JP2021183966A - 光学測定方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成によって、被測定物の厚みや形状を適切に判断することが可能な光学測定方法を提供する。【解決手段】光照射手段10および光検出手段11と、被測定物5との相互間には、透光部材2を設け、かつ被測定物5の裏面側には、反射面3aを有する反射面形成部材3を設けた構成とし、透光部材2の裏面2aおよび反射面3aからの第1および第2の反射光L1,L2に基づき、透光部材2の裏面2aと反射面3aとの相互間の距離d1を求めるとともに、被測定物5の表面5aにより反射された第3の反射光L3、および第1の反射光L1に基づき、透光部材2の裏面2aと被測定物5の表面5aとの相互間の距離d2を求め、これら距離d1,d2に関するデータに基づき、被測定物5の厚みtxを判断する。【選択図】 図1

Description

本発明は、被測定物の厚みや形状を判断するための光学測定方法およびその装置に関する。
従来、被測定物の厚みや形状を判断するための光学測定方法として、干渉法を利用した方法があり、その具体例として、特許文献1〜3に記載の方法がある。
特許文献1においては、光照射手段および光検出手段を有するプローブを、被測定物の表面側に離間させて対向配置するととともに、被測定物の裏面側には、光反射面を配置しておく。この状態において、前記プローブから被測定物の表面に向けて測定光を照射し、被測定物の表面、裏面、および前記光反射面のそれぞれによって反射されて前記プローブによって検出された反射光に基づき、被測定物の厚み、および被測定物の裏面と光反射面との相互間距離を求めている。
特許文献2においては、一対のプローブを、被測定物の表面側および裏面側の双方に設け、かつ基準試料の測定結果と被測定物の測定結果とを比較することにより、被測定物の厚みを求めている。
特許文献3においては、参照面を有するプローブを用いることにより、透光性を有する被測定物とプローブとの距離、および被測定物の厚みを測定する。これらの測定値を、被測定物が設置される基準面と参照面との相互間距離と比較することにより、被測定物と基準面の隙間の幅をも算出し、被測定物の形状を判断している。
しかしながら、前記従来技術によれば、次のような課題がある。
すなわち、特許文献1の手段は、被測定物が透光性物質に限られ、非透光性物質には適用できない。特許文献2の手段においては、被測定物の表側と裏側との双方にプローブを配置するために、複数のプローブを用いることが必須となり、装置コストが高くなる。また、被測定物との比較対象である基準試料を用いる必要があり、これが手間である。特許文献3の手段においては、参照面とプローブとを一体型にする必要があり、かつプローブと被測定物との間の距離に上限がある(つまり、プローブの配置に制限がかかるという課題がある)。
特開2011−196766号公報 特許第6402272号公報 特許第6402273号公報
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成によって、被測定物の厚みや形状を適切に判断することが可能な光学測定方法、およびその装置を提供することを、その課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面により提供される光学測定方法は、被測定物の表面に対向する位置から前記被測定物に向けて測定光を照射可能な光照射手段と、前記被測定物の表面に対向
する位置に配され、かつ前記測定光の戻り光としての反射光を検出可能な光検出手段とを利用し、前記光検出手段によって検出された反射光に基づき、前記被測定物の厚みtxを求める厚み判断ステップを有している、光学測定方法であって、前記光照射手段および前記光検出手段と、前記被測定物との相互間には、前記光照射手段から発せられて内部に進行した測定光を、第1の反射光として、前記光検出手段側に向けて裏面により反射可能な透光部材を設けるとともに、前記被測定物の裏面側には、前記光照射手段から発せられて前記透光部材を透過してきた測定光を、第2の反射光として、前記光検出手段側に反射可能な反射面を有する反射面形成部材を設けた構成とし、前記厚み判断ステップにおいては、前記第1および第2の反射光に基づき、前記透光部材の前記裏面と前記反射面との相互間の距離d1を求めるとともに、前記光照射手段から発せられて前記被測定物の表面により反射されて前記光検出手段により検出された第3の反射光、および前記第1の反射光に基づき、前記透光部材の前記裏面と前記被測定物の前記表面との相互間の距離d2を求め、前記距離d1,d2に関するデータに基づき、前記被測定物の厚みtxを判断することを特徴としている。
本発明の第2の側面により提供される光学測定装置は、被測定物の表面に対向する位置から前記被測定物に向けて測定光を照射可能な光照射手段と、前記被測定物の表面に対向する位置に配され、かつ前記測定光の戻り光としての反射光を検出可能な光検出手段と、この光検出手段によって検出された反射光に基づき、前記被測定物の厚みを判断するデータ処理手段と、を備えている、光学測定装置であって、前記光照射手段および前記光検出手段と前記被測定物との相互間に設けられ、かつ前記光照射手段から発せられて内部に進行した測定光を、第1の反射光として、裏面により前記光検出手段側に反射可能な透光部材と、前記被測定物の裏面側に位置し、かつ前記光照射手段から発せられて前記透光部材を透過してきた測定光を、第2の反射光として、前記光検出手段側に反射可能な反射面を有する反射面形成部材と、をさらに備えており、前記データ処理手段は、前記第1および第2の反射光に基づき、前記透光部材の前記裏面と前記反射面との相互間の距離d1を求めるとともに、前記光照射手段から発せられて前記被測定物の表面により反射されて前記光検出手段により検出された第3の反射光、および前記第1の反射光に基づき、前記透光部材の前記裏面と前記被測定物の表面との相互間の距離d2を求め、前記距離d1,d2に関するデータに基づき、前記被測定物の厚みtxを求める処理を実行可能であることを特徴としている。
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、被測定物が透光性を有する物に限定されず、特許文献1と比較すると、汎用性を高くすることができる。また、特許文献2とは異なり、光照射手段および光検出手段を、被測定物の表面側と裏面側との双方に設けなくてもよいため、装置構成が複雑となって装置コストが高くなることを解消することが可能であり、さらに被測定物との比較対象としての基準試料を用いる必要はなく、便利である。さらに、特許文献3とは異なり、光照射手段および光検出手段と被測定物との相互間距離を測定する必要をなくすことが可能である。前記相互間距離に制限を受けないようにし得るとともに、測定結果が、光照射手段と被測定物の間の距離の影響を受けないようにすることも可能である。
その他、本発明によれば、被測定物の光の屈折率や透過係数の値が、判明しているか否かには関係なく、被測定物の厚みを測定することも可能である。
本発明において、好ましくは、前記データ処理手段は、前記光検出手段によって検出された前記第1および第2の反射光の第1の合成光、ならびに前記第1および第3の反射光の第2の合成光のそれぞれの光強度スペクトルをフーリエ変換することにより、前記第1および第2の合成光のそれぞれのパワースペクトルを求め、かつこれらのパワースペクトルに現れるピークの位置に基づいて、前記距離d1,d2を求める処理を行なうように構成されている。
このような構成によれば、光強度スペクトルをフーリエ変換する手法を用いることにより、前記した所定の距離d1,d2を簡易かつ迅速に、しかも正確に求めることが可能である。
本発明において、好ましくは、前記光照射手段および前記光検出手段と、前記被測定物とは、これらの対向方向とは交差する方向に相対移動可能とされており、前記データ処理手段は、前記被測定物の複数箇所の位置および厚みtxを求める形状測定処理を実行可能である。
このような構成によれば、被測定物の形状測定を適切に行なうことが可能である。
本発明において、好ましくは、前記データ処理手段は、前記被測定物の少なくとも一部が前記反射面から前記透光部材側に離間している場合において、前記光照射手段から発せられて前記被測定物の内部に進行した測定光のうち、前記被測定物の裏面により前記光検出手段側に反射された第4の反射光、および前記被測定物を透過して前記反射面により前記光検出手段側に反射された第5の反射光に基づき、前記被測定物の前記裏面と前記反射面との相互間の隙間の距離d3を求め、前記距離d1〜d3に関するデータに基づき、前記被測定物の前記隙間に対応する箇所の厚みtxを求める処理を実行可能である。
このような構成によれば、被測定物の裏面が、たとえば曲面状などであることにより、被測定物の裏面と反射面との相互間に隙間が生じる場合であっても、この隙間の距離d3を適切に考慮した上で、被測定物の厚みtxを正確に求めることが可能である。
本発明において、好ましくは、前記反射面形成部材として、追加の透光部材が用いられているとともに、前記追加の透光部材の裏面に対向して設けられた追加の光照射手段および追加の光検出手段を、さらに備えており、前記データ処理手段は、前記被測定物の少なくとも一部が前記反射面から前記透光部材側に離間している場合において、前記追加の光照射手段から発せられて前記追加の透光部材の内部に進行した測定光のうち、前記反射面および前記被測定物の裏面により前記追加の光検出手段側に反射された第6および第7の反射光に基づき、前記被測定物の前記裏面と前記反射面との相互間の隙間の距離d3を求め、前記距離d1〜d3に関するデータに基づき、前記被測定物の前記隙間に対応する箇所の厚みtxを求める処理を実行可能である。
このような構成によれば、被測定物の裏面側に、追加の光照射手段および追加の光検出手段を設けており、その分だけ装置構成が煩雑になる不利はあるものの、被測定物の裏面と反射面との相互間に隙間が生じる場合に、この隙間の距離d3を適切に考慮した上で、被測定物の厚みtxを正確に求めることが可能である。
本発明において、好ましくは、前記反射面形成部材は、前記被測定物を支持して前記対向方向とは交差する方向に移動させることが可能な構成とされている。
このような構成によれば、反射面形成部材を利用して、被測定物を移動させることにより、被測定物の形状測定を行なうことが可能であるが、前記反射面形成部材は、本来的には、光照射手段から進行してきた測定光を反射させる参照面としての役割をもつ反射面を設けるための部材である。このような反射面形成部材を利用して被測定物を移動させれば、その構成は合理的であり、装置全体の構成を簡素にすることが可能である。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
(a)は、本発明に係る光学測定装置の一例を示す概略断面図であり、(b)は、(a)に示す光学測定装置における被測定物の非セッティング状態を示す概略断面図である。 図1に示す光学測定装置において実行されるデータ処理の一例を示すフローチャートである。 (a)は、図1(b)の構成により得られる干渉光成分を含む合成光の波形の一例を示すグラフであり、(b)は、(a)の波形にフーリエ変換を施すことにより得られるパワースペクトルを示すグラフである。 図1に示す光学測定装置において形状測定を実行する場合の動作処理の一例を示すフローチャートである。 形状測定によって得られたデータの例を示すグラフである。 図1に示す光学測定装置において、反りがある被測定物を測定対象とする場合の例を示す概略断面図である。 本発明に係る光学測定装置の他の例を示す概略断面図である。 (a),(b)は、本発明に係る光学測定装置の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1(a)に示す光学測定装置Aは、プローブ1、プローブ用の移動機構7、データ処理部6(データ処理手段)、透光部材2、および被測定物5を支持する反射面形成部材3を備えている。
プローブ1は、光源10(光照射手段)、および光検出器11(光検出手段)を備えている。光源10は、たとえば白色光源などであって、所定の波長域の光を発することが可能であり、かつ被測定物5に向けて測定光L0を照射可能に設けられている。光検出器11は、前記測定光L0の戻り光としての後述する第1ないし第3の反射光L1〜L3を受け、かつこれらの干渉成分の分光強度スペクトルのデータをデータ処理部6に出力可能である。データ処理部6は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており、光検出器11から出力されるデータに基づき、後述する被測定物5の厚み測定、および形状測定処理を実行する。
プローブ1は、被測定物5の表面に対向するように被測定物5の上方に配され、かつ移動機構7の駆動により、被測定物5とプローブ1との対向方向とは交差する方向(水平方向)に移動自在である。プローブ1の移動方向は、たとえば図1の左右水平方向のみでもよいが、それに加え、または代えて、図1の紙面と直交する方向の水平方向とすることもできる。移動機構7は、プローブ1を前記した方向に移動させ得る機構であればよく、その具体的な種類は問わない。たとえば、直進往復動が可能なアクチュエータを用いた機構、あるいは一定の経路で循環駆動されるようにモータ駆動されるベルトなどを用いた機構とすることができる。
透光部材2は、光源10から発せられる光を透過させる透光性を有しており、表面2bおよび裏面2aが滑らかな平面であって、各所の厚みが一定のプレート状またはブロック状の部材である。この透光部材2は、適当なスペーサ4上に載設された状態で反射面形成部材3の上側に配置されており、プローブ1と被測定物5との相互間に位置している。透光部材2の裏面2aは、被測定物5の厚みtxを求めるための基準となる参照面である。
光源10から被測定物5に向けて測定光L0が下向きに照射された際、透光部材2の内部に進行した測定光L0の一部は、透光部材2の裏面2aにより上向きに反射された反射光L1(第1の反射光L1)となり、光検出器11により受光されて検出される。また、前記した測定光L0の他の一部は、被測定物5の表面5aに到達して上向きに反射された反射光L3(第3の反射光L3)となり、光検出器11により受光されて検出される。
反射面形成部材3は、透光部材2の下方に配設されており、この反射面形成部材3の上向き面は、被測定物5の裏面5bに対向接触して被測定物5を支持し、かつ測定光L0を上向きに反射させる反射面3aである。この反射面3aは、透光部材2の裏面2aと同様に、一種の参照面に相当し、水平状の滑らかな平面である。図1(b)に示すように、反射面3a上に被測定物5がセッティングされていない状態において、光源10からの測定光L0が反射面3aに照射されると、反射面3aによる反射光L2(第2の反射光L2)は、光検出器11により受光されて検出される。
次に、前記した光学測定装置Aを用いて実行される光学測定方法の具体的な内容(データ処理部6において実行されるデータ処理の具体的な内容)について、図2のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、透光部材2の裏面2aと反射面3aとの相互間の距離d1を求める。この処理は、図1(b)に示すように、被測定物5が反射面形成部材3上にセッティングされていない状態において、透光部材2および反射面3aに向けて光源10から測定光L0を照射させることにより実行される(S1)。このような測定光L0の照射がなされると、透光部材2の裏面2aおよび反射面3aによりそれぞれ反射された第1および第2の反射光L1,L2が合成された第1の合成光La(干渉光成分を含む)が、光検出器11により検出される。このことにより、第1の合成光Laの光強度スペクトルとして、たとえば図3(a)に示すような波形の光強度スペクトルのデータが得られる。データ処理部6においては、このデータに基づき、距離d1を求める(S2)。距離d1を求めるには、図3(a)に示す光強度スペクトルのデータをフーリエ変換し、図3(b)に示すような光路差に対するパワースペクトルを得る。このパワースペクトルに現れるパワーのピーク値の位置は、2×d1×nであり、nは、距離d1の部分(空気)の屈折率である。したがって、距離d1の値が求められる。
なお、距離d1は、透光部材2の裏面2aと反射面3aとの相互間の1箇所の距離d1のみならず、プローブ1を水平移動させることによって、前記相互間の複数箇所の距離d1を測定してもよい。
距離d1を求めた後には、透光部材2の裏面2aから被測定物5の表面5aまでの距離d2を求める(S4)。この処理を行なうには、被測定物5を反射面形成部材3上にセッティングした状態において、光源10から透光部材2や被測定物5に向けて測定光L0を照射させる(S3)。このことにより、透光部材2の裏面2aおよび被測定物5の表面5aによりそれぞれ反射された第1および第3の反射光L1,L3が合成された第2の合成光Lb(干渉光成分を含む)が、光検出器11により検出される。このことにより、第2の合成光Lbの光強度スペクトルとして、たとえば図3(a)に示したのと同様な光強度スペクトルのデータが得られる。データ処理部6においては、このデータをフーリエ変換し、図3(b)に示したのと同様な光路差に対するパワースペクトルを得ることにより、距離d2の値を求めることができる。距離d2の部分は、距離d1の部分と同様に空気である。したがって、距離d1,d2のいずれを求める場合においても、たとえば透光部材2の屈折率や光透過率の数値を用いる必要はない。また、距離d1,d2の算出に際し、プローブ1と透光部材2の裏面2aとの相互間距離の影響は受けない。
データ処理部6は、前記した距離d1,d2を求めた後には、被測定物5の厚みtxを、tx=d1−d2の式により求める(S5)。
被測定物5の形状測定は、プローブ1を水平移動させて、被測定物5の複数箇所の厚みtxを測定することによりなされる。この点を、図4のフローチャートを参照して、より具体的に説明すると、光学測定装置Aにおいて、前記したステップS3〜S5の処理を実行させ、被測定物5の1箇所の厚みtxを求めた後には、その厚みtxを、光の照射位置の情報と関連付けて記憶する(S10,S11)。被測定物5の所定の形状測定対象範囲についての厚み測定が未だ完了していない場合には、プローブ1を所定距離だけ水平移動させて、前記したステップS3〜S5の処理を実行し、被測定物5の次の所定位置の厚みtxを求める(S12:NO,S13)。このような動作を繰り返すことにより、被測定物5の線状領域(あるいは面状領域)の各所の厚みtxが得られる。
前記した形状測定によれば、たとえば図5に示すように、被測定物5の位置と、その位置の厚みtxとの関係を示すデータ、つまり厚みtxの分布を示すデータが得られる。
本実施形態の光学測定装置A、およびこれを用いた光学測定方法によれば、被測定物5が透光性を有するか否かを問わず、被測定物5の厚みtx、および形状測定を適切に行なうことが可能である。図1(a)においては、被測定物5が非透光性の物質として示されているが、これとは異なり、被測定物5が透光性の物質であったとしても、反射光L3を発生させて、距離d1,d2を測定し、厚みtxを求めることが可能である。また、本実施形態によれば、被測定物5の光の屈折率や透過係数の値が判明している必要もない。
好ましくは、本実施形態の光学測定装置Aは、図6に示すように、被測定物5に反りがあり、被測定物5の裏面5bと反射面3aとの相互間に距離d3の隙間80が生じている場合にも、好適に対応できるように構成されている。ただし、被測定物5が透光性を有している場合である。
すなわち、図6に示す構成においては、光源10から下向きに照射された測定光L0は、透光部材2の裏面2a、被測定物5の表面5a、裏面5b、および反射面3aで上向きに反射され、第1、第3ないし第5の反射光L1,L3〜L5の干渉光成分を含む合成光Lcが、光検出器11によって検出される。データ処理部6は、前記した合成光Lcの光強度スペクトルを分析することにより、距離d2、被測定物5の裏面5bと反射面3aとの隙間80の距離d3、および被測定物5の厚みtxを求めることができる。前記分析は、図3を参照して説明したのと同様な手法で行なえばよく、光強度スペクトルをフーリエ変換して光路差に対するパワースペクトルのデータを得た上で、パワーのピーク値の位置に基づいて前記した距離d2,d3,厚みtxを求めることができる。
プローブ1を水平移動させ、被測定物5の複数箇所について距離d2,d3,厚みtxを求めれば、被測定物5の反りを測定することができる。
図7および図8は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
図7に示す実施形態の光学測定装置Aaにおいては、反射面形成部材3が透光性部材により構成されているとともに、反射面形成部材3の下方には、追加のプローブ1Aが設けられている。この追加のプローブ1Aは、追加の光源10Aおよび追加の光検出器11Aを備えており、追加の光検出器11Aからの出力信号は、データ処理部6に送出されるように構成されている。また、追加のプローブ1Aは、追加の移動機構7Aにより水平方向に移動自在とされているが、この追加の移動機構7Aを省略し、移動機構7がプローブ1および追加のプローブ1Aの双方を同時に移動させる構成とすることができる。
本実施形態においては、光源10から下向きに照射された測定光L0は、透光部材2の
裏面2aおよび被測定物5の表面5aにより上向きに反射され、これら反射光L1,L3の干渉光を含む合成光Ldは、光検出器11によって検出される。一方、追加の光源10Aから上向きに照射された測定光L0’は、反射面形成部材3の反射面3aおよび被測定物5の裏面5bにより下向きに反射され、これら反射光L1’,L3’の干渉光を含む合成光Leは、追加の光検出器11Aによって検出される。データ処理部6においては、合成光Ldの分析により、透光部材2の裏面2aから被測定物5の表面5aまでの距離d2を求めるとともに、合成光Leの分析により、被測定物5の裏面5bから反射面3aまでの距離d3を求める。これらの距離d2,d3が判明すれば、被測定物5の厚みtxは、tx=d1−(d2+d3)で求められる。
本実施形態の光学測定装置Aaは、プローブ1に加えて、追加のプローブ1Aを具備させているため、先に述べた光学測定装置Aと比較すると、装置構成が煩雑となる不利はあるものの、この光学測定装置Aaと同様な構成とした場合も、本発明の技術的範囲に包摂される。
図8に示す光学測定装置Abにおいては、反射面形成部材3が、たとえば回転自在なローラであり、被測定物5を支持して水平移動させることが可能とされている。反射面形成部材3は、円柱状または円筒状であるため、その外周面は平面ではないが、外周面の最上部が、反射面3aである。図8(a)に示すように、反射面形成部材3上に被測定物5がセッティングされていない状態においては、光源10から進行してきた測定光L0を反射面3aによって反射させて光検出器11によって検出させることができる。したがって、この光学測定装置Abの構成であっても、先に述べた光学測定装置A,Aaと同様に、反射面3aと透光部材2の裏面2aとの相互間の距離d1を適切に測定することが可能である。
一方、図8(b)に示すように、反射面形成部材3上に被測定物5をセッティングした場合には、被測定物5を水平方向に移動させ、被測定物5の形状測定が可能である。この場合、プローブ1を水平移動させる必要はなく、先に述べた移動機構7を省略し、装置全体の構成を簡易にすることができる。
なお、反射面形成部材3を利用して被測定物5を移動可能とするための手段としては、反射面形成部材3を回転自在なローラとする手段に代えて、たとえば循環駆動自在なベルトとして構成するといったことも可能である。
本発明は上述した実施形態の内容に限定されず、本発明に係る光学測定装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。また、本発明に係る光学測定方法の各工程の具体的な構成も、種々に変更自在である。
本発明における光照射手段、光検出手段、透光部材 および反射面形成部材などの各部の具体的な形状、サイズ、材質などは限定されない。反射面形成部材としては、ガラスや金属以外の物質からなる部材を用いてもよい。
被測定物の具体的な種類も問わない。また、被測定物が多層膜状のものであってもよい。この場合でも、上記した本発明の基本原理に基づき、各層の厚みおよび形状を個別に測定することができる。
A,Aa,Ab 光学測定装置
10 光源(光照射手段)
11 光検出器(光検出手段)
2 透光部材
2a 裏面(透光部材の)
3 反射面形成部材
3a 反射面
5 被測定物
5a 表面(被測定物の)
5b 裏面(被測定物の)
6 データ処理部(データ処理手段)

Claims (7)

  1. 被測定物の表面に対向する位置から前記被測定物に向けて測定光を照射可能な光照射手段と、前記被測定物の表面に対向する位置に配され、かつ前記測定光の戻り光としての反射光を検出可能な光検出手段とを利用し、
    前記光検出手段によって検出された反射光に基づき、前記被測定物の厚みtxを求める厚み判断ステップを有している、光学測定方法であって、
    前記光照射手段および前記光検出手段と、前記被測定物との相互間には、前記光照射手段から発せられて内部に進行した測定光を、第1の反射光として、前記光検出手段側に向けて裏面により反射可能な透光部材を設けるとともに、
    前記被測定物の裏面側には、前記光照射手段から発せられて前記透光部材を透過してきた測定光を、第2の反射光として、前記光検出手段側に反射可能な反射面を有する反射面形成部材を設けた構成とし、
    前記厚み判断ステップにおいては、
    前記第1および第2の反射光に基づき、前記透光部材の前記裏面と前記反射面との相互間の距離d1を求めるとともに、
    前記光照射手段から発せられて前記被測定物の表面により反射されて前記光検出手段により検出された第3の反射光、および前記第1の反射光に基づき、前記透光部材の前記裏面と前記被測定物の前記表面との相互間の距離d2を求め、
    前記距離d1,d2に関するデータに基づき、前記被測定物の厚みtxを判断することを特徴とする光学測定方法。
  2. 被測定物の表面に対向する位置から前記被測定物に向けて測定光を照射可能な光照射手段と、
    前記被測定物の表面に対向する位置に配され、かつ前記測定光の戻り光としての反射光を検出可能な光検出手段と、
    この光検出手段によって検出された反射光に基づき、前記被測定物の厚みを判断するデータ処理手段と、
    を備えている、光学測定装置であって、
    前記光照射手段および前記光検出手段と前記被測定物との相互間に設けられ、かつ前記光照射手段から発せられて内部に進行した測定光を、第1の反射光として、裏面により前記光検出手段側に反射可能な透光部材と、
    前記被測定物の裏面側に位置し、かつ前記光照射手段から発せられて前記透光部材を透過してきた測定光を、第2の反射光として、前記光検出手段側に反射可能な反射面を有する反射面形成部材と、
    をさらに備えており、
    前記データ処理手段は、
    前記第1および第2の反射光に基づき、前記透光部材の前記裏面と前記反射面との相互間の距離d1を求めるとともに、
    前記光照射手段から発せられて前記被測定物の表面により反射されて前記光検出手段により検出された第3の反射光、および前記第1の反射光に基づき、前記透光部材の前記裏面と前記被測定物の表面との相互間の距離d2を求め、
    前記距離d1,d2に関するデータに基づき、前記被測定物の厚みtxを求める処理を実行可能であることを特徴とする光学測定装置。
  3. 請求項2に記載の光学測定装置であって、
    前記データ処理手段は、前記光検出手段によって検出された前記第1および第2の反射光の第1の合成光、ならびに前記第1および第3の反射光の第2の合成光のそれぞれの光強度スペクトルをフーリエ変換することにより、前記第1および第2の合成光のそれぞれのパワースペクトルを求め、かつこれらのパワースペクトルに現れるピークの位置に基づ
    いて、前記距離d1,d2を求める処理を行なうように構成されている、光学測定装置。
  4. 請求項2または3に記載の光学測定装置であって、
    前記光照射手段および前記光検出手段と、前記被測定物とは、これらの対向方向とは交差する方向に相対移動可能とされており、
    前記データ処理手段は、前記被測定物の複数箇所の位置および厚みtxを求める形状測定処理を実行可能である、光学測定装置。
  5. 請求項2ないし4のいずれかに記載の光学測定装置であって、
    前記データ処理手段は、前記被測定物の少なくとも一部が前記反射面から前記透光部材側に離間している場合において、前記光照射手段から発せられて前記被測定物の内部に進行した測定光のうち、前記被測定物の裏面により前記光検出手段側に反射された第4の反射光、および前記被測定物を透過して前記反射面により前記光検出手段側に反射された第5の反射光に基づき、前記被測定物の前記裏面と前記反射面との相互間の隙間の距離d3を求め、
    前記距離d1〜d3に関するデータに基づき、前記被測定物の前記隙間に対応する箇所の厚みtxを求める処理を実行可能である、光学測定装置。
  6. 請求項2ないし4のいずれかに記載の光学測定装置であって、
    前記反射面形成部材として、追加の透光部材が用いられているとともに、
    前記追加の透光部材の裏面に対向して設けられた追加の光照射手段および追加の光検出手段を、さらに備えており、
    前記データ処理手段は、前記被測定物の少なくとも一部が前記反射面から前記透光部材側に離間している場合において、前記追加の光照射手段から発せられて前記追加の透光部材の内部に進行した測定光のうち、前記反射面および前記被測定物の裏面により前記追加の光検出手段側に反射された第6および第7の反射光に基づき、前記被測定物の前記裏面と前記反射面との相互間の隙間の距離d3を求め、
    前記距離d1〜d3に関するデータに基づき、前記被測定物の前記隙間に対応する箇所の厚みtxを求める処理を実行可能である、光学測定装置。
  7. 請求項2ないし4のいずれかに記載の光学測定装置であって、
    前記反射面形成部材は、前記被測定物を支持して前記対向方向とは交差する方向に移動させることが可能な構成とされている、光学測定装置。
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