JP2022156417A - ポリチオウレタン系重合性組成物、透明樹脂、及びレンズ基材 - Google Patents

ポリチオウレタン系重合性組成物、透明樹脂、及びレンズ基材 Download PDF

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智文 大西
Tomofumi Onishi
匠 永澤
Takumi Nagasawa
裕子 新井
Yuko Arai
充 上田
Mitsuru Ueda
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Abstract

【課題】芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物の3成分を用いながらも、屈折率が1.600超で耐光性にも優れる、新規組成のポリチオウレタン系重合性組成物、並びにこれを用いた透明樹脂及びレンズ基材等を提供する。【解決手段】芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを少なくとも含有し、前記ポリチオール化合物は、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)である脂肪族ポリチオール化合物を含有する、ポリチオウレタン系重合性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリチオウレタン系重合性組成物、透明樹脂、及びレンズ基材等に関する。
従来、脂環族ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させることにより高屈折率を有するポリチオウレタン系プラスチックレンズが得られることが知られている。この種のプラスチック材料は、無機レンズに比べ軽量で割れ難いため、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。
例えば、特許文献1には、第一成分のイソホロンジイソシアナートと、第二成分の1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパンと、第三成分のヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシナート、シクロヘキシルイソシナート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(
2-メルカプトエチル)スルフィド、3,6-ジチアオクタン-1,8-ジメルカプタンの化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物と、からなるプラスチックレンズ用組成物が開示されている。
特許文献2には、ジシクロメタン-4,4’-ジイソシアネートや4,4-イソプロピ
リデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の特定構造の脂環族イソシアネート化合物と、1,2-ビス〔(2-メルカプトエチル)チオ〕-3-メルカプトプロパンチオール化合物とを含有するプラスチックレンズ用組成物が開示されている。
特許文献3には、(A)イソホロンジイソシアネートと、(B)ビス(メルカプトエチル)スルフィド、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタンから選択される少なくとも一種のチオールと、(C)特定構造の酸性リン酸エステルと、(D)特定構造のスズ化合物と、含む光学材料用重合性組成物が開示されている。
特許文献4には、脂環式ポリイソシアナート(A-1)、非環式脂肪族ポリイソシアナート(A-2)、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール及び5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールの混合物であるポリチオール(B-1)、及びトリメチロールプロパントリス(チオグリコラート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコラート)及び1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオナート)からなる群から選択されるポリチオール(B-2)を含むポリチオールと、を含有する重合性組成物が開示されている。
特許第3205163号 特許第3279784号 特許第6200075号 特許第6393404号
しかしながら、上記の従来技術の重合性組成物は、いずれも、脂環族ポリイソシアネート化合物と脂肪族ないしは脂環族ポリチオール化合物とを組み合わせたものである。ポリイソシアネート化合物としては、脂環族ポリイソシアネート化合物の他に芳香族ポリイソシアネートも知られているが、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネート化合物とを、ポリチオール化合物に併用する試みは何ら報告されていない。
そして、本発明者らの知見によれば、脂環族ポリイソシアネート化合物と脂肪族ないしは脂環族ポリチオール化合物とを組み合わせたポリチオウレタン系重合性組成物において、耐光性に優れるものは屈折率が1.600程度に留まることが判明している。そして、屈折率が1.600超のポリチオウレタン系重合性組成物を得るために高屈折率モノマーである芳香族ポリイソシアネートの併用を検討したが、このように芳香族ポリイソシアネートを用いると耐光性が劣化することが判明した。一方、耐光性の改善のため紫外線吸収剤を過剰に添加することも検討したが、重合性組成物や樹脂の調製時に、紫外線吸収剤が析出するという新たな課題が生じてしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の一態様は、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物の3成分を用いながらも、屈折率が1.600超で耐光性にも優れる、新規組成のポリチオウレタン系重合性組成物、並びにこれを用いた透明樹脂及びレンズ基材等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物の3成分を含有するポリチオウレタン系重合性組成物において、特定の脂肪族ポリチオール化合物を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に示す種々の実施態様を包含する。
〔1〕 芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを少なくとも含有し、前記ポリチオール化合物は、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)である脂肪族ポリチオール化合物を含有する、ポリチオウレタン系重合性組成物。
〔2〕前記脂肪族ポリチオール化合物は、S原子の含有割合が45~70質量%である〔1〕に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔3〕前記芳香族ポリイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネートよりなる群から選択される1種以上を含む〔1〕又は〔2〕に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔4〕前記脂環族ポリイソシアネートが、ビス(4-イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ノルボルネンジイソシアネート及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンよりなる群から選択される1種以上を含む〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔5〕前記脂肪族ポリチオール化合物が、2,2’,2’’-(プロパン-1,2,3-トリイルトリス(スルファンジイル))トリエタンチオール(TFTP)、2,2’,2’’-(エタン-1,1,2-トリイルトリス(スルファンジイル))トリエタンチオール(ETT)、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,1,2,2-テトライルテトラキス(スルファンジイル))テトラエタンチオール(TMEE)、2,2’,2’’,2’’’-(2,2’-チオビス(プロパン-3,2,1-トリイル)テトラキス(スルファンジイル))テトラエタンチオール(TT-1)、及び2,2’,2’’-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(スルファンジイル)トリエタンチオール(TMET)よりなる群から選択される1種以上を含む〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔6〕前記芳香族ポリイソシアネートの含有割合が、樹脂固形分総量に対して5~50質量%である〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔7〕前記脂環族ポリイソシアネートの含有割合が、樹脂固形分総量に対して5~55質量%である〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔8〕前記芳香族ポリイソシアネートおよび前記脂環族ポリイソシアネートの含有割合が、1:9~9:1である〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔9〕前記脂肪族ポリチオール化合物の含有割合が、樹脂固形分総量に対して35~70質量%である〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔10〕前記組成物中に含まれる芳香族環の含有割合が、3.0~15.0質量%である〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔11〕紫外線吸収剤をさらに含有する〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔12〕重合触媒をさらに含有する〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
〔13〕〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物の硬化物である、透明樹脂。
〔14〕〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物の硬化物である、レンズ基材。
〔15〕芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有する脂肪族ポリチオール化合物とを少なくとも含有する重合性組成物の硬化物であり、前記脂肪族ポリチオール化合物は、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)であり、1.650以上1.680以下の屈折率を有する、レンズ基材。ここで上記〔15〕のレンズ基材においては、上記〔2〕~〔9〕のいずれか一項に記載の技術的特徴をさらに有することが好ましい。
本開示の一態様によれば、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物の3成分を用いながらも、屈折率が1.600超で耐光性にも優れる、新規組成のポリチオウレタン系重合性組成物、並びにこれを用いた透明樹脂及びレンズ基材等を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本開示の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
[ポリチオウレタン系重合性組成物]
本実施形態のポリチオウレタン系重合性組成物は、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを少なくとも含有し、前記ポリチオール化合物が、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)である脂肪族ポリチオール化合物を含有するものである。
なお、本発明及び本明細書において、「ポリチオウレタン系」とは、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基とポリチオールが有するチオール基との反応(チオウレタン化反応)により形成されるチオウレタン結合を形成可能な組成を意味する。また、ポリチオウレタン系重合性組成物の成分として使用可能な化合物の中には、二種以上の異性体を有するものがあるが、そのような化合物については、二種以上の異性体の混合物を使用してもよく、二種以上の異性体のうちの一種を単独で使用してもよい。
本発明者らの知見によれば、脂環族ポリイソシアネート化合物と脂肪族ポリチオール化合物とを組み合わせたポリチオウレタン系重合性組成物において、屈折率が1.600超のポリチオウレタン系重合性組成物を得るために高屈折率モノマーである芳香族ポリイソシアネートを併用すると、耐光性が劣化する傾向にあることが判明した。これは、芳香族ポリイソシアネートが有する芳香環、例えばベンゼン環による影響であると推察される。芳香族ポリイソシアネートの使用を控えると、所望する高屈折率が得られない。
さらに検討を進めたところ、メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)である脂肪族ポリチオール化合物を用いることで、これら3成分を用いていながらも屈折率が1.600超で耐光性にも優れる重合性組成物が得られることが判明した。メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)である脂肪族ポリチオール化合物を用いることで、組成物中に含まれる芳香族環の含有割合を比較的に低減させることができ、これにより、屈折率と耐光性とを高く維持できたものと推察される。これにより、紫外線吸収剤を過剰に添加しなくても屈折率と耐光性とを高く維持できるため、調製時における紫外線吸収剤の析出の課題からも解放され得る。以下、各構成について、詳述する。
(芳香族ポリイソシアネート)
芳香族ポリイソシアネートは、1分子あたり1以上の芳香族環と1分子あたり2以上のイソシアネート基(-NCO)とを有する多官能イソシアネートである。芳香族ポリイソシアネートが有する芳香族環の数は、1分子あたり1以上であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは1又は2である。芳香族ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の数は、1分子あたり2以上であり、好ましくは2~4であり、より好ましくは2又は3である。なお、イソシアネートはイソシアナートと呼ばれることもある。芳香族ポリイソシアネートは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,2-ジイソシアナトベンゼン、1,3-ジイソシアナトベンゼン、1,4-ジイソシアナトベンゼン、2,4-ジイソシアナトトルエン、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、4,4'-メチレンビス(2-メチルフェニルイソシアネート)、ビベンジルー4,4'-ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン等の芳香族ポリイソシアネート;
キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α',α'-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナトメチルフェニル)エーテル等の芳香環化合物を有するポリイソシアネート;
2-イソシアナトフェニル-4-イソシアナトフェニルスルフィド、ビス(4-イソシアナトフェニル)スルフィド、ビス(4-イソシアナトメチルフェニル)スルフィド等の芳香族スルフィド系ポリイソシアネート;
ビス(4-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(2-メチル-5-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3-メチル-5-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3-メチル-6-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4-メチル-5-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3-メトキシ-4-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4-メトキシ-3-イソシアナトフェニル)ジスルフィド等の芳香族ジスルフィド系イソシアネート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
芳香族ポリイソシアネートの中でも、得られる硬化物の屈折率や耐熱性や透明性、さらには素材の入手容易性及びコスト等の観点から、好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、及びキシリレンジイソシアネート(XDI)であり、より好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、であり、さらに好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)である。
なお、芳香族ポリイソシアネートとして、上述した例示化合物の、塩素置換体や臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化反応生成物、或いはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
芳香族ポリイソシアネートの含有割合は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、重合性組成物の樹脂固形分の総量に対して、合計で5~50質量%が好ましく、より好ましくは合計で7~45質量%、さらに好ましくは合計で9~40質量%である。なお、本発明及び本明細書において、樹脂固形分の総量とは、溶媒を含む場合には溶媒を除く総質量を意味する。
(脂環式ポリイソシアネート)
脂環式ポリイソシアネートは、1分子内に1以上の脂肪族環と1分子内に2以上のイソシアネート基(-NCO)を有する多官能イソシアネートである。脂環式ポリイソシアネートが有する脂肪族環の数は、1分子あたり1以上であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは1又は2である。脂環式ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の数は、1分子あたり2以上であり、好ましくは2~4であり、より好ましくは2又は3である。脂環式ポリイソシアネートは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、ビス(4-イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HMDI)、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HXDI)、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
脂環式ポリイソシアネートの中でも、得られる硬化物の屈折率や耐熱性や透明性、さらには素材の入手容易性及びコスト等の観点から、好ましくはビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートである。
なお、脂環式ポリイソシアネートとして、上述した例示化合物の、塩素置換体や臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化反応生成物、或いはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
脂環式ポリイソシアネートの含有割合は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、重合性組成物の樹脂固形分の総量に対して、合計で5~55質量%が好ましく、より好ましくは合計で7~50質量%、さらに好ましくは合計で9~45質量%である。
一方、上述した芳香族ポリイソシアネートと脂環式ポリイソシアネートの配合割合は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、芳香族ポリイソシアネート対脂環式ポリイソシアネートの固形分換算で、1:9~9:1が好ましく、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。
(メルカプト基を3個以上有するポリチオール)
メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、1分子内に3以上のメルカプト基(-SH)を有する多官能チオールである。メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
本実施形態では、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物として、メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)、好ましくは97~145(g/SH)、より好ましくは99~140(g/SH)である、脂肪族ポリチオール化合物(以降において、単に「特定脂肪族ポリチオール化合物」と称する場合がある。)を必須成分として含有する。ポリチオール化合物として特定脂肪族ポリチオール化合物を用いることで、組成物中に含まれる芳香族環の含有割合を比較的に低減させることができる。
上記の特定脂肪族ポリチオール化合物の具体例としては、2,2’,2’’-(プロパン-1,2,3-トリイルトリス(スルファンジイル))トリエタンチオール(TFTP)、2,2’,2’’-(エタン-1,1,2-トリイルトリス(スルファンジイル))トリエタンチオール(ETT)、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,1,2,2-テトライルテトラキス(スルファンジイル))テトラエタンチオール(TMEE)、2,2’,2’’,2’’’-(2,2’-チオビス(プロパン-3,2,1-トリイル)テトラキス(スルファンジイル))テトラエタンチオール(TT-1)、及び2,2’,2’’-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(スルファンジイル)トリエタンチオール(TMET)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
ここで、特定脂肪族ポリチオール化合物は、屈折率をより高める等の観点から、一分子中のS原子の含有割合が45~70質量%であることが好ましく、より好ましくは50~70質量%、さらに好ましくは53~65質量%である。S原子の含有割合が高いほど、高屈折率な重合性組成物が得られ易い傾向にある。
上述した特定脂肪族ポリチオール化合物の含有割合は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、重合性組成物の樹脂固形分の総量に対して、合計で35~70質量%が好ましく、より好ましくは合計で40~65質量%、さらに好ましくは合計で45~60質量%である。
本実施形態のポリチオウレタン系重合性組成物は、メルカプト基を3個以上有するポリチオールとして上述した特定脂肪族ポリチオール化合物を使用している限り、定脂肪族ポリチオール化合物以外の他のポリチオール(以降において、単に「他のポリチオール」と称する場合がある。)を含有していてもよい。
他のポリチオールの具体例としては、1,2,3-プロパントリチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、2,3-ジメルカプトコハク酸(2-メルカプトエチルエステル)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(2-メルカプトアセテート)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(3-メルカプトアセテート)、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン等の脂肪族ポリチオール;
1,2,3-トリメルカプトベンゼン、1,2,4-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン等の芳香族ポリチオール;
1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、およびこれらの核アルキル化物等のチオール基(「メルカプト基」とも呼ばれる。)以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール;
1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド等、およびこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、チオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオール、ビス(1,3-ジメルカプト-2-プロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール(「ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチア-1,11-ウンデカンジチオール」とも呼ばれる;4,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール、および5,7-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオールよりなる群から選択される異性体の一種またはこれら異性体の二種もしくは三種の混合物)等のチオール基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
他のポリチオールは、一態様では、脂肪族化合物であることができる。また、一態様では、メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、エステル結合含有化合物であることができる。エステル結合を含有するポリチオールは、例えば、エステル結合を1分子あたり2つ以上含むことができ、例えば2~5つ含むことができる。メルカプト基を3個以上有するポリチオールは、一態様では、エステル結合含有脂肪族化合物であることができる。メルカプト基を3個以上有するポリチオールの中でも、屈折率を高める等の観点から、メルカプト基を1分子内に3個有するポリチオール、メルカプト基を1分子内に4個有するポリチオール、メルカプト基を1分子内に5個有するポリチオールが好ましい。
なお、上述した他のポリチオールは任意成分として含んでもよいものであるが、組成物中に含まれる芳香族環の含有割合を高めない等の観点から、ポリチオウレタン系重合性組成物は、ベンゼン環を有する芳香族ポリチオールを実質的に含有しないことが好ましい。ここで、ベンゼン環を有する芳香族ポリチオールを実質的に含有しないとは、重合性組成物の樹脂固形分の総量に対して、ベンゼン環を有する芳香族ポリチオールの含有割合が1質量%未満であることを意味し、より好ましくは0.1質量%未満、さらに好ましくは0.01質量%未満であり、特に好ましくは測定機器の検出限界以下(ND以下)であり、その下限値は言うまでもないが0.00質量%である。
また、特定脂肪族ポリチオール化合物の使用効率を高める等の観点から、特定脂肪族ポリチオール化合物以外の他のポリチオール含有割合は、重合性組成物の樹脂固形分の総量に対して、合計で5質量%未満が好ましく、より好ましくは合計で3質量%未満、さらに好ましくは合計で1質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満である。
(他のポリイソ(チオ)シアネート)
本実施形態ポリチオウレタン系重合性組成物は、ポリイソシアネート成分として上記の芳香族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネートのみを含むものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、これら以外のポリイソ(チオ)シアネート(以降において、単に「他のポリイソ(チオ)シアネート」と称する場合がある。)をさらに含んでいてもよい。なお、本発明および本明細書において、「ポリイソ(チオ)シアネート」とは、イソ(チオ)シアネート基を1分子あたり2つ以上有する化合物をいうものとする。
他のポリイソ(チオ)シアネートは、直鎖あるいは分岐鎖の非脂環の脂肪族ポリイソ(チオ)シアネート、複素環式ポリイソ(チオ)シアネート等であることができる。他のポリイソ(チオ)シアネートが有するイソ(チオ)シアネート基の数は、1分子あたり2つ以上であり、好ましくは2~4つであり、より好ましくは2つまたは3つである。
他のポリイソ(チオ)シアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタンジイソシアネート、2,2-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート等の直鎖または分岐鎖の非脂環式の脂肪族ポリイソシアネート;1,2-ジイソチオシアナトエタン、1,6-ジイソチオシアナトヘキサン等の非脂環式の脂肪族ポリイソチオシアネート;等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
また、他のポリイソ(チオ)シアネートとして、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)スルフィド、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)スルホン、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、1,5-ジイソシアナト-2-イソシアナトメチル-3-ペンタン、1,2,3-トリス(イソシアナトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(イソシアナトエチルチオ)プロパン、3,5-ジチア-1,2,6,7-ヘプタンテトライソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチル-3,5-ジチア-1,7-ヘプタンジイソシネート、2,5-ジイソシアナトメチルチオフェン、4-イソシアナトエチルチオ-2,6-ジチア-1,8-オクタンジイソシアネート等の含硫脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソチオシアネート等の脂環族ポリイソチオシアネート;チオビス(3-イソチオシアナトプロパン)、チオビス(2-イソチオシアナトエタン)、ジチオビス(2-イソチオシアナトエタン)等の含硫脂肪族イソ(チオ)シアネート;イソシアナトメチル-2-メチル-1,3-ジチオラン等の含硫脂環族ポリイソシアネート;2,5-ジイソチオシアナトチオフェン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,4-ジチアン、4,5-ジイソシアナト-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-2-メチル-1,3-ジチオラン等の含硫脂環族化合物;1-イソシアナト-6-イソチオシアナトヘキサン、1-イソシアナト-4-イソチオシアナトシクロヘキサン、1-イソシアナト-4-イソチオシアナトベンゼン、4-メチル-3-イソシアナト-1-イソチオシアナトベンゼン、2-イソシアナト-4,6-ジイソチオシアナト1,3,5-トリアジン、4-イソシアナトフェニル-4-イソチオシアナトフェニルスルフィド、2-イソシアナトエチル-2-イソチオシアナトエチルジスルフィド等のイソシアナト基とイソチオシアナト基を有する化合物等も用いることができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
なお、他のポリイソ(チオ)シアネートとして、上述した例示化合物の、塩素置換体や臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化反応生成物、或いはトリマー化反応生成物等も使用できる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
(その他の成分)
本実施形態のポリチオウレタン系重合性組成物は、必要に応じて、当業界で公知の各種添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、重合触媒、紫外線吸収剤、離型剤、着色抑制剤としての有機リン系化合物、抗酸化剤、着色防止剤、蛍光増白剤、ブルーイング剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、油溶染料、充填剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。各添加剤の使用量は適宜設定することができる。
(重合触媒)
重合触媒は、芳香族ポリイソシアネートや脂環族ポリイソシアネートと、メルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とのチオウレタン化反応を触媒する。チオウレタン化反応を触媒する重合触媒は、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。好ましくは有機スズ化合物である。具体的には、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、モノメチル錫トリクロライド、トリメチル錫クロライド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫フロライド、ジメチル錫ジブロマイド等のアルキル錫ハライド化合物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等のアルキル錫化合物が挙げられるが、これらに特に限定されない。重合触媒は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。これらの中でも、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレートが好ましい。
重合触媒の含有割合は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、樹脂固形分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上1質量部以下であり、より好ましくは0.005質量部以上0.5質量部以下であり、更に好ましくは0.005質量部以上0.1質量部以下である。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、好ましくは、クロロホルム溶液中において、345nm以上の極大吸収波長を有する。紫外線吸収剤としては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。具体的には、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホニックアシッド、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン及び2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール及び2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;ジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシベンゾイルメタン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。紫外線吸収剤は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
紫外線吸収剤の含有割合は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、樹脂固形分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上3質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上2質量部以下であり、特に好ましくは0.3質量部以上2質量部以下であり、よりさらに好ましくは0.5質量部以上2質量部以下であり、最も好ましくは0.8質量部以上2質量部以下である。紫外線吸収剤の含有割合を高めると、耐光性が高められる傾向にある。なお、本実施形態のポリチオウレタン系重合性組成物は、上述した脂肪族ポリチオール化合物を用いているため、過剰量の紫外線吸収剤を用いなくても、高屈折率及び高耐光性を実現可能である。
(離型剤)
離型剤は、成形型からの離形性を高めるものである。離型剤は、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。変性シリコーンオイル等のシリコーン系化合物、リン酸エステル化合物が好ましく、より好ましくはリン酸エステル化合物である。リン酸エステル化合物の具体例としては、イソプロピルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、オクチルアシッドフォスフェート、ノニルアシッドフォスフェート、デシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、トリデシルアシッドフォスフェート、ステアリルアシッドフォスフェート、プロピルフェニルアシッドフォスフェート、ブチルフェニルアシッドフォスフェート、ブトキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。リン酸エステル化合物は、リン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物のいずれであってもよいが、リン酸モノエステル化合物、及びリン酸ジエステル化合物の混合物が好ましい。離型剤の投入タイミングは、特に限定されない。離型剤の存在下でプレ混合工程S1を行ってもよく、離型剤の不存在下でプレ混合工程S1を行ってもよい。
離型剤の含有割合は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、樹脂固形分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.00質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上0.50質量部以下である。
(着色抑制剤)
着色抑制剤としての有機リン系化合物は、分子内にリンを含有する化合物であり、ポリチオウレタン系樹脂の着色を抑制するものである。有機リン系化合物は、ポリチオウレタン系樹脂透明樹脂やレンズ基材等の作製に使用可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。
有機リン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノベンゼン-3-スルホン酸ナトリウム、ジメチルアミノフェニルジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノ安息香酸、トリス(メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(メチルフェニル)ホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
有機リン系化合物の中でも、得られる硬化物の透明性、さらには素材の入手容易性及びコスト等の観点から、トリフェニルホスフィン、トリス(1,3-ジクロロプロパン-2-イル)ホスファート、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスファートが好ましく、トリフェニルホスフィンがより好ましい。
有機リン系化合物の添加量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、樹脂固形分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上3質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上2質量部以下である。
本実施形態のポリチオウレタン系重合性組成物は、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートと特定脂肪族ポリチオール化合物と、必要に応じて他の任意成分や各種添加剤とを、同時にまたは任意の順序で順次、混合することにより調製することができる。ポリチオウレタン系重合性組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、重合性組成物の調製方法として公知の方法を適宜採用することができる。このとき、当業界で公知の混合機、分散機、撹拌機等を用いることができる。また、本実施形態のポリチオウレタン系重合性組成物は、溶媒を添加せずに調製してもよく、任意の量の溶媒を添加して調製してもよい。溶媒としては、重合性組成物に使用可能な溶媒として公知の溶媒の一種以上を用いることができる。
また、ポリチオウレタン系重合性組成物の一態様では、組成物中に含まれる芳香族環の含有割合が、3.0~15.0質量%であり、より好ましくは3.5~15.0質量%、さらに好ましくは4.0~15.0質量%である。組成物中に含まれる芳香族環の含有割合を比較的に低く抑えることで、高屈折率を維持したまま耐光性を高めることができる。
[透明樹脂]
本実施形態の透明樹脂は、上述したポリチオウレタン系重合性組成物を重合させることで得ることができる。本実施形態の透明樹脂は、上述したポリチオウレタン系重合性組成物を用いているため、組成物中に含まれる芳香族環の含有割合を比較的に低減させることができるため、屈折率と耐光性とに優れたものとなる。
本実施形態の透明樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、透明樹脂の製造方法として公知の方法を適宜採用することができる。一態様では、本実施形態の透明樹脂の製造方法は、上述したポリチオウレタン系重合性組成物を重合する工程を含む。
重合工程後に得られる透明樹脂は、比較的に高屈折率で耐光性に優れ、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、その上さらに、良好な光学特性、耐久性、耐衝撃性をさらに有したものが得られやすい。そのため、本実施形態の透明樹脂は、各種光学部材として好適に用いることができる。光学部材としては、眼鏡レンズ、望遠鏡レンズ、双眼鏡レンズ、顕微鏡レンズ、内視鏡レンズ、各種カメラの撮像系レンズ等の各種レンズや光学素子等を挙げることができ、より好ましくは、眼鏡レンズが挙げられる。なお、本発明及び本明細書における「レンズ」には、一層以上の層が任意に積層される「レンズ基材」が包含されるものとする。そして、本発明及び本明細書における「光学材料用」とは、これらの光学部材を包含した意味である。
例えば、レンズ形状を有する硬化物(「レンズ基材」「プラスチックレンズ」とも呼ばれる。)を製造するためには、注型重合が好ましい。注型重合では、例えば、所定の間隔をもって対向する2つのモールドと、上記間隔を閉塞することにより形成されたキャビティを有する成形型のキャビティへ、上記のとおり調製されたポリチオウレタン系重合性組成物を、必要に応じて脱泡した後に成形型側面に設けられた注入口から注入し、このキャビティ内でポリチオウレタン系重合性組成物を好ましくは加熱により重合(硬化反応)させて硬化物とすることで、キャビティの内部形状が転写された硬化物を得ることができる。成形型には、例えばガラス又は金属製のモールド型が用いられる。成形型内でポリチオウレタン系重合性組成物を重合させるときの重合条件は、特に限定されるものではなく、使用するポリチオウレタン系重合性組成物の組成等に応じて適宜設定することができる。一例として、ポリチオウレタン系重合性組成物をキャビティに注入した成形型を、好ましくは0℃以上150℃以下、より好ましくは10℃以上130℃以下、好ましくは3時間以上50時間以下、より好ましくは5時間以上25時間以下の条件下で加熱処理できるが、この条件に限定されるものではない。なお、本発明及び本明細書において、注型重合に関する加熱温度等の温度とは、成形型が配置される雰囲気温度をいう。また、加熱中に、任意の昇温速度で昇温することができ、任意の降温速度で降温(冷却)することができる。重合(硬化反応)終了後、キャビティ内部の硬化物を成形型から離型する。ポリチオウレタン系重合性組成物を重合させて作製した透明樹脂の成形型からの離型性を良好にするために、成形型の離型面に離型剤を塗布してもよいし、ポリチオウレタン系重合性組成物に離型剤を添加してもよい。
成形型から離型された硬化物は、必要に応じて後処理を行った後、光学部材として用いることができ、例えば各種レンズ(例えばレンズ基材)として用いることができる。一例として、眼鏡レンズのレンズ基材として用いられる硬化物は、通常、離型後に、アニーリング、染色処理、丸め工程等の研削工程、研磨工程、耐衝撃性を向上させるためのプライマーコート層、表面硬度を上げるためのハードコート層等のコート層形成工程等の後工程に付され得る。さらに、反射防止層、撥水層等の各種機能性層を、レンズ基材上に形成することができる。これらの工程については、いずれも公知技術を適用することができる。例えば、染色処理においては、青色、赤色、緑色、黄色等のいかなる色で染色することができる。本実施形態の透明樹脂(例えばレンズ基材)は、視感透過率が高く、これらの色に染色した場合であっても優れた発色性を示す。こうして、レンズ基材が上記硬化物である眼鏡レンズを得ることができる。さらに、この眼鏡レンズをフレームに取り付けることにより、眼鏡を得ることができる。
また、かくして得られるレンズ基材の一態様では、1.650以上1.680以下の屈折率(肉厚1.8mm換算)を有する。ここで、屈折率の測定方法及び条件は、後述する実施例に記載の測定方法及び条件に従うものとする。
本実施形態によれば、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物の3成分を用いながらも、屈折率が1.600超で耐光性にも優れる、新規組成のポリチオウレタン系重合性組成物、並びにこれを用いた透明樹脂及びレンズ基材等を実現することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。なお、以下に記載の操作及び評価は、特記しない限り、大気中室温下(20~25℃程度)で行った。また、以下に記載の%、部は、特記しない限り質量基準である。
[測定方法及び評価基準]
実施例及び比較例のプラスチックレンズにおける、屈折率、アッベ数、及び耐光性の測定条件及び評価基準は、以下のとおりである。
<屈折率及びアッベ数>
カルニュー光学工業(株)製精密屈折率計KPR-2000型を用いて20℃で、F’線488.0nm)、C’線(643.9nm)及びe線(546.1nm)の波長の光についてプラスチックレンズの屈折率を測定した。そして、下記の式からアッベ数を算出した。ここで、neはe線の波長の光で測定した屈折率であり、nF'はF'線の波長の光で測定した屈折率であり、nC'はC'線の光で測定した屈折率である。一態様では、屈折率は1.630以上1.680以下が好ましく、より好ましくは1.640以上1.680以下、さらに好ましくは1.660以上1.680以下である。
アッベ数νe=(ne-1)/(nF'-nC')
〔耐光性〕
耐光性試験として、JIS K 7373:2006に準拠し、QUV促進耐候試験機QUV/SE(Q-LAB製)を用いて、UV光照射4時間(0.20W/m2)及び湿潤95%RH4時間のサイクルで、168時間の促進試験を行い、紫外可視分光光度計U-4100(日立製作所製)を用いて試験前後での黄色度YI(Yellowness Index)を測定し、ΔYIを算出した。黄色度YIは、黄色みの強さを示す数値であり、ΔYIが大きいほど試験前後での黄色みの変化が大きいことを意味する。一態様では、黄色度ΔYIが3.0以下であることは、眼鏡レンズとして好ましい。また、他の一態様では、黄色度ΔYIが2.0以下であることは、眼鏡レンズとして好ましい。なお、黄色度ΔYIの下限は、例えば0.5以上であることができるが、低いほど好ましいため、0.5未満であってもよい。本実施例では、以下の基準に基づいて、耐光性を評価した。
◎ Very Good :ΔYIが1.5以下
〇 Good :ΔYIが1.5超2.0以下
× Bad :ΔYIが2.0超
(実施例1)
2Lフラスコに、トリレンジイソシアネート34.6質量部、重合触媒としてジメチル錫ジクロライド0.01質量部、紫外線吸収剤として2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール0.50質量部、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート0.10質量部を仕込み、室温窒素パージ下で30分撹拌して溶解させた。次いで、TFTP53.7質量部をさらに投入し、この状態で30分撹拌し、イソシアネートとポリチオールとを一部反応させた。その後、イソホロンジイソシアネート11.7質量部をさらに投入し、0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、これらを完全に分散又は溶解させて均一液とし、実施例1の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物を調製した。
得られた実施例1のポリチオウレタン系重合性組成物を、0.60kPaにて1時間脱泡処理した後、孔径5.0μmのPP(ポリプロピレン)フィルターにてろ過を行った。続いて、直径75mm、厚さ1.8mm、及び0.00Dのレンズ形状を有するガラスモールドとガスケットからなる成型型に注入し、重合炉内で初期温度15℃から最終温度120℃の温度プログラムにて24時間注型重合を行った。重合終了後、重合炉から成型型を取り出し、成形型から透明樹脂硬化物を離型して、プラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズを炉内温度120℃のアニール炉で3時間アニール処理を行うことで、無色透明で中心肉厚1.8mmの、実施例1のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズを得た。使用した脂肪族ポリチオール化合物の各種物性を表1に示す。また、得られたプラスチックレンズの各種物性の測定及び評価を行った結果を、表2に示す。
(実施例2~5及び比較例1~2)
芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及び/又は脂肪族ポリチオール化合物の種類及び使用割合を表2に記載のとおりに変更する以外は、実施例1と同様に行い、実施例2~5及び比較例1~2の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ調製した。
実施例1のポリチオウレタン系重合性組成物に代えて、実施例2~5及び比較例1~2の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様に行い、無色透明で中心肉厚1.8mmの、実施例2~5及び比較例1~2のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズをそれぞれ得た。得られたプラスチックレンズの各種物性の測定及び評価を行った結果を、表2に示す。
(実施例6)
2Lフラスコに、トリレンジイソシアネート32.5質量部、重合触媒としてジメチル錫ジクロライド0.01質量部、紫外線吸収剤として2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフィニル)-2-H-ベンゾトリアゾール0.50質量部、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート0.10質量部を仕込み、室温窒素パージ下で30分撹拌して溶解させた。次いで、TFTP52.3質量部をさらに投入し、この状態で30分撹拌し、イソシアネートとポリチオールとを一部反応させた。その後、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン15.2質量部をさらに投入し、0.13kPa(1.0Torr)に減圧し、そのまま20分減圧撹拌を行い、これらを完全に分散又は溶解させて均一液とし、実施例6の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物を調製した。
実施例1のポリチオウレタン系重合性組成物に代えて、実施例6のポリチオウレタン系重合性組成物を用いる以外は、実施例1と同様に行い、無色透明で中心肉厚1.8mmの、実施例6のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズをそれぞれ得た。各種物性の測定及び評価を行った結果を、表3に示す。
(実施例7~10及び比較例3~4)
芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及び/又は脂肪族ポリチオール化合物の種類及び使用割合を表3に記載のとおりに変更する以外は、実施例6と同様に行い、実施例7~10及び比較例3~4の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ調製した。
実施例6のポリチオウレタン系重合性組成物に代えて、実施例7~10及び比較例3~4の無色透明なポリチオウレタン系重合性組成物をそれぞれ用いる以外は、実施例7と同様に行い、無色透明で中心肉厚1.8mmの、実施例7~10及び比較例3~4及び比較例3~4のポリチオウレタン系樹脂製プラスチックレンズをそれぞれ得た。各種物性の測定及び評価を行った結果を、表3に示す。
Figure 2022156417000001
Figure 2022156417000002
Figure 2022156417000003
表2~3から明らかなように、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリチオール化合物の3成分を用いた従来技術に相当する比較例1~4では、高い屈折率及び高い光学特性は得られているものの、耐光性が悪いことがわかる。一方、本発明に相当する実施例1~10では、同じく3成分を用いていながらも、脂肪族ポリチオール化合物として特定脂肪族ポリチオール化合物を用いることで、1.660以上の高い屈折率とアッベ数28.0以上の高い光学特性を実現し、さらに耐光性にも優れた性能が得られていることがわかる。
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを少なくとも含有し、前記ポリチオール化合物は、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)である脂肪族ポリチオール化合物を含有する、ポリチオウレタン系重合性組成物が提供される。
一態様では、前記脂肪族ポリチオール化合物は、S原子の含有割合が45~70質量%であることができる。
一態様では、前記芳香族ポリイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネートよりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
一態様では、前記脂環族ポリイソシアネートが、ビス(4-イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ノルボルネンジイソシアネート及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンよりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
一態様では、前記脂肪族ポリチオール化合物が、TFTP、ETT、TMEE、TT-1、及びTMETよりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
一態様では、前記芳香族ポリイソシアネートの含有割合が、樹脂固形分総量に対して5~50質量%であることができる。
一態様では、前記脂環族ポリイソシアネートの含有割合が、樹脂固形分総量に対して5~55質量%であることができる。
一態様では、前記芳香族ポリイソシアネートおよび前記脂環族ポリイソシアネートの含有割合が、1:9~9:1であることができる。
一態様では、前記脂肪族ポリチオール化合物の含有割合が、樹脂固形分総量に対して35~70質量%であることができる。
一態様では、前記組成物中に含まれる芳香族環の含有割合が、3.0~15.0質量%であることができる。
一態様では、紫外線吸収剤をさらに含有することができる。
一態様では、重合触媒をさらに含有することができる。
一態様では、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを少なくとも含有し、前記ポリチオール化合物は、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)である脂肪族ポリチオール化合物を含有する、ポリチオウレタン系重合性組成物の硬化物である、透明樹脂が提供される。
一態様では、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを少なくとも含有し、前記ポリチオール化合物は、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)である脂肪族ポリチオール化合物を含有する、ポリチオウレタン系重合性組成物の硬化物である、レンズ基材が提供される。
一態様では、芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有する脂肪族ポリチオール化合物とを少なくとも含有する重合性組成物の硬化物であり、前記脂肪族ポリチオール化合物は、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)であり、1.650以上1.680以下の屈折率を有する、レンズ基材が提供される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、本明細書に記載の各種態様は、任意の組み合わせで2つ以上を組み合わせることができる。
本発明の一態様は、透明樹脂、レンズ基材や眼鏡レンズ等の各種光学部材の製造分野において有用である。

Claims (15)

  1. 芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有するポリチオール化合物とを少なくとも含有し、
    前記ポリチオール化合物は、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)である脂肪族ポリチオール化合物を含有する、
    ポリチオウレタン系重合性組成物。
  2. 前記脂肪族ポリチオール化合物は、S原子の含有割合が45~70質量%である
    請求項1に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  3. 前記芳香族ポリイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネートよりなる群から選択される1種以上を含む
    請求項1又は2に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  4. 前記脂環族ポリイソシアネートが、ビス(4-イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ノルボルネンジイソシアネート及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンよりなる群から選択される1種以上を含む
    請求項1~3のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  5. 前記脂肪族ポリチオール化合物が、2,2’,2’’-(プロパン-1,2,3-トリイルトリス(スルファンジイル))トリエタンチオール、2,2’,2’’-(エタン-1,1,2-トリイルトリス(スルファンジイル))トリエタンチオール、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,1,2,2-テトライルテトラキス(スルファンジイル))テトラエタンチオール、2,2’,2’’,2’’’-(2,2’-チオビス(プロパン-3,2,1-トリイル)テトラキス(スルファンジイル))テトラエタンチオール、及び2,2’,2’’-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(スルファンジイル)トリエタンチオールよりなる群から選択される1種以上を含む
    請求項1~4のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  6. 前記芳香族ポリイソシアネートの含有割合が、樹脂固形分総量に対して5~50質量%である
    請求項1~5のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  7. 前記脂環族ポリイソシアネートの含有割合が、樹脂固形分総量に対して5~55質量%である
    請求項1~6のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  8. 前記芳香族ポリイソシアネートおよび前記脂環族ポリイソシアネートの含有割合が、1:9~9:1である
    請求項1~7のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  9. 前記脂肪族ポリチオール化合物の含有割合が、樹脂固形分総量に対して35~70質量%である
    請求項1~8のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  10. 前記組成物中に含まれる芳香族環の含有割合が、3.0~15.0質量%である
    請求項1~9のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  11. 紫外線吸収剤をさらに含有する
    請求項1~10のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  12. 重合触媒をさらに含有する
    請求項1~11のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物の硬化物である、
    透明樹脂。
  14. 請求項1~12のいずれか一項に記載のポリチオウレタン系重合性組成物の硬化物である、
    レンズ基材。
  15. 芳香族ポリイソシアネートと脂環族ポリイソシアネートとメルカプト基を3個以上有する脂肪族ポリチオール化合物とを少なくとも含有する重合性組成物の硬化物であり、前記脂肪族ポリチオール化合物は、前記メルカプト基1個あたりの分子量が95~150(g/SH)であり、
    1.650以上1.680以下の屈折率を有する、
    レンズ基材。
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