JP2021174948A - 電磁波シールドシート、並びにプリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハンダリフロー耐性に優れ、且つ高周波領域において優れた伝送特性を有し、リワーク性に優れる電磁波シールドシート、並びにプリント配線板およびその製造方法を提供する。【解決手段】電磁波シールドシート10は、保護層3、金属層2、接着剤層1をこの順に備える積層体を有する。接着剤層1は、少なくとも一側面まで延在される連通空隙部4を複数有する。プリント配線板20は、絶縁性基材22上に信号配線23が形成された配線板25とこの配線板25上に形成された絶縁性のカバーコート層26と、電磁波シールドシート10を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波シールドシート、並びにプリント配線板およびその製造方法に関する。例えば、電磁波を放出する部品の一部に接合して利用するのに好適な電磁波シールドシート、並びにプリント配線板およびその製造方法に関する。
携帯端末、PC、サーバー等をはじめとする各種電子機器には、プリント配線板等の基板が内蔵されている。これらの基板には、外部からの磁場や電波による誤動作を防止するために、また、電気信号からの不要輻射を低減するために、電磁波シールド構造が設けられている。
例えば、特許文献1においては、厚みが0.5〜12μmの金属層と、異方導電接着剤層とを積層状態で備えた構成が開示されている。また、特許文献2では、導電性接着剤層と、揮発成分を逃すための複数の開口部が形成されている金属箔膜層であるシールド層と、絶縁層がこの順に積層され、層間剥離特性が優れる電磁波シールドフィルムが開示されている。
国際公開第2013/077108号 国際公開第2018/147299号
携帯端末に代表される電子機器においては、それらに内蔵される配線回路基板上の電磁波シールド層の高品質化が、昨今、更に求められている。例えば、配線回路基板に電磁波シールド層が接合されたプリント配線板においては、製造工程でハンダリフローなどの高温処理を行うが、高温処理により発生した揮発成分がプリント配線板内部で品質劣化を引き起こすことがある。具体的には、電磁波シールド層の積層体の層間、或いは電磁波シールド層と配線回路基板の界面で浮き、剥離、膨れが生じたり、外観不良が発生したり、シールド特性が低下したりする場合がある(以下、ハンダリフロー耐性ということがある)。
また、昨今の伝送信号の高速伝送化に伴って、特に高周波領域において優れた伝送特性が強く求められている。
更に、プリント配線板の製造歩留まりを高める技術が求められている。プリント配線板の製造工程において、通常、電磁波シールドシートは配線基板に仮貼付され、熱圧着により接合される。配線基板への仮貼付の段階で再剥離性(リワーク性)を確保することができれば、製造歩留まりを高めることができるが、再剥離すると被着体に糊残りが生じ、リワークできない場合がある。また、配線基板の薄膜化に伴い、配線基板自体が損傷しやすくなる傾向にあり、仮貼付の段階で再剥離性(リワーク性)の確保は容易ではないという問題もある。
なお、上記においてはプリント配線板における問題点を説明したが、被着体に電磁波シールド層を接合したい用途全般に対して同様の課題が生じ得る。
本発明は、上記背景に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、ハンダリフロー耐性に優れ、且つ高周波領域において優れた伝送特性を有し、リワーク性に優れる電磁波シールドシートおよびプリント配線板およびその製造方法を提供することである。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]: 保護層、金属層、接着剤層をこの順に備える積層体を有し、
前記接着剤層は、少なくとも一側面まで延在される連通空隙部を複数有する電磁波シールドシート。
[2]: 前記連通空隙部は、前記接着剤層の第一主面から前記第一主面と反対側の第二主面まで貫通する溝、前記第一主面または前記第二主面のいずれか一方から当該接着剤層内部まで凹部状に形成されたスリット、前記接着剤層の内部に形成され、前記第一主面および前記第二主面に露出しない細孔、および前記溝、前記スリット、前記細孔を任意に組み合わせた開口部の少なくともいずれかを含むことを特徴とする[1]に記載の電磁波シールドシート。
[3]: 前記溝により、前記接着剤層が複数の島部に分断されていることを特徴とする[2]に記載の電磁波シールドシート。
[4]: 前記接着剤層が導電性を示すことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
[5]: 絶縁性基材上に信号配線が形成された配線板と、
前記配線板上に形成された絶縁性のカバーコート層と、
前記カバーコート層上に形成された電磁波シールド層とを備え、
前記電磁波シールド層は、保護層、金属層、および少なくとも一側面まで延在される連通空隙部を複数有する接着剤層をこの順に備える積層体を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の電磁波シールドシートから形成されてなるプリント配線板。
[6]: 前記電磁波シールド層は、前記電磁波シールドシートの前記連通空隙部に由来する連通空隙孔を有し、
前記連通空隙孔は、少なくとも一側面まで延在されていることを特徴とする[5]に記載のプリント配線板。
[7]: 保護層、金属層、接着剤層をこの順に備える積層体を有する電磁波シールドシートを形成する工程Aと、
絶縁性基材上に信号配線が形成された配線板上に、絶縁性のカバーコート層を形成する工程Bと、
前記カバーコート層上に、前記電磁波シールドシートを載置して熱圧着により電磁波シールド層を形成する工程Cとを有し、
前記工程Aは、前記接着剤層に、少なくとも一側面まで延在される連通空隙部を複数形成する工程を含み、
前記電磁波シールド層に、前記連通空隙部に由来する連通空隙孔を形成するプリント配線板の製造方法。
本発明によれば、ハンダリフロー耐性に優れ、且つ高周波領域において優れた伝送特性を有し、リワーク性に優れる電磁波シールドシートおよびプリント配線板およびその製造方法を提供できるという優れた効果を奏する。
第1実施形態に係る電磁波シールドシートの一例を示す模式的側面図。 図1のIIの領域の部分拡大斜視図。 第1実施形態に係る電磁波シールド層付被着体の一例を示す模式的斜視図。 第1実施形態に係るプリント配線板の一例を示す模式的断面図。 変形例1に係るに係る電磁波シールドシートの一例を示す模式的上面図。 変形例2に係るに係る電磁波シールドシートの一例を示す模式的上面図。 変形例3に係るに係る電磁波シールドシートの一例を示す模式的側面図。 第2実施形態に係るに電磁波シールドシートの一例を示す模式的側面図。 第3実施形態に係るに電磁波シールドシートの一例を示す模式的斜視図。 実施例および比較例に係るコプレーナ回路を有する配線回路基板の主面側の模式的平面図。 実施例および比較例に係るコプレーナ回路を有する配線板の裏面側の模式的平面図。 実施例および比較例に係る電磁波シールドシート付きコプレーナ回路を有する配線板の主面側の模式的平面図。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。但し、本発明は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得る。また、各実施形態および変形例は、互いに好適に組み合わせられる。なお、本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。また、本明細書におけるシートは、フィルム、テープと同義である。説明を明確にするため、以下の記載および図面は、適宜、簡略化されている。本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る電磁波シールドシートは、少なくとも接着剤層、金属層、保護層をこの順に備える積層体を有する。そして、接着剤層は、少なくとも一側面まで延在される連通空隙部を複数有する。少なくとも一側面まで延在されていればよく、その形状およびその始点の位置は問わない。連通空隙部の延在方向は、巨視的には基板面の側面に向かう方向となるが、微視的には任意の方向に延在され得る。本明細書において接着剤層とは、実際に接着剤が存在する部分のみならず、連通空隙部も含めて接着剤層というものとする。なお、接着剤層において、一側面まで延在されていない空隙部を有していてもよい。
接着剤層は、被着体と当接させて接合するための層として用いられる。そして、接着剤層は、電磁波シールドシートを被着体に接合した後の電磁波シールド層において接合層として機能する。金属層はシールド性を付与する役割を主として担い、保護層は金属層を保護する役割を少なくとも担う。
電磁波シールドシートは、電磁波を内部または/および外部から遮蔽したい用途全般に利用し得る。典型的には、電磁波シールドシートの接着剤層を被着体と接合し、電磁波シールドシート層付被着体として利用できる。好適な例としては、配線回路基板に電磁波シールドシートを貼付して、接合処理により配線回路基板に電磁波シールド層を接合したプリント配線板が挙げられる。
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態に係る電磁波シールドシートの一例を示す模式的側面図を、図2に、図1中の点線で囲んだ領域の接着剤層1側からみた部分拡大斜視図を示す。これらの図に示すように、電磁波シールドシート10は、接着剤層1、金属層2および保護層3をこの順に備える積層体を有する。電磁波シールドシート10は、これら以外の層を有していてもよい。
接着剤層1には、その側面7まで延在される連通空隙部4が複数設けられている。連通空隙部4は、接着剤層1の第一主面5からその反対側の第二主面6まで貫通する溝により形成されてなり、図2中のX方向およびY方向に延在されている。接着剤層1には、連通空隙部4によってアレイ状の複数の島部が形成されている。第1実施形態では、連通空隙部4によって分断されている個々の島部(即ち、接着剤を有する箇所)の集合体および連通空隙部4(即ち、接着剤が形成されていない箇所)の集合体が接着剤層1である。
図3に、電磁波シールド層付被着体の模式的な部分拡大斜視図の一例を示す。電磁波シールド層付被着体30は、被着体31に電磁波シールド層15が接合されてなる。電磁波シールド層15は、電磁波シールドシート10の接着剤層1の第一主面5(図1,図2参照)を被着体31に仮貼付した後、接合する工程を経て得られる。電磁波シールドシート10の接着剤層1は、仮貼付・接合工程を経て被着体31に接合され、接合層9として機能する。接着剤層1の連通空隙部4(図1,図2参照)は、仮貼付・接合工程を経て、連通空隙部4に由来する連通空隙孔8が形成される。接合工程の好適例として、熱圧着処理、熱処理、圧着処理、光硬化処理が例示できる。簡便性の観点からは、接合工程は熱圧着処理が好適である。連通空隙孔8は、通常、連通空隙部4に比べて開口径が減少する。
連通空隙孔8のサイズ(平均開口径(平均短径)、平均長径)は、プリント配線板20の製造工程等において例えば高温処理時に発生する揮発成分を排出できればよく、特に限定されない。目視では連通空隙孔8が認められないサイズであってもよく、アウトガス蒸散経路としての機能を有していればよい。連通空隙孔8のサイズは、電磁波シールドシート10の連通空隙部4の形状、位置、接着剤層1の組成、接合条件等の製造条件により変わり得る。換言すると、連通空隙孔8が所望のサイズ・形状となるように、これらの諸条件を適宜設計すればよい。従って、電磁波シールドシート10の連通空隙部4の条件は特に限定されない。
図4に、第1実施形態に係るプリント配線板の一例を示す模式的断面図を示す。プリント配線板20は、絶縁性基材22上に信号配線23およびグランド配線24を有する回路パターンを有する配線板25と、配線板25上に形成された絶縁性のカバーコート層26を有する配線回路基板27を有する。このような構成を有する配線回路基板27上に電磁波シールドシート10(図1参照)を仮貼付し、熱圧着することにより、電磁波シールド層15を有するプリント配線板20が形成される。
図4の例では、導電性を発現する接着剤層を有する電磁波シールドシートを用いて電磁波シールド層15が形成される。カバーコート層26には、グランド配線24上の少なくとも一部が露出するビア28が形成されている。そして、ビア28内部に接合層9(接着剤層1(図1参照))を流入させグランド配線24と金属層2との導通を図っている。
カバーコート層26は、信号配線23を覆い外部環境から保護する絶縁材料である。カバーコート層は、熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム、熱硬化型もしくは紫外線硬化型のソルダーレジスト、または感光性カバーレイフィルムが好ましく、微細加工をするためには感光性カバーレイフィルムがより好ましい。カバーコート層は、ポリイミド等の耐熱性と柔軟性を備えた公知の樹脂を使用するのが一般的である。カバーコート層の厚みは、通常10〜100μm程度である。
回路パターンは、アースをとるグランド配線24、電子部品に電気信号を送る信号配線23を含む。両者は銅箔をエッチング処理することで形成することが一般的である。回路パターンの厚みは、通常1〜50μm程度である。
絶縁性基材22は、回路パターンの支持体であって、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等の屈曲可能なプラスチックが好ましく、液晶ポリマーおよびポリイミドがより好ましい。これらの中でも高周波の信号を伝送する配線回路基板の用途を考慮すると、比誘電率および誘電正接が低い液晶ポリマーがさらに好ましい。
配線回路基板がリジッド配線板の場合、絶縁性基材の構成材料は、ガラスエポキシが好ましい。上記のような絶縁性基材を備えることで配線回路基板は高い耐熱性が得られる。
接合工程を熱圧着により行う場合の条件は任意であるが、例えば、温度150〜190℃程度、圧力1〜3MPa程度、1〜60分程度の条件で行われる。熱プレスにより接着剤層1とカバーコート層26が密着するとともに、接着剤層1が流動してカバーコート層26に形成されたビア28を埋めることでグランド配線24との間で導通がとれる。接着剤層として熱硬化性樹脂を用いた場合には、熱プレスにより反応して硬化し、電磁波シールド層15となる。この場合において、硬化を促進させるため、熱プレス後に150〜190℃で30〜90分間ポストキュアを行ってもよい。
ビア28の開口面積は2.5mm以下が好ましく、0.008mm以上が好ましい。上記範囲とすることでグランド配線の領域を狭めることができ、プリント配線板の小型化を実現できる。ビアの形状は特に限定されず、円、正方形、長方形、三角形および不定形等用途に応じていずれも用いることができる。
電磁波シールド層は配線回路基板の両面に積層することが、電磁波の漏れをより効果的に抑制できる点から好ましい。また、プリント配線板20における電磁波シールド層15は電磁波を遮蔽する他に、グランド回路として利用できる。これにより、グランド回路の一部を省略し、配線回路基板の面積を縮小することでコストダウンが可能となり筐体内の狭い領域に組み込むことができる。
また、信号配線23は、一本の信号配線からなるシングルエンド、2本の信号配線からなる差動回路等、種々の回路構成とすることができるが、差動回路がより好ましい。配線回路基板27の回路パターン面積に制約があり、グランド回路を並列に形成することが難しい場合には、信号回路の横にグランド回路を設けず、電磁波シールド層15をグランド回路として用いてもよい。この場合、厚み方向にグランドを有するプリント配線板構造となる。
本発明のプリント配線板は、液晶ディスプレイ、タッチパネル等のほか、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の電子機器への搭載に好適である。
連通空隙部に由来する連通空隙孔を接合層に形成した電磁波シールド層を用いることにより、この連通空隙孔を介して、高温処理時などに発生したアウトガスを外部に逃がすことができる。その結果、電磁波シールド層と被着体との界面の剥離や、ガスが滞留することによる膨れを効果的に防止できる。また、発生した水蒸気、その他のガス成分が滞留することによる金属層の酸化等を防止できる。更に、連通空隙部を設けて発生した水蒸気を外部に排出できるので、水蒸気由来の水、その他の異物が残留して、短絡したりする不具合を効果的に防止することができる。また、積層体からなる電磁波シールド層の層間の接合不良、例えば、金属層と接合層の界面剥離を効果的に防止できる。その結果、シールド特性に優れた高品質の電磁波シールドシートおよびプリント配線板を提供できる。即ち、ハンダリフロー耐性が向上し、信頼性の高い優れたシールド特性を有するプリント配線板を提供できる。また、信号配線の最近傍に位置する接合層に低誘電率の空孔を設けることで誘電体損失を低減できるため、伝送特性(特に高周波領域における伝送損失の低減)に優れた電磁波シールド層を提供できる。特に高周波(例えば、100MHzから50GHz)の信号を伝送する配線回路基板に接合する電磁波シールド層において、優れた伝送特性等を実現できる。
従来より、プリント配線板の製造歩留まりを高める技術が求められている。プリント配線板の製造工程において、通常、電磁波シールドシートは配線回路基板に仮貼付され、接合処理により形成される。ここで仮貼付位置が本来意図した位置ではない場合、再剥離できればプリント配線板の製造歩留まりを高めることができる。しかし、再剥離すると、配線回路基板側に接着剤層に由来する糊残りが生じ、糊残りが多いことによってリワークできない場合がある。また、被着体によっては、各種基板の薄膜化に伴い、電磁波シールドシートの再剥離によって基板自体が損傷しやすい場合がある。
第1実施形態に係る電磁波シールドシートによれば、連通空隙部を設けることにより、配線回路基板との仮貼付の接触面積を減少させているので、仮貼付時の被着体と電磁波シールドシートとの接着力を弱めることができる。その結果、リワーク性を高めることが可能となり、製造歩留まりを顕著に高められる。
以下、電磁波シールドシートの各部材について詳述する。
<接着剤層>
接着剤層1は、前述したように、図2のX方向、Y方向に延在され、それぞれ対向する側面7まで延在される、連通空隙部4が複数設けられている。連通空隙部4は、後述する変形例・実施形態に示すように様々な形態をとることができる。第1実施形態の連通空隙部4のように溝状とする他、後述する実施形態のようにスリット、細孔としてもよい。また、溝、スリットおよび細孔を任意に組み合わせた開口部であってもよい。製造コストの観点からは、連通空隙部の形状は、溝または/およびスリットとすることが好ましい。連通空隙部は1種または複数種を組み合わせることができる。
接着剤層の側面から見た開口部の形状は、図1のように矩形状とする他、任意の形状を選定できる。例えば、円形、楕円、多角形が例示できる。また、不定形であってもよい。これらのうちでも、三角形、矩形、台形等の多角形が好適である。また、延在方向は、任意の一方向とする他、枝状、屈曲状、ランダムおよびこれらの組み合わせを例示できる。
電磁波シールドシートの接合方法によって好適な連通空隙部のサイズは変わり得る。熱圧着により電磁波シールドシートを被着体に接合する場合、連通空隙孔8を容易に形成する観点からは、接着剤層1のうち、20〜85体積%を連通空隙部4とすることが好ましい。この割合は、35体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることが更に好ましい。
接着剤層1の隣接する島部同士の間隙W1、W2(図2参照)、即ち、連通空隙部の短径W1、W2は上述したように限定されないが、熱圧着する場合の好適範囲として、それぞれ独立に100〜1500μmを例示できる。より好適には150〜900μm、更に好適には200〜600μm、特に好適には250〜300μmである。延在方向に短径は同一であることは必須ではなく、任意の幅とすることができる。
接着剤層1の島部の図2中のX方向、Y方向の長さは上述したように限定されないが、熱圧着する場合の好適範囲として、それぞれ独立に100〜1250μmが例示できる。係る長さは、それぞれ独立に、150〜870μmであることがより好ましく、200〜600μmであることが更に好ましく、230〜290μmであることが特に好ましい。島部の面積は、10,000〜1,600,000μmであることが好ましく、30,000〜800,000μmであることがより好ましく、40,000〜400,000μmであることが更に好ましい。島部の面積を10,000〜1600,000μmとすることにより、リワーク性をより効果的に高めることができる。
接着剤層1は、バインダー樹脂を含有する接着剤組成物から形成された層であり、非導電性接着剤層であっても、導電性接着剤層であってもよい。高周波領域の伝送特性をより優れたものとする観点からは、導電性接着剤層であることが好ましい。なお、ここでいう導電性接着剤層とは、被着体に接合した後に導電性を示していればよく、接着剤層1の段階では導電性を示していなくてもよい。
バインダー樹脂は、少なくとも熱軟化性樹脂を含む。熱軟化性樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および活性光線硬化性樹脂が例示できる。熱硬化性樹脂および活性光線硬化性樹脂は、通常、反応性官能基を有する。熱硬化性樹脂を用いる場合は、硬化性化合物や熱硬化助剤を併用できる。また、活性光線硬化性樹脂を用いる場合は光重合開始剤、増感剤等を併用できる。製造工程の簡便性からは、熱圧着時に硬化する熱硬化タイプが好ましい。
また、自己架橋性樹脂や互いに架橋する複数の樹脂を用いてもよい。また、これらの樹脂に加えて熱可塑性樹脂を混合させてもよい。樹脂および硬化性化合物等の配合成分は、それぞれ独立に単独でまたは複数を併用できる。
なお、接着剤層1の段階で架橋が一部形成されてBステージ(半硬化した状態)となっていてもよい。例えば、熱硬化性樹脂と硬化性化合物の一部が反応して半硬化した状態であってもよい。
バインダー樹脂の重量平均分子量Mwは特に限定されないが、ハンダリフロー耐性の観点から10,000〜500,000であることが好ましい。Mwは30,000以上であることがより好ましく、50,000以上であることが更に好ましい。
熱軟化性樹脂の好適な例は、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレンエラストマー樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネートイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリエステルアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル樹脂、スチレンエラストマー、ブタジエンゴム、ポリイソプレン、セルロース、ポリエーテルエステル樹脂、マレイン酸樹脂、オキセタン樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂および液晶ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレンエラストマー樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい。熱軟化性樹脂は、1種単独または任意の比率で2種以上を混合して用いることができる。
また、伝送損失を抑制する観点から、バインダー樹脂が低誘電率、低誘電正接の材料であることが好ましく、特性インピーダンスの観点から低誘電率の材料が好ましい。好適な例として、液晶ポリマーやフッ素系樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂は、単独または2種類以上併用できる。
また、バインダー樹脂として導電性ポリマーを用いてもよい。導電性ポリマーとしては、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンが例示できる。
リフロー時における過酷な条件で使用する場合には、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂は、加熱によって架橋反応し得る官能基を有している。官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シラノール基が例示できる。
硬化性化合物は、熱硬化性樹脂の反応性官能基と架橋可能な官能基を有している。硬化性化合物は、エポキシ化合物、酸無水物基含有化合物、イソシアネート化合物、ポリカルボジイミド化合物、アジリジン化合物、ジシアンジアミド化合物、芳香族ジアミン化合物等のアミン化合物、フェノールノボラック樹脂等のフェノール化合物、有機金属化合物等が好ましい。これらのうちでも、エポキシ化合物を含むことがより好ましい。また、硬化性化合物としてエポキシ化合物とアジリジン化合物を併用する組み合わせも好適である。硬化性化合物は、樹脂であってもよい。この場合、熱硬化性樹脂と硬化性化合物の区別は、含有量の多い方を熱硬化性樹脂とし、含有量の少ない方を硬化性化合物として区別する。
硬化性化合物は、熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜50質量部含むことが好ましく、3〜40質量部がより好ましく、3〜30質量部が更に好ましい。硬化性化合物は、1種単独でまたは複数種を併用して用いることができる。
導電性接着剤層は、導電性フィラーを含有させた接着剤組成物を用いることにより容易に形成できる。導電性フィラーは、金属フィラー、導電性セラミックス粒子、導電性ポリマーおよびこれらの混合物が例示できる。金属フィラーは、金、銀、銅、ニッケル等の金属粉、ハンダ等の合金粉、銀コート銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コートニッケル粉のコアシェル型粒子が例示できる。優れた導電特性を得る観点から、銀を含有する導電性フィラーが好ましい。コストの観点からは、銅粉を銀で被覆した銀コート銅粉が特に好ましい。導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリアセチレン等が挙げられる。
また、導電性フィラーとして、電磁波吸収フィラーを用いてもよい。例えば、鉄、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−Cr−Si合金、Fe−Cr−Al合金、Fe−Si−Al合金等の鉄合金、Mg−Znフェライト、Mn−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Cu−Znフェライト、Mg−Mn−Srフェライト、Ni−Znフェライト等のフェライト系物質並びに、カーボンフィラーなどが挙げられる。カーボンフィラーは、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノナノチューブからなる粒子、グラフェン粒子、グラファイト粒子およびカーボンナノウォールが例示できる。導電性フィラーは、単独または2種類以上を併用できる。
導電性フィラーの形状は、所望の導電性が得られればよく形状は限定されない。例えば、球状、フレーク状、葉状、樹枝状、プレート状、針状、棒状、ブドウ状が挙げられる。単一形状のフィラーを用いる他、異なる形状の導電性フィラーを併用してもよい。
導電性フィラーのD50平均粒子径は、導電性を充分に確保する観点から2μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、7μm以上とすることが更に好ましい。一方、導電接着剤層の薄さと両立させる観点からは、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下とすることが更に好ましい。D50平均粒子径は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置等により求めることができる。
導電性フィラーは、接着剤層のうちの連通空隙部等の空隙部を除く領域、即ち、接着剤が存在する領域において、導電性フィラーの含有率が10〜90質量%であることが好ましく、15〜70質量%がより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。10質量%以上とすることで接着剤層と後述するプリント配線板におけるグランド配線との導電接続が良好となり、高周波シールド性が向上する。一方、90質量%以下とすることでハンダリフロー耐性、伝送特性が向上する。
導電性接着剤層は、等方導電接着剤層または異方導電接着剤層とすることができる。等方導電接着剤層は、等方的に導電性を有する層であり、異方導電接着剤層は、異方的に導電性を有する層であり、通常、電磁波シールドシートの厚み方向に導電性を有する層をいう。コストダウンの観点からは、異方導電接着剤層が好ましい。
接着剤組成物は、所望の物性向上や機能付与を目的として、他に任意成分としてシランカップリング剤、防錆剤、還元剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤などを配合できる。例えば、炭素粒子は接着剤層の粘弾性調整を目的として添加することができる。炭素粒子は、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン等が挙げられる。
接着剤組成物は、配合成分を混合し攪拌して得ることができる。攪拌は、例えばディスパーマット、ホモジナイザー等、公知の攪拌装置を使用できる。
接着剤層の作製は、公知の方法を使用できる。例えば、接着剤組成物を剥離性シート上に塗工して乾燥することで接着剤層を形成する方法、または、Tダイのような押出成形機を使用して接着剤組成物をシート状に押し出すことで形成することもできる。
塗工方法は、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレード方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等の公知の塗工方法を使用できる。塗工に際して、乾燥工程を行うことが好ましい。乾燥工程は、例えば、熱風乾燥機、赤外線ヒーター等の公知の乾燥装置を使用できる。
接着剤層の厚みは用途により適宜設定できるが、例えば2〜30μm程度とすることができる。3〜15μmが好ましく、4〜9μmがより好ましい。厚みが2〜30μmの範囲にあることでハンダリフロー耐性を向上させることができる。
<金属層>
金属層2は、接着剤層1と保護層3に挟持された層であり、例えば、金属箔、金属蒸着膜、金属スパッタ膜、金属メッキ膜により形成されてなる。
金属の種類は、例えばアルミニウム、銅、銀、金等の導電性金属が好ましく、一種類の金属、もしくは複数金属の合金のいずれも使用することができる。高周波シールド性およびコストの面から銅、銀、アルミニウムがより好ましく、銅が更に好ましい。金属箔の好適例として、例えば、圧延銅箔または電解銅箔が例示できる。金属層2の一面あるいは両面に、他の金属あるいは防錆剤等の有機物で被覆してもよい。
金属層の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜選定する。フレキシブル性が要求される場合には、電磁波シールド特性を考慮すると、0.3〜10μm程度とすることが好ましい。金属層の厚みを0.3μm以上とすることで、配線回路基板から発生する電磁波ノイズの波長に対し、透過を抑制することができ、十分な高周波シールド性を発現することができる。金属層の厚みは0.5μm以上であることがより好ましい。
電磁波シールド層が形成されたプリント配線板において、配線回路基板に形成された信号配線に流れる伝送信号が高周波になると、金属層2に電流が流れるようになる。配線回路基板中の信号配線における伝送特性は、近傍の導電体を流れる電流の影響を受けるため、信号配線と近接する金属層2の表面の凹凸が険しいと、金属表面を流れる電流との距離が変動し、伝送特性が不安定となる。このため、高周波領域の伝送特性を優れたものとする観点からは、金属層2の接着剤層1と接する面の算術平均高さSaを0.01〜2.5μmとすることが好ましい。算術平均高さSaは1.25μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。また、リワーク性を高める観点からは、金属層2の接着剤層1と接する面の二乗平均平方根傾斜Sdqが0.0001〜1.5であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.3以下であることが更に好ましい。接着剤層側の金属層表面の二乗平均平方根傾斜Sdqを0.0001〜1.5の範囲とすることにより、金属層表面に形成された凹凸の角度を適度に鋭角にすることができ、接着剤層の金属層に対する食いつきが良好となる。その結果、金属層と接着剤層間の密着力をより高めることができるので、仮貼付段階の接着剤層を被着体から剥離したときの被着体の糊残りを少なくすることができる。なお、算術平均高さSaおよび二乗平均平方根傾斜Sdqは、後述する実施例により求められる値をいう。
ここで算術平均高さSaは、ISO 25178−2:2012規格にて規定され、線の算術平均高さ(Ra)を面に拡張したパラメータであり、測定対象となる表面の平均面に対して、各点の高さの絶対値の平均により算出される値である。
また、二乗平均平方根傾斜Sdqは、同じくISO 25178−2:2012規格にて規定され、基準長さにおいて、局部傾斜dz/dxの二乗平均平方根であり、以下の数式(1)によって表される。Aは定義表面の面積、∂xはx軸方向、∂yはy軸方向、∂z(x,y)はz軸方向の微小変位を表す。
Figure 2021174948
Sdqは、触針式表面粗さ測定機などを用いた接触式表面粗さ測定、あるいは、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式表面粗さ測定から得られた表面形状データを、適宜解析ソフトによって処理することにより算出することができる。Sdqは、表面における凹凸の険しさを表現するパラメータである。Sdqの数値が大きい程、表面凹凸はより険しくなる。即ち、Sdqの数値によって、表面凹凸険しさの程度を判断することができる。
なお、この金属層の二乗平均平方根傾斜Sdqの値は、加熱プレス等の電磁波シールド層の形成工程により実質的に変化しない。そのため、電磁波シールド層における接合層と接する側の金属層の界面の算術平均高さSaの好適範囲は0.01〜2.5μmであり、二乗平均平方根傾斜Sdqの好適範囲は0.0001〜1.5である。
金属層表面の算術平均高さSaおよび二乗平均平方根傾斜Sdqを制御する方法は、例えば、銅箔表面上に粗化粒子を付着させ、粗化処理面を形成する方法、特開第2017−13473号公報に記載されているバフを用いて金属表面を研磨する方法、研磨布紙を用いて金属表面を研磨する方法、所望の凹凸を有するキャリア材上にめっき等の手法で金属層を形成しキャリア材の凹凸を転写させる方法、圧縮空気によって研磨材を金属表面に吹き付けるショットブラスト法が挙げられる。
金属層は、複数の開孔部を有していてもよい。ここでいう開孔は、金属層の厚み方向に貫通する孔をいう。開孔部の開孔率は特に限定されないが、例えば0.1〜20%とすることができる。より好適な範囲は0.3〜15%であり、更に好適な範囲は0.5〜6.5%である。この開孔率は、以下の式により求めることができる。
(開孔率[%])=(単位面積当たりの開孔部の面積)/(単位面積当たりの開孔部の面積+単位面積当たりの非開孔部の面積)×100
<保護層>
保護層3は、金属層2の少なくとも一部を被覆していればよい。シールド性の観点からは金属層の全面が被覆されている構成が好ましい。図1では、金属層2の直上に積層する例を挙げているが、金属層2と保護層3の間に他の層を積層してもよい。保護層3は、バインダー樹脂を含有する樹脂または樹脂組成物から形成された層であり、絶縁性を有する。樹脂組成物は、従来公知の樹脂組成物を使用して形成できる。好適例として、接着剤層を形成する接着剤組成物で説明したバインダー樹脂(熱可塑性樹脂、活性光線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂)が例示できる。保護層は、単層でも2層以上の積層体でもよい。バインダー樹脂として熱硬化性樹脂等を用いる場合、保護層の製造ステージによって架橋構造等が異なるものとなるが、本明細書では、これらを区別せず保護層というものとする。
バインダー樹脂の重量平均分子量(熱硬化性樹脂、活性光線硬化性樹脂の場合には、硬化までの樹脂の重量平均分子量)は特に限定されないが、10,000〜500,000であることが好ましい。30,000以上がより好ましく、50,000以上が更に好適である。熱硬化性樹脂の重量平均分子量が10,000以上であることで、洗浄用薬品曝露時の塗膜の分解や溶解が抑制でき、耐薬品性が向上する。熱硬化性樹脂の重量平均分子量は30,000以上であることがより好ましく、50,000以上であることが更に好ましい。
保護層3は、公知の方法により製造できる。例えば、樹脂組成物を剥離性シート上に塗工して乾燥することで保護層を形成する方法、または、Tダイのような押出成形機を使用して樹脂組成物をシート状に押し出すことで形成することもできる。また、保護層は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の絶縁性樹脂を成形したフィルムを使用してもよい。
硬化性化合物の好適例として、接着剤組成物で例示した化合物が挙げられる。これらのうちでも、エポキシ化合物を含むことがより好ましい。また、エポキシ化合物とアジリジン化合物を併用する組み合わせも好適である。
樹脂組成物には、任意成分として非導電性粒子を添加することができる。非導電性粒子を添加することにより、表面粗さ(凹凸)を適切に調整することができる。非導電性粒子としては、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、カーボンブラック、ガラスビーズ、ガラス中空球、フッ化マグネシウム、二酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)、二酸化ケイ素(シリカ)、炭化ホウ素、窒化アルミ、窒化ホウ素、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化チタン、等のセラミックなどが挙げられる。非導電性微粒子は単独または2種以上を混合して用いてもよい。非導電性微粒子の平均粒子径は特に限定されず、例えば、0.01μm以上10μm以下であり、0.5μm以上3μm以下であってもよい。
保護層の厚みは用途に応じて設計し得るが、例えば2〜20μmとすることができる。保護層の厚みが2〜20μmであることで、洗浄薬品曝露後の保護層溶解や金属層からの剥離を抑制することができる。保護層は、ハードコート性、水蒸気バリア性、酸素バリア性、熱伝導性、低誘電率、高誘電率性または耐熱性のいずれかまたは組み合わせた機能を備えていてもよい。
[電磁波シールドシートおよびプリント配線板の製造方法]
電磁波シールドシートおよびプリント配線板の製造方法の一例について以下に説明する。但し、本発明の製造方法は以下の製造方法に限定されない。
まず、剥離性シート上にプレ接着剤層を形成し、キャリア材を有する金属箔とプレ接着剤層を重ねてラミネートした後にキャリア材を剥がす。そして、キャリア材を剥がした面と、別途剥離性シート上に形成した保護層とを重ねてラミネートすることによりプレ積層体を得る。その後、プレ接着剤層に対して連通空隙部を形成する位置にレーザー光を照射して、アブレーションにより連通空隙部を形成する。レーザー光の種類としては、YAGレーザー、炭酸ガスレーザ、エキシマーレーザが例示できるが、これらに限定されない。レーザー光を照射した後、必要に応じてデスミア処理を行う。また、ドリル等の機械的切削により形成してもよい。また、プラズマ処理、ナノインプリント、エンボス加工、印刷等により連通空隙部を形成してもよい。
上記方法は一例であり、金属層上にスクリーン印刷等により連通空隙部が形成されるようにパターンを有する接着剤層を得てもよい。また、フォトリソグラフィー法によりパターンを有する接着剤層を得てもよい。
プリント配線板は、上記のようにして得られた電磁波シールドシートをカバーコート層上に載置して接合処理することにより得られる。接合処理によって、電磁波シールドシートの連通空隙部に由来する連通空隙孔が形成された電磁波シールド層を有するプリント配線板が得られる。
<変形例>
上記実施形態では、X方向、Y方向それぞれにおいて、対向する側面まで延在する連通空隙部が形成され、アレイ状に島部が形成された接着剤層を有する電磁波シールドシートの例を挙げたが、連通空隙部の形態はこれに限定されず、種々設計し得る。
変形例1〜3に係る電磁波シールドシートは、連通空隙部が第1実施形態と相違するが、その他の基本的な構成は第1実施形態と同様である。なお、以降の例において第1実施形態と重複する記載は適宜省略する。また、同一要素部材は、適宜、同一符号を付し、その説明を省略する。
図5は、変形例1に係る電磁波シールドシートを接着剤層側からみた模式的上面図である。同図の電磁波シールドシート10aの接着剤層1aには、Y方向の一側面から対向する他側面まで延在する連通空隙部4aが所定間隔で複数形成されている。連通空隙部4aの短径W1は、位置に応じて変更してもよいし、同一としてもよい。連通空隙部4aの間隔は任意に設定できる。
図6は、変形例2に係る電磁波シールドシートを接着剤層側からみた模式的上面図である。同図の電磁波シールドシート10bの接着剤層1bには、一側面7s1から内部まで図中のY方向に延在する連通空隙部4bと、一側面7s1と対向する他側面7s2から内部までY方向に延在する連通空隙部4bとが所定間隔で交互に複数形成されている。連通空隙部4bの短径W1は、位置に応じて変更してもよいし、同一としてもよい。連通空隙部4bの間隔は任意とすることができる。
変形例1、2に係る電磁波シールドシートによれば、連通空隙部を任意の一方向とすることにより、ガス蒸散経路を一方向に集約し、被着体との接合面を多く取ることができるというメリットを有する。
被着体に接合された電磁波シールド層において、連通空隙孔の延在する長さは、電磁波シールド層の外径サイズの短手長さの10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることが更に好ましく、50%以上であることが特に好ましい。なお、延在する長さとは、開口径(短径)の中心を通る長さをいい、直線でも曲線でもよい。
図7は、変形例3に係る電磁波シールドシートの模式的側面図である。同図の電磁波シールドシート10cの接着剤層1cには、厚み方向に短径の幅が異なる連通空隙部4cが設けられている。このような連通空隙部4cは、例えば、プレ接着剤層を金属層2に積層した後にレーザー光などを用いて連通空隙部を形成し、次いで2層目のプレ接着剤層を第1の接着剤層上に積層し、その後にレーザー光などを用いて2層目のプレ接着剤層に連通空隙部を設けることにより形成できる。接着剤層を3層以上の積層体としてもよい。また、3Dプリンタにより作製してもよい。変形例3に係る電磁波シールドシートによれば、連通空隙部を確保しつつ、被着体との接合面を多く取りたい用途に好適である。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る電磁波シールドシートは、接着剤層の連通空隙部がスリットである点において、連通空隙部が溝である接着剤層を有する電磁波シールドシートを用いた第1実施形態と相違する。但し、特に言及する点を除き、その他の基本的な構成および製造方法は第1実施形態と同様である。
図8に、第2実施形態に係る電磁波シールドシートの要部の一例を示す模式的側面図を示す。同図に示すように、電磁波シールドシート10eは、接着剤層1e、金属層2および保護層3をこの順に備える積層体を有する。接着剤層1eには、その側面7まで延在される連通空隙部4eが複数設けられている。連通空隙部4eは、接着剤層1eの第一主面5から凹部を形成するスリットにより形成されてなり、X方向、Y方向に延在されている。連通空隙部4eによって接着剤層1eは凹部が形成され、この例においては凸部がアレイ状に形成されている。
図8の例においては、連通空隙部4eの側面視における形状は台形の例を示しているが、第1実施形態と同様、種々の形状を取り得る。スリットのサイズは、接合処理の方法等に応じて種々設計すればよい。熱圧着処理する場合、連通空隙孔を容易に形成する観点からは、連通空隙部を矩形状とする場合の開口部の短手方向の幅Wの好適範囲は第1実施形態と同様である。台形とする場合の好適範囲は、スリットの上面の長さおよび底面の長さの好適範囲はそれぞれ独立に100〜1500μmであり、150〜900μmとすることがより好ましく、200〜600μmとすることが更に好ましく、250〜300μmとすることが特に好ましい。図8のように側面視における連通空隙部の形状の底面部の長さ<上面部の長さとする他、その逆としてもよい。
連通空隙部4eであるスリット底面の長さとスリット上面(この例においては接着剤層の第一主面)の長さの比、即ち底面の長さ/上面の長さの比は特に限定されないが、金属層と接着剤層間の密着力と、アウトガス蒸散経路の確保を両立する観点からは0.9以下であることが好ましい。また、連通空隙部の側面視の形状として台形に変えて三角形状のスリットを形成してもよい。
接着剤層の厚みに対するスリットの深さ(高さ)、即ち、スリットの深さ/接着剤層の厚みの比は限定されないが、金属層と接着剤層間の密着力と、アウトガス蒸散経路の確保を両立する観点からは0.2以上、1未満であることが好ましく、0.4〜0.8であることがより好ましく、0.4〜0.6であることが更に好ましい。接着剤層の好適な膜厚は、第1実施形態で述べた通りである。
接着剤層1eの連通空隙部4eは、例えば、レーザー光照射、インプリント法、エンボス加工などにより形成することができる。第2実施形態に係る電磁波シールドシートによれば、金属層と接着剤層の接合面積を確保しつつ、アウトガス蒸散経路を確実に確保できるというメリットを有する。
<変形例>
第2実施形態においては、接着剤層の被着体との接合面側にスリットが形成されている例を挙げたが、接着剤層の金属層との接合面側にスリットを形成してもよい。また、金属層側と被着体側の両者にスリットを形成してもよい。更に、X方向、Y方向に連通空隙部が延在する接着剤層に代えて、第1実施形態の変形例で例示したように、例えば、ボーダー状の連通空隙部としたり、櫛歯状の連通空隙部としたりすることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態に係る電磁波シールドシートは、接着剤層の連通空隙部が細孔である点において、連通空隙部が溝である第1実施形態と相違する。但し、特に言及する点を除き、その他の基本的な構成および製造方法は第1実施形態と同様である。
図9に、第3実施形態に係る電磁波シールドシートの要部の一例を示す模式的斜視図を示す。同図に示すように、電磁波シールドシート10fは、接着剤層1f、金属層2および保護層3をこの順に備える積層体を有する。接着剤層1fには、その側面7まで延在される連通空隙部4fが所定間隔で複数設けられている。連通空隙部4fは、接着剤層1fの内部にX方向およびY方向に延在する細孔が形成されている。
接着剤層1fの連通空隙部4fは、例えば、離形性基材に連通空隙部を形成した中間層を形成し、この中間層を、連通空隙部を有さない一対の表層で挟持することにより形成できる。中間層の連通空隙部の形成方法は、上記実施形態で述べた方法を適宜適用できる。また、3Dプリンタにより製造してもよい。
第3実施形態に係る電磁波シールドシートによれば、金属層と接着剤層との接合面積、並びに接着剤層と被着体との接合面積を確保しつつ、アウトガス蒸散経路を確保できるというメリットを有する。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例中の「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を其々表すものとする。
なお、樹脂の酸価、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)、および導電性フィラーの平均粒子径の測定は次の方法で行なった。
《バインダー樹脂の酸価の測定》
酸価はJIS K0070に準じて測定した。共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、テトラヒドロフラン/エタノール(容量比:テトラヒドロフラン/エタノール=2/1)混合液100mLを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、指示薬が淡紅色を30秒間保持した時を終点とした。酸価は次式により求めた。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
《バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定》
重量平均分子量(Mw)の測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本測定は、カラムに「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6mL/min、カラム温度40℃の条件で行い、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
《バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)》
Tgの測定は、示差走査熱量測定(メトラー・トレド社製「DSC−1」)によって測定した。
《導電性フィラーの平均粒子径測定》
D50平均粒子径は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS13320(ベックマン・コールター社製)を使用し、トルネードドライパウダーサンプルモジュールにて、導電性フィラーを測定して得た数値であり、粒子径累積分布における累積値が50%の粒子径である。なお、屈折率の設定は1.6とした。
続いて、実施例で使用した原料を以下に示す。
《原料》
・バインダー樹脂:ポリウレタンウレア樹脂(トーヨーケム社製)、酸価:5mgKOH/g、Mw:54,000、Tg:−7℃、
・エポキシ化合物:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「JER828」、三菱ケミカル社製)、エポキシ当量=189g/eq
・アジリジン化合物:「ケミタイトPZ−33」日本触媒社製
・導電性フィラー:複合微粒子(核体の銅100質量部に対して銀が10質量部被覆されたデンドライト状の微粒子)、平均粒径D50:11.0μm(福田金属箔粉工業社製)
・非導電粒子:サンスフェアNP−100(D50平均粒子径:8.0μm、SiO;体積抵抗率1.0×1014Ω・cmの含有率99%。AGCエスアイテック社製)
・キャリア材付き銅箔:厚み12μmの銅キャリア材上に電解製錬法により厚さ2.5μmにて形成された銅箔が形成されたキャリア材付き銅箔。
[実施例1]
固形分換算でバインダー樹脂を100部、エポキシ化合物を30部およびアジリジン硬化剤を7.5部加え、ディスパーで10分攪拌することで樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、バーコーターにより乾燥厚みが11μmになるように、キャリア材付き銅箔の銅箔上に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥して保護層を形成した。そして、保護層に微粘着剥離性シートを貼り合わせることによりプレ積層体を得た。
次いで、キャリア材付き銅箔のキャリア材を剥がし、銅箔面をバフ研磨し、銅箔面の算術平均高さSa、および二乗平均平方根傾斜Sdqを表1に示す値となるよう調整した。
その後、固形分換算でバインダー樹脂を100部、導電性フィラーを80部、エポキシ化合物を20部、アジリジン化合物を0.5部容器に仕込み、不揮発分濃度が40%になるように混合溶剤(トルエン:イソプロピルアルコール=2:1(質量比))を加え、ディスパーで10分攪拌して接着剤組成物を作製した。得られた接着剤組成物を、バーコーターにより乾燥厚みが8μmになるように前述のプレ積層体の銅箔面に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで積層体を得た。
作製した積層体のプレ接着剤層側からレーザー光照射(UV−YAGレーザー、照射波長355nm、Model5330、ESI社製)を行い、第1実施形態に示したようにアレイ状の島部を有し、X方向、Y方向に延在する連通空隙部を有する接着剤層を得た。図2中のX方向の隣接する島部同士の間隙の短径W1を1500μm、Y方向の隣接する島部同士の間隙の短径W2を1500μmとした。また、島部のX方向の長さL1、Y方向の長さL2を共に1250μmとした。連通空隙部が形成されている領域は、銅箔が露出していることを確認した。接着剤層の75体積%が連通空隙部である。これらの工程を経て、「微粘着剥離性シート/保護層/銅箔/接着剤層」の構成をもつ電磁波シールドシートを得た。
[実施例2〜8,10〜14、19〜21、比較例1]
表1〜表3に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2〜8,10〜14、19〜21および比較例1に係る電磁波シールドシートを得た。
[実施例9]
固形分換算でバインダー樹脂を100部、エポキシ化合物を30部およびアジリジン化合物を7.5部、非導電粒子を31.4部加え、ディスパーで10分攪拌することで樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をバーコーターにより乾燥厚みが11μmになるように、剥離性シートに塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥して保護層を形成した。
次いで、得られた「剥離性シート/保護層」の保護層が露出した表面に、金属層である銅めっき層(2.5μm)を形成した。銅めっき層は、電解めっき法により形成した。用いた電解液は硫酸銅、25℃にて7分間の電流印可を行った。
形成した金属層面にプレ接着剤層を貼り合わせ、その後、実施例1と同様にレーザー光を照射することにより連通空隙部を有する接着剤層を形成した。これらの工程を経て「剥離性シート/保護層/金属層(めっき層)/接着剤層/剥離性シート」からなる電磁波シールドシートを得た。金属層とプレ接着剤層の貼り合わせは、温度90℃、圧力3kgf/cmで、熱ラミネーターにより貼り合わせた。それ以外の方法は、実施例1と同様とした。
[実施例15]
実施例15は、連通空隙部の形状が細孔である点において、溝である実施例1等と相違する。接着剤層は、1.0μmのプレ接着剤層、6.0μmの開口径を有するプレ接着剤層および1.0μmのプレ接着剤層をこの順に積層してラミネートすることにより得た。細孔径は6.0μmとし、隣接する細孔の間の距離をX方向、Y方向それぞれ0.5μmとなるようにした。接着剤層の74.5体積%が連通空隙部であった。
[実施例16]
実施例16は、連通空隙部の形状がスリットである点において、溝である実施例1等と相違する。スリットの側面視の形状は、図8に示すように台形であり、接着剤層の第一主面5(被着体と接合する面)から凹部状にスリットが形成されている。X方向にも、同様の連通空隙部が形成されている。溝形成時よりも低い出力でアブレーションを実施した以外は上記実施例と同様の方法により、スリット底面の短径W1(bottom)が200μm、スリット開口部上面の短径W1(top)が300μmの連通空隙部を得た。図8中のX方向においても同様のスリット状の連通空隙部を形成した。島部のX方向、Y方向の長さをそれぞれ290μmとなるようにした。接着剤層の75.3体積%が連通空隙部であった。
[実施例17]
実施例17は、連通空隙部の形成方向が一方向の溝である点において、X方向とY方向に溝が形成されていた実施例1等と相違する。溝状の連通空隙部は、図5に示すように、Y方向に延在されている。溝状の連通空隙部の短径W1は300μmとし、島部のL1方向の長さを103μmとした。接着剤層の74.0体積%が連通空隙部であった。
[実施例18]
実施例18は、連通空隙部の形成方向が一方向の溝であり、図6に示すように、一側面から内部まで延在する連通空隙部が対向する一対の側面から交互に櫛歯状に形成されている点において、実施例17と相違する。溝状の連通空隙部は、図6に示すように、Y方向に延在されている。溝状の連通空隙部の短径W1は300μmとし、連通空隙部の長径は14,000μmとした。また、島部のL1方向の長さを290μmとした。接着剤層の75.0体積%が連通空隙部であった。
得られた電磁波シールドシートについて、各層の厚み、金属層の算術平均高さSa、および二乗平均平方根傾斜Sdqの測定は次の方法で行なった。
なお、上記実施例・比較例において、銅箔表面の算術平均高さSaおよび二乗平均平方根傾斜Sdqの目標値がキャリア材の値と異なる場合には、適宜バフ研磨によって表面を磨く、あるいは荒らす処理を適宜おこなうことにより、算術平均高さSaおよび二乗平均平方根傾斜Sdqを調整した。
《各層厚みの測定》
電磁波シールドシートの接着剤層、金属層、および保護層の厚みは、以下の方法により測定した。
電磁波シールドシートの接着剤層側の剥離性シートを剥がし、露出した接着剤層とポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を貼り合せ、2MPa、170℃の条件で30分熱プレスした。これを幅5mm、長さ5mm程度の大きさに切断した後、エポキシ樹脂(ペトロポキシ154、マルトー社製)をスライドガラス状に0.05g滴下し、電磁波シールドシートを接着させ、スライドガラス/電磁波シールドシート/ポリイミドフィルムの構成の積層体を得た。得られた積層体をクロスセクションポリッシャー(日本電子社製、SM−09010)を用いてポリイミドフィルム側からイオンビーム照射により切断加工して、熱プレス後の電磁波シールドシートの測定試料を得た。
得られた測定試料の断面をレーザーマイクロスコープ(キーエンス社製、VK−X100)を使用し、観察した拡大画像から各層の厚みを測定した。倍率は、500〜2000倍とした。
《金属層の算術平均高さSa、および二乗平均平方根傾斜Sdqの測定》
電磁波シールドシートの金属層の算術平均高さSa、および二乗平均平方根傾斜Sdqは、以下の方法により測定した。
電磁波シールドシートの露出した接着剤層に粘着テープ(ニチバン社製「CT1835」)を、粘着テープの端部を残して貼り合せ、粘着テープの端部から剥離を行い、接着剤層/粘着テープを剥離する。接着剤層が除去され、露出した金属層の表面をレーザーマイクロスコープ(キーエンス社製、VK−X100)を使用し、測定データ取得を行った。
取得した測定データを解析ソフトウェア(ISO 25178表面性状計測モジュール「VK-H1XR」を備えた、解析アプリケーション「VK−H1XA」、ともにキーエンス社製)に取り込み、ISO25178表面性状計測を実行した(条件は、S‐フィルター;1μm、L‐フィルター;0.2mm)。なお、表面に開口部を有する金属層については、ISO 25178表面性状計測を実行する際に、開口部は計測範囲から除外した。
得られた電磁波シールドシートを用いて、下記評価を行った。結果を表1〜表3に示す。
<ハンダリフロー耐性>
ハンダリフロー耐性は、電磁波シールドシートと溶融半田とを接触させた後の、外観変化の有無により評価した。ハンダリフロー耐性が高い電磁波シールドシートは、外観が変化しないが、ハンダリフロー耐性が低い電磁波シールドシートは、膨れや剥がれといった外観不良が発生する。
まず、幅25mm・長さ70mmの電磁波シールドシートの接着剤層の剥離性シートを剥がし、露出した接着剤層と、総厚64μmの金メッキ処理された銅張積層板(金メッキ0.3μm/ニッケルメッキ1μm/銅箔18μm/接着剤20μm/ポリイミドフィルム25μm)の金メッキ面を170℃、2.0MPa、30分の条件で圧着し、熱硬化させて積層体を得た。得られた積層体を幅10mm・縦65mmの大きさに切り取り試料を作製した。得られた試料を40℃、90%RHの雰囲気下で72時間放置した。その後、試料のポリイミドフィルム面を下にして250℃の溶融半田上に1分間浮かべ、次いで試料を取り出し、試料保護層面の外観を目視で観察し、膨れ、浮き、剥がれ等の外観不良の有無を次の基準で評価した。
+++:外観変化不良が、目視において認められない。極めて良好である。
++:外観不良の範囲が試料中の保護層面積の10%以下。良好である。
+:外観不良の範囲が試料中の保護層面積の10%より広く、30%以下。実用可。
NG:外観不良の範囲が試料中の保護層面積の30%より広い。
実用不可。
<伝送特性>
伝送特性は、図10に示す電磁波シールドシート付きコプレーナ回路を有するフレキシブルプリント配線板20gを用いて評価した。
測定に用いたコプレーナ回路を有するフレキシブルプリント配線板(以下、コプレーナ回路を有する配線板ともいう)20gの主面側の模式的平面図を図10に、図11に、裏面側の模式的平面図を示す。まず、厚さ50μmのポリイミドフィルム50の両面に、厚さ12μmの圧延銅箔を積層した両面CCL「R−F775」(パナソニック社製)を用意した。そして、矩形状の4つのコーナー部近傍に、其々6か所のスルーホール51(直径0.1mm)を設けた。なお、図中においては、図示の便宜上、各コーナー部にスルーホール51を2つのみ示している。次いで、無電解メッキ処理を行った後に、電解メッキ処理を行って10μmの銅メッキ膜52を形成し、スルーホール51内に形成された銅メッキ膜を介して主面−裏面間の導通を確保した。その後、図10に示すように、ポリイミドフィルム50の主面に長さが10cmの2本の信号配線53、およびその外側に信号配線53と並行なグランド配線54、およびグランド配線54から延在され、ポリイミドフィルム50の短手方向のスルーホール51を含む領域にグランドパターン(i)55を形成した。
その後、ポリイミドフィルム50の裏面に形成された銅箔をエッチングして、グランドパターン(i)55に対応する位置に、図11に示すような裏面側グランドパターン(ii)56を得た。回路の外観、公差の検査仕様はJPCA規格(JPCA−DG02)とした。次に、ポリイミドフィルム50の主面側に、ポリイミドフィルム(厚さ12.5μm)と絶縁性接着剤層(厚さ15μm)とで構成されるカバーコート層26g「CISV1215(ニッカン工業社製)」を貼り付けた。なお、図10においては、信号配線53等の構造がわかるように、カバーコート層26gを透視図で示した。その後、カバーコート層26gから露出した銅箔パターンにニッケルメッキ(不図示)を行い、次いで金メッキ(不図示)処理を行った。
次に図12に示すように、接着剤層1、金属層2、保護層3の積層体からなる電磁波シールドシート10gを用意し、電磁波シールドシート10gの接着剤層上に設けられた剥離処理シート(不図示)を剥がした。そして、電磁波シールドシート10gの接着剤層を内側としてコプレーナ回路を有する配線板25の裏全面側に、170℃、2.0MPa、30分の条件で圧着することにより電磁波シールド層付コプレーナ回路を有するフレキシブルプリント配線板20gを得た。図12においては、裏面側グランドパターン(ii)56を透視図で示した。
なお、信号配線53のL/S(ライン/スペース)は特性インピーダンスが±10Ωに入るよう適宜調整した。グランド配線54の幅は100μm、グランド配線54と信号配線53の間の距離は1mmとした。
電磁波シールドシート付きコプレーナ回路を有するフレキシブルプリント配線板20gの露出した信号配線53にネットワークアナライザE5071C(アジレント・ジャパン社製)を接続し、15GHzのサイン波を入力し、伝送損失を測定することで伝送特性を評価した。測定した伝送特性を下記の基準で評価した。
+++:15GHzにおける伝送損失が7.0dB未満。極めて良好である。
++:15GHzにおける伝送損失が7.0dB以上、7.5dB未満。良好である。
+:15GHzにおける伝送損失が7.5dB以上、8.0dB未満。実用可。
NG:15GHzにおける伝送損失が8.0dB以上。実用不可。
<リワーク性>
リワーク性は、ポリイミドに仮貼りした電磁波シールドシートを剥がした際の接着剤層の糊残り面積と算術平均高さで評価した。幅50mm・長さ50mmに切出した電磁波シールドシートの接着剤層を、幅70mm・長さ70mmに切出したポリイミドフィルム(カプトン300H)と貼り合せ、ロールラミネーター(搬送速度:1m/分、温度:90℃、圧力:3kgf/cm)を通過させて仮貼りを行った。得られた仮貼り積層体中の電磁波シールドシートを端部から剥がし、ポリイミド上に残った接着剤の面積を、貼り合せ前の接着剤の面積で除することにより糊残り率を算出した。ついで、糊残り部分から任意の5点を選択し、表面をレーザーマイクロスコープ(キーエンス社製、VK−X100)を使用し、測定データ取得を行い、取得した測定データを解析ソフトウェア(ISO 25178表面性状計測モジュール「VK-H1XR」を備えた、解析アプリケーション「VK−H1XA」、ともにキーエンス社製)に取り込み、ISO25178表面性状計測を実行し、算術平均高さを算出した(条件は、S‐フィルター;1μm、L‐フィルター;0.2mm)。これによって得られた糊残り率、算術平均高さを用いて、下記の基準で評価した。
+++:糊残り率が5%以下、かつ糊残りした部分がある場合には、その算術平均高さが接着剤層厚さの20%未満。極めて良好である。
++:糊残り率が5%越え、15%以下であり、かつその算術平均高さが接着剤層厚さの20%未満。良好である。
+:糊残り率が15%以下、かつ糊残りした部分の算術平均高さが接着剤層厚さの20〜50%。実用可。
NG:糊残り率が15%より大きい、または/および糊残りした部分の算術平均高さが接着剤層厚さの50%より大きい。実用不可。
Figure 2021174948
Figure 2021174948
Figure 2021174948
1 接着剤層
2 金属層
3 保護層
4 連通空隙部
5 第一主面
6 第二主面
7 側面
8 連通空隙孔
9 接合層
10 電磁波シールドシート
15 電磁波シールド層
20 プリント配線板
22 絶縁性基材
23 信号配線
24 グランド配線
25 配線板
26 カバーコート層
27 配線回路基板
28 ビア
30 電磁波シールド層付被着体
31 被着体
50 ポリイミドフィルム
51 スルーホール
52 銅メッキ膜
53 信号配線
54 グランド配線
55 グランドパターン(i)
56 裏面側グランドパターン(ii)

Claims (7)

  1. 保護層、金属層、接着剤層をこの順に備える積層体を有し、
    前記接着剤層は、少なくとも一側面まで延在される連通空隙部を複数有する電磁波シールドシート。
  2. 前記連通空隙部は、前記接着剤層の第一主面から前記第一主面と反対側の第二主面まで貫通する溝、前記接着剤層の内部に形成され、前記第一主面または前記第二主面のいずれか一方から当該接着剤層内部まで凹部状に形成されたスリット、前記第一主面および前記第二主面に露出しない細孔、および前記溝、前記スリット、前記細孔を任意に組み合わせた開口部の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドシート。
  3. 前記溝により、前記接着剤層が複数の島部に分断されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁波シールドシート。
  4. 前記接着剤層が導電性を示すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
  5. 絶縁性基材上に信号配線が形成された配線板と、
    前記配線板上に形成された絶縁性のカバーコート層と、
    前記カバーコート層上に形成された電磁波シールド層とを備え、
    前記電磁波シールド層は、保護層、金属層、および少なくとも一側面まで延在される連通空隙部を複数有する接着剤層をこの順に備える積層体を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波シールドシートから形成されてなるプリント配線板。
  6. 前記電磁波シールド層は、前記電磁波シールドシートの前記連通空隙部に由来する連通空隙孔を有し、
    前記連通空隙孔は、少なくとも一側面まで延在されていることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板。
  7. 保護層、金属層、接着剤層をこの順に備える積層体を有する電磁波シールドシートを形成する工程Aと、
    絶縁性基材上に信号配線が形成された配線板上に、絶縁性のカバーコート層を形成する工程Bと、
    前記カバーコート層上に、前記電磁波シールドシートを載置して熱圧着により電磁波シールド層を形成する工程Cとを有し、
    前記工程Aは、前記接着剤層に、少なくとも一側面まで延在される連通空隙部を複数形成する工程を含み、
    前記電磁波シールド層に、前記連通空隙部に由来する連通空隙孔を形成するプリント配線板の製造方法。
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