JP2022060897A - Abac型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンの製造方法 - Google Patents

Abac型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンの製造方法 Download PDF

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Naoki Aisaka
剛 遠藤
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Abstract

【課題】簡易な手順で製造でき、且つ、モノマー配列が制御された、新規のポリヒドロキシウレタンの製造方法を提供する。【解決手段】ポリヒドロキシウレタンの製造方法は、ABAC型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンの製造方法であって、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナート(A)と、ジアミン(B)と、を反応させた後、得られた反応物と、ジアミン(C)と、を反応させて、ポリヒドロキシウレタンを得る工程を含み、前記二官能性環状カーボナート(A)が2,4,8,10-tetraoxaspiro[5,5]-undecane-3,9-dioneであり、前記ジアミン(B)と前記ジアミン(C)とは異なる構造からなる。【選択図】なし

Description

本発明は、ABAC型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンの製造方法に関する。
タンパク質やDNA等の生体高分子は、その一次構造(モノマーの配列)に起因した特異な高次構造を形成することで、高度な機能を発現している。一方、2種類のモノマーからなる交互共重合体を除き、3種類以上のモノマーの共重合により得られる合成高分子は、重合時にモノマー配列の制御が困難であるため、規則的なモノマー配列を有する高分子の合成例は、非対称なモノマーや異なる反応(付加反応+縮合反応等)を組み合わせた手法に限られている(例えば、非特許文献1~3等参照)。また、このようなモノマー配列が制御された高分子は、2種類以上の官能基を特定の間隔及び配列で高分子主鎖に沿って導入できるため、官能基がランダムに配置された高分子とは異なる性質を示すことが期待される。
一方、発明者らは、最近、安価なポリオールであるペンタエリトリトール(PE)とジフェニルカーボナート(DPC)から、無触媒且つ簡易な精製手順でスピロ構造を有する二官能性環状カーボナート(2,4,8,10-tetraoxaspiro[5,5]-undecane-3,9-dione;下記式(I)で表される化合物である。以下、「化合物(I)」と称する場合がある)の合成法を開発している。
Figure 2022060897000001
Ueda M., "Sequence control in one-step condensation polymerization.", Prog. Polym. Sci., Vol. 24, pp. 699-730, 1999. Lutz J F et al., "Sequence-Controlled Polymers.", Science, Vol. 341, Issue 6146, 1238149, 2013, DOI: 10.1126/science.1238149. Qu C et al., "Recent developments in the synthesis of sequence controlled polymers.", Vol. 58, No. 11, pp. 1651-1662, 2015.
本発明は、簡易な手順で製造でき、且つ、モノマー配列が制御された、新規のポリヒドロキシウレタンの製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) スピロ構造を有する二官能性環状カーボナート(A)と、ジアミン(B)と、を反応させた後、得られた反応物と、ジアミン(C)と、を反応させて、ポリヒドロキシウレタンを得る工程を含み、
前記二官能性環状カーボナート(A)が2,4,8,10-tetraoxaspiro[5,5]-undecane-3,9-dioneであり、
前記ジアミン(B)と前記ジアミン(C)とは異なる構造からなる、ABAC型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンの製造方法。
(2) 前記ジアミン(B)の添加量が、前記二官能性環状カーボナート(A)1モル当量に対して、0.4モル当量以上0.6モル当量以下である、(1)に記載の製造方法。
(3) 前記ジアミン(B)の添加量が、前記二官能性環状カーボナート(A)1モル当量に対して、0.5モル当量である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4) 前記工程において、5℃以下で反応を行う、(1)~(3)のいずれか一つに記載の製造方法。
上記態様の製造方法によれば、簡易な手順で製造でき、且つ、モノマー配列が制御された、新規のポリヒドロキシウレタンの製造方法を提供することができる。
(a)実施例1における1-へキシルアミンと化合物(I)の反応溶液のH NMRスペクトルである。(b)実施例1における1-へキシルアミンと中間体2aの反応溶液のH NMRスペクトルである。 実施例1におけるH NMR測定により見積もられた各二次反応速度を示すグラフである。 実施例2におけるジヒドロキシウレタン3dのH NMRスペクトルである。 (a)実施例3におけるp-キシリレンジアミンと化合物(I)を0℃で7時間反応させた溶液のH NMRスペクトルである。(b)実施例3における1,6-ジアミノヘキサンと中間体6aを0℃で40時間反応させた溶液のH NMRスペクトルである。 実施例3におけるpoly-(Xyl/C6)、及び、比較として化合物(I)とp-キシリレンジアミン又は1,6-ジアミノヘキサンの重付加で得られたポリヒドロキシウレタン(poly-Xyl及びpoly-C6)のH NMRスペクトルである。 実施例3におけるpoly-(Xyl/C6)、並びに、比較として合成したpoly-Xyl、poly-C6及びpoly-(Xyl-ran-C6)のH NMRスペクトルである。 ポリヒドロキシウレタンにおける隣接するポリマー間の非共有相互作用を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<ポリヒドロキシウレタンの製造方法>
本実施形態のポリヒドロキシウレタンの製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」と称する場合がある)は、スピロ構造を有する二官能性環状カーボナート(A)と、ジアミン(B)と、を反応させた後、得られた反応物と、ジアミン(C)と、を反応させて、ポリヒドロキシウレタンを得る工程(以下、「反応工程」と称する場合がある)を含む。
前記二官能性環状カーボナート(A)が2,4,8,10-tetraoxaspiro[5,5]-undecane-3,9-dioneである。
前記ジアミン(B)と前記ジアミン(C)とは異なる構造からなるジアミン化合物である。
本実施形態の製造方法によって得られるポリヒドロキシウレタンは、ABAC型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンである。すなわち、二官能性環状カーボナート(A)に由来する構成単位、ジアミン(B)に由来する構成単位、二官能性環状カーボナート(A)に由来する構成単位、及びジアミン(C)に由来する構成単位がこの順に並んだ配列の繰り返しを有するポリヒドロキシウレタンである。
発明者らは、二官能性環状カーボナートである2,4,8,10-tetraoxaspiro[5,5]-undecane-3,9-dione(化合物(I))が、該化合物(I)1モル当量に対して2モル当量のアミンとの開環反応により、ヒドロキシ基とウレタン基を1つずつ有する環状カーボナート中間体を経由してジヒドロキシウレタンを生成することを明らかにしている(下記反応式参照。反応式中において、R及びRは、それぞれ独立して1価の炭化水素基であり、R及びRは異なる)。
Figure 2022060897000002
上記反応式において、後述する実施例に示すように、中間体の環状カーボナート部位の環ひずみは、2つの環状構造が連結された化合物(I)に比べ大きく緩和される。すなわち、スピロ構造を有する化合物(I)の環ひずみは中間体に比べ大きく、化合物(I)のアミンとの反応性は中間体に比べて高い。この反応性の違いが十分に大きいことから、化合物(I)1モル当量を、1モル当量のアミンと反応させることで中間体が選択的に生成され、化合物(I)が全て消費された後に、さらに、化合物(I)1モル当量に対して1モル当量の異なるアミンを加え、中間体と反応させることで、異なるアミン残基を有するジヒドロキシウレタンを効率的に合成することができる。さらに、この特徴を最大限に活用することで、後述する実施例に示すように、これまで重付加反応では合成が困難であった対称構造を有するモノマーから配列制御された高分子、すなわち、異なる2種類のジアミン残基がジヒドロキシウレタンユニットを介して交互に配列された、これまでに報告例の無いABAC型のモノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンを合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
次いで、本実施形態の製造方法を構成する工程について、以下に詳細を説明する。
[反応工程]
反応工程では、下記反応式に示すように、ジアミン(B)と化合物(I)を反応させて(第1段階目の反応)、ジアミン(B)及び化合物(I)が消費されたことを確認した後に、ジアミン(C)を添加して、ジアミン(B)と化合物(I)の反応物(反応中間体)とジアミン(C)を反応させて(第2段階目の反応)、ポリヒドロキシウレタンを得る。本実施形態の製造方法では、後述する実施例に示すように、ジアミン(B)と化合物(I)の反応が高効率で進み、副生成物の生成が極めて低いことから、ジアミン(B)及び化合物(I)の消費を確認した後に、ジアミン(C)との反応を進めることで、ジアミン(B)と化合物(I)との反応(第1段階目の反応)、ジアミン(B)と化合物(I)の反応物(反応中間体)とジアミン(C)の反応(第2段階目の反応)を同じ反応容器で行うことができる。
なお、第1段階目の反応において、ジアミン(B)及び化合物(I)が消費されたことは、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法を用いて確認できる。
ポリヒドロキシウレタンを得る下記反応式に示す反応は、公知の開環重付加反応である。
Figure 2022060897000003
なお、上記反応式において、R及びRはそれぞれ独立に、アルキレン基、アラルキレン基又は-R11-Ar11-R12-で表される基である。Ar11は2価の芳香族炭化水素基であり、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1以上20以下のアルキレン基である。R及びRは異なる。nは1以上の整数である。
(二官能性環状カーボナート(A))
二官能性環状カーボナート(A)は、2,4,8,10-tetraoxaspiro[5,5]-undecane-3,9-dione(化合物(I))である。化合物(I)のCAS番号は、84056-48-4である。化合物(I)は、市販のものを用いてもよく、公知の方法を用いて合成されてものでもよいが、簡便且つ良好な収率で化合物(I)が得られることから、以下に示す製造方法で得られたものであることが好ましい。
化合物(I)の製造方法としては、例えば、下記反応式に示すように、ペンタエリトリトール(PE)と炭酸ジアリールとを反応させて、化合物(I)を得る工程(以下、「化合物(I)の合成工程」と称する場合がある)を含む方法等が挙げられる。化合物(I)を得るこの反応は、公知の分子内環化反応(Intramolecular Cyclization)である。
Figure 2022060897000004
(1)ペンタエリトリトール(PE)
ペンタエリトリトール(PE)は、上記反応式に示される構造を有する化合物である。PEは、例えば、アセトアルデヒドとホルムアルデヒドを塩基性環境下で縮合して合成することができる。また、PEは、市販のものを用いてもよい。PEのCAS番号は、115-77-5である。
(2)炭酸ジアリール
炭酸ジアリールは、例えば、下記一般式(III)で表される化合物(以下、「化合物(III)」と称する場合がある)等が挙げられる。
Figure 2022060897000005
一般式(III)中、Ar31及びAr32はそれぞれ独立に、炭素数6以上20以下の1価の芳香族炭化水素基である。
Ar31及びAr32としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基であり、炭素数6以上12以下の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基がより好ましい。芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基等が挙げられる。
このようなAr31及びAr32として具体的には、フェニル基、メチルフェニル基(各異性体)、エチルフェニル基(各異性体)、プロピルフェニル基(各異性体)、ブチルフェニル基(各異性体)、ペンチルフェニル基(各異性体)、ヘキシルフェニル基(各異性体)、ジメチルフェニル基(各異性体)、メチルエチルフェニル基(各異性体)、メチルプロピルフェニル基(各異性体)、メチルブチルフェニル基(各異性体)、メチルペンチルフェニル基(各異性体)、ジエチルフェニル基(各異性体)、エチルプロピルフェニル基(各異性体)、エチルブチルフェニル基(各異性体)、ジプロピルフェニル基(各異性体)、トリメチルフェニル基(各異性体)、トリエチルフェニル基(各異性体)、ナフチル基(各異性体)、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、トリメトキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ペルフルオロフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、トリニトロフェニル基等が挙げられる。中でも、Ar31及びAr32としては、フェニル基が好ましい。
Ar31及びAr32は同一であってもよく、異なってもよいが、製造の容易さの観点から、同一であることが好ましい。
好ましい炭酸ジアリールとしては、Ar31及びAr32が炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基である炭酸ジアリール等が挙げられる。このような炭酸ジアリールとして具体的には、例えば、炭酸ジフェニル、炭酸ジ(メチルフェニル)(各異性体)、炭酸ジ(ジエチルフェニル)(各異性体)、炭酸ジ(メチルエチルフェニル)(各異性体)等が挙げられる。なお、これら化合物は、好ましい炭酸ジアリールの一例に過ぎず、好ましい炭酸ジアリールはこれに限定されない。また、これらの炭酸ジアリールを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、炭酸ジアリールとしては、炭酸ジフェニルが特に好ましい。
炭酸ジアリールの製造方法としては、公知の方法を用いることができる。中でも、国際公開第2009/139061号(参考文献1)に記載されている、スズ-酸素-炭素結合を有する有機スズ化合物と二酸化炭素とを反応させて脂肪族炭酸エステルを製造し、該脂肪族炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とから芳香族炭酸エステル(すなわち、炭酸ジアリール)を製造する方法が好ましい。また、上記炭酸ジアリールは、例えば国際公開第2009/139061号(参考文献1)に記載の製造装置を用いて製造できる。また、炭酸ジアリールは、市販のものを用いてもよい。
化合物(I)の合成工程は、溶媒存在下又は溶媒非存在下で行うことができる。溶媒としては、PEを溶解できるものであればよく、ヒドロキシ基を有しない高極性溶媒が好ましい。このような溶媒として具体的には、以下に示すものが挙げられる。
(1)アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;
(2)アセトニトリル、ブチロニトリル、カプリルニトリル等のニトリル類;
(3)ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアミル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のエステル類;
(4)フラン、テトラヒドロフラン、プロピルオキシド、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル類;
(5)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート等のグリコールエーテルエステル類;
(6)トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;
(7)硫化ジメチル、チオフェン、二硫化炭素等の硫黄化合物類;
(8)塩化メチル、塩化エチル、ジクロロプロパン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ペンタクロロエタン、クロロホルム、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等のハロゲン化炭化水素類;
(9)N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1,5-ジメチル-2-ピロリドン;
(10)1-アセチルピロリジン等のピロリジン類;
(11)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の尿素類;
(12)ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、メチルプロピルスルホキシド、メチルブチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド等のスルホキシド化合物類。
これら溶媒を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
化合物(I)の合成工程は、例えば、不活性ガスの雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
前記不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられる。
化合物(I)の合成工程において、PEの使用量、すなわち、反応溶液中のPEの濃度は、反応溶液の総容量に対して、10mmol/L以上100mmol/L以下が好ましく、10mmol/L以上80mmol/L以下がより好ましく、10mmol/L以上60mmol/L以下がさらに好ましく、10mmol/L以上40mmol/L以下が特に好ましく、10mmol/L以上30mmol/L以下が最も好ましい。
PEの濃度が上記下限値以上であることで、炭酸ジアリールとより十分に反応させることができる。一方、PEの濃度が上記上限値以下であることで、PEのカーボナート化を分子間よりも分子内でより優先的に起こすことができ、化合物(I)の収率(選択率)をより向上させることができる。
化合物(I)の合成工程において、炭酸ジアリールの使用量は、PEに対する炭酸ジアリールのモル比で表すことができる。PEに対する炭酸ジアリールのモル比は、2/1以上10/1以下が好ましく、4/1以上10/1以下がより好ましい。
PEに対する炭酸ジアリールのモル比が上記下限値以上であることで、PEのカーボナート化を分子間よりも分子内でより優先的に起こすことができ、化合物(I)の収率(選択率)をより向上させることができる。PEに対する炭酸ジアリールのモル比が上記上限値以下であることで、炭酸ジアリールの存在比が過剰量となりすぎることを抑制することができ、製造コストを抑えながら、より効率良く化合物(I)を生成することができる。
化合物(I)の合成工程において、反応温度は、20℃以上100℃以下とすることができ、40℃以上100℃以下が好ましく、50℃以上100℃以下がより好ましく、75℃以上100以下がさらに好ましい。
反応温度が上記下限値以上であることで、PEのカーボナート化を分子間よりも分子内でより優先的に起こすことができ、化合物(I)の収率(選択率)をより向上させることができる。一方、反応温度が上記上限値以下であることで、余分な熱量をかけることを抑制することができ、製造コストを抑えながら、より効率良く化合物(I)を生成することができる。
反応時間は、例えば、1時間以上24時間以下とすることができ、6時間以上18時間とすることができる。
化合物(I)の製造方法は、化合物(I)の合成工程の後、すなわち、反応終了後に、化合物(I)の精製工程を更に含んでもよい。
精製工程では、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(I)を取り出す。具体的には、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(I)を粗精製する。
また、上記粗精製された化合物(I)の純度を高めるために、適宜必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて、さらに1回以上行うことが好ましい。
化合物(I)の製造方法において、化合物(I)の合成工程後、精製工程を行わずに、後述するポリヒドロキシウレタンの製造方法に用いてもよいが、ポリヒドロキシウレタンの収率を向上させる観点から、化合物(I)の精製工程を行うことが好ましい。
化合物(I)は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法で構造を確認できる。
(ジアミン)
ジアミン(B)及びジアミン(C)は、それぞれ下記一般式(B)で表される化合物、下記一般式(C)で表される化合物である。
Figure 2022060897000006
式中、R及びRはそれぞれ独立に、アルキレン基、アラルキレン基又は-R11-Ar11-R12-で表される基である。Ar11は2価の芳香族炭化水素基であり、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1以上20以下のアルキレン基である。R及びRは異なる。
及びRにおけるアルキレン基としては、炭素数2以上20以下の直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、イコシレン基等が挙げられる。中でも、R及びRにおけるアルキレン基としては、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基又はデシレン基が好ましく、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基又はオクチレン基がより好ましい。
及びRにおけるアラルキレン基としては、炭素数3以上20以下のアラルキレン基が好ましく、具体的には、例えば、ベンジレン基、フェネチレン基、フェニルブチレン基、ナフチルメチレン基、ナフチルエチレン基が挙げられる。中でも、R及びRにおけるアラルキレン基としては、ベンジレン基又はフェネチレン基が好ましい。
及びRにおける-R11-Ar11-R12-で表される基において、R11及びR12はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
11及びR12における炭素数1以上20以下のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、及び、上記Xにおけるアルキレン基において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、R及びRにおける炭素数1以上20以下のアルキレン基としては、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
及びRにおける-R11-Ar11-R12-で表される基として具体的には、例えば、-CH2-Ph-CH2-で表される基(Phはフェニレン基である、以下同様である。)、-CH2CH2-Ph-CH2CH2-で表される基が挙げられる。中でも、R及びRにおける-R11-Ar11-R12-で表される基としては、-CH2-Ph-CH2-で表される基が好ましい。
好ましいジアミンとしては、例えば、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、p-キシリレンジアミン等が挙げられる。中でも、ジアミンとしては、1,3-ジアミノプロパン、1,6-ジアミノヘキサン、又はp-キシリレンジアミンが好ましい。
また、アラルキレン基又は-R11-Ar11-R12-で表される基等の芳香族環を有するジアミンは、アルキレン基を有するジアミンよりも化合物(I)との反応性が劣る傾向がみられる。そのため、ジアミン(B)及びジアミン(C)として、芳香族環を有するジアミンとアルキレン基を有するジアミンを組み合わせて用いる場合には、芳香族環を有するジアミンをジアミン(B)として用いた後、アルキレン基を有するジアミンをジアミン(C)として用いることが好ましい。後述する実施例に示すように、化合物(I)は、該化合物(I)及びジアミンの反応物(反応中間体)よりも反応性が極めて高いことから、芳香族環を有するジアミンと化合物(I)を反応させた後、反応中間体とアルキレン基を有するジアミンを反応させることで、より効率良くABAC型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンを得ることができる。
反応工程は、溶媒存在下又は溶媒非存在下で行うことができる。溶媒としては、上記化合物(I)の製造方法において例示されたものと同様のものが挙げられる。
溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
中でも、溶媒としては、DMF、DMSO、又はこれらの混合溶媒が好ましい。
反応工程は、触媒を用いずに行うことができる。
反応工程は、例えば、不活性ガスの雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
前記不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられる。
反応工程において、ジアミン(B)の使用量は、ABA型モノマー配列からなる反応中間体を効率よく合成する観点から、化合物(I)1モル当量に対して0.3モル当量以上0.7モル当量以下であることが好ましく、0.4モル当量以上0.6モル当量以下であることがより好ましく、0.5モル当量であることがさらに好ましい。
反応工程において、ジアミン(C)の使用量は、ABAC型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンを効率よく合成する観点から、化合物(I)1モル当量に対して0.3モル当量以上0.7モル当量以下であることが好ましく、0.4モル当量以上0.6モル当量以下であることがより好ましく、0.5モル当量であることがさらに好ましい。
反応工程において、反応後期では、生成されたポリヒドロキシウレタンのポリマー鎖末端のアミノ基のモル濃度が、生成するヒドロキシ基末端のモル濃度に比べて著しく低下する。そのため、化合物(I)がアミノ基ではなく、ヒドロキシ基と反応して、ポリマー鎖が架橋されて、ポリヒドロキシウレタンのゲル化が発生する虞がある。よって、ポリヒドロキシウレタンのゲル化を抑制するために、反応の途中、例えば、反応開始から24時間後、36時間後、40時間後に、ジアミン(C)を、化合物(I)1モル当量に対して0.05モル当量以上0.3モル当量以下、好ましくは0.07モル当量以上0.2モル当量以下の量、より好ましくは0.09モル当量以上0.15モル当量以下、さらに好ましくは0.1モル当量となるように添加することが好ましい。これにより、ポリヒドロキシウレタン中で架橋構造が形成されることを防ぐことができ、生成されたポリヒドロキシウレタンのゲル化を効果的に抑制することができる。 なお、反応途中にジアミン(C)を追加する場合には、反応開始時のジアミン(C)の使用量(例えば、化合物(I)1モル当量に対して0.3モル当量以上0.7モル当量以下程度)に加えて、上述した量のジアミン(C)を追加で添加することができる。
また反応途中にジアミン(C)を追加する場合には、未反応の反応中間体や、副反応により生成した鎖状カーボナートを完全に消費させるために、例えば、50℃以上100℃以下、好ましくは60℃以上90℃以下、より好ましくは70℃以上85℃以下、さらに好ましくは80℃の温度にて反応を行うことができる。
反応工程において、反応温度を5℃以下とすることが好ましく、0℃とすることがより好ましい。
反応温度が上記上限値以下であることで、分岐構造を有するポリヒドロキシウレタンの生成をより効果的に抑えることができ、直鎖構造を有するポリヒドロキシウレタンの収率をより向上させることができる。一方、反応温度の下限値は特に限定されず、例えば、0℃とすることができる。
反応工程において、ジアミン(B)と化合物(I)の反応時間は、例えば、1時間以上24時間以下とすることができ、2時間以上12時間とすることができ、3時間以上10時間以下とすることができる。
一方で、反応中間体とジアミン(C)との反応時間は、後述する実施例に示すように、ジアミン(B)と化合物(I)の反応よりも反応速度が低下することから、例えば、24時間以上100時間以下とすることができ、36時間以上80時間以下とすることができ、40時間以上75時間以下とすることができる。
[その他の工程]
本実施形態の製造方法は、反応工程の後、すなわち、反応終了後に、ポリヒドロキシウレタンの精製工程を更に含んでもよい。
精製工程では、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、ポリヒドロキシウレタンを取り出す。具体的には、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、ポリヒドロキシウレタンを粗精製する。
また、上記粗精製されたポリヒドロキシウレタンの純度を高めるために、適宜必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて、さらに1回以上行うことが好ましい。
本実施形態の製造方法において、反応工程後、精製工程を行わなくてもよいが、ポリヒドロキシウレタンの貯蔵安定性やポリヒドロキシウレタンを多種用途に利用する観点から、ポリヒドロキシウレタンの精製工程を行うことが好ましい。
ポリヒドロキシウレタンは、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法で構造を確認できる。
<ポリヒドロキシウレタンの使用用途>
本実施形態の製造方法で得られたポリヒドロキシウレタンは、例えば、成型材料や塗料用のバインダー等の工業材料等に好適に用いられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。後述する、実施例及び比較例において行われた各種の分析は、以下の方法により測定された。
[実施例1]
(化合物(I)と反応中間体のアミンに対する反応性の検討)
最初に、1モル当量の化合物(I)と、1モル当量の1-ヘキシルアミンとの反応で中間体(下記反応式中の化合物2a、以下、「中間体2a」と称する場合がある)が選択的に生成するかどうかについて、H NMR測定により確認するとともに、化合物(I)の消費速度から化合物(I)と1-ヘキシルアミンの反応の二次反応速度定数(kI-2a)を求めた。化合物(I)と1-ヘキシルアミンの反応式は以下に示すとおりである。
Figure 2022060897000007
具体的には、まず、1-ヘキシルアミン(2.69g、26.6mmol)を10mLメスフラスコに加えDMF(超脱水)を加えて10mLのDMF溶液(以下、「溶液I-1」と称する場合がある)を調製した。化合物(I)(250mg、1.33mmol)をDMF(9.5mL)に完全に溶解させた後、内部標準としてCHCl(86μL、1.31mmol)を加え、0℃に冷却した。ここに500μLの溶液I-1(1.33mmolの1-ヘキシルアミン含有)を加え、化合物(I)の消費速度をH NMR測定で追跡し(図1(a)参照)、二次反応速度定数(kI-2a)を見積もった。二次反応速度定数(kI-2a)を図2に示す。
図1(a)に示すように、中間体2aが主生成物として得られ、副生成物としてジヒドロキシウレタン3c、及び中間体2aのOH基と未反応の化合物(I)が反応して生じる鎖状カーボナートを含んでいると思われる副生成物も少量であるが確認された。これらの生成比は、中間体2a:ジヒドロキシウレタン3c:その他副生成物は、モル比で、約88.2:1.9:9.9であった。
このことから、化合物(I)のアミンに対する反応性は、中間体2aに比べ明らかに高いことがわかった。
次いで、in situで生成した1モル当量の中間体2aに、1モル当量の1-ヘキシルアミンを加え、同様に二次反応速度定数(k2a-3c)を求めた。
具体的には、まず、化合物(I)(250mg、1.33mmol)をDMF(9.5mL)に完全に溶解させた後、内部標準としてCHCl(86μL、1.31mmol)を加え、0℃に冷却した。ここに500μLの溶液I-1(1.33mmolの1-ヘキシルアミン含有)を加え、0℃で20時間撹拌した(生成した中間体2a:1.17mmol)。ここに440μLの溶液I-2(1.17mmolの1-ヘキシルアミン含有)をさらに加え、中間体2aの消費速度をH NMR測定で追跡し(図1(a)参照)、二次反応速度定数(k2a-3c)を見積もった。二次反応速度定数(k2a-3c)を図2に示す。
また、比較のため、モデル化合物として5,5-dimethyl-1,3-dioxan-2-one(下記反応式中の化合物4;以下、「モデル化合物4」と称する場合がある)と1-ヘキシルアミンとの二次反応速度定数(k4-5)を、化合物(I)及び中間体2aと同様に見積もった。二次反応速度定数(k4-5)を図2に示す。
Figure 2022060897000008
図2に示すように、化合物(I)のアミンに対する反応性は、中間体2aとモデル化合物4に対してそれぞれ約110倍、約2500倍と見積もられ、kI-2a:k2a-3c:k4-5は約2640:22:1であった。すなわち、スピロ構造を有する化合物(I)は中間体2aおよびモデル化合物4に対して著しく反応性が高いことが明らかになった。この高い反応性は、スピロ構造部位の環ひずみに由来していると考えられる。
[実施例2]
(異なる構造のアミン残基を有するジヒドロキシウレタンの合成)
次に、化合物(I)1モル当量を、1モル当量のベンジルアミンと反応させて中間体を生成させた後、さらに、化合物(I)1モル当量に対して1モル当量のN-Boc-1,6-ジアミノヘキサン(Boc=tert-ブトキシカルボニル基)と反応させることで、異なるアミン残基を有するジヒドロキシウレタン(以下、「ジヒドロキシウレタン3d」と称する場合がある)を選択的且つ高収率で合成できるか検討した。なお、ここで、第1段階目の反応に使用するアミンとしてベンジルアミンを用いた理由は、予備実験でベンジルアミンと中間体の反応が、ベンジルアミンの立体障害のため、枝分かれの無い脂肪族アミンに比べ遅いためである。また、N-Boc-1,6-ジアミノヘキサンを用いた理由は、合成したジヒドロキシウレタン3dを分子量分割カラム(SEC)で分離及び精製しやすくするためである。
具体的には、まず、ベンジルアミン(142mg、5.32mmol)を2mLメスフラスコに加え、DMF(超脱水)を加えて2mLのDMF溶液(以下、「溶液II-1」と称する場合がある)を調製した。化合物(I)(250mg、1.33mmol)をDMSO/DMF(3.0mL/1.5mL)に完全に溶解させた後、内部標準としてCHCl(86μL、1.31mmol)を加え、0℃に冷却した。ここに500μLの溶液II-1(1.33mmolのベンジルアミン含有)を加え、0℃で5時間窒素下で撹拌した。ここにN-Boc-1,6-ジアミノヘキサン(288mg、1.33mmol)を加え、0℃で40時間窒素下で撹拌して反応させた。さらに、N-Boc-1,6-ジアミノヘキサン(58mg、0.266mmol)を加え、80℃で3時間窒素下で撹拌して反応させた。反応の進行は、反応溶液の一部をDMSO-dで希釈してH NMR測定により確認した。H NMR測定結果を図3に示す。
図3に示すように、第1段階の反応において、H NMR測定から中間体2bは選択率約81%で生成した。また、第2段階の反応では、ジヒドロキシウレタン3dが選択率約82%で生成し、単離収率は75%であった。
[実施例3]
(ABAC型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンの合成)
1段階目に1モル当量の化合物(I)(A)と0.5モル当量のジアミン(B)を反応させ、化合物(I)がほぼ消費された後、生成した中間体(下記反応式中の化合物6a及び化合物6b;以下、「中間体6a」及び「中間体6b」と称する場合がある)に0.5モル当量の異なるジアミン(C)を反応させることで、ABAC型のモノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンの合成を検討した。それぞれ合成されたポリヒドロキシウレタンを「poly-(Xyl/C6)」、「poly-(Xyl/C3)」、及び「poly-(C3/C6)」と称する場合がある。
Figure 2022060897000009
なお、各反応において、化合物(I)の濃度の増加による反応時間の短縮と0℃での反応を可能にするため、溶媒にはDMSO/DMF(2/1、vol/vol)の混合溶媒を用いた。各反応の追跡は、反応溶液の一部をDMSO-dで希釈した溶液のH NMR測定により行った(図4~6参照)。また、1段階目のジアミン(B)と化合物(I)の反応は、化合物(I)が96質量%以上消費された時点で、化合物(I)1モル当量に対して0.5モル当量の異なるジアミン(C)を加えた。さらに、2段階目の反応後、化合物(I)1モル当量に対して0.1モル当量のジアミン(C)を加え、ゲル化を防ぐために、80℃で未反応の環状カーボナート及び副反応により生じた鎖状カーボナートを完全に消費させた。
1.poly-(Xyl/C6)の合成
p-キシリレンジアミン1.81g、13.3mmol)を10mLメスフラスコに加え、DMF(超脱水)を加えて10mLのDMF溶液(以下、「溶液III-1-1」と称する場合がある)を調製した。同様に1,6-ジアミノヘキサン(1.54g、13.3mmol)を10mLメスフラスコに加え、DMF(超脱水)を加えて10mLのDMF溶液(以下、「溶液III-1-2」と称する場合がある)を調製した。25mLフラスコに化合物(I)(250mg、1.33mmol)を加え、シリコンセプタムで蓋をし、フラスコ内をN置換した。ここにDMSO(超脱水)/DMF(超脱水)(3.0mL/1.5mL)を加え完全に溶解させた後、0℃に冷却した。ここに500μLの溶液III-1-1(6.65mmolのp-キシリレンジアミン含有)を加え、0℃、窒素下で7.25時間撹拌した。ここに、500μLの溶液III-1-2(6.65mmolの1,6-ジアミノヘキサン含有)を加え、0℃、窒素下で40時間撹拌後、1,6-ジアミノヘキサン(15.4mg、0.133mmol)を加え、80℃で3時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約100mL)に滴下し、析出した固体を回収した。得られた固体をDMF(約4mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して、白色固体であるポリヒドロキシウレタンpoly-(Xyl/C6)(387mg、収率93質量%)を得た。
2.poly-(Xyl/C3)の合成
p-キシリレンジアミン(1.81g、13.mmol)を10mLメスフラスコに加え、DMF(超脱水)を加えて10mLのDMF溶液(以下、「溶液III-2-1」と称する場合がある)を調製した。同様に1,3-ジアミノプロパン(197mg、2.66mmol)を2mLメスフラスコに加え、DMF(超脱水)を加えて2mLのDMF溶液(以下、「溶液III-2-2」と称する場合がある)を調製した。25mLフラスコに化合物(I)(250mg、1.33mmol)を加え、シリコンセプタムで蓋をし、フラスコ内をN置換した。ここにDMSO(超脱水)/DMF(超脱水)(3.0mL/1.5mL)を加え完全に溶解させた後、0℃に冷却した。ここに500μLの溶液III-2-1(6.65mmolのp-キシリレンジアミン含有)を加え、0℃、窒素下で7.5時間撹拌した。ここに、500μLの溶液III-2-2(6.65mmolの1,3-ジアミノプロパン含有)を加え、0℃で40時間、室温で24時間撹拌後、100μLの溶液III-2-2(0.133mmolの1,3-ジアミノプロパン含有)を加え、80℃で3時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約100mL)に滴下し、析出した固体を回収した。得られた固体をDMF(約4mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して、白色固体であるポリヒドロキシウレタンpoly-(Xyl/C3)(342mg、収率88質量%)を得た。
3.poly-(C3/C6)の合成
1,3-ジアミノプロパン(197mg、2.66mmol)を2mLメスフラスコに加え、DMF(超脱水)を加えて2mLのDMF溶液(以下、「溶液III-3-1」と称する場合がある)を調製した。同様に1,6-ジアミノヘキサン(1.54g、13.3mmol)を10mLメスフラスコに加え、DMF(超脱水)を加えて10mLのDMF溶液(以下、「溶液III-3-2」と称する場合がある)を調製した。25mLフラスコに化合物(I)(250mg、1.33mmol)を加え、シリコンセプタムで蓋をし、フラスコ内をN置換した。ここにDMSO(超脱水)/DMF(超脱水)(3.0mL/1.5mL)を加え完全に溶解させた後、0℃に冷却した。ここに500μLの溶液III-3-1(6.65mmolの1,3-ジアミノプロパン含有)を加え、0℃、窒素下で3時間撹拌した。ここに、500μLの溶液III-3-2(6.65mmolの1,6-ジアミノヘキサン含有)を加え、0℃で40時間撹拌後、100μLの溶液III-3-2(0.133mmolの1,6-ジアミノヘキサン含有)を加え、80℃で3時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約100mL)に滴下し、析出した固体を回収した。得られた固体をDMF(約4mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して、白色固体であるポリヒドロキシウレタンpoly-(C3/C6)(335mg、収率89質量%)を得た。
4.poly-(Xyl-ran-C6)の合成
比較のため、化合物(I)1モル当量に対してそれぞれ0.5モル当量のp-キシリレンジアミンと1,6-ジアミノヘキサンを混合したジアミンと化合物(I)を反応させ、ジアミン残基の配列がランダムなポリヒドロキシウレタン(poly-(Xyl-ran-C6))も合成した。
具体的には、まず、p-キシリレンジアミン(1.81g、13.mmol)を10mLメスフラスコに加え、DMF(超脱水)を加えて10mLのDMF溶液(以下、「溶液III-4-1」と称する場合がある)を調製した。同様に1,6-ジアミノヘキサン(1.54g、13.3mmol)を10mLメスフラスコに加え、DMF(超脱水)を加えて10mLのDMF溶液(以下、「溶液III-4-2」と称する場合がある)を調製した。25mLフラスコに500μLの溶液III-4-1(6.65mmolのp-キシリレンジアミン含有)、500μLの溶液III-4-2(6.65mmolの1,6-ジアミノヘキサン含有)、及びDMF(1.0mL)を加え、0℃に冷却した。ここに化合物(I)(250mg、1.33mmol)を加え、0℃で18時間撹拌した。ここに50μLの溶液III-4-1(0.665mmolのp-キシリレンジアミン含有)と50μLの溶液III-4-2(0.665mmolの1,6-ジアミノヘキサン含有)加え、80℃で3時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液をCHCl(約100mL)に滴下し、析出した固体を回収した。得られた固体をDMF(約4mL)に溶かし、CHCl(約100mL)に滴下して析出した固体を回収、減圧乾燥して、白色固体であるポリヒドロキシウレタンpoly-(Xyl-ran-C6)(406mg、収率97質量%)を得た。
上記「1.」~「4.」で得られた各ポリヒドロキシウレタンについて、これらの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、収率、反応条件等を表1に示す。
Figure 2022060897000010
図4(a)に示すように、1モル当量の化合物(I)と0.5モル当量のp-キシリレンジアミンを0℃で7時間反応させたところ、化合物(I)の転化率は98質量%であり、そのうち、中間体である環状ビスカーボナート(中間体6a)が約91%の選択性で生成し、ジヒドロキシウレタン誘導体や鎖状カーボナートを含む副生成物は約9%であった。また、図4(b)に示すように、化合物(I)とp-キシリレンジアミンの反応溶液に、化合物(I)1モル当量に対して0.5モル当量の1,6-ジアミノヘキサンを加え、0℃で40時間反応させたところ、中間体6aの転化率は約97%であった。さらに、化合物(I)1モル当量に対して0.1モル当量の1,6-ジアミノヘキサンを加え、未反応の環状カーボナート及び副反応で生成した鎖状カーボナートを反応させた。
図5は、再沈殿精製したpoly-(Xyl/C6)、及び、比較として化合物(I)とp-キシリレンジアミン又は1,6-ジアミノヘキサンの重付加で得られたポリヒドロキシウレタン(poly-Xyl及びpoly-C6)のH NMRスペクトルである。図5に示すように、poly-(Xyl/C6)のスペクトルは、poly-Xyl及びpoly-C6それぞれのスペクトルを足し合わせたようなパターンを示した。しかし、3.9ppm付近のジヒドロキシウレタンユニットのウレタン基に隣接する2つのメチレンプロトン(H、H)のケミカルシフトは、対応するpoly-Xylとpoly-C6のメチレンプロトン(H)と異なる位置に観測された。
図6は、図5に示した3種類のポリヒドロキシウレタンとジアミン残基の配列がランダムなpoly-(Xyl-ran-C6)のH NMRスペクトルである。図6に示すように、poly-(Xyl-ran-C6)のメチレンプロトンは4本に分裂しており、それらのピークトップは、poly-(Xyl/C6)、poly-Xyl及びpoly-C6のメチレンプロトンのピークトップと一致した。すなわち、この4本に分裂したシグナルは、ジヒドロキシウレタン残基Aの両側にp-キシリレンジアミン残基Bを有するBAB配列、1,6-ジアミノヘキサン残基Cを有するCAC配列、異なるジアミン残基を有するBAC配列に起因している。また、中間体6aの生成が約90%であったことから、合成したpoly-(Xyl/C6)は、モノマー配列全体に対して約90%以上のABAC型モノマー配列を有していることが示唆された。
また、poly-(Xyl/C3)のH NMRスペクトルにおいても、同様の傾向が見られた(図示せず)。一方、炭素数のみが異なる2種類の脂肪族ジアミン残基を有するpoly-(C3/C6)では、対応するメチレンプロトンの分裂は見られなかった(図示せず)。これは恐らく、脂肪族ジアミン残基同士で対応するメチレンプロトンのケミカルシフトに差が生じなかったためであると考えられる。
また、得られたABAC型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタン、及び、ランダム配列を有するポリヒドロキシウレタンの熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量分析(DSC)を行い、一種類のジアミンのみを用いて合成したpoly-C3、poly-C6及びpoly-Xylと比較検討した。結果を上記表1に示す。
表1に示すように、poly-(Xyl/C6)及びpoly-(Xyl-ran-C6)では、熱物性(ガラス転移温度(Tg)及び5%重量減少温度(Td5))に明確な違いは観測されず、本実施例で用いたジアミン残基の組み合わせではモノマー配列の効果は得られなかった。今後、側鎖間での相互作用を積極的に取り入れた分子設計を行うことで、モノマー配列の効果が顕著に発現すると期待される。
一方、2種類のジアミン残基を導入したポリヒドロキシウレタンのTgは、1種類のジアミン残基からなるポリヒドロキシウレタンのTgと比べ、大きく低下した。特に、poly-Xylが示した83.5℃という高温のTgが、p-キシリレンジアミン残基を含むpoly-(Xyl/C6)、poly-(Xyl-ran-C6)及びpoly-(Xyl/C3)では完全に消失し、さらに、poly-(Xyl/C6)及びpoly-(Xyl-ran-C6)ではpoly-C6のTgより低い値を示した。このTgの低下は、次のような理由が考えられる。poly-Xylやpoly-C6等の1種類のジアミン残基のみを有するポリヒドロキシウレタンでは、フェニル基やウレタン基、及びヒドロキシ基がポリマー鎖に沿って常に等間隔で位置しているため、分子間での相互作用(π-π相互作用や水素結合)が効率的に形成できる(図7(a)参照)。一方、2種類のジアミン残基を有するABAC型のモノマー配列又はランダム配列のポリヒドロキシウレタンでは、異なる鎖長のジアミン残基のため、これらの官能基の距離が異なり、ポリマー鎖間で効率的な相互作用をするためには、対応する配列同士で相互作用しなくてはならない(ABA配列は他の高分子鎖のABA配列と相互作用、ACA配列は他の高分子鎖のACA配列と相互作用)。すなわち、完全にABAC型のモノマー配列が制御されたポリヒドロキシウレタンであっても、高分子鎖間でABA配列及びACA配列同士が近接している必要があり、同一配列同士が近接していない場合では、分子間水素結合できないウレタン基及びヒドロキシ基が生じるとともに、π-π相互作用に関与できないフェニル基も生じると考えられる(図7(b)参照)。
本実施形態の製造方法によれば、簡易な手順で製造でき、且つ、モノマー配列が制御された、新規のポリヒドロキシウレタンの製造方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. スピロ構造を有する二官能性環状カーボナート(A)と、ジアミン(B)と、を反応させた後、得られた反応物と、ジアミン(C)と、を反応させて、ポリヒドロキシウレタンを得る工程を含み、
    前記二官能性環状カーボナート(A)が2,4,8,10-tetraoxaspiro[5,5]-undecane-3,9-dioneであり、
    前記ジアミン(B)と前記ジアミン(C)とは異なる構造からなる、ABAC型モノマー配列を有するポリヒドロキシウレタンの製造方法。
  2. 前記ジアミン(B)の添加量が、前記二官能性環状カーボナート(A)1モル当量に対して、0.4モル当量以上0.6モル当量以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ジアミン(B)の添加量が、前記二官能性環状カーボナート(A)1モル当量に対して、0.5モル当量である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記工程において、5℃以下で反応を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
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