JP2021165653A - ガスクロマトグラフ質量分析計、質量分析方法およびプログラム - Google Patents

ガスクロマトグラフ質量分析計、質量分析方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】GC−MSにおいて実際に使用されるガスの種類を導出することができる。【解決手段】ガスクロマトグラフ質量分析計は、試料の分離を行う分離部と、分離された試料が導入される真空容器を備え、真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部と、質量分析において検出された信号の強度に基づいて、分離部または質量分析部において使用されるガスの組成を導出する導出部とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、ガスクロマトグラフ質量分析計、質量分析方法およびプログラムに関する。
ガスクロマトグラフ−質量分析計(Gas Chromatograph-Mass Spectrometer; GC−MS)によるガスクロマトグラフィ/質量分析(Gas chromatography/Mass Spectrometry; GC/MS)では、キャリアガスとしてヘリウムガスの他、窒素ガス等も用いられる(特許文献1参照)。GC−MSでは、試薬ガスおよび衝突ガスも、複数の種類のガスから選択して用いることができる。GC−MSの制御部では、これらの使用されるガスの設定が行われ、この設定に基づいてGC/MSの制御および解析が行われる。
特開昭61−225644号公報
しかしながら、制御部で設定されたガスの種類と、実際に使用されるガスの種類が異なると、適切でない条件でGC/MSが行われ得るため、実際に使用されるガスの種類が導出されることが望ましい。
本発明の第1の態様は、試料の分離を行う分離部と、分離された前記試料が導入される真空容器を備え、前記真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部と、前記質量分析において検出された信号の強度に基づいて、前記分離部または前記質量分析部において使用されるガスの組成を導出する導出部とを備えるガスクロマトグラフ質量分析計に関する。
本発明の第2の態様は、試料の分離を行う分離部と、分離された前記試料が導入される真空容器を備え、前記真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部とを備えるガスクロマトグラフ質量分析計により、前記質量分析を行うことと、前記質量分析において検出された信号の強度に基づいて、前記分離部または前記質量分析部において使用されるガスの組成を導出することとを備える質量分析方法に関する。
本発明の第3の態様は、試料の分離を行う分離部と、分離された前記試料が導入される真空容器を備え、前記真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部とを備えるガスクロマトグラフ質量分析計により行われた前記質量分析において検出された信号の強度を取得する取得処理と、取得された前記強度に基づいて、前記分離部または前記質量分析部において使用されるガスの組成を導出する導出処理とをコンピュータに行わせるためのプログラムに関する。
本発明によれば、GC−MSにおいて実際に使用されるガスの種類を導出することができる。
図1は、一実施形態のガスクロマトグラフ−質量分析計の構成を示す概念図である。 図2は、一実施形態に係る情報処理部の構成を示す概念図である。 図3は、一実施形態に係る質量分析方法の流れを示すフローチャートである。 図4は、キャリアガスの組成の導出の流れを示すフローチャートである。 図5は、変形例に係る情報処理部の構成を示す概念図である。 図6は、変形例に係る質量分析方法の流れを示すフローチャートである。 図7は、キャリアガスの組成の導出と、リークの有無の導出の流れを示すフローチャートである。 図8は、変形例に係るガスクロマトグラフ−質量分析計の構成を示す概念図である。 図9は、変形例に係る情報処理部の構成を示す概念図である。 図10は、変形例に係る質量分析方法の流れを示すフローチャートである。 図11は、プログラムの提供を説明するための概念図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
−第1実施形態−
本実施形態のガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS、適宜ハイフンは省略して記載する)は、質量分析において検出された信号の強度に基づいて、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)で使用されるキャリアガスの組成を導出する。
図1は、本実施形態に係るGC−MSの構成を示す概念図である。GC−MS1は、測定部100と情報処理部40とを備える。測定部100は、ガスクロマトグラフ(Gas Chromatgraph; GC)10と、質量分析部30とを備える。
GC10は、キャリアガス流路11、分析対象の試料が導入される試料導入部12、カラム温度調節部13、分離カラム14および試料ガス導入管15を備える。質量分析部30は、真空容器31と、排気口32と、試料およびキャリアガス(本実施形態では試料等と呼ぶ)をイオン化してイオンInを生成するイオン化部33と、イオン調整部34と、質量分離部35と、検出部36とを備える。
測定部100は、ガスクロマトグラフィおよび質量分離を含む2工程以上の分離操作により、試料等の各成分を分離して検出する。
GC10は、試料等に含まれる成分を物理的または化学的特性に基づいて分離する分離部として機能する。分離カラム14に導入される際に、試料等はガスまたはガス状となっているが、これを試料ガスと呼ぶ。
キャリアガス流路11は、キャリアガスの流路であり、キャリアガスを試料導入部12に導入する(矢印A1)。キャリアガスの組成は特に限定されないが、ヘリウム、水素および窒素の少なくとも一つから選択することができる。以下では、水素、窒素および酸素はそれぞれ、水素分子、窒素分子および酸素分子を示す。試料導入部12は、試料気化室等の試料等を導入する室を備え、不図示のシリンジまたはオートサンプラー等の注入器により注入された試料を一時的に収容し、試料が液体の場合は気化させて、試料ガスを分離カラム14に導入する(矢印A2)。
分離カラム14は、キャピラリーカラム等のカラムを備える。分離カラム14は、カラムオーブン等を備えるカラム温度調節部13により数百℃以下等に温度制御されている。試料ガスの各成分は、移動相と、分離カラム14の固定相との間の分配係数等に基づいて分離され、分離された試料ガスの各成分は異なる時間に分離カラム14から溶出し、試料ガス導入管15を通って質量分析部30のイオン化部33に導入される。
質量分析部30は、質量分析計を備える。質量分析部30は、イオン化部33に導入された試料等をイオン化し、質量分離して検出する。イオン化部33で生成されたイオンInの経路を矢印A3で模式的に示した。
質量分析部30の真空容器31は、排気口32を備える。排気口32は、ターボ分子ポンプ等の、10−2Pa以下等の高真空が実現可能なポンプおよびその補助ポンプを含む不図示の真空排気系と接続されている。図1では、真空容器31の内部の気体が排出される点を矢印A4で模式的に示した。
質量分析部30のイオン化部33は、イオン源を備え、イオン化部33に導入された試料等を電子イオン化によりイオン化する。以下の実施形態において、電子イオン化の際に試料等が解離される場合等、イオンInは、試料等が解離されて得られたフラグメントイオンおよび付加等の修飾を受けて得られたイオン等を含むものとする。イオン化部33で生成されたイオンInは、不図示の引出電極に印加された電圧に基づく電磁気学的作用により、イオン調整部34に導入される。
なお、イオン化部33によるイオン化の方法は、所望の効率でイオン化を行うことができれば特に限定されない。
質量分析部30のイオン調整部34は、イオンガイド等のイオン輸送系を備え、電磁気学的作用により、イオンInを収束させる等して調整する。イオン調整部34から出射されたイオンInは質量分離部35に導入される。
質量分析部30の質量分離部35は、四重極マスフィルタ350を備え、導入されたイオンInを質量分離する。質量分離部35は、四重極マスフィルタ350に印加された電圧により、質量電荷比に基づいてイオンInを選択的に通過させる。質量電荷比の単位としてはm/zがよく用いられるが、特に限定されない。質量分離部35で質量分離されたイオンInは検出部36に入射する。
なお、試料等に対応するイオンInを所望の精度で質量分析して検出することができれば、質量分析部30に含まれる質量分析器の種類は特に限定されない。質量分析部30は、任意の種類の1以上の質量分析器を含むことができる。
質量分析部30の検出部36は、イオン検出器を備え、入射したイオンInを検出する。検出部36は、入射したイオンInの検出により得られた検出信号を、不図示のアナログ/デジタル(Analog/Digital;A/D)変換器によりA/D変換し、デジタル化された検出信号を情報処理部40に出力する(矢印A5)。以下では、検出部36がイオンInを検出して得た検出信号に基づくデータを測定データと呼ぶ。
情報処理部40は、電子計算機等の情報処理装置を備え、GC−MS1のユーザー(以下、単に「ユーザー」と呼ぶ)とのインターフェースとなる他、様々なデータに関する通信、記憶、演算等の処理を行う。
情報処理部40は、入力部41と、通信部42と、記憶部43と、表示部44と、制御部50とを備える。制御部50は、装置制御部51と、データ処理部52と、変更部53と、表示制御部54とを備える。データ処理部52は、取得部521と、導出部522と、情報生成部523とを備える。
情報処理部40の入力部41は、マウス、キーボード、各種ボタンまたはタッチパネル等の入力装置を備える。入力部41は、測定部100の制御または制御部50の処理に必要な情報等を、ユーザーから受け付ける。通信部42は、インターネット等の無線または有線接続による通信を行うことができる通信装置を備え、測定部100の制御または制御部50の処理に関するデータ等を適宜送受信する。
記憶部43は、不揮発性の記憶媒体を備える。記憶部43は、測定データ、制御部50が処理を実行するためのプログラム、データ処理部52が処理を行うために必要なデータおよび当該処理により得られたデータ等を記憶する。表示部44は、表示モニタ等の表示装置を備える。表示部44は、表示制御部54の制御により、通知または警告を表示する他、データ処理部52の処理により得られた情報を、表示装置に表示する。
情報処理部40の制御部50は、中央処理装置(Central Processing Unit; CPU)等のプロセッサ、およびメモリ等の記憶媒体を含んで構成され、GC−MS1を制御する動作の主体として機能する。制御部50は、キャリアガスの組成を導出する処理等を行う処理装置を含む。制御部50は、記憶部43等に記憶されたプログラムをメモリに保持し、プロセッサがそのプログラムを実行することにより各種処理を行う。
なお、本実施形態に係る制御部50による処理が可能であれば、制御部50の物理的な構成等は特に限定されない。
制御部50の装置制御部51は、測定部100の各部の動作を制御する。装置制御部51は、キャリアガスの組成を導出するための質量分析を行うように測定部100を制御する。以下では、この質量分析を、キャリアガス分析と呼ぶ。キャリアガス分析では試料をGC−MS1に導入する必要はない。キャリアガス分析では、装置制御部51の制御により、キャリアガス流路11からキャリアガスが試料導入部12に導入される。導入されたキャリアガスは分離カラム14を通ってイオン化部33に導入される。イオン化部33において、キャリアガスは電子イオン化等によりイオン化される。イオン化により生じたイオンInは、質量分離部35において、通過させるイオンの質量電荷比を走査するスキャンモードにより質量分離され、検出部36において検出される。
装置制御部51が分析対象の試料のGC/MSを行う場合の条件は特に限定されず、スキャンモードの他、特定の質量電荷比を有する1種類以上のイオンを通過させるSIM(Selective Ion Monitoring)モード等によりイオンInの質量分析を行うことができる。装置制御部51は、例えば、設定されたキャリアガスの種類に基づき、記憶部43等に記憶されている情報を参照してGC/MSにおける各部の条件を設定し、GC/MSを行う。
制御部50のデータ処理部52は、測定データのデータ処理を行う。
データ処理部52の取得部521は、キャリアガス分析において得られた測定データから、候補となる複数のガス種のそれぞれが検出されて得られた信号の強度を取得する。以下において、ある分子の検出強度とは、測定データにおける当該分子に対応するイオンInの検出信号の大きさを示す値である。検出強度は、マススペクトルにおけるイオンInに対応するピークの高さまたは面積とすることができる。マススペクトルとは、横軸に検出されたイオンInの質量電荷比、縦軸に当該検出により得られた信号の強度を示したグラフである。以下では、マススペクトルに対応するデータを、マススペクトルデータと呼ぶ。
本実施形態に係る取得部521は、測定データからマススペクトルデータを作成し、マススペクトルにおける候補となるガス種のそれぞれに対応するピークの高さまたは面積を検出強度として算出する。取得部521は、当該検出強度を算出する算出部として機能する。候補となるガス種は、質量電荷比が既知であれば任意の種類のガスを任意の数含めることができる。以下では、候補となるガス種をヘリウムガス、窒素ガスおよび水素ガスとして説明する。例えば、イオン化部33におけるイオン化で、ヘリウム、窒素および水素が解離せず電子を失って一価の陽イオンが生成する場合、ヘリウム、窒素および水素のm/zはそれぞれ4、28および2である。取得部521は、これらのm/zの値から、質量分析の精度に基づくばらつきの範囲内にあるピークをそれぞれヘリウム、窒素および水素に対応するピークとして検出する。同様に、取得部521は、酸素の検出強度を取得する。酸素の検出強度は、本実施形態では比較対象として用いられる。取得部521は、算出された検出強度をメモリまたは記憶部43等に記憶させる。
データ処理部52の導出部522は、キャリアガス分析における検出強度に基づいて、GC10での分離または質量分析部30での質量分析において使用されるガスの組成を導出する。導出部522は、キャリアガス分析の後に行われる試料のGC/MSにおいて使用されるガスの組成を導出することができる。導出部522がガスの組成を導出する方法は、図4のフローチャートと共に後述する。導出部522は、キャリアガスの組成が導出されたら、キャリアガスの組成を示す情報を記憶部43またはメモリ等に記憶させる。この情報をキャリアガス情報と呼ぶ。キャリアガス情報におけるキャリアガスの組成の表現方法は特に限定されず、記号または数字等とガス種を対応付けたりすることができる。
データ処理部52の情報生成部523は、導出部522により導出されたキャリアガスの組成と、制御部50において設定された分析条件とが適合するか否かについての情報を生成する。この情報を、適合情報と呼ぶ。適合情報の表現方法は特に限定されず、例えば適合するか否かを二値により表してもよいし、記号または文章等で示してもよい。情報生成部523は、入力部41を介した入力、または、記憶部43に記憶された情報に基づいて制御部50において設定されたキャリアガスの種類を取得する。情報生成部523は、取得されたキャリアガスの種類と、導出部522により導出されたキャリアガスの組成とが同一か否かに基づいて、適合情報を生成し設定する。情報生成部523は、設定されたキャリアガスの種類と、使用されているキャリアガスの種類が同一か否かを判定する判定部として機能する。
変更部53は、入力部41を介した入力、または、適合情報に基づいて、キャリアガスの設定を変更する。例えば、適合情報により、制御部50で設定されているキャリアガスと測定部100で使用されているキャリアガスが異なることが示されている場合、変更部53は、適合情報を参照した後、制御部50で設定されているキャリアガスの種類を導出されたキャリアガスの種類に修正する。あるいは、表示制御部54により表示された、適合情報に基づく通知または警告を見たユーザーの入力に基づいて、変更部53は制御部50で設定されているキャリアガスの種類を修正することができる。
なお、変更部53は、測定部100で使用されているキャリアガスの種類を変更してもよい。この場合、変更部53は、制御部50で設定されているキャリアガスがキャリアガス流路11を通って試料導入部12に導入されるように、キャリアガス流路11を切り替えることができる。
表示制御部54は、データ処理部52の処理により得られた、適合情報等を含む表示画像を生成し、表示部44を制御して当該表示画像を表示させる。表示制御部54は、導出されたキャリアガスの組成と、制御部50で設定された分析条件とが適合しない場合に、通知または警告を表示することができる。表示制御部54は、当該通知または警告では、表示部44の表示画面に、「キャリアガスの設定が誤っています」または「正確な分析ができない可能性があります」等の文章を表示したり、エラーまたは警告を示す図形を表示することができる。
(質量分析方法について)
図3は、本実施形態に係る質量分析方法の流れを示すフローチャートである。以下では、キャリアガスがヘリウムガス、窒素ガスまたは水素ガスのいずれかであるとし、候補となるガス種を3つとしてキャリアガスの組成の導出を行う例を説明する。しかし、質量電荷比が既知であれば任意のガス種を候補に加えてもよいし、ヘリウムガスまたは窒素ガスのいずれかであると仮定する等、候補となるガス種を2つ以下にしてもよい。
ステップS101において、装置制御部51は、測定部100を制御し、キャリアガスを流しながら、質量分析を行う。ステップS101が終了したら、ステップS103が開始される。ステップS103において、取得部521は、質量分析で得られたマススペクトルデータから、各ガスの検出強度を算出する。ステップS103が終了したらステップS105が開始される。ステップS105において、導出部522は、質量分析で得られた検出強度に基づいて、キャリアガスの組成を導出する。
図4は、ステップS105の流れを示すフローチャートである。ステップS103が終了したら、ステップS1051が開始される。ステップS1051において、導出部522は、酸素の検出強度に対する窒素の検出強度の比率は5以上か否かを判定する。この比率を窒素/酸素比率と呼ぶ。窒素/酸素比率が5以上であると、真空容器31内部の窒素/酸素比率は空気の組成における窒素と酸素の比率よりも高く、キャリアガスは窒素ガスの可能性が高い。導出部522は、窒素/酸素比率が5以上の場合、ステップS1051を肯定判定して、ステップS1052を開始する。導出部522は、窒素/酸素比率が5未満の場合、ステップS1051を否定判定して、ステップS1053を開始する。
なお、上記では、窒素/酸素比率の閾値は5としたが、4〜10、好ましくは4.5〜7の範囲等から適宜選択することができる。また、閾値を上側に含めるか下側に含めるかは適宜設定することができ、以下でも同様である。
ステップS1052において、導出部522は、キャリアガスは窒素ガスと導出し、その旨を示すキャリアガス情報を記憶部43に記憶させる。ステップS1052が終了したら、ステップS107が開始される。
ステップS1053において、導出部522は、ヘリウムの検出強度に対する水素の検出強度の比率は1以上か否かを判定する。この比率を、水素/ヘリウム比率と呼ぶ。ここでは、検出強度の高い方をキャリアガスとして導出している。導出部522は、水素/ヘリウム比率が1以上の場合、ステップS1053を肯定判定して、ステップS1054を開始する。導出部522は、水素/ヘリウム比率が1未満の場合、ステップS1053を否定判定して、ステップS1055を開始する。
ステップS1054において、導出部522は、キャリアガスは水素ガスと導出し、その旨を示すキャリアガス情報を記憶部43に記憶させる。ステップS1054が終了したら、ステップS107が開始される。ステップS1055において、導出部522は、キャリアガスはヘリウムガスと導出し、その旨を示すキャリアガス情報を記憶部43に記憶させる。ステップS1055が終了したら、ステップS107が開始される。
図3に戻って、ステップS107において、情報生成部523は、導出されたキャリアガスの組成が、制御部50で設定されたキャリアガスの組成と同じか否かを判定する。情報生成部523は、両組成が同じ場合、その旨を示す適合情報を生成する。この場合、ステップS107が肯定判定され、ステップS113が開始される。情報生成部523は、両組成が異なる場合、その旨を示す適合情報を生成する。この場合、ステップS107が否定判定され、ステップS109が開始される。
ステップS109において、表示制御部54は、表示部44を制御し、適合情報に基づく通知を表示する。ステップS109が終了したら、ステップS111が開始される。ステップS111において、変更部53は、制御部50におけるキャリアガスの設定の変更を行う。ステップS111が終了したら、ステップS113が開始される。
ステップS113において、制御部50は、分析対象の試料の分析を行う。ステップS113が終了したら、処理が終了される。このように、本実施形態に係る質量分析方法では、分析対象の試料の分析を行う前に、当該分析を行うGC−MS1においてキャリアガス分析が行われる。
装置制御部51は、制御部50で設定されたキャリアガスの種類に基づいて測定部100の各部の条件を適宜自動で設定し、実際の測定を制御することができる。ここで、制御部50で設定されているキャリアガスと、測定部100で使用されているキャリアガスが異なると、適切な線速度が設定されない等により、GC10での正確な分離ができなくなる。本実施形態のGC−MS1では、このような問題を解消することができる。
また、本実施形態のGC−MS1は、キャリアガスがヘリウムガス、窒素ガスおよび水素ガスのいずれかであることを、検出強度の閾値を用いて判定する。これにより、迅速かつ的確に判定を行うことができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、上述の実施形態と組み合わせることが可能である。以下の変形例において、上述の実施形態と同様の構造、機能を示す部位等に関しては、同一の符号で参照し、適宜説明を省略する。
(第1実施形態の変形例1)
上述の実施形態において、キャリアガスの組成の導出に加え、真空容器31の内部への空気のリークが有るか否かを導出してもよい。本変形例のGC−MSは、情報処理部40の代わりに情報処理部40aを備える点で上述のGC−MS1と異なる。
図5は、本変形例のGC−MSの情報処理部40aの構成を示す概念図である。情報処理部40aは、制御部50の代わりに制御部50aを備える点で上述の情報処理部40と異なっている。制御部50aは、データ処理部52および表示制御部54の代わりに、それぞれデータ処理部52a、表示制御部54aを備える点で上述の制御部50と異なっている。データ処理部52aは、導出部522の代わりに導出部522aを備える点で上述のデータ処理部52と異なっている。
本変形例のキャリアガス分析では、真空容器31の内部への空気のリークも検出する。従って、真空容器31を大気圧等、GC/MSを行うときよりも高い圧力から排気を行った際に本変形例のキャリアガス分析を行うことが好ましい。しかしながら、試料のGC/MSに悪影響が無ければ、いつ行ってもよい。以下では、単にリークと記載した場合には、真空容器31の内部への空気のリークを指す。
データ処理部52aの導出部522aは、キャリアガスの組成の導出に加え、質量分析部30の質量分析において検出された信号の強度に基づいて、真空容器31に進入した空気の検出を行う。導出部522aは、酸素の検出強度に基づいて、真空容器31に進入した空気の検出を行う。酸素の検出強度に基づいてリークの検出を行うことは、キャリアガスとして窒素ガスを使用する可能性がある場合に特に好ましい。
データ処理部52aの導出部522aは、キャリアガス分析におけるマススペクトルデータを取得する。導出部522aは、当該マススペクトルデータから、キャリアガスの検出強度と、酸素の検出強度とを算出し、算出された検出強度に基づいて、キャリアガスの組成の導出と、真空容器31に進入した空気の検出を行う。導出部522aがキャリアガスの組成を導出する方法、および真空容器31の内部への空気のリークの有無を導出する方法は、図7のフローチャートと共に後述する。導出部522aは、キャリアガスの組成およびリークの有無が導出されたら、キャリアガス情報およびリークの有無を示す情報を記憶部43またはメモリ等に記憶させることができる。リークの有無を示す情報をリーク情報と呼ぶ。リーク情報では、二値等によりリークの有無を示すことができる。
表示制御部54aは、表示部44を制御して適合情報を表示したり、あるいは、導出されたキャリアガスの組成と、制御部50aに設定された分析条件とが適合しない場合の上記のような通知または警告を表示する。さらに、表示制御部54aは、真空容器31の内部にリークが有る場合に、通知または警告を表示することができる。表示制御部54aは、当該通知または警告では、表示部44の表示画面に、「真空容器にリークが発生しています」または「正確な分析ができない可能性があります」等の文章を表示したり、エラーまたは警告を示す図形を表示することができる。
図6は、本変形例に係る質量分析方法の流れを示すフローチャートである。ステップS201およびS203は、図3のフローチャートのステップS101および103とそれぞれ同様であるため、説明を省略する。ステップS203が終了したらステップS205が開始される。ステップS205において、導出部522aは、質量分析で得られた検出強度に基づいて、キャリアガスの組成を導出し、リークの有無を検出する。
図7は、ステップS205の流れを示すフローチャートである。ステップS203が終了したら、ステップS2051が開始される。ステップS2051において、導出部522aは、キャリアガス分析で検出された物質の中で、窒素ガスの検出強度が最大か否かを判定する。導出部522aは、キャリアガス分析で得られたマススペクトルにおいて、最も検出強度の高いピークが窒素に対応するピーク(例えば、m/z 28等)か否かを判定する。窒素ガスの検出強度が最大であった場合、ステップS2051は肯定判定され、ステップS2052が開始される。窒素ガスの検出強度が最大でなかった場合、ステップS2051は否定判定され、ステップS2055が開始される。
ステップS2052において、導出部522aは、酸素の検出強度に対する窒素の検出強度の比率(窒素/酸素比率)は5以上か否かを判定する。導出部522aは、窒素/酸素比率が5以上の場合、ステップS2052を肯定判定して、ステップS2053を開始する。導出部522aは、窒素/酸素比率が5未満の場合、ステップS2052を否定判定して、ステップS2054を開始する。
ステップS2053において、導出部522aは、真空容器31のリークは無く、キャリアガスは窒素ガスと導出し、その旨を示すリーク情報およびキャリアガス情報を記憶部43に記憶させる。ステップS2053が終了したら、ステップS207が開始される。
ステップS2054において、導出部522aは、真空容器31のリークは有ると導出し、その旨を示すリーク情報を記憶部43に記憶させる。ステップS2054が終了したら、ステップS207が開始される。
ステップS2055において、導出部522aは、ヘリウムの検出強度に対する水素の検出強度の比率(水素/ヘリウム比率)は1以上か否かを判定する。導出部522aは、水素/ヘリウム比率が1以上の場合、ステップS2055を肯定判定して、ステップS2056を開始する。導出部522aは、水素/ヘリウム比率が1未満の場合、ステップS2055を否定判定して、ステップS2057を開始する。
ステップS2056において、導出部522aは、真空容器31のリークは無く、キャリアガスは水素ガスと導出し、その旨を示すリーク情報およびキャリアガス情報を記憶部43に記憶させる。ステップS2056が終了したら、ステップS207が開始される。ステップS2057において、導出部522aは、キャリアガスはヘリウムガスと導出し、その旨を示すリーク情報およびキャリアガス情報を記憶部43に記憶させる。
図6に戻って、ステップS207において、制御部50aは、リーク情報に基づき、真空容器31にリークが有るか否かを判定する。制御部50aは、リークが有る場合、ステップS207を肯定判定し、ステップS209を開始する。制御部50aは、リークが無い場合、ステップS207を否定判定し、ステップS211を開始する。
ステップS209において、表示制御部54aは、真空容器31にリークが有る旨の通知を表示部44の表示画面に表示する。当該通知を見たユーザーは、真空容器31の漏れ位置等を探して修復する。ステップS209が終了したら、処理が終了される。
ステップS211、213、215および217は、それぞれ、ステップS107、109、111および113と同様であるため説明を省略する。
−第2実施形態−
第2実施形態に係るGC−MS2は、第1実施形態に係るGC−MS1と同様の構成を有しているが、化学イオン化を行うことができる点、および、解離を行うことができる点で、第1実施形態に係るGC−MS1とは異なっている。上述の実施形態と同様の構造、機能を示す部位等に関しては、同一の符号で参照し、適宜説明を省略する。
図8は、本実施形態のGC−MS2の構成を示す概念図である。GC−MS2は、測定部100bと、情報処理部40bとを備える。測定部100bは、GC10と、質量分析部300とを備える。質量分析部300は、質量分離部35の代わりに、第1質量分離部35a、衝突セル35bおよび第2質量分離部350cを備え、さらに試薬ガス導入口330を備える点が、上述の質量分析部30とは異なっている。第1質量分離部35aは、四重極マスフィルタ350aを備える。衝突セル35bは、イオンガイド350bと、衝突ガス導入口351を備える。第2質量分離部35cは、四重極マスフィルタ350cを備える。
試薬ガス導入口330は、化学イオン化のための試薬ガスを導入する導入口である。化学イオン化では、イオン化部33において、試薬ガスに電子が照射されて生成されたイオンと試料ガスとの反応により、試料ガスがイオン化され、イオンInが生成される。試薬ガスの種類は特に限定されず、メタン、イソブタンまたはアンモニア等とすることができる。試薬ガス導入口330を介した試薬ガスの導入を矢印A6で模式的に示した。
第1質量分離部35aは、第1段階の質量分離を行う。イオン調整部34から出射したイオンInは、第1質量分離部35aに入射する。第1質量分離部35aは、例えば、所定の質量電荷比を有するイオンInを解離に供するイオン(プリカーサーイオン)として選択的に通過させることができる。第1質量分離部35aから出射されたイオンInは、衝突セル35bに入射する。
衝突セル35bは、四重極等を含むイオンガイド350bによりイオンInの移動を制御しながら衝突誘起解離(Collision-Induced Dissociation; CID)によりイオンInを解離させ、フラグメントイオンを生成する。CIDの際にイオンInが衝突させられる分子を含むガスである衝突ガスは、衝突セル内で所定の圧力になるように衝突ガス導入口351から導入される(矢印A7)。衝突ガスの種類は、所望の効率でCIDを起こすことができれば特に限定されないが、アルゴンまたは窒素等の不活性ガスが好ましい。衝突セル35bから出射されたフラグメントイオンを含むイオンInは、第2質量分離部35cに入射する。
第2質量分離部35cは、第2段階の質量分離を行う。第2質量分離部35cは、通過させるイオンの質量電荷比を走査させたり、段階的に変えたりして、所定の質量電荷比を有するイオンInを通過させる。第2質量分離部35cを出射したイオンInは、検出部36に入射する。
図9は、情報処理部40bの構成を示す概念図である。情報処理部40bは、制御部50の代わりに制御部50bを備える点で情報処理部40とは異なっている。制御部50bは、装置制御部51bと、データ処理部52bと、変更部53bと、表示制御部54bとを備える。
制御部50bの装置制御部51bは、測定部100bの各部の動作を制御する。装置制御部51bは、試薬ガスの組成を導出するための質量分析を行うように測定部100bを制御する。以下では、この質量分析を、試薬ガス分析と呼ぶ。試薬ガス分析では、試料をGC−MS2に導入する必要はない。装置制御部51bの制御により、試薬ガスがイオン化部33に導入されている状態と、導入されていない状態の両方で、質量分析が行われる。イオン化部33において、試薬ガスは電子イオン化等によりイオン化される。イオン化により生じたイオンInは、第1質量分離部35aにおいて、通過させるイオンの質量電荷比を走査するフルスキャンモード等により質量分離され、検出部36において検出される。このように、質量分析部300は、試薬ガスおよび変形例で後述する衝突ガス等、真空容器31に導入された物質をイオン化し、質量分析することができる。
制御部50のデータ処理部52bは、測定データのデータ処理を行う。
データ処理部52bの取得部521bは、試薬ガス分析において得られた測定データから、検出された物質の検出強度を算出して取得する。取得部521は、試薬ガス分析において、試薬ガスをイオン化部33に導入した場合と、導入していない場合のマススペクトルデータを作成する。
データ処理部52bの導出部522bは、試薬ガス分析において検出された信号の強度に基づいて、GC/MSにおいて使用される試薬ガスの組成を導出する。導出部522bは、試薬ガスをイオン化部33に導入した場合のマススペクトルと、導入していない場合のマススペクトルとの強度の比較に基づいて、試薬ガスの組成を導出する。導出部522bは、前者のマススペクトルに存在するが、後者のマススぺクトルには存在しないピークを試薬ガスに対応するピークとして同定する。導出部522bは、同定されたピークの質量電荷比から、当該ピークに対応する分子を導出する。
なお、上述の実施形態のように、取得部522が候補となるガス種の検出強度を算出し、導出部522bが所定の閾値に基づいて判定することにより試薬ガスの種類を導出してもよい。
情報生成部523bは、導出部522bにより導出された試薬ガスの組成と、制御部50bにおいて設定された分析条件とが適合するか否かについての適合情報を生成する。情報生成部523bは、入力部41を介した入力、または、記憶部43に記憶された情報に基づいて制御部50bにおいて設定された試薬ガスの種類を取得する。情報生成部523bは、取得された試薬ガスの種類と、導出部522bにより導出された試薬ガスの組成とが同一か否かに基づいて、適合情報を生成し設定する。情報生成部523bは、制御部50bで設定された試薬ガスの種類と、測定部100bで使用されている試薬ガスの種類が同一か否かを判定する判定部として機能する。
変更部53bは、入力部41を介した入力、または、適合情報に基づいて、制御部50bにおける試薬ガスの設定を変更する。例えば、適合情報により、制御部50bで設定されている試薬ガスと測定部100bで使用されている試薬ガスが異なることが示されている場合、変更部53bは、適合情報を参照した後、制御部50bで設定されている試薬ガスの種類を導出された試薬ガスの種類に修正する。あるいは、表示制御部54bにより表示された、適合情報に基づく通知または警告を見たユーザーの入力に基づいて、変更部53bは試薬ガスの種類を修正することができる。
なお、変更部53は、測定部10bで使用されている試薬ガスの種類を変更してもよい。この場合、変更部53bは、制御部50bで設定されている試薬ガスが試薬ガス導入口351を通ってイオン化部33に導入されるように、試薬ガスの流路を切り替えることができる。
表示制御部54bは、データ処理部52bの処理により得られた、適合情報等を含む表示画像を生成し、表示部44を制御して当該表示画像を表示させる。表示制御部54bは、導出された試薬ガスの組成と、制御部50bで設定された分析条件とが適合しない場合に、通知または警告を表示することができる。表示制御部54は、当該通知または警告では、表示部44の表示画面に、「試薬ガスの設定が誤っています」または「正確な分析ができない可能性があります」等の文章を表示したり、エラーまたは警告を示す図形を表示することができる。
図10は、本変形例の質量分析方法の流れを示すフローチャートである。ステップS301において、装置制御部51bは、測定部100bを制御し、試薬ガスを導入する場合と、導入しない場合について、質量分析を行う。ステップS301が終了したら、ステップS303が開始される。ステップS303において、取得部521bは、ステップS301の質量分析で得られたマススペクトルデータにおける信号の強度を取得し、導出部522bは、当該強度に基づいて、試薬ガスの組成を導出する。ステップS303が終了したら、ステップS305が開始される。
ステップS305において、情報生成部523bは、導出された試薬ガスの組成が、制御部50bで設定された試薬ガスの組成と同じか否かを判定する。情報生成部523bは、両組成が同じ場合、その旨を示す適合情報を生成する。この場合、ステップS305が肯定判定され、ステップS311が開始される。情報生成部523bは、両組成が異なる場合、その旨を示す適合情報を生成する。この場合、ステップS305が否定判定され、ステップS307が開始される。
ステップS307において、表示制御部54bは、制御部50bで設定されている試薬ガスの種類と測定部100bで使用されている試薬ガスの種類が異なる旨の通知を表示する。ステップS307が終了したら、ステップS309が開始される。ステップS309において、変更部53bは、試薬ガスの設定の変更を行う。ステップS309が終了したら、ステップS311が開始される。
ステップS311において、制御部50bは、分析対象の試料の分析を行う。ステップS311が終了したら、処理が終了される。
本実施形態のGC−MS2は、キャリアガスがヘリウムガス、窒素ガスおよび水素ガスのいずれかであること、ならびに、真空容器31にリークが有るか否かを、検出強度の閾値を用いて判定する。これにより、迅速かつ的確に判定を行うことができる。また、キャリアガスの組成の導出と真空容器31のリークの検出を一度の分析で得られたデータに基づいて行うことも可能である。
次のような変形も本発明の範囲内であり、上述の実施形態と組み合わせることが可能である。以下の変形例において、上述の実施形態と同様の構造、機能を示す部位等に関しては、同一の符号で参照し、適宜説明を省略する。
(第2実施形態の変形例1)
上述の実施形態において、導出部522bは、衝突ガスの組成を導出してもよい。この場合、装置制御部51bは、測定部100bを制御し、衝突ガスを導入する場合と導入しない場合のそれぞれで質量分析を行う。衝突ガスは、衝突セル35bに導入された後、イオン化部33に拡散してイオン化され得る。取得部521bは、衝突ガスを導入する場合と導入しない場合のそれぞれでマススペクトルデータを作成する。導出部522bは、衝突ガスを導入する場合のマススペクトルに存在し、導入しない場合のマススペクトルには存在しないピークを、衝突ガスのピークとして同定し、当該ピークの質量電荷比から試薬ガスの組成を導出する。情報生成部523bは、衝突ガスについての適合情報を生成し、表示制御部54bが適合情報に基づく通知等を表示する。変更部53bは、制御部50bで設定されている試薬ガスまたは測定部100bで使用される試薬ガスを変更する。
なお、上述の実施形態および変形例におけるガスの組成の導出を組み合わせ、使用されているキャリアガス、試薬ガスおよび衝突ガスの少なくとも一つを導出することができる。これに加え、上述の真空のリークの検出を適宜組み合わせることができる。
(第2実施形態の変形例2)
GC−MS1、2の情報処理機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された、上述したデータ処理部52、52a、52bの処理およびそれに関連する処理の制御に関するプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行させてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリカード等の可搬型記録媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクまたはソリッドステートドライブ(Solid State Drive; SSD)等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものを含んでもよい。また上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせにより実現するものであってもよい。
また、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記載)等に適用する場合、上述した制御に関するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等のデータ信号を通じて提供することができる。図11はその様子を示す図である。PC950は、CD−ROM953を介してプログラムの提供を受ける。また、PC950は通信回線951との接続機能を有する。コンピュータ952は上記プログラムを提供するサーバーコンピュータであり、ハードディスク等の記録媒体にプログラムを格納する。通信回線951は、インターネット、パソコン通信などの通信回線、あるいは専用通信回線などである。コンピュータ952はハードディスクを使用してプログラムを読み出し、通信回線951を介してプログラムをPC950に送信する。すなわち、プログラムをデータ信号として搬送波により搬送して、通信回線951を介して送信する。このように、プログラムは、記録媒体や搬送波などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給できる。
(態様)
上述した複数の例示的な実施形態またはその変形は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係るガスクロマトグラフ質量分析計は、試料の分離を行う分離部と、分離された前記試料が導入される真空容器を備え、前記真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部と、前記質量分析において検出された信号の強度に基づいて、前記分離部または前記質量分析部において使用されるガスの組成を導出する導出部とを備える。これにより、GC−MSにおいて実際に使用されるガスの種類を導出することができる。
(第2項)他の一態様に係るガスクロマトグラフ質量分析計では、第1項の態様のガスクロマトグラフ質量分析計において、導出された前記ガスの組成と設定された分析条件とが適合するか否かについての情報を生成する情報生成部を備える。これにより、GC−MSにおいて、実際に使用されるガスの組成と適合しない分析条件が設定されていることにより、適切でない条件で分析が行われることを防ぐことができる。
(第3項)他の一態様に係るガスクロマトグラフ質量分析計では、第2項の態様のガスクロマトグラフ質量分析計において、表示部を制御する表示制御部を備え、前記表示制御部は、導出された前記ガスの組成と設定された分析条件とが適合しない場合に、前記表示部に通知または警告を表示させる。これにより、GC−MSにおいて、実際に使用されるガスの組成と適合しない分析条件が設定されていることをユーザーに分かりやすく伝えることができる。
(第4項)他の一態様に係るガスクロマトグラフ質量分析計では、第2項または第3項の態様のガスクロマトグラフ質量分析計において、導出された前記ガスの組成と設定された分析条件とが適合しない場合に、前記ガスの流路または前記分析条件の設定を変更する変更部を備える。これにより、ユーザーによる操作を必ずしも要せず、実際に使用されるガスの組成と適合しない分析条件が設定されていることにより適切でない条件で分析が行われることを防ぐことができる。
(第5項)他の一態様に係るガスクロマトグラフ質量分析計では、第1項から第4項までのいずれかの態様のガスクロマトグラフ質量分析計において、前記導出部は、前記質量分析において検出された前記ガスの信号の強度に基づいて、前記ガスの組成を導出し、前記ガスは、キャリアガス、化学イオン化における試薬ガス、および、衝突ガスの少なくとも一つである。これにより、GC−MSにおいて実際に使用されるキャリアガス、試薬ガス、および、衝突ガスの種類を導出することができる。
(第6項)他の一態様に係るガスクロマトグラフ質量分析計では、第5項の態様のガスクロマトグラフ質量分析計において、前記ガスは、キャリアガスを含み、前記導出部は、前記質量分析において検出された前記キャリアガスの信号の強度に基づいて、前記キャリアガスがヘリウムガス、窒素ガスまたは水素ガスのいずれであるかを導出する。これにより、GC−MSにおいて実際に使用されるキャリアガスの種類をより正確に導出することができる。
(第7項)他の一態様に係るガスクロマトグラフ質量分析計では、第1項から第6項までのいずれかの態様のガスクロマトグラフ質量分析計において、前記導出部は、前記質量分析において検出された信号の強度に基づいて、前記真空容器に進入した空気の検出を行う。これにより、GC−MSにおける真空容器のリークを検出し、適切でない圧力下で質量分析が行われることを防ぐことができる。
(第8項)他の一態様に係るガスクロマトグラフ質量分析計では、第7項の態様のガスクロマトグラフ質量分析計において、前記導出部は、前記質量分析において検出された酸素の信号の強度に基づいて、前記真空容器に進入した空気の検出を行う。これにより、キャリアガスが窒素ガスの場合でも、真空容器に進入した空気の検出を行うことができる。
(第9項)一態様に係る質量分析方法は、試料の分離を行う分離部と、分離された前記試料が導入される真空容器を備え、前記真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部とを備えるガスクロマトグラフ質量分析計により、前記質量分析を行うことと、前記質量分析において検出された信号の強度に基づいて、前記分離部または前記質量分析部において使用されるガスの組成を導出することとを備える。これにより、GC−MSにおいて実際に使用されるガスの種類を導出することができる。
(第10項)一態様に係るプログラムは、試料の分離を行う分離部と、分離された前記試料が導入される真空容器を備え、前記真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部とを備えるガスクロマトグラフ質量分析計により行われた前記質量分析において検出された信号の強度を取得する取得処理(図3のフローチャートのステップS103、図6のフローチャートのステップS203および図10のフローチャートのステップS303に対応)と、取得された前記強度に基づいて、前記分離部または前記質量分析部において使用されるガスの組成を導出する導出処理(図3のフローチャートのステップS105、図6のフローチャートのステップS205および図10のフローチャートのステップS303に対応)とをコンピュータに行わせるためのプログラムである。これにより、GC−MSにおいて実際に使用されるガスの種類を導出することができる。
本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1,2…GC−MS、10…GC、12…試料導入部、14…分離カラム、30,300…質量分析部、31…真空容器、33…イオン化部、35…質量分離部、35a…第1質量分離部、35b…衝突セル、35c…第2質量分離部、36…検出部、40,40a,40b…情報処理部、44…表示部、50,50a,50b…制御部、51,51b…装置制御部、52,52a,52b…データ処理部、53,53b…変更部、54,54a,54b…表示制御部、100,100b…測定部、330…試薬ガス導入口、351…衝突ガス導入口、521,521b…取得部、522,522a,522b…導出部、523、523b…情報生成部、In…イオン。

Claims (10)

  1. 試料の分離を行う分離部と、
    分離された前記試料が導入される真空容器を備え、前記真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部と、
    前記質量分析において検出された信号の強度に基づいて、前記分離部または前記質量分析部において使用されるガスの組成を導出する導出部と
    を備えるガスクロマトグラフ質量分析計。
  2. 請求項1に記載のガスクロマトグラフ質量分析計において、
    導出された前記ガスの組成と設定された分析条件とが適合するか否かについての情報を生成する情報生成部を備える、ガスクロマトグラフ質量分析計。
  3. 請求項2に記載のガスクロマトグラフ質量分析計において、
    表示部を制御する表示制御部を備え、
    前記表示制御部は、導出された前記ガスの組成と設定された分析条件とが適合しない場合に、前記表示部に通知または警告を表示させる、ガスクロマトグラフ質量分析計。
  4. 請求項2または3に記載のガスクロマトグラフ質量分析計において、
    導出された前記ガスの組成と設定された分析条件とが適合しない場合に、前記ガスの流路または前記分析条件の設定を変更する変更部を備える、ガスクロマトグラフ質量分析計。
  5. 請求項1から4までのいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ質量分析計において、
    前記導出部は、前記質量分析において検出された前記ガスの信号の強度に基づいて、前記ガスの組成を導出し、
    前記ガスは、キャリアガス、化学イオン化における試薬ガス、および、衝突ガスの少なくとも一つである、ガスクロマトグラフ質量分析計。
  6. 請求項5に記載のガスクロマトグラフ質量分析計において、
    前記ガスは、キャリアガスを含み、
    前記導出部は、前記質量分析において検出された前記キャリアガスの信号の強度に基づいて、前記キャリアガスがヘリウムガス、窒素ガスまたは水素ガスのいずれであるかを導出する、ガスクロマトグラフ質量分析計。
  7. 請求項1から6までのいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ質量分析計において、
    前記導出部は、前記質量分析において検出された信号の強度に基づいて、前記真空容器に進入した空気の検出を行う、ガスクロマトグラフ質量分析計。
  8. 請求項7に記載のガスクロマトグラフ質量分析計において、
    前記導出部は、前記質量分析において検出された酸素の信号の強度に基づいて、前記真空容器に進入した空気の検出を行う、ガスクロマトグラフ質量分析計。
  9. 試料の分離を行う分離部と、分離された前記試料が導入される真空容器を備え、前記真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部とを備えるガスクロマトグラフ質量分析計により、前記質量分析を行うことと、
    前記質量分析において検出された信号の強度に基づいて、前記分離部または前記質量分析部において使用されるガスの組成を導出することと
    を備える質量分析方法。
  10. 試料の分離を行う分離部と、分離された前記試料が導入される真空容器を備え、前記真空容器に導入された物質の質量分析を行う質量分析部とを備えるガスクロマトグラフ質量分析計により行われた前記質量分析において検出された信号の強度を取得する取得処理と、
    取得された前記強度に基づいて、前記分離部または前記質量分析部において使用されるガスの組成を導出する導出処理と
    をコンピュータに行わせるためのプログラム。
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