JP2021167402A - オレフィン系樹脂、ポリ乳酸樹脂、及び、特定のスチレン系樹脂を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、及び、その成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】オレフィン系樹脂、ポリ乳酸樹脂、及び、スチレン系樹脂を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、相溶性が改善された環境負荷が小さく、外観及び、衝撃強度などの機械的特性に優れる該ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、及び、その成形品等を提供する。【解決手段】オレフィン系樹脂(A)、ポリ乳酸樹脂(B)、及び、特定のスチレン系樹脂(C)を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、該スチレン系樹脂(C)が、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体から成るスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)を含むことを特徴とする、前記ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、特に、オレフィン系樹脂(A)がランダムコポリマーポリプロピレン(A1)を含有することを特徴とする、前記ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、及び、その成形品。【選択図】 なし
Description
本発明は、環境負荷が低減され、外観及び、衝撃強度などの機械的特性に優れるポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、及び、その成形品に関する。更に詳しくは、オレフィン系樹脂(A)とポリ乳酸樹脂(B)と特定の二種類のスチレン系樹脂(C)を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、及び、その成形品等に関するものである。
ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂は、そのほとんどが原油などの化石燃料を原料としている、所謂、石油由来樹脂である。当該樹脂を焼却処分することは地球環境に大きな影響を与える大気中の二酸化炭素の増加に結びつくものである。
一方でポリ乳酸樹脂は、焼却処分しても大気中の二酸化炭素の増加に結びつかない、所謂、カーボンニュートラルな樹脂として注目されている。
ポリ乳酸樹脂の原料となる乳酸は、トウモロコシ等の植物から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されている。この乳酸の原料となるトウモロコシ等の植物は大気中の二酸化炭素を光合成により炭素原子として自らに取り込んで有機化合物を合成し、なるものである。
従って、植物を原料としてなるポリ乳酸樹脂は、これを焼却し、二酸化炭素を発生させても、大気中に排出される二酸化炭素は、もともと空気中に存在した炭素原子を植物が取り込んだものであるため、大気中の二酸化炭素総量の増減には影響を与えない、環境に優しい材料であるということができる。
このポリ乳酸樹脂の特長を活かし、石油由来樹脂と代替することにより地球環境に貢献する試みがなされ、ポリ乳酸樹脂は各種分野での実用化が期待されている。
しかしながら、ポリ乳酸樹脂単体では、各種機械的特性が異なる面等から各種石油由来樹脂を代替することが可能とは言い難いものである為、各種の改良方法が検討されている。
まず、従来使用されている各種石油由来樹脂、例えばスチレン系樹脂やポリプロピレンを始めとするオレフィン系樹脂とのポリマーアロイ化を行い、ポリ乳酸樹脂配合により石油由来樹脂の配合量を低減し環境に配慮しようとする検討がなされている。
例えば特許文献1には、ポリスチレン及び/又はゴム変性ポリスチレン95〜50重量%及びポリ乳酸5〜50重量%からなる樹脂組成物が提案されている。しかしながら、当該樹脂組成物はポリスチレン及び/又はゴム変性ポリスチレンとポリ乳酸との相容性が不十分である為、成形品とした場合、相剥離やフローマークが発生するなど外観に問題があり、更には、機械的強度が低く実使用には耐えるものとは言い難いものである。
かかる相容性を改良する方法として各種相容化剤の使用が提案されている。特許文献2には、耐衝撃性スチレン系樹脂とスチレン−アクリル酸エステル共重合体とポリ乳酸を含有するスチレン系樹脂組成物が提案されている。しかしながら、当該スチレン系樹脂組成物に使用されるスチレン−アクリル酸エステル共重合体のスチレン系モノマーは95〜85質量%である為、相容性改良効果は十分といえるものではなくポリ乳酸樹脂についても1〜5質量%しか配合できない問題がある。
また、オレフィン系樹脂とポリ乳酸樹脂との樹脂組成物についてもスチレン系樹脂とポリ乳酸樹脂との樹脂組成物と同様に、相容性に問題がある為、各種相容化剤の使用が提案されている。
特許文献3には、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂とフィラーからなる樹脂組成物に相容化剤としてポリオレフィン−アクリル共重合体を使用することが、また、特許文献4には、ポリ乳酸等の生分解性樹脂とポリオレフィン系樹脂との相容化剤として使用する炭素数が2〜6のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位からなる共重合体が開示されている。
更に、特許文献5には乳酸系樹脂と特定のポリプロピレン系樹脂に酸変性ポリプロピレン系樹脂と乳酸系樹脂とをカルボジイミド基含有化合物と反応せしめた相容化剤が提案されている。また、特許文献6にはポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂にエチレン単位、エポキシ基を含有する(メタ)アクリル酸エステル単位、飽和カルボン酸のビニルエステル単位からなる相溶化剤を配合することが提案されている。
しかしながら、これらの特許文献に記載の組成物は、何れも、ある程度の相溶性改善効果は認められるものの、不十分である為、成形品とした場合、相剥離やフローマークが発生するなど外観に問題があり、更には、機械的強度が低く、実際に使用が可能な樹脂組成物は提供されていないのが実情であった。
本発明の目的は、環境負荷が低減され、外観、及び、シャルピー衝撃や面衝撃強度等に代表される衝撃強度などの機械的特性に優れるポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物及び、その成形品を提供することにある。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は相溶性が改善されている為、相剥離やフローマークなどの外観の問題が改善され、また、機械的強度に優れる成形品を提供することも可能である。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、オレフィン系樹脂(A)とポリ乳酸樹脂(B)を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物に、特定の二種のスチレン系樹脂(C)を配合することにより、該スチレン系樹脂(C)の相溶性改良作用(効果)によって、上記目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、及び、その成形品を提供するものである。
1.オレフィン系樹脂(A)94〜10重量%、ポリ乳酸樹脂(B)5〜89重量%、及び、スチレン系樹脂(C)を1〜35重量%を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、該スチレン系樹脂(C)が、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体から成るスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)を含むことを特徴とする、前記ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
2.オレフィン系樹脂(A)としてランダムコポリマーポリプロピレン(A1)を1重量%以上含むことを特徴とする、上記項1記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
3.上記項1または2記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
4.オレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸樹脂(B)を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物用の相溶性改良剤(相溶化剤)であって、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体から成るスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)を含むスチレン系樹脂(C)から成る、前記相溶性改良剤。
1.オレフィン系樹脂(A)94〜10重量%、ポリ乳酸樹脂(B)5〜89重量%、及び、スチレン系樹脂(C)を1〜35重量%を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、該スチレン系樹脂(C)が、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体から成るスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)を含むことを特徴とする、前記ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
2.オレフィン系樹脂(A)としてランダムコポリマーポリプロピレン(A1)を1重量%以上含むことを特徴とする、上記項1記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
3.上記項1または2記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
4.オレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸樹脂(B)を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物用の相溶性改良剤(相溶化剤)であって、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体から成るスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)を含むスチレン系樹脂(C)から成る、前記相溶性改良剤。
本発明によれば、相溶性が改善された環境負荷が小さく、外観及び、衝撃強度などの機械的特性に優れるポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、及び、その成形品を提供することができる。当該ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、相剥離やフローマークなどの外観の問題が改善され、また、機械的強度に優れる成形品も提供することができる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、オレフィン系樹脂(A)94〜10重量%、ポリ乳酸樹脂(B)5〜89重量%、及び、スチレン系樹脂(C)を1〜35重量%を含み、該スチレン系樹脂(C)が、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体から成るスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)を含むことを特徴とするものである。
<オレフィン系樹脂(A)>
本発明のオレフィン系樹脂(A)は、当業者に公知の任意の方法によって、ラジカル重合性二重結合を有するオレフィン系単量体を重合又は共重合させてなる合成樹脂である。オレフィン系単量体としては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンや、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンなどが挙げられる。オレフィン系単量体は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
本発明のオレフィン系樹脂(A)は、当業者に公知の任意の方法によって、ラジカル重合性二重結合を有するオレフィン系単量体を重合又は共重合させてなる合成樹脂である。オレフィン系単量体としては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンや、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンなどが挙げられる。オレフィン系単量体は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
オレフィン系樹脂(A)としては、特に限定されず、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、ブテンの単独重合体、ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンの単独重合体又は共重合体などが挙げられ、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。
これらの共重合体の様式については特に制限は無く、例えばランダム型、ブロック型、グラフト型、これらの混合物などいずれであってもよいが、相溶性や機械的強度の面からランダムコポリマーポリプロピレン(A1)を含有することが好ましい。
ランダムコポリマーポリプロピレン(A1)としては、重合されるモノマーとして、プロピレンに加えてエチレンおよび/またはブテン−1を用いたランダム共重合体が好ましい。つまりプロピレンにエチレンを共重合したプロピレンとエチレンのランダム共重合体であってもよく、プロピレンにブテン−1を共重合したプロピレンとブテン−1のランダム共重合体であってもよく、プロピレンにエチレンとブテン−1を共重合したプロピレンとエチレンとブテン−1のランダム共重合体であってもよい。
本発明で用いるランダムコポリマーポリプロピレンは、ランダムプロピレンとエチレンのランダム共重合体が好ましく、また、共重合されるモノマーにエチレンを含む場合は該共重合されるモノマー中、エチレンが20重量%以下であるものが好ましい。特に、プロピレンとエチレンのランダム共重合体であって、共重合されるモノマー中エチレンが20重量%以下であるものが好ましい。
本発明のオレフィン系樹脂(A)は、ランダムコポリマーポリプロピレン(A1)をポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物に対して1重量%以上含有することが好ましく、10重量%以上含有することが更に好ましく、50重量部以上であることが特に好ましい。
オレフィン系樹脂(A) の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されるものではないが、重量平均分子量(Mw)としては、通常1万以上、好ましくは2万以上、さらに3万以上であることが好ましい。オレフィン系樹脂(A)の重量平均分子量の上限については特に制限はないが、通常市場に存在するオレフィン系樹脂(A)の重量平均分子量は10万以下である。
なお、オレフィン系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、GPCにて溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼンを用い約145℃に加熱・溶解させることにより測定することができる。
上記のオレフィン系樹脂(A)は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
このようなオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、(株)プライムポリマー製の「プライムポリプロJ107G」、「プライムポリプロJ830HV」、(株)プライムポリマー製「ハイゼックス1300J」、日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP MG03BD」、EXXON MOBIL社製「Vistamaxx6102」等が挙げられる。
<ポリ乳酸樹脂(B)>
本発明のポリ乳酸樹脂(B)は、乳酸を直接脱水縮重合する方法、或いはラクチドを開環重合する方法等といった、当業者に公知の任意の手段で得ることができる。
本発明のポリ乳酸樹脂(B)は、乳酸を直接脱水縮重合する方法、或いはラクチドを開環重合する方法等といった、当業者に公知の任意の手段で得ることができる。
本発明のポリ乳酸樹脂(B)としては、乳酸の縮重合体であれば、特に限定されるものではない。ポリ乳酸樹脂には一般に、L体、D体、DL体の3種の光学異性体が存在する。
本発明のポリ乳酸樹脂(B)は、ポリ−L−乳酸であっても、ポリ−D−乳酸であっても、それらが共重合やブレンドにより交じり合ったものでもよく、さらに、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合したものであり、これらのらせん構造がうまく噛み合った耐熱性の高い、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸であってもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリ乳酸樹脂(B)は他の共重合成分を含んだ共重合体でも構わない。
ポリ乳酸樹脂(B)に含まれる他の共重合成分としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸; カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類などを挙げることができる。このような共重合成分の含有量は、ポリ乳酸樹脂(B)中の全単量体成分中通常30モル%以下の含有量とするのが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
ポリ乳酸樹脂(B) の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されるものではないが、重量平均分子量(Mw)としては、通常1万以上、好ましくは5万以上、さらに10万以上であることが好ましい。ポリ乳酸樹脂(B)の重量平均分子量の上限については特に制限はないが、通常市場に存在するポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は40万以下である。
なお、ポリ乳酸樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、GPC(溶媒THF)にて測定することができるが、ポリ乳酸樹脂がペレット状の場合、THFに溶解し難い場合があり、その場合は、クロロホルムに溶解させた後、メタノールを用いてポリマー成分を析出させ、そのポリマー成分を乾燥させたものをTHFに溶解させて可溶分の重量平均分子量(Mw)を測定することができる。また、必要に応じて加温するなどして溶解させることもできる。
上記のポリ乳酸樹脂(B)は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
このようなポリ乳酸樹脂の具体例としては、例えば、ユニチカ( 株)製の「テラマックTE4000」、「テラマックTE2000」、「テラマックTE7000」、三井化学( 株)製の「レイシアH100」、ネイチャーワークス社製の「Ingeo3001D」等が挙げられる。
<スチレン系樹脂(C)>
本発明のスチレン系樹脂(C)は、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体を重合してなるスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)から成り、オレフィン系樹脂とポリ乳酸樹脂を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物用の相溶性改良剤(相溶化剤)としての作用を有する。
本発明のスチレン系樹脂(C)は、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体を重合してなるスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)から成り、オレフィン系樹脂とポリ乳酸樹脂を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物用の相溶性改良剤(相溶化剤)としての作用を有する。
(スチレン系共重合体(C1))
本発明のスチレン系共重合体(C1)は、当業者に公知の任意の方法によって、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体を重合してなる共重合体である。
本発明のスチレン系共重合体(C1)は、当業者に公知の任意の方法によって、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体を重合してなる共重合体である。
かかるスチレン系共重合体を形成するアルキル(メタ)アクリレート単量体は、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上のものである。尚(メタ)アクリレートの表記はメタクリレートおよびアクリレートのいずれをも含むことを示す。これらは単独または2種以上用いることができる。
芳香族ビニル単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、およびメトキシスチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独または2種以上用いることができる。
本発明のスチレン系共重合体(C1)としては、メチル(メタ)アクリレートースチレン共重合体(MS共重合体)、メチル(メタ)アクリレートースチレン−アクリロニトリル共重合体(MAS共重合体)などが挙げられ、中でもMS共重合体が好ましい。かかるMS共重合体の重量平均分子量とメチル(メタ)アクリレート/スチレンの組成比については、特に制限はされないが、重量平均分子量は、好ましくは80,000〜300,000、より好ましくは100,000〜200,000、メチル(メタ)アクリレート/スチレンの重量比は、好ましくは80/20〜40/60、より好ましくは70/30〜50/50である。
なお、重量平均分子量(Mw)は、GPC(溶剤THF)により測定することができる。
なお、重量平均分子量(Mw)は、GPC(溶剤THF)により測定することができる。
(スチレン系熱可塑性エラストマー(C2))
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー(C2)も当業者に公知の任意の方法によって得られる。下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー(C2)も当業者に公知の任意の方法によって得られる。下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
X−(Y−X)n …(I)
(X−Y)n …(II)
(X−Y)n …(II)
一般式(I)および(II)における「X」は芳香族ビニルを主体とする重合体ブロックで、式(I)に おいては分子鎖両末端で重合度が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、nは1以上の整数である。
ここで、「芳香族ビニルを主体とする重合体ブロック」とは、芳香族ビニル単量体を60質量%以上含有する芳香族ビニル単量体とその芳香族ビニル単量体以外の重合成分との共重合体ブロック、及び/又は、芳香族ビニル単量体の単独重合体ブロックを意味する。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p −メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メ チルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等 が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、スチレン、p−メチルス チレンが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上混合して使用することができる。
また、「Y」としてはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、ブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、水添されたブタジエン重合体ブロック、水添されたイソプレン重合体ブロック、水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、部分水添されたブタジエン重合体ブロック、及び、部分水添されたイソプレン重合体ブロック、および部分水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロックからなる群より選択される少なくとも1種である。
具体例としては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチ レン・プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−ス チレン共重合体、スチレン−ブタジエン−ブテン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジ エン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水添ブ タジエンジブロック共重合体、スチレン−水添イソプレンジブロック共重合体、スチレン −ブタジエンジブロック共重合体、スチレン−イソプレンジブロック共重合体等が挙げら れ、その中でもスチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体が最も好適である。
また、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー(C2)は、スチレン系熱可塑性エラストマーを不飽和カルボン酸または、その誘導体でグラフト変性することによって得られる変性スチレン系熱可塑性エラストマーを含有することも可能である。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸などが挙げられる
不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、上記不飽和カルボン酸の酸ハライド化合物、アミド化合物、イミド化合物、酸無水物およびエステル化合物などが挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、無水ハイミツク酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げられる。
これら不飽和カルボン酸またはその誘導体の中でも、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、マレイン酸、またはその酸無水物がより好ましく、マレイン酸無水物がさらに好ましい。
変性スチレン系熱可塑性エラストマーは、通常、少なくとも1個の芳香族ビニル単量体を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックとを含むブロック共重合体を酸無水物基含有化合物とパーオキサイド化合物の存在下、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等の混練機、リボンブレンダー 、ヘンシェルミキサー等の混合機等で調製した組成物を1軸又は2軸押出機に供給し、加熱溶融混練りすることによって得ることができる。
なお、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)への酸無水物基の付加量は、例えば、赤外分光分析法により、1790cm−1付近の酸無水物基由来の吸収に基づいて検量線法によって求めることができる。また、酸無水物基の好ましい付加量は、0.5〜5重量%である。
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー(C2)中の、ゴム成分(「Y」ブロック成分)は、該エラストマーに対して80〜40重量%、好ましくは70〜50重量%である。本発明において、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)は、1種類以上を選択して使用することができる。かかるスチレン系熱可塑性エラストマーを2種類以上使用する場合は、構成成分が同一であっても、異なっていても差し支えない。
スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は25万以下が好ましく、20万以下がより好ましく、15万以下がさらに好ましい。重量平均分子量が25万を超えると、 相溶性改良効果が低下する場合がある。また、重量平均分子量の下限については特に限定されないが、4万以上が好ましく、5万以上がより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、算出した。
更に、本発明のスチレン系樹脂(C)に含まれるスチレン系共重合体(C1)とスチレン系熱可塑性エラストマー(C2)の重量比率は特に限定されるものではないが、85/15〜15/85であることが、相容性改善効果の面で好ましく、70/30〜30/70であることがより好ましい。
<各成分の含有量について>
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、オレフィン系樹脂(A)とポリ乳酸樹脂(B)とスチレン系樹脂(C)を配合してなり、該スチレン系樹脂(C)が、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体を重合してなるスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)からなることを特徴とするものである。本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物における各成分の含有量(配合割合)は、以下のとおりである。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、オレフィン系樹脂(A)とポリ乳酸樹脂(B)とスチレン系樹脂(C)を配合してなり、該スチレン系樹脂(C)が、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体を重合してなるスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)からなることを特徴とするものである。本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物における各成分の含有量(配合割合)は、以下のとおりである。
オレフィン系樹脂(A)の配合割合は、94〜10重量%、好ましくは90〜10重量%、更に好ましくは70〜10重量%、特に好ましくは50〜10重量%である。オレフィン系樹脂(A)の配合が94重量%よりも大きくなるとポリ乳酸樹脂(B)の配合割合が小さくなり、本発明の目的である環境負荷低減効果が小さくなる。
ポリ乳酸樹脂(B)の配合割合は、5〜89重量%、好ましくは10〜89重量%、更に好ましくは30〜89重量%、特に好ましくは50〜89重量%である。ポリ乳酸樹脂(B)の配合割合が89重量%よりも大きくなるとオレフィン系樹脂(A)によるポリ乳酸樹脂(B)の特性改善効果が小さくなる。
スチレン系樹脂(C)の配合割合は、1〜35重量%、好ましくは1〜20重量%である。スチレン系樹脂(C)の配合割合が1重量%未満では相容性改良効果が小さくなり、35重量%を超えて配合してもそれ以上の相容性改善効果が認められなり、また、衝撃強度が低下するようになり好ましくない。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、オレフィン系樹脂(A)、ポリ乳酸樹脂(B)、スチレン系樹脂(C)より実質的に構成されるものであるが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、各種の用途などに応じて、任意成分として、例えば、加水分解調整剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、防黴剤、無機充填材の成分を含むことができる。
<加水分解調整剤>
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は加水分解調整剤として、耐加水分解剤を配合することが有用である。具体的には、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、アジリジン化合物などの付加反応型の化合物が挙げられる。また、これら化合物を2つ以上組合せて使用することができるが、これらをいずれも用いることができるのではなく本発明における加水分解調整剤として効果を奏するものを選択することが肝要である。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は加水分解調整剤として、耐加水分解剤を配合することが有用である。具体的には、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、アジリジン化合物などの付加反応型の化合物が挙げられる。また、これら化合物を2つ以上組合せて使用することができるが、これらをいずれも用いることができるのではなく本発明における加水分解調整剤として効果を奏するものを選択することが肝要である。
また、上記化合物のうち、耐水性や酸性基との反応性の観点から、好ましくはカルボジイミド化合物が例示されるが、カルボジイミド化合物であれば、いずれも本発明における加水分解調整剤としての効果を奏するわけではないのは上記と同様であり、カルボジイミド化合物から、本発明の効果を奏する化合物を選択することが肝要である。
本発明における効果を奏するカルボジイミド化合物としては、例えば、下記式(1)、(2)の基本構造を有するものを挙げることができる。
本発明における効果を奏するカルボジイミド化合物としては、例えば、下記式(1)、(2)の基本構造を有するものを挙げることができる。
(上記式中、R、R’は各々独立に炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであり、ヘテロ原子を含んでいてもよい。RとR’が結合し環状構造を形成していてもよく、スピロ構造などにより2つ以上の環状構造を形成していてもよい)
(上記式中、R’’は各々独立に炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであり、ヘテロ原子を含んでいてもよい。nは2から1000の整数である。)
安定性や使いやすさの観点から、芳香族カルボジイミド化合物がより好ましい。例えば、下記式(3)、(4)のような芳香族カルボジイミド化合物が挙げられる。
安定性や使いやすさの観点から、芳香族カルボジイミド化合物がより好ましい。例えば、下記式(3)、(4)のような芳香族カルボジイミド化合物が挙げられる。
(上記式中、R1〜R4は各々独立に、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであり、ヘテロ原子を含んでいてもよい。X、Yは各々独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであり、ヘテロ原子を含んでいてもよい。各々の芳香環は置換基によって結合し環状構造を形成していてもよく、スピロ構造などにより2つ以上の環状構造を形成していてもよい)
(上記式中、R5〜R7は各々独立に、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであり、ヘテロ原子を含んでいてもよい。nは2から1000の整数である。)
このような芳香族カルボジイミド化合物の具体例としては、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートを脱炭酸縮合反応して合成されるポリカルボジイミドであってカルボジイミド基が5以下のもの、これらの組合せなどが例示される。
上記カルボジイミド化合物の含有量としては、本発明のポリ乳酸系熱可塑性組成物の0.1〜10重量%配合することが好ましい。
<熱安定剤>
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、製造時等の熱安定性を向上するため、任意成分として熱安定剤を含むことができる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、製造時等の熱安定性を向上するため、任意成分として熱安定剤を含むことができる。
熱安定剤は、1種又は2種以上用いることができる。
熱安定剤としては、リン系安定剤及び/又はヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、これらの併用がより好ましい。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物中のリン系安定剤及び/又はヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は特に制限されない。
熱安定性の向上効果が効果的に得られ、かつ、上記の各必須成分の配合量に影響を与えないことから、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.6重量%である。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、及びこれらのエステル、ホスホナイト化合物及び、第3級ホスフィン等が挙げられる。
亜リン酸エステル(ホスファイト化合物)としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
亜リン酸エステル(ホスファイト化合物)としては、上記の他、二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。
例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、及び2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
リン酸エステル(ホスフェート化合物)としては、トリフェニルホスフェート、及びトリメチルホスフェート等が挙げられる。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、及びビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられる。
ホスホナイト化合物は、アルキル基を2以上置換したアリール基を有する上記のホスファイト化合物との併用可能であり、好ましい。
ホスホン酸エステル(ホスホネイト化合物)としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、及びベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記リン系安定剤の中でも、ホスホナイト化合物、もしくは下記一般式(5)で表されるホスファイト化合物が好ましい。
(式(5)中、R及びR’は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
上記の如く、ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
上記の如く、ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
上記式(5)の中でもより好適なホスファイト化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトである。
ヒンダードフェノール化合物としては、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及び3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は必要に応じて、リン系安定剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤以外のその他の熱安定剤を含むことができる。
他の熱安定剤は、リン系安定剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤のうち少なくとも一方と併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。
他の熱安定剤としては、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(この安定剤の詳細については特開平7−233160号公報を参照されたい)が挙げられる。
上記ラクトン系安定剤に関しては、Irganox HP−136(登録商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)等が市販されている。
上記ラクトン系安定剤、ホスファイト化合物、及びヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤として、Irganox HP−2921(登録商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)等が市販されている。
ラクトン系安定剤の添加量は、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の好ましくは0.0005〜0.05重量%、より好ましくは0.001〜0.03重量%である。
その他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、及びグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート等のイオウ含有安定剤が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物中のリン系安定剤及び/又はヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の安定剤の添加量は特に制限されず、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の、好ましくは0.0005〜0.1重量%、より好ましくは0.001〜0.08重量%、特に好ましくは0.001〜0.05重量%である。
<紫外線吸収剤>
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、オレフィン系樹脂成分等の影響によって耐候性に劣る場合があることから、かかる劣化を防止するため紫外線吸収剤の配合は有効である。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、オレフィン系樹脂成分等の影響によって耐候性に劣る場合があることから、かかる劣化を防止するため紫外線吸収剤の配合は有効である。
本発明の紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、及び2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、及び2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、及び2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
シアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、及び1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体及び/又はヒンダードアミン構造を有する光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、及びシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系及びヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相(透明性)の点では、環状イミノエステル系及びシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.02〜2重量%、さらに好ましくは0.03〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
<光安定剤>
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は光安定剤を含有することができる。本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、暗所黄変を起こす場合があることから、かかる劣化を防止するため光安定剤の配合は有効である。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は光安定剤を含有することができる。本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、暗所黄変を起こす場合があることから、かかる劣化を防止するため光安定剤の配合は有効である。
かかる光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)が好適である。HALSは、以下の一般式(6)〜(9)で示される化合物、及びこれらの化合物の2種以上の組み合わせである。
前記式(6)〜(9)中、R1〜R5は、独立した置換基である。
前記置換基としては、例えば、水素、エーテル基、エステル基、アミン基、アミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基が挙げられ、これらの置換基は官能基を含有していてもよい。当該官能基としては、例えば、アルコール、ケトン、無水物、イミン、シロキサン、エーテル、カルボキシル基、アルデヒド、エステル、アミド、イミド、アミン、ニトリル、エーテル、ウレタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
前記置換基としては、例えば、水素、エーテル基、エステル基、アミン基、アミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基が挙げられ、これらの置換基は官能基を含有していてもよい。当該官能基としては、例えば、アルコール、ケトン、無水物、イミン、シロキサン、エーテル、カルボキシル基、アルデヒド、エステル、アミド、イミド、アミン、ニトリル、エーテル、ウレタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
ヒンダードアミン光安定剤(HALS)としては、置換ピペリジン化合物から誘導される化合物が好ましく、アルキル置換ピペリジル、ピペリジニル又はピペラジノン化合物、及び置換アルコキシピペリジニル化合物から誘導される化合物がより好ましい。
ヒンダードアミン光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリドン;2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール;ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)ブチルマロネート;ジ−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート;N−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとコハク酸のオリゴマー;シアヌル酸とN,N−ジ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンのオリゴマー;ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)スクシネート;ビス−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート;ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート;テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;N,N'−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサン−1,6−ジアミン;N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン;2,2'−[(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル)−イミノ]−ビス−[エタノール];ポリ((6−モルホリン−S−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノヘキサメチレン−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノ);5−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−シクロ−ウンデシル−オキサゾール);1,1'−(1,2−エタン−ジ−イル)−ビス−(3,3',5,5'−テトラメチル−ピペラジノン);8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ(4.5)デカン−2,4−ジオン;ポリメチルプロピル−3−オキシ−[4(2,2,6,6−テトラメチル)−ピペリジニル]シロキサン;1,2,3,4−ブタン−テトラカルボン酸−1,2,3−トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−4−トリデシルエステル;α−メチルスチレン−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)マレイミドとN−ステアリルマレイミドのコポリマー;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、β,β,β',β'−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノール、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルエステルとのポリマー;2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノール、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルエステルとのβ,β,β',β'−テトラメチル−ポリマー;D−グルシトール、1,3:2,4−ビス−o−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルイデン)−;7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘンエイコサン−21−オン−2,2,4,4−テトラメチル−20−(オキシラニルメチル)のオリゴマー;プロパン二酸、[(4−メトキシフェニル)メチレン]−,ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル;ホルムアミド、N,N'−1,6−ヘキサンジイルビス[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル;1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N,N'''−[1,2−エタンジイルビス[[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]イミノ]−3,1−プロパンジイル]]−ビス[N',N''−ジブチル−N',N''−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル);ポリ[[6−[(1,1,3,33−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]];1,5−ジオキサスピロ(5.5)ウンデカン3,3−ジカルボン酸、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)エステル;1,5−ジオキサスピロ(5.5)ウンデカン3,3−ジカルボン酸、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル;N−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−N−アミノ−オキサミド;4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン;1,5,8,12−テトラキス[2',4'−ビス(1'',2'',2'',6'',6''−ペンタメチル−4''−ピペリジニル(ブチル)アミノ)−1',3',5'−トリアジン−6'−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン;3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ピロリジン−2,5−ジオン;1,1'−(1,2−エタン−ジ−イル)−ビス−(3,3',5,5'−テトラ−メチル−ピペラジノン);1,1'1''−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス((シクロヘキシルイミノ)−2,1−エタンジイル)トリス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)及び;1,1',1''−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス((シクロヘキシルイミノ)−2,1−エタンジイル)トリス(3,3,4,5,5−テトラメチルピペラジノン)が挙げられる。
かかるヒンダードアミン光安定剤(HALS)の添加量は、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の0.01〜5重量%、更に好ましくは0.05〜3重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%である。
<抗菌剤>
本発明で使用可能な抗菌剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化亜鉛や銀、銅、亜鉛等 の抗菌性金属を、結晶性アルミノケイ酸塩、無定形アルミノケイ酸塩、シリカゲル、活性 アルミナ、けいそう土、活性炭、リン酸ジルコニウム、ヒドロキシアパタイト、酸化マグ ネシウム、過塩素酸マグネシウム、ガラス等に担持せしめたもの等の無機系抗菌剤が好ましく、中でも酸化亜鉛がより好ましい。
本発明で使用可能な抗菌剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化亜鉛や銀、銅、亜鉛等 の抗菌性金属を、結晶性アルミノケイ酸塩、無定形アルミノケイ酸塩、シリカゲル、活性 アルミナ、けいそう土、活性炭、リン酸ジルコニウム、ヒドロキシアパタイト、酸化マグ ネシウム、過塩素酸マグネシウム、ガラス等に担持せしめたもの等の無機系抗菌剤が好ましく、中でも酸化亜鉛がより好ましい。
本発明で使用が好ましい無機系抗菌剤である酸化亜鉛は、特に限定されるものではない。酸化亜鉛は、市販されているものであってもよいし、例えば、金属亜鉛を熱して気化させ、空気中で燃焼させたものや、硫酸亜鉛又は硝酸亜鉛を加熱して調製されたものであってもよい。本発明に用いる酸化亜鉛は、各種形状のものが使用できる、例えば、繊維状、板状、粒子状、テトラポッド状などが挙げられる。本発明に用いる酸化亜鉛は、酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物などで表面処理されているものでもよい。
市販されている酸化亜鉛としては、例えば、JIS K−1410で区分される「1種酸化亜鉛」、「2種酸化亜鉛」、「3種酸化亜鉛」や、日本薬局方に規定された局方酸化亜鉛、水熱合成工程を経て調製した異方性(柱状、板状、テトラポット状)の酸化亜鉛(形状異方性を有する酸化亜鉛)が挙げられる。これらの酸化亜鉛の内、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定して得られた粒度分布において、積算重量分布が50%となる粒径を示される平均粒径が50〜200nmの粒子状酸化亜鉛が好ましく、特に100〜150nmの粒子状酸化亜鉛が好ましい。
当該酸化亜鉛の配合量はポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%、更に好ましくは0.1〜0.3重量%である。
<無機充填材>
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物には、剛性を付与し強度を向上する目的で無機充填材を使用することができる。かかる無機充填材としては、例えば、タルク、ワラストナイト、マイカ、クレー、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、セラミックバルーン、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムなどの各種ウイスカーなどが挙げられる。なかでも、タルク、ワラストナイト、マイカ、ガラス繊維、ガラスミルドファイバーなどのケイ酸塩系の充填材が好ましく使用される。なかでも特に好ましいのは、タルク、ワラストナイト、マイカである。これらの強化フィラーは、1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物には、剛性を付与し強度を向上する目的で無機充填材を使用することができる。かかる無機充填材としては、例えば、タルク、ワラストナイト、マイカ、クレー、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、セラミックバルーン、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムなどの各種ウイスカーなどが挙げられる。なかでも、タルク、ワラストナイト、マイカ、ガラス繊維、ガラスミルドファイバーなどのケイ酸塩系の充填材が好ましく使用される。なかでも特に好ましいのは、タルク、ワラストナイト、マイカである。これらの強化フィラーは、1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
無機充填材を配合する場合、本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物には、無機充填材の濡れ性を向上するためカルボン酸無水物基、スルホン酸基などの酸性基を含んだ添加剤などを含むことができる。
本発明における無機充填材の含有量はポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。かかる配合量が0.1重量%未満では充填材の補強効果が無く、30重量%を超えると衝撃強度が著しく低下するため好ましくない。
<他の任意成分>
本発明で使用可能な他の任意成分としては、着色の為の染料、顔料、消泡剤、可塑剤、滑剤、離型剤及び難燃剤等を挙げることができる。更には、オレフィン系樹脂(A)、ポリ乳酸樹脂(B)、スチレン系樹脂(C)以外の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で配合することも可能である。
本発明で使用可能な他の任意成分としては、着色の為の染料、顔料、消泡剤、可塑剤、滑剤、離型剤及び難燃剤等を挙げることができる。更には、オレフィン系樹脂(A)、ポリ乳酸樹脂(B)、スチレン系樹脂(C)以外の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で配合することも可能である。
<ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の製造>
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の製造には、当業者に公知の任意の方法が採用される。例えばオレフィン系樹脂(A)、ポリ乳酸樹脂(B)、スチレン系樹脂(C)及び任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の製造には、当業者に公知の任意の方法が採用される。例えばオレフィン系樹脂(A)、ポリ乳酸樹脂(B)、スチレン系樹脂(C)及び任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。各成分の一部を予備混合する方法としては例えば、ポリ乳酸樹脂(B)以外の成分を予め予備混合した後、ポリ乳酸樹脂(B)に混合又は押出機に直接供給する方法が挙げられる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く製造されたポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、直接切断してペレット化するか、又はストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレットの形状は、円柱が好適である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物からなる成形品は、当業者に公知の任意の方法で製造することが出来る。通常、上記の如く製造されたペレットを射出成形することにより各種製品として製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、及び超高速射出成形などを挙げることができる。また成形はコールドランナー方式及びホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、電気・電子部品、家電部品、建築土木部材、自動車内外装部品、農業資材、包装材料、衣料、日用品、各種フィルム、通気性フィルムやシート、一般産業用およびレクリエーション用途に好適な発泡体、糸やテキスタイル、医療または衛生用品、などの様々な成形品の成形材料として各種用途に利用することができる。
<ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の評価>
(1)環境性
ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(B)、すなわち、非石油樹脂の割合を算出し、環境性の評価を実施した。なお、環境性の評価は、非石油樹脂の割合が高い方が良好と判断した。
[環境性の評価]
◎◎:非石油樹脂の割合が50重量%以上、◎:非石油樹脂の割合が30〜50重量%未満、○:非石油樹脂の割合が10重量%〜30重量%未満、△:非石油樹脂の割合が5〜10重量%未満、×:非石油樹脂の割合が5重量%未満
(1)環境性
ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(B)、すなわち、非石油樹脂の割合を算出し、環境性の評価を実施した。なお、環境性の評価は、非石油樹脂の割合が高い方が良好と判断した。
[環境性の評価]
◎◎:非石油樹脂の割合が50重量%以上、◎:非石油樹脂の割合が30〜50重量%未満、○:非石油樹脂の割合が10重量%〜30重量%未満、△:非石油樹脂の割合が5〜10重量%未満、×:非石油樹脂の割合が5重量%未満
(2)シャルピー衝撃
ISO 179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。シャルピー衝撃強度が高い方が良好と判断した。
[シャルピー衝撃性の評価]
◎:シャルピー衝撃が10kJ/m2以上、○:シャルピー衝撃が7〜10kJ/m2未満、△:シャルピー衝撃が4〜7kJ/m2未満、×:シャルピー衝撃が4J/m2未満
ISO 179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。シャルピー衝撃強度が高い方が良好と判断した。
[シャルピー衝撃性の評価]
◎:シャルピー衝撃が10kJ/m2以上、○:シャルピー衝撃が7〜10kJ/m2未満、△:シャルピー衝撃が4〜7kJ/m2未満、×:シャルピー衝撃が4J/m2未満
(3)面衝撃強度
150mm×150mm×2mmtの角板を、射出成型機を用い成形し、高速面衝撃試験をN=5で実施し、破壊エネルギー(N=5の平均値)及び破壊形態についての評価を行った。なお、破壊形態の評価は、衝撃試験後に試験片が割れて飛び散ることなく、撃芯貫通部は一様に突出して残っている形態を示すものを延性的な破壊、撃芯、あるいは受台の形等に試験片が破壊し、撃芯貫通部が平坦なままに貫通部端面がシャープな状態を示すものを脆性的な破壊とした。破壊形態は、脆性的な破壊形態よりも延性的な破壊形態の方が好ましい。
150mm×150mm×2mmtの角板を、射出成型機を用い成形し、高速面衝撃試験をN=5で実施し、破壊エネルギー(N=5の平均値)及び破壊形態についての評価を行った。なお、破壊形態の評価は、衝撃試験後に試験片が割れて飛び散ることなく、撃芯貫通部は一様に突出して残っている形態を示すものを延性的な破壊、撃芯、あるいは受台の形等に試験片が破壊し、撃芯貫通部が平坦なままに貫通部端面がシャープな状態を示すものを脆性的な破壊とした。破壊形態は、脆性的な破壊形態よりも延性的な破壊形態の方が好ましい。
試験機は高速面衝撃試験機 ハイドロショットHTM−1(島津製作所(株)製)を使用し、試験条件は撃芯の衝突速度7m/秒、先端が半円状で半径6.35mmの撃芯及び受台穴径25.4mmとした。
[破壊形態の評価]
◎:延性的な破壊、○:延性的な破壊と脆性的破壊の混在(延性的は破壊数>脆性的破壊数)、△:延性的な破壊と脆性的破壊の混在(脆性的は破壊数>延性的な破壊数)、×:脆性的な破壊
◎:延性的な破壊、○:延性的な破壊と脆性的破壊の混在(延性的は破壊数>脆性的破壊数)、△:延性的な破壊と脆性的破壊の混在(脆性的は破壊数>延性的な破壊数)、×:脆性的な破壊
(4)成形品外観評価
面衝撃強度評価用の角板(射出成型機を用いて成形した150mm×150mm×2mの角板)を用いてフローマークや表面剥離について目視にて評価を行った。フローマークや表面剥離の発生が認められないものを相容性に優れるものと判定した。
面衝撃強度評価用の角板(射出成型機を用いて成形した150mm×150mm×2mの角板)を用いてフローマークや表面剥離について目視にて評価を行った。フローマークや表面剥離の発生が認められないものを相容性に優れるものと判定した。
[相容性の評価]
◎:フローマーク、表面剥離が認められない。○:フローマークが僅かに認められる。表面剥離は認められない。△:フローマーク及び、表面剥離が僅かに認められる。×:フローマーク及び表面剥離が認められる。
◎:フローマーク、表面剥離が認められない。○:フローマークが僅かに認められる。表面剥離は認められない。△:フローマーク及び、表面剥離が僅かに認められる。×:フローマーク及び表面剥離が認められる。
[実施例1〜17、比較例1〜17]
表1〜表2に示す組成の混合物をV型ブレンダーで混合した後、押出機の第1供給口から供給した。原料の供給量は計量器[(株)クボタ製CWF]により精密に計測された。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α−38.5BW−3V)を使用し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/h、ベントの真空度3kPaで溶融混練しペレットを得た。なお、押出温度については、第1供給口からダイス部分まで220℃で実施した。
表1〜表2に示す組成の混合物をV型ブレンダーで混合した後、押出機の第1供給口から供給した。原料の供給量は計量器[(株)クボタ製CWF]により精密に計測された。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α−38.5BW−3V)を使用し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/h、ベントの真空度3kPaで溶融混練しペレットを得た。なお、押出温度については、第1供給口からダイス部分まで220℃で実施した。
得られたペレットの一部は、80℃で4時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機(FANUC(株)T−150D) を用いて、評価用の試験片を成形した。射出成形は220℃にて、射出速度20mm/sを基本条件として実施した。
表1〜表2中の記号表記の各成分は下記の通りである。
(A成分)
A:PP(ポリプロピレン(ブロック)[(株)プライムポリマー製 J830HV(商品名)、共重合の形態がブロックコポリマー、MFR=30g/10分(230℃/2.16kgf)]
(A−1成分)
A1−1:R−PP1(ランダムコポリマーポリプロピレン(プロピレン−エチレンランダム共重合体)[日本ポリプロ(株)製 ノバテックPP MG03BD(製品名)、MFR(230℃/2.16kg)=30g/10分(230℃、21.2N)、プロピレン単位含有量:98重量 %])
A1−2:R−PP2(ランダムコポリマーポリプロピレン(プロピレン−エチレンランダム共重合体)[EXXON MOBIL社製 Vistamaxx 6102(製品名)、MFR(230℃/2.16kg)=3g/10分、プロピレン単位含有量:84重量%]
(A成分)
A:PP(ポリプロピレン(ブロック)[(株)プライムポリマー製 J830HV(商品名)、共重合の形態がブロックコポリマー、MFR=30g/10分(230℃/2.16kgf)]
(A−1成分)
A1−1:R−PP1(ランダムコポリマーポリプロピレン(プロピレン−エチレンランダム共重合体)[日本ポリプロ(株)製 ノバテックPP MG03BD(製品名)、MFR(230℃/2.16kg)=30g/10分(230℃、21.2N)、プロピレン単位含有量:98重量 %])
A1−2:R−PP2(ランダムコポリマーポリプロピレン(プロピレン−エチレンランダム共重合体)[EXXON MOBIL社製 Vistamaxx 6102(製品名)、MFR(230℃/2.16kg)=3g/10分、プロピレン単位含有量:84重量%]
(B成分)
B:PLA(ポリ乳酸樹脂[三井化学(株)製 LACEA(製品名) GPC測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量=170,000、L−乳酸/D−乳酸=98.2/1.8)
B:PLA(ポリ乳酸樹脂[三井化学(株)製 LACEA(製品名) GPC測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量=170,000、L−乳酸/D−乳酸=98.2/1.8)
(C成分)
(C1成分)
C1−1:MS(スチレン−メチルメタクリレート共重合体[デンカ(株)製 デンカTXポリマー TX−100S(製品名)、MFR(200℃/5kg)=1.8g/10分、スチレン/メチルメタクリレート=40/60(重量比)])
C1−2:MS−2:(スチレン−メチルメタクリレート共重合体[スチレンモノマー95部、メチルメタクリレート5部、トルエン10部、t−ブチルパーオキシベンゾエートを200ppm(モノマー比)加え、攪拌式の反応槽において、120℃で1.5時間、130℃〜170℃ で3.5時間反応させ、未反応のモノマー及びトルエンを230℃、真空度70〜30Torr.で除去し、精製することで得た。MFR(200℃/5kg)=2.0g/10分、スチレン/メチルメタクリレート=95/5(重量比)]
(C2成分)
C2:SBS(スチレン−ブタジエンースチレンブロック共重合体[旭化成ケミケルズ(株)製 タフプレンA(製品名)ゴム成分含有量=60wt%])
(C1成分)
C1−1:MS(スチレン−メチルメタクリレート共重合体[デンカ(株)製 デンカTXポリマー TX−100S(製品名)、MFR(200℃/5kg)=1.8g/10分、スチレン/メチルメタクリレート=40/60(重量比)])
C1−2:MS−2:(スチレン−メチルメタクリレート共重合体[スチレンモノマー95部、メチルメタクリレート5部、トルエン10部、t−ブチルパーオキシベンゾエートを200ppm(モノマー比)加え、攪拌式の反応槽において、120℃で1.5時間、130℃〜170℃ で3.5時間反応させ、未反応のモノマー及びトルエンを230℃、真空度70〜30Torr.で除去し、精製することで得た。MFR(200℃/5kg)=2.0g/10分、スチレン/メチルメタクリレート=95/5(重量比)]
(C2成分)
C2:SBS(スチレン−ブタジエンースチレンブロック共重合体[旭化成ケミケルズ(株)製 タフプレンA(製品名)ゴム成分含有量=60wt%])
上記表から、オレフィン系樹脂とポリ乳酸樹脂を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物に、特定のスチレン系樹脂を配合することによって、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の相容性が改善され、外観、及び、衝撃強度などの機械的特性が向上することが確認された。また、更に、特定のオレフィン系樹脂を配合することにより当該特性が更に向上することが確認された。
本発明によれば、相溶性が改善された環境負荷が小さく、外観及び、衝撃強度などの機械的特性に優れるポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物及び、その成形品を提供することができる。当該ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、相剥離やフローマークなどの外観の問題が改善され、また、機械的強度に優れる成形品も提供することができる。
Claims (4)
- オレフィン系樹脂(A)94〜10重量%、ポリ乳酸樹脂(B)5〜89重量%、及び、スチレン系樹脂(C)1〜35重量%を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、該スチレン系樹脂(C)が、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体から成るスチレン系共重合体(C1)、及び、スチレン系熱可塑性エラストマー(C2)を含むことを特徴とする、前記ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
- オレフィン系樹脂(A)としてランダムコポリマーポリプロピレン(A1)を1重量%以上含むことを特徴とする、請求項1記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1または2記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
- オレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸樹脂(B)を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物用の相溶性改良剤であって、アルキル(メタ)アクリレート単量体と芳香族ビニル単量体から成るスチレン系共重合体、及び、スチレン系熱可塑性エラストマーを含むスチレン系樹脂から成る、前記相溶性改良剤。
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