JP2021163867A - 圧電体膜付き積層基板及び圧電振動子 - Google Patents

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信幸 曽山
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Abstract

【課題】基板に金属原子が拡散しにくく、かつ基板と電極とが剥離しにくい圧電体膜付き積層基板及び圧電振動子を提供する。【解決手段】基板と、前記基板の上に形成された酸化ジルコニウム層と、前記酸化ジルコニウム層の上に形成された第一電極層と、前記第一電極層の上に形成された圧電体膜とを備え、前記圧電体膜は、カリウム、ナトリウム及びニオブを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含み、前記酸化ジルコニウム層は、酸化ジルコニウムマトリックスと、前記酸化ジルコニウムマトリックスに分散された酸化ジルコニウム粒子とを含む圧電体膜付き積層基板。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電体膜付き積層基板及び圧電振動子に関する。
圧電振動子は、アクチュエータや超音波デバイスなどのMEMS(Micro Electro Mechanical System)と呼ばれる装置に利用されている。圧電振動子は、一般に、圧電体膜と、圧電体膜の上下の表面に備えられた一対の電極とを備える。圧電体膜の材料としては、KNN(ニオブ酸ナトリウムカリウム:KNaNbO)などの非鉛系の圧電材料が知られている。
圧電振動子は、例えば、基板の上に、電極と圧電体膜とを形成して、圧電体膜付き積層基板を得て、次いで、圧電体膜付き積層基板の圧電体膜の上に電極を形成することによって製造されている。圧電体膜の成膜方法としては、一般に、ゾルゲル法(化学溶液堆積法(CSD法)ともいう)やスパッタリング法が用いられている。ゾルゲル法は、圧電材料を含むゾルゲル液を電極の上に塗布し、得られた塗布膜を加熱することによって圧電体膜とする方法である。
圧電振動子では、圧電体膜中の金属原子が電極を透過して、基板にまで拡散することがある。例えば、KNNを含むKNN系圧電体膜をゾルゲル法によって成膜すると、塗布膜の加熱時にKNNに含まれているアルカリ金属原子(K、Na)が拡散することがある。この金属原子の拡散を防止するために、基板と電極との間に金属原子の拡散防止層を設けることが検討されている。拡散防止層としては、例えば、スパッタリング法により形成した酸化アルミニウム、あるいはスパッタリング法により形成したジルコニウムを熱酸化させて生成させた酸化ジルコニウムが検討されている(特許文献1、2)。
特開2013−80786号公報 特開2016−192511号公報
ところで、アクチュエータとして用いる圧電振動子では、可動領域を広くするために圧電体膜の厚みが厚いことが望ましい。厚さの厚いKNN系圧電体膜をゾルゲル法によって成膜すると、加熱時に拡散するアルカリ金属原子の量が増加する傾向がある。一方、アクチュエータとして用いる圧電振動子では、アルカリ金属原子などの金属原子の拡散によって、基板の表面形状が変化すると、微細な制御が困難となるなどの弊害が生じる。このため、アクチュエータとして用いる圧電振動子では、基板に金属原子が拡散しないように、金属原子の拡散防止阻止能力(バリア性)が高い拡散防止層が必要となる。しかしながら、特許文献1、2に記載されている従来のスパッタリング法により形成された拡散防止層は、バリア性が十分でない場合があり、また基板と電極との間に拡散防止層を設けると、基板と電極とが剥離する場合があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、基板に金属原子が拡散しにくく、かつ基板と電極とが剥離しにくい圧電体膜付き積層基板及び圧電振動子を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の圧電体膜付き積層基板は、基板と、前記基板の上に形成された酸化ジルコニウム層と、前記酸化ジルコニウム層の上に形成された第1電極層と、前記第一電極層の上に形成された圧電体膜とを備え、前記圧電体膜は、カリウム、ナトリウム及びニオブを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含み、前記酸化ジルコニウム層は、酸化ジルコニウムマトリックスと、前記酸化ジルコニウムマトリックスに分散された酸化ジルコニウム粒子とを含む。
この構成の圧電体膜付き積層基板によれば、酸化ジルコニウム層は、酸化ジルコニウムマトリックスと酸化ジルコニウム粒子とを含むので、スパッタリング法によって形成された酸化ジルコニウム層と比較してバリア性が向上する。また、酸化ジルコニウム層は、硬度が低く柔軟となるため、基板及び第一電極層と酸化ジルコニウム層との密着性が向上する。したがって、この構成の圧電体膜付き積層基板は、基板に金属原子が拡散しにくく、かつ基板と第一電極層とがより剥離しにくくなる。
ここで、本発明の圧電体膜付き積層基板において、酸化ジルコニウム層は、ゾルゲル膜であることが好ましい。
この場合、酸化ジルコニウム層はゾルゲル膜とされているので、スパッタリング法によって形成された酸化ジルコニウム層と比較して、酸化ジルコニウム層を構成する酸化ジルコニウムの結晶内に酸素欠損などの欠損が生じにくい。このため、酸化ジルコニウム層のバリア性がより向上する。
また、本発明の圧電体膜付き積層基板において、前記酸化ジルコニウム層と前記第一電極層との間に酸化チタン層が備えられていることが好ましい。
この場合、酸化チタン層は、酸化ジルコニウム層と第一電極層とに対する密着性が高いので、基板及び第一電極層と酸化ジルコニウム層との密着性がより向上する。
また、本発明の圧電体膜付き積層基板において、前記酸化ジルコニウム層は、炭素の含有量が0.01at%以上5.0at%以下の範囲内にあり、ジルコニウムに対する炭素の含有量が原子比で0.01以上0.1以下の範囲内にあってもよい。
この場合、炭素は金属原子を捕捉する作用を有するので、酸化ジルコニウム層のバリア性がさらに向上する。
本発明の圧電振動子は、上記の圧電体膜付き積層基板と、前記圧電体膜付き積層基板の前記圧電体膜の上に形成された第二電極層とを備える。
この構成の圧電振動子によれば、圧電振動子が上述の圧電体膜付き積層基板を含むので、基板に金属原子が拡散しにくく、かつ基板と電極とが剥離しにくい。
本発明によれば、基板に金属原子が拡散しにくく、かつ基板と電極とが剥離しにくい圧電体膜付き積層基板及び圧電振動子を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る圧電振動子の概略断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る圧電体膜付き積層基板及び圧電振動子について、添付した図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧電振動子の概略断面図である。
図1に示すように、圧電振動子10は、基板11の上に、酸化ジルコニウム層12、酸化チタン層13、第一電極層14、KNN系圧電体膜15、第二電極層17がこの順で積層された積層体である。基板11、酸化ジルコニウム層12、酸化チタン層13、第一電極層14及びKNN系圧電体膜15は、圧電体膜付き積層基板16を構成する。
基板11としては、例えば、シリコン基板、ステンレス鋼基板、アルミナ基板等を用いることができる。シリコン基板を用いる場合は、シリコン基板のKNN系圧電体膜15を形成する側の表面を熱酸化させて、表面に熱酸化層(SiOx層)を形成してもよい。熱酸化層は、パッシベーション膜として作用すると共に、酸化ジルコニウム層12との密着性を向上させる作用がある。熱酸化層の膜厚は、10nm以上200nm以下の範囲内にあることが好ましい。
酸化ジルコニウム層12は、基板11への金属原子の拡散防止層として作用する。酸化ジルコニウム層12は、酸化ジルコニウムマトリックスと、酸化ジルコニウムマトリックスに分散された酸化ジルコニウム粒子とを含む構成とされている。スパッタリング法により形成されたスパッタ膜は、一般に、柱状に延びた柱状結晶を有する多結晶体から構成されていている。この多結晶体のみから構成されたスパッタ膜では、粒界の隙間を通って金属原子がスパッタ膜内を拡散することがある。これに対して、酸化ジルコニウムマトリックスと酸化ジルコニウム粒子とを含む酸化ジルコニウム層12は、酸化ジルコニウム粒子同士の間を酸化ジルコニウムマトリックスが埋めるので、隙間ができにくい。このため、この酸化ジルコニウム層12は、スパッタリング法によって形成された酸化ジルコニウム層と比較してバリア性が向上する。また、この酸化ジルコニウム層12は、相対的に硬度が高い酸化ジルコニウム粒子と、相対的に硬度が低い酸化ジルコニウムマトリックスとを含むため、層全体としての硬度は、多結晶体のみから構成されたスパッタ膜と比較して低くなり、柔軟となる。このため、基板11及び第一電極層14と酸化ジルコニウム層12との密着性が向上する。
酸化ジルコニウム層12はゾルゲル膜であることが好ましい。ゾルゲル膜はゾルゲル法で成膜された膜を意味する。ゾルゲル膜とすることによって、酸化ジルコニウム層12を構成する酸化ジルコニウムの結晶内に酸素欠損などの欠損が生じにくくなる。このため、この酸化ジルコニウム層12は、酸化ジルコニウム結晶内の酸素欠損を介して金属イオンが拡散することが起こりにくい。よって、バリア性がより向上する。酸化ジルコニウム層12の膜厚は、20nm以上300nm以下の範囲内にあることが好ましく、50nm以上200nm以下の範囲内にあることがより好ましい。
酸化ジルコニウム層12は、炭素(C)を含有していてもよい。炭素の形態については特に制限ない。炭素は、炭化物、酸化炭素、炭化ジルコニウム及びこれらの複合体のいずれの形態であってもよい。炭素は、ゾルゲル法で酸化ジルコニウム層12を形成する際に用いるゾルゲル液中の有機化合物の焼成残分であってもよい。炭素は、金属原子を捕捉して、酸化ジルコニウム層12のバリア性をより向上させる作用がある。酸化ジルコニウム層12の炭素の含有量は、ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、炭素(C)の合計原子量に対する量として、0.01at%以上5.0at%以下の範囲内にあることが好ましく、0.20at%以上5.0at%以下の範囲内にあることがより好ましい。また、ジルコニウムに対する炭素の含有量(C/Zr)は、原子比で0.01以上0.1以下の範囲内にあることが好ましい。
酸化チタン層13は、酸化ジルコニウム層12と第一電極層14とを接続するバインダとして作用する。酸化チタン層13は、酸化ジルコニウム層12と第一電極層14とに対する密着性が高い。このため、酸化チタン層13が介在することによって、酸化ジルコニウム層12と第一電極層14とが剥離しにくくなる。酸化チタン層13の膜厚は、3nm以上30nm以下の範囲内にあることが好ましく、8nm以上25nm以下の範囲内にあることが好ましい。
第一電極層14は、白金、イリジウムなどの圧電振動子の電極として利用されている金属を含むものであってもよい。第一電極層14は、白金を含むことが好ましい。白金は高温でも安定で、電気伝導が高く、周波数特性に優れているためである。第一電極層14は、厚さが50nm以上300nm以下の範囲内にあることが好ましい。
KNN系圧電体膜15は、カリウム、ナトリウム、ニオブを含み、ペロブスカイト構造を有するKNN系圧電材料を含む。KNN系圧電材料は、ペロブスカイト構造のAサイトに主としてカリウム、ナトリウムが配置され、Bサイトに主としてNbが配置されている複合酸化物である。Nbの一部は、他の元素で置換されていてもよい。他の元素としては、Mn、Cr、Cu、Fe、Pd、Ti、Vなどを挙げることができる。KNN系圧電材料は、下記の式(1)で表される複合酸化物であることが好ましい。
(KNa1−xNbO・・・(1)
式(1)中、xは、0<x<1を満足する数を表す。Xは、0.3<x<0.7を満足する数であることが好ましく、0.4<x<0.6を満足する数であることが特に好ましい。aは、0.90<a<1.1を満足する数を表す。
KNN系圧電体膜15の膜厚は、300nm以上5000nm以下の範囲内にあることが好ましい。
第二電極層17は、第一電極層14と同様に、白金、イリジウムなどの圧電振動子の電極として利用されている金属を含むものであってもよい。第二電極層17は、厚さが50nm以上300nm以下の範囲内にあることが好ましい。
次に、本実施形態の圧電振動子10の製造方法を説明する。
圧電振動子10の製造方法は、酸化ジルコニウム層形成工程と、酸化チタン膜形成工程と、第一電極形成工程と、KNN系圧電体膜形成工程と、第二電極形成工程と、を含む。
酸化ジルコニウム層形成工程では、基板11の上に酸化ジルコニウム層12を成膜する。酸化ジルコニウム層12の成膜方法としては、ゾルゲル法を用いることができる。例えば、酸化ジルコニウム層12は、酸化ジルコニウムゾルゲル液を基板11に塗布し、得られた塗布膜を仮焼、焼成する方法によって成膜することができる。塗布膜(酸化ジルコニウムゾルゲル液)の仮焼により、酸化ジルコニウムゾルゲルが酸化して、酸化ジルコニウムマトリックスが生成する。その後の焼成により、酸化ジルコニウムマトリックス中に酸化ジルコニウム粒子が生成する。酸化ジルコニウムゾルゲル液は、例えば、ジルコニウムのアルコキシドもしくはカルボン酸塩などの有機ジルコニウム化合物を、有機溶媒中、安定化剤の存在化で加熱して、酸化ジルコニウムゾルゲルを生成させることによって調製することができる。酸化ジルコニウム層12の炭素含有量は、酸化ジルコニウムゾルゲルの濃度を変量することによって調整できる。
酸化チタン膜形成工程では、酸化ジルコニウム層12の上に酸化チタン層13を成膜する。酸化チタン層13の成膜方法としては、酸化ジルコニウム層12の上にチタン層を、スパッタリング法で形成し、次いで、得られたチタン層を酸化させる方法を用いることができる。
第一電極形成工程では、酸化チタン層13の上に第一電極層14を形成する。第一電極層14の形成方法としては、例えば、スパッタリング法や蒸着法など圧電振動子の電極の形成方法として利用されている各種の方法を用いることができる。
KNN系圧電体膜形成工程では、第一電極層14の上にKNN系圧電体膜15を成膜する。KNN系圧電体膜15の成膜方法としては、ゾルゲル法を用いることができる。例えば、KNN系圧電体膜15は、KNNゾルゲル液を第一電極層14に塗布し、得られた塗布膜を加熱、焼成する方法によって成膜することができる。KNNゾルゲル液は、例えば、カリウム、ナトリウム及びニオブのアルコキシドもしくはカルボン酸塩を、KNN系圧電体を生成する割合で含む混合物を、有機溶媒中、安定化剤の存在化して加熱することによって調製することができる。KNN系圧電体膜形成工程では、所望の膜厚のKNN系圧電体膜が得られるまで、KNNゾルゲル液を塗布し、得られた塗布膜を加熱、焼成する工程を繰り返し行なう。
第二電極形成工程では、KNN系圧電体膜15の上に第二電極層17を形成する。第二電極層17の形成方法としては、第一電極層14の場合と同様に、スパッタリング法や蒸着法など圧電振動子の電極の形成方法として利用されている各種の方法を用いることができる。
以上のような構成とされた本実施形態の圧電体膜付き積層基板16によれば、酸化ジルコニウム層12は、酸化ジルコニウムマトリックスと酸化ジルコニウム粒子とを含むので、スパッタリング法によって形成された酸化ジルコニウム層と比較して、バリア性が向上する。また、酸化ジルコニウム層12は、硬度が低く柔軟となるため、基板及び第一電極層と酸化ジルコニウム層との密着性が向上する。したがって、本実施形態の圧電体膜付き積層基板16は、基板11に金属原子が拡散しにくく、かつ基板11と第一電極層14とがより剥離しにくくなる。
また、本実施形態の圧電体膜付き積層基板16において、酸化ジルコニウム層12が、ゾルゲル膜である場合、スパッタリング法によって形成された酸化ジルコニウム層と比較して、酸化ジルコニウム層を構成する酸化ジルコニウムの結晶内に酸素欠損などの欠損が生じにくい。このため、酸化ジルコニウム層12のバリア性がより向上する。
また、本実施形態の圧電体膜付き積層基板16において、酸化ジルコニウム層12と第一電極層14との間に酸化チタン層13が備えられている場合、酸化チタン層13は、酸化ジルコニウム層12と第一電極層14とに対する密着性が高いので、基板11及び第一電極層14と酸化ジルコニウム層12との密着性がより向上する。
また、本実施形態の圧電体膜付き積層基板16において、酸化ジルコニウム層12の炭素の含有量が0.01at%以上5.0at%以下の範囲内にあり、ジルコニウムに対する炭素の含有量が原子比で0.01以上0.1以下の範囲内にある場合、炭素が金属原子を捕捉する効果を有するので、酸化ジルコニウム層12のバリア性がさらに向上する。
本実施形態の圧電振動子10によれば、本実施形態の圧電体膜付き積層基板16と、圧電体膜付き積層基板16のKNN系圧電体膜15の上に形成された第二電極層17とを備えるので、基板11に金属原子が拡散しにくく、かつ基板11と第一電極層14とが剥離しにくい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
[本発明例1]
(1)酸化ジルコニウムゾルゲル液の調製
フラスコに1−ブタノールとジルコニウム−n−ブトキシドと安定化剤を加えて、150℃のオイルバスで30分間還流を行なって酸化ジルコニウムゾルゲルを生成させた。還流後、アスピレーターを用いて0.015MPaまで減圧しながら蒸留することにより、未反応生成物を除去した。得られた液状組成物に1−ブタノールを、酸化ジルコニウムゾルゲルの濃度が5質量%になるように加えて希釈した。得られた希釈液をフィルターでろ過することにより残留物を取り除いて、酸化ジルコニウムゾルゲル液を調製した。
(2)KNNゾルゲル液の調製
フラスコに、2−エチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、安定化剤を、5:3:1:4のモル比で投入した後、150℃のオイルバスを用いて30分間還流を行なった。次いで、2−エチルヘキサン酸カリウムとエトキシニオブを加えて、ナトリウム、カリウム、ニオブを、モル比で0.5:0.5:1.0(=K:Na:Nb)の割合で含む混合物を生成させた後、150℃のオイルバスを用いて30分間還流を行なった。次いで、水と酢酸を加えて再び150℃30分間還流を行なってKNNゾルゲルを生成させた。還流後、アスピレーターを用いて0.015MPaまで減圧しながら蒸留することにより、副生成物や未反応の残留物を除去した。得られた液状組成物に2−エチルヘキサン酸を、KNNゾルゲルの濃度が10質量%となるように加えて希釈した。得られた希釈液をフィルターでろ過することにより残留物を取り除いて、KNNゾルゲル液を調製した。
(3)圧電体膜付き積層基板の作製
基板として、4インチのシリコン基板を用いた。シリコン基板の表面を熱酸化させて、厚さ500nmの熱酸化層(SiOx層)を形成した。
次に、熱酸化層の上に、酸化ジルコニウム層をゾルゲル法により成膜した。すなわち、熱酸化層の上に、上記(1)で調製した酸化ジルコニウムゾルゲル液をスピンコート法により塗布して塗布膜を形成した。その後、大気中(酸化性雰囲気中)にて、ホットプレートを用いて300℃の3分間仮焼し、次いでRTA装置を用いて10℃/secの昇温速度で700℃まで昇温した後、その温度で1分間焼成して、酸化ジルコニウム層を形成した。得られた酸化ジルコニウム層は、厚さが40nmであった。また、酸化ジルコニウム層は、酸化ジルコニウムマトリックスと、この酸化ジルコニウムマトリックスに分散された酸化ジルコニウム粒子とを含んでいた。
次に、酸化ジルコニウム層の上にチタン層を、DCスパッタリング法により形成した。その後、得られたチタン層を酸化させて、厚さが10nmの酸化チタン層を生成させた。得られた酸化チタン層の上に、DCスパッタリング法により厚さが100nmで(111)配向した白金製の第一電極を形成した。
次に、第一電極の上に上記(2)で調製したKNNゾルゲル液を、スピンコート法により塗布して塗布膜を形成した。その後、ホットプレートを用いて300℃の5分間仮焼し、次いでRTA装置を用いて10℃/secの昇温速度で700℃まで昇温した後、その温度で1分間焼成して、KNN系圧電体膜を形成した。このKNNゾルゲル液の塗布と焼成をKNN系圧電体膜の膜厚が1000nmとなるまで繰り返し行なった。こうして、基板、二酸化ケイ素層、酸化ジルコニウム層、酸化チタン層、第一電極、KNN系圧電体膜がこの順で積層されたKNN系圧電体膜付き基板を得た。
次に、KNN系圧電体膜の上に、DCスパッタリング法により厚さが100nmで(111)配向した白金製の第二電極を形成した。こうして、KNN系圧電振動子を作成した。なお、KNN系圧電体膜付き基板とKNN系圧電振動子はそれぞれ10個作製した。
[本発明例2〜4]
酸化ジルコニウム層の厚さを、下記の表1に記載されている膜厚としたこと以外は、本発明例1と同様にしてKNN系圧電振動子を作製した。
[本発明例5〜6]
酸化ジルコニウムゾルゲル液の酸化ジルコニウムゾルゲルの濃度を変量したこと以外は、本発明例4と同様にして、本発明例1と同様にしてKNN系圧電振動子を作製した。酸化ジルコニウムゾルゲルの濃度は、本発明例5は6質量%とし、本発明例6は4質量%とした。
[比較例1]
酸化ジルコニウム層をRFスパッタリング法により成膜したこと、酸化ジルコニウム層の上に、酸化チタン層を形成しなかったこと以外は、本発明例4と同様にしてKNN系圧電振動子を作製した。
[評価]
本発明例1〜6及び比較例1で得られたKNN系圧電体膜付き基板とKNN系圧電振動子を用いて、酸化ジルコニウム層の組成、バリア性、密着性を下記の方法により評価した。その結果を、下記の表1に示す。
(酸化ジルコニウム層の組成)
KNN系圧電振動子を樹脂に埋め、樹脂埋めしたKNN系圧電振動子を厚さ方向に平行に切断し、切断面を鏡面研磨した。酸化ジルコニウム層の切断面について、ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、炭素(C)の含有量を、AES(オージェ電子分光装置、アルバック・ファイ社製PHI700xi)を用いて測定した。Zr、O、Cの合計量に対するZr量とC量、及びZr量に対するC量の比C/Zrを表1に示す。
(バリア性)
10個のKNN系圧電体膜付き基板をそれぞれ樹脂に埋め、樹脂埋めしたKNN系圧電振動子を厚さ方向に平行に切断し、切断面を鏡面研磨した。切断面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、全てのKNN系圧電体膜付き基板において熱酸化層(SiOx層)に変質が見られなかった場合を「〇」とし、それ以外を「△」とした。また、熱酸化層に変質が見られない場合は、さらに酸化ジルコニウム層の下近辺のアルカリ成分(Na,K)を、AESを用いて測定し、アルカリ成分の原子量が0.5at%以下であるときは「◎」とした。
(密着性)
10個のKNN系圧電振動子をそれぞれ樹脂に埋め、樹脂埋めしたKNN系圧電振動子を厚さ方向に平行に切断し、切断面を鏡面研磨した。切断面を、SEMを用いて観察し、全てのKNN系圧電振動子において酸化ジルコニウム層と第一電極の間で剥離や亀裂が見られなかった場合を「〇」とし、それ以外を「△」とした。
Figure 2021163867
ゾルゲル法で成膜した酸化ジルコニウム層を備える本発明例1〜6の圧電振動子は、スパッタリング法で成膜した酸化ジルコニウム層を備える比較例1の圧電振動子と比較してバリア性と密着性が向上した。
10 圧電振動子
11 基板
12 酸化ジルコニウム層
13 酸化チタン層
14 第一電極層
15 KNN系圧電体膜
16 圧電体膜付き積層基板
17 第二電極層

Claims (5)

  1. 基板と、前記基板の上に形成された酸化ジルコニウム層と、前記酸化ジルコニウム層の上に形成された第一電極層と、前記第一電極層の上に形成された圧電体膜とを備え、
    前記圧電体膜は、カリウム、ナトリウム及びニオブを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物を含み、
    前記酸化ジルコニウム層は、酸化ジルコニウムマトリックスと、前記酸化ジルコニウムマトリックスに分散された酸化ジルコニウム粒子とを含む圧電体膜付き積層基板。
  2. 前記酸化ジルコニウム層は、ゾルゲル膜である請求項1に記載の圧電体膜付き積層基板。
  3. 前記酸化ジルコニウム層と前記第一電極層との間に酸化チタン層が備えられている請求項1または2に記載の圧電体膜付き積層基板。
  4. 前記酸化ジルコニウム層は、炭素の含有量が0.01at%以上5.0at%以下の範囲内にあり、ジルコニウムに対する炭素の含有量が原子比で0.01以上0.1以下の範囲内にある請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧電体膜付き積層基板。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧電体膜付き積層基板と、前記圧電体膜付き積層基板の前記圧電体膜の上に形成された第二電極層とを備える圧電振動子。
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