JP2021179051A - マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】快適な使用感が得られるマスクを提供する。【解決手段】 マスク1において、マスク本体10と、その左右両側に配置されて利用者の耳に掛けられる紐状の右側及び左側耳掛け紐部32A,32Bと、右側及び左側耳掛け紐部32A,32Bの各々に連続する紐状の右側及び左側延長紐部34A,34B、マスク本体10の鼻側の上縁又は顎側の下縁の少なくとも一方に配置され、右側及び左側延長紐部34A,34Bを移動自在に保持する右側及び左側紐案内部24A,24Bと、を備えるようにした。【選択図】図1

Description

本発明は利用者の鼻又は口を覆うマスクに関する。
現在、衛生用、防塵用、手術用等の様々な目的において、使い捨てマスク、布製マスク等が幅広く使用されている。一般的な布製マスクは、マスク本体がガーゼで構成されるため、洗濯機による洗濯で型崩れが生じる。そこで例えば、マスク本体の外側全面を、吸水し難い生地で構成することで、洗濯機による洗濯でも型崩れを抑制したマスクが存在する(特許文献1参照)。
また、使い捨ての立体マスクでは、利用者の耳に掛ける耳掛け紐の両端を、マスク本体の上下の角部に縫い付ける構造が一般的であるが(特許文献2参照)。一方、マスクの利便性を高めるために、耳掛け紐の一端にボタンフックを形成し、そのボタンフックを利用して耳掛け紐の一端を、マスク本体から着脱自在に連結する構造が提案されている(特許文献3参照)。このようにすると、耳掛け紐を利用して、後頭部を利用したクロス掛け状態でマスクの装着を可能とする。この際、耳に紐を掛けてマスクを装着する態様と、後頭部に紐を掛けてマスクを装着する態様では、必要となる紐の長さが異なることから、紐の長さを調整可能な調整具を設けたり、紐を伸縮自在の平ゴムにしたりすること等も提案されている(特許文献3、特許文献4参照)。
更に、外面布地と内面布地をポケット状に縫うことで上側が開口したマスク本体の構造が提案されている(特許文献5)。このマスク本体では、上側の開口からフィルタを自在に挿入できる。
実用新案登録第3080551号 特開2006−26111号 実用新案登録第3147581号 特開2011−251085号 実用新案登録第3100614号
特許文献3及び特許文献4のマスクでは、耳掛け紐の長さを調整する調整具が、耳や後頭部に近い位置に設けられていることから、装着中に違和感が生じやすい。具体的には、調整具が耳に近いと、横向きで就寝する際に違和感が生じやすく、調整具が後頭部に近いと、仰向けで就寝する際や、椅子の背もたれに頭部が接触する際に違和感が生じやすい。
更に、耳に掛けるマスク装着態様の場合、右側と左側の紐の長さを個々に調整しなければならず、左右の耳掛け紐の張力が不均一になりやすい。更に、紐の長さを調整する都度、マスクを頭部から取り外すことが求められ、手間が掛かると同時に、マスク本体の位置が左右にずれやすいという問題がある。更に、耳掛け紐の長さを短くして張力を高めると、マスク本体の左右の縁が上下方向に縮んで型崩れしやすい。
更に特許文献5のマスクでは、開口がマスク本体の上縁に形成されるため、鼻と接触する際に違和感が生じやすい。
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、快適な装着感を実現できるマスクを提供しようとするものである。
上記目的を達成する本発明は、マスク本体と、前記マスク本体の左右両側に配置されて利用者の耳に掛けられる紐状の右側耳掛け紐部及び左側耳掛け紐部と、前記右側耳掛け紐部と連続する紐状の右側延長紐部と、前記左側耳掛け紐部と連続する紐状の左側延長紐部と、前記マスク本体の鼻側の上縁又は顎側の下縁の少なくとも一方に配置され、前記右側延長紐部を移動自在に保持する右側紐案内部と、前記マスク本体の鼻側の上縁又は顎側の下縁の少なくとも一方に配置され、前記左側延長紐部を移動自在に保持する左側紐案内部と、を備えることを特徴とするマスクである。
上記マスクに関連して、前記右側紐案内部よりも前記マスク本体の左右方向の中央側に配置され、該右側紐案内部によって案内される前記右側延長紐部及び前記右側耳掛け紐部の長さを調整する右側紐長さ調整具と、前記左側紐案内部よりも前記マスク本体の左右方向の中央側に配置され、前記左側延長紐部及び前記左側耳掛け紐部の長さを調整する左側紐長さ調整具と、を備えることができる。
上記マスクに関連して、前記右側紐案内部と前記左側紐案内部の間に配置されて、前記右側延長紐部及び前記左側延長紐部の長さを同時に調整する共通紐長さ調整具を備え、前記共通紐長さ調整具が、前記右側紐長さ調整具及び前記左側紐長さ調整具を兼ねることができる。
上記マスクに関連して、前記右側耳掛け紐部及び前記右側延長紐部、並びに、前記左側耳掛け紐部及び前記左側延長紐部は、伸縮自在の紐であることができる。
上記マスクに関連して、前記右側紐案内部及び前記左側紐案内部は、前記マスク本体の鼻側の上縁又は顎側の下縁を筒状に縫製することで形成されていることができる。
上記マスクに関連して、前記右側紐案内部及び前記左側紐案内部は、前記マスク本体の前記下縁に形成されることができる。
上記マスクに関連して、前記右側耳掛け紐部における前記右側延長紐部の他端側、及び、前記左側耳掛け紐部における前記左側延長紐部の他端側をつなぐ紐状の予備延長紐部と、前記マスク本体の前記上縁に沿って形成されて、前記予備延長紐部を移動自在に案内する予備紐案内部と、を備え、前記右側耳掛け紐部、前記右側延長紐部、前記左側耳掛け紐部、前記左側延長紐部、及び、前記予備延長紐部が、一連に連なる紐部材によって構成されることで、前記マスク本体に対して着脱自在であることができる。
上記マスクに関連して、前記マスク本体が、少なくとも外側層と内側層を有する複層構造となっており、前記マスク本体の耳側の側縁には、前記外側層と前記内側層の間に対して付加層を挿入可能な開口が形成されることができる。
上記マスクに関連して、前記マスク本体は、ポリエステル繊維を立体的なメッシュ構造に成形したメッシュ生地を有することができる。
本発明に係るマスクよれば、快適な装着感が得られるという優れた効果を奏し得る。
本発明の実施形態に係るマスクの全体構造を示す正面図である。 同マスクの全体構造を示す背面図である。 同マスクの図2のIII−III矢視端面図である。 同マスクの正面上方から視た斜視図である。 同マスクの背面上方から視た斜視図である。 同マスクの側面図である。 同マスクの共通紐長さ調整具近傍の部分拡大図である。 同マスクの変形例を示す正面図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1に、本発明の実施の形態に係るマスク1を示す。マスク1は、マスク本体10と、マスク1の全体を耳に掛けるために利用する紐体30と、紐体30の長さを調整する共通紐長さ調整具50を有する。マスク本体10は、鼻と口を同時に覆うようになっており、内部空間を広く確保し、口との距離を確保することを目的として三次元の立体形状に縫製される。
<紐体の説明>
紐体30は、伸縮自在の紐で構成される。例えばゴム紐を採用することが好ましく、天然ゴム糸やポリウレタン弾性糸を編むことによって得られる平ゴムや丸ゴムを用いることができる。平ゴムの場合、織ゴム、編ゴム、コールゴム等を選択し得るが、特に全体がゴム糸又は弾性糸で編まれて伸縮性の高いコールゴムが好ましい。平ゴムの場合、ゴム幅は3mm以上が好ましく、望ましくは5mm以上とする。丸ゴムの場合、直径3mm以上が好ましい。ゴム紐の全伸長は、通常長さの2倍以上確保することが好ましく、より望ましくは3倍以上とする。
紐体30の詳細構造について説明する。紐体30は、右側耳掛け紐部32A、左側耳掛け紐部32B、右側延長紐部34A、左側延長紐部34B、余り部35、予備延長紐部36を有する。紐体30は、一本のゴム紐の両端を、結び目38によって結ぶことで環状に構成されており、右側耳掛け紐部32A、右側延長紐部34A、余り部35、左側延長紐部34B、左側耳掛け紐部32B、予備延長紐部36の順番に連続している。
右側耳掛け紐部32Aは、マスク本体10の右側縁12Aの上下の隅部分から左右方向の右側に突出しており、利用者の右耳に掛けられる。左側耳掛け紐部32Bは、マスク本体10の右側縁12Bの上下の隅部分から左右方向の左側に突出しており、利用者の左耳に掛けられる。
右側延長紐部34Aは、右側耳掛け紐部32Aの下端と連続しており、マスク本体10の顎側且つ右側となる右下縁14Aに沿って配置される。左側延長紐部34Bは、左側耳掛け紐部32Bの下端と連続しており、マスク本体10の顎側且つ左側となる左下縁14Bに沿って配置される。右側延長紐部34Aと左側延長紐部34Bは、マスク本体10の左右方向の中央近傍で余り部35によって繋がれており、この余り部35に、持ち手となるリング40が設置されている。
予備延長紐部36は、右側耳掛け紐部32Aの上端と、左側耳掛け紐部32B上端とを繋ぐ。この予備延長紐部36は、マスク本体10の鼻側の上縁16に沿って配置される。
なお、ここでは紐体30が伸縮性を有する素材で構成される場合を例示したが、伸縮性を有しない紐体を用いることも可能である。
<マスク本体の説明>
マスク本体10は、図3の断面に示すように、少なくとも外側層12と内側層14を有する複層構造(ここでは2層構造)となる。外側層12には、合成樹脂繊維(ここではポリエステル繊維)を、厚み方向に立体的に成形(ここでは編み込んだ)した三次元メッシュ構造の生地が採用される。例えば、ポリエステル繊維をダブルラッセル編みした三次元メッシュ構造は、通気性・速乾性が良く、引張強度が高いと共に摩耗破れに強く、伸縮性・柔軟性に優れ、軽量となるのでマスクに極めて好適となる。この際、物性試験結果となる摩擦堅牢度3級以上で望ましくは4級(AATCC8)、水堅牢度が3級以上で望ましくは4級以上とし、洗濯後の最大寸法変化をプラスマイナス5%、望ましくは3%とする。なお、外側層12のポリエステル繊維は、ポリアミド合成樹脂(例えばナイロン6,6)でコーティングされることが好ましい。洗濯機を用いた洗濯後の乾燥も容易となり、長時間湿っていないため衛生的となる。
ダブルラッセル編みは、例えば、表地と裏地を同時に編みながら、この表地と裏地を生地厚み方向に連結糸で連結するように編み込む。より詳細に、表地及び裏地は、それぞれにおいて、フロント筬とバック筬を介して編機に糸を供給して編み合わせる。これと同時に、ミドル筬を利用して表地及び裏地の間に2本の連結糸を供給し、この2本の連結糸が互いに交差させる態様で、表地と裏地をつなぐ。結果、ダブルラッセル編みによって得られる外側像は、表地総・連結層・裏地総の三層構造(立体構造)となる。
内側層14は、合成樹脂繊維(ここではポリエステル繊維)をハニカムメッシュ構造に緯編したニット生地が採用される。伸縮性・柔軟性が高く、敏感な肌に対してさらっとした優しい肌触りを実現できる。通気性も高いため、装着しても蒸れを少なくできる。
なお、ここでは外側層12及び/又は内側層14を、ポリエステル繊維を編んだ生地を採用する場合を例示しているが、本発明はこれに限定されず、他の合成樹脂繊維を織った又は編んだ生地、綿生地や不織布、ウレタン、シリコーン等の各種生地を採用することもできる。更に、外側層12と内側層14を同じ生地で構成することも可能であり、一枚の生地を折り返すことによって複層化しても良い。勿論、マスク本体10を単層に構成しても良い。また、生地の色は、白、濃グレー、淡グレーなど適宜選択できる。
図4〜図6に示すように、外側層12及び内側層14は、それぞれ、右側生地片と左側生地片に分割されており、これらを上下方向に延びる縦縫い線12X,14Xに沿って中央で縫い合わせることで一枚の生地としている。結果、利用者の鼻尖から上唇近傍に近い部分が前方に突出する三次元形状となる。
図1及び図2に戻って、外側層12と内側層14は、上縁16と、左右下縁14A、14Bに沿って縫い合わされることで一体化している。更に、上縁16から下側に5mm以上且つ300mm以下の距離で離れて左右方向に並走する鼻側縫い線25に沿って、外側層12と内側層14が互いに縫製される。結果、マスク本体10の上縁16には、筒状となる予備紐案内部26が形成される。結果、予備紐案内部26は、右側開口26Rと左側開口26Lを有している。この予備紐案内部26の内部に、右側開口26Rと左側開口26Lを介して予備延長紐部36が挿入される。これにより予備延長紐部36が、マスク本体10を基準にして左右方向に移動自在に案内される。
更に外側層12と内側層14は、左右下縁14A,14Bから上側に5mm以上且つ300mm以下の距離で離れて左右方向に並走する顎側縫い線23に沿って互いに縫製される。結果、マスク本体10の左右下縁14A,14Bには、筒状となる右側紐案内部24Aと左側紐案内部24Bが形成される。右側紐案内部24Aの右端には右側開口24Rが形成され、左側紐案内部24Bの左端には左側開口24Lが形成される。
右側紐案内部24Aの内部には、右側延長紐部34Aが挿入される。結果、右側延長紐部34Aが、マスク本体10を基準にして左右方向に移動自在に案内される。同様に、左側紐案内部24Bの内部に、左側延長紐部34Bが挿入される。結果、左側延長紐部34Bが、マスク本体10を基準にして左右方向に移動自在に案内される。右側紐案内部24Aと左側紐案内部24Bの間には、調整用開口24Cが形成される。この調整用開口24Cは、上下方向に延びる縦縫い線12X,14Xの少なくとも一方(ここでは外側層12側の縦縫い線12X)を途中で中断させることにより、縦縫い線12X,14Xの下端に連続的に形成される。結果、容易な縫製によって調整用開口24Cを形成可能となっている。なお、本実施形態では、右側紐案内部24Aと左側紐案内部24Bは、連続して一つの筒構造となっており、その中央の部分的に調整用開口24Cが形成される場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、右側紐案内部24Aと左側紐案内部24Bが分離されており、その中間が自ずと調整用開口24Cとなるようにしても良い
右側延長紐部34Aと左側延長紐部34Bの一部と、これらを繋ぐ余り部35と、余り部35に設置されるリング40が、調整用開口24Cを介して外部に露出されている。
一方、図2に示されるように、外側層12と内側層14における左右側縁12A,12Bは、上下方向に沿って互いに縫い合わされていない。結果、左右側縁12A,12Bには、それぞれ、外側層12と内側層14の内部を望むための左側開口(スリット)22A及び左側開口22Bが形成される。換言すると、マスク本体10において、予備紐案内部26と右側及び左紐案内部24A,24Bを除いた中央部分も、右側及び左側開口22A,22Bを有する筒構造となる。結果、右側及び左側開口22A,22Bを介して、外側層12と内側層14の間に、抗菌シート、保湿シート、フィルタ材等の付加層を自在に挿入して、保持することが可能となっている。また、洗濯時においても、この筒構造によって、外側層12と内側層14の内部に溜まった塵埃が外部に放出されやすいので、常に衛生的となる。更に、このマスク1の左右側縁12A,12BにブランドタグTを配置することで、販売時や使用中にブランドを訴求することができると同時に、肌との接触が気になる利用者は、右側及び左側開口22A,22Bの内部にブラントタグTを折りこむことができる。勿論、必要に応じて、右側及び左側開口22A,22Bの一方のみを形成して、他方を縫い合わせることも可能である。
なお、図2に示すように、紐体30の結び目38は、締結後に予備紐案内部26や右側及び左紐案内部24A,24Bの内部に移動させることで覆い隠すことが可能となり、肌に直接触れることによる違和感を生じさせないですむ。同時に美観を高めることができる。一方、結び目38を解くことで、マスク本体10と紐体30を、容易に分離でき、一方を交換したり、個別に洗濯・洗浄したりできる。
なお、本実施形態では、調整用開口24Cがマスク本体10の左右方向の中央に形成される場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、左右にオフセットされていても良い。
<共通紐長さ調整具>
図1及び図7に示すように、共通紐長さ調整具50は、調整用開口24C近傍に配置されており、共通紐保持体54と共通ロック体58を有する。共通紐保持体54には共通挿通穴55が形成されており、右側延長紐部34Aと左側延長紐部34Bがまとめて移動自在に挿入される。なお、紐体30において、共通挿通穴55を通過して外部に突出した部分が余り部35に相当する。
共通ロック体58は、共通紐保持体54に対してばね等の弾性体(図示省略)を介して移動自在に設置される。共通ロック体58は、弾性体の復元力を利用して共通挿通穴55Aに挿入されている右側延長紐部34Aと左側延長紐部34Bを押圧し、右側延長紐部34Aと左側延長紐部34Bの移動を同時に規制する。
利用者が、弾性体の復元力に抗して共通ロック体58を共通紐保持体54内に押し込むと、右側延長紐部34Aと左側延長紐部34Bの規制が同時に開放されて移動自在となる。利用者は、共通ロック体58を押し込みながら、リング40を把持して紐体30の余り部35の長さを自在に調整する。リング40を操作して、フィット感が得られたら、共通ロック体58の押し込みを開放することで、そのフィット感を維持する。なお、紐体30の余り部35の長さの変更は、右側耳掛け紐部32Aと左側耳掛け紐部32Bの長さに反映される結果となり、マスク1の装着時の紐体30の張力が調整される。なお、共通紐長さ調整具50の大きさは特に限定されないが、最大外寸が20mm以下であることが好ましく、本実施形態では15mmとなるものを採用している。また、紐体30の基本的な全長を変更したい場合は、結び目38の位置を調整すればよいので便利である。
<マスクの機能や作用について>
本実施形態のマスク1によれば、マスク本体10の下縁において、左右方向に延びる右側紐案内部24A及び左側紐案内部24Bが形成されており、これによって紐体30の右側延長紐部34A及び左側延長紐部34Bが移動自在に保持されている。従って、紐体30によって、マスク本体10の下縁を、利用者の顎にフィットさせることが可能となる。更に、右側紐案内部24A及び左側紐案内部24Bの間には、共通紐長さ調整具50が配置されており、余り部分35の長さ調整によって、マスク1の装着時の紐体30の張力を簡単に調整できる。特に、共通紐長さ調整具50を顎下に配置することで、マスク1を装着中であっても、共通紐長さ調整具50に対する手のアクセスが容易であるため、装着感を確かめながらの微調整も容易となる。また、人間の顎下には余裕空間が存在するため、共通紐長さ調整具50が邪魔に感じることも無く、更には、就寝中であっても違和感が生じにくい。共通紐長さ調整具50が、視覚から隠れやすい顎下に位置するので、美観を損ねることも無い。
更に、共通紐長さ調整具50の場合は、紐体30によって左右の耳に作用する張力を、バランスよく均等に調整できるという利点もある。
また、右側紐案内部24A及び左側紐案内部24Bが縫製によって筒状に構成されることで、左右下縁14A,14Bの剛性が高くなり、洗濯によるマスク本体10の型崩れを抑制できる。
更に本実施形態では、マスク本体10の上縁16側にも予備紐案内部26が形成されており、予備延長紐部36を移動自在に案内する。結果、上縁16側においても、右側耳掛け紐部32Aと左側耳掛け紐部32Bが、予備延長紐部36によって繋がるので、左右の張力バランスを均質にできる。更に、左右の耳の配置が前後に異なる利用者であっても、紐体30から独立して、予備紐案内部26を利用してマスク本体10を左右にスライドさせることが出来るので、利用者の個々の顔形状に、マスク1を容易にフィットさせることができる。
更に、予備紐案内部26を筒状に形成することで、上縁16側の剛性が高まると共に、生地が筒状となって肉厚となる。結果、いわゆるノーズワイヤを設けなくても、鼻と頬の間の段差に対するフィット感を高めることができる。また、洗濯によるマスク本体10の型崩れを抑制できる。
また更に本マスク1では、紐体30が伸縮自在のゴム紐を採用している。伸縮自在の紐体30と共通紐長さ調整具50の相互作用によって、利用者は、耳への負荷や、マスク1のフィット感を微細に調整することができ、快適な装着状態を簡単に確保できる。特に本実施形態では、1本のゴム紐によって、紐体30の全体を構成しているので、局所的に張力が高まったりすることが抑制され、快適な使用感が得られる。
更にまた、図3に示すように、本マスク1では、予備延長紐部36が利用者の鼻尖Pの上方を押圧し、右側及び左側延長紐部34A,34Bが、利用者の顎のオトガイ部Qを押圧する。結果、伸縮自在となる上下双方の紐部30を鼻と下顎に密着させて、マスク本体10の保持姿勢を安定させることができる。一方、マスク本体10の上縁16及び左右下縁14A,14B自体には、紐体30に対して移動自在なので張力が作用しない。換言すると、マスク本体10は、できる限り左右の中央側に寄せる(スライドさせる)ようにし、前方側に突出させることができる。結果、マスク本体10の内部空間Sを広く確保できるので、利用者への圧迫感が少ない。つまり、使用中においても、紐体30の張力によるマスク本体10の型崩れを抑制できる。
なお、本実施形態では、下顎側に、右側紐案内部24A、左側紐案内部24B及び共通紐長さ調整具50を配置し、鼻側に予備紐案内部26を配置する場合を例示したが、これを反転させることも可能である。
本マスク1では、マスク本体10が、少なくとも外側層12と内側層14を有する複層構造となる。結果、図4〜図6に示すように、右側生地片と左側生地片を上下方向の縦縫い線12X,14Xで縫製した際の縫い目及びその端材を、外側層12と内側層14の内部に隠すことができるので、内外双方の美観が損なわないで済む。更に、マスク本体10耳側の左右の両側縁12A,12Bを縫い合わせることなく、開口22A,22Bが形成されているので、外側層12と内側層14の間に対して付加層を挿入して、様々な目的で繰り返し使用できる。また、左右の両側縁12A,12Bを開口22A,22Bで開放して筒構造にすることで、マスク本体10の全体において、ポケット構造となる縫製部分を無くすことで、外側層12と内側層14の内部に糸くずや塵埃が溜まることを抑制できる。
なお、本実施形態のマスク1では、共通紐長さ調整具50によって、左右の紐の長さを同時に調整できるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8に示す変形例のように、右側紐長さ調整具50Aと左側紐長さ調整具50Bを別々の治具として設けることができる。実施形態の共通紐長さ調整具50は、この右側紐長さ調整具50Aと左側紐長さ調整具50Bを一体化した応用形態となる。
右側紐長さ調整具50Aは、右側紐保持体54Aと右側ロック体58Aを有しており、右側保持体54Aには右側挿通穴55Aが形成される。右側挿通穴55Aに右側延長紐部34Aが挿入されることで、右側延長紐部34Aに連続する右側余り部35Aの長さを調整できる。
左側紐長さ調整具50Bは、左側紐保持体54Bと左側ロック体58Bを有しており、左側保持体54Bには左側挿通穴55Bが形成される。左側挿通穴55Bに左側延長紐部34Bが挿入されることで、左側延長紐部34Bに連続する左側余り部35Bの長さを調整できる。
また、この変形例のように、右側余り部35Aと左側余り部35Bの双方の端部を、紐体30の開放端とすることも可能であり、各々に結び目等を形成する等によって、ストッパを設置することも好ましい。特に図示しないが、調整用開口24Cも、右側調整用開口と左側調整用開口に別々に設けても良い。
更に本実施形態のマスクの内側層の生地を構成する繊維として、例えば、合成樹脂繊維の断面形状を異形(非正円)としたものを採用することも好ましい。断面異形にすることで、合成樹脂繊維の周囲に繊維方向に延びる溝(凹部)が形成される結果、繊維自体の毛細管現象によって水分を移送できる。このような断面異形の合成樹脂繊維を織る(又は編む)ことで得られる生地(断面異形繊維生地)を、内側層に採用すると、呼吸によって生じた内部空間の湿度(水分)を、内側層の内表面で吸着して、外側層側に移送することが可能となり、内部空間の低湿度化によって快適な使用感を得ることができる。また、このような断面異形繊維生地の場合、これと触れる肌にも冷感効果が生じるので、気温が高い時期でも快適な使用感が得られる。
尚、本発明のマスクは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 マスク
10 マスク本体
12 外側層
14 内側層
22A 左側開口
22B 右側開口
24A 右側紐案内部
24B 左側紐案内部
24C 調整用開口
26 予備紐案内部
30 紐体
32A 右側耳掛け紐部
32B 左側耳掛け紐部
34A 右側延長紐部
34B 左側延長紐部
35 余り部
36 予備延長紐部
50 共通紐長さ調整具

Claims (9)

  1. マスク本体と、
    前記マスク本体の左右両側に配置されて利用者の耳に掛けられる紐状の右側耳掛け紐部及び左側耳掛け紐部と、
    前記右側耳掛け紐部と連続する紐状の右側延長紐部と、
    前記左側耳掛け紐部と連続する紐状の左側延長紐部と、
    前記マスク本体の鼻側の上縁又は顎側の下縁の少なくとも一方に配置され、前記右側延長紐部を移動自在に保持する右側紐案内部と、
    前記マスク本体の鼻側の上縁又は顎側の下縁の少なくとも一方に配置され、前記左側延長紐部を移動自在に保持する左側紐案内部と、
    を備えることを特徴とするマスク。
  2. 前記右側紐案内部よりも前記マスク本体の左右方向の中央側に配置され、該右側紐案内部によって案内される前記右側延長紐部及び前記右側耳掛け紐部の長さを調整する右側紐長さ調整具と、
    前記左側紐案内部よりも前記マスク本体の左右方向の中央側に配置され、前記左側延長紐部及び前記左側耳掛け紐部の長さを調整する左側紐長さ調整具と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
  3. 前記右側紐案内部と前記左側紐案内部の間に配置されて、前記右側延長紐部及び前記左側延長紐部の長さを同時に調整する共通紐長さ調整具を備え、
    前記共通紐長さ調整具が、前記右側紐長さ調整具及び前記左側紐長さ調整具を兼ねることを特徴とする請求項2に記載のマスク。
  4. 前記右側耳掛け紐部及び前記右側延長紐部、並びに、前記左側耳掛け紐部及び前記左側延長紐部は、伸縮自在の紐であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のマスク。
  5. 前記右側紐案内部及び前記左側紐案内部は、前記マスク本体の鼻側の上縁又は顎側の下縁を筒状に縫製することで形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のマスク。
  6. 前記右側紐案内部及び前記左側紐案内部は、前記マスク本体の前記下縁に形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のマスク。
  7. 前記右側耳掛け紐部における前記右側延長紐部の他端側、及び、前記左側耳掛け紐部における前記左側延長紐部の他端側をつなぐ紐状の予備延長紐部と、
    前記マスク本体の前記上縁に沿って形成されて、前記予備延長紐部を移動自在に案内する予備紐案内部と、を備え、
    前記右側耳掛け紐部、前記右側延長紐部、前記左側耳掛け紐部、前記左側延長紐部、及び、前記予備延長紐部が、一連に連なる紐部材によって構成されることで、前記マスク本体に対して着脱自在であることを特徴とする請求項6に記載のマスク。
  8. 前記マスク本体が、少なくとも外側層と内側層を有する複層構造となっており、
    前記マスク本体の耳側の側縁には、前記外側層と前記内側層の間に対して付加層を挿入可能な開口が形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のマスク。
  9. 前記マスク本体は、ポリエステル繊維を立体的なメッシュ構造に成形したメッシュ生地を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のマスク。
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