JP2021165421A - アルミニウム基複合材 - Google Patents

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Abstract

【課題】引張強度、伸びおよびヤング率のいずれもが一定以上の値を示す優れた機械的特性を有するアルミニウム基複合材を提供する。【解決手段】任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のうち隣接する炭素繊維等の間の重心間距離の分布の標準偏差の平均値が1.8μm以下であることが望ましい。また、任意の複数の断面における、当該断面ごとの前記標準偏差の最大値と最小値の差が0.7μm以下であることが望ましい。すなわち、隣接する炭素繊維等の間の重心間距離の部位によるばらつきが小さいことで、より均一に炭素繊維等が分散し、高い機械的特性を得ることができる。【選択図】図4

Description

本発明は、強化材である炭素繊維を基地組織中に含有するアルミニウム基複合材に関し、より詳細にはアルミニウム粒子同志が固相接合してなる基地組織中に炭素繊維が分散したアルミニウム基複合焼結体に関するものである。
内燃機関搭載車のCO排出量削減や、電気自動車およびハイブリッド自動車等の航続距離延長のニーズを背景として、各自動車メーカーは、車両の軽量化を推進している。軽量化手段の1つとして、アルミニウム合金の採用が拡大しているが、低ヤング率(低剛性)による重量増加、スペ−スの確保、乗り心地の低下等の問題を有している。このため、軽量かつヤング率の高い構造部材および機能部品向け材料が求められている。
このような材料として、カーボンナノチューブで補強されたアルミニウム基複合材が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
中国特許第101818280号 特開2006−265686号公報 WO2009/054309
しかし、発明者らは、従来の方法では、引張強度、伸びおよびヤング率のいずれもが一定以上の値を示す優れた機械的特性を有するアルミニウム基複合材を得ることができず、さらなる改良の必要があることを知見した。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、引張強度、伸びおよびヤング率のいずれもが一定以上の値を示す優れた機械的特性を有するアルミニウム基複合材を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明は、強化材である炭素繊維を基地組織中に含有するアルミニウム基複合材であって、前記炭素繊維を1〜5質量%有し、前記基地組織は、Mg0.5〜7質量%、残部Alおよび不可避不純物からなり、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部の円相当径の平均値が0.2μm以上であり、前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のうち、隣接する炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部の間の重心間距離の前記断面ごとの分布の標準偏差の平均値が1.8μm以下であることを特徴とするアルミニウム基複合材である。
任意の複数の断面における、前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のうち、円相当径が1.0μm以上の凝集部の面積率の平均値が4%以下であることが望ましい。
任意の複数の断面における、当該断面ごとの前記標準偏差の最大値と最小値の差が0.7μm以下であることが望ましい。
前記炭素繊維がカーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブであることが望ましい。
任意の複数の断面における、前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のアスペクト比の平均値が8以上であることが望ましい。
本発明によれば、上記所定の成分組成を有するアルミニウム基複合材において、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部の円相当径の平均値が0.2μm以上であり、前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のうち、隣接する炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部の間の重心間距離の前記断面ごとの分布の標準偏差の平均値が1.8μm以下であるので、十分に大きなサイズの炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部が基地組織中に均一に分散しており、十分な機械的特性を有するアルミニウム基複合材を得ることができる。
また、任意の複数の断面における、前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のうち、円相当径が1.0μm以上の凝集部の面積率の平均値が4%以下であれば、比較的粗大な凝集部が少ないため、より高い機械的特性を得ることができる。
また、任意の複数の断面における、当該断面ごとの前記標準偏差の最大値と最小値の差が0.7μm以下であれば、炭素繊維又はその凝集部がばらつきなく分散しているため、より高い機械的特性を得ることができる。
特に、炭素繊維がカーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブであれば、基地組織中に炭素繊維が分散し、効率よく基地組織を強化することができる。
また、任意の複数の断面における、前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のアスペクト比の平均値が8以上であれば、炭素繊維が分断されていないため、より高い機械的特性を得ることができる。
本発明によれば、十分な機械的特性を有するアルミニウム基複合材を提供することができる。
比較例1のアルミニウム基複合材の組織の一部を示すSEM写真 比較例1のアルミニウム基複合材の組織の他部を示すSEM写真 実施例1のアルミニウム基複合材の組織を示すSEM写真 (a)は、炭素繊維への低分子分散剤の付着状態を示す概念図、(b)は、炭素繊維の破断状態を示す概念図、(c)は、炭素繊維への高分子分散剤の付着状態を示す概念図 (a)は、低分子分散剤が付着した炭素繊維と金属粒子の吸着状態を示す概念図、(b)は、高分子分散剤が付着した炭素繊維と金属粒子の吸着状態を示す概念図 アルミニウム基複合材の製造工程を示すフローチャート 押出用金型を示す概略図 引張試験用試験片の形状を示す図
まず、本発明の実施の形態にかかるアルミニウム基複合材について説明する。本実施の形態にかかるアルミニウム基複合材は、強化材である炭素繊維を基地組織中に含有するアルミニウム基複合材であって、前記炭素繊維を1〜5質量%有し、前記基地組織は、Mg0.5〜7質量%、残部Alおよび不可避不純物からなり、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部(以下、炭素繊維と、複数の炭素繊維の凝集部とを合わせて、単に「炭素繊維等」とする場合がある。)の円相当径の平均値が0.2μm以上であり、前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のうち、隣接する炭素繊維等の重心間距離の前記断面ごとの分布の標準偏差の平均値が1.8μm以下であることを特徴としている。なお、炭素繊維としては、カーボンナノファイバー(carbon nanofiber:CNF)またはカーボンナノチューブ(carbon
nanotube:CNT)であることが望ましい。以下、本実施形態のアルミニウム基複合材の各構成要素について、詳細に説明する。
[基地組織組成]
基地組織を構成するアルミニウム合金としては、Mg0.5〜7質量%、残部Alおよび不可避不純物からなり、例えばAl−Mg系の5000系合金が望ましく、JIS(Japanese Industrial Standards) H4000で規定されるA5083アルミニウム合金(以下、JIS A5083合金などと言う場合がある。)等を適用可能である。Mgが多すぎると、加工性や伸びが低下し、組織を固溶強化するMgが少なすぎると、強度が低下する。また、Mgが少なすぎると、MgSi等の析出物の生成量が減少し、後述する析出物による基地組織の結晶粒の微細化効果(ピン止め効果)が低減する。なお、後述するように、基地組織は、Mg以外にMn、Cr、Fe、Zr、Ti、B、Cuからなる群から選択される元素のいずれか一種以上を総量で2.2質量%以下含んでもよい。
[炭素繊維含有量]
基地組織中に分散した状態で含有する炭素繊維は、アルミニウム基複合材に対する質量割合を1〜5質量%とする。アルミニウム基複合材の機械的特性は、基本的に、強化材として含有せしめる炭素繊維の割合により制御され、基地組織を構成するアルミニウム合金及び炭素繊維の各々の機械的特性と炭素繊維の割合に基づき凡そ複合則により設定することが可能である。すなわち、炭素繊維が1質量%未満であると炭素繊維による基地組織の強化能を発揮できず、炭素繊維が5質量%を超えると、加工性が悪くなるとともに伸びが低下する。なお、炭素繊維の含有率は、JIS Z2615で規定される赤外線吸収法(積分法)に準拠し測定することができる。
[基地組織:金属結晶粒形態]
次に、本発明にかかるアルミニウム基複合材の基地組織について説明する。基地組織は、例えばアルミニウム基複合材の押出成形方向に平行な面における基地組織の後方散乱電子回折(Electron Back Scatter Diffraction:EBSD)で確認することができる。
本発明に係るアルミニウム基複合材における基地組織は、例えば押出加工などの加工(押出)方向に対して略同一方向に配向した柱状金属結晶粒からなる。この柱状金属結晶粒が細かくなるほど機械的特性は向上する。このため、できるだけ加工後の柱状金属結晶粒を細かくすることが望まれる。
また、金属結晶粒の大きさは、ばらつきが少なく、均一である方が炭素繊維等も均一に分散し、機械的特性は向上する。加えて、一部の粗大な金属結晶粒が存在すると、当該金属結晶粒を起点として、破断等が生じる恐れがある。このため、例えば、押出成形方向に平行な面における任意の複数の断面における、基地組織中の結晶粒の円相当径の標準偏差の平均値が小さいことが望ましい。
[基地中の炭素繊維の分散均一性及びアスペクト比]
本発明者らは、上記した金属組織に加え、炭素繊維等の大きさおよび炭素繊維等の分散の均一性(以下、分散均一性とする場合がある。)、加えてアスペクト比がアルミニウム基複合材の機械的特性、特にヤング率に対し大きな影響を与えるものと推定した。すなわち、適正な大きさの炭素繊維等を均一に分散させる、より好ましくは高いアスペクト比を有する適正な大きさの炭素繊維等を均一に分散させることで、高い機械的特性を得ることができるものと推定した。
上記のような効果は、図4に基づき後述する炭素繊維スラリー形成工程102および炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程107における製造条件と密接に関連していると推定されるので、以下、説明する。なお、図4に示す炭素繊維スラリー形成工程102は、炭素繊維酸処理工程101で酸処理された炭素繊維を、分散剤が添加された溶液中に分散させ、炭素繊維スラリーを形成する工程である。また、炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程107は、上記炭素繊維スラリーと後述する金属粉末スラリーを炭素繊維吸着工程106で混合し、得られた炭素繊維吸着金属粉末を水洗等で洗浄し、炭素繊維等および金属粉末に付着している余剰な分散剤を除去する工程である。
図1a、図1bは、従来の方法で作成した、機械的特性の劣る下記比較例1のアルミニウム基複合材のそれぞれ別の部位の基地組織の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)写真の例である。図1aに示す例では、炭素繊維2および複数の炭素繊維からなる凝集部3である炭素繊維等1の分散均一性は比較的良いが、基地組織6を強化すべき炭素繊維等1の断面における大きさが小さいことが確認された。すなわち、図1aに示す従来のアルミニウム基複合材では、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等の円相当径の平均値が0.2μm未満であった。一方で、図1bに示す例では、断面における炭素繊維等1の大きさは大きいものの、炭素繊維等1の分散均一性が悪いことが確認された。すなわち、図1bに示す従来のアルミニウム基複合材では、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のうち隣接する炭素繊維等の間の重心間距離の断面ごとの分布の標準偏差の平均値が1.8μmを超えていた。この炭素繊維等1の断面における大きさ及び炭素繊維等1の基地組織6中における分散均一性は、アルミニウム基複合材の機械的特性に対し大きな影響を及ぼす要因であると推定される。そして、本発明者らは、図1aの例のように断面における炭素繊維等の大きさが小さいことは、炭素繊維スラリー形成工程において生じる炭素繊維の破断や損傷に起因するものと推定した。また、図1bの例のように炭素繊維等の分散均一性が悪いことは、炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程における、金属粒子に吸着された炭素繊維の離脱および離脱した炭素繊維の凝集による過度に大きな凝集体の形成に起因するものと推定した。
まず、炭素繊維スラリー形成工程における、炭素繊維の破断現象の推定メカニズムについて説明する。図2(a)は、従来の炭素繊維スラリー形成工程おいて、溶液に添加された分散剤(低分子分散剤)4が、炭素繊維2の表面に付着した状態を示す概念図である。従来、炭素繊維2を溶液中に分散させる際には、分子量が1000以下の低分子分散剤4が使用されていた。低分子分散剤4は、その分子鎖の一方の端部側が炭素繊維2との親和性が高く、他方の端部側が溶液分子との親和性が高い。このため、低分子分散剤4の分子鎖の一方が炭素繊維2に付着し、他方の周囲が溶液分子との親和性が高くなるため、炭素繊維2同士の凝集が抑制されて溶液中に炭素繊維2を分散させることができると言われていた。なお、炭素繊維スラリー形成工程および後述する金属粉末スラリー形成工程で溶液に添加される分散剤は、溶液中の炭素繊維および金属粉末の分散性を高めると同時に、後述する炭素繊維吸着工程において、炭素繊維および金属粒子の表面の各々に被覆された分散剤の分子鎖の結合により炭素繊維を金属粒子に吸着させる機能を果たしている。
炭素繊維スラリー形成工程では、炭素繊維2を溶液中に分散させるため、溶液の攪拌が行われる。そして、上記のような低分子分散剤4を溶液に添加した場合には、炭素繊維2の表面に付着した低分子分散剤4の分子鎖同士の結合力が弱い。そのため、溶液の攪拌により絡み合った状態の炭素繊維2がほどけながら分散する過程において、炭素繊維2に力が加わると、容易に炭素繊維2が破断または損傷するものと考えられた。例えば、図2(b)に示すように、炭素繊維スラリー形成工程中において、長い炭素繊維2が途中で破断または損傷し、短い炭素繊維片1a〜1cに分断され、断面における個々の炭素繊維片1a〜1cの大きさが小さくなるものと推定された。また、炭素繊維2の破断により、小片化した炭素繊維片1a〜1cのアスペクト比も小さくなることが推定された。
なお、後述するように、上記のように炭素繊維2が破断または損傷を受けることにより生成される適度な大きさの炭素繊維片1a〜1cの適量な存在は、結晶粒を微細にする効果を有すると考えられる。例えば、後述する炭素繊維酸処理工程において、炭素繊維に適度な損傷を与えることで、炭素繊維から微小な炭素繊維片が適量遊離(分離)し、これによって炭素繊維との境界とは異なる位置に炭化アルミニウム粒子が生成されると考えられる。このように微小な炭化アルミニウム粒子が適正に生成されると、この微小な炭化アルミニウム粒子が結晶粒成長を抑制するピン止め効果を奏し、結晶粒が微細化されるものと考えられる。
以上説明したように、発明者らは、従来の低分子分散剤を炭素繊維スラリー形成工程で使用すると、炭素繊維2が過度に破断または損傷して小片化するため、アルミニウム基複合材の機械的特性を低下させる一つの要因となると推定した。そして、発明者らは鋭意研究の結果、従来、炭素繊維スラリー形成工程で溶液に添加されていた低分子分散剤に替え、分子鎖が長く、星形分子鎖や櫛型分子鎖など複雑な構造の分子鎖を有する高分子分散剤を添加することで、上記説明した炭素繊維の破断または損傷を抑制し、断面における大きさが維持された炭素繊維を有するアルミニウム複合材を形成できることを知見した。また、これにより炭素繊維のアスペクト比の低下を抑制できるという知見を得た。
図2(c)は、炭素繊維スラリー形成工程において、炭素繊維2の表面に、高分子分散剤5の分子鎖が付着した状態を示す概念図である。分子量が2000〜100万程度である分子鎖からなる高分子分散剤5は、分子量が1000以下の低分子分散剤4と比較して、より長く複雑な分子構造を有し、その分子鎖は、炭素繊維2の円周方向ならびに長軸方向に連鎖するようにその表面に付着する。このように、高分子分散剤5の分子鎖が炭素繊維2の表面に連鎖するように付着することで、炭素繊維2の破断防止機能を高め、その破断や損傷を防止し、小片化を抑制できるものと推定した。
図1cは、炭素繊維2の分散剤として高分子分散剤5を用いたアルミニウム基複合材の基地組織のSEM写真である。このように、炭素繊維スラリー形成工程において、高分子分散剤を溶液に添加し分散処理を行った場合には、断面における炭素繊維等1の大きさが大きいことが確認された。すなわち、図1cに示す本発明に係るアルミニウム基複合材では、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等1の円相当径の平均値が0.2μm以上となっている。
上記した炭素繊維等の円相当径は、例えば以下のようにして炭素繊維等を特定し、測定することができる。まず、平滑に研磨されたアルミニウム基複合材の切断面をエネルギー分散型X線分光法(EDX)で確認し、画素サイズ12.5nm/ピクセルで炭素(C)の元素マッピングを行い、視野中における各画素の輝度を、当該画素位置におけるCの濃度に比例させたCの分布像を作成する。そのCの分布像を微分し、輝度変化(すなわちCの濃度変化)が最も大きい外周部に存在する画素を結んだ閉曲線を求める輪郭線抽出処理を行う。この閉曲線が、特定される炭素繊維等の外周縁の輪郭線であり、閉曲線内部の面積から円相当径を算出する。(詳細は後述する。)
なお、本発明では、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のアスペクト比の平均値が8以上であることが、特にヤング率を高めるためには望ましい。
上記したアスペクト比は、以下のように定義される。まず、上記のように元素マッピングにより炭素繊維等を特定し、特定された炭素繊維等の面積Sと輪郭長Lとを求める。輪郭長の1/2をその炭素繊維等の長さと定義する。炭素繊維等の面積Sを長さL/2で除することで求まる値2×S/Lを、炭素繊維等の幅と定義する。炭素繊維等の長さL/2を粒子の幅2×S/Lで除した値(L/(4×S))を、アスペクト比と定義する。
次に、炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程における、金属粒子に吸着された炭素繊維の離脱および離脱した炭素繊維の凝集で形成された凝集体により、炭素繊維等の分散均一性が悪化する推定メカニズムについて説明する。
図3(a)は、炭素繊維吸着工程106(図4参照)を行うことにより、表面に付着した従来の低分子分散剤4の分子鎖を介して炭素繊維2が、アルミニウムからなる金属粒子7へ吸着された状態を示す概念図である。炭素繊維吸着工程では、上記炭素繊維スラリー形成工程を経て得られた低分子分散剤4が表面に付着した炭素繊維2を含むスラリーと、後述する金属粉末スラリー形成工程を経て得られた高分子分散剤9が表面に付着した金属粒子7を含むスラリーとを混合する。これにより、炭素繊維2および金属粒子7それぞれの表面に付着している分散剤の分子鎖端の官能基の連結を介し、炭素繊維2が金属粒子7に吸着された炭素繊維吸着金属粉末を得ることができる。この炭素繊維吸着工程で得られた炭素繊維吸着金属粉末は、その表面に余剰な分散剤が付着しているため、炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程107(図4参照)で、この余剰な分散剤を例えば水洗等で除去する必要がある。
しかし、上記炭素繊維スラリー形成工程で分散剤として低分子分散剤4を適用すると、上記したように低分子分散剤4の分子鎖と炭素繊維2との結合力が弱いため、炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程(水洗等)の際に、炭素繊維2から低分子分散剤4の分子鎖の一部が脱落するおそれがある。このように、低分子分散剤4の分子鎖の一部が炭素繊維2からの表面から脱落すると、炭素繊維2と金属粒子7との結合力が小さくなり、図3(a)に示すように、炭素繊維2が金属粒子7から離脱する可能性がある。そして、炭素繊維2が金属粒子7から離脱すると、金属粒子7の表面において炭素繊維2の分布に粗密が生じ、金属粒子7における炭素繊維2の分散均一性が悪化すると推定した。加えて、離脱した炭素繊維2が凝集した凝集体が金属粒子7に吸着することで、炭素繊維等の分散均一性の更なる悪化を招くと推定した。
一方で、本発明者らは、高分子分散剤5を用いることにより、炭素繊維等の分散均一性を改善できることを知見した。図3(b)は、高分子分散剤5を付着させた炭素繊維2を、金属粒子7へ吸着させた状態を示す概念図である。高分子分散剤5は、上記したように低分子分散剤4と比較して炭素繊維2との結合力が大きいため、その分子鎖は、炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程における水洗等の際にも脱落しにくい。このため、炭素繊維2と金属粒子7との結合力が大きくなり、金属粒子7の表面に、炭素繊維2を均一に吸着させた状態を維持することができる。加えて、離脱した炭素繊維2の凝集による凝集体の生成も抑制されるので、炭素繊維等の分散均一性がより改善される。すなわち、図1cに示す本発明に係るアルミニウム基複合材では、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等1のうち隣接する炭素繊維等1の間の重心間距離の断面ごとの分布の標準偏差の平均値が1.8μm以下となっている。
なお、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のうち、円相当径が1.0μm以上の凝集部の面積率の平均値が4%以下であることが望ましい。このようにすることで、図1cに示すように、比較的粗大な凝集部3が多く存在することによる炭素繊維等1の分散均一性の低下を防止し、機械的特性の低下を抑制することができる。ここで、複数の炭素繊維からなる凝集部3とは、平滑に研磨された複合材の切断面を走査型電子顕微鏡で観察した場合に、接触する2以上の炭素繊維からなる集合の外周縁で囲まれる領域のことを言う。
加えて、任意の複数の断面における、当該断面ごとの上記標準偏差の最大値と最小値の差が0.7μm以下であることが望ましい。すなわち、隣接する炭素繊維等の間の重心間距離が同一であれば、各断面において全ての炭素繊維等が、均等に配置されていることとなる。このように、隣接する炭素繊維等の間の重心間距離の部位によるばらつきが小さければ、より均一に炭素繊維等が分散していることを意味し、これにより高い機械的特性を得ることができると考えられる。
以上のように、所定の成分組成を有するアルミニウム基複合材において、断面において適切なサイズの炭素繊維等の大きさを有するとともに、基地組織中における炭素繊維等の分散均一性を高めることで、優れた機械的特性を具現することができ、例えばJIS A5083合金からなる基地組織を有するアルミニウム基複合材の場合には、ヤング率82GPa以上、引張強度350MPa以上、伸び5%以上と引張強度、伸びおよびヤング率の何れも一定以上の水準を有する優れた機械的特性を有するアルミニウム基複合材とすることができる。
[アルミニウム基複合材の製造方法]
本実施形態のアルミニウム基複合材の製造方法について説明する。上記説明したアルミニウム基複合材の製造方法は特に限定されないが、以下の製造方法により好適に製造することができる。すなわち、本実施形態の製造方法は、
炭素繊維を酸処理し、炭素繊維の表面に官能基を形成する炭素繊維酸処理工程と、
前記炭素繊維酸処理工程で酸処理された炭素繊維を、第1の高分子分散剤を含む溶液中に添加し、第1の高分子分散剤で被覆された炭素繊維を含む炭素繊維スラリーを形成する炭素繊維スラリー形成工程と、
前記第1の高分子分散剤と逆の極性の官能基を有する第2の高分子分散剤を含む溶液に金属粉末を添加し、表面に第2の高分子分散剤が被覆された金属粉末を含む金属粉末スラリーを形成する金属粉末スラリー形成工程と、
炭素繊維スラリー形成工程で得られた炭素繊維スラリーと金属粉末スラリー形成工程で得られた金属粉末スラリーとを炭素繊維の含有率が金属粉末に対し1〜5質量%となるよう混合し、炭素繊維表面の第1の高分子分散剤と金属粉末表面の第2の高分子分散剤を介して金属粒子の表面に炭素繊維を吸着させ、炭素繊維吸着金属粉末を得る炭素繊維吸着工程と、
炭素繊維吸着工程で得られ炭素繊維吸着金属粉末を溶媒で洗浄し、余剰な第1の高分子分散剤または第2の高分子分散剤を除去する炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程と、
炭素繊維吸着粉末洗浄工程後に、炭素繊維吸着金属粉末を加熱処理し、炭素繊維吸着金属粉末に含まれる樹脂を除去する加熱処理工程と、
加熱処理工程で得られた炭素繊維吸着金属粉末を焼結する焼結工程と、
前記焼結工程で得られた焼結体を成形する成形工程と、を有し、
金属粉末スラリー形成工程で使用する金属粉末が、Mg0.5〜7質量%、残部Alおよび不可避不純物からなることを特徴としている。
以下、図4に示すアルミニウム基複合材の製造工程のフローチャートを用いて、上記各工程および上記各工程に更に付加される好ましい工程について詳細に説明する。
[炭素繊維準備工程:ステップ100]
まず、使用される炭素繊維を準備する(ステップ100)。原料となる炭素繊維の種類、繊維径は特に限定されるものではないが、カーボンナノファイバー(carbon nanofiber:CNF)やカーボンナノチューブ(carbon nanotube:CNT)などを使用することが好ましい。カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブ(炭素繊維)の好ましい純度は90%以上、好ましい平均直径は200nm以下、好ましい平均長さは0.5μm以上である。純度が90%より低いと炭素繊維自体の特性が低下し、平均直径が200nmより大きく、平均長さが0.5μmより短いとアスペクト比が小さくなり繊維強化材としての効果が低下する。なお、炭素繊維の平均直径の下限値、平均長さの上限値は特段限定されないが、工業生産的に適正なコストの炭素繊維を得るためには、各々0.5nm以上、1000μm以下であることが望ましい。また、Id/Ig比(Id/Ig比の詳細は後述する)が0.03程度の炭素繊維を準備することが望ましい。その理由は、次述する炭素繊維酸処理工程で適量の微小な炭素片が分離し、下記する焼結工程にて炭化アルミニウム粒子が適量生成し、マトリックスを構成する結晶粒が微細化するとともに大きさのバラツキが低減するからである。
[炭素繊維酸処理工程:ステップ101]
次に、上記炭素繊維に対して酸処理を行う(ステップ101)。炭素繊維酸処理工程(以下、酸処理工程という場合がある。)においては、炭素繊維表面に官能基を形成する。酸処理工程では、硫酸、硝酸、塩酸、混酸などの酸液に炭素繊維を浸漬させて、カルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、カルボニル基(−C=O)などの官能基を形成させることができる。このように官能基が形成された炭素繊維は、水や有機溶媒等の溶液との親和性が向上し、それらの溶液中での分散性が向上する。
酸処理工程は、上記酸液中に炭素繊維を添加した後、炭素繊維を含む酸液を撹拌することで行われる。この際、炭素繊維を50〜90℃の温度の酸液中に10〜90分間保持することが望ましい。酸液の温度が低い場合や酸液への保持時間が短い場合は、官能基の形成が不十分となり、また、炭素繊維から遊離する微小な炭素片の量が少なくなり、基地組織を構成する柱状金属結晶粒の微細化効果のある微小炭化アルミニウム粒子を生成するための炭素源が減少し、得られるアルミニウム基複合材の機械的特性が低下する。一方で、酸液の温度が高い場合や酸液への保持時間が長い場合は、炭素繊維の表面に過度の欠陥が形成されたり、炭素繊維が細くなるため、得られるアルミニウム基複合材の機械的特性が低下する。
上記炭素繊維の酸処理後の表面状態(欠陥の生成状態)は、ラマン分光分析で測定されるDバンドの強度IdとGバンド(グラファイト構造)の強度Igの比率Id/Ig比で評価できる。つまり、酸処理により炭素繊維の欠陥が増加するほど、Id/Ig比が増加する。酸処理後のId/Ig比は0.1〜0.7が望ましい。酸処理工程における酸液の温度が低い場合や酸液への保持時間が短い場合にはId/Ig比が0.1より小さくなり、酸処理不足で官能基の形成が不十分となり、また、炭素繊維から遊離(分離)する微小な炭素片の量が少なくなり、基地組織を構成する柱状金属結晶粒の微細化効果のある微小炭化アルミニウム粒子を生成するための炭素源が減少するので好ましくない。一方で、酸処理工程における酸液の温度が高い場合や酸液への保持時間が長い場合にはId/Ig比が0.7より大きくなり、酸処理過多で炭素繊維の破断や損傷が過剰となり、また炭素繊維の欠陥が多くなりすぎて炭素繊維の強度が低下する。このため、いずれの場合も、アルミニウム基複合材の機械的特性が低下する。適切な条件で炭素繊維の酸処理を行うことで、適度に炭素繊維がダメージを受けて、炭化アルミニウム粒子の炭素源となる炭素片が形成される。
[炭素繊維スラリー形成工程:ステップ102]
ステップ101で酸処理された炭素繊維を用いて炭素繊維スラリーを形成する(ステップ102)。ステップ102においては、第1の高分子分散剤が0.5〜3.0質量%添加された溶液にステップ101で得られた酸処理後の炭素繊維を0.5〜3.0質量%添加して分散処理を行い、炭素繊維の表面を第1の高分子分散剤で被覆し、炭素繊維の表面に第1の高分子分散剤が有する官能基が形成された炭素繊維スラリーを得る。溶液(溶媒)には、水の他にエタノールなどのアルコール類も使うことができる。
なお、第1の高分子分散剤は、分子量が2000〜100万程度の分散剤であって、例えば、アニオン型として、ポリアクリル酸(PAA)およびそのアンモニウム塩(PAANH4)、ナトリウム塩(PAANa)、カリウム塩(PAAK)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)およびそのアンモニウム塩(PSSNH4)、ナトリウム塩(PSSNa)、カリウム塩(PSSK)などを使用することができ、カチオン型として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA)、ポリエチレンイミン(PEI)およびその塩酸塩(PEI・HCL)などを使用することができる。また、分散処理には、超音波処理機、湿式ビーズミル、湿式ジェットミルなどを用いることができる。この処理を施すことにより、バンドル状に絡み合った炭素繊維でもほぐれて炭素繊維が分散したスラリーを得ることができる。この時の炭素繊維の好ましい粒度はD90で0.15〜8μmである。そして、炭素繊維スラリー形成工程において、溶液に第1の高分子分散剤を添加することにより、上記したように炭素繊維の破断や損傷を抑制することができる。
分散処理の後、第1の高分子分散剤で被覆された炭素繊維を含むスラリーを、濾過して洗浄することにより、スラリー中に存在する過剰量の第1の高分子分散剤を除去するための洗浄処理を行うことが好ましい。具体的には、第1の高分子分散剤で被覆された炭素繊維を含むスラリーを、例えば目開き1μmのメンブレンフィルターを用いて濾過する。スラリーに含まれる溶媒が流下したのち、炭素繊維スラリーを形成するための下記する溶媒を用いて洗浄し、炭素繊維の粒子間の空隙に存在している溶媒と置換する。その後、濾紙上の炭素繊維を溶媒に分散させ、炭素繊維スラリーを得ることができる。スラリーに用いる溶媒には、水の他にエタノールなどのアルコール類も使うことができる。この第1の高分子分散剤で被覆された炭素繊維の洗浄処理を行うことで、第1の高分子分散剤は炭素繊維の表面のみに存在し、炭素繊維スラリー中に含まれる遊離状態の第1の高分子分散剤の影響を最小限に抑えた炭素繊維スラリーを得ることができる。
[金属粉末準備工程:ステップ103]
炭素繊維の準備と並行して、または前後して、アルミニウムからなる金属粉末を準備する(ステップ103)。原料となる金属粉末の成分、形状、平均粒径は特に限定されるものではない。金属粉末の組成の好ましい範囲は、Mg:0.5〜7質量%であり、残部Alおよび不可避不純物である。その他に添加元素として、Mn、Cr、Fe、Zr、Ti、B、Cuからなる群から選択される元素のいずれか一種以上を総量で2.2質量%以下添加してもよい。Mgは基地組織の強度を上げ、他の元素はAlなどとともに化合物を形成して基地組織中に析出し、再結晶する際の結晶粒の成長を抑制するためアルミニウム基複合材の強度を上げる効果がある。
[金属粉末鱗片化工程:ステップ104]
上記金属粉末について、鱗片化処理を行う(ステップ104)。金属粉末鱗片化処理工程(以下、鱗片化工程という場合がある。)では、略球状の金属粒子を潰して偏平化し、金属粒子を鱗片化する。鱗片化処理によって、金属粒子の比表面積を増加させ、金属粒子への炭素繊維の吸着量を増加させることができる。なお、鱗片化処理後の金属粒子(以下、鱗片粉と称する場合がある。)の好ましい比表面積は、1.0〜10m/gである。また、鱗片粉の好ましい厚さは、0.1〜10μm程度である。
金属粒子の鱗片化処理には、ボールの衝撃で金属粒子を押しつぶすアトライター、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミルなど各種ミルが使用できる。ボールミルで鱗片化処理を行う場合、ボールミルのチャンバー内で結露すると溶媒(例えば、エタノール等の有機溶剤)中の水分濃度が上昇して、鱗片化中に現れる金属粒子の新生面が酸化し、Alを含む酸化物(以下、Al酸化物と言う場合がある。)が生成する。このAl酸化物の生成を抑制するため、チャンバー内が結露しないよう、チャンバー内の温度を、露点以上に維持することが望ましい。加えて、温度が高すぎると鱗片粉の酸化が進むため、チャンバー内の処理温度としては、20℃以下が望ましい。
鱗片化工程において、金属粒子が酸化されると、鱗片粉の酸素濃度が上昇し、鱗片粉表面にAl酸化物が生じるおそれがある。さらに金属粒子が過度に粉砕されると、生成した鱗片粉の径が小さいほど比表面積は大きいゆえに、鱗片粉が小さいほど体積あたりのAl酸化物の比率も大きくなる。このため、使用されるエタノール等の溶媒に対して、潤滑(すなわち過度の粉砕の防止)と酸化防止を目的に粉砕助剤を加えることが好ましい。粉砕助剤は鱗片化の過程において金属粒子の表面に付着して保護層を形成し、さらなる反応を防止することにより、鱗片粉の酸化を防止し、また、鱗片粉が他の鱗片粉や鱗片化に用いるボールなどの衝撃媒体と結合(凝着)することを防止する。粉砕助剤としては、有機酸であるステアリン酸やオレイン酸、界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸やラウリル硫酸ナトリウムなどを用いることができるが、中でもチタネート(有機チタン酸エステル)が優れている。チタネートはチタン酸(Ti(OH))の4つのOH基が、有機酸あるいは有機リン酸、有機スルホン酸などと反応してエステル結合した化合物である。この化合物が、Al酸化物表面や、鱗片化処理によって生成した新生面に接触すると、4つのエステルのうち2つが分解してAl−O−Tiの結合を2つ生成する。すなわちチタネートは2つの結合手によってAlと結合し、残る2つの結合手はエステル結合によって有機酸あるいは有機リン酸、有機スルホン酸などと結合した状態で存在する。前記した2つの結合手とエステル結合を形成している有機酸あるいは有機リン酸、有機スルホン酸を粉砕助剤として用いることもできるが、チタネートとして用いる方がAl−O−Tiの結合が強固であることから鱗片粉表面に安定に存在し、酸化防止ならびに潤滑の機能は優れている。
粉砕助剤としてチタネートを粉砕助剤として使用すると、鱗片化工程における鱗片粉の潤滑および酸化防止、並びに、鱗片化工程の後に行われる後述する炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程および加熱処理工程におけるチタネートの効率的な除去を両立できる点で好ましい。さらに、粉砕助剤としてチタネートを使用する場合には、鱗片粉の原料である金属粉末100質量部に対し、チタネートが0.1〜5.0質量部となるよう溶媒に添加することが好ましい。チタネートの添加量が0.1質量部未満だと鱗片粉の潤滑および酸化防止を充分に行うことができない。一方で、5.0質量部を超えても潤滑および酸化防止の効果が平衡化することに加え、鱗片化工程の後に行われる後述の加熱処理工程におけるチタネートの除去が不十分となり、得られるアルミニウム基複合材の機械的強度が低下するおそれがある。
上記ボールミルで使用する溶媒としては、エタノール以外に、例えばメタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、ミネラルスピリット等の石油系の混合溶剤を使うことができる。さらに、鱗片粉の乾燥時には、真空またはAr雰囲気など雰囲気中の酸素濃度が低い非酸化雰囲気にすることが望ましい。加えて、乾燥後の鱗片粉は、真空保管して酸化を防止することが望ましい。これら鱗片化工程における酸化防止対策により、鱗片粉の酸化が抑制され、鱗片粉表面に生成されるAl酸化物が低減する。なお、鱗片化工程は、必ずしも必須の工程ではなく、次工程で炭素繊維が十分に吸着可能であれば、鱗片化処理を行わなくてもよい。
[金属粉末スラリー形成工程:ステップ105]
金属粉末(上記鱗片化工程を経た場合は、金属粉末を鱗片粉と読み替えることができる。以下の他の工程についても、同様。)に、ステップ102(炭素繊維スラリー形成工程)で形成された第1の高分子分散剤が表面に被覆された炭素繊維が容易に吸着できるように、金属粉末のスラリーを形成する(ステップ105)。ステップ105においては、第2の高分子分散剤を溶解した溶液に金属粉末を5〜15質量%添加し浸漬し、金属粒子の表面を第2の高分子分散剤で被覆し、金属粒子の表面に第2の高分子分散剤が有する官能基が形成された金属粉末のスラリーを得る。この第2の高分子分散剤は、例えば、アニオン系のポリアクリル酸(PAA)およびそのアンモニウム塩(PAANH4)、ナトリウム塩(PAANa)、カリウム塩(PAAK)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)およびそのアンモニウム塩(PSSNH4)、ナトリウム塩(PSSNa)、カリウム塩(PSSK)、又はカチオン系のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA)、ポリエチレンイミン(PEI)およびその塩酸塩(PEI・HCL)などのうち、官能基の極性が上記第1の高分子分散剤と反対であるもの1種類または複数種類を選択して用いることができる。
ここで、上記したように、金属粉末鱗片化工程(ステップ104)では、粉砕助剤としてチタネート等を使用する場合がある。この場合、得られた鱗片粉の表面にはチタネート等が付着しており、チタネートの分子を構成する官能基によっては鱗片粉の親水性が低い場合がある。したがって、金属粉末としてチタネート等を使用して鱗片化された鱗片粉を使用する場合、ステップ105においては、第2の高分子分散剤に加えて界面活性剤を0.01〜10質量%添加した溶液に金属粉末を添加することが、鱗片粉の親水性を向上するために望ましい。この界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸、デオキシコール酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを用いることができる。このように上記した界面活性剤を第2の高分子分散剤を含む溶液に加えることで、該溶液の表面張力が低下し、鱗片粉と第2の高分子分散剤ならびに界面活性剤を含む溶液との濡れが促進され、より広い面積の鱗片粉の表面に第2の高分子分散剤が付着することができる。
分散処理の後、第2の高分子分散剤で被覆された金属粒子(または鱗片粉)を含むスラリーを、それぞれ濾過して洗浄することにより、スラリー中に存在する過剰量の第2の高分子分散剤を除去する、洗浄処理を行うことが好ましい。具体的には、第2の高分子分散剤で被覆された金属粉末を含むスラリーを、例えば目開き1μmのメンブレンフィルターを用いて濾過する。スラリーに含まれる溶媒が流下したのち、金属粉末スラリーを形成するための下記する溶媒を用いて洗浄し、金属粒子の粒子間の空隙に存在している溶媒と置換する。その後、濾紙上の金属粉末を溶媒に再分散させ、金属粉末スラリーを得ることができる。スラリーに用いる溶媒には、水の他にエタノールなどのアルコール類も使うことができる。この第2の高分子分散剤で被覆された金属粉末の洗浄処理を行うことで、第2の高分子分散剤は金属粒子の表面のみに存在し、金属粉末スラリー中に含まれる遊離状態の第2の高分子分散剤の影響を最小限に抑えたスラリーを得ることができる。
[炭素繊維吸着工程:ステップ106]
ステップ102(炭素繊維スラリー形成工程)で得られた炭素繊維スラリーと、ステップ105(金属粉末スラリー形成工程)で得られた金属粉末スラリーとを混合して、金属粒子へ炭素繊維を吸着させる(ステップ106)。この際、炭素繊維表面の第1の高分子分散剤と金属粒子表面に形成された第2の高分子分散剤との各々の分子鎖の官能基の結合を利用して、金属粒子表面に炭素繊維を吸着させる。これにより、得られるアルミニウム基複合材に対する質量割合で炭素繊維の含有率が1〜5質量%となるよう炭素繊維が吸着した金属粉末(以下、炭素繊維吸着金属粉末という場合がある。)を得ることができる。炭素繊維スラリーと金属粉末スラリーの混合比率は、得ようとするアルミニウム基複合材の炭素繊維含有量に応じて選択される。混合及び吸着には、スターラーや撹拌羽根を用いることができ、撹拌の回転数は500〜800rpm、時間は30分程度である。
ここで、上記ステップ102(炭素繊維スラリー形成工程)およびステップ105(金属粉末スラリー形成工程)で洗浄処理を行わない場合には、炭素繊維および金属粒子(または鱗片粉)のスラリー中にも余剰な量の第1高分子分散剤または第2の高分子分散剤が遊離状態で存在することになる。そのようなスラリーを、炭素繊維吸着工程で混合すると、炭素繊維表面に存在する第1の高分子分散剤は、金属粒子表面に存在する第2の高分子分散剤との間に静電的引力が発生して結合するほか、スラリー中に遊離して存在する第2の高分子分散剤との間に静電的引力が発生して結合する。同様に、金属粒子表面に存在する第2の高分子分散剤は、炭素繊維表面に存在する第1の高分子分散剤との間に静電的引力が発生して結合するほか、スラリー中に遊離して存在する第1の高分子分散剤との間に静電的引力が発生して結合する。それらの結果、炭素繊維と結合しない金属粒子や、金属粒子と結合しない炭素繊維が生成し、炭素繊維吸着金属粉末の収率が低下する。また、スラリー中に遊離して存在する第1の高分子分散剤と第2の高分子分散剤の間に静電的引力が発生して結合することで、不純物となる沈殿を生成し、得られる炭素繊維吸着金属の純度が低下する。このような障害を回避するためにも、上記したように炭素繊維スラリー形成工程(ステップ102)および金属粉末スラリー形成工程(ステップ105)において、第1の高分子分散剤が被覆された炭素繊維および第2の高分子分散剤が被覆された金属粉末の洗浄処理を行うことが望ましい。
なお、炭素繊維表面に付着させる第1の高分子分散剤と金属粒子表面に付着させる第2の高分子分散剤は、その官能基が互いに逆極性のものを適用すれば、特段の限定はないが、一方が弱酸または弱塩基の官能基を有する物質であることが好ましい。ここで、弱酸または弱塩基の官能基とは、水中で完全に解離しない官能基を指す。弱酸の官能基の例としては、カルボキシル基など、水中での酸解離指数が3以上の官能基があり、弱塩基の官能基の例としては、アミノ基など水中での酸解離指数が11以下の官能基がある。これらが望ましい理由は、炭素繊維と金属粒子が単に正と負に帯電して互いの間に引力が発生するだけでなく、正や負の電荷の源となる官能基同士が化学的に結合して解離しないためにより強い結合力が生じるためである。さらに加えて、第1の高分子分散剤としてカチオン型のものを選択し、第2の高分子分散剤としてアニオン型のものを選択することがより望ましい。これは、炭素繊維自体がわずかにマイナスの極性を有するため、炭素繊維にプラスの極性を有する高分子分散剤を付着させると、効率が良くなるためである。
[炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程:ステップ107]
次に、炭素繊維吸着金属粉末を洗浄する(ステップ107)。後述するステップ108(加熱処理工程)において、炭素繊維吸着金属粉末に残る第1の高分子分散剤と第2の高分子分散剤を加熱処理で除去するが、加熱処理の前に洗浄してこれらの高分子分散剤の一部を除去しておけば、余剰な高分子分散剤をより完全に除去することができる。
炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程(以下、粉末洗浄工程という場合がある。)は、純水や有機溶剤を用い、炭素繊維吸着金属粉末を吸引濾過しながら洗浄する工程である。この場合、洗浄液による吸引濾過を複数回行ってもよい。なお、粉末洗浄工程で使用される洗浄液は、炭素繊維吸着金属粉末の酸化を抑制し、金属粉末に生成するAl酸化物を低減する面から、有機溶剤であることが望ましい。また、有機溶剤の使用量を削減するためには、最初の洗浄を純水で行い、最後の洗浄を有機溶剤で行ってもよい。また、複数回の洗浄を行う際には、洗浄と洗浄の間に炭素繊維吸着金属粉末が大気と触れ合い、酸化するおそれがあるため、洗浄液を連続して供給しながら吸引濾過することが望ましい。この際、例えば、洗浄開始時には純水を供給しながら吸引濾過を行い、所定時間後に、純水から有機溶剤の供給に切り替えて吸引濾過を行ってもよい。このようにすることで、有機溶剤の使用量を抑えるとともに、洗浄時における酸化を抑制することができる。
洗浄に用いられる有機溶剤には、エタノール、メタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、ミネラルスピリット等の石油系の混合溶剤を使うことができる。そして、上記したように炭素繊維スラリー形成工程および金属粉末スラリー形成工程において高分子分散剤を適用することにより、粉末洗浄工程において、炭素繊維吸着金属粉末の金属粒子から炭素繊維が離脱することが抑制されるとともに、離脱した炭素繊維が凝集した凝集体の生成も抑制される。
[加熱処理工程:ステップ108]
加熱処理によって、炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程(ステップ107)で洗浄された炭素繊維吸着金属粉末に含まれる余剰の高分子分散剤を除去する(ステップ108)。この加熱処理は、金属粉末が酸化し、金属粉末にMgを含む酸化物(以下、Mg酸化物という場合がある。)が生成しないよう、初期炉内酸素濃度1000ppm以下、最終炉内酸素濃度0.1ppb以下の低酸素濃度とした不活性ガス雰囲気などで、炭素繊維吸着金属粉末に含まれる樹脂を除去する。ここで、「初期」とは、金属粉末の所定温度での加熱開始時のことを指し、「最終」とは所定温度での加熱終了時のことを指す(以下説明する、焼結工程についても同じ)。加熱処理は、加熱温度350〜500℃、保持時間1〜24時間で行うことが好ましい。加熱温度が350℃より低い場合や保持時間が1時間より短い場合は樹脂の除去が不十分となる。また、加熱温度が500℃より高い場合や保持時間が24時間より長い場合は金属粉末(鱗片粉)に含まれるMgによるAl酸化物の還元が進み、その結果、金属粉末に過度のMg酸化物が生成する。したがって、いずれの場合も得られるアルミニウム基複合材の機械的特性が低下する。加熱処理工程後の炭素繊維吸着金属粉末に含まれる残存樹脂量は、熱重量分析(例えば、BRUKER製、型式TG−DTA2000SA)によって測定することができる。また、加熱処理工程後の炭素繊維吸着金属粉末に含まれる酸素量は不活性ガス融解法で測定でき、酸素量の好ましい範囲は4質量%以下である。
[圧粉体成形工程:ステップ109]
必要に応じて、炭素繊維吸着金属粉末の圧粉体を成形する(ステップ109)。圧粉体成形工程は、ステップ108(加熱処理工程)で得られた炭素繊維吸着金属粉末を、プレス機などを用いて低温で加圧成形し圧粉体を得る工程である。この時の好ましい条件は、温度は300℃以下で、圧力は200〜800MPaである。この成形処理により圧粉体の相対密度が増加するため、次工程の焼結時間を短縮することができる。なお、圧粉体成形工程は、必ずしも必須の工程ではない。
[焼結工程:ステップ110]
樹脂を除去した炭素繊維吸着金属粉末または上記圧粉体成形工程で得られた圧粉体のバルク化を行うため、焼結処理を行う(ステップ110)。焼結は、初期炉内酸素濃度1000ppm以下、最終炉内酸素濃度0.1ppb未満の不活性ガス雰囲気中で加熱して570〜620℃で2〜10時間の条件で行われる。この焼結処理では、金属粒子同士の固相接合が進む。この時、金属粒子表面を覆っているAl等のAl酸化物は、金属粒子に固溶しているMgによって還元されて除去され、Alが露出した金属新生面が現れるため、金属粒子同士の固相接合が促進される。この焼結工程では、加圧力をかけながら焼結を行うホットプレスやスパークプラズマ焼結を使ってもよい。また、この焼結工程において、上記酸処理工程で炭素繊維から遊離(分離)し、上記圧粉体成形工程において形成された圧粉体中に含まれる微小な炭素片がアルミニウムと反応して微小炭化アルミニウム粒子が形成される。
[成形工程:ステップ111]
得られた焼結体を例えば押出成形で加工する(ステップ111)。押出成形によって、アルミニウム基複合材の密度向上、基地組織の微細化、形状付与を行うことができる。なお、焼結体の加工方法としては押出成形に限定されず、鍛造、プレスなどの塑性加工方法を適用することも出来るが、高密度で均一な微細基地組織を得るためには、押出成形が適している。押出成形の好ましい条件は、被加工体である焼結体の加熱温度が350〜500℃、押出比が20〜30、押出速度が0.5〜10.0mm/sである。加熱温度が350℃より低いと組成流動性が低く、500℃より高いと動的再結晶が進んで結晶粒が成長し強度が低下する。押出比が20より小さいと高密度が得られず、30より大きいと押出成形することは困難である。押出速度が0.5mm/sより小さいと生産性が低下し、10.0mm/sより大きいと、動的再結晶が進んで結晶粒が成長し強度が低下する。なお、押出比は、下記式で算出することができる。
R=A0/A
ここで、
R:押出比
A0:押出前の被加工体(焼結体)の押出方向に直交する方向の断面積
A:押出後の被加工体の押出方向に直交する方向の断面積
このように本発明に係るアルミニウム基複合材は、その製造過程中の炭素繊維スラリー形成工程において、炭素繊維等の分散に第1の高分子分散剤を用いることで、炭素繊維等の大きさを維持するとともにアスペクト比の低下を抑制することができる。加えて、炭素繊維スラリー形成工程において第1の高分子分散剤を、金属粉末スラリー形成工程において第2の高分子分散剤を使用することにより、炭素繊維等をより均一に分散させることができる。さらに、押出成形工程において、焼結体の加熱温度、押出比および押出速度を適切に制御して焼結体(被加工体)を低ひずみ状態で押出成形することにより形成されているので、基地組織を構成する柱状金属結晶粒が微細化され、優れた引張強度と伸びが両立したアルミニウム基複合材を具現することができる。また、炭素繊維の酸処理工程においても、適切な条件で炭素繊維を酸処理することにより、炭素繊維に付着する官能基の量および炭素繊維のダメージを制御するとともに、微小炭化アルミニウム粒子を形成するための炭素源である炭素繊維から遊離(分離)する炭素片の量も制御しているので、生成した微小炭化アルミニウム粒子のピン止め効果により基地組織を構成する柱状金属結晶粒の更なる微細化を図ることができる。
次に、実際に各種条件によってアルミニウム基複合材を作製し、基地組織の状態や機械的特性等を評価した。
(実施例1)
実施例1では、Mg4.52質量%−Mn0.66質量%−Fe0.21質量%−残部Alおよび不可避不純物からなる金属粉末を使用し形成した基地組織に炭素繊維が分散されたアルミニウム基複合材を以下のように作製した。なお、以下説明する各実施例および各比較例において、水準を変更した製造条件は、表1に示すとおりである。
[炭素繊維準備工程]
炭素繊維としてカーボンナノファイバー(昭和電工社製VGCF(登録商標)、平均外径150nm、平均長さ6μm、純度99%以上)を用いた。この炭素繊維をラマン分光装置(レニショー製、型式inVia Qontor)で分析し、1350cm−1付近のDバンドと呼ばれるピークの強度Idと、1570cm−1付近のGバンドと呼ばれるピークの強度Igの比(Id/Ig)を確認したところ、0.03であった。なお、以下説明する炭素繊維のId/Igについても、同様な方法で確認した。
[炭素繊維酸処理工程]
次に、炭素繊維の酸処理を行うため、硫酸150gと硝酸50gを混合して酸液を調合し、その中に炭素繊維を2g添加して、70℃に加熱したウォーターバススターラー(アズワン製、型式EWS100RD)内にて温浴し、100rpmで、表1に示すように60分間撹拌した。
その後、純水およびエタノールで炭素繊維を洗浄し、吸引濾過して80℃で乾燥し、カルボキシル基が表面に形成された炭素繊維を得た。酸処理後の炭素繊維のId/Igを確認したところ、0.47であった。
[炭素繊維スラリー形成工程]
次に、表1に示すように、第1の高分子分散剤としてPDDA(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド)を使用するため、PDDA水溶液(シグマ−アルドリッチ製、濃度20質量%)、純水を用意した。また、スラリー形成のため、マグネットスターラー(アズワン製、型式CS−180)とホモジナイザー(ブランソン製、型式DCX S20:1.25)を用意した。純水200mlにPDDA水溶液を10g(添加されるPDDAが2.0gとなる量)添加した溶液に、前述した酸処理後の炭素繊維を2g添加して、マグネットスターラーで攪拌処理しつつ超音波処理を行い、炭素繊維含有スラリーを得た。なお、マグネットスターラーにおける攪拌処理の条件は攪拌回転子長さ40mm、回転数600rpmであり、超音波処理の条件は、720Wで10分→360Wで2時間→720Wで10分とした。
上記炭素繊維含有スラリーを、直径90mmで目開きが1μmのメンブレンフィルターを用いて濾過した。濾過ののち、1Lの純水を5回に分けて濾紙上に供給し、濾紙上の炭素繊維の洗浄を行った。洗浄ののち、濾紙上の炭素繊維を200mlの純水に再度分散し、炭素繊維スラリーを得た。
[金属粉末準備工程]
表1に示すように、金属粉末としては、Mg4.52質量%−Mn0.66質量%−Fe0.21質量%−残部Alおよび不可避不純物からなる粒径(D50)が約10μmのアトマイズ粉を用いた。なお、上記アトマイズ粉の成分は、ICP発光分析法(島津製作所製、型式ICPS−8100)で確認した。なお、本実施例では、後述するように金属粉末を鱗片化処理し鱗片粉を形成するので、本工程で準備される金属粉末(アトマイズ粉)は、鱗片粉のための原料である(以下説明する他の実施例および比較例について同様)。
[金属粉末鱗片化工程]
上記アトマイズ粉を鱗片化処理した。エタノール、助剤としてのチタネート(味の素ファインテクノ製、型式プレンアクト238S)およびボールミル(ユニオンプレス製アトライター、型式HD−01)を用意した。エタノール300mlにチタネートを7g添加した後、上記アトマイズ粉を220g(アトマイズ粉100質量部に対し、チタネート3.2質量部)添加し、鋼球(SUJ2、直径10mm、総量で3.25kg)を使用したボールミルにて366rpmで5時間処理した。
なお、鱗片化処理は、略球形の金属粒子を偏平化させて平らに押しつぶした形状にするものである。鱗片化処理の際のチャンバー内の温度は15℃であり、また、チャンバー雰囲気の室温は20℃、湿度は50%であり、露点温度は9.3℃であった。すなわち、チャンバー内を露点以上、20℃以下の温度で鱗片化処理を行った。
鱗片化工程の後、懸濁液を取り出し、大気中で85℃、2時間乾燥し、比表面積約4.5m/gの鱗片粉を得た。鱗片粉の比表面積は比表面積計(島津製作所製、型式トライスターII3020)で測定した。
[金属粉末スラリー形成工程]
次に、金属粉末スラリーを形成した。表1に示すように、純水および第2の高分子分散剤としてPSSNa(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)を使用するため、PSSNa水溶液(シグマ−アルドリッチ製、濃度30質量%)を用意した。純水1000mlを撹拌しながらPAA水溶液を3.3g(添加するPSSNaが1.0g)添加して、95℃、1100rpmで1時間撹拌を行った。
その後10℃まで冷却し、上記PSSNaを添加した水溶液1000mlに、前述した鱗片粉110gを添加し、200rpmで60分間撹拌することで、金属粉末含有スラリーを得た。
上記金属粉末含有スラリーを、直径180mmの濾紙を用いて濾過した。濾過の後、1Lの純水を5回に分けて濾紙上に供給し、濾紙上の金属粉末の洗浄を行った。洗浄の後、濾紙上の金属粉末を1000mlの純水に再度分散し、金属粉末スラリーを得た。
[炭素繊維吸着工程]
次に、鱗片粉(金属粉末)に炭素繊維を吸着させた。上記した金属粉末スラリー(鱗片粉量100g)を、スターラー(東京硝子器械製、型式F−205D)を用いて750rpmで撹拌しながら、上記した炭素繊維スラリー200mlを添加し、鱗片粉に炭素繊維を吸着させ、炭素繊維が吸着した鱗片粉を得た。
[炭素繊維吸着金属粉末洗浄工程]
次に、炭素繊維が吸着した上記鱗片粉に純水およびエタノールを加えながら吸引濾過し、濾紙に残った鱗片粉を85℃で乾燥した。
[加熱処理工程]
次に、粉末洗浄工程後の鱗片粉を、熱処理炉内雰囲気をアルゴン雰囲気(初期炉内酸素濃度312ppm、最終炉内酸素濃度0.1ppb)にて450℃で2時間加熱処理し、当該鱗片粉からPDDAならびにPAAを除去した。
[圧粉体成形工程]
次に、200℃に加熱した内径40mmのプレス用金型に加熱処理工程後の鱗片粉を70g充填して、2000kNのプレス機(アサイ産業製、型式EFP−200)を用い、圧力400MPaで加圧し、直径40mm、高さ22mmの圧粉体を得た。
[焼結工程]
次に、得られた圧粉体を、熱処理炉において、初期炉内酸素濃度300ppm、最終炉内酸素濃度0.1ppb未満のアルゴン雰囲気中、600℃で、10時間保持して焼結体を得た。
[押出成形工程]
次に、2000kNのプレス機(アサイ産業製、型式EFP−200)、図5に示す押出用金型10を用いて押出成形を行った。押出用金型10は、入側の内径(図中A)が40.5mm、出側の内径(図中B)が8.9mmで、ダイス角度(図中C)は45°である。直径40mm、高さ22mmの焼結体を、450℃で予熱した後、450℃に加熱した押出用金型10に挿入して、押出比20、押出速度5mm/sで押出成形を行った。
上記のようにして作製された実施例1のアルミニウム基複合材の組織特性を確認した。まず、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等の円相当径の平均値は、次のようにして求めた(以下説明する他の実施例および比較例でも、同様な方法で確認した)。任意に選択した5つの断面の、各断面において任意の5視野を視野サイズ31.8×23.9μmで走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM、日立製、型式SU−70)にて撮像し、当該5視野それぞれについてEDXマッピングによりC(炭素)の分布を取得した。そして、各視野について、画像解析ソフト「AT−image」により、画素サイズ12.5nm/ピクセルでCの元素マッピングを行い、視野中における各画素の輝度を、当該画素位置におけるCの濃度に比例させたCの分布像を作成した。そのCの分布像を微分し、輝度変化(すなわちCの濃度変化)が最も大きい外周部に存在する画素を結んだ閉曲線を求める輪郭線抽出処理を行った。この閉曲線が、炭素繊維等の外周縁の輪郭線であり、閉曲線の内部が炭素繊維等であると特定することができる。そして、得られた閉曲線の内部の面積から円相当径を算出し、各視野に含まれる個々の炭素繊維等の円相当径を算出した。そして、任意に選択した5つの断面の、各断面において5視野の各々に含まれる個々の炭素繊維等の円相当径を求め、得られた結果のうち円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等の円相当径を平均し、平均値を算出した。実施例1のアルミニウム基複合材における、任意の5つの断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等の円相当径の平均値は、表2の「円相当径(平均値)」の欄に示すように0.3μmであった。また、任意の5つの断面における、円相当径が1.0μm以上の凝集部の面積率の平均値も同様に確認した。実施例1のアルミニウム基複合材では、表2の「粗大凝集部 面積率(平均値)」の欄に示すように2.0%であった。
任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のうち隣接する炭素繊維等の重心間距離の分布の標準偏差の平均値は、次のようにして確認した(以下説明する他の実施例および比較例でも、同様な方法で確認した)。上記と同様に、任意に選択した5つの断面の、各断面において任意の5視野の各視野で特定された円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等について、相互間の距離が最も近い炭素繊維等同士を隣接する炭素繊維等とし、視野ごとに各々の炭素繊維等の重心(上記した閉曲線内の重心)を求め、隣接する炭素繊維等の間の重心間距離を求めた。そして、断面ごとに、その5つの視野における重心間距離の分布の標準偏差を求め、任意に選択した5つの断面の、各断面の標準偏差を平均することで、5つの断面の重心間距離の分布の標準偏差の平均値とした。実施例1のアルミニウム基複合材における、任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のうち隣接する炭素繊維等の重心間距離の断面ごとの分布の標準偏差の平均値は、表2の「重心間距離の標準偏差(平均値)」の欄に示すように1.3μmであった。また、任意の複数の断面における、当該断面ごとの上記標準偏差の最大値と最小値の差も同様にして確認した。実施例1のアルミニウム基複合材では、表2の「重心間距離 標準偏差(最大−最小)」の欄に示すように0.3μmであった。
任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のアスペクト比の平均値は、次のようにして確認した(以下説明する他の実施例および比較例でも、同様な方法で確認した)。上記と同様に任意に選択した5つの断面の、各断面において任意に選択した5視野の各視野で特定された円相当径が0.1μm以上の炭素繊維について、上記説明したとおりに炭素繊維等の面積Sと輪郭長Lとを個々に求め、(L/(4×S))を算出し、算出された値を当該炭素繊維等のアスペクト比とした。そして、任意に選択した5つの断面の、各断面において5視野の各々に含まれる円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のアスペクト比を求め、得られた結果を平均することで、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のアスペクト比の平均値を求めた。実施例1のアルミニウム基複合材における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のアスペクト比の平均値は、表2の「アスペクト比(平均値)」の欄に示すように8.4であった。
また、実施例1のアルミニウム基複合材について、機械的特性を評価した。機械的特性は、押出成形後のアルミニウム基複合材から加工して作製した図6に示す下記寸法の試験片11を用い、JIS Z2241に準拠し、クロスヘッド速度が1mm/minとなるよう設定した万能試験機(インストロン製、型式5982)で引張試験を行って求めた。試験片の中心軸と、押出成形の押出方向は一致させた。なお、以下説明する実施例および比較例でも、アルミニウム基複合材の機械的特性は、同様な方法で確認した。表2に示すように、実施例1の機械的特性は、ヤング率84.9GPa、引張強さ399.7MPa、伸び5.5%であった。
試験片形状
全長 L=67mm
標点距離 L=25mm
平行部長さ L=31mm
径 d=5mm±0.02mm
肩部半径 R=3mm
掴み部長さ L=15mm
掴み部径 d=7.8mm
(実施例2および実施例3)
表1に示すように、実施例2では、炭素繊維酸処理工程における攪拌時間を30分とし、第1の高分子分散剤はPEI(ポリエチレンイミン)とし、PEI水溶液(シグマ−アルドリッチ製、濃度50質量%)を使用し、第2の高分子分散剤はPAA(ポリアクリル酸)とし、PAA水溶液(シグマ−アルドリッチ製、濃度50質量%)を使用し、他の条件は実施例1と同様にしてアルミニウム基複合材を作成した。また、実施例3では、第1の高分子分散剤は実施例1と同一のPDDA、第2の高分子分散剤は実施例2と同一のPAAとし、各々上記と同一の水溶液を使用し、他の条件は実施例1と同様にしてアルミニウム基複合材を作成した。上記した方法で確認した実施例2および実施例3のアルミニウム基複合材の組織特性および機械的特性を表2に示す。
(比較例1)
表1に示すように、比較例1では、炭素繊維スラリー形成工程で使用する分散剤を低分子分散剤であるタケサーフ(登録商標、竹本油脂製、型式タケサーフD8004)とし、純水200mlに対し添加量1gとなるよう添加した。また、金属粉末スラリー形成工程で添加する分散剤を高分子分散剤であるPVAとし、純水1000mlに対し添加量30gとなるよう添加した。そして、他の条件は実施例1と同様にしてアルミニウム基複合材を作成した。上記した方法で確認した比較例1のアルミニウム基複合材の組織特性および機械的特性を表2に示す。
(比較例2〜5)
表1に示すように、比較例2〜5では、Al金属粉に含まれるMg量およびCNT量の水準を変化させ、他の条件は実施例1と同様にしてアルミニウム基複合材を作成した。上記した方法で確認した比較例2〜5のアルミニウム基複合材の組織特性および機械的特性を表2に示す。
Figure 2021165421
Figure 2021165421
本発明に係る実施例1〜3では、いずれも、炭素繊維スラリー形成工程において、分散剤として高分子分散剤を用いることで、得られたアルミニウム基複合材の円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等の円相当径の平均値が0.2μm以上となり、この炭素繊維等のうち隣接する炭素繊維等の間の重心間距離の分布の標準偏差の平均値が1.8μm以下となった。このため、いずれの実施例においても、得られたアルミニウム基複合材のヤング率が82GPa以上、引張強度が350MPa、伸びが5%以上となった。このように、本実施例の元素組成からなる基地組織を有するアルミニウム基複合材の場合に、引張強度、伸びおよびヤング率のいずれもが一定以上の値を示す優れた機械的特性を有するアルミニウム基複合材を実現できることが判った。なお、上記した炭素繊維等の分散処理における高分子分散剤の説明から理解できるように、炭素繊維等の分散度合は、基地組織を構成するアルミニウム合金が上記実施例の元素組成の場合に限定されず、Mg:0.5〜7質量%、残部Alおよび不可避不純物からなる場合にも有効に作用する。
一方で、炭素繊維の分散処理において、一般的な低分子分散剤を用いた比較例1で得られたアルミニウム基複合材は、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等の円相当径の平均値は0.5μmで本発明の範囲内であるが、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維等のうち隣接する炭素繊維等の間の重心間距離の分布の標準偏差の平均値が2.1μmで本発明の範囲外となり、所望の機械的特性を有するアルミニウム基複合材を得ることができなかった。また、Mgおよび炭素繊維量が過少または過多な比較例2〜5で得られたアルミニウム基複合材は、所望の機械的特性を得ることができなかった。なお、比較例2では、得られたアルミニウム基複合材について、実施例1と同様に機械的特性を評価するために、図6に示す試験片の加工を行ったところ、強度が弱く、加工を行うことができなかった。このため、組織特性および機械的特性を評価することができなかった。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………炭素繊維等
1a、1b、1c………炭素繊維片
2………炭素繊維
3………凝集部
4………低分子分散剤
5………高分子分散剤
6………基地組織
7………金属粒子
9………高分子分散剤
10………押出用金型
11………試験片

Claims (5)

  1. 強化材である炭素繊維を基地組織中に含有するアルミニウム基複合材であって、
    前記炭素繊維を1〜5質量%有し、
    前記基地組織は、Mg0.5〜7質量%、残部Alおよび不可避不純物からなり、
    任意の複数の断面における、円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部の円相当径の平均値が0.2μm以上であり、
    前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のうち、隣接する炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部の間の重心間距離の前記断面ごとの分布の標準偏差の平均値が1.8μm以下であることを特徴とするアルミニウム基複合材。
  2. 任意の複数の断面における、前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のうち、円相当径が1.0μm以上の凝集部の面積率の平均値が4%以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム基複合材。
  3. 任意の複数の断面における、当該断面ごとの前記標準偏差の最大値と最小値の差が0.7μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム基複合材。
  4. 前記炭素繊維がカーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のアルミニウム基複合材。
  5. 任意の複数の断面における、前記円相当径が0.1μm以上の炭素繊維または複数の炭素繊維からなる凝集部のアスペクト比の平均値が8以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のアルミニウム基複合材。
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