JP2021167398A - 光学材料用重合性組成物およびその製造方法、透明樹脂の製造方法、ならびにレンズ基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエン化合物と芳香族ポリイソシアネートとを用いながらも、着色が抑制されたチオウレタン系の光学材料を再現性よく安定して調製可能な、光学材料用重合性組成物、およびその製造方法等を提供する。
【解決手段】芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを含有する、光学材料用重合性組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料用重合性組成物およびその製造方法、透明樹脂の製造方法、ならびにレンズ基材の製造方法等に関する。
従来、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させることにより高屈折率を有するプラスチックレンズが得られることが知られている。この種のプラスチック材料は、無機レンズに比べ軽量で割れ難いため、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。
例えば、特許文献1には、脂肪族ポリイソシアネート化合物と、ペンタエリスリトールテトラキス−(チオグリコレート)およびトリメチロールプロパントリス−(チオグリコレート)等の脂肪族ポリチオール化合物とを混合して得られた組成物を加熱して、高屈折率を有するポリウレタン系プラスチックレンズを製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、樹脂の架橋度を上げるために2官能のチオール基を有するポリチオール化合物とともにペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)およびペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)等の4官能のポリチオール化合物を用いる方法が開示されている(特許文献2参照)。
さらに、特許文献3には、特定のポリオレフィン化合物とポリチオール化合物を含む重合性組成物を硬化させて得られる硬化物は、レンズ等の各種光学部材として広く用いられていることが開示されている(例えば特許文献3参照)。
特開昭60−199016号公報 特開昭63−046213号公報 特開昭63−265922号公報
より高い光学特性を有するチオウレタン系の透明樹脂ないしはレンズ基材を得るために、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物とともに高屈折率モノマーとして芳香族ポリイソシアネートの使用が検討された。しかしながら、これらを併用すると、意図せぬことに、例えば黄色に着色した光学材料用重合性組成物が得られることがあり、これを用いて得られる透明樹脂やレンズ基材等も着色したものとなってしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の一態様は、ポリエン化合物と芳香族ポリイソシアネートとを用いながらも、着色が抑制されたチオウレタン系の光学材料を再現性よく安定して調製可能な、光学材料用重合性組成物、およびその製造方法等を提供することにある。
また、本発明の別の一態様は、着色が抑制されたチオウレタン系の透明樹脂ないしはレンズ基材を再現性よく安定して製造可能な、透明樹脂の製造方法およびレンズ基材の製造方法等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、芳香族ポリイソシアネート、ポリエン化合物、およびポリチオールを含む光学材料用重合性組成物の調製時の混合条件に着目して鋭意検討した結果、着色が抑制されたチオウレタン系の光学材料用重合性組成物を再現性よく安定して得られる組成を見出し、本発明を完成するに至った。
〔1〕芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを含有する、光学材料用重合性組成物。
〔2〕前記ポリエン化合物が、トリアリルイソシヌレート、およびトリアリルシアヌレート
よりなる群から選択される1種以上を含む〔1〕に記載の光学材料用重合性組成物。
〔3〕前記芳香族ポリイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、およびナフタレンジイソシアネートよりなる群から選択される1種以上を含む〔1〕または〔2〕に記載の光学材料用重合性組成物。
〔4〕前記ポリチオールが、前記ポリチオールが、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、および2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアンよりなる群から選択される1種以上を含む〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
〔5〕前記ポリエン化合物は、前記ハロゲン濃度が1ppm以上100ppm未満である〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
〔6〕前記芳香族ポリイソシアネートは、ハロゲン濃度が30ppm未満である〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
〔7〕前記ポリチオールは、ハロゲン濃度が30ppm未満である〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
〔8〕前記ハロゲン濃度が、塩素濃度である〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
〔9〕重合触媒をさらに含有する〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
〔10〕離型剤をさらに含有する〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
〔11〕芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程、ならびに、前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合する工程、を有する光学材料用重合性組成物の製造方法。
〔12〕芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程、前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合して光学材料用重合性組成物を得る工程、ならびに、前記光学材料用重合性組成物を重合してチオウレタン系透明樹脂を得る工程、を有する透明樹脂の製造方法。
〔13〕芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程、前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合して光学材料用重合性組成物を得る工程、ならびに、前記光学材料用重合性組成物を注型重合してチオウレタン系レンズ基材を得る工程、を有するレンズ基材の製造方法。
ここで上記〔11〕の製造方法、上記〔12〕の製造方法および〔13〕の製造方法においては、上記〔2〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の技術的特徴をさらに有することが好ましい。
本開示の一態様によれば、着色が抑制されたチオウレタン系の光学材料を再現性よく安定して調製可能な、光学材料用重合性組成物、およびその製造方法を提供でき、これにより、着色が抑制されたチオウレタン系の透明樹脂ないしはレンズ基材を再現性よく安定して製造することができる。
以下、本開示の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、本明細書において、例えば「1〜100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」および上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
[光学材料用重合性組成物、およびその製造方法]
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを少なくとも含有する。本実施形態の光学材料用重合性組成物は、例えば、芳香族ポリイソシアネート、ポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程(準備工程S1)、ならびに、前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合する工程(混合工程S2)、を経て、製造することができる。
本発明者らの知見によれば、上記3成分を混合する際にハロゲンが存在し、そのハロゲン濃度が過度に高いと、例えばポリエン化合物に含まれるハロゲン化合物と芳香族イソシアネートから誘導される芳香族アミンとの反応が生じ、これにより生成する結合が芳香族ポリイソシアネートの共役長を延長し、可視光領域を吸収可能な共役長となり得るため、着色した光学材料用重合性組成物が得られ易くなると考えられる。これに対し、本実施形態では、芳香族ポリイソシアネート、ハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを含有しているため、上述したポリエン化合物と芳香族ポリイソシアネートとの反応が生じ難く、上述した芳香族ポリイソシアネートの共役長の延長に起因する着色が発生し難くなる。結果、本実施形態では、得られるチオウレタン系樹脂の光学材料用重合性組成物の着色が抑制されていると考えられる。但し、本実施形態の作用は、これらの推察に限定されない。なお、本発明および本明細書において、「チオウレタン系樹脂」とは、チオウレタン結合を有する樹脂を意味する。また、本発明および本明細書において、「ハロゲン」とは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)を意味し、「ハロゲン濃度」とは、これらのハロゲン原子の濃度を意味する。一態様では、ハロゲンは塩素(Cl)であり、ハロゲン濃度は塩素(Cl)濃度である。以下、各構成について、詳述する。
<準備工程S1>
この準備工程S1では、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物、およびポリチオールを準備する。なお、光学材料用重合性組成物の成分として使用可能な化合物の中には、二種以上の異性体を有するものがあるが、そのような化合物については、二種以上の異性体の混合物を使用してもよく、二種以上の異性体のうちの一種を単独で使用してもよい。
(芳香族ポリイソシアネート)
芳香族ポリイソシアネートは、1分子内に1以上の芳香環と2以上のイソシアネート基(−NCO)を有する多官能イソシアネートである。芳香族ポリイソシアネートは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,2−ジイソシアナトベンゼン、1,3−ジイソシアナトベンゼン、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、4,4'−メチレンビス(2−メチルフェニルイソシアネート)、ビベンジルー4,4'−ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン等の芳香族ポリイソシアネート;
キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナトメチルフェニル)エーテル等の芳香環化合物を有するポリイソシアネート;
2−イソシアナトフェニル−4−イソシアナトフェニルスルフィド、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルフィド、ビス(4−イソシアナトメチルフェニル)スルフィド等の芳香族スルフィド系ポリイソシアネート;
ビス(4−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(2−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メチル−6−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メトキシ−4−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4−メトキシ−3−イソシアナトフェニル)ジスルフィド等の芳香族ジスルフィド系イソシアネート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。
芳香族ポリイソシアネートの中でも、得られる硬化物の耐熱性や透明性、さらには素材の入手容易性およびコスト等の観点から、好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびフェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)であり、より好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、であり、さらに好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)である。
なお、芳香族ポリイソシアネートとして、上述した例示化合物の、塩素置換体や臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化反応生成物、あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。
ここで、上記の芳香族ポリイソシアネートは、混合工程S2でのハロゲン濃度の上昇を抑制し着色を抑制する観点から、ハロゲン濃度が30ppm未満の芳香族ポリイソシアネートであることが好ましく、より好ましくはハロゲン濃度が20ppm未満、さらに好ましくはハロゲン濃度が10ppm未満、特に好ましくはハロゲン濃度が5ppm未満、最も好ましくはハロゲン濃度が3ppm未満であり、その下限は当然のことながら0ppm以上である。このような低ハロゲン濃度の芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ハロゲンを含まない(ハロゲンフリーの)芳香族ポリイソシアネートや、ハロゲン濃度が上記好ましい範囲内の芳香族ポリイソシアネートを用いればよい。また、蒸留精製等で脱ハロゲン処理することで、低ハロゲン濃度にすることもできる。
(エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物)
本発明および本明細書において、「ポリエン化合物」とは、ポリチオールと重合し得る、エチレン性不飽和二重結合、すなわち炭素−炭素二重結合を1分子あたり2つ以上有する化合物をいうものとする(以降において、単に「ポリエン化合物」と称する場合がある)。ポリエン化合物およびポリチオール化合物を含む重合性組成物の硬化物は、ポリエン化合物が有する炭素−炭素二重結合とポリチオール化合物が有するチオール基との反応(以下、「チオール−エン反応」と記載する。)により形成される結合を有する。そして、ポリエン化合物およびポリチオール化合物を含む重合性組成物に芳香族ポリイソシアネートをさらに添加した重合性化合物を硬化させて得られる硬化物は、芳香族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との反応により得られるチオウレタン結合に加えて、チオール−エン反応により得られる結合も有することになる。ポリエン化合物は、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
ポリエン化合物が有するエチレン性不飽和二重結合の数は、1分子あたり2つ以上であればく、3つ以上であることが好ましく、例えば3〜5つであることができる。ポリエン化合物のエチレン性不飽和二重結合としては、例えば(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。ポリエン化合物に複数含まれるエチレン性不飽和二重結合の種類は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
ポリエン化合物の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等のビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、テトラアリロキシエタン等のアリル化合物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
ポリエン化合物は、例えば、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、複素環式化合物等であることができる。一態様では、ポリエン化合物は、環状構造含有化合物であることができる。環状構造含有化合物は、炭素環式化合物であってもよく、複素環式化合物であってもよく、また単環式化合物であってもよく、二環式以上の多環式化合物であってもよい。また、ポリエン化合物は、環状構造を複数含むものであってもよい。一態様では、ポリエン化合物は、複素脂環式化合物または複素芳香族化合物であることができ、具体的にはイソシアヌル環含有化合物またはシアヌル環含有化合物であることができる。これらの中でも、これを用いて得られる透明樹脂やレンズ基材等の光学特性等の観点から、ポリエン化合物は、トリアリルイソシヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレートが好ましく、トリアリルイソシヌレート(TAIC)がさらに好ましい。但し、ポリエン化合物としてトリアリルイソシヌレートやトリアリルシアヌレートを用いる場合、これらにハロゲン化合物が含まれていると、このハロゲン化合物と芳香族イソシアネートから誘導される芳香族アミンとの反応が生じて着色が促進される場合がある。そのため、ポリエン化合物としてトリアリルイソシヌレートやトリアリルシアヌレートを用いる場合には、ハロゲン化合物を除去ないしは低減するか、ハロゲン化合物の含有割合が小さなものを用いることが、特に望まれる。
ここで、上記のポリエン化合物は、上述したハロゲン化合物の含有割合を低減させる観点から、ハロゲン濃度が150ppm未満のポリエン化合物であることが好ましく、より好ましくはハロゲン濃度が100ppm未満、さらに好ましくはハロゲン濃度が50ppm未満、特に好ましくはハロゲン濃度が30ppm未満、最も好ましくはハロゲン濃度が10ppm未満であり、その下限は当然のことながら0ppm以上である。このような低ハロゲン濃度のポリエン化合物としては、例えば、ハロゲンを含まない(ハロゲンフリーの)ポリエン化合物や、ハロゲン濃度が上記好ましい範囲内のポリエン化合物を用いればよい。また、蒸留精製等で脱ハロゲン処理することで、低ハロゲン濃度にすることもできる。ポリエン化合物として例えばトリアリルイソシヌレート(TAIC)やトリアリルシアヌレートを用いる場合、ハロゲン濃度が高いと上述したハロゲン化合物の含有割合が高くなる傾向にあることから、一態様では、好ましくはハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満、より好ましくはハロゲン濃度1ppm以上100ppm未満、さらに好ましくはハロゲン濃度1ppm以上50ppm未満、特に好ましくはハロゲン濃度1ppm以上30ppm未満のものを用いる。
(ポリチオール)
ポリチオールは、1分子内に2以上のメルカプト基(−SH)を有する多官能チオールである。ポリチオールは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
ポリチオールの具体例としては、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン等の脂肪族ポリチオール;
1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、2,2'−ジメルカプトビフェニル、4,4' −ジメルカプトビフェニル、4,4' −ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール;
2,5−ジクロロベンゼン−1,3−ジチオール、1,3−ジ(p−クロロフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、3,4,5−トリブロム−1,2−ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6−テトラクロル−1,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換芳香族ポリチオール;
1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、およびこれらの核アルキル化物等のチオール基(「メルカプト基」とも呼ばれる。)以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール;
ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、2−メルカプトエチルチオ−1,3−プロパンジチオール、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、およびこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4' −チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4' −ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、ビス(1,3−ジメルカプト−2−プロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール(「ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール」とも呼ばれる;4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、および5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールよりなる群から選択される異性体の一種またはこれら異性体の二種もしくは三種の混合物)等のチオール基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール;
3,4−チオフェンジチオール、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジメルカプトメチル、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン等のチオール基以外に硫黄原子を含有する複素環含有ポリチオール等が挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。
ポリチオールは、一態様では、脂肪族化合物であることができる。また、一態様では、上記ポリチオールは、エステル結合含有化合物であることができる。エステル結合を含有するポリチオールは、例えば、エステル結合を1分子あたり2つ以上含むことができ、例えば2〜5つ含むことができる。上記ポリチオールは、一態様では、エステル結合含有脂肪族化合物であることができる。ポリチオールの中でも、重合密度(架橋密度)を高める観点から、メルカプト基を1分子内に2個有するポリチオール、メルカプト基を1分子内に3個有するポリチオール、メルカプト基を1分子内に4個有するポリチオール、メルカプト基を1分子内に5個有するポリチオールが好ましく、メルカプト基を1分子内に3個有するポリチオール、メルカプト基を1分子内に4個有するポリチオール、メルカプト基を1分子内に5個有するポリチオールがより好ましい。また、ポリチオールは、具体的には、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)(PETMA)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PETMP)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアンが好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)(PETMA)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールがより好ましい。
ここで、上記のポリチオールは、混合工程S2でのハロゲン濃度の上昇を抑制する観点から、ハロゲン濃度が30ppm未満のポリチオールであることが好ましく、より好ましくはハロゲン濃度が20ppm未満、さらに好ましくはハロゲン濃度が10ppm未満、特に好ましくはハロゲン濃度が5ppm未満、最も好ましくはハロゲン濃度が3ppm未満であり、その下限は当然のことながら0ppm以上である。このような低ハロゲン濃度のポリチオールとしては、例えば、ハロゲンを含まない(ハロゲンフリーの)ポリチオールや、ハロゲン濃度が上記好ましい範囲内のポリチオールを用いればよい。また、蒸留精製等で脱ハロゲン処理することで、低ハロゲン濃度にすることもできる。
(他のポリイソ(チオ)シアネート)
本実施形態の光学材料用重合性組成物の製造方法において、ポリイソシアネート成分として上記の芳香族ポリイソシアネートのみを用いてもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した芳香族ポリイソシアネート以外のポリイソ(チオ)シアネート(以降において、単に「他のポリイソ(チオ)シアネート」と称する場合がある。)をさらに用いてもよい。
本発明および本明細書において、「ポリイソ(チオ)シアネート」とは、イソ(チオ)シアネート基を1分子あたり2つ以上有する化合物をいうものとする。「イソ(チオ)シアネート」とは、イソシアネートおよび/またはイソチオシアネートを意味する。イソシアネートはイソシアナートと呼ばれることもあり、イソチオシアネートはイソチオシアナートと呼ばれることもある。ポリイソ(チオ)シアネートおよびポリチオールを含む光学材料用重合性組成物の硬化物は、ポリイソ(チオ)シアネートが有するイソ(チオ)シアネート基とポリチオールが有するチオール基との反応(チオウレタン化反応)により形成されるチオウレタン結合を有することができる。
他のポリイソ(チオ)シアネートは、直鎖あるいは分岐鎖のまたは脂環式の脂肪族ポリイソ(チオ)シアネート、複素環式ポリイソ(チオ)シアネート等であることができる。他のポリイソ(チオ)シアネートが有するイソ(チオ)シアネート基の数は、1分子あたり2つ以上であり、好ましくは2〜4つであり、より好ましくは2つまたは3つである。
他のポリイソ(チオ)シアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート等の直鎖または分岐鎖の脂肪族ポリイソシアネート;1,2−ジイソチオシアナトエタン、1,6−ジイソチオシアナトヘキサン等の脂肪族ポリイソチオシアネート;ビス(4−イソシアナトシクロへキシル)メタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂環式ポリイソシアネート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの他のポリイソ(チオ)シアネートは、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。
また、他のポリイソ(チオ)シアネートとして、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)スルフィド、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)スルホン、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアナト−2−イソシアナトメチル−3−ペンタン、1,2,3−トリス(イソシアナトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(イソシアナトエチルチオ)プロパン、3,5−ジチア−1,2,6,7−ヘプタンテトライソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチル−3,5−ジチア−1,7−ヘプタンジイソシネート、2,5−ジイソシアナトメチルチオフェン、4−イソシアナトエチルチオ−2,6−ジチア−1,8−オクタンジイソシアネート等の含硫脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソチオシアネート等の脂環族ポリイソチオシアネート;チオビス(3−イソチオシアナトプロパン)、チオビス(2−イソチオシアナトエタン)、ジチオビス(2−イソチオシアナトエタン)等の含硫脂肪族イソ(チオ)シアネート;イソシアナトメチル−2−メチル−1,3−ジチオラン等の含硫脂環族ポリイソシアネート;2,5−ジイソチオシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−2−メチル−1,3−ジチオラン等の含硫脂環族化合物;1−イソシアナト−6−イソチオシアナトヘキサン、1−イソシアナト−4−イソチオシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−4−イソチオシアナトベンゼン、4−メチル−3−イソシアナト−1−イソチオシアナトベンゼン、2−イソシアナト−4,6−ジイソチオシアナト1,3,5−トリアジン、4−イソシアナトフェニル−4−イソチオシアナトフェニルスルフィド、2−イソシアナトエチル−2−イソチオシアナトエチルジスルフィド等のイソシアナト基とイソチオシアナト基を有する化合物等も用いることができる。これらの他のポリイソ(チオ)シアネートは、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。
これらの他のポリイソ(チオ)シアネートの中でも、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−イソシアナトメチルー3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネートが好ましく、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネートがより好ましい。
なお、上述した他のポリイソ(チオ)シアネートとして、上述した例示化合物の、塩素置換体や臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化反応生成物、あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。
ここで、上記の他のポリイソ(チオ)シアネートを用いる場合、混合工程S2でのハロゲン濃度の上昇を抑制する観点から、ハロゲン濃度が30ppm未満の他のポリイソ(チオ)シアネートであることが好ましく、より好ましくはハロゲン濃度が20ppm未満、さらに好ましくはハロゲン濃度が10ppm未満、特に好ましくはハロゲン濃度が5ppm未満、最も好ましくはハロゲン濃度が3ppm未満であり、その下限は当然のことながら0ppm以上である。このような低ハロゲン濃度の他のポリイソ(チオ)シアネートとしては、例えば、ハロゲンを含まない(ハロゲンフリーの)他のポリイソ(チオ)シアネートや、ハロゲン濃度が上記好ましい範囲内の他のポリイソ(チオ)シアネートを用いればよい。また、蒸留精製等で脱ハロゲン処理することで、低ハロゲン濃度にすることもできる。
芳香族ポリイソシアネートと、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物と、ポリチオールとの組み合わせの好適例としては、
(1)トリレンジイソシアネートと、トリアリルイソシヌレート及び/又はトリアリルシアヌレートと、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、およびビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールよりなる群から選択される1種以上との組み合わせ;
(2)ジフェニルメタンジイソシアネートと、トリアリルイソシヌレート及び/又はトリアリルシアヌレートと、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、およびビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールよりなる群から選択される1種以上との組み合わせ;
(3)トリレンジイソシアネートと、脂肪族ポリイソシアネートの1種以上と、トリアリルイソシヌレート及び/又はトリアリルシアヌレートと、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、およびビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールよりなる群から選択される1種以上との組み合わせ;
(4)ジフェニルメタンジイソシアネートと、脂肪族ポリイソシアネートの1種以上と、トリアリルイソシヌレート及び/又はトリアリルシアヌレートと、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、およびビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールよりなる群から選択される1種以上との組み合わせ;
が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートの使用量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、光学材料用重合性組成物の固形分の総量に対して、合計で1〜50質量%が好ましく、より好ましくは合計で3〜45質量%、さらに好ましくは合計で5〜40質量%である。なお、脂肪族ポリイソシアネート等のポリイソ(チオ)シアネートを併用しない場合、芳香族ポリイソシアネートの使用量は、光学材料用重合性組成物の固形分の総量に対して、合計で10〜40質量%が好ましく、より好ましくは合計で10〜35質量%、さらに好ましくは合計で15〜30質量%である。
また、脂肪族ポリイソシアネートの1種以上を併用する場合、芳香族ポリイソシアネートおよび脂肪族ポリイソシアネートの使用量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、光学材料用重合性組成物の固形分の総量に対して、合計で10〜40質量%が好ましく、より好ましくは合計で10〜35質量%、さらに好ましくは合計で15〜30質量%である。このとき、芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの使用割合は、特に限定されないが、1:9〜9:1が好ましく、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
さらに、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物の使用量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、光学材料用重合性組成物の固形分の総量に対して、合計で3〜40質量%が好ましく、より好ましくは合計で5〜35質量%、さらに好ましくは合計で10〜30質量%である。
一方、ポリチオールの使用量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、光学材料用重合性組成物の固形分の総量に対して、合計で30〜80質量%が好ましく、より好ましくは合計で35〜75質量%、さらに好ましくは合計で40〜70質量%である。
ここで、本実施形態の光学材料用重合性組成物は、芳香族ポリイソシアネート、およびポリチオール、さらには任意成分であるポリイソ(チオ)シアネート等に由来して、メルカプト基、イソシネート基、およびエチレン性不飽和二重結合を含有する。このとき、本実施形態の光学材料用重合性組成物のメルカプト基/(イソシネート基+エチレン性不飽和二重結合)当量比は、0.90〜1.70が好ましく、より好ましくは0.94〜1.20、さらに好ましくは0.96〜1.09、特に好ましくは0.98〜1.05である。
なお、本実施形態の光学材料用重合性組成物の−SH/エチレン性不飽和二重結合当量比は、使用する芳香族ポリイソシアネート、ポリチオール、ポリイソ(チオ)シアネートの種類や配合割合を考慮し、所望性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、1.20〜15.00が好ましく、より好ましくは1.40〜10.00、さらに好ましくは1.50〜5.00である。
また、本実施形態の光学材料用重合性組成物の−SH/−NCO当量比は、使用する芳香族ポリイソシアネート、ポリチオール、ポリイソ(チオ)シアネートの種類や配合割合を考慮し、所望性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、1.20〜15.00が好ましく、より好ましくは1.40〜10.00、さらに好ましくは1.50〜5.00である。
(その他の成分)
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、必要に応じて、上述した必須成分である芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物およびポリチオール、さらには任意成分であるポリイソ(チオ)シアネートの他に、当業界で公知の各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、重合触媒、離型剤、抗酸化剤、着色防止剤、蛍光増白剤、ブルーイング剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、油溶染料、充填剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。上記添加剤を通常の方法により混合することで、所望の硬化性組成物を得ることができる。添加剤の使用量は適宜設定することができる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、好ましくは、クロロホルム溶液中において、345nm以上の極大吸収波長を有する。紫外線吸収剤としては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホニックアシッド、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノンおよび2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールおよび2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;ジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。紫外線吸収剤は、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。
紫外線吸収剤の添加量は、樹脂成分(すなわち、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物およびポリチオール、さらには任意成分であるポリイソ(チオ)シアネート)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上3質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上2質量部以下であり、特に好ましくは0.3質量部以上2質量部以下であり、よりさらに好ましくは0.5質量部以上2質量部以下であり、最も好ましくは0.8質量部以上2質量部以下である。なお、本発明および本明細書において、樹脂成分の質量とは、光学材料用重合性組成物が溶媒を含む場合には溶媒を除く質量をいうものとする。
(重合触媒)
重合触媒は、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物とポリチオールとのチオール−エン反応を触媒する第1重合触媒、ポリチオールと、芳香族ポリイソシアネートおよびさらには任意成分であるポリイソ(チオ)シアネートとのチオウレタン化反応を触媒する第2重合触媒を含んでいてもよい。チオール−エン反応を触媒する第1の重合触媒、チオウレタン化反応を触媒する第2の重合触媒は、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。
チオール−エン反応を触媒する第1重合触媒としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソオブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾビス系化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ラウロイル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーイソノナノエート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシベンゾエート等の過酸化物系化合物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
チオウレタン化反応を触媒する第2重合触媒としては、好ましくは有機スズ化合物が挙げられる。具体的には、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、モノメチル錫トリクロライド、トリメチル錫クロライド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫フロライド、ジメチル錫ジブロマイド等のアルキル錫ハライド化合物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等のアルキル錫化合物が挙げられるが、これらに特に限定されない。重合触媒は、1種を単独で、または2種以上を任意の組み合わせで使用することができる。これらの中でも、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレートが好ましい。
チオール−エン反応を触媒する第1重合触媒の添加量は、樹脂成分(すなわち、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物およびポリチオール、さらには任意成分であるポリイソ(チオ)シアネート)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.10質量部以下であり、より好ましくは0.005質量部以上0.08質量部以下、さらに好ましくは0.010質量部以上0.06質量部以下である。
チオウレタン化反応を触媒する第2の重合触媒の添加量は、樹脂成分(すなわち、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物およびポリチオール、さらには任意成分であるポリイソ(チオ)シアネート)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上1質量部以下であり、より好ましくは0.005質量部以上0.5質量部以下であり、さらに好ましくは0.005質量部以上0.1質量部以下である。
(離型剤)
離型剤は、成形型からの離形性を高めるものである。離型剤は、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。好ましくはリン酸エステル化合物である。具体的には、イソプロピルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、オクチルアシッドフォスフェート、ノニルアシッドフォスフェート、デシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、トリデシルアシッドフォスフェート、ステアリルアシッドフォスフェート、プロピルフェニルアシッドフォスフェート、ブチルフェニルアシッドフォスフェート、ブトキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。リン酸エステル化合物は、リン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物のいずれであってもよいが、リン酸モノエステル化合物、およびリン酸ジエステル化合物の混合物が好ましい。
離型剤の添加量は、樹脂成分(すなわち、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物およびポリチオール、さらには任意成分であるポリイソ(チオ)シアネート)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.00質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上0.50質量部以下である。
<混合工程S2>
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、ポリチオールと、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するポリエン化合物と、芳香族ポリイソシアネートと、必要に応じて任意成分であるポリイソ(チオ)シアネート)や各種添加剤とを混合することにより調製することができる。
なお、本発明および本明細書における「ハロゲン濃度」は、電気伝導度検出器を備えるイオンクロマトグラフィー(商品名:ICS1600、DIONEX社)を用いて、試料100μLをサンプルに採り、流速1.5mmol/Lの条件下で移動相(2.7mmol/L_Na2CO3、0.3mmol/L_NaHCO3)を用いて測定される値を意味する。また、ここで用いたサンプルは、試料を秤量し、分析装置の燃焼管(商品名:AQF−2100、GA−210、三菱化学株式会社、電気炉温度:900℃(Inlet)及び1000℃(Outlet))内で燃焼させ、発生したガスを吸収液(H22 0.0009%、内標 P2μg/mL、吸収量:5mL)に吸収後、吸収液から採取したものである。
光学材料用重合性組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、重合性組成物の調製方法として公知の方法を適宜採用することができる。例えば、本実施形態の光学材料用重合性組成物の調製の際には、溶媒を添加せずに調製してもよく、任意の量の溶媒を添加して調製してもよい。溶媒としては、重合性組成物に使用可能な溶媒として公知の溶媒の一種以上を用いることができる。
[透明樹脂]
本実施形態の透明樹脂は、上述した光学材料用重合性組成物を重合させることで得ることができる。本実施形態の透明樹脂は、上述したとおり、上述した方法で光学材料用重合性組成物を調製しているため、光学材料用重合性組成物の着色が抑制されており、そのため、これを重合して得られる透明樹脂も着色が抑制されたものとなる。
本実施形態の透明樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、透明樹脂の製造方法として公知の方法を適宜採用することができる。一態様では、本実施形態の透明樹脂の製造方法は、上述した光学材料用重合性組成物を重合する工程を含む。
重合工程後に得られる透明樹脂は、比較的に高屈折率であり、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、良好な耐熱性、耐久性、耐衝撃性をさらに有したものが得られやすい。このため、本実施形態の透明樹脂は、各種光学部材として好適に用いることができる。光学部材としては、眼鏡レンズ、望遠鏡レンズ、双眼鏡レンズ、顕微鏡レンズ、内視鏡レンズ、各種カメラの撮像系レンズ等の各種レンズや光学素子等を挙げることができ、より好ましくは、眼鏡レンズが挙げられる。なお、本発明および本明細書における「レンズ」には、一層以上の層が任意に積層される「レンズ基材」が包含されるものとする。そして、本発明および本明細書における「光学材料用」とは、これらの光学部材を包含した意味である。
例えば、レンズ形状を有する硬化物(「レンズ基材」「プラスチックレンズ」とも呼ばれる。)を製造するためには、注型重合が好ましい。注型重合では、例えば、所定の間隔をもって対向する2つのモールドと、上記間隔を閉塞することにより形成されたキャビティを有する成形型のキャビティへ、上記のとおり調製された光学材料用重合性組成物を、必要に応じて脱泡した後に成形型側面に設けられた注入口から注入し、このキャビティ内で光学材料用重合性組成物を好ましくは加熱により重合(硬化反応)させて硬化物とすることで、キャビティの内部形状が転写された硬化物を得ることができる。成形型には、例えばガラスまたは金属製のモールド型が用いられる。成形型内で光学材料用重合性組成物を重合させるときの重合条件は、特に限定されるものではなく、使用する光学材料用重合性組成物の組成等に応じて適宜設定することができる。一例として、光学材料用重合性組成物をキャビティに注入した成形型を、好ましくは0℃以上150℃以下、より好ましくは10℃以上130℃以下、好ましくは3時間以上50時間以下、より好ましくは5時間以上25時間以下の条件下で加熱処理できるが、この条件に限定されるものではない。なお、本発明および本明細書において、注型重合に関する加熱温度等の温度とは、成形型が配置される雰囲気温度をいう。また、加熱中に、任意の昇温速度で昇温することができ、任意の降温速度で降温(冷却)することができる。重合(硬化反応)終了後、キャビティ内部の硬化物を成形型から離型する。光学材料用重合性組成物を重合させて作製した透明樹脂の成形型からの離型性を良好にするために、成形型の離型面に離型剤を塗布してもよいし、光学材料用重合性組成物に離型剤を添加してもよい。
成形型から離型された硬化物は、必要に応じて後処理を行った後、光学部材として用いることができ、例えば各種レンズ(例えばレンズ基材)として用いることができる。一例として、眼鏡レンズのレンズ基材として用いられる硬化物は、通常、離型後に、アニーリング、染色処理、丸め工程等の研削工程、研磨工程、耐衝撃性を向上させるためのプライマーコート層、表面硬度を上げるためのハードコート層等のコート層形成工程等の後工程に付され得る。さらに、反射防止層、撥水層等の各種機能性層を、レンズ基材上に形成することができる。これらの工程については、いずれも公知技術を適用することができる。例えば、染色処理においては、青色、赤色、緑色、黄色等のいかなる色で染色することができる。本実施形態の透明樹脂(例えばレンズ基材)は、視感透過率が高く、これらの色に染色した場合であっても優れた発色性を示す。こうして、レンズ基材が上記硬化物である眼鏡レンズを得ることができる。さらに、この眼鏡レンズをフレームに取り付けることにより、眼鏡を得ることができる。
本実施形態によれば、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを使用しているため、着色が抑制されたチオウレタン系の光学材料用重合性組成物、透明樹脂、ならびにレンズ基材等を再現性よく安定して得ることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。なお、以下に記載の操作および評価は、特記しない限り、大気中室温下(20〜25℃程度)で行った。また、以下に記載の%、部は、特記しない限り質量基準である。
[測定方法および評価基準]
実施例および比較例のプラスチックレンズにおける、着色度、屈折率、透明性の測定条件および評価基準は、以下のとおりである。
<重合性組成物の着色度>
[測定方法]
<ハーゼン色数(APHA)>
JIS K0071−1:1998の方法により重合性組成物のハーゼン色数(APHA)を測定した。
○ 30以下
× 30超
<屈折率>
カルニュー光学工業(株)製精密屈折率計KPR−2000型を用いて20℃で、D線(689.6nm)の波長の光についてプラスチックレンズの屈折率を測定した。一態様では、屈折率は1.59以上1.61以下が好ましい。また、別の一態様では、屈折率は1.62以上1.68以下が好ましく、より好ましくは1.65以上1.68以下である。
<透明性>
得られたプラスチックレンズを暗所にて蛍光灯下で目視観察し、プラスチックレンズの透明性を以下の3段階で評価した。なお、評価結果がVGまたはGであるプラスチックレンズは、透明性に関して実用的には問題ない。一方、評価結果がBであるプラスチックレンズは実用的には不適当である。
VG(Very Good):曇りおよび不透明物質の析出がない
G (Good) :わずかに曇りおよび/または不透明物質の析出が観察される
B (Bad) :曇りの程度がひどいまたは不透明物質の析出が明らかに見られる
(実施例1)
2Lフラスコに、芳香族ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアナート(TDI)132.0g、ポリエン化合物として、ハロゲン濃度が4ppmのトリアリルイソシアヌレート(TAIC)132.0g、UV吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2−H−ベンゾトリアゾール6.00g、内部離型剤として、ブトキシエチルアシッドホスフェート0.90gを添加して混合した。これらが完全に溶解した後、ポリチオールとして、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセタート)(PETMA)336.0g、重合触媒として、ジメチル錫ジクロライド0.12g及び2,2’−アゾビスー2,4−ジメチルバレロニトリル0.06gをさらに添加して混合した後、20℃窒素パージ下で30分撹拌を続けた。これらを完全に分散または溶解させて均一液とし、その後さらに0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、実施例1の無色透明な光学材料用重合性組成物を調製した。
この実施例1の光学材料用重合性組成物を、1.0μmのポリテトラフルオロエチレンメンブランフィルターを通して、レンズ型に注入し、初期温度25℃から最終温度120℃の温度プログラムにて24時間注型重合を行い、無色透明で中心肉厚1.8mmの実施例1の透明樹脂(プラスチックレンズ)を作製した。得られた実施例1のプラスチックレンズを成形型から離型した後、各種測定および評価を行った。結果を、表1に示す。
(実施例2)
2Lフラスコに、芳香族ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート(TDI)144.0g、ポリエン化合物として、ハロゲン濃度が6ppmのトリアリルイソシアヌレート(TAIC)144.0g、UV吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフィニル)−2−H−ベンゾトリアゾール(商品名:SB−707R、シプロ化成社株式会社)7.50g、内部離型剤として、ブトキシエチルアシッドフォスフェート0.9gを添加して混合した。これらが完全に溶解した後、ポリチオールとして、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール312.0g、重合触媒として、ジメチル錫ジクロライド0.12gおよび2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.12gをさらに添加して混合した後、20℃窒素パージ下で30分撹拌を続けた。これらを完全に分散または溶解させて均一液とし、その後さらに0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、実施例2の無色透明な光学材料用重合性組成物を調製し、着色有無の評価を行った。結果を、表1に示す。
実施例1の光学材料用重合性組成物に代えて、実施例2の光学材料用重合性組成物を用いる以外は、実施例1と同様に行い、実施例2の透明樹脂(プラスチックレンズ)を作製した。得られた実施例2のプラスチックレンズを成形型から離型した後、各種測定および評価を行った。結果を、表1に示す。
(実施例3)
2Lフラスコに、芳香族ポリイソシアネートとして、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)144.0g、ポリエン化合物として、ハロゲン濃度が5ppmのトリアリルイソシアヌレート(TAIC)144.0g、UV吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフィニル)−2−H−ベンゾトリアゾール7.50g、内部離型剤として、ブトキシエチルアシッドフォスフェート0.9gを添加して混合した。これらが完全に溶解した後、ポリチオールとして、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセタート)(PETMA)312.0g、重合触媒としてジメチル錫ジクロライド0.09gおよび2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.12gをさらに添加して混合した後、20℃窒素パージ下で30分撹拌を続けた。これらを完全に分散または溶解させて均一液とし、その後さらに0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、実施例3の無色透明な光学材料用重合性組成物を調製し、着色有無の評価を行った。結果を、表1に示す。
実施例1の光学材料用重合性組成物に代えて、実施例3の光学材料用重合性組成物を用いる以外は、実施例1と同様に行い、実施例3の透明樹脂(プラスチックレンズ)を作製した。得られた実施例3のプラスチックレンズを成形型から離型した後、各種測定および評価を行った。結果を、表1に示す。
(比較例1)
2Lフラスコに、芳香族ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート(TDI)132.0g、ポリエン化合物として、ハロゲン濃度が430ppmのトリアリルイソシアヌレート(TAIC)132.0g、UV吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフィニル)−2−H−ベンゾトリアゾール6.00g、内部離型剤として、ブトキシエチルアシッドフォスフェート0.9gを添加して混合した。これらが完全に溶解した後、ポリチオールとして、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセタート)(PETMA)336.0g、重合触媒としてジメチル錫ジクロライド0.12gおよび2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル0.12gをさらに添加して混合した後、20℃窒素パージ下で30分撹拌を続けた。これらを完全に分散または溶解させて均一液とし、その後さらに0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、比較例1の黄色に着色した光学材料用重合性組成物を調製し、着色有無の評価を行った。結果を、表1に示す。
Figure 2021167398
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを含有する光学材料用重合性組成物が提供される。
上記組成によれば、芳香族ポリイソシアネートやポリエン化合物を用いていながらも、着色が抑制されたチオウレタン系の光学材料用重合性組成物を再現性よく安定して調製可能となり、これにより、着色が抑制されたチオウレタン系の透明樹脂ないしはレンズ基材を再現性よく安定して製造することができる。
一態様では、上記ポリエン化合物が、トリアリルイソシヌレート、およびトリアリルシアヌレートよりなる群から選択される1種以上であることができる。
一態様では、上記芳香族ポリイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、およびナフタレンジイソシアネートよりなる群から選択される1種以上であることができる。
一態様では、上記ポリチオールが、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、および2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアンよりなる群から選択される1種以上であることができる。
一態様では、上記ポリエン化合物は、ハロゲン濃度1ppm以上100ppm未満であることができる。
一態様では、上記ハロゲン濃度が、塩素濃度であることができる。
一態様では、上記重合触媒をさらに含有することができる。
一態様では、上記離型剤をさらに含有することができる。
一態様では、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程、ならびに、前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合する工程、を有する光学材料用重合性組成物の製造方法が提供される。
一態様では、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程、前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合して光学材料用重合性組成物を得る工程、ならびに、前記光学材料用重合性組成物を重合してチオウレタン系透明樹脂を得る工程、を有する透明樹脂の製造方法が提供される。
一態様では、芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程、前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合して光学材料用重合性組成物を得る工程、ならびに、前記光学材料用重合性組成物を注型重合してチオウレタン系レンズ基材を得る工程、を有するレンズ基材の製造方法が提供される。
一態様では、上記光学部材ないしは光学材料は、レンズであることができる。
一態様では、上記レンズは、眼鏡レンズないしはレンズ基材であることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、本明細書に記載の各種態様は、任意の組み合わせで2つ以上を組み合わせることができる。
本発明の一態様は、眼鏡レンズやレンズ基材等の各種光学部材の製造分野において有用である。

Claims (13)

  1. 芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを含有する、
    光学材料用重合性組成物。
  2. 前記ポリエン化合物が、トリアリルイソシヌレート、およびトリアリルシアヌレート
    よりなる群から選択される1種以上を含む
    請求項1に記載の光学材料用重合性組成物。
  3. 前記芳香族ポリイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、およびナフタレンジイソシアネートよりなる群から選択される1種以上を含む
    請求項1又は2に記載の光学材料用重合性組成物。
  4. 前記ポリチオールが、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、および2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアンよりなる群から選択される1種以上を含む
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
  5. 前記ポリエン化合物は、前記ハロゲン濃度が1ppm以上100ppm未満である
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
  6. 前記芳香族ポリイソシアネートは、ハロゲン濃度が30ppm未満である
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
  7. 前記ポリチオールは、ハロゲン濃度30ppm未満である
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
  8. 前記ハロゲン濃度が、塩素濃度である
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
  9. 重合触媒をさらに含有する
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
  10. 離型剤をさらに含有する
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学材料用重合性組成物。
  11. 芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程、ならびに、
    前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合する工程、
    を有する光学材料用重合性組成物の製造方法。
  12. 芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程、
    前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合して光学材料用重合性組成物を得る工程、ならびに、
    前記光学材料用重合性組成物を重合してチオウレタン系透明樹脂を得る工程、
    を有する透明樹脂の製造方法。
  13. 芳香族ポリイソシアネート、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有しハロゲン濃度1ppm以上150ppm未満のポリエン化合物、およびポリチオールを準備する工程、
    前記芳香族ポリイソシアネート、前記ポリエン化合物、および前記ポリチオールを混合して光学材料用重合性組成物を得る工程、ならびに、
    前記光学材料用重合性組成物を注型重合してチオウレタン系レンズ基材を得る工程、
    を有するレンズ基材の製造方法。
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