JP2021162138A - 車両用変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型化することを抑制しつつ、車両搭載状態で変速機ケースから減速機を取り外した場合に、変速機ケースから潤滑油が漏出することを防止できる車両用変速機を提供すること。【解決手段】変速機4において、変速機ケース5の外部に減速機40を介してモータ35が取付けられ、減速機40と変速機ケース5との間でスプロケット37およびアイドル軸12介して動力が伝達されるとともに、変速機ケース5と減速機40がスプロケット37およびアイドル軸12のスプロケット取付部12Mを取り囲む外側ボス部7Pおよび内側ボス部8Pを介して接続されている。変速機ケース5のレフトケース7は、変速機ケース5に潤滑油を注入するための給油孔を有し、給油孔7Tよりも下方に潤滑油が貯留されており、変速機4が車両に搭載された状態で給油孔7Tよりも上方にスプロケット37およびアイドル軸12が設置されている。【選択図】図7

Description

本発明は、車両用変速機に関する。
変速機ケースの外部に減速機を介してモータが取付けられ、減速機と変速機ケースがアウトプットシャフトと出力ギヤからなる動力伝達部を介して接続される車両用変速機が知られている(特許文献1参照)。
この車両用変速機は、変速機ケースと減速機の減速機ケースにそれぞれ潤滑油が収容されている。ところで、減速機のメンテナンスを行うために、車両用変速機を車両に搭載した状態で変速機ケースから減速機ケースを取り外す場合には、動力伝達部を取り囲む変速機ケースの開口部から変速機ケースに貯留されるオイルが漏出するおそれがあるため、何らかの対策が必要となる。
その対策として、例えば、減速機ケースと変速機ケースから潤滑油を抜いた後に、減速機ケースを変速機ケースから取り外すことが考えられる。
しかしながら、減速機ケースのメンテナンスを行うために、変速機ケースから潤滑油を抜く場合には、オイルを抜く作業に加えて、変速機ケースにオイルを戻す作業も必要であり、多大な作業時間を要し、その作業が面倒である。
一方、変速機ケースから潤滑油を抜かずに減速機ケースを変速機ケースから取り外すことができるものとして、特許文献2に示す動力伝達装置のシール構造が考えられる。
この動力伝達装置は、トランスミッションケースに収容され、軸方向の端部に連結軸を有する出力シャフトと、トランスファのケーシングに収容され、先端部が連結軸に連結される入力シャフトとを有する。
入力シャフトは、軸受によって環状部に回転自在に支持されており、環状部と入力シャフトの間がオイルシールによって密閉されている。出力シャフトは、トランスミッションケースのハウジングの壁部と連結軸の間がオイルシールによって密閉されている。
このため、トランスファがトランスミッションケースから取り外され、出力シャフトから入力シャフトが分離された状態において、トランスミッションケースの開口部とトランスミッションケースの開口部をそれぞれオイルシールによって密閉することができる。
特開2015−145188号公報 特開2005−201352号公報
しかしながら、特許文献2に記載される動力伝達装置にあっては、トランスミッションケース側において出力シャフト用の専用のオイルシールを設け、トランスファ側において入力シャフト用の専用のオイルシールを設ける必要がある。
このため、出力シャフトおよび入力シャフトにオイルシールを設置するために、シャフトの軸長を確保する必要があり、トランスミッションがシャフトの軸方向に長くなり、結果的にトランスミッションが大型化する。
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、大型化することを抑制しつつ、車両搭載状態で変速機ケースから減速機を取り外した場合に、変速機ケースから潤滑油が漏出することを防止できる車両用変速機を提供することを目的とするものである。
本発明は、変速機ケースの外部に減速機を介してモータが取付けられ、前記減速機と前記変速機ケースに取付けられた回転軸との間で動力伝達部を介して動力が伝達されるとともに、前記変速機ケースと前記減速機が前記動力伝達部を取り囲む接続部を介して接続される車両用変速機であって、前記変速機ケースは、前記変速機ケースに潤滑油を注入するための給油孔を有し、前記車両用変速機が車両に搭載された状態で前記給油孔よりも上方に前記動力伝達部が設置されていることを特徴とする。
このように上記の本発明によれば、車両用変速機が大型化することを抑制しつつ、車両搭載状態で変速機ケースから減速機を取り外した場合に、変速機ケースから潤滑油が漏出することを防止できる。
図1は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の左側面図である。 図2は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の正面図である。 図3は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の後面図である。 図4は、本発明の一実施例に係る車両用駆動装置の左側面図であり、減速機ケースと減速機カバーが装着されていない状態を示す。 図5は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の軸配置を示す左側面図であり、レフトケースが装着されていない状態を示す。 図6は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の動力伝達系の展開図である。 図7は、図1のVII−VII方向矢視断面図である。
本発明の一実施の形態に係る車両用変速機は、変速機ケースの外部に減速機を介してモータが取付けられ、減速機と変速機ケースに取付けられた回転軸との間で動力伝達部を介して動力が伝達されるとともに、変速機ケースと減速機が動力伝達部を取り囲む接続部を介して接続される車両用変速機であって、変速機ケースは、変速機ケースに潤滑油を注入するための給油孔を有し、車両用変速機が車両に搭載された状態で給油孔よりも上方に動力伝達部が設置されている。
これにより、本発明の一実施の形態に係る車両用変速機は、車両用変速機が大型化することを抑制しつつ、車両搭載状態で変速機ケースから減速機を取り外した場合に、変速機ケースから潤滑油が漏出することを防止できる。
以下、本発明の一実施例に係る車両用変速機について、図面を用いて説明する。
図1から図7は、本発明の一実施例に係る車両用変速機を示す図である。図1から図7において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の車両用変速機を基準とし、車両の前後方向を前後方向、車両の左右方向(車両の幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向とする。
まず、構成を説明する。
図1において、ハイブリッド車両(以下、単に車両という)1は、車体2を備えており、車体2は、ダッシュパネル3によって前側のエンジンルーム2Aと後側の車室2Bとに仕切られている。
エンジンルーム2Aには変速機4が設置されており、変速機4は、前進6速、後進1速の変速段を有する。変速機4は、本発明における車両用変速機を構成する。
図2、図3において、変速機4には内燃機関を構成するエンジン20が連結されている。変速機4は変速機ケース5を備えており、変速機ケース5は、エンジン20の側から順に、ライトケース6、レフトケース7、減速機ケース8、減速機カバー9、および、パーキングカバー42(図1参照)を有する。各ケースやカバーは、左右方向に垂直な面にて結合されている。つまり、各ケースやカバーの合わせ面は、左右方向に垂直な面に形成されている。
エンジン20は、ライトケース6に連結されている。エンジン20は、図示しないクランク軸を有し、クランク軸は、車両1の幅方向(左右方向、以下、単に車幅方向という)に延びるように設置されている。すなわち、本実施例のエンジン20は、横置きエンジンから構成されており、本実施例の車両1は、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)車両である。
ライトケース6は、右側端部がエンジン20に連結される周壁、および、周壁の左側端部に架設設置された仕切壁6W(図5参照)を有し、右側が開口した形状のケースである。仕切壁6Wは、変速機4の後部にディファレンシャル装置17(図6参照)を設置するために、前部に比べて後部は右側に膨らんでディファレンシャル装置17の収容空間を形成している。
レフトケース7は、エンジン20と反対側、すなわち、ライトケース6の左側に連結されている。図5に示すように、ライトケース6の仕切壁6Wの外周縁にはフランジ部6Aが形成されている。
レフトケース7は、図3に示すように、右側端部がライトケース6に連結される周壁、および、周壁の左側端部に架設設置された左側壁7Kを有し、右側が開口した形状のケースである。
レフトケース7の周壁の右端部にはフランジ部7Aが形成されている。つまり、レフトケース7の右端部はその全体がフランジ部7Aとなっており、ライトケース6の左側に連結される合わせ面となっているので、車幅方向でレフトケース7の右端部は同じ位置となっている。
これに対して、レフトケース7の左端部は、車幅方向で、後部が前部に比較してライトケース6側に位置している。このため、図3、図6に示すように、レフトケース7の左側壁7Kは、前側の第1の左壁部7Cと、後側の第2の左壁部7Dとを有する。
ライトケース6の仕切壁6Wとレフトケース7の左側壁7Kは、左右方向に略垂直な面となっており、レフトケース7の左側壁7Kは、ライトケース6の仕切壁6Wと車幅方向で対向している。そして、レフトケース7の左側壁7Kとライトケース6の仕切壁6Wの間にはギヤ室21が形成されている(図6参照)。
図2、図3に示すように、フランジ部7Aにはボルト10Aが挿入されるボス部7aが設けられており、ボス部7aは、フランジ部7Aに沿って複数設けられている。
フランジ部6Aにはボス部7aに車幅方向で合致する複数のボス部6aが形成されており、ボルト10Aによってフランジ部6Aのボス部6aとフランジ部7Aのボス部7aを締結することで、ライトケース6とレフトケース7が締結されて一体化されている。
仕切壁6Wの右側に位置するライトケース6の内部空間には、図示しないクラッチが収容されている。ライトケース6とレフトケース7にて形成されるギヤ室21には、図6に示す主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13、カウンタ軸14、後進軸15およびディファレンシャル装置17が収容されている。各軸とは、変速機ケースに取付けられた本発明の回転軸である主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13、カウンタ軸14および後進軸15を示す。
主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13、カウンタ軸14、後進軸15およびディファレンシャル装置17は、車幅方向(左右方向)に沿って平行に設置されている。また、主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13、およびカウンタ軸14は、ライトケース6の仕切壁6Wとレフトケース7の左側壁7K(第1の左壁部7C)に架設されている。後進軸15とディファレンシャル装置17は、ライトケース6の仕切壁6Wとレフトケース7の左側壁7K(第2の左壁部7D)に架設されている。
図6に示すように、主入力軸11の右側部分は、仕切壁6Wを貫通して仕切壁6Wの右側に突出し、クラッチに接続されている。主入力軸11は、仕切壁6Wを貫通する部分で玉軸受22Aを介してライトケース6の仕切壁6Wの図示しない軸受支持部に回転自在に支持されている。そして、主入力軸11の左端部11fは、玉軸受22Bを介してレフトケース7の左側壁7K(第1の左壁部7C)の図示しない軸受支持部に回転自在に支持されている。
アイドル軸12の右端部12rは、玉軸受23Aを介してライトケース6の仕切壁6Wの図示しない軸受支持部に回転自在に支持されている。そして、アイドル軸12の左端部12fは、玉軸受23Bを介してレフトケース7の左側壁7K(第1の左壁部7C)の軸受支持部7B(図7参照)に回転自在に支持されている。
副入力軸13の右端部13rは、玉軸受24Aを介してライトケース6の仕切壁6Wの図示しない軸受支持部に回転自在に支持されている。そして、副入力軸13の左端部13fは、玉軸受24Bを介してレフトケース7の左側壁7K(第1の左壁部7C)の図示しない軸受支持部に回転自在に支持されている。
カウンタ軸14の右端部14rは、円錐ころ軸受25Aを介してライトケース6の仕切壁6Wの図示しない軸受支持部に回転自在に支持されている。そして、カウンタ軸14の左端部14fは、円錐ころ軸受25Bを介してレフトケース7の左側壁7K(第1の左壁部7C)の図示しない軸受支持部に回転自在に支持されている。
以上説明した通り、図3、図6に示すように、レフトケース7の左側壁7Kは、フランジ部7Aに対してライトケース6から離れる方向に位置する第1の左壁部7Cと、その後側に設置されフランジ部7Aに対してライトケース6から離れる方向に位置し、かつ、第1の左壁部7Cのよりもライトケース6側に位置する第2の左壁部7Dとを有している。
主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13およびカウンタ軸14の左端部11f、12f、13f、14fは、第1の左壁部7Cの軸受支持部に支持されており、主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13およびカウンタ軸14よりも軸長の短い後進軸15の左端部15fとディファレンシャル装置17は、第2の左壁部7Dの軸受支持部に支持されている。つまり、第2の左壁部7Dは、少なくとも後進軸15およびディファレンシャル装置17の左側に位置するレフトケース7の左側壁7Kである。
図6に示すように、主入力軸11は、1速段用の入力ギヤ11A、2速段用の入力ギヤ11B、3速/5速段用の入力ギヤ11Cおよび4速/6速段用の入力ギヤ11Dを有する。
1速段用の入力ギヤ11Aと2速段用の入力ギヤ11Bは、主入力軸11に一体に形成されており、主入力軸11と一体で回転する。3速/5速段用の入力ギヤ11Cおよび4速/6速段用の入力ギヤ11Dは、主入力軸11にスプライン嵌合されており、主入力軸11と一体で回転する。
入力ギヤ11A、11B、11C、11Dは、入力ギヤ11Aから入力ギヤ11Dに向かうに従って径が大きくなっている。また、入力ギヤ11A、11B、11C、11Dは、エンジン20側から順に設置されている。軸方向の位置で、入力ギヤ11Aと11Bは、カウンタ軸14に後述する同期装置31が設置できるように離れて設置されている。
軸方向の位置で、入力ギヤ11Bと入力ギヤ11Cは、その間にカウンタ軸14に後述するリダクションドリブンギヤ14Eが設置できるように離れて設置されている。軸方向の位置で、入力ギヤ11Cと入力ギヤ11Dは、カウンタ軸14に後述する同期装置32やアイドル軸12に後述する同期装置33が設置できるように離れて設置されている。
カウンタ軸14は、1速段用のカウンタギヤ14A、2速段用のカウンタギヤ14B、5速段用のカウンタギヤ14C、6速段用のカウンタギヤ14D、リダクションドリブンギヤ14Eおよび前進用のファイナルドライブギヤ14Fを有する。
カウンタギヤ14A、14B、14C、14Dは、ニードル軸受14a、14b、14c、14dを介してカウンタ軸14に支持されている遊転ギヤであり、カウンタ軸14と相対回転自在となっている。
リダクションドリブンギヤ14Eは、カウンタ軸14にスプライン嵌合されており、カウンタ軸14と一体で回転する。前進用のファイナルドライブギヤ14Fは、カウンタ軸14に一体に形成されており、カウンタ軸14と一体で回転する。
カウンタギヤ14A、14B、14C、14Dは、カウンタギヤ14Aからカウンタギヤ14Dに向かうに従って径が小さくなっており、それぞれ同じ変速段を構成する入力ギヤ11Aから入力ギヤ11Dに噛み合っている。
また、カウンタギヤ14A、14B、14C、14D、リダクションドリブンギヤ14E、ファイナルドライブギヤ14Fは、エンジン20側から順に、ファイナルドライブギヤ14F、カウンタギヤ14A、14B、リダクションドリブンギヤ14E、カウンタギヤ14C、14Dの順に設置されている。
アイドル軸12は、3速段用のアイドルギヤ12A、4速段用のアイドルギヤ12Bおよびリダクションドライブギヤ12Cを有する。リダクションドライブギヤ12Cは、4速段用のアイドルギヤ12Bに対して3速段用のアイドルギヤ12Aの反対側に位置している。
3速段用のアイドルギヤ12Aおよび4速段用のアイドルギヤ12Bは、ニードル軸受12a、12bを介してアイドル軸12に支持されている遊転ギヤであり、アイドル軸12と相対回転自在となっている。
リダクションドライブギヤ12Cは、主入力軸11に設けられた2速段用の入力ギヤ11Bと軸方向で同じ位置となるように、アイドル軸12にスプライン嵌合されており、アイドル軸12と一体で回転する。
3速段用のアイドルギヤ12A、4速段用のアイドルギヤ12Bおよびリダクションドライブギヤ12Cは、エンジン20側から順に、リダクションドライブギヤ12C、3速段用のアイドルギヤ12A、4速段用のアイドルギヤ12Bの順に設置されている。
軸方向の位置で、リダクションドライブギヤ12Cと3速段用のアイドルギヤ12Aは、その間に副入力軸13に設置される後述するリダクションドライブギヤ13Bの外周縁が入り込むことができるように離れて設置されている。
3速段用のアイドルギヤ12Aは、3速/5速段用の入力ギヤ11Cに噛み合っている。4速段用のアイドルギヤ12Bは、3速段用のアイドルギヤ12Aよりも小径に形成されており、4速/6速段用の入力ギヤ11Dに噛み合っている。
本実施例の変速機4は、3速段と5速段とが1つの3速/5速段用の入力ギヤ11Cを共用し、部品点数の削減と変速機4の小型化(軸方向の寸法の短縮)がなされている。また、4速段と6速段とが1つの4速/6速段用の入力ギヤ11Dを共用し、部品点数の削減と変速機4の小型化(軸方向の寸法の短縮)がなされている。
さらに、3速段用のアイドルギヤ12Aと5速段用のカウンタギヤ14Cとが同一のギヤから構成されており、4速段用のアイドルギヤ12Bと6速段用のカウンタギヤ14Dが同一のギヤから構成されている。同じギヤを用いることで、生産性の向上が図られている。
すなわち、3速段用のアイドルギヤ12Aを5速段用のカウンタギヤ14Cとして用いることが可能であり、その逆に、5速段用のカウンタギヤ14Cを3速段用のアイドルギヤ12Aとして用いることが可能である。
また、4速段用のアイドルギヤ12Bを6速段用のカウンタギヤ14Dとして用いることが可能であり、その逆に、6速段用のカウンタギヤ14Dを4速段用のアイドルギヤ12Bとして用いることが可能である。
副入力軸13は、リダクションドリブンギヤ13A、リダクションドライブギヤ13Bおよびダンパ機構16を有する。リダクションドリブンギヤ13A、リダクションドライブギヤ13Bおよびダンパ機構16は、エンジン20側から順に、ダンパ機構16、リダクションドリブンギヤ13A、リダクションドライブギヤ13Bの順に設置されている。
リダクションドリブンギヤ13Aは、リダクションドライブギヤ12Cよりも大径に形成されており、リダクションドライブギヤ12Cに噛み合っている。リダクションドリブンギヤ13Aは、ダンパ機構16で許容される範囲内で副入力軸13と相対回転自在に、副入力軸13に支持されている。
リダクションドライブギヤ13Bは、リダクションドリブンギヤ13Aよりも大径で、かつ、リダクションドリブンギヤ14Eよりも小径に形成されており、リダクションドリブンギヤ14Eに噛み合っている。リダクションドライブギヤ13Bは、副入力軸13にスプライン嵌合されており、副入力軸13と一体で回転する。
すなわち、リダクションドリブンギヤ14Eは、リダクションドライブギヤ12C、リダクションドリブンギヤ13Aおよびリダクションドライブギヤ13Bよりも大径に形成されている。このため、3速段と4速段とにおいて、アイドル軸12から副入力軸13を介してカウンタ軸14に伝達される動力は、5速段と6速段に比べて減速される。
なお、減速比に関し、アイドル軸12に設置されたアイドルギヤ12Aとアイドルギヤ12Bを用いる変速段の間に、カウンタ軸14に設置されたカウンタギヤ14Cを用いる変速段を設定することも可能であるが、後述する同期装置32、33を動作させる作動機構が複雑となるため、本実施例では同期装置32、33が連続する変速段を切り替えるようにしている。
本実施例のリダクションドライブギヤ12Cとリダクションドリブンギヤ13Aは、第1のリダクションギヤ対を構成しており、リダクションドライブギヤ13Bとリダクションドリブンギヤ14Eは、第2のリダクションギヤ対を構成している。すなわち、変速機4は、2組のリダクションギヤ対を有する。
リダクションドライブギヤ12C、リダクションドリブンギヤ13A、リダクションドライブギヤ13Bおよびリダクションドリブンギヤ14Eは、それぞれが設置される各軸の軸方向の略中央部に設置されている。軸方向で、第1のリダクションギヤ対は、第2のリダクションギヤ対のエンジン20側に設置され、入力ギヤ11B、カウンタギヤ14Bと同じ位置に設置されている。
リダクションドリブンギヤ14Eの外周部の一部は、主入力軸11の軸方向で2速段用の入力ギヤ11Bと3速/5速段用の入力ギヤ11Cの間に入り込んでいる。リダクションドライブギヤ13Bの外周部の一部は、アイドル軸12の軸方向でリダクションドライブギヤ12Cと3速段用のアイドルギヤ12Aの間に入り込んでいる。
このため、大径のリダクションドライブギヤ13Bおよびリダクションドリブンギヤ14Eを用いても主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13およびカウンタ軸14の軸間距離を短縮でき、変速機ケース5の小型化を図ることができる。この結果、変速機4の小型化を図ることができる。
ダンパ機構16は、外筒部材16Aと、ゴム等の弾性体16Bと、内筒部材16Cとを有する。
内筒部材16Cは、外筒部材16Aよりも小径に形成されており、外筒部材16Aの内径側に設置されている。つまり、軸方向で、内筒部材16Cは、外筒部材16Aと同じ位置に設置されている。内筒部材16Cは、副入力軸13にスプライン嵌合されており、副入力軸13と一体で回転する。
弾性体16Bは、外筒部材16Aの内径と内筒部材16Cの外径の間に設置されており、外周面と内周面がそれぞれ外筒部材16Aと内筒部材16Cに固定されている。つまり、弾性体16Bは、径方向で外筒部材16Aと内筒部材16Cの間に設置されている。
外筒部材16Aは、弾性体16Bを収容する部位からリダクションドリブンギヤ13A側に延びる延出部を有し、延出部の内周部には内周スプライン16aが形成されている。内筒部材16Cは、弾性体16Bを取付ける部位からリダクションドリブンギヤ13A側に延びる延出部を有し、延出部には外周スプライン16cが形成されている。
リダクションドリブンギヤ13Aは、外筒部材16Aの延出部の内径側に入り込み内筒部材16C側に延びる延出部を有し、延出部には外周スプライン13eが形成されている。そして、外周スプライン16c、13eは、外筒部材16Aの内周スプライン16aに嵌合されている。
外筒部材16Aの内周スプライン16aとリダクションドリブンギヤ13Aの外周スプライン13eは、周方向の隙間が小さく形成されており、タイト(回転方向のガタが比較的少ない状態)にスプライン嵌合している。
これに対して、外筒部材16Aの内周スプライン16aと内筒部材16Cの外周スプライン16cは、周方向の隙間が大きく形成されており、ルーズ(回転方向のガタが比較的多い状態)にスプライン嵌合している。つまり、外筒部材16Aと内筒部材16Cとは、多少の相対回転が可能な状態にスプライン嵌合している。
ダンパ機構16は、副入力軸13とリダクションドリブンギヤ13Aとの間の動力伝達を行うが、外筒部材16Aの内周スプライン16aと内筒部材16Cの外周スプライン16cの上記したスプライン嵌合により、異なる動力伝達経路を達成可能となっている。
回転方向で、内周スプライン16aと外周スプライン16cが当接しない状態では弾性体16Bを介する動力伝達となり、内周スプライン16aと外周スプライン16cが当接する状態では内周スプライン16aと外周スプライン16cを介した動力伝達が可能となっている。
つまり、ダンパ機構16は、伝達する駆動力が比較的小さい場合、弾性体16Bを介する動力伝達を行い、伝達する駆動力が比較的大きい場合、内周スプライン16aと外周スプライン16cが当接して内周スプライン16aと外周スプライン16cを介した動力伝達を行う。弾性体16Bは、微小なトルク変動(回転変動)を吸収して、歯打ち音等を抑制することができる。
後進軸15は、後進ギヤ15Aおよび後進用のファイナルドライブギヤ15Bを有する。後進ギヤ15Aは、ニードル軸受15aを介して後進軸15に支持されており、後進軸15と相対回転自在となっている。後進ギヤ15Aは、1速段用のカウンタギヤ14Aに噛み合っている。
後進用のファイナルドライブギヤ15Bは、後進軸15に一体に形成されており、後進軸15と一体で回転する。後進用のファイナルドライブギヤ15Bは、ディファレンシャル装置17のファイナルドリブンギヤ17Aに噛み合っている。
カウンタ軸14には同期装置31が設けられており、同期装置31は、カウンタ軸14の軸方向で1速段用のカウンタギヤ14Aと2速段用のカウンタギヤ14Bの間に設置されている。同期装置31は、ハブ31A、スリーブ31Bおよびシンクロナイザリング31C、31Dを備えている。
ハブ31Aの内周面は、カウンタ軸14にスプライン嵌合しており、ハブ31Aは、カウンタ軸14と一体で回転する。スリーブ31Bは、ハブ31Aにスプライン嵌合されており、カウンタ軸14の軸方向に移動自在となっている。
スリーブ31Bは、シフト操作によって変速段が1速段または2速段にシフトされると、中立位置から図示しないシフトフォークによって1速段用のカウンタギヤ14A側または2速段用のカウンタギヤ14B側に移動される。なお、図示したスリーブ31Bの位置は、中立位置である。
例えば、自動によるシフト操作が行われる場合には、スリーブ31Bは、後述するシフトユニット50によって駆動される。シフトユニット50は、運転者によって操作される図示しないシフトレバーがドライブレンジにシフトされた状態あるいはリバースレンジにシフトされた状態において、予めスロットル開度と車速とをパラメータとして設定された変速マップに基づいて同期装置31および後述する同期装置32、33、34を操作して変速段の制御を行う。
スリーブ31Bの内周面にはスプライン31a、31bが形成されている。1速段用のカウンタギヤ14Aにはスプライン31aに嵌合するスプライン14gが形成されており、2速段用のカウンタギヤ14Bにはスプライン31bに嵌合するスプライン14hが形成されている。
スリーブ31Bが中立位置から1速段用のカウンタギヤ14A側に移動すると、スリーブ31Bのスプライン31aが1速段用のカウンタギヤ14Aのスプライン14gに嵌合することにより、スリーブ31Bを介して1速段用のカウンタギヤ14Aがカウンタ軸14に連結され、1速段用のカウンタギヤ14Aがカウンタ軸14と一体で回転する。
これにより、エンジン20の動力が主入力軸11から1速段用の入力ギヤ11Aおよび1速段用のカウンタギヤ14Aを介してカウンタ軸14に伝達される。
スリーブ31Bが中立位置から2速段用のカウンタギヤ14B側に移動すると、スリーブ31Bのスプライン31bが2速段用のカウンタギヤ14Bのスプライン14hに嵌合することにより、スリーブ31Bを介して2速段用のカウンタギヤ14Bがカウンタ軸14とに連結され、2速段用のカウンタギヤ14Bがカウンタ軸14と一体で回転する。
これにより、エンジン20の動力が主入力軸11から2速段用の入力ギヤ11Bおよび2速段用のカウンタギヤ14Bを介してカウンタ軸14に伝達される。
ここで、同期装置によって1速段用のカウンタギヤ14Aがカウンタ軸14に連結されることは、1速段用のカウンタギヤ14Aがカウンタ軸14と一体で回転するようにカウンタ軸14に直結されることである。以後、ギヤが回転軸に連結されるという表現は、ギヤが回転軸と一体で回転するように回転軸に直結されることを意味する。
シンクロナイザリング31Cは、ハブ31Aと1速段用のカウンタギヤ14Aとの間に設けられており、外周面にスリーブ31Bのスプライン31aに嵌合するスプラインが形成されている。
シンクロナイザリング31Dは、ハブ31Aと2速段用のカウンタギヤ14Bとの間に設けられており、外周面にスリーブ31Bのスプライン31bに嵌合するスプラインが形成されている。
シンクロナイザリング31Cは、スリーブ31Bが中立位置から1速段のカウンタギヤ14A側に移動したときに、シンクロナイザリング31Cに形成されたスプラインがスリーブ31Bのスプライン31aに係合し、1速段のカウンタギヤ14Aに摩擦接触することにより、1速段用のカウンタギヤ14Aの回転をスリーブ31Bの回転(カウンタ軸14の回転)に同期させる。
シンクロナイザリング31Dは、スリーブ31Bが中立位置から2速段のカウンタギヤ14B側に移動したときに、シンクロナイザリング31Dに形成されたスプラインがスリーブ31Bのスプライン31bに係合し、2速段のカウンタギヤ14Bに摩擦接触することにより、2速段用のカウンタギヤ14Bの回転をスリーブ31Bの回転(カウンタ軸14の回転)に同期させる。
このように本実施例の同期装置31は、1速段用のカウンタギヤ14Aと2速段用のカウンタギヤ14Bを選択的にカウンタ軸14に連結し、連結時に同期動作を行うことで変速ショックや異音が発生することを抑制する。
これにより、エンジン20の動力が主入力軸11から1速段用の入力ギヤ11Aおよび1速段用のカウンタギヤ14Aを介してカウンタ軸14に伝達される。また、エンジン20の動力が主入力軸11から1速段用の入力ギヤ11Bおよび2速段用のカウンタギヤ14Bを介してカウンタ軸14に伝達される。
カウンタ軸14には更に、上記した同期装置31と同様の働きをする同期装置32が設けられており、同期装置32は、カウンタ軸14の軸方向で5速段用のカウンタギヤ14Cと6速段用のカウンタギヤ14Dの間に設置されている。
アイドル軸12には上記した同期装置31、32と同様の働きをする同期装置33が設置されており、同期装置33は、アイドル軸12の軸方向で3速段用のアイドルギヤ12Aと4速段用のアイドルギヤ12Bの間に設置されている。
シフト操作によって3速段にシフトされると、同期装置33は、3速段のアイドルギヤ12Aをアイドル軸12に連結する。
これにより、エンジン20の動力が主入力軸11から3速/5速段用の入力ギヤ11Cおよび3速段用のアイドルギヤ12Aを介してアイドル軸12に伝達される。
シフト操作によって4速段にシフトされると、同期装置33は、4速段用のアイドルギヤ12Bをアイドル軸12に連結する。
これにより、エンジン20の動力が主入力軸11から4速/6速段用の入力ギヤ11Dおよび4速段用のアイドルギヤ12Bを介してアイドル軸12に伝達される。
アイドル軸12にエンジン20の動力が伝達されると、エンジン20の動力は、アイドル軸12からリダクションドライブギヤ12C、リダクションドリブンギヤ13A、ダンパ機構16、副入力軸13、リダクションドライブギヤ13Bおよびリダクションドリブンギヤ14Eを介してカウンタ軸14に伝達される。
これにより、3速段および4速段において、アイドル軸12から副入力軸13を介してカウンタ軸14に動力が伝達されるとともに、伝達される動力(回転速度)が減速される。
シフト操作によって5速段にシフトされると、同期装置32は、5速段用のカウンタギヤ14Cをカウンタ軸14に連結する。
これにより、エンジン20の動力が主入力軸11から3速/5速段用の入力ギヤ11Cおよび5速段用のカウンタギヤ14Cを介してカウンタ軸14に伝達される。
シフト操作によって6速段にシフトされると、同期装置32は、6速段用のカウンタギヤ14Dをカウンタ軸14に連結する。
これにより、エンジン20の動力が主入力軸11から4速/6速段用の入力ギヤ11Dおよび6速段用のカウンタギヤ14Dを介してカウンタ軸14に伝達される。
後進軸15には同期装置34が設置されている。シフト操作によって後進段にシフトされると、同期装置34は、後進ギヤ15Aを後進軸15に連結し、後進ギヤ15Aを後進軸15と一体で回転させる。なお、後進軸15には、エンジン20側から順に、後進用のファイナルドライブギヤ15B、後進ギヤ15A、同期装置34の順に設置されている。
これにより、エンジン20の動力が主入力軸11から1速段の入力ギヤ11A、1速段用のカウンタギヤ14Aおよび後進ギヤ15Aを介して後進軸15に伝達される。
同期装置32、33、34は、所謂、シングルコーン式であり、同期装置31は、所謂、トリプルコーン式であるが、同期装置32、33、34は、同期装置31と同様の同期動作を行うので、具体的な説明は省略する。
前進用のファイナルドライブギヤ14Fおよび後進用のファイナルドライブギヤ15Bは、ディファレンシャル装置17のファイナルドリブンギヤ17Aに噛み合っている。これにより、カウンタ軸14の動力は、前進用のファイナルドライブギヤ14Fを経て、後進軸15の動力は、後進用のファイナルドライブギヤ15Bを経て、ディファレンシャル装置17に伝達される。
図6に示すように、ディファレンシャル装置17は、ファイナルドリブンギヤ17Aと、ファイナルドリブンギヤ17Aが外周部に取付けられたデフケース17Bと、デフケース17Bに内蔵された差動機構17Cとを有する。
デフケース17Bの左端部には筒状部17aが設けられており、デフケース17Bの右端部には筒状部17bが設けられている。筒状部17a、17bには左右のドライブシャフト18L、18Rのそれぞれの一端部が挿通されている。
具体的には、図1に示すように、第1の左壁部7Cには開口部7cが形成されており、左側のドライブシャフト18Lの一端部は、開口部7cを通して筒状部17aに挿通されている。右側のドライブシャフト18Rの一端部は、仕切壁6Wの図示しない開口部を通して筒状部17bに挿通されている。
左右のドライブシャフト18L、18Rの一端部は、差動機構17Cに連結されており、左右のドライブシャフト18L、18Rの他端部は、それぞれ図示しない左右の駆動輪に連結されている。
ディファレンシャル装置17は、エンジン20の動力を差動機構17Cによって左右のドライブシャフト18L、18Rに分配して駆動輪に伝達する。
図2、図4に示すように、レフトケース7の前方の上側にはモータ35が設置されている。モータ35は、モータケース35Aと、モータケース35Aに回転自在に支持されたモータ出力軸35B(図5、図6参照)と、モータケース35Aに取付けられたモータコネクタ35Cとを有する。
モータケース35Aの右側端部は、ブラケット36A、36Bによってライトケース6の上壁6Bと前壁6Cに取付けられている。モータケース35Aの左側端部は、減速機ケース8に取付けられている。
すなわち、モータ35は、モータ出力軸35Bを左右方向に沿った状態で変速機ケース5の前方の上側に設置されている。そして、モータ35およびモータ出力軸35Bは、変速機内部に配置された軸と平行に、図5、図6に示すような位置関係に配置されている。
モータケース35Aの内部にはいずれも図示しないロータと、コイルが巻き付けられたステータとが収容されている。
モータ35において、コイルに三相交流が供給されることにより、周方向に回転する回転磁界を発生する。ステータは、発生した磁束をロータに鎖交させることにより、モータ出力軸35Bと一体のロータを回転駆動させる。
モータコネクタ35Cは、モータケース35Aの右側端部から上方に突出している。モータコネクタ35Cには、モータ35を駆動するための電力を供給する図示しないパワーケーブルが接続される。
パワーケーブルは、モータコネクタ35Cに対して左側から挿入することで接続される。つまり、パワーケーブルは、モータケース35Aの上方を通過するように配索されている。モータコネクタ35Cが、モータケース35Aから上方に突出配置されることで、冠水路走行における被水を抑制するとともに、上方からの接続作業が容易となって整備性を向上させることができる。
図6に示すように、アイドル軸12の左端部にはスプロケット取付部12Mが設けられており、スプロケット取付部12Mは、玉軸受23Bおよび左側壁7K(第1の左壁部7C)よりも外方、すなわち、レフトケース7の外方に突出している。このため、スプロケット取付部12Mは、玉軸受23Bに片持ちで支持されている。
スプロケット取付部12Mにはスプロケット37が取付けられており、スプロケット37にはチェーン38が巻き掛けられている。チェーン38は、モータ出力軸35Bに取付けられたスプロケット35Dに巻き掛けられている。
このため、モータ35の動力は、モータ出力軸35Bからチェーン38およびスプロケット37を介してアイドル軸12に伝達される。すなわち、アイドル軸12は、モータ35の動力が伝達される入力軸として機能する。
図5において、モータ出力軸35Bは、主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13、カウンタ軸14、後進軸15よりも前方に設置され、更に各軸よりも上方に設置されている。
アイドル軸12は、主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13、カウンタ軸14、後進軸15の中で最も前側に設置された軸であり、モータ出力軸35Bの後側斜め下方に設置されている。主入力軸11は、アイドル軸12の後側斜め上方に設置されており、副入力軸13は、アイドル軸12の後側斜め下方に設置されている。
カウンタ軸14は、アイドル軸12の後方で、かつ、上下方向で主入力軸11と副入力軸13の間に設置されている。
すなわち、主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13およびカウンタ軸14は、主入力軸11の軸心O1とアイドル軸12の軸心O2と副入力軸13の軸心O3とカウンタ軸14の軸心O4とを結んだ仮想線L1が四角形となるようにギヤ室21に設置されている。
そして、図5において、四角形の主入力軸11の軸心O1とアイドル軸12の軸心O2を結んだ辺に対向するように、モータ35およびモータ出力軸35Bが配置されている。詳細には、軸心O1と軸心O2を結んだ辺に対向しつつ、やや軸心O2よりにモータ35およびモータ出力軸35Bが配置されている。
さらに、レフトケース7は、モータ35に対向する面が後述する仮想直線L3と同様に前下がりの斜めの面であって、モータ35に対向する面が仮想直線L3よりも急角度の前下がりの斜面に形成されており、モータ35に対向する面の前方にモータ35の設置空間を形成し、モータ35をより後方に配置できるようにしている。つまり、レフトケース7は、前側の上部が前側の下部に比較して後方に位置し、前側の上部の前方にモータ35の設置空間を形成している。
このため、アイドル軸12は、主入力軸11、副入力軸13およびカウンタ軸14よりもモータ35に接近した位置に設置している。このため、チェーン38を短くすることができ、減速機ケース8の小型化を図ることができ、変速機4の小型化を図ることができる。
副入力軸13は、アイドル軸12に対してチェーン38の張力が作用する方向、すなわち、モータ出力軸35Bの軸心O5とアイドル軸12の軸心O2とを結んだ仮想直線L2の略延長線上に設置されている。具体的には、副入力軸13の軸心O3は、仮想直線L2に対してやや前方に位置している。
主入力軸11、アイドル軸12および副入力軸13は、アイドル軸12の軸心O2と副入力軸13の軸心O3を結んだ仮想直線L4に対して、アイドル軸12の軸心O2と主入力軸11の軸心O1を結んだ仮想直線L3が略直角となるように設置されている。
具体的には、主入力軸11、アイドル軸12および副入力軸13は、仮想直線L4が仮想直線L3に対して鈍角になるように設置されている。また、主入力軸11は、モータ出力軸35Bの軸心O5とアイドル軸12の軸心O2とを結んだ仮想直線L2に対して副入力軸13と反対側に設置されている。
図5に示すように、後進軸15は、ファイナルドリブンギヤ17Aの上方で、かつ、カウンタ軸14の後側斜め上方に設置されており、軸心の位置で比較すると主入力軸11、アイドル軸12、副入力軸13およびカウンタ軸14よりも上方に設置されている。
図1、図2に示すように、減速機ケース8は、モータケース35Aを左方から覆うようにして図示しないボルトによってモータケース35Aとレフトケース7の左側壁7K(第1の左壁部7C)に取付けられている。
減速機ケース8は、右側面のモータ出力軸35Bの挿入部とスプロケット取付部12Mの挿入部と左側は、開口しており、減速機カバー9が減速機ケース8の左側開口を閉止するようにボルト10Bによって減速機ケース8に取付けられている。
減速機ケース8と減速機カバー9の内部にはモータ出力軸35Bのスプロケット35D、スプロケット取付部12Mに取付けられたスプロケット37と、スプロケット35Dとスプロケット37とに巻き掛けられるチェーン38とが収容されている。
減速機ケース8は、チェーン38に沿った形状に形成されており、図1に示す左方向から見た状態にて、レフトケース7の前部の左側方から前方斜め上方にかけて、後部が下方となるように後側斜め下方に傾斜するように設置されている。
図4、図7に示すように、レフトケース7の左側壁7K(第1の左壁部7C)には外側ボス部7Pが設けられている。外側ボス部7Pは、円筒形状に形成されており、レフトケース7の左側壁7K(第1の左壁部7C)から減速機ケース8側に突出している。
図7に示すように、減速機ケース8の右側壁8Kには内側ボス部8Pが設けられている。内側ボス部8Pは、減速機ケース8の右側壁8Kからレフトケース7側に円柱状に突出している。内側ボス部8Pは外側ボス部7Pに挿入されており、内側ボス部8Pの外周面が外側ボス部7Pの内周面に嵌合されている。
外側ボス部7Pに囲まれたレフトケース7の左側壁7K(第1の左壁部7C)には、開口部7pが形成されている。減速機ケース8の内側ボス部8Pには、開口部8pが形成されている。開口部7pと開口部8pはアイドル軸12の軸心と同軸に形成されており、開口部7pと開口部8pはアイドル軸12の軸方向に対向している。
スプロケット37は、チェーン38が巻き掛けられている円柱状のチェーン取付部37Aと、チェーン取付部37Aからレフトケース7側に延びる円筒部37Bとを有する。チェーン取付部37Aは、チェーン38が巻き掛けられる部分の減速機カバー9側に後述する軸受27Bが取付けられる円柱状の部分が形成されている。
円筒部37Bは、チェーン取付部37A側に後述する軸受27Aが取付けられる部分が形成され、レフトケース7側のスプロケット37で最も小径な先端部分が減速機ケース8の開口部8pを通して減速機ケース8からレフトケース7側に突出している。円筒部37Bには、スプライン孔37mがスプロケット37の回動軸に沿って形成されている。
スプライン孔37mは、アイドル軸12の軸方向でレフトケース7側が開口しており、レフトケース7と反対側(減速機カバー9側)が閉じられている。スプライン孔37mには内周スプライン37sが形成されており、内周スプライン37sは、アイドル軸12の軸方向に沿って延びている。アイドル軸12のスプロケット取付部12Mは、レフトケース7の開口部7pを通してレフトケース7から減速機ケース8側に突出している。本実施例のスプライン孔37mは、本発明の溝部を構成する。
外側ボス部7P、内側ボス部8Pおよび開口部7p、8pは、アイドル軸12のスプロケット取付部12Mとスプロケット37(円筒部37B)を取り囲んでおり、アイドル軸12のスプロケット取付部12Mとスプロケット37が接続された状態で外側ボス部7Pが内側ボス部8Pに嵌合(接続)されることにより、アイドル軸12の周辺で減速機ケース8がレフトケース7に接続されている。
減速機ケース8には軸受支持部8Aが形成されており、円筒部37Bは、軸受27Aを介して軸受支持部8Aに回転自在に支持されている。
減速機カバー9には軸受支持部9Aが形成されており、チェーン取付部37Aは、軸受27Bを介して軸受支持部9Aに回転自在に支持されている。すなわち、スプロケット37は、軸受27A、27Bを介して減速機ケース8と減速機カバー9に回転自在に支持されている。
レフトケース7から減速機ケース8側に突出しているアイドル軸12の軸方向の端部(左端部であって、スプロケット取付部12M)の外周面には外周スプライン12sが設けられており、外周スプライン12sは、アイドル軸12の軸方向に沿って延びている。
スプロケット取付部12Mは、スプライン孔37mに挿入されており、スプロケット取付部12Mの外周スプライン12sは、円筒部37Bの内周スプライン37sにスプライン嵌合される。これにより、スプロケット37は、アイドル軸12と一体で回転するようにアイドル軸12に接続される。この接続により、減速機40と変速機ケース5に取付けられた回転軸との間で動力が伝達される。
本実施例の減速機ケース8、減速機カバー9、スプロケット35D、37およびチェーン38は、減速機40を構成する。アイドル軸12は、本発明の変速機ケース側回転軸を構成し、スプロケット37は、本発明の減速機側回転軸を構成する。
アイドル軸12およびスプロケット37は、本発明の動力伝達部を構成する。外側ボス部7Pは、本発明の接続部および変速機ケース側接続部を構成し、内側ボス部8Pは、本発明の接続部および減速機ケース側接続部を構成する。開口部7pは、本発明の接続部および変速機ケース側開口部を構成し、開口部8pは、本発明の接続部および減速機側開口部を構成する。
図4に示すように、レフトケース7には給油孔(フィラープラグ孔)7Tが形成されている。変速機ケース5(ライトケース6とレフトケース7にて形成されるギヤ室21)には給油孔7Tを通して潤滑油OLが注入される。給油孔7Tの位置は、適正な量の潤滑油OLが注入された時の液面の高さに設定されており、適正な量以上のオイルは入らない。このため、潤滑油OLは、その液面(符号OLで示す破線)が給油孔7Tの下端よりも下方に位置するように変速機ケース5に貯留される。
給油孔7Tは、フィラープラグ7Gによって閉じられている。これにより、変速機ケース5に貯留される潤滑油OLが給油孔7Tから変速機ケース5の外部に漏出されることが防止される。
本実施例の変速機4は、車両1に搭載された状態において、給油孔7Tの下端よりも上方に動力伝達部が配置されている。つまり、給油孔7Tの下端よりも上側にスプロケット37(減速機から突出する円筒部37Bの部分)とアイドル軸12(スプロケット取付部12Mの部分)が設置されている。
換言すれば、給油孔7Tは、レフトケース7からアイドル軸12のスプロケット取付部12Mを外方に突出させるための開口部7pよりも下方に設置されている。これは、動力伝達部を比較的高所に配置されるアイドル軸12に設定したので、容易に実現できる。
図7に示すように、減速機ケース8にはオイルシール43が設置されている。オイルシール43は、その外径部が減速機ケース8の開口部8pに取付けられ、その内径部がスプロケット37の円筒部37Bの外周面に当接しており、スプロケット37とともに開口部8pを密閉している。
レフトケース7にはオイルシール44が設置されている。オイルシール44は、その外径部がレフトケース7の開口部7pに取付けられ、その内径部がスプロケット37の円筒部37Bの外周面に当接しており、スプロケット37とともに開口部7pを密閉している。
すなわち、オイルシール44は、オイルシール43に対してレフトケース7側に設置されており、オイルシール43と同様にスプロケット37の円筒部37Bに当接している。つまり、オイルシール43とオイルシール44は、同一径に加工されたスプロケット37の円筒部37Bに当接している。
このため、オイルシール43とオイルシール44は、近接配置することが可能となって、変速機4を小型化(軸方向の寸法の短縮)することができる。また、変速機ケース5から減速機40を取り外した時に、減速機40はオイルシール43による密閉状態が維持されて、減速機40からの潤滑油の漏れ出しが防止される。
なお、この時、オイルシール44による密閉状態は維持されないが、変速機ケース5(ライトケース6とレフトケース7にて形成されるギヤ室21)内の潤滑油OLの液面がオイルシール44の内径位置に達していない為、変速機ケース5からの潤滑油OLの漏れ出しは抑制されている。
本実施例のオイルシール43は、本発明の減速機側シール部材を構成し、オイルシール44は、本発明の変速機ケース側シール部材を構成する。
図7に示すように、オイルシール44とスプロケット37の円筒部37Bの関係において、オイルシール44に挿入されるスプロケット37の軸方向の長さL5に対して、スプライン孔37mに挿入されるアイドル軸12の軸方向の長さL6が長く形成されている。L5は、オイルシール44の左側面からスプロケット37の右端部までの長さである。
換言すれば、スプライン孔37mに挿入されるスプロケット取付部12Mの軸方向の長さL6に対して、オイルシール44に挿入されるスプロケット37の挿入長さL5が短く形成されている。
このため、変速機ケース5に減速機40を取付ける時に、オイルシール44にスプロケット37を挿入するに先立って、スプロケット37のスプライン孔37mにスプロケット取付部12Mが挿入されてスプロケット37(減速機40)の位置決めが成されるので、オイルシール44をスプロケット37で損傷させることを抑制することができ、組み付け性を向上させることができる。
レフトケース7の左側壁7Kには図示しない開口部が形成されている。図1に示すように、レフトケース7にはボルト10Cによってパーキングカバー42が取付けられており、パーキングカバー42によって開口部が覆われている。変速機4には図示しないパーキング装置が設置されている。
レフトケース7の左側壁7Kからパーキングカバー42が取り外されると、作業者は、パーキング装置の交換作業やメンテナンス作業を行うことができる。
図1から図3に示すように、レフトケース7の上壁7Eにはシフトユニット50が設置されており、シフトユニット50は、モータ35の後方に位置している。
シフトユニット50は、ベースプレート51、リザーバタンク52、アキュムレータ53、オイルポンプ54、モータ55および筐体56を備えている。
図1に示すように、ベースプレート51は、平板状のプレート部51Aと、プレート部51Aの後部から下方に突出するアキュムレータ取付部51Bとを備えており、プレート部51Aは、ボルト10D(図1、図3参照)によってレフトケース7の上壁7Eに取付けられている。
リザーバタンク52は、プレート部51Aの上側に取付けられており、リザーバタンク52には図示しないシフトアンドセレクト軸を動作させる操作用のオイルが貯留されている。
オイルポンプ54は、プレート部51Aの後端部の下側に取付けられている。モータ55は、オイルポンプ54と上下方向でプレート部51Aを挟んで対向するようにプレート部51Aの後端部の上側に設置されている。
オイルポンプ54は、モータ55によって駆動されることにより、リザーバタンク52に貯留されている作動油を加圧してプレート部51Aとアキュムレータ取付部51Bとに形成された図示しない油路を介してアキュムレータ53に供給する。すなわち、ベースプレート51の内部には油路が形成されており、オイルポンプ54はアキュムレータ53に加圧された作動油を供給および蓄圧する。
アキュムレータ53は、アキュムレータ取付部51Bに取付けられており、アキュムレータ取付部51Bからレフトケース7の後方を横切るように左方に延びている。アキュムレータ53は、左右方向でレフトケース7の第2の左壁部7Dよりも左側に設置されている。
アキュムレータ53は、オイルポンプ54から供給された作動油の圧力を蓄え、ベースプレート51に形成された図示しない油路を通して高圧の油圧を筐体56に供給する。
筐体56は、リザーバタンク52の後方に位置するようにプレート部51Aの上側に設置されており、筐体56には、いずれも図示しない制御装置、シフト操作ソレノイド、セレクト操作ソレノイド、クラッチ操作ソレノイド、シフトアクチュエータ、セレクトアクチュエータ、クラッチアクチュエータが設けられている。
シフト操作ソレノイドおよびセレクト操作ソレノイドは、制御装置から出力される制御信号によって作動されることにより、アキュムレータ53から供給される高圧の作動油をシフトアクチュエータ、セレクトアクチュエータ、クラッチアクチュエータに作用させることによってシフトアクチュエータ、セレクトアクチュエータ、クラッチアクチュエータを駆動し、シフトアンドセレクト軸をシフト方向とセレクト方向に操作するとともに、クラッチの断接を操作する。
制御装置は、モータ55に駆動信号を出力してモータ55を駆動する。また、制御装置は、例えば、運転席に設けられる図示しないシフトレバーのシフト操作を検出する図示しないシフトポジョンセンサの検出情報、車速を検出する図示しない車速センサの検出情報、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ等からの検出情報に基づいて変速点を判断する。
制御装置は、変速点を判断したときに、シフト操作ソレノイド、セレクト操作ソレノイド、クラッチ操作ソレノイドに制御信号を出力してこれらソレノイドを制御して、シフトアクチュエータ、セレクトアクチュエータ、クラッチアクチュエータを駆動することにより、シフトアンドセレクト軸を操作する。これにより、変速機4の変速制御が実施される。
次に、主な変速段における動力伝達経路を説明する。
(変速段が1速段の場合の動力伝達経路)
1速段においては、同期装置31が中立位置から1速段用のカウンタギヤ14A側に移動し、1速段用のカウンタギヤ14Aをカウンタ軸14に連結する。
このとき、エンジン20の動力は、主入力軸11から1速段用の入力ギヤ11A、1速段用のカウンタギヤ14Aおよび同期装置31を介してカウンタ軸14に伝達される。
カウンタ軸14に伝達されたエンジン20の動力は、カウンタ軸14から前進用のファイナルドライブギヤ14Fを経てディファレンシャル装置17に伝達された後、ディファレンシャル装置17からドライブシャフト18L、18Rを介して駆動輪に分配される。
なお、2速段において、主入力軸11に伝達されるエンジン20の動力は、1速段と同ように2速段用の入力ギヤ11B、2速段用のカウンタギヤ14Bおよび同期装置31を介してカウンタ軸14に伝達される。
(変速段が3速段の場合の動力伝達経路)
3速段においては、同期装置33が中立位置から3速段用のアイドルギヤ12A側に移動し、3速段用のアイドルギヤ12Aをアイドル軸12に連結する。
このとき、エンジン20の動力は、主入力軸11から3速/5速段用の入力ギヤ11C、3速段用のアイドルギヤ12Aおよび同期装置33を介してアイドル軸12に伝達される。
次いで、アイドル軸12に伝達されたエンジン20の動力は、リダクションドライブギヤ12Cからリダクションドリブンギヤ13Aに伝達され、ダンパ機構16を介して副入力軸13に伝達された後、副入力軸13からリダクションドライブギヤ13Bおよびリダクションドリブンギヤ14Eを介してカウンタ軸14に減速されて伝達される。
カウンタ軸14に伝達されたエンジン20の動力は、カウンタ軸14から前進用のファイナルドライブギヤ14Fを経てディファレンシャル装置17に伝達された後、ディファレンシャル装置17からドライブシャフト18L、18Rを介して駆動輪に分配される。
副入力軸13にはダンパ機構16が設置されており、ダンパ機構16の外筒部材16Aの内周スプライン16aとリダクションドリブンギヤ13Aの外周スプライン13eは、タイト(ガタがほとんどない)にスプライン嵌合し、外筒部材16Aの内周スプライン16aと内筒部材16Cの外周スプライン16cは、ルーズ(ガタを有する)にスプライン嵌合している。内筒部材16Cと副入力軸13はタイトにスプライン嵌合している。
このため、エンジン20の微小な回転変動やトルク変動がリダクションドリブンギヤ13Aからダンパ機構16に入力されると、ダンパ機構16の弾性体16Bが周方向に弾性変形することにより、微小な回転変動やトルク変動が吸収されて、動力が副入力軸13に伝達される。
また、逆に、微小な回転変動やトルク変動を含む動力が副入力軸13からダンパ機構16に入力されると、ダンパ機構16の弾性体16Bが周方向に弾性変形することにより、微小な回転変動やトルク変動が吸収されて、リダクションドリブンギヤ13Aに動力が伝達される。
一方、伝達するトルクが比較的大きくて弾性体16Bが周方向に過度に弾性変形する場合には、ルーズに設定されている外筒部材16Aの内周スプライン16aの歯と内筒部材16Cの外周スプライン16cの歯が接触することにより、内周スプライン16aと外周スプライン16cによって動力伝達が行われ、弾性体16Bが弾性変形することが抑制される。このため、弾性体16Bの耐久性が悪化することを防止できる。
なお、4速段において、主入力軸11に伝達されるエンジン20の動力は、3速段と同様にアイドル軸12、ダンパ機構16および副入力軸13を経てカウンタ軸14に伝達される。
3速段および4速段においては、エンジン20の微小なトルク変動や回転変動がダンパ機構16によって吸収できるので、各ギヤの歯打ち音等を抑制できる。
(変速段が5速段の場合の動力伝達経路)
5速段においては、同期装置32が中立位置から5速段用のカウンタギヤ14C側に移動し、5速段用のカウンタギヤ14Cをカウンタ軸14に連結する。
このとき、エンジン20の動力は、主入力軸11から3速/5速段用の入力ギヤ11C、5速段用のカウンタギヤ14Cおよび同期装置32を介してカウンタ軸14に伝達される。
カウンタ軸14に伝達されたエンジン20の動力は、カウンタ軸14から前進用のファイナルドライブギヤ14Fを経てディファレンシャル装置17に伝達された後、ディファレンシャル装置17からドライブシャフト18L、18Rを介して駆動輪に分配される。
なお、6速段において、主入力軸11に伝達されるエンジン20の動力は、5速段と同様にカウンタ軸14に伝達される。
(後進段の場合の動力伝達経路)
後進段においては、同期装置34が中立位置から後進ギヤ15A側に移動し、後進ギヤ15Aを後進軸15に連結する。
このとき、エンジン20の動力は、主入力軸11から1速段用の入力ギヤ11A、1速段用のカウンタギヤ14A、後進ギヤ15Aおよび同期装置34を介して後進軸15に伝達される。
後進軸15に伝達されたエンジン20の動力は、後進軸15に形成された後進用のファイナルドライブギヤ15Bを経てディファレンシャル装置17に伝達された後、ディファレンシャル装置17からドライブシャフト18L、18Rを介して駆動輪に分配される。
(モータの動力伝達経路)
モータ35は、車両1のモータ走行時の動力を得る場合と、車両1の発進および加速時にエンジン20の動力をアシストする動力を得る場合と、変速中に同期装置31、32、33、34がそれまでの変速段を達成する位置から新たな変速段を達成する位置に移動するまでの間にエンジン20の動力を補完するギャップフィリング用の動力を得る場合とに使用される。
ギャップフィリングとは、有段変速機において変速する場合に必要となるクラッチの切断によるエンジン20からの駆動力の途切れである。モータ35は変速時に途切れるエンジン20の動力を補完するように駆動力を出力し、車両のスムーズな走行を可能とする。
モータ35の動力は、モータ出力軸35Bからチェーン38を介してアイドル軸12に伝達された後、リダクションドライブギヤ12Cからリダクションドリブンギヤ13Aおよびダンパ機構16を介して副入力軸13に伝達された後、副入力軸13からリダクションドライブギヤ13Bおよびリダクションドリブンギヤ14Eを介してカウンタ軸14に減速されて伝達される。
カウンタ軸14に伝達されたモータ35の動力は、カウンタ軸14から前進用のファイナルドライブギヤ14Fを経てディファレンシャル装置17に伝達された後、ディファレンシャル装置17からドライブシャフト18L、18Rを介して駆動輪に分配される。
なお、モータ35は正転と逆転が可能で、モータ35を前進時の正転に対して逆回転させることでモータ35の動力は後進時にも使用可能となっている。後進時におけるモータの動力伝達経路は上記した前進時におけるモータの動力伝達経路と同じである。つまり、モータ35のモータ出力軸35Bと駆動輪は、常に動力が伝達可能に連結されている。モータ35は発電も可能であって、例えば車両の減速時に、モータ35は回生発電を行う。
副入力軸13にはダンパ機構16が設置されており、モータ35の微小な回転変動やトルク変動を含む駆動力がリダクションドリブンギヤ13Aに入力されると、3速段および4速段と同様にダンパ機構16の弾性体16Bが周方向に弾性変形することにより、微小な回転変動やトルク変動が吸収されて、副入力軸13に駆動力が伝達される。
また、副入力軸13に設置されているダンパ機構16は、カウンタ軸14、リダクションドリブンギヤ14Eおよびリダクションドライブギヤ13Bを介して副入力軸13に伝達されるエンジン20や駆動輪からの微小な回転変動やトルク変動を含む動力から微小な回転変動やトルク変動を吸収して、アイドル軸12やモータ35に動力を伝える。
さらに、ダンパ機構16は、モータ35からの微小な回転変動やトルク変動とエンジン20や駆動輪からの微小な回転変動やトルク変動とを、副入力軸13上にて調整する働きをする。
したがって、モータ35の微小な回転変動やトルク変動が副入力軸13に伝わることが抑制されて、各ギヤの歯打ち音等の異音の発生を防止でき、車両1の商品性を向上させることができる。
次に、本実施例の変速機4の効果を説明する。
本実施例の変速機4は、変速機ケース5の外部に減速機40を介してモータ35が取付けられ、減速機40と変速機ケース5との間でスプロケット37およびアイドル軸12を介して動力が伝達されるとともに、変速機ケース5と減速機40がスプロケット37およびアイドル軸12のスプロケット取付部12Mを取り囲む外側ボス部7Pおよび内側ボス部8Pを介して接続されている。
変速機ケース5のレフトケース7は、変速機ケース5に潤滑油OLを注入するための給油孔7Tを有し、給油孔7Tよりも下方に潤滑油OLが貯留されている。これに加えて、変速機4が車両1に搭載された状態で給油孔7Tよりも上方にスプロケット37およびアイドル軸12が設置されている。
これにより、減速機40のメンテナンス作業時等に、スプロケット37をアイドル軸12から分離して変速機ケース5から減速機40を取り外した場合に、変速機ケース5に貯留された潤滑油OLが、動力伝達部(すなわち、開口部7p)から変速機ケース5の外部に漏出することを防止できる。
オイルシール43とオイルシール44は、同一径に加工されたスプロケット37の円筒部37Bに当接している。このため、アイドル軸12やスプロケット37の軸長が長くなることを抑制して変速機ケース5の軸方向の寸法が増大することを抑制できる。この結果、変速機4が大型化することを抑制できる。
また、本実施例の変速機4は、レフトケース7に形成された外側ボス部7Pと、減速機ケース8に設けられ、外側ボス部7Pに接続される内側ボス部8Pと、外側ボス部7Pの内方に形成された開口部7pと、内側ボス部8Pの内方に形成された開口部8pとを有する。
スプロケット37は、減速機40に設けられており、減速機ケース8から開口部8pを通してレフトケース7側に突出している。また、アイドル軸12のスプロケット取付部12Mは、レフトケース7側に設けられており、レフトケース7から開口部7pを通して減速機ケース8側に突出している。
これに加えて、変速機4は、スプロケット37の円筒部37Bの外周面と減速機ケース8の開口部8pに当接し、開口部8pを密閉するオイルシール43と、スプロケット37の円筒部37Bの外周面とレフトケース7の開口部7pに当接し、開口部7pを密閉するオイルシール44とを有する。
これにより、スプロケット37をアイドル軸12のスプロケット取付部12Mから分離して変速機ケース5から減速機40を取り外した場合に、減速機ケース8の開口部8pをオイルシール43で密閉でき、減速機40の密閉状態を維持することができる。
このため、変速機ケース5に貯留された潤滑油が変速機ケース5から外部に漏出することをより効果的に防止できるとともに、減速機40(減速機ケース8と減速機カバー9)に収容された潤滑油が減速機40から外部に漏出することを防止できる。
また、スプロケット37の円筒部37Bの外周面に当接するオイルシール43、44によって減速機ケース8の開口部8pとレフトケース7の開口部7pを密閉できるので、オイルシール43、44からなるシール構造を簡素化できる。
このため、オイルシール43、44をアイドル軸12の軸方向で近づけて設置でき、変速機4にシール構造を設けた場合であっても、アイドル軸12やスプロケット37の軸長が長くなることを抑制して変速機ケース5の軸方向の寸法が増大することを抑制できる。この結果、変速機4が大型化することを抑制できる。
また、本実施例の変速機4によれば、アイドル軸12の軸方向において減速機ケース8側の端部に位置するスプロケット取付部12Mに外周スプライン12sが形成されている。
スプロケット37は、スプロケット37の軸方向に沿って形成され、スプロケット取付部12Mの外周スプライン12sが嵌合される内周スプライン37sが形成されたスプライン孔37mを有する。
これに加えて、オイルシール44に挿入されるスプロケット37の円筒部37Bの軸方向の長さL5に対して、スプライン孔37mに挿入されるスプロケット取付部12Mの軸方向の長さL6が長く形成されている。
この構成により、減速機40を変速機ケース5に取付ける際に、スプロケット37のスプライン孔37mにアイドル軸12のスプロケット取付部12Mを挿入する場合に、スプロケット取付部12Mの軸方向に沿ってスプロケット37をレフトケース7側に移動させることにより、スプロケット取付部12Mによってスプロケット37を案内できる。
このため、スプロケット37の移動時に、スプロケット37がスプロケット取付部12Mの軸線(アイドル軸12の軸線)に対して傾くことを防止でき、スプロケット37がオイルシール44に局所的に接触することを防止できる。
したがって、オイルシール44が損傷することを抑制しつつ、減速機40を変速機ケース5に容易に取付けることができる。このため、オイルシール44の耐久性が悪化することを防止して、減速機40の取付作業の作業性を向上できる。
また、本実施例の変速機4によれば、スプライン孔37mは、軸方向においてレフトケース7側が開口し、レフトケース7と反対側の減速機ケース8側が閉じられている。
これにより、減速機40に貯留された潤滑油が、スプライン孔37mを通過して減速機40の外部に漏出することをより効果的に防止できる。なお、アイドル軸12のスプロケット取付部12Mをスプロケット37の円筒部37Bに収容する構成とし、円筒部37Bはレフトケース7側に開口しており、スプライン(外周スプライン12s、内周スプライン37s)に変速機ケース5側の潤滑油OLを供給することができる。このため、動力伝達部のスプライン(外周スプライン12s、内周スプライン37s)に不具合が生じることを抑制することができる。
なお、本実施例の変速機4は、モータ35の動力をチェーン38によってアイドル軸12に伝達しているが、これに限定されるものではない。例えば、モータ35の動力をベルトによってアイドル軸12に伝達してもよい。
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1...車両、4...変速機(車両用変速機)、5...変速機ケース、7P...外側ボス部(接続部、変速機ケース側接続部)、7p...開口部(接続部、変速機ケース側開口部)、7T...給油孔、8...減速機ケース、8P...内側ボス部(接続部、減速機ケース側接続部)、8p...開口部(接続部、減速機側開口部)、11...主入力軸(回転軸)、12...アイドル軸(回転軸、変速機ケース側回転軸)、12s...外周スプライン、13...副入力軸(回転時)、14...カウンタ軸(回転軸)、15...後進軸(回転軸)、35...モータ、37...スプロケット(減速機側回転軸)、37m...スプライン孔(溝部)、37s...内周スプライン、40...減速機、43...オイルシール(減速機側シール部材)、44...オイルシール(変速機ケース側シール部材)、OL...潤滑油

Claims (4)

  1. 変速機ケースの外部に減速機を介してモータが取付けられ、前記減速機と前記変速機ケースに取付けられた回転軸との間で動力伝達部を介して動力が伝達されるとともに、前記変速機ケースと前記減速機が前記動力伝達部を取り囲む接続部を介して接続される車両用変速機であって、
    前記変速機ケースは、前記変速機ケースに潤滑油を注入するための給油孔を有し、
    前記車両用変速機が車両に搭載された状態で前記給油孔よりも上方に前記動力伝達部が設置されていることを特徴とする車両用変速機。
  2. 前記減速機は、減速機ケースを有し、
    前記接続部は、前記変速機ケースに形成された変速機ケース側接続部と、前記減速機ケースに設けられ、前記変速機ケース側接続部に接続される減速機ケース側接続部と、前記変速機ケース側接続部の内方に形成された変速機ケース側開口部と、前記減速機ケース側接続部の内方に形成された減速機側開口部とを有し、
    前記動力伝達部は、前記減速機に設けられ、前記減速機ケースから前記減速機側開口部を通して前記変速機ケース側に突出する減速機側回転軸と、前記変速機ケースに設けられ、前記変速機ケースから前記変速機ケース側開口部を通して前記減速機ケース側に突出し、前記減速機側回転軸に接続される変速機ケース側回転軸とを有し、
    前記減速機側回転軸の外周面と前記減速機側開口部に当接し、前記減速機側開口部を密閉する減速機側シール部材が設けられており、
    前記減速機側回転軸の外周面と前記変速機ケース側開口部に当接し、前記変速機ケース側開口部を密閉する変速機ケース側シール部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用変速機。
  3. 前記変速機ケース側回転軸の軸方向の端部に外周スプラインが形成されており、
    前記減速機側回転軸は、前記減速機側回転軸の軸方向に沿って形成され、前記変速機ケース側回転軸の前記外周スプラインが嵌合される内周スプラインが形成された溝部を有し、
    前記変速機ケース側シール部材に挿入される前記減速機側回転軸の軸方向の長さに対して、前記溝部に挿入される前記変速機ケース側回転軸の軸方向の長さが長いことを特徴とする請求項2に記載の車両用変速機。
  4. 前記溝部は、軸方向において前記変速機ケース側が開口し、前記変速機ケースと反対側が閉じられていることを特徴とする請求項3に記載の車両用変速機。
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