以下に、本発明に係るタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
以下の説明では、本発明に係るタイヤの一例として、空気入りタイヤ1を用いて説明する。タイヤの一例である空気入りタイヤ1は、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。
また、以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸であるタイヤ回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、タイヤ回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道面CLは、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における中心位置であるタイヤ幅方向中心線と、タイヤ幅方向における位置が一致する。タイヤ幅は、タイヤ幅方向において最も外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。また、以下の説明では、タイヤ子午断面とは、タイヤ回転軸を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の要部を示すタイヤ子午断面図である。本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、例えば、小型トラックに装着して用いられる、いわゆるライトトラック用ラジアルタイヤになっている。本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、子午断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2は、ゴム組成物から成るトレッドゴム層4を有している。また、トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド踏面3として形成され、トレッド踏面3は、空気入りタイヤ1の輪郭の一部を構成している。トレッド部2には、トレッド踏面3にタイヤ周方向に延びる周方向溝30と、周方向溝30に交差するラグ溝40(図2参照)とが、それぞれ複数形成されており、これらの周方向溝30及びラグ溝40により、トレッド部2の表面には複数の陸部20が画成されている。本実施形態では、周方向溝30は4本がタイヤ幅方向に並んで形成されており、4本の周方向溝30は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側にそれぞれ2本ずつ配置されている。
タイヤ幅方向におけるトレッド部2の両端は、ショルダー部5として形成されており、ショルダー部5から、タイヤ径方向内側の所定の位置までは、サイドウォール部8が配設されている。即ち、サイドウォール部8は、トレッド部2のタイヤ幅方向における両側2箇所、或いは、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1の両側2箇所に配設されており、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出した部分を形成している。
タイヤ幅方向における両側に位置するそれぞれのサイドウォール部8のタイヤ径方向内側には、ビード部10が配置されている。ビード部10は、サイドウォール部8と同様に、タイヤ赤道面CLの両側2箇所に配置されており、即ち、ビード部10は、一対がタイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向における両側に配置されている。各ビード部10にはビードコア11が設けられており、ビードコア11のタイヤ径方向外側にはビードフィラー12が設けられている。ビードコア11は、スチールワイヤであるビードワイヤを束ねて円環状に形成される環状部材になっており、ビードフィラー12は、ビードコア11のタイヤ径方向外側に配置されるゴム部材になっている。
また、トレッド部2にはベルト層14が配設されている。ベルト層14は、複数のベルトプライ141〜143が積層される多層構造によって構成されており、本実施形態では、2層のベルト141、142と、1層のベルトカバー層143とが積層されている。
ベルト層14を構成するベルト141、142は、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、タイヤ周方向に対するベルトコードの傾斜角として定義されるベルト角度が、所定の範囲内(例えば、15°以上55°以下)になっている。また、2層のベルト141、142は、ベルト角度が互いに異なっている。このため、ベルト層14は、2層のベルト141、142が、ベルトコードの傾斜方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成されている。つまり、2層のベルト141、142は、それぞれのベルト141、142が有するベルトコードが互いに交差する向きで配設される、いわゆる交差ベルトとして設けられている。
ベルトカバー層143は、2層のベルト141、142のタイヤ径方向外側に配置されており、2層のベルト141、142をタイヤ周方向に覆ってベルト141、142を補強する補強層として設けられている。ベルトカバー層143は、タイヤ周方向に略平行でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示省略)がコートゴムで被覆されることにより形成されている。ベルトカバー層143が有するコードは、例えば、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維からなり、コードの角度はタイヤ周方向に対して±5°の範囲内になっている。ベルトカバー層143は、略平行に並ぶ複数のコードをコートゴムで被覆したストリップ材を、2層のベルト141、142のタイヤ径方向外側からタイヤ周方向に螺旋状に巻き付けることにより構成される。
本実施形態では、ベルトカバー層143は、ベルト141、142が配設されるタイヤ幅方向における範囲の全域に亘って配設されており、ベルト141、142のタイヤ幅方向端部を覆っている。トレッド部2が有するトレッドゴム層4は、トレッド部2におけるベルトカバー層143のタイヤ径方向外側に配設されている。
ベルト層14のタイヤ径方向内側、及びサイドウォール部8のタイヤ赤道面CL側には、ラジアルプライのコードを内包するカーカス層13が連続して設けられている。このため、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、いわゆるラジアルタイヤとして構成されている。カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤ幅方向の両側に配設される一対のビード部10間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。
詳しくは、カーカス層13は、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部10のうち、一方のビード部10から他方のビード部10にかけて配設されており、ビードコア11及びビードフィラー12を包み込むようにビード部10でビードコア11に沿ってタイヤ幅方向外側に巻き返されている。ビードフィラー12は、このようにカーカス層13がビード部10で折り返されることにより、ビードコア11のタイヤ径方向外側に形成される空間に配置されるゴム材になっている。また、ベルト層14は、このように一対のビード部10間に架け渡されるカーカス層13における、トレッド部2に位置する部分のタイヤ径方向外側に配置されている。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチール、或いはアラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成る複数のカーカスコードを、コートゴムで被覆して圧延加工することによって構成されている。カーカスプライを構成するカーカスコードは、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつ、タイヤ周方向にある角度を持って複数並設されている。
ビード部10における、ビードコア11及びカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側やタイヤ幅方向外側には、リムフランジに対するビード部10の接触面を構成するリムクッションゴム17が配設されている。また、カーカス層13の内側、或いは、当該カーカス層13の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ16がカーカス層13に沿って形成されている。インナーライナ16は、空気入りタイヤ1の内側の表面であるタイヤ内面18を形成している。
図2は、図1のA−A矢視図である。トレッド踏面3に形成される周方向溝30としては、タイヤ赤道面CLを挟んでタイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に配置され、タイヤ周方向に延びる一対の内側周方向溝31と、タイヤ幅方向において一対の内側周方向溝31のそれぞれの外側に配置され、溝幅が内側周方向溝31の溝幅よりも狭く、タイヤ周方向に延びる一対の外側周方向溝38とが設けられている。つまり、内側周方向溝31は、2本の内側周方向溝31がタイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に配置され、外側周方向溝38は、2本の外側周方向溝38がタイヤ幅方向において2本の内側周方向溝31を挟んで2本の内側周方向溝31のタイヤ幅方向における両側に配設されている。これらの内側周方向溝31と外側周方向溝38とは、それぞれタイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に繰り返し振幅しており、即ち、内側周方向溝31と外側周方向溝38とは、共にジグザグ状に形成されている。
なお、内側周方向溝31は、溝幅が5.0mm以上10.0mm以下の範囲内になっており、溝深さが8.0mm以上15.0mm以下の範囲内になっている。また、外側周方向溝38は、溝幅が4.0mm以上8.0mm以下の範囲内になっており、溝深さが8.0mm以上15.0mm以下の範囲内になっている。
トレッド踏面3には、周方向溝30の他に、タイヤ幅方向に延びるラグ溝40が複数設けられている。ラグ溝40としては、センターラグ溝41と中間ラグ溝51とショルダーラグ溝52とが設けられている。このうち、センターラグ溝41は、タイヤ幅方向における一対の内側周方向溝31同士の間に配置されて、両端が一対の内側周方向溝31に接続されるラグ溝40になっている。また、中間ラグ溝51は、タイヤ幅方向において隣り合う内側周方向溝31と外側周方向溝38との間に配置され、両端が内側周方向溝31と外側周方向溝38とに接続されるラグ溝40になっている。また、ショルダーラグ溝52は、外側周方向溝38のタイヤ幅方向における外側に配置され、一端が外側周方向溝38に接続されるラグ溝40になっている。これらのセンターラグ溝41、中間ラグ溝51、ショルダーラグ溝52は、それぞれ複数がタイヤ周方向に並んで設けられている。また、センターラグ溝41、中間ラグ溝51、ショルダーラグ溝52のタイヤ周方向におけるピッチと、内側周方向溝31及び外側周方向溝38のタイヤ幅方向への振幅のタイヤ周方向におけるピッチは、同じ大きさになっている。
なお、センターラグ溝41は、溝幅が3.0mm以上8.0mm以下の範囲内になっており、溝深さが7.0mm以上11.0mm以下の範囲内になっている。ここでいうセンターラグ溝41の溝深さは、後述する底上げ部46(図5等参照)以外の部分の最大の溝深さになっている。また、中間ラグ溝51は、溝幅が3.0mm以上8.0mm以下の範囲内になっており、溝深さが3.0mm以上5.0mm以下の範囲内になっている。また、ショルダーラグ溝52は、溝幅が3.0mm以上7.0mm以下の範囲内になっており、溝深さが2.5mm以上5.0mm以下の範囲内になっている。
センターラグ溝41と中間ラグ溝51とは、共通の内側周方向溝31に接続されるが、内側周方向溝31に接続される部分のタイヤ周方向における位置が、センターラグ溝41と中間ラグ溝51とで異なっている。同様に、中間ラグ溝51とショルダーラグ溝52とは、共通の外側周方向溝38に接続されるが、外側周方向溝38に接続される部分のタイヤ周方向における位置が、中間ラグ溝51とショルダーラグ溝52とで異なっている。
トレッド踏面3に形成される陸部20は、これらの複数のラグ溝40と複数の周方向溝30とにより、センターブロック21と中間ブロック22とショルダーブロック23とが画成されている。このうち、センターブロック21は、隣り合うセンターラグ溝41と一対の内側周方向溝31とにより区画される陸部20になっており、これにより、センターブロック21は、タイヤ赤道面CL上に位置している。また、中間ブロック22は、隣り合う内側周方向溝31及び外側周方向溝38と、隣り合う中間ラグ溝51とにより区画される陸部20になっている。また、ショルダーブロック23は、タイヤ幅方向における外側周方向溝38の外側に設けられ、隣り合うショルダーラグ溝52により区画されると共にタイヤ幅方向における内側部分が外側周方向溝38によって区画される陸部20になっている。即ち、ショルダーブロック23は、外側周方向溝38とショルダーラグ溝52とにより区画される。これらのセンターブロック21、中間ブロック22、ショルダーブロック23は、それぞれ複数がタイヤ周方向に並んで設けられている。
また、中間ブロック22とショルダーブロック23とには、一端が外側周方向溝38に接続され、他端が中間ブロック22内またはショルダーブロック23内で終端する切欠き部55が形成されている。即ち、中間ブロック22には、一端が外側周方向溝38に接続され、他端が中間ブロック22内で終端する切欠き部55である中間切欠き部56が形成されている。また、ショルダーブロック23には、一端が外側周方向溝38に接続され、他端がショルダーブロック23内で終端する切欠き部55であるショルダー切欠き部57が形成されている。
図3は、図2のB部詳細図である。陸部20を区画するラグ溝40のうち、センターラグ溝41は、屈曲することにより延在方向が変化する部分である屈曲部42を複数有することにより、タイヤ周方向に延びる周方向延在部43と、タイヤ幅方向に延びる幅方向延在部44とを有している。この場合における周方向延在部43は、センターラグ溝41における、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が45°以下となって形成される部分をいい、幅方向延在部44は、センターラグ溝41における、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が45°を超えて形成される部分をいう。
具体的には、1つのセンターラグ溝41は、屈曲部42を2箇所有しており、2箇所の屈曲部42で屈曲することによりクランク状の形状で形成されている。また、センターラグ溝41は、トレッド踏面3への開口部のエッジ47、即ち、溝幅方向の両側のエッジ47が、共にセンターブロック21内で終端せずに、一対の内側周方向溝31同士の間に亘って形成されている。
クランク状のセンターラグ溝41は、2箇所の屈曲部42に挟まれた位置が、周方向延在部43として形成されている。周方向延在部43は、タイヤ赤道面CL上に形成されており、タイヤ周方向に対して略平行に形成されている。ここでいう略平行は、相対的な傾斜角度が5°以下である状態をいい、即ち、センターラグ溝41の周方向延在部43は、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が5°以下になっている。なお、周方向延在部43は、全ての部分がタイヤ赤道面CL上に位置していなくてもよく、一部の位置がタイヤ赤道面CL上に位置し、他の部分はタイヤ赤道面CL上に位置していなくてもよい。
また、幅方向延在部44は、周方向延在部43の端部からタイヤ幅方向に延びることにより、周方向延在部43の端部と内側周方向溝31、即ち、屈曲部42と内側周方向溝31とを接続している。詳しくは、幅方向延在部44は、各センターラグ溝41の2箇所に設けられており、2箇所の幅方向延在部44は、互いに異なる屈曲部42と、一対の内側周方向溝31における異なる内側周方向溝31とを接続している。その際に、幅方向延在部44は、内側周方向溝31における、タイヤ幅方向内側に向かって凸となって屈曲する位置と、屈曲部42とを接続している。また、1つのセンターラグ溝41が有する2箇所の幅方向延在部44は、それぞれタイヤ幅方向に延びつつ、タイヤ周方向における同じ方向に傾斜している。
図4は、図3のC−C断面図である。センターブロック21を区画し、センターラグ溝41が接続される内側周方向溝31は、溝壁32に段付き部33が形成されている。内側周方向溝31の溝壁32が有する段付き部33は、トレッド踏面3への内側周方向溝31の開口部34と内側周方向溝31の溝底35との間の位置に、溝底35側が開口部34側に対して対向する溝壁32側に向かって突出して形成されている。つまり、段付き部33は、内側周方向溝31における溝幅が変化する部分になっており、内側周方向溝31は、段付き部33よりも溝壁32側の部分が、段付き部33よりも開口部34側の部分に対して、溝幅が小さくなっている。
このように形成される内側周方向溝31の段付き部33は、溝幅方向における位置が互いに異なる、溝壁32における開口部34側の部分と溝壁32側の部分とを、溝幅方向に接続することにより形成されており、このため、内側周方向溝31の溝壁32は、ひな壇形状で形成されている。また、内側周方向溝31の段付き部33は、内側周方向溝31が有する対向する溝壁32の双方に形成されており、双方の溝壁32に形成される段付き部33は、内側周方向溝31の開口部34からの深さが、互いにほぼ同じ深さになっている。
段付き部33を有する内側周方向溝31は、内側周方向溝31の溝深さDaと、トレッド踏面3から段付き部33までの深さDbとの関係が、0.2<(Db/Da)≦0.5の範囲内になっている。なお、この場合における内側周方向溝31の溝深さDaは、内側周方向溝31の最大の溝深さになっている。
また、センターラグ溝41には、周方向延在部43に底上げ部46が形成されている。図5は、図3のE1−E2−E3−E4断面図である。センターラグ溝41に形成される底上げ部46は、センターラグ溝41の溝底45の一部がトレッド踏面3側に突出することにより形成されている。このため、センターラグ溝41における底上げ部46が形成される部分は、センターラグ溝41における底上げ部46以外の部分よりも、溝深さが浅くなっている。底上げ部46は、センターラグ溝41における周方向延在部43に形成されており、周方向延在部43は、溝底45全体が底上げ部46になっている。即ち、底上げ部46は、センターラグ溝41における、2箇所の屈曲部42同士の間に亘って形成されている。このため、センターラグ溝41は、周方向延在部43の位置での溝深さが、幅方向延在部44の位置での溝深さより浅くなっている。
本実施形態では、センターラグ溝41の底上げ部46は、センターラグ溝41の溝底45における底上げ部46以外の部分に対して、1mm以上5mm以下の範囲内でタイヤ径方向外側に向かって突出して形成されている。
底上げ部46が形成されるセンターラグ溝41の溝深さは、センターラグ溝41が接続される内側周方向溝31における、段付き部33までの深さよりも深くなっている。このため、内側周方向溝31とセンターラグ溝41とは、トレッド踏面3から内側周方向溝31の段付き部33までの深さDbと、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、Db<Dd<Dcを満たしている。この場合におけるセンターラグ溝41の最大溝深さDcは、センターラグ溝41における底上げ部46以外の位置での、トレッド踏面3からセンターラグ溝41の溝底45までの深さになっている。また、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdは、センターラグ溝41におけるトレッド踏面3から底上げ部46までの深さになっている。
また、内側周方向溝31とセンターラグ溝41とは、内側周方向溝31の溝深さDaと、トレッド踏面3から段付き部33までの深さDbと、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、Db<Dd<Dc<Daを満たしている。このため、センターラグ溝41の溝深さは、いずれの位置も内側周方向溝31における溝深さDaより浅く、段付き部33までの深さDbより深くなっている。
さらに、内側周方向溝31とセンターラグ溝41とは、内側周方向溝31の溝深さDaと、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、0.5<(Dd/Da)≦0.7の範囲内になっている。また、内側周方向溝31とセンターラグ溝41とは、トレッド踏面3から内側周方向溝31の段付き部33までの深さDbと、センターラグ溝41の底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、0.7≦(Dd/Db)≦0.9の範囲内になっている。また、センターラグ溝41は、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、0.4<(Dd/Dc)≦0.6の範囲内になっている。
図6は、図3のF−F断面図である。センターラグ溝41には、屈曲部42のエッジ47に切り欠き48が形成されている。屈曲部42の切り欠き48は、屈曲部42の屈曲の内側のエッジ47に形成される内側切り欠き48iと、屈曲部42の屈曲の外側のエッジ47に形成される外側切り欠き48oとが形成されている。このうち、内側切り欠き48iは、屈曲部42における内側の角部のエッジ47にテーパー状に施される面取りとして形成されている。また、外側切り欠き48oは、屈曲部42における外側の角部のエッジ47に施される、トレッド踏面3から一段下がった段付きとして形成されている。
これらの切り欠き48のうち、内側切り欠き48iは、トレッド踏面3からの最大深さHiが、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdに対して、0.3≦(Hi/Dd)≦0.5の範囲内になっている。また、外側切り欠き48oは、トレッド踏面3からの最大深さHoが、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdに対して、0.3≦(Ho/Dd)≦0.5の範囲内になっている。
図7は、図3のG部詳細図である。センターラグ溝41は2箇所に屈曲部42を有しているが、2箇所の屈曲部42は、屈曲の角度αが、いずれも50°以上90°以下の範囲内になっている。なお、センターラグ溝41が有する屈曲部42の屈曲の角度αは、60°以上80°以下の範囲内であるのが好ましい。
また、センターラグ溝41において屈曲部42と内側周方向溝31との間に配置される幅方向延在部44は、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度βが30°以下になっている。また、1つのセンターラグ溝41が有する2箇所の幅方向延在部44の、タイヤ幅方向に対する傾斜角度βは、ほぼ同じ角度になっている。なお、センターラグ溝41が有する幅方向延在部44の、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度βは、10°以下であるのが好ましい。
また、センターラグ溝41は、周方向延在部43の長さXと、幅方向延在部44の長さYとの関係が、X>Yを満たしている。この場合における、周方向延在部43の長さXと幅方向延在部44の長さYとは、センターラグ溝41の溝幅の中心線CGにおける長さになっている。
つまり、周方向延在部43の長さXは、センターラグ溝41の溝幅の中心線CGにおける、周方向延在部43に位置する部分の長さになっている。即ち、周方向延在部43の長さXは、センターラグ溝41の溝幅の中心線CGにおける、センターラグ溝41の屈曲部42同士の間に位置する部分の長さになっている。また、幅方向延在部44の長さYは、センターラグ溝41の溝幅の中心線CGにおける、幅方向延在部44に位置する部分の長さになっている。即ち、幅方向延在部44の長さYは、センターラグ溝41の溝幅の中心線CGにおける、センターラグ溝41の屈曲部42と、センターラグ溝41における内側周方向溝31に接続される部分との間に位置する部分の長さになっている。センターラグ溝41は、これらのように規定される周方向延在部43の長さXが、センターラグ溝41における2箇所の幅方向延在部44のいずれの長さYよりも長くなっている。
図8は、図2のJ部詳細図である。また、隣り合う内側周方向溝31と外側周方向溝38との間に配設される中間ラグ溝51は、内側周方向溝31における、タイヤ幅方向外側に凸となって屈曲する位置に一端が接続され、外側周方向溝38における、タイヤ幅方向内側に凸となって屈曲する位置に他端が接続されている。また、ショルダーラグ溝52は、タイヤ幅方向における内側の端部が、外側周方向溝38における、タイヤ幅方向外側に凸となって屈曲する位置に接続されている。
これらの中間ラグ溝51とショルダーラグ溝52とは、共にタイヤ幅方向に対して、タイヤ周方向に傾斜している。中間ラグ溝51とショルダーラグ溝52との、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向は、センターラグ溝41が有する幅方向延在部44の、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向の反対方向になっている。即ち、中間ラグ溝51とショルダーラグ溝52とは、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向が同じ方向になっている。
また、中間ブロック22に形成される切欠き部55である中間切欠き部56は、外側周方向溝38における中間切欠き部56が接続される側の反対側に接続されるショルダーラグ溝52の延長線上に配置されている。また、ショルダーブロック23に形成される切欠き部55であるショルダー切欠き部57は、外側周方向溝38におけるショルダー切欠き部57が接続される側の反対側に接続される中間ラグ溝51の延長線上に配置されている。
さらに、トレッド踏面3には、細溝70が複数形成されている。細溝70としては、センターブロック21に形成されるセンター細溝71と、中間ブロック22に形成される中間細溝78とが設けられている。センターブロック21と中間ブロック22とに形成されるこれらの細溝70は、いずれも溝深さが3mm以下で、溝幅が3mm以下になっている。このうち、センター細溝71は、両端が一対の内側周方向溝31に接続され、2箇所以上の屈曲部72を有しており、センター細溝71の両端は、それぞれ内側周方向溝31における、タイヤ幅方向外側に凸となって屈曲する位置に接続されている。また、センター細溝71が有する屈曲部72は、具体的には、各センター細溝71の4箇所に形成されており、4箇所の屈曲部72は、交互に反対方向に屈曲している。
これにより、センター細溝71は、一方の端部から他方の端部に向けて、階段状の形状で形成されており、4箇所の屈曲部72で屈曲することにより、センター細溝71は、タイヤ周方向に延びる周方向延在部73と、タイヤ幅方向に延びる幅方向延在部74とを有している。つまり、センター細溝71は、タイヤ幅方向における両端側に位置して内側周方向溝31に接続される2本の幅方向延在部74と、2本の幅方向延在部74同士の間に位置する1本の幅方向延在部74との3本の幅方向延在部74を有しており、タイヤ幅方向に隣接する幅方向延在部74同士を、周方向延在部73で接続する形状で形成されている。幅方向延在部74と周方向延在部73との接続部分が、屈曲部72になっている。
なお、この場合における周方向延在部73は、センター細溝71における、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が45°以下となって形成される部分をいい、幅方向延在部74は、センター細溝71における、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が45°を超えて形成される部分をいう。
また、センター細溝71は、内側周方向溝31への接続部と屈曲部72との間の範囲が、センターラグ溝41における同じ内側周方向溝31への接続部と屈曲部42との間の範囲に対して、略平行に形成されている。即ち、センター細溝71は、内側周方向溝31に接続される幅方向延在部74と、センターラグ溝41における、同じ内側周方向溝31に接続される幅方向延在部44に対して、略平行に形成されている。なお、この場合における略平行とは、相対的な角度が5°以下となる状態をいう。
また、中間ブロック22に形成される中間細溝78は、一端が内側周方向溝31に接続され、他端が中間切欠き部56に接続されており、内側周方向溝31に接続される側の端部は、内側周方向溝31における、タイヤ幅方向内側に凸となって屈曲する位置に接続されている。詳しくは、中間細溝78は、内側周方向溝31と中間切欠き部56との間に位置し、中間切欠き部56と同様にショルダーラグ溝52の延長線上に、ショルダーラグ溝52や中間ラグ溝51と略平行に形成されている。つまり、中間細溝78は、タイヤ幅方向に延びつつ、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向が、中間ラグ溝51のタイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向と同じ方向になり、タイヤ幅方向に対する傾斜角度が、中間ラグ溝51のタイヤ幅方向に対する傾斜角度とほぼ同じ大きさとなって、タイヤ周方向に傾斜している。
これらのように形成される陸部20は、陸部20間で接地面積が異なっており、具体的には、センターブロック21の接地面積は、中間ブロック22やショルダーブロック23の接地面積よりも大きくなっている。換言すると、中間ブロック22やショルダーブロック23は、センターブロック21よりも接地面積が小さくなっており、例えば、中間ブロック22の接地面積は、センターブロック21の接地面積の0.55倍以上0.75倍以下の範囲内となって形成されている。なお、センターブロック21の接地面積に対する中間ブロック22の接地面積は、0.60倍以上0.70倍以下であるのが好ましい。また、ショルダーブロック23の接地面積は、センターブロック21の接地面積の0.50倍以上0.60倍以下の範囲内となって形成されている。なお、センターブロック21の接地面積に対するショルダーブロック23の接地面積は、0.52倍以上0.58倍以下であるのが好ましい。
本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ライトトラック用ラジアルタイヤであるため、主に小型トラックに装着して使用される。空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、リムホイールにリム組みしてインフレートした状態で装着する。
空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、トレッド踏面3のうち下方に位置するトレッド踏面3が路面に接触しながら空気入りタイヤ1は回転する。空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主にトレッド踏面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、トレッド踏面3と路面との間の水が周方向溝30やラグ溝40等に入り込み、これらの溝でトレッド踏面3と路面との間の水を排水しながら走行する。これにより、トレッド踏面3は路面に接地し易くなり、トレッド踏面3と路面との間の摩擦力により、車両は走行することが可能になる。
ここで、車両が走行する路面には、石が落ちていることがあり、車両の走行時には、このような路面上の石が、トレッド踏面3の周方向溝30やラグ溝40に入り込むことがある。例えば、多くの石が散在する路面を車両で走行した場合、路面上の石が周方向溝30やラグ溝40に入り込み易くなる。特に、周方向溝30は、空気入りタイヤ1の回転時に路面に対して開口し続けるため、路面上において、タイヤ幅方向における位置が周方向溝30と同じ位置に位置する石は、周方向溝30に入り込み易くなっている。その際に、石の大きさが、周方向溝30の溝幅より小さい場合は、石が周方向溝30に入り込んだとしても、石は周方向溝30からすぐに排出される。また、石の大きさが、周方向溝30の溝幅より大幅に大きい場合は、石は周方向溝30に入り込み難くなっている。
これに対し、石の大きさが、周方向溝30の溝幅より若干大きい場合は、回転する空気入りタイヤ1の周方向溝30が石上に位置した際に、周方向溝30のタイヤ幅方向両側の陸部20が接地荷重によって弾性変形をすることにより、石は周方向溝30に入り込み易くなる。このように、周方向溝30の溝幅より若干大きい石が、陸部20の弾性変形によって周方向溝30に入り込んだ場合、石には、弾力性によって陸部20或いは周方向溝30から付与される圧力により、周方向溝30に保持される状態が維持される。即ち、石は周方向溝30に噛み込まれ、周方向溝30で石噛みが発生する。
周方向溝30で石噛みが発生した場合、周方向溝30内の石は、空気入りタイヤ1が回転することによって路面に接触した際に、周方向溝30の溝底35方向への力が路面から石に対して作用し、石は、この力によって周方向溝30の溝底35方向へ移動して溝底35に接触し易くなる。周方向溝30に噛み込まれた石が、路面から作用する力によって周方向溝30の溝底35に対して大きな力で接触した場合、溝底35は損傷してストンドリリングが発生する虞がある。
特に、タイヤ幅方向における中央付近は、トレッド踏面3の接地時における接地荷重が大きいため、タイヤ幅方向における中央付近に配置される周方向溝30には石が入り込み易くなっており、石噛みが発生し易くなっている。このため、タイヤ幅方向における中央付近に配置される周方向溝30では、石噛みが発生することに起因して、ストンドリリングが発生し易くなっている。
これに対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、センターブロック21を区画する周方向溝30である内側周方向溝31に段付き部33が形成されており、内側周方向溝31では、段付き部33よりも溝底35側の溝幅が、段付き部33よりも開口部34側の溝幅より狭くなっている。このため、路面上の石が入り込み易い内側周方向溝31に石が入り込んだ場合でも、段付き部33に石が当接することにより、溝底35に向かって石が深く入り込むことが抑制される。これにより、内側周方向溝31に入り込んだ石は、内側周方向溝31に保持され難くなり、石噛みが発生し難くなるため、石噛みに起因するストンドリリングの発生が抑制される。従って、石噛みの発生のし難さについての性能である石噛み性能を向上させることができる。
しかし、内側周方向溝31には、段付き部33が形成されているため、内側周方向溝31の溝容積は小さくなっており、濡れた路面の走行時における排水性が低下し易くなっている。一方で、内側周方向溝31と共にセンターブロック21を区画するセンターラグ溝41は、屈曲部42を複数有することにより、タイヤ周方向に延びる周方向延在部43と、タイヤ幅方向に延びる幅方向延在部44とを有して形成されている。このため、センターラグ溝41は、全長が長くなっており、センターラグ溝41全体としての溝容積が大きくなっているため、センターラグ溝41での排水性を確保することができる。これにより、タイヤ幅方向における中央付近の領域では、内側周方向溝31の排水性の低下をセンターラグ溝41によって補うことができ、センターブロック21を区画する内側周方向溝31とセンターラグ溝41とを合わせて、排水性を確保することができる。従って、濡れた路面での走行性能であるウェット性能を確保することができる。
ここで、センターラグ溝41は、屈曲部42を複数有することにより、周方向延在部43と幅方向延在部44とを有しており、タイヤ周方向に延びる周方向延在部43には、路面上の石が入り込み易くなっているが、周方向延在部43には、底上げ部46が形成されている。このため、センターラグ溝41において石が入り込み易い周方向延在部43に石が入り込んだ場合でも、石は深くは入り込まないため、排出され易くなる。これにより、センターラグ溝41においてタイヤ周方向に延び、石が入り込み易い周方向延在部43での石噛みが抑制される。
さらに、内側周方向溝31とセンターラグ溝41とは、トレッド踏面3から内側周方向溝31の段付き部33までの深さDbと、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、Db<Dd<Dcを満たすため、センターラグ溝41での排水性と、段付き部33での石噛みの抑制とを両立することができる。つまり、内側周方向溝31の段付き部33までの深さDbが、センターラグ溝41の最大溝深さDcや底上げ部46の位置での溝深さDdよりも大きい場合には、内側周方向溝31における段付き部33までの深さDbが深過ぎるため、内側周方向溝31の石噛みを段付き部33によって抑制するのが困難になる虞がある。または、センターラグ溝41の最大溝深さDcや底上げ部46の位置での溝深さDdが、内側周方向溝31の段付き部33までの深さDbよりも小さい場合には、センターラグ溝41の最大溝深さDcや底上げ部46の位置での溝深さDdが浅過ぎるため、センターラグ溝41での排水性を確保し難くなる虞がある。
これに対し、内側周方向溝31の段付き部33までの深さDbと、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、Db<Dd<Dcを満たす場合は、センターラグ溝41での排水性を確保しつつ、内側周方向溝31での石噛みを段付き部33によって抑制することができる。これらの結果、ウェット性能を維持しつつ石噛み性能を向上させることができる。
また、内側周方向溝31とセンターラグ溝41とは、内側周方向溝31の溝深さDaと、トレッド踏面3から段付き部33までの深さDbと、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、Db<Dd<Dc<Daを満たすため、センターブロック21の剛性を確保でき、より確実に排水性を確保することができる。つまり、センターラグ溝41の最大溝深さDcや底上げ部46の位置での溝深さDdが、内側周方向溝31の溝深さDa以上である場合は、センターラグ溝41の溝深さが深過ぎるため、センターブロック21の剛性が低くなり過ぎる虞がある。この場合、センターブロック21の接地時にセンターブロック21が倒れ込み易くなり、センターブロック21の倒れ込みに伴ってセンターラグ溝41や内側周方向溝31の溝容積が小さくなることにより、これらの溝での排水性を確保し難くなる虞がある。
これに対し、センターラグ溝41の最大溝深さDcが底上げ部46の位置での溝深さDdが、内側周方向溝31の溝深さDaより小さい場合は、センターラグ溝41の溝深さが深くなり過ぎることを抑制することができ、センターブロック21の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、センターブロック21の接地時にセンターブロック21が大きく倒れ込むことに起因して、センターラグ溝41や内側周方向溝31の溝容積が小さくなることを抑制することができ、これらの溝での排水性を、より確実に確保することができる。この結果、より確実にウェット性能を確保することができる。
また、内側周方向溝31は、内側周方向溝31の溝深さDaと、トレッド踏面3から段付き部33までの深さDbとの関係が、0.2<(Db/Da)≦0.5の範囲内であるため、内側周方向溝31の溝容積を確保しつつ、内側周方向溝31での石噛みを段付き部33によってより確実に抑制することができる。つまり、内側周方向溝31の溝深さDaと段付き部33までの深さDbとの関係が、(Db/Da)≦0.2である場合は、段付き部33までの深さDbが浅過ぎるため、内側周方向溝31の溝容積を確保し難くなり、内側周方向溝31での排水性を確保し難くなる虞がある。また、内側周方向溝31の溝深さDaと段付き部33までの深さDbとの関係が、(Db/Da)>0.5である場合は、段付き部33までの深さDbが深過ぎるため、内側周方向溝31の深い位置まで石が入り込み易くなる虞があり、内側周方向溝31での石噛みを抑制し難くなる虞がある。
これに対し、内側周方向溝31の溝深さDaと段付き部33までの深さDbとの関係が、0.2<(Db/Da)≦0.5の範囲内である場合は、内側周方向溝31の溝容積を確保しつつ、内側周方向溝31に入り込んだ石を、段付き部33によってより確実に排出することができる。この結果、より確実にウェット性能を維持しつつ石噛み性能を向上させることができる。
また、内側周方向溝31とセンターラグ溝41とは、内側周方向溝31の溝深さDaと、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、0.5<(Dd/Da)≦0.7の範囲内であるため、センターラグ溝41の溝容積を確保しつつ、センターラグ溝41での石噛みを底上げ部46によってより確実に抑制することができる。つまり、内側周方向溝31の溝深さDaと、底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、(Dd/Da)≦0.5である場合は、センターラグ溝41の底上げ部46の位置での溝深さDdが浅過ぎるため、センターラグ溝41の溝容積を確保し難くなり、センターラグ溝41での排水性を確保し難くなる虞がある。また、内側周方向溝31の溝深さDaと、底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、(Dd/Da)>0.7である場合は、センターラグ溝41の底上げ部46の位置での溝深さDdが深過ぎるため、センターラグ溝41の深い位置まで石が入り込み易くなる虞があり、センターラグ溝41での石噛みを抑制し難くなる虞がある。
これに対し、内側周方向溝31の溝深さDaと、底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、0.5<(Dd/Da)≦0.7の範囲内である場合は、センターラグ溝41の溝容積を確保しつつ、底上げ部46によって、センターラグ溝41の深い位置まで石が入り込むことを抑制することができる。この結果、より確実にウェット性能を維持しつつ石噛み性能を向上させることができる。
また、センターラグ溝41は、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、0.4<(Dd/Dc)≦0.6の範囲内であるため、センターラグ溝41の溝容積を確保しつつ、センターラグ溝41での石噛みを底上げ部46によってより確実に抑制することができる。つまり、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、(Dd/Dc)≦0.4である場合は、底上げ部46の位置での溝深さDdが浅過ぎるため、センターラグ溝41の溝容積を確保し難くなり、センターラグ溝41での排水性を確保し難くなる虞がある。また、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、(Dd/Dc)>0.6である場合は、底上げ部46の位置での溝深さDdが深過ぎるため、センターラグ溝41の深い位置まで石が入り込み易くなる虞があり、センターラグ溝41での石噛みを抑制し難くなる虞がある。
これに対し、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係が、0.4<(Dd/Dc)≦0.6の範囲内である場合は、センターラグ溝41の溝容積を確保しつつ、底上げ部46によって、センターラグ溝41の深い位置まで石が入り込むことを抑制することができる。この結果、より確実にウェット性能を維持しつつ石噛み性能を向上させることができる。
また、センターラグ溝41は、屈曲部42の角度αが、50°以上90°以下の範囲内であるため、センターブロック21の耐久性の低下を抑制しつつ、センターラグ溝41での排水性をより確実に高めることができる。つまり、センターラグ溝41の屈曲部42の角度αが、50°未満である場合は、屈曲部42の角度αが小さ過ぎるため、センターブロック21の剛性が局所的に低下し、センターブロック21における屈曲部42付近で、もげ等の損傷が発生し易くなる虞がある。また、センターラグ溝41の屈曲部42の角度αが、90°より大きい場合は、屈曲部42の角度αが大き過ぎるため、センターラグ溝41に屈曲部42を形成しても、センターラグ溝41の全長を効果的に長くし難くなる虞がある。この場合、センターラグ溝41に屈曲部42を形成しても、センターラグ溝41での排水性を効果的に高め難くなる虞がある。
これに対し、センターラグ溝41の屈曲部42の角度αが、50°以上90°以下の範囲内である場合は、センターブロック21の剛性が局所的に低くなり過ぎることを抑制しつつ、センターラグ溝41に屈曲部42を形成することにより、センターラグ溝41の全長をより確実に長くすることができる。これにより、センターブロック21でのもげ等の損傷の発生を抑制しつつ、センターラグ溝41での排水性をより確実に高めることができる。この結果、耐久性を確保しつつ、より確実にウェット性能を向上させることができる。
また、センターラグ溝41の幅方向延在部44は、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度βが30°以下であるため、センターブロック21の耐久性の低下をより確実に抑制することができる。つまり、センターラグ溝41が有する幅方向延在部44の、タイヤ幅方向に対する傾斜角度βが30°より大きい場合は、幅方向延在部44の傾斜角度βが大き過ぎるため、センターブロック21における、内側周方向溝31に対して幅方向延在部44が接続されている部分付近の剛性が局所的に低くなり過ぎる虞がある。この場合、センターブロック21における、内側周方向溝31に対する幅方向延在部44の接続部分付近で、もげ等の損傷が発生し易くなる虞がある。
これに対し、センターラグ溝41が有する幅方向延在部44の、タイヤ幅方向に対する傾斜角度βが30°以下である場合は、センターブロック21の剛性が局所的に低くなり過ぎることを抑制することができ、センターブロック21でのもげ等の損傷の発生を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に耐久性を確保することができる。
また、センターラグ溝41の屈曲部42は2箇所であるため、センターラグ溝41の全長を、2箇所の屈曲部42によってより確実に長くすることができる。これにより、センターラグ溝41の溝容積をより確実に増加させることができるため、センターラグ溝41での排水性を、より確実に高めることができる。この結果、より確実にウェット性能を向上させることができる。
また、センターラグ溝41の周方向延在部43は、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角度が5°以下であるため、周方向延在部43によってタイヤ幅方向に対するエッジ成分を確保することができる。これにより、濡れた路面の走行時におけるタイヤ幅方向へのエッジ効果を向上させることができるため、路面に対するトレッド踏面3のタイヤ幅方向の摩擦力を増加させることができ、ウェット路面での操縦安定性を確保することができる。この結果、より確実にウェット性能を向上させることができる。
また、センターラグ溝41は、周方向延在部43の長さXと、幅方向延在部44の長さYとの関係が、X>Yを満たすため、タイヤ幅方向に対するエッジ成分を、より確実に確保することができる。これにより、濡れた路面の走行時におけるタイヤ幅方向へのエッジ効果を、より確実に向上させることができ、ウェット路面での操縦安定性を確保することができる。この結果、より確実にウェット性能を向上させることができる。
また、センターラグ溝41は、屈曲部42のエッジ47に切り欠き48が形成されるため、屈曲部42付近の溝面積を増加させることができ、センターラグ溝41での排水性を、より確実に高めることができる。この結果、より確実にウェット性能を向上させることができる。
また、センターブロック21には細溝70が形成されるため、細溝70によってエッジ成分を増加させることができる。これにより、濡れた路面の走行時に、細溝70のエッジ効果により路面に対するトレッド踏面3の摩擦力を増加させることができ、ウェット路面での操縦安定性を確保することができる。この結果、より確実にウェット性能を向上させることができる。
また、陸部20は、中間ブロック22とショルダーブロック23とを有しており、中間ブロック22の接地面積は、センターブロック21の接地面積の0.55倍以上0.75倍以下の範囲内になっている。また、ショルダーブロック23の接地面積は、センターブロック21の接地面積の0.50倍以上0.60倍以下の範囲内になっている。このため、乾燥した路面での操縦安定性や、耐偏摩耗性を向上させることができる。
つまり、空気入りタイヤ1は、トレッド踏面3のタイヤ幅方向における中心付近、即ち、トレッド踏面3におけるタイヤ赤道面CL付近の接地荷重が大きくなり易くなっているため、この大きな接地荷重を受けるために、センターブロック21の接地面積は、中間ブロック22やショルダーブロック23の接地面積よりも大きい方が好ましい。このため、中間ブロック22の接地面積がセンターブロック21の接地面積の0.75倍を超えていたり、ショルダーブロック23の接地面積がセンターブロック21の接地面積の0.60倍を超えていたりする場合は、タイヤ赤道面CL付近の接地荷重に対して適切なセンターブロック21の接地面積を確保し難くなる虞がある。この場合、センターブロック21の剛性が低くなるため、乾燥した路面の走行時における直進走行付近の操縦安定性を確保し難くなる虞がある。また、センターブロック21は、中間ブロック22やショルダーブロック23と比較して大きな荷重を受け易いため、センターブロック21の剛性が低い場合は、中間ブロック22やショルダーブロック23よりも摩耗し易くなり、偏摩耗が発生し易くなる虞がある。
一方で、中間ブロック22の接地面積がセンターブロック21の接地面積の0.55倍未満であったり、ショルダーブロック23の接地面積がセンターブロック21の接地面積の0.50倍未満であったりする場合は、中間ブロック22やショルダーブロック23の接地面積が小さ過ぎるため、中間ブロック22やショルダーブロック23の剛性が低くなり過ぎる虞がある。この場合、接地領域におけるタイヤ幅方向の端部寄りの位置に作用する荷重を、適切に受けることができなくなり、これにより、乾燥した路面の走行時における旋回時の操縦安定性を確保できなくなる虞がある。また、中間ブロック22やショルダーブロック23の剛性が低過ぎる場合は、中間ブロック22やショルダーブロック23は、センターブロック21よりも摩耗し易くなり、偏摩耗が発生し易くなる虞がある。
これに対し、中間ブロック22の接地面積がセンターブロック21の接地面積の0.55倍以上0.75倍以下の範囲内で、ショルダーブロック23の接地面積がセンターブロック21の接地面積の0.50倍以上0.60倍以下の範囲内である場合は、センターブロック21、中間ブロック22、ショルダーブロック23のいずれも、タイヤ幅方向における配置位置に応じた剛性を確保することができる。つまり、センターブロック21、中間ブロック22、ショルダーブロック23のいずれも、車両走行時にトレッド踏面3への作用の仕方が変化する接地荷重に応じた剛性を確保することができる。これにより、乾燥した路面の走行時における操縦安定性を向上させることができ、また、偏摩耗を抑制することができる。この結果、ドライ性能と耐偏摩耗性とを向上させることができる。
[変形例]
なお、上述した実施形態に係る空気入りタイヤでは、センターラグ溝41の底上げ部46は、センターラグ溝41が有する周方向延在部43のみに形成されているが、底上げ部46は、幅方向延在部44に形成されていてもよい。図9は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、センターラグ溝41の平面図である。センターラグ溝41の底上げ部46は、例えば、図9に示すように、周方向延在部43に形成される底上げ部46が、屈曲部42の位置で周方向延在部43から幅方向延在部44に入り込んで形成されていてもよい。この場合、底上げ部46における、周方向延在部43から幅方向延在部44に入り込んで形成される部分の幅である、底上げ部46のはみ出し量Wrは、センターラグ溝41の溝幅Wgに対して、0≦(Wr/Wg)≦0.7の範囲内になっている。底上げ部46は、幅方向延在部44へのはみ出し量Wrが、この範囲内で形成されることにより、センターラグ溝41での排水性の確保と石噛みの抑制とを両立することができる。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、段付き部33は内側周方向溝31のみに形成されているが、段付き部33は、外側周方向溝38に形成されていてもよい。同様に、底上げ部46は、センターラグ溝41以外のラグ溝40に形成されていてもよく、底上げ部46は、中間ラグ溝51やショルダーラグ溝52に形成されていてもよい。段付き部33や底上げ部46は、石噛みの発生のし易さや排水性を考慮して、周方向溝30やラグ溝40に適宜設けるのが好ましい。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、周方向溝30は4本が形成されているが、周方向溝30は4本以外であってもよい。周方向溝30の本数に関わらず、タイヤ赤道面CL上に位置する陸部20を区画する周方向溝30を内側周方向溝31とし、内側周方向溝31同士の間に形成されるラグ溝40をセンターラグ溝41とする場合に、内側周方向溝31に段付き部33が形成され、センターラグ溝41に底上げ部46が形成されていればよい。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、センターラグ溝41は、2箇所の屈曲部42で屈曲することによりクランク状に形成されているが、センターラグ溝41は、クランク状以外の形状で形成されていてもよい。センターラグ溝41は、2箇所以上の屈曲部42を有していればよい。センターラグ溝41は、2箇所以上の屈曲部42を有することにより、センターラグ溝41の全長を長くすることができ、溝容積を確保できるため、センターラグ溝41での排水性を確保でき、ウェット性能を向上させることができる。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、センター細溝71は4箇所の屈曲部72が設けられているが、センター細溝71の屈曲部72は、4箇所以外でもよい。センター細溝71の屈曲部72は、例えば、センターラグ溝41と同様に2箇所で形成され、センター細溝71は、センターラグ溝41と同様にクランク状に形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、本発明に係るタイヤの一例として空気入りタイヤ1を用いて説明したが、本発明に係るタイヤは、空気入りタイヤ1以外であってもよい。本発明に係るタイヤは、例えば、気体を充填することなく使用することができる、いわゆるエアレスタイヤであってもよい。
[実施例]
図10は、タイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。以下、上記のタイヤについて、従来例のタイヤと、本発明に係るタイヤと、本発明に係るタイヤと比較する比較例のタイヤとについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、石噛みの発生のし難さについての性能である石噛み性能と、濡れた路面での走行性能であるウェット性能とについての試験を行った。
性能評価試験は、空気を充填して使用する空気入りタイヤを用いて行い、JATMAで規定されるタイヤの呼びが205/85R16サイズのタイヤをJATMAで規定される規定リムのリムホイールにリム組みし、評価車両に試験タイヤを装着して評価車両で走行をすることにより行った。
各試験項目の評価方法は、石噛み性能については、試験タイヤを装着した評価車両でオフロードを10時間走行した後にオンロードを2時間走行した際の、周方向溝30及びラグ溝40内に残存する石の個数を数え、これらの溝に噛み込まれている石の個数の逆数を、後述する従来例を100とする指数で表すことにより評価した。数値が大きいほど周方向溝30やラグ溝40に噛み込まれている石の数が少なく、石噛み性能に優れていることを示している。
また、ウェット性能については、ECE R117−02(ECE Regulation No.117 Revision 2)に準拠してウェット路面での制動テストを行い、ウェットグリップ制動性能を、後述する従来例を100とする指数で表すことにより評価した。数値が大きいほどウェット路面での制動性能に優れ、ウェット性能が高いことを示している。なお、ウェット性能は、指数が97以上であれば、従来例に対してウェット性能の低下が抑制されているものとする。
性能評価試験は、従来のタイヤの一例である従来例のタイヤと、本発明に係るタイヤの一例である実施例1〜8と、本発明に係るタイヤと比較するタイヤの一例である比較例1、2との11種類のタイヤについて行った。従来例、比較例1、2、実施例1〜8の各試験タイヤの内側周方向溝の溝幅は8.0mm、溝深さは13.0mm、センターラグ溝の溝幅は6.0mmm、最大溝深さは10.0mmである。このうち、従来例のタイヤは、特許文献1に記載された空気入りタイヤのように、2本の内側周方向溝同士の間に、2箇所で屈曲したセンターラグ溝が配置されており、内側周方向溝には段付き部が形成されておらず、センターラグ溝にも底上げ部が形成されていない。また、比較例1のタイヤは、内側周方向溝には段付き部が形成されているものの、センターラグ溝に底上げ部が形成されていない。また、比較例2のタイヤは、内側周方向溝に段付き部は形成されていないが、センターラグ溝には、周方向延在部に底上げ部が形成されている。
これに対し、本発明に係るタイヤの一例である実施例1〜8は、2本の内側周方向溝31同士の間に、2箇所の屈曲部42を有するセンターラグ溝41が配置されており、内側周方向溝31には段付き部33が形成され、センターラグ溝41には、周方向延在部43に底上げ部46が形成されている。さらに、実施例1〜8に係るタイヤは、トレッド踏面3から内側周方向溝31の段付き部33までの深さDbと、センターラグ溝41の最大溝深さDcと、センターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係や、さらに内側周方向溝31の溝深さDaも含めたこれらの関係、内側周方向溝31の溝深さDaと段付き部33までの深さDbとの関係(Db/Da)、内側周方向溝31の溝深さDaとセンターラグ溝41における底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係(Dd/Da)、センターラグ溝41の最大溝深さDcと底上げ部46の位置での溝深さDdとの関係(Dd/Dc)が、それぞれ異なっている。
これらのタイヤを用いて性能評価試験を行った結果、図10に示すように、実施例1〜8に係るタイヤは、従来例や比較例1、2に対して、ウェット性能の低下を抑制しつつ、石噛み性能を向上させることができることが分かった。つまり、実施例1〜8に係るタイヤは、ウェット性能を維持しつつ石噛み性能を向上させることができる。