JP2008138385A - トンネル工法 - Google Patents

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Taku Ishii
卓 石井
Hiroo Kumasaka
博夫 熊坂
Tsutomu Kiuchi
勉 木内
Shiyouji Nishizaki
晶士 西崎
Saburo Ishii
三郎 石井
Yukihiro Furuto
幸博 古戸
Tsumoru Ishida
積 石田
Masahiro Iwasaki
昌浩 岩崎
Toshio Tosaka
敏雄 登坂
Atsumi Isotani
篤実 磯谷
Kenichi Tanaka
健一 田中
Hiroki Saito
博樹 斉藤
Yutaka Hisaminato
豊 久湊
Yuichiro Morichika
裕一郎 森近
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Abstract

【課題】切羽が前進されるときに、必要強度に達した吹付けコンクリートによって地山の変形を抑え、鋼製支保工を省略或いは軽減することを目的とする。
【解決手段】少なくとも、坑2を掘進して切羽4を前進させる掘削工程と、掘削工程に伴う掘削ズリG´を搬出するズリ処理工程と、前進した切羽4´の近傍の側壁面4b´に吹付けコンクリート7を吹き付ける吹付け工程とからなるトンネル掘削サイクルを繰り返し行うことで、トンネルを構築するトンネル工法において、吹付け工程では、トンネル掘削サイクルにおける次の掘削工程の前までに、切羽4´の近傍の側壁面4b´に作用する地圧を支持できる強度を発現する吹付けコンクリート7を吹き付ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、坑を掘進させるとともに切羽の近傍の側壁面に吹付けコンクリートを吹き付けるトンネル工法に関する。
一般に、NATM工法を用いてトンネルを構築する場合、坑を掘進して切羽を前進させる工程と、掘進によって生じる掘削ズリを搬出する工程と、坑の掘進部分に鋼製支保工を建て込む工程と、切羽の近傍の側壁面および端面に吹付けコンクリートをそれぞれ吹き付ける工程と、切羽の近傍の側壁面にロックボルトを打設する工程と、からなるトンネル掘削サイクルを繰り返し行い、さらに、吹付けコンクリートが吹き付けられてロックボルトが打設された側壁面に覆工を設けることで、トンネルが構築される。この工法では、鋼製支保工と吹付けコンクリートとロックボルトからなる支保構造によって、掘削されてから覆工が施されるまでの間、掘削された坑を仮支持(支保)している(例えば、非特許文献1参照。)。
上記した吹付け工程に用いる吹付けコンクリートは、吹き付けられてから、地山を抑えることができる程度の強度(必要強度)を発現するまでに、相当の時間を要する。このため、切羽が前進されるときに、直前に吹き付けられた吹付けコンクリートは必要強度を発現していないため支保効果を発揮していないという「支保効果の遅れ」が生じる危険性がある。このように「支保効果の遅れ」が生じる危険性がある吹付けコンクリートでは、吹付けコンクリートが必要強度を発現するまでの間、地山の変位を十分に抑えることができない危険性があるため、従来、吹付けコンクリートが必要強度を発現するまでの間地山を支持する目的で、上記鋼製支保工が設けられている。
ところで、膨圧性地山にトンネルを構築する場合、掘削された坑には所謂「真の地圧」が作用するので、必要な支保圧力を掘削面に作用させない限り坑の安定は得られず、地山の変形、押し出しが継続する。したがって、掘削してから上記した支保構造の支保効果が発揮されるまでの間、地山の変形が継続することになり、地圧が増大して鋼製支保工や吹付けコンクリートが破壊される虞がある。
そこで、従来、膨圧性地山等にトンネルを構築する場合、加背割りして鋼製支保工を分割して設置する工法(例えば、ベンチカット工法)や、掘削に先行して切羽から前方に向けて長尺の先受け工を打設する工法(例えば、長尺鋼管フォアパイリング工法)が採用されている。加背割りして鋼製支保工を分割して設置する工法によれば、加背が小さくなるため、切羽の端面や側壁面の必要な支保力等が小さくなり、地山が自立或いは地山の変形が低減され、地圧の増大を防止することができる。そして、加背割りされた各部毎に鋼製支保工や吹付けコンクリートを施工するため、鋼製支保工の破壊等を防止することができる。また、先受け工を用いる工法によれば、掘削応力の解放を一時的に先受け工で受けて応力解放を遅らせることができ、掘削してから支保効果が発揮されるまでの間、地山を保持させて、切羽天端部の安全性の確保することができるとともに、地表部分への影響を抑制することができる(例えば、特許文献1参照。)。
今田徹、岡林信行、野間正治、「最新 山岳トンネルの施工」、鹿島出版会、1996年9月30日、p.96 特開平9−195667号公報
しかしながら、上記した従来のトンネル工法では、鋼製支保工が、地山と密着させることができず、地山との間に形成された空隙に吹付けコンクリートが充填されることで、その支保効果を発揮するため、切羽が前進されるときに、直前に設置された鋼製支保工は支保効果を発揮していないという「支保効果の遅れ」が生じる危険性があるという問題ある。つまり、鋼製支保工は、鋼製支保工が設置された時点では、その支保効果は発揮されてなく、吹付けコンクリートが吹き付けられて当該吹付けコンクリートが硬化(強度発現)された時点で、はじめて支保効果が発揮されることになることになり、切羽が前進されるときまでに吹付けコンクリートが硬化しない場合は、結局のところ「支保効果の遅れ」が生じることとなる。
また、図8のグラフに示すように、トンネルでは切羽進行に応じて内空への変形現象が生じることになり、内空変位比率は、切羽から坑径(D)の2倍に相当する距離(2D)後方で収束する。したがって、従来のトンネル工法では、トンネルの掘進速度が一定以上になると、地山の変形が収束した後に支保構造の支保効果が発揮されることになり、吹付けコンクリートが地山の掘削解放応力を全く負担することができなくなるという問題がある。
また、加背割りして鋼製支保工を分割して設置する方法では、坑の断面を複数に分割して掘削するため、掘削進行が遅く掘削費用も嵩み、また、掘削に先行して切羽から前方に向けて長尺の先受け工を打設する工法では、先受け工を打設する工程が追加されるため、同じく掘進速度が遅く掘削費用も嵩むという問題がある。
また、先受け工は、地山の変形を防止するために設置されるが、地山の変形を防止するためには確実に先受け工を支持する必要がある。ところが、従来のトンネル工法では、先受け工を支持する鋼製支保工は、上記したように、吹付けコンクリートが硬化されることによってはじめて支保効果が発揮されるため、鋼製支保工の支保効果が発揮されていない場合、先受け工を支持することができず、先受け工の変形防止効果を発揮できない。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、切羽が前進されるときに、必要強度に達した吹付けコンクリートで地山の変形を抑えることができ、これによって、鋼製支保工を省略或いは軽減することができるトンネル工法を提供することを目的としている。また、トンネル掘進速度が高速化された場合にも、吹付けコンクリートが支保効果を十分に発揮し、地山を適正に支保することができる、つまり、トンネル掘進速度の高速化に対応することができるトンネル工法を提供することを目的としている。また、掘進速度が遅くならず、掘削費用の増加を抑えることができるトンネル工法を提供することを目的としている。さらに、先受け工を設置する場合に、先受け工を確実に支持して、先受け工の地山変形防止効果を確実に発揮させることができるトンネル工法を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、少なくとも、坑を掘進して切羽を前進させる掘削工程と、該掘削工程に伴う掘削ズリを搬出するズリ処理工程と、前進した前記切羽の近傍の側壁面に吹付けコンクリートを吹き付ける吹付け工程とからなるトンネル掘削サイクルを繰り返し行うことで、トンネルを構築するトンネル工法において、前記吹付け工程では、前記トンネル掘削サイクルにおける次の掘削工程の前までに、前記切羽の近傍の側壁面に作用する地圧を支持できる強度を発現する吹付けコンクリートを吹き付けることを特徴としている。
このような特徴により、切羽が前進されるとき、その直前に吹き付けられた吹付けコンクリートが所定の強度を発現して掘削解放応力を負担している。つまり、吹付けコンクリートが所定の強度に達する位置は、坑の最先端の位置となる。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のトンネル工法において、前記吹付けコンクリートは、前記トンネル掘削サイクルにおける次の掘削工程の前までに設計基準強度を発現するコンクリートであることを特徴としている。
このような特徴により、設計基準強度に達した吹付けコンクリートで地山が支保されてから、切羽が前進されることになる。
本発明に係るトンネル工法によれば、切羽が前進されるときに、その直前に吹き付けられた吹付けコンクリートが所定の強度を発現して掘削解放応力を負担しているため、「支保効果の遅れ」が生じず、必要強度に達した吹付けコンクリートで地山の変形を抑えることができる。これによって、切羽に設置される鋼製支保工を省略或いは軽減することができる。また、トンネル掘進速度が高速化された場合にも、吹付けコンクリートが支保効果を十分に発揮し、地山を適正に支保することができる。また、掘進速度が遅くならず、掘削費用の増加を抑えることができる。さらに、切羽から前方に向けて設置される先受け工の支持を早期に完成させ、先受け工の地山変形防止効果を確実に発揮させることができる。
また、吹付けコンクリートは、トンネル掘削サイクルにおける次の掘削工程の前までに設計基準強度を発現するコンクリートであることにより、設計基準強度に達した吹付けコンクリートで地山が支保されてから、切羽が前進されることになるため、吹付けコンクリートで確実に地山の変形を抑えることができる。
以下、本発明に係るトンネル工法の第1、第2の実施の形態について、図面に基いて説明する。
[第1の実施の形態]
本発明に係るトンネル工法の第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態におけるトンネル1の施工状況を表したトンネルの側断面図である。
図1に示すように、一般の地山または膨圧性を有する地山G内にトンネル1を構築する方法としては、まず、坑2の切羽4で、地山Gを掘削するとともに掘削された部分に支保構造3(後述する吹付けコンクリート7、鋼製支保工8、およびロックボルト10からなる支保構造)を設置するトンネル掘削サイクルを繰り返し行うことで、支保構造3を設置しつつ坑2を掘進させる。そして、上記トンネル掘削サイクルを行っている切羽4の後方のヤードで、支保構造3で支保された坑2の側壁面にセグメント等の覆工5を施工してトンネル1を形成する。
覆工5の施工には、各種の覆工の施工方法を適用することができ、周知の施工方法によって施工されるため、その説明を省略する。以下、切羽4におけるトンネル掘削サイクルの具体的な工程について説明する。
図2は第1の実施の形態におけるトンネル掘削サイクルの工程を表したトンネル1の側断面図であり、図3は第1の実施の形態におけるトンネル掘削サイクルの工程を表したトンネル1の横断面図である。
まず、図2(a),図3(a)に示すように、坑2を掘進して切羽4を前進させる掘削工程を行う。具体的には、ドリルジャンボ等の穿孔機14によって、切羽4の端面(鏡面)4aに複数の装薬孔6…を穿孔する。そして、装薬孔6…に図示せぬ火薬を装填して地山Gを発破し、切羽4の地山Gを崩す。
次に、図2(b),図3(b)に示すように、上記掘削工程に伴う掘削ズリG´を搬出するズリ処理工程を行う。具体的には、発破により崩された掘削ズリG´をホイールローダー等の重機11によってダンプ等の搬出車両12に積み込み、この搬出車両12で掘削ズリG´を外に搬出する。このとき、発破で崩しきれなかった地山Gや、崩れてきそうな地山Gを図示せぬブレーカー等の機械で削り落としておく(コソク作業)。
次に、図2(c),図3(c)に示すように、前進した切羽4´の端面4a´及び側壁面4b´に吹付けコンクリート7をそれぞれ吹き付ける吹付け工程を行う。具体的には、予め、吹付けコンクリート7を吹き付ける前に、切羽4に鋼製支保工8を組み立てておく。そして、ミキサー車15で搬入されたセメントコンクリートを吹付機13に供給し、吹付機13でセメントコンクリートを圧送する。そして、噴射位置の直前(吹付けノズルの直前)でセメントコンクリートに急結剤を添加・混合して吹付けコンクリート7とし、吹付けコンクリート7を切羽4´の端面4a´及び側壁面4b´に吹き付ける。この吹付けコンクリート7は、トンネル掘削サイクルにおける次の掘削工程の前までに所定の必要強度を発現する吹付け材料であり、吹付けコンクリート7が所定の必要強度を発現するまでの間は、鋼製支保工8によって切羽4´を支保する。
上記した吹付けコンクリート7の「所定の必要強度」とは、切羽4´の端面4a´や側壁面4b´に作用する地圧を支持できる強度であり、具体的には、吹付けコンクリート7の設計基準強度である。具体的には、吹付けコンクリート7は、10分で10N/mm以上の圧縮強度を発現し、3時間で18N/mm以上の圧縮強度を発現するものである。
ここで、吹付けコンクリート7の配合について説明する。
吹付けコンクリート7は、セメントコンクリート(ベースコンクリート)に急結剤が添加された吹付け材料であり、セメント量500〜700kg/m、空気量5〜15%、スランプ20cm以上のコンクリート材料である。
セメントコンクリートは、水(W)、セメント(C)、混和材(Σ)、細骨材(S)、粗骨材(G)、減水剤(SP)が混合されてなるものである。混和材は、セメント中の石膏以外の石膏、シリカフューム、有機酸、アルカリ金属炭酸塩である。セメント中の石膏以外の石膏は、セメント100質量部に対して8〜15質量部含有されており、また、シリカフュームは、セメント100質量部に対して1〜10質量部含有されており、また、有機酸は、セメント100質量部に対して0.1〜3.0質量部含有されており、また、アルカリ金属炭酸塩は、セメント100質量部に対して0.1〜3.0質量部含有されている。
急結剤は、カルシウムアルミネートと、アルカリ金属アルミン酸塩と、水酸化カルシウムとからなる薬剤であり、セメント100質量部に対して5〜20質量部だけ添加されている。急結剤中のアルカリ金属アルミン酸塩は、カルシウムアルミネート100質量部に対して1〜50質量部含有されており、また、水酸化カルシウムは、カルシウムアルミネート100質量部に対して1〜20質量部含有されている。
図4は吹付けコンクリート7の使用材料の具体例を示した表であり、図5は吹付けコンクリート7の具体的な配合例を示した表である。図4,図5に示すように、吹付けコンクリート7は、例えば、図4に示す材料を使用して、図5に示す配合で作られたコンクリートからなる。なお、急結剤は、吹き付ける直前に、セメントコンクリートに添加されるものであり、セメントコンクリートに急結材が添加して混合される距離が2m以内にされている。
上記した吹付けコンクリート7を切羽4´の端面4a´及び側壁面4b´に吹き付け、当該吹付けコンクリート7が硬化した後、図2(d),図3(d)に示すように、切羽4´の側壁面4b´に複数のロックボルト10…を放射状に打設するロックボルト打設工程を行う。具体的には、掘削工程時の穿孔に使用した穿孔機14(ただし、掘削工程時の穿孔機14と別の穿孔機であってもよい。)によって、切羽4´の側壁面4b´に放射状に複数の図示せぬ孔を穿孔し、その孔の中に図示せぬモルタル等の充填材をそれぞれ充填するとともにロックボルト10をそれぞれ挿入する。そして、各ロックボルト10…の基端部(トンネル内部側の端部)を図示せぬ定着具によって固定する。なお、充填材の充填作業、ロックボルト10の挿入作業、定着具の取付作業は、それぞれ機械で行ってもよく、或いは、作業員の手作業で行ってもよい。
その後、図2(a),図3(a)に示すように、再び上述した掘削工程に戻って、坑2を掘進して切羽4を前進させ、トンネル掘削サイクルを繰り返す。なお、ロックボルト打設工程の後の掘削工程を行うとき、その直前に吹き付けられた吹付けコンクリート7は所定の必要強度を発現している。
上記した構成からなるトンネル工法では、切羽4´の近傍の側壁面4b´に吹き付けられた吹付けコンクリート7が所定の必要強度に達する位置は、図2(a)に示す切羽位置Aとなる。これに対して、従来のトンネル工法では、吹付けコンクリートが所定の必要強度に達する位置は、図2(a)に示す坑2の4週間施工延長の位置B(切羽4の端面4aから30m〜150m後方の位置)となる。図8のグラフに示すように、坑径の2倍以上離れると坑2の内空変位比率は収束するため、従来工法のように、吹付けコンクリートが坑2の4週間施工延長の位置Bで必要強度に達する場合、吹付けコンクリートが掘削解放応力を十分に負担することはできない。これに対し、本工法のように、吹付けコンクリート7が切羽位置Aで必要強度に達する場合、坑2の内空変位比率が急上昇し始めるところであるため、吹付けコンクリート7が掘削解放応力を効果的に負担することになる。
したがって、上記した構成からなるトンネル工法によれば、切羽4が前進されるとき、その直前に吹き付けられた吹付けコンクリート7が所定の必要強度を発現した状態になっており、吹付けコンクリート7が掘削解放応力を負担するため、「支保効果の遅れ」が生じず、必要強度に達した吹付けコンクリート7で地山Gの変位を抑えることができる。また、吹付けコンクリート7が早い時期から支保効果を発揮することで、鋼製支保工8を軽減、つまり、従来工法に比べて、鋼製支保工8に用いられる鋼材の断面形状を小さくしたり、鋼製支保工8の設置間隔を大きくとることにより、その数を少なくすることができ、或いは、全く鋼製支保工を使用しない、および若しくはロックボルトを使用しないことができ、コストダウンを図ることができる。
また、上記した構成からなるトンネル工法によれば、「支保効果の遅れ」が生じないため、切羽4´における膨圧性地山Gの変形を小さく抑えることができ、結果として、地圧の増大を回避することができ、支保構造3の破壊を防止することができる。
また、上記した構成からなるトンネル工法によれば、吹付けコンクリート7の「支保効果の遅れ」が生じないため、「支保効果の遅れ」対策として実施していた加背割りや先受け工の設置を行う必要がない。したがって、加背割りや先受け工の設置を行う工法に比べて掘削効率を向上させることができ、掘削費用の増加も抑えることができる。
また、上記した構成からなるトンネル工法によれば、吹付けコンクリート7は、トンネル掘削サイクルにおける次の掘削工程の前までに設計基準強度を発現するコンクリートであるため、設計基準強度に達した吹付けコンクリート7で切羽4´の地山Gが支保されてから、切羽4が前進されることになる。したがって、吹付けコンクリート7で確実に切羽4´の地山Gの変位を抑えることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係るトンネル工法の第2の実施の形態について説明する。なお、上記した第1の実施の形態と同様の工程や構成についてはその説明を省略する。
図6は第2の実施の形態におけるトンネル掘削サイクルの工程を表したトンネル1の側断面図であり、図7は第2の実施の形態におけるトンネル掘削サイクルの工程を表したトンネル1の横断面図である。
図6(a)〜図6(d),図7(a)〜図7(d)に示すように、基本的には、上記した第1の実施の形態と同様のトンネル掘削サイクルを繰り返し行うことで、支保構造3(後述する吹付けコンクリート7、鋼製支保工8、ロックボルト10、および先受け工20からなる支保構造)を設置しつつ坑2を掘進させる。そして、トンネル掘削サイクルを複数回(図6では7回)行う毎に、掘削に先行して坑2の外周に沿ってアーチ状に設置される先受け工20を設置する工程を行う。具体的には、ズリ処理工程を行った後、或いは、吹付け工程を行った後、或いは、ロックボルト打設工程を行った後に、図示せぬ穿孔機(掘削工程やロックボルト打設工程のときの穿孔機14でもよい。)で切羽4´上部(天端)から前方に向けてアーチ状に複数の孔22…を穿孔する。そして、各孔22…にそれぞれ長尺の鋼管21…をそれぞれ挿入し、その後、鋼管21…内部およびその周りにモルタル等の充填材をそれぞれ充填する。これにより、切羽4´の前方の地山Gに、鋼管21…により補強されたアンブレラ状の改良補強領域が形成される。
なお、ロックボルト打設工程のとき、先受け工20が設置された範囲にはロックボルト10…を打設せず、切羽4´の側壁面4b´のうちの先受け工20の下側部分(側壁)にのみロックボルト10…を打設する。
また、切羽4´に設置される鋼製支保工8は、先受け工20の打設位置にのみ設けて、前後の先受け工20,20の打設位置間には、鋼製支保工8を設置せず、吹付けコンクリート7だけで切羽4´の地山Gを支保する。
上記した構成からなるトンネル工法によれば、第1の実施の形態における効果と同様の効果を奏することができるとともに、切羽4´から前方に向けて設置された先受け工20の支持を早期に完成させることができ、先受け工20の地山変形防止効果を確実に発揮させることができる。また、鋼製支保工8と先受け工20(鋼管21…)との間に間詰モルタル等を充填する必要がないため、トンネル掘削サイクルのサイクルタイム(トンネル掘削サイクルを1回行うのに要する時間)を短縮することができ、コストダウンを図ることができる。さらに、前後の先受け工20,20の打設位置間における鋼製支保工8を省略することができるため、トンネル掘削サイクルのサイクルタイムを短縮することができ、コストダウンを図ることができる。
以上、本発明に係るトンネル工法の第1,第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記した第1,第2の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した第1,第2の実施の形態では、穿孔・発破により坑2を掘削しているが、本発明は、掘削機械によって、地山を掘削して切羽を前進させてもよい。
また、上記した第1,第2の実施の形態では、1サイクルの掘削工程が完了した後に、掘削ズリG´を搬出するズリ処理工程を行っているが、本発明は、掘削工程を行いつつ掘削ズリを搬出するズリ処理工程を行っても良い。
また、上記した第1,第2の実施の形態では、崩された掘削ズリG´を重機11によって搬出車両12に積み込み、搬出車両12によって掘削ズリG´を搬出しているが、本発明は、その他の方法で掘削ズリG´を搬出してもよく、例えば、連続ベルトコンベアによって掘削ズリを搬出してもよい。
また、上記した第1,第2の実施の形態では、鋼製支保工8を建て込んだ後に、吹付けコンクリート7を吹き付けているが、本発明は、鋼製支保工を建て込む前に一次吹付けコンクリートを吹き付け、その後、鋼製支保工を建て込み、さらにその後に、二次吹付けコンクリートを吹き付けてもよい。また、本発明は、吹付けコンクリート7の「支保効果の遅れ」が生じないため、鋼製支保工8を省略することも可能であり、ズリ処理工程完了した後、鋼製支保工を設置せずに吹付けコンクリートを吹き付けてもよい。
また、上記した第1,第2の実施の形態では、切羽4´の端面4a´及び側壁面4b´にそれぞれ吹付けコンクリート7を吹き付けているが、本発明は、切羽の端面の自立性が確保できる場合には、切羽の端面への吹付けを省略してもよい。
上記した第2の実施の形態では、トンネル掘削サイクルを複数回行う毎に、長尺の先受け工20…を打設しているが、本発明は、トンネル掘削サイクルを行う毎に、先受け工を設置してもよい。
また、上記した第2の実施の形態では、先受け工20,20間の鋼製支保工8を省略しているが、本発明は、側壁面4b´の状況に応じて、先受け工20,20間に鋼製支保工を適宜設置してもよい。
なお、本発明は、トンネル掘削サイクルにおける次の掘削工程の前までに所定の必要強度を発現する吹付けコンクリート7を用いて吹付け工程を行っているが、図8のグラフに示すように、トンネルの内空変位比率は、切羽から坑径(D)の2倍に相当する距離(2D)後方で収束するため、切羽(鏡面)から、坑径(D)の2倍に相当する距離(2D)だけ離れる前に、所定の必要強度を発現する吹付けコンクリートを用いて吹付け工程を行うことで、当該吹付けコンクリートに掘削解放応力を負担させることができる。したがって、切羽が2D(坑径の2倍に相当する距離)進行するまでの時間内に必要強度を発現する吹付けコンクリートを用いて吹付け工程を行うことで、吹付けコンクリートによって坑の周辺地山の変形を抑えることができ、「支保効果の遅れ」を軽減することができる。また、坑の周辺地山の変形を効果的に抑えるため、切羽が1D(坑径の1倍に相当する距離)進行するまでの時間内に必要強度を発現する吹付けコンクリートを用いて吹付け工程を行うことが望ましい。
本発明に係るトンネル工法の第1の実施の形態を説明するための施工状況を表した図である。 本発明に係るトンネル工法の第1の実施の形態を説明するためのトンネル掘削サイクルを表した図である。 本発明に係るトンネル工法の第1の実施の形態を説明するためのトンネル掘削サイクルを表した図である。 本発明に係るトンネル工法の第1の実施の形態を説明するための吹付けコンクリートの材料を示した表である。 本発明に係るトンネル工法の第1の実施の形態を説明するための吹付けコンクリートの配合を示した表である。 本発明に係るトンネル工法の第2の実施の形態を説明するためのトンネル掘削サイクルを表した図である。 本発明に係るトンネル工法の第2の実施の形態を説明するためのトンネル掘削サイクルを表した図である。 切羽からの距離と内空変位比率との関係を表したグラフである。
符号の説明
1 トンネル
2 坑
4,4´ 切羽
4b´ 側壁面
7 吹付けコンクリート
G´ 掘削ズリ

Claims (2)

  1. 少なくとも、坑を掘進して切羽を前進させる掘削工程と、該掘削工程に伴う掘削ズリを搬出するズリ処理工程と、前進した前記切羽の近傍の側壁面に吹付けコンクリートを吹き付ける吹付け工程とからなるトンネル掘削サイクルを繰り返し行うことで、トンネルを構築するトンネル工法において、
    前記吹付け工程では、前記トンネル掘削サイクルにおける次の掘削工程の前までに、前記切羽の近傍の側壁面に作用する地圧を支持できる強度を発現する吹付けコンクリートを吹き付けることを特徴とするトンネル工法。
  2. 請求項1記載のトンネル工法において、
    前記吹付けコンクリートは、前記トンネル掘削サイクルにおける次の掘削工程の前までに設計基準強度を発現するコンクリートであることを特徴とするトンネル工法。
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