JP2021175859A - ガイド鋼製支保工、及び鋼製支保工建込方法 - Google Patents

ガイド鋼製支保工、及び鋼製支保工建込方法 Download PDF

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直哉 西原
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Abstract

【課題】従来に比して容易かつ速やかに左右の継手板の位置を合わせることができるガイド鋼製支保工と、これを用いた建込方法を提供する。【解決手段】ガイド鋼製支保工GSは、トンネルの一次覆工に用いられる鋼製支保工であって、継手板に取り付けられるガイド体100を備えたものである。このガイド体100は、屈折部を境界として上方ガイド板と切羽側ガイド板が形成される。この上方ガイド板は、坑口側から切羽側に向かって広がっていく形状である。使用時に、他方の継手板の上端部を上方ガイド板に当接し、さらに切羽側の側端部を切羽側ガイド板に当接すると、双方の継手板のボルト孔に連結ボルトBTを挿通することができる。【選択図】図5

Description

本願発明は、トンネルの一次覆工に用いられる鋼製支保工に関するものであり、より具体的には、組み合わせる他方の鋼製支保工の継手板を案内するガイド体が設けられたガイド鋼製支保工と、これを用いた建込方法に関するものである。
我が国の国土は、およそ2/3が山地であるといわれており、そのため道路や線路など(以下、「道路等」という。)は必ずといっていいほど山地部を通過する区間がある。この山地部で道路等を構築するには、斜面の一部を掘削する切土工法か、地山の内部をくり抜くトンネル工法のいずれかを採用するのが一般的である。トンネル工法は、切土工法に比べて施工単価(道路等延長当たりの工事費)が高くなる傾向にある一方で、切土工法よりも掘削土量(つまり排土量)が少なくなる傾向にあるうえ、道路等の線形計画の自由度が高い(例えば、ショートカットできる)といった特長があり、これまでに建設された国内のトンネルは10,000を超えるといわれている。
山岳トンネルの施工方法としては、昭和50年代までは鋼アーチ支保工に木矢板を組み合わせて地山を支保する「矢板工法」が主流であったが、現在では地山強度を積極的に活かすNATM(New Austrian Tunneling Method)が主流となっている。NATMは、地山が有する強度(アーチ効果)に期待する設計思想が主な特徴であり、そのため従来の矢板工法に比べトンネル支保工の規模を小さくすることができ、しかも施工速度を上げることができることから施工コストを減縮することができる。
また我が国におけるNATMは、本格的に実施されて以来、飛躍的に掘削技術が進歩しており、種々の補助工法が開発されることによって様々な地山に対応することができるようになり、さらに掘削機械(特に、自由断面掘削機)の進歩によって発破掘削のほか機械掘削も選択できるようになった。この機械掘削は、掘削断面積や線形にもよるものの一般的には比較的低い強度(例えば、一軸圧縮強度が49N/mm以下)の地山に対して採用されることが多く、一方、対象地山に岩盤が存在する場合はやはり発破掘削が採用されることが多い。
ここでNATMによる掘削手順について簡単に説明する。はじめに、トンネル切羽の掘削を行う。発破掘削の場合は、ドリルジャンボによって削孔して火薬(ダイナマイト)を装填し、作業者と機械が退避したうえで発破する。一方、機械掘削の場合は、自由断面掘削機によってトンネル切羽を切削していく。1回(1サイクル)の掘削進行長(スパン長)は地山の強度に応じて設定される支保パターンによって異なるが、一般的には1.0〜2.0mのスパン長で掘削が行われる。1スパン長の掘削を行うと、不安定化した地山部分(浮石など)を落とす「こそく」を行いながらダンプトラック(あるいはレール工法)によってずりを搬出(ずり出し)する。そしてずり出し後に、鏡吹付けや1次コンクリート吹付けを行ったうえで必要に応じて(支保パターンによって)鋼製支保工を建て込み、2次コンクリート吹付けを行った後にロックボルトの打設を行う。なお、1次コンクリート吹付けと2次コンクリート吹付け、ロックボルト打設は、掘進したスパン長分、すなわち素掘り部分のトンネル内周面(側壁から天端にかけた周面)に対して行われる。
このようにNATMは、削岩(例えば、切羽削孔〜発破)、ずり出し、鋼製支保工建て込み、コンクリート吹付け、ロックボルト打設といった一連の工程を繰り返し行うことによって、1スパンずつ支保工(鋼製支保工、コンクリート吹付工、ロックボルト工)を構築して地山の安定を図りながら掘進していく工法である。つまりトンネル掘削の作業者(いわゆる坑夫)らは、まだ地山が安定していない切羽での作業が求められる。そのため、作業中は常に鏡面や天端など地山からの肌落ち、落石といったおそれがあり、実際に切羽で生じる労働災害も少なからず発生していた。そこで厚生労働省は、2016年12月に「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」を策定し、切羽における労働災害防止対策の推進を図るよう促しているところである。
切羽作業のなかでも鋼製支保工の建て込みは、作業者にとって特に危険な作業といえる。ここで図9を参照しながら、従来の鋼製支保工の建て込み作業について説明する。削岩後にずり出しを行い、そして1次コンクリート吹付けを行うと、図9(a)に示すように、左右1組の鋼製支保工を切羽側の所定位置に設置し、天端付近で左右の鋼製支保工の継手板をボルトで連結する。また、既設の鋼製支保工(つまり、坑口側の鋼製支保工)と新設した鋼製支保工(つまり、切羽側の鋼製支保工)を連結するため、つなぎ材を設置する。このつなぎ材は、図9(b)に示すように棒状の部材(例えば鋼棒)の両端を折り曲げたもので、その一端を既設の鋼製支保工に設けられたさや管に挿入するとともに、他端を新設の鋼製支保工に設けられたさや管に挿入することで、つなぎ材は設置される。
鋼製支保工の建て込みのうち、継手板のボルト連結やつなぎ材の設置は、概ね作業者の手作業によって行われる。鋼製支保工を建て込む際には、1次コンクリート吹付けを行っているものの、地山に対していわば仮支保(仮吹付)を施した状態に過ぎず、しかも急結剤を添加しているとはいえコンクリ―トはまだ十分に硬化していない。このような環境下で、これらの作業を行わなければならないことから、鋼製支保工の建て込みは作業者にとって特に危険な作業となるわけである。すなわち、鋼製支保工の建て込み作業を改善することが、切羽における労働災害防止にとって極めて有効な手段となる。
これまでも、鋼製支保工の建て込みにおける作業の効率化や省力化を図る種々の技術が提案されてきた。例えば特許文献1では、エレクタで鋼製支保工を把持した状態で2次コンクリート吹付けを行う技術について提案している。
特開2020−26695号公報
特許文献1に開示される技術では、エレクタによって鋼製支保工を把持した状態で2次コンクリート吹付けを行うこととしているが、そのためには吹付ロボット本体から支保に向かって伸びる両エレクタの間から吹付ノズルで吹き付ける必要があり、腕をくぐらせるように吹き付けるなど、現実的には著しく困難な作業となる。また、把持するアームが邪魔となる部分については吹付を確実に行うことに支障があり、部分的に設計吹付厚が確保できないなど施工品質の劣化を招くおそれもある。さらに、従来は一旦地盤で鋼製支保工を支持していたところ、特許文献1の技術によれば鋼製支保工の足元は吹付コンクリートで支持されることになるが、急結剤を添加しているとはいえコンクリ―トが十分に硬化するまではある程度時間を要することから、鋼製支保工が徐々に沈下していくとともに天端や肩部の吹付コンクリートにひび割れが生じるおそれもある。
また特許文献1では、エレクタを操作することによって左右の鋼製支保工の継手板を連結することとしている。従来は、昇降可能なマンケージに乗り込んだ作業者が、切羽天端付近まで移動し、手作業によって左右の継手板をボルトで連結していた。特許文献1によれば、作業者が切羽天端付近に立ち入ることなく、いわば遠隔操作によって継手板を連結することができるため、切羽における労働災害防止の点においては好適といえる。しかしながら、オペレータがエレクタの操作のみで左右の継手板の位置を合わせるのは著しく困難であり、その結果、従来に比して継手板の連結作業に長い時間を要し、ひいては直接工事費を押し上げるおそれがある。
さらに特許文献1では、エレクタ操作によって左右の継手板の位置を合わせるために、一方の継手板にガイド部材を設けることとしている。例えば特許文献1の図31Bでは、継手板の上部に上方ガイド壁、切羽側に側方ガイド壁をそれぞれ取り付けた例を示し、他方の鋼製支保工の継手板が上方ガイド壁と側方ガイド壁に当接することによってその位置を案内することとしている。そして、作業中におけるオペレータの視認性を確保すべく、これら上方ガイド壁と側方ガイド壁は細幅板とされる。しかしながら、エレクタの操作によって鋼製支保工を移動する場合、想定した以上に大きく移動し継手板が相当の力でガイド部材に衝突することもある。その際、細幅板のガイド部材では変形や破断が生じやすく、結果的に左右の継手板の位置を合わせることができないおそれもある。これに対してガイド部材を幅広の板状とすると、オペレータの視認性が阻害される。
一方、従来技術のように切羽天端付近まで移動した作業者が手作業によって行う継手板の連結作業は、特許文献1に比して確実かつ速やかに行うことができる反面、地山が十分安定しているとはいえない切羽での作業を強いられることから、地山(特に天端)からの肌落ちや落石による労働災害のおそれがあるという問題を指摘することができる。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち従来に比して容易かつ速やかに左右の継手板の位置を合わせることができるガイド鋼製支保工と、これを用いた建込方法を提供することである。また、従来どおり作業者が確実に継手板の連結作業を行うこととし、しかも地山(特に天端)からの肌落ちや落石から作業者を保護することができる技術を提供することも本願発明の課題のひとつである。
本願発明は、継手板に上方ガイド板と切羽側ガイド板を設け、この上方ガイド板を坑口側から切羽側に向かってその幅が広がっていく形状とする、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明のガイド鋼製支保工は、トンネルの一次覆工に用いられる鋼製支保工であって、 継手板に取り付けられるガイド体を備えたものである。このガイド体は、屈折部で略垂直(垂直含む)に折り曲げられた側面視L字状であって、屈折部を境界として上方ガイド板と切羽側ガイド板が形成される。上方ガイド板には、屈折部と略直交(直交含む)する上方接続部が形成されるとともに、上方接続部の屈折部側端から他端に向かって上方ガイド板の幅が次第に小さくなる形状とされる。また切羽側ガイド板には、屈折部と略直交(直交含む)する切羽側接続部が形成される。そして、使用時(切羽付近に建て込んだとき)に屈折部が切羽側に配置されるように、上方接続部が継手板の上端部に取り付けられるとともに、切羽側接続部が継手板の側端部に取り付けられ、これにより継手板から張り出すようにガイド体は取り付けられる。使用時に、ガイド体が取り付けられていない他方の継手板の上端部を上方ガイド板に当接するとともに、他方の継手板の切羽側の側端部を切羽側ガイド板に当接すると、ガイド体が取り付けられた継手板のボルト孔と、他方の継手板のボルト孔に連結ボルトを挿通することができる。
本願発明の鋼製支保工建込方法は、トンネルの一次覆工に用いられる鋼製支保工を建て込む方法であって、第1設置工程と第2設置工程、連結工程を備えた方法である。このうち第1設置工程では、本願発明のガイド鋼製支保工を所定位置に設置し、第2設置工程では、第1設置工程の後に通常鋼製支保工(継手板にガイド体が取り付けられていない鋼製支保工)を所定位置に設置する。また連結工程では、ガイド鋼製支保工の継手板のボルト孔と通常鋼製支保工の継手板のボルト孔に連結ボルトを挿通し、その連結ボルトにナットを螺合して締結することで、ガイド鋼製支保工の継手板と通常鋼製支保工の継手板を連結する。なお第1設置工程では、屈折部が切羽側に配置されるようにガイド鋼製支保工を設置する。また第2設置工程では、通常鋼製支保工の継手板の上端部が上方ガイド板に当接するとともに、通常鋼製支保工の継手板の切羽側の側端部が切羽側ガイド板に当接するように、通常鋼製支保工を設置する。
本願発明の鋼製支保工建込方法は、先行して通常鋼製支保工を設置し(第1設置工程)、その後にガイド鋼製支保工を設置する(第2設置工程)方法とすることもできる。トンネルの一次覆工に用いられる鋼製支保工を建て込む方法であって、この場合も第2設置工程では、通常鋼製支保工の継手板の上端部が上方ガイド板に当接するとともに、通常鋼製支保工の継手板の切羽側の側端部が切羽側ガイド板に当接するように、通常鋼製支保工を設置する。
本願発明の鋼製支保工建込方法は、昇降可能な屋根付ケージを用いて連結工程を行う方法とすることもできる。この屋根付ケージは、作業者が乗り込むケージ部と、ケージ部に乗り込んだ作業者の上方を覆う屋根部を有している。なお屋根部は、複数の棒部材を所定の間隔で配置した櫛形である。
本願発明の鋼製支保工建込方法は、「片押式ナット」を用いて連結工程を行う方法とすることもできる。この片押式ナットは、入口から出口まで貫通する貫通孔が設けられるとともに、貫通孔内に複数の分割ネジと反力体を有するものである。貫通孔の内周壁の一部には出口側に向かって広がるテーパ―部が形成され、分割ネジは、内周側に連結ボルトが螺合するネジが設けられるとともに外周側にテーパ―部に応じた傾斜部が形成される。また複数の分割ネジは、貫通孔内で周方向に分散配置されるとともに、それぞれ傾斜部がテーパ―部に当接した状態で貫通孔の軸方向にスライド可能である。反力体は、弾性体であって分割ネジに対して「入口方向の弾性力」を付与する。そして連結工程では、連結ボルトを片押式ナットの入口から挿入するとともに、反力体の入口方向の弾性力以上の力で連結ボルトを出口側に押し込み、その結果、分割ネジがテーパ―部に沿って出口側にスライドするとともに、それぞれの分割ネジが連結ボルトから外周側に離れることによって、連結ボルトは押し込むだけで出口側にスライドしていく。さらに連結工程では、連結ボルトを出口側に押し込む力を解除し、その結果、反力体による入口方向の弾性力によって分割ネジがテーパ―部に沿って入口側にスライドすることによって、それぞれの分割ネジが連結ボルトに螺合する。
本願発明のガイド鋼製支保工、及び鋼製支保工建込方法には、次のような効果がある。
(1)継手板にガイド体を設けていることから他方の継手板が案内され、すなわち他方の鋼製支保工の設置位置を決定しやすい。その結果、従来に比して容易かつ速やかに鋼製支保工を建て込むことができる。
(2)ガイド体の上方ガイド板を坑口側から切羽側に向かって広がっていく形状としたことから、他方の継手板がガイド体に当接したことを確認しやすく、この点においても従来に比して容易かつ速やかに鋼製支保工を建て込むことができる。
(3)連結工程で「片押式ナット」を使用すれば、連結ボルトを押し込むだけで左右の継手板を連結することができ、さらに容易かつ速やかに鋼製支保工を建て込むことができる。
(4)連結工程で「屋根付ケージ」を使用すれば、地山(特に天端)からの肌落ちや落石から作業者を保護することができる。
右側に本願発明のガイド鋼製支保工、左側に従来の鋼製支保工を示す正面図。 (a)はガイド体を模式的に示す展開図、(b)はガイド体を模式的に示す側面図。 概ね扇形の上方ガイド板と四角形の切羽側ガイド板からなるガイド体を、模式的に示す展開図。 (a)はガイド側継手板にガイド体が取り付けられた状態を模式的に示す部分平面図、(b)は鉛直面で切断した部分鉛直断面図、(c)はトンネル内空側から横断方向に見た部分正面図。 ガイド側継手板と通常側継手板を連結する手順を示すステップ図。 本願発明の鋼製支保工建込方法の主な工程を示すフロー図。 (a)は本願発明の屋根付ケージを示す側面図、(b)は本願発明の屋根付ケージを示す背面図、(c)は本願発明の屋根付ケージを示す平面図。 (a)は片押式ナットを示す断面図、(b)は分割ネジを示す側面図、(c)は片押式ナットを示す正面図。 (a)は従来方法によって建て込まれた鋼製支保工を示す斜視図、(b)は従来のつなぎ材を示す正面図。
本願発明のガイド鋼製支保工、及び鋼製支保工建込方法の実施の例を図に基づいて説明する。
1.全体概要
図1は、左右1組の鋼製支保工を示す正面図であり、右側にはガイド体100を備えた本願発明の鋼製支保工(以下、「ガイド鋼製支保工GS」という。)を、左側にはガイド体100を備えていない従来の鋼製支保工(以下、「通常鋼製支保工NS」という。)を示している。この図に示すようにガイド鋼製支保工GSと通常鋼製支保工NSは、H形鋼を略半円形に曲げ加工したものであり、その一端(天端側)には継手板が固定され、他端(地盤側)には底板BPが固定されている。なお便宜上ここでは、ガイド鋼製支保工GSの継手板のことを「ガイド側継手板GF」、通常鋼製支保工NSの継手板のことを「通常側継手板NF」ということとする。
通常、鋼製支保工の建て込みを行う場合、エレクタ吹付け機やドリルジャンボで鋼製支保工を把持し、切羽付近まで運搬したうえで所定の位置に設置している。そして、向かい合った2つの継手板を重ね、双方に設けられたボルト孔にボルト(以下、便宜上「連結ボルトBT」という。)を通し、さらにナット(以下、便宜上「連結ナットNT」という。)にねじ込むことによって2つの継手板を連結している。従来、2つの継手板のボルト孔の位置を合わせるため相当の手間と時間を要していたところ、本願発明のガイド鋼製支保工GSはガイド体100を備えていることから、容易かつ速やかにボルト孔の位置合わせを行うことができる。すなわち、ガイド側継手板GFに取り付けられたガイド体100によって通常側継手板NFが案内されることで、容易に通常鋼製支保工NSの天端位置が定まり、これによりガイド側継手板GFのボルト孔と通常側継手板NFのボルト孔の位置が合うわけである。
2.ガイド鋼製支保工
次に、本願発明のガイド鋼製支保工GSについて詳しく説明する。なお、本願発明の鋼製支保工建込方法は、本願発明のガイド鋼製支保工GSを用いて左右1組の鋼製支保工の建て込みを行う方法である。したがって、まずは本願発明のガイド鋼製支保工GSについて説明し、その後に本願発明の鋼製支保工建込方法について説明することとする。
本願発明のガイド鋼製支保工GSは、図1に示すようにガイド側継手板GFにガイド体100が取り付けられたものである。なお、ガイド体100を除くガイド鋼製支保工GSの構成は、従来の鋼製支保工(つまり、通常鋼製支保工NS)と同様とすることができる。以下、ガイド体100について説明する。
図2は、ガイド体100を模式的に示す図であり、(a)はその展開図、(b)はその側面図である。ガイド体100は、図2(a)に示すように上方ガイド板110と切羽側ガイド板120を含んで構成され、上方ガイド板110と切羽側ガイド板120の間には屈折部130が形成されている。換言すればガイド体100は、屈折部130を境界として上方ガイド板110と切羽側ガイド板120が形成されたものである。また完成形としてのガイド体100は、図2(b)に示すように屈折部130で上方ガイド板110と切羽側ガイド板120が略垂直(垂直含む)に折り曲げられた側面視でL字状とされる。なお屈折部130は、板状の部材を加工することによって、つまり所定の形状に切り出して屈折部130で折り曲げることによって製造することもできるし、上方ガイド板110と切羽側ガイド板120を突き合せたうえで溶接や接着等により固定することで製造することもできる。
図2(a)に示すように、板状の上方ガイド板110には、屈折部130と略直交(直交含む)する上方接続部111が形成される。また上方ガイド板110は、上方接続部111における屈折部側の端部(以下、「切羽側端」という。)から他方の端部(以下、「坑口側端」という。)に向かって、その幅が次第に小さくなる形状とされる。本願発明のガイド鋼製支保工GSを切羽付近に設置したとき(以下、単に「使用時」という。)、上方ガイド板110のうち切羽側端が切羽側に、坑口側端が坑口側にそれぞれ配置され、しかも上方ガイド板110が坑口側端から切羽側端に向かって広がっていく形状であることから、ガイド体100の中を目視しやすく、すなわち他方の通常側継手板NFがガイド体100に当接したことを容易に確認できるわけである。なお図2に示す上方ガイド板110は、概ね直角三角形としているが、これに限らず例えば図3に示すように概ね扇形とすることで切羽側端に向かって広がっていく形状とすることもできる。
図2(a)に示すように、板状の切羽側ガイド板120には、屈折部130と略直交(直交含む)する切羽側接続部121が形成される。なお図2に示す切羽側ガイド板120は、上方ガイド板110と同様、概ね直角三角形としているが、これに限らず例えば図3に示すような四角形など種々の形状とすることができる。
図4は、ガイド鋼製支保工GSのガイド側継手板GFにガイド体100が取り付けられた状態を模式的に示す図であり、(a)は上方から見た部分平面図、(b)は鉛直面で切断した((a)の矢視a−aで示す)部分鉛直断面図、(c)はトンネル内空側から横断方向に見た((b)の矢視b−bで示す)部分正面図である。この図に示すように、上方ガイド板110の上方接続部121を、ガイド側継手板GFの「上端部」に突き合せた状態で、さらに切羽側ガイド板120の切羽側接続部121を、ガイド側継手板GFの「側端部(左右方向の端部)」に突き合せた状態で、ガイド体110はガイド側継手板GFに取り付けられる。これにより、ガイド側継手板GFから張り出すようにガイド体110は取り付けられる。なおガイド体110は、例えば溶接や接着等によってガイド側継手板GFに取り付けることができる。
また図4(a)や図4(c)からも分かるように、本願発明のガイド鋼製支保工GSの使用時において、屈折部130が切羽側に配置されるようにガイド体110は取り付けられる。つまり切羽側ガイド板120は、使用時における切羽側の側端部に、切羽側接続部121を突き合せた状態で取り付けられる。
図5は、ガイド側継手板GFのボルト孔(以下、「ガイド側ボルト孔GH」という。)と、通常側継手板NFのボルト孔(以下、「通常側ボルト孔NH」という。)の位置を合わせ、連結ボルトBTと連結ナットNTによって、ガイド側継手板GFと通常側継手板NFを連結する手順を示すステップ図である。
まず、エレクタ吹付け機等でガイド鋼製支保工GSと通常鋼製支保工NSを把持し、所定位置にガイド鋼製支保工GSを設置した後、図5(a)に示すように通常鋼製支保工NSの通常側継手板NFをガイド側継手板GFに接近させていく。なお後述するように、先行して設置した通常鋼製支保工NSの通常側継手板NFに、ガイド鋼製支保工GSのガイド側継手板GFを接近させることもできる。
続いて図5(b)に示すように、通常側継手板NFの上端部をガイド体100の上方ガイド板110に当接し、通常側継手板NFの切羽側の側端部をガイド体100の切羽側ガイド板120に当接する。そして、その状態のまま通常側継手板NFをスライドさせて、通常側継手板NFとガイド側継手板GFを重ね合わせると、図5(c)に示すようにガイド側ボルト孔GHと通常側ボルト孔NHの位置が合い、すなわちガイド側ボルト孔GHと通常側ボルト孔NHが連通する。これにより連結ボルトBTを通すことができ、さらに連結ナットNTを螺合して締結することによって、ガイド側継手板GFと通常鋼製支保工NSを連結することができる。
3.鋼製支保工建込方法
続いて、本願発明の鋼製支保工建込方法ついて、図を参照しながら説明する。なお、本願発明の鋼製支保工建込方法は、ここまで説明したガイド鋼製支保工GSを用いて左右1組の鋼製支保工の建て込みを行う方法である。したがって、ガイド鋼製支保工GSについて説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の鋼製支保工建込方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.ガイド鋼製支保工」で説明したものと同様である。
図6は、本願発明の鋼製支保工建込方法の主な工程を示すフロー図である。本願発明の鋼製支保工建込方法では、まずエレクタ吹付け機等でガイド鋼製支保工GSを把持し、ガイド体100の屈折部130が切羽側に配置されるようにガイド鋼製支保工GSを所定位置に設置する(Step10)。ガイド鋼製支保工GSを設置した後、今度は通常鋼製支保工NSを所定位置に設置する(Step20)。以下、通常鋼製支保工NSの設置について詳しく説明する。
エレクタ吹付け機等でガイド鋼製支保工GSを支持したまま、さらにエレクタ吹付け機等で通常鋼製支保工NSを把持し、通常側継手板NFをガイド側継手板GFに接近させていく。そして、通常側継手板NFの上端部をガイド体100の上方ガイド板110(下側面)に当接し、通常側継手板NFの切羽側の側端部をガイド体100の切羽側ガイド板120(坑口側面)に当接する。通常側継手板NFが上方ガイド板110と切羽側ガイド板120に当接した状態を維持しつつ、通常側継手板NFを上方ガイド板110と切羽側ガイド板120に沿ってスライドさせて、通常側継手板NFとガイド側継手板GFを重ね合わせる。このとき、油量を絞ることで動作速度を遅くする「微速モード」を備えたエレクタ吹付け機等を利用すれば、通常側継手板NF(すなわち通常鋼製支保工NS)の移動(位置調整)をより円滑に行うことができて好適となる。
また本願発明の鋼製支保工建込方法は、はじめに通常鋼製支保工NSを設置し(Step10)、その後、ガイド体100の屈折部130が切羽側に配置されるように、ガイド鋼製支保工GSを設置する(Step20)こともできる。この場合、エレクタ吹付け機等で通常鋼製支保工NSを支持したまま、さらにエレクタ吹付け機等でガイド鋼製支保工GSを把持し、ガイド側継手板GFを通常側継手板NFに接近させていく。そして、ガイド体100の上方ガイド板110(下側面)を通常側継手板NFの上端部に当接し、ガイド体100の切羽側ガイド板120(坑口側面)を通常側継手板NFの切羽側の側端部に当接する。通常側継手板NFが上方ガイド板110と切羽側ガイド板120に当接した状態を維持しつつ、ガイド体100をスライドさせて、通常側継手板NFとガイド側継手板GFを重ね合わせる。
通常側継手板NFとガイド側継手板GFを重ね合わせると、連通したガイド側ボルト孔GHと通常側ボルト孔NHに連結ボルトBTを通し、連結ボルトBTと連結ナットNTを螺合して締結することによって、ガイド側継手板GFと通常鋼製支保工NSを連結する(Step30)。
連結ボルトBTと連結ナットNTの締結作業は、従来と同様、昇降可能なマンケージに乗り込んだ作業者が切羽天端付近まで移動し、手作業によって行う。このとき、マンケージとして本願発明の「屋根付ケージ」を利用するとよい。
図7は、本願発明の屋根付ケージ200を示す図であり、(a)はトンネル横断方向に見た側面図、(b)は坑口側から見た背面図、(c)は上方から見た平面図である。この図に示すように屋根付ケージ200は、作業者が乗り込むケージ部210と、このケージ部210に乗り込んだ作業者の上方を覆う屋根部220を有するものである。なお、ケージ部210はブームBMに固定されており、従来のマンケージと同様、昇降可能であって、ケージ部210に乗り込んだ作業者はトンネル天端付近まで移動することができる。
屋根部220は、L字部材221によって構成される。このL字部材221は、棒状部材(例えば鋼棒)や管状部材(例えば鋼管)を略垂直(垂直含む)に折り曲げたものであり、その下端をケージ部210の後方(坑口側)に固定することによって、ケージ部210から立ち上がる「鉛直部」と、ケージ部210に乗り込んだ作業者の上方を覆う「水平部」が形成される。また屋根部220は、図7(b)や図7(c)に示すように、複数(図では6本)のL字部材221を所定の間隔で配置した櫛形とされる。
このように、作業者の上方を覆う「水平部」を設けることによって、地山(特に天端)からの落石による事故を防ぐことができ、また所定間隔を設けた櫛形とすることによって、作業者はL字部材221とL字部材221の間から手を伸ばすことができ、連結ボルトBTと連結ナットNTの締結作業を行うことができるわけである。
また連結ボルトBTと連結ナットNTの締結作業は、連結ナットNTとして図8に示す「片押式ナットPN」を利用することもできる。図8(a)は片押式ナットPNを示す断面図、図8(b)は後述する分割ネジを示す側面図、図8(c)は片押式ナットPNを示す正面図である。なお図8(a)では、中心軸を境界に上半分を断面図、下半分を側面図として示している。
片押式ナットPNは、図8(a)に示すようにナット本体BDと分割ネジDV、反力体RFを含んで構成され、このナット本体BDには入口から出口まで貫通する貫通孔THが設けられている。また、貫通孔THを形成するナット本体BDの内周壁には、貫通孔THの内径が出口側に向かって徐々に大きくなるような(図では上方に向かって傾斜するような)テーパ−部TPが、入口を起点として中心軸方向の途中まで部分的に形成されている。
図8(b)に示すように分割ネジDVは、その内周側に連結ボルトBTと螺合するネジ(以下、便宜上「内周ネジCW」という。)が設けられるとともに、その外周側には傾斜部SLが設けられている。この傾斜部SLは、出口側に向かって外周側に広がる傾斜形状であり、その傾斜勾配はテーパ−部TPの勾配と略一致(一致含む)する。そして分割ネジDVは、傾斜部SLが内周壁のテーパ−部TPに当接した状態で、貫通孔TH内を中心軸方向にスライド(摺動)可能とされる。そのため、分割ネジDVが出口側に向かってスライドするときは同時に外周側に移動していき、反対に分割ネジDVが入口側に向かってスライドするときは同時に内周側に移動していく。なお、ナット本体BDの内周壁には、分割ネジDVのスライドを案内するためのガイドレールを設けることもでき、さらにこのガイドレールを螺旋状に形成することもできる。
図8(c)に示すように、貫通孔TH内には複数(図では3つ)の分割ネジDVが収容されており、これら複数の分割ネジDVは貫通孔THの周方向に分散配置されている。例えば、図に示すように3つの分割ネジDVを収容するケースでは、それぞれ中心角が120°となる間隔で分散配置するとよい。
反力体RFは、バネや合成樹脂(ゴムなど)といった弾性体であり、図8(a)ではナット本体BDの内周壁に沿って渦巻くコイルスプリングを示している。貫通孔THのうち出口付近の外周側には、溶接や接着、カシメ等によって固定板FXが取り付けられている。そして反力体RFの出口側端はこの固定板FXに固定され、また反力体RFの入口側端には支持板HLが取り付けられている。固定板FXは貫通孔TH内を移動することができないため、反力体RFの出口側端もやはり貫通孔TH内を移動することができない。一方の支持板HLは、反力体RFの入口側端にのみ取り付けられており、反力体RFの伸縮とともに貫通孔TH内を移動することができる。すなわちこの反力体RFは、入口側が可動端、出口側が固定端とされる。
反力体RFの入口側端に取り付けられた支持板HLは、分割ネジDVの出口側面に当接している。またこの支持板HLは、ナット本体BDの内周壁のうちテーパ−部TPが形成されていない区間(以下、「直壁区間」という。)内を概ね可動域とし、反力体RFは支持板HLがテーパ−部TPと直壁区間との境界に位置するときに圧縮状態(つまり自然長より縮んだ状態)となるように配置される。これにより分割ネジDVは、支持板HLを介して反力体RFから常に入口方向の弾性力(以下、便宜上「復元力」という。)が与えられている。
以下、片押式ナットPNを利用した締結作業について説明する。一方の手に持った連結ボルトBTをガイド側ボルト孔GH(あるいは通常側ボルト孔NH)から通し、通常側ボルト孔NH(あるいはガイド側ボルト孔GH)から突出した連結ボルトBTの先端を、他方の手に持った片押式ナットPNの入口から挿入する。さらに片押式ナットPNを保持(例えばスパナ等で保持)したまま、反力体RFの復元力以上の力で連結ボルトBTを出口側に押し込んでいく。これに伴い複数の分割ネジDVは、出口側に向かってスライドするとともに、連結ボルトBTから離れるように外周側に移動していく。そのため、連結ボルトBTの外周ネジと分割ネジDVの内周ネジCWは螺合せず、容易に連結ボルトBTを片押式ナットPNに通過させることができる。つまり、連結ボルトBT側のネジ山が分割ネジDV側のネジ山をいわば乗り越えていくことによって、連結ボルトBTを軸周りに回す(ねじ込む)ことなく、単に押し込むだけで連結ボルトBTを片押式ナットPNに通過させることができるわけである。
所定位置まで連結ボルトBTを片押式ナットPNに挿入すると、連結ボルトBTを押し込む力を解除する。これに伴い複数の分割ネジDVは、反力体RFの復元力によって入口側に向かってスライドするとともに、連結ボルトBTに近づくように内周側に移動していく。その結果、連結ボルトBTの外周ネジと分割ネジDVの内周ネジCWは螺合し、連結ボルトBTを入口方向に引き抜くことができなくなる。ただしこの状態でも、従来のボルトとナットのように連結ボルトBTを軸周りに回すことで入口方向に抜き取ることができる。
連結ボルトBTと連結ナットNTを締結し、ガイド側継手板GFと通常鋼製支保工NSを連結する(Step30)と、後続の2次コンクリート吹付けやロックボルトの打設を行う。
本願発明のガイド鋼製支保工、及び鋼製支保工建込方法は、道路トンネルや鉄道トンネル、人道トンネルなど種々のトンネル掘削工事で利用することができる。本願発明によれば、切羽での作業時間を短縮することができ、その結果、労働災害の防止につながることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明である。
100 ガイド体
110 (ガイド体の)上方ガイド板
111 (上方ガイド板の)上方接続部
120 (ガイド体の)切羽側ガイド板
121 (切羽側ガイド板の)切羽側接続部
130 (ガイド体の)屈折部
200 屋根付ケージ
210 (屋根付ケージの)ケージ部
220 (屋根付ケージの)屋根部
221 (屋根付ケージの)L字部材
GS ガイド鋼製支保工
GF (ガイド鋼製支保工の)ガイド側継手板
GH (ガイド鋼製支保工の)ガイド側ボルト孔
NS 通常鋼製支保工
NF (通常鋼製支保工の)通常側継手板
NH (通常鋼製支保工の)通常側ボルト孔
BP 底板
BT 連結ボルト
NT 連結ナット
BM ブーム
NP 片押式ナット
BD (片押式ナットの)ナット本体
TH (片押式ナットの)貫通孔
TP (片押式ナットの)テーパ−部
DV (片押式ナットの)分割ネジ
CW (分割ネジの)内周ネジ
SL (分割ネジの)傾斜部
RF (片押式ナットの)反力体
FX (片押式ナットの)固定板
HL (片押式ナットの)支持板

Claims (5)

  1. トンネルの一次覆工に用いられる鋼製支保工において、
    継手板に取り付けられるガイド体を、備え、
    前記ガイド体は、屈折部で垂直又は略垂直に折り曲げられた側面視L字状であって、該屈折部を境界として上方ガイド板と切羽側ガイド板が形成され、
    前記上方ガイド板は、前記屈折部と直交又は略直交する上方接続部が形成されるとともに、該上方接続部の該屈折部側端から他端に向かって該上方ガイド板の幅が次第に小さくなる形状であり、
    前記切羽側ガイド板は、前記屈折部と直交又は略直交する切羽側接続部が形成され、
    使用時に前記屈折部が切羽側に配置されるように、前記上方接続部が継手板の上端部に取り付けられるとともに、前記切羽側接続部が継手板の側端部に取り付けられることによって、継手板から張り出すように前記ガイド体が取り付けられ、
    使用時に、前記ガイド体が取り付けられていない他方の継手板の上端部を前記上方ガイド板に当接するとともに、他方の継手板の切羽側の側端部を前記切羽側ガイド板に当接すると、前記ガイド体が取り付けられた継手板のボルト孔と、他方の継手板のボルト孔と、に連結ボルトを挿通し得る、
    ことを特徴とするガイド鋼製支保工。
  2. トンネルの一次覆工に用いられる鋼製支保工を建て込む方法において、
    継手板にガイド体が取り付けられたガイド鋼製支保工を、所定位置に設置する第1設置工程と、
    前記第1設置工程の後に、継手板に前記ガイド体が取り付けられていない通常鋼製支保工を、所定位置に設置する第2設置工程と、
    前記ガイド鋼製支保工の継手板のボルト孔と、前記通常鋼製支保工の継手板のボルト孔と、に連結ボルトを挿通し、該連結ボルトにナットを螺合して締結することで、該ガイド鋼製支保工の継手板と、該通常鋼製支保工の継手板と、を連結する連結工程と、を備え、
    前記ガイド体は、屈折部で垂直又は略垂直に折り曲げられた側面視L字状であって、該屈折部を境界として上方ガイド板と切羽側ガイド板が形成され、
    前記上方ガイド板は、前記屈折部と直交又は略直交する上方接続部が形成されるとともに、該上方接続部の該屈折部側端から他端に向かって該上方ガイド板の幅が次第に小さくなる形状であり、
    前記切羽側ガイド板は、前記屈折部と直交又は略直交する切羽側接続部が形成され、
    前記上方接続部が継手板の上端部に取り付けられるとともに、前記切羽側接続部が継手板の側端部に取り付けられることによって、継手板から張り出すように前記ガイド体が取り付けられ、
    前記第1設置工程では、前記屈折部が切羽側に配置されるように前記ガイド鋼製支保工を設置し、
    前記第2設置工程では、前記通常鋼製支保工の継手板の上端部が前記上方ガイド板に当接するとともに、該通常鋼製支保工の継手板の切羽側の側端部が前記切羽側ガイド板に当接するように、前記通常鋼製支保工を設置する、
    ことを特徴とする鋼製支保工建込方法。
  3. トンネルの一次覆工に用いられる鋼製支保工を建て込む方法において、
    継手板にガイド体が取り付けられていない通常鋼製支保工を、所定位置に設置する第1設置工程と、
    前記第1設置工程の後に、継手板に前記ガイド体が取り付けられたガイド鋼製支保工を、所定位置に設置する第2設置工程と、
    前記ガイド鋼製支保工の継手板のボルト孔と、前記通常鋼製支保工の継手板のボルト孔と、に連結ボルトを挿通し、該連結ボルトにナットを螺合して締結することで、該ガイド鋼製支保工の継手板と、該通常鋼製支保工の継手板と、を連結する連結工程と、を備え、
    前記ガイド体は、屈折部で垂直又は略垂直に折り曲げられた側面視L字状であって、該屈折部を境界として上方ガイド板と切羽側ガイド板が形成され、
    前記上方ガイド板は、前記屈折部と直交又は略直交する上方接続部が形成されるとともに、該上方接続部の該屈折部側端から他端に向かって該上方ガイド板の幅が次第に小さくなる形状であり、
    前記切羽側ガイド板は、前記屈折部と直交又は略直交する切羽側接続部が形成され、
    前記上方接続部が継手板の上端部に取り付けられるとともに、前記切羽側接続部が継手板の側端部に取り付けられることによって、継手板から張り出すように前記ガイド体が取り付けられ、
    前記第2設置工程では、前記屈折部が切羽側に配置されるように前記ガイド鋼製支保工を設置し、
    さらに前記第2設置工程では、前記通常鋼製支保工の継手板の上端部が前記上方ガイド板に当接するとともに、該通常鋼製支保工の継手板の切羽側の側端部が前記切羽側ガイド板に当接するように、前記通常鋼製支保工を設置する、
    ことを特徴とする鋼製支保工建込方法。
  4. 前記連結工程では、昇降可能な屋根付ケージを用いて、前記ガイド鋼製支保工の継手板と前記通常鋼製支保工の継手板を連結し、
    前記屋根付ケージは、作業者が乗り込むケージ部と、該ケージ部に乗り込んだ作業者の上方を覆う屋根部と、を有し、
    前記屋根部は、複数の棒部材を所定の間隔で配置した櫛形である、
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の鋼製支保工建込方法。
  5. 前記連結工程では、前記連結ボルトと片押式ナットを用いて、前記ガイド鋼製支保工の継手板と前記通常鋼製支保工の継手板を連結し、
    前記片押式ナットは、入口から出口まで貫通する貫通孔が設けられるとともに、該貫通孔内に、複数の分割ネジと、反力体と、を有し、
    前記貫通孔の内周壁の一部には、出口側に向かって広がるテーパ―部が形成され、
    前記分割ネジは、内周側に前記連結ボルトが螺合するネジが設けられるとともに、外周側に前記テーパ―部に応じた傾斜部が形成され、
    また複数の前記分割ネジは、前記貫通孔内で周方向に分散配置されるとともに、それぞれ前記傾斜部が前記テーパ―部に当接した状態で前記貫通孔の軸方向にスライド可能であり、
    前記反力体は、弾性体であって、前記分割ネジに対して入口方向の弾性力を付与し、
    前記連結工程では、前記連結ボルトを前記片押式ナットの入口から挿入するとともに、前記反力体の入口方向の弾性力以上の力で該連結ボルトを出口側に押し込み、前記分割ネジが前記テーパ―部に沿って出口側にスライドするとともに、それぞれの該分割ネジが該連結ボルトから外周側に離れることによって、該連結ボルトは押し込むだけで出口側にスライドし、
    さらに前記連結工程では、前記連結ボルトを出口側に押し込む力を解除し、前記反力体による入口方向の弾性力によって前記分割ネジが前記テーパ―部に沿って入口側にスライドすることによって、それぞれの該分割ネジが該連結ボルトに螺合する、
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の鋼製支保工建込方法。
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