JP2021193934A - 短鎖ヘアピンDNAを用いた改良型in situ ハイブリダイゼーション反応 - Google Patents

短鎖ヘアピンDNAを用いた改良型in situ ハイブリダイゼーション反応 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞や組織中のRNAを可視化して検出できるIn situ HCR法において明確な生体内対象物質の蛍光化が望まれていた。【解決手段】in situ ハイブリダイゼーション方法において、標的分析物を含む試料を、標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアと蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアを用いることにより、生体組織中の標的分析物を同定する方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、生体内の標的分析物を特定する検査方法、検査試薬、検査キットおよび検査システムに関する。
in situ HCRとは、ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCRと言う)技術を応用して、組織や細胞中の特異的な物質を視覚化する方法であり、RNAプローブを使用して、ホールマウントのサンプル内の標的mRNAとのハイブリダイゼーションを可能にする配列およびHCRのイニシエーター配列を含んでいる。更に蛍光ラベルRNAヘアピンを備えたHCRの使用がin situ HCR技術を発展させた(非特許文献1)。これらのin situ HCR技術は、非特異的結合に由来するバックグランドの高さや偽の陽性シグナルが問題であったが、スプリットプローブペアを用いた第3世代のHCRは、非特異的結合を減少させている(非特許文献2)。
また、リンカーを用いたin situ HCRとして、(A)分析対象物の入った試料を、リンカーに結合し、標的分析物の配列に相補的な配列を有するプローブと接触させることにより、特定のプローブが前記標的分析物に結合する工程、(B)得られた試料を、プローブとは独立しているがリンカーに結合することが可能なHCRイニシエーターと接触させ、リンカーによりプローブとHCRイニシエーターとが結合する工程、(C)前記試料を2つの準安定なDNAヘアピンを含み検出可能な蛍光シグナルで標識かしたHCR増幅因子と接触させて、ハイブリダイゼーション連鎖反応を開始させることにより、プローブに結合し、HCRモノマーを含む増幅産物を生成される工程、および(D)前記増幅産物を検出することで、分析対象物を同定する工程を含む、試料中の分析対象物を同定する方法(特許文献1)が知られている。
特表2019−518434号公報
In situ HCRの重要な点は、生体組織における対象物質の分布を明確に目視できるようにすることであるが、より明確な生体内対象物質の蛍光化が望まれていた。
本発明は
〔1〕生体内の標的分析物を特定するin situ ハイブリダイゼーション方法において、
(A)標的分析物を含む試料を、標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアと結合させる工程、
(B)前記(A)工程の生成物に、蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアを添加し、ハイブリダイゼーション連鎖反応を開始させることにより、前記プローブに結合した短鎖ヘアピンの増幅産物を生成させる工程;および
(C)前記増幅産物の蛍光標識体を検出することにより、生体組織中の標的分析物を同定することを特徴とする方法、
〔2〕H1配列を含む短鎖ヘアピンがイニシエーター配列も含む〔1〕記載の方法、
〔3〕短鎖ヘアピンが42塩基からなるDNAヘアピンである〔1〕または〔2〕記載の方法、
〔4〕短鎖ヘアピンのステム部位のグアニンおよびシトシンの割合に偏りがあることを特徴とする〔1〕から〔3〕のいずれかひとつに記載の方法、
〔5〕短鎖ヘアピンのループ部位末端の1−2塩基が相補配列であることを特徴とする〔1〕から〔4〕のいずれかひとつに記載の方法、
〔6〕短鎖ヘアピンのトーホールド部位が9塩基であることを特徴とする〔1〕から〔5〕のいずれかひとつに記載の方法、
〔7〕プロテナーゼK処理を用いずに、生体組織中の標的分析物を同定することを特徴とする〔1〕から〔6〕のいずれかひとつに記載の方法、
〔8〕短鎖ヘアピンと蛍光標識体を結合させるアミノリンカーがssHであることを特徴とする〔1〕から〔7〕のいずれか一つに記載の方法、
〔9〕短鎖ヘアピンペアの塩基配列が、H1が配列番号1でH2が配列番号2であるS10、H1が配列番号3でH2が配列番号4であるS23、H1が配列番号5でH2が配列番号6であるS25、H1が配列番号7でH2が配列番号8であるS38、H1が配列番号9でH2が配列番号10であるS40、H1が配列番号11でH2が配列番号12であるS41、H1が配列番号13でH2が配列番号14であるS45、H1が配列番号15でH2が配列番号16であるS46、H1が配列番号17でH2が配列番号18であるS62、H1が配列番号19でH2が配列番号20であるS68、H1が配列番号21でH2が配列番号22であるS71、H1が配列番号23でH2が配列番号24であるS72、H1が配列番号25でH2が配列番号26であるS73、H1が配列番号27でH2が配列番号28であるS74、H1が配列番号29でH2が配列番号30であるS76、H1が配列番号31でH2が配列番号32であるS78、H1が配列番号33でH2が配列番号34であるS81、H1が配列番号35でH2が配列番号36であるS83、H1が配列番号37でH2が配列番号38であるS85またはH1が配列番号39でH2が配列番号40であるS86のいずれかひとつである〔1〕から〔8〕のいずれかひとつに記載の方法、
〔10〕短鎖ヘアピンの蛍光標識体が、Alexa488、Atto550またはAlexa647のいずれか一つである〔1〕から〔9〕記載のいずれかひとつに記載の方法、
〔11〕互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアからなるハイブリダイゼーション連鎖反応用増幅剤、
〔12〕H1配列を含む短鎖ヘアピンがイニシエーター配列も含む〔11〕記載の増幅剤、
〔13〕短鎖ヘアピンが42塩基からなるDNAヘアピンである〔11〕または〔12〕記載の増幅剤、
〔14〕短鎖ヘアピンのステム部位のグアニンおよびシトシンの割合に偏りがあることを特徴とする〔11〕から〔13〕のいずれかひとつに記載の増幅剤、
〔15〕短鎖ヘアピンペアの塩基配列が、H1が配列番号1でH2が配列番号2であるS10、H1が配列番号3でH2が配列番号4であるS23、H1が配列番号5でH2が配列番号6であるS25、H1が配列番号7でH2が配列番号8であるS38、H1が配列番号9でH2が配列番号10であるS40、H1が配列番号11でH2が配列番号12であるS41、H1が配列番号13でH2が配列番号14であるS45、H1が配列番号15でH2が配列番号16であるS46、H1が配列番号17でH2が配列番号18であるS62、H1が配列番号19でH2が配列番号20であるS68、H1が配列番号21でH2が配列番号22であるS71、H1が配列番号23でH2が配列番号24であるS72、H1が配列番号25でH2が配列番号26であるS73、H1が配列番号27でH2が配列番号28であるS74、H1が配列番号29でH2が配列番号30であるS76、H1が配列番号31でH2が配列番号32であるS78、H1が配列番号33でH2が配列番号34であるS81、H1が配列番号35でH2が配列番号36であるS83、H1が配列番号37でH2が配列番号38であるS85およびH1が配列番号39でH2が配列番号40であるS86の少なくともいずれか一つである〔11〕から〔14〕のいずれかひとつに記載の増幅剤、
〔16〕生体内の標的分析物を特定するin situ ハイブリダイゼーション方法において、
(A)複数の異なる標的分析物を含む試料を、複数の異なる標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアと結合させる工程、
(B)前記(A)工程の生成物に、蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ複数の異なる短鎖ヘアピンペアを添加し、ハイブリダイゼーション連鎖反応を開始させることにより、前記プローブに結合した短鎖ヘアピンの増幅産物を生成させる工程;および
(C)前記増幅産物の蛍光標識体を検出することにより、生体組織中の異なる複数の標的分析物を同定することを特徴とする方法、
〔17〕短鎖ヘアピンが42塩基からなるDNAヘアピンである〔16〕記載の方法、および
〔18〕複数の異なる短鎖ヘアピンペアの塩基配列が、H1が配列番号1でH2が配列番号2であるS10、H1が配列番号3でH2が配列番号4であるS23、H1が配列番号5でH2が配列番号6であるS25、H1が配列番号7でH2が配列番号8であるS38、H1が配列番号9でH2が配列番号10であるS40、H1が配列番号11でH2が配列番号12であるS41、H1が配列番号13でH2が配列番号14であるS45、H1が配列番号15でH2が配列番号16であるS46、H1が配列番号17でH2が配列番号18であるS62、H1が配列番号19でH2が配列番号20であるS68、H1が配列番号21でH2が配列番号22であるS71、H1が配列番号23でH2が配列番号24であるS72、H1が配列番号25でH2が配列番号26であるS73、H1が配列番号27でH2が配列番号28であるS74、H1が配列番号29でH2が配列番号30であるS76、H1が配列番号31でH2が配列番号32であるS78、H1が配列番号33でH2が配列番号34であるS81、H1が配列番号35でH2が配列番号36であるS83、H1が配列番号37でH2が配列番号38であるS85およびH1が配列番号39でH2が配列番号40であるS86の少なくともいずれか2つ以上の組合せである〔16〕または〔17〕に記載の方法に関する。
本発明の短鎖ヘアピンDNAを用いた改良型in situ ハイブリダイゼーション測定法の提供により、費用対効果に優れるとともに、感度に優れた生体内の核酸の目視観察方法が提供される。
図1はIn situ HCRと短鎖ヘアピンの原理である。A:H1(a)のトーホールドドメインのシーケンスは、H2(a’)のル−プドメインのシークエンスと相補的であり、H1(c)のループドメインのシーケンスは、H2(c’)のトーホールドドメインのシーケンスと相補的である。イニシエーター(a’+ b’)が存在する場合、イニシエーターは、H1のトーホールドとステムのドメイン(a、b)。次に、H1の残りの部分(c、b’)、H2のトーホールドとステムのドメイン(C’、b)とハイブリダイズする。その結果として、H1とH2相互にハイブリダイズし続ける。B:スプリットイニシエータープローブセット。1つのプローブには、シーケンスA’、シーケンスb’の最初の3nt、2ntのスペーサーシーケンス、25ntのアンチセンスシーケンスが存在する。別のプローブには、25ntのアンチセンスシーケンス、2ntのスペーサーシーケンス、最後の9ntのシーケンスb’が存在する。C:スプリットイニシエータープローブを使用した+HCR。両方の分割イニシエーターがプローブはターゲットmRNAとハイブリダイズし、HCRはヘアピンDNA添加後に進行する。D:ショートヘアピンDNAの設計デザイン。ル−プとステムドメイン間の遷移部位は、ヘアピンDNAに応じて最大2nt異なる。矢印は、DNAおよびRNAの3’末端を示す。具体例は図10に示した。 トーホールド長と蛍光分子のHCRに与える影響。A:HCR効率に及ぼすヘアピンDNAのトーホールド長さの影響。実施例3に従い、すべての反応混合物は0.5μMのヘアピンDNAと4つの濃度のイニシエーターDNA(0、0.0025、0.01,0.05 μM)を含む。HCR産物は、アガロースゲル電気泳動後に可視化された。ヘアピンDNAS4、S8、S41、およびS9には、6、8、9、および10ntのトーホールド配列がある。B:HCR効率に対する蛍光化合物の影響。C−K:ヘアピンDNAに結合させた様々な蛍光色素の化学構造。ヘアピンDNAS41とAtto390(C)、FAM(D)、Alexa488(E)、Atto488(F)、Atto550(G)、Atto565(H)、Atto568(I)、またはAlexa647(J)のいずれかを結合して使用した。(K)は、SSHリンカーの構造を示した。各画像は適切なフィルターセットで撮影され、読み込み位置に基づいて配置されている。破線は、10kbのDsDNAのバンドサイズを示している。 短鎖ヘアピンを用いたIn situ HCRの蛍光の経時的な増加。実施例4に従い、マウス線条体のペンクmRNA発現は、Alexa647で標識したヘアピンDNA(S41)および対応するプローブセットにより検出された。バックグラウンドシグナルは差し引かれていない。A−C:組織切片は、スプリットイニシエータープローブのハイブリダイズの後にHCR増幅を行なった。D−F:組織切片はプローブなしで処理され、その後HCR増幅を行なった。G−I:組織切片はプローブのハイブリダイズの後に、H1ヘアピンDNAのみのハイブリダイゼーションを行なった。A、D、G:ヘアピンDNAとの45分間のインキュベーション。B、E、H: ヘアピンDNAとの2時間のインキュベーション。C、F、I:ヘアピンを使用した1夜のインキュベーション。スケールバー:0.2mm。 ヘアピンDNAに結合した蛍光色素による強度の違い。実施例5に従い、マウス線条体のペンクmRNA発現は、様々な蛍光色素で標識したヘアピンDNA(S41)および対応するプローブセットにより検出された。S41ヘアピンDNAを使用したマウス線条体のPenk mRNAのin situ HCR。すべての組織切片は同じマウスから調製している。バックグラウンドシグナルは差し引かれていない。スケールバー:100μm。 改良型In situ HCRを用いた低含量mRNAの測定。A,D:実施例6に従い、Atto550結合ヘアピンDNA(S23)を使用したIn situ HCRによるマウスの脳でのOxtr mRNAの検出を行った。HCR増幅は一夜行った。B,E:実施例6に従い、Oxtr mRNAに対するチラミドシグナル増幅を伴う蛍光ISH。Oxtr mRNAは、DIG標識プローブ、ペルオキシダーゼ標識抗DIG抗体、Alexa568チラミドの組み合わせによって可視化された。C,F:実施例6に従い、DIG標識プローブ、アルカリフォスファターゼ標識抗DIG抗体およびBCIP/NBTの組み合わせによるOxtr mRNAの検出。発色は3日間行なった。中段の図D−Fはそれぞれ対応する上段の図A−Cの破線の四角印に示した部分を拡大したものである。下段の図G−Iはそれぞれ対応する中断の図D−Fの破線の四角印に示した部分を拡大したものである。スケールバーは、400μm(A),100μm(D),10μm(G)である。 プロテナーゼK処理によるin situ HCRの陰性効果。実施例7に従い、Vglu2 mRNAはマウス内側視索前野(A、C、E)および視床室傍核(B、D、F)でAlexa647結合ヘアピンDNA(S41)を使用して検出された。増幅は2時間行った。なお、AおよびB:セクションはプロテナーゼKで前処理された検体,CおよびD:セクションはプロテナーゼK未処理の検体を示す。母性行動で誘発されたc−Fos免疫反応活性はハイブリダイゼーション前のプロテナーゼK処理によって低下した。EとFは、それぞれ対応するCとDの破線領域を拡大したものである。矢印は、c−Fosタンパク質とVglu2mRNAの二重陽性細胞を示している。スケールバー:200μm(A、C)、100μm(B、D)、40μm(E、F) 図7マウス線条体におけるin situ HCRの多重染色。実施例8に従い、Drd2、Penk、Drd1のmRNAは、異なるプローブ−ヘアピンのペアを使用した2時間のHCRによって検出された。Drd2の検出にはAlexa488標識ヘアピンDNA(S23)とそのプローブのペアを、Penkの検出にはS10−Atto565標識ヘアピンDNA(S10)とそのプローブのペアを、Drd1の検出にはAlexa647標識ヘアピンDNA(S25)とそのプローブのペアを用いた。それぞれに用いたプローブは別表(現状のTable S2)にまとめた。上段のパネルではバックグラウンド信号は差し引かれていない。Drd2陽性細胞はPenk陽性でもあった(矢頭印)。スケールバー:100μm(上段)および10μm(下段)。 異なるプローブを使用したMoxd1 mRNAの冗長検出。実施例9に従い、Moxd1 mRNAを検出した。A、B:Moxd1 mRNAの異なる領域用に設計された異なるプローブヘアピンペアを使用したin situ HCR。45分間のHCRにより、分界条床核にMoxd1 mRNAが検出された。5つのプローブペアが各チャネルに使用された。Ch1およびCh2の蛍光シグナルは、それぞれAtto550標識ヘアピンDNA(S41)およびAlexa647標識ヘアピンDNA(S25)を使用して検出された。B:細胞内レベルでの分子の分布を示す代表的な顕微鏡写真。点線の円は両方のチャネルで検出された顆粒を示し、矢印は単一のチャネルでのみ検出された顆粒を示す。スケールバー:20μm(A)および2μm(B)。 in situ HCRにおける短鎖ヘアピンと長鎖ヘアピンの感度比較。実施例10に従い、短鎖ヘアピンと長鎖ヘアピンによるHCR反応の蛍光強度比較を行った。A−F:それぞれ、Penk mRNAに対するプローブをAtto550標識S41ヘアピンDNA(A)、Atto550標識S10ヘアピンDNA(B)Atto550標識B1ヘアピンDNA(C)、Alexa647標識S41ヘアピンDNA(D)、Alexa647標識S10ヘアピンDNA(E)Alexa647標識B1ヘアピンDNA(F)にて検出した。G−L:それぞれ、Vglut2 mRNAに対するプローブをAtto550標識S41ヘアピンDNA(G)、Atto550標識B1ヘアピンDNA(H)、Atto550標識B2ヘアピンDNA(I)、Alexa647標識S41ヘアピンDNA(J)、Alexa647標識B1ヘアピンDNA(K)Alexa647標識B2ヘアピンDNA(L)にて検出した。M−R:それぞれ、Nts mRNAに対するプローブをAtto550標識S41ヘアピンDNA(M)、Atto550標識B1ヘアピンDNA(N)、Atto550標識B2ヘアピンDNA(O)、Alexa647標識S41ヘアピンDNA(P)、Alexa647標識B1ヘアピンDNA(Q)Alexa647標識B2ヘアピンDNA(R)にて検出した。 A:ヘアピンDNAペアのH1およびH2のシーケンスと構造(41)および対応イニシエーターシーケンス。 B:イニシエーターは、H1のトーホールドおよびステムドメイン(a、b)とハイブリダイズし、次に、イニシエーターであるH1複合体は、H2のトーホールドおよびステムドメイン(c’、b)とハイブリダイズする。 C:H1とH2は相互連続的にハイブリダイズする。 D:スプリットイニシエータープローブ(黄色)は、Moxd1 mRNAにハイブリダイズしたシーケンス、イニシエーターシーケンスの半分、および2ntスペーサーシーケンスを備えている。スプリットプローブセットをMoxd1 mRNAに結合すると、蛍光標識体で標識されたヘアピンDNA、H1およびH2のHCRがトリガーされる。
本発明における生体内の標的分析物とは、生体中の細胞、組織等に分布する遺伝子発現の第一段階であるmRNAを示し、生体内の標的分析物を特定するin situ ハイブリダイゼーション方法とは、標的分析物であるmRNAへのハイブリダイゼーションを可能にする塩基配列とイニシエーターとして機能する配列を持つRNAプローブを使用して、ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)技術を細胞、組織の特定のヌクレオチドの可視化を可能にする方法を示す。
本発明において、工程(A)の標的分析物を含む試料を、標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアと結合させる工程とは、標的分析物であるmRNAを含む細胞または組織切片等を、標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアとを、ハイブリダイゼーションバッファー等の反応溶媒中、30〜40℃、好ましくは37℃の温度で6〜18、好ましくは10〜14時間反応させることにより、両者をハイブリダイゼーションさせる工程を示す。
標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアとは、一つのプローブペアは39塩基長のDNA(25塩基の結合配列、2塩基のスペーサー、12塩基のイニシエーター分割配列)と36塩基長のDNA(25塩基の結合配列、2塩基のスペーサー、9塩基のイニシエーター分割配列)を示し、39塩基のDNAプローブが持つ12塩基のイニシエーター分割配列は9塩基のトーホールド配列とヘアピンDNAの最初の3塩基のステム配列を持ち、36塩基のDNAプローブが持つ9塩基のイニシエーター分割配列はヘアピンDNAの後半の9塩基のステム配列を持ち(図1参照)、相補的に結合し得るプローブのペアを示す。
具体的には表3に作成されたスプリット−イニシエータープローブペアが記載されている。
これらのスプリット−イニシエータープローブペアは、本発明の生体内の標的分析物を特定するin situ ハイブリダイゼーション方法に用いることができるとともに、後述する互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアと共にin situ ハイブリダイゼーション反応を利用した生体内標的分析物質の検出用キット等にも用いることができる。
なお、標的分析物を含む試料として組織切片を用いる場合は、常法によりホルムアルデヒド等で固定し、スクロース溶液で浸透させることによって凍結防止処理を行い、容器に封入した後に使用まで冷凍保管し、その後凍結切片として作成したものを用いても良い。得られた切片はリン酸緩衝液等により洗浄した後、必要にプロテナーゼK処理を行い、ホルムアルデヒド、メタノール後等で固定後、ハイブリダイゼーションバッファーで5〜30分間20〜40℃でハイブリダイゼーション前処理を行いハイブリダイゼーションに用いることができる。ハイブリダイゼーションバッファーとしては、3MNaCl含有0.3Mクエン酸三ナトリウム緩衝液(PH7.0:以下、20XSSC緩衝液という)、3MNaCl含有0.02MEDTA含有0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(PH7.4)、デンハルト溶液等、通常DNAやRNAのハイブリダイゼーションに用いる緩衝液を、単独または組み合わせて用いる。ハイブリダイゼーション反応の温度は25℃〜40℃、好ましくは37℃であり、反応時間は2〜18時間、好ましくは8〜12時間である。
本発明における、(B)工程の前記(A)工程の生成物に、蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアを添加し、ハイブリダイゼーション連鎖反応を開始させることにより、前記プローブに結合した短鎖ヘアピンの増幅産物を生成させる工程とは前記(A)工程で試料中の標的分析物とハイブリダイズした標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアに対して蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアを反応させて、ハイブリダイゼーション連鎖反応を進行させることによりプローブに結合した短鎖ヘアピンの増幅産物を生成させる工程を示す。
互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアとは、36−44の塩基長、好ましくは42〜44の塩基長、とりわけ好ましくは42塩基長を持ち、かつ12−14塩基のステム配列を持つヘアピンDNAを示す。
本発明において、H1配列を含む短鎖ヘアピンはイニシエーター配列も含み、短鎖ヘアピンのループ部位末端の1−2塩基が相補配列であり、短鎖ヘアピンのトーホールド部位が9塩基である。また、トーホールドのGC含量は40%以下であり、ステムのGC含量は60%以上である。また、短鎖ヘアピンのグアニンおよびシトシンの割合には偏りがある。
表1にステム部位におけるGとCの塩基数の違いとリーク産物が生成される頻度を示した。
Figure 2021193934
本発明における具体的な互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアは、後述する表2に記載されている。
表2の短鎖ヘアピンの中で特に好適な組み合わせとしては、短鎖ヘアピンペアの塩基配列が、H1が配列番号1でH2が配列番号2であるS10、H1が配列番号3でH2が配列番号4であるS23、H1が配列番号5でH2が配列番号6であるS25、H1が配列番号7でH2が配列番号8であるS38、H1が配列番号9でH2が配列番号10であるS40、H1が配列番号11でH2が配列番号12であるS41、H1が配列番号13でH2が配列番号14であるS45、H1が配列番号15でH2が配列番号16であるS46、H1が配列番号17でH2が配列番号18であるS62、H1が配列番号19でH2が配列番号20であるS68、H1が配列番号21でH2が配列番号22であるS71、H1が配列番号23でH2が配列番号24であるS72、H1が配列番号25でH2が配列番号26であるS73、H1が配列番号27でH2が配列番号28であるS74、H1が配列番号29でH2が配列番号30であるS76、H1が配列番号31でH2が配列番号32であるS78、H1が配列番号33でH2が配列番号34であるS81、H1が配列番号35でH2が配列番号36であるS83、H1が配列番号37でH2が配列番号38であるS85、H1が配列番号39でH2が配列番号40であるS86が挙げられる。
これらの互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアは、通常は一つのペアが用いられるが、必要によりこれらの短鎖ヘアピンペアを組み合わせて用いても良い。
更に、互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアは、in situ ハイブリダイゼーション反応を利用した生体内の標的分析物質の検出用キット等にも用いることができる。
蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアとは、相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアと蛍光標識体が結合している状態を示し、蛍光標識体としては、蛍光標識体はフルオレスセイン(以下FAMという:フナコシ株式会社製)、Atto390(商品名:ATTO Technology社製)、Atto488(商品名:ATTO Technology社製)、Atto550(商品名:ATTO Technology社製)、Atto565(商品名:ATTO Technology社製)、Alexa 488(商品名:Thermo Fisher Scientific社製)、Alexa 568(商品名:Thermo Fisher Scientific社製)、Alexa 647(商品名:Thermo Fisher Scientific社製)等の蛍光標識体が挙げられる。各蛍光標識体の化学構造式を図2に示した。
相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアと蛍光標識体の結合様式としてはどのようなものでも良いが、予めヘアピンDNAに、その5’末端をssHアミノリンカーによって標識したものを合成し、ssHアミノリンカーを介してサクシニミジルエステルを持つ様々な蛍光標識物質と結合させつことが好ましい。ssH標識DNA溶液に対して蛍光標識サクシニミジルエステル溶液1/3量を混合し、3〜6時間、好ましくは4時間反応させると所望の蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアが合成される。
蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアは、単独または、前記スプリット−イニシエータープローブペアと組み合わせてin situ ハイブリダイゼーション反応を利用した生体内標的分析物質の検出用キット等にも用いることができる。
前記(A)工程で得た試料中の標的分析物とハイブリダイズした標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアに対して、蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアを、蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアを、スプリット−イニシエータープローブペアを1〜5μM、好ましくは3μMの濃度をスナップクールを行なった後添加し、0.05%Tween、750mMNaCl含有75mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2:以下5XSSCTと言う。)等の増幅緩衝液中で、30分〜18時間、好ましくは45分〜2時間、20〜30℃、好ましくは25℃の温度でインキュベーションを行ない、増幅反応を進行させる。反応終了後、試料切片を増幅緩衝液等で十分に洗浄する工程を示す。
本発明における工程(C)の前記増幅産物の蛍光標識体を検出することにより、生体組織中の標的分析物を同定する方法とは、蛍光染色した切片を目視観察する方法であればどのような物でも良いが、顕微鏡に固定した切片を顕微鏡に装着したカメラ等で測定することにより、標的分析物を同定することができる。
本発明の、互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアからなるハイブリダイゼーション連鎖反応用増幅剤は、常法により、固相法で製造することができる。また本発明の短鎖ヘアピンペアは、36〜44塩基長と短いポリヌクレオチドのため、自動合成装置で合成することが可能である。同方法により合成した互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアは表2に示されている。
本発明において、互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンは、Nucleic Acid Package(商品名、NUPACK)のソフトウエアを用いたシミュレーションにより、その構造がデザインされたが、トーホールドのGC含量は40%以下であり、ステムのGC含量は60%以上となる。また、ヘアピンDNAは蛍光標識体との結合のため、その5‘末端をssHアミノリンカーによって標識したものを用いている。
更に、H1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアは、36−44の塩基長、好ましくは42〜44の塩基長、とりわけ好ましくは42塩基長を持つ。
本発明において、(A)複数の異なる標的分析物を含む試料を、複数の異なる標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアと結合させる工程、とは、一つの試料が2つ以上のの異なる標的分析物を含む場合に、それに適応した2つ以上のの標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアを、前記試料中の2つ以上のの異なる標的分析物と結合させる工程を示す。ハイブリダイゼーション反応の温度は25℃〜40℃、好ましくは37℃であり、反応時間は2〜18時間、好ましくは8〜12時間である。
また、前記複数のプローブを用いる場合の工程(B)、前記(A)工程の生成物に、蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ複数の異なる短鎖ヘアピンペアを添加し、ハイブリダイゼーション連鎖反応を開始させることにより、前記プローブに結合した短鎖ヘアピンの増幅産物を生成させる工程とは、標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアに対応した配列を持ち、各々が異なる蛍光標識体と結合した2つ以上のの蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ複数の異なる短鎖ヘアピンペアを添加して、ハイブリダイゼーション連鎖反応を進行させることによりプローブに結合した短鎖ヘアピンの増幅産物を生成させる工程を示す。増幅反応は30分〜18時間、好ましくは45分〜2時間、20〜30℃、好ましくは25℃の温度でインキュベーションを行ない、増幅反応を進行させる。
具体的には、表2において複数の異なる短鎖ヘアピンペアが、H1が配列番号1でH2が配列番号2であるS10、H1が配列番号3でH2が配列番号4であるS23、H1が配列番号5でH2が配列番号6であるS25、H1が配列番号7でH2が配列番号8であるS38、H1が配列番号9でH2が配列番号10であるS40、H1が配列番号11でH2が配列番号12であるS41、H1が配列番号13でH2が配列番号14であるS45、H1が配列番号15でH2が配列番号16であるS46、H1が配列番号17でH2が配列番号18であるS62、H1が配列番号19でH2が配列番号20であるS68、H1が配列番号21でH2が配列番号22であるS71、H1が配列番号23でH2が配列番号24であるS72、H1が配列番号25でH2が配列番号26であるS73、H1が配列番号27でH2が配列番号28であるS74、H1が配列番号29でH2が配列番号30であるS76、H1が配列番号31でH2が配列番号32であるS78、H1が配列番号33でH2が配列番号34であるS81、H1が配列番号35でH2が配列番号36であるS83、H1が配列番号37でH2が配列番号38であるS85およびH1が配列番号39でH2が配列番号40であるS86の少なくともいずれか2つ以上を組み合わせて用いれば良い。組み合わせの上限に関しては、肉眼で認識できる蛍光標識体の色差により決定され、2〜10個、好ましくは2〜7個、とりわけ好ましくは2〜5個の組み合わせを用いることができる。
(C)工程の前記増幅産物の蛍光標識体を検出することにより、生体組織中の異なる複数の標的分析物を同定することを特徴とする方法は、蛍光染色した切片を目視観察する方法であればどのような物でも良いが、顕微鏡に固定した切片中で異なる蛍光発色をしている標的物質を顕微鏡に装着したカメラ等で測定することにより、複数の標的分析物を同定することができる。
実施例1.オリゴヌクレオチドの合成とDNAプローブのデザインと合成
表2、表3に示す全ての無標識オリゴDNAは常法(岡本晃充、化学と教育、(2009年)57巻、7号、346―347頁)に従い自動合成装置を用いた固相合成法により合成した(スタンダード脱塩グレードでインテグレーテッド DNA テクノロジー株式会社に外注し合成した)。
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表3に示すスプリットイニシエーターDNAプローブは非特許文献2に従い以下の通り設計した。
NCBI(National Center for Biotechnology Information:ナショナル センター フォーバイオテクノォジー インフォメーション)のblastサーチによりオフターゲットへの結合を最小にするようなmRNA結合配列の中で、45−55%のGC含量となるものとした。一つのスプリットイニシエータープローブペアは39塩基長のDNA(25塩基の結合配列、2塩基のスペーサー、12塩基のイニシエーター分割配列)と36塩基長のDNA(25塩基の結合配列、2塩基のスペーサー、9塩基のイニシエーター分割配列)とした。39塩基のDNAプローブが持つ12塩基のイニシエーター分割配列は9塩基のトーホールド配列とヘアピンDNAの最初の3塩基のステム配列である。また、36塩基のスプリットイニシエータープローブが持つ9塩基のイニシエーター分割配列はヘアピンDNAの後半の9塩基のステム配列である(図1)。一つのmRNAに対して、このようなスプリットイニシエータープローブペアを5つもしくは10個設計した。全てのスプリットイニシエータープローブセットは遺伝子ごとに混合し、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(20%,1:40のゲル)によって精製し、10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に2μMの濃度で保存した。合成・精製したスプリットイニシエータープローブDNAを表3に示した。
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実施例2.DNAヘアピン増幅剤のデザインと合成
HCR反応を誘導できて効率的に増幅するために最も短いヘアピンDNA配列を見出すために、表2に示す36−44塩基長で12−14塩基のステム配列を持つヘアピンDNAについて検討した。ヘアピンDNAはNucleic Acid Package(商品名,NUPACK)のソフトウエアを用いたシミュレーションにより、目的の二次構造(図1)を生成するようにデザインを行った。NUPACKシミュレーションによってランダム精製されたDNA配列は先行研究のルールに従いマニュアルで編集した。この場合、トーホールドのGC含量は40%以下であり、ステムのGC含量は60%以上となる。マニュアルで配列編集したヘアピンDNA配列は、編集後に目的の二次構造を取るかどうかについて改めてNUPACKシミュレーションを行い、確認した。
ヘアピンDNAは固相合成法によりその5‘末端をssHアミノリンカーによって標識したものを合成した(株式会社ファスマックに外注し合成した)。ssHアミノリンカーはサクシニミジルエステルを持つ様々な蛍光標識物質と反応し、DNAに蛍光標識することが可能となる。蛍光標識体はフルオロセリン(商品名FAM:フナコシ株式会社製)、Atto390(商品名:ATTO Technology社製)、Atto488(商品名:ATTO Technology社製)、Atto550(商品名:ATTO Technology社製)、Atto565(商品名:ATTO Technology社製)、Alexa 488(商品名:Thermo Fisher Scientific社製)、Alexa 568(商品名:Thermo Fisher Scientific社製)、Alexa 647(商品名:Thermo Fisher Scientific社製)を用いた。クロロフォルム精製とMgC1を用いたエタノール沈殿により精製し、得られたssH標識DNAを1mMの濃度でpH9.0の0.1Mホウ酸バッファーに溶解した。蛍光標識サクシニミジルエステルは10mg/mlの濃度でジメチルホルムアミドに溶解し、DNA溶液に対して1/3量となるようにしてDNA溶液と混合し、4時間室温で反応させることで蛍光標識DNAを得た。蛍光標識DNAは20%ゲルを用いた変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって未反応の蛍光物質と合成不純物である短いDNAを取り除いた。電気泳動後の蛍光バンドはLEDイルミネーターとフィルターによって可視化することでバンドを目視し、切り出した。LEDイルミネーターを用いたのは、従来用いられているUVランプがDNAへのダメージを持つことが知られており、これを避けるための操作である。切り出したゲルは潰してEDTA含有トリス塩酸緩衝液(PH8.0:以下TEと言う。)に4℃で一晩浸すことでDNAを抽出し、上記と同様のエタノール沈殿によりDNAのみを回収し、最終的な蛍光標識DNAは150mMNaClを含むTE緩衝液に3μMの濃度で保存した。DNA濃度の計測は260nmの吸光度に基づいて一本鎖DNAを想定して行ったが、蛍光標識やヘアピンDNAの構造のために多少上下する可能性があることに留意すべである。合成・精製したヘアピンDNAを表2に示した。
更に表2に示した全ての短鎖ヘアピンペアに対して、常法によりリーク産物の有無と反応効率を測定した。
以下の実施例3に用いた無標識のヘアピンDNAは標識DNAと同様にポリアクリルアミド電気泳動等の操作によって精製したが、蛍光を持たないため、ポリアクリルアミド電気泳動の際にはGelGreen(商品名:Biotium社製)を用いてDNAを可視化した。
実施例3.マイクロチューブにおけるヘアピンDNAによるHCR反応の検討
表2に示す41種類全てのヘアピンDNAはスナップ−冷却(95℃で2分間加熱した後30分間室温まで冷却した)により使用前にヘアピン構造を形成させた。HCR反応は0.1%Tween20を含んだ0.75M 塩化ナトリウム+0.075Mクエン酸ナトリウム)溶液(以下、5xSSCTと言う)内で行った。それぞれのマイクロチューブは3μMのヘアピンDNAをそれぞれ2μlずつ、0,0.005,0.02,0.1μMのイニシエーターDNAを6μlずつ加え、最後に3M塩化ナトリウム+0.3Mクエン酸ナトリウム(以下,20xSSCと言う。)と10%Tweenを適量加えることによって5xSSCT溶液になるように調整し、合計量を12μlとして準備した。DNAを混ぜた2時間後に、サンプルを着色マーカーのローディング色素(Bio−craft社製)を混ぜてから1%のアガロースゲル電気泳動を行った。泳動条件は35mMホウ酸と10mM塩化ナトリウム(以下、SBバッファーと言う。)を用い135Vで30分間で行なった。それぞれの電気泳動バンドは画像データをImageJにより産物の量を定量した。
電気泳動により、1/200(0.005μM)のイニシエーター:ヘアピンDNA比において10kb以上の増幅が見られた場合に強い増幅があると判断した。また、イニシエーターDNAを入れない条件で非常に少ないHCR産物が見られた場合にリーク(非特異的増幅)が少ないと判断した。また、反応効率は未反応のヘアピン量の検討によって判断した(以上、図2)。
実施例4.組織におけるHCR反応誘導の検討
全ての動物実験は東邦大学実験動物委員会のガイドラインに従って行い、東邦大学実験動物委員会によって手順が承認されたものである(承認番号19−51−405)。C57/BL6系統マウスの交配ペアは日本エスエルシー株式会社及び日本クレア株式会社から購入した。マウスは大学内の繁殖コロニー内で12時間の明暗サイクルと23±2℃、55%プラスマイナス5%湿度の制御条件下で飼育した。20−30週齢の雄マウス脳をサンプリングした。再現性を確認するために、それぞれの実験で3匹ずつのマウスを用いた。マウスは50mg/mlペントバルビタールナトリウム腹腔内投与によって深麻酔し、経心的に4%パラホルムアルデヒドリン酸バッファーによって灌流固定した。取り出した脳は4%ホルムアルデヒドで4℃で一晩後固定し、30%スクロース溶液に二日間浸透させることによって凍結防止処理を行い、Surgipath(商品名: ライカバイオシステム社製)に封入した後に使用まで−80℃で保管した。脳切片は40μMの厚みで凍結切片を作製した。
切片はTween20含有リン酸生理食塩水緩衝液(以下、PBSTと言う。)にて洗浄した後に10mg/mlのプロテナーゼK処理10分間処理し、10分間の4%ホルムアルデヒド後固定、メタノール後固定を37℃で行った。その後、pH8.0の0.1M トリエタノールアミンと0.25%無水酢酸によってアセチル化を20分行った。
洗浄後に切片は30%ホルムアミド、10%デキストラン硫酸に0.75M塩化ナトリウム+0.075Mクエン酸ナトリウム(以下、5xSSCと言う。)、10mMクエン酸、0.1%Tween、50μg/mlヘパリン、1xデンハート溶液を含むハイブリダイゼーションバッファーで10分間37℃でハイブリダイゼーション前処理を行い、その後、表3に示す1nMのPenk−S41スプリットイニシエータープローブを含むハイブリダイゼーションバッファーに移して37℃で一晩インキュベートした。比較対象としてスプリットイニシエータープローブを含まないハイブリダイゼーションバッファーも用意した。その後、切片は5XSSCT/30%ホルムアミドで10分間3回洗浄し、さらに5XSSCTで10分間3回洗浄した。
In situ HCR反応では3μMのAlexa647標識S41ヘアピンDNA溶液をスナップクールしてから用いた。切片は10%デキストラン硫酸を含む5xSSCT増幅バッファーに60nMのヘアピンDNA濃度となるように調整した溶液内で45分、2時間、一晩で25℃でインキュベートした。比較対象として、ペアとなるS41ヘアピンDNAの片方のみを入れたものも用意した。その後、切片は5XSSCTとPBSTによって3回洗浄した。
染色した組織切片の蛍光写真はA1R共焦点検出系を備えたNikon Eclipe Ni顕微鏡によって20,40倍の対物レンズ下で撮影した。蛍光写真の定量は同じ閾値とコントラスト調整によって行った。
上述の手順により、Penk mRNA陽性細胞はHCR増幅反応後に線条体で豊富に検出された(図3)。Alexa647標識ヘアピンDNAの反応時間を45分からオーバーナイトまで延長することでPenk mRNAの蛍光シグナルは増加した(図3,A,B,C)。ヘアピンDNAの片方(H1)とスプリットプローブの組み合わせ(図3,D,E,F)や、スプリットプローブを抜いたH1とH2との組み合わせ(図3,G,H,I)ではシグナルは見られなかったことから、Penk陽性細胞特異的なin situ HCRが起こっていると考えられる。プローブが無い場合にはバックグラウンドシグナルが徐々に増加した。
実施例5.組織におけるHCR反応と標識蛍光色素との関係性
全ての動物実験は東邦大学実験動物委員会のガイドラインに従って行い、東邦大学実験動物委員会によって手順が承認されたものである(承認番号19−51−405)。C57/BL6系統マウスの交配ペアは日本エスエルシー株式会社及び日本クレア株式会社から購入した。マウスは大学内の繁殖コロニー内で12時間の明暗サイクルと23±2℃、55%プラスマイナス5%湿度の制御条件下で飼育した。20−30週齢の雄マウス脳をサンプリングした。再現性を確認するために、それぞれの実験で3匹ずつのマウスを用いた。マウスは50mg/mlペントバルビタールナトリウム腹腔内投与によって深麻酔し、経心的に4%パラホルムアルデヒドリン酸バッファーによって灌流固定した。取り出した脳は4%ホルムアルデヒドで4℃で一晩後固定し、30%スクロース溶液に二日間浸透させることによって凍結防止処理を行い、Surgipath(商品名:ライカバイオシステム社製)に封入した後に使用まで−80℃で保管した。脳切片は40μMの厚みで凍結切片を作製した。
切片はリン酸緩衝液PBSTにて洗浄した後に10mg/mlのプロテナーゼK処理10分間処理し、10分間の4%ホルムアルデヒド後固定、メタノール後固定を37℃で行った。その後、pH8.0の0.1M トリエタノールアミンと0.25%無水酢酸によってアセチル化を20分行った。
洗浄後に切片は30%ホルムアミド、10%デキストラン硫酸、5XSSC、10mMクエン酸、0.1%Tween、50ug/mlヘパリン、1xデンハート溶液を含むハイブリダイゼーションバッファーで10分間37℃でハイブリダイゼーション前処理を行った。
その後、表3に示す1nMのPenk−S41スプリットイニシエータープローブを含むハイブリダイゼーションバッファーに移して37℃で一晩インキュベートした。その後、切片は5XSSCT/30%ホルムアミドで10分間3回洗浄し、さらに5XSSCTで10分間3回洗浄した。
In situ HCR反応では3μMのAtto390(商品名:ATTO Technology社製)、フルオロセリン(商品名FAM:フナコシ株式会社製)。Atto488(商品名:ATTO Technology社製)、Atto550(商品名:ATTO Technology社製)、Atto565(商品名:ATTO Technology社製)、Alexa 488(商品名:Thermo Fisher Scientific社製)、Alexa 568(商品名:Thermo Fisher Scientific社製)、Alexa 647(商品名:Thermo Fisher Scientific社製)のいずれかで標識したS41ヘアピンDNA(表2)溶液をスナップクールしてから用いた。切片は10%デキストラン硫酸を含む5xSSCT増幅バッファーに60nMのヘアピンDNA濃度となるように調整した溶液内で45分、2時間、一晩で25℃でインキュベートした。その後、切片は5XSSCTとPBSTによって3回洗浄した。
染色した組織切片の蛍光写真はA1R共焦点検出系を備えたNikon Eclipe Ni顕微鏡によって20,40倍の対物レンズ下で撮影した。画像はImageJによって解析した。蛍光写真の定量は同じ閾値とコントラスト調整によって行った。
実施例3で行ったマイクロチューブにおけるHCR反応では蛍光色素の種類が反応効率に影響を与えたため、上述の手順に従いPenk mRNA検出における蛍光色素の影響について検討した。自家蛍光や検出条件は蛍光色素が持つ色波長によって変わるものの、Penk陽性細胞はAtto390,alexa488,Atto488,Atto550,Atto565,alexa647で標識したヘアピンDNAによって検出することが出来た(図4)。最も明るいシグナルはalexa488,Atto550,alexa647の組み合わせの時に得られ、これらの結果はマイクロチューブにおけるHCR反応系の結果と一致した。プローブのPAGE精製によって、未精製のプローブを用いた場合よりも蛍光強度は上昇した。
実施例6.希少なmRNA検出におけるHCR反応の感度
全ての動物実験は東邦大学実験動物委員会のガイドラインに従って行い、東邦大学実験動物委員会によって手順が承認されたものである(承認番号19−51−405)。C57/BL6系統マウスの交配ペアは日本エスエルシー株式会社及び日本クレア株式会社から購入した。マウスは大学内の繁殖コロニー内で12時間の明暗サイクルと23±2℃、55%プラスマイナス5%湿度の制御条件下で飼育した。20−30週齢の雄マウス脳をサンプリングした。再現性を確認するために、それぞれの実験で3匹ずつのマウスを用いた。マウスは50mg/mlペントバルビタールナトリウム腹腔内投与によって深麻酔し、経心的に4%パラホルムアルデヒドリン酸バッファーによって灌流固定した。取り出した脳は4%ホルムアルデヒドで4℃で一晩後固定し、30%スクロース溶液に二日間浸透させることによって凍結防止処理を行い、Surgipath(商品名:ライカバイオシステム社製)に封入した後に使用まで−80℃で保管した。脳切片は40μMの厚みで凍結切片を作製した。
切片はリン酸緩衝液PBSTにて洗浄した後に10mg/mlのプロテナーゼK処理10分間処理し、10分間の4%ホルムアルデヒド後固定、メタノール後固定を37℃で行った。その後、pH8.0の0.1M トリエタノールアミンと0.25%無水酢酸によってアセチル化を20分行った。
洗浄後に切片は30%ホルムアミド、10%デキストラン硫酸、5XSSC、10mMクエン酸、0.1%Tween、50ug/mlヘパリン、1xデンハート溶液を含むハイブリダイゼーションバッファーで10分間37℃でハイブリダイゼーション前処理を行い、その後、表3に示す1nMのOxtr−S23スプリットイニシエータープローブを含むハイブリダイゼーションバッファーに移して37℃で一晩インキュベートした。その後、切片は5XSSCT/30%ホルムアミドで10分間3回洗浄し、さらに5XSSCTで10分間3回洗浄した。
In situ HCR反応では3μMのAtto550標識S23ヘアピンDNA溶液をスナップクールしてから用いた。切片は10%デキストラン硫酸を含む5xSSCT増幅バッファーに60nMのヘアピンDNA濃度となるように調整した溶液内で一晩25℃でインキュベートした。その後、切片は5XSSCTとPBSTによって3回洗浄した。
In situ HCR法と従来の酵素ベースのISH法を比較するため、酵素ベースISH法についても二種類検討した。oxtr遺伝子のcDNA断片を大腸菌にクローニングし、cDNA断片をPCR法にてSP6プロモーター領域と共に増幅した後にin vivo転写によってジコキシゲニン(以下、DIGと言う)標識UTPと共にSP6RNAポリメラーゼによってDIG標識したRNAプローブを得た。RNAプローブは塩化リチウム沈殿法により精製した。プローブはアルカリ加水分解法によって平均500塩基長に分解した。このプローブを1μg/mlで用い、50%ホルムアミド,5×SSC,5mMEDTA(pH8.0),0.2mg/mlyeasttRNA,0.2%Tween−20,0.2%ドデシル硫酸ナトリウム,10%デキストラン硫酸,0.1mg/mlヘパリンを含むハイブリダイゼーションバッファー内で57℃で一晩反応させた。切片は2XSSC/50%ホルムアミドで57℃で10分2回洗浄し、RNAseA酵素処理(20ug/ml)を37℃30分、2XSSCおよび0.2XSSCによる洗浄を10分ずつ2回37℃で洗浄した。その後、アルカリフォスファターゼ標識DIG抗体またはペルオキシダーゼ標識DIG抗体(それぞれ5000,10000倍希釈)で2時間室温で反応させた。アルカリフォスファターゼ標識した切片はBCIP/NBT溶液で3日間室温で発色させた。ペルオキシダーゼ標識した切片はAlexa568チラミドを用いて30分発色させた。
染色した組織切片の蛍光写真はA1R共焦点検出系を備えたNikon Eclipe Ni顕微鏡によって20,40倍の対物レンズ下で撮影した。明視野標本の撮影はSony a7sカメラによってNikon AZ−100顕微鏡によって取得した。画像はImageJによって解析した。蛍光写真の定量は同じ閾値とコントラスト調整によって行った。
上述の手順により、In situ HCRではOxtr mRNAのシグナルをBNSTrhやMNで検出でき、また弱いながらもBNSTprやMPOAでも検出できた(図5A,D)。チラミド増感法ではBNSTにおける検出は出来ず(図5B,E)、BCIP/NBTによる検出ではin situ HCR法と同様なOxtr陽性細胞の分布を確認できたが、シグナルは弱く細胞内局在は不正確であった(図5C,F)。ほとんどのHCRシグナルは細胞の核周辺で観察され(図5G)、チラミド増感においてはBNSTにおいては非常に低いシグナルノイズ比となった(図5H)。
実施例7.in situ HCRと免疫染色の二重染色
全ての動物実験は東邦大学実験動物委員会のガイドラインに従って行い、東邦大学実験動物委員会によって手順が承認されたものである(承認番号19−51−405)。C57/BL6系統マウスの交配ペアは日本エスエルシー株式会社及び日本クレア株式会社から購入した。マウスは大学内の繁殖コロニー内で12時間の明暗サイクルと23±2℃、55%プラスマイナス5%湿度の制御条件下で飼育した。220−30週齢の雌マウスをc−Fos免疫染色実験のため仔マウス提示の2時間後に脳をサンプリングした。再現性を確認するために、それぞれの実験で3匹ずつのマウスを用いた。マウスは50mg/mlペントバルビタールナトリウム腹腔内投与によって深麻酔し、経心的に4%パラホルムアルデヒドリン酸バッファーによって灌流固定した。取り出した脳は4%ホルムアルデヒドで4℃で一晩後固定し、30%スクロース溶液に二日間浸透させることによって凍結防止処理を行い、Surgipath(商品名:ライカバイオシステム社製)に封入した後に使用まで−80℃で保管した。脳切片は40μMの厚みで凍結切片を作製した。
切片はリン酸緩衝液PBSTにて洗浄した後に10mg/mlのプロテナーゼK処理10分間もしくは無処理し、10分間の4%ホルムアルデヒド後固定、メタノール後固定を37℃で行った。その後、pH8.0の0.1Mトリエタノールアミンと0.25%無水酢酸によってアセチル化を20分行った。
洗浄後に切片は30%ホルムアミド、10%デキストラン硫酸、5XSSC、10mMクエン酸、0.1%Tween、50ug/mlヘパリン、1xデンハート溶液を含むハイブリダイゼーションバッファーで10分間37℃でハイブリダイゼーション前処理を行い、その後、表3に示す1nMのVglut2−S41スプリットイニシエータープローブを含むハイブリダイゼーションバッファーに移して37℃で2時間インキュベートした。その後、切片は5XSSCT/30%ホルムアミドで10分間3回洗浄し、さらに5XSSCTで10分間3回洗浄した。
In situ HCR反応では3μMのAlexa647標識S41ヘアピンDNA溶液をスナップクールしてから用いた。切片は10%デキストラン硫酸を含む5xSSCT増幅バッファーに60nMのヘアピンDNA濃度となるように調整した溶液内で45分、2時間、一晩で25℃でインキュベートした。その後、切片は5XSSCTとPBSTによって3回洗浄した。HCR反応の後に0.8%BlockAce/PBSTによってブロッキング処理を行い、0.4%BlockAce入りの2500倍希釈の抗c−Fos抗体によって4℃で一晩反応させた。3回のPBST洗浄後にAlexa488標識抗ウサギ抗体によって1時間発色させた。切片はスライドガラスにマウントし、退色防止剤とともにカバーガラスをかけた。
染色した組織切片の蛍光写真はA1R共焦点検出系を備えたNikon Eclipe Ni顕微鏡によって20,40倍の対物レンズ下で撮影した。画像はImageJによって解析した。蛍光写真の定量は同じ閾値とコントラスト調整によって行った。
プロテナーゼK処理はISHやin situ HCRにおいて用いられてきており、タンパク質を壊すことでRNAやDNAプローブ、ヘアピンDNAの浸透を改善することができる。しかし、プロテナーゼK処理はc−Fosのような内在性の蛋白質も壊してしまう。c−Fosは神経活動のマーカーとして共通に用いられてきており、ISHと免疫染色を組み合わせる際の制限となってきた。我々のin situ HCRではこれまでのDNAよりも短いヘアピンDNAを用いているため、プロテナーゼK処理は不要であると予想された。上述の手順に従い、42塩基のヘアピンDNAを用いた場合にはプロテナーゼK処理をしなくてもプロテナーゼK処理をした場合と同様にVglut2 mRNAをMPOAやPVTにおいて検出することが出来た(図6D)。
c−Fosタンパクの発現は雌マウスが養育行動を行う際にMPOAにおいて観察することが出来る。プロテナーゼK処理をしなかった場合、MPOAやPVTにおいて豊富にc−Fos陽性細胞を検出することが出来たが、プロテナーゼK処理によってc−Fos陽性細胞は劇的に減少した(図6AB)。Vglut2 mRNA陽性細胞はMPOAにバラバラに分布していたが、多くのVglut2陽性細胞はc−Fos陽性ではなかった。
実施例8.複数の標的mRNAを同時に検出するin situ HCR法
全ての動物実験は東邦大学実験動物委員会のガイドラインに従って行い、東邦大学実験動物委員会によって手順が承認されたものである(承認番号19−51−405)。C57/BL6系統マウスの交配ペアは日本エスエルシー株式会社及び日本クレア株式会社から購入した。マウスは大学内の繁殖コロニー内で12時間の明暗サイクルと23±2℃、55%プラスマイナス5%湿度の制御条件下で飼育した。20−30週齢の雄マウス脳をサンプリングした。再現性を確認するために、それぞれの実験で3匹ずつのマウスを用いた。マウスは50mg/mlペントバルビタールナトリウム腹腔内投与によって深麻酔し、経心的に4%パラホルムアルデヒドリン酸バッファーによって灌流固定した。取り出した脳は4%ホルムアルデヒドで4℃で一晩後固定し、30%スクロース溶液に二日間浸透させることによって凍結防止処理を行い、Surgipath(商品名:ライカバイオシステム社製)に封入した後に使用まで−80℃で保管した。脳切片は40μMの厚みで凍結切片を作製した。
切片はリン酸緩衝液PBSTにて洗浄した後に10分間の4%ホルムアルデヒド後固定、メタノール後固定を37℃で行った。その後、pH8.0の0.1Mトリエタノールアミンと0.25%無水酢酸によってアセチル化を20分行った。
洗浄後に切片は30%ホルムアミド、10%デキストラン硫酸、5XSSC、,10mMクエン酸、0.1%Tween、50ug/mlヘパリン、1xデンハート溶液を含むハイブリダイゼーションバッファーで10分間37℃でハイブリダイゼーション前処理を行い、その後、表3に示す1nMのPenk−S10,Drd1−S25,Drd2−S23全てのスプリットイニシエータープローブを含むハイブリダイゼーションバッファーに移して37℃で一晩インキュベートした。その後、切片は5XSSCT/30%ホルムアミドで10分間3回洗浄し、さらに5XSSCTで10分間3回洗浄した。
In situ HCR反応では3μMのAlexa488標識S23ヘアピンDNA,Atto565標識S10ヘアピンDNA,Alexa647標識S25ヘアピンDNA溶液をスナップクールしてから用いた。切片は10%デキストラン硫酸を含む5xSSCT増幅バッファーに各ヘアピンDNAが60nMとなるように全てを混ぜた溶液内で2時間25℃でインキュベートした。その後、切片は5XSSCTとPBSTによって3回洗浄した。
染色した組織切片の蛍光写真はA1R共焦点検出系を備えたNikon Eclipe Ni顕微鏡によって20,40倍の対物レンズ下で撮影した。画像はImageJによって解析した。蛍光写真の定量は同じ閾値とコントラスト調整によって行った。
上述の手順により、2時間のHCR増幅反応後に、Drd1,Drd2,Penk mRNAを異なる蛍光色素によって標識したヘアピンDNAと対応するプローブによってマウス線条体において同時に検出することが出来た(図7)。Drd1とDrd2 mRNAは豊富に線条体に発現していたが、Drd1とDrd2の両方を発現している細胞はほとんど見つからなかった。対照的にほとんどのDrd2陽性細胞はPenk陽性でもあった。高解像度で観察した際にDrd2の蛍光シグナルはPenkの蛍光シグナルとは細胞内分布が異なっていた。
実施例9.同一の標的mRNAを異なるヘアピンDNAで異なる色素で検出するin situ HCR法
全ての動物実験は東邦大学実験動物委員会のガイドラインに従って行い、東邦大学実験動物委員会によって手順が承認されたものである(承認番号19−51−405)。C57/BL6系統マウスの交配ペアはから購入した。マウスは大学内の繁殖コロニー内で12時間の明暗サイクルと23±2℃、55%プラスマイナス5%湿度の制御条件下で飼育した。20−30週齢の雄マウス脳をサンプリングした。再現性を確認するために、それぞれの実験で3匹ずつのマウスを用いた。マウスは50mg/mlペントバルビタールナトリウム腹腔内投与によって深麻酔し、経心的に4%パラホルムアルデヒドリン酸バッファーによって灌流固定した。取り出した脳は4%ホルムアルデヒドで4℃で一晩後固定し、30%スクロース溶液に二日間浸透させることによって凍結防止処理を行い、Surgipath(商品名:ライカバイオシステム社製)に封入した後に使用まで−80℃で保管した。脳切片は40μMの厚みで凍結切片を作製した。
切片はリン酸緩衝液PBSTにて洗浄した後に10分間の4%ホルムアルデヒド後固定、メタノール後固定を37℃で行った。その後、pH8.0の0.1Mトリエタノールアミンと0.25%無水酢酸によってアセチル化を20分行った。
洗浄後に切片は30%ホルムアミド、10%デキストラン硫酸、5XSSC、10mMクエン酸、0.1%Tween、50ug/mlヘパリン、1xデンハート溶液を含むハイブリダイゼーションバッファーで10分間37℃でハイブリダイゼーション前処理を行い、その後、表3に示す1nMのMoxd1−S41とMoxd1−S25の二つのスプリットイニシエータープローブを含むハイブリダイゼーションバッファーに移して37℃で一晩インキュベートした。その後、切片は5XSSCT/30%ホルムアミドで10分間3回洗浄し、さらに5XSSCTで10分間3回洗浄した。
In situ HCR反応では3μMのAtto550標識S41ヘアピンDNA,Alexa647標識S25ヘアピンDNA溶液をスナップクールしてから用いた。切片は10%デキストラン硫酸を含む5xSSCT増幅バッファーに各ヘアピンDNAが60nMとなるように全てを混ぜた溶液内で45分間25℃でインキュベートした。その後、切片は5XSSCTとPBSTによって3回洗浄した。
染色した組織切片の蛍光写真はA1R共焦点検出系を備えたNikon Eclipe Ni顕微鏡によって100倍の対物レンズ下で撮影した。明視野標本の撮影はSony a7sカメラによってNikon AZ−100顕微鏡によって取得した。画像はImageJによって解析した。蛍光写真の定量は同じ閾値とコントラスト調整によって行った。
上述の手順により、S41とS25双方のヘアピンDNAはMoxd1陽性細胞を検出することが出来、その分布は先行研究にも一致していた。高倍率像で観察した際に、ほとんどのAtto550とalexa647のシグナルは細胞内で一致しており、顆粒状に観察された(図8)。76.9%のAtto550の顆粒はalexa647のシグナルが重なり、同様に74.8%のalexa647顆粒はAtto550のシグナルと重なっていた(それぞれ、合計で247,254個の顆粒について検討した)。
実施例10.短鎖ヘアピンDNAと長鎖ヘアピンDNAのHCR反応誘導の比較
全ての動物実験は東邦大学実験動物委員会のガイドラインに従って行い、東邦大学実験動物委員会によって手順が承認されたものである(承認番号19−51−405)。C57/BL6系統マウスの交配ペアは日本エスエルシー株式会社及び日本クレア株式会社から購入した。マウスは大学内の繁殖コロニー内で12時間の明暗サイクルと23±2℃、55%プラスマイナス5%湿度の制御条件下で飼育した。20−30週齢の雄マウスを用いた。再現性を確認するために、それぞれの実験で3匹ずつのマウスを用いた。マウスは50mg/mlペントバルビタールナトリウム腹腔内投与によって深麻酔し、経心的に4%パラホルムアルデヒドリン酸バッファーによって灌流固定した。取り出した脳は4%ホルムアルデヒドで4℃で一晩後固定し、30%スクロース溶液に二日間浸透させることによって凍結防止処理を行い、Surgipath(商品名:ライカバイオシステム社製に封入した後に使用まで−80℃で保管した。脳切片は40μMの厚みで凍結切片を作製した。
切片はリン酸緩衝液PBSTにて洗浄した後に10分間の4%ホルムアルデヒド後固定、メタノール後固定を37℃で行った。その後、pH8.0の0.1Mトリエタノールアミンと0.25%無水酢酸によってアセチル化を20分行った。
洗浄後に切片は30%ホルムアミド、10%デキストラン硫酸、5XSSC、10mMクエン酸、0.1%Tween、50ug/mlヘパリン、1xデンハート溶液を含むハイブリダイゼーションバッファーで10分間37℃でハイブリダイゼーション前処理を行い、その後、短鎖ヘアピン用のプローブとして表3に示すPenk−S41、Vglut2−S41、Nts−S41、Penk−S10いずれかの1nMのスプリットイニシエータープローブを含むハイブリダイゼーションバッファーに移して37℃で一晩インキュベートした。また、長鎖ヘアピン用のプローブとして表4に示すPenk−B1,Vglut2−B1,Nts−B1,Vglut2−B2,Nts−B2(非特許文献2)いずれかの1nMのスプリットイニシエータープローブを含むハイブリダイゼーションバッファーに移して37℃で一晩インキュベートするものも用意した。その後、切片は5XSSCT/30%ホルムアミドで10分間3回洗浄し、さらに5XSSCTで10分間3回洗浄した。
Figure 2021193934
Figure 2021193934
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In situ HCR反応では3μMのヘアピンDNA溶液をスナップクールしてから用いた。用いたヘアピンDNAは短鎖ヘアピンDNAとしてS41とS10であり、それぞれAtto550またはAlexa647で標識してある。長鎖ヘアピンDNAとしてB1とB2であり(非特許文献2)、同様にAtto550またはAlexa647で標識してある。切片は10%デキストラン硫酸を含む5xSSCT増幅バッファーに60nMのヘアピンDNA濃度となるように調整した溶液内で2時間25℃でインキュベートした。複数の標的がある場合には全てのヘアピンDNAを同時に加えた。その後、切片は5XSSCTとPBSTによって3回洗浄した。
本発明で用いた42塩基長のDNA(S41およびS10)と非特許文献2で用いられている72塩基長のDNA(B1およびB2)によるPenk,Vglut2,Nts mRNAの検出感度比較を上述の通り行った。全てのヘアピンDNAはAtto550もしくはAlexa647で標識した。その結果、どちらの長さのヘアピンDNAで検出した場合でも細胞の分布パターンに変化はなかったが、42塩基長のヘアピンDNAはいずれの条件でも72塩基長のヘアピンDNAよりも強い蛍光シグナルが観察された(図9)。以上から、42塩基長のヘアピンDNAは非特許文献2で用いられている既存の72塩基長のヘアピンDNAによる増幅効果を大きく上回るものと考えられる。
試験例1 42塩基DNAヘアピンによる効率的なHCR反応
HCR反応を効率的に誘導する最も短いDNAヘアピンの配列を見つけるために、我々は10kb以上のHCR産物の有無に基づいて系統的に異なった長さのヘアピンDNAについて実施例3に従って検討した。これまで共通に用いられてきたDNAヘアピンは72塩基で、そのうち12塩基のトーホールド、24塩基のステム、12塩基のループ部位を含んでいるため、我々は最初に6塩基のトーホールド、12塩基のステム、6塩基のループ部位を含む表2に示す36塩基のDNAを7セット試した。イニシエーターDNAが高濃度の場合でも2時間の反応では10kb以上の産物は生成されず、多くの未反応ヘアピンDNAが残った(図2A)。そのため、36塩基のヘアピンDNAはHCR反応を起こすには短すぎる。
次に我々は8,9,10塩基いずれかのトーホールドとループ部位と12塩基のステムを持つ表2に示すヘアピンDNAについて検討した。9もしくは10塩基のトーホールド/ループ部位によって10kb以上の産物が生成され、未反応ヘアピンDNAは非常に少なかった(図2A)。2時間の反応では9塩基と10塩基のトーホールド/ループ部位の間には明らかな反応の差異は認められなかったことから、9塩基のトーホールド/ループが効率的なHCRの誘導に十分であると示唆された。この結果はNUPACKによるシミュレーション結果と一致する。以上より、我々は以後42塩基のDNAヘアピンを用いることにした。
試験例2 ステム配列とステムからループへの移行がヘアピンの安定性に影響する
42塩基のヘアピンDNAの安定性はステムの配列とその長さに大きく影響する。表1は異なるGC含量における、イニシエーターDNA無しでHCR産物ができる量(リーク産物量、非特異的反応)を示す。ステム部位の片側における合計GC含量ではなくGもしくはCの塩基数の偏りはリーク産物量を減らし、一方で偏りの少ないGCではリーク産物量が増えた。このようなGとCの塩基数の差は電気泳動のバンドの強さで判定したリーク産物量と有意に相関していた(表1)。
加えて、ステムとループの移行部位の1−2塩基のずれがリーク産物量を減らすことがあった(図1Dを参照)。例えば、1塩基のズレの場合はトーホールドは9塩基でステムは13塩基、ループは7塩基となる。これは本来9塩基であったループ部位の両端の1塩基が相補結合することで二本鎖であるステム部位が延長したとみなせる。一方、このようなズレはヘアピンの過剰な安定性を招くこともあり、反応効率が落ちる場合もあった。このため、本研究で用いた42塩基のヘアピンDNAは全てが同じステムやループ長を持つわけではなく、ヘアピンDNAによって異なっている。
試験例3 標識する蛍光色素がHCR反応効率に影響する
我々は蛍光色素がマイクロチューブにおけるHCR反応効率に影響するかについて実施例3に従って検討した。FAM,Atto390,Atto488,Atto550,Alexa488,Alexa647をヘアピンDNAに標識した場合にはHCR反応を阻害しなかったが、Atto565やalexa568の標識によって反応効率が減少した(図2b)。Atto565やAlexa568標識ヘアピンDNAは1:200比のイニシエーター:ヘアピンDNA反応系においてごくわずかな量の10kb産物しか見られず、多量のヘアピンDNAが未反応であった(図2B)。また、標識に用いるアミノリンカーの種類が蛍光標識後のHCR反応効率に影響するかについても検討した。その結果、Atto550でDNAを標識した場合に6原子長のアミノリンカーでは反応が阻害されたが、ssHリンカーを用いた場合には反応阻害は見られなかった。
本発明により、優れた感度を持ったIn situ HCR、当該方法に用いる増感剤が提供される。
BNST:分界条床核
BNSTpr:BNSTの主核
BNSTrh:BNSTの菱形核
LOPA:外側視索前野
MN:大細胞核
MPOA:内側視索前野
LPOA:外側視索前野
PN :視床傍紐核
PVT:視床室傍核

Claims (18)

  1. 生体内の標的分析物を特定するin situ ハイブリダイゼーション方法において、
    (A)標的分析物を含む試料を、標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアと結合させる工程、
    (B)前記(A)工程の生成物に、蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアを添加し、ハイブリダイゼーション連鎖反応を開始させることにより、前記プローブに結合した短鎖ヘアピンの増幅産物を生成させる工程;および
    (C)前記増幅産物の蛍光標識体を検出することにより、生体組織中の標的分析物を同定することを特徴とする方法。
  2. H1配列を含む短鎖ヘアピンがイニシエーター配列も含む請求項1記載の方法。
  3. 短鎖ヘアピンが42塩基からなるDNAヘアピンである請求項1または請求項2記載の方法。
  4. 短鎖ヘアピンのステム部位のグアニンおよびシトシンの割合に偏りがあることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項記載の方法。
  5. 短鎖ヘアピンのループ部位末端の1−2塩基が相補配列であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の方法。
  6. 短鎖ヘアピンのトーホールド部位が9塩基であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項記載の方法。
  7. プロテナーゼK処理を用いずに、生体組織中の標的分析物を同定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項記載の方法。
  8. 短鎖ヘアピンと蛍光標識体を結合させるアミノリンカーがssHであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項記載の方法。
  9. 短鎖ヘアピンペアの塩基配列が、H1が配列番号1でH2が配列番号2であるS10、H1が配列番号3でH2が配列番号4であるS23、H1が配列番号5でH2が配列番号6であるS25、H1が配列番号7でH2が配列番号8であるS38、H1が配列番号9でH2が配列番号10であるS40、H1が配列番号11でH2が配列番号12であるS41、H1が配列番号13でH2が配列番号14であるS45、H1が配列番号15でH2が配列番号16であるS46、H1が配列番号17でH2が配列番号18であるS62、H1が配列番号19でH2が配列番号20であるS68、H1が配列番号21でH2が配列番号22であるS71、H1が配列番号23でH2が配列番号24であるS72、H1が配列番号25でH2が配列番号26であるS73、H1が配列番号27でH2が配列番号28であるS74、H1が配列番号29でH2が配列番号30であるS76、H1が配列番号31でH2が配列番号32であるS78、H1が配列番号33でH2が配列番号34であるS81、H1が配列番号35でH2が配列番号36であるS83、H1が配列番号37でH2が配列番号38であるS85またはH1が配列番号39でH2が配列番号40であるS86のいずれか一つである請求項1から請求項8のいずれか1項記載の方法。
  10. 短鎖ヘアピンの蛍光標識体が、Alexa488、Atto550またはAlexa647のいずれか一つである請求項1から請求項9記載のいずれか1項記載の方法。
  11. 互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ短鎖ヘアピンペアからなるハイブリダイゼーション連鎖反応用増幅剤。
  12. H1配列を含む短鎖ヘアピンがイニシエーター配列も含む請求項11記載の増幅剤。
  13. 短鎖ヘアピンが42塩基からなるDNAヘアピンである請求項11または請求項12記載の増幅剤。
  14. 短鎖ヘアピンのステム部位のグアニンおよびシトシンの割合に偏りがあることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項記載の増幅剤。
  15. 短鎖ヘアピンペアの塩基配列が、H1が配列番号1でH2が配列番号2であるS10、H1が配列番号3でH2が配列番号4であるS23、H1が配列番号5でH2が配列番号6であるS25、H1が配列番号7でH2が配列番号8であるS38、H1が配列番号9でH2が配列番号10であるS40、H1が配列番号11でH2が配列番号12であるS41、H1が配列番号13でH2が配列番号14であるS45、H1が配列番号15でH2が配列番号16であるS46、H1が配列番号17でH2が配列番号18であるS62、H1が配列番号19でH2が配列番号20であるS68、H1が配列番号21でH2が配列番号22であるS71、H1が配列番号23でH2が配列番号24であるS72、H1が配列番号25でH2が配列番号26であるS73、H1が配列番号27でH2が配列番号28であるS74、H1が配列番号29でH2が配列番号30であるS76、H1が配列番号31でH2が配列番号32であるS78、H1が配列番号33でH2が配列番号34であるS81、H1が配列番号35でH2が配列番号36であるS83、H1が配列番号37でH2が配列番号38であるS85およびH1が配列番号39でH2が配列番号40であるS86の少なくともいずれか一つである請求項11から14のいずれか1項記載の増幅剤。
  16. 生体内の標的分析物を特定するin situ ハイブリダイゼーション方法において、
    (A)複数の異なる標的分析物を含む試料を、複数の異なる標的分析物の配列に相補的な配列を有するスプリット−イニシエータープローブペアと結合させる工程、
    (B)前記(A)工程の生成物に、蛍光標識体を含み互いに相補的なH1配列またはH2配列を持つ複数の異なる短鎖ヘアピンペアを添加し、ハイブリダイゼーション連鎖反応を開始させることにより、前記プローブに結合した短鎖ヘアピンの増幅産物を生成させる工程;および
    (C)前記増幅産物の蛍光標識体を検出することにより、生体組織中の異なる複数の標的分析物を同定することを特徴とする方法。
  17. 短鎖ヘアピンが42塩基からなるDNAヘアピンである請求項16記載の方法。
  18. 複数の異なる短鎖ヘアピンペアの塩基配列が、H1が配列番号1でH2が配列番号2であるS10、H1が配列番号3でH2が配列番号4であるS23、H1が配列番号5でH2が配列番号6であるS25、H1が配列番号7でH2が配列番号8であるS38、H1が配列番号9でH2が配列番号10であるS40、H1が配列番号11でH2が配列番号12であるS41、H1が配列番号13でH2が配列番号14であるS45、H1が配列番号15でH2が配列番号16であるS46、H1が配列番号17でH2が配列番号18であるS62、H1が配列番号19でH2が配列番号20であるS68、H1が配列番号21でH2が配列番号22であるS71、H1が配列番号23でH2が配列番号24であるS72、H1が配列番号25でH2が配列番号26であるS73、H1が配列番号27でH2が配列番号28であるS74、H1が配列番号29でH2が配列番号30であるS76、H1が配列番号31でH2が配列番号32であるS78、H1が配列番号33でH2が配列番号34であるS81、H1が配列番号35でH2が配列番号36であるS83、H1が配列番号37でH2が配列番号38であるS85およびH1が配列番号39でH2が配列番号40であるS86の少なくともいずれか2つ以上の組み合わせである請求項16または請求項17に記載の方法。
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