JP2021175793A - 硬化性組成物、波長変換膜、発光装置及び画像表示装置 - Google Patents

硬化性組成物、波長変換膜、発光装置及び画像表示装置 Download PDF

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好寛 原田
Yoshihiro Harada
慶史 小松
Keishi Komatsu
真芳 ▲徳▼田
Masayoshi Tokuda
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Abstract

【課題】発光量及び耐熱性が優れる硬化膜の製造に有用な硬化性組成物を提供する。【解決手段】量子ドット(A)と樹脂(B)とを含み、樹脂(B)は、下記式(I)で示されるテトラヒドロピラン環を含む構成単位を主鎖中に含む重合体を含有する硬化性組成物。[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜25の炭化水素基を表す。前記炭化水素基は置換基を有していてもよい。]【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物に関し、さらには、波長変換膜、発光装置及び画像表示装置にも関する。
特許文献1には、下記一般式(α1)で表わされる構造部位及び下記式(α2)で表わされる構造部位を有する重合体と量子ドットとを含有する硬化性樹脂組成物が提案されている。
Figure 2021175793
特許文献2には、バインダーポリマーと、重合性化合物と、半導体量子ドットと、特定の酸値を有する分散剤とを含有する硬化膜形成用組成物が提案されている。
特開2016−065178号公報 特開2017−025165号公報
しかし、上記硬化性組成物から得られる硬化膜は、発光量及び耐熱性が必ずしも十分ではない。
そこで、本発明の目的は、発光量及び耐熱性が優れる硬化膜の製造に有用な硬化性組成物を提供することにある。
本発明は、以下に示す硬化性組成物、波長変換膜、発光装置及び画像表示装置を提供する。
[1] 量子ドット(A)と樹脂(B)とを含み、前記樹脂(B)は、テトラヒドロピラン環を含む構成単位を主鎖中に含む重合体を含有する、硬化性組成物。
[2] 前記テトラヒドロピラン環を含む構成単位は、下記一般式(I)で表される構成単位である、[1]に記載の硬化性組成物。
Figure 2021175793

[式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜25の炭化水素基を表す。前記炭化水素基は置換基を有していてもよい。]
[3] 前記重合体は、下記一般式(II)で表される構成単位と、下記一般式(III)で表される構成単位とを更に含む、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
Figure 2021175793

[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。]
Figure 2021175793

[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐鎖状又は環状炭化水素基を表す。前記炭化水素基は置換基を有していてもよい。]
[4] 前記重合体は、酸基と結合し得る官能基と重合性二重結合とを有する化合物に由来する構成単位をさらに含有する、[3]に記載の硬化性組成物。
[5] 前記樹脂(B)100質量部に対し、前記量子ドット(A)を5質量部以上200質量部以下含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6] 重合性化合物及び重合開始剤をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物を含む波長変換膜。
[8] カラーフィルターと、[7]に記載の波長変換膜と、バックライトとをこの順に含む発光装置。
[9] [8]に記載の発光装置を含む画像表示装置。
本発明によれば、発光量及び耐熱性が優れる硬化膜の製造に有用な硬化性組成物を提供することができる。
<硬化性組成物>
本発明に係る硬化性組成物は、量子ドット(A)及び樹脂(B)を含み、樹脂(B)はテトラヒドロピラン環構造を主鎖中に含む重合体を含有する。硬化性組成物は、重合成化合物(C)、重合開始剤(D)、酸化防止剤(E)、レベリング剤(F)、溶剤(G)、及び/又は光散乱剤(I)をさらに含有することができる。本明細書において硬化性組成物に含まれる又は含まれ得る各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で、又は、複数種を組み合わせて使用することができる。
〔1〕量子ドット(A)
量子ドット(A)は、好ましくは発光性(蛍光発光性)の半導体粒子(以下、半導体量子ドットともいう)である。発光性の半導体粒子を含む硬化性組成物から形成される波長変換膜等の硬化膜は、所望の波長域の蛍光発光を示す色再現性に優れたものであり得る。
半導体量子ドットは、半導体結晶からなる粒子、好ましくは半導体結晶からなるナノ粒子である。半導体量子ドットの平均粒径は、例えば0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上15nm以下(例えば2nm以上15nm以下)である。半導体量子ドットの平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて求めることができる。
半導体量子ドットは、例えば、周期表第2族元素、第11族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素及び第16族元素からなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含む半導体材料から構成することができる。
半導体量子ドットを構成し得る半導体材料の具体例は、SnS、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の第14族元素と第16族元素との化合物;GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、InGaN、InGaP等の第13族元素と第15族元素との化合物;Ga、Ga、GaSe、GaTe、In、In、InSe、InTe等の第13族元素と第16族元素との化合物;ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe等の第12族元素と第16族元素との化合物;As、As、AsSe、AsTe、Sb、Sb、SbSe、SbTe、Bi、Bi、BiSe、BiTe等の第15族元素と第16族元素との化合物;MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe等の第2族元素と第16族元素との化合物;Si、Ge等の第14族元素、第15族元素又は第16族元素の単体を含む。
半導体量子ドットは、単一の半導体材料からなる単層構造であってもよいし、単一の半導体材料からなる核粒子(コア層)の表面が、これとは異なる1種又は2種以上の半導体材料からなる被覆層(シェル層)によって被覆されたコアシェル構造であってもよい。後者の場合、シェル層を構成する半導体材料としては通常、コア層を構成する半導体材料よりもバンドギャップエネルギーが大きいものを用いる。半導体量子ドットは、シェル層を2種以上有していてもよい。半導体量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状又は略球状、棒状、円盤状等であり得る。
量子ドット(A)の含有量は、硬化性組成物の固形分100質量部中、例えば0.1質量部以上60質量部以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは5質量部以上50質量部以下であり、より好ましくは20質量部以上45質量部以下である。本明細書において「硬化性組成物の固形分」とは、硬化性組成物に含まれる有機溶剤(G)以外の成分の合計をいう。
硬化性組成物は、樹脂(B)100質量部に対し、量子ドット(A)を例えば5質量部以上200質量部以下含んでよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは50質量部以上150質量部以下、より好ましくは70質量部以上100質量部以下含む。
〔2〕有機配位子(H)
量子ドット(A)である半導体粒子は、有機配位子(H)が配位した状態で硬化性組成物中に存在していてもよい。以下、有機配位子(H)が配位している半導体粒子を配位子含有半導体粒子ともいう。半導体粒子に配位する配位子は、例えば、半導体粒子に対する配位能を示す極性基を有する有機化合物であることができる。有機配位子(H)は、配位子含有半導体粒子の合成上の制約から、又は、安定化のために添加した有機配位子であってもよい。例えば、特表2015−529698号公報において、配位子含有半導体粒子は、粒子サイズ制御の観点から有機配位子としてヘキサン酸を含み、また、合成後の安定化のために有機配位子をDDSA(ドデセニルコハク酸)に置換している。
有機配位子(H)は、例えば半導体粒子の表面に配位することができる。
極性基は、例えば、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)及びアミノ基(−NH)からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。該群より選択される極性基は、半導体粒子への配位性を高めるうえで有利となり得る。高い配位性は、硬化膜の色ムラの改善及び/又は硬化性組成物のパターニング性の改善に貢献し得る。中でも、発光特性により優れる硬化膜(波長変換膜等)を得る観点から、極性基は、チオール基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることがより好ましい。有機配位子(H)は、1個又は2個以上の極性基を有し得る。有機配位子(H)としては、例えば有機酸、有機アミン化合物、チオール化合物等が挙げられる。
硬化性組成物中の量子ドット(A)に対する有機配位子(H)の含有量比は、質量比で、好ましくは0.001以上1以下であり、より好ましくは0.01以上0.5以下である。該含有量比がこの範囲にあると、硬化膜の発光量及び耐熱性を高める観点から有利となり得る。硬化性組成物における有機配位子(H)の含有率は、硬化膜の発光量及び耐熱性を高める観点から、硬化性組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
有機配位子(H)は、例えば、下記式(X):
−R (X)
で表される有機化合物であることができる。式中、Xは上記の極性基であり、Rはヘテロ原子(N、O、S、ハロゲン原子等)を含んでいてもよい1価の炭化水素基である。該炭化水素基は、炭素−炭素二重結合等の不飽和結合を1個又は2個以上有していてもよい。該炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有していてもよい。該炭化水素基の炭素数は、例えば1以上40以下であり、1以上30以下であってもよい。該炭化水素基に含まれるメチレン基は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−等で置換されていてもよい。
基Rは、極性基を含んでいてもよい。該極性基の具体例については極性基Xに係る上記記述が引用される。
極性基Xとしてカルボキシ基を有する有機配位子(H)の具体例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のほか、飽和又は不飽和脂肪酸を挙げることができる。飽和又は不飽和脂肪酸の具体例は、ブチル酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸;ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、イコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の一価不飽和脂肪酸;リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ステアドリン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸(ドコサテトラエン酸)等の多価不飽和脂肪酸を含む。
極性基Xとしてチオール基又はアミノ基を有する有機配位子(H)の具体例は、上で例示した極性基Xとしてカルボキシ基を有する有機配位子(H)のカルボキシ基がチオール基又はアミノ基に置き換わった有機配位子(H)を含む。
上記式(X)で表される有機配位子(H)の好ましい例として化合物(H−1)及び化合物(H−2)が挙げられる。
[化合物(H−1)]
化合物(H−1)は、第1官能基及び第2官能基を有する化合物である。第1官能基はカルボキシ基(−COOH)であり、第2官能基はカルボキシ基又はチオール基(−SH)である。化合物(H−1)は、カルボキシ基及び/又はチオール基を有しているため、量子ドット(A)に配位する配位子となり得る。
硬化性組成物は、化合物(H−1)を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。
化合物(H−1)を硬化性組成物に含有させることにより、該硬化性組成物の現像速度を十分に速くすることができるとともに、該硬化性組成物から形成される硬化膜の発光強度(輝度)を高めることができる。これは、化合物(H−1)が有するカルボキシ基及びチオール基がいずれも、アルカリ現像液による高い現像性を硬化性組成物に付与することができるとともに、量子ドット(A)によく配位して硬化性組成物中における量子ドット(A)の分散性を高めることができるためであると考えられる。とりわけカルボキシ基は、アルカリ現像液による現像性を高める効果がより高く、チオール基は、量子ドット(A)の分散性を高める効果がより高い。
硬化性組成物の現像速度を速くすることは、硬化膜の発光強度(輝度)を高めることにも寄与し得る。これは、現像工程中の硬化膜への水の浸透を抑えることができるためであると考えられる。
化合物(H−1)の一例は、下記式(H−1a)で表される化合物である。化合物(H−1)は、式(H−1a)で表される化合物の酸無水物であってもよい。
Figure 2021175793

[式中、Rは、2価の炭化水素基を表す。複数のRが存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。上記炭化水素基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。上記炭化水素基に含まれる−CH−は−O−、−S−、−SO−、−CO−及び−NH−の少なくとも1つに置き換わっていてもよい。
pは、1〜10の整数を表す。]
で表される2価の炭化水素基としては、例えば、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
鎖状炭化水素基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜50であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10である。
直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基としては、例えば、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、1−メチルブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、単環式又多環式のシクロアルカンジイル基が挙げられ、その炭素数は、通常3〜50であり、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10である。
単環式又多環式のシクロアルカンジイル基としては、例えばシクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,3−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、アレーンジイル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。単環式又多環式のアレーンジイル基としては、例えばベンゼンジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ピレンジイル基、ピリジンジイル基、ピラジンジイル基、ピラゾールジイル基等が挙げられる。
上記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜50のアルキル基、炭素数3〜50のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、カルボキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
炭素数1〜50のアルキル基としては、例えば、飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基及び2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
炭素数3〜50のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基及びナフチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
上記炭化水素基が有していてもよい置換基は、好ましくは、カルボキシ基、アミノ基又はハロゲン原子である。
上記炭化水素基に含まれる−CH−が−O−、−CO−及び−NH−の少なくとも1つに置き換わる場合、−CH−が置き換わるのは、好ましくは−CO−及び−NH−の少なくとも1つであり、より好ましくは−NH−である。
pは、好ましくは1又は2である。
式(H−1a)で表される化合物としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−9)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021175793
式(H−1a)で表される化合物の具体例を化学名で示せば、例えば、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトブタン酸、4−メルカプトブタン酸、メルカプトコハク酸、メルカプトステアリン酸、メルカプトオクタン酸、4−メルカプト安息香酸、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メルカプト安息香酸、L−システイン、N−アセチル−L−システイン、3−メルカプトプロピオン酸3−メトキシブチル、3−メルカプト−2−メチルプロピオン酸等が挙げられる。
中でも3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸が好ましい。
化合物(H−1)の他の一例は、多価カルボン酸化合物であり、好ましくは上記式(H−1a)で表される化合物において、式(H−1a)中の−SHがカルボキシ基(−COOH)に置き換わった化合物(H−1b)が挙げられる。
化合物(H−1b)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、ドデカフルオロスベリン酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、trans−3−ヘキセン二酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、アセチレンジカルボン酸、trans−アコニット酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジカルボン酸、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、cis−又はtrans−1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、cis−又はtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,1−シクロペンタン二酢酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、デカヒドロ−1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、フタル酸、3−フルオロフタル酸、イソフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,1’−フェロセンジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、ベンゾフェノン−2,4’−ジカルボン酸一水和物、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、ピラゾール−3,5−ジカルボン酸一水和物、4,4’−スチルベンジカルボン酸、アントラキノン−2,3−ジカルボン酸、4−(カルボキシメチル)安息香酸、ケリドン酸一水和物、アゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、アゾベンゼン−3,3’−ジカルボン酸、クロレンド酸、1H−イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,10−ビス(4−カルボキシフェノキシ)デカン、ジプロピルマロン酸、ジチオジグリコール酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、4,4’−ジチオジブタン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、エチレングリコール ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、3,4−エチレンジオキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸、4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ酢酸、1,3−アセトンジカルボン酸、メチレンジサリチル酸、5,5’−チオジサリチル酸、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、テトラフルオロコハク酸、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−ベンゼンジプロピオン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸等。
硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から、化合物(H−1)の分子量は、好ましくは3000以下であり、より好ましくは2000以下であり、さらに好ましくは1000以下であり、なおさらに好ましくは800以下であり、特に好ましくは500以下である。化合物(H−1)の分子量は、通常100以上である。
上記分子量は、数平均分子量であってもよいし重量平均分子量であってもよい。この場合、数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量である。
硬化性組成物において化合物(H−1)は、その少なくとも一部の分子が量子ドット(A)に配位していることが好ましく、そのすべて又はほぼすべての分子が量子ドット(A)に配位していてもよい。すなわち、硬化性組成物は、量子ドット(A)に配位している化合物(H−1)を含むことが好ましいが、量子ドット(A)に配位している化合物(H−1)とともに、量子ドット(A)に配位していない化合物(H−1)を含んでいてもよい。
量子ドット(A)に配位している化合物(H−1)を含むことは、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から有利となり得る。化合物(H−1)は通常、第1官能基及び/又は第2官能基を介して量子ドット(A)に配位することができる。化合物(H−1)は、例えば量子ドット(A)の表面に配位することができる。
硬化性組成物中の量子ドット(A)に対する化合物(H−1)の含有量比は、質量比で、好ましくは0.001以上1以下であり、より好ましくは0.01以上0.5以下であり、さらに好ましくは0.02以上0.1以下である。該含有量比がこの範囲にあると、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から有利となり得る。
硬化性組成物における化合物(H−1)の含有率は、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から、硬化性組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上8質量%以下であり、なおさらに好ましくは0.2質量%以上5質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以上4質量%以下である。
[化合物(H−2)]
化合物(H−2)は、化合物(H−1)とは異なる化合物(H−2)であって、ポリアルキレングリコール構造を含み、かつ極性基を分子末端に有する化合物である。分子末端とは、化合物(H−2)中、最も長い炭素鎖(炭素鎖中の炭素原子は、酸素原子等の他の原子に置き換わっていてもよい。)の末端であることが好ましい。
硬化性組成物は、化合物(H−2)を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。
なお、ポリアルキレングリコール構造を含み、上記第1官能基及び第2官能基を有する化合物は、化合物(H−1)に属するものとする。
硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から、硬化性組成物は、化合物(H−1)を含んでいてもよいし、化合物(H−1)及び化合物(H−2)を含んでいてもよい。
ポリアルキレングリコール構造とは、下記式:
Figure 2021175793
で表される構造をいう(nは2以上の整数)。式中、Rはアルキレン基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
化合物(H−2)の具体例として、下記式(H−2a)で表されるポリアルキレングリコール系化合物を挙げることができる。
Figure 2021175793
式(H−2a)中、Xは極性基であり、Yは1価の基であり、Zは2価又は3価の基である。nは2以上の整数である。mは1又は2である。Rはアルキレン基である。
硬化性組成物において化合物(H−2)は、その少なくとも一部の分子が量子ドット(A)に配位していることが好ましく、そのすべて又はほぼすべての分子が量子ドット(A)に配位していてもよい。すなわち、硬化性組成物は、量子ドット(A)に配位している化合物(H−2)を含むことが好ましいが、量子ドット(A)に配位している化合物(H−2)とともに、量子ドット(A)に配位していない化合物(H−2)を含んでいてもよい。
量子ドット(A)に配位している化合物(H−2)を含むことは、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から有利となり得る。化合物(H−2a)は通常、極性基Xを介して量子ドット(A)に配位することができる。基Yが極性基を含む場合、化合物(H−2a)は、基Yの極性基を介して、又は極性基X及び基Yの極性基を介して量子ドット(A)に配位することもできる。化合物(H−2)は、例えば量子ドット(A)の表面に配位することができる。
極性基Xは、チオール基(−SH)、カルボキシ基(−COOH)及びアミノ基(−NH)からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。該群より選択される極性基は、量子ドット(A)への配位性を高めるうえで有利となり得る。中でも、硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から、極性基Xは、チオール基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることがより好ましい。
基Yは1価の基である。基Yとしては特に制限されず、置換基(N、O、S、ハロゲン原子等)を有していてもよい1価の炭化水素基を挙げることができる。該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−等で置換されていてもよい。
上記炭化水素基の炭素数は、例えば1以上12以下である。該炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよい。
基Yとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上12以下のアルキル基;直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上12以下のアルコキシ基等が挙げられる。該アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1以上8以下であり、より好ましくは1以上6以下であり、さらに好ましくは1以上4以下である。該アルキル基及びアルコキシ基に含まれる−CH−は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−等で置換されていてもよい。中でも、基Yは、炭素数が1以上4以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルコキシ基であることがより好ましい。
基Yは、極性基を含んでいてもよい。該極性基としては、チオール基(−SH)、カルボキシ基(−COOH)及びアミノ基(−NH)からなる群より選択される少なくとも1種の基が挙げられる。ただし、上述のとおり、ポリアルキレングリコール構造を含み、上記第1官能基及び第2官能基を有する化合物は、化合物(H−1)に属するものとする。該極性基は、好ましくは基Yの末端に配置される。
基Zは2価又は3価の基である。基Zとしては特に制限されず、ヘテロ原子(N、O、S、ハロゲン原子等)を含んでいてもよい2価又は3価の炭化水素基を挙げることができる。該炭化水素基の炭素数は、例えば1以上24以下である。該炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよい。
2価の基である基Zとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上24以下のアルキレン基;直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上24以下のアルケニレン基等が挙げられる。該アルキル基及びアルケニレン基の炭素数は、好ましくは1以上12以下であり、より好ましくは1以上8以下であり、さらに好ましくは1以上4以下である。該アルキル基及びアルケニレン基に含まれる−CH−は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−等で置換されていてもよい。3価の基である基Zの例としては、上記2価の基である基Zから水素原子を1つ取り除いた基を挙げることができる。
基Zは、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有する基Zは、上記式(H−2a)に示されるポリアルキレングリコール構造を含む分岐鎖とは別の分岐鎖において、上記式(H−2a)に示されるポリアルキレングリコール構造とは別のポリアルキレングリコール構造を有していてもよい。
中でも、基Zは、炭素数が1以上6以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
はアルキレン基であり、炭素数が1以上6以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
式(H−2a)中のnは2以上の整数であり、好ましくは2以上540以下であり、より好ましくは2以上120以下であり、さらに好ましくは2以上60以下である。
化合物(H−2)の分子量は、例えば150以上10000以下程度であり得るが、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から、150以上5000以下であることが好ましく、150以上4000以下であることがより好ましい。
上記分子量は、数平均分子量であってもよいし重量平均分子量であってもよい。この場合、数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ、GPCにより測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量である。
硬化性組成物中の量子ドット(A)に対する化合物(H−2)の含有量比は、質量比で、好ましくは0.001以上2以下であり、より好ましくは0.01以上1.5以下であり、さらに好ましくは0.1以上1以下である。該含有量比がこの範囲にあると、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から有利となり得る。
硬化性組成物が化合物(H−1)及び化合物(H−2)を含む場合、量子ドット(A)に対する配位能を有する化合物(H−3)をさらに含むことができる。化合物(H−3)としては、化合物(H−1)及び化合物(H−2)以外の有機酸、有機アミン化合物、チオール化合物等が挙げられる。なお、化合物(H−3)に、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、光重合開始助剤(D1)、酸化防止剤(E)、レベリング剤(F)、有機溶剤(G)及び光散乱剤(I)は含まれない。
硬化性樹脂組成物が(H−1)、(H−2)及び(H−3)を含む場合、量子ドット(A)の含有量に対する化合物(H−2)及び化合物(H−3)の合計含有量の比は、質量比で、好ましくは0.001以上2以下であり、より好ましくは0.01以上1.5以下であり、さらに好ましくは0.1以上1以下である。該含有量比がこの範囲にあると、硬化膜の発光量及び耐熱性を高める観点から有利となり得る。
硬化性組成物が化合物(H−1)及び化合物(H−2)を含む場合、硬化性組成物中の化合物(H−1)に対する化合物(H−2)の含有量比は、質量比で、好ましくは1以上50以下であり、より好ましくは5以上40以下であり、さらに好ましくは10以上25以下である。該含有量比がこの範囲にあると、硬化膜の発光量及び耐熱性を高める観点から有利となり得る。
化合物(H−1)の分子量は、化合物(H−2)の分子量よりも小さいことが好ましい。硬化性樹脂組成物が化合物(H−3)をさらに含む場合、化合物(H−1)の分子量は、化合物(H−2)及び化合物(H−3)の少なくとも一方よりも分子量が小さいことが好ましい。このような分子量の関係を充足することは、硬化膜の発光量及び耐熱性を高める観点から有利となり得る。
硬化性組成物における化合物(H−2)の含有率は、硬化膜の発光量及び耐熱性を高める観点から、硬化性組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上15質量%以下であり、なおさらに好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
〔3〕樹脂(B)
樹脂(B)は、テトラヒドロピラン環を含む構成単位を主鎖中に含む重合体(Ba)を含有する。テトラヒドロピラン環を含む構成単位を主鎖中に含む重合体(Ba)を樹脂(B)が含有することにより、硬化膜において優れた発光量及び耐熱性が得られることとなる。テトラヒドロピラン環を含む構成単位は、下記一般式(I):
Figure 2021175793

[式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜25の炭化水素基を表す。この炭化水素基は置換基を有していてもよい。]
で表される構成単位であってよい。重合体(Ba)中の一般式(I)で表される構成単位の含有量は、例えば、重合体(Ba)全量を基準に0.5質量%以上50質量%以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは1質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。
及びRにおける炭素数1〜25の炭化水素基としては、例えば、特開2013−61599号公報〔0037〕に例示された、直鎖状又は分岐状のアルキル基;アリール基;脂環式基;アルコキシで置換されたアルキル基;アリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。R及びRとしては、デバイスの発光量及び耐熱性の観点から、酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素の炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が例示される。
重合体(Ba)は、一般式(I)で表される構成単位に加えて、下記一般式(II)で表される構成単位と、下記一般式(III)で表される構成単位とをさらに含むことができる。
Figure 2021175793

[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。]
Figure 2021175793

[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐鎖状又は環状炭化水素基を表す。この炭化水素基は置換基を有していてもよい。]
は、好ましくはメチル基である。Rは、好ましくはメチル基である。Rは、好ましくは炭素数1〜16の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐鎖状又は環状炭化水素基、より好ましくは炭素数1〜10の飽和の直鎖状又は環状炭化水素基、特に好ましくはメチル基又はシクロヘキシル基である。Rにおける炭化水素基は置換基を有していてもよいが、好ましくは置換基を有しない。置換基としては、例えば水酸基等が挙げられる。Rにおける炭化水素基は、エーテル基を有していてもよい。
重合体(Ba)は、後述する酸基と結合し得る官能基と重合性二重結合とを有する化合物(以下、化合物(X)ともいう)に由来する構成単位をさらに含有していてもよい。重合体(Ba)が化合物(X)に由来する構成単位をさらに含有する場合、重合体(Ba)は、後述のカルボン酸無水物に由来する構成単位をさらに含有することができる。
重合体(Ba)が一般式(II)で表される構成単位を含む場合、一般式(II)で表される構成単位の含有量は、例えば、重合体(Ba)全量を基準に0.5質量%以上50質量%以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは2質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上45質量%以下である。
重合体(Ba)が一般式(III)で表される構成単位を含む場合、一般式(III)で表される構成単位の含有量は、例えば、重合体(Ba)全量を基準に10質量%以上90質量%以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上75質量%以下である。
重合体(Ba)は、好ましくは一般式(I)〜(III)で表される構成単位を主鎖中に含む重合体であり、より好ましくは主鎖が一般式(I)〜(III)で表される構成単位から構成される重合体である。
重合体(Ba)が、一般式(II)で表される構成単位と一般式(III)で表される構成単位とをさらに含む場合、重合体(Ba)は、重合体全量を基準に一般式(I)で表される構成単位を0.5質量%以上50質量%以下、一般式(II)で表される構成単位を9.5質量%以上40質量%以下、及び一般式(III)で表される構成単位を10質量%以上90質量%以下含むことができる。
重合体(Ba)の重量平均分子量は、例えば1000以上20万以下であってよい。重合体(Ba)の重量平均分子量は、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは3000以上であり、より好ましくは4000以上であり、更に好ましくは5000以上であり、一層好ましくは6000以上である。また、重合体(Ba)の重量平均分子量は、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは3万以下、より好ましくは2万以下、更に好ましくは1.5万以下、一層好ましくは1万以下である。本明細書中、重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法にて求めることができる。
重合体(Ba)は、二重結合当量が例えば200以上2000以下であってよい。重合体(Ba)は、側鎖に二重結合(すなわちエチレン性不飽和基)を含む重合体であって、その二重結合当量が200以上2000以下となるものであることができる。二重結合当量は、好ましくは300以上、より好ましくは400以上、更に好ましくは450以上、特に好ましくは490以上である。また、好ましくは1900以下である。なお、側鎖に二重結合を有さない重合体は、二重結合当量が存在しない。
二重結合当量は、分子中に含まれる二重結合量の尺度となるものであり、重合体の二重結合1個あたりの分子量を意味する。同じ分子量の化合物であれば、二重結合当量の数値が大きいほど二重結合の導入量が少なくなる。二重結合当量は、原料の仕込み量から計算することができ、重合体固形分の質量(g)を、重合体の二重結合量(mol)で除することにより求めることができる。また、滴定及び元素分析、NMR、IR等の各種分析や示差走査熱量計法を用いて測定することもできる。
重合体(Ba)は、酸価が例えば20mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であってよい。重合体(Ba)の酸価は、好ましくは40mgKOH/g以上、より好ましくは60mgKOH/g以上、さらに好ましくは80mgKOH/g以上である。また、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下、さらに好ましくは120mgKOH/g以下である。本明細書中、酸価は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
[重合体(Ba)の製造]
重合体(Ba)は、例えば、下記一般式(i)で表される単量体(a)と、酸基含有単量体(b)と、下記一般式(iii)で表される単量体(c)と、を含む単量体成分を重合させてなる重合体(ベースポリマーとも称す)に、酸基と結合し得る官能基と重合性二重結合とを有する化合物(X)を反応させて得ることが好ましい。各反応原料は、それぞれ1種又は2種以上使用することができる。
[単量体(a)]
単量体(a)は、下記一般式(i)で表される単量体である。式中の記号は、式(I)における各記号と同じである。単量体(a)を重合反応に用いると、重合時に当該単量体(a)が環化反応して、重合体の構成単位中に、テトラヒドロピラン環構造が形成されると推測される。
Figure 2021175793
一般式(i)中、R及びRは、上述の式(I)における定義および好ましい範囲が適用される。
上記単量体(a)としては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。
これらの中でも、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。着色の少なさや分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、より好ましくは、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートである。
上記単量体(a)の含有割合は、例えば、ベースポリマーを与える単量体成分の総量100質量%に対し、0.5質量%以上50質量%であってよく、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。
[単量体(b)]
単量体(b)は、酸基含有単量体である。酸基としては特に限定されず、例えばカルボキシル基又はカルボン酸無水物基であってよく、好ましくはカルボキシル基であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸基である。
上記単量体(b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基との間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;ライトエステルP−1M(共栄社化学製)等のリン酸基含有不飽和化合物;等が挙げられる。これらの中でも、汎用性、入手性等の観点から、カルボン酸系単量体(不飽和モノカルボン酸類、不飽和多価カルボン酸類、不飽和酸無水物類)が好適である。より好ましくは、反応性、アルカリ可溶性等の点で、不飽和モノカルボン酸類であり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸である。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
上記単量体(b)の含有割合は、酸価が上述した好ましい範囲内となるように設定することが好適である。例えば、ベースポリマーを与える単量体成分の総量100質量%に対し、0.5質量%以上50質量%以下であってよく、好ましくは2質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上45質量%以下である。
上記単量体(b)として(メタ)アクリル酸を使用した場合、得られる重合体(Ba)は、一般式(II)で表される構成単位を有する。
[単量体(c)]
単量体(c)は、下記一般式(iii)で表される単量体である。式中の記号は、上記一般式(III)中の各記号と同じである。単量体(c)に由来して、一般式(III)で表される構成単位が形成される。
Figure 2021175793
一般式(iii)中、R及びRは、上述の式(I)における定義および好ましい範囲が適用される。
上記単量体(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖状炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物;
イソプロピル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート等の分岐鎖状炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の環状炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物; アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の不飽和炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物;
2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート化合物;等が挙げられる。中でも、耐溶剤性向上の観点から、アルキル(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
上記単量体(c)の含有割合は、例えば、ベースポリマーを与える単量体成分の総量100質量%に対し、例えば10質量%以上90質量%以下であってよく、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上75質量%以下である。
[単量体(d)]
重合体(Ba)はまた、上述した単量体(a)、(b)及び/又は(c)と共重合可能なその他の単量体(単量体(d)とも称す)に由来する構成単位を1種又は2種以上含んでもよい。すなわち上記ベースポリマーを与える単量体成分は、単量体(d)を更に含んでもよい。
単量体(d)として、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレン又は置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン
等が挙げられる。中でも好ましくはスチレン、ビニルトルエン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンである。
上記単量体(d)の含有割合は特に限定されないが、例えば、ベースポリマーを与える単量体成分の総量100質量%に対し、50質量%以下であってよく、好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。また、単量体(d)の含有割合は例えば0質量%超であってよく、0.001質量%以上又は0.01質量%以上であってよい。
上記単量体成分を重合する方法としては、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の通常用いられる手法を用いることができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよい。中でも、溶液重合が、工業的に有利で、分子量等の構造調整も容易であるため好適である。また、上記単量体成分の重合機構は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の機構に基づいた重合方法を用いることができるが、ラジカル重合機構に基づく重合方法が、工業的にも有利であるため好ましい。重合反応の好ましい形態は、特開2016−29151号公報〔0062〕〜〔0072〕に記載の通りである。
上述したように重合体(Ba)は、上記ベースポリマーに、酸基と結合し得る官能基と重合性二重結合とを有する化合物(X)を反応させて得ることが好ましい。
上記化合物(X)が有する重合性二重結合としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられ、当該化合物としてこれらの1種又は2種以上を有するものが好適である。反応性の点で好ましくは(メタ)アクリロイル基である。また、酸基と結合し得る官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基等が挙げられ、当該化合物としてこれらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも好ましくは、エポキシ基(グリシジル基を含む)である。
上記化合物(X)としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。中でも好ましくはエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(単量体)である。特に、反応性が高く、かつ反応のコントロールがしやすいうえ、入手が容易で、ラジカル重合性二重結合だけでなく同時に水酸基も導入できる点から、より好ましくは(メタ)アクリル酸グリシジル及び/又は(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルである。
上記化合物(X)の付加量は、重合体(Ba)の二重結合当量が上述した範囲になる限り特に限定されないが、例えば、ベースポリマーを与える単量体成分の総量100質量部に対し、例えば2質量部以上60質量部以下であってよく、好ましくは10質量部以上55質量部以下、より好ましくは10質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上45質量部以下である。
上記ベースポリマー中の酸基(の一部)に化合物(X)を反応させる方法は、公知の付加方法等を採用すればよく特に限定されない。反応温度は、例えば60℃〜140℃が好ましい。また、トリエチルアミンやジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;塩化テトラエチルアンモニウム等のアンモニウム塩;臭化テトラフェニルホスホニウム等のホスホニウム塩、ジメチルホルムアミド等のアミド化合物;等の公知の触媒を使用することが好ましい。
重合体(Ba)は、上記ベースポリマーに化合物(X)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させることもできる。この場合、環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させることとなる。カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等が挙げられる。カルボン酸無水物の使用量は、単量体(b)の使用量1モルに対して、0.5〜1モルが好ましい。
樹脂(B)は、樹脂(Ba)以外の樹脂を含んでもよいが、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは樹脂(Ba)のみを含有する。樹脂(B)の含有量は、硬化性組成物の固形分100質量%中、例えば5質量%以上70質量%以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは10質量%以上65質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上60質量%以下である。
〔4〕重合性化合物(C)
重合性化合物(C)は、光照射等により重合開始剤(D)から発生する活性ラジカル等によって重合し得る化合物であれば、特に限定されず、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。重合性化合物(C)の重量平均分子量は、3000以下であることが好ましい。
中でも、重合性化合物(C)としては、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物の具体例は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
硬化性組成物は、1種又は2種以上の重合性化合物(C)を含有することができる。重合性化合物(C)の含有量は、樹脂(B)100質量部に対して例えば5質量部以上150質量部以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは10質量部以上100質量部以下、より好ましくは20質量部以上70質量部以下である。
〔5〕重合開始剤(D)
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始し得る化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤(D)としては、オキシム化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。重合開始剤(D)は、感度や、パターニング性等を考慮して、2種以上を併用してもよい。重合開始剤(D)は、感度及び所望の線幅を有するパターン形状を精密に作り込むうえで有利であることから、オキシム化合物を含むことが好ましい。
オキシム化合物は、下記式(d)で表される構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
Figure 2021175793
式(d)で表される部分構造を有するオキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、N−アセチルオキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニルスルファニルフェニル]プロパン−1−オン−2−イミン、N−アセチルオキシ−1−[4−(1−メチル−2−メトキシエトキシ)−2−メチルフェニル]−1−(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)メタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE01、同OXE02、同OXE03(以上、BASF社製)、N−1919、NCI−930、NCI−831(以上、ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。これらのO−アシルオキシム化合物は、リソグラフィ性能を向上させ得る点で有利である。
オキシム化合物としては、下記式(1)で表される第1分子構造を有するオキシム化合物を用いることもできる。以下、該オキシム化合物を「オキシム化合物(1)」ともいう。
Figure 2021175793
重合開始剤(D)としてオキシム化合物(1)を含むことは、硬化膜の発光強度(輝度)を高める観点から有利となり得る。このような効果を奏することができる一因は、オキシム化合物(1)が有する特有の分子構造に起因して、オキシム化合物(1)が光重合を開始させる際に必要となるオキシム化合物(1)の開裂(分解)前後でのオキシム化合物(1)の吸収波長が大きく変化することから、オキシム化合物(1)は光ラジカル重合開始能力が高いことにあると推定される。
式(1)中、Rは、R11、OR11、COR11、SR11、CONR1213又はCNを表す。
11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
11、R12又はR13で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR22Ra23、CONR2223、−NR22−OR23、−N(COR22)−OCOR23、−C(=N−OR21)−R22、−C(=N−OCOR21)−R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
11、R12、R13、R21、R22又はR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR24−、−NR24CO−、−NR24COO−、−OCONR24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよい。
24は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
11、R12、R13、R21、R22又はR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造以外の他の分子構造である第2分子構造との結合手を表す。
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル基等が挙げられる。
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数7〜30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α、α−ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数2〜20の複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、チアゾリジル基、イソチアゾリジル基、オキサゾリジル基、イソオキサゾリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリニル基等が挙げられ、好ましくは5〜7員複素環である。
式(1)中のR12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよいとは、R12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(1)中のRa12とRa13及びRa22とRa23が一緒になって形成し得る環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等が挙げられ、好ましくは5〜7員環である。
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22及びR23が置換基として有してもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
式(1)中のRは、好ましくはR11であり、より好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、なおさらに好ましくは1〜6のアルキル基である。
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造の一例は、下記式(2)で表される構造である。第2分子構造とは、オキシム化合物(1)が有する上記第1分子構造以外の他の分子構造部分を意味する。
式(2)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(2)で表される構造である場合、式(2)中の「−*」を有するベンゼン環と式(1)中の「−*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
Figure 2021175793
式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、R11、OR11、SR11、COR11、CONR1213、NR12COR11、OCOR11、COOR11、SCOR11、OCSR11、COSR11、CSOR11、CN又はハロゲン原子を表す。
が複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
が複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
11、R12及びR13は、上記と同じ意味を表す。
s及びtは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
Lは、硫黄原子、CR3132、CO又はNR33を表す。
31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。
31、R32又はR33で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよい。
は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は下記式(2−1)
Figure 2021175793

(式(2−1)中、Lは、−O−、−S−、−NR22−、−NR22CO−、−SO−、−CS−、−OCO−又は−COO−を表す。
22は、上記と同じ意味を表す。
は、炭素数1〜20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基、炭素数6〜30のアリール基からv個の水素原子を除いた基、炭素数7〜30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基又は炭素数2〜20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表す。
で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR22−、−NR22COO−、−OCONR22−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
4aは、OR41、SR41、CONR4243、NR42COR43、OCOR41、COOR41、SCOR41、OCSR41、COSR41、CSOR41、CN又はハロゲン原子を表す。
4aが複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
41、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表し、R41、R42及びR43で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、R42とR43は、一緒になって環を形成していてもよい。
vは1〜3の整数を表す。)
で表される基を表す。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
式(2)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、R31、R32及びR33、並びに上記式(2−1)中のR22、R41、R42及びR43で表される炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
式(2)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、並びに上記式(2−1)中のR22で表される炭素数2〜20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
式(2)中のR31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよいとは、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって接続する窒素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(2)中のR31、R32及びR33が隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のRa12とRa13及びRa22とRa23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
上記式(2−1)中のLは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表す。
炭素数1〜20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1,3−ジメチルプロピレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基、4−メチルブチレン基、2,4−ジメチルブチレン基、1,3−ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基等のアルキレン基が挙げられる。
炭素数6〜30のアリール基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、ジフェニルメタン−4,4’−ジイル基、2,2−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル基、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイル基、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイル基等のアリーレン基が挙げられる。
炭素数7〜30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、下記式(a)で表される基及び下記式(b)で表される基等が挙げられる。
Figure 2021175793

[式(a)及び(b)中、L及びLは、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、L及びLは、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。]
炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1,3−ジメチルプロピレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基、4−メチルブチレン基、2,4−ジメチルブチレン基、1,3−ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
炭素数2〜20の複素環基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,5−ピリミジンジイル基、2,5−チオフェンジイル基、3,4−テトラヒドロフランジイル基、2,5−テトラヒドロフランジイル基、2,5−フランジイル基、3,4−チアゾールジイル基、2,5−ベンゾフランジイル基、2,5−ベンゾチオフェンジイル基、N−メチルインドール−2,5−ジイル基、2,5−ベンゾチアゾールジイル基、2,5−ベンゾオキサゾールジイル基等の2価の複素環基が挙げられる。
式(2)中のR及びR、並びに上記式(2−1)中のR4aで表されるハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
溶剤(G)への溶解性、及び/又は、硬化性組成物の現像速度の観点から、式(2)で表される構造の好ましい例は、下記式(2a)で表される構造である。
Figure 2021175793

[式(2a)中、L’は、硫黄原子又はNR50を表し、R50は、直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を表し、R、R、R、s及びtは、前記と同じ意味を表す。]
上記と同様の観点から、式(2)で表される構造の他の好ましい例は、下記式(2b)で表される構造である。
Figure 2021175793

[式(2b)中、R44は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は下記式(2−2)
Figure 2021175793

(式(2−2)中、L11は、−O−又は*−OCO−を表し、*はL12との結合手を表し、L12は、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、該アルキレン基は、1〜3個の−O−により中断されていてもよく、R44aは、OR55又はCOOR55を表し、R55は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
で表される基を表す。]
44は、好ましくは、式(2−2)で表される基である。この場合、オキシム化合物(1)の溶剤(G)への溶解性及び硬化性組成物の現像速度の点で有利となる。
12で表されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である。
44aは、好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基であり、より好ましくはヒドロキシ基である。
式(2)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2011−132215号公報に記載の方法で製造することができる。
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造の他の一例は、下記式(3)で表される構造である。
式(3)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(3)で表される構造である場合、式(3)中の「−*」を有するベンゼン環と式(1)中の「−*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
Figure 2021175793
式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
で表される基の水素原子は、R21、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、−NR22−OR23、−N(COR22)−OCOR23、NR22COR21、OCOR21、COOR21、−C(=N−OR21)−R22、−C(=N−OCOR21)−R22、SCOR21、OCSR21、COSR21、CSOR21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
21、R22及びR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR24−、−NR24CO−、−NR24COO−、−OCONR24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよい。
24は、上記と同じ意味を表す。
21、R22及びR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R22とR23は一緒になって環を形成していてもよい。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR22Ra23、CONR2223、−NR22−OR23、−N(COR22)−OCOR23、−C(=N−OR21)−R22、−C(=N−OCOR21)−R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
とR、RとR及びRとRはそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
式(3)中のR、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数2〜20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
式(3)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(3)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のRa12とRa13及びRa22とRa23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
式(3)中のR、R、R及びRで表されるハロゲン原子、R、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
溶剤(G)への溶解性、及び/又は、硬化性組成物の現像速度の観点から、1つの好ましい形態において、Rは、下記式(3−1)で表される基である。
Figure 2021175793

[式(3−1)中、Zは、炭素数1〜20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基、炭素数6〜30のアリール基から1個の水素原子を除いた基、炭素数7〜30のアラルキル基から1個の水素原子を除いた基又は炭素数2〜20の複素環基から1個の水素原子を除いた基を表し、
Zで表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR24−、−NR24COO−、−OCONR24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、
21、R22及びR24は、前記と同じ意味を表す。]
式(3−1)中のZは、上記と同様の観点から、好ましくは、メチレン基、エチレン又はフェニレン基である。
式(3−1)中のR21及びR22は、上記と同様の観点から、好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基又はフェニル基である。
上記と同様の観点から、他の1つの好ましい形態において、Rは、ニトロ基である。
式(3)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2000−80068号公報及び特開2011−178776号公報に記載の方法で製造することができる。
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(4)で表される構造である。
式(4)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(4)で表される構造である場合、式(4)中の「−*」を有するベンゼン環と式(1)中の「−*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
Figure 2021175793
式(4)中、R71は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
71で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
71で表される基の水素原子は、R21、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、−NR22−OR23、−N(COR22)−OCOR23、NR22COR21、OCOR21、COOR21、−C(=N−OR21)−R22、−C(=N−OCOR21)−R22、SCOR21、OCSR21、COSR21、CSOR21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、前記と同じ意味を表す。
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
21、R22及びR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR24−、−NR24CO−、−NR24COO−、−OCONR24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよい。
24は、上記と同じ意味を表す。
21、R22及びR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R22とR23は一緒になって環を形成していてもよい。
72、R73及び3個のR74は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR22Ra23、CONR2223、−NR22−OR23、−N(COR22)−OCOR23、−C(=N−OR21)−R22、−C(=N−OCOR21)−R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
72とR73及び2個のR74はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
式(4)中のR71、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数2〜20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
式(4)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(4)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のRa12とRa13及びRa22とRa23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
式(4)中のR72、R73及びR74で表されるハロゲン原子、R71、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
式(4)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(5)で表される構造である。
式(5)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(5)で表される構造である場合、式(5)中の「−*」を有するピロール環と式(1)中の「−*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
Figure 2021175793
式(5)中、R81は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
81で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
81で表される基の水素原子は、R21、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、−NR22−OR23、−N(COR22)−OCOR23、NR22COR21、OCOR21、COOR21、−C(=N−OR21)−R22、−C(=N−OCOR21)−R22、SCOR21、OCSR21、COSR21、CSOR21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
21、R22及びR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NR24−、−NR24CO−、−NR24COO−、−OCONR24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよい。
24は、上記と同じ意味を表す。
21、R22及びR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R22とR23は一緒になって環を形成していてもよい。
82、R83、R84、R85及びR86は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR22Ra23、CONR2223、−NR22−OR23、−N(COR22)−OCOR23、−C(=N−OR21)−R22、−C(=N−OCOR21)−R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
83とR84、R84とR85及びR85とR86はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
式(5)中のR81、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数2〜20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
式(5)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(5)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のRa12とRa13及びRa22とRa23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
式(5)中のR82、R83、R84、R85及びR86で表されるハロゲン原子、R81、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
式(5)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(6)で表される構造である。
式(6)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(6)で表される構造である場合、式(6)中の「−*」を有するベンゼン環と式(1)中の「−*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
Figure 2021175793
式(6)中、4個のR91、R92、R93、R94、R95、R96及びR97は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表す。
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR22Ra23、CONR2223、−NR22−OR23、−N(COR22)−OCOR23、−C(=N−OR21)−R22、−C(=N−OCOR21)−R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
92とR93、R94とR95、R95とR96及びR96とR97はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
式(6)中のR21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数2〜20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22及びR23についての例と同様である。
式(6)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(6)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のRa12とRa13及びRa22とRa23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
式(6)中のR91、R92、R93、R94、R95、R96及びR97で表されるハロゲン原子、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
式(6)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
アルキルフェノン化合物は、下記式(d4)で表される部分構造又は下記式(d5)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
Figure 2021175793
式(d4)で表される構造を有する化合物としては、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)369、同907、同379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
式(d5)で表される構造を有する化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d4)で表される構造を有する化合物が好ましい。
ビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’,5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物又はこれらの混合物が好ましい。
Figure 2021175793
トリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
重合開始剤(D)としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O−アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O−アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、例えば0.1質量部以上30質量部以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは1質量部以上25質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
〔6〕重合開始助剤(D1)
硬化性組成物は、重合開始助剤(D1)を含むことができる。重合開始助剤(D1)は、重合開始剤(D)によって重合が開始された重合性化合物(C)の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。中でも、チオキサントン化合物が好ましい。重合開始助剤(D1)は、2種以上を併用してもよい。
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
重合開始助剤(D1)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、例えば0.1質量部以上30質量部以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
〔7〕酸化防止剤(E)
硬化性組成物は、酸化防止剤(E)を含有することができる。酸化防止剤(E)としては、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤(E)は、2種以上を併用してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、イルガノックス(登録商標)1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、同1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF(株)製)、同1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、BASF(株)製)、同3114(Irganox 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、BASF(株)製)、同3790(Irganox 3790:1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、BASF(株)製)、同1035(Irganox 1035:チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、同1135(Irganox 1135:ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル、BASF(株)製)、同1520L(Irganox 1520L:4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、BASF(株)製)、同3125(Irganox 3125、BASF(株)製)、同565(Irganox 565:2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ3’、5’−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、BASF(株)製)、アデカスタブ(登録商標)AO−80(アデカスタブ AO−80:3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、(株)ADEKA製)、スミライザー(登録商標)BHT、同GA−80、同GS(以上、住友化学(株)製)、サイアノックス(登録商標)1790(Cyanox 1790、(株)サイテック製)及びビタミンE(エーザイ(株)製)等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、イルガフォス(登録商標)168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、BASF(株)製)、同12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、BASF(株)製)、同38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、BASF(株)製)、アデカスタブ(登録商標)329K、同PEP36、同PEP−8(以上、(株)ADEKA製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント社製)、Weston(登録商標)618、同619G(以上、GE社製)、Ultranox626(GE社製)及びスミライザー(登録商標)GP(6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン)(住友化学(株)製)等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル又はジステアリール等のジアルキルチオジプロピオネート化合物及びテトラキス[メチレン(3−ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物等が挙げられる。
酸化防止剤(E)の含有量は、樹脂(B)100質量部に対して、例えば0.1質量部以上30質量部以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
〔8〕レベリング剤(F)
硬化性組成物は、1種又は2種以上のレベリング剤(F)を含むことができる。レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同F575、同R30、同RS−718−K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
レベリング剤(F)の含有量は、硬化性組成物全量を基準に、例えば0.001質量%以上1.0質量%以下であってよく、好ましくは0.005質量%以上0.75質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下である。レベリング剤(F)の含有率が上記範囲内にあると、硬化膜の平坦性をより良好にすることができる。
〔9〕有機溶剤(G)
硬化性組成物は有機溶剤(G)を含む。有機溶剤(G)は、1種又は2種以上の有機溶剤(G1)を含むことができる。有機溶剤(G1)としては、エステル溶剤(−C(=O)−O−を含む溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(−O−を含む溶剤)、エーテルエステル溶剤(−C(=O)−O−と−O−とを含む溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(−C(=O)−を含む溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤及びジメチルスルホキシド等が挙げられる。
有機溶剤(G1)は、シクロアルキル環に含まれる少なくとも1つのメチレン基が−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、及び−NH−等から選択される基で置換されていること以外は有機溶剤(G1)と同じ構造を有する化合物であってもよい。
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル及びγ−ブチロラクトン等が挙げられる。
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソール等が挙げられる。
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等が挙げられる。アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
有機溶剤(G1)は、硬化性組成物の塗布性、乾燥性の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール及び3−エトキシプロピオン酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
有機溶剤(G)は、有機溶剤(G1)以外の有機溶剤である有機溶剤(G2)を含むことができる。有機溶剤(G2)は、シクロアルカン環と、エーテル基(−O−)、エステル基(−C(=O)−O−、−O−C(=O)−)及びカルボニル基(−C(=O)−)からなる群より選択される少なくとも1つの基とを有する有機化合物である有機溶剤であることができる。有機溶剤(G)が有機溶剤(G2)を含むことにより、表面粗さが小さく、これにより色ムラが低減された波長変換膜等の硬化膜を形成することができる。このような有機溶剤(G2)は、樹脂(B)及び量子ドット(A)のいずれに対しても親和性を有しやすいので、調液工程や製膜工程において、樹脂(B)及び量子ドット(A)の凝集を防止できるものと考えられる。硬化性組成物は、1種又は2種以上の有機溶剤(G2)を含むことができる。
有機溶剤(G2)は、例えば、下記式(G−1)で示される化合物であることが好ましい。
Figure 2021175793
上記式(G−1)において、
環Tは、k員環のシクロアルカン環を表す。
kは、3〜12の整数を表す。
及びXは、それぞれ独立に、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−又は−C(=O)−を表す。
は、炭素数1〜12のアルカンジイル基又は炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。
は、単結合、炭素数1〜12のアルカンジイル基又は炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基を表す。
mは、1〜6の整数を表す。
nは、0〜5の整数を表す。
pは、0〜5の整数を表す。
ただし、m+pはk以下である。
シクロアルカン環Tを構成する炭素数を表すkは、好ましくは4〜6の整数である。具体的には、シクロアルカン環Tは、好ましくはシクロブタン環、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環である。
は、好ましくは炭素数1〜6のアルカンジイル基又は炭素数3〜6のシクロアルカンジイル基を表し、より好ましくは炭素数1〜3のアルカンジイル基又は炭素数4〜6のシクロアルカンジイル基を表す。アルカンジイル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
炭素数1〜6のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
炭素数3〜6のシクロアルカンジイル基としては、シクロプロパン−1,3−ジイル基、シクロブタン−2,2−ジイル基、シクロペンタン−1,5−ジイル基、シクロヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
及びAにおける炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の1価の脂肪族炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基及びこれらを組み合わせた基が挙げられる。
直鎖状又は分岐状の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基等のアルキル基等が挙げられる。
1価の脂環式炭化水素基は、単環式又は多環式のいずれでもよい。単環式の1価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の1価の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基及びノルボルニル基等が挙げられる。
1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
1価の脂肪族炭化水素基と1価の脂環式炭化水素基とを組み合わせた基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基等が挙げられる。
炭素数1〜12の1価の炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
は、好ましくは単結合、炭素数1〜6のアルカンジイル基又は炭素数3〜6のシクロアルカンジイル基を表し、より好ましくは単結合、炭素数1〜3のアルカンジイル基又は炭素数4〜6のシクロアルカンジイル基を表す。アルカンジイル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。炭素数1〜6のアルカンジイル基及び炭素数3〜6のシクロアルカンジイル基の具体例は、Aについて例示した具体例と同様である。
〜Aに含まれる炭素数の合計は、通常1〜24であり、好ましくは1〜12である。
mは、好ましくは1〜3の整数を表し、より好ましくは1〜2の整数を表す。nは、好ましくは0〜3の整数を表し、より好ましくは0〜1の整数を表す。pは、好ましくは0〜3の整数を表す。
有機溶剤(G2)は、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−及び−C(=O)−からなる群より選択される同じ基を2以上有していてもよく、上記群より選択される互いに異なる基を2以上有していてもよい。
有機溶剤(G2)としては、エステル溶剤(シクロアルキル環及び−C(=O)−O−を含む溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(シクロアルカン環と−O−とを含む溶剤)、エーテルエステル溶剤(シクロアルカン環と、−O−C(=O)−及び/又は−C(=O)−O−と、−O−とを含む溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(シクロアルカン環と、−C(=O)−とを含む溶剤)等が挙げられる。
エステル溶剤としては、酢酸シクロヘキシル、酢酸2−メチルシクロヘキシル、プロピオン酸シクロヘキシル、酢酸cis−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、酢酸4−tert−ブチルシクロヘキシル、酪酸シクロヘキシル、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル、シクロヘキシル酢酸エチル等が挙げられる。
エーテル溶剤としては、メトキシシクロヘキサン、エトキシシクロヘキサン、プロポキシシクロヘキサン、1−メトキシ−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ジイソプロポキシシクロヘキサン等が挙げられる。
エーテルエステル溶剤としては、2−エトキシシクロヘキサンカルボン酸エチル等が挙げられる。
ケトン溶剤としては、ジシクロヘキシルケトン、3−シクロヘキシル−3−オキソプロピオン酸エチル、シクロへキシルフェニルケトン等が挙げられる。
中でも、有機溶剤(G2)は、酢酸cis−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、酢酸4−tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸シクロヘキシル、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル、1−メトキシ−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ジイソプロポキシシクロヘキサン、ジシクロヘキシルケトン、3−シクロヘキシル−3−オキソプロピオン酸エチル及びシクロへキシルフェニルケトンからなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含むことが好ましく、酢酸シクロヘキシル及びシクロヘキサンカルボン酸イソプロピルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
有機溶剤(G)は、有機溶剤(G1)のみを含んでいてもよいし、有機溶剤(G2)のみを含んでいてもよいし、有機溶剤(G1)と有機溶剤(G2)とを含んでいてもよい。有機溶剤(G)が有機溶剤(G1)と有機溶剤(G2)とを含む場合、有機溶剤(G2)の含有量は、有機溶剤(G)100質量%中、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上である。
有機溶剤(G)は、固形分以外の成分であり、例えば量子ドット(A)や樹脂(B)等に含まれる溶剤をも含む成分である。有機溶剤(G)の含有量は、硬化性組成物100質量%中、例えば40質量%以上95質量%以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは50質量%以上90質量%以下である。言い換えると、硬化性組成物の固形分は、例えば5質量%以上60質量%以下であってよく、好ましくは10質量%以上50質量%以下である。
〔10〕光散乱剤(I)
光散乱剤(I)としては、金属又は金属酸化物の粒子、ガラス粒子等を挙げることができる。金属酸化物としては、TiO、SiO、BaTiO、ZnO等を挙げることができる。光散乱剤(I)の粒子径は、例えば0.03μm以上20μm以下程度であり、好ましくは0.05μm以上1μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上300μm以下である。
光散乱剤(I)の含有量は、固形分の総量に対し、例えば0.001質量%以上50質量%以下であってよく、発光量及び耐熱性の観点から好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは3質量%以上20質量%以下である。硬化性組成物が有機溶剤を含む場合、光散乱剤(I)は、分散剤(J)を用いて有機溶剤(G)の一部に予め分散させたものを用いることができる。分散剤(J)としては例えば、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。その他の分散剤としては、塩基性官能基を有する高分子分散剤、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などを含むことができる。
〔11〕その他の成分
硬化性組成物には、必要に応じて、充填剤、樹脂(Ba)以外の高分子化合物、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、有機酸、有機アミン化合物、チオール化合物、硬化剤等の添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
充填剤としては、ガラス、シリカ、アルミナ等が挙げられる。樹脂(B)以外の高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル及びポリフロロアルキルアクリレート等が挙げられる。
密着促進剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系化合物;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等のトリアジン系化合物;等が挙げられる。凝集防止剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
硬化剤としては、加熱されることによって樹脂(B)中のカルボキシ基と反応して樹脂(B)を架橋することができる化合物、単独で重合して硬化し得る化合物等が挙げられ、エポキシ化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。
<硬化性組成物の調製方法>
硬化性組成物は、量子ドット(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)及び有機溶剤(G)、並びに必要に応じて使用される他の成分を混合することにより調製することができる。
量子ドット(A)としての配位子含有半導体粒子は、例えば、有機配位子が配位している半導体粒子を用意又は調製し、次いで、上記半導体粒子に対する有機配位子の配位量を低減させる配位子低減処理を施したものであってもよい。配位子低減処理は、例えば、半導体粒子に配位している有機配位子を適切な溶剤に抽出させる処理であることができる。
<波長変換膜>
硬化性組成物からなる膜(層)を硬化させることによって硬化膜を得ることができる。硬化膜を得る際、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等の方法によってパターニングすることによりパターニングされた硬化膜を得ることができる。硬化膜又はパターニングされた硬化膜は、入射する光の波長とは異なる波長の光を出射する波長変換膜(波長変換フィルタ)として好適に用いることができる。パターニング方法は、フォトリソグラフィ法であることが好ましい。フォトリソグラフィ法は、硬化性組成物を基板に塗布し、乾燥させて硬化性組成物層を形成し、フォトマスクを介して該硬化性組成物層を露光して、現像する方法である。波長変換とは、例えばバックライト(光源)として440nm〜470nmに極大発光波長を有する青色LEDを用いたときに、青色LEDからの青色光を、525nm〜550nmに極大発光波長を有する緑色光に変換するか、及び/または610〜660nmに極大発光波長を有する赤色光に変換することをいう。
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、上記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したもの等を用いることができる。
フォトリソグラフィ法によるパターニングされた硬化膜の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができ、例えば次のようにして形成することができる。まず、硬化性組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、硬化性組成物層を得る。塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。加熱時間は、10秒間以上10分間以下であることが好ましく、30秒間以上5分間以下であることがより好ましい。減圧乾燥を行う場合は、50Pa以上150Pa以下の圧力下、20℃以上25℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。硬化性組成物層の膜厚は、特に限定されず、所望の波長変換膜等の硬化膜の膜厚に応じて適宜選択することができる。
次に、硬化性組成物層は、所望のパターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。露光に用いられる光源としては、250nm以上450nm以下の波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。光源としては、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光には、露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと硬化性組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
露光後の硬化性組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に硬化性組成物層のパターンが形成される。現像により、硬化性組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液は、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液であることが好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。現像液は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。現像方法としては、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等が挙げられる。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。現像後は、水洗することが好ましい。
さらに、得られた硬化性組成物層のパターンは、ポストベークされることが好ましい。ポストベーク温度は、60℃以上250℃以下であることが好ましく、110℃以上240℃以下であることがより好ましい。ポストベーク時間は、1分間以上120分間以下であることが好ましく、10分間以上60分間以下であることがより好ましい。ポストベーク後の硬化膜の膜厚は、例えば1μm以上10μm以下であり、好ましくは3μm以上10μm以下である。
<発光装置及び画像表示装置>
本発明の発光装置は、バックライト(光源)と波長変換膜として上記硬化膜とを少なくとも備える。発光装置は、カラーフィルターと、波長変換膜と、バックライトとをこの順に含むことができる。発光装置は、画像表示装置に用いることができる。画像表示装置は、液晶表示装置、有機EL装置等の画像表示装置であることができる。
カラーフィルターは、特定波長の範囲の光を透過し、それ以外の波長範囲の光を吸収する波長選択性を有する光吸収層であることができる。カラーフィルターは通常、染料、顔料等の着色剤を含む層であり、上記硬化膜上に配置することができる。カラーフィルタは従来公知のものを用いることができる。
画像表示装置は、特に制限されないが、例えば光反射部材(反射フィルム等)、拡散フィルム、輝度強化部、プリズムシート、導光板、要素間の媒体材料層等の層をさらに含んでいてもよい。
光反射部材は、光源の光を波長変換膜に向けて反射させるための部材であり、反射鏡、反射粒子のフィルム、反射金属フィルム、又は反射体等であってよい。拡散フィルムは、光源の光又は波長変換膜から発した光を拡散させるためのフィルムであり、増幅拡散フィルム等であってよい。輝度強化部は、光の一部分を、光が伝送された方向に向かって反射して戻すための部材である。
プリズムシートは、代表的には、基材部とプリズム部とを有する。なお、基材部は、隣接する部材に応じて省略してもよい。プリズムシートは、任意の適切な接着層(例えば、接着剤層、粘着剤層)を介して隣接する部材に貼り合わせることができる。プリズムシートは、視認側とは反対側(背面側)に凸となる複数の単位プリズムが並列されて構成されている。プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置することにより、プリズムシートを透過する光が集光されやすくなる。また、プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置すれば、凸部を視認側に向けて配置する場合と比較して、プリズムシートに入射せずに反射する光が少なく、輝度の高い画像表示装置を得ることができる。
導光板としては、任意の適切な導光板が用いられる。例えば、横方向からの光を厚さ方向に偏向可能となるよう、背面側にレンズパターンが形成された導光板、背面側及び/又は視認側にプリズム形状等が形成された導光板が用いられる。
画像表示装置は、隣接する要素(層)間の光路上に1以上の媒体材料からなる層を含んでいてもよい。1以上の媒体材料としては、例えば真空、空気、ガス、光学材料、接着剤、光学接着剤、ガラス、ポリマー、固体、液体、ゲル、硬化材料、光学結合材料、屈折率整合又は屈折率不整合材料、屈折率勾配材料、クラッディング又は抗クラッディング材料、スペーサー、シリカゲル、輝度強化材料、散乱又は拡散材料、反射又は抗反射材料、波長選択性材料、波長選択性抗反射材料又は当該技術分野で既知の他の好適な媒体が含まれるが、これらに限定されず、任意の好適な材料が含まれてもよい。
画像表示装置の具体例としては、例えば、ELディスプレイや液晶ディスプレイ用の波長変換材料を備えたものが挙げられる。具体的には、波長変換膜としての上記硬化膜を導光板の端面(側面)に沿うように、青色光源(A)と導光板の間に配置し、白色光を放出するバックライト(オンエッジ方式のバックライト)とし、導光板側にカラーフィルターを配置した画像表示装置;波長変換膜としての上記硬化膜を導光板の上に設置して、導光板の端面(側面)に置かれた青色光源から導光板を通して波長変換膜に照射される光を白色光として放出するバックライト(表面実装方式のバックライト)とし、波長変換膜上にカラーフィルターを配置した表示装置;上記硬化膜を青色光源の発光部近傍に設置して波長変換膜とし、照射される光を白色光として放出するバックライト(オンチップ方式のバックライト)とし、波長変換膜上にカラーフィルターを配置した表示装置等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記のない限り、質量%及び質量部である。
〔発光量の評価〕
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、硬化性組成物(X)を、スピンコート法で膜厚が10μmになるように塗布した後、100℃で3分間プリベークして硬化性組成物層を形成した。この硬化性組成物層が形成された基板に対して、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、500mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射し、現像後、230℃で20分間ポストベークを行うことにより硬化膜を有する基板を得た。
445nmに最大ピーク波長を有する青色発光ダイオードを並べた基板上に、光拡散板を設置し、設置した光拡散板上に上述の硬化膜を有する基板を設置した。
硬化膜を有する基板から放出される光について、光ファイバーを備えた電子冷却裏面入射型高S/Nファイバマルチチャンネル分光器 QE65Pro(オーシャンオプティクス株式会社製)を用いてスペクトル測定した後、495nm〜780nmの積分強度を算出し、発光量を求めた。
〔耐熱性の評価〕
上述の発光量の評価において作製した硬化膜を有する基板を1cm角に切り出し、耐熱性評価用サンプルを得た。耐熱性評価用サンプルについて絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス製、商品名C9920−02、励起光450nm、室温、大気下)を用いて変換効率(QY1)を測定した。次に、この変換効率(QY1)を測定した耐熱性評価用サンプルを230℃で20分加熱し、冷却後、同様に変換効率(QY2)を測定した。
耐熱性(%)を下記式に従い、算出した。
(耐熱性)=QY2/QY1×100
以下の基準により判定を行った。
○:95%以上
△:90%以上95%未満
×:90%未満
〔重量平均分子量〕
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置 ;HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSKgel SuperHZM−M
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001〜0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500
(東ソー(株)製)
〔酸価〕
樹脂溶液3gを精秤し、アセトン90gと水10gとの混合溶媒に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、商品名:COM−555)により、重合体溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と溶液の固形分とから固形分1g当たりの酸価(AV)を求めた。
〔固形分〕
重合体溶液をアルミカップに約1gはかり取り、アセトン約3gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。そして、さらに真空乾燥機(東京理化器械社製、商品名:VOS−301SD型)を用い、5時間減圧乾燥(160℃/5mmHg)した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定した。その質量減少量から、重合体溶液の固形分(質量%)を計算した。
〔二重結合当量〕
重合体溶液の固形分量(g)を、化合物(X)(下記合成例ではメタクリル酸グリシジル)の量(mol)で除することで、二重結合当量を算出した。
〔ガラス転移温度(Tg)〕
共重合体溶液をガラス基板に塗布し、室温、減圧下にて4時間乾燥することにより揮発成分を除去して得られた固形分について、DSC(示差走査熱量計;BRUKER AXS社製、商品名:DSC3100S)を用いて窒素気流下で測定した。
〔合成例1〕樹脂B1
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート(以下「MD」と称する)10質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(以下「CHMA」と称する)5質量部、メタクリル酸メチル(以下「MMA」と称する)79質量部、メタクリル酸(以下「MAA」と称する)6質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーブチルO」、日本油脂製;以下「PBO」と称する)3質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と称する)40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール(以下「n−DM」と称する)6.0質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA128質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃とし、3時間110℃を維持した。その後、PGMEA17部を加えて室温まで冷却し、濃度が44%の樹脂B1溶液を得た。重合体成分の重量平均分子量は6000、酸価は38mgKOH/gであった。
〔合成例2〕樹脂B2
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、MD5質量部、CHMA5質量部、MMA84質量部、MAA6質量部、PBO3質量部、PGMEA40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−DM6.4質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA128質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃とし、3時間110℃を維持した。その後、PGMEA22部を加えて室温まで冷却し、濃度が43%の樹脂B2溶液を得た。重合体成分の重量平均分子量は5700、酸価は37mgKOH/gであった。
〔合成例3〕樹脂B3
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、MD10質量部、CHMA25質量部、MMA49質量部、MAA16質量部、PBO3質量部、PGMEA40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−DM4.7質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。反応槽にPGMEA128質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃とし、3時間110℃を維持した。その後、PGMEA22部を加えて室温まで冷却し、濃度が43%の樹脂B3溶液を得た。重合体成分の重量平均分子量は7800、酸価は100mgKOH/gであった。
〔合成例4〕樹脂B4
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、MD15質量部、CHMA47質量部、MMA3質量部、MAA35質量部、PBO3質量部、PGMEA40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−DM8.6質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA128質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃とし、3時間110℃を維持した。一旦室温まで内温を冷却した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル(以下「GMA」と称する)24.8部、6−t−ブチル−2,4−キシレノール 0.10部、トリエチルアミン(以下「TEA」と称する)0.4部を仕込み、そのまま110℃で12時間反応させた。その後、PGMEA97部を加えて室温まで冷却し、濃度が40%の樹脂B4溶液を得た。重合体成分の重量平均分子量は5900、酸価は101mgKOH/g、重合体の二重結合当量は716g/molであった。
〔合成例5〕樹脂B5
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、MD15質量部、CHMA50質量部、MMA3質量部、MAA38質量部、PBO3質量部、PGMEA40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−DM6.1質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA128質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃とし、3時間110℃を維持した。一旦室温まで内温を冷却した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、GMA24.8部、6−t−ブチル−2,4−キシレノール 0.10部、TEA0.4部を仕込み、そのまま110℃で12時間反応させた。その後、PGMEA111部を加えて室温まで冷却し、濃度が40%の樹脂B5溶液を得た。重合体成分の重量平均分子量は8300、酸価は119mgKOH/g、重合体の二重結合当量は716g/molであった。
〔合成例6〕樹脂B6
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、MD15質量部、CHMA25質量部、MMA25質量部、MAA35質量部、PBO3質量部、PGMEA40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−DM6.5質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA128質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃とし、3時間110℃を維持した。一旦室温まで内温を冷却した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、GMA24.8部、6−t−ブチル−2,4−キシレノール 0.10部、TEA0.4部を仕込み、そのまま110℃で12時間反応させた。その後、PGMEA97部を加えて室温まで冷却し、濃度が40%の樹脂B6溶液を得た。重合体成分の重量平均分子量は7800、酸価は101mgKOH/g、重合体の二重結合当量は716g/molであった。
〔合成例7〕樹脂B7
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、MD15質量部、CHMA47質量部、MMA3質量部、MAA35質量部、PBO3質量部、PGMEA40質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−DM6.5質量部、PGMEA32質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA128質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃とし、3時間110℃を維持した。一旦室温まで内温を冷却した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、GMA24.8部、6−t−ブチル−2,4−キシレノール 0.10部、TEA0.4部を仕込み、そのまま110℃で12時間反応させた。その後、PGMEA97部を加えて室温まで冷却し、濃度が40%の樹脂B6溶液を得た。重合体成分の重量平均分子量は7800、酸価は101mgKOH/g、重合体の二重結合当量は716g/molであった。
樹脂B8:特開2015−028139号公報〔0191〕の記載に従い合成した。
Figure 2021175793
〔調製例1〕量子ドット分散液(Ah)の作製
有機配位子(H1)を含むInP/ZnSeS量子ドット(A1)のトルエン分散液(最大ピーク波長:625nm、半値全幅:44nm)を準備した。有機配位子(H1)はオレイン酸を用いた。
上記分散液を減圧蒸留で乾燥してトルエンを除去した後、量子ドット(A1)及び有機配位子(H1)の合計30部に対し、シクロヘキシルアセテート(G2)70部を添加し、表2の量子ドット分散液(Ah−1)を得た。
Figure 2021175793
表2中の量子ドット(A1)と有機配位子(H1)の比率は、トルエンを除去した後の混合物のTG−DTA測定により昇温速度5℃/minで550℃まで加熱した残量から算出した。
<実施例1〜7及び比較例1>
量子ドット分散液(Ah)に対し、表3の各成分を混合し、硬化性組成物(X1)〜(X7)をそれぞれ調製した。硬化性組成物(X1)〜(X7)について発光量評価及び耐熱性評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2021175793
光散乱剤(I1):酸化チタン粒子70部に分散剤(J1)を3質量部(固形分換算)、PGMEAを合計30質量部となるように混合し、ビーズミルを用いて、酸化チタン粒子を十分に分散させたものを使用した。
重合性化合物(C1): 多塩基酸変性アクリルオリゴマー(商品名:M−510:東亞合成(株)製)
重合開始剤(D1): イルガキュア(登録商標)OXE−02:BASF社製
酸化防止剤(E1): スミライザーGP:住友化学株式会社製
レベリング剤(F1): トーレシリコーンSH8400(東レ・ダウコーニング社製)
溶剤(G1): プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
分散剤(J1): DISPERBYK21116(ビックケミー・ジャパン製)
表3中、量子ドット(A)、樹脂(B)、有機配位子(H)、光散乱剤(I)の部数は固形分換算の値を示す。
Figure 2021175793

Claims (9)

  1. 量子ドット(A)と樹脂(B)とを含み、前記樹脂(B)は、テトラヒドロピラン環を含む構成単位を主鎖中に含む重合体を含有する、硬化性組成物。
  2. 前記テトラヒドロピラン環を含む構成単位は、下記一般式(I)で表される構成単位である、請求項1に記載の硬化性組成物。
    Figure 2021175793

    [式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜25の炭化水素基を表す。前記炭化水素基は置換基を有していてもよい。]
  3. 前記重合体は、下記一般式(II)で表される構成単位と、下記一般式(III)で表される構成単位とを主鎖中に更に含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
    Figure 2021175793

    [式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。]
    Figure 2021175793

    [式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状、分岐鎖状又は環状炭化水素基を表す。前記炭化水素基は置換基を有していてもよい。]
  4. 前記重合体は、酸基と結合し得る官能基と重合性二重結合とを有する化合物に由来する構成単位をさらに含有する、請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 前記樹脂(B)100質量部に対し、前記量子ドット(A)を5質量部以上200質量部以下含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 重合性化合物及び重合開始剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物を含む波長変換膜。
  8. カラーフィルターと、請求項7に記載の波長変換膜と、バックライトとをこの順に含む発光装置。
  9. 請求項8に記載の発光装置を含む画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023145712A1 (ja) * 2022-01-26 2023-08-03 花王株式会社 分散液、光吸収層、光電変換素子、及び太陽電池

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