で凍結保存され、この時点でサンプルはドライアイス上で中央検査施設に運ばれる。研究の終わりにおけるサンプルは後続の分析のために−20℃又は−80℃で凍結保存される。腰椎穿刺は臨床サイトプロトコルに基づきかつ現在のCSFサンプル標準化手順に沿って行われるべきである。
初期ADを患う患者に1日17.1mgの投与量で投与を行ったクロモリン単独療法は、クロモリンとイブプロフェンの併用療法と同程度に、認知力及び機能的能力の安定化/改善において効果がある。

Claims (28)

  1. 経口吸入用の粉末組成物であって、
    前記組成物は、クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを、前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの粒子を備える粉末の形態で、約16.1mgから約19.9mg含み、
    前記粒子の大部分が、約2ミクロンから約5ミクロンの直径を有し、
    前記組成物は、前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルの投与された量のうちの
    (a)少なくとも3.0mg、及び
    (b)少なくとも20重量%を、
    60L/分から80L/分の流量で、次世代医薬インパクタ(NGI)カスケードインパクタ装置のステージ4及びこれより高いステージに堆積させる装置を用いて、デリバリー可能なものである、経口吸入用の粉末組成物。
  2. 前記組成物は、前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを約17.1mg含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記装置は、ドライ粉末吸入装置(DPI)、定量噴霧式吸入装置(MDI)及びドライ粉末ネブライザー装置(DPN)からなるグループから選択される、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記装置はAZHALERドライ粉末吸入装置である、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記組成物は、1つ又は複数の医薬的に許容される医薬品添加物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記組成物は、前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを約50%から約60%(重量/重量)及び1つ又は複数の医薬品添加物を約40%から約50%含む、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記医薬品添加物は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、多価アルコール及びラクトースからなるグループから選択される、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記医薬品添加物は、ラクトース、マンニトール及びソルビトールから選択される、請求項6に記載の組成物。
  9. 前記組成物は、単独療法のためのものであり、1つの有効成分を含み、
    前記有効成分は、前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルである、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記組成物は、非ステロイド性抗炎症薬を含まない、請求項1に記載の組成物。
  11. 前記組成物は、イブプロフェンを含まない、請求項1に記載の組成物。
  12. クロモリンを、これを必要とする患者にデリバリーする方法であって、
    約4mgから約5mgのクロモリンを60L/分から80L/分の流量で二次気管支に堆積させる装置を用いて、請求項1に記載の粉末組成物を前記患者に経口吸入を介して投与する工程を有し、
    前記粉末の前記粒子は、質量中央径(D50)が約5ミクロン未満である、方法。
  13. 前記クロモリンの医薬的に許容される塩又はエステルを約17.1mg投与する工程を有し、
    前記組成物は、1つ又は複数の医薬的に許容される医薬品添加物をオプションで含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記装置は、ドライ粉末吸入装置(DPI)、定量噴霧式吸入装置(MDI)及びドライ粉末ネブライザー装置(DPN)からなるグループから選択される、請求項12に記載の方法。
  15. 前記投与する工程は、前記粉末を吸入された気流のなかに分散させる、請求項12に記載の方法。
  16. 前記投与する工程は、前記粉末を高振動数で振動させることを含む、請求項12に記載の方法。
  17. 前記振動数は約10kHzから約50kHzである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記装置は、ドライ粉末を解凝集するよう構成された圧電バイブレータ又は超音波バイブレータを備えるチャンバと、内部で前記解凝集された粉末がピックアップされて患者による経口吸入のために運ばれる空気流通路と、を備えたドライ粉末吸入装置である、請求項14に記載の方法。
  19. 前記ドライ粉末吸入器装置は、容器、バルブ及びマウスピースから構成された1回投与装置である、請求項14に記載の方法。
  20. 前記ドライ粉末吸入装置は、60L/分から80L/分の流量を提供する、請求項14に記載の方法。
  21. 前記粉末は、医薬品添加物を約0.1重量%から約80重量%含む、請求項12に記載の方法。
  22. 前記粉末は、医薬品添加物を約40重量%から約80重量%含む、請求項12に記載の方法。
  23. 前記粉末は、医薬品添加物を約40重量%から約45重量%含む、請求項12に記載の方法。
  24. 前記医薬品添加物は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類及び多価アルコールからなるグループから選択される、請求項21−23の何れか一項に記載の方法。
  25. 前記医薬品添加物は、ラクトース、マンニトール及びソルビトールから選択される、請求項21−23の何れか一項に記載の方法。
  26. 前記医薬品添加物は疎水性の塩をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記疎水性の塩はステアリン酸塩である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記粉末組成物は、1日1回又は2回の頻度で投与される、請求項12に記載の方法。
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