JP2021188513A - 回転体 - Google Patents

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聡 前田
Satoshi Maeda
尚教 永井
Takanori Nagai
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】より一層性能が向上した回転体を提供する。【解決手段】回転体は、軸線に沿って延びる回転軸と、回転軸から径方向外側に突出し、回転軸の回転方向に間隔をあけて配列された複数の翼2と、を備え、翼は、回転軸に接続されるとともに、回転方向の前方側を前縁Leとし、回転方向に対して第一の迎角θ1をなす翼型断面を有する翼本体と、翼本体の外周側の端部から径方向外側に突出し、周方向に間隔をあけて配列されるとともに、回転方向の前方側を前縁とし、回転方向に対して第一の迎角よりも小さい第二の迎角θ2をなす翼型断面を有する複数のチップ翼22と、を有する。【選択図】図2

Description

本開示は、回転体に関する。
例えば船舶のスクリューや、ポンプのインペラは、放射状に配列された複数の翼を有する回転体である。この回転体を回転させることによって流体力が発生する。このような装置の具体例として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載されたプロペラファンの翼は、前縁部、後縁部、及び外縁部によって形成されており、外縁部には複数の凹部と凸部が設けられている。これら凹部と凸部によって、翼端部で生じた渦のエネルギーが主流に供給され、主流の剥離が抑制できるとされている。
特許第5697465号公報
ところで、上記のプロペラファンを含む回転体では、回転中に翼端渦キャビテーションと呼ばれる現象が生じることが知られている。具体的には、まず翼の前縁で剥離が生じることで複数の小さな渦が発生し、これら小さな渦が翼端で翼端渦と連成する。これにより、翼端で渦管が発生する。渦管が主流によって引き延ばされることで渦度が増し、渦管内部の圧力は低下する。その結果、翼端渦キャビテーションが発生する。つまり、上記特許文献1に記載されたプロペラファンでは、翼端渦と主流とを積極的に合流させていることから、このような翼端渦キャビテーションが特に発生しやすい。翼端渦キャビテーションが崩壊すると、プロペラファンにエロージョンが生じる虞がある。その結果、プロペラファンとしての性能が低下したり、騒音・振動が発生したりする虞がある。
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、性能がより一層向上した回転体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示に係る回転体は、軸線に沿って延びる回転軸と、該回転軸から径方向外側に突出し、回転方向に間隔をあけて配列された複数の翼と、を備え、前記翼は、前記回転軸に接続されるとともに、回転方向の前方側を前縁とし、該回転方向に対して第一の迎角をなす翼型断面を有する翼本体と、該翼本体の外周側の端部から径方向外側に突出し、周方向に間隔をあけて配列されるとともに、前記回転方向の前方側を前縁とし、該回転方向に対して前記第一の迎角よりも小さい第二の迎角をなす翼型断面を有する複数のチップ翼と、を有する。
本開示によれば、性能がより一層向上した回転体を提供することができる。
本開示の第一実施形態に係る回転体の平面図である。 本開示の第一実施形態に係る回転体の翼を径方向外側から見た図である。 本開示の第一実施形態に係る回転体における流体の挙動を示す説明図である。 本開示の第二実施形態に係る回転体の翼を径方向外側から見た図である。 本開示の第二実施形態に係る回転体の翼の斜視図である。 本開示の第三実施形態に係る回転体の翼を拡大して示す平面図である。 本開示の第三実施形態に係る回転体の翼の斜視図である。
<第一実施形態>
(回転体の構成)
以下、本開示の第一実施形態に係る回転体100について、図1から図3を参照して説明する。回転体100は、例えば船舶のスクリューや、ポンプの羽根車として使用されるものであり、主として液体中で流体力を発生させるために用いられる。
図1に示すように、回転体100は、回転軸1と、複数の翼2と、を備えている。回転軸1は、軸線Acに沿って延びる柱状をなしている。回転軸1には、図示しない動力源が同軸上に接続される。これにより、回転軸1は軸線Ac回りに回転する。
回転軸1の外周面には、径方向外側に向かって延びるとともに、回転軸1の回転方向に間隔をあけて配列された複数の翼2が設けられている。本実施形態では3つの翼2が設けられている例について説明するが、翼2の数は2つや4つ以上であってもよい。
(翼の構成)
翼2は、回転軸1に接続された翼本体21と、この翼本体21の外周側の端部から径方向外側に突出する複数のチップ翼22と、を有している。翼本体21は板状をなすとともに、径方向内側から外側に向かうに従って周方向の寸法が次第に大きくなるように構成されている。
図2に示すように、翼本体21は、曲線状に形成された前縁Leから尖頭状をなす後縁Teにかけて延びる翼型断面を有している。回転軸1の回転方向Drに対して翼本体21の中心線Dw1がなす角度(ピッチ)は、第一の迎角θ1とされている。なお、ここで言う「中心線Dw1」とは、前縁Leと後縁Teとを結ぶ直線を指す。厚さ方向における翼本体21の一方側の面は曲面状に凹む圧力面Spとされ、他方側の面は曲面状に凸となる負圧面Snとされている。回転体100を軸線Ac回りに回転させるに当たっては、圧力面Spが前方を向くように回転方向が決定される。また、翼本体21の外周側の端部は翼端T1とされている。
チップ翼22は、翼本体21の翼端(外周側の端部)から径方向に突出している。チップ翼22は、周方向に間隔をあけて複数配列されている。本実施形態では4つのチップ翼22が設けられている例について説明するが、チップ翼22の数は3つ以下や5つ以上であってもよい。それぞれのチップ翼22は、周方向における寸法が翼本体21よりも小さい。また、図1に示すように、複数のチップ翼22同士の間で、径方向の寸法は互いに同一である。なお、ここで言う「同一」とは実質的な同一を示すものであって、設計上の公差や製造上の誤差は許容される。また、前縁Le側から後縁Te側にかけてチップ翼22の周方向の寸法は次第に小さくなっていることが望ましい。この構成では、回転体100として、外周側にケーシング等が設けられていないプロペラファンを用いた場合に、その効率をさらに向上させることができる。一方で、全てのチップ翼22の周方向における寸法を同一とする構成を採ることも可能である。この構成では、回転体100として、外周側にケーシングが設けられているポンプを用いた場合に、その効率をさらに向上させることができる。
チップ翼22は、翼本体21と同様に、翼型断面を有している。チップ翼22の中心線Dw2が回転方向Drに対してなす角度は、第二の迎角θ2とされている。第二の迎角θ2は、上述した第一の迎角θ1よりも小さな値に設定されている。また、チップ翼22の外周側の端部は翼端T2とされている。
(作用効果)
次に、図3を参照して回転体100の表面における流体の挙動について説明する。回転体100を回転させると、翼2の表面に沿って流体が流れる。この時、前縁Leでは、流体の剥離によって複数の小さな渦(横渦V1)が発生する。これら横渦V1は、前縁Leから翼端T1に向かって集積する。ここで、比較のためにチップ翼22が設けられていない場合を考える。この場合、翼端T1では、圧力面Sp側から負圧面Sn側に向かう翼端渦が発生している。この翼端渦が上記の横渦V1と連成すると、翼端T1で渦管が発生する。渦管が主流によって引き延ばされることで渦度が増し、渦管内部の圧力は低下する。その結果、翼端渦キャビテーションが発生してしまう。
しかしながら、本実施形態では翼端T1にチップ翼22が設けられている。これにより、チップ翼22の翼端T2で発生する翼端渦V2と、翼本体21の翼端T1に集積している横渦V1とが互いに分散した状態となる(図3)。その結果、これら翼端渦V2と横渦V1とが連成した場合に生じる渦管の発達が抑制され、翼端渦キャビテーションの発生を回避することができる。
さらに、チップ翼の迎角(第二の迎角θ2)は、翼本体21の迎角(第一の迎角θ1)よりも小さいため、チップ翼22の翼端渦V2はさらに小さくなる。これにより、横渦V1に対する翼端渦からの渦度の供給をさらに抑制することができる。なお、翼本体21の迎角は相対的に大きいため、圧力面Sp側と負圧面Sn側との間の圧力比を確保することができる。つまり、チップ翼22を設けたことによる性能低下を抑えつつ、翼端渦キャビテーションの発生を回避することができる。
<第二実施形態>
続いて、本開示の第二実施形態について、図4と図5を参照して説明する。なお、上記の第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。これら図に示すように、本実施形態に係る翼2bでは、各チップ翼22の翼端に翼端延長部23が設けられている。翼端延長部23は、チップ翼22の翼端から、翼本体21の負圧面Sn側に向かって立ち上がる板状をなしている。なお、翼端延長部23とチップ翼22とがなす角度は90°以上であることが望ましい。また、翼端延長部23は、圧力面Sp側から負圧面Sn側に向かうに従って回転方向前方側から後方側に向かうように斜めに延びている。
上記構成によれば、チップ翼22に翼端延長部23が設けられていることから、当該チップ翼22の翼端における翼端渦の発生を抑制することができる。これにより、翼2で翼端渦キャビテーションが発生する可能性をさらに低減することができる。
<第三実施形態>
次に、本開示の第三実施形態について、図6と図7を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。これら図に示すように、本実施形態に係る翼2cでは、複数のチップ翼22の翼端T2に、これら翼端T2同士を接続する板状の翼端接続部24が設けられている。
上記構成によれば、複数のチップ翼22同士が翼端接続部24によって接続されていることから、例えばチップ翼22同士が接続されていない構成に比べて、翼2cの剛性を高めることができる。これにより、より安定的に回転体100を使用することができる。
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
<付記>
各実施形態に記載の回転体100は、例えば以下のように把握される。
(1)第1の態様に係る回転体100は、軸線に沿って延びる回転軸と、該回転軸から径方向外側に突出し、前記回転軸の回転方向に間隔をあけて配列された複数の翼と、を備え、前記翼は、前記回転軸に接続されるとともに、回転方向の前方側を前縁とし、該回転方向に対して第一の迎角をなす翼型断面を有する翼本体と、該翼本体の外周側の端部から径方向外側に突出し、周方向に間隔をあけて配列されるとともに、前記回転方向の前方側を前縁とし、該回転方向に対して前記第一の迎角よりも小さい第二の迎角をなす翼型断面を有する複数のチップ翼と、を有する。
上記構成によれば、チップ翼22の端部で発生する翼端渦V2は、翼本体21の翼端Tに集積している横渦V1から十分に離間した状態となる。その結果、渦管の発達が抑制され、翼端渦キャビテーションの発生を回避することができる。さらに、チップ翼の迎角(第二の迎角θ2)は、翼本体21の迎角(第一の迎角θ1)よりも小さいため、チップ翼22の翼端渦V2はさらに小さくなる。これにより、横渦V1に対する翼端渦からの渦度の供給をさらに抑制することができる。
(2)第2の態様に係る回転体100では、径方向における前記複数のチップ翼22の寸法は互いに同一である。
上記構成によれば、径方向におけるチップ翼22の寸法が互いに同一であることから、各チップ翼22にかかる遠心力による負荷を均一にすることができる。その結果、翼2としての剛性を確保することができる。
(3)第3の態様に係る回転体100では、前記翼2bは、前記チップ翼22の外周側の端部に設けられ、前記翼本体21の前記回転方向後方側を向く負圧面Sn側に向かって立ち上がる翼端延長部23をさらに有する。
上記構成によれば、チップ翼22に翼端延長部23が設けられていることから、当該チップ翼の翼端における翼端渦の発生を抑制することができる。これにより、翼2で翼端渦キャビテーションが発生する可能性をさらに低減することができる。
(4)第4の態様に係る回転体100では、前記翼2cは、前記複数のチップ翼22の外周側の端部に設けられ、該複数のチップ翼22同士を接続する翼端接続部24をさらに有する。
上記構成によれば、複数のチップ翼22同士が翼端接続部24によって接続されていることから、例えばチップ翼22同士が接続されていない構成に比べて、翼2の剛性を高めることができる。これにより、より安定的に回転体100を使用することができる。
(5)第5の態様に係る回転体100において、前記複数のチップ翼22では、前記前縁Le側から前記後縁Te側に向かうに従って、前記チップ翼22の前記回転方向の寸法が次第に小さくなっている。
上記構成によれば、回転体100として、外周側にケーシング等が設けられていないプロペラファンを用いた場合に、その効率をさらに向上させることができる。
(6)第6の態様に係る回転体100において、前記複数のチップ翼22では、前記回転方向の寸法が互いに同一である。
上記構成によれば、回転体100として、外周側にケーシングが設けられているポンプを用いた場合に、その効率をさらに向上させることができる。
100 回転体
1 回転軸
2,2b,2c 翼
21 翼本体
22 チップ翼
23 翼端延長部
24 翼端接続部
Ac 軸線
Dw1,Dw2 中心線
Le 前縁
Sp 圧力面
Sn 負圧面
T1,T2 翼端
Te 後縁
V1 横渦
V2 翼端渦

Claims (6)

  1. 軸線に沿って延びる回転軸と、
    該回転軸から径方向外側に突出し、前記回転軸の回転方向に間隔をあけて配列された複数の翼と、
    を備え、
    前記翼は、
    前記回転軸に接続されるとともに、回転方向の前方側を前縁とし、該回転方向に対して第一の迎角をなす翼型断面を有する翼本体と、
    該翼本体の外周側の端部から径方向外側に突出し、周方向に間隔をあけて配列されるとともに、前記回転方向の前方側を前縁とし、該回転方向に対して前記第一の迎角よりも小さい第二の迎角をなす翼型断面を有する複数のチップ翼と、
    を有する回転体。
  2. 径方向における前記複数のチップ翼の寸法は互いに同一である請求項1に記載の回転体。
  3. 前記翼は、前記チップ翼の外周側の端部に設けられ、前記翼本体の前記回転方向後方側を向く負圧面側に向かって立ち上がる翼端延長部をさらに有する請求項1又は2に記載の回転体。
  4. 前記翼は、前記複数のチップ翼の外周側の端部に設けられ、該複数のチップ翼同士を接続する翼端接続部をさらに有する請求項1又は2に記載の回転体。
  5. 前記複数のチップ翼では、前記前縁側から前記後縁側に向かうに従って、前記チップ翼の前記回転方向の寸法が次第に小さくなっている請求項1から4のいずれか一項に記載の回転体。
  6. 前記複数のチップ翼では、前記回転方向の寸法が互いに同一である請求項1から4のいずれか一項に記載の回転体。
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