JP2021169663A - 遷移金属ジカルコゲナイドの原子層リボンとナノリボンの水分管理(支配)下での成長方法 - Google Patents

遷移金属ジカルコゲナイドの原子層リボンとナノリボンの水分管理(支配)下での成長方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原子レベルに薄い遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)材料の原子層リボン及びナノリボンを製造する方法を提供する。【解決手段】原子層ナノリボンを調製する方法は、第1の単分子層及び第1の単分子層の表面上に第2の単分子層を有する二重原子層リボンを形成することであって、第1の単分子層及び第2の単分子層がそれぞれ遷移金属ジカルコゲナイド材料を含有する原子層ナノリボンを調製する方法であって、第1の単分子層の少なくとも一部を酸化して酸化部分を提供し、酸化部分を除去して遷移金属ジカルコゲナイド材料の原子層ナノリボンを提供することを含む。また、本方法に従って調製された二重原子層リボン、及び単一原子層ナノリボンも提供される。【選択図】図1A

Description

関連出願の参照
本出願は2020年6月25日に出願された米国特許出願第16/912,077号(発明の名称:METHOD FOR GROWTH OF ATOMIC LAYER RIBBONS AND NANORIBBONS OF TRANSITION METAL DICHALCOGENIDES)の一部継続出願である。これは、2020年4月16日に出願された米国仮出願第63/011,075号(発明の名称:METHOD FOR GROWTH OF ATOMIC LAYER RIBBONS AND NANORIBBONS OF TRANSITION METAL DICHALCOGENIDES)の優先権を主張する。本出願はまた、米国仮特許出願第63/011,075号の優先権を主張する。これらの出願の内容は、その全体が参照されて本明細書に明示的に組み込まれる。
グラフェン(graphene)及び遷移金属ジカルコゲナイド(dichalcogenides)(TMD)のような原子レベルに薄い(すなわち、二次元)材料は、その縮小された寸法によって、興味深い物理的及び化学的特性を提供し、それによってユニークな応用が可能になることから、基本的な科学及び実用化の両方において多大な関心を呼んでいる。単結晶フレーク、大面積フィルム、及び特定のパターンで原子レベルに薄いTMDを直接的に合成するための方法は、例えば、Liらの、「Surfactant−Mediated Growth and Patterning of Atomically Thin Transition Metal Dichalcogenides,」 ACS Nano, vol.10, 2020,pp.6570−6581」、及び米国特許第10,832,906号(2020年11月10日発行)に記載されている。その内容は、その全体が参照されて本明細書に明示的に組み込まれる。特に、TMDのリボン及びナノリボンは、2次元平面における追加の空間閉じ込め(すなわち、一般に、幅に対する長さの比が1000よりも大きいリボン状形態)及び2次元シートと比較してより顕著なエッジ効果を有し、理論的予測によれば、さらに前例のない特性を提供する可能性を有する。したがって、原子レベルに薄いTMDリボン及びナノリボンを提供するための合成及び製造方法が強く望まれている。
本開示は、TMD材料の原子層リボン(atomic layer ribbon)及びナノリボン(nanoribbon)を調製する方法に関する。いくつかの態様によれば、この方法は、第1の単分子層(単層)(monolayer)と、第1の単分子層の表面上に配置された第2の単分子層とを含む二重原子層リボンを形成するステップと、二重原子層リボンの少なくとも一部を除去して、本明細書に記載のTMD材料の原子層ナノリボンを提供するステップとを含む。いくつかの態様によれば、二重原子層リボンを形成するステップは、2つ以上の前駆体粉末(precursor powder)を、特定の水分含有量を有するガスと接触させるステップを含むことができる。また、本開示は、本明細書に記載される方法に従って調製される、二重原子層リボン及びナノリボン、並びに単一原子層ナノリボンを対象とする。
本開示による方法におけるCVD成長の例示的な概略図を示す。 本開示による方法におけるCVD成長の例示的な概略図を示す。 本開示の態様による例示的な二重原子層リボンを示す。 図2Aの二重原子層リボンの例示的な断面図を示す図である 本開示の態様による例示的な二重原子層リボンを示す。 図3Aの二重原子層リボンの断面図の一例を示す図である。 本開示の態様によるTMD材料の例示的な二重原子層ナノリボンを示す。 図4Aの二重原子層ナノリボンの例示的な断面図を示す。 本開示の態様による二重原子層リボンの例示的な断面図を示す。 本開示の態様による単一原子層ナノリボンの例示的な断面図を示す。 実施例1に従って調製した二重原子層リボンの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。 実施例1に従って調製された二重原子層リボンのSEM画像を示す。 実施例1に従って調製された二重原子層リボンの原子間力顕微鏡(AFM)画像を示す。 図7Aの破線矢印に沿った高さプロファイルを示す。 実施例3に記載のUVO処理の5分後の二重原子層リボンのSEM画像を示す。 実施例3に記載のUVO処理の8分後の二重原子層リボンのSEM画像を示す。 実施例3で説明したエッチング処理後の例示的な二重原子層ナノリボンのSEM画像を示す図である。 実施例3で説明したエッチング処理後の二重原子層ナノリボンのSEM画像を示す図である。 実施例3で説明したエッチング処理後の二重原子層ナノリボンのSEM画像を示す図である。 実施例3で説明したエッチング処理後の二重原子層ナノリボンのSEM画像を示す図である。 実施例3に従って調製された二重原子層ナノリボンのSEM画像を示す図である。 実施例3に従って調製された、図10Aに示される二重原子層ナノリボンにおけるSのオージェ電子分光法(AES)元素分布マッピングを示す。 実施例3に従って調製された、図10Aに示される二重原子層ナノリボンにおけるMoのAES元素分布マッピングを示す。 実施例3に従って調製された、図10Aに示される二重原子層ナノリボンにおけるNiのAES元素分布マッピングを示す。 実施例3に従って調製された二重原子層ナノリボンのAFM画像を示す図である。 図11Aの破線矢印に沿った高さプロファイルを示す。
本開示は、TMD材料の原子層リボン及びナノリボンを調製する方法に関する。いくつかの態様によれば、この方法は、第1の単分子層と、第1の単分子層の表面上に配置された第2の単分子層とを含む二重原子層リボンを形成するステップと、二重原子層リボンの少なくとも一部を除去して、本明細書に記載のTMD材料の原子層ナノリボンを提供するステップとを含む。いくつかの態様によれば、二重原子層リボンを形成するステップは、2つ以上の前駆体粉末を、特定の水分含有量を有する混合ガスと接触させるステップを含むことができる。また、本開示は、本明細書に記載される方法に従って調製される、二重原子層リボン及びナノリボン、並びに単一原子層ナノリボンに関する。
本明細書で使用されるとき、「リボン」という用語は細長い構造、すなわち、幅に対する長さの比が500を超える、任意選択で1000を超える構造を指す。本明細書で使用される用語「ナノリボン」は、ナノスケールの少なくとも1つの寸法を有するリボン、例えば、約1〜100nmの幅を有するリボンを指す。
いくつかの態様によれば、本方法は第1の単分子層と、第1の単分子層の表面上に配置された第2の単分子層とを含む二重原子層リボンを形成するステップを含み、二重原子層リボンを形成するステップは、化学気相成長(CVD)によって基板上にTMD材料の単分子層を堆積させるのに十分な条件に2つ以上の前駆体粉末を曝すステップを含むことができる。2つ以上の前駆体粉末は、金属酸化物粉末及びカルコゲン(chalcogen)粉末を含み得る。
金属酸化物粉末及びカルコゲン粉末は、特定のTMD材料を提供するために選択され得ることが理解されるべきである。例えば、金属酸化物粉末は二酸化モリブデン(MoO)を含むことができ、カルコゲン粉末は、二硫化モリブデン(MoS)を含むTMD材料を提供するために硫黄(S)を含むことができる。追加的に又は代替的に、酸化タングステン(WO)及び/又は三酸化タングステン(WO)を金属酸化物粉末として使用し、及び/又はセレン(Se)をカルコゲン粉末として使用して、TMD材料が、二硫化タングステン(WS)及び/又は二セレン化モリブデン(MoSe)及び/又は二セレン化タングステン(WSe)を含むようにしてもよい。
いくつかの態様によれば、2つ以上の前駆体粉末は、塩粉末(salt powder)をさらに含んでもよい。本明細書中で使用される場合、用語「塩(salt)」は、カチオン及びアニオンを有する電気的に中性のイオン性化合物をいう。本開示による有用な塩の例としてはナトリウム塩及びカリウム塩(例えば、NaBr、NaCl、KBr、KCl、及びこれらの組合せ)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの態様によれば、2つ以上の前駆体粉末は、金属粉末を含むことができる。金属粉末は、金属酸化物粉末に含まれる金属と同じであるか、又は金属酸化物粉末に含まれる金属とは異なる金属を含むことができる。いくつかの態様によれば、金属粉末は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、又はそれらの組合せなどの遷移金属を含むことができる。
本明細書で使用される場合、用語「粉末(powder)」は、平均粒径を有する粒子状物質を指す。例えば、2つ以上の前駆体粉末の各々は、独立して、約1nm〜100μmの間の平均粒径を有する粒子状物質を含むことができる。いくつかの態様によれば、2つ以上の前駆体粉末のうちの少なくとも1つは、約1〜100nmの平均粒径を有する粒子状物質を含むことができる。いくつかの態様によれば、2つ以上の前駆体粉末のうちの少なくとも1つは、約1〜100μmの平均粒径を有する粒子状物質を含むことができる。いくつかの態様によれば、2つ以上の前駆体粉末のそれぞれは、別の前駆体粉末の平均粒径と同じ平均粒径、及び/又は異なる平均粒径を含むことができる。
いくつかの態様によれば、基板は、本明細書に記載されるような方法に従って使用するのに適した任意の不活性材料を含み得る。本開示に従って有用な基板の例としてはSiO、Si、Au、c−サファイア、フルオロプロゴパイトマイカ、SrTiO、h−BN、又はこれらの組合せを含むか、又はこれらからなる基板が挙げられる。ただし、これらに限定されない。
この方法は、化学気相成長によって基板上にTMD材料の単分子層(monolayers)を堆積させるのに十分な高温で、2つ以上の前駆体粉末を保湿(加湿)ガス(moisturized gas)流に曝すことを含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「保湿ガス」は、測定可能な濃度の許容可能な水分(許容水分)を含有するガスを指す。例えば、保湿ガス流は、1つ以上の不活性ガスと、測定可能な濃度の許容可能な水分とを含むことができる。いくつかの態様によれば、許容可能な水分は、脱イオン(DI)水を含んでもよく、又は脱イオン(DI)水からなってもよい。本開示に従って有用な例示的な不活性ガスには、アルゴンガス(Ar)、窒素ガス(N)、及びこれらの組合せが含まれる。ただし、これらに限定されない。
保湿ガス流(F inert+水として表される)は、第1の不活性ガス流(F inert1として表される)をDI水と組み合わせることによって、例えば、DI水を含有するバブラー(bubbler)に第1の不活性ガス流を流して、第1の保湿された不活性ガス(保湿不活性ガス)(F inert1+水として表される)を提供することによって、提供されてもよい。いくつかの態様によれば、保湿されたガス流(F inert+水)は、第1の保湿された不活性ガス(F inert1+水)からなってもよい。あるいは、第1の保湿不活性ガス(保湿された不活性ガス)(F inert1+水)は、本明細書に記載される保湿ガス流(F inert+水)を提供するために、第2の不活性ガス流(F inert2として表される)と組み合わされてもよい。任意の第2の不活性ガス流(F inert2)は、第1の不活性ガス流(F inert1)に含まれる不活性ガスと同じか又は異なる、本明細書に記載される不活性ガスを含むことができる。
いくつかの態様によれば、本明細書に記載される保湿ガス流(F inert+水)を提供することは、第1の不活性ガス流(F inert1)及び/又は第2の不活性ガス流(F inert2)から不純物水分の少なくとも一部を除去することを、さらに含んでもよい。本明細書で使用される「不純物水分(impurity moisture)」は、ガス中に含まれる任意の不故意な(inadvertent)水分を指すことができる。例えば、第1及び/又は第2の不活性ガス流に含まれる不純物水分は、ガスボンベ及び/又は周囲の雰囲気によって提供される水分であってもよい。いくつかの態様によれば、DI水を含むバブラーに第1の不活性ガス流(F inert1)を流す前に、不純物水分の少なくとも一部を第1の不活性ガス流(F inert1)から除去して、第1の保湿不活性ガス(F inert1+水)を提供することができる。追加的に又は代替的に、第2の不活性ガス流(F inert2)を第1の保湿不活性ガス(F inert1+水)と組み合わせる前に、不純物水分の少なくとも一部を第2の不活性ガス流(F inert2)から除去することができる。
いくつかの態様によれば、不純物水分の少なくとも一部を除去することは、第1の不活性ガス流(F inert1)及び/又は第2の不活性ガス流(F inert2)を水分トラップ(moisture trap)で処理することを含むことができる。水分トラップは、モレキュラーシーブ(molecular sieve)を含むがこれに限定されない、本開示に従って有用な当技術分野で公知の任意の水分トラップである。いくつかの態様によれば、本明細書に記載されるように、少なくとも95%の不純物水分は、第1の不活性ガス流(F inert1)及び/又は第2の不活性ガス流(F inert2)のそれぞれから除去されてもよい。
保湿ガス流(F inert+水)中の第1の保湿不活性ガス(F inert1+水)の濃度は、F inert1+水/(F inert2+F inert1+水)として表されることを理解されたい。いくつかの態様によれば、保湿ガス流(F inert+水)は、約1〜100%、任意選択で約5〜100%、任意選択で約5〜75%、任意選択で約5〜50%、任意選択で約5〜10%の第1の保湿不活性ガス(F inert1+水)濃度を有することができる。
いくつかの態様によれば、最終的な保湿ガス流(F inert+水)中の第1の保湿不活性ガス(F inert1+水)の濃度は、露点送信機(dew point transmitter)によって確認されるように、保湿ガス流(F inert+水)のppmでの特定の許容可能な水分濃度に対応し得る。例えば、76sccmの体積流量の第2の不活性ガス流(F inert2)と、4sccmの体積流量の第1の保湿不活性ガス(F inert1+水)とを組み合わせることによって、保湿ガス流(F inert+水)が提供される場合、第1の保湿不活性ガス(F inert1+水)の濃度は、保湿ガス流(F inert+水)中で5%である。この例では、保湿ガス流(F inert+水)が露点送信機によって測定されるように、約100ppmの総許容水分濃度を有することができる。
別の例では、保湿ガス流(F inert+水)が72sccmの体積流量の第2の不活性ガス流(F inert2)を、8sccmの体積流量の第1の保湿不活性ガス(F inert1+水)と組み合わせることによって提供される場合、第1の保湿不活性ガス(F inert1+水)の濃度は、保湿ガス流(F inert+水)中で10%である。この例では、保湿ガス流(F inert+水)が露点送信機によって測定されるように、約3000ppmの総許容水分濃度を有することができる。
いくつかの態様によれば、2つ以上の前駆体粉末の各々は保湿ガス流に同時に、又はほぼ同時に曝され(subjected)てもよい。あるいは、2つ以上の前駆体粉末の少なくとも第1の部分は、2つ以上の前駆体粉末の第1の部分の蒸気雰囲気を提供するために、2つ以上の前駆体粉末の少なくとも第2の部分の上流で保湿ガス流にさらされてもよい。ここで使用されるように、用語「上流」は、基準位置に対して、保湿ガス流などの流れの源により近い位置を指す。いくつかの態様では、2つ以上の前駆体粉末の第2の部分の上流に2つ以上の前駆体粉末の第1の部分を提供することは、2つ以上の前駆体粉末の第2の部分を少なくとも部分的に取り囲む雰囲気を提供することができ、雰囲気は2つ以上の前駆体粉末の第1の部分の蒸気を含むことを理解されたい。
図1Aは、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分が2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分の上流に設けられている不活性ガス流11の例を示す。図1Bは、図1Aと同様の例を示しており、ここでは、不活性ガス流は、本明細書に記載されているように、保湿ガス流111に置き換えられている。図1Aと同様に、図1Bは、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分が2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分の上流に設けられていることを示す。
図1Bに示すように、保湿ガス流111は、本明細書で説明するように、第1の保湿された不活性ガス112aと第2の不活性ガス流112bとを組み合わせることによって、提供することができる。第1の保湿された不活性ガス112aは、第1の保湿された不活性ガス112aを提供するために、第1の不活性ガス源113aから、DI水を含むバブラー115を介して第1の不活性ガス流114を流すことによって、提供されてもよい。図1Bに示すように、不純物水分の少なくとも一部は、バブラー115を介して第1の不活性ガス流114を流す前に、第1の水分トラップ116aによって第1の不活性ガス流114から、除去することができる。本明細書で説明するように、第1の水分トラップ116aは、第1の不活性ガス流114から不純物水分を低減又は除去するように構成することができる。
図1Bに示すように、第1の保湿不活性ガス112aを第2の不活性ガス流112bと組み合わせて、保湿ガス流111を提供することができる。第2の不活性ガス流112bは、第2の不活性ガス源113bによって提供されてもよい。第1の保湿された不活性ガス112aと第2の不活性ガス流とを組み合わせる前に、本明細書に記載されるように、不純物水分の少なくとも一部は、第2の水分トラップ116bによって第2の不活性ガス流112bから除去されてもよい。第1の水分トラップ116aと同様に、第2の水分トラップ116bは、第2の不活性ガス流112bから不純物水分を低減又は除去するように構成することができる。いくつかの態様によれば、本明細書で説明するように、保湿ガス流111のppm単位の水分濃度は、加熱装置14に入る前に露点送信機117によって測定することができる。
いくつかの態様によれば、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分は、本明細書に記載のカルコゲン粉末を含むことができる。2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分は、第1のトレイ15内に提供されることができる。本明細書で使用される用語「トレイ」は特に限定されず、適切なトレイは、計量ボート(weigh boat)、るつぼ、フラスコ、及び本明細書で開示される方法の温度偏位(excursion)に耐えることができる任意の形状及び/又はサイズを有する他の容器を含む。ただし、これらに限定されないことを理解されたい。
2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分は、本明細書に記載されるように、金属酸化物粉末、金属粉末、及び塩粉末を含む前駆体粉末混合物を含み得る。図1A及び1Bに示すように、2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分は、本明細書に記載されるように、第2のトレイ16に提供されてもよく、本明細書に記載されるように、基板17の近傍(proximal)(例えば、図1A及び1Bに示されるように、その下に)にあってもよい。しかしながら、本方法は、図1A及び1Bに示される構成に限定されるべきではないことを理解されたい。例えば、図1A及び1Bに示す2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分は、本明細書に記載されるように、金属酸化物粉末及び塩粉末を含んでもよい。この例では、基板17の少なくとも1つの表面(例えば、図1A及び1Bに示される2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分に面する基板17の少なくとも1つの表面)は、本明細書に記載されるように、金属粉末で予めコーティングされてもよい。
いくつかの態様によれば、前駆体粉末混合物が少なくとも金属酸化物粉末及び本明細書に記載される金属粉末を含む例において、前駆体粉末混合物は、本明細書に記載されるTMD材料の二重原子層リボンを提供するのに十分な前駆体粉末の比率を有してもよい。例えば、金属粉末の量及び/又は金属酸化物粉末に対する金属粉末の比は、本明細書に記載されるように、基板上に金属含有ナノ粒子を提供するように選択されてもよい。前駆体粉末混合物に含まれる金属粉末に対する金属酸化物粉末の重量比の非限定的な例は、約1:0.001〜約1:1、任意に約1:0.02〜1:0.2であり得る。
図1A及び1Bに示すように、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分及び2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分は、加熱装置14内に提供されてもよい。いくつかの態様によれば、加熱装置は、1つ又は複数の加熱機構を備える石英管を備えることができる。加熱機構の例としては、加熱ワイヤ、加熱ベルト、及び本明細書に記載されるような高温(elevated temperature)を提供することができる任意の機構が挙げられる。ただし、これらに限定されない。
例えば、図1A及び1Bは、加熱ベルト18a、18bを含む第1の加熱機構を有する加熱装置14を示す。第1の加熱機構は、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分に近接している。図1A及び1Bはまた、2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分に近接した複数の加熱ワイヤ19a、19bを含む第2の加熱機構を示す。しかし、加熱装置14は、必ずしもこの構成に限定されないことを理解されたい。例えば、加熱ベルト18a、18b及び/又は加熱ワイヤ19a、19bは、本明細書に記載される他の加熱メカニズムによって置き換えられてもよいし、又は他の加熱メカニズムによって補完されてもよい。いくつかの態様によれば、加熱装置14は、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分及び2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分が独立して加熱されるように、すなわち、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分及び2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分が異なる温度に加熱されるように、構成されてもよい。また、図1A及び1Bは、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分及び2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分の上及び下に設けられる加熱機構を示す。ただし、加熱機構は、本明細書に記載されるような高温を提供するのに十分な、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分及び2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分に対して任意の位置に設けられてもよいことを理解されたい。
本方法は、本明細書に記載されるように、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分の蒸気を提供するのに十分な第1の高温まで、2つ以上の前駆体粉末12の第1の部分を加熱することを含んでもよい。例えば、2つ以上の前駆体粉末の第1の部分がカルコゲン粉末を含む場合、本方法は、カルコゲン粉末を、カルコゲンの蒸気雰囲気を提供するのに十分な第1の温度に加熱することを含んでもよい。いくつかの態様によれば、第1の温度は、約100℃〜300℃であってもよく、任意選択で約200℃であってもよい。
いくつかの態様によれば、蒸気は、2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分に近接して提供されてもよい。例えば、図1A及び図1Bに示すように、不活性ガス流11又は保湿ガス流111は、それぞれ、2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分を少なくとも部分的に取り囲む雰囲気を提供するように、蒸気を駆動することができる。
この方法は、化学気相成長によって基板上にTMD材料の二重原子層リボンを堆積させるのに十分な第2の高温まで、蒸気雰囲気の存在下で2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分を加熱することを含むことができる。例えば、本明細書に記載されるように、2つ以上の前駆体粉末13の第2の部分は、本明細書に記載されるように、金属酸化物粉末、金属粉末、及び塩粉末を含む前駆体粉末混合物を含み得る。この方法は、本明細書に記載されるカルコゲンの蒸気雰囲気の存在下で、前駆体粉末混合物の第2の部分を、前駆体粉末混合物の第2の部分を気化(蒸発)させるのに十分な第2の高温に加熱することを含むことができる。このようにして、TMD材料の二重原子層リボンを、前駆体粉末混合物の第2の部分に近接して設けられた基板上に、堆積させることができる。いくつかの態様によれば、第2の温度は、約600℃〜1000℃、任意選択で約700℃〜900℃、任意選択で約770℃〜850℃とすることができる。
図2Aは、本明細書に記載の二重原子層リボンの例を示す。図2Aに示すように、二重原子層リボンは、本明細書に記載のTMD材料を含む第1の単分子層22を含むことができる。二重原子層リボンはTMD材料を含む第2の単分子層23をさらに含むことができる。第2の単分子層23は、第1の単分子層22の表面上に配置される。二重原子層リボンの堆積は、基板17の表面に沿った金属含有ナノ粒子21の運動(動作)201によって、少なくとも部分的に案内されてもよい。いくつかの態様によれば、金属含有ナノ粒子はナノスケールのサイズ、例えば、約1〜100nmの粒子サイズを有する可能性がある。金属含有ナノ粒子21は、本明細書に記載されるように、2つ以上の前駆体粉末によって提供される1つ以上の要素を含んでもよいことを理解されたい。例えば、金属含有ナノ粒子21は、金属粉末からの金属、金属酸化物粉末からの金属、及び/又はカルコゲン粉末からのカルコゲンを含むことができる。非限定的な一例において、金属含有ナノ粒子は、Ni−Mo−Sナノ粒子又はFe−Mo−Sナノ粒子を含んでもよい。別の非限定的な例では、金属含有ナノ粒子は、Niナノ粒子又はFeナノ粒子を含むことができる。
いくつかの態様によれば、金属含有ナノ粒子は、特定の元素比を有してもよい。一例では、金属含有ナノ粒子は、約0.1:1〜約2:1、任意選択で約0.5:1〜約2:1、任意選択で約0.67:1〜約1.5:1のカルコゲンに対する金属の比を有することができる。カルコゲンに対する金属の比は、カルコゲンに対する、金属粉末からの金属の比(例えば、Ni対Sの比)、カルコゲンに対する、金属酸化物粉末からの金属の比(例えば、Mo対Sの比)、又はカルコゲンに対する全金属の比((Ni+Mo)対Sの比)であり得ることが理解されるべきである。
別の例では、金属含有ナノ粒子は、約0.1:1〜約2:1、任意選択で約0.5:1〜約1.5:1の第2の金属に対する第1の金属の比を有することができる。非限定的な一例では、第1の金属が金属粉末からの金属(例えば、Ni)を含むことができ、第2の金属は金属酸化物粉末からの金属(例えば、Mo)を含むことができる。
別の例では、金属含有ナノ粒子が金属粉末からの金属のみを有してもよい。
図2Aに示すように、第1の単分子層22は第1の平均幅22aを有することができ、第2の単分子層23は、第2の平均幅23aを有することができる。金属含有ナノ粒子21の粒径は、少なくとも第2の平均幅23aに対応してもよく、特に、金属含有ナノ粒子21の粒径は、第2の平均幅23aよりもわずかに大きくてもよいことを理解されたい。金属含有ナノ粒子21の粒子サイズを増加させることは第2の平均幅23aを増加させることがあり、一方、金属含有ナノ粒子21の粒子サイズを低下させることは第2の平均幅23aを小さくさせることがあることを理解されたい。
いくつかの態様によれば、第1の平均幅は、約0.1〜約100μm、任意に約1〜10μmであってもよい。いくつかの態様によれば、第2の平均幅は、約0.5〜1000nm、任意選択で約5〜100nmとすることができる。いくつかの態様によれば、第2の平均幅は、約10nm、任意選択で約20nm、任意選択で約30nm、任意選択で約40nm、任意選択で約50nm、任意選択で約60nm、任意選択で約70nm、任意選択で約80nm、任意選択で約90nm、及び任意選択で約100nmとすることができる。いくつかの態様によれば、二重原子層リボンは、約1〜1000μm、任意選択で約50〜500μmの長さを有することができる。
図2Bは、基板17、第1の単分子層22、及び第1の単分子層22の表面上に配置された第2の単分子層23を含む、図2Aの二重原子層リボンの例示的な断面図を示す。
本方法は、本明細書に記載されるようなTMD材料の原子層ナノリボンを提供するために、二重原子層リボンの一部を除去することをさらに含んでもよい。いくつかの態様によれば、二重原子層リボンの一部を除去するステップは、二重原子層リボンの一部を酸化させて酸化部分を提供するステップと、酸化部分を非酸化部分から分離してTMD材料の原子層ナノリボンを提供するステップとを含むことができる。
例えば、図3Aは、第1の単分子層22、第2の単分子層23、及び金属含有ナノ粒子21を含む、図2Aに関連して記載されるような二重原子層リボンを示す。図3Bは、図3Aに示された例の断面図を示す。図3A及び3Bに示すように、第1の単分子層22は、未露出部分32(すなわち、第1の単分子層22のうち、その上に第2の単分子層23を有する部分)、及び露出部分31(すなわち、第1の単分子層22のうち、その上に第2の単分子層23を有さない部分)を含む。いくつかの態様によれば、本方法は、第1の単分子層22の露出部分31によって構成されるTMD材料を酸化して、酸化部分を提供することを含むことができる。酸化部分は金属酸化物材料を含む。
いくつかの非限定的な例では、二重原子層リボンに含まれるTMD材料がMoS又はMoSeである場合、この方法は、露出部分31のMoS又はMoSeを酸化させて、MoOに変換されるようにすることを含むことができる。別の非限定的な例では、二重原子層リボンに含まれるTMD材料がWS又はWSeである場合、この方法は、露出部分31のWS又はWSeを酸化させて、WOに変換されるようにすることを含むことができる。本開示の文脈において、露出部分31を酸化させることは、本明細書に記載されるように、露出部分31を酸化部分に変換させてもよいことを理解されたい。
いくつかの態様によれば、本明細書に記載されるように、二重原子層リボンの一部を酸化して酸化部分を提供することは、二重原子層リボンにUV−オゾン(UVO)処理を施すことを含んでもよい。いくつかの非限定的な例では、UVO処理は、UV光を有するUVOクリーナー中に二重原子層リボンを提供することを含んでもよい。一例では、(例えば、本明細書に記載されるようなCVDプロセスによって)二重原子層リボンが上に堆積された基板は、本明細書に記載されるように露出部分を酸化するのに十分なUVO強度が二重原子層リボンに提供されるように、UV光から所定の距離にあるUVOクリーナー内に提供されてもよい。いくつかの態様によれば、UV光と二重原子層リボンとの間の距離は、約0.1〜5cm、任意選択で約0.5〜3.2cmとすることができる。いくつかの態様によれば、UVO処理は、約20℃〜約200℃の温度で、約1分〜2時間の間の時間、及び任意選択で約5分〜1時間の間の時間、行われてもよい。いくつかの態様によれば、その時間は、露出部分31のTMD材料の少なくとも80%、任意選択的に少なくとも約85%、任意選択的に少なくとも約90%、任意選択的に少なくとも約95%、任意選択的に少なくとも約97%、任意選択的に少なくとも約98%、任意選択的に少なくとも約99%、及び任意選択的に約100%を酸化するように、選択されてもよい。
本方法は、TMD材料の原子層ナノリボンを提供するために、二重原子層リボンの酸化部分をエッチングすることをさらに含んでもよい。本明細書で使用される「エッチング」という用語は、表面から1つ又は複数の物質を除去するためにエッチング剤が使用される除去(subtractive)製造プロセスを指す。本開示のいくつかの態様によれば、二重原子層リボンの酸化部分をエッチングすることは、二重原子層リボンの酸化部分をその残りの部分(例えば、非酸化部分)から分離するのに十分なエッチング処理を二重原子層リボンに施すことを含むことができる。本方法は、残留するエッチング剤を除去するためのリンス工程をさらに含んでもよい。
いくつかの態様によれば、エッチング剤は、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、又はそれらの組合せなどの水酸化物を含むことができる。エッチング剤は、水溶液などの溶液として提供されてもよい。いくつかの態様によれば、エッチング剤は、約0.1〜10M、任意選択で約0.5〜5M、任意選択で約1Mの水酸化物濃度を有することができる。非限定的な一例では、エッチング処理は、少なくとも1つの酸化部分を有する二重原子層リボンを、酸化部分を除去するのに十分な時間、水酸化物溶液中に浸漬することを含むことができる。その時間は、例えば、約1秒〜1分、任意選択で約1秒〜30秒、任意選択で約10秒とすることができる。この例では、残留したエッチング剤を除去するために、水でリンスすることができる。
図4Aは、本方法に従って調製されたTMD材料の二重原子層ナノリボンの例を示す。図4Aに示される二重原子層ナノリボンは、図3Aの二重原子層リボンに対応してもよく、本明細書に記載されるように露出部分31は除去されていることを理解されたい。図4Bは、図4AのTMD材料の二重原子層ナノリボンの断面図を示す。図4A及び4Bに示されている例示的な二重原子層ナノリボンは、例えば図3Aに示す二重原子層リボンの第1の単分子層22の未露出部分32及び第2の単分子層23を含むことを理解されたい。
図3及び4に示される実施例は、本開示を限定するものではないことを理解されたい。例えば、図5Aに示されるように、本方法は、第1の単分子層22の露出部分31によって構成されるTMD材料及び第2の単分子層23によって構成されるTMD材料の両方を酸化することを含むことができる。この例では、第1の単分子層22の露出部分31及び第2の単分子層23を、本明細書に記載されるように、「露出部分」と総称することができる。露出部分によって構成されるTMD材料が酸化されると、露出部分によって構成される酸化材料を、本明細書に記載されるように、「酸化部分」と総称することができる。この方法は、図5Bに示されるような単一原子層ナノリボンを提供するために、本明細書に記載されるような酸化部分を除去することを含んでもよい。図5Bに示す単一原子層ナノリボンは、図5Aに示すように、第1の単分子層22の未露出部分32を含むことを理解されたい。
本開示はまた、本明細書に記載の方法によって提供される二重原子層リボンに関する。いくつかの態様によれば、二重原子層リボンは、本明細書に記載されるTMD材料を含む第1の単分子層と、TMD材料を含む第2の単分子層とを含むことができる。第2の単分子層は、第1の単分子層の表面上に配置される。いくつかの態様によれば、第1の単分子層は、第2の単分子層の平均幅よりも大きい平均幅を有することができる。
また、本開示は、本明細書に記載される方法によって提供される二重原子層ナノリボン及び単一原子層ナノリボンに関する。
本明細書で説明される態様は、先に概説された例示的な態様に関連して説明されている。しかし、既知であるか、又は現在予期されていないかにかかわらず、様々な代替形態、修正形態、変形形態、改良形態、及び/又は実質的な均等物が少なくとも当業者には明らかになり得る。したがって、上述の例示的な態様は、限定的なものではなく、例示であることが意図されている。本開示は、その精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができる。したがって、本開示は、すべての既知の、又は後に開発される代替物、修正、変形、改良、及び/又は実質的な均等物を包含することが意図される。
したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の言語と一致する完全な範囲を与えられるべきである。単数形の要素への言及は、具体的にそのように述べられていない限り、単数形の要素がなく、「1つ及び1つのみ」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものである。当業者に知られている、又は後に知られるようになる、本開示全体にわたって説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な等価物は、参照によって本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、一般に公開されることを意図するものではない。要素が「手段(means for)」の語句を用いて明示的に記載されない限り、その請求要素は、means plus functionとして解釈されるべきではない。
さらに、用語「例」は、本明細書では「example、インスタンス(instance)、又は実例(illustration)としての役割を果たす」を意味するために使用される。「例」として本明細書で説明される任意の態様は、必ずしも、他の態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。特に断らない限り、用語「いくつかの(some)」は1つ以上を指す。「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、及び「A、B、C、又はそれらの任意の組み合わせ」などの組み合わせは、A、B、及び/又はCの任意の組み合わせを含み、多数(multiples of)のA、多数のB又は多数のCを含んでいてもよい。具体的には、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、及び「A、B、C、又はそれらの任意の組み合わせ」などの組み合わせは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、又は、A及びB及びCであってもよい。そのような組み合わせはいずれも、A、B、又はCの1つ以上のメンバー(構成要素)を含んでいてもよい。本明細書で開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公開されることを意図しない。
「約」という語は、本明細書では記載された値の±5%以内、任意選択で±4%以内、任意選択で±3%以内、任意選択で±2%以内、任意選択で±1%以内、任意選択で±0.5%以内、任意選択で±0.1%以内、及び任意選択で±0.01%以内を意味するために使用される。
以下の実施例は、当業者に、本発明をどのように調製及び使用するかの完全な開示及び説明を提供するために記載され、発明者が本発明とみなす範囲を限定することを意図するものではなく、また、以下に記載される実験が実施されたすべて又は唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用されている数(例えば、量、寸法など)に関して正確性を確保するように努力されているが、いくつかの実験誤差と偏差を考慮に入れるべきである。
実施例1:二重原子層リボンの調製
二重原子層MoSリボンを、1インチ石英管を装備した管状炉システムで行ったCVD法によって合成した。成長基板である285nmのSiO(SiO/Si)プレートを有するSiを、アセトン及びイソプロパノール(IPA)によって洗浄し、次いで、約1.2mgのMoO、約0.05mgのNaBr、及び約0.1mgのNi粉末の混合物を含有するアルミナるつぼの上に下向きに(face−down)配置し、これを石英管の中心に挿入した。約200mgのS粉末を含む別のるつぼを管の上流側に配置し、加熱ベルトを巻いた。最初に、反応チャンバーを500sccm(標準立方センチメートル/分)のアルゴンガス流で1時間パージした。次に、F inert+水を10%含有する合計80sccmの保湿アルゴンガス流で、770℃(40℃/分の上昇速度(ramping rate))で3分間反応を行った。反応温度において、S粉末の位置での温度は、加熱ベルトによって制御されて、約200℃であった。成長後、加熱ベルトを取り外し、炉を室温まで自然冷却した。
実施例2(a):二重原子層リボンの走査型電子顕微鏡による特性評価
図6Aは、実施例1に従って調製した二重原子層リボンを走査電極顕微鏡(SEM)画像で示す図である。
図6Bは、MoSを含む第1の単分子層22、MoSを含む第2の単分子層23、及びNi−Mo−Sナノ粒子21を含む、実施例1に従って調製された二重原子層リボンの別のSEM画像を示す。図6Bに示すように、第1の単分子層22の幅は約1μmであり、第2の単分子層23の幅は約80nmであった。第2の単分子層23は、第2の単分子層23の幅と同等の直径を有するNi−Mo−Sナノ粒子21によって、終結している(terminated)。
実施例2(b):二重原子層リボンの原子間力顕微鏡による特性評価
図7Aは、実施例1に従って調製された二重原子層リボンの原子間力顕微鏡(AFM)画像を、位相幾何学的情報(topological information)と共に示す。図7Bは、図7Aの破線矢印に沿った高さプロファイルを示す。高さプロファイルにより、二重原子層リボンが約1nmの厚さを有する第1の単分子層と、第1の単分子層の表面上に存在する約1nmの厚さを有する第2の単分子層とを含むことが、確認された。
実施例3:二重原子層ナノリボンの調製
実施例1に従って調製した成長したままの二重原子層MoSリボンを、まずUVOクリーナー中で20℃で5〜10分間処理した。リボンとUV光との間の距離は約2cmであった。次いで、サンプルを1MのKOH水溶液に10秒間浸漬し、続いて脱イオン水で10秒間リンスすることからなるエッチング処理をサンプルに行った。
実施例4:UVO後の二重原子層リボンの走査型電子顕微鏡による特性評価
図8A及び8Bは、実施例3に記載されるUVO処理の異なる点(point)における二重原子層リボンのSEM画像を示す。
特に、図8Aは、UVO処理の5分後の二重原子層リボンのSEM画像を示す。図8Aに見られるように、二重原子層リボンは、各々がMoSを含む第1の単分子層22及び第2の単分子層23を含んでいた。図8Aはまた、第1の単分子層22の露出部分31が部分的にMoO 24(光コントラスト)に変換されたことを示す。図8Bは、UVO処理の8分後の二重原子層リボンのSEM画像を示す。図8Bに見られるように、二重原子層リボンは第1の単分子層22及び第2の単分子層23を含む。第2の単分子層23はMoSを含む。図8Bに示すように、第1の単分子層22の露出部分31は、完全にMoO(光コントラスト)に変換された。
実施例5(a):二重原子層ナノリボンの走査型電子顕微鏡による特性評価
図9Aは、実施例3で説明したエッチング処理後の二重原子層ナノリボンのSEM画像を示す図である。図9Aは、Ni−Mo−Sナノ粒子21と、第1の単分子層(見えない)の未露出部分の表面上に設けられたMoSを含む第2の単分子層23とを示す。
図9Bは、実施例3で説明したエッチング処理後の二重原子層ナノリボンの別のSEM画像を示す図である。図9Bは、Ni−Mo−Sナノ粒子21と、第1の単分子層(見えない)の未露出部分の表面上に設けられたMoSを含む第2の単分子層23とを示す。二重原子層ナノリボンは約10nmの幅を有していた。
図9Cは、実施例3で説明したエッチング処理後の二重原子層ナノリボンの別のSEM画像を示す図である。図9Cは、Ni−Mo−Sナノ粒子21と、第1の単分子層(見えない)の未露出部分の表面上に設けられたMoSを含む第2の単分子層23とを示す。二重原子層ナノリボンは約20nmの幅を有していた。
図9Dは、実施例3で説明したエッチング処理後の二重原子層ナノリボンの別のSEM画像を示す図である。図9Dは、Ni−Mo−Sナノ粒子21と、第1の単分子層(見えない)の未露出部分の表面上に設けられたMoSを含む第2の単分子層23とを示す。二重原子層ナノリボンは約50nmの幅を有していた。
実施例5(b):二重原子層ナノリボンのオージェ電子分光法による特性評価
図10Aは、実施例3に従って調製された二重原子層ナノリボンの電子顕微鏡像を示す。図10Aに示すように、二重原子層ナノリボンは、金属含有ナノ粒子21で終結している。
図10B〜10Dは、図10Aに示される二重原子層ナノリボン、及び実施例3に従って調製された二重原子層ナノリボンのオージェ電子分光法(AES)元素分布マッピングを示す。特に、図10Bは、SのAESマッピングを示し、図10CはMoのAESマッピングを示し、図10DはNiのAESマッピングを示す。図10B〜10Dから、二重原子層ナノリボンは、Mo:S原子比が1:2のMo及びSを含み、ナノ粒子は、Ni、Mo及びSを含むことが、わかった。
実施例5(c):二重原子層ナノイボンの原子間力顕微鏡の特性評価
図11Aは、実施例3に従って調製された二重原子層ナノリボンのAFM画像を、位相幾何学的情報と共に示す。図11Bは、図11Aの破線矢印に沿った高さプロファイルを示す。高さプロファイルから、ナノリボンが約2nmの厚さを有する二重層であることが確認された。

Claims (20)

  1. 原子層ナノリボンを製造する方法であって、
    第1の単分子層と、前記第1の単分子層の表面上の第2の単分子層とを含む二重原子層リボンを形成するステップであって、化学気相成長によって基板上に前記二重原子層リボンを堆積させるのに十分な温度で、2つ以上の前駆体粉末を保湿ガス流に曝すことを含み、前記第1の単分子層及び前記第2の単分子層はそれぞれ、遷移金属ジカルコゲナイド材料を含む、ステップと、
    前記第1の単分子層の少なくとも一部を酸化して酸化部分を提供し、前記酸化部分を除去して前記遷移金属ジカルコゲナイド材料を含む原子層ナノリボンを提供するステップと、を含む方法。
  2. 前記2つ以上の前駆体粉末は金属酸化物粉末及びカルコゲン粉末を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記2つ以上の前駆体粉末は金属粉末及び塩粉末をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記金属酸化物粉末は二酸化モリブデンを含み、前記カルコゲン粉末は硫黄を含む、請求項2に記載の方法。
  5. 前記金属粉末はニッケル、鉄、又はそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記第1の単分子層の前記一部を酸化することは、前記二重原子層リボンをUV−オゾン処理を施すことを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記第2の単分子層の少なくとも一部を酸化することをさらに含み、酸化された前記一部は、前記第1の単分子層の前記一部及び前記第2の単分子層の前記一部を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記酸化部分を除去することはエッチング処理を含み、前記エッチング処理は、前記酸化部分をエッチング剤に曝すことを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記保湿ガス流は約100〜3000ppmの水分含有量を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記保湿ガス流は、第1の保湿不活性ガスを提供するために、DI水を含むバブラーを介して第1の不活性ガス流を流し、前記第1の保湿不活性ガスを第2の不活性ガス流と組み合わせることによって提供される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記第1の不活性ガス流及び/又は前記第2の不活性ガス流は、不純物水分を低減するように処理されている、請求項10に記載の方法。
  12. 前記第1の単分子層は、第1の平均幅を有し、前記第2の単分子層は、前記第1の平均幅よりも小さい第2の平均幅を有する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記第1の平均幅は約0.1〜約100μmである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第2の平均幅は約5〜100nmである、請求項12に記載の方法。
  15. 前記第2の単分子層は金属含有ナノ粒子によって終結している、請求項1に記載の方法。
  16. 第1の単分子層と、前記第1の単分子層の表面上の第2の単分子層とを含む二重原子層リボンであって、
    前記二重原子層リボンは、2つ以上の前駆体粉末を、化学気相成長により基板上に二重原子層リボンを堆積させるのに十分な温度で保湿ガス流に曝すことによって形成され、
    前記第1の単分子層は、第1の平均幅を有し、前記第2の単分子層は、前記第1の平均幅よりも小さい第2の平均幅を有し、前記第1の単分子層と前記第2の単分子層はそれぞれ、遷移金属ジカルコゲナイド材料を有する、二重原子層リボン。
  17. 前記第1の平均幅は約0.1〜約100μmである、請求項16に記載の二重原子層リボン。
  18. 前記第2の平均幅は約5〜100nmである、請求項16に記載の二重原子層リボン。
  19. 前記第2の単分子層は、金属含有ナノ粒子によって終結している、請求項16に記載の二重原子層リボン。
  20. 前記遷移金属ジカルコゲナイド材料が二硫化モリブデンを含む、請求項16に記載の二重原子層リボン。
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KR102690300B1 (ko) * 2023-12-13 2024-07-30 울산과학기술원 전이금속 칼코젠 화합물 및 그 제조방법

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