本発明の一実施形態のスロットマシン1(遊技機の一例)は、図1に示すように、直方体形状の筺体10を備えている。この筺体10は、前面(すなわち、図1の紙面貫通方向の手前側の面)に図示しない開口部と、この開口部を開閉可能な板状の前扉20とを有している。
前扉20は、その略中央部分に設けられた透光性の表示窓21を有し、筺体10に対してロック可能に取り付けられている。表示窓21は、前扉20により筺体10の開口部を閉鎖した状態で、後述する各回転リール41,42,43の表面に配置された複数の図柄を視認可能に配置されている。
また、筺体10は、表示装置の一例の液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24を有している。液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24の各々は、前扉20の表示窓21の上部に配置されている。遊技中の各種の演出は、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を用いて行われる。例えば、液晶表示装置22は、遊技中に各種の演出画像(演出動画)を表示したり、所定の情報等を表示したりする。また、電飾装置23は、所定の条件を満たした場合に、所定のパターンで点灯または消灯し、スピーカ24は、所定の条件を満たした場合に、所定の音を出力する。
また、筺体10は、メダルが払い出される払い出し口25、払い出し口25から払い出されたメダルを貯留する下皿26および操作部30を有している。払い出し口25、下皿26および操作部30の各々は、前扉20の表示窓21の下部に配置されている。
操作部30は、遊技媒体の一例としてのメダルを投入するためのメダル投入口31と、メダルをベットするためのベットスイッチ32と、前扉20に操作可能に設けられ操作により各回転リール41,42,43を回転させるスタートスイッチ33と、前扉20に操作可能に設けられ操作により回転中の各回転リール41,42,43を停止させるストップスイッチ34,35,36とを有している。操作部30の各スイッチは、遊技者の操作に基づいて操作信号を出力する。また、メダル投入口31には図示しないメダルセンサが設けられており、遊技者によるメダル投入口31へのメダルの投入を検出し、検出信号を出力する。
なお、操作部30には、他に、精算スイッチ(図示せず)および表示部の一例の貯留メダル表示部(図示せず)等が設けられている。この貯留メダル表示部は、貯留されたメダルの数に加えて、後述する遊技区間が有利区間であることが表示可能に構成されている。
また、スロットマシン1は、図2に示すように、スロットマシン1全体を制御する制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、および、メダルを払い出すホッパーユニット50を備えている。制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、および、ホッパーユニット50は、スロットマシン1の主電源をオン/オフする電源装置(図示せず)、スロットマシン1の設定値を変更するときに管理者が操作する操作スイッチ45等と共に、筺体10の内部に配置されている。
回転リールユニット40は、筺体10の内部の略中央に配置され、複数の回転リール(この実施形態では、3つの回転リール41,42,43)と、この回転リール41,42,43を駆動するステッピングモータ61,62,63とで構成されている。各回転リール41,42,43は、略円筒状で、その表面には、図3に示すように、各回転リール41,42,43の周方向に沿って間隔を空けて配列された複数の図柄と、基準点(図示せず)とが設けられている。基準点は、例えば、回転リール41,42,43のゼロ番の図柄(ベルA)の中心に配置されている。
ここで、図1〜図8を参照して、スロットマシン1で行われる遊技の概要について説明する。
図1に示すように、スロットマシン1で遊技を行う場合、まず、メダルをメダル投入口31から投入する、または、ベットスイッチ32を操作することにより貯留しているメダル(すなわち、クレジット)を使用して、メダルをベットする。予め設定されている規定の枚数(例えば、1〜3枚)のメダルがベットされると、有効ラインが有効化され、スタートスイッチ33の操作が可能な状態、すなわち、遊技が開始可能な状態になる。このとき、遊技状態等に応じて設定されている規定の枚数を超えて投入されたメダルは、クレジットとして貯留される。
有効ラインは、図4に示すように、役の入賞を決定するための仮想ラインであり、この有効ラインによって、表示窓21に表示される各回転リール41,42,43の図柄が、それぞれ1つずつ連結されている。このスロットマシン1では、有効ラインは、例えば、右下がりライン70で構成され、所定枚数(例えば、3枚)のメダルがベットされることにより有効化される。なお、一例として、このスロットマシン1の表示窓21に表示される図柄は、各回転リールにつき3図柄である。
遊技が開始可能な状態でスタートスイッチ33が操作されると、スロットマシン1内で電子計算機によるくじ(以下、内部抽せんという。)が行われ、各回転リール41,42,43の回転が開始される。この状態で、いずれかのストップスイッチ34,35,36が操作されると、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43が停止し、表示窓21に、当せんした役に応じた結果が表示される。全ての回転リール41,42,43が停止すると、入賞した役に応じて、所定の枚数のメダルが払い出され、1ゲームが終了する。この実施形態では、全ての回転リール41,42,43が停止した状態で、内部抽せんにより当せんした役毎に設定された図柄の組み合わせが、有効ライン70上に配置された場合に、有効ライン70上に配置された図柄の組み合わせに対応する役が入賞したと判定される。
このように、ベットスイッチ32、スタートスイッチ33およびストップスイッチ34,35,36を操作して、遊技の結果を得る一連の動作を遊技という。遊技の単位はゲームであり、1ゲームを単位遊技という。
遊技には遊技区間が設定されている。遊技区間は、指示機能に係る処理が行われるか否かを決定するための状態であり、一例として、図8に示すように、通常区間と有利区間とで構成されている。
通常区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間である。後述するように、通常区間では内部抽せんが行われ、その結果に基づいて行われる区間移行抽せんに当せんすることにより有利区間に移行する。通常区間は、後述する第3遊技状態が一般遊技状態で進行する。
有利区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であり、通常区間から移行して終了条件を満たすまで設定される。有利区間には、第3遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、第3遊技状態が特別遊技状態(すなわち、AT状態)で進行する有利区間とが含まれる。指示機能とは、出玉に影響する操作手順(例えば、押し順役の押し順)または操作方法を何らかの方法によって遊技者に教える機能である。例えば、ストップスイッチ34,35,36を所定の操作手順で操作することで入賞可能な押し順役の押し順を指示する機能、または、ストップスイッチ34,35,36の操作が行われたときの回転リール41,42,43の位置が予め定められた操作位置であった場合に入賞可能な役の操作位置を指示する機能が該当する。遊技区間が有利区間である場合にのみ、第3遊技状態としてATが設定される。
また、遊技中は、遊技状態に基づいて内部抽せんが行われる。遊技状態には、図5〜図7に示すように、第1遊技状態、第2遊技状態および第3遊技状態が含まれる。
第1遊技状態は、内部抽せんにより当せんする役(以下、単に当せん役という。)のうち、リプレイ役の当せん確率を決定するための遊技状態であり、一例として、図5に示すように、RT0と、RT1とで構成されている。
RT0は、第2遊技状態が特別役実施状態から特別役非持ち越し状態に移行した場合、または、遊技状態の初期化時(例えば、RAMクリア時)に設定される(すなわち、第1遊技状態がRT1からRT0に移行する)。また、スロットマシン1が店舗等に設置された直後の第1遊技状態もRT0に設定されている。言い換えると、第1遊技状態は、一種BBが実施されている場合を除いて、全てRT0に設定されている。
RT1は、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態から特別役実施状態に移行した場合に設定される(すなわち、第1遊技状態がRT0からRT1に移行する)。RT1では、図9に示すように、全てのリプレイ役および特別役(この実施形態では、特別役、すなわち、一種BB)に当せんする可能性はない。
第2遊技状態は、図6に示すように、内部抽せんにより当せんした特別役(すなわち、一種BB)の入賞が持ち越されていない特別役非持ち越し状態と、内部抽せんにより当せんした特別役の入賞が持ち越されている特別役持ち越し状態と、入賞した特別役を実施するための特別役実施状態とを含む。
特別役非持ち越し状態は、特別役実施状態に移行したときから払い出されたメダルが所定数(例えば、180枚)を超えた場合、または、遊技状態の初期化(例えば、RAMクリア時)などの特定の条件を満たした場合に設定される。
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役に当せんしかつ特定の条件を満たした場合に設定される。
一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置(いわゆるビッグボーナス)である。例えば、スロットマシン1では、一種BBは、遊技状態が後述する第2特別遊技状態以外で入賞した場合(つまり、後述する所定条件が満たされる前に入賞した場合)、特別役物の入賞に係るメダルの獲得期待値がゼロ以下になるように構成されている。詳しくは、一種BBは、所定条件が満たされる前に入賞したときのメダルの獲得期待値が、第2特別遊技状態でのメダルの獲得期待値よりも低くなるように構成されている。
特別役実施状態は、内部抽せんにより特別役に当せんしかつ入賞した場合に設定され、一種BB実施状態(図6中、BB一般で示す)と、RB持ち越し状態(図6中、JAC内部で示す)およびRB実施状態(図6中、JAC中で示す)を含んでいる。BB一般は、役物非内部状態の一例で、内部抽せんにより特別役物の一例であるRB(図9のJAC1〜4)に当せんせず、特別役が入賞した場合に設定される。JAC内部は、役物内部状態の一例で、BB一般で内部抽せんによりRBに当せんし、かつRBが入賞していない場合に設定される。JAC中は、JAC中に移行したときから12ゲーム消化するか、または、JAC中に何らかの役が8回入賞することで、BB一般に移行する。
第3遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、一例として、図7に示すように、一般遊技状態とATとで構成されている。
一般遊技状態は、指示機能が発生しない状態であり、例えば、設定値の変更後、RAMクリア後およびAT終了後、AT抽せんに当せんするまで設定される。AT抽せんは、一例として、第1遊技状態がRT0であり、かつ、遊技区間が有利区間である場合に、内部抽せんにより当せんした役に応じて行われる。
ATは、指示機能が発生する特別遊技状態の一例であり、第1特別遊技状態と第2特別遊技状態を含む。ATは、第3遊技状態がAT状態に移行してからの遊技数が、通常ATで遊技可能な遊技数(すなわち、ATゲーム数)に到達するか、あるいは、AT中におけるメダルの差枚数が所定値に到達するまで設定される。ATでは、メダルの払い出しのある押し順役の押し順の報知が行われる。第1特別遊技状態は、一般遊技状態でAT抽せんに当せんした場合に設定される。第1特別遊技状態では、当せんした特別役(例えば、一種BB)を入賞させることなく遊技が行われる。第2特別遊技状態は、第1特別遊技状態で所定条件が満たされた場合に設定される。第2特別遊技状態では、第1特別遊技状態よりもメダルの獲得期待値が高く、当せんした特別役を入賞させつつ遊技が行われる。具体的には、第2特別遊技状態は、入賞の態様として、第1入賞態様と、この第1入賞態様よりも遊技媒体の獲得枚数が多い第2入賞態様とを有する枚数変動役により実現される。枚数変動役は、第2特別遊技状態で当せんした場合、第2入賞態様で入賞し、第2特別遊技状態以外で当せんした場合、第1入賞態様で入賞する。より具体的には、枚数変動役は、ストップスイッチ34,35,36を第1の操作手順とは異なる第2の操作手順で操作した場合に第2入賞態様で入賞する押し順役である。所定条件は、例えば、第3遊技状態が第1特別遊技状態でかつ有利区間中に後述する終了条件が満たされることが確定した場合、内部による所定の抽せん(例えば、ゲーム毎に1/8032の確率で行われる抽せん)に当せんした場合、または所定の遊技結果が得られた場合(例えば、AT100ゲーム消化時に行われる抽せんまたは枚数変動役が3連続で当せんした場合に行われる抽せんに当せんした場合)に満たされる。
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、図2に示すように、メイン制御部110とサブ制御部120とで構成されている。
メイン制御部110およびサブ制御部120の各々は、演算等を行うCPU、遊技の進行等に必要なプログラムまたはデータ等を記憶しておくROMおよびRAM等を備えている。メイン制御部110は、内部抽せん部111と、回転リール制御部112と、遊技結果判定部113と、区間制御部114と、遊技状態制御部115と、計測部116と、設定値制御部117とを有し、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部120は、演出制御部121を有し、各種演出等を行うための制御を行う。
以下に説明するメイン制御部110およびサブ制御部120の各部は、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現される機能である。
内部抽せん部111は、複数の内部抽せんテーブルを有し、スタートスイッチ33の操作の受付に伴って、内部抽せんを行う。詳しくは、内部抽せん部111は、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときのRT状態を判定し、判定されたRT状態に基づいて内部抽せんテーブル(図9参照)を選択する。そして、内部抽せん部111は、選択された内部抽せんテーブルと、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときに取得される乱数とに基づいて、内部抽せんを行う。本実施形態で、内部抽せんにより抽せんされる役としては、例えば、特別役、押し順役および特殊変動役等が挙げられる。
回転リール制御部112は、スタートスイッチ33または各ストップスイッチ34、35、36の操作の受付に伴って回転リールユニット40のステッピングモータ61,62,63を制御して、各回転リール41,42,43の回転を開始または停止させる(すなわち、回転リール41,42,43の回転を制御する)。
図10に示すように、押し順役は、第2遊技状態であっても、報知された押し順に従ってストップスイッチ34,35,36が操作された場合(つまり、押し順正解の場合)、9枚役が入賞する。一方、報知された押し順に従ってストップスイッチ34,35,36が操作されなかった場合(つまり、押し順不正解の場合)、1枚役が入賞するか、またはメダルの払い出しがない(図10中、はずれ(0枚)で示す)。枚数変動役は、通常枚数変動役と特別枚数変動役とを含む。通常枚数変動役は、第2遊技状態が特別役実施状態以外(図10中、通常orATで示す)であれば、押し順正解の場合、3枚役が入賞するが、押し順不正解の場合、1枚役が入賞するか、またはメダルの払い出しがない。また、通常枚数変動役は、第2遊技状態が一種BB実施状態(BB一般)またはRB持ち越し状態(JAC内部)であれば、押し順正解の場合、15枚役が入賞するが、押し順不正解の場合、1枚役が入賞するか、またはメダルの払い出しがない。特殊枚数変動役は、押し順で枚数は変動しないが、停止形により3枚役または15枚役が入賞する。BB一般またはJAC内部で特殊枚数変動役に当せんした場合、左の回転リール41を最初に停止させると、第1特別遊技状態を延長させるか否かの延長抽せんが行われる役(例えば、チェリー)に対応する図柄が有効ライン70上に停止する。一方、中の回転リール42または右の回転リール43を最初に停止させると、チェリー等ではなく通常枚数変動役に対応する図柄が有効ライン70上に停止する。つまり、特殊枚数変動役に当せんした場合、中または右の回転リール42、43を最初に停止させる押し順役を報知することで、ATゲーム数の上乗せが期待されるような停止形で回転リール41、42、43が停止するのを阻止できる。この場合、特殊枚数変動役の最初の押し順は、中または右のいずれかをランダムに報知するようにしてもよい。また、特殊枚数変動役の押し順の報知は、液晶表示装置22の7セグを介して行ってもよいし、行わなくてもよい。第2特別遊技状態がJAC中の場合、押し順不問で1枚役、3枚役および15枚役のいずれかの役が入賞する。入賞する役は、例えば、1枚役、3枚役、15枚役が6:2:2の割合による抽せんで決定される。なお、JAC中は、内部抽せんテーブル(図9参照)の例外状態となり、JAC1〜4、チェリー、スイカ、ハズレなどは当せんしなくなる。
例えば、全ての回転リール41,42,43が停止している状態でスタートスイッチ33が操作された場合、回転リール制御部112は、全ての回転リール41,42,43を回転させる。いずれかの回転リール41,42,43が回転している状態で、回転中の回転リール41,42,43に対応するストップスイッチ34,35,36が操作された場合、回転リール制御部112は、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43を停止させる。
各回転リール41、42、43を停止させる場合、回転リール制御部112は、内部抽せんにより当せんした役と、各ストップスイッチ34,35,36が操作されたタイミング(すなわち、各ストップスイッチ34、35、36の操作が受け付けられたときの対応する回転リール41、42、43の位置)に応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御は、当せんした役に対応する図柄を有効ライン70上に引き込むように各回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御は、当せんしていない役に対応する図柄が有効ライン70上に揃わないように回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。
遊技結果判定部113は、内部抽せんの結果および回転リール41,42,43の停止制御の結果に基づいて、遊技の結果を判定する。遊技の結果には、例えば、有効ライン上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かの判定が含まれる。
遊技結果判定部113は、判定した遊技の結果、または、精算スイッチの操作の受付に基づいて、ホッパーユニット50を制御し、メダルの払い出しを行う。遊技の結果に基づいて払い出されたメダル(すなわち、役の当せんまたは入賞により得られたメダル)は、まず、クレジットとして貯留される。そして、メダルを貯留した結果、クレジットの上限(例えば、50枚)を超えた場合には、その上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、1枚以上の貯留メダルがある場合(すなわち、クレジットが1以上の場合)に精算スイッチが操作された場合には、貯留されているメダルがホッパーユニット50から払い出される。
区間制御部114は、複数の遊技区間(この実施形態では、通常区間および有利区間)の中から遊技区間を設定する。
具体的には、区間制御部114は、遊技区間が通常区間である場合に、遊技区間を通常区間のままとするか、または、有利区間に設定するかの抽せんである区間移行抽せんを行う。区間移行抽せんに当せんした場合、区間制御部114は、遊技区間を通常区間から有利区間に変更して設定する。区間移行抽せんの当否は、例えば、当せんにより区間移行抽せんが行われる役(すなわち、抽せん対象役)に内部抽せんにより当せんした場合に行われる抽せんに当せんしたか否かで決定される。
なお、区間移行抽せんは、スロットマシン1の設定値によって当せん確率に差を設けてもよいし、設けなくてもよい。区間移行抽せんの当せん確率に差を設ける場合、例えば、抽せん対象役の内部抽せんにおける当せん確率に設定差を設けることで実現してもよいし、内部抽せんにより抽せん対象役に当せんしたときに行われる抽せんの当せん確率に設定差を設けることで実現してもよい。
また、区間制御部114は、遊技区間が有利区間である場合、遊技区間を有利区間のままとするか、または、通常区間に設定するかを決定する。例えば、区間制御部114は、遊技区間が有利区間のとき、遊技状態がATから一般遊技状態に移行したか否かを判定する。遊技状態がATから一般遊技状態に移行したと判定された場合、区間制御部114は、遊技区間を通常区間に設定する。
さらに、区間制御部114は、遊技区間が通常区間から有利区間に設定された後、終了条件が満たされた場合、遊技区間を有利区間から通常区間に強制的に設定して有利区間を終了させる。終了条件は、例えば、計測部116で計測された遊技区間が有利区間に設定された後の遊技数(すなわち、有利区間の消化ゲーム数)が所定値(例えば、1500ゲーム)に到達した場合、または遊技区間が有利区間に設定された後のメダルの差枚数が所定値(例えば、2400枚)に到達した場合に満たされる。
なお、遊技区間が有利区間に設定された場合、区間制御部114は、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物(すなわち、RBまたはCT)および役物連続作動装置(すなわち、一種BB)を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、操作部30に設けた表示部を介して、有利区間であることを表示する。
遊技状態制御部115は、複数の遊技状態の中から1つの遊技状態を設定する。遊技状態制御部115は、RT状態制御部1151、特別遊技状態抽せん部1152、および特別遊技状態制御部1153を有する。
RT状態制御部1151は、複数のRT状態(この実施形態では、R0およびRT1)の中から内部抽せんが行われる1つのRT状態を設定する。具体的には、RT状態制御部1151は、前述のとおり、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態に移行した場合、第1遊技状態をRT0に設定し、第2遊技状態が特別役実施状態に移行した場合、第1遊技状態をRT1に設定する。
特別遊技状態抽せん部1152は、予め設定された抽せん条件が満たされた場合に、遊技状態を通常状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態(スロットマシン1では、AT)に移行させるか否かの特別遊技状態抽せん(スロットマシン1では、AT抽せん)を行う。抽せん条件は、スロットマシン1の設計等に応じて任意に設定できる。例えば、第1遊技状態がRT0であり、かつ、遊技区間が有利区間である場合に、内部抽せんにより所定の役(例えば、スイカおよびチェリー等のいわゆるレア小役)に当せんすることを抽せん条件に含むことができる。
特別遊技状態制御部1153は、特別遊技状態抽せんに当せんした場合、第3遊技状態を一般遊技状態から第1特別遊技状態に移行させると共に、第1特別遊技状態で所定条件が満たされた場合、第1特別遊技状態を第2特別遊技状態に移行させる。また、特別遊技状態制御部1153は、第3遊技状態が特別遊技状態に移行した後、指示機能を作動させ、枚数変動役の押し順を遊技者に報知する。なお、第2遊技状態がBB一般およびRB内部の場合は、第3遊技状態が第2特別遊技状態である場合にのみ、枚数変動役の押し順が報知される。このため、一種BBは、第3遊技状態が第2特別遊技状態以外で入賞した場合、一種BBの入賞に係るメダルの獲得期待値がゼロ以下になっている。つまり、枚数変動役は、第3遊技状態が第2特別遊技状態のときに当せんした場合と、第2特別遊技状態以外のときに当せんした場合とで入賞態様が異なっている。第2特別遊技状態以外のときに当せんした場合の枚数変動役の入賞態様を第1入賞態様とし、第2特別遊技状態のときに当せんした場合の枚数変動役の入賞態様を第2入賞態様とすると、第2入賞態様は第1入賞態様よりもメダルの獲得枚数が多くなる。また、特別遊技状態制御部1153は、第3遊技状態が第2特別遊技状態のときに特殊枚数変動役に当せんした場合、有利区間中に終了条件が満たされることが確定しているか否かに応じて異なる指示機能を発生させる。例えば、有利区間中に終了条件が満たされることが確定しているとき(有利区間の完走が確定しているときなど)に特殊枚数変動役に当せんした場合、特別遊技状態制御部1153は、左の回転リール41以外の回転リール42,43に対応するストップスイッチ35,36を最初に操作する操作手順を液晶表示装置22などにより遊技者に報知する。一方、有利区間中に終了条件が満たされることが確定していないときに特殊枚数変動役に当せんした場合、特別遊技状態制御部1153は、左の回転リール41に対応するストップスイッチ34を最初に操作する操作手順を液晶表示装置22などにより遊技者に報知する。
計測部116は、例えば、遊技結果判定部113により判定された遊技の結果に基づいて、遊技区間が有利区間に設定された以降に経過した遊技数(すなわち、有利区間消化ゲーム数)、および、遊技区間が有利区間に設定された以降のメダルの差枚数を計測する。また、例えば、計測部116は、全ての回転リール41,42,43が定常回転となった以降に設定された起算点から経過した時間を計測する。さらに、計測部116は、AT開始権が付与されたときから経過した遊技数を計測する。
設定値制御部117は、管理者が操作部45を操作することにより、遊技に対する有利度合い(例えば、機械割)が異なる複数の設定値(この実施形態では6つ)の中から1つの設定値を設定する。有利度合いの差は、例えば、所定の役に対する内部抽せんの当せん確率に差を設けることで実現している。また、設定値制御部117は、有利区間への移行率、AT抽せん、AT上乗せ抽せん等の出玉関連の有利度合を設定する。
演出制御部121は、例えば、内部抽せんが行われた遊技状態と、内部抽せんの結果とに基づいて、1ゲーム毎に演出を決定し、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を介して、決定された演出を実行する。
続いて、図11のフローチャートに従って特別遊技状態制御部1153で実行するAT中の有利区間消化加速処理について説明する。
通常区間で行われた区間移行抽せんに当せんして有利区間が設定され、有利区間で行われたAT抽せんに当せんすると、第3遊技状態が一般遊技状態から第1特別遊技状態に移行してATが開始される(ステップS1)。
ATが開始されると、ゲーム毎に所定条件が満たされたか否かを判定する(ステップS2)。所定条件が満たされていないと判定した場合、ATが終了したか否かを判定する(ステップS3)。ATが終了していないと判定した場合、ステップS2に戻り、再び所定条件が満たされたか否かを判定する。ATが終了したと判定した場合、加速処理を終了する。
所定条件が満たされたと判定した場合、第3遊技状態を第1特別遊技状態から第2特別遊技状態に移行させる(ステップS4)。第3遊技状態が第2特別遊技状態に移行すれば、ゲーム毎に内部抽せんにより一種BBに当せんしているか否かを判定する(ステップS5)。一種BBに当せんしていないと判定した場合、ATが終了したか否かを判定する(ステップS6)。ATが終了していないと判定した場合、ステップS5に戻り、再び一種BBに当せんしているか否かを判定する。ATが終了したと判定した場合、加速処理を終了する。
一種BBに当せんしていると判定した場合、一種BBが入賞可能であることを液晶表示装置22等により遊技者に報知する。一種BBが入賞すれば、第2遊技状態を特別非持ち越し状態または特別持ち越し状態から一種BB状態(BB一般)に移行させる(ステップS7)。第2遊技状態がBB一般またはRB内部の場合、当せんした枚数変動役が報知した押し順でストップスイッチ34,35,36が操作されると、枚数変動役は第2入賞態様で入賞し、第1入賞態様で入賞した場合(3枚)よりも多い15枚のメダルを払い出す。
一種BB実施状態に移行すれば、ゲーム毎にATが終了したか否かを判定する(ステップS8)。ATが終了したと判定した場合、加速処理を終了する。一方、ATが終了していないと判定した場合、一種BBが終了したか否かを判定する(ステップS9)。一種BBが終了していないと判定した場合、ステップS8に戻り、再びATが終了したか否かを判定する。
スロットマシン1は、次のような効果を発揮する。
所定条件を満足することにより、第1特別遊技状態を第1遊技状態よりも遊技媒体の獲得期待値の大きい第2特別遊技状態へと移行させるようにしているので、早期に特別遊技状態(=AT)を終了させることができる。これにより、例えば、有利区間の完走が確定した場合であっても、ATを消化する煩わしさを低減することができる。
また、スロットマシン1は、次に示す複数の構成(1)〜(10)のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、早期に特別遊技状態を終了させることができる遊技機を容易に実現可能となる。
(1)特別役は、所定条件が満たされる前に入賞すると、特別役物の入賞に係る遊技媒体の獲得期待値がゼロ以下になるように構成されている。
(2)特別役は、所定条件が満たされる前に入賞したときにおける遊技媒体の獲得期待値が、第2特別遊技状態における遊技媒体の獲得期待値よりも低くなるように構成されている。
(3)内部抽せんにより当せんする役として、枚数変動役を有し、枚数変動役が、入賞の態様として、第1入賞態様と、第1入賞態様よりも遊技媒体の獲得枚数が多い第2入賞態様とを有し、第2特別遊技状態のときに当せんした場合は、第2入賞態様で入賞し、第2特別遊技状態以外のときに当せんした場合は前記第1入賞態様で入賞する。
(4)枚数変動役が、ストップスイッチ34,35,36を第1の操作手順で操作することにより第1入賞態様で入賞可能であると共に、ストップスイッチ34,35,36を第1の操作手順とは異なる第2の操作手順で操作することにより第2入賞態様で入賞可能な押し順役である。
(5)枚数変動役として、第2特別遊技状態で当せんした場合に第1特別遊技状態を延長させるか否かの延長抽せんが行われる特殊枚数変動役を有する。なお、例えば、有利区間中に有利区間の終了条件が満たされる(つまり、有利区間を完走する)ことが確定する以外の条件で第1特別遊技状態が第2特別遊技状態に移行した場合、第2特別遊技状態での特殊枚数変動役の当せんにより、第2特別遊技状態を延長させるか否かの延長抽せんを行うようにしてもよい。
(6)特別役に入賞後の遊技状態として、内部抽せんにより特別役物に当せんしていない役物非内部状態と、内部抽せんにより特別役物に当せんしかつ入賞していない役物内部状態と、特別役物に当せんしかつ入賞した役物実施状態とを有し、枚数変動役が、特別役に入賞後の遊技状態に応じて、第1入賞態様または第2入賞態様のいずれかの対応で入賞するように構成されている。
(7)指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間である通常区間であって出玉に係る指示機能が発生しない一般遊技状態で進行する通常区間と、指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間である有利区間であって一般遊技状態または出玉に係る指示機能が発生する可能性がある特別遊技状態で進行する有利区間とを含む複数の遊技区間の中から1つの遊技区間を設定する区間制御部をさらに備え、有利区間は、遊技区間が通常区間から有利区間に設定された以降、終了条件が満たされた場合に終了するように構成され、有利区間中に終了条件が満たされることが確定した場合、所定条件が満たされる。
(8)内部抽せんにより当せんする役として、第2特別遊技状態で当せんした場合に第1特別遊技状態を延長させるか否かの延長抽せんが行われる特殊枚数変動役を含む枚数変動役を有し、特殊枚数変動役は、ストップスイッチ34,35,36の操作手順にかかわらず入賞可能であり、有利区間中に終了条件が満たされることが確定して所定条件が満たされた場合と、有利区間中に終了条件が満たされることが確定していない状態で所定条件が満たされた場合とで、特殊枚数変動役に当せんしたときに発生する指示機能が異なる。例えば、特殊枚数変動役が、左の回転リール41に対応するストップスイッチ34を最初に操作することで、延長抽せんが行われる役に対応する図柄が停止するように構成されているとする。有利区間中に終了条件が満たされていることが確定している場合、これ以上、特別遊技状態を延長しても遊技者にとって何の利点もないので、左の回転リール41に対応するストップスイッチ34を最初に押させないように指示機能を発生させる。一方、有利区間中に終了条件が満たされていることが確定していない場合、延長抽せんが行われたことを遊技者に報知するため、左の回転リール41に対応するストップスイッチ34を最初に押させるように指示機能を発生させる。このように構成することで、有利区間中に終了条件が満たされていることが確定している場合における無駄な演出を省いて、遊技者のストレスを軽減できる。
(9)内部抽せんによる所定の抽せんに当せんした場合に所定条件が満たされる。
(10)所定の遊技結果が得られた場合に所定条件が満たされる。
スロットマシン1は、次のように構成することもできる。
区間制御部114による有利区間の通常区間への強制的設定の条件(つまり、終了条件)は、有利区間消化ゲーム数が1500ゲームに到達する、および、有利区間の差枚数が2400枚に到達することに限らない。これらの条件とは異なる条件で、有利区間を通常区間に強制的に設定してもよいし、また、有利区間を通常区間に強制的に設定する条件を設けなくてもよい。例えば、有利区間消化ゲーム数が1500ゲームに到達することで有利区間が通常区間に強制的に設定されるが、有利区間の差枚数が2400枚に到達することでは、有利区間が通常区間に強制的に設定されないように構成してもよい。また、例えば、有利区間が通常区間に強制的に設定された場合を除いて、一旦、遊技区間が有利区間に設定されると、いわゆるボーナス(例えば、一種BB)が1回入賞するか、または、メダルの払い出しが最大となる押し順役(例えば、押し順ベル)の押し順を1回報知するまでは、有利区間を通常区間に設定できないように構成してもよい。
有利区間の終了条件を満足するよりも前にATを終了するようにしてもよい。例えば、差枚数2000枚に到達した場合や有利区間ゲーム数が1000Gに到達した場合等にATを終了してもよい。図11に示すフローチャートでは、ステップS8でATが終了していないと判断された場合、ステップS9で一種BBが終了したと判断されるまで一種BB実施状態が継続する。このため、一種BB中にATの終了条件を満足してしまった場合、押し順ナビのない状態で一種BBを消化する必要が出てくる。有利区間の終了条件を満足するよりも前にATを終了させることで、報知なしで一種BBを消化させることがなくなる。
RTは、RT0およびRT1の2種類に限らず、3種類(「BB一般とJAC中」、「JAC内部」、「それら以外」)としてもよい。例えば、第2特別遊技状態では、「JAC内部」の滞在時間が長くなることが想定される。この状態では、BB一般で抽せんされているJAC1〜JAC4が抽せんされなくなる。そこで、「BB一般およびJAC中」と「JAC内部」とで異なるRTにして、例えば、「JAC内部」において、JAC1〜JAC4の代わりにリプレイ抽せんさせる。これにより、第2遊技状態に於ける純増枚数をさらに増加させることができる。この結果、ユーザの満足度をさらに向上させることが可能となる。なお、RTは4種類以上としてもよい。
スロットマシン1の設定値が変更された場合、遊技区間は、スロットマシン1の設定値が変更される直前の状態を引き継ぐように設定してもよいし、予め設定されている初期状態に設定される(すなわち、初期化される)ようにしてもよい。
前記実施形態では、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物および役物連続作動装置を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、有利区間であることが表示部に表示されるように構成しているが、これに限らない。例えば、遊技区間が有利区間へ移行したときに、表示部に有利区間中であることを必ず表示されるように構成してもよい。
前記実施形態では、遊技区間が有利区間に移行した場合、区間制御部114が、操作部30に設けた表示部を介して、遊技区間が有利区間であることを表示するように構成しているが、これに限らない。例えば、液晶表示装置22が表示部を兼ねるように構成してもよいし、表示部を省略して遊技区間が有利区間であることを表示しないように構成してもよい。表示部に有利区間であることが表示された後は、有利区間が終了するまで、有利区間であることを表示し続けてもよいし、有利区間であることを表示し続けなくてもよい。
制御装置100は、ソフトウェアと協働して所定の機能を実行するCPUに代えて、ハードウェアのみで所定の機能を実現するように専用に設計されているFPGA(field-programmable gate array)、または、ASIC(application specific integrated circuit)を含んでいてもよい。
メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれ異なる基板に設けてもよいし、同一基板上に設けてもよい。すなわち、メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれがCPU、ROMおよびRAM等を備えていてもよいし、CPU、ROMおよびRAM等を共有していてもよい。
押し順役は、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞する場合に限らない。押し順役は、例えば、所定の位置でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよいし、所定の位置に加え、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよい。
内部抽せんテーブルは、図9に示されている情報に限らず、スロットマシンの設計に応じて、他の任意の情報を含むことができる。
有効ラインは、少なくとも1本設定されていればよく、2本以上であっても構わない。
可能であれば、メイン制御部110の構成をサブ制御部120に設けてもよいし、サブ制御部120の構成をメイン制御部110に設けてもよい。
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。