JP2021167867A - 光学積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度の紫外線を照射した場合にも光学性能に変化を生じ難く、過酷な環境下においても性能変化が生じ難い高い耐久性を有する、位相差層を含む光学積層体を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物の硬化物から構成される位相差発現層を含む位相差層と、前記位相差層の少なくとも一方の面に隣接するガスバリア層とを含み、
前記ガスバリア層が500cm/(m・24h・atm)以下の酸素ガス透過度を有する、光学積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学積層体、特に、位相差層と該位相差層に隣接するガスバリア層とを含む光学積層体に関する。
フラットパネルディスプレイ(FPD)に用いられる位相差板として、逆波長分散性を示す位相差板が知られている。そのような位相差板を形成する重合性液晶化合物は、一般的に紫外線領域に極大吸収を有しており、該重合性液晶化合物から形成される位相差板の位相差値は紫外光から可視光領域の光暴露に起因して変化しやすいことが知られている。位相差板における位相差値の変化は、該位相差板の光学性能低下の要因となり得るため、紫外光などに暴露された場合であっても位相差値の変化を生じ難い位相差板の開発がなされている。
例えば、特許文献1には、紫外光に暴露された場合に位相差値が正方向に変化する重合性液晶化合物と、位相差値が負方向に変化する重合性液晶化合物とを含む2種以上の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を用いて位相差板を作製することによって、位相差板全体として位相差値変化の均衡を維持する技術が開示されている。
特開2019−003177号公報
近年、上記特許文献1に開示されるように、光暴露に対して位相差値の変化を生じ難い位相差板の開発は進んでいるが、高い耐久性を有する光学積層体(位相差板)への強い要望は依然として存在する。
本発明は、上記要望に対して、特許文献1とは異なる新規の解決手段、すなわち、光暴露に対して相対する位相差値変化を生じる2種の重合性液晶化合物を用いなくても上記要望を満たし得る手段を提供することを目的とするものであり、高強度の紫外線を照射した場合にも光学性能に変化を生じ難く、過酷な環境下においても性能変化が生じ難い高い耐久性を有する、位相差層を含む光学積層体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]少なくとも1種の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物の硬化物から構成される位相差発現層を含む位相差層と、前記位相差層の少なくとも一方の面に隣接するガスバリア層とを含み、
前記ガスバリア層が500cm/(m・24h・atm)以下の酸素ガス透過度を有する、光学積層体。
[2]ガスバリア層は架橋構造を有するポリマーを含む、前記[1]に記載の光学積層体。
[3]架橋構造は疎水性架橋剤に由来する、前記[2]に記載の光学積層体。
[4]疎水性架橋剤が、イソシアネート系架橋剤、多価アルデヒド系架橋剤および金属化合物系架橋剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、前記[3]に記載の光学積層体。
[5]ポリマーはポリビニルアルコール系樹脂を含む、前記[2]〜[4]のいずれかに記載の光学積層体。
[6]前記ガスバリア層が位相差層の両面に隣接して配置される、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の光学積層体。
[7]前記ガスバリア層が位相差層の厚み方向の少なくとも1つの側面を被覆する、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の光学積層体。
[8]偏光子層をさらに含む、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の光学積層体。
[9]偏光子層と位相差層とが、位相差層に隣接するガスバリア層のみを介して積層されている、前記[8]に記載の光学積層体。
本発明によれば、高強度の紫外線を照射した場合にも光学性能に変化を生じ難く、過酷な環境下においても性能変化が生じ難い高い耐久性を有する、位相差層を含む光学積層体を提供することができる。
本発明の光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明の光学積層体は、位相差層と、前記位相差層の少なくとも一方の面に隣接するガスバリア層とを含む。以下、本発明の光学積層体の層構成の一例を図1および2に基づいて説明するが、本発明の光学積層体はこれらの態様に限定されるものではない。
図1に示す光学積層体11は、位相差層1と、前記位相差層1の一方の面に隣接するガスバリア層2とを含む。この光学積層体11において位相差層1は、配向膜3と、該配向膜3上に形成された位相差発現層4とからなっている。
なお、本明細書において位相差層とは、位相差発現層が配向膜上に形成されている場合には、配向膜と該配向膜上に形成された位相差発現層とからなる構成をいい、位相差発現層が配向膜なしで形成されている場合には、該位相差発現層からなる構成をいう。
本発明の光学積層体は、位相差層とガスバリア層に加えて、画像表示装置等に組み込まれ得る各種機能を有する他の層を含んで構成されていてもよい。他の層としては、例えば、(剥離可能な)基材、偏光子層、保護層やハードコート層などの硬化樹脂層、粘接着剤層、前面板などが挙げられる。図1に示す光学積層体11において、位相差層1は剥離可能な基材5上に形成されており、例えば、剥離可能な基材5を剥離した後、位相差層1の配向膜3側に第2のガスバリア層2を形成することにより、図2に示すような、位相差層1の両面にガスバリア層2を有する光学積層体11が得られる。また、例えば、図3に示すように、図1および図2に示すような層構成からなる積層体のガスバリア層2に粘着剤層6を介して偏光子層7を積層することで、位相差層1と偏光子層7とを含む光学積層体11(楕円偏光板)が得られる。これらの光学積層体は、剥離可能な基材5を剥離した後、例えば、粘接着剤層を介して位相差層1を表示素子等に貼合することにより画像表示装置等に組み込むことができる。
紫外線領域に極大吸収を有する重合性液晶化合物の硬化物から形成される位相差板の光暴露に起因する位相差値低下の一因は、酸素が存在する環境下での光暴露により液晶硬化物で過酸化ラジカルが生成することにあると考えられる。例えば、光学積層体を構成する粘接着剤層は一般的に高い気体透過度を有することが多いため、光学積層体を構成する層として粘着剤層を含む場合、気体状態の酸素が該粘着剤層から光学積層体内へ侵入しやすく、光学積層体内へ侵入した酸素の位相差層への拡散が起こりやすくなる。本発明の光学積層体は、位相差層の少なくとも一方の面に、酸素ガス透過度の低いガスバリア層を有することにより、位相差層への酸素の拡散を抑制する効果に優れる積層体となる。
本発明の光学積層体は、位相差層の少なくとも一方の面に隣接するガスバリア層を含み、前記ガスバリア層は500cm/(m・24h・atm)以下の酸素ガス透過度を有する。酸素ガス透過度が前記上限以下であるガスバリア層が位相差層に隣接して存在することにより、例えば、光学積層体を構成する粘着剤層から侵入した酸素の位相差層内への拡散を抑制する効果が得られる。酸素ガスのより高い拡散抑制効果を得る観点から、位相差層に隣接するガスバリア層の酸素ガス透過度は、好ましくは300cm/(m・24h・atm)以下、より好ましくは200cm/(m・24h・atm)以下、さらに好ましくは150cm/(m・24h・atm)以下、特に好ましくは100cm/(m・24h・atm)以下である。酸素ガス透過度が低ければ低いほど酸素ガス拡散抑制効果に優れるため、本発明において前記酸素ガス透過度の下限は特に限定されず、0cm/(m・24h・atm)であってもよい。
ガスバリア層の酸素ガス透過度は、JIS K 7126−1に準拠した差圧式気体透過度測定法により測定することができる。詳細には、後述する実施例に記載の方法に従い測定できる。
本発明においてガスバリア層は、位相差層の片面にのみ設けられていてもよく、両面に隣接して設けられていてもよい。位相差層のいずれの面にガスバリア層を配置するかは、位相差層およびガスバリア層以外の、光学積層体を構成する他の層の種類やその配置に応じて適宜決定すればよいが、最終的な光学積層体において粘着剤層が存在する側の位相差層の面にガスバリア層が存在することが好ましい。また、位相差層が配向膜と位相差発現層とからなる場合には、位相差発現層の配向膜とは反対側の面にガスバリア層が存在することが好ましい。位相差層の両面にガスバリア層が存在する場合、そのうちの少なくとも一方のガスバリア層の酸素ガス透過度が前記上限以下である必要があり、両面のガスバリア層の酸素ガス透過度がいずれも上記上限以下であることが好ましい。
本発明の一態様において、ガスバリア層が位相差層の厚み方向の少なくとも1つの側面を被覆していることが好ましい。一般的な光学積層体は、最終的に矩形の枚葉状であることが多く、そのような光学積層体において位相差層の厚み方向には4つの側面が存在する。本発明において、ガスバリア層が位相差層の厚み方向の少なくとも1つの側面を被覆しているとは、例えば、そのような位相差層の側面のうちの少なくとも1つが、その少なくとも一部においてガスバリア層で被覆されている状態を意味する。位相差層の厚み方向の側面がガスバリア層で覆われていることにより、位相差層が外部環境(外気)と直接接する領域を少なくすることができ、空気中の酸素や水分が位相差層の厚み方向の側面を介して層内へ侵入することを防止し得る。これにより、光暴露により位相差層の位相差値の低下を効果的に抑制しやすくなる。本発明の光学積層体においては、位相差層の厚み方向の少なくとも1つの側面の全面がガスバリア層で被覆されていることがより好ましく、位相差層の全ての側面の全面がガスバリア層で被覆されていることがさらに好ましい。
本発明において、位相差層に隣接して配置されるガスバリア層の厚みは、ガスバリア層を構成する材料、光学積層体の層構成等に応じて適宜決定できる。ガスバリア層の厚みは、十分なガスバリア性を確保する観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。また、光学積層体の薄型化、干渉による色ムラの抑制、屈曲性の付与の観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。本発明の光学積層体にガスバリア層が複数存在する場合、それらのガスバリア層の厚みは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、複数のガスバリア層の全てが上記範囲内の厚みを有することが好ましい。なお、ガスバリア層の膜厚は、膜厚計により測定できる。
本発明の光学積層体において位相差層に隣接して配置されるガスバリア層は、ポリマーを含む層であることが好ましい。ガスバリア層を構成し得るポリマー材料としては、酸素ガス透過度が500cm/(m・24h・atm)以下となる層を得られるものであれば特に限定されず、公知のポリマー材料を用いることができるが、ポリマー材料として樹脂を含むことが好ましい。本発明においてガスバリア層を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ポリマー材料として、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂が好ましく、酸素ガス透過度が低く、位相差層への酸素ガスの侵入抑制効果に優れるガスバリア層を形成しやすい観点から、ポリビニルアルコール系樹脂がより好ましい。
本発明の一態様において、位相差層に隣接して配置されるガスバリア層は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物(以下、「PVA系樹脂組成物」ともいう)から形成される。
本明細書において、ポリビニルアルコール系樹脂とは、ビニルアルコール由来の構成単位を50質量%以上含む樹脂をいう。ポリビニルアルコール系樹脂とは、ビニルアルコール由来の構成単位を50質量%以上含む樹脂をいう。ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルエステルに由来する構造単位を有するポリビニルエステル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリビニルエステル系樹脂を構成するビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられるが、酢酸ビニルが好ましい。
ポリビニルエステル系樹脂は、酢酸ビニルなどのビニルエステルの単独重合体であってもよく、また、該ビニルエステルと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。ビニルエステルに共重合され得る他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ガスバリア層に用いるポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化のポリビニルアルコール系樹脂であっても、完全ケン化のポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、特に限定されるものではなく適宜決定すればよいが、一般には70モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が上記下限以上であると、得られるガスバリア層の耐水性やガスバリア層と隣接する層との密着性が向上しやすい。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度の上限は、100モル%以下であってもよく、好ましくは99.95モル%以下である。なお、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、JIS K6726に記載される方法に準拠して測定することができる。
ポリビニルエステル系樹脂をケン化する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができ、例えば、アルコールなどの有機溶媒中において触媒の存在下、ケン化する方法等が挙げられる。
ガスバリア層に用いるポリビニルアルコール系樹脂は、ホモポリマーであっても共重合体であってもよい。ポリビニルアルコールとの共重合体を構成する単量体の種類を選択することにより、酸素ガス透過抑制、耐水性や隣接する層との密着性等の各種機能をガスバリア層に付与し得る。ポリビニルアルコール共重合体としては、例えば、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体、アクリル酸、メタクリル酸メチル−ポリビニルアルコール等が挙げられる。ポリビニルアルコール共重合体におけるビニルアルコール単位の量は、好ましくは80〜98モル%、より好ましくは85〜98モル%である。
ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは1000〜10000、より好ましくは1000〜5000、さらに好ましくは1100〜3000である。ここで、平均重合度とは、数平均重合度のことである。平均重合度がこの範囲にあると、該ポリビニルアルコールを含む水溶液物性の安定性、得られる硬化膜の酸素ガスバリア性および耐水性を両立することができる。なお、ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726の記載に準じて測定した平均重合度を意味する。
ガスバリア層に用いるポリビニルアルコール系樹脂としては、変性されたものであることが好ましい。変性ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、アセトアセチル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂、カルボン酸変性されたポリビニルアルコール系樹脂、カルボニル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂、スルホン酸変性されたポリビニルアルコール系樹脂、ヒドラジド基変性されたポリビニルアルコール系樹脂、チオール基変性されたポリビニルアルコール系樹脂、アルキル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂、シリル基変性されたポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレングリコール基変性されたポリビニルアルコール系樹脂、エチレンオキシド基変性されたポリビニルアルコール系樹脂、ウレタン結合を有する基で変性されたポリビニルアルコール系樹脂、リン酸エステル基で変性されたポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。このような変性されたポリビニルアルコール系樹脂を用いると、後述する架橋剤による架橋反応の選択肢が増え、架橋反応性を高めやすくなり、ガスバリア層の耐水性やガスバリア層と隣接する層との密着性が向上するため好ましい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリビニルアルコール系樹脂として、市販品を用いてもよい。
本発明においてガスバリア層は、架橋構造を有するポリマーを含むことが好ましい。架橋構造を有するポリマーを含むことにより、ガスバリア層が緻密な構造になり、酸素ガス透過抑制効果が向上しやすくなるとともに、ガスバリア層とこれに隣接する層との密着性が向上しやすくなる。
ガスバリア層がPVA系樹脂組成物から形成される場合、ポリビニルアルコール系ポリマーに架橋構造を導入するために使用し得る架橋剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂における架橋剤として公知の化合物を用いることができる。そのような架橋剤としては、例えば、グリオキシル酸塩等のイオン結合性架橋剤やエポキシ系架橋剤、などの水溶性添加剤や架橋剤、イソシアネート系架橋剤、グリオキザールやグリオキザール誘導体等の多価アルデヒド系架橋剤、塩化ジルコニウム系またはチタンラクテート系等の金属化合物系架橋剤、などの疎水性架橋剤が挙げられる。中でも、ガスバリア層に、隣接する層との高い密着性に加えて優れた耐水性を付与し得る観点から、ガスバリア層を構成するポリマーにおける架橋構造が疎水性架橋剤に由来することが好ましく、イソシアネート系架橋剤、多価アルデヒド系架橋剤および金属化合物系架橋剤からなる群より選択される少なくとも1種の架橋剤に由来することがより好ましい。架橋剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤として市販品を用いることができる。水溶性の架橋剤としては、例えば、「Safelink SPM−01」(三菱ケミカル株式会社製)、「Sumirez Resin650」(田岡化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、疎水性の架橋剤としては、例えば、「バーノックDNW−5000」(DIC株式会社製)、「オルガチックスZB−400」(マツモトファインケミカル株式会社製)、「オルガチックスTC−310」(マツモトファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
本発明において、ガスバリア層を構成するポリマーに架橋構造を導入するために架橋剤を使用する場合、その添加量は用いる架橋剤の種類等に応じて適宜決定すればよい。PVA系樹脂組成物における架橋剤の含有量は、ポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、通常0.1〜100質量部であり、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部である。架橋剤の含有量が上記範囲であると、ガスバリア層が緻密になり、酸素ガス透過抑制効果が向上しやすく、また、ガスバリア層とこれに隣接する層との密着性が向上しやすくなる。さらに、疎水性架橋剤を用いる場合には得られるガスバリア層に十分に高い耐水性を付与することができる。
ガスバリア層を形成し得るPVA系樹脂組成物は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂を溶媒に溶解させた溶液として調製される。PVA系樹脂組成物における溶媒としては、水、アルコール、水とアルコールの混合物等が挙げられ、水が好ましい。例えば、該ガスバリア層を形成する面にPVA系樹脂組成物を塗工し、該塗膜を乾燥して硬化させることによりガスバリア層を得ることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂や架橋剤に溶媒を添加することにより得られるPVA系樹脂の固形分濃度は、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましく5〜15質量%である。PVA系樹脂組成物の固形分濃度が上記範囲内であると該組成物の粘度が低くなることから、塗工性や取扱性が良好となる。なお、ここでいう「固形分」とは、PVA系樹脂組成物から水などの溶媒を除いた成分のことをいう。
PVA系樹脂組成物は、ポリビニルアルコール系樹脂、架橋剤および水などの溶媒に加えて、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。そのような他の成分としては、例えば、防腐剤、レベリング剤などが挙げられる。ガスバリア層形成用組成物が添加剤等の他の成分を含む場合、その量は、ガスバリア層形成用組成物の固形分に基づき、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
PVA系樹脂組成物の塗膜を形成する方法は特に限定されず、例えば、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。
PVA系樹脂組成物の塗膜からガスバリア層を形成するための乾燥温度や時間等は特に限定されず、用いるガスバリア層形成用組成物の組成等に応じて適宜決定すればよい。乾燥処理は、例えば、熱風を吹き付けることなどによって行なうことができ、その温度は、通常40〜100℃、好ましくは60〜100℃の範囲内である。また、乾燥時間は通常、10〜600秒である。
本発明の別の一態様において、位相差層に隣接して配置されるガスバリア層は、活性エネルギー線硬化性樹脂を含む硬化性組成物(以下、「ガスバリア層形成用硬化性組成物」ともいう)から形成される。
ガスバリア層形成用硬化性組成物としては、エポキシ系化合物とカチオン重合開始剤とを含有するカチオン重合性の硬化性組成物、アクリル系硬化成分とラジカル重合開始剤とを含有するラジカル重合性の硬化性組成物、エポキシ系化合物等のカチオン重合性の硬化成分およびアクリル系化合物等のラジカル重合性の硬化成分の両者を含み、さらにカチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤を含む硬化性組成物、および、重合開始剤を含まずに電子ビームを照射することで硬化される硬化性組成物等が挙げられる。中でも、酸素ガス透過性が低いことに起因する高強度紫外線に対する耐久性と、耐水性の観点から、ガスバリア層がエポキシ系樹脂を含む層であることが好ましく、エポキシ系化合物を含むカチオン重合性エポキシ系化合物含有の硬化性組成物から形成されることが好ましい。
好適に使用できるエポキシ系化合物としては、芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールに、エピクロロヒドリンを反応させることにより得られる水素化エポキシ系化合物(脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテル);脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ系化合物;脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ系化合物である脂環式エポキシ系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ガスバリア層形成用硬化性組成物は無溶剤であってもよいし、有効成分が溶剤で希釈されていてもよい。有効成分が溶剤で希釈されている場合の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン等の揮発性溶剤が挙げられる。溶剤で希釈されている場合の有効成分の希釈倍率は、好ましくは2〜40倍、より好ましくは10〜30倍である。なお、本明細書において上記「有効成分」とは、ガスバリア層形成用硬化性組成物の固形分、すなわち、ガスバリア層形成用硬化性組成物から溶剤等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
ガスバリア層形成用硬化性組成物の有効成分中のエポキシ系化合物の含有量は、好ましくは70〜99質量%、より好ましくは90〜95質量%である。
ガスバリア層形成用硬化性組成物が、カチオン系エポキシ系化合物を硬化性成分として含む場合、光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;鉄−アレン錯体等が挙げられる。
ガスバリア層形成用硬化性組成物における光カチオン重合開始剤の含有量は、カチオン系エポキシ系化合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
ガスバリア層形成用硬化性組成物は、必要に応じて、オキセタン、ポリオール等のカチオン重合促進剤、光増感剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、および/または溶媒等の添加剤を含有することができる。
ガスバリア層形成用硬化性組成物を、ガスバリア層を形成する面に塗工した後、活性エネルギー線を照射して硬化することによって、ガスバリア層を形成できる。ガスバリア層形成用硬化性組成物の塗布方法としては、PVA系樹脂組成物の塗布方法と同様の方法を採用し得る。
活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380〜440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10〜3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくは重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒〜10分であり、好ましくは1秒〜5分、より好ましくは5秒〜3分、さらに好ましくは10秒〜1分である。このような紫外線照射強度で1回または複数回照射すると、その積算光量は、10〜3,000mJ/cm、好ましくは50〜2,000mJ/cm、より好ましくは100〜1,000mJ/cmである。
本発明において、ガスバリア層が位相差層の厚み方向の少なくとも1つの側面を被覆している場合、例えば、ガスバリア層で被覆される位相差層を、ガスバリア層を形成するための組成物(溶液)中に浸漬する、位相差層の側面が離型用フィルムの側面に覆われる形で、位相差層と離型用フィルムとをガスバリアを形成するための組成物(溶液)を介して接着するなどの方法により、位相差層の厚み方向の側面をガスバリア層で被覆することができる。
本発明の光学積層体において位相差層は、少なくとも1種の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物(以下、「重合性液晶組成物」ともいう)の硬化物からなる位相差発現層を含む。位相差発現層を形成する重合性液晶化合物としては、所望する光学特性に応じて、位相差フィルムの分野において従来公知の重合性液晶化合物から適宜選択することができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を有する液晶化合物である。重合性液晶化合物としては、一般に、該重合性液晶化合物を単独で特定方向に配向した状態で重合することにより得られる重合体(硬化物)が、正波長分散性を示す重合性液晶化合物と逆波長分散性を示す重合性液晶化合物とが挙げられる。本発明においては、どちらか一方の種類の重合性液晶化合物のみを使用してもよく、両方の種類の重合性液晶化合物を混合して用いてもよい。本発明の光学積層体は、酸素ガス透過度の低いガスバリア層を位相差層に隣接して配置することにより、位相差層内へ拡散される酸素ガスの量を低減する効果に優れる。このため、一般に、紫外線領域に極大吸収を有することが多く、酸素の存在する環境下で光暴露されることにより過酸化ラジカルを生成しやすい重合性液晶化合物から形成される位相差発現層を含む場合に、本発明の効果をより顕著に得ることができる。したがって、本発明の光学積層体を構成する位相差発現層は、いわゆる逆波長分散性を示す重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物の硬化物であることが好ましい。
重合性基とは、重合反応に関与し得る基をいう。本発明において位相差層を形成する重合性液晶化合物が有する重合性基は、好ましくは光重合性基である。光重合性基とは、重合性基であって、光重合開始剤から発生した反応活性種、例えば活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。光重合性基としては、例えばビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラニル基、オキセタニル基が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。重合性液晶化合物が示す液晶性はサーモトロピック性液晶であってもよいし、リオトロピック性液晶であってもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもディスコチック液晶でもよい。重合性液晶化合物は単独または二種以上組み合わせて使用できる。
いわゆるT字型またはH型の分子構造を有する重合性液晶化合物は、重合して硬化させた際に逆波長分散性を発現しやすく、T字型の分子構造を有する重合性液晶化合物はより強い逆波長分散性を発現する傾向にある。
逆波長分散性とは、短波長での面内位相差値の方が長波長での面内位相差値よりも大きくなる光学特性である。本発明において逆波長分散性を示す重合性液晶化合物とは、具体的には、重合性液晶化合物の配向状態の重合体が、下記式:
Re(450)<Re(550)<Re(650)
〔Re(λ)は波長λでの位相差板の正面リタデーションを表す〕
を満たす化合物を意味する。
さらに、本発明において逆波長分散性を示す重合性液晶化合物は、重合性液晶化合物の配向状態の重合体が下記式(I)および(II)を満たすことが好ましい。
Re(450)/Re(550)≦1.0 (I)
1.0≦Re(650)/Re(550) (II)
〔式中、Re(λ)は上記と同じ意味を表す。〕
逆波長分散性を示す重合性液晶化合物としては、下記(A)〜(D)の特徴を有する化合物であることが好ましい。
(A)ネマチック相またはスメクチック相を形成し得る化合物である。
(B)該重合性液晶化合物の長軸方向(a)上にπ電子を有する。
(C)長軸方向(a)に対して交差する方向〔交差方向(b)〕上にπ電子を有する。
(D)長軸方向(a)に存在するπ電子の合計をN(πa)、長軸方向に存在する分子量の合計をN(Aa)として下記式(i)で定義される重合性液晶化合物の長軸方向(a)のπ電子密度:
D(πa)=N(πa)/N(Aa) (i)
と、交差方向(b)に存在するπ電子の合計をN(πb)、交差方向(b)に存在する分子量の合計をN(Ab)として下記式(ii)で定義される重合性液晶化合物の交差方向(b)のπ電子密度:
D(πb)=N(πb)/N(Ab) (ii)
とが、式(iii)
0≦〔D(πa)/D(πb)〕<1 (iii)
の関係にある〔すなわち、交差方向(b)のπ電子密度が、長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きい〕。上記記載のように長軸およびそれに対して交差方向上にπ電子を有する重合性液晶化合物は、一般にT字構造となりやすい。
上記(A)〜(D)の特徴において、長軸方向(a)およびπ電子数Nは以下のように定義される。
・長軸方向(a)は、例えば棒状構造を有する化合物であれば、その棒状の長軸方向である。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、長軸上のπ電子およびこれと共役するπ電子の合計数であり、例えば長軸方向(a)上に存在する環であって、ヒュッケル則を満たす環に存在するπ電子の数が含まれる。
・交差方向(b)に存在するπ電子数N(πb)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
上記を満たす重合性液晶化合物は、長軸方向にメソゲン構造を有している。このメソゲン構造によって、液晶相(ネマチック相、スメクチック相)を発現する。
上記(A)〜(D)を満たす重合性液晶化合物を、相転移温度以上に加熱することにより、ネマチック相やスメクチック相を形成することが可能である。この重合性液晶化合物が配向して形成されたネマチック相またはスメクチック相では通常、重合性液晶化合物の長軸方向が互いに平行になるように配向しており、この長軸方向がネマチック相またはスメクチック相の配向方向となる。このような重合性液晶化合物を膜状とし、ネマチック相またはスメクチック相の状態で重合させると、長軸方向(a)に配向した状態で重合した重合体からなる重合体膜を形成することができる。この重合体膜は、長軸方向(a)上のπ電子と交差方向(b)上のπ電子により紫外線を吸収する。ここで、交差方向(b)上のπ電子により吸収される紫外線の吸収極大波長をλbmaxとする。λbmaxは通常300nm〜400nmである。π電子の密度は、上記式(iii)を満足していて、交差方向(b)のπ電子密度が長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きいので、交差方向(b)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収が、長軸方向(a)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収よりも大きな重合体膜となる。その比(直線偏光紫外線の交差方向(b)の吸光度/長軸方向(a)の吸光度の比)は、例えば1.0超、好ましくは1.2以上、通常30以下であり、例えば10以下である。
上記特徴を有する重合性液晶化合物は、一般に、一方向に配向した状態で重合させたときにその重合体の複屈折率が逆波長分散性を示すものであることが多い。このような重合性液晶化合物として、具体的には、例えば下記式(1):
Figure 2021167867
で表される重合性液晶化合物(1)(以下、「重合性液晶化合物(1)」ともいう)が挙げられる。重合性液晶化合物が上記式(1)で表される構造を有する化合物であると、逆波長分散性を示し、広い波長域において一様の偏光変換が可能であり、表示装置に用いた場合に良好な表示特性を付与し得る重合性液晶組成物を得ることができる。
式(1)中、Arは、置換基を有していてもよい二価の芳香族基である。
1a、L2a、B1aおよびB2aはそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基であって、炭素数1〜4のアルキレン基、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−ROR−、−RCOOR−、−ROCOR−、ROC=OOR−、−N=N−、−CR’=CR’−、または−C≡C−である。ここで、前記Rはそれぞれ独立に、単結合もしくは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R’はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表す。
1aおよびG2aはそれぞれ独立に、二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子は、酸素原子、硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。
1aおよびE2aはそれぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表す。ここで、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−、−S−、−Si−で置換されていてもよい。
1aおよびP2aはそれぞれ独立に、水素原子または重合性基を表し、P1aおよびP2aのうちの少なくとも1つは重合性基である。
およびlは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、B1aおよびB2a、G1aおよびG2aは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
1aおよびL2aはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、−O−、−S−、−ROR−、−RCOOR−、−ROCOR−、−ROC=OOR−、−N=N−、−CR’=CR’−、または−C≡C−である。ここで、Rはそれぞれ独立に単結合または炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R’はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表す。L1aおよびL2aはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、−OR’’−、−CH−、−CHCH−、−COOR’’−、または−OCOR’’−である。ここで、R’’はそれぞれ独立に単結合、−CH−、−CHCH−のいずれかを表す。L1aおよびL2aはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−COOCHCH−または−OCO−である。式(1)中、L1aおよびL2aは互いに同一であっても異なっていてもよいが、重合性液晶化合物の製造が容易となり、製造コストを抑制することができる観点から、L1aとL2aが互いに同一であることが好ましい。なお、L1aとL2aが互いに同一であるとは、Arを中心としてみた場合のL1aとL2aの構造が互いに同一であることを意味する。以下、B1aとB2a、G1aとG2a、E1aとE2a、P1aとP2aにおける関係についても同様である。
1aおよびB2aはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、−O−、−S−、−ROR−、−RCOOR−、−ROCOR−、または−ROC=OOR−である。ここで、Rはそれぞれ独立に単結合、または炭素数1〜4のアルキレン基を表す。B1aおよびB2aはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、−OR’’−、−CH−、−CHCH−、−COOR’’−、または−OCOR’’−である。
ここで、R’’はそれぞれ独立に単結合、−CH−、−CHCH−のいずれかを表す。B1aおよびB2aはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、−O−、−CHCH−、−COO−、−COOCHCH−、−OCO−または−OCOCHCH−である。式(1)中、B1aおよびB2aは互いに同一であっても異なっていてもよいが、重合性液晶化合物の製造が容易となり、製造コストを抑制することができる観点から、B1aとB2aが互いに同一であることが好ましい。
1aおよびG2aは、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子および炭素数1〜4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4−フェニレンジイル基、ハロゲン原子および炭素数1〜4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4−シクロヘキサンジイル基であり、より好ましくはメチル基で置換された1,4−フェニレンジイル基、無置換の1,4−フェニレンジイル基または無置換の1,4−trans−シクロヘキサンジイル基であり、特に好ましくは無置換の1,4−フェニレンジイル基または無置換の1,4−trans−シクロへキサンジイル基である。式(1)中、G1aおよびG2aは互いに同一であっても異なっていてもよいが、重合性液晶化合物の製造が容易となり、製造コストを抑制することができる観点から、G1aとG2aが互いに同一であることが好ましい。G1aおよびG2aが複数存在する場合、そのうち少なくとも1つが二価の脂環式炭化水素基であることが好ましい。また、L1aまたはL2aに結合するG1aおよびG2aのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましく、特に、良好な液晶性を示すことから、L1aまたはL2aに結合するG1aおよびG2aのいずれもが1,4−trans−シクロヘキサンジイル基であることがさらに好ましい。
1aおよびE2aはそれぞれ独立に、炭素数1〜17のアルカンジイル基が好ましく、炭素数4〜12のアルカンジイル基がより好ましい。式(1)中、E1aおよびE2aは互いに同一であっても異なっていてもよいが、重合性液晶化合物の製造が容易となり、製造コストを抑制することができる観点から、E1aとE2aが互いに同一であることが好ましい。
およびlは、逆波長分散性発現の観点から2≦k+l≦6の範囲が好ましく、k+l=4であることが好ましく、対称構造となるためk=2かつl=2であることがより好ましい。
1aまたはP2aで表される重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、およびオキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。式(1)中、P1aおよびP2aは互いに同一であっても異なっていてもよいが、重合性液晶化合物の製造が容易となり、製造コストを抑制することができる観点から、E1aとE2aが互いに同一であることが好ましい。
重合性液晶化合物の製造が容易となり、製造コストを抑制することができる観点から、L1a=L2aかつG1a=G2aかつB1a=B2aかつE1a=E2aかつP1a=P2aかつk=lであることがより好ましい。
Arは、置換基を有していてもよい二価の芳香族基である。本発明において芳香族基とは、平面性を有する環状構造の基であり、該環構造が有するπ電子数がヒュッケル則に従い[4n+2]個(nは整数を表す)であるものをいい、−N=や−S−等のヘテロ原子を含んで環構造を形成している場合、これらヘテロ原子上の非共有結合電子対を含めてヒュッケル則を満たし、芳香族性を有するものを含む。
Arで表される置換基を有していてもよい芳香族基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環または置換基を有していてもよい芳香族複素環を有することが好ましい。
前記芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。前記芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、ピロリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、およびフェナンスロリン環等が挙げられる。Arに窒素原子が含まれる場合、当該窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
中でも、Arは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも2つのヘテロ原子を含む芳香族複素環を有することが好ましく、チアゾール環またはベンゾチアゾール環を有することがより好ましく、ベンゾチアゾール環を有することがさらに好ましい。なお、Arが窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも2つのヘテロ原子を含む芳香族複素環を有する場合、前記芳香族複素環は、式(1)中のL1aおよびL2bと直接結合して二価の芳香族基を構成していてもよく、L1aおよびL2bと直接結合する二価の芳香族基の置換基として含まれていてもよいが、前記芳香族複素環を含むAr基全体が分子配向方向に対して略直交方向に立体配置していることが好ましい。
式(1)中、Arで表される二価の芳香族基に含まれるπ電子の合計数Nπは、好ましくは12以上であり、より好ましくは13以上、さらに好ましくは16以上である。また、好ましくは32以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは28以下、特に好ましくは24以下である。
Arで表される芳香族基としては、例えば、下記式(Ar−1)〜(Ar−22)で表される基が挙げられる。
Figure 2021167867
式(Ar−1)〜式(Ar−22)中、*印は連結部を表し、Z、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜12のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数1〜12のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のN−アルキルスルファモイル基または炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
およびQは、それぞれ独立に、−CR2’3’−、−S−、−NH−、−NR2’−、−CO−または−O−を表し、R2’およびR3’は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
およびJは、それぞれ独立に、炭素原子、または窒素原子を表す。
、YおよびYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
およびWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基またはハロゲン原子を表し、mは0〜6の整数を表す。
、YおよびYにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む炭素数4〜20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
、YおよびYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基または多環系芳香族複素環基であってもよい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、または芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、または芳香環集合に由来する基をいう。
、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基であることが好ましく、Zは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、シアノ基がさらに好ましく、ZおよびZは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、シアノ基がさらに好ましい。
およびQは、−NH−、−S−、−NR2’−、−O−が好ましく、R2’は水素原子が好ましい。中でも−S−、−O−、−NH−が特に好ましい。
式(Ar−16)〜(Ar−22)において、Yは、これが結合する窒素原子およびZと共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。芳香族複素環基としては、Arが有していてもよい芳香族複素環として前記したものが挙げられるが、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Yは、これが結合する窒素原子およびZと共に、前述した置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基または多環系芳香族複素環基であってもよい。例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。
式(Ar−1)〜(Ar−22)の中でも、式(Ar−6)および式(Ar−7)が分子の安定性の観点から好ましい。中でも、下記式(1−1−A)で表される二価の芳香族基であることがより好ましい。
Figure 2021167867
〔式中、Q、Y、ZおよびZは、前記と同じ意味を有する。〕
Arで表される芳香族基として、以下の式(Ar−23)で示される基も挙げられる。
Figure 2021167867
式(Ar−23)中、*、Z、Z、QおよびQは前記と同じ意味を示し、Uは置換基が結合していてもよい第14属〜第16属の非金属原子を示す。第14属〜第16属の非金属原子としては、例えば炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が挙げられ、好ましくは=O、=S、=NR’および=C(R’)R’などが挙げられる。置換基R’としては、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のジアルキルスルファモイル基などが挙げられ、非金属原子が炭素原子(C)である場合における2つのR’は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明において、重合性液晶化合物(1)としては、例えば、特開2019−003177号公報等に記載される化合物が挙げられる。
重合性液晶化合物(1)には、該重合性液晶化合物の配向状態の重合体が逆波長分散性を示し、該重合性液晶化合物を単独で配向した状態において500mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される波長450nmにおける位相差値〔R(A,500,450)〕に対して、該重合性液晶化合物を単独で配向した状態において3000mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される波長450nmにおける位相差値〔R(A,3000,450)〕(以下、「ΔRe(450)」ともいう)が正方向に変化する重合性液晶化合物(A)と、該重合性液晶化合物の配向状態の重合体が逆波長分散性を示し、該重合性液晶化合物を単独で配向した状態において500mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される波長450nmにおける位相差値〔R(A,500,450)〕に対して、該重合性液晶化合物を単独で配向した状態において3000mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される波長450nmにおける位相差値〔R(A,3000,450)〕が負方向に変化する重合性液晶化合物(B)が含まれる。
本明細書において、位相差値が「正方向に変化する」とは、対象となる重合性液晶化合物を単独で配向した状態において500mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される波長450nmにおける位相差値〔R(A,500,450)〕に対して、該重合性液晶化合物を単独で配向した状態において3000mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される波長450nmにおける位相差値〔R(A,3000,450)〕が大きくなることを意味する。反対に、位相差値が「負方向に変化する」とは、前記位相差値〔R(A,500,450)〕に対して位相差値〔R(A,3000,450)〕が小さくなることを意味する。なお、本明細書において、ΔRe(450)の変化が、絶対値で1.5nm以下、好ましくは1nm以下、より好ましくは0.5nm以下である場合、その重合性液晶化合物は、上記特定の紫外線照射条件下において位相差値が変化しない性質を有する化合物であるとする。
本発明において、重合性液晶化合物の位相差値〔R(A,500,450)〕は、所定量の重合開始剤および溶媒を添加した重合性液晶化合物を含む溶液を配向膜上に塗工した後、波長365nmの紫外線を波長365nmにおける積算光量が500mJ/cmになるように照射して得られる液晶硬化層の波長450nmの光に対する面内位相差値を測定することによって得られる値である。また、重合性液晶化合物の位相差値〔R(A,3000,450)〕は、前記位相差値〔R(A,500,450)〕を測定した液晶硬化層に対して、さらに波長365nmの紫外線を波長365nmにおける積算光量が2500mJ/cmになるように照射(すなわち、液晶硬化層の作製時に照射した紫外線と累計で、波長365nmにおける照射時の積算光量が3000mJ/cmになるように照射)した後の液晶硬化層の波長450nmの光に対する内面位相差値を測定することによって得られる値である。
重合性液晶化合物、特に波長250〜400nmの紫外線領域に極大吸収を有する逆波長分散性を示す重合性液晶化合物では、紫外線を照射することによりその光学特性が変化することがある。上記特定条件下で重合性液晶化合物に紫外線を照射した場合のΔRe(450)が正方向に変化するか負方向に変化するかは、通常、重合性液晶化合物の分子構造により決まり、特に、上記式(1)で表される重合性液晶化合物においてはArの有する分子構造によって決まると考えられる。
必ずしも限定されるものではないが、式(1)中のArで表される芳香族基が、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、炭素原子および水素原子から構成される場合、上記紫外線照射条件下における位相差値は正方向に変化する傾向にある。したがって、式(1)中のArで表される芳香族基が、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、炭素原子および水素原子から構成される二価の芳香族基である場合に該重合性液晶化合物は、上記紫外線照射条件下における位相差値は正方向に変化する化合物となることが多い。上記紫外線照射条件下における位相差値は正方向に変化する重合性液晶化合物(A)として、より具体的に、例えば前記式(1−1−A)中のQが−S−であり、Yがアルケニル構造を有する多環式芳香族複素環を有する芳香族基である式(1)で表される化合物が挙げられる。アルケニル構造を有すると、光酸化反応を受け、アルケニル部分が酸化されて位相差値が増加(正方向に変化)する傾向がある。
一方、必ずしも限定されるものではないが、式(1)中のArで表される芳香族基が、窒素原子、硫黄原子、炭素原子および水素原子から構成される場合、上記紫外線照射条件下における位相差値は負方向に変化する傾向にある。したがって、式(1)中のArで表される芳香族基は、窒素原子、硫黄原子、炭素原子および水素原子から構成される二価の芳香族基である場合に該重合性液晶化合物は、上記紫外線照射条件下における位相差値は負方向に変化する化合物となることが多い。上記紫外線照射条件下における位相差値は負方向に変化する重合性液晶化合物(B)として、より具体的に、例えば前記式(1−1−A)中のQが−S−であり、Yがアルケニル構造を有さない多環式芳香族複素環を有する芳香族基である、さらにYがアルケニル構造を有さず、ヘテロ原子を2つ含む多環式芳香族複素環を有する芳香族基である、特にYがアルケニル構造を有さず、五員環と六員環の縮合環であり、五員環部分にヘテロ原子を2つ含む多環式芳香族複素環を有する芳香族基である式(1)で表される化合物が挙げられる。
重合性液晶組成物が、紫外線照射によりΔRe(450)が正方向に変化する重合性液晶化合物と、ΔRe(450)が負方向に変化する重合性液晶化合物とを含む場合、紫外線を照射した場合の個々の重合性液晶化合物における光学特性変化が相殺され、紫外線照射時における重合性液晶組成物としての光学特性の変化を抑制し得るが、本発明の光学フィルムにおいては、位相差層に隣接して配置されるガスバリア層により、酸素の存在下で光暴露されることにより起こる過酸化ラジカルの生成自体を抑制することができるため、上記のΔRe(450)が正方向に変化する重合性液晶化合物(A)およびΔRe(450)が負方向に変化する重合性液晶化合物(B)のいずれか一方のみを含む場合であっても、位相差層における位相差値の変化を抑え、耐久性に優れる光学積層体を提供し得る。
本発明において位相差発現層を形成する重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物として、1種のみを単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。重合性液晶化合物(1)以外の重合性化合物としては、例えば、紫外線領域に光吸収を有さず、上記紫外線照射条件下において位相差値が変化しない重合性液晶化合物が挙げられる。必ずしも限定されるものではないが、その具体例として多くの正波長分散性を示す重合性液晶化合物が挙げられ、例えば、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」、「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物等を用いることができる。また、これらの重合性液晶化合物として市販の製品を用いてもよい。
本発明において位相差発現層を形成する重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物(1)を含むことが好ましい。その含有量は、重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の総量100質量部に対して、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であり、重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物が全て重合性液晶化合物(1)であってもよい。
重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物の含有量は、重合性液晶組成物の固形分100質量部に対して、例えば70〜99.5質量部であり、好ましくは80〜99質量部であり、より好ましくは85〜98質量部であり、さらに好ましくは90〜95質量部である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であれば、得られる位相差発現層の配向性の観点から有利である。なお、本明細書において、重合性液晶組成物の固形分とは、重合性液晶組成物から有機溶媒等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
本発明において位相差発現層を形成する重合性液晶組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤は、熱または光の寄与によって反応活性種を生成し、重合性液晶等の重合反応を開始し得る化合物である。反応活性種としては、ラジカル、カチオンまたはアニオン等の活性種が挙げられる。中でも反応制御が容易であるという観点から、光照射によってラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンジルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩が挙げられる。具体的には、イルガキュア(Irgacure、登録商標)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア127、イルガキュア2959、イルガキュア754、イルガキュア379EG(以上、BASFジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーN−1717、アデカオプトマーN−1919、アデカアークルズNCI−831、アデカアークルズNCI−930(以上、株式会社ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)およびTAZ−104(三和ケミカル社製)が挙げられる。
本発明において、重合性液晶組成物は少なくとも1種類の光重合開始剤を含むことが好ましく、1種類若しくは2種類の光重合開始剤を含むことがより好ましい。
光重合開始剤は、光源から発せられるエネルギーを十分に活用でき、生産性に優れるため、極大吸収波長が300nm〜400nmであると好ましく、300nm〜380nmであるとより好ましく、中でも、α−アセトフェノン系重合開始剤、オキシム系光重合開始剤が好ましい。
α−アセトフェノン化合物としては、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オンおよび2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(4−メチルフェニルメチル)ブタン−1−オン等が挙げられ、より好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オンおよび2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オンが挙げられる。α−アセトフェノン化合物の市販品としては、イルガキュア369、379EG、907(以上、BASFジャパン(株)製)およびセイクオールBEE(精工化学社製)等が挙げられる。
オキシム系光重合開始剤は、光が照射されることによってメチルラジカルを生成させる。このメチルラジカルにより、形成される液晶硬化層(位相差発現層)の深部における重合性液晶化合物の重合が好適に進行する。また、形成される液晶硬化層深部での重合反応をより効率的に進行させるという観点から、波長350nm以上の紫外線を効率的に利用可能な光重合開始剤を使用することが好ましい。波長350nm以上の紫外線を効率的に利用可能な光重合開始剤としては、トリアジン化合物やオキシムエステル型カルバゾール化合物が好ましく、感度の観点からはオキシムエステル型カルバゾール化合物がより好ましい。オキシムエステル型カルバゾール化合物としては、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。オキシムエステル型カルバゾール化合物の市販品としては、イルガキュアOXE−01、イルガキュアOXE−02、イルガキュアOXE−03(以上、BASFジャパン株式会社製)、アデカオプトマーN−1919、アデカアークルズNCI−831(以上、株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
光重合開始剤の添加量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常、0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは1質量部〜20質量部であり、より好ましくは1質量部〜15質量部である。上記範囲内であれば、重合性基の反応が十分に進行し、かつ、重合性液晶化合物の配向を乱し難い。
重合禁止剤を配合することにより、重合性液晶化合物の重合反応をコントロールすることができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノンおよびアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類;ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類;ピロガロール類、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補捉剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類およびβ−ナフトール類が挙げられる。重合禁止剤の含有量は、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく、重合性液晶化合物を重合するためには、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部であり、さらに好ましくは0.1〜3質量部である。
さらに、増感剤を用いることにより、光重合開始剤を高感度化することができる。光増感剤としては、例えば、キサントン、チオキサントン等のキサントン類;アントラセンおよびアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンが挙げられる。光増感剤としては、例えば、キサントン、チオキサントン等のキサントン類;アントラセンおよびアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンが挙げられる。光増感剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.01〜10質量部であり、好ましくは0.05〜5質量部であり、さらに好ましくは0.1〜3質量部である。
さらに、重合性液晶組成物はレベリング剤を含んでいてもよい。レベリング剤は、重合性液晶組成物の流動性を調整し、これを塗布して得られる膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えば、シリコーン系、ポリアクリレート系およびパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22−161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC−72、同FC−40、同FC−43、同FC−3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R−08、同R−30、同R−90、同F−410、同F−411、同F−443、同F−445、同F−470、同F−477、同F−479、同F−482、同F−483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S−381、同S−382、同S−383、同S−393、同SC−101、同SC−105、KH−40、SA−100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100、BYK−352、BYK−353およびBYK−361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。中でも、ポリアクリレート系レベリング剤およびパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましい。
重合性液晶組成物におけるレベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がさらに好ましい。レベリング剤の含有量が、上記範囲内であると、重合性液晶化合物を水平配向させることが容易であり、かつ得られる位相差発現層がより平滑となる傾向があるため好ましい。重合性液晶組成物は、レベリング剤を2種類以上含有していてもよい。
本発明の一態様において位相差発現層は、下記式(I)、(II)および(III)で表される光学特性を有する。該位相差発現層は、通常、重合性液晶化合物が該位相差発現層平面に対して水平方向に配向した状態で硬化してなる硬化物である。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (I)
1.00≦Re(650)/Re(550) (II)
100nm≦Re(550)≦180nm (III)
〔式中、Re(λ)は位相差発現層の波長λnmにおける面内位相差値を表し、Re=(nx(λ)−ny(λ))×dである(dは位相差発現層の厚みを表し、nxは、位相差発現層が形成する屈折率楕円体において、位相差発現層の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、位相差発現層が形成する屈折率楕円体において、位相差発現層の平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す)。〕
位相差発現層が式(I)および(II)を満たす場合、当該位相差発現層は、短波長での面内位相差値が長波長での面内位相差値よりも小さくなる、いわゆる逆波長分散性を示す。逆波長分散性が向上し、位相差層の光学特性がより向上することから、Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.78以上であり、また、好ましくは0.92以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.88以下、特に好ましくは0.87以下、より特に好ましくは0.86以下である。また、Re(650)/Re(550)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.01以上であり、さらに好ましくは1.02以上である。
上記面内位相差値は、位相差発現層の厚みdによって調整することができる。面内位相差値は、上記式Re(λ)=(nx(λ)−ny(λ))×dによって決定されることから、所望の面内位相差値(Re(λ):波長λ(nm)における位相差発現層の面内位相差値)を得るには、3次元屈折率と膜厚dとを調整すればよい。
また、位相差発現層が式(III)を満たす場合、該位相差発現層を含む光学積層体(楕円偏光板)を有機EL表示装置に適用した場合の正面反射色相の向上効果(着色を抑制させる効果)に優れる。面内位相差値のより好ましい範囲は、120nm≦Re(550)≦170nmであり、さらに好ましい範囲は130nm≦Re(550)≦150nmである。
本発明において位相差層は、例えば、
支持基材または配向膜上に重合性液晶組成物の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥し、かつ、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を配向させる工程、および、
配向状態を保持したまま重合性液晶化合物を重合させ、液晶硬化層である位相差発現層を形成する工程
を含む方法により製造することができる。
重合性液晶組成物の塗膜は、支持基材上または後述する配向膜上などに重合性液晶組成物を塗布することにより形成することができる。重合性液晶組成物の粘度は、塗布しやすいように、例えば10mPa・s以下、好ましくは0.1〜7mPa・s程度に調整することが好ましい。重合性液晶組成物の粘度は、溶媒の含有量により調整することができる。
溶媒としては、重合性液晶化合物を溶解し得る溶媒が好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶媒であることが好ましい。
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン等のエーテル溶媒;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素含有溶媒;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルミアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒等が挙げられる。これら溶媒は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、アルコール溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒、塩素含有溶媒、アミド系溶媒および芳香族炭化水素溶媒が好ましい。
重合性液晶組成物100質量部に占める溶媒の含有量は、50〜98質量部が好ましく、70〜95質量部がより好ましい。したがって、重合性液晶組成物における固形分濃度は、2〜50質量%が好ましく、5〜30%がより好ましく、5〜15%がさらに好ましい。重合性液晶組成物の固形分が上記上限値以下であると、重合性液晶組成物の粘度が低くなることから、これを塗布して得られる位相差発現層の厚みが略均一になり、ムラが生じ難くなる傾向がある。また、固形分が上記下限値以上であると、位相差層が薄くなりすぎず、液晶パネルの光学補償に必要な複屈折率が与えられる傾向がある。上記固形分は、製造しようとする位相差発現層の厚みを考慮して適宜定めることができる。
支持基材としては、ガラス基材およびフィルム基材が挙げられ、加工性の観点からフィルム基材が好ましい。フィルム基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースおよびセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシド;等のプラスチックが挙げられる。
支持基材として市販の製品を用いてもよい。市販のセルロースエステル基材としては、“フジタックフィルム”(富士写真フイルム株式会社製);“KC8UX2M”、“KC8UY”および“KC4UY”(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
市販の環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”(登録商標)(Ticona社(独)製)、“アートン”(登録商標)(JSR株式会社製)、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)(以上、日本ゼオン株式会社製)および“アペル”(登録商標)(三井化学株式会社製)が挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を、溶媒キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して、基材とすることができる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、“エスシーナ”(登録商標)、“SCA40”(登録商標)(以上、積水化学工業株式会社製)、“ゼオノアフィルム”(登録商標)(オプテス株式会社製)および“アートンフィルム”(登録商標)(JSR株式会社製)が挙げられる。
基材の厚さは、実用的な取り扱いができる程度の質量である点では、薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。基材の厚さは、通常、5μm〜300μmであり、好ましくは20μm〜200μmである。また、基材を剥離して位相差層のみを転写することによって、さらなる薄膜化効果が得られる。
重合性液晶組成物を基材等に塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法等の公知の方法が挙げられる。
次いで、溶媒を乾燥等により除去することにより、乾燥塗膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。この際、重合性液晶組成物から得られた塗膜を加熱することにより、塗膜から溶媒を乾燥除去させるとともに重合性液晶化合物を塗膜平面に対して所望の方向(例えば、水平方向)に配向させることができる。塗膜の加熱温度は、用いる重合性液晶化合物および塗膜を形成する基材等の材質などを考慮して適宜決定し得るが、重合性液晶化合物を液晶相状態へ相転移させるために、通常、液晶相転移温度以上の温度であることが必要である。重合性液晶組成物に含まれる溶媒を除去しながら、重合性液晶化合物を所望の配向状態とするため、例えば、前記重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の液晶相転移温度(スメクチック相転移温度またはネマチック相転移温度)程度以上の温度まで加熱することができる。
なお、液晶相転移温度は、例えば、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡や、示差走査熱量計(DSC)、熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)等を用いて測定することができる。また、重合性液晶化合物として2種以上を組み合わせて用いる場合、上記相転移温度は、重合性液晶組成物を構成する全重合性液晶化合物を重合性液晶組成物における組成と同じ比率で混合した重合性液晶化合物の混合物を用いて、1種の重合性液晶化合物を用いる場合と同様にして測定される温度を意味する。また、一般に重合性液晶組成物中における重合性液晶化合物の液晶相転移温度は、重合性液晶化合物単体としての液晶相転移温度よりも下がる場合もあることが知られている。
加熱時間は、加熱温度、用いる重合性液晶化合物の種類、溶媒の種類やその沸点およびその量等に応じて適宜決定し得るが、通常、15秒〜10分であり、好ましくは0.5〜5分である。
塗膜からの溶媒の除去は、重合性液晶化合物の液晶相転移温度以上への加熱と同時に行ってもよいし、別途で行ってもよいが、生産性向上の観点から同時に行うことが好ましい。重合性液晶化合物の液晶相転移温度以上への加熱を行う前に、重合性液晶組成物から得られた塗膜中に含まれる重合性液晶化合物が重合しない条件で塗膜中の溶媒を適度に除去させるための予備乾燥工程を設けてもよい。かかる予備乾燥工程における乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられ、該乾燥工程における乾燥温度(加熱温度)は、用いる重合性液晶化合物の種類、溶媒の種類やその沸点およびその量等に応じて適宜決定し得る。
次いで、得られた乾燥塗膜において、重合性液晶化合物の配向状態を保持したまま、重合性液晶化合物を重合させることにより、所望の配向状態で存在する重合性液晶化合物の重合体である位相差発現層が形成される。重合方法としては、通常、光重合法が用いられる。光重合において、乾燥塗膜に照射する光としては、当該乾燥塗膜に含まれる光重合開始剤の種類、重合性液晶化合物の種類(特に、該重合性液晶化合物が有する重合性基の種類)およびその量に応じて適宜選択される。その具体例としては、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線およびγ線からなる群より選択される1種以上の光や活性電子線が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点や、光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって、光重合可能なように、重合性液晶組成物に含有される重合性液晶化合物や光重合開始剤の種類を選択しておくことが好ましい。
また、重合時に、適切な冷却手段により乾燥塗膜を冷却しながら光照射することで、重合温度を制御することもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性液晶化合物の重合を実施すれば、基材が比較的耐熱性が低いものを用いたとしても、適切に位相差発現層を形成できる。また、光照射時の熱による不具合(基材の熱による変形等)が発生しない範囲で重合温度を高くすることにより重合反応を促進することも可能である。光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた硬化膜を得ることもできる。
前記活性エネルギー線の光源としては、ガスバリア層形成用硬化性組成物の硬化時に使用し得る活性エネルギー線の光源として先に例示したものと同様のものが挙げられる。紫外線照射強度は、通常、10〜3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくは光重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒〜10分であり、好ましくは0.1秒〜5分、より好ましくは0.1秒〜3分、さらに好ましくは0.1秒〜1分である。このような紫外線照射強度で1回または複数回照射すると、その積算光量は、10〜3,000mJ/cm、好ましくは50〜2,000mJ/cm、より好ましくは100〜1,000mJ/cmである。
位相差発現層の厚みは、光学積層体の用途、適用される表示装置等に応じて適宜選択でき、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜5μm、さらに好ましくは0.2〜3μmである。
重合性液晶組成物の塗膜は配向膜上に形成されてもよい。配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。例えば、重合性液晶組成物から、上記式(I)〜(III)を満たすような位相差発現層を作製する際には、重合性液晶化合物を水平方向に配向させる配向規制力を有する水平配向膜を用いることが好ましい。配向規制力は、配向膜の種類、表面状態やラビング条件等によって任意に調整することが可能であり、配向膜が光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。
配向膜としては、重合性液晶組成物の塗布等により溶解しない溶媒耐性を有し、また、溶媒の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜および表面に凹凸パターンや複数の溝を有するグルブ配向膜、配向方向に延伸してある延伸フィルム等が挙げられ、配向角の精度および品質の観点から光配向膜が好ましい。
配向性ポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向性ポリマーは単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶媒に溶解した組成物(以下、「配向性ポリマー組成物」ということがある)を基材に塗布し、溶媒を除去する、または、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶媒を除去し、ラビングする(ラビング法)ことで得られる。溶媒としては、重合性液晶組成物に用い得る溶媒として先に例示した溶媒と同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶媒に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1〜20%が好ましく、0.1〜10%程度がさらに好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、重合性液晶組成物を支持基材へ塗布する方法として例示したものと同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶媒を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じてラビング処理を行うことができる(ラビング法)。ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を接触させる方法が挙げられる。ラビング処理を行う時に、マスキングを行えば、配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を配向膜に形成することもできる。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーと溶媒とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ともいう)を基材に塗布し、溶媒を除去後に偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御することができる点でも有利である。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素−炭素二重結合(C=C結合)、炭素−窒素二重結合(C=N結合)、窒素−窒素二重結合(N=N結合)および炭素−酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基等が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、および、アゾキシベンゼン構造を有する基等が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基およびカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物を基材上に塗布することにより、基材上に光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶媒としては、重合性液晶組成物に用い得る溶媒として先に例示した溶媒と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマーあるいはモノマーの溶解性に応じて適宜選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、ポリマーまたはモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、光配向膜形成用組成物の質量に対して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3〜10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコールやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶媒を除去する方法としては例えば、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
偏光を照射するには、基材上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶媒を除去したものに直接、偏光UVを照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250〜400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レーザーなどが挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。これらの中でも、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプが、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラーなどの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
なお、ラビングまたは偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターンまたは複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に重合性液晶化合物を塗布した場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化樹脂の層を形成し、形成された樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、および、基材に形成した硬化前のUV硬化樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。
配向膜(配向性ポリマーを含む配向膜または光配向膜)の厚みは、通常10〜10000nmの範囲であり、好ましくは10〜1000nmの範囲であり、より好ましくは10〜500nm以下であり、さらに好ましくは10〜300nm、特に好ましい50〜250nmの範囲である。
本明細書において光学積層体とは、光学的に機能する層(例えば、画像の見やすさの向上のために機能する層)を含み構成され、有機EL表示装置等の画像表示装置に組み込まれ得る各種の光学特性を有する積層体を意味する。本発明の光学積層体は、位相差層と該位相差層に隣接するガスバリア層とを含むものであればよく、位相差層とガスバリア層のみから構成されるものであっても、位相差層およびガスバリア層に加えて偏光子層等の他の層を含むものであってもよい。また、本発明の光学積層体は、画像表示装置等に組み込まれる際に剥離可能な基材層等を含み構成されたものであってもよい。
本発明の光学積層体が位相差層およびガスバリア層に加えて偏光子層を含む場合、該光学積層体は楕円偏光板として機能し得る。
偏光子層は、少なくとも直線偏光子を含む偏光機能を有する層であり、直線偏光子の少なくとも一方の面に貼合される熱可塑性樹脂フィルム等をさらに含んでいてもよい。直線偏光子とは、無偏光の光を入射させたとき、吸収軸に直交する振動面をもつ直線偏光を透過させる性質を有する光学素子をいう。
直線偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを配向させたものに、ヨウ素等の二色性色素を吸着配向させたものであってよい。直線偏光子は、単層のポリビニルアルコール系樹脂フィルム(ポリビニルアルコール樹脂フィルムに含まれるポリビニルアルコール分子が配向したもの)に二色性色素が吸着配向したものであってもよく、基材フィルム上に二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂層を設けた二層以上の積層フィルムであってもよい。
このような直線偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を含む方法など、当該分野で公知の方法によって製造することができる。
単層のポリビニルアルコール樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向してなる直線偏光子の厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。
偏光子層が直線偏光子とその少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルム等を積層した構造からなる場合、直線偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとは接着剤等により貼合することができる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、位相差層の形成に用い得る支持基材として例示した樹脂フィルムと同様のフィルムを好ましく用いることができる。
本発明の光学積層体が偏光子層を含む場合、偏光子層とガスバリア層および/または位相差層とは、位相差発現層の遅相軸(光軸)と偏光子層の吸収軸との成す角が45±5°となるように積層することが好ましい。
図4に示すように、本発明の一態様において、位相差層1と偏光子層7は、位相差層1に隣接するガスバリア層2のみを介して積層される。すなわち、該態様において、前記位相差層に隣接するガスバリア層と偏光子層との間にはこれらを貼合するための粘接着剤層は存在しない。粘接着剤層、特に粘着剤層は気体状の酸素ガスや水分を侵入させやすいものが多く、位相差層の近隣に粘着剤層が存在する場合、位相差層内への酸素ガスや水分の拡散が生じやすくなる。位相差層と偏光子層とがガスバリア層のみを介して積層している場合、光学積層体内へ侵入する酸素ガスや水分の量を低減することができるとともに、ガスバリア層による酸素ガスおよび/または水分の拡散抑制効果を得られるため、光学積層体へのより高い耐久性の付与を期待し得る。
本発明の別の一態様において、偏光子層とガスバリア層および/または位相差層とは、例えば、粘接着剤層等を介して積層させることができる。偏光子層とガスバリア層および/または位相差層とを貼合するための粘接着剤層は、粘着剤から形成されることが好ましい。粘着剤としては、ガスバリア層や偏光子層等の各層を貼合する層として機能し得るものであればよく、公知の粘着剤組成物を用いることができる。
例えば、粘着剤組成物として、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物が挙げられる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好ましい。
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種または2種以上をモノマーとする重合体または共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
このような共重合体を含む粘着剤は、粘着性に優れており、被転写体に貼合した後に取り除くときも、被転写体に糊残り等を生じさせることなく、比較的容易に取り除くことが可能であるので好ましい。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。
粘着剤組成物は、必要に応じて、溶媒を含んでいてもよく、溶媒としては、重合性液晶組成物等に用い得る溶媒として例示した溶媒が挙げられる。
粘着剤層の厚みは、光学積層体の層構成等に応じて適宜決定し得る。本発明の光学積層体では、位相差層に隣接するガスバリア層を有するため、粘着剤層から酸素ガスや水分が光学積層体内へ侵入した場合においても位相差層における位相差値の変化を抑制する効果に優れる。このため、酸素ガスや水分が侵入しやすい粘着剤層の厚みが比較的大きい場合であっても、耐久性に優れる光学積層体を提供し得る。したがって、本発明の光学積層体における粘着剤層の厚みは、例えば1μm以上100μm以下であってよい。光学積層体の薄型化の観点からは、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。本発明の光学積層体に複数の粘着剤層が含まれる場合、少なくとも位相差層および/またはガスバリア層に隣接または近接して設けられる粘着剤層の厚みが上記範囲内であることが好ましく、本発明の光学積層体に含まれる全ての粘着剤層の厚みが上記範囲内であることがより好ましい。
図5に示すように、本発明の一態様において、本発明の光学積層体は前面板を含む。図5において、前面板8は接着剤層9を介して偏光子層7と貼合されている。
前面板は、例えば熱可塑性樹脂フィルムであってよい。熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ノルボルネン系ポリマー等の環状ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースおよびセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル系樹脂;ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニル等のビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリフェニレンオキシド系樹脂、およびこれらの混合物、共重合物等から構成される樹脂フィルムが挙げられる。上記樹脂のうち、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースエステル系樹脂および(メタ)アクリル酸系樹脂のいずれかまたはこれらの混合物を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムは、上記のような樹脂材料を1種または2種以上を混合した単層であってもよく、2層以上の多層構造を有していてもよい。多層構造を有する場合、各層を構成する樹脂は互いに同じであって、異なっていてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムには、樹脂材料に加えて任意の添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料および着色剤等が挙げられる。
前面板として用いられる熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、光学積層体の薄型化およびフレキシブル性の観点、並びに、光学積層体の耐久性の観点から、好ましくは2μm以上300μm以下、より好ましくは5μm以上200μm以下、さらに好ましくは5μm以上100μm以下、特に好ましくは5μm以上50μm以下、とりわけ好ましくは5μm以上30μm以下である。
前面板を偏光子層等と貼合するための接着剤層は、接着剤、特に水系接着剤から形成されることが好ましい。水系接着剤としては、前面板を偏光子層等に接着保持する層として機能し得るものであればよく、公知の水系接着剤組成物を用いることができる。
例えば、水系接着剤組成物は水溶性樹脂または水分散性樹脂を主成分としてなる接着剤である。水溶性樹脂または水分散性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリビニルアセタール系樹脂;エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂;ポリビニルピロリドン系樹脂;ポリアミドアミン系樹脂;エポキシ系樹脂;メラミン系樹脂;ユリア系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;メチルセルロース、ヒドロエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂;アルギン酸ナトリウム、デンプン等の多糖類等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂やポリビニルアセタール系樹脂等の水酸基含有樹脂が好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂がより好ましい。
水系接着剤組成物における水溶性樹脂または水分散性樹脂の含有量は、用いる樹脂の種類等に応じて適宜決定すればよいが、水100質量部に対して、通常、1〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。
水系接着剤組成物から形成される接着剤層の厚みは、通常、0.02〜5μmであり、好ましくは0.05〜2μmであり、さらに好ましくは0.1〜1μmである。乾燥固化型接着剤から形成される粘接着剤層が厚すぎると、外観不良となり易い。
本発明は、実施形態の1つとして本発明の光学積層体を含む表示装置を提供することができる。本明細書において、表示装置とは、表示機構を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(電場放出表示装置(FED等)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置)、プラズマ表示装置、投射型表示装置(グレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置等)および圧電セラミックディスプレイ等が挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投写型液晶表示装置等の何れをも含む。これら表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」および「部」は、特記ない限り、質量%および質量部である。
1.光学積層体の作製
(1)偏光子層を含む積層体1の作製
以下の部材を用いて、第一積層体を作製した。
<前面板>
前面板として、ケン化処理を施した25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム(コニカミノルタ株式会社製、「KC2UA」)を用いた。
<離型用基材>
離型用基材Aとして、ケン化処理を施していない40μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム(コニカミノルタ株式会社製、「KC4UY」)を用いた。
離型用基材Bとして、ケン化処理を施していない25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム(コニカミノルタ株式会社製、「KC2UA」)を用いた。
離型用基材Cとして、コロナ処理を施していない50μm厚のシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製、「ZF−14−50」)を用いた。
離型用基材Dとして、コロナ処理を施していない23μm厚のシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製、「ZF−14−23」)を用いた。
<水系接着剤層>
常温にて、下記組成液Aと組成液Bとを質量比1:1で混合し、30分間撹拌して水系接着剤層形成用組成物を調製した。
組成液A:水(蒸留水)にケン化度が99.2モル%であるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(三菱ケミカル株式会社製、「ゴーセノールZ200」)を溶解し、固形分8質量%のPVA水溶液を調製した。調製した8質量%PVA溶液とグリオキザール40%水溶液を質量比が3.0:0.7になるよう混合し、さらに水100部に対して全固形分が3部になるよう調整して、組成液Aを作製した。
組成液B:水(蒸留水)にケン化度が99.2モル%であるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(三菱ケミカル株式会社製、「ゴーセノールZ200」)を溶解し、固形分8質量%のPVA水溶液を調製した。調製した8質量%PVA溶液と塩化亜鉛を質量比が3.0:0.09になるよう混合し、さらに水100部に対して全固形分が3部になるよう調整して、組成液Bを作製した。
<偏光子層>
偏光子層としてポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素を吸着、配向させてなる一軸延伸フィルムである直線偏光子(厚み:8μm)を準備した。
第一積層体の作製
偏光子層の一方の面に、水系接着剤層形成用組成物を介して前面板を積層するとともに、偏光子層の他方の面に離型用基材Aを、純水を介して積層し、一対の貼合ロール間に通した後、85℃で3分間乾燥させて、前面板/水系接着剤層/偏光子層/離型用基材Aの層構成を有する積層体1を得た。偏光子層と離型用基材Aとの間には接着剤は介在しておらず、離型用基材Aは剥離可能に偏光子層に積層されている。前記積層体1の離型用基材Aを剥離することで、前面板/水系接着剤層/偏光子層の層構成を有する第一積層体が得られる。
(2)位相差層を含む積層体の作製
<位相差層>
位相差層は、下記の位相差層基材上に剥離可能に形成された下記光配向膜と位相差発現層とからなる。
(i)光配向膜形成用組成物の調製
下記構造の光配向性材料5部(重量平均分子量:30000)とシクロペンタノン(溶媒)95部とを混合した。得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光配向膜形成用組成物を得た。
Figure 2021167867
(ii)位相差発現層形成用組成物の調製
位相差発現層を形成するために、下記の重合性液晶化合物αと重合性液晶化合物βを用いた。重合性液晶化合物αは、特開2010−31223号公報に記載された方法で製造した。また、重合性液晶化合物βは、特開2009−173893号公報に記載された方法に準じて製造した。以下にそれぞれの分子構造を示す。
重合性液晶化合物αは、単独で配向した状態において500mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される波長450nmにおける位相差値〔R(A,500,450)〕に対して、単独で配向した状態において3000mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される波長450nmにおける位相差値〔R(A,3000,450)〕が正方向に変化する重合性液晶化合物である。また、波長550nmにおける位相差値についても、波長550nmにおける単独で配向した状態において500mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される位相差値〔R(A,500,550)〕に対して、単独で配向した状態において3000mJ/cmの紫外線を照射した後に測定される位相差値〔R(A,3000,550)〕についても正方向に変化する。
重合性液晶化合物βは、上記特定の紫外線照射条件下において位相差値が変化しない性質を有する重合性液晶化合物である。
[重合性液晶化合物α]
Figure 2021167867
[重合性液晶化合物β]
Figure 2021167867
重合性液晶化合物αおよび重合性液晶化合物βを87:13の質量比で混合した。得られた混合物100部に対して、レベリング剤(DIC株式会社製、「メガファック F−556」)を1.0部、重合開始剤である2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(IGM Resins B.V.製「Omnirad 369」)を6部添加した。さらに、固形分濃度が13%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌することにより、位相差発現層形成用組成物を得た。
(iii)位相差層基材の準備
50μm厚のシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製、「ZF−14−50」)上にコロナ処理を施し、位相差層基材とした。コロナ処理は、ウシオ電機株式会社製のTEC−4AXを使用して行った。コロナ処理は、出力0.78kW、処理速度10m/分の条件で1回行った。
(iv)光配向膜の形成
ガラス基板上に固定された位相差層基材に光配向膜形成用組成物をワイヤーバーコーター(有限会社折原製作所製、「G−7型塗工装置」)で塗布し、80℃で1分間乾燥した。塗布膜に対して、偏光UV照射装置(ウシオ電機株式会社製、「SPOT CURE SP−9」)を用いて、波長313nmにおける積算光量が100mJ/cmとなるように、軸角度45°にて偏光UV露光を実施した。得られた光配向膜の膜厚を光学膜厚計(フィルメトリクス株式会社製、「F20」)で測定したところ100nmであった。
(v)位相差発現層の形成
前記光配向膜上に位相差発現層形成用組成物を、ワイヤーバーコーター(有限会社折原製作所製、「G−7型塗工装置」)で塗布し、120℃で1分間乾燥した。塗布膜に対して、高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製、「ユニキュアVB−15201BY−A」)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)して、位相差発現層を形成した。続いて、位相差発現層上に粘着剤層を積層し、該粘着剤層を介して、位相差発現層/光配向膜/位相差層基材の層構成からなる積層体をガラスに貼合した。
なお、前記粘着剤層として、(メタ)アクリル系粘着剤層(厚み:15μm)の一方の面に積層される軽剥離性ノンキャリアフィルム(以下、単に「軽剥離NCF」ともいう)と、その他方の面に積層される重剥離性ノンキャリアフィルム(以下、単に「重剥離NCF」ともいう)とを有する粘着積層体を用意した。粘着剤層を含む光学積層体は、軽剥離NCFを剥離して露出させた面を被着層(位相差発現層)に密着転写させることにより得られる。
次いで、位相差層基材を剥離して、リターデーションを測定するためのサンプルを得た。波長550nmにおけるリターデーションを位相差測定装置(王子計測機器株式会社製、「KOBRA−WPR」)で測定した結果、142nmであった。
(3)ガスバリア層の作製および酸素透過度の測定
以下に従い、ガスバリア層1〜3を作製した。
(i)ガスバリア層形成用組成物の調製
<ガスバリア1形成用組成物(非疎水性架橋PVA系樹脂組成物)>
水(蒸留水)にケン化度が99.2モル%であるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(三菱ケミカル製、ゴーセノールZ200)を溶解し、固形分8質量%のPVA水溶液を調製した。調製した8質量%PVA溶液と、架橋剤としてグリオキシル酸ナトリウム10質量%(三菱ケミカル株式会社製、「Safelink SPM−01」)を質量比が3.0:0.3になるよう混合し、さらに水100部に対して全固形分が3部になるよう調整して、ガスバリア1形成用組成物を準備した。
<ガスバリア2形成用組成物(疎水性架橋PVA系樹脂組成物)>
水(蒸留水)にケン化度が99.2モル%であるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(三菱ケミカル株式会社製、「ゴーセノールZ200」)を溶解し、固形分8質量%のPVA水溶液を調製した。調製した8質量%PVA溶液と、架橋剤としてグリオキザール40%水溶液を質量比が3.0:0.7になるよう混合し、さらに水100部に対して全固形分が3部になるよう調整して、PVA系樹脂組成物Aを得た。
これとは別に、水(蒸留水)にケン化度が99.2モル%であるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(三菱ケミカル株式会社製、「ゴーセノールZ200」)を溶解し、固形分8質量%のPVA水溶液を調製した。調製した8質量%PVA溶液と、塩化亜鉛を質量比が3.0:0.09になるよう混合し、さらに水100部に対して全固形分が3部になるよう調整して、PVA系樹脂組成物Bを得た。
前記で調製したPVA系樹脂組成物AおよびBを、常温にて質量比1:1で混合し、30分間撹拌して、ガスバリア2形成用組成物を準備した。
<ガスバリア3形成用組成物>
ガスバリア3形成用組成物として、エポキシ系重合性化合物、重合開始剤、光増感剤およびレベリング剤を含有し、溶媒を含まないガスバリア3形成用組成物を準備した。
(ii)酸素ガス透過度の測定方法
<酸素ガス透過度の測定方法>
酸素ガスの気体透過度は、JIS K 7126−1(差圧法)に準拠した差圧式気体透過度測定装置(GTRテック株式会社製、「GTR−30AS」)を用いて測定した。測定条件は下記のとおりである。なお、以下において、特に断りのない場合、酸素ガスの気体透過度を単に「酸素透過度」という。
測定条件
・測定温度:30℃
・透過面積:15.2cm
・透過気体:超高純度酸素ガス
・気体供給圧力:2kgf/cm(223cmHg)
・積層体の気体透過方向:塗工面から基材面にかけて透過
・気体透過時間:0分、15分および30分
<積層体各層の酸素透過度の計算>
下記式(X)を用いて、二層積層体の酸素透過度から各層の酸素透過度を求めた。
(TA)−1 + (TB)−1 = (TAB)−1 (X)
[式中、A層の酸素透過度をTA、B層の酸素透過度をTB、A層とB層の積層体の酸素透過度をTABとする。]
(ii)ガスバリア層1〜3の作製および各層の酸素透過度の測定
ガスバリア層1〜3を作製するための基材として、25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム(コニカミノルタ株式会社製「KC2UA」)を用いた。該基材の酸素透過度は1600cm/(m・24h・atm)であった。
<ガスバリア層1>
ケン化処理を施した25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム(コニカミノルタ株式会社製、「KC2UA」)基材と離型用基材Aとの間にガスバリア1形成用組成物を滴下し、一対の貼合ロール間を通した後、80℃で3分間乾燥させて、25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム基材/ガスバリア層1/離型用基材Aの層構成を有する積層体を得た。前記積層体の離型用基材Aを剥離して得た25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム基材/ガスバリア層1からなる積層体の酸素透過度は、100cm/(m・24h・atm)未満であり検出下限であった。該測定値と式(X)による算出値より、ガスバリア層1の酸素透過度は100cm/(m・24h・atm)未満であった。
また、ガスバリア層1の厚みを、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製 「JSM−7500F」)を用いた切断面測長によって測定したところ、最薄部0.1μmおよび最厚部0.2μmであった。
<ガスバリア層2>
ガスバリア1形成用組成物に代えてガスバリア2形成用組成物を用いた以外は、ガスバリア層1と同様の手順にて、25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム基材/ガスバリア層2/離型用基材Aの層構成を有する積層体を形成し、酸素透過度を測定した。ガスバリア層2の酸素透過度は、100cm/(m・24h・atm)未満であった。また、ガスバリア層2の厚みを、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製 「JSM−7500F」)を用いた切断面測長によって測定したところ、最薄部0.1μmおよび最厚部0.2μmであった。
<ガスバリア3>
コロナ処理を施した25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム(コニカミノルタ株式会社製「KC2UA」)基材と離型用基材Cの間にガスバリア3形成用組成物を滴下し、一対の貼合ロール間を通した後、紫外線照射装置(へレウス株式会社製の重水素ランプを使用)を用いて積算光量が400mJ/cm(UVB)となるように紫外線を照射した。これにより、25μm厚トリアセチルセルロース系樹脂フィルム基材/ガスバリア層3/離型用基材Cの層構成を有する積層体を得た。前記積層体の離型用基材Cを剥離して得た25μm厚トリアセチルセルロース系樹脂フィルム基材/ガスバリア層3の積層体の酸素透過度は750cm/(m・24h・atm)であった。該測定値と式(X)による算出値より、ガスバリア層3の酸素透過度は1400cm/(m・24h・atm)であった。
また、ガスバリア層3の厚みを走査型電子顕微鏡(フィルメトリクス株式会社製 「F20」)を用いて測定したところ、2.5μmであった。
<粘着剤層>
25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム(コニカミノルタ株式会社製、「KC2UA」)基材上に厚さ15μmのアクリル系粘着剤層を積層して25μm厚のトリアセチルセルロース系樹脂フィルム/粘着剤層積層体の酸素透過度を測定したところ、酸素透過度は1600cm/(m・24h・atm)であった。該測定値と式(X)による算出値より、該粘着剤層の酸素透過度は測定上限を超える値であった。
(4)実施例および比較例の積層体および環境試験用サンプルの作製
(i)実施例1
<第二積層体の作製>
位相差層基材上に形成された位相差層(位相差層基材/光配向膜/位相差発現層の構成)の位相差発現層面にガスバリア2形成用組成物を介して離型用基材Aを積層し、一対の貼合ロール間に通した後、80℃で3分間乾燥させて、離型用基材A/ガスバリア層2/位相差層/位相差層基材からなる積層体を得た。位相差層のサンプル幅は離型用基材Aのサンプル幅と同じであり、離型用基材Aは剥離可能にガスバリア層2に積層されている。前記積層体から前記離型用基材Aを剥離してガスバリア層2面に、重剥離NCF/粘着剤層からなる積層体の粘着剤層面を密着積層することで、重剥離NCF/粘着剤層/ガスバリア層2/位相差層/位相差層基材からなる層構成を有する積層体2を得た。前記積層体2の重剥離NCFを剥離することで、粘着剤層/ガスバリア層2/位相差層からなる第二積層体(発光部(ガラス板)側ガスバリア層なし)と位相差層基材とからなる積層体を得ることができる。
<環境試験用サンプルの作製>
第一積層体の偏光子層側と、第二積層体と位相差層基材の積層体の粘着剤層側とを、密着積層して、前面板/水系接着剤層/偏光子層/粘着剤層/ガスバリア層2/位相差層からなる第三積層体と位相差層基材とからなる積層体を得た。次に、前記積層体の位相差層基材を剥離して露出した面と厚さ0.7mmのガラス板とを粘着剤層を介して密着積層して環境試験用サンプルを得た。該環境試験用サンプルは、第三積層体/粘着剤層/ガラス板からなり、第三積層体の各辺がガラス板の各辺よりも10mm内側に位置するように作製した。ガラス板の大きさは50mm×50mmとした。なお、前記積層体とガラス板とを貼合するための粘着剤層は、第一積層体と第二積層体とを貼合するための粘着剤層と同じである。
(ii)実施例2
<第二積層体の作製>
位相差層基材上に形成された位相差層(位相差層基材/光配向膜/位相差発現層の構成)の位相差発現層面にガスバリア2形成用組成物を介して離型用基材Aを積層し、一対の貼合ロール間に通した後、80℃で3分間乾燥させて、離型用基材A/ガスバリア層2/位相差層/位相差層基材からなる積層体を得た。次に、前記積層体から位相差層基材を剥離して露出した面にガスバリア2形成用組成物を介して離型用基材Bを積層し、一対の貼合ロール間に通した後、80℃で3分間乾燥させて、離型用基材A/ガスバリア層2/位相差層/ガスバリア層2/離型用基材Bからなる積層体を得た。二つの離型用基材は、それぞれ剥離可能にガスバリア層2に積層されており、離型用基材Aを離型用基材Bよりも先に剥離することができる。前記積層体の離型用基材Aを剥離して露出するガスバリア層2の面に、重剥離NCF/粘着剤層からなる積層体の粘着剤層面を密着積層することで、重剥離NCF/粘着剤層/ガスバリア層2/位相差層/ガスバリア層2/離型用基材Bからなる層構成を有する積層体を得た。前記積層体の重剥離NCFを剥離することで、粘着剤層/ガスバリア層2/位相差層/ガスバリア層2からなる第二積層体(両面ガスバリア層)と離型用基材Bとからなる積層体を得ることができる。
<環境試験用サンプルの作製>
第一積層体の偏光子層側と、第二積層体と離型用基材Bの積層体の粘着剤層側とを、密着積層して、前面板/水系接着剤層/偏光子層/粘着剤層/ガスバリア層2/位相差層/ガスバリア層2からなる第三積層体と離型用基材Bとからなる積層体を得た。次に、前記積層体の離型用基材Bを剥離して露出した面と厚さ0.7mmのガラス板とを実施例1で用いたのと同様の粘着剤層を介して密着積層して環境試験用サンプルを得た。該環境試験用サンプルは、第三積層体/粘着剤層/ガラス板からなり、第三積層体の各辺がガラス板の各辺よりも10mm内側に位置するように作製した。ガラス板の大きさは50mm×50mmとした。
(iii)実施例3
<第二積層体の作製>
位相差層の位相差発現層面にガスバリア2形成用組成物を介して離型用基材Aを積層する際に、位相差層のサンプル幅を離型用基材Aのサンプル幅に比べて10mm狭くし、位相差層の厚み方向の全端部にもガスバリア層2を形成したことを除いては、実施例2と同様にして、第二積層体を得た。
<環境試験用サンプルの作製>
実施例2と同様にして環境試験用サンプルを得た。
(iv)実施例4
位相差層の位相差発現層面と第一積層体の偏光子層面とをガスバリア2形成用組成物を介して積層し、一対の貼合ロール間に通した後、80℃で3分間乾燥させて、前面板/水系接着剤層/偏光子層/ガスバリア層2/位相差層からなる第三積層体(粘着剤層無し、かつ、発光部(ガラス板)側ガスバリア層無し)と位相差層基材とからなる積層体を得た。前記積層体から位相差層基材を剥離して露出する面と厚さ0.7mmのガラス板とを実施例1で用いたのと同様の粘着剤層を介して密着積層して環境試験用サンプルを得た。該環境試験用サンプルは、第三積層体/粘着剤層/ガラス板からなり、第三積層体の各辺がガラス板の各辺よりも10mm内側に位置するように作製した。ガラス板の大きさは50mm×50mmとした。
(v)参考例1
<第二積層体の作製>
ガスバリア形成用組成物としてガスバリア1形成用組成物を用いたことを除いては実施例1と同様にして、第二積層体(発光部(ガラス板)側ガスバリア層無し)を得た。
<環境試験用サンプルの作製>
実施例1と同様にして環境試験用サンプルを得た。
(vi)比較例1
第一積層体の偏光子層面と位相差層の位相差発現層面とを粘着剤層を介して積層し、前面板/水系接着剤層/偏光子層/粘着剤層/位相差層からなる第三積層体と位相差層基材の層構成からなる積層体を得た。前記積層体から位相差層基材を剥離して露出する面と厚さ0.7mmのガラス板とを実施例1で用いたのと同様の粘着剤層を介して密着積層して環境試験用サンプルを得た。
(vii)比較例2
<第二積層体の作製>
位相差層の位相差発現層面に、ガスバリア3形成用組成物を介して離型用基材Cを積層し、一対の貼合ロール間に通した後、紫外線照射装置(へレウス株式会社製の重水素ランプを使用)を用いて積算光量が400mJ/cm(UVB)となるように紫外線を照射して、離型用基材C/ガスバリア層3/位相差層/位相差層基材からなる積層体を得た。離型用基材Cは剥離可能にガスバリア層3に積層されている。前記積層体から前記離型用基材Cを剥離してガスバリア層3面に重剥離NCF/粘着剤層からなる積層体の粘着剤層面を密着積層することで、重剥離NCF/粘着剤層/ガスバリア層3/位相差層/位相差層基材とからなる層構成を有する積層体を得た。前記積層体の重剥離NCFを剥離することで、粘着剤層/ガスバリア層3/位相差層からなる第二積層体(発光部(ガラス板)側ガスバリア層なし)と位相差層基材とからなる積層体を得ることができる。
<環境試験用サンプルの作製>
実施例1と同様にして環境試験用サンプルを得た。
(viii)比較例3
<第二積層体の作製>
位相差層の位相差発現層面にガスバリア3形成用組成物を介して離型用基材Cを積層し、一対の貼合ロール間に通した後、紫外線照射装置(へレウス株式会社製の重水素ランプを使用)を用いて積算光量が400mJ/cm(UVB)となるように紫外線を照射して、離型用基材C/ガスバリア層3/位相差層/位相差層基材からなる積層体を得た。次に、前記積層体から位相差層基材を剥離して露出した面にガスバリア3形成用組成物を介して離型用基材Dを積層し、一対の貼合ロール間に通した後、積算光量が400mJ/cm(UVB)となるように紫外線を照射して、離型用基材C/ガスバリア層3/位相差層/ガスバリア層3/離型用基材Dからなる積層体を得た。二つの離型用基材は、それぞれ剥離可能にガスバリア層3に積層されており、離型用基材Cを離型用基材Dよりも先に剥離することができる。前記積層体の離型用基材Cを剥離して露出するガスバリア層3面に、重剥離NCF/粘着剤層からなる積層体の粘着剤層面を密着積層することで、重剥離NCF/粘着剤層/ガスバリア層3/位相差層/ガスバリア層3/離型用基材Dからなる層構成を有する積層体を得た。前記積層体の重剥離NCFを剥離することで、粘着剤層/ガスバリア層3/位相差層/ガスバリア層3からなる第二積層体(両面ガスバリア層)と離型用基材Dとからなる積層体を得ることができる。
<環境試験用サンプルの作製>
第一積層体の偏光子層側と、第二積層体と離型用基材Dの積層体の粘着剤層側とを、密着積層して前面板/水系接着剤層/偏光子層/粘着剤層/ガスバリア層3/位相差層/ガスバリア層3からなる第三積層体と離型用基材Dとからなる積層体を得た。次に、前記積層体の離型用基材Dを剥離して露出した面と厚さ0.7mmのガラス板とを実施例1で用いたのと同様の粘着剤層を介して密着積層し環境試験用サンプルを得た。
(5)環境試験の方法と結果の評価
上記環境試験用サンプルを実施例1〜4、参考例1、比較例1〜3の実施形態について作製し、環境試験耐久性を評価した。環境試験としては光線暴露試験と温水浸漬試験を行った。各結果を表1に示す。
(i)<光線暴露試験の方法>
光線暴露耐久性は、下記装置および方法を用いた劣化試験を行い評価した。光源はキセノンアークランプ、石英ガラスおよび昼光フィルターからなり、試験槽内温度は45℃を超えないように調整した。
測定装置:ATLAS サンテストXLS+(アメテック株式会社製)
条件:300nm〜800nm波長帯での照射エネルギーで267W/m×300時間
(ii)<光線暴露耐久性の評価1・中央部リターデーション変化>
光線暴露耐久性試験前後の環境試験用サンプルの面内中央部の同一箇所について波長550nmにおけるリターデーションR0(nm)を位相差測定装置(王子計測機器株式会社製、「KOBRA−WPR」)で測定し、光線暴露耐久性試験前後の変化量を求めた。R0変化が1nm程度を下回るサンプルでは明確に視認できる反射色変化を確認できなかったが、R0変化が2nmを超えるサンプルでは顕著な反射色変化を引き起こし、黒表示能力の大幅な低下をもたらした。
(iii)<光線暴露耐久性の評価2・端部反射色変化>
環境試験用サンプルのガラス面にアルミホイル(株式会社UACJ製箔製、「マイホイル」)を、粘着剤層を介して貼合したサンプルを用いて、光線暴露耐久性試験前後のサンプルの端部色変化部の長さを求めた。画像表示装置の色変化がスマートホンやテレビの画像表示装置の辺を被覆する非視認部分を超えて変色する恐れがあるため、端部色変化長さは3mm未満である必要がある。
(iv)<温水浸漬試験の方法>
60℃の純水に環境試験用サンプルを10時間浸漬し、浸漬前後の変化を観察した。
(v)<温水浸漬耐久性の評価>
温水浸漬により、ガスバリア層の端部から面内中央部に水分が侵食し、ガスバリア層と位相差層との間に斑点状の浮き、剥がれが見られたものを×とした。一方、偏光子層端部に0.5mm未満の透過色変化部分がみられるものの、偏光子中央部への水分浸食はなく浮き、剥がれ等も見られなかったものを〇とした。
Figure 2021167867
1:位相差層
2:ガスバリア層
3:配向膜
4:位相差発現層
5:剥離可能基材
6:粘着剤層
7:偏光子層
8:前面板
9:接着剤層
11:光学積層体
(v)実施
<第二積層体の作製>
ガスバリア形成用組成物としてガスバリア1形成用組成物を用いたことを除いては実施例1と同様にして、第二積層体(発光部(ガラス板)側ガスバリア層無し)を得た。
(5)環境試験の方法と結果の評価
上記環境試験用サンプルを実施例1〜5、比較例1〜3の実施形態について作製し、環境試験耐久性を評価した。環境試験としては光線暴露試験と温水浸漬試験を行った。各結果を表1に示す。
(i)<光線暴露試験の方法>
光線暴露耐久性は、下記装置および方法を用いた劣化試験を行い評価した。光源はキセノンアークランプ、石英ガラスおよび昼光フィルターからなり、試験槽内温度は45℃を超えないように調整した。
測定装置:ATLAS サンテストXLS+(アメテック株式会社製)
条件:300nm〜800nm波長帯での照射エネルギーで267W/m×300時間
Figure 2021167867

Claims (9)

  1. 少なくとも1種の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物の硬化物から構成される位相差発現層を含む位相差層と、前記位相差層の少なくとも一方の面に隣接するガスバリア層とを含み、
    前記ガスバリア層が500cm/(m・24h・atm)以下の酸素ガス透過度を有する、光学積層体。
  2. ガスバリア層は架橋構造を有するポリマーを含む、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 架橋構造は疎水性架橋剤に由来する、請求項2に記載の光学積層体。
  4. 疎水性架橋剤が、イソシアネート系架橋剤、多価アルデヒド系架橋剤および金属化合物系架橋剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載の光学積層体。
  5. ポリマーはポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項2〜4のいずれかに記載の光学積層体。
  6. 前記ガスバリア層が位相差層の両面に隣接して配置される、請求項1〜5のいずれかに記載の光学積層体。
  7. 前記ガスバリア層が位相差層の厚み方向の少なくとも1つの側面を被覆する、請求項1〜6のいずれかに記載の光学積層体。
  8. 偏光子層をさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の光学積層体。
  9. 偏光子層と位相差層とが、位相差層に隣接するガスバリア層のみを介して積層されている、請求項8に記載の光学積層体。
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