以下、図面を参照しながら、本開示に係る実施形態の電動アシスト自転車について詳細に説明する。以下で説明する材料、形状及び配置位置は、説明のための例示であって、電動アシスト自転車の仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、実施形態の電動アシスト自転車1を示す図である。なお、本開示に係る電動アシスト自転車は、図1に例示するようなシティーサイクルに限定されず、例えば、スポーツサイクル、折り畳み式の自転車等であってもよい。以下では、説明の便宜上、上下、左右、前後等の方向を示す用語を使用するが、電動アシスト自転車1及び各構成要素の上下、左右、前後は通常の使用状態における上下、左右、前後を意味する。
図1に例示するように、電動アシスト自転車1は、ペダル7の踏み込みのアシストモードとしての第1モードと、自転車にユーザが乗らない状態でモータ12(図2)による補助動力を車輪側に出力させて走行させる第2モードとを実行可能な自転車である。「第1モード」は、ペダル7への踏力による人力駆動力に、踏力の大きさに応じてモータ12から出力される第1補助動力を加えて走行する。「第2モード」は、「押し歩きモード」または「自走モード」である。「押し歩きモード」は、電動アシスト自転車1を人(ユーザ)が押して歩くときに、車輪側に、モータ12による第2補助動力を付加して押し歩くモードである。押し歩きモードは、人が電動アシスト自転車1に乗車しておらず、電動アシスト自転車1の車体を押しながら歩く場合に実行される。「自走モード」は、電動アシスト自転車1を人が支えた状態で、車輪側に、モータ12による第2補助動力を付加して自走させるモードである。自走モードは、押し歩きモードと同様に、人が電動アシスト自転車1に乗車しておらず、電動アシスト自転車1の車体を支えながら歩く場合に実行される。自走モードにおいて、人は、車体を前方に押す力を加えていない。後述のハンドル4に設けられたグリップ等に設けられたセンサで自転車の前方に加わる力を検出し、その大きさによって、「押し歩きモード」と「自走モード」とを判別してもよい。「押し歩きモード」と「自走モード」とを判別せずに第2モードとして実行してもよい。後述するように、実施形態の電動アシスト自転車1は、グリップの近くに、第2モードの実行を指示するための操作部である第2モードスイッチ27(図2)が設けられる。
電動アシスト自転車1は、フレーム2、前輪3a、後輪3b、ハンドル4、サドル5、クランクアーム6、ペダル7、チェーン8、及び前照灯9を備える。ハンドル4、サドル 5、クランクアーム6、ペダル7は、ユーザの体を支えたりユーザによる自転車の操作が行われる乗車装置である。また、電動アシスト自転車1は、バッテリ10、及びモータユニット11を備える。電動アシスト自転車1は、第1モードが実行されるときに、ユーザがペダル7を踏む力(踏力)をモータユニット11のモータ12(図2)によりアシストする。クランクアーム6及びその一端部に取り付けられたペダル7は、電動アシスト自転車1の左右に1つずつ設けられ、一対のクランクアーム6の他端部同士は、クランク軸30(図3)で連結されている。実施形態では、ペダル7の踏力による人力駆動力により回転するクランク軸30の回転力が、ワンウェイクラッチ40(図3)を介してフロントスプロケット50(図3)に伝達される。フロントスプロケット50は、車輪側の部材であるチェーン8を介して、車輪としての後輪3bに設けられた後輪スプロケット(図示せず)と連結されている。これにより、ペダル7の踏力が、チェーン8と、後輪スプロケットとを介して後輪3bに伝達される。また、モータ12の補助動力もチェーン8を介して後輪3bに伝達される。
なお、モータユニット11は、モータ12の回転力が減速歯車等を介してフロントスプロケット50に伝達される一軸式であってもよく、モータ12の回転力が減速歯車等を介して、チェーン8が掛けられた補助動力出力用のスプロケットに伝達される二軸式であってもよい。
フレーム2は、前輪3a、後輪3b、ハンドル4、サドル5等を連結し、バッテリ10及びモータユニット11を支持する。フレーム2は、複数のパイプで構成される。本実施形態では、複数のパイプとして、ヘッドパイプ2a、フロントフォーク2b、ダウンパイプ2c、シートパイプ2d、チェーンステー2e、シートステー2f、及びボトムブラケット(図示せず)が設けられている。ボトムブラケットは、ダウンパイプ2c、シートパイプ2d、及びチェーンステー2eを繋ぐパイプである。
ヘッドパイプ2aは、フロントフォーク2b及びハンドル4を、当該パイプの中心軸の周りに回転可能に支持する。フロントフォーク2bは、前輪3aを回転可能に支持する一対のレッグと、レッグの上端部から上方に延びてヘッドパイプ2aに挿入されるステアリングコラムとを有する。そして、ステアリングコラムの上端部に、ハンドル4が取り付けられている。
ダウンパイプ2cは、ヘッドパイプ2aとボトムブラケットを繋ぐパイプである。ダウンパイプ2cは、電動アシスト自転車1の前方に近づくほど上方に位置するように傾斜している。シートパイプ2dは、サドル5を保持するパイプであって、上端が下端よりも自転車の後方に位置するように上下方向に対し傾斜している。実施形態では、バッテリ10がシートパイプ2dに取り付けられ、モータユニット11がボトムブラケットに取り付けられている。なお、走行及び押し歩きをアシストするためのモータユニットは、前輪または後輪に取り付けられていてもよい。
チェーンステー2eは、シートステー2fとボトムブラケットを繋ぐパイプである。シートステー2fも、チェーンステー2eと同様に、後輪3bを両側から挟むように左右に1本ずつ設けられている。チェーンステー2eの後方端部には、後輪3bが回転可能に支持されている。
バッテリ10は、少なくともモータユニット11のモータ12に電力を供給する電源装置である。バッテリ10は、前照灯9等の、モータユニット11以外の機器に電力を供給する構成としてもよい。
モータユニット11は、ペダル7の踏力をアシストする駆動ユニットである。モータユニット11は、例えば、クランク軸30(図3)に作用するトルクである踏力及び車速に基づいて、モータ12を駆動させるように、その出力が制御される。モータユニット11は、クランク軸30の単位時間当たりの回転数に基づいて、モータ12の出力が制御されてもよい。モータ12(図2)の駆動は、後述する制御装置20(図2)によって制御される。制御装置20は、少なくとも一部が、モータユニット11のユニットケース51(図3)内にモータ12と共に収納されて、モータ12とユニット化されてもよい。
図2は、実施形態の電動アシスト自転車1の制御装置20を中心とする構成のブロック図である。制御装置20にはモータ12と、センサスイッチ群22とが接続される。制御装置20は、例えば、マイクロコンピュータで構成され、演算処理を実行するプロセッサ、演算に使用する計測データ、演算結果、処理プログラム等を記憶するメモリ、及び入出力ポートなどを備える。プロセッサは、例えばCPUで構成され、メモリに記憶された処理プログラムを読み出して実行する機能を有する。一般的に、制御装置20の各機能は当該処理プログラムを実行することで実現される。メモリは、ROM等の不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリ等である。制御装置20は、第1モードを実行させる機能と、第2モードを実行させる機能とを有する。
モータ12は、モータユニット11に含まれる駆動回路(図示せず)を介して、制御装置20により出力が制御される。モータ12は、例えば3相ブラシレスDCモータである。モータ12は、バッテリ10から供給される電力により駆動される電動機であれば種々の構成を採用できる。
センサスイッチ群22は、踏力センサ23、車速センサ24、クランク回転センサ25、電源スイッチ26及び第2モードスイッチ27を含んでいる。踏力センサ23は、例えば磁歪式のトルクセンサであり、後述の図3に示すようにクランク軸30の周囲に配置される。踏力センサ23は、ペダル7への踏力である人力駆動力に基づいてクランク軸30(図3)が回転することにより発生する人力駆動力を検出する。踏力センサ23の検出値を表す情報は、制御装置20に送信される。
車速センサ24は、例えばフロントフォーク2bの下端部に設けられ、前輪3aの単位時間当たりの回転数から電動アシスト自転車1の走行速度を検出する。車速センサ24の検出値を表す情報は、制御装置20に送信される。車速センサ24は、例えばホイールセンサ等の速度センサである。車速センサ24は、後輪3bの回転支持部に取り付けられ、後輪3bの回転数から電動アシスト自転車1の走行速度を検出してもよい。
クランク回転センサ25は、クランク軸30(図3)の単位時間当たりの回転数を検出する。クランク回転センサ25の検出値を表す情報は、制御装置20に送信される。クランク回転センサ25は、例えば歯車状の回転体とその両側の光出射部及び受光部とを含んで構成される。
電源スイッチ26は、ユーザが制御装置20を起動させるためのスイッチである。第1モードは、電源スイッチ26がオンされて、ユーザがペダル7を踏み込み操作することによって実行される。例えば、ユーザが電動アシスト自転車1に乗車してペダル7を踏み込み操作を行い、その操作による踏力が所定値以上となった場合に、第1モードが実行される。制御装置20は、第1モードが実行されると、ペダル7への踏力の検出値と、車速センサ24の検出値とに基づいて、モータ12に出力させる第1補助動力を算出し、算出された第1補助動力でモータ12を駆動する。なお、制御装置20は、ペダル7への踏力の検出値と、車速センサ24の検出値と、クランク回転センサ25の検出値とに基づいて、第1補助動力を算出してもよい。
第2モードスイッチ27は、例えばハンドル4のグリップ付近に取り付けられ、制御装置20に接続される。第2モードスイッチ27は、例えば押し下げの操作をしている間のみオンとなるスイッチである。ユーザは、自転車を降りて、電源スイッチ26がオンされている状態で、第2モードスイッチ27をオンすることにより、モータ12に第2補助動力を出力させる。これにより、押し歩きモードまたは自走モードである第2モードの実行が可能となる。制御装置20は、第2モードの実行において、電動アシスト自転車1の自走速度を所定速度以下、例えば時速6km以下、または時速3km以下等に制限する。
また、本例の場合には、サドル5が乗車できない状態に変化可能となっている。具体的には、後述の図4Aの状態から図5Aの状態にサドル5の後側が跳ね上がる姿勢に変化した場合にユーザがサドル5に座って運転できない状態となる。ユーザは、自転車から降りた状態で、図6Aの状態にサドル5の姿勢を変化させることで、後述のように移動装置70(図4A)によって、棒状部材76(図4A)を、左側のクランクアーム6の側面に対向可能な位置に移動させることができる。棒状部材76は、アーム回転制限部材に相当する。これにより、ユーザが自転車から降りて自転車を押し歩くまたは自走させるときに、ユーザの足に回転したペダル7が当たることを防止できるので、ユーザが自転車を押し歩きしにくくなったり、ユーザに不快感を生じさせることを抑制できる。なお、本例では乗車装置であるサドル5が乗車できない状態に変化可能となっている構成だが、他の乗車装置が乗車できない状態に変化可能となってもよい。例えばハンドル4、クランクアーム6、ペダル7のうち少なくとも一つを折り畳むことで乗車できない状態に変化させることができる。
なお、第2モードは、ユーザが乗車できない状態、より具体的にはユーザがサドル5に着座できない状態であると制御装置20で判定された場合であって、第2モードスイッチ27の押し下げ時のみに実行されるようにしてもよい。この場合、サドル5の取付部の近傍に、サドル5が乗車できない(着座できない)姿勢に変化したか否かを検出するサドル姿勢センサが設けられる。制御装置20は、サドル姿勢センサの検出信号によりサドル5が乗車できない(着座できない)状態に変化していると判定したときに、第2モードスイッチ27がオンか否かに関係なく、第2モードの実行を禁止する。
図3は、モータユニット11におけるクランク軸30の回転支持構造を示す断面図である。図3に示すように、モータユニット11は、クランク軸30と、クランク軸30に取り付けられたワンウェイクラッチ40と、クランク軸30に対して回転可能に取り付けられ、ワンウェイクラッチ40を介してクランク軸30の回転力が伝達されるフロントスプロケット50とを備える。また、モータユニット11は、クランク軸30の少なくとも一部を収容するユニットケース51を備える。クランク軸30は、ペダル7の踏力による人力駆動力で回転する部材であって、ペダル7が取り付けられたクランクアーム6が軸方向両端部にそれぞれ固定される。
また、モータユニット11は、例えば、図示しない減速機構を備え、モータ12(図2)から出力される補助動力が減速機構、補助動力出力用のスプロケット、およびチェーン8を介して後輪3bに伝達される。なお、チェーン8はフロントスプロケット50に掛け回されているため、モータ12の回転力はフロントスプロケット50にも伝達される。
ユニットケース51は、一般的にアルミニウム、ステンレス鋼等の金属で構成されるが、樹脂製であってもよい。ユニットケース51は、ボトムブラケット等のフレーム2に固定される。また、ユニットケース51内には、踏力センサ23、クランク軸30を回転可能に支持する軸受33等が設けられる。軸受33は、例えば、ボールベアリングであって、クランク軸30の軸方向両端部の近傍にそれぞれ設けられる。
クランク軸30は、軸方向両端部がユニットケース51から外部に突出した状態で、ユニットケース51に固定された軸受33により回転可能に支持される。一般的に、クランク軸30の軸方向両端部にそれぞれ固定される一対のクランクアーム6は、互いに同じ形状、寸法、重量を有し、各クランクアーム6の先端部に回転可能に取り付けられる一対のペダル7もまた、互いに同じ形状、寸法、重量を有する。クランク軸30は、軸方向が電動アシスト自転車1の左右方向に沿うように配置されている。
クランク軸30には、筒状体31が回転を不能に固定される。この筒状体31の周囲には、磁歪式の踏力センサ23が配置される。クランク軸30に固定された筒状体31はペダル7の踏力により捩じれ、その捩じれの程度は踏力により変化するため、磁歪式の踏力センサ23を用いて踏力の変化を検知できる。
ワンウェイクラッチ40は、フロントスプロケット50に固定され、内周面に歯が形成されたアウター41と、クランク軸30に固定されるインナー42とを含む。本実施形態では、アウター41の一端部がユニットケース51から外部に突出し、当該一端部にフロントスプロケット50が固定される。また、インナー42は、筒状体31を介してクランク軸30に固定される。すなわち、アウター41はフロントスプロケット50と一体に回転し、インナー42はクランク軸30と一体に回転する。
アウター41及びインナー42はいずれも、クランク軸30が挿通可能な筒状体であって、例えば、インナー42がアウター41の筒内に挿入され、クランク軸30の径方向に重なり合うように配置される。インナー42には、アウター41側に付勢されてアウター41の内周面に接触すると共に、クランク軸30が正方向に回転するときにアウター41の歯または溝に引っ掛かる爪43が設けられている。なお、クランク軸30が逆方向に回転するときには、爪43がアウター41の歯または溝に引っ掛からないように構成されている。ここで、正方向の回転とは、電動アシスト自転車1を前進させる方向の回転を意味する。
ワンウェイクラッチ40は、上述のように、ユーザがペダル7をこいでクランク軸30が正方向に回転したときに、インナー42の爪43がアウター41の歯または溝に引っ掛かり、正方向の回転力がフロントスプロケット50に伝達される構造を有する。一方、クランク軸30が逆方向に回転しても、その回転力はフロントスプロケット50に伝達されない。また、クランク軸30よりもフロントスプロケット50が速く回転する場合、またはフロントスプロケット50のみが回転する場合は、インナー42の爪43はアウター41の歯または溝に引っ掛からない。
一方、自転車の押し歩きまたは自走である第2モードの実行時に、フロントスプロケット50が回転してもインナー42の爪43はアウター41の歯または溝に引っ掛からないが、爪43はアウター41の内周面に接触している。また、インナー42及びアウター41の間には潤滑のためのグリスが存在する。これにより、グリスの抵抗等により、フロントスプロケット50の回転力が爪43を介してクランク軸30に伝わる場合がある。本例の場合には、このようにフロントスプロケット50から回転力がクランク軸30に伝達される傾向となった場合でも、棒状部材76(図4A)及び棒状部材76を移動させる移動装置70によって、クランクアーム6及びペダル7の回転を制限する。
以下、図4A〜図9を用いてサドル跳ね上げ装置60と、棒状部材76及び移動装置70とを詳しく説明する。図4Aは、電動アシスト自転車1において、サドル5が乗車できる状態である場合におけるサドル5及び棒状部材76を連結する構造を断面にして自転車の左側から見た図である。図4Bは、図4AのA部断面図である。図5Aは、電動アシスト自転車1において、サドル5が乗車できない状態である場合における図4Aに対応する図である。図5Bは、図5AのB部断面図である。
サドル跳ね上げ装置60は、シートパイプ2dとサドル5との間に設けられる。サドル跳ね上げ装置60は、シートパイプ2dの上端部に固定されたパイプ固定部材61と、サドル5に固定されたサドル固定部材62と、第1バネ63と、サドルロックレバー66とを含む。サドル固定部材62は、パイプ固定部材61に対し左右方向に沿う軸を中心に回動可能に支持される。図4Bに示すように、パイプ固定部材61とサドル固定部材62とには第1バネ63の両端が係止される。第1バネ63は、図5Bに示すようにサドル固定部材62の後側が上昇するように、サドル固定部材62を付勢する。
サドルロックレバー66は、パイプ固定部材61の後端部に左右方向に沿う軸を中心に回動可能に支持される。サドルロックレバー66は、パイプ固定部材61に係止された第2バネ(図4B)によって、図4B及び図5Bの実線位置に回動するように付勢されている。また、図4Bの状態で、サドル固定部材62に設けられた固定軸62aにサドルロックレバー66の溝67が係合してその位置でサドル5がロックされる。
図4Aの状態では、サドル5の上面が略水平面となっており、サドル5は、ユーザが乗車できる状態となっている。一方、ユーザがサドル5を乗車できない状態に変化させる場合には、サドルロックレバー66の掴み部68(図4B)を引き上げることによって、図5Bに二点鎖線で示す位置に、サドルロックレバー66を回動させる。これにより、溝67からサドル固定部材62の固定軸62aが外れるので、図5A、図5Bに示すように第1バネ63の付勢力によって、サドル5の後側が上昇するようにサドル5が跳ね上がってサドル5の姿勢が変化する。この状態で、サドル5は上面が水平面に対し大きく傾いて、ユーザが乗車できない状態となる。
さらに、本実施形態の電動アシスト自転車1は、ペダル7が連結された左側のクランクアーム6の側面に対向可能な位置に移動可能な棒状部材76と、サドル5の変化に応じて棒状部材76を移動させる移動装置70とを備える。電動アシスト自転車1は、サドル5が乗車できない状態に変化した場合に、移動装置70によって棒状部材76を左側のクランクアーム6の側面に対向可能な位置に移動させることにより、左右両側のクランクアーム6の回転を制限する。これにより、第2モードを実行する際に、サドル5を乗車できない状態に変化させることにより、棒状部材76が左側のクランクアーム6の側面に対向可能な位置に移動する。このため、クランクアーム6の回転が制限されるので、ユーザの足に、回転したペダル7が当たることを防止できる。以下、これを詳しく説明する。
図5Cは、図4Aにおいて、シートパイプ2dに対する棒状部材76の取付部を矢印C方向に見た図である。図5Dは、図5Cから、棒状部材76を取り出して示す図であり、(a)は棒状部材76の根本側から軸方向に見た図であり、(b)は側方から見た図であり、(c)は先端側から軸方向に見た図である。図6は、サドル5が乗車できる状態(a)と乗車できない状態(b)とにおける図4AのD−D断面相当図である。図7は、図5Aにおいて、シートパイプ2dに対する棒状部材76の取付部を矢印E方向に見た図である。
図4A、図4B、図5A、図5Bを参照して、移動装置70は、サドル固定部材62と棒状部材76とを連結するワイヤ71と、棒状部材支持部72とを含む。ワイヤ71は、一端がサドル固定部材62に設けられた係止部62b(図4B、図5B)に係止される。ワイヤ71の他端は、棒状部材支持部72に設けられたレバー(図6)を介して棒状部材76に連結される。なお、図1では棒状部材76及び棒状部材支持部72の図示は省略している。
棒状部材支持部72は、シートパイプ2dの下端部でモータユニット11の近傍に取り付けられた支持ケース72aを含む。図5Cに示すように、支持ケース72aにおいて、シートパイプ2dの前側となる位置に、回転軸74がシートパイプ2dの長手方向に対し直交して前方に突出する方向に配置され、支持ケース72aに対し回転可能に支持される。棒状部材76は、回転軸74のうち、支持ケース72aの外側面から突出した部分の外周面に、回転軸74の直径方向に突出するように固定される。
図5Dに示すように、棒状部材76は、軸部77と、軸部77の回転軸74(図5C)と反対側端に一端が結合されたコイル部78と、コイル部78の他端に結合された半球状のキャップ79とを含んでおり、全体が棒状となっている。軸部77、コイル部78及びキャップ79のそれぞれは、金属または樹脂等により形成される。棒状部材76がこのように構成されるので、棒状部材76は、少なくとも一部がコイル状であり、かつ弾性変形可能となっている。例えば、棒状部材76に直径方向外側から力が加わった場合に、コイル部78は、比較的小さい力によって弾性変形する。これにより、棒状部材76によってクランクアーム6の回転を制限するために、棒状部材76のコイル部78を所定位置に固定する力はフレキシブル、すなわち柔軟である。
さらに、図6に示すように、回転軸74の支持ケース72a内に突出した部分の外周面の周方向一部にはレバー73が突出形成されており、そのレバー73にワイヤ71の他端部が連結される。さらに、支持ケース72a内には軸状のストッパ72bが突出しており、そのストッパ72bがレバー73の移動を規制することにより、回転軸74の回転を規制する。具体的には、図4Aのようにサドル5が乗車できる状態にある場合には、図6(a)に示すようにワイヤ71の他端部が大きく支持ケース72a内に延びてレバー73が一方向(図6(a)の矢印P1)方向に回転しストッパ72bに突き当たる。この状態では、図4A、図5Cに示すように、棒状部材76はシートパイプ2dの前側において、長手方向に沿った方向である斜め後ろ方向に延びており、左側のクランクアーム6の側面と対向可能な位置には存在しない。また、図6に示すように、レバー73と支持ケース72aとの間には、付勢部材としてのバネ75が設けられる。このバネ75は、レバー73に対しストッパ72bに向かう側に付勢する。これにより、棒状部材76が、バネ75により、両側のクランクアーム6の側面のいずれにも対向しない位置に移動する方向に付勢される。
一方、図5Aのようにサドル5が乗車できない状態に変化した場合には、図6(b)に示すようにワイヤ71の他端部がサドル5側に引っ張られて、これに伴いレバー73が他方向(図6(b)の矢印P2)方向に回転する。この状態では、図5A、図7に示すように、棒状部材76はシートパイプ2dの左側端より左側に大きく突出するように、図4A、図5Cの状態から略90度回転する。このとき、棒状部材76がこの状態で保持されるように、支持ケース72a内に、レバー73を突き当てる第2のストッパ(図示せず)が設けられてもよい。これにより、後述の図8、図9に示すように、左側のクランクアーム6が回転して上側に延びているときに左側のクランクアーム6の回転方向前側の側面6aと対向する。このため、棒状部材76は、左側のクランクアーム6の側面に対向可能な位置に移動可能であり、移動装置70は、サドル5の変化に応じて棒状部材76を移動させる。また、棒状部材支持部72は、ワイヤ71(図6)が移動する力を回転方向の力に変換して棒状部材76を回転させる。
図8、図9を用いて棒状部材76がクランクアーム6の側面6aに対向した状態を詳しく説明する。図8は、実施形態において、シートパイプ2dを前側から見た場合の図5Aで左側のクランクアーム6が上側に回転した状態に対応する模式図である。図9は、図8を自転車の左側から見た図である。
図8、図9に示すように、サドル5が乗車できない状態に変化した場合には、棒状部材76が図8の矢印Q方向に回転して、シートパイプ2dの左側端より突出するように横方向に延びる。この状態で、左側のクランクアーム6が上側に回転したときにクランクアーム6の回転方向前側の側面6aが棒状部材76の側面に接触することで、左右両側のクランクアーム6の回転が制限される。
上記の電動アシスト自転車1によれば、第2モードを実行する際に、サドル5を乗車できない状態に変化させることにより、棒状部材76がクランクアーム6の側面に対向可能な位置に移動する。これにより、クランクアーム6の回転が制限されるので、ユーザの足に、回転したペダル7が当たることを防止できる。このため、ユーザの足に、回転したペダル7が当たって押し歩きしにくくなったり、ユーザに不快感を生じさせることを抑制できる。また、サドル5が乗車できない状態に変化しているので、ユーザがペダル7の回転が制限されている状態で誤ってサドル5に座って運転しようとすることが防止される。
さらに、制御装置20が、サドル5が乗車できない状態に変化している場合にのみ、第2モードの実行を許可する場合には、サドル5が乗車できない状態を自転車から離れた位置にいる周囲の人が認識することにより、自転車が第2モードの実行が許可されていることを認識できる。このため、例えば自転車のサドル5の後側のキャリアに着座したり、ペダル7に乗って立った状態で、第2モードスイッチ27をオン操作して自走させるような不正な行為を目視により警察官等の周囲の人が容易に発見できる。これにより不正な行為を抑制できる。
また、棒状部材76は、バネ75により、左右両側のクランクアーム6の側面のいずれにも対向しない位置、具体的にはシートパイプ2dの前側で長手方向に沿う位置に移動する方向に付勢される。これにより、万が一、ワイヤ71が切断された場合でも棒状部材76がクランクアーム6の側面に対向しない位置に移動するので、サドル5が乗車できる状態にあるときに、ユーザが乗車してペダル7を操作する場合に、ペダル7の操作が棒状部材76で禁止されることを防止できる。これにより、安全性の向上を図れる。
また、サドル5が乗車できる状態にあるときに、何等かの異常の発生により万が一クランクアーム6の側面に棒状部材76が対向する状態となっている場合でも、棒状部材76の少なくとも一部であるコイル部78が弾性変形可能となっているので、ユーザがペダル7を操作して自転車を走行させることができる。これにより、安全性のさらなる向上を図れる。
なお、棒状部材76をクランクアーム6の側面に対向しない位置に移動する方向に付勢する付勢部材は、支持ケース72aとレバー73との間に設けるバネ75に限定せず、例えば、棒状部材76とシートパイプ2dとの間に設けるバネとしてもよい。また、回転軸74の回転を規制するストッパは、支持ケース72a内でレバー73に突き当てるストッパ72bに限定せず、例えばシートパイプ2dに設けて、棒状部材76の回転を規制するストッパとしてもよい。
また、棒状部材の少なくとも一部を弾性変形可能とするために、棒状部材の少なくとも一部をコイル部ではなくゴム等の弾性材料により形成してもよい。
また、上記では、サドル5と棒状部材76とがワイヤ71を介して連結されているが、ワイヤの代わりにリンク等の剛体で連結されてもよい。
また、詳しい図示は省略するが、棒状部材76がクランクアーム6の側面6aに対向するように移動して棒状部材76がこの側面6aに接触しクランクアーム6の回転を停止したときに、図9に角度αで示す範囲にクランクアーム6の中心軸6bがあるように棒状部材76の移動位置が規制されてもよい。具体的には、棒状部材76がクランクアーム6の回転を停止させた状態で、左側のクランクアーム6を左側から見たときに、左側のクランクアーム6を、回転中心O(図9)に対し真上から右側に60度回転した位置と、真下から左側に60度回転した位置との間で停止させる。これにより、ユーザが自転車の左側に降りて自転車を押し歩き、または自走させるときに回転中心Oより前側にユーザがいるときにユーザの体にペダル7が接触することを防止できる。これにより、ユーザが押し歩きしにくくなったり、ユーザに不快感を生じさせることをさらに抑制できる。
なお、上記の実施形態では、ワンウェイクラッチ40において、アウター41がフロントスプロケット50と一体に回転し、インナー42がクランク軸30と一体に回転し、クランク軸30が正方向に回転したときに、インナー42の爪43がアウター41の歯または溝に引っ掛かり、正方向の回転力がフロントスプロケット50に伝達される構造を説明した。一方、ワンウェイクラッチの構成はこれに限定するものではなく、例えばインナーがフロントスプロケット50と一体に回転し、アウターがクランク軸30と一体に回転し、クランク軸30が正方向に回転したときに、インナーの爪がアウターの歯または溝に引っ掛かり、正方向の回転力がフロントスプロケット50に伝達される構造としてもよい。
図10は、実施形態の別例の電動アシスト自転車において、制御装置20を中心とする構成のブロック図である。本例の構成では、一般的な自転車と同様に、サドルは乗車できない状態には変化しない。本例の構成では、第2モードスイッチ27の操作によって第2モードの実行が指示されたときに、その指示を表す信号が制御装置20に出力される。制御装置20は、第2モードの実行の指示を表す信号が入力されたときに、移動装置80を駆動させる。移動装置80は、電動機である棒状部材移動モータ81を有し、棒状部材76(図11)を移動させる。
図11は、実施形態の別例の電動アシスト自転車において、図4AのE部に対応する図であり、一部を断面にして示す図である。図11に示すように、本例の構成では、図1〜図9の構成と異なり、棒状部材支持部72の支持ケース72aには、ワイヤ71(図6参照)を接続していない。本例の構成では、支持ケース72aの前側(図11の左側)に棒状部材移動モータ81のモータケース81aが連結部90を介して固定される。これにより、モータケース81aは、棒状部材76が固定された回転軸74の前側(図11の左側)に配置される。モータケース81aには、棒状部材移動モータ81のモータ軸81bが回転可能に支持され、そのモータ軸81bの先端(図11の右端)には、回転軸74において支持ケース72aの外側に配置された部分がモータ軸81bと同軸に固定される。棒状部材移動モータ81は、一方向に回転することによって、棒状部材76を図11の紙面の表側にその先端が向くように略90度回転させ、左側のクランクアーム6の側面6aに対向可能な位置に移動させる。支持ケース72aにモータケース81aを連結するための連結部90は、棒状部材76が上記のように移動する際の棒状部材76の動きを妨げない位置に配置する。棒状部材76が左側のクランクアーム6の側面6aに対向可能な位置に移動した状態から、第2モードスイッチ27(図10)が非操作となり、棒状部材移動モータ81の駆動が停止されたときには、図1〜図9の構成と同様に、回転軸74のうち、支持ケース72a内に配置される部分に固定されたレバー73と、支持ケース72aとの間に設けられたバネ75(図6参照)の付勢力により、棒状部材76が左右両側のクランクアーム6の側面のいずれにも対向しない位置、すなわち図11に示す位置に移動する。さらに、棒状部材76がこのように移動した状態で、レバー73がストッパ72bに突き当たることで、棒状部材76の位置が保持される。
本例の構成によっても、図1〜図9の構成と同様に、第2モードを実行するときに、棒状部材76がクランクアーム6の側面6aに対向可能な位置に移動するので、クランクアーム6の回転が制限され、これによって、ユーザの足に、回転したペダル7(図1)が当たることを防止できる。本例において、その他の構成及び作用は、図1〜図9の構成と同様である。
なお、上記の各例では、棒状部材76が左側のクランクアーム6の側面6aに対向して左右両側のクランクアーム6の回転が制限されるようにしているが、棒状部材は、右側のクランクアーム6の側面に対向して左右両側のクランクアーム6の回転が制限されるようにしてもよい。また、棒状部材76の支持部の位置は、図4Aで示した位置に限定するものではなく、例えば、チェーンステー2eに支持ケースを固定して、棒状部材76をクランクアーム6の側面に対向可能な位置に移動可能としてもよい。
また、上記の各例では、アーム回転制限部材が棒状部材76である場合を説明したが、本開示の電動アシスト自転車はこのような構成に限定するものではない。図12は、アーム回転制限部材の別例の第1例を示す図である。本例の構成では、アーム回転制限部材は、長尺な板状部材82である。板状部材82は、長手方向一端部に円形の貫通孔83が形成され、その貫通孔83に、回転軸74(図4A)の端部で支持ケース72aの外側に配置された部分が嵌合固定される。回転軸74が一方向に回転することによって、板状部材82が回転しクランクアーム6(図4A)の側面に対向可能な位置に移動することにより、クランクアーム6の回転が制限される。
図13は、アーム回転制限部材の別例の第2例を示す図である。本例の構成では、アーム回転制限部材は、長尺な扇状部材84である。扇状部材84は、円筒部85と、円筒部85の外周面の周方向一部に連結された扇状の本体部86とを含む。本体部86は、中心角が略90度であり、円板の1/4の形状を有する。円筒部85の円形の孔85aに、回転軸74(図4A)の端部で支持ケース72aの外側に配置された部分が嵌合固定される。回転軸74が一方向に回転することによって、扇状部材84の先端部が回転しクランクアーム6(図4A)の側面に対向可能な位置に移動することにより、クランクアーム6の回転が制限される。
図14(a)は、実施形態の別例の電動アシスト自転車において、シートパイプ2dに取り付けられた乗車防止バー92が上側に回動して乗車防止となっている状態(ユーザがサドル5に着座できない状態)を、サドル5の上側から見た図であり、図14(b)は、図14(a)を自転車の側方から見た図である。図15は、図14(b)から乗車防止バー92が下側に回動して乗車が可能となっている状態を示す、図14(b)に対応する図である。
本例の構成の場合には、図1〜図9の構成において、サドル跳ね上げ装置60(図4A、図5A)の代わりに、シートパイプ2dにおいてサドル5の下側に乗車防止バー92が回動可能に取り付けられている。乗車防止バー92は、図14(a)のようにサドル5の上から見た場合に、略U字形となる本体部93の中間部に補助バー98が連結されている。具体的には、本体部93は、左右に離れて配置される2本の屈曲した脚部94と、2本の脚部94の一端を連結するU字形の連結部97とを有する。各脚部94は、図14のように上側に回動された状態で、サドル5を下側から前側を通って上面で後側に延びるようなU字形の屈曲部95を有する。各脚部94の他端には、軸受部96が設けられる。さらに、シートパイプ2dの前側には、左右方向の同一直線上にある2つの軸部を有する支持部99が固定され、それぞれの軸部が対応する側の軸受部96に、左右方向に貫通して軸受部96に対する回転可能に支持されている。
さらに、2本の脚部94において、屈曲部95の軸受部96と反対側の端部側面には、補助バー98の両端が固定されている。これにより、乗車防止バー92は、軸受部96で左右方向に沿う軸部を中心に回動可能に、シートパイプ2dに取り付けられる。乗車防止バー92は、例えば鋼やアルミニウム合金等の高い剛性を有する金属製の管状材により形成される。
このような乗車防止バー92は、図14のように上側に回動された状態で、サドル5の上面より上側でサドル5を左右にまたぐように、連結部97と補助バー98とのU字形部分が上側に大きく突出するので、自転車に人が乗車することを防止する障害物の役目を果たす。つまり、ユーザがサドル5に着座できない状態となっている。さらに、この状態で、乗車防止バー92の本体部93と補助バー98とは、自転車から降りて押し歩くユーザが手で掴むことが可能な取っ手の役目を果たし、ユーザが自転車を支持しやすくなる。
さらに、図15のように乗車防止バー92が下側(図15の矢印R方向に)、補助バー98がシートパイプ2dの前側面に当たるまで回動した状態では、乗車防止バー92がサドル5に座るユーザの邪魔になることがない。これにより、自転車へのユーザの乗車が可能となる。
さらに、自転車には乗車防止バー92が上側に回動されたことを検出する乗車防止センサ(図示せず)が設けられる。乗車防止センサは、例えサドル5の下側に設けられ、乗車防止バー92が上側に回動したときに乗車防止バー92に押されることによりオンされて、乗車防止バー92の上側への回動を検出する。乗車防止センサのオン信号は、制御装置20(図10)に送信される。制御装置20は、乗車防止センサのオン信号が入力されたときに、第2モードの実行を許可し、そのオン信号の入力がないときには第2モードの実行を禁止する。このため、乗車防止バー92が下側に回動した状態で第2モードスイッチ27(図2)の操作、非操作に関係なく、第2モードが禁止される。一方、乗車防止バー92が上側に回動した状態では、第2モードが許可されるので、第2モードスイッチ27が操作されることにより、第2モードが実行され、モータ12(図2)の補助動力が出力されて自転車の押し歩きまたは自走が可能となる。このとき、制御装置20は、棒状部材76(図4A)をクランクアーム6の側面に対向するように移動させて、クランクアーム6の回転を停止させる。本例において、その他の構成及び作用は、図1〜図9の構成、または、図10の構成と同様である。なお、乗車防止センサのオン信号が制御装置20(図10)に送信され、かつクランクアームの回転が制限された場合にのみ、第2モードの実行が許可されてもよい。すなわち、自転車が乗車できない状態となり、かつクランクアームの回転が制限された場合にのみ、制御装置20により第2モードの実行が許可されてもよい。この構成により、自転車にユーザが乗車した状態でペダルをこぐことなく自走モードが実行されることを防止できると共に、ユーザが自転車を降りて押し歩きまたは自走させるモードを実行する際にユーザの足に回転したペダルが当たることを防止できる。クランクアームの回転の制限は、例えば前述のアーム回転制限部材によって行われてもよいし、別の構成を用いてもよい。別の構成としては、左右のペダルやクランクアームに重量差をつけることや、ユニットケース51の内部にてクランクアームの回転を制限する構造を用いることができる。
なお、本例の構成において、制御装置20が、乗車防止バー92の上側への回動を検出したことの信号が入力されたときに、第2モードスイッチ27の操作、非操作にかかわらず、棒状部材76をクランクアーム6の側面に対向するように移動させて、クランクアーム6の回転を停止させる構成としてもよい。
上記の各例で説明したように、本開示の電動アシスト自転車は、押し歩き等の第2モードを実行するときにアーム回転制限部材を、モータ12の駆動によって連れ回るクランクアーム6に対向可能な位置に移動させることにより、クランクアーム6の回転を制限する。このとき、アーム回転制限部材は、ワイヤ等を用いて機械的に動作させてもよいが、電動機等によって電気的に動作させてもよい。アーム回転制限部材を動作させる電動機は、車輪駆動用のモータを含むモータユニット内に配置してもよい。また、車輪駆動用のモータによってアーム回転制限部材を移動させてもよい。また、アーム回転制限部材は、電動アシスト自転車において、任意の位置に設定することができる。