JP6868774B2 - Uv−led光源を用いたバイオセンサシステム - Google Patents

Uv−led光源を用いたバイオセンサシステム Download PDF

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Description

本発明は、バイオセンサシステムに関する。詳細には、アセトンなどのケトン類またはノネナールなどのアルデヒド類を検出するバイオセンサシステムに関する。さらに詳細には、補酵素として利用されるNADHまたはNADPHの減少を検出して、アセトンなどのケトン類またはノネナールなどのアルデヒド類を検出するバイオセンサシステムに関する。
疾病診断や代謝能の評価では血液検査法が一般的であるが、採血では精神的・身体的な負担のみならず、連続的な測定が困難などの課題がある。近年、呼気中に含まれる揮発性有機成分を分析・測定することで代謝機能を調べたり、疾病を簡易検査する方法が研究されている(非特許文献1)。
呼気には肺でのガス交換に基づき、血液中の揮発性物質が含まれており、これらの成分を非侵襲かつ連続的に計測可能である。例えば、呼気中にはアセトンガスが含まれており、糖尿病患者においては健常者より高濃度で含まれることや、空腹時、運動後において濃度が増加することが知られている(非特許文献2)。
空腹時には体内の糖質のエネルギー源が不足しており、さらに運動負荷により脂肪組織から血液中に放出された遊離脂肪酸のβ酸化によりアセチルCoAが産生し、肝細胞に取り込まれ、ケトン体であるアセトンやアセト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸が生成されエネルギーとして利用される。アセトンは血液を介して呼気や尿として体外へ排泄され、生成されるケトン体の濃度を測定することで、運動時のケトーシス状態や脂質代謝などを評価することができる。また糖尿病においてはインスリンが不足することで、空腹状態と同じ代謝状態となり易く、エネルギー源として脂肪酸が優先的に使用される。そのため脂質代謝の指標として呼気中アセトン濃度を測定することにより、糖尿病の進行度合、脂肪燃焼状況の評価が可能であると報告されている(非特許文献3)。しかしながら、ガスクロマトグラフなど既存の装置では試料の前処理が必要で、簡便性や連続計測に適していないなどの課題があり、選択性に優れた高感度なアセトンガス用センサが求められている。
また、近年、先進国では、加齢臭によるスメルハラスメントや、自身のニオイを過剰に意識してしまう自臭症などの問題から、生体臭に関する関心が年々高まっている。その一方で、臭いには快・不快といった感覚を与えるだけでなく、体調管理の面で重要な役割を担う可能性のある成分が含まれている。
加齢臭を含む生体由来の臭気成分は、疾患や体調機能と密接に結びついており、体調に異常がある場合や、疾患の疑いがある場合、体からは健常時と異なる臭気がするため、体調や疾患の重要な診断基準となり得る。
ノネナールは、40歳を過ぎると発生する臭気として知られる「加齢臭」の原因物質として近年注目されている。ノネナールは青臭さと油臭の混ざり合った強い臭気成分であり、アルデヒド基とその隣にα,β−不飽和結合を持つ不飽和アルデヒド類に分類される。
ノネナールは加齢に伴う代謝機能の低下が原因となり発生する。加齢に伴い細胞の老化が進むと、体内で活性酸素が発生し、体内の脂質を連鎖的に酸化分解することで過酸化脂質が生成される。この過酸化脂質が、脂肪酸の一種である9−ヘキサデセン酸を分解することでノネナールが生成される。この9−ヘキサデセン酸は、若年者では代謝によって分解され、体外に排出されるため、ノネナールが生成することはほとんどない。しかし、加齢に伴い基礎代謝が低下することにより分解されなくなり、体内に蓄積され、皮脂腺から排出されるようになる。したがって、ノネナール発生の原因である過酸化脂質と9−ヘキサデセン酸は若年時にはほぼ見られないことから、ノネナールの存在は人体における基礎代謝機能低下の指標となり得る。すなわち、人体から発生するノネナールガスを定量することで、加齢に伴う代謝機能の変化を評価することが可能になると考えられる(非特許文献4)。
特開2009−168671号公報
Manolis, A., 1983. The Diagnostic Potential of Breath Analysis. Clin Chem 29(1), 5-15. Schubert, R., Schwoebel, H., Mau-Moeller, A., Behrens, M., Fuchs, P., Sklorz, M., Schubert, J.K., Bruhn, S., Miekisch, W., 2012. Metabolic monitoring and assessment of anaerobic threshold by means of breath biomarkers. Metabolomics 8(6), 1069-1080. Toyooka, T., Hiyama, S., Yamada, Y., 2013. A prototype portable breath acetone analyzer for monitoring fat loss. J Breath Res 7(3), 036005. Haze, S., Gozu, Y., Nakamura, S., Kohno, Y., Sawano, K., Ohta, H., Yamazaki, K., 2001. 2-Nonenal newly found in human body odor tends to increase with aging. The Journal of investigative dermatology 116(4), 520-524. Arakawa, T., Miyajima, K., Takahashi, D., Kudo H., and Mitsubayashi, K., 2009. A NADH fiber-optic biosensor for ethanol detection with a UV-LED excitation system. Annual Reports of the Institute of Biomaterials and Bioengineering 43, 37-40.
本発明は、ケトン類(アセトン等)溶液検出のためのバイオセンサを提供する。また、本発明は、ケトン類ガス濃度を簡便に計測することを可能とするバイオセンサを提供する。さらに、本発明は、液相系および気相系におけるアルデヒド類(ノネナール等)の測定に利用可能なバイオセンサを提供する。また、本発明は、呼気計測により哺乳動物の代謝を評価するためのシステム、尿を検体とした糖尿病性ケトアシドーシスの非侵襲的な診断を補助するためのシステムを提供する。
本発明は、一つの態様において、NADH又はNADPHが発する蛍光量の減少を検出することで試料中の化学物質を検出するバイオセンサシステムを提供する。
一つの態様において、本発明のバイオセンサは、(a)光入射用の光ファイバ及び受光用の光ファイバを含む光ファイバプローブ;(b)前記光入射用の光ファイバに所定の波長の紫外線を入射する紫外線発光ダイオード;(c)NADH又はNADPHを電子供与体として用いる酵素が固定化された膜;並びに(d)前記紫外線発光ダイオードからの入射光によりNADH又はNADPHが励起されて発生した蛍光を前記受光用の光ファイバを通して検出する検出器を含む。
バイオセンサの一つの態様においては、膜に固定された酵素が、NADH又はNADPHを電子供与体として用いてケトンまたはアルデヒドを還元する酵素である。本発明の一つの態様における上記酵素は、NADH又はNADPHを電子供与体として用いてアセトンまたはノネナールを還元する酵素である。より具体的には、上記酵素として、二級アルコール脱水素酵素(S−ADH)又はエノン還元酵素(ER1)が利用されうる。
一つの態様において、検出される化学物質はアセトンである。また、別の態様において、検出される化学物質はノネナールである。
一つの態様において、試料は液体である。この場合、上記の酵素が固定化された膜は、上記の光ファイバプローブの先端に装着されていてもよい。また、別の態様においては、試料は気体である。この場合、本発明のバイオセンサシステムには、NADH又はNADPHを含む緩衝液を循環させるためのフローセルがさらに含まれていてもよく、このフローセルに上記の酵素が固定化された膜が組み込まれており、気体試料と緩衝液とが前記膜を介して隔てられていてもよい。
また、本発明は、一つの態様において、試料中の化学物質を検出する方法を提供する。
一つの態様において、本発明の方法は、(a)対象の試料を準備する工程;(b)NADH又はNADPHを電子供与体として用いる酵素が固定化された膜と試料とをNADH又はNADPHの存在下で接触させる工程;(c)NADH又はNADPHが発する蛍光量を測定する工程;ならびに(d)NADH又はNADPHが発する蛍光量の減少に基づき試料中の化学物質を検出する工程を含む。また、NADH又はNADPHの濃度を調整することにより、試料中の化学物質の検出濃度範囲を調整する工程をさらに含めてもよい。
本発明の方法の一つの態様においては、膜に固定された酵素が、NADH又はNADPHを電子供与体として用いてケトンまたはアルデヒドを還元する酵素である。一つの態様において、上記酵素は、NADH又はNADPHを電子供与体として用いてアセトンまたはノネナールを還元する酵素である。より具体的には、上記酵素として、二級アルコール脱水素酵素(S−ADH)又はエノン還元酵素(ER1)が利用されうる。
一つの態様において、検出される化学物質はアセトンである。また、別の態様において、検出される化学物質はノネナールである。
一つの態様において、試料は液体である。この場合、NADH又はNADPHを含む緩衝液に試料を直接加えて、試料と酵素が固定化された膜とを接触させてもよい。また、別の態様においては、試料は気体である。この場合、NADH又はNADPHを含む緩衝液と気体試料とが上記の酵素が固定化された膜を介して隔てられていてもよい。
また、本発明は、一つの態様において、呼気計測により哺乳動物の代謝を評価するためのシステムを提供する。
一つの態様において、本発明の代謝評価システムは、(a)光入射用の光ファイバ及び受光用の光ファイバを含む光ファイバプローブ;(b)前記光入射用の光ファイバに所定の波長の紫外線を入射する紫外線発光ダイオード;(c)NADH又はNADPHを電子供与体として用いる酵素が固定化された膜;並びに(d)前記紫外線発光ダイオードからの入射光によりNADH又はNADPHが励起されて発生した蛍光を前記受光用の光ファイバを通して検出する検出器を含む、バイオセンサを含む。この代謝評価システムには、NADH又はNADPHを含む緩衝液を循環させるためのフローセルがさらに含まれていてもよく、このフローセルに上記の酵素が固定化された膜が組み込まれており、気体試料と緩衝液とが前記膜を介して隔てられていてもよい。
一つの態様において、本発明の代謝評価システムは、ヒトの代謝を評価する。一つの態様において、本発明の代謝評価システムは、脂質代謝を評価する。一つの態様において、本発明の代謝評価システムは、呼気中のアセトンの計測を行うことにより、代謝を評価する。
また、本発明は、一つの態様において、尿を検体とした糖尿病性ケトアシドーシスの非侵襲的な診断を補助するためのシステムを提供する。
一つの態様において、本発明の診断補助システムは、(a)光入射用の光ファイバ及び受光用の光ファイバを含む光ファイバプローブ;(b)前記光入射用の光ファイバに所定の波長の紫外線を入射する紫外線発光ダイオード;(c)NADH又はNADPHを電子供与体として用いる酵素が固定化された膜;並びに(d)前記紫外線発光ダイオードからの入射光によりNADH又はNADPHが励起されて発生した蛍光を前記受光用の光ファイバを通して検出する検出器を含む、バイオセンサを含む。この診断補助システムにおいては、上記の酵素が固定化された膜が、上記の光ファイバプローブの先端に装着されていてもよい。
一つの態様において、本発明の診断用システムは、尿中のアセトンの計測を行うことにより、診断を補助する。
気体試料の測定に用いられる本発明のバイオセンサシステムの一態様を模式的に示す図面である。 液体試料の測定に用いられる本発明のバイオセンサシステムの一態様を模式的に示す図面である。 本発明のバイオセンサシステムの一態様において用いられる、酵素固定化膜及び光ファイバプローブの製造方法を概略的に示す図である。 本発明のバイオセンサシステムの一態様であるガスセンサの概要を示す図である。 S−ADH固定化バイオセンサに各濃度のアセトンガスを負荷した際のNADHの蛍光出力の減少(減少の差分)と濃度に応じた安定値を示す図である。 アセトンガスに対する定量特性(検量線)を示す図である。 アセトンバイオスニファの定量範囲に対するNADH濃度の影響を示す図である。 ガスセンサに各種ガスを負荷した際の蛍光出力を比較した図である。 サンプリングバッグを用いた呼気計測システムの概要を示す図である。 3人の被験者における空腹時の運動負荷に伴う呼気中アセトンガス濃度の経時変化を調べた結果を示す図である。 UV−LEDを励起光源としたNADH蛍光検出系の概要を示す図である。 NADPHの蛍光出力に対する定量特性を示す図である。 ノネナール溶液用ER1センサの応答出力(右)とノネナール溶液に対する濃度依存特性(左)を示す図である。 ER1センサにおける基質特異性を示す図である。 ノネナールガス計測用ER1センサの応答出力を示す図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明者らは、以前に、NADH又はNADPHが発する蛍光量の増加を検出することで試料中の化学物質を検出するバイオセンサシステムを報告しているが(Arakawa et al., 2009. Annual Reports of the Institute of Biomaterials and Bioengineering 43, 37-40.)、バイオセンサシステムにおいては一般に、蛍光の増加の測定に比べて、蛍光の減少は測定が難しいと予想されていた。しかし、予想外なことに、本発明に係るバイオセンサシステムにおいては、蛍光の減少をもとに試料中の化学物質を高感度に検出しうることが見いだされた。また、予想外なことに、従来のバイオセンサで用いられていた蛍光の増加の測定に比べて、減少の測定では大幅に短縮された応答時間を得ることができ、対象試料のリアルタイムでの分析が可能である。さらに、増加を検出する系に比べて、使用するNADH又はNADPHの濃度を大幅に減らすことができ、また、NADH又はNADPHの濃度を調整することで、対象試料濃度の測定範囲を選択しうることが見いだされた。
本発明のバイオセンサシステムの一態様は、NADH又はNADPHが発する蛍光量の減少を検出することで試料中の化学物質を検出するバイオセンサシステムであって、(a)光入射用の光ファイバ及び受光用の光ファイバを含む光ファイバプローブ;(b)前記光入射用の光ファイバに所定の波長の紫外線を入射する紫外線発光ダイオード;(c)NADH又はNADPHを電子供与体として用いる酵素が固定化された膜;並びに(d)前記紫外線発光ダイオードからの入射光によりNADH又はNADPHが励起されて発生した蛍光を前記受光用の光ファイバを通して検出する検出器を含むことを特徴とする。なお、本明細書において「検出」という場合、この用語には「測定」あるいは「計測」が含意されている。
本発明の一つの実施態様であるバイオセンサシステムは、NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)又はNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を補酵素(電子供与体)とする酵素の基質を検出するためのシステムを含む。本発明のバイオセンサシステムにおいて用いられうる酵素としては、NADH又はNADPHを補酵素(電子供与体)とするものであれば、特に制限はないが、例えば、アラニン脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素、ウリジン−5’−ジホスフォ−グルコース脱水素酵素、ガラクトース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、グリセロール脱水素酵素、グリセロール−3−リン酸脱水素酵素、グルコース脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素、コレステロール脱水素酵素、サルコシン脱水素酵素、ソルビトール脱水素酵素、炭酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸脱水素酵素、ピルビン酸脱水素酵素、フルクトース脱水素酵素、6−ホスフォグルコン酸脱水素酵素、ホルムアルデヒド脱水素酵素、マンニトール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ロイシン脱水素酵素等を挙げることができ、特に、NADH又はNADPHを電子供与体として用いてケトン(アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノンなど)またはアルデヒド(ノネナール、エチルビニルケトンなど)を還元する酵素、より具体的には、二級アルコール脱水素酵素(S−ADH)(二級アルコール脱水素酵素 (secondary alcohol dehydrogenase) EC:1.1.1.x)、エノン還元酵素(ER1)(エノン還元酵素 (enone reductase type 1, ER1))等が利用できる。脱水素酵素の逆反応を用いてケトン等の化学物質を高感度に検出できるという本発明者らによる発見は、予想外なことであった。NADH又はNADPHを補酵素とする酵素が関与する酵素反応は様々な分野における測定方法として有用であり、さらにNADH又はNADPHを補酵素(電子供与体)とする反応を利用することで、NAD+又はNADP+を補酵素(電子受容体)とする反応に比べて、試薬のコストを低減できるという利点もある。なお、使用する酵素は天然由来のものでも、人工のものであっても良い。酵素が由来する生物種は特に限定されない。使用する酵素は、アミノ酸配列の改変あるいは修飾を含んでいても良い。
本発明のバイオシステムを用いて検出することの可能な基質は、上記酵素の基質となる化合物である。例えば、酵素として二級アルコール脱水素酵素(S−ADH)を用いる場合、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノンなどを検出、定量することができる。また、酵素としてエノン還元酵素(ER1)を用いる場合、ノネナール、エチルビニルケトンなどを検出、定量することができる。
酵素、基質と、NADH又はNADPHとの反応により、基質濃度に依存してNAD+(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)又はNADP+(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)が生成する。本発明の実施に係るバイオセンサシステムにおいては、そのNADH又はNADPHの濃度減少を測定することにより基質の濃度を測定する。本発明の一態様においては、紫外線発光ダイオード(UV−LED)から入射した紫外線による励起から生じる蛍光を検出し、その減少を測定することにより、NADH又はNADPHの濃度低下を測定する。
次に、本発明のバイオセンサシステムの実施態様について図面を参照しつつ説明する。
A.ガス用バイオセンサ(バイオスニファ)システム
図1は、本発明のガス用バイオセンサ(バイオスニファ)システムの一態様を模式的に示す図面である。このガス用バイオセンサシステムは、光入射用の光ファイバ111と、受光用の光ファイバ112とを接続してなる光ファイバプローブ113を有する。このようなプローブ113としては、市販されているものを用いてもよく、例えば、Ocean Optics Inc.(米国)から市販されている2 in 1 Optical fiber assembly(BIF600−UV/VIS)とF100−9009(Ocean Optics Inc.社製)とを組み合わせたもの等を用いることができる。
光入射用の光ファイバ111には、特定の波長の紫外線を入射する紫外線発光ダイオード114が接続されている。また、図1に示すバイオセンサシステムにおいては、紫外線発光ダイオード114と光ファイバプローブ113との間には帯域フィルター(バンドパスフィルター)116が接続されている。本発明のバイオセンサシステムにおいては、光源として紫外線発光ダイオード114を用いることができ、光源として水銀ランプを用いた場合よりも、装置を簡素化して安価に製造することができる。また、携帯用としても用いることが可能となる。
NADHを補酵素(電子供与体)とする酵素の場合について説明すると、NADHは340nmの紫外線を吸収するが、NAD+は340nmの紫外線を吸収しないという性質を利用するものであり、従って、紫外線発光ダイオードとしては、300〜370nm、好ましくは340nm付近の波長の紫外線を励起するものが用いられる。従って、図1に示すように、紫外線発光ダイオード114と光ファイバプローブ113との間には帯域フィルター116を接続することが好ましい。帯域フィルターとは、光源からの光のうち、特定の波長のものだけを透過するフィルターのことを意味し、本発明の一態様においては、例えば、入射光として330〜350nmの紫外線を通過させるものが用いられる。このような帯域フィルターとしては市販のものを特に制限なく用いることができる。NADPHとNADP+についても同様である。
図1に示すバイオセンサシステムにおいては、受光用の光ファイバ112には、紫外線発光ダイオード114から入射した入射光により励起されて発生した蛍光を検出する検出器120が接続されている。検出器120は、具体的には、光電子増倍管、フォトダイオード検出器などを含む分光光度計が用いられる。励起により生じる蛍光は、NADHの場合、450〜510nm、より具体的には491nm付近であり、従って、図1に示すように、特定の波長よりも大きい波長の蛍光のみを透過させる長波長透過フィルター(ロングパスフィルター)118を配置することが好ましい。図1においては、400nm以上の波長の蛍光を透過させる長波長透過フィルター(ロングパスフィルター)が用いられている。このような長波長透過フィルターとしては市販のものを特に制限なく用いることができる。また、図1のバイオセンサシステムにおいては、長波長透過フィルター118を用いているが、長波長透過フィルター(ロングパスフィルター)に代えて、帯域フィルターを用いてもよい。この場合、例えば、450〜510nmの波長の蛍光のみを透過させる帯域フィルターを用いる。
図1に示すバイオセンサシステムにおいては、検出器120で受信したデータを解析するためのコンピュータシステムがさらに接続されていてもよく、そのようなコンピュータシステムを接続させることにより、データの解析が容易となる。
次に、図1に示すバイオセンサシステムにおいて用いられる光ファイバプローブ113について説明する。この光ファイバプローブ113は、その先端に、酵素固定化膜144を装着した気液隔膜フローセル140が取り付けられている。このフローセル140は、図1に示すように、シリコンチューブ141とPMMAパイプ142を含んでいてもよく、その液相部には、緩衝液流路151を通してNADHを含む緩衝液が循環するように構成されている。酵素固定化膜144は、図1に示されるように、O−リング143によってPMMAパイプ142に固定されていてもよい。図1に示されるように、気体試料と緩衝液とは、酵素固定化膜144を介して隔てられる。
次に、酵素を固定化してなる膜について説明する。本明細書において、酵素固定化膜と記載する場合は、酵素を固定化してなる膜を意味する。酵素固定化膜は、膜材料である担体上に酵素が固定化されたものである。用いられる担体としては、従来より酵素を固定化するために用いられている材料のものを特に制限なく用いることができる。このような材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。このような担体の厚みは、特に限定されないが、好ましくは100nm〜200μmであり、更に好ましくは10μm〜100μmである。本発明のバイオセンサシステムにおいて使用可能な酵素固定化膜の作製法は、例えば、特開2009−168671号公報に記載されており、その内容は参照によって本明細書にも取り込まれる。
本発明のバイオセンサシステムは、その一態様において、紫外線発光ダイオードから入射した励起光によりNADH又はNADPHが励起されて発生した蛍光によってNADH又はNADPHの濃度を定量し、その濃度減少を指標としてNADH又はNADPHを補酵素とする酵素の基質を検出するものである。したがって、気体試料中の基質と酵素固定化膜中の酵素とが、補酵素の存在下に反応する必要がある。図1に示されるバイオセンサシステムでは、気体流路152を通して流れる試料気体と、緩衝液流路151を通して流れるNADH又はNADPHを含む緩衝液との間に、酵素固定膜144を介在させる構成とすることにより、補酵素であるNADH又はNADPHの存在下で酵素と基質とが反応できるようになっている。したがって、酵素固定化膜を構成する担体は多孔性であることが好ましい。担体の孔のサイズには、酵素反応を可能とする限り特に制限はないが、通常は、直径が0.1〜1μm程度であり、好ましくは0.2μm程度でよい。また、担体の空隙率は60〜90%であることが好ましい。
本発明のガス用バイオセンサ(バイオスニファ)システムの一態様においては、図1に示されるように、気体試料の調製、制御のためのコンプレッサー131、活性炭フィルター132、気体発生装置133、マスフローコントローラ134が含まれていてもよい。測定対象の気体試料は、気体流路152を通って流れ、気液隔膜フローセルに含まれる酵素固定膜と接触させられる。この際、試料に含まれる酵素基質が酵素によって還元されると、緩衝液中に含まれるNADH又はNADPHが酸化されて消費され、蛍光の減少が生じることにより、酵素基質となる化学物質の量を測定することができる。
前記酵素固定化膜は、酵素が担体に固定化されてなるものであるが、酵素を、例えばポリマーと混合して担体上に塗布し乾燥して製造される。このようなポリマーとしては、従来より酵素固定化膜を製造するために用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールにSbQの光官能基を組み合わせたPVA−SbQ、SPP−H13、ホスホリルコリン基を含むポリマー等が挙げられる。
上記の中でも、ホスホリルコリン基を含むポリマーである、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と他のモノマーとの共重合体を用いた場合、酵素を固定化した後の脱塩処理をする必要がないので好ましい。
また、酵素を担体に固定化する方法としては、他に、グルタルアルデヒドの架橋による方法を用いてもよいが、本発明においては、方法は特に限定されない。
このような共重合体を製造するために用いられるモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニル、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルトリビニルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。このような共重合体は、MPCと上記モノマーとのラジカル共重合によって得ることができる。
上記共重合体としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)との共重合体が挙げられる。この共重合体は、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーである。
Figure 0006868774
一般式(1)において、a、bは繰り返し単位の比率を表し、aは0.1〜0.9であり、好ましくは0.1〜0.4である。また、bは0.1〜0.9であり、好ましくは0.6〜0.9である。
一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーを得るには、公知の方法により反応させて行う。使用する溶媒としては、モノマーを溶解することのできるものであれば制限なく用いることができ、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、重合開始剤としては、通常に用いられるラジカル開始剤を特に制限なく用いることができ、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等の脂肪族アゾ化合物や、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、加硫酸アンモニウム、加硫酸カリウム等の有機過酸化物等が挙げられる。
一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーの分子量は、通常、5,000〜3,000,000程度である。なお、一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーとしては、市販されているものを用いてもよく、例えば、日本油脂(株)製、Lipidure(登録商標)シリーズ等が使用可能である。
次に、上記酵素固定化膜の製造方法について図面を参照しつつ説明する。図3は、本発明のバイオセンサシステムにおいて用いられる、酵素固定化膜及び光ファイバプローブの製造方法を概略的に示す図である。
まず、担体31に、ポリマー及び酵素の混合溶液32を塗布する。ポリマーとしては上述したものが用いられ、酵素も上述したものが用いられる。ポリマー及び酵素を溶解して混合溶液とするための溶媒としては、例えば、エタノール等が挙げられる。混合溶液中の酵素及びポリマーの濃度に特に制限はないが、通常は、酵素を、担体1cmあたり50ユニット程度、ポリマーを、担体1cmあたり1μL(濃度:10重量%)程度用いることが好ましい。次いで、担体上に塗布した混合溶液32を乾燥して酵素を担体31に固定化し、酵素固定化膜33を得る。乾燥は、通常、0〜8℃程度の温度で0.5〜6時間行なう。
B.液体試料用バイオセンサシステム
図2は、本発明の一態様である液体試料用バイオセンサシステム10を模式的に示す図面である。本発明のバイオセンサシステムは、一つの態様として、光入射用の光ファイバ11と、受光用の光ファイバ11’とを接続してなる光ファイバプローブ12を有する。このようなプローブ12としては、上記のように、市販されているものを用いてもよい。
光入射用の光ファイバ11には、特定の波長の紫外線を入射する紫外線発光ダイオード14が接続されている。また、図2に示すバイオセンサシステムにおいては、紫外線発光ダイオード14と光ファイバプローブ12との間には帯域フィルター(バンドパスフィルター)16が接続されている。本発明のバイオセンサシステムにおいては、光源として紫外線発光ダイオード14を用いることができ、光源として水銀ランプを用いた場合よりも、装置を簡素化することができ、また、安価で製造できる。さらに、携帯用としても用いることが可能となる。
上述のとおり、NADHは340nmの紫外線を吸収するが、NAD+は340nmの紫外線を吸収しない。NADPHとNADP+についても同様である。したがって、図2に示すように、紫外線発光ダイオード14と光ファイバプローブ12との間には帯域フィルター16を接続することが好ましい。本発明においては、例えば、330〜350nmの紫外線を通過させるものを用いることができる。このような帯域フィルターとしては市販のものを特に制限なく用いることができる。
図2に示すバイオセンサシステムにおいては、受光用の光ファイバ11’には、紫外線発光ダイオード14から入射した入射光により励起されて発生した蛍光を検出する検出器20が接続されている。検出器20は、具体的には、光電子増倍管、フォトダイオード検出器などを含む分光光度計が用いられる。励起された蛍光は、NADHの場合、450〜510nm、より具体的には491nm付近であり、従って、図2に示すように、特定の波長よりも大きい波長の蛍光のみを透過させる長波長透過フィルター(ハイパスフィルター)18を配置することが好ましい。図2においては、400nm以上の波長の蛍光を透過させる長波長透過フィルターが用いられている。このような長波長透過フィルターとしては市販のものを特に制限なく用いることができる。
また、図2のバイオセンサシステムにおいては、長波長透過フィルター(ハイパスフィルター)18を用いているが、長波長透過フィルター(ハイパスフィルター)に変え、帯域フィルターを用いてもよい。この場合、例えば、450〜510nmの波長の蛍光のみを透過させる帯域フィルターを用いる。
図2に示すバイオセンサシステムにおいては、検出器20で受信したデータを解析するためのコンピュータシステム22が接続されている。このようなコンピュータシステム22を接続させることにより、データの解析が容易となる。
次に、図2に示すバイオセンサシステムにおいて用いられる光ファイバプローブ12について説明する。光ファイバプローブ12は、その先端に、酵素を固定化してなる膜が密着されている。
光ファイバプローブの先端への酵素固定化膜の密着について説明すると、図3を参照して明らかなように、光ファイバプローブ14の先端に、酵素固定化膜33を密着させる際、例えば、シリコンチューブリング35により、酵素固定化膜33を光ファイバプローブ14の先端に固定してもよい。
次に、本発明の液体試料用バイオセンサシステムを用いて、酵素の基質となる化合物を検出する方法の例について、図2を参照しつつ説明する。
図2に示されるバイオセンサシステム10を用いて、酵素の基質となる化合物を検出するには、光ファイバプローブ12を試料溶液に浸す。この試料溶液には、酵素の補酵素となるNADH又はNADPHが含まれている。
光ファイバプローブ12の先端には、上述した酵素固定化膜(酵素を固定化してなる膜)が密着しており、試料溶液中の基質が、補酵素であるNADH又はNADPHと共に、酵素固定化膜中に浸入し、酵素固定化膜に固定化されている酵素と基質とが反応し、補酵素であるNADH又はNADPHは、それぞれNAD+又はNADP+に変化する。そのために消費されたNADH又はNADPHの量を蛍光の減少を測定することにより検出する。補酵素としてNADHを用いる酵素の場合について説明すると、紫外線発光ダイオード14から照射される、中心波長335nmの紫外線を、帯域フィルター16を通過させ、波長330〜350nmの紫外線のみを通過させ、励起した蛍光を長波長透過フィルター18を通過させ、400nm以上の波長の蛍光のみを通過させたのち、検出器20により、波長491nmの蛍光強度を測定する。検出器20により測定したデータは、コンピュータ22によって解析される。
本発明のバイオセンサシステムによって、NADH又はNADPHを補酵素とする酵素の基質となる化合物を検出(定量)するには、最初にNADH又はNADPHの標準液を用いて蛍光強度を測定し、検量線を作成した後に試料の測定を実施し、既知量のNADH又はNADPHを含む試料について蛍光を測定し、消費されたNADH又はNADPHの量から、試料中に含まれている酵素の基質となる化合物の量を求めることができる。
本発明のバイオセンサシステムは、光源として紫外線発光ダイオード(UV−LED)を用いることで、従来用いられている水銀ランプよりも安価に製造することができる。また、紫外線発光ダイオードは水銀ランプよりも重量が小さいため、携帯用として用いることも可能である。本発明のバイオセンサシステムは、例えば、微小化学物質分析システム(μTAS)に用いることができる。
C.尿を検体とした糖尿病性ケトアシドーシスの診断等を補助するためのシステム
本発明のバイオセンサを利用することで、尿を検体とした糖尿病性ケトアシドーシスの非侵襲的な診断を補助するためのシステムを構築することが可能である。まず、糖尿病性ケトアシドーシスの疑われる被検者から尿を採取する。尿試料は分析に先だって前処理を行っても、行わなくても良い。試料を図2または図11に示される系と同様なバイオセンサシステムで分析し、尿中のアセトンを定量する。上記システムは、定量結果を表示する表示装置を含んでいてもよい。また、上記システムは、医療従事者等による診断を補助するために定量結果を分析するコンピュータを含んでいてもよい。健常者の尿中アセトン濃度は20mg/dl以下である。
D.ヒトの脂質代謝等を評価するためのシステム
本発明のバイオセンサは、妊婦糖尿病を有する又はそれが疑われる被検者、1型糖尿病を有する又はそれが疑われる被検者、太らない体質を有する又はそれが疑われる被検者、等を対象とした測定に利用可能である。特に、本発明のバイオセンサは、ケトアシドーシスの診断に利用可能である。ケトアシドーシスの診断では、アセト酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、アセトンが測定対象となりうる。利用可能な酵素としては、3−ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(3-hydroxybutyrate dehydrogenase)、2−オキソプロピルCoMレダクターゼ(2-oxopropyl-CoM reductase)、アセト酢酸デカルボキシラーゼ(acetoacetate decarboxylase)などが挙げられる。
実施例
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
アセトンガス用の光ファイバ型バイオスニファの構築
S−ADHはイソプロパノールなどの二級アルコールを基質とするが、その逆反応によりアセトンを還元すると共に、その際に電子供与体である還元型NADHを酸化して消費する。このNADHは自家蛍光(吸収波長:340nm,蛍光波長:491nm)を有することから、その減少を調べることでアセトンを測定できる。本発明者らは、図4に概要を示したように、紫外発光ダイオード(UV−LED,中心波長:335nm)と光電子増倍管(PMT)を含んで成る光ファイバ型のNADH蛍光検出系に、S−ADHを固定化した酵素膜を取り付けて、アセトンセンサを構築した。S−ADH酵素膜は、多孔質の親水性ポリテトラフルオロエチレン膜に、生体適合性膜PMEHを用いて酵素を包括固定化したものである。
本アセトンセンサの構築に際して使用した試薬等の詳細は以下のとおりである。NADHに依存的な二級アルコール脱水素酵素は、株式会社ダイセルから購入した。NADH(還元型)はオリエンタル酵母工業株式会社から購入した。酵素固定化担体の親水性PTFE(H−PTFE;空隙率:80%;孔径:0.2μm;JGWP14225)は、米国ミリポア社から購入した。2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とメタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)の共重合体(PMEH)は、以前に報告されている方法に従って合成した(Kudo, H., Yagi, T., Chu, M.X., Saito, H., Morimoto, N., Iwasaki, Y., Akiyoshi, K., Mitsubayashi, K., 2008. Glucose sensor using a phospholipid polymer-based enzyme immobilization method. Anal Bioanal Chem 391(4), 1269-1274)。pH7.0、0.1Mのリン酸緩衝液(PB)は、0.1Mのリン酸水素二カリウム(KHPO、98.0%、164−04315、和光純薬工業株式会社)を0.1Mのリン酸二水素カリウム(KHPO、98%、160−04275、和光純薬工業株式会社)に徐々に加え、所望のpH値とすることにより調製した。溶液はすべて、Milli−Q超純水製造装置(米国ミリポア社)により得られた脱イオン蒸留水を用いて調製した。循環バッファーとして働く50μMのNADH溶液はPB(pH7.0、0.1M)を用いて調製した。標準のアセトン蒸気は、標準的なガスジェネレータ(PD−1B−2、株式会社ガステック)を用いて調製した。
本アセトンバイオスニファは、励起用光源、光検出器、およびアセトンからNAD+を生産するオプトードを含んで成る。励起系としては、米国Sensor Electronic Technology Inc.製のUV−LED(UVTOP(登録商標)BL335)にUV−LED電源回路(GS200、横河電機株式会社)を組み合わせて用いた。光検出器としてはPMT(C9692、浜松ホトニクス株式会社)を使用した。これらのコンポーネントを2分岐光ファイバアセンブリ(コア径600±10μm;BIF600−UV/VIS、米国Ocean Optics Inc.)の分離した各端に接続した。光ファイバプローブ(F1000−900)を光ファイバアセンブリの共通端に接続した。バックグラウンドシグナルを減らすために、2つのバンドパスフィルタ(λ=340±10nmとλ=490±10nm、BPF、朝日分光株式会社)を励起と検出において使用した。S−ADH感応性オプトードは、S−ADH固定化膜を有するフローセルを光ファイバプローブの末端に取り付けることにより作製した。フローセルは、シリコンチューブ(Ф2mm)とPMMAセル(Ф4mm)により構成され、光ファイバプローブのためのソケットを形成する筒状の構造を有している。NADH含有PBを供給するマイクロ流路は、図1に示されているように、シリコンとPMMAの間の境界に形成されている。検出隔壁としてS−ADH膜をフローセルの端面に取り付けた。S−ADH(0.5unit/cm)とPMEH溶液(10%、25μl/cm)を混合し、H−PTFE薄膜フィルタ上に慎重に延展した。4℃の冷蔵庫中で3時間、膜を硬化させた。その後、S−ADH固定化膜を2×2cmに切り出し、シリコンO−リングを使用してフローセルに固定した。
アセトンガス用の光ファイバ型バイオスニファの特性評価
蛍光検出用の光ファイバ先端にS−ADH固定化膜を装着した気液隔膜フローセルを取り付け、気相用バイオセンサとして、アセトンガスを計測した。この系では、標準的なガスジェネレータからアセトン蒸気を供給した。流速は、ニードルバルブ付流量計(タイプ:RK1200、コフロック株式会社)を用いて制御した。フローセルの液相部には、NADHを含むリン酸緩衝液(PB)を循環させた。インテリジェントポンプ(株式会社フロム)を用いてNADHを含むPBをフローセル内に循環させた。S−ADHは、過度に乾燥した状態や不適当な温度やpHなどのように化学状態が適切でないと、その比活性を失う。PBの流れは、酵素膜を湿った状態に保ち、NADHを供給し、また、反応生成物(NAD+を含む)と過度の基質を効率的に除去する。このように、循環PBを用いて反応条件を最適化した。S−ADH固定化バイオセンサの特性評価では、50μM NADHを含むPB(pH7.0,0.1M)をフローセルに循環させ、標準的なガス発生装置を用いて作製したアセトンガスをセンサ感応部に負荷した際の蛍光出力の変化を調べた。この特性評価では、標準ガスをテフロン(登録商標)チューブを通して検出領域に供給した。まず、高純度空気をテフロン(登録商標)チューブ中に流し、次いで、アセトン蒸気をバイオスニファの分析に適用した。全体的な流速は200ml/minに保った。また、高純度空気は、アセトンレベルを調整するための搬送ガスとしても使用した。NADH蛍光強度の変化は、PMTを使用して測定した。また、以下に述べるように、本センサの至適pH、NADH濃度、アセトンガスに対する選択性なども調べた。
S−ADH固定化バイオセンサに各濃度のアセトンガスを負荷したところ、NADHの蛍光出力の減少と濃度に応じた安定値が得られた。結果を図5に示す。安定値はNADHの消費率のバランスによって決定される。安定値の95%に達するまでの応答時間は35〜70秒であった。アセトンガスに対する定量特性を調べたところ、健常者(200〜900ppb)及び糖尿病患者(>900ppb)の呼気濃度を含む、20〜5300ppbの濃度範囲でアセトンガスを定量可能(R=0.999)であった。検量線を図6に示す。本センサの再現性(500ppbアセトン,n=5)を調べたところ、変動係数は2.62%(n=5)であった。次にPB溶液のpH(5.5〜8.0)の影響を調べたところ、pH7.0にて最も高い蛍光出力変化が得られた。この結果は以下の2つの理由によって説明できる。まず第一に、pHは酵素の三次元構造を変化させることができ、その安定性と効力に影響しうるため、S−ADHの酵素活性はPBのpHに依存する。したがって、pHの最適化によって、センサー応答の安定性が高まる。第二に、NADHは弱酸性の条件下では不安定な試薬であり、したがって、NADHの安定性にはpH7.0がより適している。
またフローセルのNADH濃度を変化させたところ、20μMのNADHにおいて7.0ppbのアセトンガスの検出が可能で、100μM NADHとすることで最大10ppmまでアセトンの定量が可能であった。つまり、本センサではNADH濃度を選択することで、定量範囲を調整することが可能であった。図7にアセトンバイオスニファの定量範囲に対するNADH濃度の影響を示す。50μmのNADHの場合、アセトンガスのダイナミックレンジは20〜5300ppbであった。20μmのNADHの場合、ダイナミックレンジは7〜900ppbとなった。低い濃度のNADHは、低いバックグランドをもたらす。これは、低濃度のアセトンを測定する場合に重要となる。一方、NADHの濃度を100μMに高めると、ダイナミックレンジの上限が改善し、50〜10000ppbにまで広がる。このように、NADHの濃度を調整することにより、7〜10000ppbの所望の検出範囲でアセトンガスを測定するようにセンサを調整できる。
次に本センサに各種ガスを負荷し、蛍光出力を比較した。結果を図8に示す。アセトンガスの蛍光出力を100%とした時、2−ブタノンと2−ペンタノンガスに対してそれぞれ139%と117%であったものの、他のガスにはほとんど出力を示さず、酵素の基質特異性を基づく選択性が得られた。本センサの選択性は、従来の半導体式ガスセンサに比べて大幅に向上していると言える。健常者の呼気中には僅かの2−ペンタノン(0.38ppb)と2−ブタノン(0.38ppb)が含まれるが、アセトンと比して極めて濃度が低いことから影響は少ないと考えられる。なお、2−ブタノンと2−ペンタノンは肺がん患者の呼気に含まれることが報告されており、肺がんスクリーニングとしての応用が考えられる。
アセトンガス用バイオスニファを用いた呼気計測
S−ADH固定化バイオスニファを呼気中アセトンガスの計測に適用し、運動負荷実験に伴い呼気中アセトン濃度のモニタリングを実施した。本実験の趣旨を説明し同意を得た3名の健常成人(被験者A、BおよびC)において、食物を6時間摂取しない状態で、エルゴメーターにて50W(30分間)の運動負荷を与え、その後、150分間の安静状態とした。呼気ガスは適宜、サンプリングバックに採取し、S−ADH固定化バイオセンサにて呼気中アセトンガスの測定を行った。サンプリングバッグを用いた呼気計測システムの概要を図9に示す。
クロマトグラフ法とは異なり、アセトンバイオスニファは、アセトンガスのリアルタイム計測を可能とする。作製したセンサを用いて、空腹時の運動負荷に伴う呼気中アセトンガス濃度の経時変化を調べた。呼気サンプルをセンサに負荷したところ、標準アセトンガスと同様に、NADHの蛍光出力の減少が得られ、アセトンガス濃度を定量することができた。運動負荷での濃度変化を調べたところ、運動に伴うアセトンガス濃度の上昇が観察され、運動終了後15分から30分で最大濃度を示し、その後は漸次減少する様子が確認された。空腹状態での運動負荷により、脂肪組織からの遊離脂肪酸の血中への供給が増加し、遊離脂肪酸のβ酸化により過剰なアセチルCoAが産生した後、ケトン体が生成され、揮発性のアセトンが肺でのガス交換により呼気として放出されることで、呼気濃度が上昇したと考えられる。この実験で得られたデータを図10に示す。ピークにおけるアセトン濃度は、初期値の110〜140%に達していた。このように、本センサを用いることで、呼気中のアセトンガスのバイオセンシングが可能であり、脂質代謝を評価可能であることが示された。
ER1を用いたノネナール計測用生化学式センサ:NADPH蛍光検出系の構築と特性評価
ER1を用いた生化学式センサにおいては、NADPHの減少変化を観察することで、ノネナールを検出、計測する。そこで、図11に示す系と同様な光学系を構築し、NADPHの蛍光検出システムを開発した。NADPH蛍光検出系の評価では、黒色に塗装したキュベット内に10mMのβ−NADPH(オリエンタル酵母工業株式会社より購入)を含む純水を300μl満たし、暗箱内に設置した後、最終濃度が1nM〜10mMとなるように純水を滴下した際のNADPH蛍光強度の変化を計測した。
上記の実験系を用いてNADPHの減少量を測定した。実験の結果、純水の滴下に応じた出力の減少と濃度に伴う安定値が得られ、100nM〜10mMの濃度範囲で蛍光強度の変化を測定することが可能であった(図12)。
ノネナール溶液計測用ER1センサの構築と特性評価
ER1を用いたノネナール溶液計測用生化学式センサの作製では、図11に示されるのと同様な光学系を構築し、PTFE膜上にER1(1.3U/mg粉末,株式会社ダイセルより購入)を1.3units/cmとPMEH10μl/cmをそれぞれ塗布し作製した酵素膜を光ファイバプローブ先端に固定し、ノネナール溶液計測用ER1センサとした。ノネナール溶液計測用ER1センサの特性評価では、キュベット内に100μMのβ−NADPHを含むリン酸緩衝液(pH7.0,100mM)を満たし、ノネナールの溶解を十分に可能とする80%エタノール溶液を用いて、最終濃度が1nM〜1mMとなるようノネナール溶液を調製し、3分間隔で滴下した際のNADPH蛍光強度の変化を光電子増倍管にて計測した。
NADPH蛍光検出系をもとに、ER1固定化膜を装着した光ファイバプローブにて、各濃度におけるノネナール溶液を滴下し酵素反応により減少するNADPHの蛍光出力変化を観察した結果、図13に示すように、濃度に応じた蛍光出力の変化が確認された。今回のノネナール溶液に対する応答性から、ER1センサにおける濃度依存範囲は1μM〜1mMとなった。
次に、ER1の反応性及び他のアルデヒド成分に対するER1の基質特異性を調べるため、ノネナール用ER1センサに、各種のアルデヒド成分(アセトアルデヒド、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナナール、デカナール各10μMをそれぞれ80%エタノールで希釈したもの)と、ER1の第一基質とされるエチルビニルケトン及びエタノール、アセトンを滴下した際の出力値の比較を図14に示す。ノネナールの蛍光出力を100%として、他のアルデヒド類に対して10%程度の蛍光出力が示されたものの、酵素の基質特異性に基づくER1の高い選択性がみとめられた。これにより、生体から放出される主なアルデヒド成分(アセトアルデヒド、オクタナール、ノナナール、デカナール)に対し、高い選択性を有することがわかった。
ノネナールガス計測用ER1センサの構築と特性評価
ER1を用いたノネナールガス計測用生化学式センサの作製では、図4に示されるのと同様な系を構築し、PTFE膜上にER1を1.3units/cmとPMEH10μl/cmをそれぞれ塗布し作製した酵素膜をフローセルの端面に固定し、ノネナールガス計測用ER1センサとした。生化学式ガスセンサの特性評価では、50μMのβ−NADPHを含むリン酸緩衝液(pH8.0,100mM)を1.4ml/minの流量でフローセル内部に循環させ、サンプリングバッグで作製した標準ノネナールガスを流量140ml/minでセンサ感応部に負荷した際の蛍光出力の変化を観察した。
溶液計測の結果を踏まえ、ノネナールガス用ER1センサに、標準ノネナールガスを負荷した際の蛍光出力の変化を図15に示す。
111 光入射用の光ファイバ
112 受光用の光ファイバ
113 光ファイバプローブ
114 紫外線発光ダイオード
116 光入射用の帯域フィルター
118 受光用の長波長透過フィルター
120 検出器
131 コンプレッサー
132 活性炭フィルター
133 気体発生装置
134 マスフローコントローラ
135 NADH緩衝液リザーバー
140 気液隔膜フローセル
141 シリコンチューブ
142 PMMAパイプ
143 O−リング
144 酵素固定化膜
151 緩衝液流路
152 気体流路
10 バイオセンサシステム
11 光入射用の光ファイバ
11’ 受光用の光ファイバ
12 光ファイバプローブ
14 紫外線発光ダイオード
16 バンドパスフィルター(帯域フィルター)
18 長波長透過フィルター(ロングパスフィルター)もしくはバンドパスフィルター
20 検出器
22 コンピュータシステム
31 担体
32 ポリマー及び酵素の混合溶液
33 酵素固定化膜
34 光ファイバプローブ
35 シリコンチューブリング

Claims (14)

  1. NADH又はNADPHが発する蛍光量の減少を検出することで試料中の化学物質を検出するバイオセンサシステムであって、
    該バイオセンサシステムが、
    光入射用の光ファイバ及び受光用の光ファイバを含む光ファイバプローブ;
    前記光入射用の光ファイバに所定の波長の紫外線を入射する紫外線発光ダイオード;
    補酵素であるNADH又はNADPHを含む緩衝液;
    NADH又はNADPHを電子供与体として用いる酵素が固定化された膜であって、膜と試料とがNADH又はNADPHの存在下で接触するとNADH又はNADPHがそれぞれNAD+又はNADP+に変化するように酵素が固定化された膜;並びに
    前記紫外線発光ダイオードからの入射光によりNADH又はNADPHが励起されて発生した緩衝液中の蛍光を前記受光用の光ファイバを通して検出する検出器
    を含み、
    検出器は、膜と試料とが緩衝液中のNADH又はNADPHの存在下で接触し、NADH又はNADPHがそれぞれNAD+又はNADP+に変化した後の緩衝液中の蛍光の減少を検出することを特徴とする、バイオセンサシステム。
  2. 膜に固定された酵素が、NADH又はNADPHを電子供与体として用いてケトンまたはアルデヒドを還元する酵素である、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
  3. 膜に固定された酵素が、NADH又はNADPHを電子供与体として用いてアセトンまたはノネナールを還元する酵素である、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
  4. 膜に固定された酵素が、二級アルコール脱水素酵素(S−ADH)又はエノン還元酵素(ER1)である、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
  5. 検出される化学物質がアセトンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオセンサシステム。
  6. 検出される化学物質がノネナールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオセンサシステム。
  7. 試料が液体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のバイオセンサシステム。
  8. 前記酵素が固定化された膜が、前記光ファイバプローブの先端に装着されていることを特徴とする、請求項7記載のバイオセンサシステム。
  9. 試料が気体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のバイオセンサシステム。
  10. NADH又はNADPHが発する蛍光量の減少を検出することで試料中の化学物質を検出するバイオセンサシステムであって、
    該バイオセンサシステムが、
    光入射用の光ファイバ及び受光用の光ファイバを含む光ファイバプローブ;
    前記光入射用の光ファイバに所定の波長の紫外線を入射する紫外線発光ダイオード;
    補酵素であるNADH又はNADPHを電子供与体として用いる酵素が固定化された膜であって、膜と試料とがNADH又はNADPHの存在下で接触するとNADH又はNADPHがそれぞれNAD+又はNADP+に変化するように酵素が固定化された膜;並びに
    前記紫外線発光ダイオードからの入射光によりNADH又はNADPHが励起されて発生した蛍光を前記受光用の光ファイバを通して検出する検出器
    を含み、
    膜に固定された酵素が、NADH又はNADPHを電子供与体として用いてアセトンを還元する酵素であり、
    検出される化学物質がアセトンであり、
    試料が気体であり、
    NADH又はNADPHを含む緩衝液を循環させるためのフローセルをさらに含み、該フローセルは前記酵素が固定化された膜を含み、気体試料と該緩衝液とが前記酵素が固定化された膜を介して隔てられていることを特徴とする、バイオセンサシステム。
  11. 試料中の化学物質を検出する方法であって、
    対象の試料を準備する工程、
    補酵素であるNADH又はNADPHを電子供与体として用いる酵素が固定化された膜と試料とをNADH又はNADPHの存在下で接触させてNAD+又はNADP+を生成する工程、
    NADH又はNADPHが発する蛍光量を測定する工程、ならびに
    NADH又はNADPHが発する蛍光量のNAD+又はNADP+の生成による減少に基づき試料中の化学物質を検出する工程、
    を含む方法。
  12. NADH又はNADPHの濃度を調整することにより、試料中の化学物質の検出濃度範囲を調整する工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
  13. 尿を検体とした糖尿病性ケトアシドーシスの非侵襲的な診断を補助するためのシステムであって、
    該システムが、請求項7または8に記載のバイオセンサシステムを含み、
    尿中のアセトンの計測を行うことにより、診断を補助することを特徴とする、システム。
  14. 呼気計測によりヒトの脂質代謝を評価するためのシステムであって、
    該システムが、請求項10に記載のバイオセンサシステムを含み、
    呼気中のアセトンの計測を行うことにより、脂質代謝を評価することを特徴とする、システム。
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