JP2021188920A - 応力測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】サンプルにおける応力発生部位の挙動を容易に把握可能とする応力測定装置を提供する。【解決手段】応力測定装置100は、応力発光体2が発する光を撮像するカメラ40と、カメラ40により撮像された画像を処理するコントローラ50と、コントローラ50により処理された画像を表示するディスプレイ60とを備える。コントローラ50は、カメラ40により撮像された時系列の複数の画像毎に、応力発光体2の発光分布に従って応力発生部位を検知し、複数の画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる表示態様で一画像に重ねて表示するようにディスプレイ60を制御する。【選択図】図1
Description
本開示は、応力測定装置に関する。
フレキシブルデバイスの開発現場においては、変形試験器を用いてサンプルに繰り返し荷重を与えることにより、サンプルの耐久性及び性能を検証することが行なわれている。上記試験において、サンプルに欠陥が生じていると、欠陥の周辺にひずみが発生し、サンプルが破断する可能性がある。
近年、このような欠陥を検出する技術として、応力発光体を利用する技術が提案されている。例えば、特開2015−75477号公報(特許文献1)には、応力発光体の発光強度を計測して評価する応力発光評価装置が開示される。この応力発光評価装置では、応力発光体をサンプルの表面に配置し、サンプルとともに応力発光体に外力を加えることにより応力発光体を発光させる。撮像装置を用いて応力発光体の発光を撮像することにより、サンプルに生じる応力(ひずみ)を計測することができる。
応力発光体が表面に配置されたサンプルに外力を加えて撮像装置により順次撮像される複数の画像を観察することにより、サンプルにおける応力発生部位の挙動(位置の時間的変化)を観察することができる。しかしながら、得られた複数の画像を時系列で1枚1枚表示装置に表示させて観察するのは、手間と時間がかかる可能性がある。
それゆえに、本開示の目的は、サンプルにおける応力発生部位の挙動を容易に把握可能とする応力測定装置を提供することである。
本開示における応力測定装置は、サンプルの表面に配置された応力発光体の発光を検出することによってサンプルに生じる応力を測定する応力測定装置であって、応力発光体が発する光を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像を処理する処理装置と、処理装置により処理された画像を表示する表示装置とを備える。処理装置は、撮像装置により撮像された時系列の複数の画像毎に、応力発光体の発光分布に従って応力発生部位を検知し、画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる表示態様で一画像に重ねて表示するように表示装置を制御する。
この応力測定装置によれば、撮像された時系列の複数の画像毎に検知された各応力発生部位が互いに異なる表示態様で一画像に重ね表示されるので、サンプルにおける応力発生部位の挙動を容易に把握することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
<応力測定装置の構成>
図1は、実施の形態1に従う応力測定装置の全体構成を示すブロック図である。図1を参照して、この応力測定装置100は、応力発光体の発光現象を利用して、試験対象1(以下「サンプル1」と称する。)に発生する応力(ひずみ)を計測する装置である。応力測定装置100は、サンプル1に発生する応力に対する耐久性を試験するためにも用いることができる。
<応力測定装置の構成>
図1は、実施の形態1に従う応力測定装置の全体構成を示すブロック図である。図1を参照して、この応力測定装置100は、応力発光体の発光現象を利用して、試験対象1(以下「サンプル1」と称する。)に発生する応力(ひずみ)を計測する装置である。応力測定装置100は、サンプル1に発生する応力に対する耐久性を試験するためにも用いることができる。
サンプル1は、フレキシブル性を有しており、例えばフレキシブルシート又はフレキシブルファイバである。フレキシブルシートは、例えば、スマートフォン若しくはタブレット等の通信端末のフレキシブルディスプレイ又はウェラブルデバイスの一部分を構成することができる。フレキシブルファイバは、例えば光ファイバケーブルの一部分を構成することができる。
この実施の形態1では、サンプル1が矩形状のフレキシブルシートである場合について例示される。サンプル1の表面には、応力発光体2が配置されている。応力発光体2は、例えば応力発光材料を含有する応力発光シートであり、少なくともサンプル1の所定領域の表面上に配置されている。この所定領域は、フレキシブルシートの折り曲げ時に応力が生じる領域(フレキシブルシートの変形領域)を含むように設定されている。応力発光体2は、サンプル1と一体的に折り曲げられて応力(ひずみ)が生じることになる。
応力発光体2は、外部からの機械的な刺激によって発光する部材であり、従来公知のものを用いることができる。応力発光体2は、外部から印加されるひずみエネルギによって発光する性質を有しており、その発光強度はひずみエネルギに応じて変化する。応力発光体2は、結晶の骨格中に発光中心となる元素を固溶したものであり、無機母体材料及び発光中心の元素を選択することで、紫外〜可視〜赤外の様々な波長で発光させることができる。組成として代表的なものに、発光中心としてユーロピウムを添加した欠陥制御型アルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4:Eu、緑色に発光)、マンガンを発光中心として添加し構造制御された硫化亜鉛(ZnS:Mn、黄橙色に発光)、プラセオジムを発光中心として添加した構造制御チタン酸バリウム・カルシウム((Ba,Ca)TiO3:Pr、赤色に発光)等が挙げられる。
応力測定装置100は、サンプル1に対して荷重を印加するための荷重印加機構を備える。図1の例では、荷重印加機構は、スマートフォンでの折り畳み操作時にフレキシブルディスプレイに印加される荷重を再現可能に構成されている。
荷重印加機構は、ホルダ10と、第1ドライバ20とを有する。ホルダ10は、サンプル1の表面が上側(図1の紙面上側)に位置するようにサンプル1を支持する。第1ドライバ20は、ホルダ10を第1の姿勢と第2の姿勢との間で遷移させることにより、サンプル1を折り曲げ可能に構成される。このような荷重印加機構には、例えば、特開2019−39743号公報に開示される変形試験器を適用することができる。
図1の例では、ホルダ10は、第1取付板11、第2取付板12及び駆動軸13を有する。第1取付板11は、長方形状の主面11aを有する。第2取付板12は、長方形状の主面12aを有する。主面11a及び主面12aには、サンプル1が、その裏面が接着されることにより取り付けられる。
第1ドライバ20は、駆動軸13の基部に取り付けられる。駆動軸13は、その中心軸がX軸に平行な状態で回動自在に支持される。第1ドライバ20は、内部にモータ、変速機及び制御部(図示せず)を含んでおり、所定の回動角度及び回動速度により駆動軸13をその中心軸の周りに正逆に回動させる。なお、駆動軸13の回動角度及び回動速度は可変であり、これにより、後述するサンプル1の折り曲げ試験における曲げ角度及び折り曲げ速度を適宜変更することができる。
第2取付板12は、駆動軸13に回動不可能に取り付けられる。駆動軸13の回動に伴って第2取付板12が回動する。第2取付板12が回動すると、第1取付板11も回動する。
図2は、図1に示す荷重印加機構の動作を説明する図である。図2には、第1取付板11、第2取付板12、及びこれらに取り付けられたサンプル1をX軸方向から見た様子が示されている。図2(B)及び(C)は、図2(A)の状態からサンプル1を折り曲げた状態を示している。サンプル1は、サンプル1の表面に配置された応力発光体2を有している。
図2を参照して、図2(A)の状態から第1ドライバ20によって駆動軸13をその中心軸周りに正方向(時計回り方向)に回動させると、図2(B)及び(C)に示すように、主面12a及び主面11aに取り付けられたサンプル1は、互いに平行でありかつ距離D1が一定の端部12ac及び端部11acを中心に平面Pに面対称に回動する主面12a及び主面11aの間で折り曲げられる。このため、端部12ac近傍、端部11ac近傍、及び端部11ac,12ac間、いずれの部分のサンプル1もほぼ同じ曲げ半径により曲げられる。
また、図1の荷重印加機構は、端部12ac及び端部11acを中心に端部12ac及び端部11acが常に平行かつ距離D1が一定に保たれた状態で主面11a及び主面12aを回動させるため、端部12ac近傍と端部11ac近傍との間に位置するサンプル1の部分を変形させるものの、それ以外のサンプル1の残部はほぼ変形させない。
なお、サンプル1を折り曲げた状態(図2(C))から、第1ドライバ20によって駆動軸13を逆方向(反時計回り方向)に回動させると、図2(B)の状態を経由して図2(A)の状態に戻る。このように、図2(A)の状態(サンプル1が平らな状態)から駆動軸13を正方向に回動させて図2(C)の状態(サンプル1が折り曲げられた状態)とし、その後、図2(C)の状態から駆動軸13を逆方向へ回動させて図2(A)の状態に戻すことで(1測定セットに相当)、サンプル1は平らな状態から折り曲げられて再び平らな状態に戻るため、サンプル1に対して1回の折り曲げ試験を行なうことができる。このような駆動軸13の正逆の回動を交互に行なうことにより、サンプル1の折り曲げ試験を繰り返し行なうことができる。
再び図1を参照して、応力測定装置100は、光源31と、筐体15と、カメラ40と、第2ドライバ42と、第3ドライバ32と、コントローラ50とをさらに備える。
光源31は、サンプル1の上方に配置されており、応力発光体2に対して励起光を照射するように構成される。励起光を受けて、応力発光体2が発光状態に遷移する。励起光は、紫外線〜青色光の波長域を有する光であることが好ましい。励起光としては、10〜600nmの波長域に含まれる光(紫外線から可視光領域を含む)を用いることができる。光源31には、紫外線ランプ、LED(Light Emitting Diode)等を用いることができる。
図1の例では、応力発光体2に対して2方向から励起光が照射されるものとしたが、光源31は、1方向又は3方向以上から応力発光体2に対して励起光を照射する構成としてもよい。
ホルダ10及び光源31は、筐体15内に収容されている。光源31が停止している状態において、筐体15を暗室とすることができる。
第3ドライバ32は、光源31を駆動するための電力を供給する。第3ドライバ32は、コントローラ50から受ける指令に応じて光源31に供給する電力を制御することにより、光源31から照射される励起光の光量及び励起光の照射時間等を制御することができる。
カメラ40は、サンプル1の上方に、サンプル1の所定領域上に位置する応力発光体2を撮像視野に含むように配置される。図1の例では、カメラ40は、筐体15の天井面に取り付けられている。具体的には、カメラ40は、フォーカス位置がサンプル1の所定領域内の少なくとも1点に位置するように配置される。所定領域内の少なくとも1点は、サンプル1の曲げの中心部分に位置することが好ましい。
カメラ40は、レンズ等の光学系及び撮像素子を含む撮像装置である。撮像素子は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等により実現される。撮像素子は、光学系を介して応力発光体2から入射される光を電気信号に変換することによって撮像画像を生成する。
カメラ40は、サンプル1に対する荷重印加時において、所定領域上に位置する応力発光体2の発光を所定のフレームレートで連続的に撮像するように構成される。カメラ40の撮像により生成された画像データはコントローラ50へ送信される。
第2ドライバ42は、コントローラ50から受ける指令に応じて、カメラ40のフォーカス位置を変更可能に構成される。具体的には、第2ドライバ42は、カメラ40を図1に示すZ軸方向及びY軸方向に沿って移動させることにより、カメラ40のフォーカス位置を調整することができる。例えば、第2ドライバ42は、カメラ40をZ軸方向及びY軸方向に移動させる送りねじを回転させるモータと、モータを駆動するモータドライバとを有する。送りねじがモータによって回転駆動されることにより、カメラ40は、Z軸及びY軸の各方向の所定範囲内の指定された位置に位置決めされる。また、第2ドライバ42は、カメラ40の位置を示す位置情報をコントローラ50へ送信する。
コントローラ50は、応力測定装置100全体を制御する。コントローラ50は、主な構成要素として、プロセッサ501と、メモリ502と、入出力インターフェイス(I/F)503と、通信I/F504とを有する。これらの各部は、図示しないバスを通じて互いに通信可能に接続される。
プロセッサ501は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置である。プロセッサ501は、メモリ502に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、応力測定装置100の各部の動作を制御する。具体的には、プロセッサ501は、当該プログラムを実行することによって、後述する応力測定装置100の処理の各々を実現する。なお、図1では、プロセッサが単数である構成が例示されているが、コントローラ50は複数のプロセッサを有する構成としてもよい。
メモリ502は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びフラッシュメモリ等の不揮発性メモリによって実現される。メモリ502は、プロセッサ501によって実行されるプログラム、又はプロセッサ501によって用いられるデータ等を記憶する。
入出力I/F503は、プロセッサ501と、第1ドライバ20、第3ドライバ32、カメラ40及び第2ドライバ42との間で各種データをやり取りするためのインターフェイスである。
通信I/F504は、応力測定装置100と他の装置との間で各種データをやり取りするための通信インターフェイスであり、アダプタ又はコネクタ等によって実現される。なお、通信方式は、無線LAN(Local Area Network)等による無線通信方式であってもよいし、USB(Universal Serial Bus)等を利用した有線通信方式であってもよい。
コントローラ50には、ディスプレイ60及び操作部70が接続される。ディスプレイ60は、画像を表示可能な液晶パネル等で構成される。操作部70は、応力測定装置100に対するユーザの操作入力を受け付ける。操作部70は、典型的には、タッチパネル、キーボード、マウス等で構成される。
コントローラ50は、第1ドライバ20、第3ドライバ32、カメラ40及び第2ドライバ42と通信接続されている。コントローラ50と第1ドライバ20、第3ドライバ32、カメラ40及び第2ドライバ42との間の通信は、無線通信で実現されてもよいし、有線通信で実現されてもよい。
<コントローラ50の機能構成>
図3は、コントローラ50の構成を機能的に示すブロック図である。図3を参照して、コントローラ50は、応力制御部61、光源制御部62、撮像制御部63、測定制御部64、データ取得部65、及びデータ処理部66を有する。これらは、プロセッサ501がメモリ502に格納されたプログラムを実行することに基づいて実現される機能ブロックである。
図3は、コントローラ50の構成を機能的に示すブロック図である。図3を参照して、コントローラ50は、応力制御部61、光源制御部62、撮像制御部63、測定制御部64、データ取得部65、及びデータ処理部66を有する。これらは、プロセッサ501がメモリ502に格納されたプログラムを実行することに基づいて実現される機能ブロックである。
応力制御部61は、第1ドライバ20の動作を制御する。具体的には、応力制御部61は、予め設定されている測定条件に従って、第1ドライバ20の動作速度及び動作時間等を制御する。第1ドライバ20の動作速度及び動作時間を制御することによって、ホルダ10における駆動軸13の回動角度及び回動速度等を調整することができる。これにより、サンプル1の折り曲げ角度及び折り曲げ速度等を調整することができる。
光源制御部62は、第3ドライバ32による光源31の駆動を制御する。具体的には、光源制御部62は、予め設定されている測定条件に基づいて、光源31に供給する電力の大きさ及び光源31への電力の供給時間等を指示するための指令を生成し、生成した指令を第3ドライバ32へ出力する。第3ドライバ32が当該指令に従って光源31に供給する電力を制御することにより、光源31から照射される励起光の光量及び励起光の照射時間等を調整することができる。
撮像制御部63は、第2ドライバ42によるカメラ40の移動を制御する。具体的には、撮像制御部63は、予め設定されている測定条件及び第2ドライバ42から入力されるカメラ40の位置情報に基づいて、サンプル1の所定領域の移動に追従してカメラ40を移動させるための指令を生成する。撮像制御部63は、生成した指令を第2ドライバ42へ出力する。第2ドライバ42が当該指令に従ってカメラ40を移動させることにより、カメラ40のフォーカス位置をサンプル1の所定領域の少なくとも1点に維持することができる。
撮像制御部63はさらに、カメラ40による撮像を制御する。具体的には、撮像制御部63は、予め設定されている測定条件に従って、少なくとも荷重印加時において、サンプル1を撮像するようにカメラ40を制御する。撮像に関する測定条件は、カメラ40のフレームレートを含む。
データ取得部65は、カメラ40の撮像により生成された画像データを取得し、取得した画像データをデータ処理部66へ転送する。
データ処理部66は、荷重印加時におけるカメラ40の撮像により得られた画像データに対して公知の画像処理を施すことにより、応力発光体2の応力発光を測定する。データ処理部66は、例えば、応力発光体2における応力発光強度の分布を示す画像を生成する。データ処理部66は、カメラ40による撮像画像及び応力発光体2における応力発光強度の分布を示す画像を含む測定結果をディスプレイ60に表示させることができる。
測定制御部64は、応力制御部61、光源制御部62、撮像制御部63、データ取得部65及びデータ処理部66を統括的に制御する。具体的には、測定制御部64は、操作部70に入力される測定条件及びサンプル1の情報等に基づいて、各部に対して制御指令を与える。
<応力測定方法>
次に、応力測定装置100を用いたサンプル1の応力測定方法について説明する。
次に、応力測定装置100を用いたサンプル1の応力測定方法について説明する。
図4は、応力測定装置100を用いたサンプル1の応力測定の処理手順を説明するフローチャートである。
図4を参照して、まず、サンプル1が準備される(ステップS10)。サンプル1は、ホルダ10の第1取付板11の主面11a及び第2取付板12の主面12a上に取り付けられる。図1に示す荷重印加機構によってサンプル1を折り曲げたとき、サンプル1の横方向(Y方向)における中央部分には変形領域が形成される。この変形領域は、縦方向(X方向)に延びる帯状の形状を有している。応力発光体2は、少なくともサンプル1の変形領域上に位置するように、サンプル1の表面に接着される。例えば、応力発光体2は、サンプル1と同程度のサイズの矩形形状を有しており、サンプル1の表面の全域を覆うように配置されている。
応力発光体2は、例えば、応力発光材料を含有する応力発光シートをサンプル1の所定領域に貼り付けることによって形成することができる。応力発光体2は、例えば、ユーロピウムを添加した欠陥制御型アルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4:Eu)であり、緑色の発光を示す。
次に、応力発光体2に対して、光源31から励起光(例えば紫外線)が照射される(ステップS20)。応力発光体2は、励起光を受けて発光状態に遷移する。
次に、第1ドライバ20を駆動させてサンプル1が折り曲げられることにより、サンプル1に荷重(曲げ荷重)が印加される(ステップS30)。図2に示したように、第1ドライバ20によって駆動軸13を正方向に回動させることにより、サンプル1が折り曲げられる。
サンプル1に荷重(曲げ荷重)が印加されている間、カメラ40は、サンプル1の表面に設けられた応力発光体2の発光を撮像する(ステップS40)。詳しくは、カメラ40は、サンプル1に荷重(曲げ荷重)が印加されている間、フレームレートに応じた枚数の静止画像を生成する。フレームレートは、動画処理において単位時間当たりに処理されるフレーム数である。カメラ40の露光時間をTeとし、露光後から次のフレームの露光までのインターバル時間をTrとすると、フレーム数mは、m=Tm/(Te+Tr)で表わされる。なお、カメラ40による撮像は暗室内にて行なわれる。
次いで、コントローラ50は、カメラ40により撮像された画像に対して所定の画像処理を実行する(ステップS50)。具体的には、コントローラ50は、ステップS40において生成される、カメラ40のフレームレートに応じた枚数の画像毎に、応力発光体2の発光分布に従って応力発生部位を検知する。この実施の形態1では、発光強度がしきい値よりも高い領域が応力発生部位として検知される。
そして、ステップS50において画像処理が施された各画像を時系列に観察することにより、サンプル1に荷重(曲げ荷重)が印加されている間の応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)を観察することができる。しかしながら、得られた各画像を時系列で1枚1枚ディスプレイ60に表示させて観察するのは、手間と時間がかかる可能性がある。
そこで、本実施の形態1に従う応力測定装置100では、コントローラ50は、カメラ40のフレームレートに応じて撮像された画像毎にステップS50にて検知された各応力発生部位を、互いに異なる表示態様で一画像に重ねてディスプレイ60に表示させる(ステップS60)。これにより、サンプル1における応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)を一画像上で容易に把握することが可能となる。この点については、後ほど詳しく説明する。
図5は、応力測定装置100における光源31、カメラ40及びホルダ10の動作を説明するためのタイミングチャートである。図5には、光源31における励起光の照射タイミングを示す波形、カメラ40の撮像タイミングを示す波形、及び第1ドライバ20によるホルダ10の動作タイミングを示す波形が示されている。
ホルダ10の動作タイミングは「試験回数」で表示されている。サンプル1を平らな状態(図2(A))から折り曲げた状態(図2(C))に遷移させる動作を1回の折り曲げ試験(以下、単に「試験」とも称する。)とする。したがって、第1ドライバ20の1動作周期の前半に、1回の試験が行なわれる。1回の試験後、サンプル1が平らな状態に戻される。図5の例では、試験は繰り返し行なわれる。1回目の試験を「T1」、2回目の試験を「T2」とも表記する。
応力測定装置100は、試験の実行中、サンプル1が折り曲げられる領域を少なくとも含む所定領域に配置された応力発光体2の発光を測定する。図5では、時刻t3にて試験T1が開始される。この時刻t3よりも前の時刻t1から時刻t2までの時間Tiに、光源31から応力発光体2に励起光が照射される。時刻t2から時刻t3までの時間Twは、励起光の照射を終えてから測定開始までの待機時間に相当する。
時刻t3にて試験T1が開始されると同時に、カメラ40による撮像が開始される。すなわち、試験T1の開始タイミングとカメラ40による撮像の開始タイミングとを一致させる。カメラ40による撮像は、時刻t4で試験T1が終了するまで継続して実行される。すなわち、時刻t3から時刻t4までの試験時間Tmは、応力発光の測定時間に相当する。
試験時間Tm(測定時間)では、カメラ40のフレームレートに応じた枚数の静止画像が生成される。フレーム数mは、カメラ40の露光時間をTeとし、露光後から次のフレームの露光までのインターバル時間をTrとすると、上述のように、m=Tm/(Te+Tr)で表わすことができる。
本開示では、1回の応力測定処理においてカメラ40の撮像により取得されるm枚のフレーム(静止画像)のセットを「測定セット」とも称する。図5では、1回目の応力測定処理により得られる測定セットを「S1」、2回目の応力測定処理により得られる測定セットを「S2」とも表記する。各測定セットは、フレームF1〜フレームFmで構成される。
図6は、実施の形態1に従う応力測定装置100において、1測定セットの測定結果をディスプレイ60に表示する際の表示方法を説明する図である。図6を参照して、1測定セットにおいて、カメラ40のフレームレートに応じてフレームF1〜Fmのm枚の画像が順次撮像される。
コントローラ50は、フレームF1〜Fmの各々において、応力発光体2の発光分布に従って応力発生部位を検知する。本実施の形態1では、発光強度がしきい値よりも高い領域が応力発生部位として検知される。
画像P1〜Pmは、カメラ40による撮像画像内の所定の関心領域(以下「ROI(Region Of Interest)」と称する。)について、それぞれフレームF1〜Fmにおいて検知された応力発生部位の画像である。ROIは、カメラ40の撮像範囲全体であってもよいし、ユーザが操作部70(図1)から設定可能としてもよい。
そして、この実施の形態1では、各画像P1〜Pmにおいて、検知された応力発生部位に対応のフレーム番号の数字が配置される。すなわち、コントローラ50は、フレームFi(i=1〜m)毎に、設定されたROIにおいて応力発生部位を検知し、検知された応力発生部位にフレーム番号の文字「i」を配置することで、ROI内の応力発生部位を示す画像Piを生成する。この実施の形態1では、各画像Piにおいて、応力発生部位に表示される文字「i」のサイズは同じであり、したがって、応力発生部位の領域が大きいほど、表示される文字「i」の数が多くなる。
そして、この実施の形態1に従う応力測定装置100では、画像P1〜Pmを重ね合わせることで得られる画像Ptがディスプレイ60に表示される。画像Ptでは、フレームFi(i=1〜m)に対応する応力発生部位が文字「i」で表示されている。したがって、ディスプレイ60に表示された1枚の画像Ptから、1測定セットにおける応力発生部位の挙動(位置の時間的変化)を容易に把握することができる。
図7は、図4のステップS50,S60において実行される画像処理及び画像表示の手順の詳細を示すフローチャートである。図7を参照して、コントローラ50は、まず、変数iに1をセットし(ステップS110)、フレームFiの画像を取得する(ステップS120)。
次いで、コントローラ50は、取得された画像において、設定されたROI内で発光強度がしきい値Ithよりも高い領域(応力発生部位)を検出する(ステップS130)。しきい値Ithは、応力発生部位の観察を必要とする発光強度レベルに適宜設定される。ROIは、撮像される画像の全体であってもよいし、ユーザが操作部70(図1)から設定した領域であってもよい。
そして、コントローラ50は、設定されたROIについて、ステップS130にて検出された領域(応力発生部位)に文字「i」を配置することで、フレームiにおける応力発生部位を示す画像Piを生成する(ステップS140)。すなわち、画像Pi中の文字「i」が表示された領域は、フレームFiが撮像された時点での応力発生部位を示す。
次いで、コントローラ50は、変数iがフレーム数m以上であるか否かを判定する(ステップS150)。変数iがフレーム数mよりも小さいときは(ステップS150においてNO)、コントローラ50は、変数iを1増加し(ステップS160)、ステップS120へ処理を戻す。すなわち、変数iがフレーム数mに達するまで、ステップS120〜S140の処理が繰り返し実行される。
そして、ステップS150において変数iがフレーム数mに達したと判定されると(ステップS150においてYES)、コントローラ50は、ステップS140において生成された、フレームF1〜Fmにそれぞれ対応する画像P1〜Pmを重ね合わせた画像Ptをディスプレイ60に表示する(ステップS170)。
以上のように、この実施の形態1においては、サンプル1に対する1回の応力測定においてカメラ40により撮像された画像(フレームF1〜Fm)毎に応力発生部位が検知され、検知された各応力発生部位をフレーム毎に互いに異なる記号で一画像(画像Pt)に重ねて表示させる。この実施の形態1では、各応力発生部位を表示する記号として、対応のフレーム番号が用いられる。これにより、サンプル1に対する1回の応力測定における応力発生部位の挙動を容易に把握することができる。
また、この実施の形態1によれば、応力発光体2の発光強度がしきい値Ithを超える領域を応力発生部位として検知するので、検証に値する応力発生部位を抽出してその挙動を一画像上で容易に観察することができる。
なお、上記では、各応力発生部位を表示する記号として、対応のフレーム番号を用いるものとしたが、フレーム番号に代えて、フレーム毎に異なる図形記号を用いてもよい。この場合、フレーム番号或いは測定時間の経過と、表示される図形記号との関係を示す指標を、画像Ptとともにディスプレイ60に表示しておくのが好ましい。
[変形例1]
実施の形態1では、ディスプレイ60に表示される画像Ptにおいて、フレームF1〜Fm毎に検知される各応力発生部位を区別するために、各応力発生部位を互いに異なる記号で表示するものとし、具体的には、各応力発生部位を対応のフレーム番号の数字で表示するものとした。
実施の形態1では、ディスプレイ60に表示される画像Ptにおいて、フレームF1〜Fm毎に検知される各応力発生部位を区別するために、各応力発生部位を互いに異なる記号で表示するものとし、具体的には、各応力発生部位を対応のフレーム番号の数字で表示するものとした。
この変形例1では、フレームF1〜Fm毎に検知される各応力発生部位を区別するために、各応力発生部位を互いに異なる明度で表示する。この例では、フレーム番号が大きくなるほど応力発生部位の表示の明度が高くなるように各応力発生部位が表示される。このような表示によっても、一画像上で応力発生部位の挙動を容易に把握することができる。
図8は、変形例1に従う応力測定装置100において、1測定セットの測定結果をディスプレイ60に表示する際の表示方法を説明する図である。この図8は、実施の形態1において説明した図6に対応するものである。
図8を参照して、この変形例1でも、画像P1〜Pmは、カメラ40による撮像画像内の所定のROIについて、それぞれフレームF1〜Fmにおいて検知された応力発生部位の画像である。
この変形例1では、画像P1〜Pmにおいて、検知された応力発生部位が互いに異なる明度で表示される。具体的には、画像P1〜Pmにおいて、対応のフレーム番号が大きいほど明度が高くなるように各応力発生部位が表示される。コントローラ50は、フレームFi(i=1〜m)毎に、設定されたROIにおいて応力発生部位を検知し、フレーム番号が大きくなるに従って明度が高くなるようにフレーム番号に応じて予め定められた明度で、ROI内の応力発生部位を示す画像Piを生成する。
そして、本変形例1でも、画像P1〜Pmを重ね合わせることで得られる画像Ptがディスプレイ60に表示される。画像Ptでは、フレームFi(i=1〜m)に対応する応力発生部位が、フレーム番号が大きくなるに従って明度が高くなるようにフレーム番号に応じて予め定められた明度で表示されている。したがって、ディスプレイ60に表示された1枚の画像Ptから、1測定セットにおける応力発生部位の挙動(位置の時間的変化)を容易に把握することができる。
なお、フレーム番号或いは測定時間の経過と、表示される応力発生部位の明度との関係を示す指標を、画像Ptとともにディスプレイ60に表示しておくのが好ましい。これにより、応力発生部位の推移をより容易に把握することができる。
また、上記では、フレーム番号が大きくなるほど応力発生部位の表示の明度が高くなるように各応力発生部位が表示されるものとしたが、フレーム番号が大きくなるほど明度が低くなるように各応力発生部位を表示してもよい。
[変形例2]
フレームF1〜Fm毎に検知される各応力発生部位を区別するために、各応力発生部位を互いに異なる彩度で表示するようにしてもよい。この変形例2では、フレーム番号が大きくなるほど応力発生部位の彩度が高くなるように各応力発生部位が表示される。このような表示方法によっても、一画像上で応力発生部位の挙動を容易に把握することができる。
フレームF1〜Fm毎に検知される各応力発生部位を区別するために、各応力発生部位を互いに異なる彩度で表示するようにしてもよい。この変形例2では、フレーム番号が大きくなるほど応力発生部位の彩度が高くなるように各応力発生部位が表示される。このような表示方法によっても、一画像上で応力発生部位の挙動を容易に把握することができる。
図9は、変形例2に従う応力測定装置100において、1測定セットの測定結果をディスプレイ60に表示する際の表示方法を説明する図である。この図9も、実施の形態1において説明した図6に対応するものである。
図9を参照して、この変形例2では、画像P1〜Pmにおいて、検知された応力発生部位が互いに異なる彩度で表示される。具体的には、画像P1〜Pmにおいて、対応のフレーム番号が大きいほど彩度が高くなるように各応力発生部位が表示される。コントローラ50は、フレームFi(i=1〜m)毎に、設定されたROIにおいて応力発生部位を検知し、フレーム番号が大きくなるに従って彩度が高くなるようにフレーム番号に応じて予め定められた彩度で、ROI内の応力発生部位を示す画像Piを生成する。
そして、本変形例2でも、画像P1〜Pmを重ね合わせることで得られる画像Ptがディスプレイ60に表示される。画像Ptでは、フレームFi(i=1〜m)に対応する応力発生部位が、フレーム番号が大きくなるに従って彩度が高くなるようにフレーム番号に応じて予め定められた彩度で表示されている。したがって、ディスプレイ60に表示された1枚の画像Ptから、1測定セットにおける応力発生部位の挙動(位置の時間的変化)を容易に把握することができる。
なお、この変形例2でも、フレーム番号或いは測定時間の経過と、表示される応力発生部位の彩度との関係を示す指標を、画像Ptとともにディスプレイ60に表示しておくのが好ましい。これにより、応力発生部位の推移をより容易に把握することができる。
また、上記では、フレーム番号が大きくなるほど応力発生部位の彩度が高くなるように各応力発生部位が表示されるものとしたが、フレーム番号が大きくなるほど応力発生部位の彩度が低くなるように各応力発生部位を表示してもよい。
また、特に図示しないが、明度や彩度に代えて、フレーム毎に応力発生部位の表示の色相等を変化させてもよい。また、この場合においても、フレーム番号或いは測定時間の経過と、表示される応力発生部位の表示の色相等との関係を示す指標を、画像Ptとともにディスプレイ60に表示しておくのが好ましい。
[実施の形態2]
実施の形態2では、応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)に加えて、発生した応力の大きさの変化についても、一画像上に表示される。
実施の形態2では、応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)に加えて、発生した応力の大きさの変化についても、一画像上に表示される。
実施の形態2に従う応力測定装置100の全体構成は、図1から図3に示した構成と同じである。また、この実施の形態2でも、図4に示したフローチャートに従って応力測定の処理が実行される。
図10は、実施の形態2に従う応力測定装置100において、1測定セットの測定結果をディスプレイ60に表示する際の表示方法を説明する図である。この図10も、実施の形態1において説明した図6に対応するものである。
図10を参照して、この実施の形態2でも、コントローラ50は、フレームF1〜Fmの各々において、応力発光体2の発光分布に従って応力発生部位を検知する。ここで、実施の形態1では、発光強度がしきい値よりも高い領域が応力発生部位として検知され、検知された応力発生部位に対応のフレーム番号の数字が単に配置されるものとしたが、この実施の形態2では、発光強度の大きさに応じて、表示される数字の大きさが調整される。具体的には、各画像Pi(i=1〜m)において、検出された応力発生部位の発光強度が高いほど、表示される文字「i」が大きく表示される。図10の例では、文字「i」のサイズから、フレームF3やフレームFmの撮像時点で応力が大きいことが分かる。
図11は、実施の形態2において、コントローラ50により実行される画像処理及び画像表示の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、実施の形態2において、図4のステップS50,S60において実行される処理の詳細を示すものである。
図11を参照して、ステップS210〜S230,S250〜S270の処理は、それぞれ図7に示したステップS110〜S130,S150〜S170の処理と同じである。
そして、この実施の形態2では、ステップS230において、取得された画像にてROI内で発光強度がしきい値Ithよりも高い領域(応力発生部位)が検出されると、コントローラ50は、設定されたROIについて、ステップS230にて検出された領域(応力発生部位)に、発光強度に応じた大きさの文字「i」を配置することで、フレームiにおける応力発生部位を示す画像Piを生成する(ステップS240)。すなわち、画像Pi中の文字「i」が表示された領域は、フレームFiが撮像された時点での応力発生部位を示し、さらに、文字「i」の大きさは、発生した応力の大きさを示す。
そして、ステップS250において変数iがフレーム数mに達したと判定されると(ステップS250においてYES)、コントローラ50は、ステップS240において生成された、フレームF1〜Fmにそれぞれ対応する画像P1〜Pmを重ね合わせた画像Ptをディスプレイ60に表示する(ステップS270)。
この実施の形態2によれば、文字「i」の大きさが発生した応力の大きさを示しているので、応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)に加えて、発生した応力の大きさの変化についても、一画像上に表示することができる。
[実施の形態3]
上記の各実施の形態及び各変形例は、1測定セットにおける応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)に関するものであるが、この実施の形態3は、折り曲げ試験を繰り返し行なった場合に、各測定セットでの共通の時刻における応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)に関する。
上記の各実施の形態及び各変形例は、1測定セットにおける応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)に関するものであるが、この実施の形態3は、折り曲げ試験を繰り返し行なった場合に、各測定セットでの共通の時刻における応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)に関する。
この実施の形態3では、1つの測定セット内で応力発生部位を観察する時刻が特定される。具体的には、1つの測定セットの測定時間Tm内における任意の時刻をユーザが操作部70から特定することができる。例えば、ユーザは、1回の試験においてサンプル1にかかる応力が最も大きくなるタイミングに対応する時刻を特定することができる。ユーザが1つの測定セット内である時刻を特定すると、残りの測定セットについても同じ時刻が特定されることになる。すなわち、特定された時刻は、各測定セット間で互いに共通の時刻である。
折り曲げ試験を繰り返し行なった場合に、順次取得される各測定セットでの共通の特定時刻における応力発生部位を時系列に観察することにより、試験回数に応じた応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)を観察することができる。しかしながら、測定セット毎に撮像される複数の画像を時系列で1枚1枚ディスプレイ60に表示させて観察するのは、手間と時間がかかる可能性がある。
そこで、実施の形態3に従う応力測定装置100では、各測定セットの特定時刻に撮像されることで得られる複数の画像毎に検出される各応力発生部位が、互いに異なる表示態様で一画像に重ねてディスプレイ60に表示される。これにより、折り曲げ試験を繰り返し行なった場合に、試験回数に応じた応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)を容易に把握することが可能となる。
図12は、実施の形態3に従う応力測定装置100において、測定セット毎の特定時刻における測定結果をディスプレイ60に表示する際の表示方法を説明する図である。なお、この例では、N回の折り曲げ試験を実行することで、合計N回の繰り返し応力をサンプル1に印加することにより、合計N個の測定セットS1〜SNが取得される。
図12を参照して、コントローラ50は、測定セットS1〜SNの各々について、フレームF1〜Fmに対応するm枚の発光強度分布の画像の中から、特定時刻に対応するフレームFkの発光強度分布の画像を抽出する。そして、コントローラ50は、抽出した発光強度分布の画像について、応力発光体2の発光分布に従って応力発生部位を検知する。なお、この実施の形態3でも、発光強度がしきい値よりも高い領域が応力発生部位として検知される。
画像P1〜PNは、カメラ40による撮像画像内の所定のROIについて、それぞれ測定セットS1〜SNの特定時刻における応力発生部位を示す。そして、この例では、各画像P1〜PNにおいて、検知された応力発生部位に対応の測定セットの番号の数字が配置される。
具体的には、コントローラ50は、測定セットS1〜SNの特定時刻におけるフレームFk(Sj)(j=1〜N)毎に、設定されたROIにおいて応力発生部位を検知し、検知された応力発生部位に測定セットの番号の文字「j」を配置することで、ROI内の応力発生部位を示す画像Pjを生成する。この実施の形態3では、各画像Pjにおいて、応力発生部位に表示される文字「j」のサイズは同じであり、したがって、応力発生部位の領域が大きいほど、表示される文字「j」の数が多くなる。
そして、この実施の形態3に従う応力測定装置100では、画像P1〜PNを重ね合わせることで得られる画像Ptがディスプレイ60に表示される。画像Ptでは、フレームFk(Sj)(j=1〜N)に対応する応力発生部位が文字「j」で表示されている。したがって、折り曲げ試験を繰り返し行なった場合に、ディスプレイ60に表示された1枚の画像Ptから、各試験の特定時刻における応力発生部位の挙動(位置の時間的変化)を容易に把握することができる。
実施の形態3に従う応力測定装置100の全体構成は、図1から図3に示した構成と同じである。また、この実施の形態3でも、図4に示したフローチャートに従って応力測定の処理が実行される。
図13は、実施の形態3において、コントローラ50により実行される画像処理及び画像表示の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、実施の形態3において、図4のステップS50,S60において実行される処理の詳細を示すものである。
図13を参照して、コントローラ50は、まず、変数jに1をセットし(ステップS310)、測定セットSjのフレームFk(Sj)の画像を取得する(ステップS320)。なお、上述のように、フレームFk(Sj)は、測定セットSjの測定時間Tm内においてユーザが操作部70から特定した時刻に対応するフレームである。
次いで、コントローラ50は、取得された画像において、設定されたROI内で発光強度がしきい値Ithよりも高い領域(応力発生部位)を検出する(ステップS330)。そして、コントローラ50は、設定されたROIについて、ステップS330にて検出された領域(応力発生部位)に文字「j」を配置することで、測定セットSjの特定時刻における応力発生部位を示す画像Pjを生成する(ステップS340)。すなわち、画像Pj中の文字「j」が表示された領域は、フレームFk(Sj)が撮像された時点での応力発生部位を示す。
次いで、コントローラ50は、変数jが測定セット数N以上であるか否かを判定する(ステップS350)。変数jが測定セット数Nよりも小さいときは(ステップS350においてNO)、コントローラ50は、変数jを1増加し(ステップS360)、ステップS320へ処理を戻す。すなわち、変数jが測定セット数Nに達するまで、ステップS320〜S340の処理が繰り返し実行される。
そして、ステップS350において変数jが測定セット数Nに達したと判定されると(ステップS350においてYES)、コントローラ50は、ステップS340において生成された、測定セットS1〜SNにそれぞれ対応する画像P1〜PNを重ね合わせた画像Ptをディスプレイ60に表示する(ステップS370)。
以上のように、この実施の形態3においては、サンプル1に対する繰り返しの応力測定において、1回の測定における特定時刻にカメラ40により撮像された画像毎に応力発生部位が検知され、検知された各応力発生部位を測定セット毎に互いに異なる表示態様で一画像(画像Pt)に重ねて表示させる。したがって、この実施の形態3によれば、サンプル1に対する繰り返しの応力測定において、各測定の測定時間内の特定時刻における応力発生部位の挙動を容易に把握することができる。
[実施の形態3の変形例]
実施の形態3についても、上記の変形例1と同様に、ディスプレイ60に表示される画像Ptにおいて、測定セットS1〜SNの応力発生部位を区別するために、各応力発生部位を互いに異なる明度で表示してもよい。例えば、測定セットの番号が大きくなるほど応力発生部位の表示明度が高くなる(又は低くなる)ようにしてもよい。
実施の形態3についても、上記の変形例1と同様に、ディスプレイ60に表示される画像Ptにおいて、測定セットS1〜SNの応力発生部位を区別するために、各応力発生部位を互いに異なる明度で表示してもよい。例えば、測定セットの番号が大きくなるほど応力発生部位の表示明度が高くなる(又は低くなる)ようにしてもよい。
また、上記の変形例2と同様に、ディスプレイ60に表示される画像Ptにおいて、測定セットS1〜SNの応力発生部位を区別するために、各応力発生部位を互いに異なる彩度で表示してもよい。例えば、測定セットの番号が大きくなるほど応力発生部位の彩度が高くなる(又は低くなる)ようにしてもよい。
また、上記の実施の形態2と同様に、各測定セットS1〜SNでの特定時刻における応力発生部位について、応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)に加えて、発生した応力の大きさの変化についても、一画像上に表示するようにしてもよい。
図14は、実施の形態3の上記変形例において、コントローラ50により実行される画像処理及び画像表示の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、当該変形例において、図4のステップS50,S60において実行される処理の詳細を示すものである。
図14を参照して、ステップS410〜S430,S450〜S470の処理は、それぞれ図13に示したステップS310〜S330,S350〜S370の処理と同じである。
そして、この変形例では、ステップS430において、取得された画像にてROI内で発光強度がしきい値Ithよりも高い領域(応力発生部位)が検出されると、コントローラ50は、設定されたROIについて、ステップS430にて検出された領域(応力発生部位)に、発光強度に応じた大きさの文字「j」を配置することで、フレームFk(Sj)における応力発生部位を示す画像Pjを生成する(ステップS440)。すなわち、画像Pj中の文字「j」が表示された領域は、フレームFk(Sj)が撮像された時点での応力発生部位を示し、さらに、文字「j」の大きさは、発生した応力の大きさを示す。
そして、ステップS450において変数jが測定セット数Nに達したと判定されると(ステップS450においてYES)、コントローラ50は、ステップS440において生成された、測定セットS1〜SNにそれぞれ対応する画像P1〜PNを重ね合わせた画像Ptをディスプレイ60に表示する(ステップS470)。
この変形例によっても、文字「j」の大きさが発生した応力の大きさを示しているので、測定セットS1〜SNでの特定時刻における応力発生部位について、応力発生部位の挙動(空間的及び時間的変化)に加えて、発生した応力の大きさの変化についても、一画像上に表示することができる。
[態様]
上述した複数の例示的な実施の形態及びその変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
上述した複数の例示的な実施の形態及びその変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係る応力測定装置は、サンプルの表面に配置された応力発光体の発光を検出することによってサンプルに生じる応力を測定する応力測定装置であって、応力発光体が発する光を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像を処理する処理装置と、処理装置により処理された画像を表示する表示装置とを備える。処理装置は、撮像装置により撮像された時系列の複数の画像毎に、応力発光体の発光分布に従って応力発生部位を検知し、複数の画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる表示態様で一画像に重ねて表示するように表示装置を制御する。
この応力測定装置によれば、撮像された時系列の画像毎に検知された各応力発生部位が互いに異なる表示態様で一画像に重ねて表示されるので、サンプルにおける応力発生部位の挙動を容易に把握することができる。
(第2項)第1項に記載の応力測定装置において、処理装置は、サンプルに対する1回の応力測定において撮像装置により連続的に撮像された複数の画像毎に応力発生部位を検知し、複数の画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる表示態様で一画像に重ねて表示するように表示装置を制御する。
この応力測定装置によれば、サンプルに対する1回の応力測定における応力発生部位の挙動を容易に把握することができる。
(第3項)第1項に記載の応力測定装置において、処理装置は、サンプルに対する繰り返しの応力測定において、毎回の測定において測定時間内の特定時刻に撮像装置により撮像されることで得られる複数の画像毎に応力発生部位を検知し、複数の画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる表示態様で一画像に重ねて表示するように表示装置を制御する。
この応力測定装置によれば、サンプルに対する繰り返しの応力測定において、各測定の測定時間内の特定時刻における応力発生部位の挙動を容易に把握することができる。
(第4項)第1項から第3項のいずれか1項に記載の応力測定装置において、処理装置は、応力発光体の発光強度がしきい値を超える領域を応力発生部位として検知する。
この応力測定装置によれば、検証に値する応力発生部位を抽出してその挙動を一画像上で容易に観察することができる。
(第5項)第1項から第4項のいずれか1項に記載の応力測定装置において、処理装置は、画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる記号で一画像に重ねて表示するように表示装置を制御する。
この応力測定装置によれば、一画像上に表示された各応力発生部位の推移を容易に把握することができる。
(第6項)第5項に記載の応力測定装置において、処理装置は、さらに、画像毎に検知された各応力発生部位を発光強度に応じて異なる表示態様で表示するように表示装置を制御する。
この応力測定装置によれば、応力発生部位の挙動に加えて、発生した応力の大きさの変化についても一画像上で容易に把握することができる。
(第7項)第6項に記載の応力測定装置において、処理装置は、発光強度が高い応力発生部位ほど記号のサイズが大きくなるように表示装置を制御する。
これらの応力測定装置によれば、応力発生部位の挙動に加えて、発生した応力の相対的な大きさについても一画像上で容易に把握することができる。
(第8項)第1項から第6項のいずれか1項に記載の応力測定装置において、処理装置は、画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる明度で一画像に重ねて表示するように表示装置を制御する。
(第9項)第1項から第6項のいずれか1項に記載の応力測定装置において、処理装置は、画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる彩度で一画像に重ねて表示するように表示装置を制御する。
これらの構成によっても、一画像上に表示された各応力発生部位の推移を容易に把握することができる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 サンプル、2 応力発光体、10 ホルダ、11 第1取付板、11a,12a 主面、12 第2取付板、13 駆動軸、15 筐体、20 第1ドライバ、31 光源、32 第3ドライバ、40 カメラ、42 第2ドライバ、50 コントローラ、60 ディスプレイ、61 応力制御部、62 光源制御部、63 撮像制御部、64 測定制御部、65 データ取得部、66 データ処理部、70 操作部、100 応力測定装置、501 プロセッサ、502 メモリ、503 入出力I/F、504 通信I/F。
Claims (9)
- サンプルの表面に配置された応力発光体の発光を検出することによって前記サンプルに生じる応力を測定する応力測定装置であって、
前記応力発光体が発する光を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された画像を処理する処理装置と、
前記処理装置により処理された画像を表示する表示装置とを備え、
前記処理装置は、
前記撮像装置により撮像された時系列の複数の画像毎に、前記応力発光体の発光分布に従って応力発生部位を検知し、
前記複数の画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる表示態様で一画像に重ねて表示するように前記表示装置を制御する、応力測定装置。 - 前記処理装置は、
前記サンプルに対する1回の応力測定において前記撮像装置により連続的に撮像された複数の画像毎に前記応力発生部位を検知し、
前記複数の画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる表示態様で一画像に重ねて表示するように前記表示装置を制御する、請求項1に記載の応力測定装置。 - 前記処理装置は、
前記サンプルに対する繰り返しの応力測定において、毎回の測定において測定時間内の特定時刻に前記撮像装置により撮像されることで得られる複数の画像毎に前記応力発生部位を検知し、
前記複数の画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる表示態様で一画像に重ねて表示するように前記表示装置を制御する、請求項1に記載の応力測定装置。 - 前記処理装置は、前記応力発光体の発光強度がしきい値を超える領域を前記応力発生部位として検知する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載に応力測定装置。
- 前記処理装置は、画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる記号で一画像に重ねて表示するように前記表示装置を制御する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の応力測定装置。
- 前記処理装置は、さらに、画像毎に検知された各応力発生部位を発光強度に応じて異なる表示態様で表示するように前記表示装置を制御する、請求項5に記載の応力測定装置。
- 前記処理装置は、前記発光強度が高い応力発生部位ほど前記記号のサイズが大きくなるように前記表示装置を制御する、請求項6に記載の応力測定装置。
- 前記処理装置は、画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる明度で一画像に重ねて表示するように前記表示装置を制御する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の応力測定装置。
- 前記処理装置は、画像毎に検知された各応力発生部位を互いに異なる彩度で一画像に重ねて表示するように前記表示装置を制御する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の応力測定装置。
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2020
- 2020-05-26 JP JP2020091175A patent/JP2021188920A/ja active Pending
-
2021
- 2021-05-17 US US17/322,088 patent/US20210372868A1/en not_active Abandoned
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