JP2021163565A - 色変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】変換効率を向上可能な色変換素子を提供する。【解決手段】色変換素子1は、基板2と、記基板2上に配置された蛍光部3であって、外部からのレーザー光Lを受光して、当該レーザー光Lとは異なる色の光を放出する蛍光部3と、蛍光部3における基板2側の主面に積層され、誘電体多層膜からなる反射層4と、反射層4と基板2との間に介在して、反射層4と基板2とを接合する接合部5とを備え、接合部5は、蛍光部3におけるレーザー光Lが照射される照射領域Rの少なくとも一部に平面視で重なる位置に、反射層4を露出させる空気層53を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、基板上に蛍光部が積層された色変換素子に関する。
例えば、プロジェクタなどの投影装置に用いられる蛍光体ホイール(色変換素子)においては、放熱性を高めるべく、蛍光部と基板とを熱伝導性接着剤で接合した技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
近年においては、色変換素子における発光強度を高めることが望まれている。
そこで本発明は、発光強度を向上可能な色変換素子を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る色変換素子は、回転自在な色変換素子であって、基板と、基板上に配置された蛍光部であって、外部からのレーザー光を受光して、当該レーザー光とは異なる色の光を放出する環状の蛍光部と、を備え、基板には、平面視で蛍光部に重なる位置及び蛍光部の近傍の少なくとも一方に複数の開口部が形成されている。
本発明に係る色変換素子によれば、発光強度を高めることができる。
以下では、本発明の実施の形態に係る色変換素子について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態等は、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本開示の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図においては、同じ構成部材に対して同じ符号を付している。
以下、実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態に係る色変換素子の概略構成を示す模式図である。図2は、図1におけるII−II線を含む切断面を見た断面図である。
色変換素子1は、プロジェクタ等の投影装置に用いられる蛍光体ホイールである。投影装置には、光源部として、青紫〜青色(430〜490nm)の波長のレーザー光Lを色変換素子1に対して放射する半導体レーザー素子が設けられている。色変換素子1は、光源部から照射されたレーザー光Lを励起光として、レーザ光Lとは異なる色の光を放射する。以下、色変換素子1について具体的に説明する。
図1及び図2に示すように、色変換素子1は、基板2と、蛍光部3と、接合部5と、伝熱部材6とを備えている。なお、図1及び図2においては、レーザー光Lをドットハッチングで図示している。色変換素子1において、レーザー光Lが照射される領域を照射領域Rと称す。照射領域Rは固定されているが、色変換素子1が回転するために、照射領域Rは相対的に色変換素子1上を周方向に移動することになる。
基板2は、平面視形状が例えば円形状の基板であり、その中央部に貫通孔21が形成されている。貫通孔21に対して、投影装置内にある回転軸が取り付けられることで、基板2が回転駆動するようになっている。
基板2は、蛍光部3よりも熱伝導率の高い基板である。これにより、蛍光部3から伝導した熱を基板2から効率的に放熱できるようになっている。具体的には、基板2は、Al、Fe、Tiなどの金属やステンレス、ジュラルミン、インバーなどの合金材料から形成されている。なお、基板2は、蛍光部3よりも熱伝導率が高いのであれば、金属材料以外から形成されていてもよい。金属材料以外の材料としては、Si、セラミック、Al2O3(サファイアを含む)、AlN、グラファイトなどが挙げられる。基板2の1つの主面22には、段差23が形成されている。段差23は、基板2の全周にわたって連続的に設けられている(図6参照)。主面22は、段差23を除いて平面状に形成されている。基板2は、段差23よりも内方側が外方側よりも厚く形成されている。基板2の主面22側には蛍光部3が配置されている。また、基板2には、蛍光部3を効率的に冷却するための複数の開口部10が設けられている。この複数の開口部10の詳細については、後述する。
蛍光部3は、全体として肉厚が均一である。蛍光部3は、例えば、レーザー光Lによって励起されて蛍光を発する蛍光体の粒子(蛍光体粒子34)を分散状態で備えており、レーザー光Lの照射により蛍光体粒子34が蛍光を発する。このため、蛍光部3における基板2とは反対側の第一主面31が発光面となる。また、本実施の形態では、蛍光部3における基板2側の第二主面32の法線方向と、蛍光部3に対するレーザー光Lの入射方向とが略一致しているものとする。「略一致」とは、完全に一致しているだけでなく、数%程度の誤差を許容する表現である。また、蛍光部3における第一主面31は、微小な凹凸形状が全体的に形成されていてもよい。具体的には、第一主面31の表面粗さを所定値よりも大きくてもよい。これにより、蛍光部3では第一主面31が低反射率となるので、光の取り出し効率及び取り込み効率を高めることができる。
蛍光部3は、全体として平面視形状が環状に形成されている。この蛍光部3は、肉厚が均一なシート状の個片33が複数、環状に配列されることにより形成されている。複数の個片33は、同一形状であり、同一種類である。具体的には、個片33は平面視台形状に形成されている。なお、個片33はシート状であればその形状は如何様でもよい。個片33のその他の平面視形状としては、矩形状、三角形状、その他の多角形状などが挙げられる。
隣り合う個片33同士は、互いの隣り合う辺がほぼ一致している。個片33には、少なくとも一種類の蛍光体粒子34が含まれている。本実施の形態の場合、個片33は、レーザー光Lとは異なる色の光を放射するものであり、レーザー光Lの照射によって赤色を発光する赤色蛍光体、黄色を発光する黄色蛍光体、緑色を発光する緑色蛍光体の3種類の蛍光体粒子34が適切な割合で含まれている。なお、蛍光体粒子は1種類もしくは2種類の蛍光体でもよい。 蛍光体粒子34の種類及び特性は特に限定されるものではないが、比較的高い出力のレーザー光Lが励起光となるため、熱耐性が高いものが望ましい。また、蛍光体粒子34を分散状態で保持する基材35の種類は特に限定されるものではないが、励起光の波長及び蛍光体粒子34から発光する光の波長に対して透明性の高い基材35であることが望ましい。具体的には、ガラス又はセラミックなどからなる基材35が挙げられる。なお、蛍光部3は、蛍光体による多結晶体又は単結晶体であってもよい。
また、各個片33における背面(接合部5に対向する主面)の全体には、レーザー光Lと、蛍光体粒子34から放射された光とを反射する反射層4が均一な肉厚で積層されている。
反射層4は、前述した通り、各個片33における背面に積層されている。つまり、反射層4は、蛍光部3における基板2側の主面に積層されている。反射層4は全体として均一な肉厚である。反射層4は、誘電体多層膜である。誘電体多層膜は、高屈折率(n=2.0〜3.0)の透明誘電体材料と低屈折率(n=1.0〜1.9)の透明誘電体材料とを交互に複数層積層したものである。誘電体多層膜は、材料の屈折率や誘電体多層膜の厚みを調整することで所望の反射特性を実現することができる。具体的には、反射層4をなす誘電体多層膜は、レーザー光Lと、蛍光体粒子34から放射された光とに対して反射率が高くなるように、材料の屈折率や誘電体多層膜の厚みが調整されている。反射層4は、例えばスパッタリングまたは蒸着などによって各個片33の背面に積層されている。
接合部5は、反射層4と基板2との間に介在して、反射層4と基板2とを接合している。具体的には、接合部5は、例えば、熱伝導性を有する接着剤により形成されている。熱伝導性を有する接着剤としては、金属酸化物を含有する接着剤、無機酸化物からなる接着剤、金属製の接着剤等が挙げられる。熱伝導性を有する接着剤は、例えば、酸化物フィラー入りの接着剤などである。無機酸化物からなる接着剤は、例えばガラスなどである。金属製の接着剤は、ロウ付け、半田付けに用いられる金属などである。このような接着剤であるために、接合部5の熱伝導性を高めることが可能である。
接合部5が基板2の主面22に塗布された後に、各個片33の反射層4が接合部5に貼り付けられることで、各個片33が基板2上で平面視環状の蛍光部3をなす。この状態では、各個片33の反射層4も蛍光部3に倣って平面視環状をなしている。
接合部5は、第一接合部51及び第二接合部52を備えている。第一接合部51及び第二接合部52は、径方向に所定の間隔をあけて配置された同心円環状に形成されている。第一接合部51は、第二接合部52よりも小径であり、当該第二接合部52の内方に配置されている。第一接合部51は、照射領域Rよりも内方に位置する反射層4の内周部と基板2とを接合している。第一接合部51は、蛍光部3の内周面と、伝熱部材6との間に充填されている。つまり、第一接合部51をなす接着剤は、伝熱部材6と蛍光部3との間に充填された充填剤とも言える。
一方、第二接合部52は、第一接合部51よりも大径であり、当該第一接合部51の外方に配置されている。第二接合部52は、照射領域Rよりも外方に位置する反射層4の外周部と基板2とを接合している。図1に示すように、第二接合部52は、複数の間隔521をあけて断続的に形成されている。各間隔521は、各個片33に対応する位置に設けられている。
第一接合部51と第二接合部52との間には、これら第一接合部51と第二接合部52とに対して同心円環状の空気層53が形成されている。つまり、第一接合部51は空気層53よりも内方に位置する内方部であり、第二接合部52は空気層53よりも外方に位置する外方部である。第一接合部51と第二接合部52と空気層53との中心は、色変換素子1の回転中心である。空気層53は、反射層4及び基板2を露出させている。つまり、反射層4及び基板2は、空気層53によって空気に触れた状態となっている。
空気層53は、照射領域Rの少なくとも一部に平面視で重なる位置に配置されている。本実施の形態では、空気層53は、平面視で照射領域Rの全体が収まる位置及び大きさに形成されている。上述したように空気層53は、色変換素子1の回転中心を中心とした円環状であるので、色変換素子1が回転した場合には、常に空気層53が照射領域Rに対して平面視で重なることとなる。
伝熱部材6は、蛍光部3の内周縁を覆う環状の部材である。伝熱部材6は、図2に示すように、壁部61と、天板部62とを有しており、全周にわたって同一の形状となっている。壁部61は、基板2の主面22において段差23よりも内方部分から立設した円筒状の部位である。壁部61の基端は、主面22に対して面接触した状態で固定されている。天板部62は、壁部61の先端から外方に向けて延設された円環板状の部位である。天板部62の先端部は、照射領域Rに重ならない位置に配置されている。天板部62の背面は、蛍光部3の内周縁に対して面接触している。これにより、蛍光部3からの熱が天板部62の背面から伝熱部材6に伝わり、伝熱部材6の全体から放熱される。
具体的には、伝熱部材6は、蛍光部3よりも熱伝導率の高い部材である。これにより、蛍光部3から伝導した熱を伝熱部材6から効率的に放熱できるようになっている。具体的には、伝熱部材6は、Al、Fe、Tiなどの金属材料やステンレス、ジュラルミン、インバーなどの合金材料から形成されている。伝熱部材6は、蛍光部3よりも熱伝導率が高いのであれば、金属材料以外から形成されていてもよい。金属材料以外の材料としては、Si、セラミック、Al2O3(サファイアを含む)、AlN、グラファイトなどが挙げられる。例えば、伝熱部材6は、基板2と同じ材料から形成されている。これにより、伝熱部材6と基板2との熱膨張率を同等にすることができ、熱変形を起因とした相互間の剥離を抑制することが可能である。
ここで、照射領域Rから段差23までの間隔を第一間隔H1とし、蛍光部3における基板2とは反対側の主面から段差23の底面までの間隔を第二間隔H2とする。第一間隔H1は、第二間隔H2の6倍よりも小さい。この関係であるので、蛍光部3からの熱が第一接合部51や伝熱部材6に伝わりやすい。
[基板の開口部]
以下、基板2に備わる複数の開口部10について詳細に説明する。図3は、実施の形態に係る複数の開口部10を示す断面図である。具体的には、図3は、図1におけるIII−III線を含む切断面を見た断面図である。
以下、基板2に備わる複数の開口部10について詳細に説明する。図3は、実施の形態に係る複数の開口部10を示す断面図である。具体的には、図3は、図1におけるIII−III線を含む切断面を見た断面図である。
図1及び図3に示すように、複数の開口部10は、基板2を貫通するように形成されている。具体的には、基板2は、蛍光部3よりも外方の外周部24と、蛍光部3に重なる重畳部25と、蛍光部3よりも内方の内周部26とを備えている。複数の開口部10は、外周部24に形成された複数の外周開口部11と、重畳部25に形成された複数の重畳開口部12とを有している。複数の外周開口部11は周方向に沿って所定の間隔をあけて均等に配列されている。複数の外周開口部11は、外周部24に配置されているために、蛍光部3の近傍に配置されていると言える。ここで蛍光部3の近傍とは、蛍光部3の端部から蛍光部3の外方であって、蛍光部3の径方向の長さL10内に収まる範囲であり、好ましくは長さL10の半分内に収まる範囲である。
複数の重畳開口部12は、それぞれが各外周開口部11に対応するように、周方向に沿って所定の間隔をあけて均等に配列されている。つまり、外周開口部11と重畳開口部12とは一対一の関係で配置されている。一対の外周開口部11及び重畳開口部12は、各個片33に対応して配置されている。具体的には、1つの個片33に対応する一対の外周開口部11及び重畳開口部12は、当該個片33に対応する間隔521よりも、色変換素子1の回転方向Y1の上流側に配置されている。
図4は、実施の形態に係る複数の重畳開口部12のうち、隣り合う重畳開口部12を示す断面図である。具体的には、図4は、図1におけるIV−IV線を含む切断面を見た断面図である。図4では、空気の流れを矢印YA1で示している。
図4に示すように、各重畳開口部12は、いずれも同形状である。このため、ここでは、1つの重畳開口部12の形状について説明する。重畳開口部12は、回転方向Y1に沿って徐々に蛍光部3から遠ざかる傾きで、基板2の法線方向に対して傾斜している。色変換素子1が回転した場合には、重畳開口部12における基板2の背面側の一端部が、回転方向Y1の下流側を向くので、当該一端部から重畳開口部12内に空気が取り込まれやすい。重畳開口部12内に取り込まれた空気の大部分は、空気層53を介して回転方向Y1の上流側で直近の間隔521から外方へと排出される。また、残りの空気は、空気層53内を通過し、それ以降の間隔521から外方へと排出される。この気流YA1によって、基板2、蛍光部3、接合部5及び伝熱部材6が冷却される。
図5は、実施の形態に係る複数の外周開口部11のうち、隣り合う外周開口部11を示す断面図である。具体的には、図5は、図1におけるV−V線を含む切断面を見た断面図である。図5では、空気の流れを矢印YA2で示している。
図5に示すように、外周開口部11は、いずれも同形状である。このため、ここでは、1つの外周開口部11の形状について説明する。外周開口部11は、回転方向Y1に沿って徐々に蛍光部3から遠ざかる傾きで、基板2の法線方向に対して傾斜している。色変換素子1が回転した場合には、外周開口部11における基板2の背面側の一端部が、回転方向Y1の下流側を向くので、当該一端部から外周開口部11内に空気が取り込まれやすい。外周開口部11内に取り込まれた空気は、他端部から外方へと排出される。この気流YA2によって、基板2における蛍光部3の近傍部分が冷却される。
[色変換素子の製造方法]
次に、色変換素子1の製造方法について説明する。図6〜図8は、実施の形態に係る製造方法の各工程を示す説明図である。
次に、色変換素子1の製造方法について説明する。図6〜図8は、実施の形態に係る製造方法の各工程を示す説明図である。
まず、図6に示すように、貫通孔21、段差23及び複数の開口部10を有する基板2が準備される。この基板2に対して、図7に示すように、第一接合部51及び第二接合部52が塗布されることで接合部5が形成される。第二接合部52においては、複数の間隔521が所定の間隔をあけて均等に形成されている。次いで、図8に示すように、接合部5上に各個片33が貼り付けられることで、環状の蛍光部3が形成される。その後、第二接合部52の内周縁に対して、伝熱部材6が取り付けられることで、図1に示す色変換素子1が完成する。
[投影装置の動作]
次に、投影装置の動作について説明する。
次に、投影装置の動作について説明する。
投影装置の光源からレーザー光Lが照射される際には、色変換素子1は回転駆動しながら蛍光部3でレーザー光Lを受光する。蛍光部3では、一部のレーザー光Lが直接蛍光体粒子34に当たる。また、蛍光体粒子34に直接当たらなかった一部のレーザー光Lは、反射層4で反射され、蛍光体粒子34に当たる。蛍光体粒子34に到達したレーザー光Lは、蛍光体粒子34によってレーザー光とは異なる色に変換されて、放射される。蛍光体粒子34から放射された光の一部は、蛍光部3から直接外方に放出される。また、蛍光体粒子34から放射された光のその他の一部は、反射層4で反射されることで、蛍光部3から外方へ放出される。
ここで、誘電体多層膜からなる反射層4では、僅かではあるが当該反射層4を透過する光がある。この対策のために、接合部5には空気層53が設けられている。詳細に説明すると、上述したように照射領域Rでは、反射層4の直下に空気層53が配置されている。この場合の臨界角θcは、スネルの法則により以下の式(1)で表される。
θc=arcsin(n2/n1)・・・(1)
ここで、入射元である蛍光部3の屈折率n1を1.8とし、進行先である空気層53の屈折率n2を1.0とすると、臨界角θcは33.8度となる。なお、反射層4の厚さは、蛍光部3の厚さまたは空気層53の厚さと比べると非常に薄く影響がわずかであるため、臨界角θcの算出では無視している。
一方、接合部5に空気層53が設けられていない場合を想定する。つまり、照射領域Rでは、反射層4の直下に接合部5がシリコーン樹脂などを介して配置されて、反射層4が露出していない場合である。この場合には、入射元である蛍光部3の屈折率n1を1.8とし、進行先である接合部5の屈折率n2を1.4(接合部5がシリコン樹脂であるときの屈折率)とすると、臨界角θcは51.1度となる。このように、本実施の形態では、接合部5に空気層53が設けられていない場合と比べても、臨界角θcを小さくすることができる。換言すると全反射する入射角度の範囲(90度−θc)を大きくすることができる。上述したように、反射層4へは、レーザー光Lが直接入射するだけでなく、各蛍光体粒子34からの放出光も入射する。この放出光における反射層4への入射角度は多様であるが、全反射する入射角度の範囲が大きくなっていれば、より多くの放出光を全反射することができる。したがって、誘電体多層膜である反射層4での反射率を高めることができる。
なお、蛍光部3は反射層4を有していなくてもよい。この場合においても、空気層53があることにより臨界角θcを小さくすることができるので、蛍光部3における空気層53側の主面での反射率を高めることができる。
また、色変換素子1の回転駆動時には、図4及び図5に示すように各開口部10では空気が取り込まれている。これにより、空気層53内に気流YA1、蛍光部3に近い基板2断面に気流YA2が発生し、基板2、蛍光部3、接合部5及び伝熱部材6が冷却される。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る色変換素子は、回転自在な色変換素子1であって、基板2と、基板2上に配置された蛍光部3であって、外部からのレーザー光Lを受光して、当該レーザー光Lとは異なる色の光を放出する環状の蛍光部3と、を備え、基板2には、平面視で蛍光部3に重なる位置及び蛍光部3の近傍の少なくとも一方に複数の開口部10が形成されている。
以上のように、本実施の形態に係る色変換素子は、回転自在な色変換素子1であって、基板2と、基板2上に配置された蛍光部3であって、外部からのレーザー光Lを受光して、当該レーザー光Lとは異なる色の光を放出する環状の蛍光部3と、を備え、基板2には、平面視で蛍光部3に重なる位置及び蛍光部3の近傍の少なくとも一方に複数の開口部10が形成されている。
これによれば、基板2には、平面視で蛍光部3に重なる位置及び蛍光部3の近傍の少なくとも一方に複数の開口部10が形成されているので、色変換素子1が回転されると開口部10内に気流YA1、YA2が発生する。この気流YA1、YA2により、蛍光部3及び基板2を効率的に冷却することができる。また、開口部10を設けることにより、基板2の表面積も大きくすることができるので、基板2の放熱性も高められている。これらのことにより、蛍光部3に対する冷却性が高められるので、蛍光部3の発光強度を高めることができる。
また、色変換素子1は、蛍光部3と基板2との間に介在して、蛍光部3と基板2とを接合する接合部5を備え、接合部5は、蛍光部3におけるレーザー光Lが照射される照射領域Rの少なくとも一部に平面視で重なる位置に、蛍光部3を露出させる空気層53を有する。
これによれば、照射領域Rの少なくとも一部に平面視で重なる空気層53が蛍光部3を露出させているので、蛍光部3の反射率を高めることができる。ここで、空気層53は断熱層としても機能し得るが、開口部10によって蛍光部3に対する冷却性が高められているので、空気層53を起因とした放熱性の低下を抑制することができる。したがって、空気層53を有する色変換素子1においても、蛍光部3の発光強度を高めることができる。
また、複数の開口部10のうち少なくとも1つは、平面視で空気層53に重なる位置に配置されている。
これによれば、開口部10の一例である複数の重畳開口部12は、平面視で空気層53に重なる位置に配置されているので、空気層53内に気流YA1を発生させることができる。したがって、空気層53内が換気されるので、空気層53の断熱性能を低下させることができる。また、空気層53を通過する気流YA1によって蛍光部3を直接的に空冷することも可能である。これらのことにより、蛍光部3に対する冷却性をより高めることができる。
また、接合部5において、平面視で空気層53よりも外方に位置する外方部(第二接合部52)及び内方に位置する内方部(第一接合部51)の少なくとも一方は、所定の間隔をあけて断続的に形成されている。
これによれば、第一接合部51及び第二接合部52の少なくとも一方(本実施の形態では第二接合部52のみ)が所定の間隔521をあけて断続的に形成されているので、その間隔521から気流YA1を排出することができる。したがって、重畳開口部12及び空気層53で気流YA1をスムーズに流すことができ、蛍光部3に対する冷却性をより高めることが可能である。
また、開口部10は、基板2の法線方向に対して傾斜している。
これによれば、開口部10が基板2の法線方向に対して傾斜しているので、気流YA1、YA2の流れやすい方向に開口部10を形成することができる。したがって、気流YA1、YA2をスムーズに流すことができ、蛍光部3に対する冷却性をより高めることができる。
また、色変換素子1は、基板2に取り付けられて、蛍光部3の周縁を覆う伝熱部材6と、伝熱部材6と蛍光部3との間に充填された熱伝導性の充填剤(第一接合部51)とを備える。
これによれば、伝熱部材6が第一接合部51を介して蛍光部3に取り付けられているので、蛍光部3からの熱を第一接合部51から伝熱部材6へと効率的に伝導することができる。したがって、蛍光部3に対する冷却性をより高めることができる。
また、基板2には、平面視において伝熱部材6に重なる位置に段差23が形成されており、蛍光部3におけるレーザー光Lが照射される照射領域Rから段差23までの第一間隔H1は、蛍光部3における基板2とは反対側の主面から段差23の底面までの第二間隔H2の6倍よりも小さい。
これによれば、第一間隔H1が第二間隔H2の6倍よりも小さいので、蛍光部3からの熱が第一接合部51や伝熱部材6に伝わりやすい。したがって、蛍光部3に対する冷却性をより高めることができる。
また、蛍光部3は、少なくとも一種類の蛍光体(蛍光体粒子34)を含むシート状の複数の個片33が面状に配列されることにより形成されている。
これによれば、蛍光部3が、面状に配列された複数の個片33によって形成されているので、加熱時に作用する応力を分散させることができる。これにより、レーザー光Lの受光時における蛍光部3の変形を抑制することができる。したがって、蛍光部3と空気層53との位置関係を安定化することができ、安定した反射特性を維持することができる。
ここで、全体として一体的に形成された蛍光部の場合、その平面視形状が環状であると、応力集中に弱く、上記した不具合が生じやすい。しかしながら、本実施の形態のように、複数の個片33が環状に配置されることで形成された蛍光部3であれば、応力を分散させることができるので、高い応力緩和効果を得ることができる。
特に、本実施の形態では、各個片33に対して、重畳開口部12及び間隔521が一組設けられているので、各重畳開口部12から空気層53を介して各間隔521に流れる各気流YA1を、各個片33で均等にすることができる。つまり、各個片33を均等に冷却することができる。したがって、各個片33の熱変形のばらつきを抑制することができる。各個片33の熱変形のばらつきを抑制できれば、当該ばらつきを起因とした個片33の損傷、剥離などを抑制できる。
なお、上記実施の形態では、蛍光部3が複数の個片33から形成されている場合を例示した。しかし、蛍光部は全体として一体成型された一体物であってもよい。
[変形例]
次に、変形例について説明する。図9は、変形例に係る色変換素子1Aの概略構成を示す平面図である。具体的には図9は、図1に対応した図である。なお、以降の説明においては、実施の形態に係る色変換素子1と同等の部分には同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
次に、変形例について説明する。図9は、変形例に係る色変換素子1Aの概略構成を示す平面図である。具体的には図9は、図1に対応した図である。なお、以降の説明においては、実施の形態に係る色変換素子1と同等の部分には同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
上記実施の形態では、第一接合部51が連続的に形成され、第二接合部52が断続的に形成されている場合を例示した。この変形例では、第二接合部52aも連続的に形成されている場合を例示する。また、変形例では、基板2aに外周開口部11が設けられていないものとするが、外周開口部11が設けられていてもよい。さらに、変形例では、伝熱部材6が設けられていない場合を例示するが、伝熱部材6が設けられていてもよい。
図9に示すように、変形例に係る色変換素子1Aでは、第一接合部51と第二接合部52aとがそれぞれ連続的な環状形状に形成されている。基板2aには、複数の重畳開口部12aが形成されている。複数の重畳開口部12aは、周方向に沿って所定の間隔をあけて均等に配列されている。ここで、複数の重畳開口部12aは、複数の第一開口部121aと、複数の第二開口部122aとに分類できる。第一開口部121aと第二開口部122aとは、交互に繰り返し配列されている。つまり、隣り合う一対の重畳開口部12aのうち、一方が第一開口部121aであり、他方が第二開口部122aである。
図10は、変形例に係る第一開口部121a及び第二開口部122aを示す断面図である。具体的には、図10は、図9におけるX−X線を含む切断面を見た断面図である。図10では、空気の流れを矢印YA3で示している。
第一開口部121aは、色変換素子1Aの回転方向Y1に沿って徐々に蛍光部3に近づく傾きで傾斜している。一方、第二開口部122aは、回転方向Y1に沿って徐々に蛍光部3から遠ざかる傾きで傾斜している。
色変換素子1が回転した場合には、第一開口部121aにおける基板2の背面側の一端部が、回転方向Y1の下流側を向くので、当該一端部から第一開口部121a内に空気が取り込まれやすい。また、第二開口部122aにおける基板2の蛍光部3側の他端部は、回転方向Y1の下流側を向いているので、当該他端部から第二開口部122a内に空気が取り込まれやすい。このため、第一開口部121aから空気層53を通過して第二開口部122aで排出される気流YA3をスムーズに流すことができる。これにより、蛍光部3に対する冷却性をより高めることが可能である。
なお、ここでは、第一開口部121aと第二開口部122aとが、一つずつ交互に配列されている場合を例示した。第一開口部121aと第二開口部122aとは、複数ごと交互に並んでいても良いし、異なる設置個数毎に交互に並んでいてもよい。
[その他の実施の形態]
以上、本発明に係る照明装置について、上記実施の形態及び各変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び各変形例に限定されるものではない。
以上、本発明に係る照明装置について、上記実施の形態及び各変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び各変形例に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、外周開口部11及び重畳開口部12を備えた基板2を例示した。しかしながら、基板2は、外周開口部11及び重畳開口部12の一方を備えていればよい。基板2の内周部26に対して複数の開口部を形成してもよい。
また、上記実施の形態では、空気層53を備えた色変換素子1を例示した。しかしながら、空気層を有さない色変換素子であってもよい。この場合、実施の形態に係る空気層53が接合部5で充填されることとなる。重畳開口部12内に流入した気流は、接合部5を介して蛍光部3を冷却することとなる。
また、上記実施の形態では、第一接合部51が連続的に形成され、第二接合部52が断続的に形成されている場合を例示した。しかしながら、第一接合部51が断続的に形成され、第二接合部52が連続的に形成されていてもよい。この場合には、第一接合部51に形成された間隔から気流が排出されることとなる。また、第一接合部51及び第二接合部52の両方が断続的に形成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、蛍光部3の内周縁を覆う伝熱部材6を例示した。しかしながら、蛍光部3の外周縁を覆う伝熱部材であってもよい。
また、上記実施の形態では、基板2の法線方向に対して傾いた開口部10を例示した。しかしながら、基板2の法線方向に対して平行な開口部であってもよい。
また、蛍光部3における光出射側の第一主面31に対して、例えばARコート層などの反射抑制層を積層してもよい。これにより、光取り出し効率を高めることが可能である。
また、上記実施の形態では、蛍光部3が全体として同一色光を放射する個片33から形成されている場合を例示した。しかしながら、蛍光部が複数色の光を発する場合においては、蛍光部3における各色を放射する部位が、同一種類の個片によって形成されていればよい。例えば、赤色蛍光部、緑色蛍光部及び青色蛍光部の3層が面状に配列された蛍光部の場合を想定する。赤色蛍光部は、赤色蛍光体を含む同一種類の複数の個片によって形成される。青色蛍光部は、青色蛍光体を含む同一種類の複数の個片によって形成される。緑色蛍光部は、緑色蛍光体を含む同一種類の複数の個片によって形成される。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
1、1A 色変換素子
2、2a 基板
3 蛍光部
6 伝熱部材
10 開口部
11 外周開口部
12、12a 重畳開口部
23 段差
35 基材
51 第一接合部(内方部)
52、52a 第二接合部(外方部)
53 空気層
121a 第一開口部
122a 第二開口部
521 間隔
H1 第一間隔
H2 第二間隔
L レーザー光
R 照射領域
Y1 回転方向
2、2a 基板
3 蛍光部
6 伝熱部材
10 開口部
11 外周開口部
12、12a 重畳開口部
23 段差
35 基材
51 第一接合部(内方部)
52、52a 第二接合部(外方部)
53 空気層
121a 第一開口部
122a 第二開口部
521 間隔
H1 第一間隔
H2 第二間隔
L レーザー光
R 照射領域
Y1 回転方向
Claims (8)
- 回転自在な色変換素子であって、
基板と、
前記基板上に配置された蛍光部であって、外部からのレーザー光を受光して、当該レーザー光とは異なる色の光を放出する環状の蛍光部と、を備え、
前記基板には、平面視で前記蛍光部に重なる位置及び前記蛍光部の近傍の少なくとも一方に複数の開口部が形成されている
色変換素子。 - 前記蛍光部と前記基板との間に介在して、前記蛍光部と前記基板とを接合する接合部を備え、
前記接合部は、前記蛍光部における前記レーザー光が照射される照射領域の少なくとも一部に平面視で重なる位置に、前記蛍光部を露出させる空気層を有する
請求項1に記載の色変換素子。 - 前記複数の開口部のうち少なくとも1つは、前記平面視で前記空気層に重なる位置に配置されている
請求項2に記載の色変換素子。 - 前記接合部において、前記平面視で前記空気層よりも外方に位置する外方部及び内方に位置する内方部の少なくとも一方は、所定の間隔をあけて断続的に形成されている
請求項2または3に記載の色変換素子。 - 前記開口部は、前記基板の法線方向に対して傾斜している
請求項1〜4のいずれか一項に記載の色変換素子。 - 前記複数の開口部は、前記色変換素子の回転方向に沿って徐々に前記蛍光部に近づく傾きで傾斜した第一開口部と、前記色変換素子の回転方向に沿って徐々に前記蛍光部から遠ざかる傾きで傾斜した第二開口部と、を含む
請求項5に記載の色変換素子。 - 前記基板に取り付けられて、前記蛍光部の周縁を覆う伝熱部材と、
前記伝熱部材と前記蛍光部との間に充填された熱伝導性の充填剤とを備える
請求項1〜6のいずれか一項に記載の色変換素子。 - 前記基板には、前記平面視において前記伝熱部材に重なる位置に段差が形成されており、
前記蛍光部における前記レーザー光が照射される照射領域から前記段差までの第一間隔は、前記蛍光部における前記基板とは反対側の主面から前記段差の底面までの第二間隔の6倍よりも小さい
請求項7に記載の色変換素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020061938A JP2021163565A (ja) | 2020-03-31 | 2020-03-31 | 色変換素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020061938A JP2021163565A (ja) | 2020-03-31 | 2020-03-31 | 色変換素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021163565A true JP2021163565A (ja) | 2021-10-11 |
Family
ID=78005072
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020061938A Pending JP2021163565A (ja) | 2020-03-31 | 2020-03-31 | 色変換素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021163565A (ja) |
-
2020
- 2020-03-31 JP JP2020061938A patent/JP2021163565A/ja active Pending
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