JP2021500910A - グアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法 - Google Patents

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Abstract

グアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法であって、当該バイオマスに、少なくとも1種のリグニン分解菌の存在下で生物学的前処理を施し、糖を含む液相および第1の固体残渣を得ることと、当該第1の固体残渣に、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下で加水分解を施し、糖を含む第1の加水分解物および第2の固体残渣を得ることと、当該第2の固体残渣に酵素加水分解を施し、糖を含む第2の加水分解物および第3の固体残渣を得ることと、を含む、グアユール植物から採取されるバイオマス由来の糖生産方法。したがって、本方法により得られた糖は、アルコール(例えば、エタノール、ブタノール)、脂質、ジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール)生産を目的とした発酵方法または他の中間生成物および化学生成物(例えば、フルフラール)を生産する化学合成方法において、有利には炭素源として使用され得る。当該アルコールおよび脂質は更に、燃料として使用可能か、または他の輸送用燃料と混合可能なバイオ燃料(例えば、バイオディーゼルまたは「グリーンディーゼル」)の生産において有利には使用され得るが、その一方で当該ジオールはゴム製造(例えば、ポリブタジエンまたはそのコポリマー)用として更に使用され得るバイオ−ブタジエンなどの生成物生産において使用され得る。当該使用は、バイオリファイナリーに関しては特に重要である。

Description

本発明は、グアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法に関する。
より詳細には、本発明は、当該バイオマスに、少なくとも1種のリグニン分解菌の存在下で生物学的前処理を施し、糖を含む液相および第1の固体残渣を得ることと、当該第1の固体残渣に、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下で加水分解を施し、糖を含む第1の加水分解物および第2の固体残渣を得ることと、当該第2の固体残渣に酵素加水分解を施し、糖を含む第2の加水分解物および第3の固体残渣を得ることと、を含む、グアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法に関する。
したがって、本方法により得られた糖は、アルコール(例えば、エタノール、ブタノール)、脂質、ジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール)生産を目的とした発酵方法または他の中間生成物および化学生成物(例えば、フルフラール)を生産する化学合成方法において、有利には炭素源として使用され得る。当該アルコールおよび脂質は更に、バイオ燃料として使用可能か、または他の輸送用燃料と混合可能なバイオ燃料(例えば、バイオディーゼルまたは「グリーンディーゼル」)の生産において有利には使用され得るが、その一方で当該ジオールはゴム製造(例えば、ポリブタジエンまたはそのコポリマー)用として更に使用され得るバイオ−ブタジエンなどの生成物生産において使用され得る。当該使用は、バイオリファイナリーに関しては特に重要である。
天然ゴムは数百の植物種に含有され、通常ラテックスという用語で示される、水性エマルジョン形態の炭化水素ポリマー(シス−1,4−ポリイソプレン)である。
天然ゴムの主要供給源はヘベア・ブラジリエンシス(Hevea brasiliensis)であり、アマゾン川流域に原生している。南アメリカは依然として、19世紀全体を通して必要とされ量が限定されていたラテックスの、主要供給源のままであった。現在、寄生虫および病気を理由に、アメリカでのプランテーションはほぼ完全に放棄されており、天然ゴムの生産はそのほぼ全てが東南アジアに集中している。
寄生虫による病気および攻撃にますますさらされるという生産上の欠点を克服するため、20世紀中に種々の方法が合成ゴムの生産を目的として開発された。これは、非常に高い位置選択性および立体選択性でイソプレンを重合することができるチーグラー・ナッタ触媒の発見により頂点を極めた。そして植物由来のゴムと区別することがほぼ不可能である、合成シス−1,4−ポリイソプレンを得た。ただし、天然ゴムが完全に置き換えられることは決してなかった、なぜならば、いくつかのその特性(主に機械的特性)が、実際には天然ゴムに関連する少量の脂質およびタンパク質を含有する結果であるからである。したがって、2013年のゴム全体の生産(27.5Mt)中、天然ゴムは12Mt(43%)未だ含まれている。
しかし、ヘベア・ブラジリエンシスから天然ゴムを生産するには、技術的および倫理的性質に関する一部課題が含まれている。実際には、アメリカでのプランテーションを破壊したのと同様の病気および寄生虫が、東南アジアのプランテーションにも未だに悪影響を及ぼし得る。更にはラテックスの収穫には大人数の労働者を要するが、こうした労働者は非常に低い賃金しか払われないため、収益はわずかでしかない。上記の理由のため、天然ゴムの代替となる供給源が研究されている。こうした供給源の中では、間違いなくグアユール(パルテニウム・アルジェンタム(Parthenium argentatum))が最も優位性があるものの1つである。
グアユール(パルテニウム・アルジェンタム)は、米国南西部(特にテキサス)およびメキシコ北部の半砂漠地帯を起源とする多年生の低木である。この植物は、エラストマーであるシス−1,4−ポリイソプレンを主に含む天然ゴムを、ラテックス(乳白色の水中分散液または水中懸濁液)形態にて、特に枝および茎の樹皮中に蓄えている。天然ゴムの含有量は、種々の環境、農業および保存要因によって変化する可能性があり、したがって乾燥した植物の総重量の5%から20%の範囲である。
例えば、ユーフォルビア・ラティリス(Euphorbia lathyris)、パルテニウム・インカナム(Parthenium incanum)、クリソタムナス・ナウセオサス(Chrysothamnus nauseosus)、ペティランサス・マクロカルプス(Pedilanthus macrocarpus)、アスクレピアス・シリアカ(Asclepias syriaca)、アスクレピアス・スペシオザ(Asclepias speciosa)、アスクレピアス・スブラタ(Asclepias subulata)、ソリダゴ・アルティシマ(Solidago altissima)、ソリダゴ・グラミニフォリア(Solidago gramnifolia)、ソリダゴ・リギダ(Solidago rigida)、ソンクス・アルベンシス(Sonchus arvensis)、シルフィウム属(Silphium spp.)、カカリア・アトリプリシフォリア(Cacalia atriplicifolia)、タラクサクム・コクサギス(Taraxacum kok−saghyz)、ピクナンセマム・インカナム(Pycnanthemum incanum)、テューキリウム・カナデンセ(Teucreum canadense)、カンパニュラ・アメリカナ(Campanula americana)(用語「グアユール型」と短縮して示される)など、キク科、トウダイグサ科、キキョウ科、シソ科およびクワ科の属に所属する他の植物であるグアユール植物からの天然ゴムの抽出は、特に、へベア属を攻撃する病原体に対する上記種のより高い抵抗性、植物性原材料のより低い輸入コストおよびへベア属から採取されたものと比較して、こうした植物から抽出されたゴム中、I型ラテックスアレルギー(またはIgE依存性アレルギー)の原因となる多くのタンパク性異物の含有量がより低いことを考慮すると、ヘベア・ブラジリエンシス由来の天然ゴムの抽出物に対し有力な代替物であることを示す。
しかし、グアユール由来の天然ゴムの生産は、主に樹脂(ゴムに匹敵する量で存在する)およびリグノセルロース断片ならびに少量の精油およびワックスといった、植物を構成する他の断片全てもまた利用したとしても、ほんのわずかしか収益をあげられない。詳細には、ゴムおよび樹脂の抽出後、科学文献および特許文献で広範に記載されている、リグニンおよび多糖類を含むリグノセルロース残渣(バガス)は、多糖類(得られた加水分解物中に溶解されている5個の炭素原子(C5)の糖および6個の炭素原子(C6)の糖へと結果的に変換される)の加水分解から成る糖化方法を施され、リグニンを含有する固体残渣を残す。こうして得られた糖類は次に、発酵による有機中間生成物の生産方法へと送り込むために使用され得る。一方でリグニンは燃料として利用されるか、他の方法で利用される。
先行技術に記載されている糖化方法の中で好ましいものは、できる限り完全なヘミセルロースの加水分解物と、できるだけ高い濃度で5個の炭素原子(C5)および6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を得ることが可能なものである。これは同時に、オリゴマー形成ならびに糖類の脱水およびリグニンの部分的な脱重合から生じ、例えば、フルフラール(F)、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)、フェノール化合物など、後に続く糖発酵方法で通常用いられ、微生物の成長阻害物質として作用する反応副生成物の形成を最小化し、反応副生成物の効率的で大幅な発生抑制および当該方法の生産性を決定する。こうした結果を得ることが可能な方法の中で、高温で、または活動的な化学物質(例えば、酸もしくは塩基を用いた)を用いたリグノセルロース残渣(バガス)前処理を想定するものは、効果的ではあっても、植物の腐食、過剰な糖分解、毒性物質または残留物質(例えば、塩)などの廃棄が原因となって問題を引き起こし得る。当該処理の代替処理として、または当該処理の活動性を低減する目的で、例えば、選択的にリグニンを分解可能な菌の使用を想定した処理など、生物学的方法によるリグノセルロース残渣(バガス)の前処理は、温和な反応条件、技術解決法の平易さおよび廃棄される毒性物質を生成しないことを理由に、有効な代替処理であると考えられ得る。
例えば、米国特許出願第2016/0304830号明細書は、植物材料を含む水溶液または懸濁液(スラリー)の処理によって、植物材料(例えば、グアユール植物から採取された植物材料)由来の天然ゴム収量を向上させるための方法に関する。当該植物材料は、好熱性菌類(すなわち、サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus))を有する天然ゴムを含む。当該特許出願はまた、a)リグノセルロースの植物材料を含む、水溶液または懸濁液(スラリー)を提供する工程と、b)有効量のサーモミセス・ラヌギノサスまたはその1つ以上の派生体を用いて、当該水溶液または懸濁液(スラリー)に接種する工程と、c)有効量のサーモミセス・ラヌギノサスまたはその1つ以上の派生体を用いて、当該水溶液または懸濁液(スラリー)をインキュベートする工程と、d)インキュベーション工程後、当該水溶液または懸濁液(スラリー)から得られた発酵性の糖類を回収する工程と、を含む、リグノセルロースバイオマスを糖化するための方法に関する。インキュベーション後得られる糖類は、キシロース(42.62%)およびアラビノース(5%)など、主に5個の炭素原子(C5)を有する単糖類である。一方、6個の原子(C6)を有する単糖類は、少量(グルコース 5.91%)で得られる。
「白色腐朽菌」(WRF)として知られ、白色腐朽と呼ばれる状態を引き起こすリグニン分解菌を有するリグノセルロースバイオマスの前処理もまた、知られている。実際には、当該菌は選択されることが少ない「茶色腐朽菌」とは異なり、選択的にリグニンを加水分解可能であり、その結果、より入手しやすく、後に化学/熱型または酵素型のいずれかのその後の加水分解により利用可能である、バイオマス中に含有される多糖類を製造可能である。その結果、5個の炭素原子(C5)を有する単糖類および6個の炭素原子(C6)を有する単糖類の最終的な生産量を向上させることが可能である。
例えば、Taniguchi M.et al.による“Journal of Bioscience and Bioengineering”(2005),Vol.100,Issue 6,pg.637−643にて掲載された記事“Evaluation of pretreatment with Pleurotus Ostreatus for enzymatic hydrolysis of rice straw”では、酵素加水分解を施す前に、白色腐朽菌(WRF)であるプレウロトゥス・オストレアトゥス(Pleurotus Ostreatus)により稲わらを前処理することについて説明している。当該前処理により、インキュベートした60日後にリグニンの分解(41%と同等)が引き起こされる。ただし、当該前処理の最後では、5個の炭素原子(C5)を有する単糖類または6個の炭素原子(C6)を有する単糖類の生産は目立って見られなかった。
Ma F.et al.による“Bioresource Technology”(2010),Vol.101,pg.9600−9604にて掲載された記事“Combination of biological pretreatment with mild acid pretreatment for enzymatic hydrolysis and ethanol,production from water hyacinth”では、酵素加水分解およびホテイアオイ(約2.8%と同等で、リグニン含有量は特に低い)から得られたバイオマス由来のエタノール生産を向上させるための方法について説明している。上記目的のため、当該バイオマスは白色腐朽菌(WRF)である、エキノドンチウム・タキソジ(Echinodontium taxodii)で前処理され、10日後で希硫酸(0.25体積/体積%溶液)で処理した。エタノール生産を目的として、得られた残渣に、酵母であるサッカロマイセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)による発酵時に続いて使用される、糖類を得る酵素加水分解を施した。白色腐朽菌(WRF)であるエキノドンチウム・タキソジ(Echinodontium taxodii)と希硫酸とを用いた前処理を組み合わせることで、相乗効果を得られる。これにより、希硫酸のみを用いる前処理により得られた糖類の収量に対し、糖類の収量を1.13〜2.11倍に増加させることが可能である。同様の前処理は、後に続くエタノール生産にとって有効である。これは、希硫酸のみを用いる前処理により得られたエタノールの収量よりも、1.34倍高く収量を増加させることを示す。
Isikhuemhen O.S.et al.による“Advances in Biological Chemistry”(2014),Vol.4,pg.395−406にて掲載された記事“Biodegradation and Sugar Release from Canola Plant Biomass by Selected White Rot Fungi”では、キャノーラ植物の前処理のための、6種の異なる白色腐朽菌(WRF)の使用について説明している。グルコースを含む単糖類は、菌体外多糖と共に培地中へと放出される。得られた単糖類の量は、100gのバイオマスあたり平均2g〜3gであることを確認した。
本出願人名義の国際特許出願である国際公開第2016/062753号明細書は、グアユール植物の部位全てを変換および利用するための統合方法に関するものであり、
機械的処理にて当該植物の茎と葉を分離する工程と、
ワックスおよび精油、ならびにセルロース、ヘミセルロースおよびより少量の塩、有機化合物とリグニンを含む断片を生産するため、葉を処理する工程と、
茎および枝から液相を抽出し、結果、バガスと示される、第1の固体木材残渣を形成する工程と、
当該第1の固体木材残渣を処理して、糖類、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンを形成する工程と、を順に含む。
前述の統合方法を、ラテックス、ゴム、樹脂およびバガス生産、更には発酵性の糖類の生産に加えることで、グアユール植物を更に利用することができるといわれている。つまり、当該利用は、例えば、二重触媒による脱水後、バイオ−ブタジエンへと変換され得る1,3−ブタンジオールを生産することを目的としてエタノール以外の有機中間生成物を生産するよう設計されているバイオリファイナリーに関しては、特に重要である。発酵性の糖類の生産は、2段階の糖化方法により実施される。第1段階では、酸加水分解を実施することでリグニンを5個の炭素原子(C5)を有する単糖類へと変換する。一方、第2段階では、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を得る目的のために酵素加水分解、化学的加水分解、熱加水分解を実施する。グアユール植物から採取されたバイオマスの生物学的前処理については、何ら言及されていない。
グアユール植物から得られる全成分の利用に基づくバイオリファイナリーが更に持続可能になるのに伴い、すなわちラテックス、樹脂およびゴム(すなわちバガス)といった主な成分の抽出後に得られた残留リグノセルロースバイオマスを、5個の炭素原子(C5)を有する単糖類または6個の炭素原子(C6)を有する単糖類(第2世代の糖類)への変換が更に可能となる。
有機化合物(例えば、エタノール)を生産するために6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を使用しても問題を生じることはないが、5個の炭素原子(C5)を有する単糖類に関しても同様であるとはいえないことが知られている。その理由は、5個の炭素原子(C5)を有する単糖類が、部分的に異なる異化経路をたどるため、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類よりも代謝的には有効性が少ないという事実中に見いだすことができる。グルコースなど、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類は、解糖系により代謝される。一方でキシロースなど、5個の炭素原子(C5)を有する単糖類は、ペントースリン酸経路による細胞代謝へと入り、その後解糖系の最終部分でのみつながる。異化経路における当該相違点により、多くの微生物は5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を消費するようになる。これは、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類の消費時に確認されるものに比べ、明確にゆっくりとした速度を有している。微生物は更に生きており、微生物産業にて使用されるが、これは5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を使用することができない。
したがって、一般的には、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類および5個の炭素原子(C5)を有する単糖類の両方を含むバイオマスの、多くの加水分解方法にて得られる糖類の混合物は、適切に遺伝子組換えされ、エタノール生産を目的とするサッカロマイセス・セレビシア株の存在下で実施される慣習的なアルコール発酵を除いては、多くの発酵にとって好適な栄養源として成立しない。また、この糖類の混合物は栄養源となる性質に関しては、かえって非常に高い耐性を有している。
したがって、一般的な含有量である5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を有する加水分解物の生産には、問題が生じる。詳細には、エタノール以外の有機中間生成物を生産するよう設計されているバイオリファイナリーに関する問題である。例えば、二重触媒による脱水後、バイオ−ブタジエンへと変換可能である1,3−ブタンジオールの生産についてである。
それゆえ、出願人はグアユール植物から採取されたバイオマスを処理することで得られる糖類の量を増加させるという課題の解決に着手した。詳細には、エタノール以外の有機中間生成物を生産する目的のため、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類の量を増加させることである。
出願人は、グアユール植物から採取されたバイオマスを処理することで、得られる糖類の量(詳細には、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類の量)を増加させることができることを見いだした。これは、少なくとも1種のリグニン分解菌の存在下で生物学的前処理を施し、糖を含む液相および第1の固体残渣を得ることと、当該第1の固体残渣に、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下で加水分解を施し、糖を含む第1の加水分解物および第2の固体残渣を得ることと、当該第2の固体残渣に酵素加水分解を施し、糖を含む第2の加水分解物および第3の固体残渣を得ることによるものである。したがって、本方法により得られた糖は、アルコール(例えば、エタノール、ブタノール)、脂質、ジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール)生産を目的とした発酵方法または他の中間生成物および化学生成物(例えば、フルフラール)を生産する化学合成方法において、有利には炭素源として使用され得る。当該アルコールおよび脂質は更に、バイオ燃料として使用可能か、または他の輸送用燃料と混合可能なバイオ燃料(例えば、バイオディーゼルまたは「グリーンディーゼル」)の生産において有利には使用され得るが、その一方で当該ジオールはゴム製造(例えば、ポリブタジエンまたはそのコポリマー)用として更に使用され得るバイオ−ブタジエンなどの生成物生産において使用され得る。当該使用は、バイオリファイナリーに関しては特に重要である。
米国特許出願第2016/0304830号明細書 国際公開第2016/062753号明細書
Taniguchi M.et al.,Evaluation of pretreatment with Pleurotus Ostreatus for enzymatic hydrolysis of rice straw,Journal of Bioscience and Bioengineering(2005),Vol.100,Issue 6,pg.637−643 Ma F.et al.,Combination of biological pretreatment with mild acid pretreatment for enzymatic hydrolysis and ethanol,production from water hyacinth,Bioresource Technology(2010),Vol.101,pg.9600−9604 Isikhuemhen O.S.et al.,Biodegradation and Sugar Release from Canola Plant Biomass by Selected White Rot Fungi,Advances in Biological Chemistry(2014),Vol.4,pg.395−406
本発明による方法により、多くの利点が得られる。例えば、
― 少なくとも1種のリグニン分解菌、詳細には白色腐朽菌(WRF)から選択された菌を用いる生物学的前処理により、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類が培地に放出され得る。これは主にグルコースであり、いくらかのバイオマス成分の当該リグニン分解菌により行われ、直接可溶性糖類へと代謝変換することにより得られるものである。詳細には、(以下の実施例にて示されるように)100gのバガスにつき28gと同等の量で、グルコースを得ることができること、
― 少なくとも1種の希釈無機酸を用いた、第1の固体残渣の加水分解処理であって、詳細には希硫酸を用い、これにより得られることになるバイオマス中に含有されているヘミセルロースをほぼ定量的に加水分解することが可能となる。この処理では主に5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を生産し、より詳細には、バイオマスの生物学的前処理が行われない場合に対しては、希釈無機酸の半量を用いて当該定量的収量を得ることができること、
― 第2の固体残渣の酵素加水分解であって、これにより未だ含有されているセルロースを加水分解することが可能であり、一般的に6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を得る。これは詳細にはグルコースであり、当該収量は、バイオマスの生物学的前処理が行われない場合よりも高いこと、
― 当該方法であって、これにより5個の炭素原子(C5)を有する単糖類および6個の炭素原子(C6)を有する単糖類の収量を、100gのバガス(乾燥重量)につき、約50g得ることが可能である。当該収量は、(以下の実施例にて示されるように)100gのバガス(乾燥重量)につき、22gと同等のバガスを生物学的前処理せずに得られた収量よりも明確に高いこと、である。
したがって、本発明は、
― 当該バイオマスに、少なくとも1種のリグニン分解菌の存在下で生物学的前処理を施し、糖を含む液相および第1の固体残渣を得ることと、
― 当該第1の固体残渣に、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下で加水分解を施し、糖を含む第1の加水分解物および第2の固体残渣を得ることと、
― 当該第2の固体残渣に酵素加水分解を施し、糖を含む第2の加水分解物および第3の固体残渣を得ることと、を含む、グアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法に関する。
[発明の詳細な説明]
本明細書および以下の特許請求の範囲において、数値範囲の定義は、別段の指定がない限り常に極値を含む。
本明細書および以下の特許請求の範囲において、用語「含む(comprising)」はまた、「から本質的に成る(which essentially consists of)」または「から成る(which consists of)」という用語を含む。
本明細書および以下の特許請求の範囲において、「グアユール植物」は、一般に、パルテニウム・アルジェンタム種および上記の種のグアユール型植物の両方を意味する。
本明細書および以下の特許請求の範囲において、「5個の炭素原子を有する単糖類(C5)」は、化学式C10を有し、5個の炭素原子を含む単糖類であるペントース糖、またはより単純にはペントースを意味する。同様に、本明細書および以下の特許請求の範囲において、「6個の炭素原子を有する単糖類(C6)」は、化学式C12を有し、6個の炭素原子を含む単糖類であるヘキソース糖、またはより単純にはヘキソースを意味する。
本明細書および以下の特許請求の範囲において、用語「グアユール植物から採取されたバイオマス」は、任意の形態(例えば、植物全体、根、枝および/または茎、葉、いずれかの樹皮を含む植物の一部、細断、粉砕などにより得られた植物の断片、植物の断片を凝縮することで得られる練炭およびペレット)を意味する。グアユール植物は、化学的および/または物理的方法を用いてラテックス、ゴム、樹脂、バガス、糖類および植物自体に存在する他の成分を得るために使用される。
本明細書および以下の特許請求の範囲において、用語「バガス」は、グアユール植物が施され得る抽出方法により採取された植物材料の残留部分を意味する。バガスはまた、いくらかの量の非植物材料(例えば、土壌、砂など)を含んでよい。これは典型的には、植物の根に関連し、耕作地から採取される。
本明細書および以下の特許請求の範囲において、用語「ミセラ」は、ラテックス、ゴムならびに/または樹脂、水および/もしくは有機溶媒から成る溶液、懸濁液またはエマルジョンを意味する。これらは抽出方法を行い、バガスの分離後に得られた。
本発明の好ましい実施形態によれば、グアユール植物から採取された当該バイオマスは、当該グアユール植物に施される抽出方法によって採取されたバガスである。
バガスを得るためにグアユール植物に施すことができる抽出方法は、最新技術にて知られている。本発明において、好ましくは、当該バガスは、参照目的のために本明細書に組み込まれ、上にて報告した、本出願人名義の国際特許出願である国際公開第2016/062753号明細書に記載の方法によって得ることができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、当該少なくとも1種のリグニン分解菌は、例えば、プレウロトゥス・オストレアス株、フォルミティポリア・メディテラネアに属する白色腐朽菌(WRF)から選択することができる。
本発明の特に好ましい実施形態に従い、当該リグニン分解菌は、例えば、プレウロトゥス・オストレアスMUCL 29420、フォルミティポリア・メディテラネアMUCL 45670から選択され得る。これらは、ベルギー微生物保存機関(BCCM、BE)のAgro−food&Environmental fungal collection MUCLから得た。
本発明において、最新技術にて知られている方法により、グルコースおよび例えば窒素、リン酸カリウム、マグネシウム、塩、ビタミンなどの種々の栄養分を含む培地の存在下で、当該リグニン分解菌を用いて接種材料を調製した。段階的に、徐々に最小の培地(すなわち、リグニン分解菌により容易に吸収され得る主要栄養素であり、例えば炭素、窒素、リンといった栄養素を次第に低濃度で含有させる)へと、継代培養したものから次の培養物へと培養を進行させつつ変化させた。続いて、こうして得られた培養物のアリコート(5mL)を、滅菌条件下で操作しながら100gの軟質小麦穀粒を入れた500mLのフラスコへと移し、該菌の菌糸体が小麦穀粒の全てのかたまりを覆うまで継続して撹拌する。次いで、得られたかたまりを乾燥させるためにフラスコをクリーンベンチ下へと置き、その後細かく粉砕して菌が混入した小麦粉を得た。これをバイオマスの前処理(以下の実施例にて示される)のために使用した。
本発明の好ましい実施形態に従い、当該生物学的前処理は、20℃〜40℃の範囲、好ましくは23℃〜35℃の範囲の温度で実施することができる。
本発明の好ましい実施形態に従い、当該生物学的前処理は、5日間〜25日間の範囲、好ましくは10日間〜20日間の範囲の時間にわたって実施することができる。
本発明の好ましい実施形態に従い、当該生物学的前処理は、4.5〜7の範囲、好ましくは5〜6.7の範囲のpHで実施することができる。
当該バイオマスの生物学的前処理から、固相(すなわち、第1の固体残渣)および水相(すなわち、糖類を含む液相)を含む懸濁液が得られる。当該懸濁液は、固相、すなわちリグニン、セルロースおよびリグニン分解菌(菌糸体)の細胞を含む第1の固体残渣、ならびに水相、すなわち糖類を含む液相を得るために、濾過または遠心分離にかけられる。
当該液相に含有される糖類、詳細には6個の炭素原子(C6)を有する単糖類、より詳細にはグルコースは、リグニン分解菌の代謝作用により得られることに留意されたい。
本発明の好ましい実施形態に従い、当該希釈無機酸は、例えば、硫酸、リン酸またはそれらの混合物から選択され得る。好ましくは、当該希釈無機酸は希硫酸であり、更により好ましくは、2.5重量%の硫酸水溶液である。
本発明の好ましい実施形態に従い、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下での当該加水分解は、30分〜120分の範囲、好ましくは45分〜90分の範囲の時間にわたって実施することができる。
本発明の好ましい実施形態に従い、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下での当該加水分解は、110℃〜160℃の範囲、好ましくは110℃〜130℃の範囲の温度で実施することができる。
本発明の好ましい実施形態に従い、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下での当該加水分解は、0.05〜2の範囲、好ましくは0.08〜1.0の範囲のpHで実施することができる。
当該第1の固体残渣の加水分解から、固相(すなわち、第2の固体残渣)および水相(すなわち、第1の加水分解物)を含む混合物が得られる。当該混合物は、固相、すなわちリグニンおよびセルロースを含む第2の固体残渣、ならびに水相、すなわち一般的には5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を含む第1の加水分解物を得るために、濾過または遠心分離にかけられる。
当該第1の加水分解物に含有される糖、特に5個の炭素原子(C5)を有する単糖類、より詳細にはキシロースは、当該第1の固体残渣に含有されるヘミセルロースの加水分解で得られることに留意されたい。
リグニンおよびセルロースを含む当該第2の固体残渣の酵素加水分解は、例えば米国特許第5,628,830号明細書、米国特許第5,916,780号明細書および米国特許第6,090,595号明細書に記載されるような最新技術にて知られている技術に従い、例えば、Novozymes BioenergyによるCellic(登録商標)CTec2、Celluclast 1.5L(Novozymes)、Econase CE(Rohm Enzymes)、Spezyme(Genecor)、Novozym 188(Novozymes)などの市販されている酵素を使用して実施可能である。これらは個別または共に混合されて使用される。当該第2の固体残渣の酵素加水分解から、固相(すなわち、第3の固体残渣)および水相(すなわち、第2の加水分解物)を含む混合物が得られる。当該混合物は、固相、すなわちリグニンおよびセルロースを含む第3の固体残渣、および水相、すなわち6個の炭素原子(C6)を有する単糖類、詳細には、セルロースの加水分解から得られるグルコースを一般的に含む第2の加水分解物を得るために、濾過または遠心分離にかけられる。
したがって、本方法により得られた糖は、アルコール(例えば、エタノール、ブタノール)、脂質、ジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール)生産を目的とした発酵方法または他の中間生成物および化学生成物(例えば、フルフラール)を生産する化学合成方法において、有利には炭素源として使用され得る。当該アルコールおよび脂質は更に、バイオ燃料として使用可能か、または他の輸送用燃料と混合可能なバイオ燃料(例えば、バイオディーゼルまたは「グリーンディーゼル」)の生産において有利には使用され得るが、その一方で当該ジオールはゴム製造(例えば、ポリブタジエンまたはそのコポリマー)用として更に使用され得るバイオ−ブタジエンなどの生成物生産において使用され得る。当該使用は、バイオリファイナリーに関しては特に重要である。
リグニンは燃料として、もしくは複合材料を調製する(例えば、細かく粉砕した後、リグニンを例えばポリエチレン、ポリスチレンなどの適切な合成ポリマー中に分散させることができる)ために利用され得るか、またはバイオフィラー(例えば、細かく粉砕した後、リグニンをゴム化合物中に分散させることができる)として使用され得る。
加水分解後に得られた糖類の量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはイオン交換クロマトグラフィーなどの最新技術にて知られている技術により測定することができる。
本発明は、以下に記載される図1を参照した一実施形態によって、より詳細に例示される。
本発明による方法の一実施形態を示す。上記目的のため、例えば、機械的処理により、グアユール植物(1)から枝、茎および葉(100)が分離される。枝、茎および葉(100)は、例えば、塩基性水溶液(図1には示されない)の存在下で抽出を施され、ラテックス(101)を抽出する第1のミセラおよびラテックスを含まない第1のバガス(図1には示されていない)を得る。ラテックスを含まない当該第1のバガスは、例えば、極性溶媒系(図1には示されない)の存在下で抽出を施され、樹脂(103)を抽出する第2のミセラならびにラテックスおよび樹脂を含まない第2のバガス(図1には示されない)を得る。ラテックスおよび樹脂を含まない当該第2のバガスは、例えば、非極性溶媒系(図1には示されない)の存在下で抽出を施され、ゴム(102)を抽出する第3のミセラならびにラテックス、樹脂およびゴム(110)を含まない第3のバガスを得る。バガス(110)は、プレウロトゥス・オストレアス株、フォルミティポリア・メディテラネアに属する白色腐朽菌(WRF)から選択される、少なくとも1種のリグニン分解菌の存在下で生物学的前処理を施され、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類、詳細にはグルコースを含む液相(111)および第1の固体残渣(120)を得る。当該第1の固体残渣(120)は、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下(例えば、希硫酸の存在下)で加水分解を施され、一般的に5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を含む第1の加水分解物(121)および第2の固体残渣(130)を得る。当該第2の固体残渣(130)は、酵素加水分解を施され、一般的に6個の炭素原子(C6)を有する単糖類であり、詳細にはグルコースを含む第2の加水分解物(131)および第3の固体残渣(140)(図1ではリグニンとして示される)を得る。リグニン(140)は、複合材料またはバイオフィラー(400)を調製するために好都合に使用されてよい。単糖類(111)、(121)および(131)を含む加水分解物は、発酵によりバイオ生成物(300)(例えば、バイオブタンジオールなど)もしくはバイオ燃料(例えば、微生物性油またはエタノール)(300)の調製段階で使用され得る。または、化学合成を介して、化学生成物(200)(例えば、フルフラールなど)の調製段階で使用され得る。
当該種々の型のバガスを得る上での詳細、同様にラテックス、樹脂、ゴム、精油をグアユール植物から得ることを目的とした詳細は、例えば、参照目的で本明細書に組み込まれる、上で言及した本出願人名義の国際特許出願である国際公開第2016/062753号明細書または本出願人名義のイタリア国特許出願第2015000082659号明細書にて見いだされる。
以下の実施例で使用される、グアユール植物から採取されたバガスは、バガスの総重量(乾燥重量)に対して18重量%のセルロース(グルカン)、11.6重量%のキシラン、5.5重量%のアラビナン、1.5重量%のガラクタンおよび31重量%のリグニンを含有していた。グアユール植物から採取されたバガスの組成物は、米国再生可能エネルギー研究所(NREL)により定義された国際標準法(2011年7月に改訂された、A.Sluiter et al.,NREL/TP−510−42618“Determination of Structural Carbohydrates and Lignin in Biomass”)により測定された。
本発明をよりよく理解し、それを実施するために、以下にそのいくつかの例示的かつ非限定的な実施例を示す。
実施例1(比較)
グアユール植物から採取されたバガスの酵素加水分解
グアユール植物(パルテニウム・アルジェンタム)から採取された、200gのバガスを水で洗浄し、60℃のオーブンで一晩乾燥させ、粉砕した(粒子径は2mm未満)。
続いて、500mLのフラスコ中に、懸濁液の総重量に対して前述したバガスの10重量%水中懸濁液を調製した。ここに、投入したバガス(乾燥重量)に対し10重量%の量である、酵素を混合したCellic(登録商標)CTec2(Novozymes Bioenergy)および100mLのpH5であるクエン酸塩緩衝液の保存液(50mM)を添加した。全てを撹拌下(150rpm)で、50℃で72時間にわたり静置した。リグニンおよびセルロースを含む固体残渣ならびに6個の炭素原子(C6)を有する糖を含む加水分解物を含む混合物を得た。全てを室温(25℃)まで冷却させた後、リグニンおよびセルロースを含む当該固体残渣および6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を含む当該加水分解物を、濾過によって分離した。
真空蒸発(40mbar、40℃)により濃縮した後、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を含む当該加水分解物は、2.05gのグルコース/投入した100gのバガス(乾燥重量)を含有していた。
水酸化ナトリウムにより濃度勾配をつけ、酢酸ナトリウムを対イオンとするCarbopac PA 100カラムを搭載したDionexクロマトグラフィーシステムを使用し、イオン交換クロマトグラフィー(HPAE−PAD)によって糖含有量を測定した。
実施例2(発明)
プレウロトゥス・オストレアスを用いた、グアユール植物から採取されたバガスの生物学的前処理
グアユール植物(パルテニウム・アルジェンタム)から採取された、200gのバガスを水で洗浄し、60℃のオーブンで一晩乾燥させ、粉砕した(粒子径は2mm未満)。
20g(乾燥重量)の前述のバガス、1g/Lの窒化アンモニウム(NHNO)、1g/Lの酵母抽出物および400mLのpH5.5であるリン酸塩緩衝液保存液(0.1M)をガラス製の500mLバイオリアクタへと投入し、密閉した。このバイオリアクタは、サンプリングおよび気体供給用に2つの入口を備えていた。得られた混合物を121℃のオートクレーブで10分間滅菌した。滅菌後、1gのプレウロトゥス・オストレアス接種材料(菌を混入させた小麦粉であり、約10CFU/gを含有していた)を添加した。得られた懸濁液を、室温(25℃)で18日間継続して撹拌した(250rpm)。この期間中、純粋な酸素を2〜3日ごとに約60〜90分間にわたってバイオリアクタへとフラッシュし(1mL/分)、接種後0日目、4日目、9日目、14日目および18日目といった、それぞれ別の日にサンプルを採取した。各試験を3回実施した。
主にグルコースを含む、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類は、釣鐘型速度論によって培地(液相)内に段階的に蓄積したことを確認した。培養した14日間に対応する最大グルコース蓄積値は、28gのグルコース/投入した100gのバガス(乾燥重量)であった。糖含有量は、図1に記載したように測定された。
リグニン、セルロースおよびリグニン分解菌(菌糸体)であるプレウロトゥス・オストレアスの細胞を含む、得られた第1の固体残渣を、濾過により懸濁液と分離した。これを、上記で明記したNRELが定義している国際標準法により分析を行った。当該分析により、得られた固体残渣中に含有されているセルロース量は、生物学的前処理中に投入したバガス(2%減少)中に含有されているものよりわずかに低いのみであることが証明された。得られたグルコース量が、初期バイオマス(実施例1を参照されたい)に含有されているセルロースから理論上得られるものよりも高いことを考慮すると、培地中含有されているグルコースは、リグニン分解菌であるプレウロトゥス・オストレアスの代謝作用により生じていたと結論付けることが可能である。
実施例3(発明)
フォミティポリア・メディテラネアを用いた、グアユール植物から採取されたバガスの生物学的前処理
グアユール植物(パルテニウム・アルジェンタム)から採取された、200gのバガスを水で洗浄し、60℃のオーブンで一晩乾燥させ、粉砕した(粒子径は2mm未満)。
グアユール植物から採取された20g(乾燥重量)の前述のバガス、1g/Lの(NHNO)、1g/Lの酵母抽出物および400mLのpH5.5であるリン酸塩緩衝液保存液(0.1M)をガラス製の500mLバイオリアクタへと投入し、密閉した。このバイオリアクタは、サンプリングおよび気体供給用に2つの入口を備えていた。得られた混合物を121℃のオートクレーブで10分間滅菌した。滅菌後、1gのフォミティポリア・メディテラネア接種材料(菌を混入させた小麦粉であり、約10CFU/gを含有していた)を添加した。得られた懸濁液を、室温(25℃)で18日間継続して撹拌した(250rpm)。この期間中、純粋な酸素を2〜3日ごとに約60〜90分間にわたってバイオリアクタへとフラッシュし(1mL/分)、接種後0日目、4日目、9日目、14日目および18日目といった、それぞれ別の日にサンプルを採取した。各試験を3回実施した。
グルコースを含む、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類は、釣鐘型速度論にによって培地(液相)内に段階的に蓄積したことを確認した。培養した14日間に対応する最大グルコース蓄積値は、14gのグルコース/投入した100gのバガス(乾燥重量)であった。糖含有量は、図1に記載したように測定された。
リグニン、セルロースおよびリグニン分解菌(菌糸体)であるフォミティポリア・メディテラネアの細胞を含む、得られた第1の固体残渣を、濾過により懸濁液と分離した。これを、上記で明記したNRELが定義している国際標準法により分析を行った。当該分析により、得られた固体残渣に含有されているセルロースの量は、生物学的前処理中に投入したバガスに含有されるセルロースの量(1.5%の減少)よりもわずかに低いのみであることを確認した。培地に含有されているグルコースは、リグニン分解菌であるフォミティポリア・メディテラネアの代謝作用より生じていたと結論付けることが可能である。
実施例4(比較)
プレウロトゥス・オストレアスを用いたグアユール植物から採取されたバガスの生物学的前処理後に得られた、第1の固体残渣の酵素加水分解
プレウロトゥス・オストレアス(実施例2)を用いて生物学的前処理した後に得られた、第1の固体残渣を水で洗浄し、60℃のオーブンで一晩乾燥させ、最後に酵素加水分解を施した。
続いて、500mLのフラスコ中に、懸濁液の総重量に対して5重量%の当該第1の固体残渣の水中懸濁液を調製した。ここに、投入した第1の固体残渣(乾燥重量)に対し10重量%の量である、酵素を混合したCellic(登録商標)CTec2(Novozymes Bioenergy)および100mLのpH5であるクエン酸塩緩衝液の保存液(50mM)を添加した。全てを撹拌下(150rpm)で、50℃で72時間にわたり静置した。リグニンおよびセルロースを含む固体残渣ならびに6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を含む加水分解物を含む混合物を得た。全てを室温(25゜C)まで冷却させた後、リグニンおよびセルロースを含む当該固体残渣および6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を含む当該加水分解物を、濾過によって分離した。
真空蒸発(40mbar、40℃)により濃縮した後、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を含む当該加水分解物は、2.8gのグルコース/投入した100gのバガス(乾燥重量)を含有していた。したがって、この結果は、菌プレウロトゥス・オストレアス(実施例2)のリグニン分解作用は、投入したバガスの部分的な破壊を引き起こすのみであり、バガスそれ自体(実施例1)に関しては、その入手しやすさは向上したが、未だ不完全のままであることを示唆している。
実施例5(比較)
フォミティポリア・メディテラネアを用いたグアユール植物から採取されたバガスの生物学的前処理後に得られた、第1の固体残渣の酵素加水分解
フォミティポリア・メディテラネア(実施例3)を用いて生物学的前処理した後に得られた、第1の固体残渣を水で洗浄し、60℃のオーブンで一晩乾燥させ、最後に酵素加水分解を施した。
続いて、500mLのフラスコ中に、懸濁液の総重量に対して5重量%の当該第1の固体残渣の水中懸濁液を調製した。ここに、投入した第1の固体残渣(乾燥重量)に対し10重量%の量である、酵素を混合したCellic(登録商標)CTec2(Novozymes Bioenergy)および100mLのpH5であるクエン酸塩緩衝液の保存液(50mM)を添加した。全てを撹拌下(150rpm)で、50℃で72時間にわたり静置した。リグニンおよびセルロースを含む固体残渣ならびに6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を含む加水分解物を含む混合物を得た。全てを室温(25℃)まで冷却させた後、リグニンおよびセルロースを含む当該固体残渣および6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を含む当該加水分解物を、濾過によって分離した。
真空蒸発(40mbar、40℃)により濃縮した後、6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を含む当該加水分解物は、3.0gのグルコース/投入した100gのバガス(乾燥重量)を含有していた。したがって、この結果は、菌フォミティポリア・メディテラネア(実施例3)のリグニン分解作用は、投入したバガスを部分的な破壊を引き起こすのみであり、バガスそれ自体(実施例1)に対し、その入手しやすさは向上したが、未だ不完全のままであることを示唆している。
実施例6(比較)
希硫酸(5重量%水溶液)を用いた、グアユール植物から採取されたバガスの加水分解
グアユール植物(パルテニウム・アルジェンタム)から採取された、200gのバガスを水で洗浄し、60℃のオーブンで一晩乾燥させ、粉砕した(粒子径は2mm未満)。
続いて、前述の2gのバガスおよび20mLの5重量%希硫酸水溶液を100mLのガラス製ボトルへと投入し、密閉してpH0.1と同等のpHを有する懸濁液を得た。このボトルを121℃のオートクレーブ内に1時間置き、リグニンおよびセルロースを含む固体残渣ならびに5個の炭素原子(C5)およびこれよりも少量の6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を一般的に含む加水分解物を含む混合物を得た。全てを室温(25℃)まで冷却した後、リグニンおよびセルロースを含む当該固体残渣および5個の炭素原子(C5)を有する単糖類およびこれよりも少量の6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を一般的に含む当該加水分解物を、濾過によって分離した。
真空蒸発(40mbar、40℃)により濃縮した後、5個の炭素原子(C5)およびこれよりも少量の6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を一般的に含む当該加水分解物は、3.5gのグルコース/投入した100gのバガス(乾燥重量)および8.2gのキシロース/投入した100gのバガス(乾燥重量)を含有していた。
実施例7(発明)
プレウロトゥス・オストレアスを用いたグアユール植物から採取されたバガスの生物学的前処理後、得られた第1の固体残渣の、希硫酸(2.5重量%水溶液)を用いた加水分解
プレウロトゥス・オストレアス(実施例2)を用いて生物学的前処理した後に得られた、第1の固体残渣を水で洗浄し、60℃のオーブンで一晩乾燥させ、最後に酵素加水分解を施した。
続いて、前述の2gのバガスおよび20mLの2.5重量%希硫酸水溶液を100mLのガラス製ボトルへと投入し、密閉してpH0.3と同等のpHを有する懸濁液を得た。このボトルを121℃のオートクレーブ内に1時間置き、リグニンおよびセルロースを含む第2の固体残渣ならびに5個の炭素原子(C5)およびこれよりも少量の6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を一般的に含む第1の加水分解物を含む混合物を得た。全てを室温(25℃)まで冷却させた後、リグニンおよびセルロースを含む当該第2の固体残渣および5個の炭素原子(C5)を有する単糖類およびこれよりも少量の6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を一般的に含む当該第1の加水分解物を、濾過によって分離した。
真空蒸発(40mbar、40℃)により濃縮した後、5個の炭素原子(C5)およびこれよりも少量の6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を一般的に含む当該第1の加水分解物は、3.8gのグルコース/投入した100gのバガス(乾燥重量)および6.4gのキシロース/投入した100gのバガス(乾燥重量)を含有していた。したがって、実施例6(比較)で得られたものと同様の収量が得られたが、これは希硫酸(5重量%水溶液の代わりとして2.5重量%水溶液)を更に使用した。
実施例8(比較)
希硫酸(5重量%水溶液)を用いたグアユール植物から採取されたバガスの加水分解後、得られた固体残渣の酵素加水分解
5重量%の希硫酸水溶液(実施例6)を用いて加水分解した後に得られた、固体残渣を水で洗浄し、60℃のオーブンで一晩乾燥させ、最後に酵素加水分解を施した。
続いて、500mLのフラスコ中に、懸濁液の総重量に対して当該固体残渣の5重量%水中懸濁液を調製した。ここに、投入した固体残渣(乾燥重量)に対し10重量%の量である、酵素を混合したCellic(登録商標)CTec2(Novozymes Bioenergy)および100mLのpH5であるクエン酸塩緩衝液の保存液(50mM)を添加した。全てを撹拌下(150rpm)で、50゜Cで72時間にわたり静置した。リグニンおよびセルロースを含む固体残渣ならびに6個の炭素原子(C6)を有する単糖類およびこれよりも少量の5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を一般的に含む加水分解物を含む混合物を得た。全てを室温(25℃)まで冷却させた後、リグニンおよびセルロースを含む当該固体残渣および6個の炭素原子(C6)を有する単糖類およびこれよりも少量の5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を一般的に含む当該加水分解物を、濾過によって分離した。
真空蒸発(40mbar、40℃)により濃縮した後、5個の炭素原子(C5)および一般的な6個の炭素原子(C6)を有する単糖類を含む当該第2の加水分解物は、6.0gのグルコース/投入した100gのバガス(乾燥重量)および0.7gのキシロース/投入した100gのバガス(乾燥重量)を含有していた。
実施例9(発明)
グアユール植物から採取されたバガスの、プレウロトゥス・オストレアスを用いた生物学的前処理および希硫酸(2.5重量%水溶液)を用いた加水分解後、得られた第2の固体残渣の酵素加水分解
2.5重量%の希硫酸水溶液(実施例7)を用いて処理した後に得られた、第2の固体残渣を水で洗浄し、60℃のオーブンで一晩乾燥させ、最後に酵素加水分解を施した。
続いて、500mLのフラスコ中に、懸濁液の総重量に対して当該固体残渣の5重量%水中懸濁液を調製した。ここに、投入した固体残渣(乾燥重量)に対し10重量%の量である、酵素を混合したCellic(登録商標)CTec2(Novozymes Bioenergy)および100mLのpH5であるクエン酸塩緩衝液の保存液(50mM)を添加した。全てを撹拌下(150rpm)で、50゜Cで72時間にわたり静置した。リグニンおよびセルロースを含む固体残渣ならびに6個の炭素原子(C6)を有する単糖類およびこれよりも少量の5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を一般的に含む、第2の加水分解物を含む混合物を得た。全てを室温(25℃)まで冷却させた後、リグニンおよびセルロースを含む当該第3の固体残渣および6個の炭素原子(C6)を有する単糖類およびこれよりも少量の5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を一般的に含む当該第2の加水分解物を、濾過によって分離した。
真空蒸発(40mbar、40℃)により濃縮した後、当該第2の加水分解物は、6個の炭素原子(C6)およびこれよりも少量の5個の炭素原子(C5)を有する単糖類を一般的に含み、6.4gのグルコース/投入した100gのバガス(乾燥重量)および0.7gのキシロース/投入した100gのバガス(乾燥重量)を含有していた。したがって、実施例7(比較)で得られたものと同様の収量が得られたが、これは(5重量%水溶液の代わりとして2.5重量%水溶液)の希硫酸を使用した。
上記で提供された実施例から、本発明の方法の目的(実施例2、実施例7および実施例9)に従った生物学的前処理を用いた糖化方法、および先行技術(実施例6および実施例8)に従った生物学的前処理を用いた糖化方法によって操作した際得られた、5個の炭素原子(C5)を有する単糖類および6個の炭素原子(C6)を有する単糖類の量を推定することができる。確認できるように、少なくとも1種のリグニン分解菌の存在下での生物学的前処理を挿入した場合には、ヘミセルロースの分解により生じる5個の炭素原子(C5)を有する単糖類(例えば、キシロース、アラビノース、ガラクトース)およびセルロースの分解により生じるか、またはリグニン分解菌によって直接生産される、詳細にはグルコースといった6個の炭素原子(C6)を有する単糖類の両方を含む、単糖類の集合体は、49.6g/投入した100gのバガス(乾燥重量)に相等し、そのうち38.2g/投入した100gのバガス(乾燥重量)は、グルコースを含む。生物学的前処理を実施しない場合には、ヘミセルロースの分解により生じる5個の炭素原子(C5)を有する単糖類(例えば、キシロース、アラビノース、ガラクトース)およびセルロースの分解により生じるか、またはリグニン分解菌によって直接生産される、詳細にはグルコースといった6個の炭素原子(C6)を有する単糖類の両方を含む、単糖類の集合体は、22.6g/投入した100gのバガス(乾燥重量)に相等し、そのうち9.5g/投入した100gのバガス(乾燥重量)は、グルコースを含む。

Claims (6)

  1. グアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法であって、
    前記バイオマスに、少なくとも1種のリグニン分解菌の存在下で生物学的前処理を施し、糖を含む液相および第1の固体残渣を得ることと、
    前記第1の固体残渣に、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下で加水分解を施し、糖を含む第1の加水分解物および第2の固体残渣を得ることと、
    前記第2の固体残渣に酵素加水分解を施し、糖を含む第2の加水分解物および第3の固体残渣を得ることと、
    を含む、グアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法。
  2. グアユール植物から採取された前記バイオマスが、前記グアユール植物が施される抽出方法から得られるバガスである、請求項1に記載のグアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法。
  3. 前記少なくとも1種のリグニン分解菌が、プレウロトゥス・オストレアス株、フォルミティポリア・メディテラネアに属する白色腐朽菌(WRF)、好ましくは、プレウロトゥス・オストレアスMUCL 29420、フォルミティポリア・メディテラネアMUCL 45670から選択される、請求項1または2に記載のグアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法。
  4. 前記生物学的前処理が、
    ― 20℃〜40℃の範囲、好ましくは23℃〜35℃の範囲の温度にて、および/または
    ― 5日間〜25日間の範囲、好ましくは10日間〜20日間の範囲の時間にわたって、および/または
    ― 4.5〜7の範囲、好ましくは5〜6.7の範囲のpHにおいて実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のグアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法。
  5. 前記希釈無機酸が、硫酸、リン酸またはそれらの混合物から選択され、好ましくは、前記希釈無機酸は希硫酸であり、更により好ましくは、2.5重量%の硫酸水溶液である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のグアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法。
  6. 前記加水分解が、少なくとも1種の希釈無機酸の存在下で実施され、
    ― 30分〜120分の範囲、好ましくは45分〜90分の範囲の時間にわたって、および/または
    ― 110℃〜160℃の範囲、好ましくは110℃〜130℃の範囲の温度において、および/または
    ― 0.05〜2の範囲、好ましくは0.08〜1の範囲のpHにおいて実施される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のグアユール植物から採取されたバイオマス由来の糖生産方法。
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