JP2021187014A - 印刷物 - Google Patents

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JP2021187014A JP2020092382A JP2020092382A JP2021187014A JP 2021187014 A JP2021187014 A JP 2021187014A JP 2020092382 A JP2020092382 A JP 2020092382A JP 2020092382 A JP2020092382 A JP 2020092382A JP 2021187014 A JP2021187014 A JP 2021187014A
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Abstract

【課題】簡便な方法で凸形状を有する印刷線を形成し、観察する角度によって光沢や輝きが変化する印刷物を提供する。【解決手段】印刷物は、基材上に複数の印刷線からなる印刷部を設けられ、複数の印刷線の線長方向に垂直な断面において、凸状の線幅Wと、隣り合う印刷線との間の距離Dが0.08≦W/D≦20.0の関係を満たし、複数の印刷線の一方の端部と基材との接点と、複数の印刷線の他方の端部と基材との接点を結んだ線は基材平面から上に凸の曲線となり、曲線の曲率半径Rμmが5≦R≦400の関係を満たす。【選択図】図2

Description

本発明は、光沢が変化する印刷物に関するものである。
従来から、印刷物に光沢や輝きや色合い(色相)が変化するように処理をする技術が開発されており、一般に特殊な加工を要するため、偽造や模造を防止する効果が得られ、独特の美観を与える点で印刷物の商品性を高める効果が得られる。
例えば特許文献1には、感光材料に記録された光の干渉縞を金型に凹凸状の干渉縞として形成し、この金型より耐熱フィルム面に光の干渉縞の凹凸模様を形成し、この光の干渉縞の凹凸模様を有するフィルムにアルミ等の金属を蒸着し、反射型レインボーホログラムを形成し、印刷物の表面の一部または全面に熱可塑性樹脂をフィルム状に塗布し、上記レインボーホログラムの金属の蒸着面側を加熱し、印刷物の表面の熱可塑性樹脂フィルムに金属の蒸着面側を圧着し、冷却後レインボーホログラムを剥離して、印刷物の表面の熱可塑性樹脂フィルムにレインボーホログラムを転写するという技術が記載されている。
また、特許文献2には、基材上に任意の文字や図柄等を有色インクにより印刷することにより下地層を形成し、この下地層上に凹凸模様を透明インクにより印刷することによって、該凹凸模様の表面に微細な平行線模様である凹凸万線を有する透明層を形成し、観察する角度によって透明層の光沢感が微妙に変化するようにした技術が記載されている。この技術では、光沢感により高級感や興趣が付加されるうえ、透明層の存在により下地層の表面が保護される。また、透明層は透明インクから成るので、下地層に印刷された文字や図柄等は確実に視認することが可能であり、透明層は複写しても再現不可能であるため、偽造防止効果がある。
特許文献2では、透明層を形成する技術として、透明層を、下地層の表面上にさらに所定の厚みを有するように透明インクを印刷することにより形成することが記載され、印刷方式としては、インクを盛るように印刷することが可能なフレキソ印刷やシルクスクリーン印刷等が好適であると記載されている。
一方で、特許文献3には、光沢が変化する印刷物の製造方法として、基材上にオフセット印刷で有色インキの印刷を行った後に、透明樹脂を塗布して乾燥させてから、凹凸形状を有するロールで加圧加工することによって、凹凸形状を付与し、光沢が変化する印刷物を得る技術が記載されている。この技術では、オフセット印刷機の印刷部の下流に透明樹脂塗布部と第1乾燥部、さらに凹凸加工部と第2乾燥部の各工程を追加できるため、単一の工程で製造できると記載されている。
一方で、パターンを形成するために印刷法に用いられる印刷の方式としては、形成したいパターンの、線幅、直線性、厚さ、線幅精度、相対位置精度、絶対位置精度、表面平滑性、生産速度等に合わせて、フレキソ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーンオフセット印刷、タンポ印刷、オフセット印刷(平版印刷)、凸版印刷、ロータリースクリーン印刷、凸版反転印刷、ディスペンサー印刷、静電吐出インクジェット印刷等、が提案されている。
中でも、ブランケットに一旦転写又は印刷してから、被印刷基板にブランケットから転写する印刷方式は、パターンの細線化が可能であること、パターン形状の安定化が可能であること、一定量の印刷用組成物の転写が可能であること、等の点から注目されている。
この様な印刷方式の1つであるグラビアオフセット印刷では、所望のパターンに対応して凹部が形成された凹版の凹部に、印刷用組成物を、ドクターブレード等を用いて充填し、その後、該印刷用組成物をブランケットに転写し、該ブランケットから被印刷基板に再度転写することで基板上にパターンを形成する。インキの種類に合わせて、必要に応じて、熱又はUV等の光照射することにより硬化させて、例えば導電性パターン等のパターンとなる。
また、スクリーンオフセット印刷では、所望のパターンに対応して形成されたスクリーン版から、印刷用組成物をブランケットに印刷し、該ブランケットから被印刷基板に転写することで基板上にパターンを形成する。
また、タンポ印刷では、所望のパターンに対応して凹部が形成された凹版の凹部に印刷用組成物を充填し、その後、該印刷用組成物を柔らかい半球状や船底状のタンポと呼ばれるブランケットに転写させ、次いで、該タンポ(ブランケット)を被印刷基板に押しつけて、タンポ(ブランケット)上の印刷用組成物を基板に再度転写することで基板上にパターンを形成する。
特開平7−186258号公報 特許第4411175号公報 特開2009−226917号公報
しかしながら、特許文献1の技術のように金属を薄膜状に用いて反射型レインボーホログラムを形成する技術では、工程が複雑であり製造コストがかかるという課題がある。
また、特許文献2の技術では、印刷技術を用いることにより、工程を簡素化でき製造コストを抑えることができるものの、フレキソ印刷やシルクスクリーン印刷を用いて、凹凸模様の表面に凹凸万線を有する透明層を形成することには限界があった。つまり、凹凸模様の表面に形成すべき凹凸万線は微細で且つ平行線模様であることが必要であるが、フレキソ印刷の場合には、インキが版から100%剥がれることは無いため、微細で且つ直線性の高い平行線模様を作成することは困難であった。一方で、シルクスクリーン印刷の場合では、印刷版のパターンを微細にするには限度があり、基材に印刷後にインキが垂れて広がることから、微細な直線性の高い平行線模様を作成することは困難であった。
一方で、特許文献3の技術では、単一工程で製造することができるが、各工程に必要な時間と速度が異なるため、相対的に遅い工程に合わせる必要があり効率的ではないこと、また、印刷2回と加圧加工と乾燥2回と工程数が多く煩雑であるという問題点があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、簡便な方法で凸形状を有する印刷線を形成し、観察する角度によって光沢や輝きが変化する印刷物を提供することを目的とする。
上記課題を解決する手段として、本発明の一態様の印刷物は、基材上に複数の印刷線からなる印刷部を設けられた印刷物であって、上記複数の印刷線の線長方向に垂直な断面において、凸状の線幅Wと、隣り合う上記印刷線との間の距離Dが(式1)の関係を満たし、
0.08≦W/D≦20.0 ・・・(式1)
上記複数の印刷線の一方の端部と上記基材との接点と、上記複数の印刷線の他方の端部と上記基材との接点を結んだ線は基材平面から上に凸の曲線となり、上記曲線の曲率半径Rμmが(式2)の関係を満たす。
5≦R≦400 ・・・(式2)
ここで、上記印刷物は、上記印刷部が、1種類からなる上記複数の印刷線の第1要素と、また別の1種類の上記複数の印刷線の第2要素の少なくとも2つを有し、上記第1要素の印刷線と上記第2要素の印刷線がそれぞれ1本ずつ交互に配置されてもよい。
また、上記印刷物は、上記複数の印刷線の面積比Apが(式3)の関係を満たしてもよい。
0.07≦Ap≦0.99 ・・・(式3)
また、上記印刷物は、上記基材上に、上記複数の印刷線からなる印刷部を、少なくとも2種類以上有してもよい。
また、上記印刷物は、上記複数の印刷線の幅Wが2から200μmの範囲内であってもよい。
また、上記印刷物は、上記複数の印刷線の高さHが0.2から12μmの範囲内であってもよい。
また、上記印刷物は、上記複数の印刷線がグラビアオフセット印刷法により形成されてもよい。
本発明の印刷物は、上記構成を満たす凸形状の印刷線から形成されるため、観察者からは印刷線は単線として視認されず、一方で観察する角度によって光沢が変化する。この光沢の変化(光沢感)により、高級感や興趣が付加することができる。また、印刷物を複写しても、印刷線の形状は再現不可能であるため、偽造を行うことは困難であり、高い偽造印刷防止効果を得ることができる。
本発明の一態様の印刷物を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る印刷部を示す図であり、図2(a)は上面図、図2(b)は図2(a)における切断線IIa−IIaに沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る印刷部の第1要素を示す図であり、図3(a)は上面図、図3(b)は図3(a)における切断線IIIa−IIIaに沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る印刷部の第2要素を示す図であり、図4(a)は上面図、図4(b)は図4(a)における切断線IVa−IVaに沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る印刷部の第1要素と第2要素が交互に並んだ様子を示す図であり、図5(a)は上面図、図5(b)は図5(a)における切断線Va−Vaに沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態に印刷部を示す断面斜視図である。 本発明の第1の実施形態に印刷部における切断線VII−VIIの位置を示す断面斜視図である。 図7における切断線VII−VIIに沿った断面図である。 図7における切断線VII−VIIに沿った断面と、印刷線の断面形状の曲率を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に印刷部を示す断面斜視図である。 本発明の第2の実施形態に印刷部における切断線XI−XIの位置を示す断面斜視図である。 図11における切断線XI−XIに沿った断面図である。 図11における切断線XI−XIに沿った断面と、印刷線の断面形状の曲率を示す模式図である。
(第1実施形態)
本発明を、図1〜図13を参照して詳細に説明する。本発明は、印刷部を備えた印刷物に関する。なお、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではない。本発明に対して、当業者の知識に基づいて種々の変更または修正を加えることが可能である。そして、そのような変更または修正が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。
〈印刷物〉
本発明に係る印刷物の第1の実施の形態は、基材上に印刷部を備えている。図1に本実施形態の印刷物500の平面図を、また図2に印刷部100の平面図と切断線IIa−IIaにおける断面図を示す。図1に示したように、本発明の印刷物500は、基材103の表面の一部に、互いに平行で一方向に延伸した複数の印刷線からなる印刷部100を有している。
〈印刷部〉
図2に示したように、印刷部100は基材103上に形成された印刷線130を備えている。印刷線130のパターンは、少なくとも一方の方向に複数本配置されていればよく、その数は限定されるものではない。以下、印刷部100を構成する各部について詳細を説明する。
[印刷基材]
印刷基材103の材料としては、紙、プラスチック、ガラス、金属など従来から印刷に利用されているものであればよく、特に限定されない。また、印刷基材103の大きさについても、特に制限はない。
用いることができる紙の例としては、通常の出版印刷や宣伝広告物に用いられる各種の用紙であって表面性状の優れたものが挙げられる。例えば、ミラーコート紙、コート紙、アート紙、上質紙等であるが、包装材料に用いられるカートン用紙や板紙であってもよい。また、合成紙(商品名として、「ユポ(商標)」「ピーチコート(商標)」等)も伸縮が少ない点から好ましい。
用いることができるプラスチックフィルムの例としては、たとえば、以下の材料:ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン;セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースニトレートなどのセルロースエステル類またはそれらの誘導体;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;ポリエチレンビニルアルコール;シンジオタクティックポリスチレン;ポリカーボネート;ポリエーテルケトン;ポリイミド;ポリエーテルスルホン(PES);ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン類;ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトンイミド;ポリアリレート;ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂;ノルボルネン樹脂などのシクロオレフィン系樹脂などを含む。
用いることができるガラスの例としては、たとえば、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどを含む。
用いることができる金属の例としては、たとえば、銅、アルミ、ステンレス、鉄、などを含む。
[印刷線]
図3(a)に、一方向に延伸した複数の印刷線130x(第1要素とする)の上面図を、切断線IIIa−IIIaにおける断面図を図3(b)に示す。複数の印刷線130x同士は同等の幅を有し、隣り合う印刷線130xとの間隔が同等である。また、図4(a)に、一方向に延伸した複数の印刷線130y(第2要素とする)の上面図を、切断線IVa−IVaにおける断面図を(b)に示す。複数の印刷線130y同士は同等の幅を有し、隣り合う印刷線130yとの間隔が同等である。印刷部100に、第1要素の印刷線130xから成る領域を有してもよいし、第1要素の印刷線130xからなる領域と第2要素の印刷線130yからなる領域の両方を有してもよい。図5(a)に、図3(a)の印刷線130xからなる第1要素と図4(a)の印刷線130yからなる第2要素が同一方向に延伸した複数の印刷線の上面図を示す。すなわち、第1要素の印刷線130xの間隙に第2要素の印刷線130yが配置されて、第1要素の1本の印刷線130xと第2要素の1本の印刷線130yが交互に位置している。切断線Va−Vaにおける断面図を図5(b)に示す。
次に、図6〜図9を参照して、印刷線130について詳細に説明する。図6は印刷部100の上面形状の構成例の断面斜視図である。図7は、印刷部における切断線VII−VIIの位置を示す断面斜視図である。図8は、切断線VII−VIIに沿った断面図である。図9は、切断線VII−VIIに沿った断面と、印刷線の断面形状の曲率を示す模式図である。
基材103上に形成された印刷線130(130a、130b、130c)の断面形状は、図8および図9に示すように凸形状であり、基材103と接する下面は直線状であり、基材103との接点と上面部を結ぶ線が緩い曲線の弧からなる凸形状となっている。
ここで、基材103上における印刷線130の幅(図8において、印刷線130bが基材103と接する接点S2とS3間の距離)をW1、基材103からの高さ(図5(b)における印刷線130bの最高点と、基材103の表面との距離)をH1bと定義する。また、1つの印刷線である印刷線130bの一方の端部において、印刷線130bが基材103と接する接点位置S2と、隣り合う2つの印刷線130a、130cの一方の印刷線130cが基材103と接する接点位置S1と、の間隔を距離D1bとし、印刷線120bが基材103と接するもう一方の接点位置S3と、隣り合う2つの印刷線のもう一方の印刷線120aが基材103と接する接点位置S4と、の間隔を距離D1aと定義する。
印刷線130は、溝のような凹みや角のような尖った形状は好ましくなく、上述したような滑らかな緩い曲線の弧形状を有することが好ましい。印刷線130の基材103との接点と上面部を結ぶ緩い曲線上において、印刷線130bの最高点P(図9における130bの最高点)と、曲線上の最高点Pから均等な距離2点QおよびRの3点を通る、概略円の半径を曲率半径Rbと定義する。
本実施形態においては、印刷線130(上記説明では、130bを例にとって説明したが、何れであっても良い。)の幅W1と、距離D1aおよびD1bの算術平均D1(D1=(D1a+D1b)/2)と、曲率半径Rbが、以下の数式(式1)、(式2)を満たすことが必要である。
0.08≦W/D≦20.0 ・・・(式1)
5≦Rb≦400 ・・・(式2)
また、本実施形態の印刷線130の上面からの面積と、印刷部の面積の比率(面積率Ap=(印刷線の上面からの面積)/((印刷線の上面からの面積)+(印刷線と印刷線の間の基材表面の面積))が、数式(式3)を満たすことが必要である。
0.07≦Ap≦0.99 ・・・(式3)
上述のW、D、RおよびApについてその技術的意義を説明する。図1は印刷物を示す平面図である。本発明の印刷線130(図2参照)を備えた印刷部100は、図1において、観察する角度によって光沢が変化するのに有効である。
図8における、印刷線130bの幅W1は、2μm以上、200μm以内が好ましい。2μmより小さいと、光の散乱効果が低く、光沢変化が小さいため好ましくない。200μmより大きいと、印刷線130の1本ずつが視認されやすくなるため好ましくない。印刷線130bと隣り合う印刷線130aおよび130cとの間の距離D1aおよびD1bは500μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。500μmより大きいと、同じ光沢の変化をもたらす印刷線130a、130b、130cの間の距離が大きく、すなわち、視野に対する印刷線の合計の面積が少なくなるために、光沢の変化を視認しにくくなるため好ましくない。
印刷線130bの幅W1とD1が、上述(式1)を満たす場合に、印刷線130bの垂直方向の曲線120bの最高高さH1bを点P、H1bの20%の高さからH1bの80%の高さの間で、点Pに対して左右に1点ずつ、曲線120bとの交点となる2点、点Qおよび点R、と点Pの3点を通る円の半径の曲率半径Rbは、5μm以上、400μm以下が好ましい。5μmより小さいと、印刷線130bの曲線120bが小さく、すなわち、130bの光散乱効果が小さくなり、十分な光沢変化が得られない。500μmより大きいと、曲線120bが平坦的な形状となり、光沢変化が明確にならないため好ましくない。印刷部100の印刷線の面積比Apは0.07以上、0.99以下が好ましい。0.07より小さいと、光沢変化が視認しにくいため好ましくない。0.99より大きいと、光種々の光沢変化が混合して視認され、ムラとなるため好ましくない。
また、印刷線130bの高さH1bは、0.2μm以上、12μm以下であることが好ましい。0.2μmより小さいと、印刷線130に含まれる粒子の分散が十分でなく、印刷線130の表層に微小な凹凸が発生して、曲線120bが曲線形状にならないため好ましくない。12μmより大きいと、観察角度に関わらず、印刷線130の凹凸が視認されるため、好ましくない。
本発明において、所望の線幅の印刷線130を形成するためには、所望の線幅と同等または、数μm程度狭い幅の溝を有する版を用いるとよい。また、厚みのある印刷線130を形成するためには、所望の線の厚みから2倍程度の深さの溝を有する版を用いるとよい。
〔インキ〕
本発明に係る印刷線形成に用いられるインキは印刷分野で知られているプロセスインキ(基本4原色)(黄、紅、藍、墨)が有名であるが、顔料、ワニス、添加剤を組み合わせてできた多種のインキを用いることができる。
印刷インキを構成する原材料としては、色料(顔料や染料)、ビヒクル(油、樹脂、溶剤、可塑剤)、添加剤(ろう(ワックス)、ドライヤ、界面活性剤、ゲル化剤、安定剤、消泡剤等)が挙げられる。
インキの発色剤としては、プロセス印刷で利用されているジスアゾイエロー、ブリリアントカーミン、フタロシアニンブルー等が有名であるが、これに限定されず、印刷分野で知られている有機顔料・無機顔料を適宜用いることができる。
顔料は無機顔料と有機顔料が挙げられ、無機顔料としては、金属粒子の他、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、鉄黒(黒色酸化鉄)に代表される酸化物の他、水酸化物、硫化物、セレン化物、フェロシアン化物、クロム酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、燐酸塩、炭素等がある。
有機顔料としては、炭素化合物の他、ニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、レーキ系、フタロシアニン系、縮合多環材料の他、蓄光や残光顔料、紫外や赤外等のある特定の波長の光に反応して発光する金属酸化物や量子ドット等がある。これら顔料を1種類用いてもよいし、複数を混合して利用してもよい。
染料としては、酸性染料、塩基性染料、溶剤染料、分散染料等がある。
また、これらの色を目的とした顔料や染料に対し、導電性を目的として金属微粒子や導電性金属酸化物微粒子あるいは金属ナノワイヤや金属塩化物、導電性ポリアニリン、導電性ポリプロピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体)などの導電性ポリマー等を混合して導電性インキとして利用してもよい。
ビヒクルの油としては、植物油、加工油、鉱油等がある。樹脂としては、天然樹脂、天然物誘導体、合成樹脂等がある。
また、硬化して固体になる硬化性化合物(硬化性樹脂)のような、エポキシ樹脂、多官能アクリルモノマー(オリゴマー)等の比較的低分子量の硬化性化合物(硬化性樹脂)も含まれる。また、それらの混合物も用いることが可能である。硬化性の官能基を含まないものとしては、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、(メタ)アクリル酸エステルと他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ポリスチレン、スチレンと他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ケトン−ホルムアルデヒド縮合体若しくはその水素添加物、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール若しくはその共重合体、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用することができる。更に、上記の樹脂(重合体)の側鎖若しくは末端に硬化性の官能基を有している樹脂(重合体)等も挙げられる。これらは、官能基のあるものもないものも含めた上で、単独又は2種以上を併用することができる。
また、バインダー樹脂の中に含まれる硬化性化合物(硬化性樹脂)としては、官能基を有するものが好ましい。官能基として水酸基を有する多価アルコール、エポキシ基(グリシジル基)を有するエポキシ樹脂(グリシジル化合物)、カルボキシル基を有する多価カルボン酸、(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートモノマー若しくはオリゴマー等が特に好ましい。
〔溶剤〕
本実施形態で用いることができる溶剤は、特に限定はされないが、例えば、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1.3ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール等のジオール溶媒が挙げられる。また、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、プロピレングリコール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、等の多価アルコールや、ブチルトリグリコール、イソブチルジグリコール、2−ブトキシエタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ヘキシルオキシエトキシ)エタノール、等の1価のアルコール、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、等グリコールエーテル、グリコールエステル、テルペン系溶媒、炭化水素溶媒、アルコール溶媒等が挙げられる。また、例えば、テトラデカン、オクタデカン、ヘプタメチルノナン、テトラメチルペンタデカン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トリデカン、メチルペンタン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素化合物、トルエン、キシレン等環状炭化水素化合物、リモネン、ジペンテン、テルピネン、ターピネン(テルピネンともいう。)、ネソール、シネン、オレンジフレーバー、テルピノレン、ターピノレン(テルピノレンともいう。)、フェランドレン、メンタジエン、テレベン、ジヒドロサイメン、モスレン、イソテルピネン、イソターピネン(イソテルピネンともいう。)、クリトメン、カウツシン、カジェプテン、オイリメン、ピネン、テレビン、メンタン、ピナン、テルペン、シクロヘキサン等脂環式炭化水素化合物、ヘプタノール、オクタノール(1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール等)、デカノール(1−デカノール等)、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、オクタデシルアルコール、ヘキサデセノール、オレイルアルコール等の飽和又は不飽和の炭素数6〜30の脂肪族アルコール等脂肪族アルコール、クレゾール、オイゲノール等環状アルコール、シクロヘキサノール等のシクロアルカノール、ターピネオール(テルピネオール、α、β、γ異性体、又はこれらの任意の混合物を含む。)、ジヒドロテルピネオール等のテルペンアルコール(モノテルペンアルコール等)、ジヒドロターピネオール、ミルテノール、ソブレロール、メントール、カルベオール、ペリリルアルコール、ピノカルベオール、ソブレロール、ベルベノール等環状アルコール、が挙げられる。
また、速乾性インキでは、常温で乾燥する沸点の低い溶剤(MEK、エタノール、アセトンなど)を、水性インキでは水(精製水)を用いることが可能である。
本実施形態の印刷物は印刷法によって形成するのが好ましい。
本実施形態においては、印刷法として公知の方法を適用でき、なかでもグラビア印刷法に代表される凹版印刷が好ましく、グラビアオフセット印刷法が特に好ましく適用できる。使用する印刷装置も、公知のものでよく、例えば、グラビア印刷法に代表される凹版印刷であれば、金属製で表面に銀細線の型となる溝を有する凹版を備えたものを用いることができる。
オフセットロールとしては、金属製の筒体の表面がブランケット材で被覆されたものを用いることができ、ブランケット材の材質としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、天然ゴム等の弾性材が例示でき、これらの中でも、耐久性、耐油性が高く、さらに十分な弾性とともに適度にコシを有している点で、特にシリコーン樹脂が好ましく、硬質の基板に対してグラビアオフセット印刷を行うのに特に好適である。
グラビアオフセット印刷は、凹版オフセット印刷とも呼ばれる。
グラビアオフセット印刷では、導電性パターンに対応する凹部が形成されたグラビア版(凹版)と、印刷用組成物をグラビア版(凹版)の凹部に充填するドクターブレードと、表面が、例えばシリコーンゴムからなるブランケットと、が用いられる。なお、グラビアオフセット印刷に用いられる凹版は、汎用のグラビア印刷に用いられる通常の凹版とは形態が異なっていてもよい。以下、グラビアオフセット印刷に用いられる「グラビア版又は凹版」を、「グラビア版(凹版)」と略記する場合がある。
このグラビア版(凹版)の凹部から印刷用組成物がブランケットに一旦転写される。このブランケットに対向させる様に基板を供給して、両者を圧接させて、ブランケット上のパターンを基板に再度転写することで、印刷パターンが形成される。
この印刷パターンは、加熱して焼成することでパターンとなる。
この印刷法によれば、凹部の形状によって印刷パターンの形状を自在に設定でき、微細な印刷線パターンに対応する印刷パターンから、大面積のパターンまでを精度良く形成することが可能である。
グラビア版(凹版)としては、公知のものが使用できる。
グラビア版(凹版)、ブランケット及び基板は、それぞれ平板状(枚葉)のものでもよいし円筒状のものでもよい。ブランケットを基板に圧接して、連続的にブランケット上のパターンを基板に転写するようにしてもよい。
また、1つのブランケットを使って、多数の基板への印刷を行う場合には、印刷後に、溶剤を吸収したブランケットを乾燥させる工程を含ませることも好ましい。この乾燥工程は、1回の印刷サイクル毎に行ってもよいし、間隔を開けて、5〜20回の印刷サイクル毎に行ってもよい。
ブランケットとしては、シリコーンゴムを材質とするものが好ましい。シリコーンゴム層を表面に有するシートが好ましいものとして挙げられる。ブランケット胴と称される剛性のある円筒に巻きつけた状態で使用されることが好ましい。
例えば、シリコーンゴム層をポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム上に形成したシリコーンブランケットを、ブランケット胴に巻きつけた状態で使用することができる。
〔印刷物の製造方法〕
次に、本発明の一実施形態としての印刷物の製造方法を説明する。
本実施形態の印刷物の製造方法は、基材上に印刷部を形成する工程を備えている。適切な材料で形成された基材を選択する。次に、印刷部を形成する工程は、グラビアオフセット印刷法の技術を用いて実施することができる。グラビアオフセット印刷法は、金属製でその表面に細線の型となる溝の線幅と深さを所定の大きさに調整した凹版上にインキを供給し、余分のインキをドクターブレードによって除去し、溝に充填されたインキを、金属製の筒体の表面がシリコーン樹脂製のブランケット材で被覆されたオフセットロールのブランケット材の表面に転写した後、運搬されてきた基材の表面に対して、このインキを転写することで印刷を行う。所望の形状が転写された基材を熱風か赤外線によって加熱して硬化させるか、光照射によって硬化させるか、数日間静置して硬化させるかして、所望の形状を有する印刷部を形成する。
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に印刷部を示す断面斜視図である。本実施形態は、図5に示したように、第1要素である印刷線130xと第2要素である印刷線130yが、基材103上に交互に配置されて印刷部を構成した例である。図11は、印刷部における切断線XI−XIの位置を示す断面斜視図である。図12は、切断線XI−XIに沿った断面図である。図13は、切断線XI−XIに沿った断面と、印刷線の断面形状の曲率を示す模式図である。
第1実施形態と同様に、基材103上に形成された印刷線130(130xa、130xb、130xc、130ya、130yb、130yc)の断面形状は凸形状であり、基材103と接する下面は直線状であり、基材103との接点と上面部を結ぶ線が緩い曲線の弧からなる凸形状となっている。ここで、基材103上における印刷線130x、130yの幅はそれぞれW1、W2であり、高さはそれぞれH1xb、H1ybである。また、図に示すように印刷線130の接点位置はSx1、Sx2、Sx3、Sx4、Sy1、Sy2、Sy3、Sy4とすると、Sx4とSy3間は距離D1a、Sx1とSx2間は距離D1b、Sy3とSy4間は距離D2a、Sy1とSy2間の距離はD2bである。また図9での説明と同様に、印刷線130x、130yの曲率半径はそれぞれRxb、Rybである。
本実施形態においては、印刷線130xの幅W1と、一番近い印刷線130xa、130xcの間の距離D1a、D1bの平均D1は、0.08≦W1/D1≦20.0の関係を満たす。また、印刷線130ybの幅W2と、一番近い印刷線130ya、130ycの間の距離D2a、D2bの平均D2は、0.08≦W2/D2≦20.0の関係を満たす。また、印刷線130x、130yの曲率半径Rxb、Rybは、それぞれ5≦Rxb≦400、5≦Ryb≦400の関係を満たす。
また、本実施形態の印刷線130の上面からの面積と、印刷部の面積の比率(面積率Ap=(印刷線の上面からの面積)/((印刷線の上面からの面積)+(印刷線と印刷線の間の基材表面の面積))が、0.07≦Ap≦0.99の関係を満たすことが必要である。
上述した実施形態を具体化した実施例を、比較対象としての比較例とともに説明する。以下の実施例では、レーザー顕微鏡観察を行い、印刷部130の幅、高さ、曲率半径、間隔を測定した。具体的には、ランダムに選択した10箇所において、選択した各印刷部の画像を得た後に、図8に示す幅W、高さH、長さDおよび図9に示す曲率半径Rを求めた。曲率半径Rは、線の断面プロファイルの曲線上で、頂点および左右の3点を通る曲線から、曲率半径を算出した。左右の2点は高さHの20%から80%の間で、曲線が適合する箇所を選択した。加えて、1つの要素の印刷線の場合10本を含む領域Xの面積と、領域Xの線の面積を求め、面積比Apを求めた。2つ以上の要素の印刷線の場合は、各10本ずつを含む領域Xの面積と、領域Xの全ての線の面積を求め、面積比Apを求めた。10箇所の測定値の算術平均値を、印刷部100を成す印刷線の特性値とした。
<実施例1>
200mm×200mmの寸法および0.188mmの厚さを有するPETフィルムを切り出し、基材103を準備した。
次に、グラビアオフセット印刷法により、基材103上に、紅色のグラビアインキと紅色のオフセットインキを重量比率1対3で混合したインキの印刷を行い、図6に示すような、一方向に平行に延伸する複数の印刷線を形成することにより、印刷部100を含む印刷物500を得た。図6に示すように、印刷線130の底面が基材103と接して平らであり、上面が凸形形状であった。
平面視で、印刷線130bは幅W1が5.0μmで、高さH1が0.8μmで、曲率半径Rbが5.0μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D1a、D1bはいずれも66.5μmであった。
次に、W1、D1a、D1bの値から、(D1a+D1b)/2、W1/D1を算出した。さらに、Apを算出した
本実施例においては、(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、66.5および0.08であり、Apは7.0であった。
次に、印刷線を形成する際に用いた凹板を変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して、実施例2および実施例3の印刷部100を含む印刷物500を得た。
<実施例2>
実施例2は、印刷線130bは幅W1が50.4μmで、高さH1が1.9μmで、曲率半径Rbが200.7μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D1a、D1bは10.1μmおよび9.9μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、10.0μmおよび5.0であり、Apは83.4であった。
<実施例3>
実施例3は、印刷線130bは幅W1が2.1μmで、高さH1が0.2μmで、曲率半径Rbが6.3μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D1a、D1bはいずれも5.0μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、5.0μmおよび0.4であり、Apは29.6であった。
次に、印刷線を形成する際に用いた凹板を変更したこと、および基材に130μmの厚みのコート紙を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返して、実施例4および実施例5の印刷部100を含む印刷物500を得た。
<実施例4>
実施例4は、印刷線130bは幅W1が120.3μmで、高さH1が10.4μmで、曲率半径Rbが195.0μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D1a、D1bはいずれも8.0μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、8.0μmおよび15.0であり、Apは93.8であった。
<実施例5>
実施例5は、印刷線130bは幅W1が200.0μmで、高さH1が12.0μmで、曲率半径Rbが400.3μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D1a、D1bは19.9と20.1μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、20.0μmおよび10.0であり、Apは90.9であった。
<実施例6>
200mm×200mmの寸法および0.100mmの厚さを有するポリカーボネートフィルムを切り出し、基材103を準備した。
次に、グラビアオフセット印刷法により、基材103上に、紅色のグラビアインキと紅色のオフセットインキを重量比率1対3で混合したインキの印刷を行い、図3(a)および図3(b)に示すような、一方向に平行に延伸する複数の印刷線を形成した。続いて、印刷した基材上に、印刷部の外辺部(図示しない)のマークに合わせて、前述の紅色の印刷線と重ならないように、藍色のグラビアインキと藍色のオフセットインキを重量比率1対3で混合したインキの印刷を行い、図4(a)および図4(b)に示すような印刷線を形成して、基材103上に図5(a)および図5(b)に示すような印刷部100を形成し、印刷物500を得た。斜視断面図の図6に示すような、一方向に平行に延伸する複数の印刷線130を形成した印刷部100を得た。
図12に示すように、印刷線130の底面が基材103と接して平らであり、いずれも上面が凸形形状であった。
平面視で、印刷線130xbは幅W1が2.0μmで、高さH1が0.2μmで、曲率半径Rxbが5.0μmであった。130xbに一番近い印刷線130xa、130xcの間の距離D1a、D1bはいずれも40.0μmであった。印刷線130ybは幅W2が20.0μmで、高さH2が1.1μmで、曲率半径Rybが45.0μmであった。130bに一番近い印刷線130c、130aの間の距離D2a、D2bはそれぞれ21.8μmと22.2μmであった。
次に、W1、D1a、D1bの値から、(D1a+D1b)/2、W1/D1を算出し、W2、D2a、D2bの値から、(D2a+D2b)/2、W2/D2を算出した。さらに、Apを算出した
本実施例においては、(D1a+D1b)/2、W1/D1はそれぞれ40.0μmと0.05であり、(D2a+D2b)/2、W2/D2はそれぞれ22.0μmと0.9であった。また、Apは52.4であった。
次に、印刷線を形成する際に用いた凹板を変更したことを除いて、実施例6の手順を繰り返して、実施例7の印刷部100を含む印刷物500を得た。
<実施例7>
実施例7は、印刷線130xbは幅W1が50.0μmで、高さH1が2.5μmで、曲率半径Rxbが132.0μmであった。130xbと一番近い130xa、130xcの間の距離D1a、D1bは30.1と29.9μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、30.0μmおよび1.7であった。また、印刷線130ybは幅W2が22.2μmで、高さH2が1.3μmで、曲率半径Rybが40.8μmであった。130ybと一番近い130ya、130ycの間の距離D2a、D2bはいずれも57.8μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、57.8μmおよび0.4であった。また、Apは90.3であった。
次に、印刷線を形成する際に用いた凹板を変更したこと、および基材に130μmの厚みのアート紙を用いたことを除いて、実施例6の手順を繰り返して、実施例8から実施例11の印刷部100を含む印刷物500を得た。
<実施例8>
実施例8は、印刷線130xbは幅W1が120.7μmで、高さH1が10.1μmで、曲率半径Rxbが200.3μmであった。130xbと一番近い130xa、130xcの間の距離D1a、D1bは79.2と79.4μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、79.3および1.5であった。また、印刷線130ybは幅W2が75.1μmで、高さH2が4.8μmで、曲率半径Rybが165.0μmであった。130ybと一番近い130ya、130ycの間の距離D2a、D2bはそれぞれ、124.8μmと125.0μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、124.9μmおよび0.6であった。また、Apは97.9であった。
<実施例9>
実施例9は、印刷線130xbは幅W1が20.3μmで、高さH1が1.1μmで、曲率半径Rxbが45.8μmであった。130xbと一番近い130xa、130xcの間の距離D1a、D1bはいずれも25.0μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、25.0μmおよび0.8であった。また、印刷線130ybは幅W2が19.8μmで、高さH2が1.5μmで、曲率半径Rybが30.4μmであった。130ybと一番近い130ya、130ycの間の距離D2a、D2bはそれぞれ、25.1μmと24.9μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、25.0μmおよび0.8であった。また、Apは88.5であった。
<実施例10>
実施例10は、印刷線130xbは幅W1が7.3μmで、高さH1が0.9μmで、曲率半径Rxbが8.8μmであった。130xbと一番近い130xa、130xcの間の距離D1a、D1bはそれぞれ、14.5μmと14.9μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、14.7μmおよび0.5であった。また、印刷線130ybは幅W2が7.8μmで、高さH2が0.7μmで、曲率半径Rybが7.5μmであった。130ybと一番近い130ya、130ycの間の距離D2a、D2bはいずれも14.2μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、14.2μmおよび0.5であった。また、Apは68.6であった。
<実施例11>
実施例11は、印刷線130xbは幅W1が100.0μmで、高さH1が6.3μmで、曲率半径Rxbが185.0μmであった。130xbと一番近い130xa、130xcの間の距離D1a、D1bはそれぞれ、4.9μmと5.1μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、5.0μmおよび20.0であった。また、印刷線130ybは幅W2が4.0μmで、高さH2が0.6μmで、曲率半径Rybが6.3μmであった。130ybと一番近い130ya、130ycの間の距離D2a、D2bはそれぞれ、100.7μmと101.3μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、101.0μmおよび0.04であった。また、Apは99.0であった。
次に、印刷線を形成する際に用いた凹板を変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して、比較例1〜比較例4の印刷部100を含む印刷物500を得た。
<比較例1>
比較例1は、印刷線130bは幅W1が250.0μmで、高さH1が3.5μmで、曲率半径Rbが2156.0μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D1a、D1bはいずれも785.0μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、785.0μmおよび0.3であり、Apは24.2であった。
<比較例2>
比較例2は、印刷線130bは幅W1が1.8μmで、高さH1が0.3μmで、曲率半径Rbが4.0μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D1a、D1bはそれぞれ、40.1μmと40.3μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、40.2μmおよび0.04であり、Apは4.3であった。
<比較例3>
比較例3は、印刷線130bは幅W1が500.0μmで、高さH1が15.0μmで、曲率半径Rbが1832.0μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D1a、D1bはいずれも、15.0μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、15.0μmおよび33.3であり、Apは97.1であった。
<比較例4>
比較例4は、印刷線130bは幅W1が1.5μmで、高さH1が0.1μmで、曲率半径Rbが3.0μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D1a、D1bはそれぞれ、25.2μmと24.8μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、25.0μmおよび0.06であり、Apは5.7であった。
次に、印刷線を形成する際に用いた凹板を変更したことを除いて、実施例6の手順を繰り返して、実施例12の印刷部100の領域2種類のうち、領域1を形成した。さらに、基材上印刷線を形成する際に用いた凹板を変更したことを除いて、上記領域1の隣に、実施例1の手順を繰り返して、実施例12の印刷部100の領域2種類のうち、領域2を形成し、印刷物500を得た。領域1の印刷線の延伸方向と領域2の印刷線の延伸方向は90°を成していることを確認した。
<実施例12>
実施例12は、領域1の印刷線130xbは幅W1が10.0μmで、高さH1が2.0μmで、曲率半径Rxbが9.0μmであった。130xbと一番近い130xa、130xcの間の距離D1a、D1bはいずれも50.0μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、50.0μmおよび0.2であった。また、印刷線130ybは幅W2が15.0μmで、高さH2が2.2μmで、曲率半径Rybが14.5μmであった。130ybと一番近い130ya、130ycの間の距離D2a、D2bはそれぞれ、44.8μmと45.2μmであった。(D2a+D2b)/2とW2/D2はそれぞれ、45.0μmおよび0.3であった。また、Apは41.7であった。
領域2の印刷線130bは幅W3が55.0μmで、高さH3が4.2μmで、曲率半径Rzbが88.3μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D3a、D3bは10.1μmおよび10.1μmであった。(D3a+D3b)/2とW3/D3はそれぞれ、10.1μmおよび5.4であり、Apは84.5であった。
また、このとき、領域2の第3要素は図7〜図9に示す印刷部であり、領域1の第1要素と区別するために、幅W3、高さH3、曲率半径R3、距離D3とする。
次に、印刷線を形成する際に用いた凹板を変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して、実施例13の印刷部100の領域2種類のうち、領域1を形成した。さらに、基材上印刷線を形成する際に用いた凹板を変更したことを除いて、上記領域1の隣に、実施例1の手順を繰り返して、実施例13の印刷部100の領域2種類のうち、領域2を形成し、印刷物500を得た。領域1の印刷線の延伸方向と領域2の印刷線の延伸方向は90°を成していることを確認した。
<実施例13>
実施例13は、領域1の印刷線130bは幅W1が55.0μmで、高さH1が2.0μmで、曲率半径Rbが87.5μmであった。130bと一番近い130a、130cの間の距離D1a、D1bはそれぞれ、9.8μmと10.0μmであった。(D1a+D1b)/2とW1/D1はそれぞれ、9.9μmおよび5.6であった。領域2の印刷線130bは幅W3が55.0μmで、高さH3が4.2μmで、曲率半径R3が88.3μmであった。130bと隣り合う印刷線130c、130aの間の距離D3a、D3bは10.1μmおよび10.1μmであった。(D3a+D3b)/2とW3/D3はそれぞれ、10.1μmおよび5.4であり、Apは84.5であった。
<評価>
実施例1〜11および比較例1〜4の印刷物を、白色光源の下に静置し、印刷面から30cm離れた位置から、基材の垂直方向となる正面から目視評価を行った。印刷線の1本1本が見えず方向性も認識できない場合、すなわち、印刷部が平らに見える場合を(〇)、印刷線の方向が認識できる場合を(△)、印刷線の1本1本が視認できる場合を(×)と判定した。
続いて、基材の垂直方向となる正面を0°の基準として、印刷線の延伸方向と90°の角を成す方向に約±80°まで傾けながら視線を変えて、目視評価を実施した。正面方向から、約±80°まで視線を傾ける際に、光沢が変化する場合を(〇)、変化しない場合を(×)と判定した。
上述の印刷線の視認の有無に関する判定と、光沢の変化の有無に関する判定とを合わせた総合判定を表1に示したように決めた。
すなわち、線が見えない(〇)、変化あり(〇)である場合を総合判定◎とした。以下、表1に示すように、線の方向が認識できる(△)、変化あり(〇)である場合を総合判定〇とした。また、線が見えない(〇)、変化しない(×)である場合を総合判定×に、線が見える(×)、変化しない(×)である場合を総合判定××とした。
実施例12および13の印刷物を、領域1および領域2についてそれぞれ、上述の評価と同様に行った。また、印刷線の視認の有無に関する判定と、光沢の変化の有無に関する判定についても、領域1および領域2についてそれぞれ実施し、総合判断は領域1および領域2の両方全てを合わせて実施した。
Figure 2021187014
実施例1〜11および比較例1〜4の特性値および評価結果を表2に、実施例12および13の特性値および評価結果を表3にまとめて示した。
Figure 2021187014
Figure 2021187014
表2に示したように、(式1)および(式2)、ならびに(式3)を満たす適切な形状を有する印刷線を有する実施例1〜11の印刷物は、印刷線は視認されず、角度を変えながら連続的に観察すると光沢が変化した。以上のように、角度依存のある高い光沢変化性能を有することが確認された。これは、良好な凸形形状の形状でかつ良好な局面を有する印刷線が形成されたためと推定される。
表3に示したように、(式1)および(式2)、ならびに(式3)を満たす適切な形状を有する印刷線を有する領域1および領域2からなる、実施例12および13の印刷物は、印刷線は視認されず、角度を変えながら連続的に観察すると光沢が変化した。以上のように、角度依存のある高い光沢変化性能を有することが確認された。これは、良好な凸形形状の形状でかつ良好な局面を有する印刷線が形成されたためと推定される。
一方、比較例1の印刷物は、印刷線の各々の線が視認され、光沢変化せず不良であった。印刷線の線幅が大きく、線と線の間隔が広いために、印刷線の1本1本が視認されたと推定される。また、印刷線の高さが低いために、印刷線の表層における光散乱効果が一律となるために、光沢変化が視認されなかったと推定される。
比較例2および比較例4の印刷物は、印刷線の各々の線は視認されなかったが、光沢変化せず不良であった。印刷線の線幅が小さく、印刷線の高さが低いために、光沢変化が十分でなく、印刷線の面積比が低いために光沢変化が視認されなかったと推定される。
比較例3の印刷物は、印刷線の各々の線が視認され、光沢変化せず不良であった。印刷線の線幅が大きく、印刷線の1本1本が視認されたと推定される。また、印刷線の高さが高く、印刷線の曲面が緩い形状であるため、印刷線の表面の凹凸の光散乱が支配的となり、角度を変えながら連続的に観察することと連動した光沢変化が視認されなかったと推定される。
100 配線部
103 基材
103a、103b 基材の表面
120a、120b、120c 印刷線の表層の曲線
130 印刷線
130a、130b、130c 印刷線
130xa、130xb、130xc 第1要素の印刷線
130ya、130yb、130yc 第2要素の印刷線
500 印刷物

Claims (7)

  1. 基材上に複数の印刷線からなる印刷部を設けられた印刷物であって、
    前記複数の印刷線の線長方向に垂直な断面において、凸状の線幅Wと、隣り合う前記印刷線との間の距離Dが(式1)の関係を満たし、
    0.08≦W/D≦20.0 ・・・(式1)
    前記複数の印刷線の一方の端部と前記基材との接点と、前記複数の印刷線の他方の端部と前記基材との接点を結んだ線は基材平面から上に凸の曲線となり、
    前記曲線の曲率半径Rμmが(式2)の関係を満たすことを特徴とする印刷物。
    5≦R≦400 ・・・(式2)
  2. 前記印刷部が、1種類からなる前記複数の印刷線の第1要素と、また別の1種類の前記複数の印刷線の第2要素の少なくとも2つを有し、
    前記第1要素の印刷線と前記第2要素の印刷線が、それぞれ1本ずつ交互に配置されてなることを特徴とする、請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記複数の印刷線の面積比Apが(式3)の関係を満たすことを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷物。
    0.07≦Ap≦0.99 ・・・(式3)
  4. 前記基材上に、前記複数の印刷線からなる印刷部を、少なくとも2種類以上有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷物。
  5. 前記複数の印刷線の幅Wが2から200μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷物。
  6. 前記複数の印刷線の高さHが0.2から12μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の印刷物。
  7. 前記複数の印刷線がグラビアオフセット印刷法により形成されたことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の印刷物。
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