JP2021162867A - 画像定着方法 - Google Patents

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JP2021162867A JP2021059623A JP2021059623A JP2021162867A JP 2021162867 A JP2021162867 A JP 2021162867A JP 2021059623 A JP2021059623 A JP 2021059623A JP 2021059623 A JP2021059623 A JP 2021059623A JP 2021162867 A JP2021162867 A JP 2021162867A
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Maiko Koeda
英樹 杉浦
Hideki Sugiura
正彦 石川
Masahiko Ishikawa
洋 瀬尾
Hiroshi Seo
祐介 古市
Yusuke Furuichi
岳誠 長谷
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Abstract

【課題】低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立でき、かつ異音の発生を抑制することができる画像定着方法の提供。【解決手段】トナーにより形成された記録媒体上のトナー像を画像定着装置にて定着させる画像定着方法において、前記トナーがワックス及び結着樹脂を含有しかつコアシェル構造を有するトナー粒子を含有し、前記トナーにおける前記ワックスの含有量が3質量%〜10質量%であり、FTIR−ATR法により求められるピーク(2,850cm−1)とピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)が0.05以上0.40以下であり、前記画像定着装置が、加圧手段と、駆動手段と、前記加圧手段と当接してニップ部を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される定着手段と前記定着手段を加熱するヒータとを有し、前記ニップ部において前記定着手段により前記トナー像を加熱する加熱工程を含む画像定着方法。【選択図】図2A

Description

本発明は、画像定着方法に関する。
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置では、静電潜像担持体である感光体の表面に放電によって電荷を与えて帯電させ、帯電された感光体表面を露出させて静電潜像を形成させ、感光体表面に形成された静電潜像の極性と逆の極性を有するトナーが供給されて現像されることで、感光体上にトナー像が形成される。感光体上に形成されたトナー像は、その後、中間転写体に転写されてから記録媒体に転写されるか、あるいは、感光体から記録媒体に直接転写される。転写された記録媒体上のトナー像は、定着手段により熱と圧がかけられて定着されることで、記録媒体上に固定される。
前記定着手段としては、例えば、定着フィルムがエンドレスベルト状耐熱フィルムであり、該定着フィルムの支持回転体である駆動ローラと、従動ローラと、この両ローラ間の下方に設けたヒータ支持体に保持させて固定支持させて配設した加熱体とに懸回張設してあり、加圧ローラが前記定着フィルムを介して前記ヒータ支持体と圧接されてニップ部が形成されている、いわゆるサーフ方式の定着装置が提案されている(特許文献1参照)。前記提案の定着手段では、前記定着フィルムと前記加圧ローラとの間に未定着のトナー像が形成された記録媒体を通過させて、ニップ部においてトナーを加熱溶融すると共に圧力をかけることで、該記録媒体上にトナー像が定着される。
本発明は、低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立でき、かつ異音の発生を抑制することができる画像定着方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の画像定着方法は、
トナーにより形成された記録媒体上のトナー像を画像定着装置にて定着させる画像定着方法において、
前記トナーが、ワックス及び結着樹脂を含有し、かつ、コア部とシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナー粒子を含有し、
前記トナーにおける前記ワックスの含有量が、3質量%〜10質量%であり、
FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2,850cm−1)とピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)が、0.05以上0.40以下であり、
前記画像定着装置が、加圧手段と、前記加圧手段を駆動回転させる駆動手段と、前記加圧手段と当接してニップ部を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される定着手段と、前記定着手段を加熱するヒータと、を有し、
前記ニップ部において、前記定着手段により前記トナー像を加熱する加熱工程を含むことを特徴とする。
本発明によると、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立でき、かつ異音の発生を抑制することができる画像定着方法を提供することができる。
図1Aは、本発明の画像定着方法に用いられるトナーの形状の一例を模式的に示した図である。 図1Bは、本発明の画像定着方法に用いられるトナーの形状の一例を模式的に示した図である。 図1Cは、本発明の画像定着方法に用いられるトナーの形状の一例を模式的に示した図である。 図2Aは、本発明の画像定着方法に用いられる画像定着装置の一例を示した概略構成図(断面図)である。 図2Bは、本発明の画像定着方法に用いられる画像定着装置の他の一例を示した概略構成図(断面図)である。 図2Cは、本発明の画像定着方法に用いられる画像定着装置の他の一例を示した概略構成図(断面図)である。 図2Dは、本発明の画像定着方法に用いられる画像定着装置の他の一例を示した概略構成図(断面図)である。 図3は、本発明の画像形成装置における現像手段の一例を示した図である。 図4は、接触帯電の帯電特性を示した図である。 図5Aは、本発明の画像形成装置におけるローラ接触帯電装置の一例を示した図である。 図5Bは、本発明の画像形成装置におけるブラシ接触帯電装置の一例を示した図である。
(画像定着方法及び画像定着装置)
本発明の画像定着方法は、トナーにより形成された記録媒体上のトナー像を画像定着装置にて定着させる方法であり、加熱工程を少なくとも含み、好ましくは加圧工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記画像定着装置は、ヒータと、定着手段と、加圧手段と、駆動手段とを有し、必要に応じて更にその他の手段を有する。前記定着手段は、前記加圧手段と当接してニップ部(以下、「定着ニップ領域」と称することがある)を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される。
本発明者らは、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立でき、かつ異音の発生を抑制することができる画像定着方法を提供するために鋭意検討を行った。
その検討において、本発明者らは、定着フィルムの支持回転体である、駆動ローラと、従動ローラと、この両ローラ間の下方に設けたヒータ支持体に保持させて固定支持させて配設した加熱体とに懸回張設してある定着フィルムと、前記定着フィルムを介して前記ヒータ支持体と圧接されてニップ部が形成されている加圧ローラとを有するようなサーフ方式の定着装置は、ベルト方式の定着装置のような予備加熱がなく、前記加圧ローラと前記定着フィルムとのニップ部のみで加熱を行うため、温まりにくく、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立することができないという問題を見出した。また、加圧ローラが回転駆動され、これにより定着ベルトが従動回転する(連れ回る)場合、大きなトルク(回転負荷)が発生し、ニップ部で異音が発生してしまうという不具合もあった。
そこで、本発明者らは、更に鋭意検討を行い、画像定着装置として、加圧手段と、前記加圧手段を駆動回転させる駆動手段と、前記加圧手段と当接してニップ部を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される定着手段と、前記定着手段を加熱するヒータと、を有する画像定着装置を使用し、かつ、ワックス及び結着樹脂を含有し、かつコアシェル構造を有するトナー粒子を含有するトナーであって、ワックスの含有量及び前記トナー粒子の表面近傍に存在するワックスの含有量が特定の範囲にあるトナーを使用し、前記ニップ部において、前記定着手段により前記トナー像を加熱することで、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性とを両立することができること、更にニップ部でのトルクが低減し、これにより異音の発生を防止できることを見出し、本発明の完成に至った。
<加熱工程及びヒータ>
前記定着手段の加熱は、前記ヒータにより好適に行うことができる。
前記トナー像の加熱は、前記ニップ部(定着ニップ領域)において、前記定着手段により行うことができる。これにより、前記トナーが軟化又は溶融される。
前記画像定着装置における前記ヒータの位置としては、前記定着手段を加熱することができるように配置される限り、特に制限はないが、前記定着手段を介して前記加圧手段に当接されてなり、前記定着手段を介して前記定着ニップ領域を加熱するように配置されることが好ましい。
前記ヒータの種類としては、特に制限はなく、公知のヒータの中から適宜選択することができるが、板状ヒータが好ましい。
前記加熱工程における加熱温度としては、特に制限はなく、目的とする定着温度などに応じて適宜選択することができる。定着上限温度としては170℃以上が好ましい。また、定着下限温度としては140℃以下が好ましく、130以下がより好ましい。
<加圧工程、並びに、定着手段、加圧手段、及び駆動手段>
前記加圧工程は前記定着手段と、前記加圧手段と、前記駆動手段とにより好適に行うことができる。
前記加圧工程は、前記トナー像を加圧する工程である。具体的には、前記トナー像を有する記録媒体が、前記定着手段と前記加圧手段とにより形成される前記定着ニップ領域を通過する際に、前記トナー像が、前記加圧手段により前記定着手段に押し付けられる。前記画像定着方法が、前記加圧工程を含むことにより、前記トナーの延展を行うことができ、定着速度を速くすることができる点で好ましい。
前記加圧工程は、前記加熱工程と同時に行われることが好ましい。
前記加圧工程における加圧の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<加圧手段>>
前記加圧手段の形状としては、特に制限はないが、ローラ状であることが好ましい。
前記加圧手段の構成としては、特に制限はなく、公知の加圧手段の中から適宜選択することができ、例えば、芯金と、前記芯金の表面に形成された弾性層と、前記弾性層の外側に形成された離型層とを有するものなどが挙げられる。
前記弾性層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーンゴムなどが挙げられる。
前記離型層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素樹脂などが挙げられる。
前記加圧手段の大きさ(ローラ状の場合は径)、前記弾性層の厚み、前記離形層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加圧手段は、前記駆動手段により駆動回転され、好ましくは、反時計周りに回転しつつ、前記定着ニップ領域に対して総圧4kg〜10kgの当接圧をもって圧接される。
前記加圧工程における加圧の圧力としては、特に制限はないが、前記定着手段と、前記加圧手段との間に加わる面圧(ローラ荷重/接触面積)が、1.5×10Pa以下であることが好ましい。本発明の画像定着方法に用いられるトナーは低温でも充分に定着できるものであるため、面圧が1.5×10Pa以下という低面圧でも定着することが可能になる。また、低面圧にしたことで、記録媒体上のトナー像を押しつぶしたり乱したりしないため、高精細な画像出力が可能となる。
<<定着手段>>
前記定着手段は、前記加圧手段と当接してニップ部(定着ニップ領域)を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される。前記定着手段は、前記加圧手段の回転に伴い回転されるため、前記定着手段用の駆動手段は必要としない。
前記定着手段の構成としては、特に制限はなく、公知の定着手段の中から適宜選択することができるが、筒状基体と、該筒状基体の表面に配された無端状の定着フィルム(以下、「定着ベルト」と称することがある)とを有することが好ましい。
また、筒状基体の内部、即ち、前記定着ニップ領域における前記加圧手段と接する面とは反対側の面に、前記ヒータが配置されることが好ましい。
前記筒状基体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱性樹脂;ニッケル(Ni)、ステンレス鋼(SUS)等の金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記定着ベルトの構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表層(離形層)と、前記基体(基層)及び前記表層の間に配される弾性層とを有することが好ましい。
前記表層(離形層)の材質としては、特に制限はないが、耐熱性、離型性、及び耐久性に優れたものが好ましく、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルファイド(PES)、4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)などが挙げられる。前記表層は、前記樹脂からなる単層フィルムであってもよく、複合層フィルムであってもよい。
前記表層(離形層)の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常5μm〜50μm程度が好ましい。なお、本明細書において、前記表層(離形層)の平均厚みは、前記定着ベルトの長さ方向に対して垂直方向の切断面における走査電子顕微鏡(SEM)画像から算出することができ、前記定着ベルトの長さ方向及び幅方向の無作為に選択した10点の平均厚みである。
前記弾性層の材質としては、特に制限はなく、離形性を有する材料の中から適宜選択することができ、例えば、4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)等のフッ素系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記弾性層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜5,000μmが好ましい。なお、本明細書において、前記弾性層の平均厚みは、前記定着ベルトの長さ方向に対して垂直方向の切断面における走査電子顕微鏡(SEM)画像から算出することができ、前記定着ベルトの長さ方向及び幅方向の無作為に選択した10点の平均厚みである。
<<駆動手段>>
前記駆動手段は、前記加圧手段を駆動回転させる手段である。
前記画像定着装置における前記駆動手段の位置としては、前記加圧手段を駆動させることができるように配置される限り、特に制限はないが、前記加圧手段の内部に配置されることが好ましい。
前記駆動手段により前記加圧手段の回転駆動速度としては、特に制限はないが、前記定着ニップ領域にける、前記記録媒体と前記加圧手段との速度が等しくなる速度に調節されることが好ましい。
以下に、前記画像定着装置の構成及び前記画像定着方法について、図を用いて具体的に説明する。
図2Aに本発明の画像定着装置の一例を示す。前記画像定着装置は、定着ベルトを回転させて定着する、いわゆるサーフ定着装置である。
図2Aに示すように、本実施形態に係る画像定着装置109は、無端状のベルトから成る定着ベルト1020と、定着ベルト1020の外周面に接触して定着ニップ領域Nを形成する対向部材としての加圧ローラ1021と、定着ベルト1020を加熱する加熱部材としてのヒータ1022と、ヒータ1022を保持する保持部材としてのヒータフォルダ1023と、ヒータフォルダ1023を支持する支持部材としてのステー1024と、定着ベルト1020の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ1025等を備えている。
定着ベルト1020は、例えば、外径が25mmで厚みが40μm〜120μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。定着ベルト1020の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による平均厚みが5μm〜50μmの離型層が形成される。基体と離型層(表層)の間に厚さ50μm〜500μmのゴム等からなる弾性層を設けてもよい。また、定着ベルト1020の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、ステンレス鋼(SUS)などの金属基体であってもよい。定着ベルト1020の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
加圧ローラ1021は、例えば、外径が25mmであり、中実の鉄製芯金1021aと、この芯金1021aの表面に形成された弾性層1021bと、弾性層1021bの外側に形成された離型層1021cとで構成されている。弾性層1021bはシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5mmである。弾性層1021bの表面は離型性を高めるために、厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層による離型層1021cを形成するのが好ましい。
加圧ローラ1021が付勢手段によって定着ベルト1020側へ付勢されることで、加圧ローラ1021は定着ベルト1020を介してヒータ1022に圧接される。これにより、定着ベルト1020と加圧ローラ1021との間に定着ニップ領域Nが形成される。また、加圧ローラ1021は駆動手段によって回転駆動されるように構成されており、加圧ローラ1021が図2Aの矢印方向に回転すると、これに伴って定着ベルト1020が従動回転する(連れ回る)。この回転駆動速度は、加圧ローラ1021と定着ベルト1020とが接する定着ニップ領域Nにおいて記録媒体Pと定着ベルト1020の速度が等しくなる速度に調節される。
ヒータ1022は、定着ベルト1020の幅方向に渡って長手状に設けられた板状の加熱部材であり、板状の基材1030と、基材1030上に設けられた抵抗発熱体1031と、抵抗発熱体1031を被覆する絶縁層1032等で構成されている。かかる板状ヒータは、例えば、Ag/Pd、TaN等の電気抵抗材料をスクリーン印刷等により線状もしくは帯状に塗工したものである。また、ヒータ1022は、絶縁層1032側で定着ベルト1020の内周面に対して接触しており、抵抗発熱体1031から発された熱は、絶縁層1032を介して定着ベルト1020へと伝達される。本実施形態では、抵抗発熱体1031や絶縁層1032が基材1030の定着ベルト1020側(定着ニップ領域N側)に設けられているが、反対に、抵抗発熱体1031や絶縁層1032を基材1030のヒータフォルダ1023側に設けてもよい。その場合、抵抗発熱体1031の熱が基材1030を介して定着ベルト1020に伝達されることになるため、基材1030は窒化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料で構成されることが好ましい。また、基材1030を熱伝導率のよい材料で構成することで、抵抗発熱体1031を基材1030の定着ベルト1020側とは反対側に配置しても、定着ベルト1020を十分に加熱することが可能である。
ヒータフォルダ1023及びステー1024は、定着ベルト1020の内周側に配置されている。ステー1024は、金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分が画像定着装置109の両側板に支持されている。ステー1024によってヒータフォルダ1023及びこれに保持されるヒータ1022が支持されていることで、加圧ローラ1021が定着ベルト1020に加圧された状態で、ヒータ1022が加圧ローラ1021の押圧力を確実に受けとめて定着ニップ領域Nを安定的に形成する。
ヒータフォルダ1023は、ヒータ1022の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で形成されることが好ましい。例えば、ヒータフォルダ1023を液晶ポリマー(LCP)などの低熱伝導性の耐熱性樹脂で形成した場合は、ヒータ1022からヒータフォルダ1023への伝熱が抑制され効率的に定着ベルト1020を加熱することができる。また、ヒータ1022に対するヒータフォルダ1023の接触面積を少なくし、ヒータ1022からヒータフォルダ1023へ伝わる熱量を低減するため、ヒータフォルダ1023はヒータ1022の基材1030に対して突起部1023aを介して接触している。更に、本実施形態のように、ヒータフォルダ1023の突起部1023aを、基材1030の抵抗発熱体1031が配置されている箇所の裏側以外、即ち基材1030の温度が高くなりやすい箇所を避けて接触させることで、ヒータフォルダ1023へ伝わる熱量を更に低減して効率的に定着ベルト1020を加熱できる。また、サーミスタ1025によって検出された定着ベルト1020の温度情報が、図示しない制御手段に送られ、かかる制御手段によりヒータ1022に供給される電力量が制御され、ヒータ1022は所定の温度に制御される。制御手段は、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース等を包含するマイクロコンピュータを意味する。但し、通紙時などでは前記温度情報とは別に、通紙による抜熱分を考慮して、追加電力を適切に投入することで定着ベルト1020の温度を所望の温度に制御する。
また、ヒータフォルダ1023には、定着ベルト1020をガイドするガイド部1026が設けられている。ガイド部1026は、ヒータ1022のベルト回転方向の上流側(図2Aにおけるヒータ1022の下側)と下流側(図2Aにおけるヒータ1022の上側)とにそれぞれ設けられている。
画像定着装置109において、印刷動作が開始されると、加圧ローラ1021が回転駆動され、定着ベルト1020が従動回転を開始する。このとき、定着ベルト1020の内周面がガイド部1026のベルト対向面1260に接触してガイドされることで、定着ベルト1020は安定かつ円滑に回転する。また、ヒータ1022の抵抗発熱体1031に電力が供給されることで、定着ベルト1020が加熱される。そして、定着ベルト1020の温度が所定の目標温度(定着温度)に到達した状態で、図2Aに示すように、未定着トナー画像が担持された記録媒体Pが、定着ベルト1020と加圧ローラ1021との間(定着ニップ領域N)に搬送されることで、未定着トナー画像が加熱及び加圧されて記録媒体Pに定着される。
また、前記画像定着装置は、図2Aに示す定着装置のほか、例えば、図2B〜図2Dに示すような画像定着装置であってもよい。以下、図2B〜図2Dに示す各画像定着装置の構成について簡単に説明する。
まず、図2Bに示す画像定着装置109は、定着ベルト1020に対して加圧ローラ1021側とは反対側に、押圧ローラ1044が配置されており、この押圧ローラ1044とヒータ1022とによって定着ベルト1020を挟んで加熱するように構成されている。一方、加圧ローラ1021側では、定着ベルト1020の内周にニップ形成部材1045が配置されている。ニップ形成部材1045は、ステー1024によって支持されており、ニップ形成部材1045と加圧ローラ1021とによって定着ベルト1020を挟んで定着ニップ領域Nを形成している。また、ニップ形成部材1045には、定着ベルト1020をガイドするガイド部1026が設けられている。
次に、図2Cに示す画像定着装置109では、前述の押圧ローラ1044が省略されており、定着ベルト1020とヒータ1022との周方向接触長さを確保するために、ヒータ1022が定着ベルト1020の曲率に合わせて円弧状に形成されている。その他は、図2Bに示す画像定着装置109と同じ構成である。
最後に、図2Dに示す画像定着装置109では、定着ベルト1020のほかに加圧ベルト1046が設けられ、加熱ニップ(第1定着ニップ領域)N1と定着ニップ(第2定着ニップ領域)N2とを分けて構成している。即ち、加圧ローラ1021に対して定着ベルト1020側とは反対側に、ニップ形成部材1045とステー1047とを配置し、これらニップ形成部材1045とステー1047を内包するように加圧ベルト1046を回転可能に配置している。そして、加圧ベルト1046と加圧ローラ1021との間の定着ニップ領域N2に記録媒体Pを通して加熱及び加圧して画像を定着する。その他は、図2Aに示す画像定着装置109と同じ構成である。
<<トナー像>>
前記トナー像は、前記記録媒体上に、前記トナーにより形成される。
前記トナー像は、例えば、従来公知の画像形成方法における静電潜像形成工程、現像工
程、及び転写工程により作製することができる。
<<<トナー>>>
前記トナーは、ワックス及び結着樹脂を含有し、更にシェル層材料を含有することが好ましく、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。前記トナーは、透明トナーであってもよく、着色剤を含有していてもよい。
前記トナーは、コア部とシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナー粒子を含有するトナー(以下、「カプセルトナー」と称することがある)である。前記シェル層は、前記コア部の表面に配されるが、前記シェル層は、前記コア部の表面全面を覆っていてもよく、一部を覆っていてもよい。前記コア部の一部を覆っているシェル層としては、例えば、前記シェル層が島状に前記コア部の表面に存在している態様などが挙げられる。
前記ワックス及び前記結着樹脂は、前記コア粒子に含まれることが好ましいが、前記シェル層に含まれていてもよい。
−ワックス−
前記トナーにおける前記ワックスの含有量(以下、「ワックス総量」と称することがある)は、3質量%〜10質量%であり、3質量%〜5質量%であることが好ましい。前記トナーにおける前記ワックスの含有量が3質量%未満であると、定着時に十分な離型性が得られず、耐ホットオフセット性が低下する。また、前記トナーにおける前記ワックスの含有量が10質量%を超えると、耐ブロッキング性が低下し、カラー画像においては定着後の光沢性が失われる。
FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2,850cm−1)とピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)としては、0.05以上0.40以下であり、定着時の耐ホットオフセット性と、帯電性、現像性、耐ブロッキング性等との両立及び異音の発生の抑制の点で、0.05以上0.30以下がより好ましい。
前記強度比(P2850/P828)は、トナー表面近傍のワックスの相対量を表す。なお、トナー表面近傍とは、FTIR−ATR法の測定原理から、トナー表面から約0.3μmまでの深さである。
前記強度比(P2850/P828)が0.05未満であると、異音が発生し、また定着時に十分な離型性が得られない。また、前記強度比(P2850/P828)が0.40を超えると、トナー粒子の最表面に前記ワックスが露出する。
前記FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により得られる赤外吸収スペクトルは、適宜選択した方法により測定することができる。例えば、試料として、トナー3gを自動ペレット成型器(Type M No.50 BRP−E、MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)で6tの荷重で1分間プレスして直径40mm(厚さ約2mm)ペレットを作製し、そのトナーペレットをフーリエ変換赤外(FT−IR)分光分析測定装置(Avatar370、ThermoElectron社製)を用いた、ATR法(全反射法)にて測定する方法がある。
本明細書では、2,850cm−1のピーク(高さのベースライン2,830cm−1〜2,870cm−1)をP2850とし、828cm−1のピーク(高さのベースライン743cm−1〜890cm−1)をP828として、それぞれ10回測定した平均値を求め、強度比(P2850/P828)を算出する。ここで、高さのベースラインが2,830cm−1〜2,870cm−1である2,850cm−1のピークとは、2,830cm−1〜2,870cm−1の範囲にあるピークを2,850cm−1のピークとすることを意味する。また、高さのベースライン743cm−1〜890cm−1である828cm−1のピークとは、743cm−1〜890cm−1の範囲にあるピークを828cm−1のピークとすることを意味する。
2850は、ワックスのピークであり、ワックス単独のFTIR−ATR法により得られる赤外吸収スペクトルの全域図から特徴的なピークを抽出し設定を行った。また、P828は、樹脂のピークであり、検出されている構造としては、脂肪族−芳香族エーテルのC−O−C逆対称伸縮のピークであると推測される。
前記定着工程での耐ホットオフセット性向上のためには、ワックスはトナー粒子の表面近傍に存在することが好ましい。しかしながら、ワックスがトナー粒子の最表面に存在すると、トナーの均一な帯電を阻害する。また、ワックスが凝集性を示して、トナー粒子の流動性を妨げる。トナーの帯電性及び流動性の向上のために無機微粒子等の外添剤が添加されていても、トナー粒子の表面に存在するワックスによって、これらの外添剤が埋没してしまい、帯電性及び流動性は得られない。更に、長期の使用において、ワックスが磁性キャリアに表面に移行し、帯電性の低下や、現像剤の寿命の低下を引き起こしたり、感光体上に移行してフィルミングを発生させたりする。加えて、トナー保管時に、雰囲気温度によってトナー粒子の表面に存在するワックスが融けると、トナーブロッキングを起こすため、保存安定性が低下する。その一方で、ワックスがトナー粒子の内部に凝集して存在すると、十分な離型性が得られず、耐ホットオフセット性を低下させる。
そこで、前記画像定着方法に用いられる前記トナーは、前記ワックスの少なくとも一部が、トナー中に内包された複数の独立したワックス分散粒子として、いわゆる分散状態で存在するものとし、前記ワックスの含有量と、前記トナー粒子の表面近傍に存在する前記ワックスの含有量(相対量)とを決定することにより、前記帯電性及び流動性と、離型性との双方を満足させることができた。また、ワックスの総量と、前記トナー粒子の表面近傍に存在する前記ワックスの含有量(相対量)を特定量とすることで、初めてワックスがニップ部に移行し、ニップ部でのトルクが低減し、その結果、異音の発生を防止でき、前記トナー粒子の表面近傍に存在する前記ワックスの含有量(相対量)が多いほど異音の発生が少なくなることがわかった。
前記画像定着方法に用いられる前記トナーにおける前記ワックスの分散状態は、前記トナー粒子中の前記ワックス総量と、前記トナー粒子の表面近傍のワックス相対量とで、以下に示す測定により規定することができる。
前記トナー粒子中の前記ワックス総量は、DSC(示差走査熱量計)法により求められる。具体的には、以下の測定装置及び測定条件により、トナー試料とワックス単体試料(標準ワックス)とをそれぞれ測定し、それぞれより得られるワックスの吸熱量から、下記式1で算出した比より前記ワックス総量を求める。なお、前記ワックスの吸熱量は、2回目の昇温時におけるDSC曲線から求める。DSC法により求められ前記ワックス総量にはばらつきが少ないため、1回の測定で求めることができる。
[測定装置及び測定条件]
・測定装置:DSC装置(DSC60、株式会社島津製作所製)
・試料量:約5mg
・昇温温度:10℃/分
・測定範囲:室温(23±2℃)から150℃
・測定環境:窒素ガス雰囲気中
前記ワックス総量は以下の式1で算出する。
ワックス総量(質量%)=(トナー試料のワックスの吸熱量(J/g))×100/(ワックス単体試料の吸熱量(J/g))・・・式1
ここで、式1における「ワックス単体試料」としては、エステルワックスであるニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3(酸価0.1mgKOH/g、水酸基価4.0mgKOH/g以下、乾燥減量0.1%〜0.3%、色相(ガードナー)1、透明融点73.2℃、日油株式会社製)を用いる。
上記分析により、トナーの製造工程中にワックスが流出して、仕込んだワックスの全てがトナーに含有されない場合においても、トナー粒子中のワックス総量を有効に規定することができる。
前記ワックスの種類としては、特に制限はなく、従来公知のものを使用することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックス類;フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス類;蜜ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類;ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸又は該高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等の脂肪酸系ワックス類:合成エステルワックス等のエステルワックス類;又はこれらの各種変性ワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのワックスの中でも、カルナウバワックス及びその変性ワックス、ライスワックス、エステルワックス類が好ましく、エステルワックスが特に好ましい。
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、従来公知のものを使用することができるが、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。前記ポリエステル樹脂としては、例えば、変性ポリエステル、未変性ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−変性ポリエステル−−
前記変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合したりする状態をさす。具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基等の官能基を導入し、更に活性水素含有化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
前記変性ポリエステル(i)としては、例えば、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応により得られる、ウレア結合で変性されたポリエステル(以下、「ウレア変性ポリエステル」と称することがある)などが挙げられる。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、例えば、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを、更に多価イソシアネート化合物(PIC)と反応させたものなどが挙げられる。前記ポリエステルが有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらの中でも、前記ポリエステルが有する活性水素基は、アルコール性水酸基が好ましい。
前記多価アルコール化合物(PO)としては、特に制限はなく、例えば、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、又は(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。
前記2価アルコール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちの好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
前記3価以上の多価アルコール(TO)としては、例えば、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記多価カルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、例えば、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。
前記2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。これらのうちの好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
前記3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)などが挙げられる。なお、前記多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いて多価アルコール(PO)と反応させたものであってもよい。
前記多価アルコール(PO)と前記多価カルボン酸(PC)の比率としては、特に制限はないが、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、更に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
前記多価イソシアネート化合物(PIC)としては、特に制限はなく、例えば、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアネート類;前記脂環式ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用などが挙げられる。
前記多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、前記水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比([NCO]/[OH])として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、更に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の前記多価イソシアネート化合物(PIC)の構成成分の含有量は、通常0.5質量%〜40質量%、好ましくは1質量%〜30質量%、更に好ましくは2質量%〜20質量%である。
次に、前記ポリエステルプレポリマー(A)と反応させる前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、例えば、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及び前記(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記2価アミン化合物(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。
前記3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記(B1)〜(B5)のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、前記アミン類(B)のうち好ましいものは、前記(B1)、並びに、前記(B1)と少量の前記(B2)との混合物である。
前記アミン類(B)の比率は、前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]との当量比([NCO]/[NHx])として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、更に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
また、前記ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。前記ウレア結合の含有量と前記ウレタン結合の含有量とのモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、更に好ましくは、60/40〜30/70である。
前記変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法などにより製造される。前記変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1,000万、更に好ましくは3万〜100万である。この時のピーク分子量は、1,000〜10,000が好ましい。
前記変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(未変性ポリエステル)(ii)を用いる場合は、特に制限はなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。前記変性ポリエステル(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20,000以下、好ましくは1,000〜10,000、更に好ましくは2,000〜8,000である。
前記変性ポリエステル(i)を得るための前記ポリエステルプレポリマー(A)と前記アミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。前記反応停止剤としては、例えば、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
−−未変性ポリエステル−−
前記結着樹脂においては、前記変性ポリエステル(i)が単独で使用されるだけでなく、この変性ポリエステル(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)を結着樹脂成分として含有させることもできる。前記変性ポリエステル(i)と前記未変性ポリエステル(ii)とを併用することで、前記変性ポリエステル(i)を単独で使用する場合と比較して、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上する点で好ましい。
前記未変性ポリエステル(ii)としては、前記変性ポリエステル(i)と同様の多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも前記変性ポリエステル(i)と同様である。また、前記未変性ポリエステル(ii)は、無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えば、ウレタン結合で変性されていてもよい。
前記変性ポリエステル(i)と前記未変性ポリエステル(ii)とは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、前記変性ポリエステル(i)と前記未変性ポリエステル(ii)とは、類似の組成が好ましい。前記未変性ポリエステル(ii)を含有させる場合の、前記変性ポリエステル(i)と前記未変性ポリエステル(ii)との重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、更に好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。
前記未変性ポリエステル(ii)のピーク分子量は、通常1,000〜10,000、好ましくは2,000〜8,000、更に好ましくは2,000〜5,000である。
前記未変性ポリエステル(ii)の水酸基価は、5mgKOH/g以上であることが好ましく、更に好ましくは10mgKOH/g〜120mgKOH/g、特に好ましくは20mgKOH/g〜80mgKOH/gである。また、前記未変性ポリエステル(ii)の酸価は、1mgKOH/g〜5mgKOH/gが好ましく、より好ましくは2mgKOH/g〜4mgKOH/gである。
前記結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常35℃〜70℃、好ましくは55℃〜65℃である。
前記結着樹脂は、以下の方法で製造することができる。
前記多価アルコール(PO)と前記多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等の公知のエステル化触媒の存在下にて、150℃〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで、40℃〜140℃にて、これに前記多価イソシアネート化合物(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。更に前記イソシアネート基を有するプレポリマー(A)に前記アミン類(B)を0℃〜140℃にて反応させ、前記変性ポリエステル(i)としてのウレア変性ポリエステルを得る。
前記多価イソシアネート化合物(PIC)を反応させる際、及び前記イソシアネート基を有するプレポリマー(A)と前記アミン類(B)とを反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。
前記反応に使用可能な溶剤としては、例えば、前記多価イソシアネート化合物(PIC)に対して不活性な溶剤が挙げられ、具体例としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、及びエーテル類(テトラヒドロフラン等)などが挙げられる。
前記結着樹脂として前記未変性ポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様の方法で前記未変性ポリエステル(ii)を製造し、これを前記変性ポリエステル(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
−シェル層材料−
前記シェル層材料としては、特に制限はなく、公知のトナーのシェル層に用いられる材料の中から適宜選択することができるが、高分子系保護コロイドを含むことが好ましい。
前記高分子系保護コロイドとしては、特に制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、又は無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボキシル基とを含有する化合物のエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド又はこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の含窒素化合物、又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類などが挙げられる。
なお、前記高分子系保護コロイドは、前記トナーの製造における水系媒体中の樹脂微粒子や無機化合物の分散を安定化させる分散剤としても作用することができる。
−その他の成分−
前記トナーにおける前記その他の成分としては、特に制限はなく、トナーに使用される従来公知の成分の中から適宜選択することができ、例えば、着色剤、荷電制御剤、外添剤などが挙げられる。
−−着色剤−−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料を全て使用することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、及びこれらの混合物などが挙げられる。
前記着色剤の含有量は、前記トナーに対して、通常1質量%〜15質量%、好ましくは3質量%〜10質量%である。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
前記マスターバッチの製造、又は前記マスターバッチとともに混練される樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の前記樹脂と前記着色剤とを高せん断力をかけて混合及び混練して得ることができる。この際、前記着色剤と前記樹脂との相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを前記樹脂と有機溶剤と共に混合及び混練し、前記着色剤を前記樹脂側に移行させ、水分と前記有機溶剤成分とを除去する方法も、前記着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。前記混合及び混練するためには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
−−荷電制御剤−−
前記荷電制御剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
具体的には、前記荷電制御剤としては、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
前記荷電制御剤の使用量は、前記結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナーの製造方法などによって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部の範囲で用いられ、より好ましくは、0.2質量部〜5質量部の範囲で用いられる。
−−外添剤−−
前記外添剤としては、従来公知のものを使用することができるが、前記トナー粒子の流動性、現像性、及び帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。
前記無機微粒子の一次粒子径は、特に制限はないが、5×10−3μm〜2μmであることが好ましく、5×10−3μm〜0.5μmであることが特に好ましい。
前記無機微粒子のBET法による比表面積は、特に制限はないが、20m/g〜500m/gであることが好ましい。
前記無機微粒子の使用割合としては、特に制限はないが、前記トナーに対して、0.01質量%〜5質量%であることが好ましく、0.01質量%〜2.0質量%であることが特に好ましい。
前記無機微粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。また、前記無機微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合法、懸濁重合法、又は分散重合法によって得られるポリスチレン等の高分子系微粒子;メタクリル酸エステルやアクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記外添剤は、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる点で、表面処理が行われ、疎水性が向上したものであることが好ましい。
前記外添剤に用いられる表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤(例えば、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤等)、シリル化剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
これらの中でも、前記外添剤としては、シリカ、酸化チタンに前記表面処理を施して得られる、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンを用いることが好ましい。
−トナーのTg−
前記トナーのTgとしては、特に制限はないが、35℃〜60℃が好ましく、耐熱保存性の点から45℃〜55℃がより好ましい。
前記トナーのTgは、前記「−ワックス−」の項目に記載のDSC装置により得ることができる。具体的には、前記トナーのTgは、前記トナー試料を室温から150℃まで昇温した後、再度室温から測定する2回目の昇温時におけるDSC曲線から求めることができる。
−シェル層の平均厚さ−
前記トナーにおける前記シェル層の平均厚さとしては、特に制限はないが、200nm〜400nmが好ましい。
前記シェル層の平均厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。具体的には、トナーをエポキシ系樹脂に包埋して硬化させた後、ナイフで断面出しして、ウルトラミクロトームULTRACUT UCT(Leica社製)を用いて、厚さが80nmのトナーの超薄切片を作製する。次に超薄切片を四酸化ルテニウムで5分間ガス暴露することでシェルとコアを識別染色する。更に、TEM(透過型電子顕微鏡)H7000(株式会社日立ハイテク製)を用いて、加速電圧100kVでトナーの超薄切片を観察し、シェルの厚さを測定する。このとき、無作為に測定した10個のトナー粒子のシェルの厚さを測定し、平均値を算出する。
−トナーの体積平均粒径(Dv)−
前記トナーの体積平均粒径(Dv)としては、特に制限はないが、3.0μm〜8.0μmが好ましく、3.0μm〜6.0μmがより好ましい。
また、トナーの体積平均粒径(Dv)が3μm以下の粒子の割合が、全トナー粒子に対して10体積%以下であることが好ましい。
−トナーの粒度分布(Dv/Dn)−
前記トナーの粒度分布としての、前記トナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)としては、特に制限はないが、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れる点で、1.00〜1.40が好ましく、1.00〜1.15がより好ましい。
前記トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、及び粒度分布(Dv/Dn)は、種々の方法によって測定可能であり、例えば、精密粒度分布測定装置(Multisizer 3、ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
−トナーの円形度−
前記トナーの平均円形度は、特に制限はないが、0.93〜1.00の範囲にあることが好ましく、0.94〜0.97が更に好ましい。
トナーの円形度は、光学的に粒子を検知して、投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値である。具体的には、フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000、東亜医用電子株式会社製)により計測できる。
具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1mL〜0.5mL加え、更に測定試料としてのトナー試料を0.1g〜0.5g程度加える。前記トナー試料を分散した懸濁液は、超音波分散機で約1分間〜約3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000個/μL〜1万個/μLとして前記フロー式粒子像分析装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
前記トナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。
図1A〜図1Cは、前記トナーの形状の一例を模式的に示した図である。図1A〜図1Cにおいて、略球形状のトナーを、x軸、y軸、及びz軸の3次元の軸で表した場合に、長軸r、短軸r、及び厚さr(但し、r≧r≧rとする。)で規定するとき、前記トナーは、厚さrと長軸rとの比(r/r)が0.5〜1.0(図1B参照)の範囲にあり、厚さrと短軸rとの比(r/r)が0.7〜1.0(図1C参照)の範囲にあることが好ましい。特に、厚さrと短軸rとの比(r/r)が1.0では、長軸rを回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる点で好ましい。
なお、長軸r、短軸r、及び厚さrは、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定することができる。
前記トナーは、磁性キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。また、前記トナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いればよい。
前記磁性キャリアとしては、特に制限はないが、鉄、マグネタイト、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)等の2価の金属を含むフェライトであって、体積平均粒径が20μm〜100μmのものが好ましい。また、Znを含むCuフェライトは飽和磁化が高いことから好ましいが、画像形成装置のプロセスにあわせて適宜選択することができる。
前記磁性キャリアを被覆する樹脂としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、含フッ素樹脂、オレフィン樹脂などが挙げられる。
前記磁性キャリアの製造方法は、前記樹脂により被覆された樹脂(コーティング樹脂)を溶媒中に溶解し、流動層中にスプレーしコア上に被覆してもよく、また、樹脂粒子を静電的に核粒子に付着させた後に熱溶融させて被覆してもよい。
被覆される樹脂の厚さは、特に制限はないが、好ましくは0.05μm〜10μm、より好ましくは0.3μm〜4μmである。
−−トナーの製造方法−−
トナーの製造方法について、以下に説明する。ここでは、前記トナーのコア粒子の製造方法の好ましい態様として、いわゆる溶解懸濁法について示すが、この方法に限られるものではなく、粉砕法、(乳化)凝集法などの方法により製造されたトナーのコア粒子であってもよい。
前記トナーの製造は、以下の1)〜4)により行われることが好ましく、以下の5)を更に含むことがより好ましい。
1)前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)、及び前記ワックス、好ましくは前記未変性ポリエステル(i)、更に必要に応じて前記着色剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液(コア材料液)を作る。
前記有機溶媒としては、特に制限はないが、沸点が100℃未満の揮発性の有機溶剤であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。前記有機溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、前記有機溶剤は、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が特に好ましい。
前記有機溶媒の使用量は、前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)100質量部に対して、通常0質量部〜300質量部、好ましくは0質量部〜100質量部、更に好ましくは25質量部〜70質量部である。
2)前記1)で得られたトナー材料液を、水系媒体中で乳化させる。前記トナー材料の前記水系媒体中での分散性を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子、無機化合物等の分散剤を適宜加えてもよい。
前記水系媒体としては、水単独であってもよく、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
前記水系媒体の使用量は、前記トナー材料液100質量部に対して、通常50質量部〜2,000質量部、好ましくは100質量部〜1,000質量部である。
前記水系媒体に分散させる前記樹脂微粒子のTgは、好ましくは50℃〜110℃、より好ましくは50℃〜90℃、更に好ましくは50℃〜70℃である。
また、前記樹脂微粒子の重量平均分子量は、好ましくは10万以下、より好ましくは5万以下であり、その下限値は、通常、4,000である。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型のカチオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤;アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。
好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。なお、前記「C」は、炭素数を示す。
前記フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、商品名で、サーフロンS−111、サーフロンS−112、サーフロンS−113(以上、AGCセイミケミカル株式会社製)、フロラードFC−93、フロラードFC−95、フロラードFC−98、フロラードFC−129(以上、住友スリーエム株式会社製)、ユニダインDS−101、ユニダインDS−102(以上、ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−110、メガファックF−120、メガファックF−113、メガファックF−191、メガファックF−812、メガファックF−833(以上、DIC株式会社製)、エフトップEF−102、エフトップEF−103、エフトップEF−104、エフトップEF−105、エフトップEF−112、エフトップEF−123A、エフトップEF−123B、エフトップEF−306A、エフトップEF−501、エフトップEF−201、エフトップEF−204、(以上、三菱マテリアル電子化成株式会社製)、フタージェント100、フタージェント150(株式会社ネオス製)などが挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級若しくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、製品名で、商品名で、サーフロンS−121(AGCセイミケミカル株式会社製)、フロラードFC−135(住友スリーエム株式会社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−150、メガファックF−824(以上、DIC株式会社製)、エフトップEF−132(三菱マテリアル電子化成株式会社製)、フタージェント300(株式会社ネオス製)などが挙げられる。
前記樹脂微粒子は、前記水性分散体を形成しうる樹脂微粒子であれば公知の樹脂微粒子を使用することができ、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。前記樹脂微粒子としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記樹脂微粒子は、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、又はそれらの併用樹脂からなるものが好ましい。
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーで、例えば、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
前記樹脂微粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒などが挙げられる。
前記樹脂微粒子の市販品としては、例えば、商品名で、PB−200H(花王株式会社社製)、SGP−3G(以上、綜研化学株式会社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業株式会社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル株式会社製)などが挙げられる。
前記樹脂微粒子は、前記水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるため、又は、前記ワックスのトナー最表面への露出を防ぐために加えられる。このために、前記樹脂微粒子は、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10%〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。
前記樹脂微粒子の体積平均粒径は、光散乱光度計(大塚電子株式会社製)にて測定した値で、好ましくは200nm〜300nmである。
前記無機化合物としては、特に制限はなく、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
分散の方法としては、特に制限はないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備を適用することができる。これらの中でも、分散体の粒径を2μm〜20μmにするために、高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数としては、特に制限はないが、通常1,000rpm〜30,000rpm、好ましくは5,000rpm〜20,000rpmである。分散時間としては、特に制限はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1分間〜5分間である。分散時の温度としては、通常、0℃〜150℃(加圧下)、好ましくは40℃〜98℃である。
3)乳化液の作製と同時に、前記アミン類(B)を添加し、前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間としては特に制限はなく、前記ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造と前記アミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分間〜40時間、好ましくは2時間〜24時間である。反応温度としては、特に制限はないが、通常、0℃〜150℃、好ましくは40℃〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。前記触媒としては、具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
4)前記3)の反応終了後、得られた乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄及び乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子を作製することができる。また、前記分散剤としてリン酸カルシウム塩等の酸やアルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
5)前記4)で得られたトナー母体粒子に、必要に応じて前記荷電制御剤を打ち込み、次いで、前記外添剤としてのシリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
前記荷電制御剤の打ち込み及び前記無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。更に、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、更に、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
<<記録媒体>>
前記記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、紙、布、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用シートなどが挙げられる。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体(「感光体」と称することがある)と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像(トナー像)を形成する現像手段と、前記静電潜像担持体上に担持された可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、前記記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着装置とを有し、前記トナーが、本発明の画像定着方法に用いられるトナーであり、前記定着装置が、本発明の画像定着方法に用いられる画像定着装置である。
前記静電潜像形成手段は、前記感光体の表面を一様に帯電させる帯電手段(帯電器)と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光手段(露光器)とを少なくとも備えることが好ましい。
また、前記画像形成装置は、必要に応じて更に、前記感光体上に残留する前記トナーを除去するクリーニング手段、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う除電手段、前記クリーニング手段により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせるリサイクル手段などを有していてもよい。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体上に転写する転写工程と、該記録媒体上に転写された転写像を画像定着装置にて定着させる定着工程とを含み、前記トナーが、本発明の画像定着方法に用いられるトナーであり、前記定着工程が、本発明の画像定着方法により行われる。
前記画像形成方法は、必要に応じて更に、前記感光体上に残留する前記トナーを除去するクリーニング工程、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う除電工程、前記クリーニング工程で除去した前記トナーをリサイクルするリサイクル工程などを含んでいてもよい。
前記静電潜像形成工程は静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により好適に行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により好適に行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により好適に行うことができ、前記除電工程は前記除電手段により好適に行うことができ、前記リサイクル工程は前記リサイクル手段により好適に行うことができる。
具体例としては、前記感光体は、所定の周速度で回転駆動される。前記感光体は回転過程において、前記帯電手段によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の前記露光手段からの画像露光光を受け、こうして前記感光体の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで前記現像手段によりトナー現像され、現像されたトナー像は、記録媒体供給部から前記感光体と前記転写手段との間に該感光体の回転と同期されて給送された記録媒体(中間転写部材を含む)に、前記転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた記録媒体は、感光体面から分離されて前記定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体の表面は、前記クリーニング手段によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に除電された後、前記リサイクル手段により前記現像手段に戻され、繰り返し画像形成に使用される。
前記画像形成装置は、感光体上の潜像を現像するときに、交互電界を印加するものであることが好ましい。
図3に、本発明の画像形成装置における現像手段の一例を示す。
図3に示す現像器20において、現像時、現像スリーブ21には、電源22により現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。背景部電位と画像部電位は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって現像部23に向きが交互に変化する交互電界が形成される。この交互電界中で現像剤のトナーとキャリアが激しく振動し、トナーが現像スリーブ21及びキャリアへの静電的拘束力を振り切って感光体ドラム24に飛翔し、感光体ドラム24の潜像に対応して付着する。
振動バイアス電圧の最大値と最小値の差(ピーク間電圧)は、0.5KV〜5KVが好ましく、周波数は1KHz〜10KHzが好ましい。前記振動バイアス電圧の波形は、矩形波、サイン波、三角波などを使用することができる。前記振動バイアスの直流電圧成分は、上記したように背景部電位と画像部電位の間の値であるが、画像部電位よりも背景部電位に近い値である方が、背景部電位領域へのかぶりトナーの付着を防止する上で好ましい。
前記振動バイアス電圧の波形が矩形波の場合、デューティ比を50%以下とすることが望ましい。ここでデューティ比とは、振動バイアスの1周期中でトナーが感光体に向かおうとする時間の割合である。このようにすることにより、トナーが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を大きくすることができるので、トナーの運動が更に活発化し、トナーが潜像面の電位分布に忠実に付着してざらつき感や解像力を向上させることができる。またトナーとは逆極性の電荷を有するキャリアが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を小さくすることができるので、キャリアの運動を沈静化し、潜像の背景部にキャリアが付着する確率を大幅に低減することができる。
前記画像形成装置は、帯電装置が、静電潜像担持体に帯電部材を接触させ、該帯電部材に電圧を印加することによって帯電を行うことが好ましい。
前記帯電部材の形状としては、どのような形態をとってもよく、前記画像形成装置の仕様や形態にあわせて選択可能であり、例えば、ローラ、ファーブラシ、磁気ブラシなどが挙げられる。
<ローラ帯電の場合>
図5Aに、接触式の帯電装置を用いた画像形成装置の一例の概略構成を示す。被帯電体、像担持体としての感光体31は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体31に接触させた帯電部材である帯電ローラ32は、芯金33とこの芯金33の外周に同心一体にローラ上に形成した導電ゴム層34を基本構成とし、芯金33の両端を不図示の軸受け部材などで回転自由に保持させると供に、不図示の加圧手段によって感光体31に所定の加圧力で押圧させており、本図の場合は、この帯電ローラ32は感光体31の回転駆動に従動して回転する。
帯電ローラを用いる場合、芯金上に100,000Ω・cm程度の中抵抗ゴム層を被膜して用いるのが一般的であり、例えば、帯電ローラ32は、直径9mmの芯金33上に100,000Ω・cm程度の中抵抗ゴム層を被膜して直径16mmに形成されたものなどが挙げられる。帯電ローラ32の芯金33と電源35とは電気的に接続されており、電源35により帯電ローラ32に対して所定のバイアスが印加される。これにより感光体31の周面が所定の極性、電位に一様に帯電処理される。図4は、接触帯電の帯電特性を示す図である。
<ファーブラシ帯電又は磁気ブラシ帯電の場合>
図5Bに、接触式の帯電装置を用いた画像形成装置の一例の概略構成を示す。被帯電体、像担持体としての感光体41は、矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体41に対して、ファーブラシ又は磁気ブラシによって構成されるブラシ部44と、芯金43とによって構成されるブラシローラ42が、ブラシ部44の弾性に抗して所定の押圧力をもって所定のニップ幅で接触させてある。
<<ファーブラシ>>
前記ファーブラシの材質としては、例えば、カーボン、硫化銅、金属、又は金属酸化物により導電処理されたファーを用いることができ、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電部材とすることができる。
前記ファーブラシは、一本が3デニール〜10デニールで、10フィラメント/束〜100フィラメント/束、80本/mm〜600本/mmの密度が好ましい。また、前記ファーブラシの毛足は、1mm〜10mmが好ましい。
前記ファーブラシの具体例としては、電極を兼ねる直径6mmの金属製の芯金に、ブラシ部として導電性レーヨン繊維(例えば、REC−B、ユニチカ株式会社製)をパイル地にしたテープをスパイラル状に巻き付けて、外径14mm、長手長さ250mmのロールブラシとしたものなどが挙げられる。ブラシ部44のブラシは300デニール/50フィラメント、1平方ミリメートル当たり155本の密度が好ましい。このロールブラシを内径が12mmのパイプ内に一方向に回転させながらさし込み、ブラシと、パイプが同心となるように設定し、高温多湿雰囲気中に放置してクセ付けで斜毛させたものが好ましい。
前ファーブラシの材質としては、上記REC−B(ユニチカ株式会社製)以外にも使用することができ、例えば、REC−C、REC−M1、REC−M10(以上、ユニチカ株式会社製)、SA−7(東レ株式会社製)、サンダーロン(日本蚕毛染色株式会社製)、ベルトロン(株式会社カネボウ化粧品製)、クラカーボ(株式会社クラレ製)、ローバル(三菱レイヨン株式会社製)などが挙げられる。また、レーヨンにカーボンを分散したものも使用することができる。
前記ファーブラシローラの抵抗値としては、特に制限はないが、印加電圧100Vにおいて1×10Ωであることが好ましい。この抵抗値は、金属製の直径φ30mmのドラムにファーブラシローラをニップ幅3mmで当接させ、100Vの電圧を印加したときに流れる電流から換算した値である。
前記ファーブラシ帯電器の抵抗値は、被帯電体である感光体上にピンホール等の低耐圧欠陥部が生じた場合にもこの部分に過大なリーク電流が流れ込んで帯電ニップ部が帯電不良になる画像不良を防止することができる点で、10Ω以上が好ましく、感光体表面に充分に電荷を注入させることができる点で、10Ω以下好ましい。
ブラシローラ42は、感光体41の回転方向と逆方向(カウンター)に所定の周速度(表面の速度)をもって回転駆動され、感光体41面に対して速度差を持って接触する。そしてこのブラシローラ42に電源45から所定の帯電電圧が印加されることで、回転感光体面が所定の極性・電位に一様に接触帯電処理される。本例では、ファーブラシローラ42による感光体41の接触帯電は、直接注入帯電が支配的となって行なわれ、回転感光体41表面は、ブラシローラ42に対する印加帯電電圧とほぼ等しい電位に帯電される。
<<磁気ブラシ>>
前記磁気ブラシとしては、例えば、Zn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成されることが好ましい。
前記磁気ブラシの具体例としては、平均粒径25μmのZn−Cuフェライト粒子と、平均粒径10μmのZn−Cuフェライト粒子とを、重量比1:0.05で混合して、それぞれの平均粒径の位置にピークを有する、平均粒径25μmのフェライト粒子を、中抵抗樹脂層でコートした磁性粒子(被覆磁性粒子)を、前記非磁性の導電スリーブ上に厚さ1mmでコートして、感光体との間に幅約5mmの帯電ニップを形成し、該磁性粒子保持スリーブと感光体との間隙を約500μmとし、更に、前記マグネットロールを、スリーブ表面が、感光体表面の周速に対して、その2倍の早さで逆方向に摺擦するように、回転され、感光体と磁気ブラシとが均一に接触するようにする構成などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」は「質量部」を示す。
二成分現像剤に用いる磁性キャリアは、各実施例とも共通して以下のものを用いた。
(磁性キャリアの製造)
・芯材 Cu−Znフェライト粒子(重量平均粒径:35μm) 5,000部
・コート材
トルエン 450部
シリコーン樹脂SR2400
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%) 450部
アミノシランSH6020
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製) 10部
カーボンブラック 10部
前記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調製し、このコート液と前記芯材とを、流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、前記コート液を前記芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成し、前記シリコーン樹脂により0.5μmの平均厚さでコーティングされた磁性キャリアを得た。
(二成分現像剤の作製)
前記磁性キャリア100質量部に対し、以下の実施例1〜9及び比較例1〜2に示すトナー7質量部を、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、二成分現像剤を作製した。
(実施例1)
<ビニル樹脂の分散液1の調製>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イオン交換水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業株式会社製)11部、ポリ乳酸10部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部、及び過硫酸アンモニウム1部を入れ、回転数3,800rpmで30分間撹拌した後、75℃まで昇温して4時間反応させた後、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加えて、75℃で6時間熟成して、ビニル樹脂の水性分散液として[ビニル樹脂の分散液1]を得た。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920、株式会社堀場製作所社製)を用いて、[ビニル樹脂の分散液1]の体積平均粒径を測定したところ、280nmであった。また、[ビニル樹脂の分散液1]の一部を乾燥して、[ビニル樹脂の分散液1]に含まれるビニル樹脂を単離した。前記ビニル樹脂のTgは59℃であり、重量平均分子量は60,000であった。
<水相の調製>
水990部、[ビニル樹脂の分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37部、及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とした。
<低分子ポリエステルの合成>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、及びテレフタル酸276部を入れ、常圧下230℃で7時間重縮合し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応して[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2,300、重量平均分子量6,700、ピーク分子量3,800、Tg43℃、酸価4mgKOH/gであった。
<中間体ポリエステルの合成>
冷却管、撹拌機、及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部、及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230℃で7時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で5時間反応して[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2,200、重量平均分子量9,700、ピーク分子量3,000、Tg54℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価52mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、及び酢酸エチル500部を入れ、100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート質量%は、1.53質量%であった。
<ケチミンの合成>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170部及びメチルエチルケトン75部を入れ、50℃で4時間半反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は417mgKOH/gであった。
<マスターバッチの合成>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ製)540部[DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5]及びポリエステル樹脂1,200部を加え、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)で混合し、得られた混合物を、2本ロールを用いて130℃で1時間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
<油相の作製>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナウバワックス100部、及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]500部及び酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1,324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス株式会社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、カーボンブラック及びワックスの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65質量%酢酸エチル溶液1,324部を加え、上記条件のビーズミルで2パスし、[顔料・ワックス分散液1]を得た。[顔料・ワックス分散液1]の固形分濃度は50質量%であった。
<乳化>
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]115部、及び[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)回転数で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1,200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで25分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
<脱溶剤>
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で7時間脱溶剤した後、45℃で7時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
<洗浄>
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
I:濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。
II:Iの濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
III:IIの濾過ケーキに10質量%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。
IV:IIIの濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過する操作を2回行い、[濾過ケーキ1]を得た。
<乾燥>
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体粒子1]を得た。その後、[トナー母体粒子1]100部に疎水性シリカ1部及び疎水化酸化チタン1部をFMミキサーにて混合して[トナー1]を得た。得られた[トナー1]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1において、<油相の作製>の工程を以下の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー2]を得た。得られた[トナー2]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
<油相の作製>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナウバワックス及びライスワックス(カルナウバワックス:ライスワックス=7:3(質量比))100部、及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま4時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]500部及び酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液2]を得た。
[原料溶解液2]1,324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス株式会社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、7パスの条件で、カーボンブラック及びワックスの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65質量%酢酸エチル溶液1,324部を加え、上記条件のビーズミルで4パスし、[顔料・ワックス分散液2]を得た。[顔料・ワックス分散液2]の固形分濃度は50%であった。
(実施例3)
実施例1において、<油相の作製>の工程を以下の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー3]を得た。得られた[トナー3]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
<油相の作製>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、[低分子ポリエステル1]378部、エステルワックス(ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−4、融点71℃)100部、及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]500部及び酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液3]を得た。
[原料溶解液3]1,324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス株式会社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、カーボンブラック及びワックスの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65体積%酢酸エチル溶液1,324部を加え、上記条件のビーズミルで2パスし、[顔料・ワックス分散液3]を得た。[顔料・ワックス分散液3]の固形分濃度は50%であった。
(比較例1)
<A重合体の製造方法>
撹拌機、コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を付したフラスコに、メタノール300g、トルエン100g、スチレン570g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸30g、及びラウロイルパーオキサイド12gを仕込み、撹拌、窒素導入下、65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、減圧乾燥後、ジェットミルにて粉砕し、重量平均分子量3,000のA重合体を製造した。
<トナーの製造>
スチレン 183部
2−エチルへキシルアクリレート 17部
A重合体 0.1部
C.I. Pigment Yellow 17 7部
パラフィンワックス(融点68.3℃:大成興産株式会社製) 32部
重合開始剤(V−601、富士フィルム和光純薬工業株式会社製) 10部
上記処方を65℃に加温し、均一に溶解又は分散し、単量体組成物とした。
別途、イオン交換水1,200mlにシランカップリング剤(KBE−903、信越化学工業株式会社製)0.3gを均一に分散させ、コロイダルシリカ(アエロジル#200:日本アエロジル株式会社製)6gを投入し、更に均一に分散した。この分散液を塩酸でpH6に調整して分散媒系を調製した。この分散媒系に上記単量体組成物を投入し、窒素雰囲気下70℃でTK式ホモミキサーを用いて回転数6,500rpmで60分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、75℃で8時間重合した。重合反応終了後、反応生成物を冷却し、20質量%水酸化ナトリウム水溶液を42g加え、1晩アルカリ処理を行い、分散剤を溶解し、濾過、水洗、及び乾燥することにより[トナー4]を得た。得られた[トナー4]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例1において、<マスターバッチの合成>の際に、顔料分散剤として3級アミン基を吸着基に持つポリエステル樹脂(Tg、37℃)を100部加え、FMミキサーで混合し、得られた混合物を、2本ロールを用いて混練したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー5]を得た。得られた[トナー5]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例1において、<油相の作製>の際に、ワックス分散剤としてスチレン・ポリエチレンポリマー(Tg72℃、数平均分子量7,100)を100部加えたこと以外は、実施例1と同様にして[トナー6]を得た。得られた[トナー6]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において、<油相の作製>の工程を以下の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー7]を得た。得られた[トナー7]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
<油相の作製>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナウバワックス50部、及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま1時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]500部及び酢酸エチル500部を仕込み、10分間混合し[原料溶解液4]を得た。
[原料溶解液4]1,324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス株式会社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、1パスの条件で、カーボンブラック及びワックスの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65質量%酢酸エチル溶液1,324部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・ワックス分散液4]を得た。[顔料・ワックス分散液4]の固形分濃度は50%であった。
(比較例3)
実施例1において、<油層の作製>の工程のカーボンブラック及びワックスの分散を行う際の条件を、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、10パスの条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー8]を得た。得られた[トナー8]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例1において、<油層の作製>の工程のカーボンブラック及びワックスの分散を行う際の条件を、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、1パスの条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー9]を得た。得られた[トナー9]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例1において、<乳化>の工程の[顔料・ワックス分散液1]の仕込み量を、749部から1,250部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー10]を得た。得られた[トナー10]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例1において、<乳化>の工程の[顔料・ワックス分散液1]の仕込み量を、749部から1,500部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー11]を得た。得られた[トナー11]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例1の<ビニル樹脂の分散液1の調製>の工程の反応容器中で反応材料を撹拌する際の条件を、回転数3,800rpmで30分間から、回転数3,200rpmで30分間に変更した以外は、実施例1と同様にして[トナー12]を得た。得られた[トナー12]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例1の<ビニル樹脂の分散液1の調製>の工程の反応容器中で反応材料を撹拌する際の条件を、回転数3,800rpmで30分間から、回転数4,300rpmで30分間に変更した以外は、実施例1と同様にして[トナー13]を得た。得られた[トナー13]の物性を表1に、評価結果を表2に示す。
作製した[トナー1]〜[トナー13]の評価は以下の要領で行った。
なお、以下の評価において、評価機としては、下記「評価機A」を用いた。
<<評価機A>>
評価機Aとして、RICOH imagio MP C5002の現像部と定着部を改造して用いた。改造した内容は、線速が400mm/秒間になるように、現像ユニット、転写ユニット、クリーニングユニット、及び搬送ユニットの全てを変更あるいは調整した。現像ギャップは1.26mm、ドクタブレードギャップは1.6mm、反射型フォトセンサ機能をOFFとした状態で使用した。また定着部の定着ユニットは、定着面圧1.0×10Paと、定着ニップ幅10mmとした。定着ベルト表面はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)を塗布、成形、表面調整して使用した。定着ベルトは、基層と表層の間に性層(平均厚み200μm)を有する部材とした。感光体部、現像装置部、及び転写装置部の実温度領域は、30℃〜45℃になるように制御した(図2A参照)。
<評価項目>
(1)トナーにおけるワックスの含有量(総量)
各トナーにおけるワックスの含有量は、以下の測定装置及び測定条件により、各トナー試料と、以下のワックス単体試料とをそれぞれ測定試料として用い、それぞれの試料より得られるワックスの吸熱量から、下記式1により算出した。なお、測定回数は1回であり、前記ワックスの吸熱量は、2回目の昇温時におけるDSC曲線から求めた。
[測定装置及び測定条件]
・測定装置:DSC装置(DSC60、株式会社島津製作所製)
・試料量:約5mg
・昇温温度:10℃/分
・測定範囲:室温から150℃
・測定環境:窒素ガス雰囲気中
ワックス総量(質量%)=(トナー試料のワックスの吸熱量(J/g))×100)/(ワックス単体試料の吸熱量(J/g))・・・式1
ここで、式1における「ワックス単体試料」としては、エステルワックスであるニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3(日油株式会社製)を用いた。ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3の吸熱量は、202.75J/gであった。
(2)トナーの粒子表面近傍のワックス相対量
各トナー表面近傍のワックス相対量は、以下の測定装置及び測定条件により測定した。
試料として、各トナー3gを自動ペレット成型器(Type M No.50 BRP−E、MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)で6tの荷重で1分間プレスして直径40mm(厚さ約2mm)のペレットを作製し。そのトナーペレットを、フーリエ変換赤外(FT−IR)分光分析測定装置(Avatar370、ThermoElectron社製)を用いた、ATR法(全反射法)により測定した。ピーク2,850cm−1(高さのベースライン2,830cm−1〜2,870cm−1)をP2850とし、ピーク828cm−1(高さのベースライン743cm−1〜890cm−1)をP828として、それぞれ10回測定した平均値を求め、強度比(P2850/P828)を算出した。この強度比(P2850/P828)を、各トナー表面近傍のワックス相対量とした。
(3)トナーの平均円形度
各トナーの平均円形度は、以下の測定装置及び測定条件により測定した。
容器中の予め不純固形物を除去した水100mL〜150mL中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1mL〜0.5mL加え、更に測定試料としての各トナー試料を0.1g〜0.5g程度加えた。各トナー試料を分散した懸濁液は、超音波分散機で約1分間〜約3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000個/μL〜1万個/μLとしてフロー式粒子像分析装置(FPIA−3000、東亜医用電子株式会社製)によりトナーの形状及び分布を測定した。
表1において、「r」はトナーの長軸を示し、「r」はトナーの短軸を示し、「r」はトナーの厚さを示し、「r/r」は厚さrと短軸rとの比を示し、「r/r」は厚さrと短軸rとの比を示す。
(4)トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)
各トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、精密粒度分布測定装置(Multisizer 3、ベックマンコールター社製)を用いて測定した。また、得られた値から、粒度分布(Dv/Dn)を算出した。
(5)トナーのガラス転移温度(Tg)
各トナーのガラス転移温度(Tg)は、前記(2)トナーにおけるワックスの含有量に記載のDSC装置及び測定条件により測定した。なお、前記トナーのTgは、2回目の昇温時におけるDSC曲線から求めた。
(6)トナーのシェル層の平均厚さ
各トナーのシェル層の厚さは、以下の方法で測定した。
トナーをエポキシ系樹脂に包埋して硬化させた後、ナイフで断面出しして、ウルトラミクロトームULTRACUT UCT(Leica社製)を用いて、厚さが80nmのトナーの超薄切片を作製した。次に超薄切片を四酸化ルテニウムで5分間ガス暴露することでシェルとコアを識別染色した。更に、TEM(透過型電子顕微鏡)H7000(株式会社日立ハイテク製)を用いて、加速電圧100kVでトナーの超薄切片を観察し、シェルの厚さを測定した。このとき、無作為に測定した10個のトナー粒子のシェルの厚さを測定し、平均値を算出した。
(7)定着性(耐ホットオフセット性及び低温定着性)
評価機A、及び各トナーを用いて作製した二成分現像剤を用い、普通紙及び厚紙の転写紙(タイプ6200(リコー株式会社製)及び複写印刷用紙<135>(株式会社NBSリコー製))にベタ画像で、1.0±0.1mg/cmのトナー付着量で定着評価した。定着ベルトの温度を変化させて定着試験を行い、普通紙でホットオフセットの発生しない上限温度を定着上限温度とした。また、厚紙で定着下限温度を測定した。
定着下限温度は、得られた定着画像の画像濃度を100%とした場合に、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ローラ温度をもって定着下限温度とした。定着上限温度は200℃以上、定着下限温度は140℃以下が望まれる。
(8)帯電安定性
評価機A、及び各トナーを用いて作製した二成分現像剤を用い、画像面積率5%チャートを連続100,000枚出力して耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。現像剤1gを計量し、ブローオフ法により帯電量変化を求め、下記評価基準により評価した。
−帯電安定性の評価基準−
〇:帯電量の変化が5μc/g以下である。
△:帯電量の変化が5μc/gを超え、10μc/g以下である。
×:帯電量の変化が10μc/gを超える。
(9)画像濃度
評価機A、及び各トナーを用いて作製した二成分現像剤を用い、普通紙の転写紙(タイプ6200、リコー株式会社製)に0.4±0.1mg/cmの付着量におけるベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定し、下記評価基準により評価した。
−画像濃度の評価基準−
〇:画像濃度が1.4以上である。
×:画像濃度が1.4未満である。
(10)カブリ
温度10℃、相対湿度15%の環境において、評価機A、及び各トナーを用いて作製した二成分現像剤を用い、画像面積率5%チャートを連続100,000枚出力して耐久試験を実施後、転写紙上地肌部のトナー汚れ度合いを目視(ルーペ)にて観察し、下記評価基準により評価した。
−カブリの評価基準−
◎:トナー汚れがまったく観察されない良好な状態。
〇:わずかに汚れが観察される程度で問題とはならない状態。
△:少し汚れが観察される状態。
×:許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる状態。
(11)トナー飛散
温度40℃、相対湿度90%の環境において、評価機A、及び各トナーを用いて作製した二成分現像剤を用い、画像面積率5%チャートを連続100,000枚出力して耐久試験を実施後、複写機内のトナー汚染状態を目視にて観察し、下記評価基準により評価した。
−カブリの評価基準−
◎:トナー汚れがまったく観察されず良好な状態。
〇:わずかに汚れが観察される程度で問題とはならない状態。
△:少し汚れが観察される状態。
×:許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる状態。
(12)環境保存性(耐ブロッキング性)
各トナーを10gずつ計量し、20mlのガラス容器に入れ、100回ガラス瓶をタッピングした後、高温高湿(温度55℃、相対湿度80%)にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度計で針入度を測定した。また、各トナーを10gずつ計量し、20mlのガラス容器に入れ、100回ガラス瓶をタッピングした後、低温低湿(温度10℃、相対湿度15%)環境に24時間保存したトナーも同様に、針入度を測定した。高温高湿の環境と、低温低湿の環境とで、より針入度が小さい方の値を採用し、下記評価基準により評価した。
−環境保存性(耐ブロッキング性)の評価基準−
◎:針入度が20mm以上。
〇:針入度が15mm以上20mm未満。
△:針入度が10mm以上15mm未満。
×:針入度が10mm未満。
(13)定着汚れ
評価機A、及び各トナーを用いて作製した二成分現像剤を用い、画像面積率5%チャートを連続10,000枚出力し、定着ベルトに付着した微量オフセット物が紙上に再付着した状態を目視にて観察し、下記評価基準により評価した。
−定着汚れの評価基準−
〇:全く汚れが検出されない。
△:1枚あたり1箇所〜2箇所に汚れ箇所が検出される。
×:汚れの程度がひどく、使用に耐えない。
(14)異音の発生
評価機A、及び各トナーを用いて作製した二成分現像剤を用い、連続10,000枚出力し、9,991枚〜10,000枚の間における異音の発生を確認した。
−異音の発生の評価基準−
〇:全く異音が発生しない。
△:若干の異音が発生するが、気になるほどではない。
×:異音が発生する。
上記実施例1〜9及び比較例1〜4により得られた各トナーの物性を下記表1に、また、各トナーの評価結果を下記表2に示す。
Figure 2021162867
Figure 2021162867
表1及び表2の結果から分かる通り、ニップ部において、トナー像を加熱するヒータを有する定着装置にトナーにおけるワックス含有量と、FTIR−ATR法によって測定されたトナー粒子表面近傍のワックス相対量が、特定の範囲にあるトナーを使用することで、定着下限温度が低く低温定着性に優れると共に、定着上限温度が高く耐ホットオフセット性にも優れ、環境保存安定性も良く、かつ、帯電性、現像性、及び転写性が全て良好となり、異音の発生も抑制することができた。また、円形度、形状、及び粒径の制御により、カブリ、トナー飛散などがなく、クリーニング性も良好となった。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> トナーにより形成された記録媒体上のトナー像を画像定着装置にて定着させる画像定着方法において、
前記トナーが、ワックス及び結着樹脂を含有し、かつ、コア部とシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナー粒子を含有し、
前記トナーにおける前記ワックスの含有量が、3質量%〜10質量%であり、
FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2,850cm−1)とピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)が、0.05以上0.40以下であり、
前記画像定着装置が、加圧手段と、前記加圧手段を駆動回転させる駆動手段と、前記加圧手段と当接してニップ部を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される定着手段と、前記定着手段を加熱するヒータと、を有し、
前記ニップ部において、前記定着手段により前記トナー像を加熱する加熱工程を含むことを特徴とする画像定着方法である。
<2> 前記トナーにおける前記ワックスの含有量が、3質量%〜5質量%である前記<1>に記載の画像定着方法である。
<3> 前記ワックスが、エステルワックスである前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<4> 前記シェル層の平均厚さが、200nm〜400nmである前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<5> 前記ヒータが、板状ヒータである前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<6> 前記板状ヒータの面圧が、1.5×10Pa以下である前記<5>に記載の画像定着方法である。
<7> トナーにより形成された記録媒体上のトナー像を定着させる画像定着装置において、
前記トナーが、ワックス及び結着樹脂を含有し、かつ、コア部とシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナー粒子を含有し、
前記トナーにおける前記ワックスの含有量が、3質量%〜10質量%であり、
FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2,850cm−1)とピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)が、0.05以上0.40以下であり、
前記画像定着装置が、加圧手段と、前記加圧手段を駆動回転させる駆動手段と、前記加圧手段と当接してニップ部を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される定着手段と、前記定着手段を加熱するヒータと、を有し、
前記定着手段が、前記ニップ部において、前記トナー像を加熱する
ことを特徴とする画像形成装置である。
<8> 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、
該記録媒体上に転写された転写像を定着させる画像定着装置と、
を有し、
前記トナーが、ワックス及び結着樹脂を含有し、かつ、コア部とシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナー粒子を含有し、
前記トナーにおける前記ワックスの含有量が、3質量%〜10質量%であり、
FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2,850cm−1)とピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)が、0.05以上0.40以下であり、
前記画像定着装置が、加圧手段と、前記加圧手段を駆動回転させる駆動手段と、前記加圧手段と当接してニップ部を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される定着手段と、前記定着手段を加熱するヒータと、を有し、
前記定着手段が、前記ニップ部において、前記トナー像を加熱する
ことを特徴とする画像形成装置である。
<9> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写工程と、
該記録媒体上に転写された転写像を画像定着装置にて定着させる定着工程と、
を含み、
前記トナーが、ワックス及び結着樹脂を含有し、かつ、コア部とシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナー粒子を含有し、
前記トナーにおける前記ワックスの含有量が、3質量%〜10質量%であり、
FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2,850cm−1)とピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)が、0.05以上0.40以下であり、
前記画像定着装置が、加圧手段と、前記加圧手段を駆動回転させる駆動手段と、前記加圧手段と当接してニップ部を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される定着手段と、前記定着手段を加熱するヒータと、を有し、
前記ニップ部において、前記定着手段により前記トナー像を加熱する加熱工程を含むことを特徴とする画像形成方法である。
前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像定着方法、前記<7>に記載の画像定着装置、前記<8>に記載の画像形成装置、及び前記<9>に記載の画像形成方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
x トナーにおけるx軸
y トナーにおけるy軸
z トナーにおけるz軸
トナーの長軸
トナーの短軸
トナーの厚さ
109 画像定着装置
1020 定着ベルト
1021 加圧ローラ
1021a 芯金
1021b 弾性層
1021c 離型層
1022 ヒータ
1023 ヒータフォルダ
1023a 突起部
1024 ステー
1025 サーミスタ
1026 ガイド部
1030 基材
1031 抵抗発熱体
1032 絶縁層
1260 ベルト対向面
1044 押圧ローラ
1045 ニップ形成部材
1046 加圧ベルト
1047 ステー
P 記録媒体
N 定着ニップ領域
N1 加熱ニップ(第1定着ニップ領域)
N2 加熱ニップ(第2定着ニップ領域)
20 現像器
21 現像スリーブ
22 電源
23 現像部
24 感光体ドラム
31 感光体
32 帯電ローラ
33 芯金
34 導電ゴム層
35 電源
41 感光体
42 ブラシローラ
43 芯金
44 ブラシ部
45 電源
特開2007−249082号公報

Claims (7)

  1. トナーにより形成された記録媒体上のトナー像を画像定着装置にて定着させる画像定着方法において、
    前記トナーが、ワックス及び結着樹脂を含有し、かつ、コア部とシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナー粒子を含有し、
    前記トナーにおける前記ワックスの含有量が、3質量%〜10質量%であり、
    FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2,850cm−1)とピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)が、0.05以上0.40以下であり、
    前記画像定着装置が、加圧手段と、前記加圧手段を駆動回転させる駆動手段と、前記加圧手段と当接してニップ部を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される定着手段と、前記定着手段を加熱するヒータと、を有し、
    前記ニップ部において、前記定着手段により前記トナー像を加熱する加熱工程を含むことを特徴とする画像定着方法。
  2. 前記トナーにおける前記ワックスの含有量が、3質量%〜5質量%である請求項1に記載の画像定着方法。
  3. 前記ワックスが、エステルワックスである請求項1から2のいずれかに記載の画像定着方法。
  4. 前記シェル層の平均厚さが、200nm〜400nmである請求項1から3のいずれかに記載の画像定着方法。
  5. 前記ヒータが、板状ヒータである請求項1から4のいずれかに記載の画像定着方法。
  6. 前記板状ヒータの面圧が、1.5×10Pa以下である請求項5に記載の画像定着方法。
  7. 静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
    前記可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、
    該記録媒体上に転写された転写像を定着させる画像定着装置と、
    を有し、
    前記トナーが、ワックス及び結着樹脂を含有し、かつ、コア部とシェル層とを有するコアシェル構造を有するトナー粒子を含有し、
    前記トナーにおける前記ワックスの含有量が、3質量%〜10質量%であり、
    FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2,850cm−1)とピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)が、0.05以上0.40以下であり、
    前記画像定着装置が、加圧手段と、前記加圧手段を駆動回転させる駆動手段と、前記加圧手段と当接してニップ部を形成するように対向して配置され、該加圧手段の回転に伴い回転される定着手段と、前記定着手段を加熱するヒータと、を有し、
    前記定着手段が、前記ニップ部において、前記トナー像を加熱する
    ことを特徴とする画像形成装置。
JP2021059623A 2020-03-31 2021-03-31 画像定着方法 Pending JP2021162867A (ja)

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