JP2021167390A - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Saki Okudaira
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Abstract

【課題】氷上グリップ性能及びその劣化抑制性に優れたタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いたタイヤを提供する。【解決手段】少なくとも1種以上のジエン系ゴムを含有するゴム成分と、カチオン性高分子と、鉱物油とを含むタイヤ用ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びこれを用いたタイヤに関する。
安全性の観点から、ウェットグリップ性能、氷上グリップ性能等の要求性能を満たすタイヤの開発が進められている(特許文献1等参照)。また、タイヤは、経時的に劣化するが、長寿命化の需要が高まる中、劣化の抑制も望まれている。
特開2009−091482号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、氷上グリップ性能及びその劣化抑制性に優れたタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いたタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも1種以上のジエン系ゴムを含有するゴム成分と、カチオン性高分子と、鉱物油とを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
カチオン性ポリマーは、分枝ポリエチレンイミン、直鎖ポリエチレンイミン、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(アリルアミン)、ポリ(アリルアミン)塩酸塩、ポリ(ビニルアミン)、及びポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
鉱物油は、芳香族成分含有割合が25質量%以下であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対する鉱物油の含有量(Oc)及び固体樹脂の含有量(Rc)がOc>Rcを満たすことが好ましい。
カチオン性高分子及び鉱物油を含むマスターバッチを用いたものであることが好ましい。
本発明は、前記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有するタイヤに関する。
タイヤは、冬用タイヤであることが好ましい。
本発明は、少なくとも1種以上のジエン系ゴムを含有するゴム成分と、カチオン性高分子と、鉱物油とを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、氷上グリップ性能及びその劣化抑制性を改善できる。
本発明は、少なくとも1種以上のジエン系ゴムを含有するゴム成分と、カチオン性高分子と、鉱物油とを含むタイヤ用ゴム組成物である。これにより、氷上グリップ性能及びその劣化抑制性を改善できる。
上記ゴム組成物では、以下の作用機能によって上述の効果が得られると推測される。
カチオン性高分子及び鉱物油の両成分を配合すると、カチオン性高分子の正電荷と鉱物油中の負電荷とが引き合うことにより、ゴム中の鉱物油のゴム表面への移行を遅らせる作用機能が発揮される。それにより、ゴム中からの鉱物油の抜け(ブリード及び隣接ゴム部材への移行等)が抑制されるため、経時的な硬化による劣化が抑制され、氷上グリップ性能と、その劣化抑制性とが改善されると推察される。
また、カチオン性高分子及び鉱物油の両成分を配合したゴム組成物は、良好なウェットグリップ性能も得ることが可能である。
(ゴム成分)
前記ゴム組成物は、少なくとも1種のジエン系ゴムを含むゴム成分が使用される。ジエン系ゴムとしては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用できる。例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。なかでも、ウェットグリップ性能、氷上グリップ性能の観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBRが好ましく、イソプレン系ゴム、BRがより好ましい。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上である。該含有量の上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。上記範囲内にすることで、良好なウェットグリップ性能、氷上グリップ性能を得られる傾向がある。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRは、SIR20、RSS♯3、TSR20等、IRは、IR2200等、タイヤ工業で一般的なものを使用できる。改質NRは、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRは、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRは、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRとしては特に限定されず、例えば、高シス含量のBR、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)、スズ化合物により変性されたスズ変性ブタジエンゴム(スズ変性BR)等、タイヤ工業において一般的なものが挙げられる。BRは、市販品としては、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは40質量%以上である。該含有量の上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。上記範囲内にすることで、良好なウェットグリップ性能、氷上グリップ性能を得られる傾向がある。
BRのシス含量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。これにより、より良好な低温氷上グリップ性能、高温氷上グリップ性能が得られる。
なお、本明細書において、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析により算出される値である。
BRは、非変性BR、変性BRのいずれも使用可能である。
変性BRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するBR等を使用できる。例えば、BRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性BR(末端に上記官能基を有する末端変性BR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性BRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性BR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性BR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性BR等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシシリル基)が好ましい。
変性BRとして、下記式で表される化合物(変性剤)により変性されたBR等を好適に使用できる。
Figure 2021167390
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成してもよい。nは整数を表す。)
上記式で表される化合物(変性剤)により変性された変性BRとしては、なかでも、溶液重合のブタジエンゴムの重合末端(活性末端)を上記式で表される化合物により変性されたBR等が好適に用いられる。
、R及びRとしてはアルコキシ基が好適である(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)。R及びRとしてはアルキル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)が好適である。nは、好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、更に好ましくは3である。また、R及びRが結合して窒素原子と共に環構造を形成する場合、4〜8員環であることが好ましい。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等)も含まれる。
上記変性剤の具体例としては、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。なかでも、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性BRとしては、以下の化合物(変性剤)により変性された変性BRも好適に使用できる。変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4−ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;
ビス−(1−メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4−モルホリンカルボニルクロリド、1−ピロリジンカルボニルクロリド、N,N−ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N−ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3−ビス−(グリシジルオキシプロピル)−テトラメチルジシロキサン、(3−グリシジルオキシプロピル)−ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;
(トリメチルシリル)[3−(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;
エチレンイミン、プロピレンイミン等のN−置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−ビス−(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−N,N−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4−N,N−ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン等のN−置換ピロリドンN−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−フェニル−2−ピペリドン等のN−置換ピペリドン;N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタム、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム等のN−置換ラクタム類;の他、
N,N−ビス−(2,3−エポキシプロポキシ)−アニリン、4,4−メチレン−ビス−(N,N−グリシジルアニリン)、トリス−(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン類、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルマレイミド、N,N−ジエチル尿素、1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノン、4−N,N−ジメチルアミノアセトフェン、4−N,N−ジエチルアミノアセトフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン等を挙げることができる。なかでも、アルコキシシランにより変性された変性BRが好ましい。
なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。
前記ゴム組成物において、良好なウェットグリップ性能、氷上グリップ性能を得る観点から、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びBRの合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上で、100質量%でもよい。
(カチオン性高分子)
前記ゴム組成物は、カチオン性高分子を含む。カチオン性高分子は、カチオン性を有するポリマーであれば使用可能である。なかでも、氷上グリップ性能及びその劣化抑制性を改善できる観点から、分枝ポリエチレンイミン(branched polyethylenimine)、直鎖ポリエチレンイミン(linear polyethylenimine)、カチオン性ポリアクリルアミド(cationic polyacrylamide)、カチオン性ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(cationic polydiallyldimethylammonium chloride)、ポリ(アリルアミン)(poly(allyl amine))、ポリ(アリルアミン)塩酸塩(poly(allyl amine) hydrochloride)、ポリ(ビニルアミン)(poly(vinyl amine))、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(poly(acrylamide−co−diallyldimethyl ammonium chloride))が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性高分子の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる傾向がある。
カチオン性高分子の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは10000以上、特に好ましくは20000以上、最も好ましくは25000以上である。該Mwの上限は、好ましくは150000以下、より好ましくは120000以下、更に好ましくは100000以下である。上記範囲内にすることで、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
(鉱物油)
前記ゴム組成物は、鉱物油を含む。鉱物油は、原油を常圧蒸留又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、精製処理(溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、白土処理等)を適宜組み合わせて精製したものである。鉱物油としては、例えば、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族系鉱物油が挙げられる。なかでも、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる観点から、パラフィン系鉱物油が好ましい。
パラフィン系鉱物油としては、環分析における%CP(パラフィン成分含有割合)が50%以上(好ましくは60〜80%)のもの、ナフテン系鉱物油としては、環分析における%CPが50%以下で、%CN(ナフテン成分含有割合)が30〜40%(好ましくは35%程度以上)のもの、芳香族系鉱物油としては、%CPが50%以下で、%CA(芳香族成分含有割合)が30%以上のもの、が挙げられる。
鉱物油は、芳香族成分含有割合(%CP)が25質量%以下であることが好ましい。このような鉱物油は冬用タイヤに汎用されているが、鉱物油のなかでも抜けやすいオイルであるため、経年の硬化による性能低下が問題になりやすい。しかし、このような鉱物油でも、カチオン性高分子と併用することで、前述の硬化劣化を抑制する作用が効果的に発揮され、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性がえられると推察される。該芳香族成分含有割合は、20%以下がより好ましく、15%以下が更に好ましい。下限は特に限定されないが、2%以上が好ましく、4%以上がより好ましい。
鉱物油の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物において、カチオン性高分子の含有量/鉱物油の含有量(質量比)は、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる観点から、下限は、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.40以上、更に好ましくは0.65以上であり、上限は、好ましくは4.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは1.5以下である。
(シリカ)
上記ゴム組成物は、ウェットグリップ性能、氷上グリップ性能等の性能の観点から、充填剤としてシリカを含むことが好ましい。シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは25質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは60質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは140質量部以下、更に好ましくは125質量部以下で、105質量部以下、90質量部以下、80質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる傾向がある。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは70m/g以上、より好ましくは140m/g以上、更に好ましくは160m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内にすることで、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
ゴム組成物において、シリカ及びカーボンブラックの合計含有量100質量%中のシリカ含有率は、ウェットグリップ性能、氷上グリップ性能等の性能の観点から、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT−Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。また、上記含有量は、12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
(カーボンブラック)
ゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックを含む場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2001によって求められる。
なお、ゴム組成物において、シリカ及びカーボンブラックの合計含有量は、ウェットグリップ性能等の観点から、ゴム成分100質量部に対して、50質量部以上が好ましく、55質量部以上がより好ましく、60質量部以上が更に好ましい。上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは140質量部以下、更に好ましくは125質量部以下で、105質量部以下、90質量部以下、80質量部以下でもよい。
(固体樹脂)
前記ゴム組成物は、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)を含んでもよい。
固体樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる傾向がある。
固体樹脂の軟化点は、好ましくは40℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、また、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。上記範囲内にすることで、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる傾向がある。
固体樹脂としては、例えば、芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂の水素添加物を用いることも可能である。市販品としては、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)、東亞合成(株)等の製品を使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、ロジン樹脂が好ましい。
芳香族ビニル重合体としては、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂等が挙げられる。具体的には、スチレンの単独重合体、α−メチルスチレンの単独重合体、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
クマロンインデン樹脂としては、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂等が挙げられる。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
インデン樹脂としては、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂等が挙げられる。
ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
テルペン系樹脂としては、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂や、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などを使用できる。また、これらの水素添加物を使用することもできる。
ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオールなどが挙げられる。
ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、重合反応が容易である点、天然松脂が原料のため、安価であるという点から、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα−ピネン及びβ−ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β−ピネンを主成分とするβ−ピネン樹脂と、α−ピネンを主成分とするα−ピネン樹脂とに分類される。
芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂を使用することもできる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
アクリル系樹脂としては、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などを使用できる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂としては、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4414370号明細書、特開昭59−6207号公報、特公平5−58005号公報、特開平1−313522号公報、米国特許第5010166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42−45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対する鉱物油の含有量(Oc)、ゴム成分100質量部に対する固体樹脂の含有量(Rc)がOc>Rcを満たすことが好ましい。鉱物油量を固体樹脂量より多量に配合すると、鉱物油がカチオン性高分子に十分に取り込まれ、固体樹脂に取り込まれることが防止されるため、前述の硬化劣化を抑制する作用が効果的に発揮され、氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が顕著に改善されると推察される。また、良好なウェットグリップ性能も得られる。Oc/Rc≧1.2が好ましく、Oc/Rc≧1.5が好ましく、Oc/Rc≧1.7がより好ましい。一方、Oc/Rc≦2.8が好ましく、Oc/Rc≦2.5がより好ましく、Oc/Rc≦2.3が更に好ましい。
(他の材料)
上記ゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上であり、また、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは3.0質量部以上、更に好ましくは3.5質量部以上であり、また、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは8質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。
上記ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含んでもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′−ビス(α,α′−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
上記ゴム組成物には、上記成分の他、ゴム工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜200質量部が好ましい。
上記ゴム組成物は、例えば、上述の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
混練条件としては、硫黄及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100〜180℃、好ましくは120〜170℃である。硫黄、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85〜110℃である。また、硫黄、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140〜190℃、好ましくは150〜185℃である。加硫時間は、通常5〜15分である。
上記ゴム組成物は、カチオン性高分子及び鉱物油を含むマスターバッチを用いて得られるものを好適に使用できる。例えば、カチオン性高分子及び鉱物油の混合物(マスターバッチ)を作製する工程(1)と、前記混合物及び他の成分を混合する工程(2)とを含む製造方法により、上記ゴム組成物を製造することが好ましい。予め、カチオン性高分子及び鉱物油を混合してマスターバッチを作製することで、多くのカチオン性高分子の正電荷と鉱物油の負電荷を引き合わせられ、より長期間にわたって鉱物油の移行を遅らせることが可能となる結果、顕著に優れた硬化劣化抑制性が得られ、氷上グリップ性能及びその劣化抑制性が顕著に改善されると推察される。また、良好なウェットグリップ性能も得られる。
上記工程(1)において、カチオン性高分子及び鉱物油の混合物(マスターバッチ)を作製する方法は、これらの両成分が混合可能な任意に方法を使用でき、例えば、コロイドミル、ブレンダ―ミルなどの公知の混合装置を用いて混合する方法などが挙げられる。混合条件は、例えば、10〜40℃で3〜120分が好ましく、15〜30℃で5〜90分がより好ましい。
上記工程(2)において、工程(1)で作製された混合物(マスターバッチ)と、他の成分(ゴム成分、充填剤、架橋剤等)とを混合する工程(2)は、公知の方法を採用できる。例えば、上記工程(2)は、前記混合物と、硫黄及び加硫促進剤以外の添加剤とを混練するベース練り工程、並びに、ベース練り工程で得られた混練物と、硫黄、加硫促進剤とを混練する仕上げ練り工程により実施できる。ベース練り工程、仕上げ練り工程は、前述のベース練り工程、仕上げ練り工程と同様の条件で実施できる。更に硫黄、加硫促進剤を混練した組成物に対し、前述と同様の条件で加硫処理を実施できる。なお、ベース練り工程、仕上げ練り工程の混練方法は特に限定されず、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの公知の混練機を用いて実施できる。
前記ゴム組成物は、トレッド(単層トレッド、多層トレッドのキャップトレッドなど)、サイドウォール、ベーストレッド、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング等のタイヤの各部材に好適に用いることができ、特にトレッドに好適である。
(タイヤ)
前記タイヤ(空気入りタイヤ等)は、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記ゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド等の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを得る。
タイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。特に冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に示す各種薬品を用いて、表1に従って配合を変化させたゴム組成物を、タイヤサイズが195/65R15のタイヤのトレッドに用いることを想定し、かかるタイヤのウェットグリップ性能、氷上グリップ性能をそれぞれ計算した。結果を表1の評価の欄に記載する。
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス95質量%以上)
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のシーストN220(NSA114m/g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウラトシルVN3(NSA172m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi266
カチオン性高分子1:(株)日本触媒製のエポミンSP−200(Mw10,000、分岐ポリエチレンイミン)
カチオン性高分子2:ニットーボーメディカル(株)製のPAA−08(Mw8,000、ポリアリルアミン(PAA)成分のみを取り出したもの)
カチオン性高分子3:ニットーボーメディカル(株)製のPAA−HCL−05(Mw5,000、ポリアリルアミン(PAA)成分のみを取り出したもの)
カチオン性高分子4:ニットーボーメディカル(株)製のPAA−15(Mw15,000、ポリアリルアミン(PAA)成分のみを取り出したもの)
カチオン性高分子5:ニットーボーメディカル(株)製のPAA−25(Mw25,000、ポリアリルアミン(PAA)成分のみを取り出したもの)
鉱物油1:三共油化工業社製「プロセスオイルA/O MIX」(パラフィン成分46質量%、ナフテン成分26質量%、アロマ成分29質量%)
鉱物油2:Ninas社製「Nytex4700」(パラフィン成分50質量%、ナフテン成分36質量%、アロマ成分14質量%)
鉱物油3:出光興産(株)製のダイアナプロセスPA32(パラフィン成分67質量%、ナフテン成分28質量%、アロマ成分5質量%)
固体樹脂:ヤスハラケミカル社製のYSレジンSX100(スチレン単独重合体、軟化点100℃)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエースワックス
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製の桐
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(製造条件)
表に示す配合処方に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で4分間混練りし、次に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。得られた各未加硫ゴム組成物をそれぞれキャップトレッドの形状に成型し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて170℃で15分間加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造する。
なお、カチオン性高分子と鉱物油の混合物(マスターバッチ)は、表に示す配合処方に従い、1L ニーダーミキサーで150℃以下の温度で10分間混合して作製する。
(老化試験)
上記製造条件で得た試験用タイヤをリム組みし、規定内圧の空気を充填した後、80℃の条件下で2週間劣化させた状態をシミュレートする。
(氷上グリップ性能(シミュレーション上での実車評価の計算))
試験用タイヤを国産2000ccのFR車に装着し、気温−1〜−6℃の条件下で氷上を実車走行し、氷上グリップ性能を評価する。具体的には、上記車両を用いて氷上を走行し、時速30km/hでロックブレーキを踏み、停止させるまでに要した停止距離(氷上制動停止距離)を測定する。比較例1の初期氷上グリップ性能を100として、各サンプル(初期、老化試験後)の停止距離を指数表示する。指数が大きいほど、氷上グリップ性能に優れること、初期と老化試験後の指数差が小さいほど、氷上グリップ性能低下が抑制されていることを示す。
(ウェットグリップ性能(シミュレーション上での実車評価の計算))
試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求める。比較例1の初期ウェットグリップ性能を100として、各サンプル(初期、老化試験後)の制動距離を指数表示する。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れること、初期と老化試験後の指数差が小さいほど、ウェットグリップ性能低下が抑制されていることを示す。
Figure 2021167390
表1には、カチオン性高分子及び鉱物油を含む実施例の配合が硬化劣化抑制性に優れ、氷上グリップ性能、ウェットグリップ性能等の性能の低下を抑制できることが示されている。また、比較例1、2、3及び実施例1や、比較例1、2、4及び実施例2から、カチオン性高分子及び鉱物油の併用により、氷上グリップ性能、ウェットグリップ性能の低下抑制性が相乗的に発揮されていることが示されている。

Claims (7)

  1. 少なくとも1種以上のジエン系ゴムを含有するゴム成分と、カチオン性高分子と、鉱物油とを含むタイヤ用ゴム組成物。
  2. カチオン性ポリマーは、分枝ポリエチレンイミン、直鎖ポリエチレンイミン、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(アリルアミン)、ポリ(アリルアミン)塩酸塩、ポリ(ビニルアミン)、及びポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 鉱物油は、芳香族成分含有割合が25質量%以下である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. ゴム成分100質量部に対する鉱物油の含有量(Oc)及び固体樹脂の含有量(Rc)がOc>Rcを満たす請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. カチオン性高分子及び鉱物油を含むマスターバッチを用いた請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有するタイヤ。
  7. 冬用タイヤである請求項6記載のタイヤ。
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