JP2021176634A - めっき液精製用フィルターおよびめっき液精製用吸着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去できるめっき液精製用活性炭含有フィルターを提供する。【解決手段】本発明の一局面に係るめっき液精製用フィルターは、活性炭からなる吸着剤を含有し、単位質量当たりのヨウ素吸着量が930〜1300mg/gである成型体6を備え、塩化物イオン濃度が6.0〜9.0mg/L、pHが6.9〜7.5、電気伝導度が90〜130μS/cmである原水を1分間濾過した後採取された濾過水の塩化物イオン濃度が、前記原水の塩化物イオン濃度以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、めっき液精製用フィルターおよびめっき液精製用吸着剤に関する。
活性炭を含有するフィルターは、浄水用途に限らず液体の浄化に広く用いられており、例えば特許文献1には耐アルカリ性のめっき液の浄化用に用いられる活性炭含有フィルターが開示されている。
一方、めっき液には、めっき成分以外に、めっきの仕上がりを向上させるため様々な添加剤が添加されている。例えば、電解めっき用のめっき液には添加剤としてポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の高分子有機化合物が添加されている。この高分子有機化合物は、電解めっきを行うごとに液中で徐々に分解して不純物である低分子の分解生成物となることが知られている。この分解生成物がめっき液中に増加すると、めっきの仕上がりに不具合が生じるため、分解生成物を除去する必要がある。
例えば、特許文献2には、活性炭含有フィルターを用いてめっき液から分解生成物を除去し、めっき液を再利用する方法が開示されている。
しかしながら、本発明者らの調査によると、酸性銅箔めっき液を使用した場合において、活性炭含有フィルターを用いて分解生成物を吸着し、除去しためっき液(以下「再生めっき液」という。)を用いてめっきを行った際に、めっきムラが発生する等、めっきの仕上がりに不具合が生じることがあった。
本発明者らがこの不具合の原因について検討した結果、酸性銅箔めっき液において塩素濃度が高いとめっき液中へのアノード金属および金属銅の溶解が促進され、めっきムラが発生すること、および、活性炭含有フィルターから再生めっき液に塩素が溶出することがわかった。
さらに、活性炭含有フィルターによって、分解生成物のみならず必要な高分子有機化合物からなる添加剤まで再生めっき液から除去されてしまい、これによってもめっきの仕上がりに不具合が生じることがわかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができるとともに、めっき液への塩素の溶出を抑制することができる、めっき液精製用フィルターを提供すること、およびこのめっき液精製用フィルターを得るための活性炭吸着剤を提供することにある。
特開2012−61390号公報 特開2005−240108号公報
本発明者らは、種々検討した結果、上記目的は以下の発明により達成されることを見出した。
本発明の一局面に係るめっき液精製用フィルターは、活性炭からなる吸着剤を含有し、単位質量当たりのヨウ素吸着量が930〜1300mg/gである成型体を備え、塩化物イオン濃度が6.0〜9.0mg/L、pHが6.9〜7.5、電気伝導度が90〜130μS/cmである原水を1分間濾過した後採取された濾過水の塩化物イオン濃度が、前記原水の塩化物イオン濃度以下である。
本発明の他の一局面に係るめっき液精製用吸着剤は、活性炭からなるめっき液精製用吸着剤であって、単位質量当たりのヨウ素吸着量が1000〜1400mg/gであり、前記活性炭の灰分含有量が0.5質量%以下、前記活性炭の塩化物含有量が0.0030質量%以下である。
図1は、本実施形態のめっき液精製用フィルターの成型体を調製するための型枠の斜視図である。 図2は、図1の型枠を用いて得られる本実施形態の成型体の一例を示す斜視図である。 図3は、成型体中の活性炭の比表面積等の測定の際の、サンプルの切り取り方を説明する図である。
以下、本発明に係る実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(めっき液精製用フィルター)
本実施形態のめっき液精製用フィルターは、活性炭からなる吸着剤を含有し、単位質量当たりのヨウ素吸着量が930〜1300mg/gである成型体を備え、塩化物イオン濃度が6.0〜9.0mg/L、pHが6.9〜7.5、電気伝導度が90〜130μS/cmである原水を1分間濾過した後採取された濾過水の塩化物イオン濃度が、前記原水の塩化物イオン濃度以下である。
このような構成を有することにより、添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができるとともに、めっき液への塩素の溶出を抑制することができる。
これは、成型体の単位質量当たりのヨウ素吸着量の下限を規定することで、添加剤から生成した分解生成物のめっき液からの除去性能を確保し、かつ、ヨウ素吸着量の上限規定することで、めっき液からの添加剤の除去を抑制することができるためと考えられる。
また、本実施形態のめっき液精製用フィルターを用いて原水を濾過して得られた濾過水の塩化物イオン濃度を所定の値以下とすることで、めっき液への塩素の溶出を抑制することができるためと考えられる。
本実施形態のめっき液精製用フィルターに含まれる成型体の単位質量当たりのヨウ素吸着量(以下「成型体ヨウ素吸着量」ともいう。)は、930〜1300mg/gである。成型体ヨウ素吸着量が930mg/g未満であると、めっき液から分解生成物を十分に除去することができず、形成されるめっきに悪影響を及ぼす。一方、成型体ヨウ素吸着量が1300mg/gを超えて多いと、分解生成物のみならず添加剤までめっき液から除去されることとなり、十分にめっきを形成することができない。成型体ヨウ素吸着量は、940mg/g以上が好ましく、950mg/g以上がより好ましい。また、成型体ヨウ素吸着量は、1290mg/g以下が好ましく、1200mg/g以下がより好ましい。本実施形態において、成型体ヨウ素吸着量は、後述する実施例に記載のように、JIS K 1474:2014(活性炭試験方法)に規定される「よう素吸着性能」の求め方によって測定、算出する。
本実施形態のめっき液精製用フィルターは、当該フィルターを用いて前記原水を1分間濾過した後採取された濾過水(以下単に「濾過水」ともいう。)の塩化物イオン濃度が、前記原水の塩化物イオン濃度以下である。濾過水の塩化物イオン濃度が原水の塩化物イオン濃度よりも高い場合、濾過により分解生成物を除去しためっき液に塩素が溶出することとなり、形成されるめっきに悪影響を及ぼす。しかし、本実施形態のめっき液精製用フィルターによれば、塩素に起因するめっきへの悪影響を抑制することができる。濾過水の塩化物イオン濃度は、原水の塩化物イオン濃度との差(濾過水の塩化物イオン濃度から原水の塩化物イオン濃度を減じた値)が−0.5mg/L以下であることが好ましい。本実施形態において、原水および濾過水の塩化物イオン濃度は、後述する実施例に記載のイオンクロマトグラフ法で測定する。
ここで、濾過水の塩化物イオン濃度が原水の塩化物イオン濃度よりも高くなる原因として、成型体を構成する活性炭に含まれる塩素または塩化物(以下「塩素等」という。)が挙げられる。活性炭、特にヤシ殻等の植物系炭素質材料を原料とするものは、不純物として一定量の塩素等を含有する。活性炭に含有される塩素等は、賦活した活性炭を、塩素等以外の不純物低減のため酸で洗浄した後、さらに熱処理を施すことによって低減させることができる。しかし、活性炭がその吸着性能以上に塩素等を含有する場合には濾過水の塩化物イオン濃度が原水の塩化物イオン濃度よりも高くなることがある。
本実施形態のめっき液精製用フィルターは、当該フィルターを用いて前記原水を1分間濾過した後採取された濾過水の電気伝導度が、前記原水の電気伝導度に5μS/cmを加算した値以下(濾過水の電気伝導度から原水の電気伝導度を減じた値が5μS/cm以下)であることが好ましい。濾過水の電気伝導度は、成型体から溶出する金属成分や塩素等の不純物に起因して上昇する。濾過水の電気伝導度が原水の電気伝導度に5μS/cmを加算した値を超えて高い場合、濾過により分解生成物を除去しためっき液に活性炭からの溶出金属成分や塩素等が溶出することとなり、形成されるめっきに悪影響を及ぼす場合がある。濾過水の電気伝導度は、原水の電気伝導度との差(濾過水の電気伝導度から原水の電気伝導度を減じた値)が3μS/cm以下であることがより好ましく、1μS/cm以下であることがさらに好ましい。濾過水の電気伝導度の下限については特に限定はされないが、あまりに電気伝導度を低くすると、成型体のコストが過度に高くなる。そのため、濾過水の電気伝導度は、原水の電気伝導度との差が−7μS/cm以上であることが好ましく、−6μS/cm以上であることがより好ましい。本実施形態において、原水および濾過水の電気伝導度は、pHメータ「F−74」およびToupH電極「9615S−10D」(いずれも株式会社堀場アドバンスドテクノ社製)を用いて測定する。
ここで、上記塩化物イオン濃度の評価及び電気伝導度の評価に用いられる原水は、塩化物イオン濃度が6.0〜9.0mg/L、pHが6.9〜7.5、電気伝導度が90〜130μS/cmである。この原水は、水道水を浄水用活性炭を用いて濾過して得られた浄水を使用できる。前記浄水の塩化物イオン濃度、pHおよび電気伝導度を測定し、いずれの項目とも前記範囲内であれば、そのまま評価用原水として用いることができる。前記浄水の塩化物イオン濃度が前記範囲より低い場合は、塩化ナトリウム(NaCl)を添加することにより増加させることができ、前記浄水の塩化物イオン濃度が前記範囲より高い場合は、イオン交換水を添加することにより低下させることができる。前記浄水の電気伝導度が前記範囲より低い場合は、硫酸ナトリウム(NaSO)を添加することにより上昇させることができ、前記浄水の電気伝導度が前記範囲より高い場合は、イオン交換水を添加することにより低下させることができる。原水の調整のために用いられる浄水用活性炭としては、市販品を使用することができる。
本実施形態のめっき液精製用フィルターは、メチレンブルー循環吸着回数が4回以上12回以下であることが好ましい。メチレンブルー循環吸着回数とは、後述する実施形態に記載のように、初期濃度約120mg/Lのメチレンブルー水溶液2Lをめっき液精製用フィルターに循環通液し、通液開始から30分後のメチレンブルー水溶液の濃度が2mg/L以下であれば初期濃度になるようにメチレンブルーを追加して循環通液を続ける操作を、メチレンブルーを追加してから30分後のメチレンブルー水溶液の濃度が2mg/Lを超えるまで繰り返し、その繰り返し回数(メチレンブルーの追加回数に1を加えた値)をいう。
メチレンブルー循環回数が4回未満であると、めっき液から分解生成物を十分に除去することができず、形成されるめっきに悪影響を及ぼす。一方、メチレンブルー循環回数が12回を超えて多いと、分解生成物のみならず添加剤までめっき液から除去されることとなり、十分にめっきを形成することができない。メチレンブルー循環回数は、5回以上が好ましく、6回以上がより好ましい。また、メチレンブルー循環回数は、11回以下が好ましく、10回以下がより好ましい。本実施形態において、メチレンブルー循環回数は、後述する実施例に記載の方法で測定する。
本実施形態のめっき液精製用フィルターは、細孔容積算出相対圧を0.990として測定した活性炭の全細孔容積に対する、MP法で測定した活性炭の直径1.0nm以上1.5nm以下の細孔の容積の割合(以下「1nm細孔容積割合」という。)が、2.3%以上であることが好ましい。1nm細孔容積割合が2.3%未満であると、めっき液から分解生成物を十分に除去することができず、形成されるめっきに悪影響を及ぼす。1nm細孔容積割合は、2.8%以上が好ましく、3.0%以上がより好ましい。本実施形態において、1nm細孔容積割合は、後述する実施例に記載の方法で測定する。
本実施形態のめっき液精製用フィルターは、MP法で測定した活性炭の平均細孔径が1.70nm以上1.92nm以下であることが好ましい。活性炭の平均細孔径が1.70nm未満であると、めっき液から分解生成物を十分に除去することができず、形成されるめっきに悪影響を及ぼす。一方、活性炭の平均細孔径が1.92nmを超えて大きいと、分解生成物のみならず添加剤までめっき液から除去されることとなり、十分にめっきを形成することができない。活性炭の平均細孔径は、1.71nm以上が好ましく、1.74nm以上がより好ましい。また、活性炭の平均細孔径は、1.91nm以下が好ましく、1.88nm以下がより好ましい。本実施形態において、活性炭の平均細孔径は、後述する実施例に記載の方法で測定する。
(活性炭)
本実施形態のめっき液精製用フィルターの成型体に吸着剤として使用される活性炭は、単位質量当たりのヨウ素吸着量が1000〜1400mg/gであり、灰分含有量が0.5質量%以下、塩化物含有量が0.0030質量%以下であることが好ましい。
活性炭の単位質量当たりのヨウ素吸着量(以下「活性炭ヨウ素吸着量」ともいう。)が1000mg/g未満であると、この活性炭を用いて作製しためっき液精製用フィルターを用いてもめっき液から分解生成物を十分に除去することができず、形成されるめっきに悪影響を及ぼす。一方、活性炭ヨウ素吸着量が1400mg/gを超えて多いと、この活性炭を用いて作製しためっき液精製用フィルターを用いることによって、分解生成物のみならず添加剤までめっき液から除去されることとなり、十分にめっきを形成することができない。活性炭ヨウ素吸着量は、1050mg/g以上が好ましく、1060mg/g以上がより好ましい。また、活性炭ヨウ素吸着量は、1390mg/g以下が好ましく、1380mg/g以下がより好ましい。本実施形態において、活性炭ヨウ素吸着量は、上述の成型体ヨウ素吸着量と同様の方法によって測定、算出する。
活性炭の灰分含有量が0.5質量%を超えると、この活性炭を用いて作製しためっき液精製用フィルターを用いて濾過しためっき液に灰分が溶出し、形成されるめっきに悪影響を及ぼす。めっき液への灰分の溶出を抑制するため、吸着剤の灰分含有量は、0.4質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。
活性炭の塩化物含有量が0.0030質量%を超えると、この活性炭を用いて作製しためっき液精製用フィルターを用いて濾過しためっき液に塩化物が溶出し、形成されるめっきに悪影響を及ぼす。めっき液への塩化物の溶出を抑制するため、活性炭の塩化物含有量は、0.0029質量%以下が好ましく、0.0020質量%以下がより好ましい。
本実施形態の活性炭は、例えば炭素質材料に炭化および賦活の少なくとも一方を施すことによって得られる活性炭を使用することができる。
炭素質材料の炭化を必要とする場合は、通常、酸素または空気を遮断して、例えば400〜800℃、好ましくは500〜800℃、さらに好ましくは550〜750℃程度で行うことができる。賦活法としては、ガス賦活法、薬品賦活法のいずれの賦活法も採用でき、両方を組み合わせてもよく、特に不純物の残留の少ないガス賦活法が好ましい。ガス賦活法は、炭化された炭素質材料を、通常、例えば、750〜1100℃、好ましくは800〜980℃、さらに好ましくは850〜950℃程度で、賦活ガス(例えば、水蒸気、二酸化炭素ガス等)と反応させることにより行うことができる。賦活ガスは、作業の安全性および炭素質材料の反応性を考慮すると、水蒸気を10〜40容量%含有する水蒸気含有ガスが好ましい。賦活時間および昇温速度は特に限定されず、選択する炭素質材料の種類、形状、サイズにより適宜選択できる。
炭素質材料は、特に限定されないが、例えば植物系炭素質材料(例えば、木材、鉋屑、木炭、ヤシ殻やクルミ殻などの果実殻、果実種子、パルプ製造副生成物、リグニン、廃糖蜜などの植物由来の材料)、鉱物系炭素質材料(例えば、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭、コークス、コールタール、石炭ピッチ、石油蒸留残渣、石油ピッチなどの鉱物由来の材料)、合成樹脂系炭素質材料(例えば、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂などの合成樹脂由来の材料)、天然繊維系炭素質材料(例えば、セルロースなどの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維などの天然繊維由来の材料)などが挙げられる。これらの炭素質材料は、単独でまたは2種類以上組み合わせて使用できる。これらの炭素質材料のうち、上記の特性を有する成型体を得る観点からヤシ殻やフェノール樹脂が好ましく、ヤシ殻がより好ましい。
賦活後の活性炭は、特にヤシ殻などの植物系炭素質材料や鉱物系炭素質材料を用いた場合、灰分や薬剤を除去するために洗浄してもよい。洗浄には酸が用いられ、酸としては洗浄効率の高い塩酸が好ましい。酸洗後は、十分に水で酸を洗い流す。
本実施形態の活性炭の形状としては、粉末状、粒子状、繊維状(糸状、織り布(クロス)状、フェルト状)などのいずれの形状でもよく、用途によって適宜選択できるが、体積あたりの吸着性能の高い粒子状が好ましい。
本実施形態の活性炭の粒子径は、特には限定されないが、体積基準の累計粒度分布における50%粒子径(D50)が120〜170μm程度であることが好ましく、125〜165μm程度であることがより好ましく、130〜160μm程度であることがさらに好ましい。活性炭がこのような範囲の粒子径であれば、添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができる成型体が得られやすくなる。本実施形態において、上記D50の数値はレーザー回折・散乱法により測定した値であり、例えば、日機装株式会社製の湿式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX II)などにより測定できる。
(バインダー)
本実施形態の成型体は、繊維状バインダーを含有することが好ましい。繊維状バインダーとしては、活性炭を絡めて賦形できるものであり、酸洗後の活性炭と混合を可能とし、フィルターを酸性のめっき液中で使用可能とするため耐酸性を有するものであれば、特に限定されず、合成品、天然品を問わず幅広く使用可能である。このようなバインダーとしては、例えば、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、パルプなどが挙げられる。繊維状バインダーの繊維長は4mm以下であることが好ましい。
これらの繊維状のバインダーは2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に好ましくは、ポリアクリロニトリル繊維またはセルロースパルプをバインダーとして使用することである。それにより、成型体密度および成型体強度をさらに上げ、性能低下を抑制することができる。
本実施形態において、繊維状の高分子バインダーの通水性は、CSF値で10〜150mL程度である。本実施形態において、CSF値はJIS P 8121−2:2012(パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法)に準じて測定した値である。また、CSF値は、例えばバインダーをフィブリル化させることによって調整できる。
繊維状の高分子バインダーのCSF値が10mL未満となると、通液性が得られず、圧力損失も高くなるおそれがある。一方で、CSF値が150mLを超える場合は、粉末状の活性炭を十分に保持することができず、成型体の強度が低くなる上、吸着性能に劣る可能性がある。
本実施形態の成型体における活性炭と繊維状バインダーの混合割合は、めっき液中の分解生成物の吸着効果、成型性などの点から、好ましくは、活性炭100質量部に対し、繊維状バインダーを4.0〜6.0質量部程度とする。繊維状バインダーの量が4.0質量部未満となると、十分な強度が得られずに成型体を成型できないおそれがある。また、繊維状バインダーの量が6.0質量部を超えると、吸着性能が低下するおそれがある。より好ましくは、繊維状バインダーを4.5〜5.5質量部配合することが望ましい。
(めっき液精製用フィルターの変形例)
本実施形態のめっき液精製用フィルターは、成型体に加え、さらに中芯を備える円筒状フィルターであってもよい。円筒形状にすることによって、通液抵抗を低下することができるという利点がある。
本実施形態で使用できる中芯としては、円筒形状の成型体の中空部に挿入され、成型体を補強できるものであれば特に限定されないが、例えば、トリカルパイプやネトロンパイプ、セラミックフィルター、円筒状不織布積層パイプであることが好ましい。さらに、中芯の外周に不織布などを巻き付けて使用することもできる。
また、本実施形態のめっき液精製用フィルターは、円筒形状の成型体の外周に巻き付けられた不織布を有していてもよく、成型体の両側の端面に接着されたパッキンを有していてもよい。
(めっき液精製用フィルター使用方法)
本実施形態のめっき液精製用フィルターは、めっき液を収容するめっき液槽に浸漬して使用される。めっき液を当該フィルターに循環させることにより、めっき液中の添加剤の除去を抑制しつつ、添加剤から生成した分解生成物を吸着して除去することができる。
(成型体の製造方法)
本実施形態のめっき液精製用フィルターが備える成型体の製造は、任意の方法で行われ、特に限定されない。効率よく製造できる点で、スラリー吸引方法が好ましい。
以下にその一例として、本実施形態の円筒形状の成型体の製造方法の詳細を説明するが、本発明はこれに限定されない。
具体的には、例えば、円筒状の成型体は、粉末状活性炭および繊維状バインダーを水中に分散させスラリーを調製するスラリー調製工程と、スラリーを吸引しながら濾過して予備成型体を得る吸引濾過工程と、予備成型体を乾燥して乾燥した成型体を得る乾燥工程と、必要に応じて成型体の外表面を研削する研削工程とを含む製造方法により得られる。
(スラリー調製工程)
本実施形態では、スラリー調製工程において、粉末状活性炭および繊維状バインダーを、例えば、活性炭100質量部に対し、繊維状バインダーを4.5〜5.5質量部となるように、かつ、固形分濃度が4.0〜6.0質量%(特に好ましくは4.5〜5.5質量%)になるように、溶媒に分散させたスラリーを調製する。溶媒としては、特に限定はされないが、水等を用いることが好ましい。スラリーの固形分濃度が高すぎると、分散が不均一になり易く、成型体に斑が生じ易いという問題がある。一方、前記固形分濃度が低すぎると、成型時間が長くなり生産性が低下するだけではなく、成型体の密度が高くなり、濁り成分を捕捉することによる目詰りが発生しやすい。
(吸引濾過工程)
次に、吸引濾過工程では、例えば、図1に示すような、芯体2の表面に多数の吸引用小孔3を有し、かつ両端にフランジ4、4’を取り付けた円筒状成型用の型枠1に、上述したような中芯を取り付け、容器に収容されたスラリー中に浸け、濾液排出口5から型枠1の内側から吸引しながら濾過することにより、スラリーを型枠1に付着させる。吸引方法としては、慣用の方法、例えば、吸引ポンプなどを用いて吸引する方法などを利用できる。予備成型体7は、型枠1に付着した状態で所定の直径に圧縮する。
(乾燥工程)
吸引濾過工程により予備成型体7を成型した後は、型枠1の両端のフランジ4、4’を取り外し、芯体2を抜き取ることにより、中空円筒形状の予備成型体7を得ることができる。乾燥工程では、型枠1から取り外した予備成型体7を、乾燥機などで乾燥することにより、図2に示す成型体6(本実施形態の成型体)を得ることができる。
乾燥温度は、例えば、100〜150℃(特に110〜130℃)程度であり、乾燥時間は、例えば、4〜24時間(特に8〜16時間)程度である。乾燥温度が高すぎると、繊維状バインダーが変質したり、溶融したりして濾過性能が低下したり成型体6の強度が低下し易い。乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が長時間になったり、乾燥が不十分になったりするおそれがある。
(研削工程)
必要に応じて、乾燥工程の後、フィルターの外径をさらに調整したり、外周面の凹凸を減少させたりするために、研削工程を行うこともできる。本実施形態で使用する研削手段は、乾燥した成型体6の外表面を研削(又は研磨)できれば、特に限定されず、慣用の研削方法を利用できるが、研削の均一性の点から、成型体6自体を回転させて研削する研削機を用いる方法が好ましい。
なお、研削工程は、研削機を用いた方法に限定されず、例えば、回転軸に固定した成型体6に対して、固定した平板状の砥石で研削してもよい。この方法では、発生する研削滓が研削面に堆積し易いため、エアブローしながら研削するのが効果的である。
このようにして得られる成型体を、本実施形態のめっき液精製用フィルターに使用することができる。例えば、成型体を上記の製造方法によって製造したのち、めっき液の処理量等に応じて、所望の大きさおよび形状に切断してめっき液精製用フィルターを得ることができる。さらに必要に応じて、成型体の中空部に中芯を挿入したり、成型体の先端部分にキャップを装着したり、成型体の外周に不織布を巻き付けたりしてもよい。
(めっき液精製用吸着剤)
本発明に係る別の実施形態のめっき液精製用吸着剤は、活性炭からなるめっき液精製用吸着剤であって、単位質量当たりのヨウ素吸着量が1000〜1400mg/gであり、活性炭の灰分含有量が0.5質量%以下、活性炭の塩化物含有量が0.0030質量%以下である。ヨウ素吸着量、灰分含有量および塩化物含有量の規定理由は、上述の活性炭のこれらの項目についての規定理由と同様である。
本実施形態に係るめっき液精製用吸着剤を用いることにより、添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができるとともに、めっき液への塩素、灰分の溶出を抑制することができる。本実施形態のめっき液用吸着剤は、上述のめっき液精製用フィルターに用いることができる。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一態様に係るめっき液精製用フィルターは、活性炭からなる吸着剤を含有し、単位質量当たりのヨウ素吸着量が930〜1300mg/gである成型体を備え、塩化物イオン濃度が6.0〜9.0mg/L、pHが6.9〜7.5、電気伝導度が90〜130μS/cmである原水を1分間濾過した後採取された濾過水の塩化物イオン濃度が、前記原水の塩化物イオン濃度以下である。
このような構成により、添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができるとともに、めっき液への塩素の溶出を抑制することができる、めっき液精製用フィルターを提供できる。
上記めっき液精製用フィルターは、前記濾過水の電気伝導度が、前記原水の電気伝導度に5μS/cmを加算した値以下であってもよい。それにより、めっき液への金属成分等の溶出を抑制することができ、良質なめっきを形成することができる。
上記めっき液精製用フィルターにおいて、前記成型体は繊維状バインダーを含有してもよい。それにより、成型体の形状が崩れにくくなり、長期間にわたって安定して添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができる。
上記めっき液精製用フィルターにおいて、前記活性炭はヤシ殻を原料としてもよい。それにより、めっき液精製用フィルターを安価に製造することができる。
上記めっき液精製用フィルターは、メチレンブルー循環吸着回数が4回以上12回以下であってもよい。それにより、添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができる。
上記めっき液精製用フィルターは、細孔容積算出相対圧を0.990として測定した前記活性炭の全細孔容積に対する、MP法で測定した前記活性炭の直径1.0nm以上1.5nm以下の細孔の容積の割合が、2.3%以上であってもよい。それにより、添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができる。
上記めっき液精製用フィルターは、MP法で測定した前記活性炭の平均細孔径が1.70nm以上1.92nm以下であってもよい。それにより、添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができる。
本発明の他の一態様に係るめっき液精製用吸着剤は、活性炭からなるめっき液精製用吸着剤であって、単位質量当たりのヨウ素吸着量が1000〜1400mg/gであり、前記活性炭の灰分含有量が0.5質量%以下、前記活性炭の塩化物含有量が0.0030質量%以下である。
このような構成により、添加剤の除去を抑制しつつ添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができるとともに、めっき液への塩素の溶出を抑制することができる、めっき液精製用フィルターを得るためのめっき液精製用吸着剤を提供できる。
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に述べるが、これらの実施例は、本発明を何ら限定するものではない。
まず、表1〜表3に示す各実施例で調製した活性炭、成型体およびフィルターの製造方法について説明する。
[成型体の原料]
(粒状活性炭)
粒状活性炭1〜11の原料は、ヤシ殻である。400℃〜600℃で炭化されたヤシ殻チャーを900〜950℃で水蒸気賦活した。賦活時間は、目標のヨウ素吸着量になるように調整した。賦活後の活性炭を粒状活性炭11とした。
賦活した活性炭を希塩酸で洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、120℃で乾燥し、粒状の活性炭を得た。洗浄、乾燥後の活性炭を粒状活性炭7〜9とした。
洗浄、乾燥した活性炭に、さらに熱処理温度700℃、水蒸気分圧約40%としたLPG燃焼ガス中で、熱処理を実施した。熱処理を施した活性炭を粒状活性炭1〜6、10とした。
(繊維状活性炭)
繊維状活性炭1の原料は、フェノール樹脂である。フェノール系樹脂繊維(群栄化学工業社製「KT−2800」)を、980℃のLPG燃焼ガス中で加熱処理して、繊維状活性炭1(2デニール、80万本)を得た。
(繊維状バインダー)
繊維状バインダーとして、日本エクスラン工業株式会社製「フィブリル化アクリルパルプBi−PUL/F」を用いた。
[成型体の製造]
(粒状活性炭を用いたスラリー)
粒状活性炭1〜10を、ボールミルで粉砕した後に、JIS標準篩で上網80メッシュ、下網325メッシュの篩を用いて分級し、表2に示す粒度(D50)の粉末状活性炭を得た。
上記粉末状活性炭2.0kgに対して、上記繊維状バインダーを固形分で0.11kg(CSF=55mL)加えて、水道水中で攪拌して分散させ、30Lのスラリーを作製した。
(繊維状活性炭を用いたスラリー)
1kgの繊維状活性炭1を、固形分で0.055kg(CSF=55mL)の上記繊維状バインダーおよび100Lの水道水に加え、小型ビーターに投入して、叩解密度測定用成型体の密度が0.22g/mLとなるように叩解してスラリーとした。
叩解後のスラリーから作製した叩解密度測定用成型体の密度は、次のようにして測定した。図1に示すような形状の、多数の吸引用小孔(直径3mm、ピッチ5mm)を有する外径40mm、外径鍔間隔50mmの金型(型枠)の中軸(芯体)に300メッシュの金網を外径が18mmとなるように巻き付けた。この金型を用いてスラリーを吸引して円筒形の叩解密度測定用成型体を作製し、乾燥後の重量と寸法から、当該成型体の密度(叩解密度)を算出した。
(スラリーの成型)
得られたスラリーを、図1に示すような形状の、多数の吸引用小孔を有する外径63mm、中軸(芯体)径30mm、フランジ間長さ245mmの金型(型枠)に、中軸フィルター(アサヒ繊維工業株式会社製MFフィルター、公称目開き30μm、内径30mm、外径33mm、長さ245mm)を装着したものを用いて吸引し、スラリーを吸引して成型される予備成型体の外径が金型の外径よりも約2mm大きい外径約65mmとなるまで吸引した。
その後、得られた予備成型体を、金型と同じ外径となるまで回転させながら板で押さえて圧縮して成型(転動成型)し、金型から外して乾燥させ、図2に示すような円筒状の成型体を完成した。完成した成型体の外周に、不織布(ユニチカ株式会社製スパンボンド不織布「エルベスT0703WDO」)を1重に巻き付け、成型体の両端に、厚さ2mmの発泡ポリエチレンシートを外径63mm、内径30mmのドーナツ状に打ち抜いたパッキンを、厚さ0.5mmのホットメルト接着剤で成型体両端に接着し、長さを250mmに調整し、めっき液精製用フィルターを完成した。この成型体を加工したもの、またはフィルターを試験No.1〜12に用いた。
次に、表1〜表3に示す各実施例で調製した活性炭および成型体の評価方法、ならびに各実施例で濾過した濾過水の評価方法について説明する。
[活性炭中の灰分および塩化物含有量、活性炭ヨウ素吸着量]
バインダーと混ぜる前の活性炭について、JIS K 1474:2014(活性炭試験方法)で規定される「よう素吸着性能」の測定方法に従いヨウ素吸着量(活性炭ヨウ素吸着量)を測定した。活性炭中の灰分および塩化物含有量についても上記JISに規定される方法に従い測定した。
[活性炭中の金属(Na、K)含有量の測定]
バインダーと混ぜる前の活性炭のサンプル0.1gに対し濃硝酸(1.38)10mLを加え、パラレル型スケールアップ用マイクロ波合成装置(CEM社製「マイクロウェーブMARS6」)によってマイクロ波を付加して活性炭分解液を作製した。
得られた分解液を、マルチタイプICP発光分光分析装置(株式会社島津製作所製「ICPE−9820」)を用いて分解液中の元素含有量を測定した。得られた元素含有量に基づき、活性炭中の元素含有量を算出した。表1に示すNaおよびKの含有量は、このようにして算出した活性炭1kg当たりの値である。
[活性炭の粒度の測定]
各活性炭のボールミルで粉砕後の粒度(D50)は、以下に説明するレーザー回折測定法により測定した。すなわち、測定対象である活性炭を界面活性剤と共にイオン交換水中に入れ、超音波振動を与え均一分散液を作製し、粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製「Microtrac MT3300EX−II」)を用いて測定した。界面活性剤には、和光純薬工業株式会社製の「ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル」を用いた。分析条件を以下に示す。
(分析条件)
測定回数:3回の平均値
測定時間:30秒
分布表示:体積
粒径区分:標準
計算モード:MT3000II
溶媒名:WATER
測定上限:2000μm、測定下限:0.021μm
残分比:0.00
通過分比:0.00
残分比設定:無効
粒子透過性:吸収
粒子屈折率:N/A
粒子形状:N/A
溶媒屈折率:1.333
DV値:0.0882
透過率(TR):0.800〜0.930
拡張フィルター:無効
流速:70%
超音波出力:40W
超音波時間:180秒
[成型体中の活性炭の比表面積、細孔容積、平均細孔径の測定]
外周不織布およびパッキンを取り付ける前の成型体を、長さ方向で端面から115mmの位置から任意に図3に示すようにカッターナイフで体積が約6mLとなるように切り取り、サンプルとする。切り取ったサンプルを、坩堝に入れ、窒素雰囲気中700℃で1時間加熱した後、室温まで窒素雰囲気中で冷却したものを、比表面積および細孔容積測定用サンプルとする。このサンプルを用いて、以下の方法で成型体中の活性炭の比表面積および細孔容積を算出した。
比表面積S1(m/g)は、高精度全自動ガス吸着装置(マイクロトラック・ベル株式会社製「BELSORP−mini」)を使用して77Kにおける窒素吸着等温線を測定し、BET法により求めた。
全細孔容積V1(mL/g)は、上記高精度全自動ガス吸着装置を使用して窒素の吸着量より求めた。具体的には、上記高精度全自動ガス吸着装置を使用して測定した細孔容積算出相対圧0.990における窒素吸着量(V)を、下記式(1)により液体窒素の体積(Vp)に換算し、得られたVpの値を全細孔容積V1(mL/g)とした。式(1)において、Mgは吸着質(窒素)の分子量(28.013)、ρg(g/cm)は吸着質(窒素)の密度(0.808g/cm)である。
Vp=V×Mg/(22414×ρg) …(1)
平均細孔径D1(nm)は、細孔の形状を円筒形と仮定し、上記全細孔容積V1(mL/g)および比表面積S1(m/g)の値を用いて下記式(2)より求めた。
D1=(V1/S1)×4×1000 …(2)
窒素ガスの吸着等温線をMP法にて解析し、直径1.0〜1.5nmの範囲の細孔の総細孔容積(mL/g)を算出した。基準曲線には、NGCB−BEL.tを使用した。
[成型体ヨウ素吸着量]
成型体中の活性炭の比表面積等の測定に用いたサンプルと同様の位置および大きさでサンプルを切り取る。切り取ったサンプルを大きさの異なる任意の大きさのサンプル片にカットし、115℃で3時間乾燥する。乾燥後、デシケーター中で冷却したサンプル重量を測定し、それぞれのサンプル片をスパチュラで、ほぐして塊を無くし、成型体ヨウ素吸着量測定用サンプルとした。これらのサンプルを用いてJIS K 1474:2014(活性炭試験方法)で規定される「よう素吸着性能」の測定方法に従い、成型体ヨウ素吸着量を測定した。
[メチレンブルー(MB)循環回数]
不織布を巻き付けた円筒状成型体を厚さ16.3mmにカットし、その両端にパッキンをホットメルトで接着し、MB循環回数測定用サンプルフィルターとした。パッキンは、厚さ2mmの発泡ポリエチレンシートを外径63mm、内径30mmのドーナツ状に打ち抜いたものを用いた。MB循環回数測定用水溶液(MB水溶液)は、イオン交換水にメチレンブルー(MB)を濃度約120mg/Lとなるように添加したものを用いた。サンプルフィルターをセットするカラムは、サンプルフィルターの両端をリブでシールできる構造とした、内径70mmの自作のものを用いた。
カラムにサンプルフィルターをセットし、2LのMB水溶液を20℃、0.56L/分の流速でサンプルにOUT−INで循環通液した。通液開始から30分後のMB水溶液中のMB濃度が2mg/L以下であれば、更にMBを濃度が約120mg/Lになるように追加した。この作業を、MBを追加してから30分後のMB濃度が2mg/Lを超えるまで繰り返した。この通液開始またはMBを追加してから30分後のMB濃度が2ppmを超えるまでの繰り返し回数(MBの追加回数に1を加えた値)をMB循環回数とした。
循環通液に用いたポンプは、ヤマト科学株式会社製「デジタルポンプ 07522−20」とした。MB水溶液中のMBの濃度測定は、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV−1800」)を用い、波長665nmで、MB水溶液を任意にイオン交換水で希釈して測定した。
[原水]
濾過用の原水として、水道水を浄水用活性炭で濾過し、水温を20±3℃に調整したものを用いた。原水のpHは、6.9〜7.5であった。また、各実施例に用いた原水の塩化物イオン濃度および電気伝導度は、表3に示すとおりであった。
[原水および濾過水の塩化物イオン濃度測定]
成型体と、成型体の外周に巻き付けられた不織布と、成型体の両端に接着されたパッキンとを備えるめっき液精製用フィルターを、プラスチックハウジング(アドバンテック株式会社製「1PA」)にセットし、原水を10L/分の流量で通水し、原水が濾過された濾過水がプラスチックハウジング出口から出始めてから1分後の濾過水を100mlサンプリングし、イオンクロマトグラフ(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製「INTEGRION」)を使用して以下の条件で塩化物イオン濃度を測定した。濾過していない原水も100mlサンプリングし、同様に塩化物イオン濃度を測定した。濾過水の塩化物イオン濃度が原水の塩化物イオン濃度以下である場合、塩素溶出判定を「○」(可)とし、濾過水の塩化物イオン濃度が原水の塩化物イオン濃度以下よりも高かった場合、塩素溶出判定を「×」(不可)とした。
(イオンクロマトグラフ条件)
カラム:AS23 4×250mmおよびAS23 4×50mm
サプレッサー:AERS 500 Carbonate 4mm
溶離液:4.5M炭酸ナトリウム+0.8mM炭酸水素ナトリウム溶液(超純水)
[原水および濾過水の電気伝導度測定]
塩化物イオン濃度測定用にサンプリングした濾過水および原水の電気伝導度を、pHメータ(株式会社堀場アドバンスドテクノ社製「LAQUA F−74」および「ToupH電極9615S−10D」)を用いて測定した。
[ポリエチレングリコール(PEG)除去性能判定]
PEG除去性能判定は、フィルターのめっき液から分解生成物を除去する性能を判定する目的で行った。PEG除去性能判定試験では、めっき液をイオン交換水で、めっき液に添加する添加剤(高分子有機化合物)をポリエチレングリコール20,000(PEG20000)で、めっき液中の添加剤から生成する分解生成物(低分子有機化合物)をポリエチレングリコール400(PEG400)で、それぞれ代用した。
PEG除去性能判定には、MB循環回数測定用サンプルフィルターと同様のサンプルフィルターを用いた。
PEG水溶液は、イオン交換水にTOC濃度が約1,650mg/LとなるようにそれぞれPEG20000またはPEG400を添加した、2種類の水溶液を用いた。
カラムにサンプルフィルターをセットし、5LのPEG水溶液を20℃、0.5L/分の流速でサンプルにOUT−INで循環通液した。通液開始から3時間後のPEG水溶液中のTOC濃度を測定し、通液開始前のPEG水溶液からのPEG20000およびPEG400の除去率をそれぞれ算出した。
本発明のめっき液精製用フィルターは、添加剤はできるだけ除去せず、分解生成物のみ除去することが好ましいため、添加剤に対応するPEG20000は除去率25%以下を合格、分解生成物に対応するPEG400は除去率25%以上を合格とした。PEG20000の除去率25%以下およびPEG400の除去率25%以上をともに満たしたものの除去性能判定を「○」(可)とし、それ以外のものの除去性能判定を「×」(不可)とした。
循環通液に用いたポンプは、ヤマト科学株式会社製「デジタルポンプ 07522−20」とした。PEG水溶液中のTOC濃度測定は、全有機炭素計(株式会社島津製作所製「TOC−Lcsh ASI−L」)を用いて行った。
[めっき仕上がり判定]
めっき精製用フィルターで濾過しためっき液を用いて、板状ニッケル試験片に銅めっき加工を行い、仕上がりを目視で確認した。めっき製品として十分使用できるものを「〇」、めっき製品として何とか使用できるものを「△」、色斑や厚み斑があり使用できないものを「×」と判定した。
以上の各項目についての測定、評価結果を表1〜表3に示す。表1には、粉砕または叩解前の活性炭についての測定、評価結果を示す。表2には、フィルターおよびフィルター中の活性炭についての測定、評価結果を示す。表3には、原水およびフィルターで濾過した濾過水の測定結果と、フィルターの性能の評価と、めっきの仕上がりの評価を示す。
Figure 2021176634
Figure 2021176634
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(考察)
本実施形態(本発明例)のめっき液精製用フィルターは、PEG20000の除去を抑制しつつ、PEG400を効率よくPEG溶液から除去することができるとともに、PEG溶液への塩素の溶出を抑制することができ、優れた除去性能を示した。また、本実施形態のめっき液精製用フィルターで濾過しためっき液を用いてめっき加工をした場合は、仕上がりに優れる結果となった。
それに対し、比較例のめっき液精製用フィルターは、除去性能または塩素溶出の抑制において劣る結果となった。また、比較例のめっき液精製用フィルターで濾過しためっき液を用いてめっき加工をした場合は、仕上がりに劣る結果となった。
以上より、本発明のめっき液精製用フィルターによれば、めっき液からの添加剤の除去を抑制しつつ、添加剤から生成した分解生成物を効率よくめっき液から除去することができるとともに、めっき液への塩素の溶出を抑制することができることが確認できた。また、本発明のめっき液精製用フィルターを用いた場合に、得られるめっき加工品の仕上がりが良好なことから、めっき液精製用フィルターとして有用であることが確認できた。
この出願は、2018年12月27日に出願された日本国特許出願特願2018−245928を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、前述において具体例等を参照しながら実施形態を通して本発明を適切かつ十分に説明したが、当業者であれば前述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易になし得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
本発明は、めっき液精製用フィルターおよびめっき液精製用吸着剤に関する技術分野において、広範な産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. めっき液精製用フィルターであって、
    活性炭からなる吸着剤を含有し、単位質量当たりのヨウ素吸着量が930〜1300mg/gである成型体を備え、
    塩化物イオン濃度が6.0〜9.0mg/L、pHが6.9〜7.5、電気伝導度が90〜130μS/cmである原水を1分間濾過した後採取された濾過水の塩化物イオン濃度が、前記原水の塩化物イオン濃度以下である、めっき液精製用フィルター。
  2. 前記濾過水の電気伝導度が、前記原水の電気伝導度に5μS/cmを加算した値以下である、請求項1に記載のめっき液精製用フィルター。
  3. 前記成型体は繊維状バインダーを含有する、請求項1または請求項2に記載のめっき液精製用フィルター。
  4. 前記活性炭はヤシ殻を原料とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のめっき液精製用フィルター。
  5. メチレンブルー循環吸着回数が4回以上12回以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のめっき液精製用フィルター。
  6. 細孔容積算出相対圧を0.990として測定した前記活性炭の全細孔容積に対する、MP法で測定した前記活性炭の直径1.0nm以上1.5nm以下の細孔の容積の割合が、2.3%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のめっき液精製用フィルター。
  7. MP法で測定した前記活性炭の平均細孔径が1.70nm以上1.92nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のめっき液精製用フィルター。
  8. 活性炭からなるめっき液精製用吸着剤であって、
    単位質量当たりのヨウ素吸着量が1000〜1400mg/gであり、
    前記活性炭の灰分含有量が0.5質量%以下、前記活性炭の塩化物含有量が0.0030質量%以下である、めっき液精製用吸着剤。
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