JP2021197767A - 電線保護装置、電線保護方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

電線保護装置、電線保護方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】溶断素子が溶断される可能性が低い電線保護装置、電線保護方法及びコンピュータプログラムを提供する。【解決手段】電線保護装置として機能する給電制御装置10では、電線W1を介して流れる電流の電流経路に溶断素子F1が配置されている。溶断素子F1は、溶断素子F1の温度に応じて溶断される。スイッチ回路G1はFETを有する。電線W1を介して流れる電流の電流経路にはFETが配置されている。マイコン20が電線W1の電線温度が温度閾値以上であると判定した場合、FETはオフに切替えられる。【選択図】図1

Description

本開示は、電線保護装置、電線保護方法及びコンピュータプログラムに関する。
車両には、直流電源から負荷に電力を供給する電源システム(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の電源システムでは、直流電源から負荷に流れる電流の電流経路に溶断素子、具体的にはヒューズが配置されている。直流電源から溶断素子を介して負荷に電流が流れた場合、溶断素子と、電流経路に配置された電線とは発熱する。
溶断素子及び電線について、単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量を超えている場合、溶断素子の温度と、電線の電線温度とは上昇する。電線温度が一定温度以上となった場合に、溶断素子が溶断され、直流電源から負荷への電流の通流が停止する。一定温度は電線が発煙する発煙温度よりも低い。このため、溶断素子は電線が発煙する前に溶断され、電線が発煙から保護される。
特開2003−212065号公報
特許文献1に記載の電源システムでは、電線が発煙する前に負荷への電流の通流を停止させる素子は溶断素子のみである。このため、溶断素子が溶断される可能性が高く、溶断素子を交換する頻度が高い。従って、溶断素子は、車両内において、使用者が容易に交換を行うことができる場所に溶断素子を配置しなければならず、溶断素子の配置に関する自由度は小さい。
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶断素子が溶断される可能性が低い電線保護装置、電線保護方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
本開示の一態様に係る電線保護装置は、電線を介して流れる電流の電流経路に配置され、自身の温度に応じて溶断される溶断素子と、前記電流経路に配置されるFETと、処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記電線の電線温度が温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定し、前記電線温度が前記温度閾値以上であると判定した場合に前記FETのオフへの切替えを指示する。
本開示の一態様に係る電線保護方法では、電線の電線温度が温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定するステップと、前記電線温度が前記温度閾値以上であると判定した場合に、前記電線を介して流れる電流の電流経路に配置されるFETのオフへの切替えを指示するステップとをコンピュータが実行し、自身の温度に応じて溶断される溶断素子が前記電流経路に配置されている。
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、電線の電線温度が温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定するステップと、前記電線温度が前記温度閾値以上であると判定した場合に、前記電線を介して流れる電流の電流経路に配置されるFETのオフへの切替えを指示するステップとをコンピュータに実行させるために用いられ、自身の温度に応じて溶断される溶断素子が前記電流経路に配置されている。
なお、本開示を、このような特徴的な処理部を備える電線保護装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする電線保護方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。また、本開示を、電線保護装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、電線保護装置を含む電源システムとして実現したりすることができる。
上記の態様によれば、溶断素子が溶断される可能性が低い。
本実施形態における電源システムの要部構成を示すブロック図である。 スイッチ回路の要部構成を示すブロック図である。 溶断素子の基準温度と電線の電線温度の温度閾値との関係の説明図である。 給電制御装置の構成部の配置の説明図である。 マイコンの要部構成を示すブロック図である。 負荷の給電制御処理の手順を示すフローチャートである。 電線の電線保護処理の手順を示すフローチャートである。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(1)本開示の一態様に係る電線保護装置は、電線を介して流れる電流の電流経路に配置され、自身の温度に応じて溶断される溶断素子と、前記電流経路に配置されるFETと、処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記電線の電線温度が温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定し、前記電線温度が前記温度閾値以上であると判定した場合に前記FETのオフへの切替えを指示する。
(2)本開示の一態様に係る電線保護装置では、前記溶断素子は、前記電線温度が所定温度以上の温度となった場合に溶断され、前記温度閾値は、前記所定温度未満の温度である。
(3)本開示の一態様に係る電線保護装置では、前記処理部は、前記電線を介して流れる電流の電線電流値に基づいて前記電線温度を繰り返し算出する。
(4)本開示の一態様に係る電線保護装置では、前記溶断素子、FET及び処理部は1つのプリント基板上に配置されている。
(5)本開示の一態様に係る電線保護方法では、電線の電線温度が温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定するステップと、前記電線温度が前記温度閾値以上であると判定した場合に、前記電線を介して流れる電流の電流経路に配置されるFETのオフへの切替えを指示するステップとをコンピュータが実行し、自身の温度に応じて溶断される溶断素子が前記電流経路に配置されている。
(6)本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、電線の電線温度が温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定するステップと、前記電線温度が前記温度閾値以上であると判定した場合に、前記電線を介して流れる電流の電流経路に配置されるFETのオフへの切替えを指示するステップとをコンピュータに実行させるために用いられ、自身の温度に応じて溶断される溶断素子が前記電流経路に配置されている。
上記の一態様に係る電線保護装置、電線保護方法及びコンピュータプログラムにあっては、電線が発煙する発煙温度に電線温度が到達する前に、溶断素子が溶断されるか、又は、FETがオフに切替わる。このため、電線が発煙から保護される。溶断素子が溶断される前にFETがオフに切替わる構成であると仮定する。この構成では、電線温度が温度閾値以上の温度となったにも関わらず、FETがオフに切替わらなかった場合に溶断素子が溶断される。このため、溶断素子が溶断される可能性は低い。
上記の一態様に係る電線保護装置にあっては、FETの温度閾値は、溶断素子の所定温度未満の温度であるので、装置において故障が発生していない限り、溶断素子が溶断される前にFETがオフに切替わる。
上記の一態様に係る電線保護装置にあっては、電線電流値に基づいて電線温度が算出される。
上記の一態様に係る電線保護装置にあっては、溶断素子が溶断される可能性が低いので、交換を容易に行うことができる場所に溶断素子を配置する必要はない。このため、1つのプリント基板上に、溶断素子、FET及び処理部を配置される。装置が車両に搭載される場合、車両内の限定的な空間において効率的な配置を実現することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<電源システムの構成>
図1は、本実施形態における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、車両に搭載されており、給電制御装置10、直流電源11及びn個の負荷E1,E2,・・・,Enを備える。nは2以上の整数である。直流電源11は例えばバッテリである。負荷E1,E2,・・・,Enは電気機器である。給電制御装置10は、直流電源11の正極に接続されている。給電制御装置10は、更に、n個の電線W1,W2,・・・,Wnそれぞれを介して、n個の負荷E1,E2,・・・,Enの一端に接続されている。直流電源11の負極と、n個の負荷E1,E2,・・・,Enの他端は接地されている。以下では、n以下である任意の自然数をkで表す。従って、kは、1,2,・・・,nの中のいずれであってもよい。
直流電源11は給電制御装置10及び電線Wkを介して負荷Ekに電力が供給される。負荷Ekに電力が供給された場合、負荷Ekは作動する。負荷Ekへの給電が停止した場合、負荷Ekは動作を停止する。給電制御装置10には、n個の負荷E1,E2,・・・,Enの中で作動させる負荷を示す作動信号と、n個の負荷E1,E2,・・・,Enの中で動作を停止させる負荷を示す停止信号とが入力される。
給電制御装置10は、負荷Ekを示す作動信号が入力された場合、直流電源11及び負荷Ekを電気的に接続する。これにより、直流電源11は負荷Ekに電力を供給し、負荷Ekは作動する。給電制御装置10は、負荷Ekを示す停止信号が入力された場合、直流電源11及び負荷Ekの電気的な接続を遮断する。これにより、直流電源11から負荷Ekへの給電が停止し、負荷Ekは動作を停止する。
<給電制御装置10の構成>
給電制御装置10は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)20、温度センサ21、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fn、n個のスイッチ回路G1,G2,・・・,Gnを有する。溶断素子F1,F2,・・・,Fnそれぞれは、ヒューズ又はヒュージブルリンク等である。スイッチ回路G1,G2,・・・,Gnそれぞれは、例えば、IPD(Intelligent Power Device)である。
電線Wkを介して流れる電流の電流経路に溶断素子Fk及びスイッチ回路Gkが配置されている。電線Wkの電流経路において、電線Wkの上流側に溶断素子Fk及びスイッチ回路Gkが配置され、電線Wkの下流側に負荷Ekが配置されている。溶断素子Fkはスイッチ回路Gkの上流側に配置されている。スイッチ回路Gkはマイコン20に接続されている。温度センサ21はマイコン20に接続されている。
なお、電線Wkの電流経路において、溶断素子Fkはスイッチ回路Gkの下流側に配置されてもよい。以下では、溶断素子Fkがスイッチ回路Gkの上流側に配置される例を説明する。
マイコン20は、スイッチ回路G1,G2,・・・,Gnそれぞれに、ハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。スイッチ回路Gkは、マイコン20から入力されている電圧と、電線Wkを介して流れる電流の電流値とに基づいて、直流電源11及び負荷Ekの電気的な接続と、直流電源11及び負荷Ekの電気的な接続の遮断とを行う。以下では、電線Wkを介して流れる電流の電流値を電線電流値と記載する。
スイッチ回路Gkは、電線W1の電線電流値が一定電流値未満である状態で、マイコン20から入力されている電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、直流電源11及び負荷Ekを電気的に接続する。スイッチ回路Gkは、マイコン20から入力されている電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、電線Wkの電線電流値に無関係に、直流電源11及び負荷Ekの電気的な接続を遮断する。
スイッチ回路Gkは、マイコン20から入力されている電圧がハイレベル電圧である状態で、電線Wkの電線電流値が一定電流値以上の電流値となった場合、直流電源11及び負荷Ekの電気的な接続を遮断する。その後、スイッチ回路Gkは、マイコン20から入力されている電圧がローレベル電圧に切替わるまで、電気的な接続の遮断を維持する。マイコン20から入力されている電圧がローレベル電圧に切替わった場合、スイッチ回路Gkは電気的な接続の遮断の維持を解除する。
スイッチ回路Gkは抵抗33(図2参照)を有する。スイッチ回路Gkは、抵抗33の両端間の電圧値をマイコン20に出力する。以下では、抵抗33の両端間の電圧値を両端電圧値と記載する。スイッチ回路Gkが出力する両端電圧値は、アナログの値であり、電線Wkの電線電流値を示す。
電線W1,W2,・・・,Wnの電線電流値に関する一定電流値は同じであってもよい。また、電線W1,W2,・・・,Wnそれぞれの電線電流値に関する一定電流値は、他の一定電流値中の少なくとも1つと異なっていてもよい。
電線Wkを介して電流が流れた場合、溶断素子Fk及び電線Wkは発熱する。溶断素子Fk及び電線Wkそれぞれについて、単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量を超えている場合、溶断素子Fkの温度、及び、電線Wkの電線温度が上昇する。溶断素子Fkの温度が一定の溶断温度以上の温度となった場合、溶断素子Fkは溶断される。溶断素子Fkの温度が溶断温度である場合における電線Wkの電線温度を基準温度と記載する。基準温度は一定である。従って、電線Wkの電線温度が基準温度以上の温度となった場合、溶断素子Fkが溶断される。溶断素子Fkが溶断された場合、電線Wkを介した通流が停止する。基準温度は所定温度に相当する。
溶断素子F1,F2,・・・,Fnの基準温度は同じであってもよい。また、溶断素子F1,F2,・・・,Fnそれぞれの基準温度は、他の基準温度中の少なくとも1つと異なっていてもよい。
温度センサ21は、n個の電線W1,W2,・・・,Wnが配置されている環境の環境温度を検出する。温度センサ21は、検出した環境温度を示すアナログの環境温度情報をマイコン20に出力する。アナログの環境温度情報は、例えば、環境温度に応じて変動する電圧値である。
マイコン20には、作動信号及び停止信号が入力される。マイコン20は、外部から入力される信号と、スイッチ回路Gkから入力される抵抗33の両端電圧値と、温度センサ21から入力される環境温度情報とに基づいて、スイッチ回路Gkに出力している電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。
<スイッチ回路Gkの構成>
図2はスイッチ回路Gkの要部構成を示すブロック図である。スイッチ回路Gkは、Nチャネル型のFET30、電流出力部31及び駆動部32を有する。電線Wkを介して流れる電流の電流経路において、FET30のドレイン及びソースが溶断素子Fkの下流側に配置されている。ドレインはソースの上流側に配置されている。電線Wkを介して流れる電流の電流経路において、FET30の下流側に電流出力部31が配置されている。
FET30のゲートは駆動部32に接続されている。駆動部32は、更に、マイコン20に接続されている。電流出力部31は、更に、抵抗33の一端に接続されている。抵抗33の他端は接地されている。電流出力部31及び抵抗33間の接続ノードは、マイコン20及び駆動部32に接続されている。
FET30はスイッチとして機能する。FET30について、状態がオンである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値が十分に小さく、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。FET30について、状態がオフである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値が十分に大きく、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。FET30がオフからオンに切替わった場合、直流電源11及び負荷Ekが電気的に接続され、直流電源11が負荷Ekに電力を供給する。FET30がオンからオフに切替わった場合、直流電源11及び負荷Ek間の電気的な接続が遮断され、負荷Ekへの給電が停止する。
FET30について、基準電位が接地電位であるゲートの電圧が一定のオン電圧以上である場合、状態はオンである。FET30について、基準電位が接地電位であるゲートの電圧が一定のオフ電圧未満である場合、状態はオフである。オン電圧はオフ電圧を超えている。オフ電圧は正の電圧である。駆動部32は、基準電位が接地電位であるFET30のゲートの電圧を調整することによって、FET30をオン又はオフに切替える。
電流出力部31は抵抗33に電流を出力する。電流出力部31が抵抗33に出力する電流の電流値は、(所定数)・(負荷Ekに流れる電流の電流値)で表される。「・」は積を表す。所定数は、一定値であり、例えば1000分の1である。電線Wkの電線電流値は、負荷Ekに流れる電流の電流値に一致する。従って、電流出力部31が抵抗33に出力する電流値は、電線Wkの電線電流値が上昇した場合に上昇する。電流出力部31は、例えば、カレントミラー回路を用いて実現される。
なお、「一致」は厳密な一致のみを意味しない。実質的な一致が実現されていればよい。
スイッチ回路Gkにおいて、抵抗33の両端電圧値は、マイコン20及び駆動部32に出力される。抵抗33の両端電圧値は、(電流出力部31が抵抗33に出力した電流の電流値)・(抵抗33の抵抗値)で表される。前述したように、電流出力部31が抵抗33に出力する電流の電流値は、(所定数)・(負荷Ekに流れる電流の電流値)で表されるので、電線Wkの電線電圧値は、(所定数)・(負荷Ekに流れる電流の電流値)・(抵抗33の抵抗値)で表される。前述したように、負荷Ekに流れる電流の電流値は電線Wkの電線電流値に一致するので、電線Wkの電線電流値は、(抵抗33の両端電圧値)/((所定数)・(抵抗33の抵抗値))に一致する。所定数、及び、抵抗33の抵抗値は一定値であるので、抵抗33の両端電圧値は、電線Wkの電線電流値を示す。
マイコン20は、駆動部32にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。駆動部32は、抵抗33の両端電圧値が示す電線Wkの電線電流値が一定電流値未満である状態で、マイコン20から入力されている電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、FET30をオンに切替える。これにより、直流電源11が負荷Ekに電気的に接続される。
駆動部32は、マイコン20から入力されている電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、抵抗33の両端電圧値が示す電線Wkの電線電流値に無関係に、FET30をオフに切替える。これにより、直流電源11及び負荷Ekの電気的な接続が遮断される。駆動部32は、マイコン20から入力されている電圧がハイレベル電圧である状態で、抵抗33の両端電圧値が示す電線Wkの電線電流値が一定電流値以上の電流値となった場合、FET30をオフに切替える。その後、駆動部32は、マイコン20から入力されている電圧がローレベル電圧に切替わるまで、FET30のオフを維持する。マイコン20から入力されている電圧がローレベル電圧に切替わった場合、駆動部32は、FET30のオフの維持を解除する。
<マイコン20の動作>
マイコン20は、負荷Ekを示す作動信号が入力された場合、スイッチ回路Gkの駆動部32に出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。マイコン20の出力電圧がハイレベル電圧に切替わった時点において、抵抗33の両端電圧値が示す電線Wkの電線電流値が一定電流値未満である場合、駆動部32はFET30をオンに切替える。マイコン20は、負荷Ekを示す停止信号が入力された場合、スイッチ回路Gkの駆動部32に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。これにより、駆動部32は、抵抗33の両端電圧値が示す電線Wkの電線電流値に無関係にFET30をオフに切替える。
マイコン20は、スイッチ回路Gkから入力された抵抗33の両端電圧値が示す電線Wkの電線電流値と、温度センサ21から入力された環境温度情報が示す環境温度とに基づいて、電線Wkの電線温度は繰り返し算出する。マイコン20は、電線温度が一定の温度閾値以上の温度となった場合、スイッチ回路Gkの駆動部32に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。これにより、駆動部32は、抵抗33の両端電圧値が示す電線Wkの電線電流値に無関係にFET30をオフに切替える。
その後、マイコン20は、外部から入力される信号に無関係に、スイッチ回路Gkの駆動部32に出力している電圧をローレベル電圧に維持する。
なお、マイコン20は、所定条件が満たされた場合、スイッチ回路Gkの駆動部32に出力している電圧のローレベル電圧への維持を解除してもよい。所定条件は、例えば、電線Wkの電線温度及び環境温度の温度差が所定値以下の値となることである。所定値は、ゼロ℃又は5℃等である。
電線W1,W2,・・・,Wnの電線温度の温度閾値は同じであってもよい。また、電線W1,W2,・・・,Wnそれぞれの電線温度の温度閾値は、他の一定電流値中の少なくとも1つと異なっていてもよい。
<溶断素子の基準温度と温度閾値との関係>
図3は、溶断素子Fkの基準温度と電線Wkの電線温度の温度閾値との関係の説明図である。図3には、スイッチ回路GkのFET30の遮断特性、溶断素子Fkの溶断特性、電線Wkの発煙特性が示されている。これらの特性について、縦軸には電線Wkの電線電流値が示され、横軸には期間、即ち、時間の長さが示されている。Isは、任意の電線電流値を示す。T1は、遮断特性においてIsに対応する期間を示す。T2は、溶断特性においてIsに対応する期間を示す。T3は、発煙特性においてIsに対応する期間を示す。
遮断特性は、スイッチ回路GkのFET30がオフに切替わるタイミングを示している。電線電流値がIsである電流が電線Wkを流れ続けた期間がT1となった場合、スイッチ回路Gkでは駆動部32がFET30をオフに切替える。電線電流値Isが小さい程、電流が電線Wkを流れ始めてから、FET30がオフに切替わるまでにかかる期間は長い。
溶断特性は、溶断素子Fkが溶断されるタイミングを示している。電線電流値がIsである電流が電線Wkを流れ続けた期間がT2となった場合、溶断素子Fkが溶断される。電線電流値Isが小さい程、電流が電線Wkを流れ始めてから、溶断素子Fkが溶断されるまでにかかる期間は長い。定格電流値が20Aである溶断素子が溶断素子Fkとして用いられたと仮定する。溶断素子Fkが溶断されるまでの期間として以下の一例が挙げられる。溶断素子Fkを介して、電線電流値Isが27Aである電流が60秒間流れ続けた場合、溶断素子Fkが溶断される。溶断素子Fkを介して、電線電流値Isが40Aである電流が1.5秒間流れ続けた場合、溶断素子Fkが溶断される。
発煙特性は電線Wkが発煙するタイミングを示している。電線電流値がIsである電流が電線Wkを流れ続けた期間がT3となった場合、電線Wkが発煙する。電線電流値Isが小さい程、電流が電線Wkを流れ始めてから電線Wkが発煙するまでにかかる期間は長い。
図3に示すように、任意の電線電流値Isについて、期間T3は、期間T1及び期間T2よりも長い。これは、電線Wkが発煙する発煙温度が、溶断素子Fkの基準温度、及び、電線Wkの温度閾値よりも高いことを意味する。従って、電線Wkが発煙する発煙温度に電線温度が到達する前に、溶断素子Fkが溶断されるか、又は、スイッチ回路GkのFET30がオフに切替わる。このため、電線Wkが発煙から保護される。
また、任意の電線電流値Isについて、期間T2は期間T1よりも長く、期間T3は期間T2よりも長い。期間T2が期間T1よりも長いことは、溶断素子Fkの基準温度が電線Wkの電線温度の温度閾値を超えていることを意味する。従って、給電制御装置10において故障が発生していない限り、溶断素子Fkが溶断される前にスイッチ回路GkのFET30がオフに切替わり、溶断素子Fkが溶断されることはない。電線Wkの電線温度が温度閾値を超える現象は、例えば、負荷Ekの両端が短絡した場合に発生する。溶断素子Fkが溶断される現象は、例えば、負荷Ekの両端が短絡し、かつ、スイッチ回路GkのFET30がオンからオフに切替わらなかった場合に発生する。
<給電制御装置10の構成部の配置>
図4は給電制御装置10の構成部の配置の説明図である。給電制御装置10はプリント基板Bを更に有する。プリント基板Bは絶縁体の基板である。図4には、プリント基板Bの平面及び側面が示されている。図4に示すように、1つのプリント基板Bの板面上に、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fn、n個のスイッチ回路G1,G2,・・・,Gn及びマイコン20が配置されている。プリント基板Bの板面には、接続に用いられる図示しない複数の配線が設けられている。n個の電線W1,W2,・・・Wkそれぞれの一端は、プリント基板Bの板面に設けられたn個の配線に接続されている。
前述したように、スイッチ回路GkにおいてFET30の切替えが適切に行われている限り、溶断素子Fkが溶断されることはない。従って、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fnが溶断される可能性は低い。電線Wkの電線温度が温度閾値以上の温度となったにも関わらず、スイッチ回路GkのFET30がオフに切替わらなかった場合に溶断素子Fkが溶断される。
このため、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fnを、n個のスイッチ回路G1,G2,・・・,Gn及びマイコン20が配置されているプリント基板Bに配置することができる。車両内において、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fnを容易に交換することができる場所にプリント基板Bを配置する必要はない。結果、車両内の限定的な空間において効率的な配置を実現することができる。
溶断素子Fkが溶断される可能性が高い場合、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fnをプリント基板B上に配置せず、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fnを収容箱に収容する。更に、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fnを容易に交換することができる場所に収容箱を配置する必要がある。この場合、収容箱、即ち、溶断素子Fkの配置の自由度が低く、効率的な配置を実現することができない。
<マイコン20の構成>
以下では、マイコン20について詳細に説明する。図5はマイコン20の要部構成を示すブロック図である。マイコン20は、A/D変換部40、入力部41、記憶部42、制御部43、n個の出力部J1,J2,・・・,Jn及びn個のA/D変換部M1,M2,・・・,Mnを有する。これらは内部バス44に接続されている。A/D変換部40は、更に、温度センサ21に接続されている。出力部Jkは、更に、スイッチ回路Gkの駆動部32に接続されている。A/D変換部Mkは、更に、スイッチ回路Gkの接続ノードに接続されている。スイッチ回路Gkの接続ノードは、電流出力部31及び抵抗33間の接続ノードである。
出力部Jkは、スイッチ回路Gkの駆動部32にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。スイッチ回路Gkの駆動部32は、出力部Jkの出力電圧と、スイッチ回路Gkの抵抗33の両端電圧値が示す電線Wkの電線電流値とに基づいて、前述したようにFET30をオン又はオフに切替える。
制御部43は、出力部Jkに、スイッチ回路GkのFET30のオンへの切替えと、スイッチ回路GkのFET30のオフへの切替えとを指示する。出力部Jkは、FET30のオンへの切替えが指示された場合、出力電圧をハイレベル電圧に切替え、FET30のオフへの切替えが指示された場合、出力電圧をローレベル電圧に切替える。
A/D変換部Mkには、アナログの両端電圧値がスイッチ回路Gkから入力される。A/D変換部Mkは、スイッチ回路Gkから入力されたアナログの両端電圧値をデジタルの両端電圧値に変換する。制御部43は、A/D変換部Mkからデジタルの両端電圧値を取得する。
A/D変換部40には、アナログの環境温度情報が温度センサ21から入力される。A/D変換部40は、温度センサ21から入力されたアナログの環境温度情報をデジタルの環境温度情報に変換する。制御部43は、A/D変換部40からデジタルの環境温度情報を取得する。環境温度情報は、前述したように、電線W1,W2,・・・,Wkが配置されている環境の環境温度を示す。
作動信号及び停止信号は入力部41に入力される。記憶部42は不揮発性メモリである。記憶部42には、コンピュータプログラムPが記憶されている。制御部43は、処理を実行する処理素子を有し、処理部として機能する。制御部43の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、負荷E1,E2,・・・,Enそれぞれに対応するn個の給電制御処理と、電線W1,W2,・・・,Wnそれぞれに対応するn個の電線保護処理を並行して実行する。負荷Ekの給電制御処理は、負荷Ekへの給電が制御する処理である。電線Wkの電線保護処理は、電線Wkを発煙から保護する処理である。
なお、コンピュータプログラムPは、制御部43の処理素子が読み取り可能に記憶媒体Aに記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体Aから読み出されたコンピュータプログラムPが記憶部42に書き込まれる。記憶媒体Aは、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)−ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない装置からコンピュータプログラムPをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムPを記憶部42に書き込んでもよい。
制御部43が有する処理素子の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。この場合、複数の処理素子がコンピュータプログラムPに従って、n個の給電制御処理及びn個の電線保護処理等を協同で実行してもよい。
記憶部42には、電線W1,W2,・・・,Wnそれぞれに対応するn個の禁止フラグの値が記憶されている。電線Wkのフラグの値がゼロであることは、スイッチ回路GkのFET30をオンに切替えることが許可されていることを示す。電線Wkのフラグの値が1であることは、スイッチ回路GkのFET30をオンに切替えることが禁止されていることを示す。電線Wkの禁止フラグの値は、制御部43によって、ゼロ又は1に変更される。
<負荷Ekの給電制御処理>
図6は、負荷Ekの給電制御処理の手順を示すフローチャートである。制御部43は、負荷Ekの給電制御処理を周期的に実行する。制御部43は、まず、電線Wkの禁止フラグの値が1であるか否かを判定する(ステップS1)。電線Wkの禁止フラグの値はゼロ又は1である。このため、禁止フラグの値が1ではない場合、禁止フラグの値はゼロである。制御部43は、禁止フラグの値が1である場合(S1:YES)、負荷Ekの給電制御処理を終了する。次の周期が到来した場合、制御部43は、再び、負荷Ekの給電制御処理を実行する。制御部43は、禁止フラグの値がゼロに変更されるまで待機する。
制御部43は、禁止フラグの値が1ではないと判定した場合(S1:NO)、負荷Ekを示す作動信号が入力部41に入力されたか否かを判定する(ステップS2)。制御部43は、負荷Ekを示す作動信号が入力されていないと判定した場合(S2:NO)、負荷Ekを示す停止信号が入力部41に入力されたか否かを判定する(ステップS3)。
制御部43は、負荷Ekを示す停止信号が入力されていないと判定した場合(S3:NO)、負荷Ekの給電制御処理を終了する。前述したように、次の周期が到来した場合、制御部43は、再び、負荷Ekの給電制御処理を実行する。禁止フラグの値がゼロである場合においては、制御部43は、負荷Ekを示す作動信号又は停止信号が入力部41に入力されるまで待機する。
制御部43は、負荷Ekを示す作動信号が入力されたと判定した場合(S2:YES)、出力部Jkに、スイッチ回路GkのFET30のオンへの切替えを指示する(ステップS4)。これにより、出力部Jkは、スイッチ回路Gkの駆動部32に出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。駆動部32に出力している電圧がハイレベル電圧に切替わった時点において、抵抗33の両端電圧値が示す電線Wkの電線電流値が一定電流値未満である場合、駆動部32は、スイッチ回路GkのFET30をオンに切替える。
制御部43は、負荷Ekを示す停止信号が入力されたと判定した場合(S3:YES)、出力部Jkに、スイッチ回路GkのFET30のオフへの切替えを指示する(ステップS5)。これにより、出力部Jkは、スイッチ回路Gkの駆動部32に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。結果、駆動部32は、スイッチ回路GkのFET30をオフに切替える。
制御部43は、ステップS4,S5の一方を実行した後、負荷Ekの給電制御処理を終了する。次の周期が到来した場合、制御部43は負荷Ekの給電制御処理を再び実行する。
後述するように、スイッチ回路GkのFET30がオフである状態で電線Wkの禁止フラグの値は1に変更される。従って、電線Wkの禁止フラグの値が1である場合、FET30がオンに切替わることはなく、FET30のオフが維持される。電線Wkの禁止フラグの値がゼロであり、かつ、電線Wkの電線電流値が一定電流値未満である場合において、負荷Ekを示す作動信号が入力されたとき、駆動部32は、スイッチ回路GkのFET30をオンに切替える。同様の場合において、負荷Ekを示す停止信号が入力されたとき、駆動部32は、スイッチ回路GkのFET30をオフに切替える。
<電線Wkの電線温度の算出方法>
電線Wkの電線温度を算出する算出方法を説明する。マイコン20の制御部43は、電線Wkについて、電線温度及び環境温度の温度差を繰り返し算出する。具体的には、制御部43は、先行して算出した先行温度差、環境温度及び電線電流値に基づいて、温度差を算出する。制御部43は、算出した温度差を、温度センサ21が検出した環境温度に加算することによって、電線Wkの電線温度を算出する。
電線Wkについて、電線電流値、算出対象の温度差、先行温度差及び環境温度それぞれを、Iw、ΔTw、ΔTp及びTaと記載する。制御部43は、先行温度差ΔTp、電線電流値Iwと、環境温度Taとを以下に示す[1]式及び[2]式に代入することによって、温度差ΔTwを算出する。
ΔTw=ΔTp・exp(−Δt/τr)+Rth・Rw
・Iw2 ・(1−exp(−Δt/τr))・・・[1]
Rw=Ro・(1+κ・(Ta+ΔTp−To)・・・[2]
[1]式及び[2]式で用いられている変数及び定数を説明する。変数及び定数の説明では、変数又は定数の単位も併せて示している。電線電流値Iwの単位はアンペアである。温度差ΔTw、先行温度差ΔTp及び環境温度Taの単位は度である。Rwは電線Wkの電線抵抗値(Ω)である。Rthは電線Wkの電線熱抵抗値(℃/W)である。Δtは、スイッチ回路Gkから両端電圧値を取得する周期(s)である。τrは電線Wkの電線放熱時定数(s)である。Toは、予め決められている温度(℃)である。Roは温度Toにおける電線抵抗値(Ω)である。κは電線Wkの電線抵抗温度係数(/℃)である。
温度差ΔTw、先行温度差ΔTp、電線電流値Iw及び環境温度Taは変数であり、周期Δt、電線放熱時定数τr、電線熱抵抗Rth、電線抵抗Ro、電線抵抗温度係数κ及び温度Toは、予め設定されている定数である。
[1]式の第1項の値は、周期Δtが長い程、低下するので、[1]式の第1項は電線Wkの放熱を表す。また、[1]式の第2項の値は、周期Δtが長い程、上昇するので、[1]式の第2項は電線Wkの発熱を表す。第2項の値は、電線電流値Iwが大きい程、大きい。
制御部43は、算出した温度差ΔTwに、温度センサ21が検出した環境温度Taを加算することによって、電線Wkの電線温度を算出する。マイコン20が起動した後に制御部43が最初に実行する電線Wkの温度差ΔTwの算出では、電線Wkの電線温度は環境温度Taと一致しているとして、先行温度差ΔTpをゼロとみなす。
<電線保護処理>
図7は電線Wkの電線保護処理の手順を示すフローチャートである。制御部43は、電線Wkの電線保護処理を周期的に実行する。記憶部42には、制御部43が先行して算出した先行温度差が記憶されている。記憶部42に記憶されている先行温度差は、制御部43によって変更される。
電線保護処理では、制御部43は、まず、A/D変換部Mkから、スイッチ回路Gkが有する抵抗33の両端電圧値を取得する(ステップS11)。次に、制御部43は、ステップS11で取得した両端電圧値に基づいて、電線Wkの電線電流値を算出する(ステップS12)。前述したように、電線Wkの電線電流値は、(抵抗33の両端電圧値)/((所定数)・(抵抗33の抵抗値))で表される。所定数、及び、抵抗33の抵抗値は一定値である。
制御部43は、ステップS12を実行した後、記憶部42から先行温度差を読み出し(ステップS13)、A/D変換部40から環境温度情報を取得する(ステップS14)。次に、制御部43は、ステップS12で算出した電線電流値と、ステップS13で読み出した先行温度差と、ステップS14で取得した環境温度情報が示す環境温度とを[1]式及び[2]式に代入することによって、電線Wkの電線温度と環境温度との温度差を算出する(ステップS15)。
次に、制御部43は、記憶部42に記憶されている先行温度差を、ステップS15で算出した温度差に変更する(ステップS16)。変更後の先行温度差は、次回の温度差の算出で用いられる。制御部43は、ステップS16を実行した後、ステップS15で算出した温度差を、ステップS14で取得した環境温度情報が示す環境温度に加算することによって、電線Wkの電線温度を算出する(ステップS17)。
次に、制御部43は、ステップS17で算出した電線温度が電線Wkの温度閾値以上であるか否かを判定する(ステップS18)。制御部43は、算出した電線温度が温度閾値以上であると判定した場合(S18:YES)、出力部Jkに、スイッチ回路GkのFET30のオフへの切替えを指示する(ステップS19)。これにより、出力部Jkは、スイッチ回路Gkの駆動部32に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。結果、駆動部32は、スイッチ回路GkのFET30をオフに切替える。
制御部43は、ステップS19を実行した後、電線Wkの禁止フラグの値を1に変更する(ステップS20)。これにより、FET30のオンへの切替えが禁止される。制御部43は、電線温度が温度閾値未満であると判定した場合(S18:NO)、又は、ステップS20を実行した後、電線Wkの電線保護処理を終了する。次の周期が到来した場合、制御部43は、電線Wkの電線保護処理を再び実行する。
以上のように、制御部43は、電線Wkの電線電流値に基づいて電線Wkの電線温度を繰り返し算出し、算出した電線温度が電線Wkの温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定する。制御部43は、算出した電線温度が温度閾値以上であると判定した場合、FET30のオフへの切替えを指示し、FET30のオンへの切替えを禁止する。給電制御装置10は電線保護装置として機能する。
制御部43は、電線Wkの禁止フラグの値を1に変更した場合、スイッチ回路Gkが有するFET30のオンへの切替えの禁止を解除する解除処理を実行してもよい。制御部43は、電線Wkの禁止フラグの値が1である場合に、スイッチ回路Gkの解除処理を周期的に実行する。解除処理でも、制御部43は、電線Wkの電線温度と環境温度との温度差を算出する。制御部43は、前述した所定条件が満たされるか否かを判定する。所定条件は、例えば、温度差が所定値以下の値となることである。所定値は、ゼロ℃又は5℃等である。制御部43は、所定条件が満たされると判定した場合、禁止フラグの値をゼロに戻す。制御部43は、所定条件が満たされていないと判定した場合、禁止フラグの値を1に維持する。
<変形例>
制御部43は、電線Wkの電線温度を繰り返し算出する構成であればよい。このため、制御部43は、電線Wkの電線温度の算出を周期的に行わなくてもよい。電線Wkの電線電流値に基づいて電線Wkの電線温度を算出する方法は、[1]式及び[2]式を用いる方法に限定されない。
給電制御装置10は、電線W1,W2,・・・,Wkそれぞれの電線温度を検出するn個の温度検出部を有してもよい。この場合、マイコン20の制御部43は、電線温度を算出せず、温度検出部が検出した電線Wkの電線温度を温度閾値以上であるか否かを判定する。
n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fn、n個のスイッチ回路G1,G2,・・・,Gn及びマイコン20は、1つのプリント基板B上に配置されていなくてもよい。例えば、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fn、n個のスイッチ回路G1,G2,・・・,Gn及びマイコン20の一部が、プリント基板Bとは異なる第2の基板上に配置されていてもよい。
溶断素子、電線、スイッチ回路及び負荷それぞれの数、即ち、nは1であってもよい。FET30は、スイッチとして機能すればよい。このため、FET30の代わりに、Pチャネル型のFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はリレー接点等が用いられてもよい。
開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電源システム
10 給電制御装置(電線保護装置)
11 直流電源
20 マイコン
21 温度センサ
30 FET
31 電流出力部
32 駆動部
33 抵抗
40,M1,M2,・・・,Mn A/D変換部
41 入力部
42 記憶部
43 制御部(処理部)
44 内部バス
A 記憶媒体
B プリント基板
E1,E2,・・・,En 負荷
F1,F2,・・・,Fn 溶断素子
G1,G2,・・・,Gn スイッチ回路
J1,J2,・・・,Jn 出力部
W1,W2,・・・,Wn 電線
P コンピュータプログラム

Claims (6)

  1. 電線を介して流れる電流の電流経路に配置され、自身の温度に応じて溶断される溶断素子と、
    前記電流経路に配置されるFETと、
    処理を実行する処理部と
    を備え、
    前記処理部は、
    前記電線の電線温度が温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定し、
    前記電線温度が前記温度閾値以上であると判定した場合に前記FETのオフへの切替えを指示する
    電線保護装置。
  2. 前記溶断素子は、前記電線温度が所定温度以上の温度となった場合に溶断され、
    前記温度閾値は、前記所定温度未満の温度である
    請求項1に記載の電線保護装置。
  3. 前記処理部は、前記電線を介して流れる電流の電線電流値に基づいて前記電線温度を繰り返し算出する
    請求項1又は請求項2に記載の電線保護装置。
  4. 前記溶断素子、FET及び処理部は1つのプリント基板上に配置されている
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電線保護装置。
  5. 電線の電線温度が温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定するステップと、
    前記電線温度が前記温度閾値以上であると判定した場合に、前記電線を介して流れる電流の電流経路に配置されるFETのオフへの切替えを指示するステップと
    をコンピュータが実行し、
    自身の温度に応じて溶断される溶断素子が前記電流経路に配置されている
    電線保護方法。
  6. 電線の電線温度が温度閾値以上であるか否かを繰り返し判定するステップと、
    前記電線温度が前記温度閾値以上であると判定した場合に、前記電線を介して流れる電流の電流経路に配置されるFETのオフへの切替えを指示するステップと
    をコンピュータに実行させるために用いられ、
    自身の温度に応じて溶断される溶断素子が前記電流経路に配置されている
    コンピュータプログラム。
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