JP2021169959A - 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置 - Google Patents

被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021169959A
JP2021169959A JP2020073084A JP2020073084A JP2021169959A JP 2021169959 A JP2021169959 A JP 2021169959A JP 2020073084 A JP2020073084 A JP 2020073084A JP 2020073084 A JP2020073084 A JP 2020073084A JP 2021169959 A JP2021169959 A JP 2021169959A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
artificial
metal material
swelling
size
corrosion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020073084A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6733844B1 (ja
Inventor
照朗 浅田
Teruaki Asada
將展 佐々木
Masanori Sasaki
勉 重永
Tsutomu Shigenaga
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2020073084A priority Critical patent/JP6733844B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6733844B1 publication Critical patent/JP6733844B1/ja
Priority to CN202110184020.9A priority patent/CN113533191B/zh
Priority to EP21162061.2A priority patent/EP3896428B1/en
Priority to US17/199,491 priority patent/US11821832B2/en
Publication of JP2021169959A publication Critical patent/JP2021169959A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N17/00Investigating resistance of materials to the weather, to corrosion, or to light
    • G01N17/006Investigating resistance of materials to the weather, to corrosion, or to light of metals
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N17/00Investigating resistance of materials to the weather, to corrosion, or to light
    • G01N17/02Electrochemical measuring systems for weathering, corrosion or corrosion-protection measurement
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Ecology (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Biodiversity & Conservation Biology (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)

Abstract

【課題】簡便且つ信頼性が高く、汎用性に優れた被覆金属材の耐食性試験方法をもたらす。【解決手段】被覆金属材1の耐食性試験方法は、被覆金属材1の2箇所に人工傷5を加える準備ステップと、人工傷5の大きさを計測する第1計測ステップと、2箇所の人工傷5を、含水材料6を介して外部回路7で電気的に接続する接続ステップと、鋼板2に通電することにより人工傷5で電着塗膜4の膨れを発生させる通電ステップと、電着塗膜4の膨れの大きさを計測する第2計測ステップと、人工傷5の大きさと電着塗膜4の膨れの大きさとに基づいて被覆金属材1の腐食の進行度合いを算出する算出ステップと、人工傷5の大きさと予め試験的に求めておいた人工傷5の大きさと腐食の進行度合いとの相関関係とに基づいて、腐食の進行度合いを補正する補正ステップと、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置に関する。
従来、塗膜性能を評価する手法として複合サイクル試験、塩水噴霧試験等の腐食促進試験が行われている。
しかし、かかる腐食促進試験においては、評価に数ヶ月を要するため、例えば塗装鋼板の構成材料や焼付条件の異なる塗膜の膜質を簡便に評価し、塗装条件の最適化等を迅速に行うことが困難である。従って、材料開発、塗装工場の工程管理、車両防錆に係る品質管理の場において、塗装鋼板の耐食性を迅速且つ簡便に評価する定量評価法の確立が望まれている。
これに対して、特許文献1には、金属部材の表面に施された皮膜の耐食性を評価する手法として、金属部材及び対極部材を水又は電解質液に浸漬し、測定電源の負端子側を金属部材に、正端子側を対極部材に電気的に接続し、対極部材から皮膜を通して金属部材に流れる酸素拡散限界電流に基づいて当該皮膜の防食性能を評価することが記載されている。
特許文献2には、塗装金属材の塗膜表面側に電解質材料を介して電極を配置し、塗装金属材の基材と塗膜表面との間に電圧を印加し、塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、塗装金属材の耐食性を評価することが記載されている。
特許文献3には、塗装金属材の塗膜表面側に電解質材料を介して電極を配置し、塗装金属材の塗膜に電解質材料を浸透させ、塗装金属材の基材と塗膜表面との間に電圧を印加し、該電圧の印加に伴って流れる電流に関する値に基づき、塗装金属材の耐食性を評価することが記載されている。
特開2007−271501号公報 特開2016−50915号公報 特開2016−50916号公報
特許文献1〜3に記載された耐食性試験方法においても、塗装金属材の耐食性を評価することができるが、より信頼性が高い評価結果が得られる耐食性試験の確立が求められる。
本願発明者らは、被覆金属材の腐食は金属製基材の表面処理膜の傷に起因して進行することが多いことに着目し、そのような腐食を模擬した電気化学的耐食性試験方法について既に出願を行っている(特開2019−032171等)。
当該方法は、特許文献1〜3に記載された耐食性試験方法に比べて、簡便且つ信頼性の高い方法であるが、人工傷の大きさ、形状等の試験結果への影響を考慮すると、汎用性を高めるという点で改善の余地があった。
そこで、本発明は、簡便且つ信頼性が高く、汎用性に優れた被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置をもたらすことを課題とする。
上記課題を解決するために、ここに開示する被覆金属材の耐食性試験方法は、金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験方法であって、上記被覆金属材の相離れた2箇所に、上記表面処理膜を貫通して上記金属製基材に達する人工傷を加える準備ステップと、上記人工傷の大きさを計測する第1計測ステップと、上記2箇所の人工傷を、該人工傷に接触する含水材料を介して外部回路で電気的に接続する接続ステップと、上記外部回路によって上記金属製基材に通電することにより、上記2箇所の人工傷の少なくとも一方で、上記表面処理膜の膨れを発生させる通電ステップと、上記表面処理膜の膨れの大きさを計測する第2計測ステップと、上記2箇所の人工傷のうち上記表面処理膜の膨れが大きい方について、上記第1計測ステップで計測した上記人工傷の大きさと、上記第2計測ステップで計測した上記表面処理膜の膨れの大きさと、に基づいて、上記被覆金属材の腐食の進行度合いを算出する算出ステップと、上記表面処理膜の膨れが大きい方の上記人工傷の大きさと、予め試験的に求めておいた人工傷の大きさと上記被覆金属材の腐食の進行度合いとの相関関係と、に基づいて、上記算出ステップで算出した上記被覆金属材の腐食の進行度合いを補正する補正ステップと、を備えたことを特徴とする。
金属の腐食は、水と接触する金属が溶解(イオン化)して遊離電子を生ずるアノード反応(酸化反応)と、その遊離電子によって水中の溶存酸素が水酸基OHを生成するカソード反応(還元反応)が同時に起こることで進行することが知られている。
本構成では、被覆金属材の2箇所の人工傷は、含水材料を介して外部回路により電気的に接続されているから、通電することにより、上記アノード反応及び上記カソード反応の少なくとも一方の反応サイトとなる。アノード反応が進行する人工傷では、金属製基材の金属が溶出するとともに電子が発生する。カソード反応が進行する人工傷では、アノード反応により生じた電子が金属製基材を介して当該人工傷に流入することにより当該カソード反応が進行する。そうして、カソード反応が進行する人工傷では、表面処理膜に浸透した水や溶存酸素、水中の電離Hとの反応により水素やOHが発生するとともに、水の電気分解により水素が発生する。人工傷におけるこれらの反応は、被覆金属材の実際の腐食を加速再現するものである。
アノード反応が進行する人工傷では、金属製基材の金属がイオン化して含水材料に溶解して、金属製基材側に電子が遊離される。この反応は単独では起こらず、遊離した電子を受け取る反応が必要であり、それがカソード反応である。
カソード反応が進行する人工傷では、OHの生成によりアルカリ性環境になる。これにより、金属製基材表面の下地処理(化成処理)がダメージを受けて表面処理膜の密着性が低下し(下地処理がされていない場合は単純に金属製基材と表面処理膜の密着性が低下し)、表面処理膜の膨れが発生する。また、水の電気分解やHの還元により発生した水素ガスが表面処理膜の膨れを促進する。従って、カソード反応が進行した人工傷における表面処理膜の膨れの程度をみることによって、被覆金属材の腐食の進行度合いを計ることができる。
カソード反応が進行する人工傷の大きさにばらつきがあると、人工傷において進行する水の電気分解反応の進行度合い、表面処理膜の膨潤による人工傷の閉じ具合、表面処理膜の膨れ内で発生した水素ガスの脱泡度合い等にばらつきが生じる。そうして、表面処理膜の膨れの大きさにもばらつきが生じ、耐食性試験の信頼性が低下する。しかしながら、そのようなばらつきの発生を抑制するために、全く同一の大きさの人工傷を形成することは難しい。
本構成では、補正ステップにおいて、第1計測ステップで計測した人工傷の大きさと、予め試験的に求めておいた人工傷の大きさと被覆金属材の腐食の進行度合いとの相関関係と、に基づいて、算出ステップで算出した被覆金属材の腐食の進行度合いを補正する。これにより、カソード反応が進行する人工傷の通電前の大きさによらず、被覆金属材の腐食の進行度合いを精度よく評価できる。そうして、耐食性試験の信頼性及び汎用性を高めることができる。
一実施形態では、上記通電ステップで、上記2箇所の人工傷のうち一方はアノードサイトとなるとともに、他方はカソードサイトとなり、上記表面処理膜の膨れが大きい方の上記人工傷は、上記カソードサイトとなった人工傷である。
人工傷を相離れた2箇所に形成した場合、一方はアノード反応が進行するサイト、すなわちアノードサイトとなるとともに、他方はカソード反応が進行するサイト、すなわちカソードサイトとなることが望ましい。
アノードサイトでは、アノード反応が進行するから、上述のごとく表面処理膜の膨れはほとんど発生しない。一方、カソードサイトでは、カソード反応が進行するから、上述のごとく、表面処理膜の膨れが生じる。
本構成によれば、カソードサイトとなった人工傷の通電前の大きさとその表面処理膜の膨れの大きさとに基づいて腐食の進行度合いを算出するから、耐食性試験の信頼性を向上できる。
一実施形態では、上記腐食の進行度合いは、上記表面処理膜の膨れの進展速度であり、上記算出ステップで、上記2箇所の人工傷のうち上記表面処理膜の膨れが大きい方について、上記第1計測ステップで計測した上記人工傷の大きさと、上記第2計測ステップで計測した上記表面処理膜の膨れの大きさと、上記通電ステップにおける通電情報と、に基づいて、上記表面処理膜の膨れの進展速度を算出する。
カソード反応が進行した人工傷における表面処理膜の膨れの進展速度は、腐食が進展する速度に相当する。従って、被覆金属材1の腐食の進行度合いとして、表面処理膜の膨れの進展速度を得ることにより、信頼性の高い耐食性試験が可能となる。なお、本明細書において、「通電情報」は、通電時の電流値、電圧値、通電時間等の情報を意味する。
一実施形態では、上記表面処理膜の膨れが大きい方の上記人工傷の形状は、平面視で点状である。
本明細書において、「点状」とは、平面視において円形、多角形等の形状であり、その最大幅と最小幅との比が2以下の形状であることをいう。なお、人工傷の最大幅を「径」という。
本構成によれば、腐食に伴い表面処理膜を有効にドーム状に膨れさせることができ、腐食の促進性を向上できる。
好ましくは、上記第1計測ステップで、上記人工傷の大きさとして、上記人工傷の径を計測する。
本構成によれば、人工傷の大きさを精度よく計測できる。
好ましくは、上記人工傷の径は0.1mm以上5mm以下である。
カソード反応が進行する人工傷の径(金属製基材の露出径)に関しては、その径が小さくなりすぎると、通電性が低下してカソード反応が進み難くなる。一方、その径が大きくなりすぎると、カソード反応が不安定になり、腐食の加速再現性が低下する。人工傷の径を上記範囲とすることにより、カソード反応の促進と腐食の加速再現性を両立できる。
なお、上記2箇所の人工傷間の距離は、表面処理膜の膨れの確認の容易さの観点から、2cm以上であることが好ましく、3cm以上であることがさらに好ましい。
当該耐食性試験に供するに適した被覆金属材としては、例えば、金属製基材に表面処理膜として樹脂塗膜が設けられた塗装金属材がある。このような塗装金属材では、金属製基材と樹脂塗膜との間で塗膜膨れが進行しやすく、耐食性試験の信頼性が向上する。
金属製基材は、例えば、家電製品、建材、自動車部品等を構成する鋼材、例えば、冷間圧延鋼板(SPC)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、高張力鋼板又はホットスタンプ材等であり、或いは軽合金材であってもよい。金属製基材は、表面に化成皮膜(リン酸塩皮膜(例えば、リン酸亜鉛皮膜),クロメート皮膜等)が形成されたものであってもよい。
樹脂塗膜としては、具体的には例えば、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系等のカチオン電着塗膜(下塗り塗膜)があり、電着塗膜に上塗り塗膜が重ねられた積層塗膜、電着塗膜に中塗り塗膜及び上塗り塗膜が重ねられた積層塗膜等であってもよい。
上記金属製基材への通電のために、外部回路はその両端の各々に、上記含水材料に埋没状態に設けられた電極を備えることができる。そのような電極としては、炭素電極、白金電極等を使用することができる。また、特に、上記表面処理膜に相対する少なくとも一つの貫通孔を有する有孔電極を採用することができ、該有孔電極を上記表面処理膜と略平行に配置することが好ましい。例えば、有孔電極は、中央に貫通孔を有するリング状とされ、該貫通孔が上記人工傷に相対するように設けられる。或いは、有孔電極としてメッシュ状の電極を採用し、該メッシュ電極を上記含水材料に埋没した状態で上記表面処理膜と略平行になるように配置してもよい。
一実施形態では、上記通電は、定電流制御で行われ、上記定電流制御の電流値は10μA以上10mA以下の範囲で設定され得る。電流値を上記範囲とする定電流制御により、試験時間の短縮化と試験の信頼性の向上とを両立させることができる。
一実施形態では、上記含水材料は、泥状物であり、上記2箇所の人工傷部各々の上記表面処理膜の表面に設けられ得る。また、上記含水材料は、水、支持電解質及び粘土鉱物を含有してもよい。上記支持電解質は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも一つの塩としてもよい。上記粘土鉱物は、層状ケイ酸塩鉱物又はゼオライトである。上記層状ケイ酸塩鉱物は、カオリナイト、モンモリロナイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト及びタルクから選択される少なくとも一つとしてもよい。
上記接続ステップで、上記含水材料を上記表面処理膜の表面上に配置した状態で1分以上1日以下保持してもよい。本構成によれば、表面処理膜への含水材料の浸透を予め促すことができる。そうして、試験時間の短縮化及び耐食性試験の信頼性向上が可能となる。
ここに開示する被覆金属材の耐食性試験装置は、金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験装置であって、上記被覆金属材の相離れた2箇所に人工的に加えられた、上記表面処理膜を貫通して上記金属製基材に達する人工傷間を、該人工傷に接触する含水材料を介して電気的に接続する外部回路と、上記2箇所の人工傷の少なくとも一方で、上記表面処理膜の膨れが発生するように、上記外部回路によって上記金属製基材に通電する通電手段と、上記人工傷の大きさを計測する第1計測手段と、上記表面処理膜の膨れの大きさを計測する第2計測手段と、上記2箇所の人工傷のうち上記表面処理膜の膨れが大きい方について、上記第1計測手段により計測した上記人工傷の大きさと、上記第2計測手段により計測した上記表面処理膜の膨れの大きさと、に基づいて、上記被覆金属材の腐食の進行度合いを算出する算出手段と、上記表面処理膜の膨れが大きい方の上記人工傷の大きさと、予め試験的に求めておいた人工傷の大きさと上記被覆金属材の腐食の進行度合いとの相関関係と、に基づいて、上記算出手段により算出された上記被覆金属材の腐食の進行度合いを補正する補正手段と、を備えたことを特徴とする。
カソード反応が進行する人工傷の大きさにばらつきがあると、人工傷において進行する水の電気分解反応の進行度合い、表面処理膜の膨潤による人工傷の閉じ具合、表面処理膜の膨れ内で発生した水素ガスの脱泡度合い等にばらつきが生じる。そうして、表面処理膜の膨れの大きさにもばらつきが生じ、耐食性試験の信頼性が低下する。しかしながら、そのようなばらつきの発生を抑制するために、全く同一の大きさの人工傷を形成することは難しい。
本構成では、補正手段を用い、表面処理膜の膨れが大きい方の人工傷の大きさと、予め試験的に求めておいた人工傷の大きさと被覆金属材の腐食の進行度合いとの相関関係と、に基づいて、算出により算出した被覆金属材の腐食の進行度合いを補正する。これにより、カソード反応が進行する人工傷の通電前の大きさによらず、被覆金属材の腐食の進行度合いを精度よく評価できる。そうして耐食性試験の信頼性及び汎用性を向上できる。
一実施形態では、第1計測手段及び/又は第2計測手段は、被覆金属材の表面、すなわち表面処理膜の表面の画像データを取得するための検出手段と、この検出手段に接続された制御装置と、により構成され得る。検出手段は、例えばカメラ、デジタル顕微鏡、光学顕微鏡及び電子顕微鏡等である。検出手段により取得された画像データは、制御装置に送られる。制御装置は、当該画像データ上で、人工傷の大きさ及び/又は表面処理膜の膨れの大きさを計測するように構成されている。本構成によれば、検出手段により取得した画像データを用いるから、精度よく人工傷の大きさ及び/又は表面処理膜の膨れの大きさを計測できる。
一実施形態では、上記相関関係は、上記人工傷の大きさに対応する補正係数である。
相関関係として、人工傷の大きさに対応する補正係数を予め算出しておくことにより、補正が容易となる。そうして、簡易な構成で信頼性及び汎用性の高い耐食性試験が可能となる。
本開示では、補正ステップにおいて、第1計測ステップで計測した人工傷の大きさと、予め試験的に求めておいた人工傷の大きさと被覆金属材の腐食の進行度合いとの相関関係と、に基づいて、算出ステップで算出した被覆金属材の腐食の進行度合いを補正する。これにより、カソード反応が進行する人工傷の通電前の大きさによらず、被覆金属材の腐食の進行度合いを精度よく評価できる。そうして、耐食性試験の信頼性及び汎用性を高めることができる。
第1実施形態に係る耐食性試験の原理及び耐食性試験装置を示す図。 第1実施形態に係る耐食性試験方法を説明するためのフロー図。 人工傷の一例を示すデジタル顕微鏡像。 第1計測ステップを説明するための図。 供試材1の耐食性試験後の人工傷の写真。 供試材2、3における人工傷の径と腐食進展速度の指数との関係を示すグラフ。 第1実施形態の耐食性試験における定電流通電制御時の電流プロット図。 第2実施形態の耐食性試験における定電圧通電制御時の電流プロット図。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る耐食性試験方法の原理及び耐食性試験装置の一例を示す。同図において、1は被覆金属材、30は耐食性試験装置である。
本実施形態における被覆金属材1は、鋼板2の表面に化成皮膜3が形成されてなる金属製基材に、表面処理膜としての電着塗膜4(樹脂塗膜)が設けられたものである。
被覆金属材1には、相離れた2箇所に電着塗膜4及び化成皮膜3を貫通して鋼板2に達する人工傷5が加えられている。
<耐食性試験装置>
図1に示すように、本実施形態に係る耐食性試験装置30は、円筒11と、外部回路7と、通電手段8と、カメラ31(第1計測手段、第2計測手段、検出手段)と、制御装置33(第1計測手段、第2計測手段、算出手段、補正手段)と、を備える。なお、図1は、後述する接続ステップS3の状態を示している。
−円筒−
被覆金属材1の人工傷5が形成された2箇所の部分には、人工傷5よりも大径の円筒11が人工傷5と同心状に設けられている。円筒11は、含水材料6を収容して、電着塗膜4の表面上に保持するためのものである。含水材料6は、円筒11内に収容された状態で、電着塗膜4の表面に接触しているとともに、人工傷5内に浸入している。
含水材料6は、水、支持電解質及び粘土鉱物を含有してなる泥状物であり、導電材としての機能を有する。含水材料6が粘土鉱物を含有する泥状物であることにより、後述する接続ステップS3及び通電ステップS4において、含水材料6中のイオン及び水が人工傷5周りの電着塗膜4に浸透し易くなる。
支持電解質は、塩であり、含水材料6に十分な導電性を付与するためのものである。支持電解質としては、具体的には例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、酒石酸水素カリウム及び硫酸マグネシウムから選択される少なくとも一つの塩を採用することができる。支持電解質としては、特に好ましくは塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化カルシウムから選択される少なくとも一つの塩を採用することができる。含水材料6における支持電解質の含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは3質量%以上15質量%以下であること、特に好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
粘土鉱物は、含水材料6を泥状にするとともに、電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透を促進させ、腐食の進行を促すためのものである。粘土鉱物としては、例えば、層状ケイ酸塩鉱物又はゼオライトを採用することができる。層状ケイ酸塩鉱物としては、例えば、カオリナイト、モンモリロナイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト及びタルクから選択される少なくとも一つを採用することができ、特に好ましくはカオリナイトを採用することができる。含水材料における粘土鉱物の含有量は、好ましくは1質量%以上70質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下、特に好ましくは20質量%以上30質量%以下である。なお、含水材料6が泥状物であることにより、電着塗膜4が水平になっていない場合でも、該電着塗膜4の表面に含水材料6を設けることができる。
含水材料6は、水、支持電解質及び粘土鉱物以外の添加物を含有してもよい。このような添加物としては、具体的には例えばアセトン、エタノール、トルエン、メタノール等の有機溶剤が挙げられる。含水材料6が有機溶剤を含有する場合は、有機溶剤の含有量は、水に対して体積比で5%以上60%以下であることが好ましい。その体積比は、10%以上40%以下であること、20%以上30%以下であることがさらに好ましい。
−外部回路−
外部回路7は、含水材料6を介して被覆金属材1の2箇所の人工傷5部分を電気的に接続するためのものである。外部回路7の両端の各々には電極12が設けられ、その電極12は円筒11内の含水材料6に埋没状態に設けられている。電極12としては、限定する意図ではないが、例えば炭素電極、白金電極等を使用することができる。
電極12は、中央に貫通孔12aを有するリング状の有孔電極であり、該貫通孔12aが人工傷5に相対し該人工傷5と同心になるように、電着塗膜4と平行に配置されている。
後述する通電ステップS4では、人工傷5において水素ガスが発生し得る。電極12が貫通孔12aを有していることにより、水素ガスは貫通孔12aを通って抜けるから、電極12と電着塗膜4の間に水素ガスが滞留することが避けられる。そうして、通電性が悪化することが避けられる。
−通電手段−
通電手段8は、外部回路7によって鋼板2に通電するためのものであり、直流の定電流源からなる。通電手段8としては、例えば、ガルバノスタットを採用することができる。通電手段8は、制御装置33と電気的に接続又はワイヤレス接続されている。通電手段8は、制御装置33により定電流制御される。また、通電手段8により外部回路7に印加された電流値及び通電時間等の通電情報は、制御装置33に送られる。電流値は好ましくは10μA以上10mA以下、より好ましくは100μA以上5mA以下、特に好ましくは500μA以上2mA以下に制御される。電流値が10μA未満では、腐食の加速性が低下して試験に長時間を要するようになる。一方、電流値が10mAを超えると、腐食反応速度が不安定になり、実際の腐食の進行との相関性が悪くなる。電流値を上記範囲とすることにより、試験時間の短縮化と試験の信頼性の向上とを両立させることができる。
−カメラ−
カメラ31は、被覆金属材1の表面の写真を撮影するための装置であり、例えばCCDカメラ等からなる。カメラ31は、制御装置33に電気的に接続又はワイヤレス接続されている。カメラ31により撮影された写真、すなわち画像データは、制御装置33に送られる。カメラ31は、後述する第1計測ステップS2及び第2計測ステップS5において、それぞれ通電ステップS4前の人工傷5の写真(図3、図4参照)及び通電ステップS4後の人工傷5周りの電着塗膜4の膨れの写真を撮影する。
−制御装置−
制御装置33は、例えば周知のマイクロコンピュータをベースとする装置であり、演算部331(算出手段、補正手段)と、各種データを格納する記憶部332と、演算部331の結果等に基づいて制御信号を出力し各種制御を行う制御部333と、を備える。また、制御装置33は、図示はしないが、例えばディスプレイ等からなる表示部、キーボード等からなる入力部等を備えてもよい。記憶部332は、各種データ及び演算処理プログラム等の情報が格納されている。演算部331は、記憶部332に格納された上記情報、入力部を介して入力された情報等に基づいて、各種演算処理を行う。制御部333は、演算部331の演算結果に基づいて、制御対象に制御信号を出力し、各種制御を行う。
制御装置33は、上述のごとく、通電手段8及びカメラ31と、電気的に接続又はワイヤレス接続されている。上述のごとく、通電手段8により外部回路7に印加された電流値及び通電時間等の通電情報、カメラ31により撮影された画像データ等は、制御装置33に送られ、記憶部332に格納される。また、制御部333は、通電手段8に制御信号を出力し、通電手段8により外部回路7に印加される電流値を制御する。なお、制御装置33は、例えばカメラ31にも制御信号を出力し、カメラ31による撮影タイミング等を制御するように構成されてもよい。
演算部331は、記憶部332に格納された被覆金属材1の表面の画像データに基づき、後述する第1計測ステップS2では、人工傷5の大きさとしての径を、後述する第2計測ステップS5では、人工傷5周りの電着塗膜4の膨れの大きさを計測する。
また、演算部331は、後述する算出ステップS6及び補正ステップS7において、それぞれ、被覆金属材1の腐食の進行度合いを算出及び補正する。
<耐食性試験方法>
本実施形態に係る耐食性試験方法は、図2に示すように、準備ステップS1と、第1計測ステップS2と、接続ステップS3と、通電ステップS4と、第2計測ステップS5と、算出ステップS6と、補正ステップS7と、を備える。以下、各ステップについて説明する。
−準備ステップ−
準備ステップS1では、被覆金属材1の相離れた2箇所に、電着塗膜4及び化成皮膜3を貫通して鋼板2に達する人工傷5を人工的に加える。
一般に、塗膜を備えた被覆金属材では、例えば塩水などの腐食因子が塗膜に浸透し、基材に到達することで腐食が開始する。従って、被覆金属材の腐食過程は、腐食が発生するまでの過程と腐食が進展する過程とに分けられ、それぞれ腐食が開始するまでの期間(腐食抑制期間)と腐食が進展する速度(腐食進展速度)とを求めることにより評価することができる。
電着塗膜4及び化成皮膜3を貫通して鋼板2に達する人工傷5を加えると、人工傷5が加えられた箇所は錆び始める。従って、人工傷5を加えることにより、被覆金属材1の腐食過程のうち、腐食が発生するまでの過程が終了した状態、すなわち腐食抑制期間終了時の状態を模擬的に作り出すことができる。
2箇所の人工傷5のうち、少なくとも一方は、点状に形成されていることが望ましい。「点状」とは、平面視において円形、多角形等の形状であり、その最大幅と最小幅との比が2以下の形状であることをいう。また、後述する第2計測ステップS5で計測する電着塗膜4の膨れの大きさが大きい方の人工傷5は、この準備ステップS1において、点状に形成されていることが好ましい。さらに、後述する通電ステップS4でカソード反応が進行する人工傷5、すなわちカソードサイトとなる人工傷5は、点状に形成されていることが好ましい。この場合、アノードサイトとなる人工傷5の形状は特に限定されず、点状であってもよいし、例えばカッター傷のような線状等であってもよい。
人工傷5を付ける道具の種類は特に問わない。点状の人工傷5を形成する場合には、人工傷5の大きさや深さにばらつきを生じないように、すなわち、定量的に傷を付ける観点から、例えば、自動傷付けポンチを用いる方法、ビッカース硬さ試験機を用いてその圧子により所定荷重で傷を付ける方法等が好ましい。点状以外の形状、例えば上述の線状の人工傷5を形成する場合には、カッター等を用いればよい。
図3に、自動傷付けポンチ(RACODON 206G)により形成した点状の人工傷の一例を示す。図3の人工傷は、平面視で円形を有している。人工傷5が点状であることにより、腐食に伴い電着塗膜4を有効にドーム状に膨れさせることができ、腐食の促進性を向上できる。
2箇所の人工傷5間の距離は電着塗膜4の膨れの確認の容易さの観点から、2cm以上であることが好ましく、3cm以上であることがさらに好ましい。
−第1計測ステップ−
第1計測ステップS2は、人工傷5の大きさを計測するステップである。人工傷5の大きさは、人工傷5の径又は表面積、好ましくは径である。例えば人工傷5の形状が平面視で円形の場合、人工傷5の表面積は、円の面積で与えられる。なお、本実施形態では、人工傷5の大きさは、鋼板2の露出部の大きさと同一と想定している。
具体的には、図4に示すように、上述のカメラ31を用いて、電着塗膜4の表面上における人工傷5周辺を撮影する。得られた画像データ上で、演算部331により人工傷5の大きさを計測する。
計測する人工傷5は、2箇所ともであってもよいし、通電ステップS4においてカソードサイトとなる人工傷5のみであってもよい。
人工傷5の形状が点状の場合、人工傷5の径、特にカソードサイトとなる人工傷5の径は、好ましくは0.1mm以上5mm以下(人工傷5の表面積は0.01mm以上25mm以下)、より好ましくは0.15mm以上2.0mm以下、特に好ましくは0.2mm以上1.5mm以下とすることができる。
後述するように、上記好ましい範囲においては、径が小さいほど、腐食の加速性は上昇する。もっとも、その径が0.1mm未満まで小さくなると、通電性が低下してカソード反応が進み難くなる。一方、径が5mmを超えて大きくなると、カソード反応が不安定になるとともに、後述する電着塗膜4の膨れの進行が遅くなる。人工傷5の径を上記範囲とすることにより、カソード反応及び電着塗膜4の膨れの進行が促進される。
−接続ステップ−
接続ステップS3は、2箇所の人工傷5を、該人工傷5に接触する含水材料6を介して外部回路7で電気的に接続するステップである。
具体的には例えば、まず、被覆金属材1の電着塗膜4の上に、2箇所の人工傷5各々を囲む円筒11を立て、円筒11の中に泥状の含水材料6を所定量入れる。このとき、円筒11は人工傷5と同心に設けることが好ましい。次に、外部回路7の両端の各々に設けられたリング状の電極12を、各円筒11に入れ、含水材料6に埋没した状態になるようにする。このとき、電極12は、電着塗膜4の表面と平行になるように、且つ人工傷5と同心になるように設けることが好ましい。なお、図1には図示していないが、円筒11と電着塗膜4との間に、液漏れ防止用の環状のゴムマットを配置してもよい。
以上により、円筒11内に収容された含水材料6が電着塗膜4の表面に接触しているとともに、人工傷5内に浸入した状態になる。そして、上記2箇所の人工傷5が、該人工傷5に接触する含水材料6を介して外部回路7で電気的に接続された状態になる。
なお、次の通電ステップS4前に、含水材料6を電着塗膜4の表面上に配置した状態で、所定時間保持してもよい。所定時間、すなわち保持時間は、好ましくは1分以上1日以下、より好ましくは10分以上120分以下、特に好ましくは15分以上60分以下である。
含水材料6を電着塗膜4の表面上に配置した状態で保持することにより、予め電着塗膜4への含水材料6の浸透を促すことができる。すなわち、特に図1中ドット模様で示すように、電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透を予め促すことができる。このことは、いわば腐食抑制期間が終了した状態を、実際の腐食過程により近い形で、模擬的に再現していることになる。そうして、次の通電ステップS4における化成皮膜3及び鋼板2の腐食をよりスムーズに進行させて、腐食が進展する過程を表す腐食進展速度を評価するための電着塗膜4の膨れの進展を促すことができる。これにより、試験時間の短縮化をはかるとともに、耐食性試験の信頼性を向上させることができる。
なお、電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透をさらに促進させる観点から、被覆金属材1及び/又は含水材料6の温度を好ましくは30℃以上100℃以下、より好ましくは50℃以上100℃以下、特に好ましくは50℃以上80℃以下とすることが望ましい。具体的には例えば、図1において、被覆金属材1の下側に、ホットプレート等を配置すること、円筒11周りにラバーヒータやフィルムヒータ等を巻くこと等により、被覆金属材1及び/又は含水材料6の温度調整を行う構成とすることができる。なお、被覆金属材1及び含水材料6の温度調整はいずれか一方のみ行う構成とすることもできる。また、装置全体を炉内で温度調整するようにしてもよい。
−通電ステップ−
通電ステップS4は、2箇所の人工傷5の少なくとも一方で、電着塗膜4の膨れが発生するように、外部回路7によって鋼板2に通電するステップである。
具体的に、通電手段8を作動させ、外部回路7によって被覆金属材1の鋼板2に電極12、含水材料6及び電着塗膜4を介して通電する。この通電は、電流値が上述の範囲における一定値となるように定電流制御される。
仮に通電を行わない場合には、2箇所の人工傷5の各々において、通常の腐食過程と同様に、アノード反応及びカソード反応が同時にゆっくりと進行して、それぞれ腐食が進行すると考えられる。
本実施形態では、上記通電を行うことにより、上記2箇所の人工傷5のうちの通電手段8の負極側に接続された一方(図1の左側)では、鋼板2のFeが溶出するアノード反応(Fe→Fe2++2e)が主に進行する。すなわち、この一方の人工傷5がアノードサイトになる。上記アノードサイトにおけるFeの溶出反応により発生した電子eは鋼板2を通って通電手段8の正極側に接続された他方の人工傷5(図1の右側)に移動する。そうして電子eは、該他方の人工傷5において含水材料6に放出され、水中の溶存酸素が還元されて水酸基OHが生成されるカソード反応が主に進行する。すなわち、この他方の人工傷5がカソードサイトになる。
アノードサイト側では、電極12から含水材料6にeが供給されるから、含水材料6中の溶存酸素の還元及び水の電気分解が起こり、OHが生じる。アノードサイトで溶出したFe2+は、電極12に引き寄せられ、上記OHと反応して水酸化鉄になる。また、上述のごとく、アノードサイトで発生した電子eはカソードサイトに移動する。従って、アノードサイトでは、アノード反応は進行するが、カソード反応が抑制される。そうすると、アノードサイトの人工傷5周りがアルカリ環境にならないから、化成皮膜3はダメージを受けにくく、電着塗膜4の密着性は保持される。そうして、アノードサイトでは、電着塗膜4の膨れはほとんど発生しない。
これに対して、カソードサイトでは、アノードサイトから移動してきた電子eが、含水材料6の水及び溶存酸素と反応してOHを生ずる(HO+1/2O+2e→2OH)。また、含水材料6の電離した水素イオンと当該電子eの反応により水素が発生する(2H+2e→H)。こうしてカソード反応が進行する。また、水の電気分解による水素も発生する。
カソードサイトでは、アルカリ性になること(OHの発生)により、化成皮膜3が溶解することで、電着塗膜4の鋼板2に対する付着力が低下する。そして、上記水素ガスの発生によって、電着塗膜4の膨れを生じ、鋼板2の腐食が人工傷5の部位から周囲に進展していく。
すなわち、カソードサイトにおける電着塗膜4の膨れの進展は、被覆金属材1の腐食の進展を模擬的に再現したものとなる。従って、上記通電開始から所定時間を経過した時点での電着塗膜4の膨れの大きさを評価することによって、被覆金属材1の腐食の進行度合いを評価することができる。
具体的に、図5は、後述する耐食性試験後の供試材1のアノードサイト及びカソードサイトの外観写真を示している。なお、カソードサイトの外観写真(剥離前)は、試験後の被覆金属材1の表面の写真であり、外観写真(剥離後)は、試験後、被覆金属材1の表面から膨れ上がった電着塗膜4を粘着テープで剥離した後の写真である。アノードサイトでは、人工傷5の形成を確認することができるものの、電着塗膜4の膨れはほとんど観察できない。一方、カソードサイトでは、人工傷5と、当該人工傷5の周りに形成された電着塗膜4の膨れが観察される。
なお、人工傷5の大きさ、形状等、通電手段8による通電時の電流値等の条件によっては、アノードサイトにおけるカソード反応の進行の抑制が不十分になる場合がある。すなわち、本実施形態において、2箇所の人工傷5において、アノード反応が進行する人工傷5と、カソード反応が進行する人工傷5とが明瞭に分かれることが好ましいが、明瞭に分かれない場合もある。この場合、アノードサイトにおいても電着塗膜4の膨れが進展し得る。このような場合には、2箇所の人工傷5の双方において電着塗膜4の膨れが進行し得るから、後述する算出ステップS6において、電着塗膜4の膨れが大きい方の人工傷5に基づいて、被覆金属材1の腐食の進行度合いを算出することになる。
なお、上記外部回路7による通電では、アノードサイト及びカソードサイトにおいて、含水材料6に電圧が加わることにより、それぞれ含水材料6中の陰イオン(Cl等)及び陽イオン(Na等)が電着塗膜4を通って鋼板2に向かって移動する。そして、この陰イオン及び陽イオンに引きずられて水が電着塗膜4に浸透していく。
また、電極12が人工傷5を囲むように配置されているから、人工傷5周りの電着塗膜4に電圧が安定して印加され、通電時における該電着塗膜4へのイオンの移動及び水の浸透が効率良く行なわれる。
こうして、アノードサイト及びカソードサイトにおいて、通電により、人工傷5周りの電着塗膜4へのイオン及び水の浸透が促進されるから、電気の流れが速やかに安定した状態になる。よって、人工傷5における電着塗膜4の膨れの進展が安定したものになる。
このように、本実施形態では、通電により、アノード反応が進行するサイトと、カソード反応が進行するサイトとを分離するとともに、人工傷5における両反応の進行及び電着塗膜4の膨れの進展を安定的に促進できるから、被覆金属材1の耐食性試験を極めて短時間で精度よく行うことができる。
通電ステップにおける通電時間は、塗膜膨れの十分な広がりを得る観点から、例えば、0.05時間以上24時間以下とすればよい。その通電時間は、好ましくは0.1時間以上10時間以下、より好ましくは0.1時間以上5時間以下とする。
−第2計測ステップ−
第2計測ステップS5は、電着塗膜4の膨れの大きさを計測するステップである。
上述の第1計測ステップS2で、人工傷5の大きさとして、その径を計測した場合には、電着塗膜4の膨れの大きさは、例えば、図5のカソードサイトの外観写真(剥離前)の状態で、電着塗膜4の膨れにより現れた人工傷5周りの円の径(以下、「膨れ径」という。)を計測することにより得られる。また、好ましくは、電着塗膜4の膨れの大きさは、図5のカソードサイトの外観写真(剥離後)に示すように、耐食性試験後に、電着塗膜4に粘着テープを貼り、電着塗膜4の膨れた部分を剥がし、露出した鋼板2の露出面の径(以下、「剥離径」という。)を計測して得てもよい。
具体的には、第2計測ステップS5では、カメラ31を用いて、剥離後の人工傷5周辺を撮影する。得られた画像データ上で、演算部331により膨れ径又は剥離径を計測する。
なお、後述する算出ステップS6において、腐食の進行度合いの算出に使用される膨れ径又は剥離径は、電着塗膜4の膨れが大きい方の人工傷5の膨れ径又は剥離径である。
従って、第2計測ステップでは、2箇所の人工傷5のうち、片方の人工傷5における電着塗膜4の膨れが残りの人工傷5における電着塗膜4の膨れよりも明瞭に大きい場合には、電着塗膜4の膨れが大きい方についてのみ、膨れ径又は剥離径を計測するようにしてもよい。具体的には例えば、図5に示すように、カソードサイトの電着塗膜4の膨れが、アノードサイトの電着塗膜4の膨れよりも明瞭に大きい場合には、カソードサイトの写真のみを撮影して、膨れ径又は剥離径を計測すればよい。
また、両者の電着塗膜4の膨れの大きさが同程度である場合には、両者の写真を撮影して、両者の膨れ径又は剥離径を計測し、計測結果から膨れ径又は剥離径の大きい方を選択するようにしてもよい。
なお、上述の第1計測ステップS2で、人工傷5の大きさとして、その表面積を採用した場合には、電着塗膜4の膨れの大きさとしても表面積を採用すればよい。
−算出ステップ−
算出ステップS6では、被覆金属材1の腐食の進行度合いを算出する。
上述のごとく、通電ステップS4における通電開始から所定時間を経過した時点で電着塗膜4の膨れがどこまで進展したかをみることによって、被覆金属材1の腐食の進行度合いを得ることができる。
腐食の進行度合いを示す指標としては、第1計測ステップS2で計測した人工傷5の大きさと第2計測ステップS5で計測した電着塗膜4の膨れの大きさとの差や、電着塗膜4の膨れの進展速度等が挙げられるが、好ましくは、電着塗膜4の膨れの進展速度である。電着塗膜4の膨れの進展速度は、上述の腐食進展速度に相当するからである。
腐食の進行度合いとして、電着塗膜4の膨れの進展速度を算出する場合は、例えば以下の手順で行う。すなわち、2箇所の人工傷5のうち電着塗膜4の膨れが大きい方について、第1計測ステップS2で計測した人工傷5の径と、第2計測ステップS5で計測した膨れ径又は剥離径と、に基づいて、通電中に電着塗膜4の膨れが進展した距離を算出する。この進展距離と、通電ステップS4における通電時間と、に基づいて、電着塗膜4の膨れが進展する速度を算出する。
−補正ステップ−
カソード反応が進行する人工傷5の通電ステップS4前の大きさにばらつきがあると、人工傷5において進行する水の電気分解反応の進行度合い、電着塗膜4の膨潤による人工傷5の閉じ具合、電着塗膜4の膨れ内で発生した水素ガスの脱泡度合い等にばらつきが生じる。そうして、電着塗膜4の膨れの大きさにもばらつきが生じ、耐食性試験の信頼性が低下する。しかしながら、そのようなばらつきの発生を抑制するために、いつも全く同一の大きさの人工傷5を形成することは難しい。
ここに、本実施形態は、算出ステップS6で算出した腐食の進行度合いを、通電ステップS4前の人工傷5の大きさに基づいて、補正することを特徴とする。
具体的には例えば、補正ステップS7において、第1計測ステップS2で計測した人工傷5の径と、予め試験的に求めておいた人工傷5の径と被覆金属材1の腐食の進行度合いとの相関関係と、に基づいて、算出ステップS6で算出した被覆金属材1の腐食の進行度合いを補正する。
腐食の進行度合いとして電着塗膜4の膨れの進展速度、すなわち腐食進展速度を採用する場合を例に挙げて説明する。図6は、後述する耐食性試験における供試材2、3の人工傷5の径と、腐食進展速度の指数との関係を示すグラフである。なお、「腐食進展速度の指数」は、腐食進展速度を、人工傷5の径が1mmのときの腐食進展速度に対する比で示したものである。
図6に示すように、供試材2、3のいずれにおいても、人工傷5の径が1.5mmから0.2mmまで小さくなるに伴い、腐食進展速度は増加する。このことは、人工傷5の径が小さいほど腐食の加速性が上昇することを示している。言い換えると、人工傷5の径が大きくなると、腐食進展速度は低下、すなわち腐食の加速性が低下する。これは、人工傷5の径が大きくなることにより鋼板2の露出部分の面積が増加することが主たる原因と考えられる。鋼板2の露出部分の面積が増加すると、電着塗膜4の膨れに直接関与しない鋼板2の露出面における電気化学反応(水素イオンの還元による水素ガス発生)が増加し、通電手段8により供給される電気エネルギーの浪費分が増加し得る。
供試材2、3の結果から回帰式を算出すると、図6中実線で示す曲線(R=0.97)のようになる。この回帰式は上述の相関関係の一例である。このように、人工傷5の径と、腐食進展速度との相関関係を、予め実験的又はシミュレーション等の解析的な手法により試験的に求めておくことができる。相関関係として、図6の実線で示すような回帰式の情報を記憶部332に格納しておき、補正に使用すればよい。
また、図6に示すような回帰式から算出した、所定の人工傷5の径に対応する補正係数の情報を記憶部332に格納しておき、補正に使用してもよい。補正係数とは、例えば、図6の例では、所定の人工傷5の径に対応する回帰式上の腐食進展速度の指数である。具体的には例えば、図6において、人工傷5の径が1mmのときの補正係数は1、人工傷5の径が0.4mmのときの補正係数は1.5となる。このような補正係数を、例えば人工傷5の径0.1mm毎に算出しておき、補正に使用すればよい。相関関係として、人工傷5の径に対応する補正係数を予め算出しておくことにより、補正が容易となる。そうして、簡易な構成で信頼性及び汎用性の高い耐食性試験が可能となる。
具体例として、仮に第1計測ステップS2で計測された人工傷5の径が0.4mm、算出ステップS6で算出された腐食進展速度が1.5mm/hであったとする。また、相関関係として補正係数を採用し、例えば人工傷5の径が1mm及び0.4mmのときの補正係数がそれぞれ1及び1.5であったとする。この場合、演算部331は、人工傷5の径が0.4mmであるという情報と、記憶部332から読み出した人工傷5の径0.4mmのときの補正係数が1.5であるという情報と、に基づいて、腐食進展速度1.5mm/hの値を補正係数1.5で除して1mm/hに補正する。
このような補正ステップS7を設けることにより、カソード反応が進行する人工傷5の通電前の大きさによらず、被覆金属材1の腐食の進行度合いを精度よく評価できる。そうして、耐食性試験の信頼性及び汎用性を高めることができる。
補正ステップS7を経て得られた補正後の腐食進展速度は、例えば、実腐食試験と関連付けて被覆金属材1の耐食性の評価に用いることができる。具体的には例えば、当該耐食性試験により得られた補正後の腐食進展速度と、実腐食試験で得られた腐食進展速度との関係を予め求めておき、当該耐食性試験結果に基づいて、それが実腐食試験においてどの程度の耐食性に相当するかをみることができる。
<実験例>
−耐食性試験−
表1に示すように、供試材(被覆金属材)として、電着塗膜4の塗料、及び電着焼付条件が異なる3種類を準備した。
Figure 2021169959
供試材1〜3はいずれも金属製基材が鋼板2であり、化成皮膜はリン酸亜鉛、化成処理時間は120秒、電着塗膜4の厚さは10μmである。各供試材について、図1に示す態様で本実施形態に係る耐食性試験を行なった。
供試材1〜3には、ビッカース硬さ試験機を用いて、鋼板2に達する人工傷5を互いに4cmの間隔をあけて同一径で2箇所に付与した。具体的には、表1に示すように、供試材1では、1mmの径を有する人工傷5を2箇所に付与した。供試材2では、0.2mm、0.6mm、及び、1.5mmの径を有する人工傷5を2箇所に付与してなる3種類のサンプルを準備した。供試材3では、0.2mm、0.42mm、0.6mm、1mm、及び、1.5mmの径を有する人工傷5を2箇所に付与してなる5種類のサンプルを準備した。
供試材1の耐食性試験では、含水材料6として、水1.3Lに対し、支持電解質としての塩化ナトリウム50g、及び粘土鉱物としてのカオリナイト500gを混合させてなる模擬泥を用いた。供試材2、3の耐食性試験では、含水材料6として、水1.2Lに対し、支持電解質としての塩化ナトリウム50g、塩化カルシウム50g、及び硫酸ナトリウム50g、並びに、粘土鉱物としてのカオリナイト1000gを混合させてなる模擬泥を用いた。
電極12としては、外径約12mm、内径約10mmのリング状の有孔電極(白金製)を用いた。
供試材1の耐食性試験では、鋼板2の下側にホットプレートを配置するとともに、円筒11周りにラバーヒータを巻き、鋼板2及び含水材料6の温度を50℃に加温した。供試材2、3の耐食性試験では、鋼板2の下側にホットプレートを配置し、鋼板2及び含水材料6の温度を65℃に加温した。
通電手段8の電流値は1mAとした。供試材1では接続ステップ後すぐに通電を行った(保持時間0分)。供試材2、3では、接続ステップ後、30分保持した後、通電を行った(保持時間30分)。通電時間は、供試材1では5時間、供試材2、3では0.5時間であった。
通電終了後、供試材1については、図5の写真を撮影した。供試材2、3については、上述の方法で、各供試材について、図6に示す腐食進展速度を算出した。
[第2実施形態]
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
第1実施形態では、通電ステップS4における通電は、定電流制御方式であったが、これに限らず、定電圧制御方式にすることもできる。
具体的に、図7は第1実施形態の1mAの定電流制御による通電の電流プロット(供試材1の試験)であり、図8は1mAの電流が流れる程度の定電圧を印加したときの電流プロットである。この定電流制御の耐食性試験及び定電圧制御の耐食性試験において、通電条件を除く、他の試験条件は第1実施形態における耐食性試験の供試材1の試験条件と同じである。
定電流制御の場合、電流値が通電初期において多少ばらつくものの、略1mAに制御されている。このように腐食の加速に直接関与する電流値が安定することにより、腐食の加速再現性が良くなる。すなわち、耐食性試験の信頼性が高くなる。
これに対して、定電圧制御の場合、電流値が大きく変動しており、腐食の加速再現性の面で不利になることがわかる。通電開始から7000秒付近までの電流値の変動が大きい期間は、電着塗膜4に水が浸透する期間にあたり、塗膜への水の浸透が定常的に進まないために、電流値が大きく変動しているものと認められる。その後も、電流値は0.5mA〜1.5mAの範囲で変動しており、化成皮膜の劣化や発錆に伴う抵抗値の変動の影響と認められる。なお、接続ステップにおいて、含水材料6を電着塗膜4の表面上に配置した状態で所定時間保持すると、通電開始から7000秒付近までの電流値の変動は抑制され得る。定電圧制御での電流プロット(電流波形)から、腐食が進展する過程における腐食の進行状態ないしは腐食の程度を捉えることが可能になると考えられる。
[その他の実施形態]
上記実施形態では、表面処理膜として電着塗膜4を備えた構成であったが、被覆金属材1は、表面処理膜として二層以上の多層膜を備えた構成とすることができる。具体的には例えば、電着塗膜4に加え、該電着塗膜4表面上に中塗り塗膜を備えた構成、若しくは該中塗り塗膜上にさらに上塗り塗膜等を備えた構成の多層膜とすることができる。
中塗り塗膜は、被覆金属材1の仕上り性と耐チッピング性を確保するとともに、電着塗膜4と上塗り塗膜との密着性を向上させる役割を有する。また、上塗り塗膜は、被覆金属材1の色、仕上り性及び耐候性を確保するものである。これらの塗膜は、具体的には例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)等の架橋剤とからなる塗料等により形成することができる。
本構成によれば、例えば自動車部材の製造工程等において、塗装工程毎に製造ラインから部品を取り出し、塗膜の品質等を確認することができる。
また、上記実施形態では、含水材料6は電着塗膜4への水の浸透を促す機能を有する成分として粘土鉱物を含む構成であったが、同様の機能を有する成分であれば粘土鉱物に限られるものではない。具体的には例えば、含水材料6は、アセトン、エタノール、トルエン、メタノール等の溶剤、塗膜の濡れ性を向上させるような物質等を含んでもよい。
上記実施形態では、電極12は貫通孔12aを有する有孔電極であったが、貫通孔12aを有しない電極であってもよい。また電極形状は、特に限定されるものではなく、電気化学測定において一般的に用いられる形状の電極を採用することができる。
上記実施形態の耐食性試験装置30は、通電手段8及びカメラ31に電気的に接続又はワイヤレス接続された制御装置33を備える構成であったが、本開示に係る耐食性試験方法は、その他の手段によっても行うことができる。具体的には例えば、通電手段8の電流値、通電時間等の情報及びカメラ31の画像データを、ユーザにより他のコンピュータに読み込んで、処理を行ってもよい。
本開示は、簡便且つ信頼性が高く、汎用性に優れた被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置をもたらすことができるので、極めて有用である。
1 被覆金属材
2 鋼板(金属製基材)
3 化成皮膜(金属製基材)
4 電着塗膜(表面処理膜)
5 人工傷
6 含水材料
7 外部回路
8 通電手段
12 電極
12a 貫通孔
30 耐食性試験装置
31 カメラ(第1計測手段、第2計測手段、検出手段)
33 制御装置
331 演算部(第1計測手段、第2計測手段、算出手段、補正手段)
332 記憶部
333 制御部

Claims (9)

  1. 金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験方法であって、
    上記被覆金属材の相離れた2箇所に、上記表面処理膜を貫通して上記金属製基材に達する人工傷を加える準備ステップと、
    上記人工傷の大きさを計測する第1計測ステップと、
    上記2箇所の人工傷を、該人工傷に接触する含水材料を介して外部回路で電気的に接続する接続ステップと、
    上記外部回路によって上記金属製基材に通電することにより、上記2箇所の人工傷の少なくとも一方で、上記表面処理膜の膨れを発生させる通電ステップと、
    上記表面処理膜の膨れの大きさを計測する第2計測ステップと、
    上記2箇所の人工傷のうち上記表面処理膜の膨れが大きい方について、上記第1計測ステップで計測した上記人工傷の大きさと、上記第2計測ステップで計測した上記表面処理膜の膨れの大きさと、に基づいて、上記被覆金属材の腐食の進行度合いを算出する算出ステップと、
    上記表面処理膜の膨れが大きい方の上記人工傷の大きさと、予め試験的に求めておいた人工傷の大きさと上記被覆金属材の腐食の進行度合いとの相関関係と、に基づいて、上記算出ステップで算出した上記被覆金属材の腐食の進行度合いを補正する補正ステップと、を備えた
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  2. 請求項1において、
    上記通電ステップで、上記2箇所の人工傷のうち一方はアノードサイトとなるとともに、他方はカソードサイトとなり、
    上記表面処理膜の膨れが大きい方の上記人工傷は、上記カソードサイトとなった人工傷である
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記腐食の進行度合いは、上記表面処理膜の膨れの進展速度であり、
    上記算出ステップで、上記2箇所の人工傷のうち上記表面処理膜の膨れが大きい方について、上記第1計測ステップで計測した上記人工傷の大きさと、上記第2計測ステップで計測した上記表面処理膜の膨れの大きさと、上記通電ステップにおける通電情報と、に基づいて、上記表面処理膜の膨れの進展速度を算出する
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
    上記表面処理膜の膨れが大きい方の上記人工傷の形状は、平面視で点状である
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  5. 請求項4において、
    上記第1計測ステップで、上記人工傷の大きさとして、上記人工傷の径を計測する
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  6. 請求項5において、
    上記人工傷の径は0.1mm以上5mm以下である
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つにおいて、
    上記表面処理膜は、樹脂塗膜である
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
  8. 金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験装置であって、
    上記被覆金属材の相離れた2箇所に人工的に加えられた、上記表面処理膜を貫通して上記金属製基材に達する人工傷間を、該人工傷に接触する含水材料を介して電気的に接続する外部回路と、
    上記2箇所の人工傷の少なくとも一方で、上記表面処理膜の膨れが発生するように、上記外部回路によって上記金属製基材に通電する通電手段と、
    上記人工傷の大きさを計測する第1計測手段と、
    上記表面処理膜の膨れの大きさを計測する第2計測手段と、
    上記2箇所の人工傷のうち上記表面処理膜の膨れが大きい方について、上記第1計測手段により計測した上記人工傷の大きさと、上記第2計測手段により計測した上記表面処理膜の膨れの大きさと、に基づいて、上記被覆金属材の腐食の進行度合いを算出する算出手段と、
    上記表面処理膜の膨れが大きい方の上記人工傷の大きさと、予め試験的に求めておいた人工傷の大きさと上記被覆金属材の腐食の進行度合いとの相関関係と、に基づいて、上記算出手段により算出された上記被覆金属材の腐食の進行度合いを補正する補正手段と、を備えた
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験装置。
  9. 請求項8において、
    上記相関関係は、上記人工傷の大きさに対応する補正係数である
    ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験装置。
JP2020073084A 2020-04-15 2020-04-15 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置 Active JP6733844B1 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020073084A JP6733844B1 (ja) 2020-04-15 2020-04-15 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
CN202110184020.9A CN113533191B (zh) 2020-04-15 2021-02-10 被覆金属材料的耐腐蚀性试验方法以及耐腐蚀性试验装置
EP21162061.2A EP3896428B1 (en) 2020-04-15 2021-03-11 Anticorrosion test method and anticorrosion test equipment for coated metallic material
US17/199,491 US11821832B2 (en) 2020-04-15 2021-03-12 Anticorrosion test method and anticorrosion test equipment for coated metallic material

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020073084A JP6733844B1 (ja) 2020-04-15 2020-04-15 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6733844B1 JP6733844B1 (ja) 2020-08-05
JP2021169959A true JP2021169959A (ja) 2021-10-28

Family

ID=71892489

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020073084A Active JP6733844B1 (ja) 2020-04-15 2020-04-15 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US11821832B2 (ja)
EP (1) EP3896428B1 (ja)
JP (1) JP6733844B1 (ja)
CN (1) CN113533191B (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111033224B (zh) * 2017-08-04 2022-08-05 马自达汽车株式会社 包覆金属材料的耐腐蚀性试验方法和装置
US11378511B2 (en) * 2019-11-21 2022-07-05 Applied Materials, Inc. Methods and apparatus for detecting corrosion of conductive objects
JP6835286B1 (ja) * 2020-09-29 2021-02-24 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験方法及び該方法に用いられる含水材料
JP6835287B1 (ja) 2020-09-29 2021-02-24 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験方法及び該方法に用いられる含水材料

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6805788B1 (en) * 1998-07-10 2004-10-19 Lynntech, Inc. Electrochemical impedance evaluation and inspection sensor
JP2007271501A (ja) 2006-03-31 2007-10-18 Osaka Gas Co Ltd 被膜の防食評価方法
KR101455142B1 (ko) * 2010-03-31 2014-10-27 히타치 긴조쿠 가부시키가이샤 내식성이 우수한 피복 물품의 제조 방법 및 피복 물품
JP6213426B2 (ja) 2014-09-02 2017-10-18 マツダ株式会社 塗装金属材の耐食性評価方法及び耐食性評価装置
JP6436688B2 (ja) 2014-09-02 2018-12-12 国立大学法人広島大学 塗装金属材の耐食性評価方法及び耐食性評価装置
JP6515963B2 (ja) * 2017-08-04 2019-05-22 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6565980B2 (ja) * 2017-08-04 2019-08-28 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験装置及び被覆金属材の耐食性試験方法
JP6565979B2 (ja) * 2017-08-04 2019-08-28 マツダ株式会社 被覆金属材の耐食性試験装置及び耐食性試験方法
CN111033224B (zh) * 2017-08-04 2022-08-05 马自达汽车株式会社 包覆金属材料的耐腐蚀性试验方法和装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20210325295A1 (en) 2021-10-21
CN113533191B (zh) 2023-09-05
US11821832B2 (en) 2023-11-21
EP3896428B1 (en) 2023-09-13
CN113533191A (zh) 2021-10-22
EP3896428A1 (en) 2021-10-20
JP6733844B1 (ja) 2020-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6747495B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法
JP6784335B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6733844B1 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6565980B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験装置及び被覆金属材の耐食性試験方法
JP6565979B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験装置及び耐食性試験方法
CN111458287B (zh) 包覆金属材料的耐腐蚀性试验装置
JP6835281B1 (ja) 計測方法及び計測装置、並びに、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6515963B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6835279B1 (ja) 電極部装置、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6835287B1 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法及び該方法に用いられる含水材料
JP6849140B1 (ja) 被覆金属材の耐食性試験装置及び耐食性試験方法
JP6801805B1 (ja) 計測方法及び計測装置、並びに、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6835286B1 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法及び該方法に用いられる含水材料
JP6835280B1 (ja) 傷の処理方法及び処理装置、並びに、被覆金属材の耐食性試験方法及び耐食性試験装置
JP6813122B2 (ja) 被覆金属材の耐食性試験方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200424

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200424

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200609

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200622

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6733844

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150