JP2021178756A - 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の窒化アルミニウム焼結体を製造することができるととともに、水系スラリーから窒化アルミニウムグリーンシートの製造が可能となり、有機溶剤の使用量を低減することができ、ひいては、環境負荷を低減することができる窒化アルミニウム焼結体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子、および希土類元素を含有する焼結助剤粉末を含む原料粉末と、水とを混合して原料スラリーを得る一次混合工程、前記原料スラリーとバインダー溶液とを混合して混合液を得、当該混合液を濾過して混合スラリーを得る二次混合工程、前記混合スラリーを成形して窒化アルミニウム成形体を得る成形工程、前記窒化アルミニウム成形体を酸化性ガス雰囲気下600℃未満に加熱して窒化アルミニウム脱脂体を得る脱脂工程、および前記窒化アルミニウム脱脂体を焼結して窒化アルミニウム焼結体を得る焼結工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法に関する。
近年、回路基板の小型化、パワーモジュールの高出力化が進んでいる。パワーモジュール等に使用される回路基板として、セラミックス焼結体表面に金属回路層がろう材で接合され、金属回路層の所定位置に半導体素子が搭載されたものが広く用いられている。
パワーモジュールが高い信頼性で動作するために、放熱性と機械的強度に優れた回路基板が求められる。放熱性が良好であれば、回路が発生する熱を効率よく放出して、半導体素子の過熱が抑制される。機械的強度が優れていれば、回路基板は、金属回路層との熱膨張係数差に起因する熱応力にも耐えることができる。このような要求に応える回路基板として、高い電気絶縁性と高い熱伝導性とを有する窒化アルミニウム(以下、AlNと記載することがある。)焼結体を用いたセラミックス絶縁基板が注目されている。
AlNは、共有結合性が強く難焼結性物質であるため、緻密なAlN焼結体を得るには酸化イットリウム(Y)等の焼結助剤の添加が必要である。焼結助剤としての酸化イットリウムは、焼結時にAlN結晶粒の表面や内部に固溶している不純物酸素と反応してY−Al−O系の液相を生成し、不純物酸素を粒界にトラップすると共に結晶の緻密化を促進する(非特許文献1)。
一方で、得られたAlN焼結体中のAlN結晶粒中に不純物酸素が固溶していると、AlN結晶粒中に格子欠陥が生じ、フォノン散乱中心となり、劇的に熱伝導率を低下させる(非特許文献2)。
また、AlN結晶粒中の格子欠陥は、機械的強度の低下や誘電損失の増大をもたらすおそれがあり、AlN結晶粒中の不純物酸素の低減は重要な技術課題である。
AlN結晶粒中の不純物酸素を低減する手段として、例えば、不純物酸素の少ないAlN粉を原料として用いることが考えられる。しかし、一般に不純物の少ない原料はコスト上昇の大きな要因となる。また、非特許文献3に開示されているように、還元性雰囲気下、高温で長時間焼結することによりAlN焼結体から不純物酸素を除去する方法もあるが、この方法は、焼結にかかる時間が長いため、生産性の低下が懸念される。
セラミックスの機械的強度は結晶粒径に依存し、粒径の増大とともに機械的強度は低下する(非特許文献4)。前述の高温で長時間焼結する方法では必然的にAlN焼結体中の結晶粒が粗大化して強度が低下してしまうため、高い熱伝導率と高い機械的強度とを共に満たすAlN焼結体の作製は困難であった。
上記課題に対して、特許文献1には気相化学合成法で得られた窒化アルミニウムを添加することで、高熱伝導であると同時に、高い強度を有する窒化アルミニウム焼結体が得られることが開示されている。また、特許文献2には不純物含有量を低減することで、優れたワイブル係数を有する窒化アルミニウム焼結体が得られることが開示されている。
さらに、特許文献3には、窒化アルミニウム結晶粒の成長が抑制されるとともに、窒化アルミニウム結晶粒間に均一に分散した粒子間空隙を有することにより、従来の窒化アルミニウム焼結体よりも高強度かつ、窒化アルミニウム焼結体内の強度ばらつきが小さい窒化アルミニウム焼結体が開示されている。
特開2007−8813号公報 特開平1−103961号公報 国際公開第2019/021919号
篠崎和夫、柘植章彦、セラミックス、21,p1130−1135(1986). G.A.Slack,R.A.Tanzilli,R.O.Pohl,J.W.Vandersande,J.Phys.Chem.Solids,vol.48,p641−647(1987). 岡本正英、荒川英夫、土橋正文、萩原覚、日本セラミックス協会学術論文誌、vol.97,p1478−1485(1989). H.P.Kirchner and R.M.Gruver,J.Am.Ceram.Soc.,vol.53,p232−236(1970).
しかし、特許文献1に開示された窒化アルミニウム焼結体は、高コストである他にも、粒子径の大きく異なる窒化アルミニウム粉末を複数混合していることから、窒化アルミニウム焼結体内における粒度分布が不均一になり、窒化アルミニウム焼結体内の強度のばらつきが大きくなる。また、特許文献2に開示された窒化アルミニウム焼結体は、ワイブル係数は優れているものの、その強度は600MPaを超えるものは得られていない。さらに、特許文献3は、高品質のものが得られているが、その製造過程において、より高いレベルで環境負荷を低減することについては検討されていない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、所望の窒化アルミニウム焼結体を製造することができるととともに、水系スラリーから窒化アルミニウムグリーンシートの製造が可能となり、有機溶剤の使用量を低減することができ、ひいては、環境負荷を低減することができる窒化アルミニウム焼結体の製造方法、及び該製造方法により製造される窒化アルミニウム焼結体を提供することを目的とする。
本発明は以下に示す構成を備える。
[1]珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子、および希土類元素を含有する焼結助剤粉末を含む原料粉末と、水とを混合して原料スラリーを得る一次混合工程、前記原料スラリーとバインダー溶液とを混合して混合液を得、当該混合液を濾過して混合スラリーを得る二次混合工程、前記混合スラリーを成形して窒化アルミニウム成形体を得る成形工程、前記窒化アルミニウム成形体を酸化性ガス雰囲気下600℃未満に加熱して窒化アルミニウム脱脂体を得る脱脂工程、および前記窒化アルミニウム脱脂体を焼結して窒化アルミニウム焼結体を得る焼結工程を含む、窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
[2]前記焼結助剤粉末が、イットリウムおよびランタニド系希土類元素からなる群より選ばれる一種または二種以上の元素を有する化合物を含む、上記[1]に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
[3]前記焼結助剤粉末が、さらにアルミニウム元素を有する化合物を含む、上記[2]に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
[4]バインダーを有機溶剤に溶解して得た溶液を濾過して前記バインダー溶液を得るバインダー溶液調製工程を、前記二次混合工程前にさらに含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
[5]前記脱脂工程において用いる前記酸化性ガスが、酸素ガスを含む混合ガスである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
[6]前記窒化アルミニウム脱脂体の炭素原子含有量が、0.10質量%以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
[7]前記焼結工程が、1400℃以上1800℃以下の不活性ガス雰囲気下、24時間以下加熱する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
[8]前記焼結工程において用いる前記不活性ガスが、窒素ガスである、上記[7]に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法により製造される窒化アルミニウム焼結体であって、窒化アルミニウム結晶粒と希土類元素およびアルミニウム元素を含む複合酸化物結晶粒とを含み、前記窒化アルミニウム結晶粒のメジアン径が2μm以下であり、前記窒化アルミニウム焼結体中に、最長径が0.2〜1μmの粒子間空隙が断面100μm四方の領域に10〜200個分散し、ならびに炭素原子含有量が0.10質量%未満である、窒化アルミニウム焼結体。
[10]前記複合酸化物結晶粒のメジアン径が前記窒化アルミニウム結晶粒のメジアン径よりも小さい、上記[9]に記載の窒化アルミニウム焼結体。
[11]前記複合酸化物結晶粒のメジアン径が1.5μm以下である、上記[9]または[10]に記載の窒化アルミニウム焼結体。
[12]前記希土類元素が、イットリウムおよびランタニド系希土類元素からなる群より選ばれる一種または二種以上の元素である、上記[9]〜[11]のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体。
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法によれば、珪素含有酸化物覆窒化アルミニウム粒子を原料として用いることで、所望の窒化アルミニウム焼結体を製造することができるととともに、水系スラリーから窒化アルミニウムグリーンシートの製造が可能となり、有機溶剤の使用量を低減することができ、ひいては、環境負荷を低減することができる。
また、本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法によれば、珪素含有酸化物覆窒化アルミニウム粒子を原料として用いることで、原料の耐湿性を改善して劣化を防止することができ、ひいては、高品質な窒化アルミニウム焼結体を安定して製造することができる。
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法により製造された窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウム結晶粒の成長が抑制されるとともに、窒化アルミニウム結晶粒間に均一に分散した粒子間空隙を有することにより、従来の窒化アルミニウム焼結体よりも高強度かつ、窒化アルミニウム焼結体内の強度ばらつきが小さい。
図1は、本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法に用いられるシリカ被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法を示すフローチャートである。 図2は、窒化アルミニウム焼結体の破断面の10,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。該SEM像において、黒色部分が粒子間空隙である。比較的暗くみえる部分が窒化アルミニウム結晶粒であり、比較的明るくみえる部分が複合酸化物結晶粒である。
以下、本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法および該製造方法により製造される窒化アルミニウム焼結体について詳細に説明する。
また、本明細書において、「主成分」とは、その含有量が50質量%を超える成分を意味する。
〔窒化アルミニウム焼結体の製造方法〕
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子、および希土類元素を含有する焼結助剤粉末を含む原料粉末と、水とを混合して原料スラリーを得る一次混合工程、前記原料スラリーとバインダー溶液とを混合して混合液を得、当該混合液を濾過して混合スラリーを得る二次混合工程、前記混合スラリーを成形して窒化アルミニウム成形体を得る成形工程、前記窒化アルミニウム成形体を酸化性ガス雰囲気下600℃未満に加熱して窒化アルミニウム脱脂体を得る脱脂工程、および前記窒化アルミニウム脱脂体を焼結して窒化アルミニウム焼結体を得る焼結工程を含む。各工程について、以下詳細に説明する。
(一次混合工程)
一次混合工程では、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子、および希土類元素を含有する焼結助剤粉末を含む原料粉末と、水とを混合して原料スラリーを得る。
<珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子>
珪素含有酸化物被覆AlN粒子は、窒化アルミニウム(以下、AlNとも記す。)粒子と、この窒化アルミニウム粒子の表面を覆う珪素含有酸化物被膜とを備える。
珪素含有酸化物被膜や珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の「珪素含有酸化物」として、詳しくは後述するが、シリカや、珪素およびアルミニウムを含む酸化物が挙げられる。
珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は、炭素原子の含有量が1000質量ppm未満であることが好ましい。ここで、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子が炭素原子を全く含んでいなくてもよい。このような珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子の高い熱伝導性をより確実に維持し、耐湿性により優れる。
例えば、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は、pH4に調整した塩酸水溶液に投入し、85℃で2時間の処理(すなわち、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子を、pH4に調整した塩酸水溶液に85℃で2時間浸漬)したとき、塩酸水溶液中に抽出されたアンモニアの濃度が20mg/L以下とすることができ、極めて耐湿性に優れる。なお、酸性溶液中では加水分解反応が空気中よりも促進されるため、粒子をpH4に調整した塩酸水溶液に晒すことで、耐湿性の加速試験ができる。したがって、pH4の塩酸水溶液を用いることで、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性を評価することができ、上記アンモニアの濃度が20mg/L以下であれば、耐湿性が良いと言える。また、pH4の塩酸水溶液を用いることで合わせて耐薬品性の比較もできる。
上記抽出されたアンモニアの濃度は、10mg/L以下であることが好ましく、6mg/L以下であることがより好ましい。
耐湿性の観点から、炭素原子の含有量は低いほど好ましい。ここで、後述する珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法では、原料として所定の構造を有する有機シリコーン化合物を用いているため、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は炭素原子を含有する場合が多く、例えば50質量ppm以上、さらには60質量ppm以上含む場合がある。しかしながら、上記のとおり1000質量ppm未満であれば耐湿性が優れる。
また、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は、酸素原子の含有量は1.60質量%以下であることが好ましい。酸素原子の含有量が1.60質量%以下であると、熱伝導性により優れ、また、後述する脱脂工程で得られるAlN脱脂体に含まれる酸素原子含有量を好適な範囲とすることができる。珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の酸素原子の含有量は、より好ましくは1.5質量%以下である。また、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の酸素原子の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましい。
窒化アルミニウム粒子の表面を覆う珪素含有酸化物被膜(SiO)のLEIS分析による被覆率は、下記式で求められる。
(SAl(AlN)−SAl(AlN+SiO))/SAl(AlN)×100(%)
上記式中、SAl(AlN)は、Si被覆前の原料の窒化アルミニウム粒子のAlピークの面積であり、SAl(AlN+SiO)は、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子のAlピークの面積である。Alピークの面積は、イオン源と希ガスとをプローブにする測定方法である低エネルギーイオン散乱(LEIS:Low Energy Ion Scattering)による分析から求めることができる。LEISは、数keVの希ガスを入射イオンとする分析手法で、最表面の組成分析を可能とする評価手法である(参考文献:The TRC News 201610−04(October2016))。
また、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子の表面を覆う珪素含有酸化物被膜のLEIS分析による被覆率は、例えば15%以上100%以下であり、70%以上100%以下が好ましく、より好ましくは95%以下であり、さらに好ましくは72%以上90%以下であり、特に好ましくは74%以上85%以下の範囲である。70%以上100%以下であると、より耐湿性に優れる。また、95%以下であると、熱伝導率が低下することがより抑制される。
シリカ被覆窒化アルミニウム粒子等の珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は表面にシリカやその他の焼成により化学構造の変化したものも含まれると推測される。したがって、シリカ被覆窒化アルミニウム粒子等の珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の上記LEIS分析による被覆率は、好ましくは、15%以上、より好ましくは、20%以上、さらに好ましくは、25%以上、さらにより好ましくは、30%以上である。15%以上であれば、耐湿性が優れる。また、好ましくは、100%以下、より好ましくは、95%以下、さらに好ましくは、90%以下、さらにより好ましくは85%以下である。100%以下であれば熱伝導性に優れる。組合せとしては、好ましくは15%以上100%以下、より好ましくは15%以上90%以下、さらに好ましくは、15%以上45%以下、よりさらに好ましくは25%以上45%以下、最も好ましくは30%以上40%以下である。
また、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子のBET法から求めた比表面積をx(m/g)とし、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の珪素原子の含有量をy(質量ppm)としたとき、下記数式(a)および数式(b)を満たすことが好ましく、下記数式(c)を満たすことがより好ましい。
y≦1000x+500 ・・・(a)
y≧100 ・・・(b)
0.03≦x≦5 ・・・(c)
なお、珪素原子の含有量は、ICP法で測定することができる。また、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子のBET法から求めた比表面積xは、上述の窒化アルミニウム粒子のBET法から求めた比表面積と同様に、ガス流動法による窒素吸着BET1点法から測定することができる。評価装置としては、Mountech社製Macsorb HM model−1210を用いることができる。
また、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の珪素原子の含有量は、特に限定されないが、例えば5000質量ppm以下であり、3000質量ppm以下が好ましく、より好ましくは2800質量ppm以下であり、さらに好ましくは2600質量ppm以下である。珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の珪素原子の含有量は、例えば100質量ppm以上である。
また、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は、表面のAES(オージェ電子分光法:Auger Electron Spectroscopy)分析により測定されるSi/Al原子比は、例えば、0.29以上であり、0.30以上であることが好ましく、0.32以上であることがより好ましい。このように、AES分析によるSi/Al原子比が0.29以上であると、耐湿性に優れる。珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の表面のAES分析により測定されるSi/Al原子比の上限は特に限定されないが、例えば、5.0以下である。
珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の、表面のAES分析により測定されるSi/Al原子比は、オージェ電子分光分析装置(アルバック・ファイ社製、PHI−680)を使用して、測定することができる。
<<珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法>>
珪素含有酸化物覆窒化アルミニウム粒子は、以下に示す製造方法により製造することができる。
珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法は、例えば、窒化アルミニウム粒子の表面を、下記一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物により覆う第1工程と、有機シリコーン化合物により覆われた窒化アルミニウム粒子を300℃以上1000℃未満、好ましくは300℃以上800℃以下の温度で加熱する第2工程とを備える。
Figure 2021178756

(一般式(1)中、Rは炭素数が4以下のアルキル基、すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基又はt−ブチル基であり、より好ましくはメチル基である。)
上記有機シリコーン化合物としては、式(1)で表される構造を繰り返し単位として含むオリゴマー又はポリマーが好ましい。また、上記有機シリコーン化合物は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。上記有機シリコーン化合物の重量平均分子量は、均一な膜厚のシリカ系薄膜の形成容易性の観点から、好ましくは100〜2000、より好ましくは150〜1000、さらに好ましくは180〜500である。なお、上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値とする。
このような珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法について、図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法の一例として、シリカ被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法を示すフローチャートである。
−窒化アルミニウム粒子−
珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法において、原料として用いられる窒化アルミニウム粒子は、市販品など公知のものを使用することができる。窒化アルミニウム粒子の製法は、特に制限がなく、例えば、金属アルミニウム粉と窒素またはアンモニアとを直接反応させる直接窒化法、アルミナを炭素還元しながら窒素またはアンモニア雰囲気下で加熱して同時に窒化反応を行う還元窒化法などがある。
また、窒化アルミニウム粒子として、窒化アルミニウム微粒子の凝集体を焼結により顆粒状にした粒子を用いることもできる。特に、体積累計のd50が1μm程度の高純度窒化アルミニウム微粒子を原料とした焼結顆粒は、窒化アルミニウム粒子として好適に用いることができる。
ここで、高純度窒化アルミニウム微粒子とは、酸素の含有量が低く、金属不純物も少ない粒子のことである。具体的には、例えば、酸素の含有量が1質量%以下であり、金属不純物(すなわち、アルミニウム以外の金属原子)の総含有量が1000質量ppm以下である高純度窒化アルミニウムが、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子に含まれる窒化アルミニウム粒子のより高い熱伝導性を得るためには好適である。また、高純度窒化アルミニウム微粒子には、酸素や金属不純物が全く含まれていなくてもよい。
窒化アルミニウム粒子は、単独または組み合わせて使用することができる。
なお、上述した酸素の含有量は、酸素検出用赤外線検出器を付帯する、無機分析装置などで測定できる。具体的には、酸素の含有量は、酸素・窒素・水素分析装置(ONH836:LECOジャパン合同会社製)を使用することにより、測定することができる。
また、アルミニウム以外の金属原子の総含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)質量分析装置などで測定できる。具体的には、アルミニウム以外の金属原子の総含有量は、ICP質量分析計(ICPMS−2030:株式会社島津製作所製)を使用することにより、測定することができる。
なお、粒子の体積累計のd50とは、ある粒度分布に対して体積累計の積算値が50%となる粒径を示している。体積累計のd50は、レーザー回折散乱法による粒度分布から求められ、具体的には、体積累計のd50は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX2:マイクロトラック・ベル株式会社製)を使用することにより、測定することができる。
窒化アルミニウム粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、無定形(破砕状)、球形、楕円状、板状(鱗片状)などが挙げられる。また、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子を、放熱材料用のフィラーとして放熱性樹脂組成物中に分散させて含有させる場合は、窒化アルミニウム粒子としては、同一の形状、構造を有する同じ種類の窒化アルミニウム粒子(単一物)のみを用いてもよいが、異なる形状、構造を持つ2種類以上の異種の窒化アルミニウム粒子を種々の割合で混合した窒化アルミニウム粒子の混合物の形で用いることもできる。
珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子を、放熱性樹脂組成物中に分散させて含有させる場合は、放熱性樹脂組成物に対する、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子を構成する窒化アルミニウム粒子の体積比(充填量)が大きいほど、放熱性樹脂組成物の熱伝導率が高くなる。したがって、窒化アルミニウム粒子の形状は、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の添加による放熱性樹脂組成物の粘度上昇の少ない球形に近いことが好ましい。
窒化アルミニウム粒子の平均アスペクト比(粒子形状の指標)は、0.8以上1.0以下の範囲が好ましく、より好ましくは、0.85以上1.0以下の範囲であり、さらに好ましくは、0.9以上1.0以下の範囲である。ここで、窒化アルミニウム粒子の平均アスペクト比とは、任意に抽出した粒子100個の電子顕微鏡写真像について、それぞれ短径(D1)と長径(D2)とを測定し、その比(D1/D2)の相加平均値である。なお、短径(D1)とは、窒化アルミニウム粒子の電子顕微鏡写真像について、2本の平行線で挟まれた最小の長さであり、長径(D2)とは、電子顕微鏡写真像について、2本の平行線で挟まれた最大の長さである。
窒化アルミニウム粒子の体積累計のd50は、好ましくは0.2μm以上200μm以下であり、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上50μm以下の範囲である。
窒化アルミニウム粒子の体積累計のd50が、上述した範囲内であると、電力系電子部品を搭載する放熱材料に、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子を含有させた放熱性樹脂組成物を用いる場合でも、最小の厚みの薄い放熱材料の供給が可能になるとともに、被膜が窒化アルミニウム粒子の表面を均一に被覆しやすいためか、窒化アルミニウム粒子の耐湿性がより向上する。
なお、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法は、厚みの薄い珪素含有酸化物の被覆層を形成できるためか、体積累計のd50が50μm以下の比較的細かい窒化アルミニウム粒子を用いた場合も熱伝導性に与える影響は小さい。
−被覆に用いる有機シリコーン化合物−
珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法において、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子を構成する珪素含有酸化物被膜の原料として用いられる有機シリコーン化合物は、上記一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物であれば、特に制限なく使用できる。一般式(1)で表される構造は、珪素原子に直接水素が結合した、ハイドロジェンシロキサン単位である。
有機シリコーン化合物として、例えば、下記一般式(2)で示される化合物および下記一般式(3)で示される化合物の少なくとも一方が好適である。
Figure 2021178756

(一般式(2)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、R1およびR2の少なくとも一方は水素原子であり、mは0〜10の整数であり、好ましくは1〜5、より好ましくは1である。)
Figure 2021178756

(一般式(3)中、nは3〜6の整数であり、好ましくは3〜5、より好ましくは4である。)
特に、上記式(3)においてnが4の環状ハイドロジェンシロキサンオリゴマーが、窒化アルミニウム粒子表面に均一な被膜を形成できる点で優れている。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン換算重量平均分子量であり、具体的には、カラム(ショウデックス(登録商標)LF−804:昭和電工株式会社製)と示差屈折率検出器(ショウデックス(登録商標)RI−71S:昭和電工株式会社製)との組み合わせで測定することができる。
−第1工程−
第1工程では、上記窒化アルミニウム粒子の表面を、上記一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物により覆う。
第1工程では、上記窒化アルミニウム粒子の表面を、上記一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物により覆うことができればよい。第1工程の方法としては、一般的な粉体混合装置を用いて、原料の窒化アルミニウム粒子を攪拌しながら有機シリコーン化合物を噴霧などで添加して、乾式混合することで被覆する乾式混合法などが挙げられる。粉体混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、容器回転型のVブレンダー、ダブルコーン型ブレンダーなど、混合羽根を有するリボンブレンダー、スクリュー型ブレンダー、密閉型ロータリーキルン、マグネットカップリングを用いた密閉容器の攪拌子による攪拌などが挙げられる。この場合における温度条件は、一般式(1)で示される構造を含むシリコーン化合物の沸点、蒸気圧にもより、特に限定されないが、好ましい温度は10℃以上200℃以下であり、より好ましくは20℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上100℃以下の範囲である。
また第1工程の方法として、一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物の蒸気単独もしくは窒素ガスなどの不活性ガスとの混合ガスを、静置した窒化アルミニウム粒子表面に付着または蒸着させる気相吸着法を用いることもできる。この場合の温度条件としては、一般式(1)で示される構造を含むシリコーン化合物の沸点、蒸気圧にもより、特に限定されないが、好ましい温度は10℃以上200℃以下であり、より好ましくは20℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上100℃以下の範囲である。さらに必要な場合には、系内を加圧あるいは減圧させることもできる。この場合に使用できる装置としては、密閉系、かつ、系内の気体を容易に置換できる装置が好ましく、例えば、ガラス容器、デシケーター、CVD装置などを使用できる。窒化アルミニウム粒子を攪拌せずに有機シリコーン化合物で被覆する場合の処理時間は、長めに取る必要がある。しかしながら、処理容器を間歇的にバイブレーター上に置くことで、粉体同士が接触して陰になっている場所や、上の空気層部から遠い粉体に対しても、位置を動かすことにより効率よく処理できる。
一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物の第1工程での使用量は、特に限定されない。第1工程で得られる、一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物により覆われた窒化アルミニウム粒子において、一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物の被覆量が、窒化アルミニウム粒子のBET法から求めた比表面積(m/g)から算出した表面積1m当たり0.1mg以上1.0mg以下であることが好ましく、より好ましくは0.2mg以上0.8mg以下の範囲であり、さらに好ましくは0.3mg以上0.6mg以下の範囲である。この理由としては、0.1mg以上とすることで、詳しくは後述する第2工程を経て得られる珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子において、被覆量が多い均一な珪素含有酸化物被膜を形成でき、また、1.0mg以下とすることで、得られる珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子における熱伝導率を低下させることの少ない薄い珪素含有酸化物被膜を形成できるためである。なお、上記窒化アルミニウム粒子のBET法から求めた比表面積(m/g)から算出した表面積1m当たりの、一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物の被覆量は、有機シリコーン化合物で被覆する前後の窒化アルミニウム粒子の質量差を、窒化アルミニウム粒子のBET法から求めた比表面積(m/g)から算出した表面積(m)で除すことで求めることができる。
なお、BET法から求める比表面積は、ガス流動法による窒素吸着BET1点法から測定することができる。評価装置としては、Mountech社製Macsorb HM model−1210を用いることができる。
−第2工程−
第2工程では、第1工程で得られた有機シリコーン化合物により覆われた窒化アルミニウム粒子を、300℃以上1000℃未満、好ましくは300℃以上950℃以下、より好ましくは300℃以上800℃以下の温度で加熱する。これにより、窒化アルミニウム粒子表面に珪素含有酸化物被膜を形成することができる。
この第2工程での加熱が低温の場合は、窒化アルミニウム粒子表面に、珪素含有酸化物被膜としてのシリカ被膜が形成され、シリカ被覆窒化アルミニウム粒子が製造できる。また、この第2工程での加熱が高温の場合は、窒化アルミニウム粒子表面に、珪素含有酸化物被膜としての珪素およびアルミニウムを含む酸化物の被膜が形成され、珪素およびアルミニウムを含む酸化物被覆窒化アルミニウム粒子が製造できる。第2工程での温度が高くなると、窒化アルミニウム粒子を構成するアルミニウムが窒化アルミニウム粒子表面に出てくることで有機シリコーン化合物に由来する珪素とともに複合酸化物を形成して、珪素およびアルミニウムを含む酸化物の被膜が形成されると推測される。
第2工程では、第1工程で得られた有機シリコーン化合物により覆われた窒化アルミニウム粒子を、300℃以上1000℃未満、好ましくは300℃以上950℃以下、より好ましくは300℃以上800℃以下の温度で加熱することができれば、すなわち、第1工程で得られた有機シリコーン化合物により覆われた窒化アルミニウム粒子を、300℃以上1000℃未満、好ましくは300℃以上950℃以下、より好ましくは300℃以上800℃以下の温度範囲に保持できるものであれば、一般の加熱炉を使用することができる。
第2工程の熱処理(300℃以上1000℃未満、好ましくは300℃以上950℃以下、より好ましくは300℃以上800℃以下の温度での加熱)では、熱処理の初期段階で窒化アルミニウム粒子表面を被覆している一般式(1)で示される構造を含む有機シリコーン化合物が脱水素反応により、有機シリコーン化合物同士、または窒化アルミニウム粒子表面の水酸基などと結合し、被覆がさらに強固になると考えられる。そして、熱処理の終期では、有機シリコーン化合物の有機基(炭素数4以下のアルキル基)が分解して揮散する。したがって、形成される珪素含有酸化物被膜は炭素原子の含有量が少なくなり、ひいては、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の炭素原子の含有量も少なくなる。よって炭素原子の含有量が小さい珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子を得ることができる。珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の炭素原子の含有量が小さければ、耐湿性が良好であり、また、偏在した炭素粒子が絶縁性などへ影響を与えにくい。珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の炭素原子の含有量は、好ましくは1000質量ppm未満であり、より好ましくは500質量ppm未満であり、更に好ましくは300質量ppm未満である。
なお、シリカ被覆とは、シリカを主成分とする薄膜でコートされていることを意味する。ただし、コートされたシリカと窒化アルミニウム粒子との界面には、複数の無機複合物が存在する可能性があるので、ToF−SIMS(Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry:飛行時間二次イオン質量分析、ION−TOF社、TOF.SIMS5)で分析した場合には、二次イオン同士の再結合やイオン化の際の分解なども重なり、AlSiOイオン、SiNOイオンなどのセグメントが副成分として同時に検出される場合もある。このToF−SIMS分析で分析される複合セグメントも、窒化アルミニウムをシリカ化した場合の部分検出物と定義することができる。目安としては、シリカの2次電子量が、その他のフラクションより多い状態であれば、シリカが主成分であると見なすことができる。
さらに精度を上げてシリカの純度を確認する実験として、窒化アルミニウム多結晶基板上に同様の方法でシリカ被膜を形成させた試料表面を、光電子分光測定装置(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy、アルバック・ファイ社、Quantera II)で測定し、検出されるSi由来の光電子の運動エネルギーがシリカの標準ピーク103.7eVとほぼ一致することから、ほとんどがSiO構造になっていると推測される。なお、加熱温度によっては、有機成分が残るケースもありうる。また、有機シロキサン成分が混在することは十分ありうる。
炭素原子の含有量は、管状電気炉方式による非分散赤外吸収法を用いた炭素・硫黄分析装置などで測定できる。具体的には、炭素・硫黄分析装置(Carbon Anlyzer EMIA−821:株式会社堀場製作所製)を使用することにより測定することができる。
第2工程の加熱温度(熱処理温度)は、好ましくは300℃以上1000℃未満、好ましくは300℃以上950℃以下、より好ましくは300℃以上800℃以下である。この温度範囲で行うことで、耐湿性および熱伝導性の良好な珪素含有酸化物被膜が形成される。具体的には、300℃以上で加熱すると、珪素含有酸化物被膜が緻密化し水分を透過し難くなるためか、耐湿性が良好になる。また、1000℃未満、好ましくは950℃以下、より好ましくは800℃以下で加熱すると熱伝導性が良好になる。他方、1000℃以上であると、耐湿性や熱伝導性が悪くなる。また、加熱温度が、300℃以上1000℃未満、好ましくは300℃以上950℃以下、より好ましくは300℃以上800℃以下であれば窒化アルミニウム粒子の表面に均一に珪素含有酸化物被膜が形成される。また、加熱温度が300℃以上であれば、珪素含有酸化物被膜は絶縁性に優れたものになり、1000℃未満、好ましくは950℃以下、より好ましくは800℃以下であれば、エネルギーコスト的にも有効である。加熱温度は、好ましくは400℃以上であり、より好ましくは500℃以上であり、さらに好ましくは650℃以上である。
加熱時間としては、30分以上12時間以下が好ましく、30分以上6時間以下がより好ましく、さらに好ましくは45分以上4時間以下の範囲である。熱処理時間は、30分以上であれば有機シリコーン化合物の有機基(炭素数4以下のアルキル基)の分解物の残存がなく、窒化アルミニウム粒子表面に炭素原子の含有量の非常に少ない珪素含有酸化物被膜が得られる点で好ましい。また、加熱時間を6時間以下とすることが、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子を生産効率よく製造することができる点で好ましい。
第2工程の熱処理の雰囲気は特に限定されず、例えば、N、Ar、He等の不活性ガス雰囲気下や、H、CO、CH等の還元ガスを含む雰囲気下でもよいが、酸素ガスを含む雰囲気下、例えば大気中(空気中)で行うことが好ましい。
第2工程の熱処理後に、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子同士が、部分的に融着することがある。その場合には、これを解砕することで、固着・凝集のない珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子を得ることができる。なお、解砕に使用する装置は、特に限定されるものではないが、ローラーミル、ハンマーミル、ジェットミル、ボールミルなどの一般的な粉砕機を使用することができる。
また、第2工程終了後に、さらに、第1工程および第2工程を順に行ってもよい。すなわち、第1工程および第2工程を順に行う工程を、繰り返し実行してもよい。
第1工程において気相吸着法により窒化アルミニウム粒子の表面を有機シリコーン化合物により覆う場合、気相吸着法による被覆方法は、液体処理で行う被覆方法と比較して、均一で薄い珪素含有酸化物被膜を形成することが可能である。したがって、第1工程および第2工程を順に行う工程を複数回、例えば2〜5回程度繰り返しても、窒化アルミニウム粒子の良好な熱伝導率を発揮させることができる。
一方、耐湿性に関しては、第1工程および第2工程を順に行う工程の回数と耐湿性との間には、正の相関が認められる。したがって、実際の用途で求められる耐湿性のレベルに応じて、第1工程および第2工程を順に行う工程の回数を自由に選択することができる。
上記珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法で得られた、珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子本来の高熱伝導性を維持し、かつ、耐湿性にも優れているため、電気・電子分野などで使用される放熱材料用途のフィラーとして広く適用できる。
用いる珪素含有酸化物被覆AlN粒子の大きさは、後述するAlN結晶粒の場合と同じく、SEM像上で計測したメジアン径で表したとき、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
<焼結助剤粉末>
焼結助剤粉末は、希土類元素(以下、REとも記す。)を含有する限り、特に制限はないが、イットリウムおよびランタニド系希土類元素からなる群より選ばれる一種または二種以上の元素を有する化合物を含むことが好ましい。該化合物としては、具体的には、イットリウムおよびランタニド系希土類元素からなる群より選ばれる一種または二種以上の元素の酸化物を用いることができ、好ましくは酸化イットリウム(Y)であり、酸化イットリウムには市販の粒径1μm前後のものを用いることができ、好ましい。また、焼結助剤粉末には、後述するAlN脱脂体中のAlN脱脂体に含まれる酸素原子含有量を調整する観点から、さらにアルミニウム元素を有する化合物を含んでもよい。具体的には、焼結助剤粉末には、アルミニウム元素を有する化合物としてアルミニウム元素の酸化物を加えてもよく、酸化アルミニウム(Al)には市販の粒径1μm前後のものを用いることができ、好ましい。また、焼結助剤粉末としては、加熱により、アルミニウム元素、イットリウムおよびランタニド系希土類元素からなる群より選ばれる一種または二種以上の元素の酸化物を生成する前駆体を用いることもできる。
焼結助剤粉末の添加量は、珪素含有酸化物被覆AlN粒子と焼結助剤粉末の合計に対して焼結助剤粉末が0.01〜15質量%であることが好ましい。焼結助剤粉末の添加量がこの範囲であると、後述する焼結工程においてAlN焼結体が効果的に緻密化する。焼結助剤粉末の添加量は、0.1〜15質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましい。焼結助剤粉末の添加量がこの範囲内であると、AlN結晶粒子中の不純物酸素が効率的に除去されるとともに複合酸化物結晶粒が適度な量となり、得られるAlN焼結体の熱伝導率は高いものとなる。焼結助剤粉末が酸化アルミニウムを含む場合には、イットリウムおよびランタニド系希土類元素からなる群より選ばれる一種または二種以上の元素の酸化物の量に対する、酸化アルミニウムの量は、後述する複合酸化物結晶粒中の結晶相が含むREAlOおよびREAl12の量の比になるよう計算して混合することができる。例えば、IYAG/IYAP=0.3程度を目標としたとき、酸化イットリウム(Y)1質量部に対し、酸化アルミニウム(Al)0.34質量部を混合する。実際には、用いる珪素含有酸化物被覆AlN粒子が不純物酸素を含み、また、製造する際の混合工程等において空気中から酸素が混入するため、複合酸化物結晶粒がトラップする酸素原子量に合わせて、実験を繰り返して調整する。
<水>
原料スラリー中における水の含有量としては、特に制限はないが、有機溶剤の使用量を低減して、環境負荷を低減する観点から、原料スラリーにおける液体成分100質量%中、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが更に好ましい。
珪素含有酸化物覆窒化アルミニウム粒子を原料として用いることで、原料スラリーが水系スラリーであっても、窒化アルミニウムグリーンシートの製造が可能となる。
ここで、本明細書において、「水系スラリーである」とは、「原料スラリー中における水の含有量が、原料スラリーにおける液体成分100質量%中、50質量%以上である」ことを意味する。
<その他の成分>
原料スラリーには、有機溶剤、ノニオン系分散剤、可塑剤等のその他の成分が含まれていてもよい。
<<有機溶剤>>
原料スラリー中における有機溶剤の含有量としては、特に制限はないが、有機溶剤の使用量を低減して、環境負荷を低減する観点から、原料スラリーにおける液体成分100質量%中、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、有機溶剤が全く含まれていないことが更に好ましい。
有機溶剤としては、メタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン等を挙げることができ、1−ブタノールおよび2−ブタノンが好ましく、1−ブタノールおよび2−ブタノンを混合して用いることがより好ましい。
<<ノニオン系分散剤、可塑剤>>
また、一次混合工程では、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリエチレングリコール系のノニオン系分散剤や、ジブチルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等の可塑剤をさらに添加してもよい。
一次混合工程の混合は、ボールミル、振動ミル、アトライター等を用いて行うことができる。なお、遷移金属元素等の不純物混入を抑制するために、混合容器の材質は樹脂もしくは高純度アルミナであることが好ましく、粉砕ボールの材質は高純度アルミナであることが好ましい。特に、粉砕ボールは純度99.9質量%以上の高純度アルミナが好適である。
一次混合工程において、珪素含有酸化物被覆AlN粒子は細かく粉砕される。この後の工程では、珪素含有酸化物被覆AlN粒子の粒径は大きく変化しないと考えられる。そのため、この段階で珪素含有酸化物被覆AlN粒子の平均粒径が、後述する脱脂工程で得られるAlN脱脂体が含むAlN粉末粒子の粒径を目標値として一次混合工程において粉砕することが好ましい。AlN脱脂体が含むAlN粉末粒子の粒径は、SEM像から計測するメジアン径で確認することができる。
(二次混合工程)
二次混合工程では、一次混合工程で得た原料スラリーと、別に調製したバインダー溶液とを混合して混合液とし、混合液を濾過して混合スラリーを得る。バインダー溶液は、バインダーを有機溶剤に溶解して得る。
バインダーとしては、ポリビニルブチラール、パラフィンワックス、エチルセルロース、アクリル系樹脂等の有機化合物が好ましく、ポリビニルブチラールがより好ましい。
バインダー溶液の調製に用いる有機溶剤としては、メタノール、1−ブタノール、2−ブタノン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン等を挙げることができ、1−ブタノールおよび2−ブタノンが好ましく、1−ブタノールおよび2−ブタノンを混合して用いることがより好ましい。複数種の有機溶剤を混合して用いる場合には、混合比率を溶質の特性に合わせて適宜変更することができる。
バインダー溶液の原料スラリーに対する混合量は、原料スラリーが含む珪素含有酸化物被覆AlN粒子と焼結助剤粉末の合計100質量部に対して、バインダーが3〜15質量部添加されるようバインダー溶液を混合することが好ましく、3〜10質量部添加されるよう混合することがより好ましい。
また、二次混合工程では、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリエチレングリコール系のノニオン系分散剤や、ジブチルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等の可塑剤をさらに添加してもよい。
二次混合工程では粒径の変化のない混合方式を用いる。混合は、例えば、粉砕能がない通常の攪拌機で行うことができる。即ち、二次混合工程では、珪素含有酸化物被覆AlN粒子及び焼結助剤粉末の粒径が変化しないような条件で、攪拌を行う。
混合液を濾過して混合スラリーを得る際の濾過は、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過等の方法を用いることができ、混合液中の成分が沈降等して偏重しないよう時間をかけずに済む点から加圧濾過で行うことが好ましい。また加圧濾過で行う場合には、加圧ガスとして圧縮した空気を用いることもできるが、混合液中の珪素含有酸化物被覆AlN粒子の不要な酸化を抑える観点から、窒素ガス等の不活性ガスで加圧することが好ましい。加圧する圧力は、混合液の量や粘性ならびに用いる加圧濾過装置の特性に合わせて適宜調製される。
濾材は、濾過する混合液が含む粉末の粒子径に合わせて選択され、例えば濾材の保持粒子径で選択する。濾材の保持粒子径は、1.0〜10.0μmが好ましく、2.0〜8.0μmがより好ましく、2.0〜6.0μmが更に好ましい。濾材の種類としては、例えば、PTFE樹脂製のろ紙、などが挙げられる。このような濾材を用いて濾過することにより、一次混合工程および二次混合工程中に生じた不溶の塊がある場合にこれを除くことができる。
また、得られた混合スラリーに対して、必要に応じて脱泡処理を行うことが好ましい。混合スラリーの脱泡処理には、市販の真空ポンプを用いることができる。
(バインダー溶液調製工程)
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法においては、バインダーを有機溶剤に溶解してバインダー溶液を得るバインダー溶液調製工程を、二次混合工程前にさらに含んでもよい。バインダー溶液は濾過されたものが好ましい。バインダーを有機溶剤に溶解して得た溶液を濾過する方法は、前述の二次混合工程において混合液を濾過する方法と同じ方法で行うことができる。バインダーを有機溶剤に溶解して得た溶液を濾過してバインダー溶液を得ることにより、塊になって不溶なバインダーがある場合にこれを取り除くことができる。バインダー溶液調製工程において用いる濾過材の保持粒子径は、二次混合工程において用いる濾過材の保持粒子径の同一以上2倍以下であることが好ましい。
(成形工程)
成形工程では、二次混合工程で得られた混合スラリーをシート状に成形し、必要なら風乾等により溶媒を除去して、AlN成形体を得る。シート状のAlN成形体の厚さは0.5〜2mmが好ましい。成形手段として、乾式プレス機、ラバープレス機を用いる方法や、押出法、射出法、ドクターブレード法等の方法を挙げることができる。AlN焼結基板の作製は、通常ドクターブレード法で成形される。また、混合スラリーを乾燥造粒して、金型成形法で成形することもできる。なお、得られたAlN成形体は、必要に応じて適切な大きさと形状にカットすることができる。
(脱脂工程)
脱脂工程では、AlN成形体を酸化性ガス雰囲気下600℃未満に加熱してAlN脱脂体を得る。脱脂を行うことによりAlN成形体が含むバインダーを分解する。酸化性ガスとしては、酸素ガスが混合された混合ガスを用いることが好ましい。前記混合ガスが含有する酸素ガス含有量は、5〜25体積%が好ましく、5〜20体積%がより好ましく、また例えば空気を好ましく用いることができる。また、脱脂は、バインダーが分解する温度以上600℃未満に加熱して行い、400℃以上600℃未満に加熱して行うことが好ましく、0.1〜24時間行うことが好ましく、1時間〜8時間行うことがより好ましい。脱脂を600℃未満で行うことにより、AlN成形体中の珪素含有酸化物被覆AlN粒子の酸化を抑えることができる。
脱脂する脱脂炉としては、市販のものを用いることができ、AlN成形体から除去されたバインダー由来の除去成分をトラップするワックストラップ機構を備えていることが好ましい。
AlN脱脂体が含む珪素含有酸化物被覆AlN粒子の大きさは、後述するAlN結晶粒の最長径の求め方と同様に、AlN脱脂体の表面を倍率1000倍のSEM画像で観察して、100μm四方の領域から少なくとも500個の任意の珪素含有酸化物被覆AlN粒子の最長径を計測して得たメジアン径とすることができる。AlN脱脂体が含む珪素含有酸化物被覆AlN粒子は、焼結助剤粉末として添加した酸化アルミニウム粉末等の粒子とは元素組成が異なるので、SEM像において区別でき、必要なら後述するSEM−EDS分析を用いて元素組成から確認することもできる。珪素含有酸化物被覆AlN粒子が十分に小さいと適切なバインダー量で珪素含有酸化物被覆AlN粒子内部の不純物酸素を効率的に除去することができる。AlN脱脂体が含む珪素含有酸化物被覆AlN粒子の平均粒径は、好ましくは0.8μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下であり、さらに好ましくは0.4μm以下である。
以上の条件で脱脂工程を行うことによりAlN脱脂体が含む炭素原子含有量は、好ましくは0.10質量%以下となり、より好ましくは0.09質量%以下となる。ここで、AlN脱脂体が炭素原子を全く含んでいなくてもよい。AlN脱脂体が含む炭素原子含有量がこの範囲であると、珪素含有酸化物被覆AlN粒子が含む不純物酸素を十分に除去できるとともに、焼結工程後に得られる窒化アルミニウム焼結体中の粒子間空隙の分散態様を後述の範囲とすることができる。AlN脱脂体が含む炭素原子含有量は、下記の方法で求める。
−AlN脱脂体が含む炭素原子含有量の測定方法−
AlN脱脂体を適量を乳鉢を用いて粉砕し、セラミックスルツボに0.2g秤量し、助燃剤として金属タングステン粉末を同質量加え、炭素硫黄分析装置EMIA−920V(株式会社堀場製作所製)を用いて赤外線吸収法で測定し、試料2点の測定値の算術平均値を求める。
(焼結工程)
焼結工程では、AlN脱脂体を焼結してAlN焼結体を得る。焼結は、1400℃以上1800℃以下の不活性ガス雰囲気下で、24時間以下加熱して行うことが好ましく、大気圧不活性ガス雰囲気下、1400〜1800℃で20分間〜24時間行うことがより好ましい。焼結温度は、1500〜1800℃がより好ましく、1650〜1800℃がさらに好ましい。焼結時間は焼結温度に合わせて調節されるが、20分間〜18時間行うことがより好ましく、30分間〜12時間行うことがさらに好ましく、30分間〜6時間がより更に好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスを好ましく用いることができる。
これらの範囲の条件でAlN脱脂体を焼結することにより、AlN焼結体の炭素原子含有量は0.10質量%未満となり、好ましくは0.09質量%以下となる。ここで、AlN焼結体が炭素原子を全く含んでいなくてもよい。AlN焼結体が含む炭素原子含有量は、下記の方法で求める。
−AlN焼結体が含む炭素原子含有量の測定方法−
AlN焼結体を適量を乳鉢を用いて粉砕し、セラミックスルツボに0.2g秤量し、助燃剤として金属タングステン粉末を同質量加え、炭素硫黄分析装置EMIA−920V(株式会社堀場製作所製)を用いて赤外線吸収法で測定し、試料2点の測定値の算術平均値を求める。
以上の条件で焼結工程を行うことにより、得られるAlN焼結体中の窒化アルミニウム結晶粒のメジアン径が2μm以下となり、好ましくは1.7μm以下となり、さらに好ましくは1.5μm以下となる。AlN結晶粒が粗大化しないことによりAlN焼結体は高い機械的強度を有する。
また、上記の条件で焼結工程を行うことにより、得られるAlN焼結体中に分散して存在する最長径が0.2〜1μmの粒子間空隙は、AlN焼結体の断面100μm四方の領域に10〜200個、好ましくは20〜170個、より好ましくは50〜130個となる。上記所定の大きさの粒子間空隙の個数が上記範囲であると、AlN焼結体は高い機械的強度を有する。
〔窒化アルミニウム焼結体〕
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、上述した本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法により製造される窒化アルミニウム焼結体であって、窒化アルミニウム結晶粒と希土類元素およびアルミニウム元素を含む複合酸化物結晶粒とを含み、前記窒化アルミニウム結晶粒のメジアン径が2μm以下であり、前記窒化アルミニウム焼結体中に、最長径が0.2〜1μmの粒子間空隙が断面100μm四方の領域に10〜200個分散し、ならびに炭素原子含有量が0.10質量%未満である。AlN焼結体は、AlN結晶粒を主成分とする多結晶体であり、副成分として複合酸化物結晶粒を含み、粒子間空隙はAlN焼結体中に隣接することなく均一に分散して存在する。
(AlN結晶粒)
本明細書においてAlN結晶粒の大きさは、メジアン径で定義する。メジアン径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した個数基準の粒度分布の累積値50%に相当する値である。本発明のAlN焼結体が含むAlN結晶粒のメジアン径は、2μm以下である。AlN結晶粒のメジアン径は小さいほどAlN焼結体の強度が高く、好ましくは1.7μm以下であり、さらに好ましくは1.5μm以下である。AlN結晶粒のメジアン径がこれらの範囲内であると機械的強度が十分高いAlN焼結体となる。
(AlN結晶粒のメジアン径)
本発明のAlN焼結体が含むAlN結晶粒のメジアン径は、AlN焼結体の破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、JSM−7500FA(日本電子株式会社製、加速電圧5.0kV))により1000倍以上の倍率で観察し、任意の100μm四方の領域において少なくとも500個のAlN結晶粒の粒径を計測して求める。AlN結晶粒は完全な球形ではないので、最長径をAlN結晶粒の粒径とする。本明細書においては、結晶粒の最長径とは、以下のようにして求められる結晶粒の輪郭を構成する多角形が有する最長の対角線の長さを意味する。
多結晶体からなるAlN焼結体の破断面をSEM観察したとき、AlN結晶粒の輪郭は視野平面において凸多角形として観測される。凸多角形が有する複数の長さの対角線のうち最長の対角線の長さを結晶粒の最長径とする。なお、SEM像の視野においてAlN結晶粒として観測されるものの、他のAlN結晶粒等が重なり、結晶粒の輪郭を構成する多角形の最長の対角線の長さを明確に計測できないAlN結晶粒については、粒径の計測の対象に含めない。
なお、例えば図2に示すようにAlN焼結体の破断面のSEM像においてAlN結晶粒と複合酸化物結晶粒とが観察されるとき、比較的暗くみえる粒子がAlN結晶粒であり、比較的明るくみえる粒子が後述する複合酸化物結晶粒である。AlN結晶粒と複合酸化物結晶粒との区別は、SEM装置に付属するエネルギー分散型X線分光(EDS)分析装置を用いて、結晶粒が含有する元素の違いから確認することもできる。この方法を、以下SEM−EDS分析と記すこともある。
(複合酸化物結晶粒)
本発明のAlN焼結体が含む複合酸化物結晶粒は、希土類元素およびアルミニウム元素を含む複合酸化物の結晶粒である。本発明のAlN焼結体は、副成分として複合酸化物結晶粒を含む。
複合酸化物の結晶相としては、単斜晶系構造(REAl)、斜方晶系ペロブスカイト構造(REAlO)または立方晶系ガーネット構造(REAl12)の結晶相が挙げられ、ここでREは、イットリウムおよびランタニド系希土類元素からなる群より選ばれる一種または二種以上の元素を表す。そして、複合酸化物結晶粒は、REAl、REAlOおよびREAl12の少なくともいずれか一種または二種以上の結晶相を含むことが好ましく、REAlOおよびREAl12の二種の結晶相を含むことが好ましい。ただし、REAl12単独の結晶相からなるものは含まない。また、AlN焼結体は、AlN結晶粒と希土類元素およびアルミニウム元素を含む複合酸化物結晶粒以外の結晶粒を含むとAlN焼結体の熱伝導性を低下させる可能性が高いことから、AlN焼結体が含む結晶粒は、AlN結晶粒と希土類元素およびアルミニウム元素を含む複合酸化物結晶粒のみからなることが好ましい。なお、複合酸化物の結晶相はX線回折法により同定できる。希土類元素としては、Y、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuが挙げられ、中でもイオン半径が小さい方が熱伝導率を高めやすいことからY、Lu、Yb、Tm、ErおよびHoが好ましい。
複合酸化物結晶粒が含む結晶相が、YAlO(以下、YAPと記すこともある。)およびYAl12(以下、YAGと記すこともある。)である場合には、複合酸化物結晶粒が含むYAlOおよびYAl12の量の比は、X線回折図形においてYAl12の面指数(532)に由来する回折角2θ=46.6°の回折ピーク高さIYAGと、YAlOの面指数(121)に由来する回折角2θ=34.3°の回折ピーク高さIYAPの比IYAG/IYAPで表したとき、IYAG/IYAPは、好ましくは0.1〜10であり、より好ましくは0.1〜7であり、さらに好ましくは0.2〜0.5である。IYAG/IYAPがこの範囲であると、複合酸化物の結晶相が粒となって存在し、AlN焼結体の熱伝導率を高くでき好ましい。
X線回折測定装置としては、例えばスペクトリス株式会社製パナリティカルMPDを用いることができる。測定条件としては、例えば、X線出力(Cu−Kα):45kV、40mA、走査軸:θ/2θ、測定範囲(2θ):10°〜90°で行う。
(複合酸化物結晶粒のメジアン径)
本発明のAlN焼結体が含む複合酸化物結晶粒の大きさは、前述のAlN結晶粒の場合と同様に、個数基準のメジアン径で定義する。AlN焼結体中の複合酸化物結晶粒のメジアン径は、小さいほどAlN焼結体の機械的強度が高くなる。また、AlN結晶粒よりも複合酸化物結晶粒が大きい場合は、複合酸化物結晶粒自体が破壊の起点となることから、複合酸化物結晶粒のメジアン径はAlN結晶粒のメジアン径より小さいことが好ましい。複合酸化物結晶粒のメジアン径は好ましくは1.5μm以下であり、より好ましくは1.0μm以下である。
複合酸化物結晶粒のメジアン径は、AlN焼結体の破断面を走査型電子顕微鏡により1000倍以上の倍率で観察し、任意の100μm四方の領域において少なくとも200個の複合酸化物結晶粒の粒径を計測して求めることができる。複合酸化物結晶粒は完全な球形ではないので、前述のAlN結晶粒の場合と同様に、最長径を複合酸化物結晶粒の粒径とする。前述したように例えば図2に示すSEM像において、比較的明るくみえる粒子が複合酸化物結晶粒である。
(粒子間空隙)
本発明のAlN焼結体中には粒子間空隙が分散しており、AlN焼結体の破断面を走査型電子顕微鏡により観察したとき、AlN焼結体の断面100μm四方の視野領域に、最長径が0.2〜1μmの粒子間空隙が10〜200個、好ましくは20〜170個、より好ましくは50〜130個分散して存在する。粒子間空隙は、SEM像において基本的に黒くみえ、コントラストを変えても明るく観測されることはない。粒子間空隙が分散しているとは、最長径が0.2〜1μmの粒子間空隙が連なって1μmを超える最長径を有する粒子間空隙とはならないことをいう。また、別の見方では、最長径が0.2〜1μmの粒子間空隙は、それぞれがAlN結晶粒または複合酸化物結晶粒に囲まれて孤立しており、互いに隔てられている。本発明のAlN焼結体中に、上記の態様で粒子間空隙が分散していることにより、機械的強度が高くAlN焼結体内の強度ばらつきが小さい。
本明細書において、粒子間空隙の大きさは、AlN焼結体の破断面を走査型電子顕微鏡により1000倍の倍率で観察し、最長径を計測する。粒子間空隙が球形に近ければ直径を、凸多角形に近ければ最長対角線の長さを、これら以外の不定形であれば、粒子間空隙の周囲長の半分を、粒子間空隙の最長径とする。粒子間空隙の数は、任意の100μm四方の視野において少なくともSEM像2視野の計測値の算術平均とする。整数になるように必要な場合には四捨五入する。
AlN焼結体の破断面作製の際に結晶粒が脱落することも考えられる。そのとき、破断面の面内方向に結晶粒1個分の大きさで、かつ深さ方向に2個以上の結晶粒が連なって脱落することは考えにくい。そこで、SEM像において黒くみえるものの、粒子間空隙であるか脱落部であるか判断しづらい箇所があった場合には、次のように判断する。すなわち、AlN焼結体の破断面の倍率1000倍のSEM像において黒く空間にみえる箇所があった場合に、倍率を3000倍に拡大して観察したとき、破断面の内部方向AlN結晶粒1個分の大きさの深さより浅く、空間の底としてAlN結晶粒または複合酸化物結晶粒が観察された場合には、AlN結晶粒または複合酸化物結晶粒が脱落した脱落部と判断する。逆に、倍率を3000倍に拡大して観察しても、破断面の内部方向AlN結晶粒1個分の大きさの深さまでAlN結晶粒または複合酸化物結晶粒が観察されない場合に、その空間を粒子間空隙と判断する。本明細書では、黒く見える箇所について粒子間空隙と判断しづらい場合に、以上のように空間に底の観測される箇所を脱落部とし、空間に底の観測されない箇所を粒子間空隙と判断する。
また、最長径が0.2μmより小さい空隙は、本明細書では、粒子間空隙として計上しない。仮に、最長径が0.2μmより小さい空隙がAlN焼結体内にさらに微分散していたとしても、機械的強度が得られている場合には問題にならないと考えられる。一方で、最長径が1μmを超える大きな粒子間空隙があった場合には、応力があった場合の破壊起点となるおそれがあり、例えば最長径が10μmを超える粒子間空隙は存在しないことが好ましく、更に最長径が1μmを超える大きな粒子間空隙も存在しないことがより好ましい。
(炭素原子含有量)
本発明のAlN焼結体の炭素原子含有量は0.10質量%未満であり、好ましくは0.09質量%以下である。AlN焼結体が含む炭素原子含有量がこの範囲であると、AlN焼結体の機械的強度を高くすることができる。AlN焼結体が含む炭素原子含有量は上記方法で求める。
(炭素含有物の個数)
AlN焼結体の破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により1000倍の倍率で観察し、SEM−EDS分析により炭素含有物を特定し、SEM像の面内方向での最長径を計測し、最長径が1μm超の大きさの炭素含有物の個数を得ることができる。炭素含有物の数は、任意の100μm四方のSEM像2視野について計測し、算術平均した値とする。なお、求めた平均値は、整数になるよう必要な場合には四捨五入する。さらに、炭素含有物が炭素原子を含有することは、SEM−EDS分析により確認することができる。
(X線回折測定による結晶相の同定)
粉末X線回折測定装置パナリティカルMPD(スペクトリス株式会社製)を用いて、AlN焼結体のX線回折測定を行うことができる。測定条件としては、Cu−Kα線(出力45kV、40mA)を用いて、走査軸:θ/2θ、測定範囲(2θ):10°〜90°、測定モード:FT、読込幅:0.02°、サンプリング時間:0.70秒、DS、SS、RS:0.5°、0.5°、0.15mmの条件で行い、得られたX線回折図形においてAlN結晶粒および複合酸化物結晶粒の結晶相を同定することができる。
(常温3点曲げ強度)
AlN焼結体の機械的強度は、JIS規格の常温3点曲げ強度測定方法(JIS−R−1601:2008)に従って測定して得る。具体的には下記のとおりに行うが、シート状のAlN焼結体10枚から作製した試験片100点について所定の条件で3点曲げ強度を測定して、その算術平均を求める。
なお、本発明のAlN焼結体は、上記の方法で求めた3点曲げ強度の算術平均値が、600MPa以上であることが好ましく、650MPa以上であることがより好ましい。
−常温3点曲げ強度の測定方法−
AlN焼結体シート10枚から、40mm×4mm×厚さ0.635mmの試験片を100本作製し、得られた試験片について、JIS規格の常温3点曲げ強度測定方法(JIS−R−1601:2008)に準じて、外部支点間距離30mm、クロスヘッド速度0.5mm/minの条件で室温(20〜25℃)で3点曲げ強度を測定する。得られた3点曲げ強度100点の算術平均値を算出する。
(ワイブル係数)
セラミックス材料の強度を統計的に記述する確率分布として、最弱リンクモデルに基づくワイブル統計表示で記述することができる。
AlN焼結体内の強度のばらつきは、ワイブル係数で表すことができ、ワイブル係数が大きいほどAlN焼結体内の強度のばらつきは小さくなる。一般にAlN焼結体のワイブル係数は10程度といわれている(「セラミックス材料技術集成」1979年4月株式会社産業技術センター発行)。機械的強度の不足による不良品の発生確率を低く抑えるためには、ワイブル係数は10より大きいことが求められる。
本明細書におけるワイブル係数は、前述の常温3点曲げ強度の測定値100個を用いて、後述の式に従って求める。
なお、本発明のAlN焼結体は、ワイブル係数が、10超であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。
Figure 2021178756
本発明のAlN焼結体は、AlN結晶粒のメジアン径が2μm以下であることにより、3点曲げ強度が600MPaより大きく、かつAlN焼結体中に、最長径が0.2〜1μmの粒子間空隙が断面100μm四方の領域に10〜200個均一に分散し、並びに炭素原子含有量が0.10質量%未満であることによりワイブル係数が10より大きい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、放熱性が高く高強度(例えば、常温3点曲げ強度が600MPa以上)であって、窒化アルミニウム焼結体内の強度ばらつきが小さい(例えば、ワイブル係数10超である)ので、高い信頼性が要求される回路基板、例えば、パワーモジュール用の回路基板に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子、および希土類元素を含有する焼結助剤粉末を含む原料粉末と、水とを混合して原料スラリーを得る一次混合工程、
    前記原料スラリーとバインダー溶液とを混合して混合液を得、当該混合液を濾過して混合スラリーを得る二次混合工程、
    前記混合スラリーを成形して窒化アルミニウム成形体を得る成形工程、
    前記窒化アルミニウム成形体を酸化性ガス雰囲気下600℃未満に加熱して窒化アルミニウム脱脂体を得る脱脂工程、および
    前記窒化アルミニウム脱脂体を焼結して窒化アルミニウム焼結体を得る焼結工程を含む、窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  2. 前記焼結助剤粉末が、イットリウムおよびランタニド系希土類元素からなる群より選ばれる一種または二種以上の元素を有する化合物を含む、請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 前記焼結助剤粉末が、さらにアルミニウム元素を有する化合物を含む、請求項2に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  4. バインダーを有機溶剤に溶解して得た溶液を濾過して前記バインダー溶液を得るバインダー溶液調製工程を、前記二次混合工程前にさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  5. 前記脱脂工程において用いる前記酸化性ガスが、酸素ガスを含む混合ガスである、請求項1〜4のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  6. 前記窒化アルミニウム脱脂体の炭素原子含有量が、0.10質量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  7. 前記焼結工程が、1400℃以上1800℃以下の不活性ガス雰囲気下、24時間以下加熱する、請求項1〜6のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  8. 前記焼結工程において用いる前記不活性ガスが、窒素ガスである、請求項7に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法により製造される窒化アルミニウム焼結体であって、
    窒化アルミニウム結晶粒と希土類元素およびアルミニウム元素を含む複合酸化物結晶粒とを含み、
    前記窒化アルミニウム結晶粒のメジアン径が2μm以下であり、
    前記窒化アルミニウム焼結体中に、最長径が0.2〜1μmの粒子間空隙が断面100μm四方の領域に10〜200個分散し、
    ならびに炭素原子含有量が0.10質量%未満である、窒化アルミニウム焼結体。
  10. 前記複合酸化物結晶粒のメジアン径が前記窒化アルミニウム結晶粒のメジアン径よりも小さい、請求項9に記載の窒化アルミニウム焼結体。
  11. 前記複合酸化物結晶粒のメジアン径が1.5μm以下である、請求項9または10に記載の窒化アルミニウム焼結体。
  12. 前記希土類元素が、イットリウムおよびランタニド系希土類元素からなる群より選ばれる一種または二種以上の元素である、請求項9〜11のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体。
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