JP2021193966A - 検出装置、検出方法、検出プログラム及び記録媒体 - Google Patents

検出装置、検出方法、検出プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】酵素の存在下で、補酵素と基質との反応によって気体試料中の基質を検出する検出装置において、気体試料中の基質の濃度に合わせて補酵素の濃度を変更することなく、基質を検出することが可能な検出装置の提供。【解決手段】気体試料中の化学物質を検出する検出装置であって、補酵素を含む溶液が通過可能に設けられた液体流路と、前記気体試料が通過可能に設けられた気体流路と、一方の面が前記液体流路の一部に接し、他方の面が前記気体流路に接するように設けられ、前記補酵素と反応することで前記気体試料中の化学物質の化学反応を触媒する酵素を保持する酵素保持膜と、前記液体流路の前記酵素保持膜の近傍に前記補酵素を励起する励起光を照射する光照射部と、前記補酵素が励起されることで発生する蛍光を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に応じて、前記励起光が照射された領域における前記溶液の流速を調整する流速調整部と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、気体試料中に含まれる物質を検出する検出装置、検出方法、検出プログラム及び記録媒体に関する。
酵素反応に伴う補酵素の減少を検出することにより、試料中に含まれる特定の化学物質を検出する検出装置が知られている。
例えば、特許文献1には、NADH等の補酵素に特定の励起光を照射すると蛍光を発することを利用して、試料中の化学物質を検出するバイオセンサシステムが開示されている。当該バイオセンサシステムでは、酵素の存在下で試料中のケトン類等の化学物質と補酵素との反応に伴い補酵素が減少した際に、補酵素が発する蛍光量の減少を検出することで、試料中の化学物質が検出されて定量される。
特開2016−220573号公報
例えば、上記のようなバイオセンサシステムにおいて、気体試料中の基質の濃度に対して、検出に使用する溶液中の補酵素の濃度が低すぎる場合、補酵素のほとんどが消費されてしまい、基質の濃度に合わせて補酵素の濃度を変更する必要があったことが課題の1つとして挙げられる。
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、酵素の存在下で補酵素と基質との反応によって、気体試料中の基質を検出する検出装置において、気体試料中の基質の濃度に合わせて補酵素の濃度を変更することなく基質を検出することが可能である検出装置、検出方法、検出プログラム及び記録媒体を提供することを目的の1つとしている。
請求項1に記載の発明は、気体試料中の化学物質を検出する検出装置であって、補酵素を含む溶液が通過可能に設けられた液体流路と、前記気体試料が通過可能に設けられた気体流路と、一方の面が前記液体流路の一部に接し、他方の面が前記気体流路に接するように設けられ、前記補酵素と反応することで前記気体試料中の化学物質の化学反応を触媒する酵素を保持する酵素保持膜と、前記液体流路の前記酵素保持膜の近傍に前記補酵素を励起する励起光を照射する光照射部と、前記補酵素が励起されることで発生する蛍光を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に応じて、前記励起光が照射された領域における前記溶液の流速を調整する流速調整部と、を有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、気体試料中の化学物質を検出する検出装置であって、補酵素を含む溶液が通過可能に設けられた液体流路と、前記気体試料が通過可能に設けられた気体流路と、一方の面が前記液体流路の一部に接し、他方の面が前記気体流路に接するように設けられ、前記補酵素と反応することで前記気体試料中の化学物質の化学反応を触媒する酵素を保持する酵素保持膜と、前記液体流路の前記酵素保持膜の近傍の照射領域に前記補酵素を励起する励起光を照射する光照射部と、前記補酵素が励起されることで発生する蛍光を検出する検出部と、前記照射領域における前記溶液の流速を調整する流速調整部と、を有する検出装置によって実行される検出方法であって、前記検出部が、前記流速調整部が前記溶液の前記照射領域における流速を第1の流速とした際の前記蛍光の量である第1の蛍光量を計測するステップと、前記検出部が、前記流速調整部が前記溶液の前記照射領域における流速を前記第1の流速よりも速い第2の流速とした際の前記蛍光の量である第2の蛍光量を計測するステップと、前記流速調整部が、前記第1の蛍光量と前記第2の蛍光量との差が所定値以内である場合に、前記溶液の前記照射領域における流速を、前記第2の流速よりも速い流速となるように調整するステップと、を含むことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、コンピュータを備え、気体試料中の化学物質を検出する検出装置であって、補酵素を含む溶液が通過可能に設けられた液体流路と、前記気体試料が通過可能に設けられた気体流路と、一方の面が前記液体流路の一部に接し、他方の面が前記気体流路に接するように設けられ、前記補酵素と反応することで前記気体試料中の化学物質の化学反応を触媒する酵素を保持する酵素保持膜と、前記液体流路の前記酵素保持膜の近傍の照射領域に前記補酵素を励起する励起光を照射する光照射部と、前記補酵素が励起されることで発生する蛍光を検出する検出部と、前記照射領域における前記溶液の流速を調整する流速調整部と、を有する検出装置によって実行される検出プログラムであって、前記コンピュータに、前記検出部が、前記流速調整部が前記溶液の前記照射領域における流速を第1の流速とした際の前記蛍光の量である第1の蛍光量を計測するステップと、前記検出部が、前記流速調整部が前記溶液の前記照射領域における流速を前記第1の流速よりも速い第2の流速とした際の前記蛍光の量である第2の蛍光量を計測するステップと、前記流速調整部が、前記第1の蛍光量と前記第2の蛍光量との差が所定値以内である場合に、前記溶液の前記照射領域における流速を、前記第2の流速よりも速い流速となるように調整するステップと、を実行させることを特徴とする。
実施例に係る検出装置の構成を示すブロック図である。 実施例に係るバイオセンサの構成を示す断面図である。 図2の一部を拡大した図である。 図2の一部を拡大した図である。 実施例に係る検出装置の制御装置の構成を示すブロック図である。 実施例において実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
図1は、本発明の実施例に係る検出装置10の構成を模式的に示す図である。検出装置10は、バイオセンサ11を含み、バイオセンサ11を動作させて気体試料中の基質の濃度を測定する装置である。
バイオセンサ11は、気体試料中に含まれる基質を酵素の存在下で補酵素と反応させ、補酵素が発する蛍光を検出することで間接的に基質を検出する装置である。アルデヒド類やケトン類等の基質は、NADHやNADPH等の補酵素が存在すると、脱水素酵素による逆反応が進行し、一級アルコールや二級アルコールとなる。この反応により、NADHやNADPHは酸化されてNAD+やNADP+へと変化する。
例えば、酵素として二級アルコール脱水素酵素(S−ADH(secondary alcohol dehydrogenase))、補酵素としてNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を用いた場合、基質であるアセトンが還元されて2−プロパノールとなる反応の反応式を化1に示す。
Figure 2021193966

上記の反応において、酵素であるS−ADHは、基質であるアセトンが2−プロパノールに還元される反応の触媒として作用する。補酵素であるNADHは、脱水素酵素の逆反応により酸化されてNAD+(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)となる。
また、例えば、アルコール脱水素酵素(ADH)、基質としてアセトアルデヒド、補酵素としてNADHを用いた場合の反応式を化2に示す。この反応において、基質であるアセトアルデヒドが還元されてエタノールとなる。
Figure 2021193966
NADHやNADPHは340nm近傍の紫外線によって励起されて蛍光を発する。一方で、反応により変化したNAD+やNADP+は紫外線によって励起されず蛍光を発しない。NADHやNADPHが発する蛍光量はアルデヒド類やケトン類の量と相関があるため、反応前後の蛍光量の変化から、アルデヒド類やケトン類の量を見積もることができる。
バイオセンサ11は、内部に酵素を固定化した多孔質性の膜(酵素保持膜)が設けられており、この膜を介して気体試料と補酵素を含む補酵素溶液とが接するように構成されている。従って、酵素保持膜近傍で化学反応が進行し、酵素保持膜近傍に補酵素を励起する励起光を照射すると、蛍光が発生する。バイオセンサ11は、当該蛍光を検出可能に構成されている。
溶液供給機構13は、バイオセンサ11に接続されている。溶液供給機構13は、補酵素を含む補酵素溶液を緩衝液と混合してバイオセンサ11に供給するように構成されている。
混合槽15は、緩衝液と、補酵素を含む補酵素溶液との混合液を収容可能な容器である。混合槽15は、緩衝液が流入する緩衝液流入口と、補酵素溶液が流入する補酵素溶液流入口と、混合液が流出する混合液流出口とを備えている。
混合槽15に流入した緩衝液と補酵素溶液とは、混合槽15内で混合されて混合液となる。例えば、混合槽15には、混合液をより均一にするための機構が設けられていてもよい。例えば、混合槽15の内部に、撹拌用プロペラ又はマグネティックスターラー等の撹拌する機構が設けられていてもよい。また、例えば、混合槽15としてスタティックミキサを採用してもよく、フィルタ容器等の抵抗の高い容器を採用してもよい。
緩衝液供給系17は、混合槽15に緩衝液を供給するように構成されている。緩衝液供給系17は、緩衝液サーバーB1、第1ポンプP1及び配管L1を含む。
緩衝液サーバーB1は、例えば緩衝液が収容されたボトル又はタンクである。緩衝液サーバーB1は、検出装置10における緩衝液の供給源である。緩衝液サーバーB1には、例えばリン酸緩衝液が収容されている。
配管L1は、緩衝液サーバーB1から混合槽15に緩衝液が流通するように、緩衝液サーバーB1及び混合槽15に接続されている配管である。
第1ポンプP1は、緩衝液サーバーB1から混合槽15に向けて緩衝液を送液するように配管L1に接続されている送液ポンプである。第1ポンプP1は、例えばピエゾ式(圧電式)のダイヤフラムポンプである。第1ポンプP1は、ピエゾ式のダイヤフラムポンプに限られず、例えばステッピングモーター式のポンプ等の任意の送液ポンプを採用することができる。
補酵素溶液供給系19は、混合槽15に補酵素を含む補酵素溶液を供給するように構成されている。補酵素溶液供給系19は、補酵素溶液サーバーB2、第2ポンプP2及び配管L2を含む。
補酵素溶液サーバーB2は、例えば補酵素としてのNADHを含む溶液が収容されたボトル又はタンクである。補酵素溶液サーバーB2は、検出装置10における補酵素溶液の供給源である。例えば、補酵素溶液サーバーB2内の補酵素溶液は、補酵素を安定な状態で保存するため、pH10〜11となるように調整されたものである。
配管L2は、補酵素溶液サーバーB2から混合槽15に補酵素溶液が流通するように、補酵素溶液サーバーB2及び混合槽15に接続されている配管である。
第2ポンプP2は、補酵素溶液サーバーB2から混合槽15に向けて補酵素溶液を送液するように配管L2に接続されている送液ポンプである。第2ポンプP2は、第1ポンプP1と同様に、ピエゾ式のダイヤフラムポンプ等の送液ポンプである。
混合液供給系21は、混合槽15内の混合液をバイオセンサ11に供給する。混合液供給系21は、混合槽15、第3ポンプP3及び配管L3を含む。
配管L3は、混合槽15からバイオセンサ11に混合槽15内の液体が流通するように接続された配管である。
第3ポンプP3は、混合槽15からバイオセンサ11に向けて混合液を送液するように配管L3に接続されている送液ポンプである。本実施例において、第3ポンプP3は、ピエゾ式のダイヤフラムポンプ(ピエゾポンプ)である場合について説明する。第3ポンプP3はピエゾポンプに限られず、第3ポンプP3として、液体の流量の制御が可能な他の送液ポンプを採用することができる。
廃液容器22は、バイオセンサ11から排出された混合液を収容する容器である。配管L4は、バイオセンサ11から排出された混合液が廃液容器22に流通可能に設けられた配管である。
なお、溶液供給機構13には、上記した構成の他にバルブ(図示せず)が設けられていてもよい。例えば、緩衝液流入口、補酵素溶液流入口及び混合液流出口に開閉バルブが設けられていてもよい。また、例えば、第1ポンプP1と混合槽15との間、第2ポンプと混合槽15との間に流量調整バルブが設けられていてもよい。
制御装置23は、溶液供給機構13の動作を制御するコンピュータである。制御装置23は、溶液供給機構13の緩衝液供給系17及び補酵素溶液供給系19を制御して、混合槽15内の混合液中の補酵素の濃度を調整する。
制御装置23は、第1ポンプP1、第2ポンプP2及び第3ポンプP3を制御可能に接続されている。また、制御装置23は、第1ポンプP1、第2ポンプP2及び第3ポンプP3の各々の、駆動電圧を制御する。
例えば、制御装置23は、第1ポンプP1及び第2ポンプP2の駆動電圧を制御することで、緩衝液及び補酵素溶液が混合槽15に流入する流量を制御し、混合槽15内の混合液中の補酵素の濃度である補酵素濃度を調整する。例えば、制御装置23は、緩衝液及び補酵素溶液の合計の流量を変えずに、緩衝液と補酵素溶液との流量比を変更することで、混合槽15に流入する液体の総量を一定に保持しつつ補酵素濃度を調整する。
例えば、制御装置23は、第3ポンプP3を制御することで、混合槽15からバイオセンサ11に流れる混合液の流量と、混合槽15に流入する緩衝液及び補酵素溶液の流量の合計と、が釣り合うように、混合液の流量を調整する。
なお、緩衝液供給系17から供給された緩衝液と補酵素溶液供給系19から供給された補酵素溶液とを混合槽15で混合する構成に代えて、例えば、緩衝液と補酵素溶液を予め混合した補酵素濃度を調整済みの溶液が入った混合液サーバーを備え、この混合液サーバーと第3ポンプP3を、配管L3を介して接続する構成としてもよい。
また、例えば、制御装置23は、第3ポンプP3を制御してバイオセンサ11内の液体流路(図示せず)内の液体の流速を調整する。第3ポンプP3は、液体流路内の補酵素を含む溶液の流速を調整する流速調整部である。
例えば、制御装置23は、また、第3ポンプP3とバイオセンサ11との間に流量センサ(図示せず)が設けられていてもよく、制御装置23は、当該流量センサの出力を、流速の制御に用いてもよい。
また、制御装置23は、バイオセンサ11に接続されている。制御装置23は、バイオセンサ11によって検出された蛍光量を取得する。例えば、制御装置23は、取得した蛍光量に応じて、第3ポンプP3を制御して液体流路内の流速を調整する。
図2は、バイオセンサ11の構成を示す断面図である。例えば、バイオセンサ11は、各部が筒状の筐体(図示せず)内に配置されて構成されている。
光照射部としての光源25は、補酵素を励起する励起光を出射する発光装置である。光源25は、例えばピーク波長が340nmである紫外光を出射する紫外光発光ダイオードである。光源25は、紫外光発光ダイオードに限られず、例えば、紫外レーザーダイオード、水銀ランプ等を用いることができる。光源25の光軸をAXとする。
励起光光学系27は、光軸AX上に設けられた光学系である。励起光光学系27は、例えば、光軸AXを中心として設けられたコリメートレンズ28、励起光バンドパスフィルタ29及びボールレンズ30を含む。
コリメートレンズ28は、光源25から出射された励起光を平行光にするコリメートレンズである。
励起光バンドパスフィルタ29は、特定の波長帯域の光を透過させ、それ以外の光を遮断する光学フィルタである。励起光バンドパスフィルタ29は、補酵素が励起される波長を含む帯域の光を透過させる。本実施例で補酵素に用いているNADHは、340nmの紫外線を吸収して蛍光を発する。従って、励起光バンドパスフィルタ29が過させる波長の範囲は、例えば330〜350nmである。
ボールレンズ30は、励起光バンドパスフィルタ29を透過した光を光軸AX上に集光する集光レンズである。
フローセル33は、気体試料の入口と出口を有し、中心部分において気体試料中の基質の検出を可能とする構造を有する測定容器である。フローセル33は、光軸AXを中心とし、当該中心部分にボールレンズ30からの励起光が入射するように配置されている。
フローセル33は、気体流路形成部材34、液体流路形成部材35及び酵素保持膜36を含む。
気体流路形成部材34は、厚みのある環状の部材であり、当該環状の直径方向において対向する側面に2つの貫通孔を有している。図2において、気体流路形成部材34の当該2つの貫通孔を通る断面が示されている。また、気体試料が流れる向きを矢印によって示している。
気体流路形成部材34の光源25側の開口部は、透光性のシート34Bで覆われている。透光性のシート34Bによって、気体試料と励起光光学系27等が設けられている空間とが隔てられている。
気体流路形成部材34の2つの貫通孔の一方は気体試料の入口であり、他方は気体試料の出口である。一方の貫通孔から流入した気体試料は、気体流路形成部材34の環状の内側を経由して他方の貫通孔から流出する。従って、気体流路形成部材34の2つの貫通孔の内側及び環状の内側の空間が、気体試料の流路である気体流路34Aを形成している。
なお、透明性のシート34Bを使用せず、気体試料の流路である気体流路34Aを形成してもよい。例えば、ボールレンズ30を気体流路形成部材に隙間なく嵌め込むことで、気体試料の流路である気体流路34Aを形成することができる。
液体流路形成部材35は、厚みのある円盤の上に当該円盤よりも小さい厚みのある円盤が重なった形状を有し、厚み方向の貫通孔を有する部材である。
液体流路形成部材35には、大きい方の円盤の側面から、小さい方の円盤の上面に達する連通孔が形成されている。当該連通孔は、当該円盤形状の直径方向において対向する位置に2つ設けられている。
図2において、液体流路形成部材35は、当該2つの円盤形状の中心が光軸AXに重なるように配置されている。また、図2は、上記の2つの連通孔を通る断面を示している。
当該2つの連通孔の一方は補酵素を含む溶液、すなわち補酵素溶液と緩衝液との混合液の入口であり、混合液供給系21の配管L3及び第3ポンプP3に接続されている。他方の連通孔は、当該混合液の出口であり、廃液容器22につながる配管L4に接続されている。一方の連通孔から流入した混合液は、他方の貫通孔から流出する。液体流路形成部材35は、混合液が流れる流路である液体流路35Aを形成している。換言すれば、液体流路35Aは、補酵素を含む溶液が通過可能に設けられている。
例えば、液体流路形成部材35には、小さい方の円盤部分と嵌合する環状の支持部材35Bが嵌め込まれている。
酵素保持膜36は、多孔質膜等の担体にバイオセンサ11における反応に用いられる酵素、すなわち気体試料中の化学物質の化学反応を触媒するアポ酵素が固定化されたものである。酵素保持膜36は、液体流路35Aに接するように設けられている。
例えば、酵素保持膜36は、液体流路35Aと気体流路34Aを仕切り、且つ光軸AXに貫かれるように、液体流路形成部材35に取り付けられている。酵素保持膜36は親水性であり、液体流路35Aを流れる混合液とはよく馴染み、混合液が浸透することで透明化する。液体流路形成部材35の支持部材35Bの光源25側の面(上面)と、支持部材35Bから露出している酵素保持膜36とは、同一平面上にある。
気体流路形成部材34は、支持部材35Bの上面に、気体流路形成部材34が接するように配置される。従って、気体流路形成部材34の光源25と反対側の面(下面)側の開口部は、支持部材35Bの上面及び酵素保持膜36によって塞がれている。換言すれば、気体流路形成部材34の環状の内側の部分において、気体流路形成部材34の、光源25側の面の開口部を覆う透光性のシート34Bと、支持部材35B及び酵素保持膜36と、によって気体流路34Aが形成されている。
従って、酵素保持膜36は、気体流路34Aに接している。また、上記したように、液体流路35Aと酵素保持膜36とが接している。つまり、気体流路34Aと液体流路35Aとは、酵素保持膜36を介して接している。酵素保持膜36は、一方の面が液体流路35Aの一部に接し、他方の面が気体流路34Aに接するように設けられている。
従って、酵素保持膜36に固定化された酵素の存在下で、酵素保持膜36中に取り込まれた気体試料中の基質と、液体流路35Aを流れる補酵素との間で、酵素触媒反応の正反応又は逆反応が進行し得る。
酵素保持膜36の担体として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリジメチルシロキサン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ニトロセルロース、セルロース等を用いることができる。
また、本実施例において、基質は、ケトン基、アルデヒド基のいずれかを含んでいる。補酵素は、基質の反応前後の一方の状態において励起光により励起されて蛍光を発するものが用いられる。このような補酵素の一例としては、NADH、NADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)等が挙げられる。尚、補酵素は、基質の反応前後の2つの状態の間で可逆的に化学構造が変化する。
上記のような基質、補酵素を用いる反応に関して、酵素保持膜36に固定化される酵素を以下に挙げる。補酵素としてNADH又はNADPHを用いる場合の酵素は、例えば、アラニン脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素、ウリジン−5’−ジホスフォ−グルコース脱水素酵素、ガラクトース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、グリセロール脱水素酵素、グリセロール−3−リン酸脱水素酵素、グルコース脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素、コレステロール脱水素酵素、サルコシン脱水素酵素、ソルビトール脱水素酵素、炭酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸脱水素酵素、ピルビン酸脱水素酵素、フルクトース脱水素酵素、6−ホスフォグルコン酸脱水素酵素、ホルムアルデヒド脱水素酵素、マンニトール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ロイシン脱水素酵素等が挙げられる。
特に、酵素保持膜36に固定化される酵素として、NADH又はNADPHを電子供与体としてケトン(アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、エチルビニルケトン(エノン)など)またはアルデヒド(アセトアルデヒド、ノネナールなど)を還元する酵素を用いることができる。
具体的には、酵素保持膜36に固定化される酵素として、アルコール脱水素酵素(ADH)(EC 1.1.1.2 など)、二級アルコール脱水素酵素(S−ADH)(EC:1.1.1.x)、エノン還元酵素(ER1)(エノン還元酵素(enone reductase type 1, ER1))等が利用できる。
導光部材37は、フローセル33の液体流路35Aに接するように設けられた光学部材である。例えば、導光部材37は、液体流路形成部材35の光軸AXに沿った厚み方向の貫通孔に嵌め込まれるように配置されている。
導光部材37は、励起光光学系27を経てフローセル33に入射された光及びフローセル33内で発せられた蛍光を光軸AXに沿って導光する導光路を形成する。導光部材37は、例えば円柱形状を有している。導光部材37の形状は、円柱形状に限られず、例えば非平面の端面を持つ円柱状、多角柱状、又は円錐台状の形状であってもよい。
導光部材37は、屈折率が均一なガラス等の同一素材で構成されている。尚、導光部材37は、屈折率が均一なガラス等の同一素材に限られず、例えば、互いに屈折率が異なるコア及びクラッドの2つの素材で構成されるようにしてもよい。また、導光部材37は、測定する蛍光波長に対して吸収が少ない、例えば、吸収係数が0.1以下の素材で構成されていてもよい。
なお、導光部材37と、液体流路35Aとは、透光性のシート(図示せず)によって隔てられていてもよい。
蛍光光学系39は、光軸AX上において、導光部材37からの光が入射するように設けられた光学系である。蛍光光学系39は、コリメートレンズ40、蛍光バンドパスフィルタ41、及び集光レンズ42を含む。
コリメートレンズ40は、導光部材37からの光を平行にするコリメートレンズである。
蛍光バンドパスフィルタ41は、特定の波長帯域の光を透過させ、それ以外の光を遮断する光学フィルタである。蛍光バンドパスフィルタ41は、補酵素が励起することにより発する蛍光の波長を含む帯域の光を透過させる。
補酵素であるNADHが励起することにより発する蛍光の波長は、450〜510nm、より具体的には491nm付近である。従って、本実施例においては、蛍光バンドパスフィルタ41が透過させる波長の範囲は、例えば450〜510nmである。
なお、蛍光バンドパスフィルタ41と併用して、補酵素であるNADHが励起することにより発する蛍光の波長を含むロングパスフィルタやショートパスフィルタ等(図示せず)を配置してもよい。
集光レンズ42は、蛍光バンドパスフィルタ41を透過した光を光軸AX上に集光する集光レンズである。
検出部としての検出器43は、蛍光光学系39を通過した蛍光を検出する検出器である。検出器43は、光電子増倍管、フォトダイオード検出器、又はこれらを含む分光光度計を含み、検出した蛍光の光量を測定する。
従って、検出器43によって、フローセル33の液体流路35A内の補酵素が発した蛍光が検出される。また、検出器43が検出した蛍光量に基づいて、気体試料中における基質の濃度が算出される。
図3は、図2中の破線で囲まれた部分Aの拡大図である。図3を参照しつつ、気体流路34Aを流れる基質、酵素及び補酵素の反応について説明する。図3は、液体流路35Aに補酵素NADHを含む溶液が流れ、気体流路34Aにアセトアルデヒド等の基質Sを含む気体試料が流れている様子を模式的に示している。上述したように、酵素保持膜36の一方の面は液体流路35Aに接し、他方の面は気体流路34Aに接している。
酵素保持膜36は、例えば気体流路34Aに接している親水性PTFE等の多孔質膜36Aと液体流路35Aに接している酵素固定化材36Bとからなる。酵素固定化材36Bは、例えばPMEH(poly (MPC-co-EHMA))等の固定化材にアルコール脱水素酵素(ADH)等の酵素EZが固定化されたものである。
気体試料中の基質Sは、多孔質膜36Aを透過して酵素固定化材36Bに至り、酵素EZの近傍に到達する。また、液体流路35Aに流れる混合液中の補酵素NADHは、混合液の酵素固定化材36Bへの浸透とともに酵素EZの近傍に到達する。酵素固定化材36Bにおいて、酵素と補酵素が反応して酵素触媒反応が進行し、基質Sは還元されてエタノール等の生成物Pとなる。補酵素NADHは、酸化されてNAD+となる。
励起光Eは、光軸AXに沿って気体流路34Aから液体流路35Aに向かって、液体流路35Aを横切るように照射される。例えば、励起光Eは、液体流路35Aの酵素保持膜36の近傍に向けて照射される。
酵素触媒反応によって消費されずに残留した補酵素NADHは、励起光Eによって励起されて蛍光を発する。酵素触媒反応によって生成したNAD+は、励起光Eが照射されても蛍光を発しない。
例えば、上記の酵素触媒反応において、気体試料中の基質Sの全量が反応するために必要な補酵素NADHの量(モル数)よりも、混合液中の補酵素の量が多い場合、反応に使われない補酵素NADHが残留する。この場合、残留した補酵素NADHが発する蛍光を検出することができ、基質Sの定量が可能となる。
しかし、例えば気体試料中の基質Sの濃度を精度よく検出するために適正な補酵素NADHの量よりも、混合液中の補酵素NADHの量が不足する場合、混合液中の補酵素NADHのほとんどが反応のために消費されたとしても、補酵素NADHの不足により反応させられなかった基質Sの量が不明のため、基質Sの正確な定量ができない。また、例えば気体試料中の基質Sの濃度を精度よく検出するために適正な補酵素NADHの量よりも、混合液中の補酵素NADHの量が過多の場合、気体試料中の基質Sのほとんどが反応したとしても混合液中の補酵素NADHの消費率が低いことで蛍光の減少量を精度よく検出できないため、基質Sの正確な定量ができない。
補酵素が発する蛍光の検出によって、基質の濃度を精度良く検出するためには、照射領域で酵素触媒反応が進行し、かつ、反応に使われない補酵素NADHが検出可能な程度に残留していることが必要である。従って、励起光が照射される照射領域では特に、適量の補酵素が供給されることが好ましい。
図4は、図2の破線で囲まれた部分Bの拡大図である。図4において、液体流路35Aの酵素保持膜36に接している部分を破線で囲まれた部分Cとして示している。
ところで、液体流路35Aの部分Cでは、混合液の対流が起きていると考えられる。混合液の対流によって、酵素固定化材36Bにおける酵素触媒反応によって生成したNAD+と、まだ反応に使われていない補酵素NADHとが頻繁に入れ替わると考えられる。そのように考えると、単位時間あたりの酵素触媒反応に関わる補酵素NADHの量は、液体流路35Aの酵素固定化材36Bに接している部分Cの容積全体に、単位時間あたりに供給される補酵素NADHの総量と正の相関があると考えることができる。
液体流路35Aを流れる補酵素を含む溶液の流速を変更することで、単位時間あたりに液体流路35Aの部分Cに供給される補酵素NADHの総量を変更することができると考えられる。つまり、補酵素を含む溶液の流速を調整することによって、単位時間あたりに酵素触媒反応に関わる補酵素NADHの量を調整できると考えられる。
本実施例においては、補酵素を含む溶液の流速を上昇させることで、混合液中の補酵素の濃度を変更することなく、液体流路35Aの部分Cに単位時間あたりに供給される補酵素NADHの絶対量を増加させることができる。従って、液体流路35Aの部分Cにおける補酵素を含む溶液の流速を上昇させれば上昇させるほど基質Sの濃度が高い気体試料の分析が可能となる。
また、本実施例においては、補酵素を含む溶液の流速を低下させることで、混合液中の補酵素の濃度を変更することなく、酵素保持膜36に接している部分Cに単位時間あたりに供給される補酵素NADHの絶対量を減少させることができる。従って、基質Sの濃度が低い気体試料について精度の高い分析が可能となる。
換言すれば、液体流路35Aの部分Cにおける補酵素を含む溶液の流速を調整することで、基質の酵素触媒反応後にも補酵素を残留させることができる。残留した補酵素の量は、補酵素への励起光の照射によって発せられる蛍光量によって定量される。
上記したように、励起光は酵素保持膜36に向けて照射されるので(図3参照)、励起光が照射される領域である照射領域は、酵素保持膜36に接している部分Cに含まれる。従って、液体流路35Aの部分Cの流速を調整すれば、照射領域における混合液の流速を調整することができる。
なお、気体試料中の基質の濃度に合わせて、補酵素を含む溶液中の補酵素の濃度を変更する必要がない。例えば補酵素溶液と緩衝液との混合液を調製し直したり、入れ替えたりする必要がない。補酵素を含む溶液の流速の調整によって、単位時間当たりの補酵素の供給量に関して、溶液中の補酵素の濃度を変更した場合と同様の効果が得られる。
図5は、検出装置10の制御装置23の構成を示すブロック図である。制御装置23は、例えば、システムバス52を介して各部が協働する装置である。
記憶部53は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成されており、制御装置23における送液ポンプの制御等に関する各種プログラムを記憶する。また、記憶部53は、蛍光量と補酵素濃度の相関等のデータベースを記憶する。
なお、各種プログラム又はデータベースは、例えば、他のサーバ装置等からネットワーク(図示せず)を介して取得されるようにしてもよく、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
記憶部53に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であり、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
出力部55は、制御装置23の外部の機器にデータを出力するインターフェースである。出力部55は、第1ポンプP1、第2ポンプP2、及び第3ポンプP3の各々に吐出能力を調整する信号を送出可能に接続されている。
入力部57は、制御装置23の外部の機器からデータを取得するインターフェースである。入力部57は、バイオセンサ11の検出器43に接続されている。例えば、入力部57は、検出器43によって検出された蛍光量のデータを取り込む。
制御部59は、CPU(Central Processing Unit)59A、ROM(Read Only Memory)59B、RAM(Random Access Memory)59C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU59Aが、ROM59Bや記憶部53に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
例えば、制御部59は、緩衝液供給系17及び補酵素溶液供給系19を制御する。具体的には、制御部59は、例えば第1ポンプP1及び第2ポンプP2の各々の吐出能力を、出力部55を介して制御する。これによって、制御部59は、緩衝液及び補酵素溶液の混合槽15への供給流量を調整することで、所定の補酵素濃度の混合液を生成する。
また、例えば、制御部59は、第3ポンプP3を制御して、バイオセンサ11の液体流路35Aに流れる混合液の流速を制御する。
例えば、制御部59は、入力部57を介して検出器43による検出結果を取得し、当該検出結果に応じて第3ポンプP3を制御する。
例えば、気体試料中の基質の濃度が高く、混合液中の補酵素NADHの量が不足する場合には、制御部59は、例えば第3ポンプP3によって流れる混合液の流速を変更して、液体流路35A内の混合液の流速が高くなるように制御する。これによって、液体流路35Aの酵素保持膜36に接している部分C(図4参照)に、単位時間あたりに供給される補酵素の量が増加する。
例えば、気体試料中の基質の濃度が低く、混合液中の補酵素NADHの量が過多の場合には、制御部59は、第3ポンプP3を制御して、液体流路35A内の混合液の流速が低くなるように制御する。これによって、液体流路35Aの酵素保持膜36に接している部分C(図4参照)に、単位時間あたりに供給される補酵素の量が減少する。
制御部59は、第3ポンプP3と共に液体流路35A内の溶液の流速を変化させる流速調整部として機能する。
また、制御部59は、検出器43から、フローセル33における補酵素が発する蛍光量を取得する。さらに、制御部59は、検出器43が計測した蛍光量と、当該蛍光量が計測された際の混合液の流速とに基づいて、気体試料中の基質濃度を算出する濃度算出部として機能する。
図6は、検出装置10において、制御装置23の制御部59によって実行されるルーチンの一例である測定ルーチンRT1を示すフローチャートである。測定ルーチンRT1は、例えば混合槽15に、緩衝液と補酵素溶液との混合液が所定の濃度で調製されている状態で、実行される。
制御部59は、測定ルーチンRT1を開始すると、混合槽15内の補酵素を含む溶液である混合液のバイオセンサ11への供給を開始する(ステップS101)。ステップS101において、例えば、制御部59は、バイオセンサ11の液体流路35A内の混合液の流速が、所定の標準の流速(第1の流速)となるように、第3ポンプP3を制御する。ステップS101において、制御部59及び第3ポンプP3は、流速調整部として機能し、液体流路35A内の混合液の流速を第1の流速となるように調整する。以下、流速調整部が流速を調整する場合、目標の流速に到達後もその流速を維持するように調整するものとして説明する。
制御部59は、ステップS101の実行後、フローセル33の気体流路34Aに気体試料が導入されたか否かを判定する(ステップS102)。例えば、ステップ102において、制御部59は、気体試料を導入するためのバルブ(図示せず)の開閉に基づいて、気体試料が導入されたか否かを判定する。
制御部59は、ステップS102において、気体試料が導入されていないと判定する(ステップS102:NO)と、ステップS102を繰り返し、気体試料が導入されたか否かを再び判定する。
制御部59は、ステップS102において、気体試料が導入されたと判定する(ステップS102:YES)と、検出器43によって蛍光量を測定する(ステップS103)。ステップS103において、制御部59は、検出器43から、フローセル33における補酵素が発する蛍光量(第1の蛍光量)を取得する。換言すれば、ステップS103において、検出部としての検出器43は、励起光の照射領域における液体流路35A内の混合液の流速を第1の流速とした際の蛍光の量である第1の蛍光量を計測する。
制御部59は、ステップS103の実行後、液体流路35A内の混合液の流速が上昇するように、第3ポンプP3を制御する(ステップS104)。ステップS104において、例えば、制御部59は、液体流路35A内の混合液の流速が、所定の標準の流速(第1の流速)よりも高い(速い)流速(第2の流速)となるように、第3ポンプP3を制御する。ステップS104において、制御部59及び第3ポンプP3は、流速調整部として機能し、液体流路35A内の混合液の流速を第1の流速よりも速い第2の流速となるように調整する。
制御部59は、ステップS104の実行後、再び蛍光量を測定する(ステップS105)。ステップS105において、制御部59は、検出器43から、フローセル33における補酵素が発する蛍光量(第2の蛍光量)を取得する。ステップS105において、検出器43は、照射領域における混合液の流速を第1の流速よりも速い第2の流速とした際の蛍光の量である第2の蛍光量を計測する。
制御部59は、ステップS105の実行後、蛍光量の変化が所定値より大きいか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106において、制御部59は、ステップS105において取得した蛍光量(第2の蛍光量)と、ステップS103において取得した蛍光量(第1の蛍光量)とを比較して、蛍光量の変化を取得する。
制御部59は、ステップS106において、蛍光量の変化が所定値より大きくない、すなわち、所定値以内であると判定する(ステップS106:NO)と、ステップS104に戻り、液体流路35A内の混合液の流速がさらに上昇するように、すなわち第2の流速よりも高い流速となるように、第3ポンプP3を制御する。
このように、第1の蛍光量と第2の蛍光量との差が所定値以内である場合に、制御部59は、第3ポンプP3と共に流速調整部として機能し、照射領域における混合液の流速を第2の流速よりも速い流速となるように調整する。
ステップS106において、蛍光量の変化が所定値以内であることは、例えば、気体試料中の基質Sの濃度を精度よく検出するために適正な補酵素NADHの量よりも、当該単位時間あたりに混合液中に供給された補酵素NADHの量が少ないことを示すと考えられる。この場合、基質を正確に定量するためには、補酵素NADHの量が不足していることになる。従って、ステップS104において混合液の流速を上昇させることで、酵素保持膜36に接している液体流路35Aに単位時間あたりに供給される補酵素NADHの量を増大させることができると考えられる。
制御部59は、ステップS106において、蛍光量の変化が所定値より大きいと判定する(ステップS106:YES)と、気体試料中の基質濃度を算出する(ステップS107)。
ステップS107において、制御部59は、例えば最新のステップS105において取得された蛍光量と、混合液の流速に基づいて、気体試料中の基質濃度を算出する。例えば、混合液の流速と蛍光量との組み合わせと、基質濃度の関係を予め対応付けたテーブルが記憶部53に記憶されていてもよい。制御部59は、当該テーブルに基づいて、基質濃度を算出してもよい。算出された基質濃度は、制御装置23に接続された操作画面(図示せず)に表示されてもよい。ステップS107において、制御部59は、濃度算出部として機能する。
制御部59は、ステップS107の実行後、液体流路35A内の混合液の流速が元の標準の流速となるように第3ポンプP3を制御し(ステップS108)、その後試料測定サブルーチンを終了する。
ステップS101、ステップS104及びステップS108において、制御部59及び第3ポンプP3は、液体流路35A内の溶液の流速を変化させる流速調整部として機能する。
なお、上記の測定ルーチンRT1において、気体試料を導入する前に、補酵素を含む溶液(混合液)を液体流路35Aに流通させた状態で蛍光量を検出し、蛍光量によって流路幅の確認を行ってもよい。
以上、詳細に説明したように、本実施例の検出装置は、補酵素を含む溶液が通過可能に設けられた液体流路と、気体試料が通過可能に設けられた気体流路と、一方の面が液体流路の一部に接し、他方の面が気体流路に接するように設けられ、補酵素と反応することで気体試料中の化学物質の化学反応を触媒する酵素を保持する酵素保持膜と、液体流路の酵素保持膜の近傍の照射領域に補酵素を励起する励起光を照射する光照射部と、
補酵素が励起されることで発生する蛍光を検出する検出部と、検出部による検出結果に応じて、照射領域における溶液の流速を調整する流速調整部と、を有している。
本実施例においては、気体試料中のケトン基又はアルデヒド基を含む基質を、酵素の存在下で補酵素であるNADH又はNADPHと反応させ、補酵素が発する蛍光を検出することでこれらの基質の濃度を検出する検出装置の例を説明した。補酵素及び基質の組み合わせはこれらに限定されない。本実施例の思想は、例えば、NAD+やNADP+を補酵素とし、エタノールなどヒドロキシ基を含む基質の濃度を検出する検出装置においても適用することができる。
このような構成により、酵素の存在下で補酵素と基質との反応において、気体試料中の基質の濃度に合わせて、酵素触媒反応が起こる酵素保持膜に面した液体流路を流れる補酵素を含む溶液の流速を調整することができ、当該酵素保持膜に面した液体流路に単位時間あたりに供給される補酵素の総量を調整することができる。従って、単位時間あたりで見れば、溶液中の補酵素の濃度を増加させた場合と同様の効果が得られ、酵素触媒反応後に検出可能な量の補酵素を残留させることができる。残留した補酵素が励起光によって励起されて発する蛍光量の測定により、間接的に基質の定量をすることができる。従って、本実施例の検出装置によれば、濃度不明の気体試料や幅広い濃度範囲の気体試料の測定が可能である。
従って、本実施例によれば、酵素の存在下で補酵素と基質との反応によって、気体試料中の基質を検出する検出装置において、気体試料中の基質の濃度に合わせて補酵素の濃度を変更することなく基質を検出することが可能である検出装置、検出方法、検出プログラム及び記録媒体を提供することができる。
例えば、本実施例の検出装置を用いて、人の呼気中のアルデヒドを検出することができる。例えば、呼気中のアルデヒド濃度から、飲酒の状態を確認することができる。
また、例えば本実施例の検出装置を用いて、人の呼気中のアセトン等のケトン類を検出することができ、代謝の状態等の健康状態を確認することができる。例えば、本実施例の検出装置を医療用に応用することができる。
また、例えば本実施例の検出装置を移動体に搭載し、移動体を利用する利用者の飲酒の状態や健康状態を確認することができる。
なお、上記の実施例において、流速を調整するために送液ポンプを用いる例について説明したが、これに限られない。例えば、混合槽15内の溶液をバイオセンサ11に供給するポンプとは別に、流速を調整する部分が設けられていてもよい。例えば、混合槽15とバイオセンサ11との間に、開度を調整可能なバルブが設けられて、バルブの開度を調整することによって、流速を調整してもよい。
なお、上記の実施例において、流速を調整するために送液ポンプを使用する際に、ポンプの脈動を抑制する態様で使用してもよい。例えば、複数の送液ポンプの駆動のタイミングを制御して、脈動を抑制してもよい。また、例えば、ポンプの駆動に合わせて複数回蛍光量を検出し、複数回の平均値を蛍光量の測定結果とし脈動の影響を低減してもよい。
また、本実施例において蛍光量を測定する際に、例えば、所定の時間内に所定の時間間隔で、複数回励起光を照射してもよい。例えば、当該複数回の励起光の照射によって検出された複数の検出結果の平均値を検出結果としてもよい。当該所定の時間は、任意の時間とすることができる。
また、例えば間欠的に補酵素溶液の流速を変更してもよく、当該流速の変更に合わせて励起光を照射してもよい。
上述した実施例における構成は例示に過ぎず、用途等に応じて適宜選択及び変更可能である。
10 検出装置
11 バイオセンサ
13 溶液供給機構
15 混合槽
17 緩衝液供給系
19 補酵素溶液供給系
21 混合液供給系
22 廃液容器
23 制御装置
25 光源
27 励起光光学系
33 フローセル
34 気体流路形成部材
34A 気体流路
34B 透光性シート
35 液体流路形成部材
35A 液体流路
35B 支持部材
36 酵素保持膜
37 導光部材
39 蛍光光学系
43 検出器
52 システムバス
53 記憶部
55 出力部
57 入力部
59 制御部

Claims (9)

  1. 気体試料中の化学物質を検出する検出装置であって、
    補酵素を含む溶液が通過可能に設けられた液体流路と、
    前記気体試料が通過可能に設けられた気体流路と、
    一方の面が前記液体流路の一部に接し、他方の面が前記気体流路に接するように設けられ、前記補酵素と反応することで前記気体試料中の化学物質の化学反応を触媒する酵素を保持する酵素保持膜と、
    前記液体流路の前記酵素保持膜の近傍の照射領域に前記補酵素を励起する励起光を照射する光照射部と、
    前記補酵素が励起されることで発生する蛍光を検出する検出部と、
    前記検出部による検出結果に応じて、前記照射領域における前記溶液の流速を調整する流速調整部と、を有することを特徴とする検出装置。
  2. 前記溶液の流速と、前記検出部の前記検出結果である前記蛍光の量とに基づいて前記気体試料中の前記化学物質の濃度を算出する濃度算出部を有することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記流速調整部は、前記溶液の前記照射領域における流速を第1の流速とした際の前記検出部によって検出された前記蛍光の量である第1の蛍光量と、前記溶液の前記照射領域における流速を前記第1の流速よりも速い第2の流速とした際の前記検出部によって検出された前記蛍光の量である第2の蛍光量との差が所定値以内である場合に、前記溶液の前記照射領域における流速を、前記第2の流速よりも速い流速となるように調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の検出装置。
  4. 前記流速調整部は、前記液体流路の前記酵素保持膜よりも上流又は下流の少なくとも一方に接続されたポンプを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の検出装置。
  5. 前記化学物質は、アルデヒド類又はケトン類であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の検出装置。
  6. 前記化学物質は、アセトアルデヒドであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の検出装置。
  7. 気体試料中の化学物質を検出する検出装置であって、補酵素を含む溶液が通過可能に設けられた液体流路と、前記気体試料が通過可能に設けられた気体流路と、一方の面が前記液体流路の一部に接し、他方の面が前記気体流路に接するように設けられ、前記補酵素と反応することで前記気体試料中の化学物質の化学反応を触媒する酵素を保持する酵素保持膜と、前記液体流路の前記酵素保持膜の近傍の照射領域に前記補酵素を励起する励起光を照射する光照射部と、前記補酵素が励起されることで発生する蛍光を検出する検出部と、前記照射領域における前記溶液の流速を調整する流速調整部と、を有する検出装置によって実行される検出方法であって、
    前記検出部が、前記流速調整部が前記溶液の前記照射領域における流速を第1の流速とした際の前記蛍光の量である第1の蛍光量を計測するステップと、
    前記検出部が、前記流速調整部が前記溶液の前記照射領域における流速を前記第1の流速よりも速い第2の流速とした際の前記蛍光の量である第2の蛍光量を計測するステップと、
    前記流速調整部が、前記第1の蛍光量と前記第2の蛍光量との差が所定値以内である場合に、前記溶液の前記照射領域における流速を、前記第2の流速よりも速い流速となるように調整するステップと、を含むことを特徴とする検出方法。
  8. コンピュータを備え、気体試料中の化学物質を検出する検出装置であって、補酵素を含む溶液が通過可能に設けられた液体流路と、前記気体試料が通過可能に設けられた気体流路と、一方の面が前記液体流路の一部に接し、他方の面が前記気体流路に接するように設けられ、前記補酵素と反応することで前記気体試料中の化学物質の化学反応を触媒する酵素を保持する酵素保持膜と、前記液体流路の前記酵素保持膜の近傍の照射領域に前記補酵素を励起する励起光を照射する光照射部と、前記補酵素が励起されることで発生する蛍光を検出する検出部と、前記照射領域における前記溶液の流速を調整する流速調整部と、を有する検出装置によって実行される検出プログラムであって、前記コンピュータに、
    前記検出部が、前記流速調整部が前記溶液の前記照射領域における流速を第1の流速とした際の前記蛍光の量である第1の蛍光量を計測するステップと、
    前記検出部が、前記流速調整部が前記溶液の前記照射領域における流速を前記第1の流速よりも速い第2の流速とした際の前記蛍光の量である第2の蛍光量を計測するステップと、
    前記流速調整部が、前記第1の蛍光量と前記第2の蛍光量との差が所定値以内である場合に、前記溶液の前記照射領域における流速を、前記第2の流速よりも速い流速となるように調整するステップと、
    を実行させることを特徴とする検出プログラム。
  9. 請求項8に記載の検出プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読取可能な記録媒体。

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