JP2021165428A - イオン交換樹脂からの金の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金及びヨウ化物が吸着しているイオン交換樹脂に対して溶離及び電気分解により金を回収するに際して、該電気分解の接液部の腐食を抑えながら効率よく金を回収できる方法を提供する。【解決手段】金及びヨウ化物が吸着しているイオン交換樹脂1に対して、溶離液としてチオシアン酸アンモニウム水溶液に代表されるチオシアン酸系化合物水溶液を通液して金をヨウ化物と共に溶離させる金溶離工程S1と、溶離した金及びヨウ化物を含むチオシアン酸系化合物水溶液を電気分解して金を電着させる金回収工程S2とを含み、金回収工程S2ではチオシアン酸系化合物水溶液のpHを苛性ソーダ等の塩基性物質の添加により9以上に維持し、金回収工程S2で処理されたチオシアン酸系化合物水溶液は、好適には金溶離工程S1に繰り返して再利用される。【選択図】図1

Description

本発明は、金及びヨウ化物が吸着しているイオン交換樹脂に対して、溶離液を用いて溶離及び電気分解を行うことにより金を回収する方法に関する。
金、銀、白金等の貴金属は、優れた物理的、化学的、及び機械的特性を有しているため、様々な分野で用いられている。なかでも金(Au)は、導電性、耐環境性、加工性等に優れているため、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、通信機器などの電子機器を構成する接続用端子、機器同士を接続するコネクタ等の表面に金メッキの形態で用いられており、導通不良の原因となる接点の酸化を防いでいる。近年、大量生産・大量廃棄型社会から資源循環型社会への転換が進められており、廃棄処分となったこれらの電子機器から、希少価値の高い金を回収して再利用することが求められている。
従来、電子機器の加工屑、廃材等から金を回収する方法として、シアン化アルカリを用いる方法や、ヨウ素/ヨウ化物溶液を用いる方法が知られている。前者の回収方法は、金メッキされた導線、部品等の金含有物質をシアン化アルカリ水溶液等のシアン系剥離液に浸漬することによって、金のみを剥離して回収するものである。一方、後者のヨウ素/ヨウ化物溶液を用いる方法は、金含有物質をヨウ素及びヨウ化物を含む水溶液に浸漬することによって金を金ヨウ素錯体の形態で浸出した後、得られた浸出液をイオン交換樹脂に通液することで該金ヨウ素錯体を吸着させるものである。この金ヨウ素錯体が吸着したイオン交換樹脂から金を回収する方法としては、樹脂分を燃焼して金を濃縮して回収する方法が考えられる。
しかしながら、樹脂分の燃焼では、ヨウ素を含んだ燃焼排ガスが大量に発生するため、環境に配慮した対策が必要となる。例えば、該燃焼排ガスの浄化設備等を別途設けたり増強したりすることが必要になるため、処理コストが高くなりすぎる問題が生じうる。あるいは、単位時間あたりの燃焼量を制限することで対応することが考えられるが、この場合は、処理時間がかかりすぎることが問題になりうる。更に、樹脂分の燃焼では金の回収作業を行う度に新たにイオン交換樹脂を用意しなければならないため、より一層処理コストが高くなる。
そこで、イオン交換樹脂に電解液を通液して金ヨウ素錯体を該電解液中に溶離させた後、該電解液を電気分解処理することによって電極に金を電着させて回収する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、先ず金ヨウ素錯体が吸着しているイオン交換樹脂に対して、硫酸溶液及び亜硝酸ナトリウム溶液を順次通液して金ヨウ素錯体を酸化した後、脱着剤として亜硫酸ナトリウム溶液を通液して金ヨウ素錯体をイオン交換樹脂から溶離させ、次にこの溶離した金ヨウ素錯体を含む亜硫酸ナトリウム溶液を電気分解して金をSUS製の電極板に電着させることで金を回収する方法が開示されている。このように、イオン交換樹脂から溶離した金ヨウ素錯体を含む電解液を電気分解することで、イオン交換樹脂の燃焼設備や、そこから発生する燃焼排ガスの処理設備が不要になるので、上記のイオン交換樹脂を燃焼する方法と比較して省スペースで且つ低コストに金を回収することが可能になる。
特開平02−296725号公報
上記の金ヨウ素錯体を含む電解液の電気分解においては、電解液中に溶離した金ヨウ素錯体に含まれる金がカソードにおいて還元されて電着すると共に、ヨウ化物がアノードにおいて酸化されてヨウ素(I)になる。このヨウ素は強い酸化力を有するため、SUS製の電極板等の接液部を激しく腐食させることがあった。この腐食対策として、イリジウム、チタンなどの耐腐食性に優れた金属を電極板に使用することが考えられる。しかしながら、これら耐腐食性金属はSUSと比較すると非常に高額であるため、採算を合わせるのが困難である。本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、金及びヨウ化物が吸着しているイオン交換樹脂に対して溶離液を用いて溶離及び電気分解を行うことにより金を回収するに際して、該電気分解に用いる電極板などの接液部の腐食を抑えながら効率よく金を回収できる方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る金の回収方法は、金及びヨウ化物が吸着しているイオン交換樹脂に対して、溶離液としてチオシアン酸系化合物水溶液を通液して前記金を前記ヨウ化物と共に溶離させる金溶離工程と、前記溶離した金及びヨウ化物を含むチオシアン酸系化合物水溶液を電気分解して金を電着させる金回収工程とを含み、前記金回収工程では前記チオシアン酸系化合物水溶液のpHを塩基性物質の添加により9以上に維持することを特徴とする。
本発明によれば、金及びヨウ化物が吸着しているイオン交換樹脂に対して、溶離液を用いて溶離及び電気分解を行うことにより効率よく且つ電極板などの接液部の腐食を抑えながら金を回収することができる。
本発明の実施形態に係る金の回収方法に好適に使用される回収装置の模式的フロー図である。 本発明の実施形態に係る金の回収方法のブロックフロー図である。 本発明の実施例において電着させた金を剥離した後のSUS製電極板の表面の写真である。 本発明の比較例において電着させた金を剥離した後のSUS製電極板の表面の写真である。
1.金の回収装置
以下、本発明に係る金の回収方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の実施形態の金の回収方法が好適に使用される回収装置が示されている。この図1の回収装置は、イオン交換部、電気分解部、及び濾過部から構成されており、これらを接続する送液ラインにより溶離液が系内を循環できるようになっている。具体的に説明すると、イオン交換部は、イオン交換樹脂1が充填された略円筒形状のカラム筒2からなり、該カラム筒2の上部から導入される溶離液がイオン交換樹脂1の充填層を上から下に向って通過する間にイオン交換が行われ、イオン交換樹脂1に吸着している金ヨウ素錯体が溶離液中に溶離する。イオン交換樹脂1の充填層の底部に到達した溶離液は、カラム筒2の中心軸部に設けられている抜出管から抜出され、送液ラインを経て電気分解部へ送液される。
電気分解部は、複数の黒鉛製の電極板からなるアノード3と、複数のSUS(ステンレス鋼)製の電極板からなるカソード4とが、1枚ずつ平行に向き合うようにして配置された電解槽5からなる。これらアノード3及びカソード4は、上端部を除いてほとんど全部が、電解液として導入される上記溶離液に浸漬している。なお、図1には4枚のアノード3と3枚のカソード4とが交互に配置されている例が示されているが、1枚ずつ交互に配置するのであればこの枚数に限定されるものではなく、1対のアノード3及びカソード4のみでもよい。
上記のアノード3及びカソード4には、図示しない電源装置の正極及び負極がそれぞれ接続しており、該電源装置から電圧を印加することにより、カソード4に金メタルが電着する。この電解槽5には、後述するように電解液のpHを所定の範囲に維持するように、図示しないpH調整剤供給装置から塩基性物質が添加されるようになっている。この電解槽5で電気分解処理が行われた電解液は、そのまま廃液として処理してもよいが、本発明の実施形態においては、電解槽5から排出される電解液は、送液ラインに設けられている循環ポンプ6で昇圧された後、濾過部としてのフィルタ7に導入され、ここで不純物が除去された後、再度カラム筒2に戻され、上記のイオン交換樹脂1の溶離液として繰り返し再利用される。
2.金の回収方法
上記の回収装置を用いて行われる本発明の実施形態の金の回収方法は、上記溶離液にチオシアン酸系化合物水溶液を使用し、金及びヨウ化物が吸着しているイオン交換樹脂に対して、溶離液を用いて溶離及び電気分解を行うことにより金を回収するものである。具体的には、図2に示すように、金及びヨウ化物が吸着しているイオン交換樹脂1に溶離液としてのチオシアン酸系化合物水溶液を通液し、該イオン交換樹脂1に吸着している金をヨウ化物と共に該溶離液中に溶離させる金溶離工程S1と、該溶離したこれら金及びヨウ化物を含むチオシアン酸系化合物水溶液を、アノード3及びカソード4が配置されている電解層5に導入して電気分解することで金メタルを電着させる金回収工程S2とを含んでいる。
上記の電気分解では、金の電着が進むにつれ、電解液中にヨウ素が蓄積すると共に、電解液のpHが徐々に低下する。このような状況をそのままにしておくと、電極等の金属接続部が酸化により腐食する。そこで、電解液のpHを連続的又は定期的に測定して適宜塩基性物質を添加することにより、電解液のpHを9以上に維持する。これにより、上記の金属接続部の腐食を防止することができる。以下、かかる本発明の実施形態に係る金の回収方法について、各工程ごとにより具体的に説明する。
(1)金溶離工程S1
本発明の実施形態の金の回収方法が対象とする金が吸着しているイオン交換樹脂は、金含有物質をヨウ素及びヨウ化物を含む水溶液で浸出処理して得た浸出液をイオン交換樹脂に通液させたものである。この金含有物質としては、例えば、金メッキされた接点や接続端子等を含む電子材料のスペックアウト品、該電子材料を含む電子デバイスが実装されたスマートフォン、パーソナルコンピュータ、通信機器などの電子機器のスクラップ等の廃材を挙げることができるが、少なくとも金を含む基材であればこれらに限定されるものではない。
また、上記のヨウ化物には、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)等を挙げることができる。これらヨウ化物をヨウ素と共に含む水溶液で上記金含有物質を浸出処理することにより金が溶解し、金ヨウ素錯体が生成される。なお、金ヨウ素錯体とは、三ヨウ化物イオン(I )を有する化合物に金メタルを溶解させて得られる錯体であり、[AuI又は[AuIで現される構造を有している。
上記の金ヨウ素錯体を含む浸出液をイオン交換樹脂1に通液することでイオン交換作用により該金ヨウ素錯体がイオン交換樹脂1に吸着する。このイオン交換樹脂1には、陰イオン交換樹脂を使用し、例えば三菱ケミカル株式会社製のスチレン系強塩基性陰イオン交換樹脂であるダイヤイオンSA10Aを好適に用いることができる。なお、上記の金ヨウ素錯体を含む浸出液には、錯体を形成しないヨウ化物イオンが含まれていてもよい。これは、ヨウ素及びヨウ化物を含む水溶液の調製の際に想定した化学量論量よりも多くのヨウ素が金の溶出に使用されることがあり、この場合は過剰のヨウ化物イオンがイオン交換樹脂1に吸着されることになる。
上記のように、イオン交換樹脂1に吸着している金をヨウ化物と共に溶離(脱離とも称する)させる溶離液(脱離液とも称する)に含まれる脱離剤として用いるチオシアン酸系化合物としては、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸バリウム、チオシアン酸メチルアンモニウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸セシウム等を挙げることができ、これらの中ではチオシアン酸アンモニウムが好ましい。
上記のチオシアン酸系化合物水溶液は、該化合物濃度が0.5〜20質量%であるのが好ましい。このチオシアン酸系化合物水溶液のイオン交換樹脂1への供給量は、イオン交換樹脂1の金ヨウ素錯体の吸着量、使用するイオン交換樹脂のタイプ等により適宜調整するのが好ましいが、一般的には空間速度10〜100hr−1で供給するのが好ましい。また、供給時のチオシアン酸系化合物水溶液の温度は、常温から80℃程度の範囲内であるのが好ましい。
上記の条件でチオシアン酸系化合物水溶液をイオン交換樹脂1が充填されているカラム筒2に溶離液として導入する。これにより、チオシアン酸系化合物水溶液がイオン交換樹脂1の充填層を通過する間に、イオン交換樹脂1に金ヨウ素錯体([AuI又は[AuI)の形態で吸着している陰イオンと、溶離液中のチオシアン酸イオン(SCN)とのイオン交換が行われ、金ヨウ素錯体が溶離液中に溶離する。
(2)金回収工程S2
上記の金溶離工程S1で溶離された金ヨウ素錯体を含む溶離液は、次に金回収工程S2において、アノード3とカソード4とが配置されている電解槽5に電解液として導入されて電気分解される。上記のアノード3には炭素製の電極板を用いるのが好ましく、一方、カソード4にはステンレス鋼(SUS)製の電極板を用いるのが好ましい。なお、上記の溶離液を電解液として電解槽5に導入する前に、予め電解槽5には電解液としてのチオシアン酸アンモニウム水溶液を満たしておく。
これらアノード3及びカソード4に対して図示しない電源装置から直流電流を印加することによって、金メタルをカソード4に電着させる。そして、カソード4の表面に剥離可能な所定の厚みまで金が電着したところで、金メタルをカソード4から剥離して回収する。なお、効率的に金を電着させるため、カソード4の電流密度は0.2〜5.0A/dmの範囲内が好ましく、1〜2A/dmがより好ましい。
上記の電気分解処理が行われた電解液は、連続的に電解槽5から抜き出された後、循環ポンプ6により昇圧されてフィルタ7に導入される。ここで固形分が除去された後、カラム筒2に溶離液として戻される。このようにして、回収装置の系内をチオシアン酸系化合物水溶液が循環することで、金溶離工程S1及び金回収工程S2が繰り返される。この循環するチオシアン酸系化合物水溶液中の金の濃度は、定期的にサンプリングして誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置等により定量分析することにより求めることができる。
上記の測定法で求めたチオシアン酸系化合物水溶液中の金の濃度が所定のしきい値よりも低くなった時点で、該イオン交換樹脂1からの金の回収がほぼ完了したと判断することができる。金の回収の完了後は、一旦運転を中断し、金の回収を終えたイオン交換樹脂1をカラム筒2から取り出して、金ヨウ素錯体が吸着した新たなイオン交換樹脂1をカラム筒2に充填することで再度金の回収を行うことができる。この場合、イオン交換部において2本以上のカラム筒2を並列に接続し、溶離液の導入先をこれら複数のカラム筒2の間で切り替えることで、電着した金の厚みが上記の所定の厚みになるまで連続的に運転してもよい。
上記の電気分解では、金の析出と並行してアノード3からヨウ素が発生する。ヨウ素はSUS製の電極板等の金属接液部を酸化して腐食させる問題が生じる。この対策のため電解液のpHを定期的又は連続的に測定し、その測定値に応じて適宜塩基性物質を添加して電解液のpHを9以上に維持する。なお、電解液のpHの上限は10程度が好ましい。電解液のpHが10を超えると、チオシアン酸系化合物において好ましくない反応が進むことがあり、例えばチオシアン酸アンモニウムでは反応により有害なアンモニウムガスが発生しやすくなり、それによりチオシアン酸アンモニウムが不足してイオン交換樹脂からの金の溶離が進みにくくなる。上記の塩基性物質としては、苛性ソーダ又は苛性カリが好ましく、安価であることから苛性ソーダが特に好ましい。添加する際の塩基性物質の形態は粉粒状でもよいし、水に溶解させた水溶液でもよい。
[実施例1]
図1に示す構成の回収装置を用いて金ヨウ素錯体が吸着しているイオン交換樹脂から金を回収した。具体的には、カラム筒2に、金ヨウ素錯体が吸着しているイオン交換樹脂1を26kg充填した。このイオン交換樹脂1中において、金の濃度はICP発光分光分析装置で測定したところ4質量%であり、ヨウ化物イオンの濃度はイオン成分測定法(イオンクロマトグラフ法)で測定したところ57質量%であった。このイオン交換樹脂1から金ヨウ素錯体を溶離させる溶離液としてチオシアン酸アンモニウム20kgを400Lの水に溶解したものを調製し、これを電解槽5に溜めた。また、電解槽5内に、アノード3として11枚の黒鉛板とカソード4として11枚のSUS板とを1枚ずつ交互に配置し、これらアノード3及びカソード4に電源装置の正極及び負極をそれぞれ接続した。
この電解槽5から上記カラム筒2への送液ラインに設けられている循環ポンプ6を起動して、上記溶離液を回収装置の系内で循環させた。更に電源装置を起動し、カソード4の電流密度が1A/dmになるように印加する電圧を調整した。このようにして、イオン交換樹脂1に吸着している金イオン錯体を溶離液に溶離しながら該溶離液を電解液として電解槽5に導入して電気分解処理した。その際、定期的に電解液中の金の濃度をICP発光分光分析装置により測定し、溶離液(電解液)中の金の濃度が15mg/L以下となったことが確認された時点で、金の回収が完了したと判断した。
上記電気分解処理を開始した直後の電解液のpHは5.8であったので、電解液に粒状の苛性ソーダ2kgを添加してpHを9.3とした。その後、pHが9以上を維持するように、適宜、電解液に苛性ソーダを添加した。電気分解処理の開始から72時間経過後、電解液のpHが9より下がらなくなったので、苛性ソーダの添加を中止した。更に、電気分解処理の開始から140時間経過後、金の濃度が11.3mg/Lであることが確認されたので、電源装置からの通電を止めると共に循環ポンプ6の運転を止め、カソード4として使用されているSUS板に電着した金メタルを剥離して回収した。上記電気分解処理の経過時間ごとの苛性ソーダ添加量、苛性ソーダ添加前後の溶離液(電解液)のpH、及び金濃度の推移を下記表1に示す。また、電着した金メタルを剥離した後のSUS板の外観を目視で確認したところ、図3に示すように、腐食による凹はほとんど確認されず、繰り返し使用できる状態であった。
Figure 2021165428
[実施例2]
電気分解におけるカソード4の電流密度を2A/dm2としたこと以外は、実施例1と同様の方法により金の回収を実施したところ、金メタルの電着の速度は実施例1とほぼ同等で大差がないことが確認された。また、電着した金メタルを剥離した後のSUS板の外観を目視で確認したところ、実施例1と同様に、腐食による凹はほとんど確認されず、繰り返し使用できる状態であった。
[比較例]
電気分解処理の開始直後に苛性ソーダを添加したのみで、以後は苛性ソーダを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により金の回収を実施した。電気分解処理の開始直後の電解液のpHは5.6であったので、粒状の苛性ソーダ2kgを添加してpHを9.2とした。以後は電解液に苛性ソーダを添加せずに、電気分解処理を継続した。
電気分解処理を開始してから24時間経過したところで、電源装置からの通電を中止すると共に循環ポンプ6の運転を止めて、カソード4のSUS板を引き上げた。薄く電着している金メタルを剥離して、SUS板の表面を観察したところ、図4に示すように、激しい凹凸が発生しており、繰り返し使用できる状態でないことが確認された。このように、電解液のpHが9未満の状態で電気分解処理を継続した場合、電気分解処理を開始してから僅か24時間で激しく腐食することが確認された。
上記の結果より、実施例1及び2の金の回収方法は、イオン交換樹脂に吸着された金ヨウ素錯体の大部分から、金を溶離させ金属として回収することができるうえ、カソードとして使用するSUS板の腐食を防止できることが分かった。また、電気分解処理された電解液は、溶離液として繰り返し使用できることも分かった。これに対して、比較例の金の回収方法は、急速にカソード4のSUS板が腐食し、金の回収が極めて困難であることが分かった。
このように、金ヨウ素錯体が吸着しているイオン交換樹脂に対して、一般的な設備を用いた電気分解により金を金属として工業的に回収できることが確認された。また、電気分解処理された電解液は、回収装置内を循環させることで繰り返し使用できるので、電解液のチオシアン酸アンモニウム溶液が系外に排出されることで生じうる環境上の問題を生ずることなく、低コストで金を回収することができることが確認された。
1 イオン交換樹脂
2 カラム筒
3 アノード
4 カソード
5 電解槽
6 循環ポンプ
7 フィルタ
S1 金溶離工程
S2 金回収工程

Claims (7)

  1. 金及びヨウ化物が吸着しているイオン交換樹脂に対して、溶離液としてチオシアン酸系化合物水溶液を通液して前記金を前記ヨウ化物と共に溶離させる金溶離工程と、前記溶離した金及びヨウ化物を含むチオシアン酸系化合物水溶液を電気分解して金を電着させる金回収工程とを含み、前記金回収工程では前記チオシアン酸系化合物水溶液のpHを塩基性物質の添加により9以上に維持することを特徴とする金の回収方法。
  2. 前記金回収工程で処理された前記チオシアン酸系化合物水溶液を前記金溶離工程に繰り返す、請求項1に記載の金の回収方法。
  3. 前記電気分解における電流密度が0.2〜5.0A/dmの範囲内である、請求項1又は2に記載の金の回収方法。
  4. 前記塩基性物質が苛性ソーダ又は苛性カリである、請求項1から3のいずれか1項に記載の金の回収方法。
  5. 前記電気分解に用いるカソードの材質がステンレス鋼である、請求項1から4のいずれか1項に記載の金の回収方法
  6. 前記チオシアン酸系化合物水溶液がチオシアン酸アンモニウム水溶液である、請求項1から5のいずれか1項に記載の金の回収方法。
  7. 前記イオン交換樹脂が強塩基性陰イオン交換樹脂であり、前記金及びヨウ化物が金ヨウ素錯体の形態で該イオン交換樹脂に吸着している、請求項1から6のいずれか1項に記載の金の回収方法。

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