JP2021195625A - 不織布、積層体、液体含浸シートおよび拭き取りシート - Google Patents

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Abstract

【課題】不織布および積層体、ならびにこれらを用いた液体含浸シートおよび拭き取りシートを提供する。【解決手段】前記不織布は、リン化合物により変性された変性部位を有するリン変性ポリエステル系繊維を95質量%以上含む不織布であって、機械方向(MD)と幅方向(CD)における目付(g/m2)当たりの不織布の破断強度(cN/1cm)の和が、30〜80であり、不織布の空隙率が90.0%以上である、不織布である。【選択図】なし

Description

この発明は、不織布、積層体、液体含浸シートおよび拭き取りシートに関する。
ポリエステル繊維は高い強度特性を有し、衣料用繊維として汎用されている。しかしながら、ポリエステル繊維の高い強度特性は、繊維として利用する場合、ピリングが発生するなど、意図しない問題を発生させる場合がある。例えば、特許文献1(特開昭61−47818号公報)には、ポリエステル繊維におけるピリングの発生を抑制するため、リン酸エステルが導入されたポリエステル繊維を、さらに熱水処理することにより部分的に加水分解して、抗ピル性に優れるポリエステル繊維を得ることが記載されている。
また、特許文献2(特開2003−155334号公報)には、リン化合物を共重合し、柔軟性の良好な繊維構造物を得るのに好適な改質されたポリエステル樹脂、並びにこれを用いたポリエステル繊維及びポリエステル不織布が開示され、得られた不織布は芯地用不織布等の柔軟性が必要とされる用途に好適に使用できることが記載されている。
特開昭61−47818号公報 特開2003−155334号公報
しかしながら、特許文献1では、前記繊維を不織布として利用することは記載されておらず、さらに熱水処理により抗ピル性が向上された繊維は加水分解部分が、毛羽の発生原因となるだけでなく、繊維自体の強度が低下するため、圧縮により不織布が変形した後の復元力も期待できない。
また、特許文献2では、芯地用不織布として用いることが主眼とされるため、高い空隙率を利用して不織布を圧縮により変形させることが期待できない。
そこで、本発明の目的は、厚み方向におけるクッション性に優れる不織布、ならびにこれを用いた液体含浸シートおよび拭き取りシートを提供することにある。
本発明の発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、リン化合物により変性された変性部位を有するリン変性ポリエステル系繊維は、変性部位が繊維において屈曲点として作用することができ、このようなリン変性ポリエステル系繊維で構成された不織布の目付当たりの破断強度および空隙率を調節すると、驚くべきことに、前記不織布の厚さ方向において圧縮時に大きく沈み込むことが可能であるだけでなく、ポリエステル系繊維の強度を利用して圧縮回復が良好であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様で構成されうる。
〔態様1〕
リン化合物により変性された変性部位を有するリン変性ポリエステル系繊維を95質量%以上含む不織布であって、機械方向(MD)と幅方向(CD)における目付(g/m)当たりの不織布の破断強度(cN/1cm)の和が、30〜80(好ましくは35〜70、より好ましくは37〜60)であり、不織布の空隙率が90.0%以上(好ましくは91.0%以上、より好ましくは93.0%以上)である、不織布。
〔態様2〕
態様1に記載の不織布であって、前記ポリエステル系繊維は、前記繊維を形成するポリエステル重合体中の全酸成分に対するリン酸原子の割合として、リン変性率が0.5〜5モル%(好ましくは0.6〜3.0モル%、より好ましくは0.7〜2.5モル%)である不織布。
〔態様3〕
態様1または2に記載の不織布であって、圧縮変化率が15.0〜35.0%(好ましくは17.0〜35.0%、より好ましくは19.0〜33.0%)である不織布。
〔態様4〕
態様1〜3のいずれか一態様に記載の不織布であって、圧縮回復率が5.0〜20.0%(好ましくは5.5〜19.0%、より好ましくは6.0〜18.0%)である不織布。
〔態様5〕
態様1〜4のいずれか一態様に記載の不織布であって、目付が150g/m以下(好ましくは10〜130g/m、より好ましくは20〜100g/m)である不織布。
〔態様6〕
態様1〜5のいずれか一態様に記載の不織布であって、前記リン変性ポリエステル系繊維が厚さ方向に三次元交絡によって繊維間絡合している不織布。
〔態様7〕
態様1〜6のいずれか一態様に記載の不織布であって、スパンレース構造を有している不織布。
〔態様8〕
態様1〜7のいずれか一態様に記載の不織布であって、人体に適用するための不織布。
〔態様9〕
態様1〜8のいずれか一態様に記載の不織布からなる第1の繊維層と、前記第1の繊維層以外の第2の層とを含む積層体。
〔態様10〕
態様9に記載の積層体であって、前記第1の繊維層の厚みと、前記第2の層の厚みとの比が、前者:後者=1:0.1〜1:100(好ましくは1:0.5〜1:50、より好ましくは1:0.8〜1:30)である積層体。
〔態様11〕
態様1〜8のいずれか一態様に記載の不織布、または態様9または10に記載の積層体を用いてなる、液体を含浸するためのシート。
〔態様12〕
態様1〜8のいずれか一態様に記載の不織布、または態様9または10に記載の積層体を用いてなる、拭き取りシート。
本発明では、厚み方向におけるクッション性に優れる不織布を提供することができる。この不織布は、厚み方向に圧縮させると良好な変形性をすることができる。また、厚み方向の荷重を弱めると、再び厚みを増加させて良好な回復性を有することができる。さらに、本発明の不織布は、毛羽の発生を抑制することも可能である。
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。
圧縮回復率および圧縮変形率を測定する方法を説明するための概略図である。 官能試験を行う際にサンプルを手で保持する状態を説明するための概略図である。
本発明の不織布は、リン化合物により変性された変性部位を有するリン変性ポリエステル系繊維を95質量%以上含む不織布である。
(リン変性ポリエステル系繊維)
リン変性ポリエステル系繊維は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステル重合体において、リン化合物を添加することにより変性された変性ポリエステル重合体を溶融紡糸することにより得られる繊維である。
主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステル重合体は、テレフタル酸を主とするジカルボン酸又はその低級アルキルエステル誘導体をテレフタル酸単位として有し、およびエチレングリコールを主とするグリコール又はエチレンオキサイドをエチレングリコール単位として有している。
前記ポリエステル重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲において、その他のジカルボン酸単位および/またはジオール単位として、その全構成単位に基づいて、30モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば他の2官能性化合物から誘導される構造単位を含有していてもよい。
そのような他の2官能性化合物から誘導される構造単位としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;デカリンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシアクリル酸、ヒドロキシプロピオン酸、アシアチン酸、キノバ酸、ヒドロキシ安息香酸、マンデル酸、マトロラクチン酸などのヒドロキシカルボン酸;ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン;トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族ジオール;ヒドロキノン、カテコール、ナフタレンジオール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジオール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールなどの2官能性成分から誘導される構造単位を挙げることができる。これらの構造単位は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いられるポリエステル重合体には、リン化合物が共重合されており、リン化合物との共重合部分により、繊維に対して屈曲性が付与される。リン化合物は、ポリエステル重合体に対して共重合可能である限り特に限定されず、例えば、(A)赤リン、黄リン、三塩化リン、五塩化リン、五酸化リン等の無機リン化合物、(B)リン酸、亜リン酸、ポリリン酸等の無機酸およびその塩類、(C)亜リン酸の脂肪族あるいは芳香族エステル類(部分エステルを含む)、(D)リン酸の脂肪族あるいは芳香族エステル類(部分エステルを含む)等が挙げられる。これらのリン化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。ポリエステル重合体におけるリン化合物の変性量は、ポリエステル重合体中の全酸成分に対するリン酸原子の割合として、リン変性率が、例えば、0.5〜5モル%であってもよく、好ましくは0.6〜3.0モル%、より好ましくは0.7〜2.5モル%であってもよい。
これらのリン化合物のうち、下記式(I)で表されるリン酸ジアルキルエステルが好ましく用いられる。
Figure 2021195625
(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数3〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す)
式(I)において、アルキル基RおよびRは、分岐鎖アルキル基であってもよいが、直鎖アルキル基であるのが好ましい。好ましいリン酸ジアルキルエステルとしては、ジ−n−プロピルホスフェート、ジ−n−ブチルホスフェート、ジ−t−ブチルホスフェート、ジ−n−ペンチルホスフェート、ジ−n−ヘキシルホスフェート、ジ−n−ヘプチルホスフェート、ジ−n−オクチルホスフェート、(n−プロピル)(n−ブチル)ホスフェート、(n−プロピル)(n−ペンチル)ホスフェート、(n−プロピル)(n−ヘキシル)ホスフェート、(n−プロピル)(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−プロピル)(n−オクチル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−ペンチル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−ヘキシル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−オクチル)ホスフェート、(n−ペンチル)(n−ヘキシル)ホスフェート、(n−ペンチル)(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−ぺンチル)(n−オクチル)ホスフェート、(n−ヘキシル)(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−ヘキシル)(n−オクチル)ホスフェート、(n−ヘプチル)(n−オクチル)ホスフェートなどが挙げられ、より好ましくはジ−n−ブチルホスフェートである。
リン変性ポリエステル重合体を、通常の方法により溶融混練した後、溶融紡糸装置を用いて、リン変性ポリエステル繊維を得ることが出来る。得られたリン変性ポリエステル繊維では、熱水処理を行わないため、リン化合物による共重合部分が加水分解されず、繊維中において屈曲性を有する部分として存在する。
リン変性ポリエステル繊維の繊度は、特に限定するものではないが、例えば、1.2〜2.2dtexであってもよく、より好ましくは1.5〜1.9dtexであってもよい。リン変性ポリエステル繊維の平均繊維長は、特に限定するものではないが、製造作業性、不織布の機械的特性などの点から、例えば、10〜100mmであってもよく、好ましくは20〜80mm、より好ましくは30〜60mmであってもよい。
本発明の不織布は、リン変性ポリエステル系繊維を95質量%以上含んでおり、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上含んでいてもよい。また、一態様の不織布は、必要に応じて、バインダー繊維を含むその他の繊維、などを含んでいてもよい。その他の繊維としては、例えば、セルロース系繊維、接着芯鞘型複合繊維、ポリエステル系繊維(リン変性ポリエステル系繊維を除く)、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維などが挙げられる。
一態様の不織布は、さらに、難燃剤、親水剤、撥水剤、着色剤(顔料など)、抗菌剤、抗カビ剤、消臭剤、オイル成分、芳香剤、粘着剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
例えば、本発明の不織布は、リン変性ポリエステル系繊維を利用するとともに、所定の範囲に破断強度および空隙率が制御されているため、不織布の厚さ方向における柔軟性に優れている。不織布の構造は前記柔軟性を発揮できる範囲で適宜選択することが可能であるが、一態様の不織布では、リン変性ポリエステル系繊維が厚さ方向に三次元交絡によって繊維間絡合しているのが好ましく、前記構造は、水流交絡により形成されるスパンレース不織布であるのがより好ましい。
[不織布の製造方法]
本発明の不織布は、強度および空隙率が所定の範囲に制御できる限り、さまざまな製造方法で製造することができるが、好ましくは、繊維を乾式法によりウエブを形成し、次いで、ウエブ中の繊維を交絡処理により絡ませることにより、得ることができる。
具体的には、前記リン変性ポリエステル系繊維、および必要に応じて他の繊維を混綿し、次いでカード機によるカーディングにて解繊してウエブを作製する。かかるウエブはカード機の進行方向に繊維が配列したパラレルウエブ、パラレルウエブがクロスレイドされたクロスウエブ、ランダムに配列したランダムウエブ、あるいは両者の中程度に配列したセミランダムウエブのいずれであってもよいが、シート使用時にあらゆる方向への添い性が高くなることを考慮すると、ランダムウエブが好ましく、生産性の高さを考慮するとセミランダムウエブが好ましい。
交絡処理では、面方向に広がる繊維の少なくとも一部が、少なくとも厚さ方向において絡み合うことにより繊維同士が三次元で交絡し、繊維間の結合により不織布として一体化される。交絡処理は、不織布用ウエブの結合方法で用いられる機械的結合方法であれば特に限定されないが、繊維相互の緻密な絡み合いが可能である観点から、得られたウエブに水流交絡を行うのが好ましい。水流交絡処理は、例えば、後述する多孔性支持部材上に載置したウエブに対し、高圧で柱状に噴射される水流を衝突させるものであり、ウエブの構成繊維相互を緻密に三次元交絡せしめ一体化させる。水流交絡により得られた不織布は、スパンレース構造を有している。
ウエブに三次元交絡を施すに際しては、移動する多孔性支持部材上にウエブを載置して、水圧0.5〜15MPaの水流で1回または複数回処理する方法が好適に挙げられる。噴射孔はウエブの進行方向と直交する方向にノズルプレートを列状に配列し、ウエブに対して水流を均一に衝突させるのが好ましい。ウエブの厚さの均一性を高めるためには、水圧は特に1.5〜12MPaの範囲であること、さらに水流交絡処理をウエブの両面に対して、少なくともそれぞれ2回以上、かつ合計5回以上行うことが好ましい。ウエブに対する交絡を均一にする観点から、噴射孔とウエブとの距離は1〜10cmであることが好ましい。また、水流は、例えば、孔径が0.05〜0.10mm、間隔0.30〜1.50mmの噴射孔を1〜2列に配列したノズルプレートから噴射されてもよい。
ウエブを載置する多孔性支持部材は、例えば、金属または樹脂などのメッシュスクリーンや有孔板などが用いられる。不織布表面の平坦性を高める観点から、水流交絡処理の少なくとも最後の処理において、細い繊維の織り構造体(例えば平織り構造体)上で水流交絡されることが好ましい。
さらに、ウエブの表面平坦性を高めるためには、前記多孔性支持部材上での水流交絡処理において使用するノズルプレートのうち、最終段に使用するノズルプレートは、孔径が0.05〜0.10mm、間隔0.30〜1.00mmの噴射孔を1〜2列に配列したものとすることが好ましい。
得られた不織布は、必要に応じて常法により乾燥させて用いることができる。
[不織布]
本発明の不織布は、リン変性ポリエステル系繊維が所定の空隙率を有して不織布を構成しているため、不織布の厚さ方向に圧縮された場合に、大きく変形できるだけでなく、一旦変形した後の圧縮回復率を高めることができる。さらに、毛羽の発生も抑制することができる。
(目付当たりの破断強度)
機械方向(MD)と幅方向(CD)における目付(g/m)当たりの不織布の破断強度の和は、不織布の機械方向(MD)と幅方向(CD)の双方において、幅方向5.0cm、機械方向5.0cmで切り出したサンプルの破断強度(cN/1cm)をそれぞれ測定し、得られた破断強度の和を不織布の目付(g/m)で除した値である。この値が特定の範囲に存在すると、不織布の厚み方向の柔らかさを制御することが可能である。
不織布の目付(g/m)当たりの破断強度(cN/1cm)の和は、30〜80であり、好ましくは35〜70、より好ましくは37〜60であってもよい。
なお、破断強度および目付は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
(空隙率)
不織布の目付は、不織布に対して厚み方向の柔らかさをもたらす観点から、90.0%以上であり、好ましくは91.0%以上、より好ましくは93.0%以上であってもよい。空隙率の上限は特に限定されないが、例えば、98.0%以下であってもよく、好ましくは97.0%であってもよい。空隙率は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
(目付)
不織布の目付は、例えば、150g/m以下であってもよく、好ましくは10〜130g/mの範囲内であってもよく、より好ましくは20〜100g/mの範囲内であってもよい。また、接着芯鞘型複合繊維を有する場合、不織布の目付は、好ましくは10〜80g/mの範囲内であってもよく、より好ましくは20〜60g/mの範囲内であってもよい。ここで、目付は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
(厚さ)
不織布の厚さも特に制限されないが、例えば、0.05〜10mmの範囲内であってもよく、好ましくは0.10〜8mmの範囲内、より好ましくは0.20〜5mmの範囲内であってもよい。厚みが薄すぎる場合には、不織布の形態を維持することが難しくなる傾向にあり、厚みが厚すぎる場合には、シート状の繊維集合体が厚くなり過ぎて、繊維間の絡合が不十分になる傾向にある。ここで、厚さは、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
(見かけ密度)
不織布の見かけ密度は、例えば、0.04〜0.20g/cmの範囲内であってもよく、好ましくは0.06〜0.15g/cmの範囲内であってもよい。ここで、見かけ密度は、不織布の目付を厚さで割った値である。不織布の見かけ密度が低すぎる場合には、形態安定性が低下する傾向にあり、また、不織布の見かけ密度が高すぎる場合には、保液量が低下する傾向にある。本発明のシートを構成する不織布の見かけ密度は、目付量(g/m)と厚さ(mm)より計算して求めることができる(不織布の見かけ密度(g/cm)=目付量(g/m)/厚さ(mm)/1000)。なお、不織布の厚さは、JIS L 1913「一般不織布試験方法」の6.2を参考に測定する。
(圧縮回復率)
一態様の不織布は、圧縮して変形させた後の回復性に優れるため、下記式で表す圧縮回復率が、例えば、5.0%以上であってもよく、好ましくは5.5%以上、より好ましくは6.0%以上であってもよい。圧縮回復率の上限は特に限定されないが、例えば、20.0%以下であってもよく、好ましくは19.0%以下、より好ましくは18.0%以下であってもよい。圧縮回復率が高い不織布は、クッション性に優れている。
圧縮回復率(%)=(C−B)/A×100
ここで、Aは、10枚重ねた不織布を5g/cmの荷重下で測定した際の厚さであり、Bは、Aを測定した後、さらに前記不織布を40g/cmの荷重下で測定した厚さであり、Cは、Bを測定した後、さらに再び前記不織布を5g/cmの荷重下で測定した厚さである。これらの厚さは、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
図1は、圧縮回復率の測定方法を説明するための概略図である。図1に示すように、圧縮回復率は、不織布10が10枚重ねられた不織布積層物20に対して、一旦所定の荷重Xを厚さ方向に加えて厚さAを測定した後、さらに高い荷重Yを不織布に加えて不織布積層物20の厚さBを測定する。そして、元の荷重Xに戻して不織布積層物20の厚さCを測定する。厚さCが厚さAに占める割合から、厚さBが厚さAに占める割合を減じることにより、高い荷重を付加した後に、不織布の厚さがどの程度回復するかを不織布の厚さに係わらず一般化することができる。
(圧縮変化率)
一態様の不織布は、圧縮する際の変形性に優れるため、不織布は、下記式で表す圧縮変化率が、例えば、15.0%以上であってもよく、好ましくは17.0%以上、より好ましくは19.0%以上であってもよい。圧縮変化率の上限は特に限定されないが、例えば、35.0%以下であってもよく、好ましくは33.0%以下であってもよい。圧縮変化率が高い不織布は、厚み方向の柔らかさに優れている。
圧縮変化率(%)=(A−B)/A×100
ここで、AおよびBは、圧縮回復率における定義と同様である。
本発明の不織布は、所定の空隙率においてリン変性ポリエステル系繊維を含み、繊維自体の柔軟性を生かしながら、不織布の破断強度を特定の範囲に制御しているため、柔らかさやクッション性が求められる用途において好適に使用することができ、目的に応じて、清浄用途、美容用途、医療用途、家庭用途、工業用途などにおいて好適に用いることが可能である。
また、肌への刺激性を低減することができるため、本発明の不織布は、人体に適用するための用途、特に人肌に直接触れる用途において、好適に用いることが可能である。そのため、本発明の不織布は、例えば、化粧用パフ(コットン状物)、フェイスマスク基材などの美容シート、皮膚を保護するための衣料用シート、紙おむつや生理用ナプキンなどの衛生材料用トップシートなどとして好適に用いることが可能である。
[積層体]
本発明は、前記不織布からなる第1の繊維層と、前記第1の繊維層以外の第2の層とを含む積層体を包含する。第2の層は、第1の繊維層と積層可能である限り特に限定されず、繊維層、紙層、フィルム層、多孔質層、ゲル化層、木質層、無機質層およびこれらの複合層などが挙げられる。不織布が厚み方向の柔らかさを有するため、積層体中の第2の層に対してクッション性を付与することができる。
これらのうち、第2の層は、繊維層、フィルム層であるのが好ましい。
繊維層は、第1の繊維層を構成する不織布以外の繊維構造体であってもよく、例えば、織物、編物、不織布、フェルトなどの繊維構造体が挙げられる。
フィルム層としては、用途に応じて汎用の各種フィルムを利用することができ、ポリオレフィン系フィルム層、ポリエステル系フィルム層、ポリアミド系フィルム層、ビニルアルコール系フィルム層(エチレン−ビニルアルコール系フィルムを含む)、ハロゲン含有フィルム層などが挙げられる。
第1の繊維層と第2の層とは、接着層を介さずに直接積層されていてもよいし、常法により接着層を介して積層されていてもよい。また、前記第1の繊維層の厚みと、前記第2の層の厚みとの比は、第2の層の材質に応じて適宜選択することができ、前者:後者=1:0.1〜1:100であってもよく、好ましくは1:0.5〜1:50、より好ましくは1:0.8〜1:30であってもよい。
[液体含浸シートまたは液体含浸用不織布または積層体]
本発明は、前記不織布または積層体を用いてなる、液体含浸シートを包含する。液体含浸シートは、清浄用途、美容用途、医療用途、家庭用途、工業用途などにおいて好適に用いることが可能である。なお、本発明の不織布または積層体は、乾燥した状態で流通し、使用時に液体を含浸して用いられる液体含浸用不織布または積層体(例えば、化粧用パフ(コットン状物)、フェイスマスク基材などの美容シート)として用いられてもよい。
これらの用途に応じて用いられる液体は、用途に応じて適宜選択することができ、公知または慣用の有効成分を有する溶液、分散液、エマルジョンなどであればよい。液体は、水、水溶液、水性エマルジョンなどの水性液体であってもよく、有機溶剤やこれらを媒体とする油性液体であってもよく、これらの混合物であってもよい。
使用する液体の含浸量としては、所定の効果を得られれば特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができる。液体の含浸量は、前記不織布100質量部に対して、例えば、100〜1200質量部であってもよく、好ましくは150〜1000質量部であってもよい。
有効成分としては、用途に応じて、各種美容成分、清浄成分、洗浄成分、消毒成分、薬効成分、清涼成分、虫よけ成分、コーティング剤、塗料、仕上げ剤(例えば、ワニスなど)などを用いることができ、これらの有効成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
また、有効成分としては、公知または慣用の有効成分を用いることができ、有効成分の種類や用途に応じて、適当な溶媒(水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコールなど)、助剤(乳化剤、キレート剤、pH調整剤、中和剤、増粘剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤など)、添加剤(紫外線吸収剤、粉体、酸化防止剤、防腐剤、香料、蛍光増白剤、帯電防止剤、難燃剤、消臭剤、可塑剤、着色剤など)などを利用することができる。
美容成分としては、美白成分、抗老化(抗酸化、抗シワ、抗たるみ)成分、抗炎症(刺激緩和,抗アレルギー)成分、細胞賦活(ターンオーバー促進、DNA損傷修復)成分、保湿成分、エモリエント成分、収れん成分、ピーリング成分、血行促進成分、抗酸化成分などが挙げられ、好ましい美容成分としては、アルブチン、コウジ酸、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、アスタキサンチン、ルシノール、アセチルグルコサミン、エラグ酸、トラネキサム酸、リノール酸、オキシプロリン、ヒドロキシプロリン、トコフェロールおよびこれらの誘導体、水溶性高分子、アミノ酸、糖アルコール類、糖類、ムコ多糖類、各種植物エキス、プラセンタエキスなどが挙げられる。
清浄成分としては、皮膚の清浄を目的とするノニオン系界面活性剤、アルコール類(エタノール、多価アルコールなど)、グリコールエーテル類、油剤(鉱物油系オイル、エステル系オイル、ロウ、シリコーン系オイル、天然オイルなど)などが挙げられる。
洗浄成分としては、上記清浄成分に加えて、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、溶剤、アルカリ剤などが挙げられる。
消毒成分としては、塩素系消毒剤(亜塩素酸ナトリウム等の亜塩素酸塩、次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩、塩素酸ナトリウム等の塩素酸塩、過塩素酸ナトリウム等の過塩素酸塩、及びジクロロイソプロピルメチルフェノールシアヌル酸ナトリウム等の塩素化シアヌル酸塩など)、アルコール類(エタノール、イソプロパノールなど)、両面界面活性剤、第四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)、クロルヘキシジンなどが挙げられる。
薬効成分としては、用途に応じて各種薬効成分を利用することが可能であるが、例えば、湿布などに用いられる薬効成分としては、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤、鎮痛消炎剤、局所麻酔剤などが挙げられる。
清涼成分としては、エタノールなどのアルコール類、メントール、ハッカ油、ペパーミント油、カンファー(樟脳)、チモール、スピラントール、サリチル酸メチルなどの清涼化剤が挙げられる。
虫よけ成分としては、ユーカリエキス、メントール、ハッカ油、ジエチルトルアミドなどが挙げられる。
例えば、美容用フェイスマスクは、美容成分および溶媒を含み、必要に応じて、他の有効成分、助剤、添加剤などが含まれていてもよい。
クレンジングシートは、清浄成分を含み、必要に応じて、他の有効成分(例えば、美容成分など)、溶媒、助剤、添加剤などが含まれていてもよい。
掃除ワイパーは、洗浄成分を含み、必要に応じて、他の有効成分(コーティング剤、仕上げ剤、塗料など)、溶媒、助剤、添加剤などが含まれていてもよい。
除菌・ウィルスワイパーは、消毒成分を含み、必要に応じて、他の有効成分(保湿成分など)、溶媒、助剤、添加剤などが含まれていてもよい。
かゆみ抑制シートは、薬効成分を含み、必要に応じて、他の有効成分(清涼成分、保湿成分など)、溶媒、助剤、添加剤などが含まれていてもよい。
制汗シートは、清涼成分を含み、必要に応じて、他の有効成分(収れん成分、保湿成分など)、溶媒、助剤、添加剤などが含まれていてもよい。
虫よけシートは、虫よけ成分を含み、必要に応じて、他の有効成分(保湿成分など)、溶媒、助剤、添加剤などが含まれていてもよい。
また、本発明の液体含浸シートは、不織布自体が圧縮変形性に優れるとともに、圧縮回復率が高いため、柔らかな感触を維持することができる。さらに、不織布の性質に由来して毛羽の発生を抑制することができる。そのため、クッション性や肌触りのよさを利用して、肌に対して利用するスキンケアシートとして用いることが有用である。スキンケアシートとしては、肌をこする、いわゆるラビング(rubbing)用途のシートであってもよいし、肌をこすらない、いわゆる非ラビング(non-rubbing)用途のシートであってもよい。
一態様の液体含浸シートは、非ラビング(non-rubbing)用途のシートとして、美容成分を含浸させた美容シート(例えば、美容マスクなど)、薬用又は治療用シート(かゆみ抑制シート、湿布など)などとして利用することができる。
また、一態様の液体含浸シートは、ラビング(rubbing)用途のシートとして、拭き取り清浄成分を含浸させたメイク除去シート又はクレンジングシート、身体洗浄用シート(汗拭きシート、制汗シート、おしりふきなど)、虫よけ用シート、冷感シートなどとして利用することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
〔破断強度〕
JIS L 1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて、不織布の機械方向(MD)および幅方向(CD)に関し、破断強度を測定した。具体的には、幅方向5.0cm、機械方向5.0cmで切り出したサンプルの破断強度(cN/1cm)をつかみ間隔10mm、引張速度200mm/minでそれぞれ測定し、得られた破断強度の和を不織布の目付(g/m)で除して、目付当たりの不織布の破断強度(cN/1cm)の和を算出した。
〔目付および見かけ密度〕
JIS L 1913「一般不織布試験方法」の6.2に準じて、目付(g/m)を測定した。また、見かけ密度(g/cm)は、目付を厚さで除することにより、算出した。
〔厚さ〕
JIS L 1913を参考に、直径43.7mmの円形水平板の厚さ測定器にて5g/cmの荷重をかけたときの厚さを測定し、不織布の厚さとした。
〔空隙率〕
空隙率は、単位体積当たりの繊維以外の隙間として算出した。具体的には、見かけ密度に繊維の比重をかけあわせて、繊維が単位体積当たりに占める空間を算出し、その空間の割合を単位体積から差し引くことにより、単位体積当たりの空隙率を算出した。
〔圧縮変化率および圧縮回復率〕
10cm角のサイズに裁断した乾燥状態の不織布を10枚重ねられた不織布積層物を準備した。前記不織布積層物に対して、直径43.7mmの円形水平板の厚さ測定器にて荷重5g/cmを厚さ方向に加えて、10秒後の不織布積層物の厚さA(mm/10枚)を測定した後、さらに高い荷重40g/cmを厚さ方向に加えて、30秒後の不織布積層物の厚さB(mm/10枚)を測定した。そして、元の荷重5g/cmに戻して、30秒後の不織布積層物の厚さC(mm/10枚)を測定した。得られた厚さA〜C(mm/10枚)から、下記式により、圧縮変化率および圧縮回復率をそれぞれ算出した。
圧縮変化率(%)=(A−B)/A×100
圧縮回復率(%)=(C−B)/A×100
[使用感に関する試験]
(試料)
7cm角のサイズに裁断したシートを4枚重ねて評価用サンプルとした。
(パネルによる試験)
被検者9名(20代、30代、40代女性)が、図2に示すように、前記試料の幅方向(CD)が指に対して垂直方向になるよう、右手で一方の端を人指し指と中指、反対の端を薬指と小指の間でそれぞれ挟み、左手の手首から手の甲の先端までの約10cmの間を、右手の中指と薬指の内側で試料のふき取り部分[幅方向(CD)3cm×機械方向(MD)7cm]を接触させて軽い力で5往復させた。
試料毎に厚さ方向の柔らかさ、毛羽立ち性の2項目について評価した。
〔厚さ方向の柔らかさ〕
上記の方法で官能試験を実施し、厚さ方向の柔らかさついて下記の3段階で判定した。
〇:触感が非常にソフトで、弾力性がある
△:触感にやや硬さを感じ、弾力性が小さい
×:触感が硬く、弾力性がない
〔毛羽立ち性〕
上記の方法で試験を実施し、以下の基準により下記の3段階で判定した。
試験後に使用面を水平にし、図2に示す拭き取り部分に該当する、中指と薬指の内側で押さえた幅方向(CD)3cm×機械方向(MD)7cmの範囲で表面から3mm以上飛び出している繊維本数を数えた。
〇:3本以下
△:4本以上6本以下
×:7本以上
上記2項目を評価し、各項目で〇評価の人数を評価結果とした。
A:〇が7人以上
B:〇が4人以上6人以下
C:〇が3人以下
なお、既に液体等の成分が含浸された不織布を用いる場合は、下記の手順に沿って含浸された成分を一旦除去した後に、上記物性の測定や評価を行う方法が好ましい。
具体的に、液体等の成分が含浸された不織布を洗浄液に2時間浸漬して、入手した不織布にあらかじめ含浸された成分を不織布から除去するために、不織布の洗浄を行う。当該洗浄液の量としては、不織布の面積100cm当たり2Lとする。また、含浸成分を除去できる限り特に限定されないが、例えば、洗浄液としては、イオン交換水/中性洗剤=95/5(体積比)を用いてもよい。中性洗剤としては、例えば、花王(株)キュキュット(cucute)(商標)を用いて、不織布を液体中に静置する。次いで、同量のイオン交換水に2時間浸漬して、洗浄液を落とした後に、不織布の形状をできるだけ変化させないように、不織布を風乾(条件:10℃、65%RH、24時間)させて測定試料とすることができる。
(参考例1)
ポリエステル(P)としてジ−n−ブチルホスフェート単位をリン原子に換算して全カルボン酸成分に対して2.5モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレートのチップと、ポリエステル(Q)として二酸化チタンを10質量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップとを、ポリエステル(P)/ポリエステル(Q)=40/60の質量比でブレンドし、乾燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でブレンド物を溶融した後、溶融紡糸装置に供給し、紡出孔を有する紡糸口金から、280℃で溶融紡糸し、1000m/分で引き取り、次いで70℃で2.5倍に延伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長51mmに切断して、繊維径1.7dtex、リン酸変性率0.96モル%、二酸化チタン含有量6.0質量%のポリエステル繊維のステープルを製造した。
(参考例2)
繊度を1.1dtexに変更する以外は、参考例1と同様にしてリン変性ポリエステル系繊維を得た。
(参考例3)
繊度を3.3dtexに変更する以外は、参考例1と同様にしてリン変性ポリエステル系繊維を得た。
(参考例4)
リン酸変性率を2.0モル%に変更する以外は、参考例1と同様にしてリン変性ポリエステル系繊維を得た。
(実施例1)
参考例で得られたリン変性ポリエステル繊維を均一に混綿した後、目付50g/mのセミランダムカードウエブを常法により作製し、このカードウエブを開口率25%、孔径0.3mmのパンチングドラム支持体上に載置して速度50m/分で長手方向に連続的に移送すると同時に、上方から高圧水流を噴射して交絡処理を行って、交絡した繊維ウエブ(不織布)を製造した。この交絡処理に当たっては、孔径0.10mmのオリフィスをウエブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用し(隣接するノズル間の距離10cm)、1列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を3.0MPa、2列目のノズルから噴射した高圧水流の水圧を4.0MPaとして行った。さらに細かい網目を有する全体に平坦な支持体に載置して連続的に移送すると共に高圧水流を噴射して交絡処理を行った。この交絡処理は孔径0.10mmのオリフィスをウエブの幅方向に沿って0.6mmの間隔で設けてあるノズル2本を使用して、いずれも高圧水流の水圧4.0MPaの条件下で行った。さらに130℃で乾燥して、目付が50.2g/mのスパンレース不織布を得た。
(実施例2)
参考例2で得られたリン変性ポリエステル繊維を使用する以外は、実施例1と同様にして目付が49.6g/mのスパンレース不織布を得た。
(実施例3)
参考例3で得られたリン変性ポリエステル繊維を使用する以外は、実施例1と同様にして目付が48.8g/mのスパンレース不織布を得た。
(実施例4)
参考例4で得られたリン変性ポリエステル繊維を使用する以外は、実施例1と同様にして目付が51.1g/mのスパンレース不織布を得た。
(実施例5)
セミランダムカードウエブの目付を100g/mとする以外は、実施例1と同様にして目付が102.3g/mのスパンレース不織布を得た。
(比較例1)
実施例1で得られたスパンレース不織布に対して、常法の染色釜にスパンレース不織布と水を入れ、130℃で60分熱処理を加えた。さらに脱水した後、120℃の熱風で乾燥して、目付が50.5g/mの抗ピリング処理されたスパンレース不織布を得た。
(比較例2)
参考例1で得られたリン変性ポリエステル繊維を均一に混綿した後、目付50g/mのセミランダムカードウエブを常法により作製し、ひし形 千鳥配列 圧着面積20%の熱エンボスロールを230℃に加熱し、25kg/cmの線圧をかけ、速度10m/分で熱処理を施し、目付が51.3g/mのエンボス処理不織布を得た。
(比較例3)
参考例1で得られたリン変性ポリエステル繊維に代えて、ポリエステル繊維(東レ(株)製「テトロン」T−471、繊度1.6dtex、繊維長51mm)を用いる以外は実施例1と同様にして目付が49.1g/mのスパンレース不織布を得た。
(比較例4)
コットン(丸三産業(株)製、繊度1.0〜2.2dtex、繊維長10〜30mm)のみを用い、目付50g/mのセミランダムカードウエブを作製する以外は実施例1と同様にして目付が49.8g/mのスパンレース不織布を得た。
Figure 2021195625
実施例1〜5では、リン変性ポリエステル繊維を用いているため、比較例2および3と比べて高い圧縮変化率および圧縮回復率を有している。また、実施例1〜5の不織布は、毛羽立ちの発生も抑制できている。
また、実施例1で得られた不織布を熱水処理した比較例1では、変性部位が加水分解されて繊維が切断してしまい、毛羽立ちが多く発生している。また、切断端部により肌への刺激性が発生している。さらに、繊維の弾力性が低下しているため、厚さ方向の柔らかさを発揮することができない。また、圧縮変化率および圧縮回復率は、双方とも不良である。
さらに、エンボスローラーにより一体化した比較例2では、特定の破断強度および空隙率を満たさないため、リン変性ポリエステル繊維を用いた場合であっても、不織布全体として厚さ方向の柔らかさを発揮することができず、また、圧縮変化率および圧縮回復率は、双方とも不良である。さらに、毛羽立ちの発生を抑制することができない。
非変性ポリエステル繊維である比較例3は、強度が高すぎるため、毛羽立ちが発生している。また、強度が高いにもかかわらず、圧縮変化率および圧縮回復率は実施例1と比べて劣っている。
単なるコットンである比較例4では、弾力性に欠けるため、厚さ方向の柔らかさを発揮することができず、また、圧縮変化率および圧縮回復率は、双方とも不良である。
本発明の不織布は、厚さ方向のクッション性に優れるとともに、圧縮変化率および圧縮回復率が良好であるため、目的に応じて、清浄用途、美容用途、医療用途、家庭用途、工業用途などにおいて好適に用いることが可能である。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
10 不織布
20 不織布積層物
30 サンプル

Claims (12)

  1. リン化合物により変性された変性部位を有するリン変性ポリエステル系繊維を95質量%以上含む不織布であって、機械方向と幅方向における目付(g/m)当たりの不織布の破断強度(cN/1cm)の和が、30〜80であり、不織布の空隙率が90.0%以上である、不織布。
  2. 請求項1に記載の不織布であって、前記ポリエステル系繊維は、前記繊維を形成するポリエステル重合体中の全酸成分に対するリン酸原子の割合として、リン変性率が0.5〜5モル%である不織布。
  3. 請求項1または2に記載の不織布であって、圧縮変化率が15.0〜35.0%である不織布。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布であって、圧縮回復率が5.0〜20.0%である不織布。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の不織布であって、目付が150g/m以下である不織布。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の不織布であって、前記リン変性ポリエステル系繊維が厚さ方向に三次元交絡によって繊維間絡合している不織布。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の不織布であって、スパンレース構造を有している不織布。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の不織布であって、人体に適用するための不織布。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の不織布からなる第1の繊維層と、前記第1の繊維層以外の第2の層とを含む積層体。
  10. 請求項9に記載の積層体であって、前記第1の繊維層の厚みと、前記第2の層の厚みとの比が、前者:後者=1:0.1〜1:100である積層体。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の不織布、または請求項9または10に記載の積層体を用いてなる、液体を含浸するためのシート。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の不織布、または請求項9または10に記載の積層体を用いてなる、拭き取りシート。
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