JP2021176944A - 接着剤組成物、接着剤セット、及び構造体 - Google Patents

接着剤組成物、接着剤セット、及び構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】接着性が向上した接着剤を形成できる接着剤組成物を提供すること。【解決手段】(A)下記式(I)で表される化合物を含有し、加水分解性シリル基を有する重合体を実質的に含有しない、接着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、接着剤組成物、接着剤セット、及び構造体に関する。
接着剤は、銅、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金、ステンレス鋼板等の金属;有機物;無機物など種々の被着体を接着するために使用されている。接着剤と被着体との接着界面の接着強度を向上させる技術として、シランカップリング剤を用いる方法が知られている。シランカップリング剤としては、アルコキシシランを使うことが一般的である。アルコキシシランは加水分解してシラノールを生成し、シラノールが表面にヒドロキシル基を有する金属又は無機物と脱水縮合による結合を形成することにより、接着強度を向上させている。
一方、文献1及び2では、フルオロシランを含有する硬化性組成物の検討が行われている。文献1には、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る反応性ケイ素基を有する重合体(A)、フルオロシリル基を有する化合物(B)、及びアミン化合物(C)を含む硬化性組成物が開示されている。また、文献2には、(A)分子内に架橋性珪素基と光ラジカル重合性のビニル基を有する有機重合体、(B)光塩基発生剤、及び(C)(C1)Si−F結合を有する珪素化合物、及び/又は(C2)三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素の錯体、フッ素化剤及び多価フルオロ化合物のアルカリ金属塩からなる群から選択される1種以上のフッ素系化合物を含有する光硬化性組成物が開示されている。
特開2008−156482号公報 特開2016−132705号公報
アルコキシシランの加水分解により生成するシラノールは反応性が高いため、被着体との結合を生成する前に、シラノール同士で結合を生成してしまい、期待した接着強度を発現できない場合がある。特に、被着体が金属である場合、金属の種類によっては十分な接着強度が得られにくい傾向がある。
また、文献1及び2では、硬化性組成物の硬化性を向上させることを目的としてフルオロシランが使用され、フルオロシランは、アミン化合物等の触媒共存下で、架橋性珪素基を有する共重合体と反応し、シロキサン結合を生成する架橋剤として機能していると考えられる。
本発明の実施形態は、接着性が向上した接着剤を形成できる接着剤組成物及び接着剤セットを提供することを目的とする。また、本発明の実施形態は、被着体と接着剤との接着性が向上した構造体を提供することを目的とする。
本発明には様々な実施形態が含まれる。実施形態の例を以下に列挙する。本発明は以下の実施形態に限定されない。
[1] (A)下記式(I)で表される化合物を含有し、加水分解性シリル基を有する重合体を実質的に含有しない、接着剤組成物。
Figure 2021176944
[式(I)中、
は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ビニル基、又は、Y−X−(X−*で表される基を表し、Yは、フルオロ基、クロロ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又は、アミノ基含有基を表し、X及びXは、それぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基を表し、pは、0又は1を表し、pが1であり、Xがアルキレン基である場合、Xはアリーレン基であり、pが1であり、Xがアリーレン基である場合、Xはアルキレン基であり、
は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又は、アルキルアリール基を表し、
は、加水分解性基を表し、
lは、1〜3の整数を表し、m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表し、l、m、及びnは、l+m+n=3を満たす。
mが2である場合、2個のRは、互いに同じであっても異なってもよく、nが2である場合、2個のRは、互いに同じであっても異なってもよい。]
[2] (B)硬化性化合物を含有する、上記[1]に記載の接着剤組成物。
[3] 前記(B)硬化性化合物が、エポキシ化合物、及び、エチレン性不飽和基を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[2]に記載の接着剤組成物。
[4] (C)硬化剤を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の接着剤組成物。
[5] 前記(C)硬化剤が、脂肪族アミンを含む、上記[4]に記載の接着剤組成物。
[6] (D)重合開始剤を含有する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の接着剤組成物。
[7] 無機充填材を含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の接着剤組成物。
[8] 前記(B)硬化性化合物を含有する第一液と、前記(C)硬化剤及び前記(D)重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する第二液とを含み、上記[4]〜[7]のいずれかに記載の接着剤組成物を得るために用いられる、接着剤セット。
[9] 第一の被着体と、第二の被着体と、前記第一の被着体と前記第二の被着体とに接する接着剤とを含み、前記接着剤が、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の接着剤組成物の硬化物を含む、構造体。
本発明の実施形態によれば、接着性が向上した接着剤を形成できる接着剤組成物及び接着剤セットを提供することが可能である。また、本発明の実施形態によれば、被着体と接着剤との接着性が向上した構造体を提供することが可能である。
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<接着剤組成物>
本発明の実施形態である接着剤組成物は、(A)式(I)で表される化合物を少なくとも含有し、加水分解性シリル基を有する重合体を実質的に含有しない組成物である。
((A)式(I)で表される化合物)
接着剤組成物は、(A)下記式(I)で表される化合物(以下、「(A)化合物」という場合がある。)を含有する。接着剤組成物は、(A)化合物を含有することにより、接着剤の接着性を向上させることができる。
Figure 2021176944
式(I)中、
は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ビニル基、又は、Y−X−(X−*で表される基を表し、Yは、フルオロ基、クロロ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又は、アミノ基含有基を表し、X及びXは、それぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基を表し、pは、0又は1を表し、pが1であり、Xがアルキレン基である場合、Xはアリーレン基であり、pが1であり、Xがアリーレン基である場合、Xはアルキレン基であり、
は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又は、アルキルアリール基を表し、
は、加水分解性基を表し、
lは、1〜3の整数を表し、m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表し、l、m、及びnは、l+m+n=3を満たす。
mが2である場合、2個のRは、互いに同じであっても異なってもよく、nが2である場合、2個のRは、互いに同じであっても異なってもよい。
本明細書において、「*」は他の原子との結合部を表す。
は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ビニル基、又は、Y−X−(X−*で表される基を表し、Yは、フルオロ基、クロロ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又は、アミノ基含有基を表す。アミノ基含有基は、置換のアミノ基、非置換のアミノ基、又はアミン錯体基であってもよい。置換のアミノ基における置換基としては、アルキル基、アリール基等が挙げられる。アミン錯体基は、置換又は非置換のアミノ基と、該置換又は非置換のアミノ基と配位結合により結合した原子団とを含む基である。アミン錯体基として、例えば、非置換のアミノ基と、該非置換のアミノ基と結合した原子団とを含む基;又は、エーテル結合を含む基により置換された置換のアミノ基と、該置換のアミノ基と結合した原子団とを含む基が挙げられる。アミン錯体基の具体例として、三フッ化ホウ素−アミノ基(FB←NH−*)、三フッ化ホウ素−モルホリノ基(FB←モルホリノ基−*)等が挙げられる。
は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又はアルキルアリール基を表す。
は、加水分解性基を表す。具体例としては、アルコキシル基、クロロ基等が挙げられる。アルコキシル基は、直鎖状、分岐状、又は環状アルコキシル基であってよく、直鎖状又は環状アルコキシル基であることが好ましい。アルコキシル基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3である。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
式(I)において、アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状アルキル基であってよく、直鎖状又は環状アルキル基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12であり、更に好ましくは1〜6である。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
式(I)において、アリール基の炭素数は、好ましくは6〜60、より好ましくは6〜30、更に好ましくは6〜18である。具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、フェナントレン−イル基、ピレン−イル基、ペリレン−イル基等が挙げられる。
式(I)において、アリールアルキル基は、置換基としてアリール基を有するアルキル基であり、アルキルアリール基は、置換基としてアルキル基を有するアリール基である。アルキル基及びアリール基の例は上記のとおりである。
及びXは、それぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基を表す。上記のアルキル基の構造及び炭素数の例をアルキレン基に適用することができ、また、アルキレン基の具体例として、アルキル基の具体例から更に水素原子を1つ除いた基を挙げることができる。上記のアリール基の構造及び炭素数の例をアリーレン基に適用することができ、また、アリーレン基の具体例として、アリール基の具体例から更に水素原子を1つ除いた基を挙げることができる。
lはFの個数を、mはRの個数を、nはRの個数を表す。lは、1〜3の整数を表し、2であることが好ましい。m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表し、l、m、及びnは、l+m+n=3を満たす。mは、0又は1であることが好ましい。nは、0であることが好ましい。式(I)で表される化合物として、具体的には、l=2、m=1、及びn=0である化合物が好ましい。n=0である場合、化合物(A)の加水分解が防止され、特に、水分存在下及び/又は高湿条件下での接着剤組成物の保存安定性が向上する傾向がある。
mが2である場合、2個のRは、互いに同じであっても異なってもよい。nが2である場合、2個のRは、互いに同じであっても異なってもよい。
として、具体的には、アリール基、メタクリロイルオキシアルキル基、アミノ基含有基により置換されたアルキル基等が挙げられる。Rとして、具体的には、アリール基が挙げられる。アリール基はフェニル基であることが好ましい。メタクリロイルオキシアルキル基の例として、メタクリロイルオキシエチル基、メタクリロイルオキシプロピル基等が挙げられる。アミノ基含有基により置換されたアルキル基の例として、三フッ化ホウ素−アミノ基により置換されたエチル基、三フッ化ホウ素−アミノ基により置換されたプロピル基等が挙げられる。
化合物(A)の好ましい態様として、以下が挙げられる。
・lが2であり、mが1であり、nが0であり、RがY−X−(X−*で表される基であり、Rがアルキル基である化合物。Yは、アミノ基含有基であることが好ましい。pは0であり、Xはアルキレン基(例えば、炭素数1〜6)であることが好ましい。
・lが2であり、mが1であり、nが0であり、R及びRの両方がアリール基である化合物。R及びRの両方がフェニル基であることが好ましい。
一般的に、フルオロシラン(Si−F基を含むシラン化合物)は、反応性が低い物質として知られている。しかし、”The First Lithium Fluorosilanolate-A Building Block for Directed Siloxane Synthesis” Angewandte Chemie-international Edition, 1981, Vol. 20, Issue 8, pp. 678-679では、アルカリ金属(M)を含むシラノール塩(Si−O基を含むシラン化合物)とフルオロシランとが反応してシロキサン結合(Si−O−Si結合)が生成することが報告されている。このときフッ化物塩(M)が副生成物として発生する。早瀬修二、外4名、”活性なケイ素化合物とアルミニウム錯体からなるエポキシ樹脂硬化触媒と他の付加反応への応用”、日本化学会誌、1993、(1)、p.1−14では、シラノール(Si−OH基を含む化合物)とアルミニウム錯体とからアルミニウム−酸素−珪素結合(Al−O−Si結合)が生成することが報告されている。また、フルオロシランは、シラノールとの間では容易に反応し、シロキサン結合と、副生成物であるフッ化水素(HF)を生成する。
これらから、フルオロシランと金属に結合したヒドロキシル基(M−OH)とでは、脱水を伴わない縮合反応が起きて容易に金属−酸素−珪素からなるメタロキサン結合(M−O−Si結合)を生成すると考えられる。実際の金属表面には通常薄い金属酸化膜層が形成され、最表面には欠陥部分及びヒドロキシル基が無数に存在するといわれている。このヒドロキシル基とフルオロシランの反応が起きてメタロキサン結合を生成すると考えられる。本発明の実施形態である接着剤組成物はフルオロシランとして(A)化合物を含有するため、接着剤組成物を用いて形成される接着剤と金属等の被着体との間にメタロキサン結合が形成され、その結果、接着剤と被着体との接着性を向上させることができると推測される。ただし、本発明はこれらの推測によって限定されない。
(A)化合物の製造方法には特に制限はない。例えば、クロロシラン又はアルコキシシランをフッ素化試薬で処理する方法がある。具体的なフッ素化試薬として、フッ酸、酸性フッ化アンモニウム(NHHF)、フッ化亜鉛、フッ化銅、三フッ化アンチモン、ヘキサフルオロケイ酸、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、テトラフルオロほう酸ナトリウム、ヘキサフルオロりん酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム等を挙げることができる。
クロロシラン又はアルコキシシランに特に制限はない。具体的なクロロシランとして、クロロジメチルビニルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、アリルクロロジメチルシラン、アリルジクロロメチルシラン、アリルトリクロロシラン、クロロエチルジメチルシラン、クロロジエチルメチルシラン、クロロトリエチルシラン、ジクロロジエチルシラン、クロロジメチルプロピルシラン、ジクロロメチルプロピルシラン、トリクロロプロピルシラン、ジメチルイソプロピルクロロシラン、ジエチルイソプロピルクロロシラン、トリイソプロプルクロロシラン、ブチルジメチルクロロシラン、ブチルメチルジクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ジメチルテキシルクロロシラン、テキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−デシルジメチルクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−ドデシルジメチルシラン、n−ドデシルトリクロロシラン、n−テトラデシルジメチルクロロシラン、n−テトラデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、4−ビニルフェニルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、フェニルエチルトリクロロシラン、3−フェニルプロピルジメチルクロロシラン、3,3,3−トリフルオプロピルトリクロロシラン等を挙げることができる。
具体的なアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ペンタフルオロブチルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロウンデシルトリメトキシシラン、(4−ペルフルオロブチルフェニル)トリメトキシシラン、(4−ペルフルオロヘキシルフェニル)トリメトキシシラン、(4−ペルフルオロオクチルフェニル)トリメトキシシラン、ペルフルオロフェニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
フッ素化試薬で処理することによってクロロ基又はアルコキシル基がフルオロ基によって置き換えられると考えられる。クロロ基又はアルコキシル基に代えて導入されるフルオロ基の数に特に制限はない。クロロシランのクロロ基が処理後に残っていると、又は、アルコキシシランのアルコキシル基が処理後に残っていると、得られる(A)化合物は、式(I)におけるnが1又は2となる。クロロ基及びアルコキシル基は、従来型のシランカップリング剤に含まれる加水分解性基と同様に機能する。すなわち、クロロ基及びアルコキシル基は、加水分解によりSi−OH基を生じ、Si−OH基が脱水縮合してシロキサン結合を生成する場合がある。また、アルコキシル基は、金属−酸素−珪素からなるメタロキサン結合(M−O−Si)を生成する場合がある。
接着剤組成物における(A)化合物の含有量は、接着剤と被着体との界面破壊を抑制する観点から、接着剤組成物の質量を基準として、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。(A)化合物の含有量は、接着剤の凝集破壊を抑制する観点から、接着剤組成物の質量を基準として、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、7質量%以下であることが特に好ましい。
((B)硬化性化合物)
接着剤組成物は、(B)硬化性化合物を含有してもよい。硬化性化合物は、重合反応により硬化を起こす化合物であってよい。(B)硬化性化合物として、例えば、エポキシ化合物、エチレン性不飽和基を含む化合物等を用いるとよい。エポキシ化合物としてエポキシ樹脂として知られている化合物を用いることができる。エポキシ樹脂はその製造原料の点から、おおよそ、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、及び脂環型の4種類に分類することがあるが、そのいずれでもよい。具体的なエポキシ樹脂として、ビフェニル型エポキシ樹脂、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂、及びナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
また、硬化のためには、エポキシ化合物は、好ましくは、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含む。エポキシ化合物が有するエポキシ基の数は、一分子内に2〜4個であってもよい。
エチレン性不飽和基(CH=CR−、Rは水素原子又はメチル基を表す。)を含む化合物は、エチレン性不飽和基に加えて、カルボキシル基、エステル基、アミド基、シアノ基、リン酸基、ホスホン酸基、チオール基、フェニル基、トリアジン環構造等を含んでよい。エチレン性不飽和基を含む化合物は、一分子内にエチレン性不飽和基を1個有する単官能モノマー、一分子内にエチレン性不飽和基を2個有する二官能モノマー、若しくは一分子内にエチレン性不飽和基を3個以上有する三官能以上の多官能モノマー等のモノマー;又は、一分子内にエチレン性不飽和基を1個有するポリマー、一分子内にエチレン性不飽和基を2個有するポリマー、一分子内にエチレン性不飽和基を3個以上有するポリマー等のポリマーのいずれであってもよい。
エチレン性不飽和基を含む化合物は、接着剤組成物への分散性の観点から、好ましくは、一分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーを含み、より好ましくは、一分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーを含む。エチレン性不飽和基を含む化合物は、接着剤組成物への分散性の観点から、好ましくは、一分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含み、より好ましくは、一分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含む。特に、エチレン性不飽和基を含む化合物は、一分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーと、一分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルポリマーとを含むことがより好ましく、一分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーと、一分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルポリマーとを含むことがより好ましい。エチレン性不飽和基を含む化合物は、アクリロニトリル等を含んでいてもよい。本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」を総称する語として使用される。
(メタ)アクリルモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート等であってよい。アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の炭素数は、例えば1〜18、1〜12又は1〜8であってよい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等であってよく、接着剤組成物への分散性の観点から、好ましくは、メチルメタクリレートである。
(メタ)アクリルモノマーは、リン酸基を含んでいてよい。そのような(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2,2’−ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルホスフェート、EO(エチレンオキサイド)変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルモノマーは、例えば、イソシアヌル酸変性(メタ)アクリレート等のトリアジン環を有する(メタ)アクリルモノマーであってもよい。(メタ)アクリルモノマーは、例えば、アクリルアミド等のアミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーであってもよい。
(メタ)アクリルモノマーは、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含んでいてよい。そのような(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の二官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー、又はジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能モノマーであってよい。また、(メタ)アクリルモノマーは、5個以上の(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレートであってもよい。
(メタ)アクリルポリマーは、(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位を含むポリマーである。(メタ)アクリルモノマーの例としては、上記の(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。(メタ)アクリルポリマーは、好ましくは、少なくとも両末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルポリマーであり、より好ましくは、少なくとも両末端にアクリロイル基を有するアクリルポリマーである。(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量は、5,000〜100,000であることが好ましく、6,000〜80,000であることがより好ましく、7,000〜50,000であることが更に好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンの検量線を用いて換算して求められる値である。(メタ)アクリルポリマーの例として、両末端アクリロイル基変性ポリアクリレート(例えば、株式会社カネカ製「カネカテレケリックアクリレートRC−110C」)が挙げられる。
エポキシ化合物は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。エポキシ化合物とエチレン性不飽和基を含む化合物とを組み合わせて用いてもよい。
(B)硬化性化合物は、エポキシ基とエチレン性不飽和基とを有する化合物であってもよい。
接着剤組成物における(B)硬化性化合物の含有量は、接着剤の凝集破壊を抑制する観点から、接着剤組成物の質量を基準として、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。(B)硬化性化合物の含有量は、接着剤と被着体との界面破壊を抑制する観点から、接着剤組成物の質量を基準として、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが更に好ましい。
(B)硬化性化合物におけるエポキシ化合物の含有量は、接着剤の凝集破壊を抑制する観点から、(B)硬化性化合物の質量を基準として、20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることが更に好ましい。(B)硬化性化合物におけるエチレン性不飽和基を含む化合物の含有量は、(B)硬化性化合物の質量を基準として、20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることが更に好ましい。
エチレン性不飽和基を含む化合物における(メタ)アクリルモノマーの含有量は、エチレン性不飽和基を含む化合物の質量を基準として、40〜95質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがより好ましく、60〜80質量%であることが更に好ましい。エチレン性不飽和基を含む化合物における(メタ)アクリルポリマーの含有量は、エチレン性不飽和基を含む化合物の質量を基準として、5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。
((C)硬化剤)
接着剤組成物は、(C)硬化剤を含有してもよい。(C)硬化剤は、(B)硬化性化合物と反応することにより、(B)硬化性化合物の硬化を促進することができる。(C)硬化剤は、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基のいずれとも、求核剤として反応し得る化合物を含むことが好ましい。この化合物は、2〜4個、又は2〜3個の求核性反応基を有する化合物であってもよい。求核性反応基を有する化合物は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
求核性反応基は、例えば、アミノ基又はチオール基であってもよい。求核性反応基を有する化合物として、複数のアミノ基及び/又は複数のチオール基を有する化合物を用いることができる。(メタ)アクリロイル基との反応性の観点から、求核性反応基を有する化合物が、アミノ基を有する化合物であってもよい。アミノ基を有する化合物の例としては、脂肪族アミンが挙げられ、好ましくは、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,6−ヘキサンジアミン等の2個以上の非置換のアミノ基を有する脂肪族ポリアミンが挙げられる。アミノ基を有する化合物の他の例としては、ポリエーテルアミンが挙げられる。アミノ基を有する化合物の市販品の例としては、「jERキュア3080」(三菱ケミカル株式会社製)、「1,3−BAC」(三菱ガス化学株式会社製)等が挙げられる。
接着剤組成物における(C)硬化剤の含有量は、接着剤の凝集破壊を抑制する観点から、接着剤組成物の質量を基準として、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましい。(C)硬化剤の含有量は、接着剤と被着体との界面破壊を抑制する観点から、接着剤組成物の質量を基準として、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。
((D)重合開始剤)
接着剤組成物は、(D)重合開始剤を含有してもよい。(B)硬化性化合物が、エチレン性不飽和基を含む化合物を含む場合、(D)重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であってよい。ラジカル重合開始剤は、例えば、有機過酸化物又はアゾ化合物であってよい。有機過酸化物は、例えば、ハイドロパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド等であってよい。アゾ化合物は、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル(富士フイルム和光純薬株式会社製AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル(富士フイルム和光純薬株式会社製V−65)等であってよい。重合開始剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
接着剤組成物における(D)重合開始剤の含有量は、接着剤の凝集破壊を抑制する観点から、接着剤組成物の質量を基準として、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることが更に好ましい。(D)重合開始剤の含有量は、接着剤と被着体との界面破壊を抑制する観点から、接着剤組成物の質量を基準として、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
((a)加水分解性シリル基を有する重合体)
接着剤組成物は、(a)加水分解性シリル基を有する重合体を実質的に含有しない。接着剤組成物が(a)重合体を含有する場合、(A)化合物は、(a)重合体が有する加水分解性シリル基と容易に反応し、(a)重合体の架橋剤として機能し得る化合物である。十分な量の(A)化合物を被着体と結合させ、接着剤と被着体と接着強度の向上を図る観点から、接着剤組成物における(a)重合体の含有量は、接着剤組成物の質量を基準として、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。(a)重合体の含有量は、0.0質量%であってもよい。
加水分解性シリル基は、例えば、下記式(II)で表される基である。
Figure 2021176944
式(II)中、Rは、加水分解性基を表し、Rは、置換基を表し、qは、1〜3の整数を表す。
として、例えば、アルコキシル基、クロロ基等が挙げられる。Rとして、例えば、置換又は非置換の有機基が挙げられ、具体的には、式(I)中のR、R、R等が挙げられる。qが2以上である場合、2個以上のRは、互いに同じであっても異なってもよい。qが1である場合、2個のRは、互いに同じであっても異なってもよい。
(a)重合体は、一分子内に少なくとも1個の加水分解性シリル基が導入された重合体である。重合体としては、特に限定はなく、例えば、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、シリコーン等の熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーが挙げられる。
(任意の成分)
接着剤組成物は、任意の成分を更に含有してもよい。任意の成分は、液だれの防止、チクソ性の付与、接着強度の向上等の目的から、充填材であってよい。充填材の形状としては、例えば、繊維状、球状等が挙げられる。
充填材としては、例えば、銀粉、金粉、銅粉、ニッケル粉等の金属充填材;アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の無機充填材:カーボン、ゴム系フィラー等の有機充填材などが挙げられる。
接着剤組成物が充填材を含有する場合、充填材の含有量は、接着剤の凝集力向上の観点から、接着剤組成物の質量を基準として、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。充填材の含有量は、接着剤の凝集破壊を抑制する観点から、接着剤組成物の質量を基準として、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。
任意の成分は、貯蔵安定性を向上させる目的から、重合禁止剤であってよい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等が挙げられる。
任意の成分は、酸素による重合阻害を防止する目的から、パラフィン類であってよい。パラフィン類としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう、セレシン、カンデリラろう等が挙げられる。
任意の成分は、着色剤;可塑剤;安定剤;酸化防止剤;加水分解性シリル基を有しない重合体;シランカップリング剤等の(b)加水分解性シリル基含有化合物(ただし、上記(A)化合物及び(a)重合体には該当しない化合物)等であってよい。接着剤と被着体と接着強度の向上を図る観点から、(b)化合物の含有量も、接着剤組成物の質量を基準として、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。(b)化合物の含有量は、0.0質量%であってもよい。
<接着剤セット>
本発明の実施形態である接着剤セットは、少なくとも、(A)化合物と、(B)硬化性化合物と、(C)硬化剤又は(D)重合開始剤とを含有する接着剤組成物を得るために用いられる。接着剤セットは、(B)硬化性化合物を含有する第一液と、(C)硬化剤又は(D)重合開始剤を含有する第二液とを少なくとも含む。第一液は、(A)化合物及び/又は任意の成分を更に含有してもよい。第二液は、(A)化合物及び/又は任意の成分を更に含有してもよい。
研磨剤セットとして、例えば、(A)化合物及び(B)硬化性化合物を含有する第一液と、(C)硬化剤を含有する第二液とを含む研磨剤セット;(A)化合物、(B)硬化性化合物、及び充填材を含有する第一液と、(C)硬化剤及び充填材を含有する第二液とを含む研磨剤セット、などが挙げられる。
<構造体>
本発明の実施形態である構造体は、第一の被着体と、第二の被着体と、前記第一の被着体と前記第二の被着体とに接する接着剤とを含み、前記接着剤が、上記接着剤組成物の硬化物を含む。接着剤は、上記接着剤組成物又は上記接着剤セットを用いて形成することができる。構造体は、更に他の被着体を含んでもよく、更に他の接着剤を含んでもよい。
構造体の製造方法は、例えば、第一の被着体及び第二の被着体を用意すること、上記接着剤組成物又は上記接着剤セットを用いて第一の被着体と第二の被着体とを接着することを含む。
第一及び第二の被着体は、それぞれ、例えば、鋼、鉄、銅、ブリキ、アルミニウム、ステンレス、これらのいずれかを含む合金等の金属;樹脂等の有機物;ガラス等の無機物;炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等で形成されている。接着対象である第一の被着体及び第二の被着体は、互いに同種の材料で形成されていてよく、互いに異種の材料で形成されていてもよい。この製造方法で用いられる接着剤セットは異種の被着体に対する接着性に優れているため、第一の被着体及び第二の被着体が互いに異種の材料で形成されている場合であっても、被着体同士が好適に接着された構造体が得られる。特に良好な接着性が得られることから、第一の被着体及び第二の被着体のいずれか少なくとも一方が金属であることが好ましく、両方が金属、又は、一方が金属であり他方が有機物、無機物、若しくは有機物と無機物とを含有する材料であってよい。
接着は、例えば、第一の被着体と第二の被着体とを所定の隙間を空けて配置し、ミキシングノズル等の装置を用いて、隙間に第一液及び第二液を注入する方法によって行うことができる。第一液と第二液について、被着体間に注入するのと略同時に、又は、注入しながら第一液及び第二液を混合してもよく、被着体間に注入する直前に第一液及び第二液を混合し、混合後の第一液及び第二液を被着体間に注入してもよい。第一液及び第二液が互いに混合することによりその混合物が硬化し、被着体同士が接着される。
この製造方法で用いられる接着剤セットは、混合後に室温で硬化可能であるため、接着が実施される温度は、例えば100℃以下、80℃以下、又は50℃以下であってよく、5℃以上、10℃以上、又は20℃以上であってよい。接着は、段階的に温度を変更しながら実施されてよく、例えば、50℃以下の温度で接着させた後、150℃以下の温度でアフターキュアを行ってもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<(A)化合物の合成>
(ジフルオロシラン1の合成)
25mLなすフラスコに、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBE−902」)を8.47g、トリフルオロホウ素ジエチルエーテル錯体(富士フイルム和光純薬株式会社製)を25.15g加え、マグネチックスターラーで撹拌した。24時間後、オイルバスで140℃に加熱しなら揮発分を減圧留去し、白色固形物8.90gを得た。NMR(核磁気共鳴)測定と元素分析により、白色固形物が下記式(I−1)で表される化合物(ジフルオロシラン1)であると決定した。
NMR測定には、Bruker社製「Avance 300」を用いた。サンプル及び溶剤をスクリュー管に秤取して溶液を調製した後、ピペットでNMR管に移した。サンプル濃度は、H及び19F NMRの場合は約10mg/0.60mL、13C及び29Si NMRの場合は約100mg/0.65mLとした。なお、29Si NMRはインバースゲートデカップリング法で測定した。
元素分析には、Elementar社製「vario Micro cube」を用いた。条件は、燃焼炉1150℃、還元炉850℃、ヘリウム流量200mL/min、酸素流量25−30mL/minとした。
Figure 2021176944
H NMR(300MHz、アセトン−d)δ=5.58(br、2H)、2.92(m、2H)、1.90(m、2H)、0.99(m、2H)、0.41(t、3H)。
13C NMR(75MHz、アセトン−d)δ=44.66、22.03、11.55、−4.01。
29Si NMR(60MHz、アセトン−d)δ=4.04(t)。
19F NMR(282MHz、アセトン−d)δ=−151.86(m)、−136.11。
元素分析C 23.11%(理論値23.21%)、H 5.29%(理論値5.36%)、N 6.69%(理論値6.77%)。
(ジフルオロシラン2の合成)
50mLなすフラスコに、ジフェニルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−202SS」)を15.01g、トリフルオロホウ素ジエチルエーテル錯体を5.80g加え、マグネチックスターラーで撹拌した。24時間後、オイルバスで40℃に加熱しなら揮発分を減圧留去し、無色透明液体13.40gを得た。NMR測定により、無色透明液体が下記式(I−2)で表される化合物(ジフルオロシラン2)であると決定した。
Figure 2021176944
H NMR(300MHz、アセトン−d)δ=7.83−7.78(m、4H)、7.72−7.65(m、2H)、7.58(4H))。
13C NMR(75MHz、アセトン−d)δ=135.95、135.92、135.90、134.02、130.20。
29Si NMR(60MHz、アセトン−d)δ=−29.12(t)。
19F NMR(282MHz、アセトン−d)δ=−143.29。
<接着剤セットの調製>
上記で得たジフルオロシラン1又は2、及び以下の各原料を用いて、表1に示す組成の第一液及び第二液からなる接着剤セットを調製した。
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、以下、HDDAと略す)
両末端アクリロイル基変性ポリアクリレート(株式会社カネカ製「カネカテレケリックアクリレートRC−110C」、分子量10,000、以下、R110と略す)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON830」、以下、EP830と略す)
ポリエーテルアミン(三菱ケミカル株式会社製「jERキュア3080」、以下、3080と略す)
1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学株式会社製「1,3−BAC」)
シリカフィラー(日本アエロジル株式会社製「R805」)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−403」)
ジメトキシジフェニルシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−202SS」)
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−903」)
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBE−902」)
Figure 2021176944
<評価サンプルの作製>
大きさが25mm×100mm、厚みが2.0mmの基板を用意した。基板には以下を用いた。第一液及び第二液を混合して接着剤組成物を作製した。2枚の基板の間に、シリコーンで作製した厚みが0.5mmのスペーサーを、接着剤の大きさが25mm×12.5mm、厚みが0.5mmとなるように配置した。接着剤組成物を2枚の基板の間に注入し、室温(25℃)で30分養生してから100℃で60分加熱し、更に24時間以上にわたり静置して評価サンプルを作製した。
純アルミニウム(株式会社スタンダードテストピース製、A1050)
アルミニウム合金(株式会社スタンダードテストピース製、A6061)
<接着強度>
評価サンプルを用い、引張りせん断試験を行った。引張りせん断試験には、オートグラフ(株式会社島津製作所製「AGS−XPlus」、最大負荷容量50kN)を使用した。測定条件は、室温(25℃)、引張り速度5mm/minとした。破断したときの強度を測定し、測定値と接着面積からせん断接着強度(MPa)を算出した。結果を表1に記す。
表1から分かるように、(A)化合物を含有する接着剤組成物によれば、接着剤の接着強度を向上させることができる。

Claims (9)

  1. (A)下記式(I)で表される化合物を含有し、加水分解性シリル基を有する重合体を実質的に含有しない、接着剤組成物。
    Figure 2021176944
    [式(I)中、
    は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ビニル基、又は、Y−X−(X−*で表される基を表し、Yは、フルオロ基、クロロ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又は、アミノ基含有基を表し、X及びXは、それぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基を表し、pは、0又は1を表し、pが1であり、Xがアルキレン基である場合、Xはアリーレン基であり、pが1であり、Xがアリーレン基である場合、Xはアルキレン基であり、
    は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又は、アルキルアリール基を表し、
    は、加水分解性基を表し、
    lは、1〜3の整数を表し、m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表し、l、m、及びnは、l+m+n=3を満たす。
    mが2である場合、2個のRは、互いに同じであっても異なってもよく、nが2である場合、2個のRは、互いに同じであっても異なってもよい。]
  2. (B)硬化性化合物を含有する、請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記(B)硬化性化合物が、エポキシ化合物、及び、エチレン性不飽和基を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の接着剤組成物。
  4. (C)硬化剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  5. 前記(C)硬化剤が、脂肪族アミンを含む、請求項4に記載の接着剤組成物。
  6. (D)重合開始剤を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
  7. 無機充填材を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物。
  8. 前記(B)硬化性化合物を含有する第一液と、前記(C)硬化剤及び前記(D)重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する第二液とを含み、請求項4〜7のいずれかに記載の接着剤組成物を得るために用いられる、接着剤セット。
  9. 第一の被着体と、第二の被着体と、前記第一の被着体と前記第二の被着体とに接する接着剤とを含み、前記接着剤が、請求項1〜7のいずれかに記載の接着剤組成物の硬化物を含む、構造体。
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