JP2021190312A - 車両用灯具 - Google Patents
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Abstract
【課題】単純な構成で、複数の箇所を所定の光量とする明るさ分布のオーバーヘッド配光パターン部を形成することのできる車両用灯具を提供する。【解決手段】車両用灯具1は、光源51から入射された光を照射する照射レンズ52を有するユニット(50)を備える。照射レンズ52は、光源51から入射された光の一部であって直に出射面54に向かう直射光と、光源51から入射された光の他部であって内部で反射してから出射面54に向かう反射光と、を照射することで所望の配光パターン(第5ロー配光パターンLP5)を形成し、出射面54では、直射光の一部と反射光の一部とが入射する位置に、オーバーヘッド配光パターン部OHPを形成するOH出射面部54dが設けられている。【選択図】図4
Description
本開示は、車両用灯具に関する。
車両用灯具は、光源からの光を用いて、所望の箇所を照明する所望の配光パターンを形成するとともに、上方の標識等を照らすオーバーヘッド(OH)配光パターン部を形成するものが考えられている(例えば、特許文献1等参照)。
この車両用灯具は、光源からの光を照射レンズで照射することで所望の配光パターンを形成するとともに、その照射レンズの外縁部に補助レンズを設けることでOH配光パターン部を形成しており、所望の箇所に加えて対向車等の上方の視認性を向上させる。
ここで、上記の車両用灯具は、OH配光パターン部において複数の箇所で所定の光量を満たすことが求められるので、補助レンズの出射面の一部にプリズムを設けることで、求められる明るさ分布の形成を可能としている。このため、上記の車両用灯具は、照射レンズの外縁部に補助レンズを設けるとともに、その補助レンズの出射面の一部にプリズムを設ける必要があるので、照射レンズが複雑な構成となり、改善の余地がある。
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、単純な構成で、複数の箇所を所定の光量とする明るさ分布のオーバーヘッド配光パターン部を形成することのできる車両用灯具を提供することを目的とする。
本開示の車両用灯具は、光源から入射された光を照射する照射レンズを有するユニットを備え、前記照射レンズは、前記光源から入射された光の一部であって直に出射面に向かう直射光と、前記光源から入射された光の他部であって内部で反射してから前記出射面に向かう反射光と、を照射することで所望の配光パターンを形成し、前記出射面では、前記直射光の一部と前記反射光の一部とが入射する位置に、オーバーヘッド配光パターン部を形成するオーバーヘッド出射面部が設けられていることを特徴とする。
本開示の車両用灯具によれば、単純な構成で、複数の箇所を所定の光量とする明るさ分布のオーバーヘッド配光パターン部を形成することができる。
以下に、本開示に係る車両用灯具の一実施形態としての車両用灯具1の実施例1について図1から図34を参照しつつ説明する。なお、各照射レンズを横断面で示す図8、図9、図14、図24、図25、図26と、各照射レンズを縦断面で示す図19、図20と、では、煩雑となることを避けるために断面を示すハッチを省略している。また、各配光パターンまたは各照射パターンを示す図3、図5、図7、図11、図12、図13、図16、図17、図18、図21、図22、図23、図28、図29、図30、図31、図33、図34では、車両用灯具1による照射の中心位置Oを原点として水平線Hと鉛直線Vとが交差するスクリーン上で、明るさの分布を中に向かうほど明るさが高くなる等高線のように示している。それらのスクリーン上を示す各図では、水平線Hを中心とする角度(上側を+)を右端に示すとともに、鉛直線Vを中心とする角度(右側を+)を下端に示している。
車両用灯具1は、自動車等の車両に用いられる灯具として用いられるもので、例えば、ヘッドランプやフォグランプ等に用いられる。車両用灯具1は、複数のユニット(10、20、30、40、50、60、70)で構成されたユニット群2(図1参照)を有する。車両用灯具1は、ユニット群2が車両の前部の左右両側で、ランプハウジングの開放された前端がアウターレンズで覆われて形成される灯室に、上下方向用光軸調整機構や左右方向用光軸調整機構を介して設けられる。以下の説明では、車両用灯具1において、光を照射する方向を前後方向(図面ではZとする)とし、前後方向を水平面に沿う状態とした際の鉛直方向を上下方向(図面ではYとする)とし、前後方向および上下方向に直交する方向(水平方向)を左右方向(図面ではXとする)とする。この前後方向の前側は、車両用灯具1において車両前方を指し示す。
車両用灯具1は、図1に示すように、ユニット群2において、第1ローユニット10と第2ローユニット20と第3ローユニット30と第4ローユニット40と第5ローユニット50と右側ハイユニット60と左側ハイユニット70が設けられている。この車両用灯具1は、5つのローユニット(10、20、30、40、50)を同時に点灯することですれ違い用照射パターンLP(図33参照)を形成し、2つのハイユニット(60、70)を同時に点灯することで後述する走行用照射パターンHP(図34参照)を形成する。なお、車両用灯具1は、走行用照射パターンHPを形成する際には、すれ違い用照射パターンLPも併せて形成する。7つのユニットは、各レンズ軸が、前後方向に直交させて配置したスクリーン上において、その中心位置O(車両用灯具1による照射の中心位置)に略一致されている。そのレンズ軸は、各ユニットにおける光学的な中心となる軸線である。以下では、第1ローユニット10のものをレンズ軸La1とし、第2ローユニット20のものをレンズ軸La2とし、第3ローユニット30のものをレンズ軸La3とする。また、第4ローユニット40のものをレンズ軸La4とし、第5ローユニット50のものをレンズ軸La5とし、右側ハイユニット60のものをレンズ軸La6とし、左側ハイユニット70のものをレンズ軸La7とする。
第1ローユニット10は、図1、図2に示すように、光源11と照射レンズ12とを有する。光源11は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成され、基板3に実装されている。その基板3は、平板状とされている。実施例1の基板3は、残りの各ユニット(20から70)の後述する各光源(21、31、41、51、61、71)も併せて実装されるもので、7つのユニットに対応する大きさの平板状とされている。光源11は、点灯制御回路から電力が供給されて適宜点灯される。
この光源11には、適宜ヒートシンク部材が設けられる。そのヒートシンク部材は、光源11等で発生する熱を外部に逃がす放熱部材であり、熱伝導率の高い金属材料や樹脂材料で形成される。なお、ヒートシンク部材は、基板3が十分に熱を外部に逃がすことができる場合には設けなくてもよい。
照射レンズ12は、光源11の出射光軸上に設けられ、左右方向に伸びつつ上下方向のみに屈折力を持つシリンドリカルレンズを基本として、左右方向に直交する断面で凸レンズとされており、正面視して矩形状とされている(図1参照)。照射レンズ12は、光源11に対向された入射面13と、その反対側に向けられた出射面14と、を有する。実施例1の照射レンズ12は、入射面13と出射面14とが凸面とされている。なお、照射レンズ12は、シリンドリカルレンズを基本とする凸レンズとされていれば、入射面13や出射面14が平坦面でもよく凹面でもよく、実施例1の構成に限定されない。
照射レンズ12は、残りの各ユニットの後述する各照射レンズ(22、32、42、52、62、72)と一体とされてレンズ体4として形成されている(図1参照)。そのレンズ体4は、7つの照射レンズ(12から72)が設けられたレンズ面部5と、そのレンズ面部5から前後御方向の後側に伸びる周壁部6と、を有する。レンズ面部5は、前後方向で見て矩形状とされており、7つの照射レンズ(12から72)が上下二段で左右方向に並べられ、上段に3つの照射レンズ(12から32)が、下段に4つの照射レンズ(42から72)が、それぞれ設けられている。周壁部6は、矩形状のレンズ面部5の4つの外縁から後側に伸びる筒状とされており、後端部を全周に亘って基板3に宛がうことが可能とされている。レンズ体4では、7つの照射レンズ(12から72)を除く箇所に適宜光の透過を阻む塗装や被膜を設けることで、光の漏れや迷光の発生を抑制できる。レンズ体4は、周壁部6の後端部を基板3に宛がった状態で、後側から基板3に通されたネジ部材7がレンズ面部5のネジ穴に嵌め入られることで、基板3と組み付けられる。すると、照射レンズ12は、基板3上の光源11に対して位置決めされる(図2参照)。
照射レンズ12は、基板3上における光源11の近傍に後側焦点F1が設定されている。その照射レンズ12の焦点距離(後側焦点F1までの間隔)は、残りの6つの照射レンズの各焦点距離よりも大きくされている。また、照射レンズ12は、第2ローユニット20および第3ローユニット30の各照射レンズ22、32と比較して、鉛直方向での寸法が大きくされている。これにより、照射レンズ12は、残りの各照射レンズ(22から72)と比較して、光源11の配光像を最も小さくしつつ、光源11からの光を最も狭い範囲内に集めることができる。
照射レンズ12は、光源11からの光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源11の複数の配光像を適宜重ねて形成する。この光学特性は、入射面13や出射面14の曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定できる。照射レンズ12は、設定された光学特性により、スクリーン上において、中心位置O(レンズ軸La1)の近傍で略水平方向に各配光像を並ばせて、それらの上縁で2つの水平カットオフラインを傾斜カットオフラインで繋ぎ合わせるものとする。
第1ローユニット10は、光源11からの光を照射レンズ12により照射することで、図3に示すように、スクリーン上に、第1ロー配光パターンLP1を形成する。この第1ロー配光パターンLP1は、中心位置Oの近傍において水平カットオフラインから傾斜カットオフラインを経て水平カットオフラインに至るカットオフラインCLを有し、その外側(上側)との明暗差が明確とされてカットオフラインCLが鮮明とされている。また、第1ロー配光パターンLP1は、光源11からの光が狭い範囲内に集められることで明るくされており、すれ違い用照射パターンLPにおいて中心位置Oの近傍を最も明るくすることが求められることに対応している。
このように、第1ローユニット10は、光源11から入射された光を照射レンズ12から直に出射させる直射型ユニットとされている。このため、光源11は、直射用光源となり、照射レンズ12は、直射型照射レンズとなる。
第2ローユニット20は、図1、図4に示すように、光源21と照射レンズ22とを有する。光源21は、LED等の発光素子で構成され、上記の光源11と同じ基板3に実装されており、点灯制御回路から電力が供給されて適宜点灯される。照射レンズ22は、左右方向に伸びつつ上下方向のみに屈折力を持つシリンドリカルレンズを基本として、左右方向に直交する断面で凸レンズとされている。照射レンズ22は、正面視して矩系状とされており、上下方向での大きさが照射レンズ12よりも小さくされている(図1参照)。照射レンズ22は、光源21に対向された入射面23と、その反対側に向けられた出射面24と、を有する。実施例1の照射レンズ22は、入射面23と出射面24とが凸面とされている。なお、照射レンズ22は、シリンドリカルレンズを基本とする凸レンズとされていれば、入射面23や出射面24が平坦面や凹面でもよく、実施例1の構成に限定されない。
照射レンズ22は、光源21の出射光軸上に設けられ、レンズ体4が基板3と組み付けられた状態において、基板3上における光源21の近傍に後側焦点F2が設定されている。この照射レンズ22の焦点距離(後側焦点F2までの間隔)は、照射レンズ12の焦点距離よりも小さく、残りの5つの照射レンズ(32から72)の各焦点距離よりも大きくされている。この照射レンズ22は、光源21が光源11と同一の基板3に実装され、照射レンズ12と比較して基板3側すなわち前後方向の後側に設けられており、レンズ体4において照射レンズ12よりも後退した位置とされている(図1参照)。これにより、照射レンズ22は、光源21の配光像を照射レンズ12よりも大きいものであって残りの5つの照射レンズ(32から72)よりも小さくしつつ、光源21からの光を、照射レンズ12よりも広い範囲であって、残りの5つの照射レンズと比較して狭い範囲内に集めることができる。
照射レンズ22は、光源21からの光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源21の複数の配光像を適宜重ねて形成する。この光学特性は、入射面23や出射面24の曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定できる。照射レンズ22は、設定された光学特性により、スクリーン上において、中心位置O(レンズ軸La2)の近傍に上縁を位置させつつ略水平方向に各配光像を並ばせて、第1ロー配光パターンLP1よりも水平方向に大きな範囲に照射させる。
これにより、第2ローユニット20は、光源21からの光を照射レンズ22により照射することで、図5に示すように、スクリーン上に第2ロー配光パターンLP2を形成する。この第2ロー配光パターンLP2は、中心位置Oの近傍において第1ロー配光パターンLP1よりも水平方向に拡がって略水平方向に伸びており、上縁でカットオフラインCLの一部を形成する。また、第2ロー配光パターンLP2は、光源21からの光が狭い範囲内に集められることで明るくされており、すれ違い用照射パターンLPにおいて中心位置Oの近傍を明るくすることが求められることに対応している。
このように、第2ローユニット20は、光源21から入射された光を照射レンズ22から直に出射させる直射型ユニットとされている。このため、光源21は、直射用光源となり、照射レンズ22は、直射型照射レンズとなる。
第3ローユニット30は、図1、図6に示すように、光源31と照射レンズ32とを有する。光源31は、LED等の発光素子で構成され、上記の両光源(11、21)と同じ基板3に実装されており、点灯制御回路から電力が供給されて適宜点灯される。照射レンズ32は、光源31の出射光軸上に設けられ、左右方向に伸びつつ上下方向のみに屈折力を持つシリンドリカルレンズを基本として、左右方向に直交する断面で凸レンズとされている。照射レンズ32は、正面視して矩系状とされており、上下方向での大きさが照射レンズ22よりも小さくされている(図1参照)。照射レンズ32は、光源31に対向された入射面33と、その反対側に向けられた出射面34と、を有する。実施例1の照射レンズ32は、入射面33と出射面34とが凸面とされている。なお、照射レンズ32は、シリンドリカルレンズを基本とする凸レンズとされていれば、入射面33や出射面34が平坦面や凹面でもよく、実施例1の構成に限定されない。
照射レンズ32は、レンズ体4が基板3と組み付けられた状態において、基板3上における光源31の近傍に後側焦点F3が設定されている。この照射レンズ32の焦点距離(後側焦点F3までの間隔)は、照射レンズ22の焦点距離よりも小さく、残りの4つの照射レンズ(42から72)の各焦点距離よりも大きくされている。この照射レンズ32は、光源31が光源11、21と同一の基板3に実装され、照射レンズ12、22と比較して基板3側すなわち前後方向の後側に設けられており、レンズ体4において照射レンズ12、22よりも後退した位置に設けられている(図1参照)。これにより、照射レンズ32は、光源31の配光像を照射レンズ12、22よりも大きいものであって残りの4つの照射レンズ(42から72)よりも小さくしつつ、光源31からの光を、照射レンズ12、22よりも広い範囲であって、残りの4つの照射レンズと比較して狭い範囲内に集めることができる。
照射レンズ32は、光源31からの光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源31の複数の配光像を適宜重ねて形成する。この光学特性は、入射面33や出射面34の曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定できる。照射レンズ32は、設定された光学特性により、スクリーン上において、中心位置O(レンズ軸La3)の近傍に上縁を位置させつつ略水平方向に各配光像を並ばせて、第2ロー配光パターンLP2(図5参照)よりも水平方向に大きな範囲に照射させる。
これにより、第3ローユニット30は、光源31からの光を照射レンズ32により照射することで、図7に示すように、スクリーン上に、第3ロー配光パターンLP3を形成する。この第3ロー配光パターンLP3は、中心位置Oの下方で略水平方向に伸びて第2ロー配光パターンLP2よりも水平方向に拡がっており、上縁でカットオフラインCLの一部を形成する。また、第3ロー配光パターンLP3は、光源31からの光が所定の範囲内に集められることで明るくされており、すれ違い用照射パターンLPにおいて中心位置Oの近傍を明るくすることが求められることに対応している。
このように、第3ローユニット30は、光源31から入射された光を照射レンズ32から直に出射させる直射型ユニットとされている。このため、光源31は、直射用光源となり、照射レンズ32は、直射型照射レンズとなる。
第4ローユニット40は、図1、図6に示すように、光源41と照射レンズ42とを有する。光源41は、LED等の発光素子で構成され、上記の3つの光源(11から31)と同じ基板3に実装されており、点灯制御回路から電力が供給されて適宜点灯される。照射レンズ42は、光源41の出射光軸上に設けられ、凸レンズとされており、正面視して円形状とされている(図1参照)。この照射レンズ42は、対応する光源41に対向された入射面43と、その反対側に向けられた出射面44と、を有する。その入射面43は、図8、図9に示すように、中央部分が照射レンズ42の内側(光源41とは反対側)に凹んでおり、その中央で外側に凸に湾曲された湾曲入射面部43aと、それを取り巻く環状入射面部43bと、を有する。また、入射面43の周辺では、環状入射面部43bを取り囲む円錐台状の反射面43cが設けられている。
湾曲入射面部43aは、レンズ体4が基板3と組み付けられた状態において、図8に示すように、光軸方向で光源41と対向しており、後側の後側焦点F4の近傍に光源41が位置される。この照射レンズ42(湾曲入射面部43a)の焦点距離(後側焦点F4までの間隔)は、照射レンズ32の焦点距離よりも小さくされている。この照射レンズ42は、光源41が各光源(11から31)と同一の基板3に実装され、各照射レンズ(12から32)と比較して基板3側すなわち前後方向の後側に設けられており、レンズ体4において照射レンズ(12から32)よりも後退した位置に設けられている(図1参照)。湾曲入射面部43aは、光源41から出射される光をレンズ軸La4と平行に進行する平行光として照射レンズ42内に入射させる。なお、この平行光(平行な光)とは、光が湾曲入射面部43aを経ることでコリメートされた状態の光のことをいう。
環状入射面部43bは、図9に示すように、光源41側へと突出して設けられており、光源41からの光のうち、湾曲入射面部43aへと進行しないものを照射レンズ42内に入射させる。反射面43cは、環状入射面部43bから照射レンズ42内に入射した光が進行する位置に形成されている。反射面43cは、環状入射面部43bから入射した光を反射すると、レンズ軸La4と平行に進行する平行光とする。なお、反射面43cは、全反射を利用して光を反射してもよく、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで光を反射してもよい。これらのことから、入射面43は、光源41から出射された光を、レンズ軸La4と平行に進行する平行光として照射レンズ42内に進行させて、出射面44へと導く。
出射面44は、入射面43から入射されて平行光とされた光を、前後方向の前側に出射させる。出射面44は、図10に示すように、正面視して円形とされており、中央出射面部44aと上側出射面部44bと下側出射面部44cとを有する。中央出射面部44aは、図8に示すように、出射面44における中心の近傍であって湾曲入射面部43aを経た光が進行する領域に設けられている。実施例1の中央出射面部44aは、正面視して矩形状とされている。中央出射面部44aは、上側出射面部44bおよび下側出射面部44cよりも照射レンズ42の内側(入射面43側)に凹んでおり、前後方向での下側出射面部44cとの差が深さd1とされている。中央出射面部44aは、湾曲入射面部43aを経て平行光とされた光を屈折させることで、左右方向に大きく拡散しつつ前後方向の前側へ向けて進行させる。
中央出射面部44aは、光源41から湾曲入射面部43aを経た光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源41の複数の配光像を適宜重ねて形成する。この光学特性は、中央出射面部44aの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1ではその曲率を漸次的に変化させている。中央出射面部44aは、設定された光学特性により、スクリーン上において、中心位置O(レンズ軸La4)の近傍に上縁を位置させつつ略水平方向に各配光像を並ばせて、第3ロー配光パターンLP3(図7参照)よりも大きな範囲に拡散させる。
実施例1の中央出射面部44aでは、図10に示すように、拡散部44dが設けられている。拡散部44dは、上下方向に延びる凹部および凸部の少なくとも一方が並んで形成されており、実施例1では上下方向に延びる凸部が左右方向に並列されて形成された所謂ローレット状とされている。拡散部44dは、中央出射面部44aから出射される光(光線群)を補助的に左右方向に拡散(互いの進行方向の間隔を広げる)させつつ均一化させる。このため、中央出射面部44aは、拡散部44dによる補助的な作用を受けつつ上記の光学特性に沿って湾曲入射面部43aを経た光を照射する。
これにより、中央出射面部44aは、図11に示すように、スクリーン上に、第4ロー配光パターンLP4(図13参照)の一部となるaパターン部分Pp4aを形成する。このaパターン部分Pp4aは、中心位置Oの下方で略水平方向に伸びており、第3ロー配光パターンLP3よりも大きな範囲に拡散されることで、第4ロー配光パターンLP4の全体形状(外形)を形成して、その全域を照射する。
上側出射面部44bは、図8から図10に示すように、中央出射面部44aを取り囲む領域であって出射面44の略上半分に設けられており、湾曲入射面部43aの略上半分に位置する反射面43cで反射された光が進行する領域に位置されている。上側出射面部44bは、中央出射面部44aよりも深さd1だけ照射レンズ42の外側に位置(突出)している。上側出射面部44bは、中央出射面部44aと同様の拡散部44dが設けられており、出射される光を補助的に左右方向に拡散させつつ均一化させる。
下側出射面部44cは、中央出射面部44aを取り囲む領域であって出射面44の略下半分に設けられており、湾曲入射面部43aの略下半分に位置する反射面43cで反射された光が進行する領域に位置されている。下側出射面部44cは、中央出射面部44aよりも照射レンズ42の外側に位置(突出)している。下側出射面部44cは、中央出射面部44aと同様の拡散部44dが設けられており、出射される光を補助的に左右方向に拡散させつつ均一化させる。
この上側出射面部44bと下側出射面部44cとは、それぞれが光源41から反射面43cで反射されて平行光とされた光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源41の複数の配光像を適宜重ねて形成する。それぞれの光学特性は、上側出射面部44bおよび下側出射面部44cの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1ではそれらの曲率が漸次的に変化されて設定されている。両出射面部(44b、44c)は、スクリーン上において、等しい明るさ分布として等しい形状の範囲に光を拡散させる光学特性とされるとともに、互いが照射する範囲を互いに等しい高さ位置とするように上下方向に対する傾斜が異なるものとされている。このため、両出射面部(44b、44c)は、スクリーン上において、中心位置Oの下方で略水平方向に各配光像を並べて、aパターン部分Pp4a(図11参照)が形成される範囲と略等しい範囲に互いに重ねるように拡散させる。
これにより、両出射面部(44b、44c)は、図12に示すように、スクリーン上に、第4ロー配光パターンLP4(図13参照)のその他の一部となるbパターン部分Pp4bを形成する。このbパターン部分Pp4bは、中心位置Oの近傍で略水平方向に伸びており、第3ロー配光パターンLP3(図7参照)よりも大きな範囲に拡散されることで、その全域を照射しつつ第4ロー配光パターンLP4内の明るさ分布を形成する。
この第4ローユニット40は、照射レンズ42により光源41からの光を照射して、aパターン部分Pp4aとbパターン部分Pp4bとをスクリーン上に重ねることで、図13に示すように、第4ロー配光パターンLP4を形成する。この第4ロー配光パターンLP4は、中心位置Oの下方で略水平方向に伸びて、第3ロー配光パターンLP3よりも大きな範囲で拡散されている。このため、第4ローユニット40は、上記のように照射レンズ42が設定されることで、光源41からの光を上記の各ローユニット(10から30)よりも広い範囲に拡散できる。
このように、第4ローユニット40は、光源41から入射された光の一部を照射レンズ42から直に出射させるとともに光の他部を照射レンズ42の内部で反射してから出射させて所望の配光パターン(LP4)を形成する直反射型ユニットとされている。このため、光源41は、直反射用光源となり、照射レンズ42は、直反射型照射レンズとなる。そして、第4ローユニット40では、湾曲入射面部43aを経た光が直に出射面44に向かう直射光となるとともに、環状入射面部43bを経て反射面43cで反射された光が内部で反射されてから出射面44に向かう反射光となる。
第5ローユニット50は、図1、図4に示すように、光源51と照射レンズ52とを有する。光源51は、LED等の発光素子で構成され、上記の4つの光源(11から41)と同じ基板3に実装されており、点灯制御回路から電力が供給されて適宜点灯される。照射レンズ52は、光源51の出射光軸上に設けられ、凸レンズとされており、正面視して円形状とされている(図1参照)。この照射レンズ52は、対応する光源51に対向された入射面53と、その反対側に向けられた出射面54と、を有する。その入射面53は、図14に示すように、中央部分が照射レンズ52の内側(光源51とは反対側)に凹んでおり、その中央で外側に凸に湾曲された湾曲入射面部53aと、それを取り巻く環状入射面部53bと、を有する。また、入射面53の周辺では、環状入射面部53bを取り囲む円錐台状の反射面53cが設けられている。
湾曲入射面部53aは、レンズ体4が基板3と組み付けられた状態において、光軸方向で光源51と対向しており、後側の後側焦点F5の近傍に光源51が位置される。この照射レンズ52の焦点距離(後側焦点F5までの間隔)は、照射レンズ42の焦点距離と略等しくされている。この照射レンズ52は、前後方向でレンズ体4において前述の3つの照射レンズ(12から32)よりも後退した位置であって、照射レンズ42と略等しい位置に設けられている。湾曲入射面部53aは、光源51から出射される光をレンズ軸La5と略平行に進行する平行光として照射レンズ52内に入射させる。環状入射面部53bは、光源51側へと突出して設けられており、光源51からの光のうち、湾曲入射面部53aへと進行しないものを照射レンズ52に入射させる。
反射面53cは、環状入射面部53bから照射レンズ52内に入射した光が進行する位置に形成されている。反射面53cは、環状入射面部53bから入射した光を反射すると、レンズ軸La5と平行よりもわずかにレンズ軸La5に近づいていくように集光させる。なお、反射面53cは、全反射を利用して光を反射してもよく、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで光を反射してもよい。
出射面54は、入射面53から入射された光を、前後方向の前側に出射させる。出射面54は、図15に示すように、正面視して円形とされており、中央出射面部54aと上側出射面部54bと下側出射面部54cとOH(オーバーヘッド)出射面部54dとを有する。この中央出射面部54aは、出射面54における中心の近傍であって湾曲入射面部53aを経た光の大部分が進行する領域に設けられている。実施例1の中央出射面部54aは、正面視して矩形状とされている。中央出射面部54aは、図14に示すように、上側出射面部54bおよび下側出射面部54cよりも照射レンズ52の内側(光源51側)に凹んでおり、前後方向でのその差が深さd2とされている。この深さd2は、出射面44における中央出射面部44aの深さd1(図8参照)よりも大きくされている。中央出射面部54aは、湾曲入射面部53aを経て平行光とされた光を屈折させることで、左右方向に大きく拡散しつつ前後方向の前側へ向けて進行させる。これにより、照射レンズ52は、光源51からの光を、照射レンズ42よりも広い範囲に拡散できる。
中央出射面部54aは、光源51から湾曲入射面部53aを経た光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源51の複数の配光像を適宜重ねて形成する。この光学特性は、中央出射面部54aの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1ではその曲率を漸次的に変化させている。中央出射面部54aは、設定された光学特性により、スクリーン上において、中心位置O(レンズ軸La5)の下方で略水平方向に各配光像を並べつつ、第3ロー配光パターンLP3(図7参照)よりも大きな範囲に拡散させる。
実施例1の中央出射面部54aでは、図15に示すように、拡散部54eが設けられている。拡散部54eは、上下方向に延びる凹部および凸部の少なくとも一方が並んで形成されており、実施例1では上下方向に延びる凸部が左右方向に並列されて形成された所謂ローレット状とされている。拡散部54eは、中央出射面部54aから出射される光を補助的に左右方向に拡散させつつ均一化させる。このため、中央出射面部54aは、拡散部54eによる補助的な作用を受けつつ上記の光学特性に沿って湾曲入射面部53aを経た光を照射する。
これにより、中央出射面部54aは、図16に示すように、スクリーン上に、第5ロー配光パターンLP5(図23参照)の一部となるaパターン部分Pp5aを形成する。このaパターン部分Pp5aは、中心位置Oの下方で略水平方向に伸びており、第4ロー配光パターンLP4よりも大きな範囲に拡散されて、その全域を照射する。
上側出射面部54bは、図14、図15に示すように、中央出射面部54aを取り囲む領域であって出射面54の略上半分に設けられており、湾曲入射面部53aの略上半分に位置する反射面53cで反射された光の大部分が進行する領域に位置されている。上側出射面部54bは、中央出射面部54aよりも深さd2だけ照射レンズ52の外側に突出している。上側出射面部54bは、中央出射面部54aと同様の拡散部54eが設けられており、出射される光を補助的に左右方向に拡散させつつ均一化させる。
この上側出射面部54bは、光源51から反射面53cの略略上半分で反射されて平行光とされた光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源51の複数の配光像を適宜重ねて形成する。その光学特性は、上側出射面部54bの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1ではその曲率が漸次的に変化されて設定されている。上側出射面部54bは、設定された光学特性により、スクリーン上において、中心位置Oの下方で略水平方向に各配光像を並べつつ、aパターン部分Pp5aと略等しい範囲に拡散させる。
これにより、上側出射面部54bは、図17に示すように、スクリーン上に、第5ロー配光パターンLP5(図23参照)のその他の一部となるbパターン部分Pp5bを形成する。このbパターン部分Pp5bは、中心位置Oの近傍で略水平方向に伸びており、aパターン部分Pp5aと略等しい範囲に拡散されることで、その全域を照射しつつ第5ロー配光パターンLP5内の明るさ分布を形成する。
下側出射面部54cは、図14、図15に示すように、中央出射面部54aを取り囲む領域であって出射面54の略下半分に設けられており、湾曲入射面部53aの略下半分に位置する反射面53cで反射された光が進行する領域に位置されている。下側出射面部54cは、中央出射面部54aおよび下側出射面部54cよりも深さd2だけ照射レンズ52の外側に突出している。下側出射面部54cは、中央出射面部54aと同様の拡散部54eが設けられており、出射される光を補助的に左右方向に拡散させつつ均一化させる。
この下側出射面部54cは、光源51から反射面53cの略下半分で反射されて平行光とされた光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源51の複数の配光像を適宜重ねて形成する。その光学特性は、下側出射面部54cの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1ではその曲率が漸次的に変化されて設定されている。下側出射面部54cは、設定された光学特性により、スクリーン上において、中心位置Oの下方で略水平方向に各配光像を並べつつ、aパターン部分Pp5aやbパターン部分Pp5bよりも下方まで拡散させる。
これにより、下側出射面部54cは、図18に示すように、スクリーン上に、第5ロー配光パターンLP5(図23参照)のその他の一部となるcパターン部分Pp5cを形成する。このcパターン部分Pp5cは、中心位置Oの下方で略水平方向に伸びており、水平方向でaパターン部分Pp5aと略等しい範囲であって鉛直方向でaパターン部分Pp5aよりも広い範囲に拡散されることで、その全域を照射しつつ第5ロー配光パターンLP5内の明るさ分布を形成する。
OH出射面部54dは、図15に示すように、出射面54における中央出射面部54aの上方であって上側出射面部54bの内側に設けられており、実施例1では正面視して、中央出射面部54aを上方へと延ばした矩形状とされている。OH出射面部54dは、図19、図20に示すように、湾曲入射面部53aを経た光(直射光)の一部と、反射面53cで反射された光(反射光)の一部と、が進行する領域に位置されている。詳細には、OH出射面部54dは、湾曲入射面部53aの上部を経た光、すなわち湾曲入射面部53aを経た光のうちの中央出射面部54aへは進行しない光が進行する領域に位置されている(図19参照)。また、OH出射面部54dは、反射面53cにおける環状入射面部53b(湾曲入射面部53a)の上方の一部(以下ではOH反射面部53dとする)で反射された光、すなわち反射面53cで反射された光のうちの上側出射面部54bへは進行しない光が進行する領域に位置されている(図20参照)。
このOH出射面部54dは、縦断面において、中央出射面部54aの上端に対して前後方向の後側へと凹まされ、上方へ向かうにつれて前側へと変位するように傾斜されており、上側出射面部54bの下端に連続された平坦面とされている。このため、OH出射面部54dは、照射レンズ52の出射面54において部分的に凹んで形成されている。このOH出射面部54dは、レンズ軸La5と略平行に進行する平行光を、中央出射面部54aから出射させた場合と比較して、上方へと屈折させる。OH出射面部54dは、中央出射面部54aと同様の拡散部54eが設けられており、出射される光を左右方向で拡散させつつ均一化させる。
OH出射面部54dは、図19に示すように、光源51から湾曲入射面部53aの上部を経た光を照射することで、スクリーン上において、湾曲入射面部53aの光学特性に応じた位置に光源51の複数の配光像を適宜重ねて形成する。この光学特性は、OH反射面部53dの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1では略平坦としている。OH出射面部54dは、湾曲入射面部53aを経た光を、スクリーン上において、中心位置Oの上方の約4度となる位置へ向けて出射させつつ、水平方向に広がるように拡散させる。これにより、OH出射面部54dは、図21に示すように、スクリーン上に、第5ロー配光パターンLP5(図23参照)のその他の一部となるdパターン部分Pp5dを形成する。このdパターン部分Pp5dは、中心位置Oの上方の約4度の位置を中心として上下方向で約5度の範囲で拡散させつつ、鉛直線Vを中心として水平方向で約8度を少し超える範囲で拡散させて照射する。
また、OH出射面部54dは、図20に示すように、光源51からのOH反射面部53dで反射された光を照射することで、スクリーン上において、OH反射面部53dの光学特性に応じた位置に光源51の複数の配光像を適宜重ねて形成する。この光学特性は、OH反射面部53dの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1では略平坦としている。OH出射面部54dは、OH反射面部53dで反射された光を、スクリーン上において、中心位置Oの上方の約2度となる位置へ向けて出射させつつ、水平方向に広がるように拡散させる。これにより、OH出射面部54dは、図22に示すように、スクリーン上に、第5ロー配光パターンLP5(図23参照)のその他の一部となるeパターン部分Pp5eを形成する。このeパターン部分Pp5eは、中心位置Oの上方の約2度の位置を中心として上下方向で約5度の範囲で拡散させつつ、鉛直線Vを中心として水平方向で約8度を少し超える範囲で拡散させて照射する。
この第5ローユニット50は、照射レンズ52により光源51からの光を照射して、aパターン部分Pp5aとbパターン部分Pp5bとcパターン部分Pp5cとdパターン部分Pp5dとeパターン部分Pp5eとをスクリーン上に重ねる。すると、スクリーン上では、図23に示すように、第5ロー配光パターンLP5が形成される。この第5ロー配光パターンLP5は、aパターン部分Pp5aとbパターン部分Pp5bとcパターン部分Pp5cとにより、中心位置Oの下方で各ロー配光パターン(LP1からLP4)よりも大きな範囲で略水平方向および鉛直方向に伸びている。これにより、広い範囲に亘る視認性を確保できる。また、第5ロー配光パターンLP5は、dパターン部分Pp5dとeパターン部分Pp5eとにより、中心位置Oの上方の約2度の位置と約4度の位置を中心に、約8度の範囲を少し超える範囲で略水平方向に伸びている。これにより、dパターン部分Pp5dとeパターン部分Pp5eとは、上方の標識等を照らすOH(オーバーヘッド)配光パターン部OHPとなり、自車両からの上方の視認性を確保できる。
このように、第5ローユニット50は、光源51から入射された光の一部を照射レンズ52から直に出射させるとともに光の他部を照射レンズ52の内部で反射してから出射させて所望の配光パターン(LP5)を形成する直反射型ユニットとされている。このため、光源51は、直反射用光源となり、照射レンズ52は、直反射型照射レンズとなる。そして、第5ローユニット50では、湾曲入射面部53aを経た光が直に出射面54に向かう直射光となるとともに、環状入射面部53bを経て反射面53cで反射された光が内部で反射されてから出射面54に向かう反射光となる。
右側ハイユニット60は、図1、図2に示すように、光源61と照射レンズ62とを有する。光源61は、LED等の発光素子で構成され、上記の5つの光源(11から51)と同じ基板3に実装されており、点灯制御回路から電力が供給されて適宜点灯される。照射レンズ62は、光源61の出射光軸上に設けられ、凸レンズとされており、正面視して円形状とされている(図1参照)。この照射レンズ62は、対応する光源61に対向された入射面63と、その反対側に向けられた出射面64と、を有する。その入射面63は、図24から図26に示すように、中央部分が照射レンズ62の内側(光源61とは反対側)に凹んでおり、その中央で外側に凸に湾曲された湾曲入射面部63aと、それを取り巻く環状入射面部63bと、を有する。また、入射面63の周辺では、環状入射面部63bを取り囲む円錐台状の反射面63cが設けられている。
この湾曲入射面部63aと環状入射面部63bと反射面63cとは、第4ローユニット40の照射レンズ42の湾曲入射面部43aと環状入射面部43bと反射面43cと同じ設計思想とされている。このため、湾曲入射面部63aは、レンズ体4が基板3と組み付けられた状態において、光軸方向で光源61と対向しており、後側の後側焦点F6の近傍に光源61が位置される。この照射レンズ62の焦点距離(後側焦点F6までの間隔)は、照射レンズ42や照射レンズ52の焦点距離と略等しくされている。この照射レンズ62は、前後方向でレンズ体4において前述の3つの照射レンズ(12から32)よりも後退した位置であって、照射レンズ42や照射レンズ52と略等しい位置に設けられている。
湾曲入射面部63aは、図24に示すように、光源61から出射される光をレンズ軸La6と略平行に進行する平行光として照射レンズ62内に入射させる。環状入射面部63bは、図25、図26に示すように、光源61側へと突出して設けられており、光源61からの光のうちの湾曲入射面部63aへと進行しないものを照射レンズ62に入射させる。反射面63cは、環状入射面部63bから照射レンズ62内に入射した光を反射して、レンズ軸La6と略平行に進行する平行光とする。これらのことから、入射面63は、光源61から出射された光を、レンズ軸La6と略平行に進行する平行光として照射レンズ62内に進行させて、出射面64へと導く。
出射面64は、入射面63から入射されて略平行光とされた光を、前後方向の前側に出射させる。出射面64は、図27に示すように、正面視して円形とされており、中央出射面部64aと外側出射面部64bと内側出射面部64cとを有する。中央出射面部64aは、図24に示すように、出射面64における中心の近傍であって湾曲入射面部63aを経た光が進行する領域に設けられている。中央出射面部64aは、実施例1では正面視して円形状とされている。中央出射面部64aは、外側出射面部64bおよび内側出射面部64cよりも照射レンズ62の内側(光源61側)に凹んでおり、前後方向での外側出射面部64bとの差が深さd3とされている。この深さd3は、出射面44における中央出射面部44aの深さd1(図8参照)や、出射面54における中央出射面部54aの深さd2(図14参照)よりも大きくされている。このため、中央出射面部64aは、中央出射面部44aおよび中央出射面部54aの中で最も大きな凹み量とされている。中央出射面部64aは、湾曲入射面部63aを経て略平行光とされた光を屈折させることで、左右方向に大きく拡散しつつ前後方向の前側へ向けて進行させる。
この中央出射面部64aは、光源61から湾曲入射面部63aを経て略平行光とされた光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源61の複数の配光像を適宜重ねて形成する。その光学特性は、中央出射面部64aの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1ではそれらの曲率が漸次的に変化されて設定されている。中央出射面部64aは、スクリーン上において、中心位置O(レンズ軸La6)を含みつつその上方で略水平方向に各配光像を並べて拡散させる。
この中央出射面部64aには、図27に示すように、拡散部64dが設けられている。拡散部64dは、上下方向に延びる凹部および凸部の少なくとも一方が並んで形成されており、実施例1では上下方向に延びる凸部が左右方向に並列されて形成された所謂ローレット状とされている。拡散部64dは、中央出射面部64aから出射される光を補助的に左右方向に拡散させつつ均一化させる。このため、中央出射面部64aは、拡散部64dによる補助的な作用を受けつつ上記の光学特性に沿って湾曲入射面部63aを経た光を照射する。
これにより、中央出射面部64aは、図28に示すように、スクリーン上に、第6ハイ配光パターンHP6(図31参照)の一部となるaパターン部分Pp6aを形成する。このaパターン部分Pp6aは、中心位置Oを含みつつその上方で略水平方向に伸びており、その全域を照射する。
外側出射面部64bは、図24から図27に示すように、中央出射面部64aに対して左右方向の外側に設けられた拡散部64dの外側に設けられており、左右方向の両側の端部に位置されている。外側出射面部64bは、湾曲入射面部63aの左右方向の両端側に位置する反射面63cで反射された光が進行する領域に位置されている。外側出射面部64bは、前後方向で中央出射面部64aおよび内側出射面部64cよりも照射レンズ62の外側に位置している、すなわち相対的に突出している。外側出射面部64bは、反射面63cを経て略平行光とされた光を屈折させることで、スクリーン上において中心位置Oの近傍に光を集める。
この外側出射面部64bは、光源61から反射面63cで反射されて略平行光とされた光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源61の複数の配光像を適宜重ねて形成する。その光学特性は、外側出射面部64bの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1ではそれらの曲率が漸次的に変化されて設定されている。外側出射面部64bは、左右で対を為して設けられており、それぞれがスクリーン上において中心位置Oの少し上方を中心とする狭い範囲に重ねるように集光させる。
これにより、外側出射面部64bは、図29に示すように、スクリーン上に、第6ハイ配光パターンHP6(図31参照)のその他の一部となるbパターン部分Pp6bを形成する。このbパターン部分Pp6bは、光源61からの光が、中心位置Oの少し上方を中心とする小さな円形の狭い範囲に集められることで明るくされており、走行用照射パターンHPにおいて中心位置Oの近傍を明るくすることが求められることに対応している。
内側出射面部64cは、図24から図27に示すように、左右方向で外側出射面部64bの内側であって、中央出射面部64aを取り囲んでいる。内側出射面部64cは、湾曲入射面部63aの左右方向の両端側に位置する反射面63cで反射された光が進行する領域に位置されている。内側出射面部64cは、前後方向で中央出射面部64aよりも照射レンズ62の外側に位置(突出)しており、外側出射面部64bよりも照射レンズ62の内側に凹んでいる。内側出射面部64cは、反射面63cを経て略平行光とされた光を屈折させることで、スクリーン上において中心位置Oの近傍に光を集める。
この内側出射面部64cは、光源61から反射面63cで反射されて略平行光とされた光を照射することで、スクリーン上において、光学特性に応じた位置に光源61の複数の配光像を適宜重ねて形成する。その光学特性は、内側出射面部64cの曲率(面形状)を場所毎に調整することで設定でき、実施例1ではそれらの曲率が漸次的に変化されて設定されている。内側出射面部64cは、スクリーン上において中心位置Oの少し上方を中心とするbパターン部分Pp6bよりも広い範囲に照射させる。この内側出射面部64cには、中央出射面部64aと同様の拡散部64d(図27参照)が設けられており、出射される光を補助的に左右方向に拡散させつつ均一化させる。
これにより、内側出射面部64cは、図30に示すように、スクリーン上に、第6ハイ配光パターンHP6(図31参照)のその他の一部となるcパターン部分Pp6cを形成する。このcパターン部分Pp6cは、光源61からの光が、中心位置Oの少し上方を中心とするbパターン部分Pp6bよりも広い範囲に集められることで明るくされるとともに、拡散部64dの作用により左右方向に拡散されて形成されている。このため、cパターン部分Pp6cは、中心位置Oの左右両側が最も明るくされつつ、そこから左右方向の広い範囲に拡散されている。
この右側ハイユニット60は、照射レンズ62により光源61からの光を照射して、aパターン部分Pp6aとbパターン部分Pp6bとcパターン部分Pp6cとをスクリーン上に重ねることで、図31に示すように、第6ハイ配光パターンHP6を形成する。この第6ハイ配光パターンHP6は、中心位置Oの近傍を最も明るくしつつ、そこから略水平方向に伸びて大きな範囲で拡散されている。
このように、右側ハイユニット60は、光源61から入射された光の一部を照射レンズ62から直に出射させるとともに光の他部を照射レンズ62の内部で反射してから出射させて所望の配光パターン(HP6)を形成する直反射型ユニットとされている。このため、光源61は、直反射用光源となり、照射レンズ62は、直反射型照射レンズとなる。そして、右側ハイユニット60では、湾曲入射面部63aを経た光が直に出射面64に向かう直射光となるとともに、環状入射面部63bを経て反射面63cで反射された光が内部で反射されてから出射面64に向かう反射光となる。
左側ハイユニット70は、設けられた位置が異なることを除くと、右側ハイユニット60と同様の構成とされている。この左側ハイユニット70は、図1、図32に示すように、基板3に実装された光源71と、レンズ体4の一部として構成された照射レンズ72と、を有する。光源71は、点灯制御回路から電力が供給されて適宜点灯される。照射レンズ72は、光源71の出射光軸上に設けられ、凸レンズとされており、正面視して円形状とされている(図1参照)。
照射レンズ72は、入射面73と出射面74とを有し、その入射面73が湾曲入射面部73aと環状入射面部73bとを有し、入射面73の周辺に反射面73cが設けられている。湾曲入射面部73aは、レンズ体4が基板3と組み付けられた状態で、光軸方向で光源71と対向しており、後側の後側焦点F7の近傍に光源71が位置される。この照射レンズ72の焦点距離(後側焦点F7までの間隔)は、照射レンズ62の焦点距離と略等しくされている。この照射レンズ72は、前後方向でレンズ体4において上下方向の上側の3つの照射レンズ(12から32)よりも後退した位置であって、照射レンズ62等と略等しい位置に設けられている。入射面73は、光源71から出射される光を、湾曲入射面部73aを経ることで、または環状入射面部73bを経た後に反射面73cで反射することで、レンズ軸La7と略平行に進行する平行光として照射レンズ72内に入射させる(図24から図26参照)。
出射面74は、正面視して円形とされており、中央出射面部74aと外側出射面部74bと内側出射面部74cとを有する(図27参照)。この中央出射面部74aは中央出射面部64aと、外側出射面部74bは外側出射面部64bと、内側出射面部74cは内側出射面部64cと、それぞれ等しい構成(光学特性も含む)とされている。そして、中央出射面部74aと内側出射面部74cとには、拡散部64dと同様の拡散部74dが設けられており、両出射面部(74a、74c)から出射される光を補助的に左右方向に拡散させつつ均一化させる。これにより、中央出射面部74aは、スクリーン上に、aパターン部分Pp6aと略等しい位置に略等しい形状のaパターン部分Pp7aを形成する(図28参照)。外側出射面部74bは、bパターン部分Pp6bと略等しい位置に略等しい形状のbパターン部分Pp7bを形成する(図29参照)。内側出射面部74cは、cパターン部分Pp6cと略等しい位置に略等しい形状のcパターン部分Pp7cを形成する(図30参照)。
この左側ハイユニット70は、照射レンズ72により光源71からの光を照射して、aパターン部分Pp7aとbパターン部分Pp7bとcパターン部分Pp7cとをスクリーン上に重ねることで、第7ハイ配光パターンHP7を形成する(図31参照)。この第7ハイ配光パターンHP7は、第6ハイ配光パターンHP6と略等しい位置で略等しい形状とされており、中心位置O(レンズ軸La7)の近傍を最も明るくしつつ、そこから略水平方向に伸びて大きな範囲で拡散されている。
このように、左側ハイユニット70は、光源71から入射された光の一部を照射レンズ72から直に出射させるとともに光の他部を照射レンズ72の内部で反射してから出射させて所望の配光パターン(HP7)を形成する直反射型ユニットとされている。このため、光源71は、直反射用光源となり、照射レンズ72は、直反射型照射レンズとなる。そして、左側ハイユニット70では、湾曲入射面部73aを経た光が直に出射面74に向かう直射光となるとともに、環状入射面部73bを経て反射面73cで反射された光が内部で反射されてから出射面74に向かう反射光となる。
次に車両用灯具1の点灯について説明する。車両用灯具1は、灯室に設けられた各ユニット(10から70)において、点灯制御回路から基板3に実装されたそれぞれの光源(11から71)へと電力が供給されることで、各光源(11から71)を適宜点灯および消灯させる。車両用灯具1は、5つのローユニット(10から50)の各光源(11から51)を点灯させると、第1から第5の5つの配光パターン(LP1からLP5)を適宜重ねつつ形成することで、図33に示すすれ違い用照射パターンLPを形成する。このすれ違い用照射パターンLPは、中心位置Oを含みつつ水平方向に伸びる広い範囲を照らしており、上縁にカットオフラインCLが形成されているとともに、その上方にOH配光パターン部OHPが形成されている。このため、車両用灯具1は、すれ違い用照射パターンLPを形成することで、自車両からの上方の視認性を確保できる。
また、車両用灯具1は、2つのハイユニット(60、70)の各光源(61、71)を点灯させると、第6、第7の2つの配光パターン(LP6、LP7)を形成し、それらを重ねることで図34に示す走行用照射パターンHPを形成する。この走行用照射パターンHPは、基本的に中心位置Oを含む水平方向よりも上方で左右方向に伸びる広い範囲を照らしており、その下部がすれ違い用照射パターンLPの上部と重なるものとされている。このため、車両用灯具1は、走行用照射パターンHPを形成することで、対向車の乗員等の高さ位置を含む広い範囲を照らすことができ、視認性を確保できる。
この車両用灯具1は、5つのローユニット(10から50)を点灯することで、カットオフラインCLを有するすれ違い用照射パターンLPを形成でき、すれ違い時の配光(所謂ロービーム)とすることができる。また、車両用灯具1は、5つのローユニットに加えて2つのハイユニット(60、70)を点灯することで、すれ違い用照射パターンLPの上方に重ねて走行用照射パターンHPを形成でき、走行時の配光(所謂ハイビーム)とすることができる。
次に、車両用灯具1における作用について説明する。従来の車両用灯具では、照射レンズの外縁部に補助レンズを設けるとともに、その補助レンズの出射面の一部にプリズムを設けることで、複数の箇所を所定の光量とする明るさ分布としたOH配光パターン部を形成している。このため、その車両用灯具では、照射レンズが複雑な構成となってしまう。
これに対して、車両用灯具1は、第5ローユニット50の照射レンズ52において、湾曲入射面部53aを経た光の一部(直射光)と、反射面53cにおけるOH反射面部53dで反射された光の一部(反射光)と、の双方が入射する位置にOH出射面部54dを設けている。このため、車両用灯具1は、異なる2つの光路を経た直射光と反射光との双方をOH出射面部54dから出射させることができるので、OH出射面部54dを複雑な構成としなくても、OH配光パターン部OHPを複数の箇所を所定の光量とする明るさ分布とすることができる。
また、車両用灯具1は、第5ローユニット50の照射レンズ52の出射面54において、部分的に凹ませてOH出射面部54dを設けることで、照射レンズ52が光源51からの光を照射した際にすれ違い用照射パターンLPにおけるOH配光パターン部OHPを形成している。このため、車両用灯具1は、簡易な構成としつつ、すれ違い用照射パターンLP(実施例1ではその一部となる第5ロー配光パターンLP5)を形成する光源51からの光の一部を用いて、OH配光パターン部OHPを形成できる。
さらに、車両用灯具1は、照射レンズ52の出射面54において、レンズ軸La5の近傍にOH出射面部54dを設けている。このため、車両用灯具1は、OH出射面部54dへと進行する直射光および反射光の進行方向とレンズ軸La5との角度や間隔を小さくできる。このことから、車両用灯具1は、出射面54に対するOH出射面部54dの角度を小さくしても、OH配光パターン部OHPとして求められる位置へ向けて直射光や反射光を進行させることができる。このことから、車両用灯具1は、金型を用いた樹脂成型により照射レンズ52(実施例1ではレンズ体4)を作成することを容易なものにでき、OH出射面部54dを適切に形成することができ、照射レンズ52の見栄えを良くしつつOH配光パターン部OHPを適切に形成できる。
車両用灯具1は、照射レンズ52において、直射光を、中心位置Oの鉛直方向の上方の約4度の位置で、中心位置Oを中心として水平方向で約8度を少し超える範囲で拡散させて、dパターン部分Pp5dを形成する。また、車両用灯具1は、照射レンズ52において、反射光を、中心位置Oの鉛直方向の上方の約2度の位置で、中心位置Oを中心として水平方向で約8度を少し超える範囲で拡散させて、eパターン部分Pp5eを形成する。このため、車両用灯具1は、OH配光パターン部OHPにおいて、中心位置Oの上方の約2度の位置と約4度の位置との双方において、水平方向で、鉛直線Vと一致する位置(0度)と、鉛直線Vからプラスマイナスに約4度の位置と、鉛直線Vからプラスマイナスに約8度の位置と、の明るさを確保できる。ここで、オーバーヘッド配光では、中心位置Oの上方の約2度の位置と約4度の位置との各々において、水平方向で、鉛直線Vと一致する位置と、鉛直線Vからプラスマイナスに約4度の位置と、鉛直線Vからプラスマイナスに約8度の位置と、の合計10か所の位置(所謂法規ポイント)における明るさを、それぞれ上限所定値以下とする法規(規則)がある。また、オーバーヘッド配光では、中心位置Oの上方の約2度の位置と約4度の位置とのそれぞれにおいて、水平方向で上記した5つの位置(0度、±4度、±8度となる位置)の明るさを加算した値を、下限所定値以上とする法規がある。この車両用灯具1は、上記の構成とすることで、上記の10か所の位置の明るさを調整できるので、複数の法規ポイントを所定の光量とすることができ、上記の2つの法規を適切に満たすものにでき、自車両からの上方の視認性をより適切に確保できる。
車両用灯具1は、ユニット群2において、各ユニット(10から70)の各光源(11から71)を同一の基板3に実装している。このため、車両用灯具1は、7つのユニットを用いているにも関わらず基板3を共通化することができ、点灯制御回路の構成や配線を簡易なものにでき、部品点数を減らすことができる。加えて、車両用灯具1は、各ユニット(10から70)の各照射レンズ(12から72)を一体としたレンズ体4として形成している。このため、車両用灯具1は、単一の基板3とレンズ体4とを位置決めして組み付けることでユニット群2を構成でき、より簡易な構成として部品点数を減らすことができるとともに、組み付け作業を容易なものにできる。
車両用灯具1は、照射レンズにより光源からの光を直に照射する直射型ユニット(実施例1では10から30)と、照射レンズにより光源からの光の一部を直に照射するとともに光の他部を内部で反射させてから照射する直反射型ユニット(実施例1では40、50)と、で、すれ違い用照射パターンLPを形成している。そして、車両用灯具1は、直射型ユニットが光源からの光を効率よく集光できるので、直射型ユニットですれ違い用照射パターンLPにおける中心位置Oの近傍の最も明るい箇所(実施例1では第1から第3の配光パターン(LP1からLP3))を形成する。加えて、車両用灯具1は、直反射型ユニットが光源からの光を効率よく拡散できるので、直反射型ユニットですれ違い用照射パターンLPにおける中心位置Oの下方で略水平方向に大きく拡がる箇所(実施例1では第4、第5の配光パターン(LP4、LP5))を形成する。加えて、車両用灯具1は、直反射型ユニット(実施例1では第5ローユニット50)で、すれ違い用照射パターンLPにおいて上方の標識等を照らす箇所となるOH配光パターン部OHPを形成する。このため、車両用灯具1は、効率よく明るい箇所を形成するとともに十分に広い範囲に亘って明るくしてすれ違い用照射パターンLPを形成しつつ、自車両からの上方の視認性を確保できる。
車両用灯具1は、直射型照射レンズ(照射レンズ(42、52))において、入射面(43、53)が湾曲入射面部(43a、53a)と環状入射面部(43b、53b)とを有し、その環状入射面部を取り囲んで反射面(43c、53c)を設けた構成としている。このため、車両用灯具1は、照射レンズにおいて、簡易な構成で光源からの光の一部を直に照射する(直射光)とともに光の他部を内部で反射させて(反射光)から照射することができ、対応する光源(41、51)からの光を効率よく利用できる。
車両用灯具1は、直反射型照射レンズ(照射レンズ(42、52))において、出射面(44、54)が、中央出射面部(44a、54a)と上側出射面部(44b、54b)と下側出射面部(44c、54c)とを有する構成としている。そして、車両用灯具1は、直反射型照射レンズにおいて、各出射面部で個別にパターン部分を形成し、それらを適宜重ねることで個別に配光パターン(LP4、LP5)を形成している。このため、車両用灯具1は、大きな範囲を照らす配光パターン(LP4、LP5)であっても、所望の形状としつつ適切な明るさの分布として形成できる。
車両用灯具1は、3つの直射型ユニット(10から30)において、形成する配光パターン(LP1からLP3)の大きさを小さくするほど、光源(11から31)から各照射レンズ(12から32)までの間隔(焦点距離)を大きくしている。このため、車両用灯具1は、光源から各照射レンズまでの間隔を大きくすることで、光源(11から31)からの光を集める度合いを強くしているので、各直射型ユニットが効率よくかつ適切に互いに異なる大きさの配光パターン(LP1からLP3)を形成できる。特に、実施例1の車両用灯具1は、各照射レンズを一体としてレンズ体4を形成し、そのレンズ体4における各照射レンズ(12から32)の前後方向での位置を変化させることで、対応する光源との間隔を設定している。このため、実施例1の車両用灯具1は、各光源(11から31)を同一の基板3に実装でき、簡易な構成としつつ異なる大きさの3つの配光パターン(LP1からLP3)を形成できる。
車両用灯具1は、5つのローユニット(実施例1では10から50)ですれ違い用照射パターンLPを形成し、2つのハイユニット(実施例1では60、70)で走行用照射パターンHPを形成している。このため、車両用灯具1は、カットオフラインCLを鮮明とするとともに様々な位置での明るさの要件を満たしつつ所定の範囲を照らすことが求められるすれ違い用照射パターンLPを、適切に形成できる。また、車両用灯具1は、すれ違い用照射パターンLPと比較して求められる要件の少ない走行用照射パターンHPを、簡易な構成としつつ適切に形成できる。
車両用灯具1は、ハイユニット(実施例1では60、70)の照射レンズ(62、72)において、出射面(64、74)が、中央出射面部(64a、74a)と外側出射面部(64b、74b)と内側出射面部(64c、74c)とを有する構成としている。このため、車両用灯具1は、大きな範囲を照らす配光パターン(LP6、LP7)であっても、所望の形状としつつ適切な明るさの分布として形成できる。特に、実施例1の車両用灯具1は、2つのハイユニット(60、70)を互いに同様の光学特性とし、それぞれが略等しい位置に略等しい形状の配光パターン(LP6、LP7)を形成することで、2つの配光パターンを互いに重ねて走行用照射パターンHPを形成している。このため、車両用灯具1は、求められる明るさを容易に確保でき、より適切な走行用照射パターンHPを形成できる。
車両用灯具1は、第4ローユニット40の照射レンズ42の出射面44の中央出射面部44aの深さd1や、第5ローユニット50の照射レンズ52の中央出射面部54aの深さd2よりも、右側ハイユニット60の照射レンズ62の中央出射面部64aおよび左側ハイユニット70の照射レンズ72の中央出射面部74aの深さd3を大きくしている。このため、車両用灯具1は、第4ローユニット40における深さd1や第5ローユニット50における深さd2を小さくすることで、中央出射面部44aや中央出射面部54aにより光を適切に拡散する。ここで、車両用灯具1では、中央出射面部44aに隣接する上側出射面部44bや下側出射面部44cと、中央出射面部54aに隣接する上側出射面部54bや下側出射面部54cと、が、光を拡散させる。このため、車両用灯具1は、互いに似た作用となる3つの面部(44aから44c、54aから54c)を前後方向で略等しい位置とすることで、それぞれの面部が適切に光を拡散できる。また、車両用灯具1は、右側ハイユニット60および左側ハイユニット70における深さd3を大きくすることで、中央出射面部64aや中央出射面部74aにより光を適切に拡散する。ここで、車両用灯具1では、中央出射面部64aに隣接する外側出射面部64bや内側出射面部64cと、中央出射面部74aに隣接する外側出射面部74bや内側出射面部74cと、が、集光させる。このため、車両用灯具1は、中央出射面部64aや中央出射面部74aを、集光させる周囲の面部(64b、64c、74b、74c)に対して前後方向で異なる位置とすることで、双方が適切に光を拡散させることができる。
車両用灯具1は、第4ローユニット40の照射レンズ42の出射面44の中央出射面部44aおよび第5ローユニット50の照射レンズ52の中央出射面部54aを矩形状とするとともに、右側ハイユニット60の照射レンズ62の中央出射面部64aおよび左側ハイユニット70の照射レンズ72の中央出射面部74aを円形状としている。このため、車両用灯具1は、形成する配光パターンの違いを、それぞれの照射レンズ(42から72)の外観で判断できる。
車両用灯具1は、OH配光パターン部OHPを形成する第5ローユニット50が、少なくともすれ違い用照射パターンLPの一部となる所望の配光パターン(第5ロー配光パターンLP5)を形成している。このため、車両用灯具1は、光源51からの光で、OH配光パターン部OHPに加えて、それとともに用いられるすれ違い用照射パターンLP(その一部)を同時に形成できるので、構成を小型化することができ、省スペースに寄与できる。
実施例1の車両用灯具1は、以下の各作用効果を得ることができる。
車両用灯具1は、一例としての光源51から入射された光を照射する照射レンズ52を有する第5ローユニット50において、照射レンズ52の出射面54における直射光の一部と反射光の一部とが入射する位置にOH配光パターン部OHPを形成するOH出射面部54dを設けている。このため、車両用灯具1は、異なる2つの光路を経た直射光と反射光との双方をOH出射面部54dから出射させることができるので、OH出射面部54dを複雑な構成としなくても複数の箇所を所定の光量とする明るさ分布のOH配光パターン部OHPを形成できる。
また、車両用灯具1は、照射レンズ52において、入射面53が湾曲入射面部53aと環状入射面部53bとを有するとともに、反射面53cを有する。そして、車両用灯具1は、光源51から出射されて湾曲入射面部53aへと直に向かうものを直射光とし、光源51から出射されて環状入射面部53bから入射した後に反射面53cで反射されたものを反射光とする。このため、車両用灯具1は、照射レンズ52において、簡易な構成で、光源51から入射された光の一部であって直に出射面54に向かう直射光と、光源51から入射された光の他部であって内部で反射してから出射面54に向かう反射光と、を生じさせることができる。
さらに、車両用灯具1は、OH出射面部54dが、直射光と反射光との一方でOH配光パターン部OHPにおける上側の明るい箇所を形成し、直射光と反射光との他方でOH配光パターン部OHPにおける下側の明るい箇所を形成する。このため、車両用灯具1は、上下に離れた位置で明るい箇所を有するOH配光パターン部OHPを形成することができ、OH配光パターン部OHPとしての法規を適切に満たすものとすることができる。
車両用灯具1は、一例としての第5ローユニット50が形成する所望の配光パターン(第5ロー配光パターンLP5)を、少なくともすれ違い用照射パターンLPの一部としている。このため、車両用灯具1は、光源51からの光で、OH配光パターン部OHPに加えて、それとともに用いられるすれ違い用照射パターンLP(その一部)を同時に形成できるので、構成を小型化することができ、省スペースに寄与できる。
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具1は、単純な構成で、複数の箇所を所定の光量とする明るさ分布のオーバーヘッド配光パターン部OHPを形成することができる。
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
なお、実施例1では、5つのローユニット(実施例1では10から50)ですれ違い用照射パターンLPを形成し、2つのハイユニット(実施例1では60、70)で走行用照射パターンHPを形成している。しかしながら、車両用灯具1は、所望の配光パターン(それらを合わせた照射パターン)を形成するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。また、すれ違い用照射パターンLPおよび走行用照射パターンHPを形成する場合であっても、ローユニットやハイユニットの数は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
また、実施例1では、直射型ユニットを3つ(10から30)設けるとともに、直反射型ユニットを2つ(40、50)設けている。しかしながら、直射型ユニットおよび直反射型ユニットの数は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
さらに、実施例1では、第5ローユニット50の照射レンズ52にOH出射面部54dを設けていたが、他のユニットに設けてもよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、OH出射面部54dは、中心位置Oの上方の約2度の位置と約4度の位置との各々において、水平方向で、中心位置Oと一致する位置(0度)と、中心位置Oからプラスマイナスに約4度の位置と、中心位置Oからプラスマイナスに約8度の位置と、の明るさを確保したOH配光パターン部OHPを形成している。しかしながら、OH出射面部54dは、求められる明るさの分布に応じたOH配光パターン部OHPを形成すればよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、OH出射面部54dを略平坦としている。しかしながら、OH出射面部54dは、直射光と反射光との一方を中心位置Oの上方の約4度となる位置へ向けて出射させるとともに、他方を中心位置Oの上方の約2度となる位置へ向けて出射させるものであれば、OH出射面部54dの曲率を漸次的に変化させてもよく、実施例1の構成に限定されない。
1 車両用灯具 50 (ユニットの一例としての)第5ローユニット 51 光源 52 照射レンズ 53 入射面 53a 湾曲入射面部 53b 環状入射面部 53c 反射面 54 出射面 54d OH出射面部 LP すれ違い用照射パターン LP5 (所望の配光パターンの一例としての)第5ロー配光パターン OHP オーバーヘッド配光パターン部
Claims (4)
- 光源から入射された光を照射する照射レンズを有するユニットを備え、
前記照射レンズは、前記光源から入射された光の一部であって直に出射面に向かう直射光と、前記光源から入射された光の他部であって内部で反射してから前記出射面に向かう反射光と、を照射することで所望の配光パターンを形成し、
前記出射面では、前記直射光の一部と前記反射光の一部とが入射する位置に、オーバーヘッド配光パターン部を形成するオーバーヘッド出射面部が設けられていることを特徴とする車両用灯具。 - 前記照射レンズの入射面は、光軸方向で前記光源と対向する湾曲入射面部と、前記湾曲入射面部を取り巻く環状入射面部と、を有し、
前記照射レンズは、前記湾曲入射面部を取り囲む反射面を有し、
前記直射光は、前記光源から出射されて前記湾曲入射面部へと直に向かうものであり、
前記反射光は、前記光源から出射されて前記環状入射面部から入射した後に前記反射面で反射されたものであることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。 - 前記オーバーヘッド出射面部は、前記直射光と前記反射光との一方で前記オーバーヘッド配光パターン部における上側の明るい箇所を形成し、前記直射光と前記反射光との他方で前記オーバーヘッド配光パターン部における下側の明るい箇所を形成することを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
- 前記所望の配光パターンは、少なくともすれ違い用照射パターンの一部であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
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