JP2021178775A - スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートの製造方法及びポリヒドロキシウレタンの製造方法 - Google Patents

スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートの製造方法及びポリヒドロキシウレタンの製造方法 Download PDF

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Naoki Aisaka
剛 遠藤
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Abstract

【課題】簡便且つ収率が向上した二官能性環状カーボナートの製造方法及び二官能性環状カーボナートを用いた新規のポリヒドロキシウレタンの製造方法の提供。【解決手段】スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートの製造方法は、ペンタエリトリトールと炭酸ジアリールとを反応させてスピロ構造を有する二官能性環状カーボナートを得る反応工程を含み、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートが2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneである。ポリヒドロキシウレタンの製造方法は、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートと、アルキルジアミン又はアラルキルジアミンとを反応させてポリヒドロキシウレタンを得る重合工程を含み、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートが2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneである。【選択図】なし

Description

本発明は、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートの製造方法及びポリヒドロキシウレタンの製造方法に関する。
二官能性環状カーボナートとジアミンとの開環重付加反応により合成されるポリヒドロキシウレタン(PHU)は、ジイソシアネートを用いないポリウレタン(PU)の新規な合成法として近年注目を集めている。また、この反応は開環する環状カーボナートの構造に起因して側鎖に第一級から第三級のヒドロキシ基が生成するため、PHUの側鎖を様々に修飾できる。しかし、ほとんどの二官能性の五員環及び六員環環状カーボナートは、2つの環状カーボナートをリンカーで連結する必要があり、その合成には数段階のステップを要する。また、五員環環状カーボナートに比べ、六員環環状カーボナートの方がアミンとの反応性が高いことが知られている。
一方、安価なポリオールであるペンタエリトリトール(PE)とジエチルカーボナート(炭酸ジメチル;DMC)の反応により1段階で合成可能な二官能性環状カーボナート2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneは、2つの六員環環状カーボナートからなるスピロ構造を有するため、リンカー部位を必要としない。さらに、2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneとアミンとの開環反応では、対称性の低い二官能性環状カーボナートと異なり、第一級のヒドロキシ基のみが生成する。例えば、特許文献1には、PEと、2,2,2−Trichloethyl Chloroformate(TrocCl)と、を反応させて、2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneが得られることが開示されている。
国際公開第2018/109714号
しかしながら、PEとDMCとの反応には触媒が必要であり、且つ、煩雑な精製手順を必要とする。PEとTrocClとの反応では、TrocClは、有毒なホスゲン由来であり、また、塩素成分が含まれるため、着色等の原因となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡便且つ収率が向上した二官能性環状カーボナートの製造方法及び前記二官能性環状カーボナートを用いた新規のポリヒドロキシウレタンの製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) ペンタエリトリトールと炭酸ジアリールとを反応させて、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートを得る反応工程を含み、
前記スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートが2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneである、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートの製造方法。
(2) 前記反応工程において、触媒を用いない、(1)に記載の製造方法。
(3) 前記反応工程において、40℃以上100℃以下で反応を行う、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4) 前記反応工程において、50℃以上100℃以下で反応を行う、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の製造方法。
(5) 前記反応工程において、ペンタエリトリトールに対する炭酸ジアリールのモル比が2/1以上10/1以下である、(1)〜(4)のいずれか一つに記載の製造方法。
(6) 前記反応工程において、ペンタエリトリトールに対する炭酸ジアリールのモル比が4/1以上10/1以下である、(1)〜(5)のいずれか一つに記載の製造方法。
(7) 前記反応工程において、ペンタエリトリトールの濃度が反応溶液の総容量に対して、10mmol/L以上100mmol/L以下である、(1)〜(6)のいずれか一つに記載の製造方法。
(8) 前記反応工程において、ペンタエリトリトールの濃度が反応溶液の総容量に対して、10mmol/L以上80mmol/L以下である、(1)〜(7)のいずれか一つに記載の製造方法。
(9) 前記炭酸ジアリールが炭酸ジフェニルである、(1)〜(8)のいずれか一つに記載の製造方法。
(10) スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートと、下記一般式(Ia)で表されるジアミンとを反応させて、ポリヒドロキシウレタンを得る重合工程を含み、
前記スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートが2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneである、ポリヒドロキシウレタンの製造方法。
Figure 2021178775
(一般式(Ia)において、Xは、アルキレン基、アラルキレン基又は−R11−Ar11−R12−で表される基である。Ar11は2価の芳香族炭化水素基であり、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1以上20以下のアルキレン基である。)
(11) 前記重合工程において、5℃以下で重合反応を行い、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンの含有量がポリヒドロキシウレタンの総モル量に対して4モル%以下となるように制御する、(10)に記載の製造方法。
(12) 前記重合工程において、50℃以上で重合反応を行い、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンの含有量がポリヒドロキシウレタンの総モル量に対して11モル%以上となるように制御する、(10)に記載の製造方法。
(13) 前記スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートは、(1)〜(9)のいずれか一つに記載の製造方法で得られたものである、(10)〜(12)のいずれか一つに記載の製造方法。
上記態様の二官能性環状カーボナートの製造方法によれば、簡便且つ収率が向上した二官能性環状カーボナートの製造方法を提供することができる。上記態様のポリヒドロキシウレタンの製造方法によれば、新規のポリヒドロキシウレタンを得ることができる。
実施例1における化合物(I)のH−NMRスペクトルである。 実施例1における化合物(I)の13C−NMRスペクトルである。 実施例2における生成物のH−NMRスペクトルである。 化合物(I)の収率(選択率)と初期PE濃度との関係を示すグラフである。 化合物(I)の収率(選択率)と反応温度との関係を示すグラフである。 化合物(I)の収率(選択率)とPEに対するDPCのモル比との関係を示すグラフである。 実施例16における化合物(I)及び化合物(IV)の混合物(A)、化合物(IV)とモノアミンとの反応生成物(B)、化合物(I)とモノアミンとの反応生成物(C)、並びに、化合物(I)及び化合物(IV)の混合物とモノアミンとの反応生成物(D)のH−NMRスペクトルである。 実施例17における化合物(I)と1,6−ジアミノヘキサンとの反応生成物のゲルパーミエーションクロマトグラム(反応時間:1、2、3、4、5、7及び9時間)である。 実施例17における化合物(I)及び1,6−ジアミノヘキサンの反応時間と、生成物の数平均分子量又は分子量分布との関係を示すグラフである。 実施例22における、実施例18〜21で得られた各ポリヒドロキシウレタンの熱重量分析の結果を示すグラフである。 実施例22における、実施例18〜21で得られた各ポリヒドロキシウレタンの示差走査熱量分析の結果を示すグラフである。 実施例23における化合物(V)のH−NMRスペクトルである。 実施例24における化合物(I)と1−hexylamineとの反応生成物(粗生成物)及び精製された副生成物(化合物V’)のH−NMRスペクトルである。 実施例25における化合物(I)と1,6−diaminohexaneとの反応生成物(反応温度:50℃)のH−NMRスペクトルである。 実施例26における化合物(I)と1,6−diaminohexaneとの反応生成物(反応温度:0℃)のH−NMRスペクトルである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<二官能性環状カーボナートの製造方法>
本実施形態のスピロ構造を有する二官能性環状カーボナートの製造方法(以下、「本実施形態の二官能性環状カーボナートの製造方法」ともいう)は、ペンタエリトリトール(PE)と炭酸ジアリールとを反応させて、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートを得る反応工程を含む。前記スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートが2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneである。2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneは、下記式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」と称する場合がある。)である。化合物(I)のCAS番号は、84056−48−4である。
Figure 2021178775
従来の二官能性環状カーボナートの製造方法では、PEと炭酸ジメチルとを、触媒(1,4−Diazabicyclo[2.2.2]octane;DABCO)存在下で反応させて、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートを得る。
これに対して、本実施形態の二官能性環状カーボナートの製造方法では、触媒を用いずに1段階の反応で、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートである2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneが得られる。
本実施形態の二官能性環状カーボナートの製造方法を構成する工程について、以下に詳細を説明する。
[反応工程]
反応工程では、下記反応式に示すように、ペンタエリトリトールと炭酸ジアリールとを反応させて、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートである上記化合物(I)を得る。化合物(I)を得るこの反応は、公知の分子内環化反応(Intramolecular Cyclization)である。
Figure 2021178775
(ペンタエリトリトール(PE))
ペンタエリトリトール(PE)は、上記反応式に示される構造を有する化合物である。PEは、例えば、アセトアルデヒドとホルムアルデヒドを塩基性環境下で縮合して合成することができる。また、PEは、市販のものを用いてもよい。PEのCAS番号は、115−77−5である。
(炭酸ジアリール)
炭酸ジアリールは、例えば、下記一般式(III)で表される化合物(以下、「化合物(III)」と称する場合がある)等が挙げられる。
Figure 2021178775
一般式(III)中、Ar31及びAr32はそれぞれ独立に、炭素数6以上20以下の1価の芳香族炭化水素基である。
Ar31及びAr32としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基であり、炭素数6以上12以下の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基がより好ましい。芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基等が挙げられる。
このようなAr31及びAr32として具体的には、フェニル基、メチルフェニル基(各異性体)、エチルフェニル基(各異性体)、プロピルフェニル基(各異性体)、ブチルフェニル基(各異性体)、ペンチルフェニル基(各異性体)、ヘキシルフェニル基(各異性体)、ジメチルフェニル基(各異性体)、メチルエチルフェニル基(各異性体)、メチルプロピルフェニル基(各異性体)、メチルブチルフェニル基(各異性体)、メチルペンチルフェニル基(各異性体)、ジエチルフェニル基(各異性体)、エチルプロピルフェニル基(各異性体)、エチルブチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルフェニル基(各異性体)、トリメチルフェニル基(各異性体)、トリエチルフェニル基(各異性体)、ナフチル基(各異性体)、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、トリメトキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ペルフルオロフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、トリニトロフェニル基等が挙げられる。中でも、Ar31及びAr32としては、フェニル基が好ましい。
Ar31及びAr32は同一であってもよく、異なってもよいが、製造の容易さの観点から、同一であることが好ましい。
好ましい炭酸ジアリールとしては、Ar31及びAr32が炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基である炭酸ジアリール等が挙げられる。このような炭酸ジアリールとして具体的には、例えば、炭酸ジフェニル、炭酸ジ(メチルフェニル)(各異性体)、炭酸ジ(ジエチルフェニル)(各異性体)、炭酸ジ(メチルエチルフェニル)(各異性体)等が挙げられる。なお、これら化合物は、好ましい炭酸ジアリールの一例に過ぎず、好ましい炭酸ジアリールはこれに限定されない。また、これらの炭酸ジアリールを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、炭酸ジアリールとしては、炭酸ジフェニルが特に好ましい。
炭酸ジアリールの製造方法としては、公知の方法を用いることができる。中でも、国際公開第2009/139061号(参考文献1)に記載されている、スズ−酸素−炭素結合を有する有機スズ化合物と二酸化炭素とを反応させて脂肪族炭酸エステルを製造し、該脂肪族炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とから芳香族炭酸エステル(すなわち、炭酸ジアリール)を製造する方法が好ましい。また、上記炭酸ジアリールは、例えば国際公開第2009/139061号(参考文献1)に記載の製造装置を用いて製造できる。また、炭酸ジアリールは、市販のものを用いてもよい。
反応工程は、溶媒存在下又は溶媒非存在下で行うことができる。溶媒としては、PEを溶解できるものであればよく、ヒドロキシ基を有しない高極性溶媒が好ましい。このような溶媒として具体的には、以下に示すものが挙げられる。
(1)アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;
(2)アセトニトリル、ブチロニトリル、カプリルニトリル等のニトリル類;
(3)ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアミル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のエステル類;
(4)フラン、テトラヒドロフラン、プロピルオキシド、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル類;
(5)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のグリコールエーテルエステル類;
(6)トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;
(7)硫化ジメチル、チオフェン、二硫化炭素等の硫黄化合物類;
(8)塩化メチル、塩化エチル、ジクロロプロパン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ペンタクロロエタン、クロロホルム、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等のハロゲン化炭化水素類;
(9)N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1,5−ジメチル−2−ピロリドン;
(10)1−アセチルピロリジン等のピロリジン類;
(11)1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の尿素類;
(12)ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、メチルプロピルスルホキシド、メチルブチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド等のスルホキシド化合物類。
これら溶媒を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
反応工程は、例えば、不活性ガスの雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
前記不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられる。
反応工程において、PEの使用量、すなわち、反応溶液中のPEの濃度は、反応溶液の総容量に対して、10mmol/L以上100mmol/L以下が好ましく、10mmol/L以上80mmol/L以下がより好ましく、10mmol/L以上60mmol/L以下がさらに好ましく、10mmol/L以上40mmol/L以下が特に好ましく、10mmol/L以上30mmol/L以下が最も好ましい。
PEの濃度が上記下限値以上であることで、炭酸ジアリールとより十分に反応させることができる。一方、PEの濃度が上記上限値以下であることで、PEのカーボナート化を分子間よりも分子内でより優先的に起こすことができ、化合物(I)の収率(選択率)をより向上させることができる。
反応工程において、炭酸ジアリールの使用量は、PEに対する炭酸ジアリールのモル比で表すことができる。PEに対する炭酸ジアリールのモル比は、2/1以上10/1以下が好ましく、4/1以上10/1以下がより好ましい。
PEに対する炭酸ジアリールのモル比が上記下限値以上であることで、PEのカーボナート化を分子間よりも分子内でより優先的に起こすことができ、化合物(I)の収率(選択率)をより向上させることができる。PEに対する炭酸ジアリールのモル比が上記上限値以下であることで、炭酸ジアリールの存在比が過剰量となりすぎることを抑制することができ、製造コストを抑えながら、より効率良く化合物(I)を生成することができる。
反応工程において、反応温度は、20℃以上100℃以下とすることができ、40℃以上100℃以下が好ましく、50℃以上100℃以下がより好ましく、75℃以上100以下がさらに好ましい。
反応温度が上記下限値以上であることで、PEのカーボナート化を分子間よりも分子内でより優先的に起こすことができ、化合物(I)の収率(選択率)をより向上させることができる。一方、反応温度が上記上限値以下であることで、余分な熱量をかけることを抑制することができ、製造コストを抑えながら、より効率良く化合物(I)を生成することができる。
反応時間は、例えば、1時間以上24時間以下とすることができ、6時間以上18時間とすることができる。
[その他の工程]
本実施形態の二官能性環状カーボナートの製造方法は、反応工程の後、すなわち、反応終了後に、化合物(I)の精製工程を更に含んでもよい。
精製工程では、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(I)を取り出す。具体的には、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(I)を粗精製する。
また、上記粗精製された化合物(I)の純度を高めるために、適宜必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて、さらに1回以上行うことが好ましい。
本実施形態の二官能性環状カーボナートの製造方法において、反応工程後、精製工程を行わずに、後述するポリヒドロキシウレタンの製造方法に用いてもよいが、ポリヒドロキシウレタンの収率を向上させる観点から、化合物(I)の精製工程を行うことが好ましい。
化合物(I)は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法で構造を確認できる。
<化合物(I)の使用用途>
本実施形態の製造方法で得られた化合物(I)は、例えば、後述するポリヒドロキシウレタンの原料や、化合物(I)とモノアミンとの反応により得られるウレタン基を2つ有するジオールの原料、ポリカーボネートの原料、ラクトン又はラクチドとの共重合の原料、架橋剤の原料等に好適に用いられる。
<ポリヒドロキシウレタンの製造方法>
本実施形態のポリヒドロキシウレタンの製造方法は、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートと、上記一般式(Ia)で表されるジアミンとを反応させて、ポリヒドロキシウレタンを得る重合工程を含む。
前記スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートは2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneである。
本実施形態のポリヒドロキシウレタンの製造方法によれば、新規のポリヒドロキシウレタンを得ることができる。
[重合工程]
重合工程では、下記反応式に示すように、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートと、下記一般式(Ia)で表されるジアミンとを反応させて、ポリヒドロキシウレタンを得る。
ポリヒドロキシウレタンを得るこの反応は、公知の開環重付加反応である。
Figure 2021178775
なお、上記反応式において、Xは、アルキレン基、アラルキレン基又は−R11−Ar11−R12−で表される基である。Ar11は2価の芳香族炭化水素基であり、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1以上20以下のアルキレン基である。nは1以上の整数である。
(スピロ構造を有する二官能性環状カーボナート)
スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートは、2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dione(化合物(I))である。化合物(I)は、市販のものを用いてもよく、公知の方法を用いて合成されてものでもよいが、簡便且つ良好な収率で化合物(I)が得られることから、上記二官能性環状カーボナートの製造方法で得られたものであることが好ましい。
(ジアミン)
ジアミンは、下記一般式(Ia)で表される化合物(以下、「ジアミン(Ia)」と称する場合がある)である。
Figure 2021178775
(一般式(Ia)において、Xは、アルキレン基、アラルキレン基又は−R11−Ar11−R12−で表される基である。Ar11は2価の芳香族炭化水素基であり、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1以上20以下のアルキレン基である。)
Xにおけるアルキレン基としては、炭素数2以上20以下の直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、イコシレン基等が挙げられる。中でも、Xにおけるアルキレン基としては、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基又はデシレン基が好ましく、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基又はオクチレン基がより好ましい。
Xにおけるアラルキレン基としては、炭素数3以上20以下のアラルキレン基が好ましく、具体的には、例えば、ベンジレン基、フェネチレン基、フェニルブチレン基、ナフチルメチレン基、ナフチルエチレン基が挙げられる。中でも、Xにおけるアラルキレン基としては、ベンジレン基又はフェネチレン基が好ましい。
Xにおける−R11−Ar11−R12−で表される基において、R11及びR12はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
11及びR12における炭素数1以上20以下のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、及び、上記Xにおけるアルキレン基において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、R11及びR12における炭素数1以上20以下のアルキレン基としては、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
Xにおける−R11−Ar11−R12−で表される基として具体的には、例えば、−CH2−Ph−CH2−で表される基(Phはフェニレン基である、以下同様である。)、−CH2CH2−Ph−CH2CH2−で表される基が挙げられる。中でも、Xにおける−R11−Ar11−R12−で表される基としては、−CH2−Ph−CH2−で表される基が好ましい。
好ましいジアミン(Ia)としては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、p−キシリレンジアミン等が挙げられる。中でも、ジアミン(Ia)としては、1,3−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン又はp−キシリレンジアミンが好ましい。
重合工程は、溶媒存在下又は溶媒非存在下で行うことができる。溶媒としては、上記二官能性環状カーボナートの製造方法の反応工程において例示されたものと同様のものが挙げられる。
溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
重合工程は、触媒を用いずに行うことができる。
反応工程は、例えば、不活性ガスの雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
前記不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられる。
重合工程において、ジアミン(Ia)の使用量は、化合物(I)の使用量の0.5倍モル量以上1.5倍モル量以下であることが好ましく、0.7倍モル量以上1.3倍モル量以下であることがより好ましい。
重合工程において、後述する実施例に示すように、反応後期では、生成されたポリヒドロキシウレタンのポリマー鎖末端のアミノ基のモル濃度が、生成するヒドロキシ基末端のモル濃度に比べて著しく低下する。そのため、化合物(I)がアミノ基ではなく、ヒドロキシ基と反応して、ポリマー鎖が架橋されて、ポリヒドロキシウレタンのゲル化が発生する虞がある。よって、ポリヒドロキシウレタンのゲル化を抑制するために、反応の途中、例えば、反応開始から30分後、1時間後、2時間後、3時間後に、ジアミン(Ia)を、化合物(I)の使用量の0.05倍モル量以上0.3倍モル量以下、好ましくは0.07モル量以上0.2倍モル量以下の量となるように添加することが好ましい。これにより、ポリヒドロキシウレタン中で架橋構造が形成されることを防ぐことができ、生成されたポリヒドロキシウレタンのゲル化を効果的に抑制することができる。
なお、反応全体を通してのジアミン(Ia)の使用量が上記範囲内となるようにすればよく、例えば、反応開始時に、反応全体を通してのジアミン(Ia)の使用量の半分以上の量のジアミン(Ia)を投入し、反応の途中に、反応全体を通してのジアミン(Ia)の使用量の半分未満の量のジアミン(Ia)をさらに投入することができる。また、例えば、反応開始時に、化合物(I)の使用量と等モル量のジアミン(Ia)を投入し、反応開始から3時間後に、化合物(I)の使用量の0.1倍モル量のジアミン(Ia)をさらに投入することが好ましい。
重合工程において、後述する実施例に示すように、重合温度を調整することで、得られるポリヒドロキシウレタンの構造を制御することができる。
分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンが比較的多くなるように製造する、具体的には、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンの含有量が得られるポリヒドロキシウレタンの総モル量に対して11モル%以上となるように製造する場合には、重合温度を50℃以上とすることが好ましく、60℃以上とすることがより好ましい。
重合温度が上記下限値以上であることで、直鎖構造を有するポリヒドロキシウレタンの生成をより効果的に抑えることができ、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンの収率をより向上させることができる。一方、反応温度の上限値は特に限定されず、例えば、100℃とすることができる。
一方、直鎖構造を有するポリヒドロキシウレタンが比較的多くなるように製造する、具体的には、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンの含有量が得られるポリヒドロキシウレタンの総モル量に対して4モル%以下となるように製造する場合には、重合温度を5℃以下とすることが好ましく、0℃とすることがより好ましい。
重合温度が上記上限値以下であることで、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンの生成をより効果的に抑えることができ、直鎖構造を有するポリヒドロキシウレタンの収率をより向上させることができる。一方、反応温度の下限値は特に限定されず、例えば、0℃とすることができる。
また、アルケニル基の炭素数が7以上であるジアミン(Ia)を用いた際に、溶媒への溶解性が低い場合には、一時的に、重合温度を60℃超100℃以下程度に上昇させて、10分間以上1時間以下程度の短時間保持して、ジアミン(Ia)を溶解させて反応溶液を均一にした後、重合温度を低下させて、上記上限値以下の温度となるようにすることができる。
重合時間は、例えば、1時間以上24時間以下とすることができ、6時間以上20時間とすることができる。
[その他の工程]
本実施形態のポリヒドロキシウレタンの製造方法は、重合工程の後、すなわち、反応終了後に、ポリヒドロキシウレタンの精製工程を更に含んでもよい。
精製工程では、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、ポリヒドロキシウレタンを取り出す。具体的には、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、ポリヒドロキシウレタンを粗精製する。
また、上記粗精製されたポリヒドロキシウレタンの純度を高めるために、適宜必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて、さらに1回以上行うことが好ましい。
本実施形態のポリヒドロキシウレタンの製造方法において、反応工程後、精製工程を行わなくてもよいが、ポリヒドロキシウレタンの貯蔵安定性やポリヒドロキシウレタンを多種用途に利用する観点から、ポリヒドロキシウレタンの精製工程を行うことが好ましい。
ポリヒドロキシウレタンは、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法で構造を確認できる。
<ポリヒドロキシウレタンの使用用途>
本実施形態の製造方法で得られたポリヒドロキシウレタンは、例えば、成型材料や塗料用のバインダー等の工業材料等に好適に用いられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。後述する、実施例及び比較例において行われた各種の分析は、以下の方法により測定された。
[評価1]
(化合物(I)の収率)
化合物(I)の収率(選択率ともいう)は、H−NMR分析方法により求めた。分析条件は以下のとおりであった。
(分析条件)
装置:JEOL ECS−400 spectrometer
サンプル調整:反応溶液の一部(約0.1mL)を減圧濃縮し、重DMSO(DMSO−d)(約0.55mL)に溶解させた。
H−NMR分析を用いた収率(選択率)の解析方法として具体的には、上記で調整したサンプルのH−NMR測定を行い、目的化合物である2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dione(化合物(I))と副生成物(不純物)に対応するHシグナルの積分比から化合物(I)の収率(選択率)を算出した。
[実施例1]
下記反応式に示すように、ペンタエリトリトール(PE)と炭酸ジフェニル(ジフェニルカーボナート;DPC)を反応させることで、2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dione(化合物(I))を得た。
Figure 2021178775
詳細な反応条件は、以下に示すとおりである。
1000mLフラスコにDPC(29.15g、0.136mol)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(800mL)を加え、100℃に加熱した。ここに、PE(3.09g、0.023mol)のDMF溶液(40mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。室温に戻した後、DMFを減圧留去し、残渣に酢酸エチル(EtOAc)/n−ヘキサン(約100mL/約100mL)を加え、析出した白色固体を回収した。さらに、得られた白色固体を熱DMF(約60mL)に溶解させ、ジエチルエーテル(EtO)(約120mL)を加えて再結晶することで、白色固体として化合物(I)(収量3.16g、収率74%)を得た。
化合物(I)の、H−NMR、13C−NMR、融点測定器、及び赤外分光光度計(IR)による分析結果を以下に示す。また、H−NMRスペクトルを図1Aに、13C−NMRスペクトルを図1Bに示す。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, rt): δ 4.42 (s, 8H, CH2).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6, rt): δ 147.056 (C=O), 68.84 (CH2-O-), 29.67 (-C-).
Mp: 220-225 ℃ (dec.).
IR (ATR, cm-1): 1737 (νC=O), 1254 (νC-O), 1171 (νC-O), 1125 (νC-O), 1094 νC-O).
なお、反応溶媒として使用したDMFを回収後、溶媒として再利用したが、収率や純度にほとんど影響はなく、最低でも5回程は繰り返し再利用が可能なことを確認した。
<ペンタエリトリトール(PE)濃度の検討>
次いで、PE1モル等量に対して過剰量のDPC(10モル等量)存在下で、反応溶液中の初期ペンタエリトリトール(PE)濃度を100mM(mmol/L)から20mM(mmol/L)に変化させて、100℃で反応させた場合での、化合物(I)の収率を検討した。
[実施例2]
(初期PE濃度:100mM)
10mLフラスコにDPC(428mg、2.0mmol)とDMF(1.5mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(27.2mg、0.20mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は43.8%であった。なお、H−NMR測定の結果を図2に示す。
[実施例3]
(初期PE濃度:80mM)
10mLフラスコにDPC(428mg、2.0mmol)とDMF(2.0mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(27.2mg、0.20mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は55.0%であった。
[実施例4]
(初期PE濃度:60mM)
10mLフラスコにDPC(428mg、2.0mmol)とDMF(2.8mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(27.2mg、0.20mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は64.0%であった。
[実施例5]
(初期PE濃度:40mM)
10mLフラスコにDPC(428mg、2.0mmol)とDMF(4.5mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(27.2mg、0.20mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は78.3%であった。
[実施例6]
(初期PE濃度:20mM)
25mLフラスコにDPC(428mg、2.0mmol)とDMF(9.5mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(27.2mg、0.20mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は86.8%であった。
図3は、実施例2〜6で得られた化合物(I)の収率(選択率)と初期PE濃度との関係を示すグラフである。図3に示すように、初期PE濃度の減少に伴って、化合物(I)の選択率が43.8%から86.8%へと増加し、初期PE濃度と化合物(I)の生成比の間に直線関係が観測された。この結果から、低濃度ではPEのカーボナート化が分子間より分子内で優先的に起こり、その結果、化合物(I)がより選択的に生成したと考えられる。
<温度の検討>
上記実施例2〜6における結果から、初期PE濃度の中でも最も選択率の高かった20mMで、PE1モル等量に対して過剰量のDPC(10モル等量)存在下で、反応温度を20℃から100℃まで変化させて反応させた場合での、化合物(I)の収率を検討した。
[実施例7]
(反応温度:20℃)
25mLフラスコにDPC(428mg、2.0mmol)とDMF(9.5mL)を加え、20℃に調整した。ここにPE(27.2mg、0.20mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、20℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させたところ、不溶部が見られた。当該溶液の可溶部を用いてH−NMR測定を行った結果、化合物(I)の収率(選択率)は8.5%であった。
[実施例8]
(反応温度:50℃)
25mLフラスコにDPC(428mg、2.0mmol)とDMF(9.5mL)を加え、50℃に加熱した。ここにPE(27.2mg、0.20mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、50℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は69.1%であった。
[実施例9]
(反応温度:75℃)
25mLフラスコにDPC(428mg、2.0mmol)とDMF(9.5mL)を加え、75℃に加熱した。ここにPE(27.2mg、0.20mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、75℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は84.5%であった。
[実施例10]
(反応温度:100℃)
25mLフラスコにDPC(428mg、2.0mmol)とDMF(9.5mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(27.2mg、0.20mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は86.8%であった。
図4は、実施例7〜10で得られた化合物(I)の収率(選択率)と反応温度との関係を示すグラフである。図4に示すように、化合物(I)の選択率は温度の上昇とともに増加し、75℃付近でおおよそ横ばいになった。また、いずれにおいても未反応のPEは観測されなかった。このことから、下記反応式に示すように、高温では、PEのOH基の一部がDPCと反応して生じた中間体がエントロピー的に不利な環状カーボナートを形成しやすいのに対し、一方、低温では中間体がエントロピー的に有利な分子間での鎖状カーボナートの生成を優先するため、温度の低下により化合物(I)の選択率が減少したと考えられる。
Figure 2021178775
<PEに対するDPCのモル比([DPC]/[PE])の検討>
上記実施例2〜10における結果から、初期PE濃度20mMで、反応温度を100℃に固定して、PEに対するDPCのモル比を10/1から2/1まで変化させて反応させた場合での、化合物(I)の収率を検討した。
[実施例11]
([DPC]/[PE]:10/1)
10mLフラスコにDPC(214mg、1.0mmol)とDMF(4.5mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(13.6mg、0.10mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は86.8%であった。
[実施例12]
([DPC]/[PE]:8/1)
10mLフラスコにDPC(171.4mg、0.80mmol)とDMF(4.5mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(13.6mg、0.10mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は94.2%であった。
[実施例13]
([DPC]/[PE]:6/1)
10mLフラスコにDPC(128.5mg、0.60mmol)とDMF(4.5mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(13.6mg、0.10mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は93.9%であった。
[実施例14]
([DPC]/[PE]:4/1)
10mLフラスコにDPC(85.7mg、0.40mmol)とDMF(4.5mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(13.6mg、0.10mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。その結果、化合物(I)の収率(選択率)は91.2%であった。
[実施例15]
([DPC]/[PE]:2/1)
10mLフラスコにDPC(42.8mg、0.20mmol)とDMF(4.5mL)を加え、100℃に加熱した。ここにPE(13.6mg、0.10mmol)のDMF溶液(0.5mL)を素早く加え、フラスコ内を窒素置換し、100℃で12時間撹拌した。溶液の一部を減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させころ、不溶部が見られた。当該溶液の可溶部を用いてH−NMR測定を行った結果、化合物(I)の収率(選択率)は86.6%であった。
実施例11〜15の生成物のH−NMR測定において、いずれの測定においても未反応のOH基のシグナルは観測されなかった。
図5は、実施例11〜15で得られた化合物(I)の収率(選択率)とPEに対するDPCのモル比との関係を示すグラフである。図5に示すように、PEに対するDPCのモル比が2/1では不溶部が観測されたが、可溶部における化合物(I)の選択率は、PEに対するDPCのモル比が10/1から4/1までと比べて大きな差はなかった。一方、PEに対するDPCのモル比が10/1から4/1まででは不溶部は観測されず、選択率にも大きな差は見られなかった。
以上の結果から、PEに対するDPCのモル比が2/1では、上記反応温度の検討における20℃程度の低温での反応時と同様に、PEのOH基の一部がDPCと反応して生じた中間体に対して未反応のPEが過剰になり、その結果、中間体が分子内環化反応を起こす前にPE又は中間体のOH基と反応することで、オリゴマー等の副生成物が生じたと考えられる。
[実施例16]
(化合物(I)の反応性)
化合物(I)が2つの六員環環状カーボナートからなるスピロ構造を有することから、類似の六員環環状カーボナートに比べて環ひずみが大きく、反応性が高いと予想された。そこで、モデル化合物として5,5−dimethyl−1,3−dioxan−2−one(以下、「化合物(IV)」と称する場合がある)を用い、化合物(I)と化合物(IV)の共存下(モル比:[化合物(I)]0/[化合物(IV)]=1/1)、DMSO−d中、室温で0.9モル等量のモノアミン(1−hexylamine)と反応させることで、化合物(I)と化合物(IV)の反応性を比較した。各反応での生成物のH−NMR測定結果を図6に示す。
図6から、化合物(I)は選択的にモノアミン(1−hexylamine)と反応したのに対し、化合物(IV)はほとんど消費されなかった(収率:1%以下)。すなわち、化合物(I)のアミンとの反応性は、化合物(IV)に比べて100倍以上高いことが明らかになった。
<ポリヒドロキシウレタンの製造>
[実施例17]
(化合物(I)とジアミンの開環重付加挙動)
下記反応式に示すように、化合物(I)とジアミンを反応させることで、ポリヒドロキシウレタンが得られる。
Figure 2021178775
なお、以下の反応式において、Xは、アルキレン基、アラルキレン基又は−R11−Ar11−R12−で表される基である。Ar11は2価の芳香族炭化水素基であり、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1以上20以下のアルキレン基である。nは1以上の整数である。nは1以上の整数である。
スピロ型ビスカーボナートである化合物(I)と1,6−diaminohexaneの重付加をDMSO中、85℃で行い、ポリヒドロキシウレタン(C6)の合成を試みた。その結果、反応24時間後にはゲル化していた。
そこで、化合物(I)と1,6−diaminohexaneとの重付加挙動を検証するため、DMSO中、50℃で重付加挙動をゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定により追跡した(下記反応式参照)。GPC測定の結果を図7に示す。また、図8は、化合物(I)及び1,6−ジアミノヘキサンの反応時間と、生成物の数平均分子量又は分子量分布との関係を示すグラフである。
Figure 2021178775
図7及び図8から、反応3時間あたりから高分子量側に新たにピークが出現し、さらに、反応時間の増加にともないピーク面積が増加するとともに高分子量側にシフトした。これは恐らく、反応後期ではポリマー鎖末端のアミノ基の濃度が生成するヒドロキシ基の濃度に比べ著しく低下するため、ポリマー鎖末端の六員環環状カーボナート基がアミノ基ではなく側鎖のヒドロキシ基と反応し、ポリマー鎖が架橋されたためだと考えられる。なお、同様のゲル化は他の二官能性六員環環状カーボナートとジアミンとの重付加においても報告されている。そこで、この副反応を防ぐため、反応3時間後に0.1モル等量の1,6−diaminohexaneを反応系に加えたところ、一晩たってもゲル化は観測されなかった。
以上の結果を踏まえ、下記反応式に示すように、DMSO中、50℃で、反応3時間後に0.1モル等量のジアミンを添加する重付加反応条件に統一し、ジアミンの異なる計4種類のポリヒドロキシウレタン(PHUs)(C3、C6、C8、p−Xyl)を製造した。
Figure 2021178775
具体的な製造方法を以下の実施例18〜21に示す。
[実施例18]
(ポリヒドロキシウレタン(C3)の製造)
5mLのバイアルに化合物(I)(250mg、1.33mmol)を加え、シリコンセプタムで蓋をし、バイアル内を窒素置換した。ここにdry DMSO(2mL)を加えて懸濁させた後、1,3−diaminopropane(112μL、1.33mmol)を室温で加えた(すぐに均一溶液になった)。この溶液を50℃に加熱して窒素雰囲気下で撹拌した。3時間後、1,3−diaminopropane(11μL、0.13mmol)を加え、50℃で16時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約125mL)に滴下し、約4℃で4時間静置した。析出した固体を回収し、これをDMF(約4mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して白色固体であるポリヒドロキシウレタン(C3)(330mg、収率95%)を得た。H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルでポリヒドロキシウレタン(C3)の構造を確認した。ポリヒドロキシウレタン(C3)のH−NMRスペクトルの積分比から算出された、副反応の割合は約22%であり、ポリヒドロキシウレタン(C3)の総モル量に対する分岐構造を有するポリヒドロキシウレタン(C3)の含有量は約11モル%であった。
[実施例19]
(ポリヒドロキシウレタン(C6)の製造)
5mLのバイアルに化合物(I)(250mg、1.33mmol)と1,6−diaminohexane(154mg、1.33mmol)を加え、シリコンセプタムで蓋をし、バイアル内を窒素置換した。ここにdry DMSO(2mL)を室温で加え(すぐに均一溶液になった)、50℃に加熱して窒素雰囲気下で撹拌した。3時間後、1,6−diaminohexane(15.4mg、0.13mmol)を加え、50℃で12時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約125mL)に滴下し、約4℃で1時間静置した。析出した固体を回収し、これをMeOH(約5mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して白色固体であるポリヒドロキシウレタン(C6)(356mg、収率88%)を得た。H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルでポリヒドロキシウレタン(C6)の構造を確認した。
[実施例20]
(ポリヒドロキシウレタン(C8)の製造)
5mLのバイアルに化合物(I)(250mg、1.33mmol)と1,8−diaminooctane(191.7mg、1.33mmol)を加え、シリコンセプタムで蓋をし、バイアル内を窒素置換した。ここにdry DMSO(3mL)を室温で加え(一部不溶)、95℃に加熱して窒素雰囲気下で0.5時間、50℃で2.5時間撹拌した。ここに1,8−diaminooctane(19.7mg、0.13mmol)を加え、95℃で3.5時間、50℃で2.5時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約125mL)に滴下し、約4℃で3時間静置した。析出した固体を回収し、これをMeOH(約5mL)に溶かし、CHCl/n−ヘキサン(約100mL/約50mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して白色固体であるポリヒドロキシウレタン(C8)(375mg、収率85%)を得た。H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルでポリヒドロキシウレタン(C8)の構造を確認した。
[実施例21]
(ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)の製造)
5mLのバイアルに化合物(I)(250mg、1.33mmol)とp−xylylenediamine(181mg、1.33mmol)を加え、シリコンセプタムで蓋をし、バイアル内を窒素置換した。ここにdry DMSO(2mL)を室温で加え(一部不溶)、5分間撹拌後、50℃に加熱して窒素雰囲気下で3時間撹拌した。ここにp−xylylenediamine(18.1mg、0.13mmol)を加え、50℃で12.5時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約125mL)に滴下し、約4℃で1時間静置した。析出した固体を回収し、これをDMF(約5mL)に溶かし、CHCl(約125mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して薄黄色固体であるポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)(407mg、収率94%)を得た。H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルでポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)の構造を確認した。ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)のH−NMRスペクトルの積分比から算出された、副反応の割合は約22%であり、ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)の総モル量に対する分岐構造を有するポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)の含有量は約11モル%であった。
また、実施例18〜21で得られた各ポリヒドロキシウレタンは、GPC測定、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)により同定した。重合条件、収率、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を表1にまとめた。
Figure 2021178775
FT−IRの結果から、いずれのポリヒドロキシウレタンにおいても、スピロ型環状カーボナートである化合物(I)のC=O伸縮振動に起因する1737cm−1ピークが完全に消失し、1686cm−1以上1690cm−1以下にウレタンのC=O伸縮振動に起因するピーク及び3310cm−1付近にN−H/O−H伸縮振動に起因するピークが観測された。
H−NMRスペクトルから、いずれのポリヒドロキシウレタンにおいても、ウレタン基のNH(cis/trans mixture:6.8ppm以上7.1ppm以下)とヒドロキシ基のOH(4.3ppm以上4.7ppm以下)、及び、その他のプロトンに対応するシグナルが観測され、13C−NMRスペクトルから、いずれのポリヒドロキシウレタンにおいても、156ppm付近にウレタン基のC=Oに起因する13Cシグナルが観測された。
また、得られた各ポリヒドロキシウレタンの数平均分子量Mnは3.5×10以上14.2×10以下、分子量分布Mw/Mnは2.0以上5.8以下であった。
これらの結果から、製造されたた各ポリヒドロキシウレタンは、側鎖にヒドロキシ基を有するポリウレタンであり、目的のポリヒドロキシウレタンが生成していることが分かった。
表1に示すように、ポリヒドロキシウレタン(C8)の数平均分子量Mnが最も高かった。しかしながら、分子量分布Mw/Mnが5.5と広く、GPC測定から二峰性のピークが観測された。これらのことから、ポリヒドロキシウレタン(C8)は、部分的に分岐構造を含んでいると考えられ、これは反応初期に95℃で加熱したことが原因だと推定された。また、95℃で加熱していない、ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)も広い分子量分布(Mw/Mn=5.8)を示した。この理由については不明であるが、p−xylenediamineのベンジル位のアミノ基の求核性が他のジアミンに比べて低く、そのため、ポリマー鎖末端の六員環環状カーボナート基と側鎖のヒドロキシ基間での反応がより起こりやすくなったと考えられる。
[実施例22]
(ポリヒドロキシウレタンの熱物性)
実施例18〜21で得られた各ポリヒドロキシウレタンについて、熱重量示差熱分析(TGA−DTA)、及び、示差走査熱量分析(DSC)を行った。TGA−DTAの結果を図9に、DSCの結果を図10に示す。
図9から、5%質量減少温度(Td5)は、ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)を除き、ジアミンの炭素数の増加にともない236℃以上286℃以下へと上昇した。これは恐らく、加熱によりポリヒドロキシウレタンが解重合を起こし、対応するモノマー(化合物(I)とジアミン)に変換され、沸点の高いジアミンが生じるポリヒドロキシウレタンほどTd5が高くなったと考えられる。一方、ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)の解重合により生じるジアミンのp−xylylenediamineの沸点が他の脂肪族ジアミンより高いにもかかわらず、ポリヒドロキシウレタン(C8)のTd5より低い269℃を示した。また、ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)の質量減少が500℃でも100%にならなかった。これらのことから、加熱により生じたp−xylylenediamineが炭化し、その結果、ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)のTd5がポリヒドロキシウレタン(C8)より低くなったと考えられる。実際、ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)のTGA−DTA後のサンプルを確認したところ、黒色の固形物が観測された。
図10から、ポリヒドロキシウレタン(C3)、(C6)及び(C8)のガラス転移温度Tgは42.5℃以上47.4℃以下であり、ジアミン残基の炭素鎖数とTg間に特に相関は見られなかった。Tgがポリマーの分子量に影響を受けることを考慮すると、相関が見られなかった原因として、ポリヒドロキシウレタン(C3)、(C6)及び(C8)の数平均分子量Mnが異なることが挙げられる。一方、主鎖に芳香族基を有するポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)は、ポリヒドロキシウレタン(C3)、(C6)及び(C8)に比べて、より高いTg(85.7℃)を示した。また、いずれのポリヒドロキシウレタンにおいても融点は観測されず、非晶性であることが分かった。
[実施例23]
(化合物(I)のジヒドロキシウレタン誘導体への誘導)
化合物(I)1モル等量を2モル等量のモノアミンと反応させることで、対応するジヒドロキシウレタンへと誘導することができる。このジヒドロキシウレタン誘導体をジイソシアネートと重付加させることで、側鎖にウレタン基を有するポリウレタンの合成が可能となる。また、ジヒドロキシウレタン誘導体は、DPCとの反応により2つのウレタン基を有する新規な六員環環状カーボナートへ変換ができる可能性を有する。
これらのことから、化合物(I)のジヒドロキシウレタン誘導体の合成を検討した。
以下の反応式に示すように、化合物(I)1モル等量を2モル等量のモノアミンと反応させることで、ジヒドロキシウレタン誘導体(以下、「化合物(V)」と称する場合がある)が得られた。具体的な合成手順を以下に述べる。
Figure 2021178775
化合物(I)(500mg、2.66mmol)をdry DMF(5mL)に懸濁させ、1−hexylamine(592mg、5.85mmol)を室温でゆっくり加え、室温で14.5時間撹拌した。DMFを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラム(eluent:EtOAc/n−ヘキサン=3/1、vol/vol)で精製し、白色固体である化合物(V)(744mg、収率72%)を得た。
化合物(V)の、エレクトロスプレーイオン化質量分析計(ESI−MS)、H−NMR、13C−NMR、融点測定器、及び赤外分光光度計(IR)による分析結果を以下に示す。また、H−NMRスペクトルを図11に示す。
HRMS (ESI-MS) (positive): m/z calcd for [M + Na]+, 413.2628, found, 413.2629.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, rt): δ (trans-urethane isomer) 7.06 (t, J = 5.7 Hz, 2H, NH), 4.46 (t, J = 5.0 Hz, 2H, OH), 3.87 (s, 4H, -NHCOOCH2-), 3.36 (d, J = 5.3 Hz, partially overlapping with residual H2O signal, -CH2OH), 2.93 (q, J = 6.7 Hz, 4H, -NHCH2-), 1.37 (t, J = 6.7 Hz, 4H, -NHCH2CH2-), 1.29-1.21 (m, 12H, -CH2-(CH2)3-CH3), 0.85 (t, J = 6.8 Hz, 6H, -CH3).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6, rt): δ (trans-urethane isomer) 156.46, 62.59, 59.69, 44.39, 40.26, 31.06, 29.45, 26.00, 22.13, 13.97.
Mp: 79.0-81.0 ℃.
IR (ATR, cm-1): 3278 (νN-H and/or νO-H), 1687 (νC=O), 1545 (νN-H), 1252 (νC-O), 1048(νC-O).
[実施例24]
(化合物(I)とモノアミンによるモデル反応による副生成物の同定)
化合物(I)とモノアミンによるモデル反応を行った。具体的な合成手順は以下に示すとおりである。
化合物(I)(500mg、2.66mmol)をdry DMF(5mL)に懸濁させ、1−hexylamine(592mg、5.85mmol)を室温でゆっくり加え、50℃で14.5時間撹拌した。反応溶液の一部について、DMFを減圧留去し、残渣をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。また、反応溶液の残りについて、残渣をシリカゲルカラム(eluent:CHCl/EtOAc=2/8、vol/vol)で精製し、得られた固体をDMSO−dに溶解させてH−NMR測定を行った。H−NMR測定の結果を図12に示す。また、反応生成物について、ESI−MS分析により同定した。その結果、下記反応式に示すように、目的生成物である化合物(V)に加えて、副生成物として化合物(V’)及び化合物(V’’)が生成されていることが明らかとなった。なお、反応式中、Rはヘキシル基である。
Figure 2021178775
<ポリヒドロキシウレタンの製造条件の検討>
[実施例25]
(反応温度:50℃)
5mLのバイアルに化合物(I)(250mg、1.33mmol)と1,6−diaminohexane(154mg、1.33mmol)を加え、シリコンセプタムで蓋をし、バイアル内を窒素置換した。ここにdry DMSO(2mL)を室温で加え、50℃に加熱して窒素雰囲気下で撹拌した。3時間後、1,6−diaminohexane(15.4mg、0.13mmol)を加え、50℃で12時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約125mL)に滴下し、約4℃で1時間静置した。析出した固体を回収し、これをMeOH(約5mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して白色固体であるポリヒドロキシウレタン(C6)(356mg、収率88%)を得た。ポリヒドロキシウレタン(C6)のH−NMRスペクトルを図13に示す。
図13から、ポリヒドロキシウレタン(C6)に加えて、実施例24でのモデル反応で同定された副生成物である化合物(V’)及び化合物(V’’)に対応する副生成物が生成されていることが確かめられた。ポリヒドロキシウレタン(C6)、化合物(V’)及び化合物(V’’)の生成比を、H−NMRスペクトルの積分比から算出した。生成比は、ポリヒドロキシウレタン(C6):化合物(V’):化合物(V’’)=6.3:1:1であり、副反応の割合は約24%であった。
以上の結果から、ポリヒドロキシウレタン(C6)は側鎖に2つヒドロキシ基を有するモノマー単位(化合物(V)の構造に対応)と、側鎖に1つのヒドロキシ基と1つのウレタン基を有するモノマー単位(化合物(V’)の構造に対応)を含んでおり、分岐構造をとっていることが示唆された。また、ポリヒドロキシウレタン(C6)の主鎖及び側鎖の末端構造は、アミノ末端以外にヒドロキシ基を3つ有する化合物(V’’)の構造に対応する末端構造を有していることが示唆された。
[実施例26]
(反応温度:0℃)
5mLのバイアルに1,6−diaminohexane(154mg、1.33mmol)を加え、シリコンセプタムで蓋をし、バイアル内を窒素置換した。ここにdry DMF(2mL)を室温で加え、0℃に冷却し、化合物(I)(250mg、1.33mmol)を粉末で加えた。0℃で18時間撹拌した後、1,6−diaminohexane(15.4mg、0.13mmol)を0℃で加えた後、50℃で5時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約125mL)に滴下し、約4℃で1時間静置した。析出した固体を回収し、これをMeOH(約5mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して白色固体であるポリヒドロキシウレタン(C6)(305mg、80%)を得た。ポリヒドロキシウレタン(C6)のH−NMRスペクトルを図14に示す。ポリヒドロキシウレタン(C6)、化合物(V’)及び化合物(V’’)の生成比を、H−NMRスペクトルの積分比から算出した。生成比は、ポリヒドロキシウレタン(C6):化合物(V’):化合物(V’’)=25:1:1であり、副反応の割合は約7%であり、ポリヒドロキシウレタン(C6)の総モル量に対する、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタン(C6)の含有量は約3.5モル%であった。
以上の結果から、0℃でポリヒドロキシウレタン(C6)を合成した本実施例は、50℃でポリヒドロキシウレタン(C6)を合成した実施例25(副反応の割合:約24%)に比べて、副反応が著しく抑制されることが分かった。
[実施例27]
(ポリヒドロキシウレタン(C3)の製造:反応温度0℃)
5mLのバイアルに1,3−diaminopropane(112μL、1.33mmol)とdry DMF(2mL)を室温で加え、0℃に冷却し、化合物(I)(250mg、1.33mmol)を粉末で加え、0℃で18時間撹拌した。ここに1,3−diaminopropane(11μL、0.13mmol)を0℃で加えた後、50℃で5時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約100mL)に滴下し、析出した固体を回収し、これをDMF(約4mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して白色固体であるポリヒドロキシウレタン(C3)(312mg、収率90%)を得た。H−NMRスペクトルの積分比から算出された、副反応の割合は約8%であり、ポリヒドロキシウレタン(C3)の総モル量に対する、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタン(C3)の含有量は約4モル%であった。
[実施例28]
(ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)の製造:反応温度0℃)
5mLのバイアルにp−xylylenediamine(181mg、1.33mmol)とdry DMF(2mL)を室温で加え、0℃に冷却し、化合物(I)(250mg、1.33mmol)を粉末で加え、0℃で18時間撹拌した。ここにp−xylylenediamine(18.1mg、0.13mmol)を0℃で加えた後、50℃で5時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約100mL)に滴下し、析出した固体を回収し、これをDMF(約4mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して白色固体であるポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)(396mg、収率92%)を得た。H−NMRスペクトルの積分比から算出された、副反応の割合は約8%であり、ポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)の総モル量に対する、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)の含有量は約4モル%であった。
以上の結果から、0℃でポリヒドロキシウレタン(C3)及びポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)を合成した実施例27及び28では、50℃でポリヒドロキシウレタンポリヒドロキシウレタン(C3)及びポリヒドロキシウレタン(p−Xyl)を合成した実施例18及び実施例21(副反応の割合:約11%)に比べて、副反応が著しく抑制されることが分かった。
本実施形態の製造方法によれば、簡便且つ収率が向上した二官能性環状カーボナートの製造方法及び二官能性環状カーボナートを用いた新規のポリヒドロキシウレタンの製造方法を提供することができる。

Claims (13)

  1. ペンタエリトリトールと炭酸ジアリールとを反応させて、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートを得る反応工程を含み、
    前記スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートが2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneである、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートの製造方法。
  2. 前記反応工程において、触媒を用いない、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記反応工程において、40℃以上100℃以下で反応を行う、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記反応工程において、50℃以上100℃以下で反応を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記反応工程において、ペンタエリトリトールに対する炭酸ジアリールのモル比が2/1以上10/1以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記反応工程において、ペンタエリトリトールに対する炭酸ジアリールのモル比が4/1以上10/1以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記反応工程において、ペンタエリトリトールの濃度が反応溶液の総容量に対して、10mmol/L以上100mmol/L以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記反応工程において、ペンタエリトリトールの濃度が反応溶液の総容量に対して、10mmol/L以上80mmol/L以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記炭酸ジアリールが炭酸ジフェニルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートと、下記一般式(Ia)で表されるジアミンとを反応させて、ポリヒドロキシウレタンを得る重合工程を含み、
    前記スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートが2,4,8,10−tetraoxaspiro[5,5]−undecane−3,9−dioneである、ポリヒドロキシウレタンの製造方法。
    Figure 2021178775
    (一般式(Ia)において、Xは、アルキレン基、アラルキレン基又は−R11−Ar11−R12−で表される基である。Ar11は2価の芳香族炭化水素基であり、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1以上20以下のアルキレン基である。)
  11. 前記重合工程において、5℃以下で重合反応を行い、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンの含有量がポリヒドロキシウレタンの総モル量に対して4モル%以下となるように制御する、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記重合工程において、50℃以上で重合反応を行い、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンの含有量がポリヒドロキシウレタンの総モル量に対して11モル%以上となるように制御する、請求項10に記載の製造方法。
  13. 前記スピロ構造を有する二官能性環状カーボナートは、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法で得られたものである、請求項10〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
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