JP2021172673A - 光硬化性樹脂組成物およびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物およびそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、優れた透明性および硬化性を有しつつ、かつ透明性および柔軟性に優れた硬化物を形成することができる光硬化性組成物を提供する。【解決手段】(A)成分:エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、およびエポキシ基を有するシロキサン結合を母骨格とする化合物のうちの少なくとも一方の化合物、(B)成分:1分子内にスルフィド基またはエステル結合を有し、かつ2つまたは3つのチオール基を有する化合物、ならびに(C)成分:光塩基発生剤を含み、前記(C)成分の含有率は、前記(A)成分に対して0.5モル百分率以上10モル百分率以下であり、前記(B)成分のチオール当量は150g/eq以下である、光硬化性樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、本発明は、透明性および柔軟性に優れる光硬化性樹脂組成物ならびにそれを用いた液晶表示装置に関する。
光硬化性樹脂組成物として、モノマー、オリゴマー、あるいはポリマーの光硬化速度を向上させるために、光の作用で発生するラジカル種を開始剤(光重合開始剤)として用いた材料が広く開発されてきている。また、光の作用で酸を発生させ、この酸を触媒とするカチオン重合系の材料も盛んに研究されていた。しかしながら、ラジカル光重合系の材料の場合には、空気中の酸素によって重合反応が阻害され硬化反応が抑制されるので、酸素遮断のための特別な工夫が必要とされていた。また、カチオン重合系の材料の場合には、ラジカル光重合系の材料のような酸素による重合反応の阻害(酸素阻害)がない一方、光酸発生剤から発生した強酸が硬化後も残存するために、当該強酸の存在を原因とする腐食性や樹脂の黄変の可能性が問題とされている。
このような背景から、酸素阻害がなく、また酸による腐食や黄変のなく、反応性に優れた新たな反応系として、光の作用で塩基を発生させ、この塩基を触媒とするアニオン重合系の材料が注目されている。
例えば、特許文献1に記載の光硬化性樹脂組成物(ハードコート用光硬化性樹脂組成物)は、アルコキシシラン化合物、平均粒径が1μm以下の弾性ゴム粒子、および光酸発生剤または光塩基発生剤を含む。アルコキシシラン化合物は、官能基として水素原子またはビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基を有する。このような光硬化性組成物に対して光照射をした後、加熱により硬化物が生成される。図3は、ITO付ガラス10上に、特許文献1に記載の光硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させた硬化物9の一例を示す模式図である。
特開2011−6620号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光硬化性樹脂組成物には、平均粒子径が1μm以下の弾性ゴム粒子が含まれており、各原料を混合した際に弾性ゴム粒子が光硬化性樹脂組成物中で十分に分散していない。このため、透明性を維持したまま厚膜(例えば、500μm以上3000μm以下)として光硬化性樹脂組成物を硬化させることができない。したがって、特許文献1に記載の光硬化性樹脂組成物における塗布膜厚での透明性は不十分であると推測される。
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであって、透明性および反応性に優れる光硬化性樹脂組成物であって、得られる硬化物が透明性および柔軟性に優れる光硬化性樹脂組成物ならびにそれを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の光硬化性樹脂組成物は、
(A)成分:エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、およびエポキシ基を有するシロキサン結合を母骨格とする化合物のうちの少なくとも一方の化合物、
(B)成分:1分子内にスルフィド基またはエステル結合を有し、かつ2つまたは3つのチオール基を有する化合物、ならびに
(C)成分:光塩基発生剤
を含み、
(C)成分の含有率は、(A)成分に対して0.5モル百分率以上10モル百分率以下であり、
(B)成分のチオール当量は150g/eq以下である。
本発明の液晶表示装置は、上記光硬化性樹脂組成物を用いる。
本発明によれば、透明性および反応性に優れる光硬化性樹脂組成物であって、得られる硬化物が透明性および柔軟性に優れる光硬化性樹脂組成物ならびにそれを用いた液晶表示装置を提供する。
図1は、本発明の一実施形態の光硬化性樹脂組成物の反応性、透明性、柔軟性を評価するテストピースの模式断面図である。 図2は、本発明の一実施形態の液晶表示装置の概略断面図である。 図3は、従来の光硬化性樹脂組成物から作製された硬化物を示す模式断面図である。 図4は、光硬化性樹脂組成物の組成および評価結果を示す表である。
以下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。本発明は、本発明の目的の範囲で、適宜変更して実施することできる。
以下、光硬化性組成物について詳細に記載する。
以下、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキレン基、炭素原子数1〜4のアルキレン基およびエポキシ基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
炭素原子数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であり、非置換である。炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜10の直鎖アルキル基、炭素原子数3〜10の分岐アルキル基、および炭素原子数4〜10の環状アルキル基が挙げられる。
炭素原子数1〜10の直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、およびn−デシル基が挙げられる。
炭素原子数3〜10の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、およびイソペンチル基が挙げられる。
炭素原子数4〜10の環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロへプチル基が挙げられる。
炭素原子数1〜8のアルキル基は、直鎖状または分岐状であって、非置換である。炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、およびn−オクチル基が挙げられる。
炭素原子数1〜4のアルキル基は、直鎖状または分岐状であって、非置換である。炭素原子数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、およびtert−ブチル基が挙げられる。
炭素原子数1〜8のアルキレン基は、直鎖状または分岐状であって、非置換である。炭素原子数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、およびオクチレン基が挙げられる。
炭素原子数1〜4のアルキレン基は、直鎖状または分岐状であって、非置換である。炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、、およびブチレン基が挙げられる。
エポキシ基は、三員環の構造を有する環状エーテル(オキシラン;CO)から水素原子を1つ除いた1価の置換基(CO−)、またはオキシランにメチレンエーテルが結合した1価の置換基(グリシジルエーテル基;COCHO−)である。
図1は、反応性、透明性、および柔軟性を評価するテストピースの模式断面図である。テストピース2は、光硬化性樹脂組成物の硬化物1とガラス3から構成される。
[光硬化性樹脂組成物の概要]
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物は、
(A)成分:エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、およびエポキシ基を有するシロキサン結合を母骨格とする化合物のうちの少なくとも一方の化合物(以下、(A)成分ということがある)、
(B)成分:1分子内にスルフィド基またはエステル結合を有し、かつ、2つまたは3つのチオール基を有する化合物(以下、(B)成分ということがある)、および
(C)成分:光塩基発生剤(以下、(C)成分ということがある)
を含み、
(C)成分の含有率は、(A)成分に対して0.5モル百分率以上10モル百分率以下であり、
(B)成分のチオール当量は150g/eq以下である。
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物は、
(A)成分、(B)成分、および(C)成分に加えて、
さらに(D)成分:1分子内にエポキシ基を有するアクリル酸エステル共重合物(以下、(D)成分ということがある)および/または(E)成分:1分子内にエポキシ基を有するアクリル酸エステル(以下、(E)成分ということがある)を含んでいてもよい。
なお、本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物は、透明性および反応性、ならびに硬化物の透明性および柔軟性を損なわない範囲において、必要に応じて、各種の樹脂、添加剤等の任意の成分が配合されていてもよい。
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物は、遅延硬化性を有し、例えば、遅延硬化型接着剤として使用可能である。本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物は、遅延硬化性を有しているため、光、例えば、紫外線照射後にも十分な作業時間を確保できる。さらに、加熱により、硬化反応を促進できる。
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物の全光線透過率は、85%以上であることが好ましい。
以下、光硬化性樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
[(A)成分について]
(A)成分は、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、およびエポキシ基を有するシロキサン結合を母骨格とする化合物のうち少なくとも一方の化合物である。
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物は、例えば、下記一般式(1):
Si(OR4−n (1)
[一般式(1)中、Yは下記一般式(2):
−R−X (2)
[一般式(2)中、Xはエポキシ基を表し、Rはアルキレン基を表す]
で表される1価の基を表し、Rはアルキル基を表し、nは1以上3以下の整数を表す]で表される。一般式(1)中のnが1または2を表す場合、複数のRは互いに同一であっても異なってもよい。一般式(1)中のnが2または3を表す場合、複数のYは互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(1)中のRが表すアルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、アルコキシシラン化合物の反応性を向上させる観点からより好ましくはメチル基およびエチル基である。
一般式(2)中のRが表すアルキレン基は、例えば、炭素原子数1〜8のアルキレン基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキレン基であり、アルコキシシラン化合物の反応性を調整する観点からより好ましくはメチレン基、エチレン基、およびプロピレン基である。
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物は、好ましくは3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランである。
また、エポキシ基を有するシロキサン結合を母骨格とする化合物は、例えば、下記一般式(3):
Figure 2021172673
[一般式(3)中、RおよびRは、各々独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基で表され、Zは、酸素原子または硫黄原子を表し、Wは、単結合または炭素原子数1〜8のアルキレン基を表す]で表され、nは繰り返し単位[−Si(R)(R)−O−]の繰り返し単位数(重合度)であり、正の整数を表し、Xは、エポキシ基を表す]で表される。
一般式(3)中、RおよびRは、好ましくは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、シロキサン結合を母骨格とする化合物の反応性を調整する観点からより好ましくはメチル基、エチル基、およびプロピル基を表す。
一般式(4)中、R、RおよびRは、好ましくは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、シロキサン結合を母骨格とする化合物の反応性を調整する観点からより好ましくはメチル基、エチル基、およびプロピル基を表す。
一般式(3)中のnは、好ましくは一般式(3)で表される化合物の分子量が500以上1500以下となる正の整数を表す。前記分子量が500以上である場合、光硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の柔軟性の観点から伸び率が比較的大きく柔軟性に優れる。前記分子量が1500以下である場合、反応時に架橋密度が比較的小さくなり、光硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、柔軟性に優れる。
シロキサン結合を母骨格とする化合物は、好ましくは1分子内に2以上のエポキシ基を有する。
[(B)成分について]
(B)成分は1分子内にスルフィド基(−S−)またはエステル結合(−C(=O)O−)を有し、かつ2つまたは3つのチオール基(−SH)を有する化合物である。(B)成分としては、例えば、1分子内にスルフィド基とチオール基とを有する飽和炭化水素(より具体的には、直鎖状または分岐状のアルカン)、および1分子内にエステル結合とチオール基とを有する飽和炭化水素が挙げられる。(B)成分は、好ましくはビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(BMS)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(TMMP)、および4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(MTBD1)が挙げられる。
(B)成分のチオール当量は、150g/eq以下であり、好ましくは135g/eqであり、より好ましくは100g/eq以下である。
(B)成分のチオール当量とは、1g当量のチオール基を含む(B)成分のグラム数を意味し、ヨウ素滴定法にて測定することができる。
[(C)成分について]
(C)成分は光塩基発生剤である。光塩基発生剤としては、例えば、カルボン酸塩、ボレートアニオンを含む塩、第4級アンモニウム塩、およびカルバメートが挙げられる。(C)成分としてカルボン酸塩、ボレートアニオンを含む塩を用いる場合、脂肪族アミンのような弱塩基から、アミジン、グアニジン、ホスファゼン塩基などの強塩基を発生させることができ、エポキシ系化合物等との反応が連鎖的に進行し、優れた反応効率を備えるため、硬化性に優れる。
(C)成分として第4級アンモニウム塩を用いる場合、イミダゾール、アミジンを塩基反応性化合物として使用することにより、硬化性に優れる。
(C)成分としてカルバメートを用いる場合、カルボン酸塩、ボレートアニオンを含む塩、第4級アンモニウム塩のようなイオン性の光塩基発生剤ほど塩基性としては高くないが、エポキシ系化合物などへの溶解性に優れ、また保存安定にも優れる。
上記の中でもより好ましくは、強塩基を発生させ反応性に優れた(8E)−8−エチルイデン−4−メトキシ−5,6,7,8テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,2−ジソプロピル−3−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピネート、1,2−ジシクロヘキシルー4,4,5,5−テトラメチルジグアジウムn−ブチルトリフェニルボレート、(2―(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン))を用いることができる。
また、(C)成分は、(A)成分に対し0.5モル百分率以上10モル百分率以下で光硬化性樹脂組成物中に配合する。(C)成分の含有率(モル比率)が0.5モル百分率未満である場合、反応性が悪くなり製膜することができなくなる。一方、(C)成分の含有率が10モル百分率を超える場合、反応性は良いが、得られる硬化物の柔軟性が低下する。
[(D)成分について]
(D)成分である1分子内にエポキシ基を有するアクリル酸エステル共重合物は、後述の(E)成分の化合物が2種類以上用いて重合された共重合物である。
[(E)成分について]
(E)成分は、1分子内にエポキシ基を有するアクリル酸エステルである。(E)成分は、好ましくはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、および4−ヒドロキシプロピルアクリレートグリシジルエーテル4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルである。
上記(A)〜(E)成分の他に、柔軟性を有する化合物を入れてもよい。柔軟性を有する化合物として、エラストマーがある。エラストマーを含有する光硬化性樹脂組成物の硬化物は、エラストマーを含有していない光硬化性樹脂組成物の硬化物に比べて、強度の向上、弾性率の低下、伸び率の向上といった物理的特性の変化が生じる。また、エラストマーを含有する光硬化性樹脂組成物は、エラストマーを含有していない光硬化性樹脂組成物に比べて、エラストマー中の極性基が被着体との化学的相互作用を強めたり、エラストマー中の光硬化性樹脂組成物の光塩基系重合性置換基が被着体との化学結合を形成するといった化学的物特性の変化が生じる。このような化学的特性の変化が生じると、光硬化性樹脂組成物の硬化物と被着体との密着性(接着強度)が向上する場合がある。
エラストマーは、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン
系、シリコーン系などの各種高分子物質で形成されている。エラストマーは1種単独で使用可能であり、あるいは2種以上を併用可能である。
[液晶表示装置]
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、上記光硬化性樹脂組成物を用いる。本実施形態に係る液晶表示装置を図2に示す。図2に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置4は、光硬化性樹脂組成物の硬化物1と、カバーパネル5と、筐体6と、ディスプレイパネル7と、回路基板8とからなる。このように、カバーパネル5と、ディスプレイパネル7の間に、光硬化性樹脂組成物の硬化物1を配置することで、視認性の高い液晶表示装置としても適用できる。
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実
施例により何ら限定されるものではない。また、特に明記しない限り、実施例における部
および%は質量基準である。
表1は、実施例および比較例の光硬化性樹脂組成物の組成((A)〜(E)成分などの組成)、ならびにそれらの評価結果を示す。
(実施例1)
実施例1について、以下詳細に説明する。
((A)〜(D)成分および溶媒の準備)
(A)成分として3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBE403」、1000当量)を準備した。(B)成分としてトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート(SC有機化学株式会社製「TMMP」、133当量、3官能)を準備した。(C)成分として(8E)−8−エチルイデン−4−メトキシ−5,6,7,8テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンを準備した。溶媒としてシクロペンタノンを準備した。
(光硬化性組成物の調製)
(A)成分1.400質量部と、(B)成分2.361質量部と、(C)成分0.140質量部とをシクロペンタノン2.0質量部に投入して、混合液を作製した。次いで、遊星式混錬機を用いて、混合液を十分に混練し、光硬化性樹脂組成物(1)を調製した。(C)成分の含有率は、(A)成分に対して6.5モル百分率(6.5モル%)であった。
[評価方法]
(テストピースの作製)
まず、評価用試料としてテストピースを作製した。図1を参照してテストピースの作製方法を説明する。
具体的には、スリットノズルを用いて、調製した光硬化性樹脂組成物(1)をガラス(松波硝子社製「スライドグラスS1111」、厚さ0.8〜1mm)(ガラス基材)3の表面に塗布した。これにより、塗布膜厚500μmの塗布膜を形成した。その後、真空貼合装置を使用し、塗布膜が形成されたガラス3の表面側に、別途準備したガラス3を貼り合せ、積層体を作製した。積層体は、光硬化性樹脂組成物の塗布膜を介して2つのガラス3の表面が対向する構造を有していた。
その後、積層体に光を照射した。光照射は、高圧水銀等を有するベルトコンベアー型紫外線照射器を用いて、積算光量2000mJ/cmの条件で実施された。次いで、積層体を1時間常温(25℃)で放置(静置)した後、熱処理を行った。熱処理条件は、加熱温度50℃および加熱時間30分であった。熱処理により、光硬化性樹脂組成物の塗布膜が硬化物1に硬化した。これにより、硬化物1を介して2つのガラス3が対向して接続するテストピース2を得た。
テストピース2を用いて、以下に示す光硬化性樹脂組成物(1)の反応性、ならびに硬化物1の透明性および柔軟性を評価した。表1にこれらの評価結果を示す。
[評価方法]
(光硬化性樹脂組成物の反応性評価)
反応性に関して、テストピース2を作製する際の、光照射(UV照射)、1時間常温放置、50℃30分の熱処理、および1時間常温放置の計4工程において、光硬化性樹脂組成物(1)が硬化しているかどうかを判断した。表1に各工程での判断結果を「未硬化」、「半硬化」、あるいは「硬化」で示す。上記判断結果から下記評価基準に基づいて光硬化性樹脂組成物(1)の反応性を評価した。
(反応性の評価基準)
○ :熱処理後に硬化している
△ :熱処理後1時間常温放置で硬化している
× :熱処理後1時間常温放置で硬化していない
(光硬化性樹脂組成物(1)およびその硬化物の透明性(光学特性)評価)
光硬化性樹脂組成物(1)の透明性は、光硬化性樹脂組成物(1)の全光線透過率Tを用いて評価した。
積分球式光線透過率測定装置を用いて、テストピース2および積層体の全光線透過率を測定した。表1に測定結果を示す。上記測定結果から下記評価基準に基づいて光硬化性樹脂組成物(1)およびその硬化物の透明性を評価した。
(透明性の評価基準)
○:光硬化性樹脂組成物(1)および硬化物の全光線透過率がいずれも90%以上である
△:光硬化性樹脂組成物(1)および硬化物の全光線透過率がいずれも85%以上90%未満である
×:光硬化性樹脂組成物(1)および硬化物の全光線透過率がいずれも85%未満である
(硬化物の柔軟性評価)
硬化物1の柔軟性は、硬化物1のガラス転移点(ガラス転移温度)を用いて評価した。テストピース2から硬化物1を取り出し、測定試料とした。
示差熱量分析計(DSC)(SII製「DSC7000X」)を用いて硬化物1のガラス転移点(単位:℃)を測定した。温度プロファイルは、−45℃から25℃まで昇温するものであった。表1に測定結果を示す。得られた側手結果から下記評価基準に基づいて硬化物1の柔軟性を評価した。
(柔軟性の評価基準)
〇 :硬化物1のガラス転移点が−15℃未満である
△ :硬化物1のガラス転移点が−15℃以上−10℃以下である
× :硬化物1のガラス転移点が−10℃を超える
(総合判定)
上記透明性、柔軟性、反応性の評価結果から下記評価基準に基づいて総合的に評価した。
◎ :反応性、透明性、および柔軟性の評価結果がそれぞれで全て○である
○ :総合判定◎および×以外である
× :反応性、透明性、および柔軟性の評価結果のうち少なくとも1つが×である
[実施例2〜5および比較例1〜4]
表1に示す組成および配合量に変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化性組成物2〜5およびC1〜C4を作製した。透明性等の評価を行った。表1に評価結果を示す。比較例1では、光硬化性樹脂組成物が硬化せず、硬化物を得ることができなかった。このため、硬化物の全光線透過率を測定できず、硬化物の透明性を評価できなかった。また、硬化物のガラス転移点を測定できず、硬化物の柔軟性を評価できなかった。
表1に示すように、実施例1〜5の光硬化性樹脂組成物(1)〜(5)は、(A)成分〜(C)成分を含んでいた。光硬化性樹脂組成物(1)〜(5)では、(C)成分の含有率は(A)成分に対して0.5モル百分率以上10モル百分率以下であった。また、(B)成分の化合物は、2つまたは3つのチオール基を有していた。(B)成分のチオール当量は、150g/eq以下であった。
表1に示すように、実施例1〜5の光硬化性樹脂組成物(1)〜(5)では、透明性、反応性および柔軟性に関する総合評価の結果がすべて〇であった。
表1に示すように、比較例1〜2の光硬化性樹脂組成物(C1)〜(C2)では、(C)成分の含有率が(A)成分に対して0.5モル百分率未満であるか、または10モル百分率を超えていた。比較例3の光硬化性樹脂組成物(C3)では、(B)成分のチオール当量が150g/eqを超えていた。比較例4の光硬化性樹脂組成物(C4)では、(B)成分の化合物は、4つのチオール基を有していた。
表1に示すように、比較例1〜4の光硬化性樹脂組成物(C1)〜(C4)では、透明性、反応性および柔軟性に関する総合評価の結果がすべて×であった。詳しくは、比較例1の光硬化性樹脂組成物(C1)では、反応性の評価結果が×であった。これは、比較例1では(C)成分は(A)成分に対し0.5モル百分率以下であり、エポキシとチオールが反応する際に反応性が悪くなったことが考えられる。比較例3の光硬化性樹脂組成物(C3)では、反応性の評価結果が△であった。
比較例1の光硬化性樹脂組成物(C1)では、未硬化であったため、透明性および柔軟性を評価できなかった。比較例3の光硬化性樹脂組成物(C3)では、透明性の評価結果が×であった。
比較例2〜4の光硬化性樹脂組成物(C2)〜(C4)では、柔軟性の評価結果がすべて×であった。比較例2では(C)成分は(A)成分に対し10モル百分率を超えているため、UV照射直後に硬化でき反応性は良いが、UV照射面と表面深さ方向でエポキシとチオールの架橋密度が異なり、柔軟性としてはガラス転移度が悪くなったと考えられる。
一方、比較例3では(B)成分のチオール当量が175当量であり、実施例1〜5での(B)成分の150g/eq以下のチオール当量に比べ大きい。このため、エポキシとチオールの反応性が小さくなり、架橋がうまくできず、ガラス転移度が増加し、柔軟性が低下したものと考えられる。また比較例4では(B)成分のチオール基が4つであり、チオール当量がエポキシとチオールの反応性は良くなるが、エポキシとチオールの架橋が多くなり、柔軟性としてはガラス転移度が悪くなったと考えられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物1は、液晶表示装置4の貼り合せ材料として利用することができ、貼り合せ材料のない場合より視認性の高くすることが可能である。液晶表示装置用途の貼り合せ材料以外にもコーティング材や接着剤としても適用できる。
1 光硬化性樹脂組成物の硬化物
2 テストピース
3 ガラス
4 液晶表示装置
5 カバーパネル
6 筐体
7 ディスプレイパネル
8 回路基板
9 硬化物
10 ITO付ガラス

Claims (7)

  1. (A)成分:エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、およびエポキシ基を有するシロキサン結合を母骨格とする化合物のうちの少なくとも一方の化合物、
    (B)成分:1分子内にスルフィド基またはエステル結合を有し、かつ2つまたは3つのチオール基を有する化合物、ならびに
    (C)成分:光塩基発生剤
    を含み、
    前記(C)成分の含有率は、前記(A)成分に対して0.5モル百分率以上10モル百分率以下であり、
    前記(B)成分のチオール当量は150g/eq以下である、光硬化性樹脂組成物。
  2. 全光線透過率が85%以上である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分のうち前記シロキサン結合を母骨格とする化合物は、1分子内に2つ以上のエポキシ基を有する、請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(C)成分は、カルボン酸塩、ボレートアニオンを含む塩、第4級アンモニウム塩、およびカルバメートから選ばれる少なくとも1つを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. さらに、(D)成分:1分子内にエポキシ基を有するアクリル酸エステル共重合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. さらに、(E)成分:1分子内にエポキシ基を有するアクリル酸エステルを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いた液晶表示装置。
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