JP2021176146A - 非水電解液二次電池用積層セパレータおよびその製造方法 - Google Patents

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健作 堀江
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Abstract

【課題】薄型化、耐熱性およびイオン透過性を両立できる非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法は、樹脂およびフィラーを含んでいる耐熱層を、ポリオレフィン多孔質フィルム上に形成する工程を含み;上記樹脂の固有粘度は、1.5〜1.9dL/gであり;上記フィラーの平均粒径は500nm以下であり;非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、15μm以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液二次電池用積層セパレータおよびその製造方法に関する。
非水電解液二次電池、特にリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いのでパーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などに用いる電池として広く使用され、また最近では車載用の電池として開発が進められている。
例えば、特許文献1は、耐熱性含窒素芳香族重合体およびセラミック粉末を含む非水電解液電池セパレータを開示している。同文献によると、上記の耐熱性含窒素芳香族重合体は、固有粘度が1.0〜2.8dL/gでありうる。また、上記のセラミック粉末は、一次粒子の平均粒径が1.0μm以下でありうる。
特開2000−030686号公報
しかしながら、上述のような従来技術には、セパレータの薄型化において改善の余地が残されていた。具体的には、耐熱性およびイオン透過性を維持したまま、セパレータを薄型化することが課題として残されていた。
本発明の一態様は、薄型化、耐熱性およびイオン透過性を両立できる非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を包含している。
<1>
樹脂およびフィラーを含んでいる耐熱層を、ポリオレフィン多孔質フィルム上に形成する工程を含む、非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法であって、
上記樹脂の固有粘度は、1.5〜1.9dL/gであり、
上記フィラーの平均粒径は、500nm以下であり(ここで、平均粒径は50個のフィラーの球換算粒径の平均値であり、当該球換算粒径は透過型電子顕微鏡によって実測した値である)、
非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、15μm以下である、製造方法。
<2>
上記フィラーにおいて、球換算粒径が1μm以上の粒子の占める割合は、粒子数基準で1%以下である、<1>に記載の製造方法。
<3>
ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に耐熱層が積層されている非水電解液二次電池用積層セパレータであって、
上記耐熱層は、耐熱性樹脂およびフィラーを含んでおり、
上記非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、15μm以下であり、
上記非水電解液二次電池用積層セパレータを、200℃にて5分間加熱したときのTD方向における加熱形状維持率は、75%以上であり、
上記耐熱層の透気度は、100s/100mL以下である、
非水電解液二次電池用積層セパレータ。
<4>
上記耐熱層は、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および水溶性ポリマーからなる群より選択される1種類以上の樹脂を含んでいる、<3>に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
<5>
上記耐熱層はアラミド樹脂を含んでいる、<4>に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
<6>
正極と、
<3>〜<5>のいずれかに記載の非水電解液二次電池用積層セパレータと、
負極と、
がこの順で配置されている、非水電解液二次電池用部材。
<7>
<3>〜<5>のいずれかに記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ、または、<6>に記載の非水電解液二次電池用部材を含んでいる、非水電解液二次電池。
本発明の一態様によれば、薄型化、耐熱性およびイオン透過性を両立できる非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法を提供できる。
本発明の一実施形態に関して以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
本明細書においては、「非水電解液二次電池用積層セパレータ」のことを、単に「積層セパレータ」と表現する場合がある。
〔1.非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法〕
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法は、
樹脂およびフィラーを含んでいる耐熱層を、ポリオレフィン多孔質フィルム上に形成する工程を含み、
上記樹脂の固有粘度は、1.5〜1.9dL/gであり、
上記フィラーの平均粒径は、500nm以下であり、
非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、15μm以下である。
ここで、フィラーの平均粒径は、50個のフィラーの球換算粒径の平均値である。また、各フィラーの球換算粒径は、透過型電子顕微鏡によって実測する。
本発明では、フィラーの平均粒径を小さくすることにより、非水電解液二次電池用積層セパレータの薄型化を達成している。このとき、フィラーの平均粒径を小さくすることにより低下した耐熱性は、固有粘度が特定の領域にある樹脂を使用することにより補われていると考えられる。樹脂の固有粘度を特定の領域とすることは、耐熱層のイオン透過性の維持にも寄与していると考えられる。
[耐熱層]
耐熱層は、樹脂およびフィラーを含んでいる。また、耐熱層は、それ以外の成分(バインダー樹脂など)を含んでいてもよい。
耐熱層は、多孔質層であることが好ましい。本明細書において、多孔質層とは、内部に多数の細孔を有し、これら細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体または液体が通過可能となった層である。
耐熱層の膜厚は、0.5μm以上、8.0μm未満であることが好ましく、1.0μm以上、5.0μm未満であることがより好ましく、1.0μm以上、3.0μm未満であることがさらに好ましい。本明細書では、「耐熱層の膜厚」とは、耐熱層1層あたりの平均膜厚を意味する。
耐熱層の膜厚が0.5μm以上であれば、電池の内部短絡を十分に防止することができ、また、耐熱層における電解液の保持量を維持できる。一方、耐熱層の膜厚が8.0μm未満であれば、耐熱性および電池特性を従来の水準と同等以上に保ちながら、従来技術よりも薄い耐熱層とすることができる。このため、非水電解液二次電池用積層セパレータ、ひいては非水電解液二次電池の小型化に寄与することができる。
耐熱層は、非水電解液二次電池を構成する部材として、ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置されていてもよい。上記耐熱層は、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に形成されうる。ポリオレフィン多孔質フィルムと正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置される耐熱層は、1層でもよく2層以上であってもよい。
本発明の一実施形態係る耐熱層は、ポリオレフィン多孔質フィルムと正極が備える正極活物質層との間に配置されることが好ましい。耐熱層の物性に関する説明においては、非水電解液二次電池としたときに、ポリオレフィン多孔質フィルムと正極が備える正極活物質層との間に配置された耐熱層の物性を少なくとも指す。
耐熱層の空隙率は、充分なイオン透過性を得ることができるように、20〜90体積%であることが好ましく、30〜80体積%であることがより好ましい。また、耐熱層が有する細孔の孔径は、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。細孔の孔径をこれらのサイズとすることにより、非水電解液二次電池は、充分なイオン透過性を得ることができる。
(樹脂)
耐熱層に含まれている樹脂は、固有粘度の下限値が1.5dL/g以上である。また、耐熱層に含まれている樹脂は、固有粘度の上限値が1.9dL/g以下であり、好ましくは1.8dL/g以下であり、より好ましくは1.7dL/g以下である。固有粘度が1.5dL/g以上である樹脂を含んでいる耐熱層は、非水電解液二次電池用積層セパレータに充分な耐熱性を付与できる。固有粘度が1.9dL/g以下である樹脂を含んでいる耐熱層は、充分なイオン透過性を有している。
本明細書において、「固有粘度」とは、下記式によって求められる値を表す。式中、「樹脂溶液」とは、樹脂を適当な溶媒(濃硫酸など)に溶解させた溶液を表す。また、「流動時間」とは、毛細管内を液体が流動するのに要する時間であり、ウベローデ型毛細管粘度計によって測定される。
固有粘度=ln(T/T)/C (単位:dL/g)
T:樹脂溶液の流動時間
:樹脂を含まない溶媒の流動時間
C:樹脂溶液における樹脂の濃度(g/dL)。
樹脂の固有粘度は、樹脂の分子量と相関があることが知られている。本発明においては、非水電解液二次電池用積層セパレータの薄型化、耐熱性およびイオン透過性を両立させるために、通常よりも固有粘度が低い樹脂を採用している。すなわち、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、通常よりも低分子量成分が多い樹脂を耐熱層に含ませている。
固有粘度が1.5〜1.9dL/gである樹脂は、合成条件(モノマーの投入量、合成温度、合成時間など)を適宜設定することにより、樹脂の分子量分布を調節すれば合成できる。あるいは、固有粘度が1.5〜1.9dL/gである市販の樹脂を、本発明の一実施形態に係る製造方法において使用してもよい。
本発明の一実施形態に係る製造方法において、固有粘度が1.5〜1.9dL/gである樹脂は、耐熱性樹脂であることが好ましい。本明細書において、「耐熱性樹脂」とは、融点またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂であり、好ましくは200℃以上の樹脂である。耐熱性樹脂の例としては、全芳香族ポリアミドおよび半芳香族ポリアミドなどの芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリウレタン、並びにメラミン樹脂などが挙げられる。
中でも、上記耐熱性樹脂は、全芳香族ポリアミドであることが好ましい。なお、本明細書では、全芳香族ポリアミドをアラミド樹脂とも称する。全芳香族ポリアミドとしては、例えば、パラアラミドおよびメタアラミドが挙げられ、パラアラミドがより好ましい。
上記パラアラミドの調製方法としては、特に限定されないが、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドとの縮合重合法が挙げられる。その場合、得られるパラアラミドは、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレンなどのような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。当該パラアラミドとしては、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体などのパラ配向型またはパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミドが例示される。
メタアラミドの調製方法は、特に限定されない。一例として、(1)メタ配向芳香族ジアミンと、メタ配向芳香族ジカルボン酸ハライドまたはパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドとの縮合重合法、および、(2)メタ配向芳香族ジアミンまたはパラ配向芳香族ジアミンと、メタ配向芳香族ジカルボン酸ハライドとの縮合重合法、が挙げられる。その場合、得られるメタラアラミドは、アミド結合が、芳香族環のメタ位またはそれに準じた配向位で結合される繰り返し単位を含んでいる。
全芳香族ポリアミドの固有粘度を1.5〜1.9dL/gに調節するためには、例えば、モノマーの仕込み比を制御したり、重合系に含まれる水分量(溶媒の水分含有量、重合環境の湿度など)を制御したりすればよい。モノマーの仕込み比は、ジカルボン酸ハライドの仕込み比を高くすれば、固有粘度が高くなる傾向にある。また、重合系に含まれる水分量が多いほど、固有粘度は低くなる傾向にある。より具体的な例としては、実施例に記載のポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)(PPDA)の合成方法を参照。
耐熱層における樹脂の含有率は、好ましくは25〜80重量%であり、より好ましくは30〜70重量%である。ここで、耐熱層における樹脂の含有率は、当該耐熱層の総重量を100重量%として算出する。
(フィラー)
耐熱層に含まれているフィラーの平均粒径は500nm以下であり、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下がより好ましい。ここで、フィラーの平均粒径は、50個のフィラーの球換算粒径の平均値である。また、フィラーの球換算粒径は、透過型電子顕微鏡によって実測した値である。具体的な測定方法を例示すると、以下の通りである。
1.透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子(株)、透過型電子顕微鏡JEM−2100F)を用いて、加速電圧200kV、撮影倍率はGatan Imaging Filterを使用し、10000倍で撮影する。
2.得られた画像について、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて、粒子の輪郭をトレースし、フィラー粒子(一次粒子)の球換算粒径を測定する。
3.上記の測定を、無作為に抽出した50個のフィラー粒子について行う。50個のフィラー粒子の球換算粒径の算術平均を、粒子の平均粒子とする。
フィラーの平均粒径を500nm以下とすることにより、非水電解液二次電池用積層セパレータを薄型化することができる。フィラーの平均粒径の下限値は、特に限定されないが、例えば5nm以上とすることができる。
耐熱層に含まれているフィラーのうち、球換算粒径が1μm以上の粒子の占める割合は、粒子数基準で、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。このようなフィラーには、大型の粒子が殆ど含まれていないため、薄型の耐熱層を形成しやすい。ここで、球換算粒径が1μm以上の粒子の占める割合は、500個のフィラーについて透過型電子顕微鏡によって実測した値である。具体的な測定方法を例示すると、以下の通りである。
1.透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子(株)、透過型電子顕微鏡JEM−2100F)を用いて、加速電圧200kV、撮影倍率はGatan Imaging Filterを使用し、10000倍で撮影する。
2.得られた画像について、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて、粒子の輪郭をトレースし、フィラー粒子(一次粒子)の球換算粒径を測定する。
3.上記の測定を、無作為に抽出した500個のフィラー粒子について行う。500個のフィラー粒子のうち、球換算粒径が1μm以上であるフィラー粒子の割合を求める。
フィラーの種類としては、有機フィラーおよび無機フィラーが挙げられる。
有機フィラーの例としては、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチルなどの単独あるいは2種類以上の共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリオレフィン;ポリメタクリレートなどが挙げられる。有機フィラーは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの有機フィラーの中でも、化学的安定性の点で、ポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
無機フィラーの例としては、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩などの無機物からなる材料が挙げられる。具体的に例示すると、アルミナ、ベーマイト、シリカ、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、または炭酸カルシウムなどの粉末が挙げられる。無機フィラーは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの無機フィラーの中でも、化学的安定性の点で、アルミナ粉末が好ましい。
フィラーの形状については、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状などが挙げられ、何れの粒子も用いることができる。均一な孔を形成しやすいことから、略球状粒子であることが好ましい。
耐熱層におけるフィラーの含有率は、好ましくは20〜80重量%であり、より好ましくは30〜70重量%である。なお、耐熱層におけるフィラーの含有率は、当該耐熱層の総重量を100重量%として算出する。フィラーの含有率を上述の範囲にすることで、充分なイオン透過性を備えた多孔質層を容易に得られる。
[ポリオレフィン多孔質フィルム]
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムを備えている。ポリオレフィン多孔質フィルムは、その内部に連結した細孔を多数有しており、一方の面から他方の面に気体および液体を通過させることが可能となっている。ポリオレフィン多孔質フィルムは、非水電解液二次電池用積層セパレータの基材となりうる。ポリオレフィン多孔質フィルムは、電池が発熱したときに溶融して非水電解液二次電池用積層セパレータを無孔化することにより、当該非水電解液二次電池用積層セパレータにシャットダウン機能を付与するものであり得る。
ここで、「ポリオレフィン多孔質フィルム」とは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムである。また、「ポリオレフィン系樹脂を主成分とする」とは、多孔質フィルムに占めるポリオレフィン系樹脂の割合が、当該多孔質フィルムを構成する材料全体の50体積%以上、好ましくは90体積%以上であり、より好ましくは95体積%以上であることを意味する。
ポリオレフィン多孔質フィルムの主成分であるポリオレフィン系樹脂は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂である、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンおよび/または1−ヘキセンなどの単量体が重合されてなる単独重合体および共重合体が挙げられる。すなわち、単独重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテンなどが、共重合体としてはエチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン多孔質フィルムは、これらのポリオレフィン系樹脂を単独にて含む層、または、これらのポリオレフィン系樹脂の2種以上を含む層でありうる。このうち、過大電流が流れることをより低温で阻止(シャットダウン)することができるため、ポリエチレンがより好ましく、特に、エチレンを主体とする高分子量のポリエチレンが好ましい。なお、ポリオレフィン多孔質フィルムは、その機能を損なわない範囲で、ポリオレフィン以外の成分を含むことを妨げない。
ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)および超高分子量ポリエチレンなどが挙げられる。このうち、超高分子量ポリエチレンがさらに好ましく、重量平均分子量が5×10〜15×10の高分子量成分が含まれていることがさらに好ましい。特に、ポリオレフィン系樹脂に重量平均分子量が100万以上の高分子量成分が含まれていると、ポリオレフィン多孔質フィルムおよび非水電解液二次電池用積層セパレータの強度が向上するのでより好ましい。
ポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚は、5〜20μmが好ましく、7〜15μmがより好ましく、9〜15μmがさらに好ましい。膜厚が5μm以上ならば、ポリオレフィン多孔質フィルムに要求される機能(シャットダウン機能など)が、充分に得られる。膜厚が20μm以下ならば、薄型化された非水電解液二次電池用積層セパレータが得られる。
ポリオレフィン多孔質フィルムが有する細孔の孔径は、0.1μm以下であることが好ましく、0.06μm以下であることがより好ましい。これにより、十分なイオン透過性を得ることができ、かつ、電極を構成する粒子の入り込みを、より防止することができる。
ポリオレフィン多孔質フィルムの単位面積当たりの重量目付は、電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度を高くすることができるように、通常、4〜20g/mであることが好ましく、5〜12g/mであることがより好ましい。
ポリオレフィン多孔質フィルムの透気度は、ガーレー値で30〜500s/100mLであることが好ましく、50〜300s/100mLであることがより好ましい。これにより、非水電解液二次電池用積層セパレータが十分なイオン透過性を得ることができる。
ポリオレフィン多孔質フィルムの空隙率は、20〜80体積%であることが好ましく、30〜75体積%であることがより好ましい。これにより、電解液の保持量を高めると共に、過大電流が流れることをより低温で確実に阻止(シャットダウン)することができる。
ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法は、公知の手法を用いることができ、特に限定されない。例えば、日本国特許第5476844号公報に記載されたように、熱可塑性樹脂にフィラーを加えてフィルム成形した後、当該フィラーを除去する方法が挙げられる。
具体的には、例えば、ポリオレフィン多孔質フィルムが、超高分子量ポリエチレンおよび重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィンを含むポリオレフィン系樹脂から形成されてなる場合には、製造コストの観点から、以下に示す工程(1)〜(4)を含む方法により製造することが好ましい。
(1)超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5重量部〜200重量部と、炭酸カルシウムなどの無機充填剤100重量部〜400重量部とを混練してポリオレフィン系樹脂組成物を得る工程、
(2)ポリオレフィン系樹脂組成物を用いてシートを成形する工程、
(3)工程(2)で得られたシート中から無機充填剤を除去する工程、
(4)工程(3)で得られたシートを延伸する工程。
その他、上述した各特許文献に記載の方法を利用してもよい。
また、ポリオレフィン多孔質フィルムとして、上述の特徴を有する市販品を使用してもよい。
[その他の成分]
耐熱層は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。例えば、耐熱層は、バインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂は、耐熱層を構成する各成分同士を接着したり、耐熱層−ポリオレフィン多孔質フィルム間および/または耐熱層−電極板間を接着したりする機能を有する。
バインダー樹脂は、電池の電解液に不溶であり、また、その電池の使用範囲において電気化学的に安定であることが好ましい。
バインダー樹脂としては、例えば、ポリオレフィン;(メタ)アクリレート系樹脂;含フッ素樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ゴム類;融点またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂;水溶性ポリマー;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
上述の樹脂のうち、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド、ポリエステル系樹脂および水溶性ポリマーが好ましい。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン−プロピレン共重合体等が好ましい。
含フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリクロロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フッ化ビニル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、及びエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等、並びに、前記含フッ素樹脂の中でもガラス転移温度が23℃以下である含フッ素ゴムを挙げることができる。
ポリアミド系樹脂としては、芳香族ポリアミドおよび全芳香族ポリアミドなどのアラミド樹脂が好ましい。
アラミド樹脂としては、具体的には、例えば、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(メタベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロパラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体、メタフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等が挙げられる。このうち、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)がより好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリアリレートなどの芳香族ポリエステルおよび液晶ポリエステルが好ましい。
ゴム類としては、スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリ酢酸ビニル等を挙げることができる。
融点又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂としては、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド等を挙げることができる。
水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸等を挙げることができる。
なお、バインダー樹脂としては、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[積層セパレータの製造方法]
本発明の一実施形態に係る製造方法は、樹脂およびフィラーを含んでいる耐熱層をポリオレフィン多孔質フィルム上に形成する工程を含む。この工程において使用される樹脂、フィラーおよび多孔質フィルムの好ましい態様は、上述した通りである。
所定の固有粘度を有する樹脂、所定の平均粒径を有するフィラーおよび任意で他の成分を、溶媒に溶解または分散させた塗工液を用いて、耐熱層を形成することができる。塗工液の形成方法としては、例えば、機械攪拌法、超音波分散法、高圧分散法、メディア分散法などが挙げられる。溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN,N−ジメチルホルムアミドなどを使用することができる。
耐熱層の形成方法としては、例えば、上述の塗工液を調製し、当該塗工液をポリオレフィン多孔質フィルムに塗布し、乾燥させることにより、耐熱層を形成する方法が挙げられる。
塗工液をポリオレフィン多孔質フィルムに塗工する方法としては、ナイフ、ブレード、バー、グラビア、またはダイなどの公知の塗工方法を用いることができる。
溶媒(分散媒)の除去方法は、乾燥による方法が一般的である。乾燥方法としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥および減圧乾燥などが挙げられるが、溶媒(分散媒)を充分に除去することができるのであれば如何なる方法でもよい。また、塗料に含まれる溶媒(分散媒)を他の溶媒に置換してから乾燥を行ってもよい。溶媒(分散媒)を他の溶媒に置換してから除去する方法としては、具体的には水、アルコール、またはアセトンなどの低沸点の貧溶媒で置換、析出させ、乾燥を行う方法がある。
〔2.非水電解液二次電池用積層セパレータ〕
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に耐熱層が積層されており、
上記耐熱層は、耐熱性樹脂およびフィラーを含んでおり、
上記非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、15μm以下であり、
上記非水電解液二次電池用積層セパレータを、200℃にて5分間加熱したときのTD方向における加熱形状維持率は、75%以上であり、
上記耐熱層の透気度は、100s/100mL以下である。
本発明の一実施形態に係る製造方法においては、耐熱層の原料として、固有粘度が1.5〜1.9dL/gである樹脂と、平均粒径が500nm以下であるフィラーとを使用した。その結果、従来技術では得られなかった、上述のような物性を有する非水電解液二次電池用積層セパレータを提供できるようになった。
耐熱層およびポリオレフィン多孔質フィルムに関しては、〔1〕節で説明した通りであるので、再度の説明は省略する。耐熱層に含まれる耐熱性樹脂およびフィラーに関しても、〔1〕節で説明した通りであるので、再度の説明は省略する。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、15μm以下であることが好ましく、14.5μm以下であることがより好ましく、14μm以下でることがさらに好ましい。膜厚が15μm以下であるならば、充分に薄型化された非水電解液二次電池用積層セパレータであると言える。膜厚の下限値は特に限定されないが、例えば、7μm以上とすることができる。
非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、使用するポリオレフィン多孔質フィルムを選択したり、多孔質層の目付を調節したりすることによって調節できる。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータを、200℃にて5分間加熱したときのTD方向における加熱形状維持率は、75%以上であり、より好ましくは76%以上であり、さらに好ましくは77%以上である。加熱形状維持率が75%以上であるならば、充分な耐熱性を有していると言える。加熱形状維持率の上限は特に限定されないが、例えば、95%以下とすることができる。
本明細書において、「加熱形状維持率」とは、非水電解液二次電池用積層セパレータのサンプルを200℃にて5分間加熱した後の、TD方向におけるサンプル幅の維持率を表す。すなわち、「(加熱後のサンプル幅/加熱前のサンプル幅)×100」によって求められる値である。より詳細な加熱形状維持率の測定方法は、実施例を参照。
なお、非水電解液二次電池用積層セパレータを、200℃にて5分間加熱したときのTD方向における加熱形状維持率は、耐熱層の目付にも左右される。この点を考慮すると、加熱前のサンプル幅が54mmであった場合の耐熱目付当たりの加熱変形量は、10mm/(g/m)以下が好ましく、9.8mm/(g/m)以下がより好ましく、9.5/(g/m)以下がさらに好ましい。耐熱目付当たりの加熱変形量とは、「(加熱前のサンプル幅(=54mm)−加熱後のサンプル幅)/耐熱層の目付」により求められる値である。
加熱形状維持率は、例えば、樹脂の固有粘度、耐熱層の樹脂含有率、および耐熱層の目付によって調節できる。耐熱目付当たりの加熱変形量は、例えば、樹脂の固有粘度、および耐熱層の樹脂含有率によって調節できる。一般的に、樹脂の固有粘度が大きくなると、加熱形状維持率が高くなる傾向にある。また、耐熱層の樹脂含有率が高くなると、加熱形状維持率が高くなる傾向にある。さらに、耐熱層の目付が大きくなると、加熱形状維持率が高くなる傾向にある。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータにおいて、耐熱層の透気度は、ガーレー値で、100s/100mL以下であることが好ましく、90s/100mL以下であることがより好ましく、80s/100mL以下であることがさらに好ましい。透気度が100s/100mL以下であるならば、耐熱層が充分なイオン透過性を有すると言える。
なお、耐熱層の透気度は、耐熱層の目付にも左右される。この点を考慮すると、耐熱目付当たりの耐熱層の透気度は、60s/100mL/(g/m)以下が好ましく、67s/100mL/(g/m)以下がより好ましく、55s/100mL/(g/m)以下がさらに好ましい。「耐熱目付当たりの耐熱層の透気度」とは、耐熱層の透気度を耐熱層の目付で除した値を表す。
耐熱層の透気度は、例えば、樹脂の固有粘度および耐熱層の目付によって調節できる。耐熱目付当たりの耐熱層の透気度は、例えば、樹脂の固有粘度によって調節できる。一般的に、樹脂の固有粘度が小さくなると、ガーレー値が小さくなる傾向にある。また、耐熱層の目付が小さくなると、ガーレー値が小さくなる傾向にある。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの透気度は、ガーレー値で、50〜500s/100mLであることが好ましく、50〜300s/100mLであることがより好ましい。非水電解液二次電池用積層セパレータが、上記の透気度を有するならば、非水電解液二次電池において、充分なイオン透過性を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータにおいて、多孔質層の目付は、固形分で0.5〜2.0g/mであることが好ましく、1.0〜2.0g/mであることがより好ましく、1.0〜1.8g/mであることがさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムの上に耐熱層が積層されている、積層セパレータである。このとき、耐熱層が積層されているのは、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面であってもよいし、両面であってもよい。
なお、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムおよび耐熱層の他に、必要に応じて、接着層または保護層などの公知の多孔膜を、本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。
〔3.非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池〕
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用部材は、正極と、上述の非水電解液二次電池用積層セパレータと、負極とがこの順で配置されてなる。また、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、上述の非水電解液二次電池用積層セパレータを備える。上記非水電解液二次電池は、通常、負極と正極とが、上述の非水電解液二次電池用積層セパレータを介して対向した構造体を有する。上記非水電解液二次電池では、当該構造体に電解液が含浸された電池要素が、外装材内に封入されている。例えば、上記非水電解液二次電池は、リチウムイオンのドープ・脱ドープにより起電力を得るリチウムイオン二次電池である。
[正極]
正極としては、例えば、正極活物質および結着剤を含む活物質層が集電体上に成形された構造を備える正極シートを使用することができる。なお、上記活物質層は、さらに導電剤を含んでもよい。
上記正極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、例えば、V、Mn、Fe、Co、Niなどの遷移金属を少なくとも1種類含んでいるリチウム複合酸化物が挙げられる。
上記導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などの炭素質材料などが挙げられる。
上記結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−トリクロロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−フッ化ビニルの共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレン、およびポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、ならびに、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。なお、結着剤は、増粘剤としての機能も有している。
正極集電体としては、例えば、Al、Ni、ステンレスなどの導電体が挙げられる。中でも、薄膜に加工し易く、安価であることから、Alがより好ましい。
シート状の正極の製造方法としては、例えば、正極合剤となる正極活物質、導電剤および結着剤を正極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて正極活物質、導電剤および結着剤をペースト状にして正極合剤を得た後、当該正極合剤を正極集電体に塗工し、これを乾燥して得られたシート状の正極合剤を加圧することにより、正極集電体に固着する方法などが挙げられる。
[負極]
負極としては、例えば、負極活物質および結着剤を含む活物質層が集電体上に成形された構造を備える負極シートを使用することができる。なお、上記活物質層は、さらに導電剤を含んでもよい。
上記負極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料、リチウム金属またはリチウム合金などが挙げられる。当該材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維および有機高分子化合物焼成体などの炭素質材料;正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープを行う酸化物および硫化物などのカルコゲン化合物;アルカリ金属と合金化するアルミニウム(Al)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)およびシリコン(Si)などの金属、アルカリ金属を格子間に挿入可能な立方晶系の金属間化合物(AlSb、MgSi、NiSi)、リチウム窒素化合物(Li3-xN(M:遷移金属))などが挙げられる。
負極集電体としては、例えば、Cu、Ni、ステンレスなどが挙げられる。中でも、特にリチウムイオン二次電池においてはリチウムと合金を作り難く、かつ薄膜に加工し易いことから、Cuがより好ましい。
シート状の負極の製造方法としては、例えば、負極合剤となる負極活物質を負極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて負極活物質をペースト状にして負極合剤を得た後、当該負極合剤を負極集電体に塗工し、これを乾燥して得られたシート状の負極合剤を加圧することにより、負極集電体に固着する方法などが挙げられる。上記ペーストには、好ましくは上記導電剤および上記結着剤が含まれる。
[非水電解液]
非水電解液としては、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解してなる非水電解液を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、Li10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlClなどが挙げられる。上記リチウム塩のうち、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSOおよびLiC(CFSOからなる群から選択される少なくとも1種のフッ素含有リチウム塩がより好ましい。
有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物;並びに、上記有機溶媒にフッ素基が導入されてなる含フッ素有機溶媒などが挙げられる。上記有機溶媒のうち、カーボネート類がより好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒、または、環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒がさらに好ましい。当該混合溶媒は、作動温度範囲が広く、かつ、負極活物質として天然黒鉛または人造黒鉛などの黒鉛材料を用いた場合においても難分解性を示す。
[非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池の製造方法]
非水電解液二次電池用部材の製造方法としては、例えば、正極と、上述の非水電解液二次電池用積層セパレータと、負極とをこの順で配置する方法が挙げられる。
また、非水電解液二次電池の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、非水電解液二次電池の筐体となる容器に当該非水電解液二次電池用部材を入れる。次いで、当該容器内を非水電解液で満たした後、減圧しつつ容器を密閉する。これにより、非水電解液二次電池を製造することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔各種物性の測定方法〕
後述の実施例および比較例においては、各物性を以下の方法で測定した。
(1)固有粘度
(i)100mLの濃硫酸(96〜98%)に、0.5gの樹脂(本実施例ではアラミド樹脂)を溶解させた溶液、および、(ii)樹脂を溶解させていない濃硫酸(96〜98%)について、ウベローデ型毛細管粘度計により流動時間を測定した。測定時の温度は30℃とした。求められた流動時間から、下記式により固有粘度を求めた。
固有粘度=ln(T/T)/C (単位:dL/g)
T:アラミド樹脂の濃硫酸溶液の流動時間
:濃硫酸の流動時間
C:アラミド樹脂の濃硫酸溶液におけるアラミド樹脂の濃度(g/dL)。
(2)膜厚
積層セパレータの膜厚は、ミツトヨ社製の高精度デジタル測長機を用いて測定した。さらに、積層セパレータの耐熱層が形成されている面に剥離テープを貼付してから剥離し、耐熱層をポリエチレン多孔質フィルムから剥離させた。耐熱層を剥離させた後のポリエチレン多孔質フィルムの膜厚を、積層セパレータと同様に測定した。また、積層セパレータの膜厚と剥離後のポリエチレン多孔質フィルムの膜厚との差から、耐熱層の膜厚を算出した。
(3)耐熱層の目付
積層セパレータを、一辺の長さが8cmの正方形に切出してサンプルとし、このサンプルの重量W1[g]を測定した。さらに、上記サンプルの耐熱層が形成されている面に剥離テープを貼付してから剥離し、耐熱層をポリエチレン多孔質フィルムから剥離させた。耐熱層を剥離させた後のポリエチレン多孔質フィルムの重量W2[g]を測定した。下記式に従って、耐熱層の目付[g/m]を算出した。
耐熱層の目付=(W1−W2)/(0.08×0.08)。
(4)透気度
積層セパレータおよびポリオレフィン多孔質フィルムの透気度は、JIS P 8117に基づいて、デジタルタイマー式ガーレー式デンソメータ(株式会社安田精機製作所製)で測定した。耐熱層の透気度は、積層セパレータの透気度からポリエチレン多孔質フィルムの透気度を減じて算出した。耐熱層の透気度を耐熱層の目付で割った値を、「耐熱目付当たりの耐熱層の透気度」とした。
(5)加熱形状維持率
長さ:108mm×幅:54mmに切り出した積層セパレータを、ポリエチレン多孔質フィルム面を下にして、ガラス板上に載置した。積層セパレータの長さ方向の両端を、ポリイミド粘着テープ(日東電工製)でガラス板に固定した。このとき、積層セパレータの端部が、粘着テープによって、片側につき長さ方向に4mm覆われるようにした。すなわち、粘着テープで覆われていない積層セパレータの測定部の長さは100mmである。この状態で、積層セパレータの中央部分の幅(L1)を測定した。L1は、切り出した状態における積層セパレータの幅に該当するから、L1=54mmである。
次に、ガラス板を200℃に設定した加熱オーブン内に静置して、5分間加熱した。次に、加熱オーブンから取り出したガラス板を、室温になるまで静置した。次に、積層セパレータの中央部分の幅(L2)を測定した。
L1−L2を、「加熱変形量」とした。(L2/L1)×100で求められる値を、「加熱形状維持率」とした。加熱変形量を耐熱層の目付で割った値を、「耐熱目付当たりの加熱変形量」とした。
加熱形状維持率が75%以上ならば、優れた耐熱性を有していると言える。また、耐熱目付当たりの加熱変形量が10mm/(g/m)以下ならば、優れた耐熱性を有していると言える。
〔合成例1〕
耐熱層に含まれている樹脂として、アラミド樹脂の一種である、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を合成した。合成用の容器として、攪拌翼、温度計、窒素流入管および粉体添加口を有する、容量3Lのセパラブルフラスコを使用した。充分に乾燥させたフラスコに、2200gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を仕込んだ。この中に、151.07gの塩化カルシウム粉末を加え、100℃に昇温して完全に溶解させた。この塩化カルシウム粉末は、予め200℃にて2時間真空乾燥させたものを用いた。
次に、液温を室温に戻して、68.23gのパラフェニレンジアミンを加え、完全に溶解させた。この溶液を20℃±2℃に保ったまま、124.25gのテレフタル酸ジクロライドを、4分割して約10分おきに添加した。その後も150rpmで攪拌を続けながら、溶液を20℃±2℃に保ったまま1時間熟成し、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を6重量%含むアラミド重合液(1)を得た。アラミド重合液(1)に含まれているポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の固有粘度は、1.5g/dLであった。
〔合成例2〕
テレフタル酸ジクロライドの添加量を124.48gに変更したことを除き、合成例1と同様の手順により、アラミド重合液(2)を得た。アラミド重合液(2)に含まれているポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の固有粘度は、1.6g/dLであった。
〔合成例3〕
テレフタル酸ジクロライドの添加量を124.61gとしたことを除き、合成例1と同様の手順により、アラミド重合液(3)を得た。アラミド重合液(3)に含まれているポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の固有粘度は、1.7g/dLであった。
〔合成例4〕
テレフタル酸ジクロライドの添加量を124.97gとしたことを除き、合成例1と同様の手順により、アラミド重合液(4)を得た。アラミド重合液(4)に含まれているポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の固有粘度は、1.9g/dLであった。
〔合成例5〕
テレフタル酸ジクロライドの添加量を123.98gとしたことを除き、合成例1と同様の手順により、アラミド重合液(5)を得た。アラミド重合液(5)に含まれているポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の固有粘度は、1.4g/dLであった。
〔合成例6〕
テレフタル酸ジクロライドの添加量を125.10gとしたことを除き、合成例1と同様の手順により、アラミド重合液(6)を得た。アラミド重合液(6)に含まれているポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の固有粘度は、2.0g/dLであった。
〔実施例1〕
100gのアラミド重合液(1)をフラスコに秤取し、6.0gのアルミナA(平均粒径:13nm)を加えた。このとき、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)とアルミナAとの重量比は、1:1であった。次に、固形分が4.5重量%となるようにNMPを加えて、240分間攪拌した。ここで言う「固形分」とは、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)とアルミナAとの総重量のことである。次に、0.73gの炭酸カルシウムを加えて240分間攪拌することにより、溶液を中和させた。溶液を減圧下で脱泡して、スラリー状の塗工液(1)を調製した。
塗工液(1)を、ポリエチレンからなるポリオレフィン多孔質フィルム(厚さ:10.4μm、透気度:116s/100mL)上に、ドクターブレード法により塗布した。得られた塗布物(1)を、50℃、相対湿度70%の空気中に1分間静置して、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を析出させた。次に、塗布物(1)をイオン交換水に浸漬させて、塩化カルシウムおよび溶媒を除去した。次に、塗布物(1)を70℃のオーブンで乾燥させて、非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)の各物性を表1に示す。
〔実施例2〕
アラミド重合液(1)に代えてアラミド重合液(2)を使用した以外は、実施例1と同様の手順により、非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)の各物性を表1に示す。
〔実施例3〕
アラミド重合液(1)に代えてアラミド重合液(3)を使用した以外は、実施例1と同様の手順により、非水電解液二次電池用積層セパレータ(3)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(3)の各物性を表1に示す。
〔実施例4〕
アラミド重合液(1)に代えてアラミド重合液(4)を使用した以外は、実施例1と同様の手順により、非水電解液二次電池用積層セパレータ(4)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(4)の各物性を表1に示す。
〔実施例5〕
アルミナAの添加量を7.5gに変更した以外は、実施例4と同様の手順により、非水電解液二次電池用積層セパレータ(5)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(5)の各物性を表1に示す。
〔実施例6〕
アルミナAの添加量を9.1gに変更した以外は、実施例4と同様の手順により、非水電解液二次電池用積層セパレータ(6)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(6)の各物性を表1に示す。
〔実施例7〕
耐熱層の目付を実施例4よりも大きくした以外は、実施例4と同様の手順により、非水電解液二次電池用積層セパレータ(7)を得た。非水電解液二次電池用積層セパレータ(7)の各物性を表1に示す。
〔比較例1〕
アラミド重合液(1)に代えてアラミド重合液(5)を使用した以外は、実施例1と同様の手順により、比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)を得た。比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)の各物性を表1に示す。
〔比較例2〕
アラミド重合液(1)に代えてアラミド重合液(6)を使用し、別のポリオレフィン多孔質フィルム(厚さ:10.2μm、透気度:165s/100mL)を用いた以外は、実施例1と同様の手順により、比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)を得た。比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(2)の各物性を表1に示す。
〔比較例3〕
100gのアラミド重合液(4)をフラスコに秤取し、6.0gのアルミナA(平均粒径:13nm)および6.0gのアルミナB(平均粒径:640nm)を加えた。このとき、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、アルミナAおよびアルミナBの重量比は、1:1:1であった。次に、固形分が6.0重量%となるように塗工液を調製した。それ以外は実施例4と同様の手順により、比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(3)を得た。比較例3において、フィラー全体としての平均粒径は530nmであった。比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(3)の各物性を表1に示す。
実施例1〜7および比較例1、2において、フィラーのうち球換算粒径が1μm以上の粒子の占める割合は、0.2%であった。一方、比較例3において、フィラーのうち球換算粒径が1μm以上の粒子の占める割合は、1.2%であった。
Figure 2021176146
〔結果〕
非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)〜(7)および比較非水電解液二次電池用積層セパレータ(1)〜(3)は、いずれも、膜厚が15μm以下の薄型セパレータとなるように作製されている。
実施例1と比較例1との比較から、樹脂の固有粘度が1.5dL/g未満である場合には、加熱形状維持率が低すぎる傾向にあることが示唆される。実施例4と比較例2との比較から、樹脂の固有粘度が1.9dL/g超である場合には、耐熱層の透気度が高すぎる傾向にあることが示唆される(なお、実施例4と比較例2とではポリオレフィン多孔質フィルムの種類が異なるが、耐熱層の透気度はポリオレフィン多孔質フィルムの種類には左右されないことに留意されたい)。実施例4と比較例3との比較から、フィラーの平均粒径が500nmを超える場合には、加熱形状維持率が低すぎる傾向にあることが示唆される。
このように、本発明の一実施形態に係る製造方法によれば、従来技術では達成できなかった、薄型化、耐熱性およびイオン透過性が両立している非水電解液二次電池用積層セパレータが得られる。
本発明は、例えば非水電解液二次電池に利用することができる。

Claims (7)

  1. 樹脂およびフィラーを含んでいる耐熱層を、ポリオレフィン多孔質フィルム上に形成する工程を含む、非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法であって、
    上記樹脂の固有粘度は、1.5〜1.9dL/gであり、
    上記フィラーの平均粒径は、500nm以下であり(ここで、平均粒径は50個のフィラーの球換算粒径の平均値であり、当該球換算粒径は透過型電子顕微鏡によって実測した値である)、
    非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、15μm以下である、製造方法。
  2. 上記フィラーにおいて、球換算粒径が1μm以上の粒子の占める割合は、粒子数基準で1%以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に耐熱層が積層されている非水電解液二次電池用積層セパレータであって、
    上記耐熱層は、耐熱性樹脂およびフィラーを含んでおり、
    上記非水電解液二次電池用積層セパレータの膜厚は、15μm以下であり、
    上記非水電解液二次電池用積層セパレータを、200℃にて5分間加熱したときのTD方向における加熱形状維持率は、75%以上であり、
    上記耐熱層の透気度は、100s/100mL以下である、
    非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  4. 上記耐熱層は、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および水溶性ポリマーからなる群より選択される1種類以上の樹脂を含んでいる、請求項3に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  5. 上記耐熱層はアラミド樹脂を含んでいる、請求項4に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  6. 正極と、
    請求項3〜5のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータと、
    負極と、
    がこの順で配置されている、非水電解液二次電池用部材。
  7. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ、または、請求項6に記載の非水電解液二次電池用部材を含んでいる、非水電解液二次電池。
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