JP2021188091A - 粉体製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉体製造装置において、金属棒の高速回転化を可能にする。【解決手段】金属棒2の溶解処理が行われるチャンバー10と、軸方向Aの端部に金属棒2が取り付けられる回転体20と、金属棒2の先端面2aにアークを照射する溶解用トーチ30と、通電時に溶解用トーチ30と異なる極性となる給電用電極の一例である給電用トーチ40と、を備え、給電用トーチ40が、金属棒2の近傍において、金属棒2に接触せず、かつ金属棒2とアークを通じて通電可能な位置に配置されるように粉体製造装置1を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ回転電極法を用いた粉体の製造装置に関する。
特殊合金の溶射、コーティング、人工関節および3Dプリンタの製造等においては金属粉体が用いられる。このような粉体の製造装置として、特許文献1にはプラズマ回転電極法を用いた粉体製造装置が開示されている。プラズマ回転電極法とは、高速回転させた金属棒をプラズマアークにより溶解させ、溶解した金属を回転運動による遠心力で金属棒の外周面から飛散させ、飛散した微細な液状体が表面張力で球状に固まることで真球状の粉体を製造する方法である。特許文献2には、粉体製造装置に用いられる金属棒の回転駆動装置が開示されている。
実開平4−097814号公報 特開2001−240903号公報
従来の粉体の用途では粉体の粒径が150μm程度であれば十分であったが、近年の3Dプリンタの技術発展に伴い粉体のさらなる小径化が求められている。例えばパウダーヘッド方式の3Dプリンタに使用される粉体は50μm程度の粒径であることが求められる。プラズマ回転電極法で製造される粉体の粒径サイズは金属棒に作用する遠心力の大きさによって変化し、遠心力の大きさは金属棒の直径と回転速度を変えることで調節することが可能である。粒径が150μmの粉体を製造する場合、例えば直径50mmの金属棒を20000rpmで回転させることで所望の粒径が得られるが、粒径が50μmの粉体を製造する場合には例えば直径80mmの金属棒を40000rpmで回転させる必要がある。
以上のように粉体の小径化に対応するためには金属棒の太径化と回転速度のさらなる高速化が必要となるが、従来の粉体製造装置では40000rpm以上といった回転速度が想定されておらず、このような回転速度で金属棒を回転させることができなかった。例えば特許文献1や特許文献2の装置では、給電ブラシをスピンドルに当てることで金属棒への給電が行われている。しかしながら、給電ブラシを用いると、金属棒の回転時にスピンドルと給電ブラシとの間に摩擦力が生じ、回転を阻害する力が作用することになる。このことは金属棒のさらなる高速回転化を妨げる要因となる。
また、従来の給電ブラシを用いた構造のように給電部とスピンドルとが接触する給電構造においては、回転速度が上昇すればするほど給電部とスピンドルの摩擦熱も増大するため、発熱箇所の冷却を行う冷却装置の能力を高める必要があった。しかしながら、冷却能力確保のための装置大型化やコスト増大の観点から冷却能力の向上には制約があり、回転速度の最大速度は制限されていた。また、給電ブラシは複数個のスプリングでスピンドルに押し付けられているが、回転速度の高速化にともないスピンドルの振動(共振)発生源となり、これも高速化の阻害要因の1つであった。更に、金属棒の太径化に伴い溶融面を均一に溶かす熱源も求められる。このように、従来の粉体製造装置では金属棒のさらなる高速回転化と均一な溶解熱源に対応できなかったことから、金属棒の太径・高速回転化に対応することできる新たな構造の粉体製造装置が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、粉体製造装置において、金属棒の高速回転化を可能にすることを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、粉体製造装置であって、金属棒の溶解処理が行われるチャンバーと、軸方向の端部に前記金属棒が取り付けられる回転体と、前記金属棒の先端面にアークを照射する溶解用トーチと、通電時に前記溶解用トーチと異なる極性となる給電用電極と、を備え、前記給電用電極は、前記金属棒の近傍において、前記金属棒に接触せず、かつ前記金属棒とアークを通じて通電可能な位置に配置されていることを特徴としている。
粉体製造装置において、金属棒の高速回転化が可能となる。
本発明の実施形態に係る粉体製造装置の概略構成を示す図である。 図1の粉体製造装置のスピンドル周辺の概略構成を示す図である。 給電構造の例を示す図である。本図では金属棒が二点鎖線で示されている。 給電構造の例を示す図である。 図4の溶解用トーチの配置を説明するための図であり、溶解用トーチを先端部側から見た図である。 磁力発生機がない場合のプラズマアークに作用する力を説明するための図である。 磁力発生機がある場合のプラズマアークに作用する力を説明するための図である。 溶解用アークの照射位置の例を示す図である。本図では、各例における金属棒の溶融面の状態および凹み形状について示している。 給電構造の例を示す図である。 給電構造の例を示す図である。 給電構造の例を示す図である。 図11の溶解用トーチと給電用トーチの配置を説明するための図であり、各トーチを先端部側から見た図である。 図11の溶解用トーチの先端部を拡大した図である。 給電構造の例を示す図である。 図14の溶解用トーチと給電用トーチの配置を説明するための図であり、各トーチを先端部側から見た図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1〜図3に示すように本実施形態の粉体製造装置1は、金属棒2の溶解処理が行われるチャンバー10と、金属棒2を支持する回転体20と、金属棒2の先端面2aにアークを照射する溶解用トーチ30と、金属棒2の近傍に配置された給電用電極の一例である給電用トーチ40を備えている。溶解用トーチ30の種類は特に限定されず、例えばプラズマトーチまたはTIGトーチであってもよい。また、給電用電極の種類も特に限定されず、例えばプラズマトーチまたは、水冷電極であってもよい。
チャンバー10は、鉛直方向に延びる円筒状の容器である。チャンバー10には、ガス供給管11と、ガス排気管12が接続されている。ガス供給管11は、ガス供給源(図示せず)に接続されており、チャンバー10の内部に雰囲気ガスを供給する。雰囲気ガスは、例えばアルゴン、ヘリウム、窒素等のガスである。ガス排気管12は、真空ポンプ13に接続されており、金属棒2の溶解処理は真空ポンプ13によりチャンバー内は排気、真空にされ、次いで雰囲気ガスで充満した状態で行われる。チャンバー10の下端部は漏斗状に形成されており、製造された粉体はチャンバー10の下端部から回収される。なお、チャンバー10の形状や各配管の接続位置等は、本実施形態で説明した構成に限定されず、プラズマ回転電極法による粉体の製造が可能な構成であればよい。
回転体20は、駆動源14(例えばモータ)の回転力を金属棒2に伝達する構造物であり、回転体20の軸方向Aの端部に金属棒2が取り付けられる。本実施形態の粉体製造装置1は、回転体20を収容する回転体収容室50を備えており、回転体20はその回転体収容室50の内部に配置されている。回転体収容室50は、チャンバー10内の空間と連通しており、回転体収容室50内はチャンバー10内の雰囲気と同一の雰囲気となっている。チャンバー10と回転体収容室50は、外部からの雰囲気流入または外部への雰囲気流出が起こらないよう密閉構造となっており、各種部品同士の接続箇所の隙間にはシール材(図示せず)が設けられている。
回転体20は、スピンドル21と、金属棒保持具22を備えている。金属棒保持具22は、スピンドル21の金属棒取付側の端部に設けられている。金属棒保持具22は、金属棒2の固定が可能であって、かつ、金属棒2を着脱自在に取り付け可能な構造となっている。なお、回転体20は、本実施形態で説明した構造に限定されず、例えば駆動源14に接続された駆動軸15と金属棒2までの間に他の部品が設けられていてもよい。
スピンドル21の駆動源側の端部にはマグネットカップリング60が設けられている。マグネットカップリング60は、駆動源14に接続された駆動軸15とスピンドル21を連結している。マグネットカップリング60は、スピンドル側部品61と駆動軸側部品62を有しており、両部品は、回転体収容室50の駆動源14側の壁部51を間に挟んで配置されている。すなわち、スピンドル側部品61は回転体収容室50の内部に配置され、駆動軸側部品62は回転体収容室50の外部に配置されている。このように配置されたスピンドル側部品61と駆動軸側部品62の間においては磁気により回転動力が伝達される。
回転体収容室50の内部には、スピンドル21を支持するベアリングとして静圧気体軸受け(ガスベアリング)70が設けられている。静圧気体軸受け70は、作動流体として気体を用いるベアリングであり、静圧気体軸受け70には作動流体を供給するための供給口(図示せず)が設けられている。供給される気体は、チャンバー10内の雰囲気ガスと同じ気体であることが好ましく、図2の例ではアルゴンガスが供給されている。本実施形態の静圧気体軸受け70は、回転体収容室50の内部に配置されている。静圧気体軸受け70の数は特に限定されず、スピンドル21の長さに応じて適宜変更される。スピンドル21を支持するベアリングとして静圧気体軸受け70を用いることで、ボールベアリングを用いる場合に比べ、回転体20回転時の接触抵抗を小さくすることができる。したがって、金属のさらなる高速回転化を図る観点からは、スピンドル21を支持するベアリングとして静圧気体軸受け70を用いることが好ましい。
なお、回転体収容室50はチャンバー10内の雰囲気と連通しない構造であってもよい。また、カップリングは、駆動軸15とスピンドル21とが機械的に締結される構造であってもよい。このような構造であっても、後述の金属棒2に対する非接触給電を行うことが可能な粉体製造装置1によれば、金属棒2の高速回転化が可能である。本装置の主な目的は、例えば3Dプリンタ用の50μmの微粉の製造であり、その金属棒2の直径はφ80と太く、回転数も40000rpmと高速であることにより、伝達トルク及び遠心力が増加する。金属棒2の回転速度を上げるためにはスピンドル21の径を太くする必要があるが、スピンドル21の径が太くなると、所望の仕様(周速や荷重)を満たすボールベアリングの製造可能な許容値を超えてしまい、部品調達の面での懸念が生じ得る。これに対して、本実施形態のような回転体収容室50と静圧気体軸受け70が設けられた構造によれば、スピンドル21が気体で浮いていることから回転摩擦抵抗を極めて小さくすることができるため、上記の懸念は生じない。加えて、本実施形態のような回転体収容室50とマグネットカップリング60が設けられる構造によれば、マグネットカップリング60を介して回転体20に回転動力が伝達されるため、回転体20が回転体収容室50(チャンバー10)を貫通しないため、外部雰囲気の流入を防ぐシール材を用いる必要がない。このため、回転体20が回転する際のシール抵抗がなくなるため、回転体20の回転速度を上げやすくなる。すなわち、金属棒2のさらなる高速回転化の観点からは、回転体収容室50とマグネットカップリング60を設けることが好ましい。
金属棒2にプラズマアークを照射する溶解用トーチ30は、先端部が金属棒2の先端面2aに向くようにして金属棒2の先端面2aに対向する位置に配置されている。図3の例では、溶解用トーチ30の中心(プラズマガス吹出口の穴中心)と金属棒2の回転中心Cとは一致していない。このように金属棒2の回転中心Cに対して溶解用トーチ30を半径方向に適正量ずらして配置すれば、金属棒2の先端面2aを理想的なすり鉢状の凹み形状とすることができる。なお、金属棒2と回転体20は同軸上で回転するため、“金属棒2の先端面2aに対向する位置”は“回転体20の金属棒取付側の端面20aに対向する位置”と言い換えることができる。また、以降の説明では“回転体20の回転方向R”や“回転体20の回転中心C”と記載することがあるが、これらの記載は“金属棒2の回転方向”や“金属棒2の回転中心”と同義である。
溶解用トーチ30は、チャンバー10の側面を貫通しており、チャンバー10と溶解用トーチ30の間にはシール材(図示せず)が設けられている。溶解用トーチ30は、水平方向に移動可能な状態で設置されており、金属棒2の溶解量に応じて溶解用トーチ30を水平移動させることができる。本実施形態の溶解用トーチ30は、プラズマトーチである。プラズマトーチは従前より知られているものであるため、プラズマトーチの詳細な構造については説明を省略する。給電用トーチ40は、金属棒2の近傍において、金属棒2に接触せず、かつ、金属棒2とアークを通じて通電可能な位置に配置されている。
(給電構造例1)
図3に示す給電構造では給電用トーチ40が金属棒2の外周面2bに対向する位置に配置されている。図3の例では、給電用トーチ40の先端部40aが回転体20に取り付けられた金属棒2の外周面2bに向いている。本実施形態の給電用トーチ40は、金属材料(例えば銅)からなる電極棒である。給電用トーチ40は、内部に冷却水が循環する構造を有している。図示はしていないが、給電用トーチ40は、回転体20の回転方向Rに沿って等間隔で6つ設けられている。このため、6つの給電用トーチ40を回転体20の軸方向A(すなわち、金属棒2の軸方向)から見た場合、各々の給電用トーチ40の先端部40aは回転体20の回転中心Cに向いた状態となっている。
本実施形態では、以上のように配置された溶解用トーチ30がプラズマ電源16の陰極側に接続され、給電用トーチ40がプラズマ電源16の陽極側に接続されている。すなわち、通電時には溶解用トーチ30と給電用トーチ40は互いに異なる極性となる。なお、本明細書ではプラズマ電源16の陽極側に接続されたトーチを“アノードトーチ”と称し、プラズマ電源16の陰極側に接続されたトーチを“カソードトーチ”と称す。また、アノードトーチがプラズマトーチである場合には“アノードプラズマトーチ”と称し、カソードトーチがプラズマトーチである場合には“カソードプラズマトーチ”と称し、アノードが水冷銅電極の場合には“アノードトーチ”と称す。図3の給電構造の場合、溶解用トーチ30がカソードプラズマトーチであり、給電用トーチ40がアノードトーチである。
図3で例示する給電構造で通電を行う場合、先ず溶解用トーチ30は図示しないパイロットアーク(タングステン棒とチップ間のアーク)を着火させチップの吹出口から高温(プラズマ状)のアルゴンガスを噴出させる。この状態で図示しない着火用の高圧高周波を溶解用トーチ30のタングステン棒と給電用トーチ40間にかけると、溶解用トーチ30と金属棒2間ではプラズマアークが発生し、給電用トーチ40と金属棒2間ではアークが発生する。すなわち、給電用トーチ40〜金属棒2〜溶解用トーチ30間で電流が流れる。これにより、溶解用トーチ30から金属棒2の先端面2aに向けてプラズマアークが照射され、金属棒2の先端面2aの溶解が開始される。そして、溶解した液状金属は金属棒2の回転による遠心力で先端面2aの外周端へ移動し溶滴となって飛散し、粉体が製造される。本実施形態のような給電構造を有する粉体製造装置1では、給電用トーチ40が金属棒2に非接触の状態で粉体の製造が可能となる。すなわち、金属棒2を回転させる際には金属棒2と給電用トーチ40の接触抵抗がなくなるため、金属棒2の回転を阻害する力が生じず、回転速度の向上を図ることができる。さらに、給電部と金属棒2との間に摩擦が生じないため、摩擦による発熱箇所の冷却を行う冷却機構が不要となり、粉体製造装置1の構造を簡素化することができる。
なお、駆動軸15と回転体20の連結にマグネットカップリング60を用いる場合、給電部とマグネットカップリング60が近い位置にあると、給電部で生じる磁界がマグネットカップリング60の動作に悪影響を与えることが起こり得る。一方で、本実施形態のような粉体製造装置1によれば、給電部とマグネットカップリング60が離れた位置に配置されるため、マグネットカップリング60の性能を最大限発揮させることができる。また、マグネットカップリング60を用いる場合、例えば従来のボールベアリングを使用した場合、スピンドル21とボールベアリングとの間にある程度大きな接触抵抗が存在すると、回転体20の回転速度を上げようと駆動源14の出力を大きくした際に、マグネットカップリング60のスピンドル側部品61が上記の接触抵抗の影響を受けてマグネットカップリング60の駆動軸側部品62とスピンドル側部品61で回転速度ずれが発生する。一方、本実施形態の粉体製造装置1では、スピンドル21の支持に静圧気体軸受け70を採用しているため、スピンドル21の接触抵抗を抑えることができる。これにより、マグネットカップリング60のスピンドル側部品61と駆動軸側部品62の回転のずれを抑えることができる。すなわち、マグネットカップリング60は、本実施形態のような金属棒2に対する非接触給電構造と、静圧気体軸受け70とが組み合わされることによって最大限の性能を発揮することができる。したがって、本実施形態のような金属棒2への非接触給電構造、マグネットカップリング60および静圧気体軸受け70が組み合わされた粉体製造装置1によれば、金属棒2のさらなる高速回転化が可能となる。
さらに、図3の給電構造においては、給電用トーチ40と金属棒2の間にもアークが生じ、ここで生じる熱を金属棒2の溶解エネルギーとして利用することができる。このため、単位時間あたりの金属棒2の溶解量を増やすことができ、粉体の製造効率を高めることが可能となる。なお、図3の給電構造においては、給電用トーチ40が金属棒2の回転方向Rに沿って6本設けられているが、給電用トーチ40の数は特に限定されず、単位時間あたりの所望の粉体製造量に応じて適宜変更される。また、給電用トーチ40は1本当たりのアーク電流を減らした方が給電用トーチ40の電極先端の熱負荷が減り、給電用トーチ40の長寿命化を図ることができる。金属棒2の軸方向Aにおける給電用トーチ40の設置位置についても特に限定されないが、複数の給電用トーチ40が設けられている場合、各々の給電用トーチ40は、金属棒2の軸方向Aにおいて互いにある程度距離を離して配置されても良い。更に、給電用トーチ40は、金属棒2の軸方向Aに沿って溶解用トーチ30が移動する際に溶解用トーチ30と同期して移動しても良い。
以上の説明では給電構造として図3の構造(給電構造例1)について説明したが、給電構造は図3に示す構造に限定されない。以下、給電構造の他の例として給電構造例2〜6について説明する。なお、以降の説明で参照する図面中の破線の矢印は電流の向きを示し、曲線状の実線矢印は電流が流れることによって生じる磁界の向きを示している。
(給電構造例2)
図4および図5に示す給電構造は、溶解用トーチ30がカソードプラズマトーチであり、給電用トーチ40がアノードトーチである。本給電構造の溶解用トーチ30は、複数設けられており、各々の溶解用トーチ30は互いに平行となるように配置されている。また、図5に示すように溶解用トーチ30は、回転体20の軸方向Aから見て回転体20の回転方向Rに沿って並んで配置されている。給電用トーチ40は、図3の給電構造と同様の配置である。
本給電構造においては、溶解用トーチ30の外方に磁力発生機80が設けられている。換言すると、溶解用トーチ30は、回転体20の回転中心Cと磁力発生機80の間に配置されている。金属棒2の溶解処理時には溶解用トーチ30と金属棒2の間にアーク電流が流れることになるが、磁力発生機80は、そのアーク電流によって生じるローレンツ力Fを相殺するための磁力を発生させるものである。
図4の例では、磁力発生機80は金属材料(例えば銅)からなるL字状の導体81を備えており、導体81は、内部に冷却水が循環する構造となっている。導体81は、溶解用トーチ30と平行に延びる平行部82と、平行部82の回転体側の端部82aから溶解用トーチ30の外方に向かって延びる傾斜部83とを有している。平行部82の回転体側の端部82aは、溶解用トーチ30の先端部30aよりも回転体20側に位置している。導体81の平行部82は、プラズマ電源16の陰極側に接続され、導体81の傾斜部83は溶解用トーチ30と電気的に接続されている。このような給電構造の場合、溶解用トーチ30と金属棒2の間を流れるアーク電流と、導体81の平行部82を流れる電流とが同一の向きとなり、溶解用トーチ30と導体81の平行部82では平行電流が流れた状態となる。
複数の溶解用トーチ30が互いに平行となるように配置された場合、溶解用アーク31の電流が平行電流となり、各々の溶解用トーチ30から照射される溶解用アーク31には、その電流によって生じる磁界の影響を受けて互いに引き合うローレンツ力Fが作用する。図6の例では2本の平行溶解用アーク31間では、図6の様に磁界が発生するが、それぞれのアーク間では磁束の向きが互いに異なることによって相殺される一方、溶解用アーク31の外側の磁束は強い状態となり、この外側の向きの磁束と溶解用アーク31の電流方向でローレンツ力Fが働き、それぞれの溶解用アーク31は図6の様に引き合う結果となる。したがって、磁力発生機80がない給電構造では、各々の溶解用トーチ30から照射される溶解用アーク31が図6のように金属棒2の先端面2aの中心部側に寄ってしまう。このような溶解用トーチ30と金属棒2の間を流れるアーク電流に起因したプラズマアークの照射位置が変化する現象を“磁気吹き”という。磁気吹きが生じた状態であっても前述の金属棒2の高速回転化は可能であるが、金属棒2の先端面2aを均一に溶解させる観点からは、磁気吹きを抑えることが好ましい。
図7に示すように磁力発生機80が設けられていれば、溶解用トーチ30から照射される溶解用アーク31には、導体81の平行部82を流れる電流によって生じる磁界の影響を受けて導体81側に引き付けられるローレンツ力FJが生じる。ここで生じるローレンツ力FJは、溶解用アーク31間で生じるローレンツ力Fとは逆向きの力となるため、これらのローレンツ力F、FJは互いに相殺されることになる。その結果、溶解用アーク31の円周方向周囲の磁束バランスは平衡し、磁気吹きを抑えることができ、金属棒2の所望の位置にプラズマアークを照射することができる。導体81の平行部82と溶解用アーク31の距離は、好ましくは溶解用アーク31間の距離と同じが良いが、金属棒2への溶解用アーク31の照射位置に応じて最良位置になる様変えても良い。
なお、図5の例では、1つの溶解用トーチ30に対して1つの磁力発生機80が設けられているが、磁力発生機80の数や配置は溶解用トーチ30の数や配置等に応じて適宜変更される。また、本給電構造における磁力発生機80の導体81はL字状であったが、導体81の形状は平行部82を有していれば特に限定されない。また、磁力発生機80の構造は、図5の例で説明した構造に限定されず、溶解用トーチ30のアーク電流に起因するローレンツ力Fを相殺可能な磁力を発生できる構造であればよい。
更に、図4〜図7の例で重要な効果としては“複数の溶解用トーチ30で金属棒2の先端面2aを溶解することで、太径の金属棒2の場合でも先端面2aの表面をより均一な溶融面とすることができる”といった効果がある。これにより、金属棒2の溶融面を理想的なすり鉢状の凹み形状とすることができ、より微細で均一な粒度の紛体を製造することが可能となる。
上記のような均一な溶融面を得るための好ましい溶解用アーク31の照射位置について図8を参照しながら説明する。図8は、溶解用トーチ30の本数と配置が異なる場合における溶融面90の状態と凹み形状91の違いを示す図である。なお、図8(b)〜図8(d)では溶解用トーチ30の図示を省略している。
図8(a)は、溶解用トーチ30が1本で金属棒2の回転中心Cの位置に溶解用アーク31を当てた場合の図である。この場合、金属棒2の中心部近傍のみが溶かされることになり、凹み形状91は中心部が深く溶け込んだ形状となり、溶融金属90aは遠心力で外周部に運ばれるが、溶融金属90aが先端面2aの外周面に近づく程、遠心力は弱まるために金属棒2の先端面外周部2cに溜まる。この溶融金属90aは、ある大きさになってから金属棒2の先端面外周部2cより放出粉93として飛散する。この為、粒径が大きく不揃い粒径の紛体になりやすい。
図8(b)は、図8(a)の場合と同様に溶解用トーチ30が1本であるが、図3の様に金属棒2の回転中心Cから半径方向にずれた位置に溶解用アーク31を当てた場合の図である。この場合、金属棒2の中心と金属棒2の先端面外周部2cとの中間の位置に溶解用アーク31が照射され、先端面2aの凹み形状91は割合浅い凹み形状となり、溶融金属90aは端面でも十分な遠心力が働き、金属棒2の先端面外周部2cよりスムーズに離脱し小粒径の放出粉93が得られる。溶融面90は回転が進むにつれ溶融面90の面積は徐々に小さくなり溶融面はなくなる。この回転により連続的に溶融・凝固を繰り返す。従来φ50以下の金属棒2であれば図8(b)の様な金属棒2と溶解用トーチ30の位置関係でも問題ないが、50μmの微紛体を得るために金属棒2を太径のφ80程度にすると図8(c)の様に先端面2aの半径分を均一に溶解することができず、中心部分が凸状に残ることになる。この場合、金属棒2の溶解処理が進むにつれて中心部の凸部がますます高くなり、結果として金属棒2の先端面外周部2cの形状が崩れ、放出粉93の飛散は不揃いとなってしまう。また、溶解用アーク31の照射位置を先端面2aの中心部に近づけると、凹み形状91は図8(a)の様な形状になってしまう。
図8(d)は、溶解用トーチ30を2本として、2つの溶解用アーク31の間に金属棒2の中心がある場合の図である。この場合、溶融面90は図8(d)の様になり、熱量が増すことにより金属棒2の中心部の温度が上がり、図8(c)の様な凸部の溶け残しが無くなり、理想的なすり鉢状の凹み形状となる。この為、均一で微細粒径の放出粉93が得られる。更に、溶解用トーチ30を複数トーチとすることで凝固面92の面積は減り、結果生産性はアップする。この様に、金属棒2の先端面2aを複数の溶解用トーチ30によって溶解用アーク31を照射することで、金属棒2が太径であっても均一な溶解が可能であり、溶解能率もアップする。尚、2本の溶解用トーチ30の位置は金属棒2の回転中心Cを対称点とした回転対称の位置でなくとも良い。更に、複数のトーチを用いる場合は、後記する図9、図10、図11、図14の給電構造例の様な溶解用トーチ30と給電用トーチ40の組み合わせでも図8(d)の様に均一な溶融面とする効果が得られる。なぜなら、給電用トーチ40もアーク熱源であり、溶解用トーチ30の溶解熱量に比べると熱量は多少劣り、効率は僅かに減少するが金属棒2の溶解が可能であるためである。
(給電構造例3)
図9に示す給電構造は、給電用トーチ40が溶解用トーチ30の周囲に配置されている。本給電構造の溶解用トーチ30はカソードプラズマトーチであり、給電用トーチ40はアノードトーチである。給電用トーチ40は、先端部が金属棒2の先端面2a、すなわち回転体20の金属棒取付側の端面20aに向いた状態で固定されている。また、給電用トーチ40は、溶解用トーチ30に対して傾斜して配置されている。本給電構造においても、給電用トーチ40が金属棒2に非接触の状態で粉体の製造を行うことができる。
本給電構造は、1本の溶解用トーチ30が2本の給電用トーチ40の間に挟まれた構造となっている。給電用トーチ40は、回転体20の回転中心Cに対して線対称に配置されている。このような配置によれば、それぞれのアークから発生する磁束は図9の様になり、溶解用アーク31は、両側の給電用アーク41からの磁束の影響で溶解用トーチ30の中心軸に向かう対称の力Fが働き、その力は釣り合っているため、溶解用アーク31の磁気吹きを抑えることができる。また、各々の給電用トーチ40の給電用アーク41には、溶解用アーク31のアーク電流(給電用アーク41の電流の2倍の電流値)による、金属棒先端面2aの中心部から離れる方向のローレンツ力FDが生じる。一方、本給電構造の給電用トーチ40は、先端部40aが金属棒2の先端面2aの中心部側に向かうようにして傾斜して配置されている。これにより、給電用トーチ40の先端部40a近傍では金属棒先端面2aの中心部に向かうように給電用アーク41が形成される一方、金属棒2の先端面2a近傍では給電用アーク41がローレンツ力FDの影響を受けて溶解用アーク31から離れる方向に曲がり、結果回転体20の軸方向Aと平行な向きに形成される。これにより、金属棒2の先端面2a全体に均一にプラズマアークが照射される。すなわち、給電用トーチ40を溶解用トーチ30に対して傾斜するように配置することで磁気吹きをある程度抑えることができ、狙いの位置にアークを照射することができる。溶解用トーチ30に対する給電用トーチ40の傾斜角度は供給電流の大きさ等に応じて適宜変更される。
図9の例では、給電用トーチ40の数が2本であったが、3本以上配置されていてもよい。また、溶解用トーチ30の磁気吹きを抑制する観点においては、給電用トーチ40が複数設けられ、かつ、回転体20の軸方向Aから溶解用トーチ30を見たときに回転体20の回転中心Cを対称点として給電用トーチ40が点対称に配置されていることが好ましい。そのように給電用トーチ40が配置であれば、溶解用トーチ30の磁気吹きを抑える効果が高まる。
(給電構造例4)
溶解用トーチ30および給電用トーチ40に供給する電流が高くなるほど、磁界の強さが大きくなり、磁気吹きが生じやすくなる。図10に示す給電構造は、そのような高電流を流す場合に適した給電構造である。本給電構造においては、溶解用トーチ30がプラズマカソードトーチであり、給電用トーチ40がプラズマアノードトーチである。本給電構造は、給電用トーチ40の先端部が金属棒2の溶解側の先端面2aに対向するようにして給電用トーチ40が配置され、溶解用トーチ30は、給電用トーチ40に対して傾斜するようにして給電用トーチ40の周囲に配置されている。すなわち、本給電構造は、1本の給電用トーチ40が2本の溶解用トーチ30の間に挟まれた構造となっており、溶解用トーチ30は、回転体20の回転中心Cに対して線対称に配置されている。このため、一方の溶解用トーチ30のアーク電流に起因するローレンツ力Fと、他方の溶解用トーチ30のアーク電流に起因するローレンツ力Fとが相殺されるため、給電用トーチ40から照射されるプラズマアークは回転体20の軸方向Aと平行な向きとなる。
溶解用トーチ30と金属棒2の間のプラズマアークには、給電用トーチ40のアーク電流(溶解用アーク31の電流の2倍の電流値)に起因する金属棒先端面2aの中心部から離れる方向のローレンツ力FDが作用する。供給電流が高電流の場合は、溶解用トーチ30を給電用トーチ40に対して傾斜させるだけでは対応できないため、本給電構造のように磁力発生機85を設けることが好ましい。
本給電構造における磁力発生機85は、溶解用トーチ30の外方に設けられている。換言すると、溶解用トーチ30は、給電用トーチ40と磁力発生機85の間に配置されている。磁力発生機85は金属材料(例えば銅)からなるL字状の導体86を備えており、導体86は、溶解用トーチ30と平行に延びる平行部87と、平行部87の回転体側の端部87aから溶解用トーチ30の外方に向かって延びる傾斜部88とを有している。導体86はこのようなL字構造であることにより金属棒2の先端面2aより放出される放出粉93の飛散方向と交わらない。平行部87の回転体側の端部87aは、溶解用トーチ30の先端部30aよりも回転体20側に位置している。導体86の傾斜部88は、プラズマ電源16の陰極側に接続され、導体86の平行部87は溶解用トーチ30と電気的に接続されている。このような給電構造の場合、溶解用トーチ30の先端部30a近傍では、溶解用トーチ30と金属棒2の間を流れる電流と、導体86の平行部87を流れる電流とが反対の向きとなる。このため、溶解用トーチ30と金属棒2の間の溶解用アーク31には、金属棒先端面2aの中心部側に向かうローレンツ力FJが作用する。給電用トーチ40からのローレンツ力FDと導体86からのローレンツ力FJが相殺されることになるが、給電用アーク41の電流が溶解用アーク31の電流の2倍の電流であるため、FD>FJとなり、金属棒2の先端面2a近傍では溶解用アーク31が金属棒先端面2aの中心部から離れる方向に振られることになる。すなわち、傾斜した溶解用トーチ30から照射される溶解用アーク31は、金属棒2の先端面2a近傍では、回転体20の軸方向Aに平行な向きとなる。これにより、金属棒2の先端面2a全体に均一にプラズマアークを照射することができる。
なお、本給電構造の場合、給電用トーチ40に対する溶解用トーチ30の傾斜角θは45°以下であることが好ましい。また、図10の例では、溶解用トーチ30の数が2本であったが、3本以上配置されていてもよい。また、給電用トーチ40の磁気吹きを抑制する観点においては、溶解用トーチ30が複数設けられ、かつ、回転体20の軸方向Aから給電用トーチ40を見たときに回転体20の回転中心Cを対称点として溶解用トーチ30が点対称に配置されていることが好ましい。そのようが溶解用トーチ30の配置であれば、給電用トーチ40の磁気吹きを抑える効果が高まる。磁力発生機85の数や配置は溶解用トーチ30の数や配置等に応じて適宜変更される。また、本給電構造における磁力発生機85の導体86はL字状であったが、導体86の形状は溶解用アーク31に対して平行部87を有していれば特に限定されない。また、磁力発生機85の構造は、図10の例で説明した構造に限定されず、溶解用トーチ30のアーク電流に起因するローレンツ力Fを相殺可能な磁力を発生できる構造であればよい。
(給電構造例5)
図11に示す給電構造は、給電用トーチ40と複数の溶解用トーチ30が一体化した構造である。本給電構造における給電用トーチ40はプラズマアノードトーチであり、溶解用トーチ30はプラズマカソードトーチである。図11および図12に示すように本給電構造では給電用トーチ40の先端部が金属棒2の溶解側の先端面2aに対向するようにして給電用トーチ40が配置され、溶解用トーチ30は、給電用トーチ40に平行であって、かつ、給電用トーチ40の周囲を囲むように配置されている。給電用トーチ40と溶解用トーチ30がこのように配置されていると、前述の通り溶解用トーチ30と金属棒2の間の溶解用アーク31には、金属棒先端面2aの中心部から離れる方向のローレンツ力Fが作用する。
本給電構造における溶解用トーチ30は、プラズマトーチであるため、図13に示すように溶解用トーチ30の先端部30aにはプラズマガスを吹き出すための吹出口32が設けられている。そして、吹出口32の穴中心Chは回転体20の軸方向Aに対して傾斜し、かつ、吹出口32は金属棒先端面2aの中心部側に向いている。このような傾斜した吹出口32を有する溶解用トーチ30によれば、溶解用トーチ30から金属棒2の先端面2aの中心部側に向けた溶解用アーク31が形成される一方で、金属棒2の先端面2a近傍では給電用トーチ40のアーク電流に起因するローレンツ力Fの影響を受けて、溶解用アーク31が回転体20の回転方向Rと平行な向きで照射される。これにより、金属棒2の先端面2aに対しては給電用トーチ40と溶解用トーチ30から回転体20の回転方向Rと平行にプラズマアークが照射され、金属棒2の先端面2aの広い範囲が溶解処理される。以上のように、溶解用トーチ30の吹出口32を傾斜させることによって溶解用トーチ30の磁気吹きを抑えることができる。
なお、給電用トーチ40の磁気吹きを抑制する観点においては、溶解用トーチ30が複数設けられ、かつ、回転体20の軸方向Aから溶解用トーチ30を見たときに回転体20の回転中心Cを対称点として溶解用トーチ30が点対称に配置されていることが好ましい。また、給電用トーチ40と溶解用トーチ30は一体化していなくてもよい。例えば溶解用トーチ30が給電用トーチ40とやや離れた位置で給電用トーチ40に平行に配置されていても、吹出口32が傾斜していれば上記の磁気吹き抑制の効果を得ることができる。吹出口32の傾斜角度は給電用トーチ40と溶解用トーチ30の位置関係や供給電流の大きさ等に応じて適宜変更される。
(給電構造例6)
図14および図15に示す給電構造は、溶解用トーチ30と給電用トーチ40が平行に配置された例である。本給電構造における溶解用トーチ30はプラズマカソードトーチであり、給電用トーチ40はプラズマアノードトーチである。図15に示すように本給電構造では給電用トーチ40の先端部が金属棒2の溶解側の先端面2aに対向するようにして給電用トーチ40が配置され、溶解用トーチ30と給電用トーチ40はそれぞれ複数設けられている。溶解用トーチ30と給電用トーチ40は、回転体20の回転方向Rに沿って交互に配置され、回転体20の回転中心Cを対称点として点対称に配置されている。図15の例では、溶解用トーチ30と給電用トーチ40が2本ずつ設けられ、隣り合う溶解用トーチ30と給電用トーチ40の間隔が互いに等しく、また、対角線上に位置する溶解用トーチ30の間隔と、対角線上に位置する給電用トーチ40の間隔が互いに等しくなっている。
本給電構造によれば、同一の極性のトーチ同士には互いに引き合うローレンツ力が生じ、異なる極性のトーチ同士には、互いに反発するローレンツ力が生じる。これにより、各々のローレンツ力が互いに打ち消し合うことになるため、溶解用トーチ30および給電用トーチ40から照射されるプラズマは回転体20の軸方向Aと平行な向きで金属棒2の先端面2aに到達する。これにより、金属棒2の先端面2aに平行にプラズマアークを照射することができるため、金属棒2の先端面2aの広い範囲を溶解することができる。このように溶解用トーチ30と給電用トーチ40が回転体20の回転方向Rに沿って交互に配置され、かつ、回転体20の回転中心Cを対称点として点対称に配置されることによって磁気吹きを抑えることができる。
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば上記実施形態では様々な給電構造について説明したが、給電構造はそれらの構造例に限定されない。例えば上記実施形態で説明した各種給電構造は、粉体製造の実施を阻害しない範囲で互いに組み合わせてもよい。また、各トーチの極(アノードまたはカソード)は、粉体製造の実施を阻害しなければ、上記実施形態で説明したものと逆の極になっていてもよい。
本発明は、プラズマ回転電極法による粉体の製造装置に利用することができる。
1 粉体製造装置
2 金属棒
2a 金属棒の先端面
2b 金属棒の外周面
2c 金属棒の先端面外周部
10 チャンバー
11 ガス供給管
12 ガス排気管
13 真空ポンプ
14 駆動源
15 駆動軸
16 プラズマ電源
20 回転体
20a 金属棒取付側の端面
21 スピンドル
22 金属棒保持具
30 溶解用トーチ
30a 溶解用トーチの先端部
31 溶解用アーク
32 吹出口
40 給電用トーチ
40a 給電用トーチの先端部
41 給電用アーク
50 回転体収容室
51 壁部
60 マグネットカップリング
61 スピンドル側部品
62 駆動軸側部品
70 静圧気体軸受け
80 磁力発生機
81 導体
82 平行部
82a 平行部の回転体側の端部
83 傾斜部
85 磁力発生機
86 導体
87 平行部
87a 平行部の回転体側の端部
88 傾斜部
90 溶融面
90a 溶融金属
91 凹み形状
92 凝固面
93 放出粉
A 回転体の軸方向
C 回転体の回転中心
h 吹出口の穴中心
F アーク電流の磁界の影響によるローレンツ力
D アーク電流の磁界の影響によるローレンツ力
J 磁力発生機の磁界の影響によるローレンツ力
R 回転体の回転方向
θ 溶解用トーチと給電用トーチのなす角

Claims (13)

  1. 金属棒の溶解処理が行われるチャンバーと、
    軸方向の端部に前記金属棒が取り付けられる回転体と、
    前記金属棒の先端面にアークを照射する溶解用トーチと、
    通電時に前記溶解用トーチと異なる極性となる給電用電極と、を備え、
    前記給電用電極は、前記金属棒の近傍において、前記金属棒に接触せず、かつ前記金属棒とアークを通じて通電可能な位置に配置されている、粉体製造装置。
  2. 前記回転体は、スピンドルを備え、
    前記スピンドルを支持する静圧気体軸受けを備えた、請求項1に記載の粉体製造装置。
  3. 前記回転体は、前記金属棒が取付くスピンドルと、マグネットカップリングと、を備え、
    前記スピンドルを回転させる駆動軸と前記スピンドルが前記マグネットカップリングで連結されている、請求項1または2に記載の粉体製造装置。
  4. 前記給電用電極は、前記回転体に取り付けられる前記金属棒の外周面に対向する位置に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体製造装置。
  5. 複数の前記溶解用トーチと、
    磁力発生機と、を備え、
    前記溶解用トーチは、前記回転体の回転方向に沿って並んで配置され、
    前記磁力発生機は、前記溶解用トーチのアーク電流によって生じるローレンツ力を相殺するための磁力を発生させるように構成されている、請求項4に記載の粉体製造装置。
  6. 前記磁力発生機は、導体を備え、
    前記溶解用トーチは、前記回転体の回転中心と前記導体の間に配置され、
    前記導体は、前記溶解用トーチに対して平行に延びる平行部を有している、請求項5に記載の粉体製造装置。
  7. 前記給電用電極は、前記溶解用トーチの周囲に配置され、
    前記給電用電極の先端部は、前記金属棒の溶解側の先端面に向いている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体製造装置。
  8. 前記給電用電極は、前記溶解用トーチに対して傾斜して配置されている、請求項7に記載の粉体製造装置。
  9. 前記給電用電極は、該給電用電極の先端部が前記金属棒の溶解側の先端面に対向するように配置され、
    前記溶解用トーチは、前記給電用電極に対して傾斜するようにして前記給電用電極の周囲に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体製造装置。
  10. 磁力発生機を備え、
    前記磁力発生機は、前記給電用電極と前記溶解用トーチのそれぞれのアーク電流によって生じるローレンツ力を相殺するための磁力を発生させるように構成されている、請求項9に記載の粉体製造装置。
  11. 前記磁力発生機は、導体を備え、
    前記溶解用トーチは、前記給電用電極と前記導体の間に配置され、
    前記導体は、前記溶解用トーチに対して平行に延びる平行部を有している、請求項10に記載の粉体製造装置。
  12. 前記給電用電極は、該給電用電極の先端部が前記金属棒の溶解側の先端面に対向するように配置され、
    前記溶解用トーチは、前記給電用電極の周囲において該給電用電極と平行に配置され、
    前記溶解用トーチは、プラズマガスの吹出口を有し、
    前記吹出口の穴中心は、前記回転体の軸方向に対して傾斜している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体製造装置。
  13. 複数の前記溶解用トーチと、
    前記溶解用トーチと同数の前記給電用電極と、を備え、
    前記給電用電極は、該給電用電極の先端部が前記金属棒の溶解側の先端面に対向するように配置され、
    前記溶解用トーチと前記給電用電極は、前記回転体の回転方向に沿って交互に配置され、かつ、前記回転体の軸方向から前記溶解用トーチと前記給電用電極を見たときに前記回転体の回転中心を対称点として点対称に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体製造装置。
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