JP2021161213A - 封止用樹脂組成物および電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低圧成形における成形性に優れる封止樹脂を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含み、成形圧5MPa以下の低圧成形に供される封止用樹脂組成物であって、20mmφ−高さ17mmのタブレットを打錠成形することにより得られる封止用樹脂組成物の硬化物の、175℃、170Torrで10分間放置前後の重量と比重を測定して得られる体積膨張率が、1%以上100%以下である、封止用樹脂組成物が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、封止用樹脂組成物および電子装置に関する。
封止樹脂材料に関する技術として、特許文献1(特開2017−95691号公報)に記載のものがある。同文献には、ポリアルキレングリコール成分および/またはポリラクトン成分が共重合されているポリエステル、特定のエポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂およびリン酸エステルを含有する電気電子部品封止用樹脂組成物に関する技術が記載されている。そして、電気電子部品を金型内部にセットした金型の中に、加熱し混練して流動性を与えた樹脂または樹脂組成物を0.1〜20MPaの低圧で射出して、樹脂または樹脂組成物によって電気電子部品を包み込み封止することによって電気電子部品封止体を製造することができるとされている。
特開2017−95691号公報
近年では、半導体パッケージの小型化に対応するため、SiP(System in Package)等複数のデバイス、部品を搭載するパッケージが増えてきている。そして、一部のデバイスや部品は樹脂成形時の圧力に弱く、成形圧力によって発生するストレスによって誤作動や、部品の破壊が発生してしまうことがあった。
このため、従来よりも成形圧力を下げた低圧条件でパッケージの組み立てを行う必要性が生じている。
この点、上述した特許文献1に記載の技術では、低圧成形における成形性の点で改善の余地があった。
本発明によれば、エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含み、成形圧5MPa以下の低圧成形に供される封止用樹脂組成物であって、
以下の条件1によって得られる当該封止用樹脂組成物の硬化物の、以下の条件2で測定される体積膨張率が、1%以上100%以下である、封止用樹脂組成物が提供される。
(条件1)20mmφ−高さ17mmのタブレットを打錠成形する。
(条件2)前記硬化物を175℃、170Torrで10分間放置前後の重量と比重を測定し、以下の式(1)にて体積膨張率を算出する。
体積膨張率(%)=100×(放置後体積−放置前体積)/放置前体積 (1)
放置前体積(cm3)=放置前重量(g)/放置前比重
放置後体積(cm3)=放置後重量(g)/放置後比重
本発明によれば、前記本発明における封止用樹脂組成物で電子部品を封止してなる、電子装置が提供される。
本発明によれば、低圧成形における成形性に優れる封止樹脂を提供することができる。
実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。 実施形態における構造体の構成の一例を示す断面図である。 実施形態における電子装置の構成の一例を示す断面図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。数値範囲の「A〜B」は断りがなければ、「A以上B以下」を表す。組成物は、各成分を単独で含んでも複数組み合わせて含んでもよい。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含み、成形圧5MPa以下の低圧成形に供される。そして、以下の条件1によって得られる封止用樹脂組成物の硬化物の、以下の条件2で測定される体積膨張率が、1%以上100%以下である。
(条件1)20mmφ−高さ17mmのタブレットを打錠成形する。
(条件2)前記硬化物を175℃、170Torrで10分間放置前後の重量と比重を測定し、以下の式(1)にて体積膨張率を算出する。
体積膨張率(%)=100×(放置後体積−放置前体積)/放置前体積 (1)
放置前体積(cm3)=放置前重量(g)/放置前比重
放置後体積(cm3)=放置後重量(g)/放置後比重
本発明者は、エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含む封止用樹脂組成物を用いて条件1にて得られる硬化物について、条件2によって得られる体積膨張率を特定の範囲とすることにより、封止材を成形圧5MPa以下の低圧条件で得ようとする場合であっても、良好な成形性が得られることを新たに見出した。
すなわち、本実施形態における封止用樹脂組成物により形成される封止材は、低圧成形における成形性に優れるものである。
本実施形態において、封止用樹脂組成物の硬化物の体積膨張率は、融け性を担保する観点から、1%以上であり、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上である。
また、上記体積膨張率は、低圧での成形性を向上する観点から、100%以下であり、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは75%以下、さらにより好ましくは50%以下である。
本実施形態において、体積膨張率は、封止樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂、硬化剤および他の成分の選択;封止樹脂組成物の経時的な増粘性、低分子量成分の量等を適切に選択することによって上述した特定の範囲内に調整することができる。これらの選択により、低圧成形時における樹脂の増粘性挙動と揮発成分の量を最適化するとともに、硬化特性を安定化し、低圧成形条件下でもボイド等の成形不具合が抑制された封止樹脂を実現することができる。
以下、本実施形態における封止用樹脂組成物および電子装置について詳細に説明する。
(封止用樹脂組成物)
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、電子装置において、素子等の電子部品を封止する封止材の形成に用いられ、たとえば、基材上に搭載された半導体素子を封止する封止材を形成するために用いられる。また、封止用樹脂組成物は、基材上に搭載された複数の電子部品の一括封止にも好ましく用いられる。
封止用樹脂組成物を用いた封止成形は、たとえばトランスファー成形、圧縮成形によりおこなうことができる。
封止用樹脂組成物は、たとえば固形状であり、好ましくは粒子状であり、より好ましくは粉粒体である。ここで、封止用樹脂組成物が粉粒体であるとは、粉末状または顆粒状のいずれかである場合を指す。
封止用樹脂組成物を用いた封止成形により電子部品を封止して得られる電子装置としては、限定されないが、たとえば、半導体パッケージが挙げられ、さらに具体的には、SiP(System in Package)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、LF−BGA(Lead Flame BGA)、Fan−Out型パッケージ等が挙げられる。また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)中空パッケージ等、半導体パッケージは中空パッケージであってもよい。
また、電子部品としては、たとえば、集積回路、大規模集積回路、MEMS、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子、電解コンデンサ素子等のコンデンサ素子、チップ抵抗、マイクロコンピュータ等が挙げられる。
電子部品が基材に搭載されているとき、基材は、たとえば、インターポーザ等の配線基板、またはリードフレームである。また、電子部品が半導体素子であるとき、半導体素子は、ワイヤボンディング、フリップチップ接続等により、基材に電気的に接続される。半導体素子は、パッケージとして基板に搭載されていてもよい。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、具体的には熱硬化性樹脂組成物であり、エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含む。以下、封止用樹脂組成物の構成成分について説明する。
(エポキシ樹脂)
本実施形態において、エポキシ樹脂は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのいずれであってもよい。エポキシ樹脂として、具体的には、ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等に例示されるトリスフェノール型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
エポキシ樹脂は、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、および保存安定性等についてのバランスを向上させる観点から、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上を含み、より好ましくはビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂またはオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を含む。
封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、成形時において十分な流動性を実現し、充填性や成形性の向上を図る観点から、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える電子装置について、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
(硬化剤)
硬化剤は、たとえば重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、および縮合型の硬化剤の3タイプに大別することができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
重付加型の硬化剤は、たとえば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドラジドなどを含むポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物;フェノール樹脂硬化剤;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類からなる群から選択される1種または2種以上を含む。
触媒型の硬化剤は、たとえば、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP−30)などの3級アミン化合物;BF3錯体などのルイス酸からなる群から選択される1種または2種以上を含む。
縮合型の硬化剤は、たとえば、レゾール型フェノール樹脂;メチロール基含有尿素樹脂などの尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂などのメラミン樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含む。
これらの中でも、得られる樹脂組成物の耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、および保存安定性等についてのバランスを向上させる観点から、フェノール樹脂硬化剤を含むことがより好ましい。フェノール樹脂硬化剤としては、たとえば、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量、分子構造は限定されない。
フェノール樹脂系硬化剤は、たとえば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂;ポリビニルフェノール、トリフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格およびビフェニレン骨格の少なくとも1つを有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格およびビフェニレン骨格の少なくとも1つを有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物からなる群から選択される1種または2種以上を含む。
低圧での成形性を向上する観点から、硬化剤は、好ましくはビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型樹脂、ノボラック型フェノール樹脂およびトリフェノールメタン型フェノール樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含む。
封止用樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、成形時における増粘特性を好ましいものとし、充填性や成形性の向上を図る観点から、封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物の硬化物を封止材とする電子装置について、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、低圧での成形性をより安定的に好ましいものとする観点から、エポキシ樹脂および硬化剤が以下の(i)または(ii)の組み合わせであることが好ましい
(i)エポキシ樹脂がビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂を含み、硬化剤がビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型樹脂を含む
(ii)エポキシ樹脂がオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を含み、硬化剤がノボラック型フェノール樹脂を含む
同様の観点から、硬化剤がフェノール樹脂硬化剤であるとき、封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂とフェノール樹脂の等量比は、好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは1.5以下である。
(無機充填材)
本実施形態において、無機充填材としては、一般的に半導体封止用樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。無機充填材の具体例として、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ;アルミナ;タルク;酸化チタン;窒化珪素;窒化アルミニウムが挙げられる。これらの無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、汎用性に優れている観点から、無機充填材がシリカを含むことが好ましく、溶融シリカを用いることがより好ましい。また、シリカの形状は好ましくは球状である。
シリカの平均粒径d50は、封止用樹脂組成物の流動性を高める観点から、たとえば1μm以上であり、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。また、封止用樹脂組成物の溶け性を向上させる観点から、無機充填材の平均粒径d50は、好ましくは75μm以下であり、より好ましくは55μm以下、さらに好ましくは45μm以下である。
ここで、なお、無機充填材の平均粒径d50は、市販のレーザー式粒度分布計(たとえば、島津製作所社製 SALD−7000)で測定したときの平均粒径(体積平均径)である。
封止用樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材の低吸湿性および低熱膨張性を向上させ、半導体装置における耐湿信頼性や耐リフロー性をより効果的に向上させる観点から、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは70質量%以上、より好ましくは72質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上させる観点から、封止用樹脂組成物中の無機充填材全体の含有量は、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、たとえば95質量%以下であってもよく、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂および無機充填材以外の成分を含んでもよい。
たとえば、封止用樹脂組成物は、好ましくはカップリング剤、硬化促進剤、着色剤および離型剤からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含み、より好ましくはカップリング剤をさらに含み、さらに好ましくはシランカップリング剤をさらに含む。
(カップリング剤)
カップリング剤は、たとえば、エポキシシラン、メルカプトシラン、フェニルアミノシラン等のアミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物;チタン系化合物;アルミニウムキレート類;アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
これらの中でも、低圧での成形性を向上する観点から、カップリング剤は、好ましくはシランカップリング剤を含み、より好ましくはエポキシシラン、メルカプトシランおよびアミノシランからなる群から選択される1種または2種以上を含み、さらに好ましくはフェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される1または2以上の化合物を含む。
封止用樹脂組成物中のカップリング剤の含有量は、低圧での成形性を向上する観点から、封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下である。
(硬化促進剤)
硬化促進剤は、たとえば、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
封止用樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、封止用樹脂組成物の硬化特性をより好ましいものとする観点から、封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらにより好ましくは0.5質量%以下である。
(離型剤)
離型剤は、カルナバワックス;モンタン酸エステルワックス;パラフィン;ポリエチレン;ならびにステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類からなる群から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
封止用樹脂組成物中の離型剤の含有量は、好ましい離型性を得る観点から、封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
(着色剤)
着色剤の具体例として、カーボンブラック、ベンガラが挙げられる。
封止用樹脂組成物中の着色剤の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
また、封止用樹脂組成物には、上述した成分以外の成分を含んでもよく、たとえば流動性付与剤、イオン捕捉剤、低応力成分、難燃剤、酸化防止剤等の各種添加剤のうち1種以上を適宜配合することができる。
封止用樹脂組成物中のこれら各成分の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して、それぞれ、0.01〜2質量%程度とすることができる。
次に、封止用樹脂組成物の特性の具体例を示す。
封止用樹脂組成物の矩形流路圧は、巻き込みボイドを抑制する観点から、好ましくは0.80kgf/cm2以上であり、より好ましくは0.90kgf/cm2以上、さらに好ましくは1.0kgf/cm2以上、さらにより好ましくは1.2kgf/cm2以上である。
また、ワイヤ流れなど封止する素子や部品等へのダメージを抑制する観点から、封止用樹脂組成物の矩形流路圧は、好ましくは5.0kgf/cm2以下であり、より好ましくは4.0kgf/cm2以下、さらに好ましくは3.0kgf/cm2以下である。
ここで、封止用樹脂組成物の矩形流路圧は、低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入速度0.7mm/secの条件にて、幅13mm、厚さ1mm、長さ175mmの矩形状の流路に当該封止用樹脂組成物を注入したときの、注入から10秒後の封止用樹脂組成物の矩形流路圧である。
また、封止用樹脂組成物がシランカップリング剤を含むとき、成形時の粘度変化の挙動を好ましいものとしつつ、樹脂組成物中の成分の揮発を抑制する観点から、上述の方法で測定される封止用樹脂組成物の矩形流路圧をA(kgf/cm2)とし、封止用樹脂組成物全体に対するシランカップリング剤の含有量をB(質量%)としたとき、以下の式(2)を満たすことが好ましい。
2/B≧4.2 (2)
2/Bの値は、成形時の粘度変化の挙動を好ましいものとしつつ、樹脂組成物中の成分の揮発を抑制する観点から、好ましくは4.2以上であり、より好ましくは5.0以上、さらに好ましくは6.0以上である。
また、ワイヤ流れなど封止する素子や部品等へのダメージを抑制する観点から、A2/Bの値は、たとえば150以下であってよく、好ましくは100以下であり、より好ましくは90以下、さらに好ましくは70以下である。
(封止用樹脂組成物の製造方法)
次に、封止用樹脂組成物の製造方法を説明する。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、たとえば、上述した各成分を、公知の手段で混合し、さらにロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、冷却した後に粉砕する方法により得ることができる。また得られた封止用樹脂組成物について、適宜分散度や流動性等を調整してもよい。
そして、本実施形態においては、封止用樹脂組成物に含まれる成分の選択、封止樹脂組成物の経時的な増粘性等を調整することにより、硬化物を175℃、170Torrで10分間放置前後の体積膨張率が上述した特定の範囲にある封止用樹脂組成物を得ることができる。具体的には、封止樹脂組成物の経時的な増粘性を調整するとともに、低分子量成分の量を適切に選択することにより、低圧成形時における樹脂の増粘性挙動と揮発成分の量を最適化して、硬化特性を安定化することができる。
本実施形態において得られる封止用樹脂組成物は、硬化物の体積膨張率特定の範囲にあるため、これを用いることにより、低圧での成形性を好ましいものとすることができる。また、本実施形態によれば、たとえば、低圧成形により好ましい外観を有する封止体を得ることができる。また、本実施形態によれば、たとえば、低圧成形において封止材にボイドが発生する等の成形不具合を抑制することができる。
(電子装置)
本実施形態における電子装置は、上述した本実施形態における封止用樹脂組成物で電子部品を封止してなる。
まず、電子装置が半導体装置である場合を例に説明する。
図1は、本実施形態における半導体装置の構成を示す断面図である。図1において、半導体装置100は、基材10と、基材10上に搭載された半導体素子20と、半導体素子20を封止する封止材30と、を備えた半導体パッケージである。図1においては、半導体装置100がBGAパッケージである場合が例示されている。この場合、基材10のうち半導体素子20を搭載する表面とは反対側の裏面には、複数の半田ボール50が設けられる。
半導体素子20は、ボンディングワイヤ40を介して基材10へ電気的に接続される。一方で、半導体素子20は、基材10上にフリップチップ実装されていてもよい。基材10および半導体素子20としては、たとえば封止用樹脂組成物の項で前述のものが挙げられる。
本実施形態において、封止材30は、上述の封止用樹脂組成物の硬化物により構成される。このため、低圧成形条件下でも封止材30の製造安定性に優れる半導体装置を得ることができる。封止材30は、たとえば、封止用樹脂組成物を圧縮成形法等の方法を用いて封止成形することにより形成され、成形圧は具体的には5MPa以下である。
次に、半導体装置100の製造方法を説明する。
本実施形態において、半導体装置100の製造方法は、たとえば、圧縮成形法等で5MPa以下の低圧成形することにより、封止用樹脂組成物で半導体素子20を封止する工程を含む。
ここで、封止用樹脂組成物は、前述した本実施形態における封止用樹脂組成物である。
また、半導体素子20を封止する工程における封止圧力は、低圧封止とする観点から、たとえば0MPaを超え、さらに具体的には0.1MPa以上であってもよく、また、たとえば5MPa以下であり、好ましくは3MPa以下、より好ましくは2MPa以下、さらに好ましくは1.2MPa以下、さらにより好ましくは1MPa以下である。
次に、構造体102について説明する。
図2は、本実施形態に係る構造体102の一例を示す断面図である。構造体102は、たとえばMAP(Mold Array Package)成形により形成された成形品である。このため、構造体102を半導体素子20毎に個片化することにより、複数の半導体パッケージが得られることとなる。
構造体102は、基材10と、複数の半導体素子20と、封止材30と、を備えている。複数の半導体素子20は、基材10上に配列されている。図2においては、各半導体素子20が、ボンディングワイヤ40を介して基材10に電気的に接続される場合が例示されている。しかしながら、これに限られず、各半導体素子20は、基材10に対してフリップチップ実装されていてもよい。なお、基材10および半導体素子20には、半導体装置100において例示したものと同様のものを用いることができる。
封止材30は、複数の半導体素子20を封止している。封止材30は、上述した封止用樹脂組成物の硬化物により構成される。本実施形態においては、低圧成形条件下でもボイドや未充填等の成形不具合が抑制されるため、たとえば封止材30の充填特性に優れる構造体102およびこれを個片化して得られる半導体装置を得ることができる。封止材30は、たとえば、封止用樹脂組成物をたとえば圧縮成形等により成形圧5MPa以下の低圧成形することにより形成される。
次に、他の電子装置の例を説明する。
図3は、実施形態における電子装置の構成例を示す断面図である。図3に示した電子装置130は、配線基板101と、配線基板101の少なくとも一方の面110に実装され、少なくとも一つは配線基板101との間にギャップ103を有するQFP(Quad Flat Package)型パッケージである複数の電子部品105と、上記QFP型パッケージと配線基板101との間のギャップ103、複数の電子部品105、および配線基板101を一括封止する封止材107と、を備える。ギャップ103には本実施形態における封止用樹脂組成物の硬化物である封止材107が充填されている。
なお、図3において、ギャップ103に封止材107が100%充填されている態様を示しているが、実際にはギャップ103の一部に封止材107が充填されていればよく、100%充填されている必要はない。
電子装置130は、たとえば、ハイブリッド車、燃料電池車および電気自動車などの自動車に搭載するエレクトロニックコントロールユニットである。
配線基板101に実装される電子部品105としては、たとえば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子、セラミックコンデンサ、チップ抵抗、マイクロコンピュータなどが挙げられる。また、実装される電子部品105のパッケージは、複数の電子部品105の少なくとも一つはQFP型である。
配線基板101は、具体的には少なくとも1層以上(例えば4層)の配線層を有しており、その大きさは、例えば、1.6mmt×60mm×60mmである。
配線基板101としては、たとえば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂にガラス繊維や無機フィラ等を配合した樹脂プリント基板(ガラスエポキシ(FR4)基板など)、ポリイミドまたは液晶ポリマーからなるフレキシブル基板、セラミック基板、金属基板などが用いられる。
配線基板101の厚みは、たとえば、1.0mm以上3.0mm以下である。
電子装置130において、配線基板101の少なくとも一方の面110に外部機器と電気的に接続する外部接続部品(不図示)がさらに実装されていてもよい。このとき、封止材107は、外部接続部品の少なくとも一部をさらに一括封止していることが好ましい。これにより、外部接続部品の接続信頼性を向上できる。
外部接続部品の材料としては、たとえば、錫、金、ニッケル、亜鉛等でめっきが施された銅、鉄、あるいはそれらの合金が用いられる。
電子装置130は、封止材107により、ギャップ103、複数の電子部品105、および配線基板101が一括封止されている。これにより、電子部品105と配線基板101との接着性が向上し、冷熱サイクル時に配線基板101から電子部品105が剥離してしまうのを抑制できる。その結果、電子装置130の長期信頼性を向上できる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
(封止用樹脂組成物の調製)
各実施例、および各比較例のそれぞれについて、以下のように封止用樹脂組成物を調製した。
まず、表1に示す各成分をミキサーにより混合した。次いで、得られた混合物を、ロール混練した後、冷却、粉砕して粉粒体である封止用樹脂組成物を得た。
各例で用いた成分は以下の通りである。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬社製、NC3000
エポキシ樹脂2:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬社製、EOCN−1020−55
(硬化剤)
フェノール樹脂硬化剤1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型樹脂、明和化成社製、MEH−7851SS
フェノール樹脂硬化剤2:ノボラック型フェノール樹脂、住友ベークライト社製、PR−HF−3
フェノール樹脂硬化剤3:トリフェノールメタン型フェノール樹脂、明和化成社製、MEH−7500
(無機充填材)
無機充填材1:球状溶融シリカ、デンカ社製、FB560、平均粒径d50:30μm
無機充填材2:球状溶融シリカ(微粉)、アドマテックス社製、SO−C2、平均粒径d50:0.5μm
(シランカップリング剤:表2中「CA」とも記載)
シランカップリング剤1:フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング社製、CF4083
シランカップリング剤2:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、チッソ社製、GPS−M
シランカップリング剤3:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製、KBM−803
(硬化促進剤)
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィン、ケイ・アイ化成社製、PP−360
硬化促進剤2:2−フェニルイミダゾール、四国化成社製、キュアゾール2PZ−PW
(その他成分)
着色剤1:カーボンブラック、三菱ケミカル社製、カーボン#5
離型剤1:モンタン酸エステルワックス、クラリアントジャパン社製、WE−4
(無機充填材のd50の測定)
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SALD−7000)により測定した。
(タブレット体積膨張率)
各例で得られた封止用樹脂組成物を用いて、20mmφ−高さ17mmのタブレットを打錠成形した。
得られた硬化物を175℃、170Torrの減圧下で10分間放置した。放置前後の重量をそれぞれ電子天秤により測定した。また、放置前後の比重をそれぞれ電子天秤精密比重計により測定した。得られた重量および比重に基づき、以下の式(1)により体積膨張率を算出した。
体積膨張率(%)=100×(放置後体積−放置前体積)/放置前体積 (1)
放置前体積(cm3)=放置前重量(g)/放置前比重
放置後体積(cm3)=放置後重量(g)/放置後比重
(矩形流路圧)
各例で得られた封止用樹脂組成物の矩形流路圧(矩形圧)を次のように測定した。まず、低圧トランスファー成形機(NEC社製、40tマニュアルプレス)を用いて、金型温度175℃、注入速度0.7mm/secの条件にて、幅13mm、厚さ1mm、長さ175mmの矩形状の流路に封止用樹脂組成物を注入した。このとき、流路の上流先端から25mmの位置に埋設した圧力センサーにて圧力の経時変化を測定し、注入から10秒後の圧力(kgf/cm2)を矩形圧とした。矩形圧は、溶融粘度のパラメータであり、数値が小さい方が、溶融粘度が低いことを示す。
(低圧成形後内部ボイド)
タブレット化した樹脂組成物を低圧トランスファー成形機にて175℃、3MPa、180秒の条件にて、65mm×65mm×9mm厚のパッケージ(有機基板55mm×85mm×1.6mm厚)を成形した。成形品の内部ボイドを超音波探傷装置(日立パワーソリューションズ社製、FSP12V)にて観察した。
○:最大ボイドの直径<500μm
×:最大ボイドの直径≧500μm
Figure 2021161213
Figure 2021161213
表2より、各実施例の樹脂組成物は、低圧での成形性に優れていた。
20 半導体素子
30 封止材
40 ボンディングワイヤ
50 半田ボール
100 半導体装置
101 配線基板
102 構造体
103 ギャップ
105 電子部品
107 封止材
110 一方の面
130 電子装置

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含み、成形圧5MPa以下の低圧成形に供される封止用樹脂組成物であって、
    以下の条件1によって得られる当該封止用樹脂組成物の硬化物の、以下の条件2で測定される体積膨張率が、1%以上100%以下である、封止用樹脂組成物。
    (条件1)20mmφ−高さ17mmのタブレットを打錠成形する。
    (条件2)前記硬化物を175℃、170Torrで10分間放置前後の重量と比重を測定し、以下の式(1)にて体積膨張率を算出する。
    体積膨張率(%)=100×(放置後体積−放置前体積)/放置前体積 (1)
    放置前体積(cm3)=放置前重量(g)/放置前比重
    放置後体積(cm3)=放置後重量(g)/放置後比重
  2. 低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入速度0.7mm/secの条件にて、幅13mm、厚さ1mm、長さ175mmの矩形状の流路に当該封止用樹脂組成物を注入したときの、注入から10秒後の当該封止用樹脂組成物の矩形流路圧が0.80kgf/cm2以上5.0kgf/cm2以下である、請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
  3. シランカップリング剤をさらに含む、請求項1または2に記載の封止用樹脂組成物。
  4. 低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入速度0.7mm/secの条件にて、幅13mm、厚さ1mm、長さ175mmの矩形状の流路に当該封止用樹脂組成物を注入したときの、注入から10秒後の当該封止用樹脂組成物の矩形流路圧をA(kgf/cm2)とし、当該封止用樹脂組成物全体に対する前記シランカップリング剤の含有量をB(質量%)としたとき、以下の式(2)を満たす、請求項3に記載の封止用樹脂組成物。
    2/B≧4.2 (2)
  5. 当該封止用樹脂組成物中の前記無機充填材の含有量が、当該封止用樹脂組成物全体に対して70質量%以上90質量%以下である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物で電子部品を封止してなる、電子装置。
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