JP2021160142A - 自己修復性を有する積層体およびその製造方法、ならびにその使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲面および段差等に対する追従性すなわち伸張性に優れた自己修復性を有する積層体およびその製造方法、ならびにその使用方法を提供する。【解決手段】活性エネルギー線の後照射により硬化が可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層1と、樹脂層1の一方の面に積層されたウレタン系樹脂組成物を含む活性エネルギー線が透過可能な自己修復性樹脂層2と、樹脂層1のもう一方の面に積層された粘着剤層3とを備えた自己修復性積層体10であって、樹脂層1は、樹脂層1を500μm厚さの単層試験体として、積算光量300mJ/cm2の活性エネルギー線照射により硬化した後に周波数1Hz、昇温速度2℃/分の条件で動的粘弾性を測定した際の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率の値が8.0×105〜3.0×107Paの範囲である自己修復性積層体10。【選択図】図1

Description

本発明は、自己修復性を有する積層体およびその製造方法に関する。より詳しくは、曲面および段差等に対する追従性すなわち伸張性に優れた自己修復性を有する積層体およびその製造方法に関する。
近年、材料表面に何らかの傷が入っても、自己修復が可能な自己修復性材料は、インテリジェント材料として注目されている。自己修復性材料としては、一般的には、架橋密度を調整したウレタン系材料が知られており、電子機器、家電製品、スマートフォン、時計をはじめ、フレキシブルディスプレイや自動車内外装等の表面を日常的な擦り傷から保護するための表面保護用部材として応用されている。身近な例としては、スマートフォンやタッチパネルの表面の傷付き防止のために、透明基材の一方の面に自己修復性材料、もう一方の面に粘着剤がコーティングされた保護フィルムをディスプレイ表面に粘着剤により貼り付けて使用される例が挙げられる。日常の生活環境において自己修復性材料の表面に発生した擦り傷程度であれば、時間の経過で元通りに修復することができる。
なお、ここで、「自己修復性」とは、樹脂組成物の硬化物において、該硬化物が擦過、打撃等を受けて硬化物表面に傷が形成された時、外部からの修復操作を必要とせず、直ちにあるいは短時間の経時により当該傷が消失し、傷を受ける前の状態に戻る性質のことをいうものとする。
従来技術としては、例えば、特許文献1には、平滑性、光透過性、透明性、耐擦傷性、耐候性、自己修復性に優れた表面保護フィルムを提供することを目的として、ポリエーテルポリオールと脂肪族イソシアネートとアルコール系硬化剤と非アミン系触媒の硬化物である熱硬化性ポリウレタンからなる保護層、透明基材フィルム、粘着剤層の三層がこの順に積層されている表面保護フィルムが開示されている。
また、特許文献2には、タッチパネルなどの表面に容易に貼ったり剥がしたりを繰り返し行うことができ、フィルム表面に傷が残り難く、かつ曲面に追従して貼り付けることができる保護フィルムを提供することを目的として、セパレーターA、シリコーン吸着層、アンカー層、エラストマー基材、ウレタン系傷修復層、セパレーターBを順次積層した保護フィルムが開示されている。
国際公開第2017/094480号 特開2017−74701号公報
ところで、近年では、このような自己修復性を有する表面保護フィルムに対して、平面的な物品表面のみならず、複雑な形状をした物品表面にも貼り付けて使用できるように、曲面および段差に対する追従性も要求されるようになってきた。すなわち、伸張性と自己修復性の両方を兼ね備えた表面保護フィルムが求められるようになってきた。
特許文献1に記載された自己修復性に優れた表面保護フィルムは、透明基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが使用されており、自己修復性に優れたものとなっている。しかしながら、曲面および凹凸に対する追従性(伸張性)は十分であるとは言えなかった。
また、特許文献2に記載された保護フィルムは、エラストマー基材として熱可塑性のウレタンエラストマー基材が使用されており、曲面および段差に対する追従性(伸張性)を有するものとなっている。しかしながら、表面硬度が小さい熱可塑性のウレタンエラストマー基材の表面にウレタン系傷修復層(自己修復層)を形成した場合、自己修復機能が発現しにくい傾向があった。日常の生活環境においては、色々な擦り速度で、自己修復層の表面に傷が付けられることが想定されるが、特に、ゆっくりとした擦り速度で、自己修復層の表面に傷が付けられた場合、自己修復機能が発現しにくい傾向があることがわかった。
このように、従来技術の自己修復性を有する表面保護フィルムにおいては、伸張性と自己修復性の両方を十分に満足しているとは言えず、まだ改良の余地があった。すなわち、伸張性を満足させるために、表面硬度が小さいエラストマー基材の表面に自己修復層を形成した場合、自己修復機能が発現しにくい傾向があり、一方、自己修復性を満足させるために、表面硬度が高いPETフィルム基材の表面に自己修復層を形成した場合、伸張性が低下し、曲面および段差に対する追従性が低下するという課題があった。
本発明は、上記問題および状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、曲面および段差等に対する追従性すなわち伸張性に優れた自己修復性を有する積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる目的のもと、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、活性エネルギー線の後照射により硬化が可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の一方の面に積層されたウレタン系樹脂組成物を含む活性エネルギー線が透過可能な自己修復性樹脂層(B)と、前記樹脂層(A)のもう一方の面に積層された粘着剤層(C)とを備えた積層体において、前記樹脂層(A)として、積算光量300mJ/cmの活性エネルギー線照射により硬化した後に周波数1Hz、昇温速度2℃/分の条件で動的粘弾性を測定した際の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)の値が8.0×10〜3.0×10Paの範囲の値となるものを用いた場合に、上記課題を解決しうることが可能であることを見出し、本発明を成すに至った。
この明細書において、数値範囲を記号「〜」を用いて示すとき、当該範囲はその上限値および下限値を含む。
すなわち本発明の自己修復性を有する積層体は、活性エネルギー線の後照射により硬化が可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の一方の面に積層されたウレタン系樹脂組成物を含む活性エネルギー線が透過可能な自己修復性樹脂層(B)と、前記樹脂層(A)のもう一方の面に積層された粘着剤層(C)とを備え、
前記樹脂層(A)は、下記条件(1)で紫外線照射した後に、下記条件(2)で動的粘弾性を測定した際の105〜150℃の温度範囲における貯蔵弾性率(G’)の値が8.0×10〜3.0×10Paの範囲の値となるものであることを特徴とする。
条件(1)
紫外線照射検体:幅10mm×長さ50mm(厚さ500μm)の樹脂層(A)の両面に剥離ライナーとしてPETフィルム(厚さ50μm)を積層したもの、光源:高圧水銀灯、照度:75mW/cm、積算光量:300mJ/cm
条件(2)
動的粘弾性測定検体:条件(1)で紫外線照射した後の樹脂層(A)で剥離ライナーとしてのPETフィルムを剥がしたもの、周波数:1Hz、昇温速度:2℃/分、測定温度範囲:−50℃〜150℃
また、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、炭素−炭素二重結合官能基を有するアクリル系粘着性ポリマー、光重合開始剤、ならびに、該官能基と反応する架橋剤を含み、前記炭素−炭素二重結合および官能基を有するアクリル系粘着性ポリマーの炭素−炭素二重結合含有量は、0.33〜2.00meq/gの範囲であることが好ましい。
またさらに、前記ウレタン系樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物であり、官能基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂と該官能基と反応する架橋剤を含むことが好ましい。
またさらに、前記自己修復性を有する積層体は、前記樹脂層(A)の厚さが20〜50μmの範囲であることが好ましい。
さらに、本発明の別発明である自己修復性を有する積層体の製造方法は、前記自己修復性を有する積層体において、前記自己修復性樹脂層(B)のウレタン系樹脂組成物として前記熱硬化性樹脂組成物を適用し、少なくとも前記樹脂層(A)および前記自己修復性樹脂層(B)は、当該樹脂層(A)および当該自己修復性樹脂層(B)に対して離型性を有するシート基材(剥離ライナー)上に、前記樹脂層(A)形成用塗料および前記自己修復性樹脂層(B)形成用塗料をウェットオンウェット法により積層して形成することを特徴とすることができる。
さらに、本発明の別発明である自己修復性積層体の使用方法は、前記自己修復性を有する積層体を、物品に前記粘着剤層(C)を介して貼り付けた後に、前記積層体の表面(自己修復性樹脂層(B))側から活性エネルギー線を照射して、前記樹脂層(A)を架橋および硬化させることを特徴とすることができる。
本発明によれば、曲面および段差等に対する追従性すなわち伸張性に優れた自己修復性を有する積層体およびその製造方法を提供することができる。特に、ゆっくりとした擦り速度で、自己修復性樹脂層の表面に傷が付けられた場合においても、優れた自己修復性を有する積層体を提供することができる。
本実施の形態が適用される伸張性に優れた自己修復性を有する積層体の構成の一例を示した図である。 本実施の形態が適用される伸張性に優れた自己修復性を有する積層体において剥離ライナーを備えた構成の一例を示した図である。 本実施の形態の一例である実施例2、4および比較例1、2、3の積層体に適用した樹脂層(A)の紫外線照射後の動的粘弾性スペクトルを示した図である。 本実施の形態が適用される伸張性に優れた自己修復性を有する積層体を直径10mmのガラス棒に貼り付けた状態を示した図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<積層体の構成>
図1は、本実施の形態が適用される自己修復性を有する積層体10(以下、単に積層体10と称する場合がある)の構成の一例を示した図である。本実施の形態の積層体10は、例えば、平面状の物品あるいは曲面形状や段差形状を有する物品の表面を保護するために、表面側にウレタン系樹脂組成物を含む活性エネルギー線が透過可能な自己修復性樹脂層(B)2(以下、単に自己修復性樹脂層(B)2と称する場合がある)が配置されるように粘着剤層(C)3を介して物品の表面に追従するように貼り付けて使用する。この際、積層体10を適度に引き伸ばしたり押さえたりしながら物品の表面形状に沿って貼り付けても良い。そして、積層体10を物品に貼り付けた後に、その貼り付けた積層体10全体にわたって表面側(自己修復性樹脂層(B)2側)から紫外線(UV)等の活性エネルギー線を照射する。この時、活性エネルギー線は、活性エネルギー線が透過可能な自己修復性樹脂層(B)2を透過して、その下に位置する活性エネルギー線の後照射により硬化が可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1(以下、単に樹脂層(A)1と称する場合がある)に照射される。これにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1は、3次元的に架橋して硬くなり高温度域(105〜150℃)における貯蔵弾性率(G’)が増大するので、その結果、樹脂層(A)1の上に位置する自己修復性樹脂層(B)2に対して、本来の自己修復機能を十分に発現させることができる。
図1に示すように、積層体10は、活性エネルギー線の後照射により硬化が可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1の一方の面にウレタン系樹脂組成物を含む活性エネルギー線が透過可能な自己修復性樹脂層(B)2、もう一方の面に粘着剤層(C)3が積層された構成を有している。
また、図2に示すように、自己修復性樹脂層(B)2(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる樹脂層(A)1に対向する面とは反対側の面)の表面および粘着剤層(C)3の表面(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1に対向する面とは反対側の面)には、それぞれ離型性を有する基材シート(剥離ライナー)を備えていても良い。
図3は、本実施の形態の一例である実施例2、4および比較例1、2、3の積層体に適用した樹脂層(A)1の紫外線(UV)照射後の動的粘弾性スペクトルを示した図である。図3に示すように、本実施の形態の積層体において、前記樹脂層(A)1は、照度75mW/cmにて、積算光量300mJ/cmの活性エネルギー線(紫外線(UV))照射により硬化した後に周波数1Hz、昇温速度2℃/分の条件で動的粘弾性を測定した際の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)の値が8.0×10〜3.0×10Paの範囲の値となるものである。
図4に示すように、積層体10は、粘着剤層(C)3により直径10mmのガラス棒6に貼り付けられても、経時で積層体10の端部が浮いてくることはない。すなわち、曲面に対する追従性、密着性が優れたものである。
<樹脂層(A)>
本実施の形態の樹脂層(A)1は、活性エネルギー線の後照射により硬化が可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物により形成される。上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、炭素−炭素二重結合および官能基を有するアクリル系粘着性ポリマー、光重合開始剤、ならびに、該官能基と反応する架橋剤を含んでなる。上記後照射に用いる活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、β線、γ線等が挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、紫外線(UV)および電子線(EB)が好ましく、特に紫外線(UV)が好ましく用いられる。
上記紫外線(UV)を照射するための光源としては、特に限定されないが、例えば、ブラックライト、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。
また、紫外線(UV)を照射する時に、一般的に、低酸素濃度下の雰囲気下、例えば、酸素濃度が500ppm以下の雰囲気下で照射を行なうと、効率よく活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させることができるので、低酸素濃度下の雰囲気下で照射するのが好ましいが、本実施の形態の積層体10の場合、樹脂層(A)1は、自己修復性樹脂層(B)2と粘着剤層(C)3との間に挟まれた構成としているので、通常の雰囲気下で紫外線(UV)を照射しても酸素阻害による樹脂層(A)1の硬化不良は起こらないので、低酸素濃度下の雰囲気下で照射する必要はない。
上記紫外線(UV)の照射光量(積算光量)は、100mJ/cm以上が好ましく、300mJ/cm以上がより好ましい。上限は2,000mJ/cm以下が好ましく、1,000mJ/cm以下がより好ましい。
本実施の形態の樹脂層(A)1は、活性エネルギー線を照射する前(硬化前)の常態時においては、高度には架橋されていないため柔軟な状態である。したがって、この時点では、樹脂層(A)1は適度な伸張性を有するので、同様に柔軟な自己修復性樹脂層(B)2および粘着剤層(C)3とが樹脂層(A)1に積層された積層体10は、物品に貼り付ける際の曲面や段差に対する追従性を有するが、自己修復性に関しては、樹脂層(A)1の上に自己修復性樹脂層(B)を備えていても、自己修復性樹脂層(B)2が有する本来の自己修復機能がほとんど発現されない。しかしながら、上述したように、物品に貼り付けられた積層体10に対して、上記活性エネルギー線を照射すると、樹脂層(A)1は、3次元的に高度に架橋して硬くなり、高温度域(105〜150℃)における貯蔵弾性率(G’)が増大するので、その結果、樹脂層(A)1の上に位置する自己修復性樹脂層(B)2に対して、本来の自己修復機能を十分に発現させることができる。
上記樹脂層(A)1は、上述したように、積算光量300mJ/cmの活性エネルギー線照射(紫外線(UV))により硬化した後に周波数1Hz、昇温速度2℃/分の条件で動的粘弾性を測定した際の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)の値として、8.0×10〜3.0×10Paの範囲の値を有する必要がある。自己修復性のさらなる向上の観点から、上記105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)の値の上記範囲の下限値としては、3.3×10Paであることがより好ましい。上記貯蔵弾性率(G’)の測定方法の詳細については後述する。上記105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)の値が8.0×10Pa未満である場合には、活性エネルギー線照射後の樹脂層(A)1の硬さが不十分であり、積層体10の自己修復性が不十分となるおそれがあり、自己修復性樹脂層の表面に傷が付けられる際の擦り速度が遅いほど自己修復性が劣る傾向が顕著となる。一方、上記105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)の値が3.0×10Paを超える場合には、活性エネルギー線照射後の樹脂層(A)1が硬くなり過ぎて、積層体10を物品の曲面部や段差部に貼り付け、活性エネルギー線を照射した後、曲面部や段差部において、経時とともに樹脂層(A)1に微小なクラックが発生する場合があり、外観不良となるおそれがある。また、樹脂層(A)1と自己修復性樹脂層(B)2とを貼合により積層した場合に、活性エネルギー線照射後において該両層の密着性が悪くなる場合がある。
上記樹脂層(A)1の厚さは、10〜100μmの範囲であることが好ましく、20〜50μmの範囲であることがより好ましい。樹脂層(A)1の厚さが10μm未満である場合には、積層体10の自己修復性が不十分となるおそれがある。一方、樹脂層(A)1の厚さを、上限値の100μmを超えて厚くしても、積層体10の自己修復性機能は飽和する傾向であるので、経済性の観点からは好ましくない。また、樹脂層(A)1を、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を用いて塗布、形成する際、乾燥時に多量の溶媒の蒸発の影響で樹脂層(A)1に気泡が発生し外観不良となる場合がある。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、炭素−炭素二重結合および官能基を有するアクリル系粘着性ポリマー、光重合開始剤、ならびに、該官能基と反応する架橋剤を含んでなる。以下、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を構成する各成分について順に説明する。
(炭素−炭素二重結合および官能基を有するアクリル系粘着性ポリマー)
本実施の形態の炭素−炭素二重結合および官能基を有するアクリル系粘着性ポリマーは、分子内に炭素−炭素二重結合を有するものを使用する。物品に貼り付けられた積層体10に対して活性エネルギー線を照射することにより、樹脂層(A)1に含まれるアクリル系粘着性ポリマーの炭素−炭素二重結合がラジカル付加反応を起こし、ポリマー鎖同士が高度に3次元的に高度に架橋して硬くなり、高温度域(105〜150℃)における貯蔵弾性率(G’)が増大するので、その結果、樹脂層(A)1の上に位置する自己修復性樹脂層(B)2に対して、本来の自己修復機能を十分に発現させることができる。
炭素−炭素二重結合を有するアクリル系粘着性ポリマーを製造する方法としては、特に限定されるものではないが、通常、(メタ)アクリル酸エステルと官能基含有不飽和化合物とを共重合して共重合体(コポリマー)を得、その共重合体が有する官能基に対して付加反応することが可能な官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物を付加反応させる方法が挙げられる。
ここでいう官能基とは、炭素−炭素二重結合と共存可能な熱反応性官能基をいう。かかる官能基の例は、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびアミノ基等の活性水素基、およびグリシジル基等の活性水素基と熱反応する官能基である。活性水素基とは、炭素以外の窒素、酸素または硫黄などの元素とそれに直接結合した水素とを有する官能基をいう。
上記付加反応としては、例えば、上記共重合体の側鎖にあるヒドロキシル基を(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物(例えば、2―メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、4−メタクリロイルオキシ−n−ブチルイソシアネート等)と反応させる方法、上記共重合体の側鎖にあるカルボキシル基を(メタ)アクリル酸グリシジルと反応させる方法や、上記共重合体の側鎖にあるグリシジル基を(メタ)アクリル酸と反応させる方法等がある。なお、これらの反応を行う際には、後述する架橋剤により上記アクリル系粘着性ポリマーを架橋させて、さらに高分子量化するために、ヒドロキシル基、カルボキシル基やグリシジル基等の官能基が残存するようにしておくことが好ましい。例えば、ヒドロキシル基を側鎖に有する共重合体に対して、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物を反応させる場合、上記共重合体の側鎖にあるヒドロキシル基(−OH)に対する(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)の当量比[(NCO)/(OH)]が1.0未満となるように両者の配合比を調整すれば良い。このようにして、(メタ)アクリロイルオキシ基などの活性エネルギー線反応性基(炭素−炭素二重結合)および官能基を有するアクリル系粘着性ポリマーを得ることができる。
上記付加反応においては、炭素−炭素二重結合の活性エネルギー線反応性が維持されるよう、重合禁止剤を使用することが好ましい。このような重合禁止剤としては、ヒドロキノン・モノメチルエーテルなどのキノン系の重合禁止剤が好ましい。重合禁止剤の量は、特に制限されないが、ベースポリマーと放射線反応性化合物の合計量に対して、通常、0.01〜0.1質量部である。
上記アクリル系粘着性ポリマーは、好ましくは10万〜200万の範囲の重量平均分子量Mwを有する。アクリル系粘着性ポリマーの重量平均分子量Mwが10万未満である場合には、塗工性などを考慮して、数千〜数万cPの高粘度の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の溶液を得ることが難しく好ましくない。一方、重量平均分子量Mwが200万を超える場合には、積層体10の特性上、特に問題はないが、アクリル系粘着性ポリマーを量産的に製造することが難しく、例えば、合成時にアクリル系粘着性ポリマーがゲル化する場合があり、好ましくない。アクリル系粘着性ポリマーの重量平均分子量Mwは、より好ましくは30万〜150万である。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される標準ポリスチレン換算値を意味する。
上記アクリル系粘着性ポリマーは、炭素−炭素二重結合含有量が0.33〜2.00meq/gの範囲であることが好ましい。自己修復性のさらなる向上の観点から、炭素−炭素二重結合含有量の上記範囲の下限値としては、0.36meq/gであることがより好ましく、0.58meq/gであることがとりわけ好ましい。また、アクリル系粘着性ポリマーの安定性の観点からは、上記範囲の上限値としては、1.67meq/gであることが好ましい。すなわち、上記炭素−炭素二重結合含有量は、0.36〜1.67meq/gの範囲がより好ましく、0.58〜1.67meq/gの範囲がとりわけ好ましい。アクリル系粘着性ポリマーの炭素−炭素二重結合含有量が上記範囲であると、上述した活性エネルギー線照射後の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)の値を8.0×10〜3.0×10Paの範囲の値とすることが容易となる。アクリル系粘着性ポリマーの炭素−炭素二重結合含有量が0.33meq/g未満である場合には、活性エネルギー線を照射しても光ラジカル架橋反応が十分に起こらず、その結果、活性エネルギー線照射後の樹脂層(A)1の硬さが不十分となり、積層体10の自己修復性が不十分となるおそれがあり、自己修復性樹脂層の表面に傷が付けられる際の擦り速度が遅いほど自己修復性が劣る傾向が顕著となるおそれがある。一方、炭素−炭素二重結合含有量が2.00meq/gを超える場合には、活性エネルギー線照射後の樹脂層(A)1が硬くなり過ぎて、積層体10を物品の曲面部や段差部に貼り付け、活性エネルギー線を照射した後、曲面部や段差部において、経時とともに樹脂層(A)1に微小なクラックが発生する場合があり、外観不良となるおそれがある。また、樹脂層(A)1と自己修復性樹脂層(B)2とを貼合により積層した場合に、活性エネルギー線照射後において該両層の密着性が悪くなる場合がある。また、炭素−炭素二重結合含有量が2.00meq/gを超えるアクリル系粘着性ポリマーは、共重合組成によっては合成する際の重合または反応時にゲル化しやすくなり、合成が困難となる場合がある。なお、炭素−炭素二重結合を含有するアクリル系粘着性ポリマーは、単独で用いるのが好ましいが、2種以上を組み合わせて用いても良い。この場合、使用する複数のアクリル系粘着性ポリマーの総量に対して、炭素−炭素二重結合含有量が0.33〜2.00meq/gの範囲、好ましくは0.36〜1.67meq/gの範囲、より好ましくは0.58〜1.67meq/gの範囲となるように調整すれば良い。
上記アクリル系粘着性ポリマーの主骨格は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と活性水素基含有単量体、およびまたはグリシジル基含有単量体とを含む共重合体から構成される。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、炭素数6〜18のヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、または炭素数5以下の単量体である、ペンチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、活性水素基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体等が挙げられる。これら活性水素基含有単量体成分は、単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、グリシジル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これら炭素−炭素二重結合と共存可能な熱反応性官能基の含有量は、特に限定はされないが、共重合単量体成分全量に対して5〜50質量%の範囲であることが好ましい。
これらを共重合した共重合体としては、具体的には、アクリル酸2―エチルヘキシルとアクリル酸との共重合体、アクリル酸2―エチルヘキシルとアクリル酸2―ヒドロキシエチルとの共重合体、アクリル酸2―エチルヘキシルとメタクリル酸とアクリル酸2―ヒドロキシエチルとの三元共重合体、アクリル酸n−ブチルとアクリル酸との共重合体、アクリル酸n−ブチルとアクリル酸2―ヒドロキシエチルとの共重合体、アクリル酸n−ブチルとメタクリル酸とアクリル酸2−ヒドロキシエチルとの三元共重合体等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
上記アクリル系粘着性ポリマーは、凝集力、および耐熱性などを目的として、必要に応じて他の共重合単量体成分を含有してもよい。このような他の共重合単量体成分としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基含有単量体、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有する単量体が挙げられる。これらの他の共重合単量体成分は、単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アクリル系粘着性ポリマーは、側鎖に炭素−炭素二重結合基を有するベース樹脂(ポリマー主鎖)のガラス転移温度Tgが−70〜15℃の範囲であることが好ましく、−60〜−10℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度Tgが−70℃未満である場合には、上述した活性エネルギー線照射後の樹脂層(A)1の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)の値が本発明の所定範囲まで増大せず、積層体10の自己修復性が不十分となるおそれがあり、自己修復性樹脂層の表面に傷が付けられる際の擦り速度が遅いほど自己修復性が劣る傾向が顕著となるおそれがある。一方、ガラス転移温度Tgが15℃を超える場合には、積層体10の伸び率が低下するおそれがある。また、樹脂層(A)1と自己修復性樹脂層(B)2とを貼合により積層した場合に、活性エネルギー線照射後において該両層の密着性が悪くなる場合がある。
上記アクリル系粘着性ポリマーの含有量は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物全量に対して、51質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがとりわけ好ましい。
(光重合開始剤)
本実施の形態の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に対する活性エネルギー線の照射を感受して、ラジカルを発生させ、活性エネルギー線硬化性のアクリル系粘着性ポリマーが有する炭素−炭素二重結合の架橋反応を開始させる。
上記光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、アルキルフェノン系ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系ラジカル重合開始剤等が挙げられる。アルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤、アミノアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤等が挙げられる。ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、商品名Omnirad651、IGM Resins B.V.社製)等が挙げられる。α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名Omnirad1173、IGM Resins B.V.社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名Omnirad184、IGM Resins B.V.社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名Omnirad2959、IGM Resins B.V.社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名Omnirad127、IGM Resins B.V.社製)等が挙げられる。アミノアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名Omnirad907、IGM Resins B.V.社製)あるいは2−ベンジルメチル2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名Omnirad369、IGM Resins B.V.社製)等が挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名OmniradTPO、IGM Resins B.V.社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名Omnirad819、IGM Resins B.V.社製)、オキシムエステル系ラジカル重合開始剤としては、(2E)−2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1−オン(商品名OmniradOXE−01、IGM Resins B.V.社製)等が挙げられる。
上記光重合開始剤の添加量としては、上記活性エネルギー線硬化性のアクリル系粘着性ポリマーの固形分100質量部に対して、0.1〜10.0質量部の範囲であることが好ましい。光重合開始剤の添加量が0.1質量部未満の場合には、活性エネルギー線に対する光反応性が十分ではないために活性エネルギー線を照射してもアクリル系粘着性ポリマーの光ラジカル架橋反応が十分に起こらず、その結果、活性エネルギー線照射後の樹脂層(A)1の硬さが不十分となり、積層体10の自己修復性が不十分となるおそれがあり、自己修復性樹脂層の表面に傷が付けられる際の擦り速度が遅いほど自己修復性が劣る傾向が顕著となるおそれがある。一方、光重合開始剤の添加量が10.0質量部を超える場合には、その効果は飽和し、経済性の観点からも好ましくない。また、光重合開始剤の種類によっては、樹脂層(A)1が黄変し外観不良となる場合がある。
また、このような光重合開始剤の増感剤として、ジメチルアミノエチルメタクリレート、4―ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の化合物を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に添加してもよい。
(架橋剤)
本実施の形態の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上述したアクリル系粘着性ポリマーの高分子量化のためにさらに架橋剤を含有する。このような架橋剤としては、特に制限されず、上記アクリル系粘着性ポリマーが有する官能基であるヒドロキシル基、カルボキシル基およびグリシジル基等と反応可能な官能基を有する公知の架橋剤を使用することができる。具体的には、例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、酸無水化合物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤などが挙げられる。これらの中でも、反応性、汎用性の観点からポリイソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。これらの架橋剤は、単独でまたは2種以上併用してもよい。架橋剤の配合量は、アクリル系粘着性ポリマーの固形分100質量部に対して、0.01〜15質量部の範囲であることが好ましい。架橋剤の配合量が0.01質量部未満である場合には、上述した活性エネルギー線照射後の樹脂層(A)1の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)の値が本発明の所定範囲まで増大せず、積層体10の自己修復性が不十分となるおそれがあり、自己修復性樹脂層の表面に傷が付けられる際の擦り速度が遅いほど自己修復性が劣る傾向が顕著となるおそれがある。一方、架橋剤の配合量が15質量部を超える場合には、架橋剤の種類によっては、積層体10の伸び率が低下するおそれがある。また、活性エネルギー線照射後の樹脂層(A)1が硬くなり過ぎて、積層体10を物品の曲面部や段差部に貼り付け、活性エネルギー線を照射した後、曲面部や段差部において、経時とともに樹脂層(A)1に微小なクラックが発生する場合があり、外観不良となるおそれがある。また、樹脂層(A)1と自己修復性樹脂層(B)2とを貼合により積層した場合に、活性エネルギー線照射後において該両層の密着性が悪くなる場合がある。
上記ポリイソシアネート系架橋剤としては、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、イソシアネートモノマーが自己縮合してなるビュレットポリイソシアネート化合物、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物、1,6−ヘキサンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。上記ポリイソシアネート系架橋剤としては、具体的には、市販品の住化コベストロウレタン社製のスミジュールN、スミジュールL、スミジュールN−75、スミジュールHT、スミジュールL−75、デスモジュールIL、デスモジュールHL(いずれも商品名)、東ソー社製のコロネートHL、コロネートEH、コロネートHX、コロネートL(いずれも商品名)、旭化成社製のデュラネート24A−100、デュラネートTPA−100、デュラネートP301−75E、デュラネートD−201(いずれも商品名)等が挙げられる。また、ブロックイソシアネートを使用してもかまわない。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,3′−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。 上記エポキシ系化合物としては、具体的には、市販品の市販品の三菱ガス化学社製のテトラッドC、テトラッドX(いずれも商品名)、Synasia社製のS−610(商品名)、綜研化学社製のE−AX(商品名)等が挙げられる。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物により樹脂層(A)1を形成した後に、上記架橋剤と上記アクリル系粘着性ポリマーとを反応させるためのエージングの条件としては、特に限定はされないが、例えば、温度は23〜80℃の範囲、時間は24〜168時間の範囲で適宜設定すれば良い。
(その他の成分)
本実施の形態の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、炭素−炭素二重結合を有さないアクリル系粘着性ポリマーを含んでも良い。炭素−炭素二重結合を有さないアクリル系粘着性ポリマーとしては、上述において、炭素−炭素二重結合を導入する前のアクリル系粘着性ポリマーの主骨格として例示した、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と活性水素基含有単量体、および/またはグリシジル基含有単量体とを含む共重合体と同じものを用いることができる。この場合、アクリル系粘着性ポリマー全体(炭素−炭素二重結合を有するアクリル系粘着性ポリマーと炭素−炭素二重結合を有さないアクリル系粘着性ポリマーの合計量)における炭素−炭素二重結合を有さないアクリル系粘着性ポリマーの含有量は、併用する炭素−炭素二重結合を有するアクリル系粘着性ポリマーの二重結合含有量にも依るので一概には言えないが、49質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、0〜5質量%の範囲がとりわけ好ましい。なお、この場合の架橋剤の配合量は、アクリル系粘着性ポリマー全体(炭素−炭素二重結合を有するアクリル系粘着性ポリマーと炭素−炭素二重結合を有さないアクリル系粘着性ポリマーの合計量)の固形分100質量部に対して、0.01〜15質量部の範囲であることが好ましい。
また、本実施の形態の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、その他に、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、シランカップリング剤、レベリング剤等の添加剤を添加しても良い。
<自己修復性樹脂層(B)>
本実施の形態の自己修復性樹脂層(B)2は、ウレタン系樹脂組成物により形成される。上記ウレタン系樹脂組成物は、ウレタン系樹脂(ウレタン系ポリマー)を含んでなる。上記ウレタン系樹脂としては、柔軟性と復元力があるものであればよく、従来から公知のウレタン系樹脂を用いることができる。上記ウレタン系樹脂は、一般的には、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得ることができる。自己修復性樹脂層(B)2の傷修復機能は、例えば、自己修復性樹脂層(B)2を構成するウレタン系樹脂組成物の骨格となるハードセグメントとソフトセグメントとを適正にバランスさせることにより発現させることができる。ウレタン系樹脂組成物においては、ウレタン結合部がハードセグメントとして機能し、ポリオールの分子鎖の骨格部がソフトセグメントとして機能する。そして、ウレタン結合部はウレタン結合部同士で水素結合しハードセグメントドメインと呼ばれる物理架橋点を形成する。すなわち、自己修復性樹脂層(B)2に外応力が印加された際に、ハードセグメントドメインは、まずは、外応力に対して抵抗するように機能するが、外応力が大きくなった場合、共有結合部よりも弱い物理架橋点の水素結合部が切断され傷となるが、その後時間の経過とともに、切断部が水素結合により再結合し、受けた傷が自己修復すると考えられる。一方、ソフトセグメントはクッション的な働きをすることによって外力を緩和するように機能するが、ポリマーを流動あるいは変形させて傷を受けにくくするとともに、切断された水素結合の幾らかを再形成させ、それにより受けた傷が自己修復すると考える。したがって、ハードセグメントとソフトセグメントのバランスが適正化されていると、外応力が印加された際に、共有結合部がほとんど切断されることなく、樹脂層自体が水素結合の切断も伴いながら変形し、樹脂層の弾性によって傷が回復する。ハードセグメントが多すぎると、傷が回復しにくくなり、ソフトセグメントが多すぎると、弾性が弱くなり形状を保持することが困難となり、また傷回復性が低下しやすい。
上記自己修復性樹脂層(B)2は、活性エネルギー線が透過可能である。本発明で「透過可能」とは、平行光線透過率が1%以上であることを意味する。具体的には、例えば、活性エネルギー線として紫外線(UV)を用いた場合、上記自己修復性樹脂層(B)2の分光光度計にて測定した紫外線透過率は、波長360nmにおいて1%以上であることが好ましく、10%以上がより好ましい。上記自己修復性樹脂層(B)2の活性エネルギー線の平行光線透過率が1%未満である場合、物品に貼り付けられた積層体10の表面側から活性エネルギー線を照射しても、自己修復性樹脂層(B)2の下に位置する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1に活性エネルギー線が十分に到達しないため、樹脂層(A)1が十分に硬化せず、その結果、樹脂層(A)1の上に位置する自己修復性樹脂層(B)2が本来有する自己修復機能を十分に発現させることができないおそれがある。上記自己修復性樹脂層(B)2の活性エネルギー線の平行光線透過率が1%以上である場合、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1は十分に硬化することができる。これにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1は、3次元的に架橋して硬くなり高温度域(105〜150℃)における貯蔵弾性率(G’)が増大するので、その結果、樹脂層(A)1の上に位置する自己修復性樹脂層(B)2に対して、本来の自己修復機能を十分に発現させることができる。
上記自己修復性樹脂層(B)2の厚さは、5〜100μmの範囲であることが好ましく、20〜100μmの範囲であることがより好ましい。自己修復性樹脂層(B)2の厚さが5μm未満である場合には、積層体10の自己修復性が不十分となるおそれがある。傷の自己修復性の観点からは、傷の深さが自己修復性樹脂層(B)2の厚さを超え、傷が樹脂層(A)1にまで達した場合、傷を修復することができないので、できるだけ厚い方が好ましいが、自己修復性樹脂層(B)2の厚さが100μmを超えると、透明性が悪くなり、例えば、積層体10をディスプレイ等に適用すると視認性が低下するおそれがある。また、自己修復性樹脂層(B)2を、ウレタン系樹脂組成物溶液を用いて塗布、形成する際、乾燥時に多量の溶媒の蒸発の影響で自己修復性樹脂層(B)2に気泡が発生し外観不良となる場合がある。また、さらに薄膜化が求められる場合には要求にそぐわない。
(ウレタン系樹脂)
上記自己修復性樹脂層(B)2を形成するウレタン系樹脂組成物に含まれるウレタン系樹脂としては、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を用いることができるが、自己修復性樹脂層(B)2の耐薬品性、耐汚染性、耐久性の観点から、熱により架橋および硬化が可能な熱硬化性ポリウレタン樹脂、または、活性エネルギー線照射により架橋および硬化が可能な活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂(具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート)を用いることが好ましく、さらに積層体10の伸張性、積層方法の観点から、熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いることがより好ましい。
上記熱硬化性ポリウレタン樹脂をウレタン系樹脂組成物の主成分として用いる場合、ウレタン系樹脂組成物は、熱により架橋が可能な官能基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂と、該官能基と反応する架橋剤とを含む。なお、熱硬化性ポリウレタン樹脂が架橋剤によって架橋および硬化された場合、架橋部分もハードセグメントとして機能する。本発明において、熱硬化性ポリウレタン樹脂を主成分として用いたウレタン系樹脂組成物を第1の形態のウレタン系樹脂組成物と称する。
また、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂をウレタン系樹脂組成物の主成分として用いる場合、ウレタン系樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射により架橋が可能な炭素−炭素二重結合を有する活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂と、光重合開始剤とを含む。さらに、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂が熱により架橋が可能な官能基を有する場合、必要に応じて該活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を補助的に架橋および硬化させるための架橋剤を含んでも良い。なお、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂が架橋剤によって架橋および硬化された場合、架橋部分もハードセグメントとして機能する。また、ウレタン(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリレートの結合部分もハードセグメントとして機能する。本発明において、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を主成分として用いたウレタン系樹脂組成物を第2の形態のウレタン系樹脂組成物と称する。
なお、本実施の形態のウレタン系樹脂組成物の説明において、「主成分として」とは、ウレタン系樹脂組成物の固形分を100質量部とした場合に51質量部以上を占めることを意味し、好ましくは55質量部以上である。
以下、本発明における自己修復性樹脂層(B)2を形成するウレタン系樹脂組成物として好ましい形態である第1の形態のウレタン系樹脂組成物および第2の形態のウレタン系樹脂組成物について説明する。
≪第1の形態のウレタン系樹脂組成物≫
第1の形態のウレタン系樹脂組成物は、熱により架橋が可能な官能基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂と、該官能基と反応する架橋剤とを含む樹脂組成物から構成される。ここで、熱により架橋が可能な官能基とは、活性水素基といったイソシアネート基と反応する反応性基あるいはイソシアネート基といった活性水素基と反応する反応性基であり、典型的には、水酸基(−OH)あるいはイソシアネート基(−NCO)を意味する。
以下、第1の形態のウレタン系樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
(熱硬化性ポリウレタン樹脂)
熱硬化性ポリウレタン樹脂は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる。ポリオール化合物全体の水酸基(−OH)に対するポリイソシアネート化合物全体のイソシアネート基(−NCO)の当量比[(NCO)/(OH)]が1以下の割合でポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させた場合、分子末端に水酸基(−OH)を有する構造の熱硬化性ポリウレタン樹脂が得られる。また、ポリオール化合物全体の水酸基(−OH)に対するポリイソシアネート化合物全体のイソシアネート基(−NCO)の当量比[(NCO)/(OH)]が1を超える割合でポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させた場合、分子末端にイソシアネート基(−NCO)を有する構造のものが多い熱硬化性ポリウレタン樹脂が得られる。
熱硬化性ポリウレタン樹脂としては、保存安定性の観点から、分子末端に水酸基を有する構造の熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
上記熱硬化性ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が3,000〜150,000の範囲であることが好ましく、3,500〜100,000の範囲であることがより好ましく、4,000〜60,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、得られる塗膜の自己修復性、伸張性が不十分となるおそれがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、塗布等のハンドリング性が悪くなるおそれがある。
[熱硬化性ポリウレタン樹脂の原料:ポリオール化合物]
上記熱硬化性ポリウレタン樹脂の原料に用いるポリオール化合物は、水酸基を2つ以上有する有機化合物であって、例えば、低分子量ポリオール、高分子量ポリオールが挙げられる。
低分子量ポリオールとしては、水酸基を2つ以上有する数平均分子量40以上250未満の化合物が挙げられる。具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(炭素数7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソソルビド等の2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン等の3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリン等の4価アルコール、例えば、キシリトール等の5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトール等の6価アルコール、例えば、ペルセイトール等の7価アルコール、例えば、ショ糖等の8価アルコール等が挙げられる。これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとしては、水酸基を2つ以上有する数平均分子量250以上5000以下の化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレン(炭素数2〜3)ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、植物由来のポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリアルキレン(炭素数2〜3)ポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(2価アルコール、3価アルコール等)または公知のポリアミン成分を開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加重合物が挙げられ、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、該グリコールのエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合付加物、ポリトリメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられ、具体的には、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランの重合単位に上記した低分子量ポリオールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
植物由来のポリエーテルポリオールとしては、例えば、植物由来の低分子量ポリオールである1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、イソソルビド、グリセリン、ソルビトール、ショ糖等を開始剤として得られる植物由来のポリアルキレン(炭素数2〜3)ポリオールや、例えば、とうもろこしなどの植物由来材料から誘導されるフルフラールを原料としたテトラヒドロフランの開環重合により得られる植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと多塩基酸と
を反応させて得られる重縮合物が挙げられる。多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸(炭素数11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、その他の芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、その他の脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(炭素数12〜18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライド等が挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸等)等のヒドロキシカルボン酸を縮合反応させて得られる植物由来のポリエステルポリオールや、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、ラクトン類(ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等)や、ラクチド類(L−ラクチド、D−ラクチド等)を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール等)、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに上記した2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオール等を使用することもできる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、2価アルコールと、分子量40以上400未満の低分子量カーボネートとの反応物等が挙げられる。2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これら2価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。低分子量カーボネートとしては、例えば、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等が挙げられる。ジアリールカーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等が挙げられる。これら低分子量カーボネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、ポリカーボネートポリオールとして、例えば、植物由来原料であるグルコースなどから誘導されたイソソルビド等の脂環式ジヒドロキシ化合物や、上記した低分子ポリオールを、炭酸ジフェニルとエステル交換反応させて得られる植物由来のポリカーボネートポリオールを使用することもできる。
ポリウレタンポリオールとしては、上記により得られたポリエステルポリオール、ポリ
エーテルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとを、イソシアネート基(NCO)に対する水酸基(OH)の当量比(OH/NCO)が1を超える割合となるように配合して反応させることによって得られる、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオール等が挙げられる。
エポキシポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと、例えば、エピ
クロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等の多官能ハロヒドリンとの反応により得られるエポキシポリオールが挙げられる。
植物油ポリオールとしては、植物由来の油ポリオールが挙げられ、具体的には、例えば、ひまし油、やし油などのヒドロキシル基含有植物油等や、例えば、ひまし油ポリオール、または、ひまし油脂肪酸とポリプロピレンポリオールとの反応により得られるエステル変性ひまし油ポリオール等が挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε―カプロラクトン付加体等が挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜16)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、例えば、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレン等のイソシアネート基を含むビニルモノマー、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基を含むシリコーン化合物、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等のビニル基を含むフッ素化合物等が挙げられる。
ビニルモノマー変性ポリオールとしては、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマーとの反応により得ることができる。
高分子量ポリオールの中でも、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオールが好ましく用いられる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
上述したポリオール化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。ポリオール化合物は、高分子量ポリオールを、ポリオール化合物の総量に対して、50質量%以上の割合で含有することが好ましい。より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは、100質量%の割合(低分子量ポリオールを含有しない)で含有する。
また、上述した低分子量ポリオール、高分子量ポリオール以外のポリオール化合物として、重量平均分子量で300〜5,000の範囲である、シリコーン樹脂の骨格の一部に水酸基を有する化合物を併用しても構わない。具体的には、例えば、水酸基を2つ以上付加した構造になっているジアルキルポリシロキサンやその誘導体化合物等のポリオール変性シリコーン樹脂等が挙げられる。上記シリコーン樹脂の骨格の一部に水酸基を有する化合物のウレタン系樹脂全量に対する含有量は、0.5〜15.0質量%の範囲であることが好ましい。上記シリコーン樹脂の骨格の一部に水酸基を有する化合物を通常の上述した低分子量ポリオールや高分子量ポリオールと併用することにより、自己修復性樹脂層の表面タック性が抑えられ、他の物体と接触しても粘着しないために、接触跡が生じにくくなる。また、自己修復性樹脂層の表面の滑り性維持や汚染防止等の各性能の長期にわたる維持が可能となる。
また、上記ポリオール化合物は、自己修復性、伸張性、耐候性および耐光性のバランスの観点から、ポリオール1分子中の官能基数が2個である2官能性ポリオール化合物と、ポリオール1分子中の官能基数が3個である3官能性ポリオール化合物とを含有することが好ましい。すなわち、上記ポリオール化合物は、1分子中の官能基(水酸基)数が2〜3個であることが好ましい。
上記2官能性ポリオール化合物としては、例えば、官能基数が2個の低分子量ポリオール、官能基数が2個の高分子量ポリオールが挙げられる。官能基数が2個の低分子量ポリオールとしては、具体的には、例えば、上述した2価アルコール、具体的には、1,4−ブタンジオール等が挙げられ、官能基数が2個の高分子量ポリオールとしては、具体的には、例えば、上述したポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。これらの中でも、2官能性ポリオール化合物として、好ましくは、官能基数が2個の高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
上記3官能性ポリオール化合物としては、例えば、官能基数が3個の低分子量ポリオール、官能基数が3個の高分子量ポリオールが挙げられる。官能基数が3個の低分子量ポリオールとしては、具体的には、例えば、上述した3価アルコール、具体的には、トリメチロールプロパン等が挙げられ、官能基数が3個の高分子量ポリオールとしては、具体的には、例えば、上記したポリエーテルトリオール、ポリエステルトリオール(ポリカプロラクトントリオール等)、ポリカーボネートトリオールなどが挙げられる。これらの中でも、3官能性ポリオール化合物として、好ましくは、官能基数3の高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリエステルトリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリカプロラクトントリオールが挙げられる。
上記3官能性ポリオール化合物に対する2官能性ポリオール化合物のモル比率(OH当量比率)は、自己修復性、耐候性および耐光性の観点から、例えば、0.5〜99の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1〜70の範囲であり、さらに好ましくは、5〜50の範囲である。
[熱硬化性ポリウレタン樹脂の原料:ポリイソシアネート化合物]
上記熱硬化性ポリウレタン樹脂の原料に用いるポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する有機化合物であって、特に制限されるものではなく、
芳香族ジイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が使用可能である。これらの中でも、1分子中に付加される反応性基(イソシアネート基)が増えるほど得られる塗膜の硬度が高くなる一方で自己修復能が低下する傾向があることから、ジイソシアネートが好ましく用いられ、透明性、活性エネルギー線の透過性および耐久性の観点から、耐久黄変性を有する無黄変性ジイソシアネートがより好ましく用いられる。
無黄変性ジイソシアネートは、芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しない脂肪族あるいは脂環族のジイソシアネートであり、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。また前記ジイソシアネート類の多量体である、イソシヌアレート型、ビュレット型、アダクト型、アロファネート型等の多官能イソシアネートを用いてもよい。これらの中でも、得られる塗膜の自己修復性、汚染性、伸張性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いることが好ましい。ポリイソシアネート化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。さらにある特定温度までは反応しないよう官能基をブロック化したイソシアネートを用いてもよい。
[熱硬化性ポリウレタン樹脂の合成]
本発明の熱硬化性ポリウレタン樹脂の合成方法としては、特に限定されず、例えば、上記したポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、ウレタン化触媒、溶剤、消泡材、その他添加剤等の存在下、ウレタン化反応させる方法等が挙げられる。よって、得られた熱硬化性ポリウレタン樹脂は、ウレタン化触媒、消泡材、添加剤等を含んでいてもよい。 ウレタン化反応の温度としては、特に限定されないが、120℃以下であることが好ましく、より好ましくは50〜100℃である。ウレタン化反応の温度が120℃以下であれば、反応速度の制御や所望の重量平均分子量と構造の熱硬化性ポリウレタン樹脂が得られやすいため、好ましい。したがってウレタン化反応は、120℃以下で1〜20時間程度行うのが好ましい。
ウレタン化反応は、特に限定されないが、反応制御を容易にするため、溶媒を使用してもよい。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼン、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジメトルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルミアミド等が挙げられる。ウレタンプレポリマーの溶解性、溶媒の沸点等の点から特に、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンまたはこれらの混合溶媒が好ましい。これら溶媒は、反応初期、反応中盤、反応終了後等任意のタイミングで添加してもよい。
熱硬化性ポリウレタン樹脂の合成時には、公知のウレタン化触媒を使用することができる。例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン系化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、2−エチルヘキサン酸錫等の有機金属系化合物等が挙げられる。
上記ウレタン化触媒の添加量としては、特に限定されないが、ポリオール化合物の総量100質量部に対して、上記した3級アミン系化合物では0.01〜15質量部、上記した有機金属系化合物では0.0001〜5質量部の範囲であることが好ましい。合成後、これら触媒は、除去してもよく、残存していてもよい。ウレタン化触媒の添加量が上記範囲の下限未満であると生産性が低下するおそれがあり、上記範囲の上限を超えると反応が不均一となり物性が不安定となるおそれがある。
上記熱硬化性ポリウレタン樹脂は、必要に応じて、高分子量化を促進するため、鎖延長剤を用いて鎖延長することができる。鎖延長剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のグリコール類、エチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミン等が挙げられる。
上記熱硬化性ポリウレタン樹脂を合成する際の、ポリイソシアネート化合物の配合量としては、ポリイソシアネート化合物の有するイソシアネート基(−NCO)総量と、ポリオール化合物の有する水酸基(−OH)総量との当量比[(NCO/OH)]が、0.85〜1.15の範囲となる量であることが好ましく、より好ましくは、0.85〜1.05の範囲となる量であり、さらに好ましくは、保存安定性の観点から、分子末端に水酸基を有する構造の熱硬化性ポリウレタン樹脂が得られることから0.85〜0.99の範囲となる量である。
(熱硬化性ポリウレタン樹脂の架橋剤)
官能基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂は、該官能基と反応する架橋剤により熱架橋することができる。熱硬化性ポリウレタン樹脂の分子末端に水酸基を有する場合、架橋剤としては、活性水素基に対して反応性を有する化合物であれば、特に限定されずに用いることができるが、自己修復性の観点から、ポリイソシアネート系架橋剤を好適に使用することができる。また、熱硬化性ポリウレタン樹脂の分子末端にイソシアネート基を有する場合、イソシアネート基に対して反応性を有する化合物であれば、特に限定されずにもちいることができるが、自己修復性の観点から、ポリオール系架橋剤を好適に使用することができる。
熱硬化性ポリウレタン樹脂としては、保存安定性の観点から、分子末端に水酸基を有する構造の熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましいことから、架橋剤としては、ポリイソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
[ポリイソシアネート系架橋剤]
ポリイソシアネート系架橋剤は、水酸基(−OH)を有する樹脂を熱架橋することができるものであれば特に制限されないが、例えば、前記熱硬化性ポリウレタン樹脂の材料として例示したポリイソシアネート化合物と同じものを適宜使用することができる。これらの中でも、透明性、活性エネルギー線の透過性および耐久性の観点から、変色しない無黄変タイプが好ましく、また自己修復性樹脂層(B)2としては架橋後に柔軟性、伸張性があることが好ましいため、3官能性のヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体や5官能性のアロファネート変性ポリイソシアネート等が好適である。このようなポリイソシアネート系架橋剤としては、例えば、東ソー社製のコロネート(登録商標)HX、コロネート2793等が例示できる。
ポリイソシアネート系架橋剤の含有量としては、熱硬化性ポリウレタン樹脂の水酸基(−OH)に対するポリイソシアネート系架橋剤のイソシアネート基(−NCO)の当量比[(NCO)/(OH)]が0.7〜1.5の範囲となるような量とすることが好ましく、0.8〜1.2の範囲となるような量とすることがより好ましい。上記当量比を上記範囲内とすることで、自己修復性樹脂層(B)2の架橋および硬化が適切に進み、自己修復性および伸張性を良好なものとすることができる。
[ポリオール系架橋剤]
ポリオール系架橋剤としては、イソシアネート基(−NCO)を有する樹脂を熱架橋することができるものであれば特に制限されないが、例えば、分子中に2つ以上のヒドロキシ基を有するものであればよい。具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、シクロペンタントリオール、シクロヘキサントリオール等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。これらの中で、2価アルコール単独、または、2価アルコールと3価アルコールとを併用することが好ましい。3価アルコールの量が多いと得られる熱硬化性ポリウレタンの強度が低下する場合があるため、ポリオール系架橋剤の全量に対して、2価アルコール50〜100質量%の範囲、3価アルコール50〜0質量%の範囲で用いることが好ましく、2価アルコール60〜80質量%の範囲、3価アルコール40〜20質量%の範囲で用いることがさらに好ましい。2価アルコールとしては、1,4−ブタンジオール、3価アルコールとしてはトリメチロールプロパンが、取り扱い性、力学物性の観点から好ましい。
ポリオール系架橋剤の含有量としては、熱硬化性ポリウレタン樹脂のイソシアネート基(−NCO)に対するポリオール系架橋剤の水酸基(−OH)の当量比[(OH)/(NCO)]が0.7〜1.5の範囲となるような量とすることが好ましく、0.8〜1.2の範囲となるような量とすることがより好ましい。上記当量比を上記範囲内とすることで、自己修復性樹脂層(B)2の架橋および硬化が適切に進み、自己修復性および伸張性を良好なものとすることができる。
第1の形態のウレタン系樹脂組成物により自己修復性樹脂(B)2を形成した後、上記架橋剤と上記熱硬化性ポリウレタン樹脂とを反応させるためのエージングの条件としては、特に限定はされないが、例えば、温度は23〜80℃の範囲、時間は24〜168時間の範囲で適宜設定すれば良い。
(その他の成分)
第1の形態のウレタン系樹脂組成物が、水酸基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂と、ポリイソシアネート系架橋剤とを含む樹脂組成物から構成される場合、自己修復性樹脂層(B)2の伸張性の観点から、必要に応じて、上述した高分子量ポリオール化合物、例えば、ポリエーテルジオール等を含んでもよい。この場合、高分子量ポリオール化合物の含有量は、水酸基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂の固形分100質量部に対して、1〜55質量部の範囲であることが好ましい。なお、この場合のイソシアネート系架橋剤の含有量としては、水酸基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂と上記高分子量ポリオールの水酸基(−OH)総量に対するイソシアネート系架橋剤のイソシアネート基(−NCO)の当量比[(NCO)/(OH)]が0.7〜1.5の範囲となるような量とすることが好ましく、0.8〜1.2の範囲となるような量とすることがより好ましい。
また、本発明の効果を損ねない範囲で、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、シランカップリング剤、レベリング剤等の添加剤を添加してもよい。
≪第2の形態のウレタン系樹脂組成物≫
第2の形態のウレタン系樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射により架橋が可能な炭素−炭素二重結合を有する活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂(ウレタン(メタ)アクリレート)と、光重合開始剤とを含む樹脂組成物から構成される。さらに、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂が熱により架橋が可能な官能基が残存する場合、必要に応じて該活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を補助的に架橋および硬化させるための架橋剤を含んでも良い。該架橋剤としては上述した熱硬化性ポリウレタン樹脂の架橋剤と同じものを使用することができる。ここで、活性エネルギー線の照射により架橋が可能な炭素−炭素二重結合とは、活性エネルギー線の照射により発生するラジカルやカチオンを開始種として重合する反応性基であり、典型的には、(メタ)アクリロイル基や(メタ)アクリロイルオキシ基を意味する。また、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を架橋および硬化させるために使用する活性エネルギー線としては、上述の樹脂層(A)の説明で例示した後照射で使用する活性エネルギー線と同じものを挙げることができ、特に紫外線(UV)が好ましく用いられる。また、照射光量についても同じであるが、紫外線(UV)を照射する時は、低酸素濃度下の雰囲気下で行うことが好ましい。
以下、第2の形態のウレタン系樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
(活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂)
活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、先ず上述した熱硬化性ポリウレタン樹脂を前駆体として合成し、該前駆体の分子末端の官能基に炭素−炭素二重結合を有する有機化合物を反応させることにより得られる。すなわち、分子末端にイソシアネート基(−NCO)を有する構造の熱硬化性ポリウレタン樹脂を前駆体として用いる場合、有機化合物として水酸基(−OH)含有(メタ)アクリレートを用い、これらを反応させることにより、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を得ることができる。また、分子末端に水酸基(−OH)を有する構造の熱硬化性ポリウレタン樹脂を前駆体として用いる場合、有機化合物として(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物を用い、これらを反応させることにより、分子末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
上記活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が3,000〜150,000の範囲であることが好ましく、3,500〜100,000の範囲であることがより好ましく、4,000〜60,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、得られる塗膜の自己修復性、伸張性が不十分となるおそれがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、塗布等のハンドリング性の悪くなるおそれがある。
[活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂の原材料:ポリオール化合物]
上記活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂の原料に用いるポリオール化合物は、水酸基を2つ以上有する有機化合物であって、例えば、上記熱硬化性ポリウレタン樹脂の材料として例示したポリオール化合物を適宜使用することができる。
[活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂の原材料:ポリイソシアネート化合物]
上記活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂の原料に用いるポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を2つ以上有する有機化合物であって、例えば、上記熱硬化性ポリウレタン樹脂の材料として例示したポリイソシアネート化合物を適宜使用することができる。
[活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂の原材料:炭素−炭素二重結合を有する有機化合物]
上記活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、上記熱硬化性ポリウレタン樹脂の分子末端に有する水酸基(−OH)あるいはイソシアネート(−NCO)基と、該官能基と反応可能な官能基ならび炭素−炭素二重結合の両方を有する有機化合物とを、反応させることにより得られる。
分子末端にイソシアネート基(−NCO)を有する構造の熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いる場合、上記有機化合物として水酸基(−OH)含有(メタ)アクリレートを用いる。水酸基(−OH)含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体が挙げられる。
また、分子末端に水酸基(−OH)を有する構造の熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いる場合、上記有機化合物として(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物を用いる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、4−メタクリロイルオキシ−n−ブチルイソシアネート、5−メタクリロイルオキシ−n−ペンチルイソシアネート、6−メタクリロイルオキシ−n−ヘキシルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート、4−メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート、1,1−ビス(メタクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2−(イソシアナトエチルオキシ)エチルメタクリレート、2−(イソシアナトエチルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
また、上記エネルギー活性線硬化性ポリウレタン樹脂の別の形成例として、3〜6個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を併用した次の例を挙げることができる。即ち、ポリウレタン樹脂の一方の分子末端が、3〜6個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートと結合し、もう一方の分子末端に(メタ)アクリロイル基あるいは(メタ)クリロイルオキシ基が結合している構造のウレタン(メタ)アクリレートを形成する方法である。具体的には、分子両末端が水酸基(−OH)である熱硬化性ポリウレタン樹脂を合成し、次いで、該熱硬化性ポリウレタン樹脂の一方の水酸基(−OH)と、ポリイソシアネート化合物が有する3〜6個のイソシアネート基(−NCO)とを反応させ、ポリイソシアネート化合物の全てのイソシアネート基と熱硬化性ポリウレタン樹脂の水酸基とをウレタン結合で結合させる。次いで、ポリイソシアネート化合物に結合した該熱硬化性ポリウレタン樹脂のもう一方の水酸基に、上述した(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基を反応させることにより上記構造のウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
さらに、別の形成例としては、上記エネルギー活性線硬化性ポリウレタン樹脂を得る際に、上述した水酸基(−OH)含有(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物を用い、水酸基(−OH)含有(メタ)アクリレートの水酸基(−OH)総量と(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)総量との当量比が1.0となるように配合して、一方の分子末端が水酸基(−OH)、もう一方の分子末端がイソシアネート基(−NCO)となるようにあらかた制御しておき、当該分子末端が水酸基(−OH)であるウレタン(メタ)アクリレートと、3〜6個のイソシアネート基(−NCO)を有するポリイソシアネート化合物とを反応させてウレタン結合により結合させることによっても上記構造のウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
上記3〜6個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系アダクト型ポリイソシアネート、HDI系アロファネート型ポリイソシアネート、HDI系イソシアヌレート型ポリイソシアネート、およびIPDI(イソホロンジイソシアネート)系イソシアヌレート型ポリイソシアネート等を挙げることができ、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネートが好ましい。このようなポリイソシアネートとしては、例えば、東ソー社製のコロネート(登録商標)HX等が挙げられる。
[活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂の合成]
本実施の形態の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、先ず、前駆体として分子末端に水酸基あるいはイソシアネート基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂を合成し、該前駆体である熱硬化性ポリウレタン樹脂に、水酸基(−OH)含有(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物を反応させて得ることができる。
前駆体としての熱硬化性ポリウレタン樹脂を合成する方法は、上述した熱硬化性ポリウレタン樹脂を合成する方法と同じ方法を用いることができるが、分子末端にイソシアネート基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂を合成する場合は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)総量に対するポリオール化合物の水酸基(−OH)総量の当量比[(OH)/(NCO)]を0.65〜0.99の範囲とすることが好ましく、0.85〜0.90の範囲とすることがより好ましい。このように分子両末端にイソシアネート基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂を前駆体として合成した後、この前駆体に水酸基(−OH)含有(メタ)アクリレートを反応させることにより、分子両末端に(メタ)アクリロイル基が導入されたエネルギー活性線硬化性ポリウレタン樹脂を得ることができる。この際、エネルギー活性線硬化性ポリウレタン樹脂の保存安定性の観点から、熱硬化性ポリウレタン樹脂が有するイソシアネート基(−NCO)と、水酸基含有(メタ)アクリレートが有する水酸基(−OH)とがほぼ当量となる条件で反応させることが好ましい。分子両末端にイソシアネート基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂と水酸基(−OH)含有(メタ)アクリレートとの反応時の反応溶媒は、ウレタン化反応に使用した溶媒をそのまま使用し、必要に応じて、上述したウレタン化触媒を追添加して、例えば、反応温度75℃、反応時間3〜5時間程度の条件で反応させればよい。
一方、分子末端に水酸基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂を合成する場合は、ポリオール化合物の水酸基(−OH)総量に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)総量の当量比[(NCO)/(OH)]を0.65〜0.99の範囲とすることが好ましく、0.85〜0.90の範囲とすることがより好ましい。このように分子両末端に水酸基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂を前駆体として合成した後、この前駆体に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物を反応させることにより、分子両末端に(メタ)アクリロイル基が導入されたエネルギー活性線硬化性ポリウレタン樹脂を得ることができる。この際、エネルギー活性線硬化性ポリウレタン樹脂の保存安定性の観点から、熱硬化性ポリウレタン樹脂が有する水酸基(−OH)と、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)とがほぼ当量となる条件で反応させることが好ましい。分子両末端に水酸基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂と(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物との反応は、熱硬化性ポリウレタン樹脂のウレタン化反応に使用した溶媒をそのまま使用し、必要に応じて、上述したウレタン化触媒を追添加して、例えば、反応温度75℃、反応時間3〜5時間程度の条件で反応させればよい。
上記3〜6個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を併用してエネルギー活性線硬化性ポリウレタン樹脂を合成する場合は、上述した通りの方法によればよい。上記3〜6個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と熱硬化性ポリウレタン樹脂との反応は、熱硬化性ポリウレタン樹脂のウレタン化反応に使用した溶媒をそのまま使用し、例えば、反応温度75℃、反応時間1時間程度の条件で反応させればよい。次いで行う(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物あるいは水酸基(−OH)含有(メタ)アクリレートとの反応も、熱硬化性ポリウレタン樹脂のウレタン化反応に使用した溶媒をそのまま使用し、必要に応じて、上述したウレタン化触媒を追添加して、例えば、反応温度75℃、反応時間3〜5時間程度の条件で反応させればよい。
(光重合開始剤)
活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を主成分とする第2の形態のウレタン系樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、第2の形態のウレタン系樹脂組成物に対する活性エネルギー線の照射を感受して、ラジカルを発生させ、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂が有する炭素−炭素二重結合の架橋反応を開始させる。
上記光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、アルキルフェノン系ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系ラジカル重合開始剤等が挙げられる。アルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤、アミノアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤等が挙げられる。ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、商品名Omnirad651、IGM Resins B.V.社製)等が挙げられる。α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名Omnirad1173、IGM Resins B.V.社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名Omnirad184、IGM Resins B.V.社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名Omnirad2959、IGM Resins B.V.社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名Omnirad127、IGM Resins B.V.社製)等が挙げられる。アミノアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名Omnirad907、IGM Resins B.V.社製)あるいは2−ベンジルメチル2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名Omnirad369、IGM Resins B.V.社製)等が挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名OmniradTPO、IGM Resins B.V.社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名Omnirad819、IGM Resins B.V.社製)、オキシムエステル系ラジカル重合開始剤としては、(2E)−2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1−オン(商品名OmniradOXE−01、IGM Resins B.V.社製)等が挙げられる。
上記光重合開始剤の添加量としては、上記エネルギー活性線硬化性ポリウレタン樹脂の固形分100質量部に対して、0.1〜10.0質量部の範囲であることが好ましい。光重合開始剤の添加量が0.1質量部未満の場合には、活性エネルギー線に対する光反応性が十分ではない為に自己修復性樹脂層(B)2の硬化が不十分となり、自己修復性が発現しないおそれがある。一方、その添加量が10.0質量部を超える場合には、その効果は飽和し、経済性の観点からも好ましくない。
また、このような光重合開始剤の増感剤として、ジメチルアミノエチルメタクリレート、4―ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の化合物を第2の形態のウレタン系樹脂組成物に添加してもよい。
第2の形態のウレタン系樹脂組成物により自己修復性樹脂(B)2を形成した後、上記活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を架橋および硬化させるための活性エネルギー線の照射条件としては、特に限定はされないが、例えば、活性エネルギー線として紫外線(UV)を用いる場合は、低酸素濃度下の雰囲気下、例えば、酸素濃度が500ppm以下の雰囲気下で照射を行うのが好ましく、紫外線(UV)の照射光量は、100〜2000mJ/cmの範囲とするのが好ましい。
(その他)
第2の形態のウレタン樹系脂組成物は、本発明の効果を損ねない範囲で、必要に応じて、2〜10個の(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリレート化合物を含んでも良い。活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂と当該ポリ(メタ)アクリレート化合物とを結合させて硬化物を形成させることにより、硬化物の耐溶剤性を良好なものとし易い。
上記2〜10個の(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリレート化合物としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO変性テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールPO変性テトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO変性ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールPO変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
<粘着剤層(C)3>
本発明の自己修復性を有する積層体10は、積層体10を物品に固定するために、樹脂層(A)1の自己修復性樹脂層(B)2が積層された側とは反対側の面に粘着剤層(C)3をあらかじめ備えている。
上記粘着剤層(C)3の厚さは、10〜100μmの範囲であることが好ましい。粘着剤層(C)3の厚さが10μm未満の場合には、積層体10の物品に対する粘着力が低下するおそれや、段差形状に追従しにくくなるおそれがある。一方、粘着剤層(C)3の厚さが100μmを超える場合には、粘着剤層(C)3を、粘着剤樹脂組成物溶液を用いて塗布、形成する際、乾燥時に多量の溶媒の蒸発の影響で粘着剤層(C)3に気泡が発生し外観不良となる場合がある。また、さらに薄膜化が求められる場合には要求にそぐわない。
以下、粘着剤層(C)3を形成する粘着剤について説明する。
(粘着剤)
本発明の積層体10に積層可能な粘着剤層(C)の粘着剤としては、特に限定されず、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等の各種粘着剤を使用することができる。これらの中でも、汎用性、透明性、伸張性、各種被着体への接着性、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)との密着性、貼り付け易さ等の観点から、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤を好適に使用することができる。
[アクリル系粘着剤]
上記アクリル系粘着剤は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と活性水素基含有単量体、およびまたはグリシジル基含有単量体とを単量体ユニットとして含むアクリル系共重合体から構成される。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、炭素数6〜18のヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、または炭素数5以下の単量体である、ペンチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、活性水素基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体等が挙げられる。また、グリシジル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これら官能基含有単量体の含有量は、特に限定はされないが、共重合単量体成分全量に対して0.5〜50質量%の範囲であることが好ましい。
上記アクリル系共重合体は、凝集力、および耐熱性などを目的として、必要に応じて他の共重合単量体成分を含有してもよい。このような他の共重合単量体成分としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基含有単量体、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有する単量体が挙げられる。これらの他の共重合単量体成分は、単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アクリル系共重合体は、好ましくは10万〜200万の重量平均分子量Mwを有する。アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwが10万未満である場合には、塗工性などを考慮して、数千〜数万cPの高粘度の粘着剤組成物の溶液を得ることが難しく好ましくない。また、接着力が低下し、加工時の被着物の保持が不十分になるおそれや、被着物の脱着時に被着体を汚染するおそれがある。一方、重量平均分子量Mwが200万を超える場合には、粘着テープの特性上、特に問題はないが、アクリル系共重合体を量産的に製造することが難しく、例えば、合成時にアクリル系共重合体がゲル化する場合があり、好ましくない。アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwは、より好ましくは30万〜150万である。ここで、重量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される標準ポリスチレン換算値を意味する。
上記アクリル系粘着剤は、上述したアクリル系共重合体の高分子量化のためにさらに架橋剤を含有する。このような架橋剤としては、特に制限されず、上記アクリル系粘着性ポリマーが有する官能基であるヒドロキシル基、カルボキシル基およびグリシジル基等と反応可能な官能基を有する公知の架橋剤を使用することができる。具体的には、例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、酸無水化合物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤、金属キレート架橋剤等が挙げられる。これらの中でも、反応性、汎用性の観点からポリイソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤を用いることが好ましい。これらの架橋剤は、単独でまたは2種以上併用してもよい。架橋剤の配合量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲が好ましい。架橋剤の配合量が多すぎると、アクリル系共重合体の種類によっては被着物に粘着テープを貼付する際の接着力が低下するおそれや、未架橋成分が被着物を汚染するおそれがある。
ポリイソシアネート系架橋剤としては、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、イソシアネートモノマーが自己縮合してなるビュレットポリイソシアネート化合物、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物、1,6−ヘキサンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させたアダクトポリイソシアネート化合物等が挙げられる。具体的には、住化コベストロウレタン社製のスミジュールN、スミジュールL、スミジュールN−75、スミジュールHT、スミジュールL−75、デスモジュールIL、デスモジュールHL(いずれも商品名)、東ソー社製のコロネートHL、コロネートEH、コロネートHX、コロネートL(いずれも商品名)、旭化成社製のデュラネート24A−100、デュラネートTPA−100、デュラネートP301-75E、デュラネートD−201(いずれも商品名)等が挙げられる。また、ブロックイソシアネートを使用してもかまわない。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,3′−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等が挙げられる。中でも、加熱後の粘着力上昇が小さく、耐熱汚染性が良好である点で1,3′−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンが好ましい。なお、これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。 上記エポキシ系架橋剤としては、市販品の三菱ガス化学社製のテトラッドC、テトラッドX(いずれも商品名)、Synasia社製のS−610(商品名)、綜研化学社製のE−AX(商品名)等を用いればよい。
上記アクリル系粘着剤により粘着剤層(C)3を形成した後に、上記架橋剤と上記アクリル系粘着性ポリマーとを反応させるためのエージングの条件としては、特に限定はされないが、例えば、温度は23〜80℃の範囲、時間は24〜168時間の範囲で適宜設定すれば良い。
[ウレタン系粘着剤]
上記ウレタン系粘着剤は、その構成を特に限定されるものではないが、例えば、(1)ポリオールを主成分とし、ポリイソシアネート化合物を硬化剤成分(架橋剤)として含有する粘着剤組成物、あるいは(2)ポリオールとポリイソシアネート化合物を予めウレタン反応させることにより得られたウレタンプレポリマーを主成分とし、ポリイソシアネート化合物等を硬化剤成分(架橋剤)として含有する粘着剤組成物等からなる。上記ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、硬さを調整するための可塑剤として脂肪酸エステル等を添加して用いることができる。
上記(1)(2)のウレタン系粘着剤組成物に用いられるポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(1)(2)のウレタン系粘着剤組成物に用いられるポリイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等を挙げることができる。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、さらに、上記ポリイソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアヌレート環を有する3量体、水と反応したビュウレット体等も挙げられる。このようなポリイシシアネート化合物としては、市販品を使用することができ、具体的には、東ソー社製のコロネートL、コロネートL−55E、コロネートL−45E、コロネートHL、コロネートHX(いずれも商品名)、綜研化学社製の硬化剤L−45(商品名)等が使用されるが、特に、これらに限定されるものではない。
なお、上記(2)のウレタン系粘着剤組成物については、上記ポリイソシネート化合物に替えて、上記ウレタンプレポリマーの官能基に合わせて、後述するエポキシ系、金属キレート系、多官能アクリレート系等の架橋剤を1種あるいは2種以上混合したもの等を硬化成分(架橋剤)として使用することもできる。
ウレタン系粘着剤組成物の硬さの調整に用いられる脂肪酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル等が挙げられる。
上記ウレタン系粘着剤により粘着剤層(C)3を形成した後に、上記硬化成分(架橋剤)と上記ポリオールあるいはウレタンプレポリマーとを反応させるためのエージングの条件としては、特に限定はされないが、例えば、温度は23〜80℃の範囲、時間は24〜168時間の範囲で適宜設定すれば良い。
[シリコーン系粘着剤]
上記シリコーン系粘着剤としては、シリコーン系樹脂をシリコーン系粘着剤の全質量に対して50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含むものを用いることができる。ジリコーン系樹脂としては、例えば、ポリシロキサン骨格を有するシリコーン系樹脂を挙げることができる。シリコーン系樹脂としては、付加反応型、過酸化物硬化型、縮合反応型等が挙げられる。中でも、付加反応型シリコーン系樹脂は、反応性が高く生産性に優れているため、好ましく用いられる。
上記付加反応型シリコーン系樹脂としては、例えば、分子の末端および/または側鎖に、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基を2個以上備えたオルガノポリシロキサンが挙げられる。また、上記付加反応型シリコーン系樹脂は、必要に応じて、粘着力を調製するためのアルケニル基を有さないオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジンを含有しても良い。
上記付加反応型シリコーン系樹脂を用いる際には、架橋剤および触媒を併用することが好ましい。架橋剤としては、例えば1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。具体的には、ジメチルハイドロジェンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)等が挙げられる。
また、触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物、白金とビニル基含有シロキサンの錯体、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム等の金属を含有する触媒等が挙げられる。
上記シリコーン系粘着剤により粘着剤層(C)3を形成する際に、上記架橋剤と上記シリコーン系樹脂とを反応させるための加熱および乾燥条件としては、特に限定はされないが、例えば、特開2012−107125等に開示されている条件を参照にすることができる。具体的には、例えば、剥離ライナー等にシリコーン系粘着剤の溶液を塗布し、乾燥炉の前半ゾーン部において、40〜90℃の温度で段階的に温度を上げて初期乾燥した後、乾燥炉の後半ゾーン部において、120〜200℃の温度範囲で、1〜5分間の加熱乾燥を行い、ロール状の原反として巻き取ればよい。シリコーン系粘着剤は、上記加熱および乾燥の間に硬化反応が進むので、その後のエージングは特に必要としない。
<アンカーコート層>
上述したように、本実施の形態の積層体10では、本発明の効果を損ねない範囲で、積層体10の製造条件や製造後の粘積層体10の使用条件等に応じて、各層の間に、各層の種類に合わせたアンカーコート層を設けたり、コロナ処理等の表面処理を施したりしてもよい。これにより、各層の密着力を改善させることが可能になる。
<剥離ライナー>
また、自己修復性樹脂層(B)2および粘着剤層(C)3の表面(基材2に対向する面とは反対側の面)には、必要に応じて、剥離ライナーを設けてもよい。剥離ライナーとしては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムに、自己修復性樹脂層(B)2に含まれるウレタン系樹脂組成物や粘着剤層(C)3に含まれる粘着剤組成物との離型性を高めるために、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、オレフィン系剥離処理剤により剥離処理を施したものを用いることができる。剥離ライナーの厚さは、特に限定されないが、10〜200μmの範囲であるものを好適に使用することができる。
<積層体の厚さ>
以上説明したような構成を有する積層体10の全体としての厚さは、25〜300μmの範囲であることが好ましい。積層体10の全体としての厚さが25μm未満である場合、積層体10の自己修復性が不十分となるおそれがある。一方、積層体10の全体としての厚さが300μmを超える場合、積層体10の透明性が悪くなり、例えば、積層体10をディスプレイ等に適用すると視認性が低下するおそれがある。また、積層体のいずれかの層に気泡が発生し外観不良となる場合がある。また、さらに薄膜化が求められる場合には要求にそぐわない。
<積層体10の伸び率>
積層体10の伸び率としては、紫外線(UV)を照射する前の状態において、JIS Z 0237(2009)にて規定される方法に基づいて測定される伸び率が50〜350%の範囲であることが好ましい。上記積層体10の伸び率が50%未満である場合には、積層体10を物品に貼り付ける際の曲面および段差等に対する追従性が悪くなるおそれがある。一方、上記積層体10の伸び率が350%を超える場合には、積層体10の自己修復性が劣るおそれがある。ここで、伸び率100%とは、元の長さの2倍の長さまで伸びたことを意味する。なお、測定の際には、積層体10は剥離ライナーが無い状態である。
<積層体10の製造方法>
続いて、本実施の形態の積層体10の製造方法について説明する。なお、以下で説明する積層体10の製造方法は一例であって、積層体10の製造方法はこれに限定されるものではない。
積層体10の製造方法としては、各層の樹脂組成物の溶液を用い、(1)粘着剤層(C)3、樹脂層(A)1、自己修復性樹脂層(B)2の3層を同時にウェットオンウェット法により積層して製造する方法、(2)3層の内まず2層を同時にウェットオンウェット法により積層し、別途準備した残りの1層を加圧ラミネートにより貼合して製造する方法、(3)個別に準備した各層を加圧ラミネートにより順次貼合して製造する方法等が挙げられる。各層の密着性および生産性の観点からは、(1)または(2)の方法により積層体10を製造することが好ましい。また、積層体10の3層の内、少なくとも樹脂層(A)1と自己修復性樹脂層(B)2の2層は、同時にウェットオンウェット法により積層形成することが好ましい。これにより、積層体10に活性エネルギー線を照射した後も、樹脂層(A)1と自己修復性樹脂層(B)との密着性が十分に維持される。
なお、自己修復性樹脂層(B)2に活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を適用する場合、該樹脂に熱により架橋が可能な官能基が残存する場合は、(1)の方法で製造することは可能であるが、該樹脂に熱により架橋が可能な官能基が残存しない場合は、活性エネルギー線照射により自己修復性樹脂層(B)2を硬化する必要があり、この際に樹脂層(A)1も同時に硬化してしまうため(1)の方法で製造すること困難である。したがって、この場合は、(2)または(3)の方法により製造する必要がある。その点、自己修復性樹脂層(B)2に熱硬化性ポリウレタン樹脂を適用する場合は、いずれの方法でも製造することができるので好適である。
上記(1)の製造方法としては、具体的には、以下の方法が例示できる。まず、樹脂層(A)1用、自己修復性樹脂層(B)2用および粘着剤層(C)3用の樹脂組成物を酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等の汎用有機溶剤に溶解した溶液を準備する。続いて、3つの吐出口を有する重層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ)の剥離処理面の上に、上記粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液と上記樹脂層(A)1用の樹脂組成物溶液と上記自己修復性樹脂層(B)2用の樹脂組成物溶液とを、剥離ライナー側から順に、粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液、樹脂層(A)1用の樹脂組成物溶液、自己修復性樹脂層(B)2用の樹脂組成物溶液となるようにウェットオンウェット法により同時に積層塗工し、乾燥炉で加熱することにより溶剤を乾燥させ、続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した他のPET製の剥離ライナー(重剥離タイプ)の剥離処理面側を乾燥後の自己修復性樹脂層(B)2上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、所定の温度、所定の時間でエージングする。
以上の工程により、樹脂層(A)1の一方の面に自己修復性樹脂層(B)2、もう一方の面に粘着剤層(C)3が積層された塗布型の3層の積層体10(両面に剥離ライナーを備えた状態としては積層体20)を得ることができる。
また、上記(2)の製造方法としては、具体的には、以下の方法が例示できる。まず、樹脂層(A)1用、自己修復性樹脂層(B)2用および粘着剤層(C)3用の樹脂組成物を酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等の汎用有機溶剤に溶解した溶液を準備する。続いて、2つの吐出口を有する重層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ)の剥離処理面の上に、上記樹脂層(A)1用の樹脂組成物溶液と上記自己修復性樹脂層(B)2用の樹脂組成物溶液とを、自己修復性樹脂層(B)2用の樹脂組成物溶液が上方(樹脂層(A)1用の樹脂組成物溶液に対して剥離ライナーと反対側)になるようにウェットオンウェット法により同時に積層塗工し、乾燥炉で加熱することにより溶剤を乾燥させ、続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した他のPET製の剥離ライナー(重剥離タイプ)の剥離処理面側を乾燥後の自己修復性樹脂層(B)2上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、所定の温度、所定の時間でエージングし、自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1とが積層された塗布型の2層の積層体の原反を得る。
最後に、1つの吐出口を有する単層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ)の剥離処理面の上に、粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液を塗工し、乾燥炉で加熱することにより溶剤を乾燥させ、続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した上記の2層の積層体の原反の樹脂層(A)1側のPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ)を剥離した後、上記樹脂層(A)1を乾燥後の上記粘着剤層(C)3上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、所定の温度、所定の時間でエージングする。
以上の工程により、樹脂層(A)1の一方の面に自己修復性樹脂層(B)2、もう一方の面に粘着剤層(C)3が積層された塗布型の3層の積層体10(両面に剥離ライナーを備えた状態としては積層体20)を得ることができる。
また、上記(3)の製造方法としては、具体的には、以下の方法が例示できる。まず、樹脂層(A)1用、自己修復性樹脂層(B)2用および粘着剤層(C)3用の樹脂組成物を酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等の汎用有機溶剤に溶解した溶液を準備する。続いて、1つの吐出口を有する単層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(重剥離タイプ)の剥離処理面の上に、自己修復性樹脂層(B)2用の樹脂組成物溶液を塗工し、乾燥炉で加熱することにより溶剤を乾燥させ、続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した他のPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ)の剥離処理面側を乾燥後の上記自己修復性樹脂層(B)2上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、所定の温度、所定の時間でエージングする。次に、単層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ)の剥離処理面の上に、樹脂層(A)1用の樹脂組成物溶液を塗工し、乾燥炉で加熱することにより溶剤を乾燥させ、続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した上記の自己修復性樹脂層(B)2の原反のPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ)を剥離した後、上記自己修復性樹脂層(B)2を乾燥後の上記樹脂層(A)1上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、所定の温度、所定の時間でエージングし、自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1とが貼合により積層された塗布型の2層の積層体の原反を得る。
最後に、単層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ)の剥離処理面の上に、粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液を塗工し、乾燥炉で加熱することにより溶剤を乾燥させ、続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した上記の2層の積層体の原反の樹脂層(A)1のPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ)を剥離した後、上記樹脂層(A)1を乾燥後の上記粘着剤層(C)3上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、所定の温度、所定の時間でエージングする。
以上の工程により、樹脂層(A)1の一方の面に自己修復性樹脂層(B)2、もう一方の面に粘着剤層(C)3が積層された塗布型の3層の積層体10(両面に剥離ライナーを備えた状態としては積層体20)を得ることができる。
加熱および乾燥の条件としては、例えば、剥離ライナー上に樹脂組成物溶液を塗布し、乾燥炉の前半ゾーン部において、40〜90℃の温度で段階的に温度を上げて初期乾燥した後、乾燥炉の後半ゾーン部において、100〜200℃の温度範囲で、1〜5分間の加熱乾燥を行い、ロール状の原反として巻き取ればよい。また、エージング(架橋および硬化)の条件としては、例えば、温度は23〜80℃の範囲、時間は24〜168時間の範囲とすればよい。自己修復性樹脂層(B)2に第2の形態のウレタン系樹脂組成物(活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂組成物)を適用する場合は、第2の形態のウレタン系樹脂組成物で説明した方法により架橋および硬化すれば良い。
上記に例示した製造方法により、図1に示したように、樹脂層(A)1の一方の面に自己修復性樹脂層(B)2、もう一方の面に粘着剤層(C)3が積層された塗布型の3層の積層体10(両面に剥離ライナーを備えた状態としては積層体20)を得ることができる。
<積層体10の使用方法>
本実施の形態の積層体10は、例えば、平面状の物品あるいは曲面形状や段差形状を有する物品の表面を保護するために、該表面に貼り付けて使用する自己修復性を有する表面保護フィルムとして用いることができる。本実施の形態の積層体10は、その伸張特性を活かして、物品の表面形状に追従させながら貼ることが可能なため、特に、曲面形状や段差形状を有する物品の表面に対して貼り付けて使用する自己修復性を有する表面保護フィルムとして有用である。具体的な使用方法について、以下に説明する。
まず、積層体の粘着剤層(C)3側の剥離ライナーを剥離して、表面側に自己修復性樹脂層(B)2が配置されるように粘着剤層(C)3を介して積層体10を物品の表面に追従するように貼り付ける。この際、自己修復性樹脂層(B)2の表面に剥離ライナーを備えたまま積層体10を物品に貼り付けても良いが、物品の表面形状によっては、自己修復性樹脂層(B)2の剥離ライナーを剥離して、積層体10を適度に引き伸ばしたり押さえたりしながら物品の表面形状に沿って貼り付けても良い。
続いて、積層体10を物品の表面に貼り付けた後に、積層体10の表面側から、例えばブラックライトや簡易的な紫外線ランプ等を用いて紫外線(UV)等の活性エネルギー線を自己修復性樹脂層(B)2越しに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1に照射して、該樹脂層(A)1を3次元的に架橋および硬化させて硬くすることにより、物品の表面の自己修復性樹脂層(B)2に本来の自己修復機能を付与させることができる。なお、活性エネルギー線を照射する際に、自己修復性樹脂層(B)2の表面に備えられた剥離ライナーが活性エネルギー線を透過する材質の場合は、剥離ライナーを備えたまま照射しても構わない。
続いて、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
1.アクリル系粘着性ポリマーの合成
(合成例1)
共重合モノマー成分として、アクリル酸n−ブチル(n−BA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)、メタクリル酸(MAA)を準備した。これらの共重合モノマー成分を、n−BA/2−HEA/MAA=77質量%/20質量%/3質量%の共重合比率となるように混合し、溶媒として酢酸エチルを用い溶液ラジカル重合によりベースポリマーを合成した。次に、このベースポリマーの固形分100質量部に対し、活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)6質量部を配合し、2−HEAの水酸基の一部と反応させて、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(a)(固形分濃度:40質量%)を合成した。なお、上記の反応にあたっては、重合禁止剤としてヒドロキノン・モノメチルエーテルを0.05質量部用いた。合成したアクリル系粘着性ポリマー(a)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、38万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は0.36meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−44℃であった。
(合成例2)
活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)の配合量を7質量部に変更した以外は、合成例1と同様にして、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(b)(固形分濃度:40質量%)を合成した。合成したアクリル系粘着性ポリマー(b)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、38万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は0.42meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−44℃であった。
(合成例3)
活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)の配合量を10質量部に変更した以外は、合成例1と同様にして、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(c)(固形分濃度:40質量%)を合成した。合成したアクリル系粘着性ポリマー(c)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、38万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は0.58meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−44℃であった。
(合成例4)
共重合モノマー成分として、アクリル酸n−ブチル(n−BA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)、メタクリル酸(MAA)を準備した。これらの共重合モノマー成分を、n−BA/2−HEA/MAA=79質量%/20質量%/1質量%の共重合比率となるように混合し、溶媒として酢酸エチルを用い溶液ラジカル重合によりベースポリマーを合成した。次に、このベースポリマーの固形分100質量部に対し、活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)15質量部を配合し、2−HEAの水酸基の一部と反応させて、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(d)(固形分濃度:40質量%)を合成した。なお、上記の反応にあたっては、重合禁止剤としてヒドロキノン・モノメチルエーテルを0.05質量部用いた。合成したアクリル系粘着性ポリマー(d)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、38万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は0.84meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−46℃であった。
(合成例5)
活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)の配合量を20質量部に変更した以外は、合成例4と同様にして、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(e)(固形分濃度:40質量%)を合成した。合成したアクリル系粘着性ポリマー(e)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、38万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は1.06meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−46℃であった。
(合成例6)
共重合モノマー成分として、アクリル酸n−ブチル(n−BA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)、メタクリル酸(MAA)を準備した。これらの共重合モノマー成分を、n−BA/2−HEA/MAA=69質量%/30質量%/1質量%の共重合比率となるように混合し、溶媒として酢酸エチルを用い溶液ラジカル重合によりベースポリマーを合成した。次に、このベースポリマーの固形分100質量部に対し、活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)30質量部を配合し、2−HEAの水酸基の一部と反応させて、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(f)(固形分濃度:40質量%)を合成した。なお、上記の反応にあたっては、重合禁止剤としてヒドロキノン・モノメチルエーテルを0.05質量部用いた。合成したアクリル系粘着性ポリマー(f)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、38万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は1.49meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−43℃であった。
(合成例7)
共重合モノマー成分として、アクリル酸n−ブチル(n−BA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)、メタクリル酸(MAA)を準備した。これらの共重合モノマー成分を、n−BA/2−HEA/MAA=69質量%/30質量%/1質量%の共重合比率となるように混合し、溶媒として酢酸エチルを用い溶液ラジカル重合によりベースポリマーを合成した。次に、このベースポリマーの固形分100質量部に対し、活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)35質量部を配合し、2−HEAの水酸基の一部と反応させて、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(f)(固形分濃度:40質量%)を合成した。なお、上記の反応にあたっては、重合禁止剤としてヒドロキノン・モノメチルエーテルを0.05質量部用いた。合成したアクリル系粘着性ポリマー(f)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、38万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は1.67meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−43℃であった。
(合成例8)
共重合モノマー成分として、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)、メタクリル酸(MAA)を準備した。これらの共重合モノマー成分を、2−EHA/2−HEA/MAA=78質量%/20質量%/2質量%の共重合比率となるように混合し、溶媒として酢酸エチルを用い溶液ラジカル重合によりベースポリマーを合成した。次に、このベースポリマーの固形分100質量部に対し、活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)10質量部を配合し、2−HEAの水酸基の一部と反応させて、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(g)(固形分濃度:33質量%)を合成した。なお、上記の反応にあたっては、重合禁止剤としてヒドロキノン・モノメチルエーテルを0.05質量部用いた。合成したアクリル系粘着性ポリマー(g)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、70万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は0.58meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−59℃であった。
(合成例9)
活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)の配合量を15質量部に変更した以外は、合成例7と同様にして、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(h)(固形分濃度:33質量%)を合成した。合成したアクリル系粘着性ポリマー(h)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、70万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は0.84meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−59℃であった。
(合成例10)
活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)を配合しなかった以外は、合成例4と同様にして、炭素−炭素二重結合を側鎖に有さないアクリル系粘着性ポリマー(i)(固形分濃度:38質量%)を合成した。合成したアクリル系粘着性ポリマー(i)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、35万であった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−46℃であった。
(合成例11)
活性エネルギー線反応性化合物としてイソシアネート基と活性エネルギー線反応性炭素−炭素二重結合とを有する2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)の配合量を5質量部に変更した以外は、合成例1と同様にして、炭素−炭素二重結合を側鎖に有するアクリル系粘着性ポリマー(j)(固形分濃度:40質量%)を合成した。合成したアクリル系粘着性ポリマー(j)の重量平均分子量Mwをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により測定したところ、38万であった。また、炭素−炭素二重結合含有量は0.30meq/gであった。また、Foxの式から計算したポリマー主鎖のガラス転移温度Tgは−44℃であった。
上記方法により合成された各種アクリル系粘着性ポリマーの共重合モノマー組成比率、二重結合含有量、重量平均分子量Mwおよびポリマー主鎖のガラス転移温度Tgを表1に示す。
Figure 2021160142
2.積層体の作製
(実施例1)
<樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液の作製>
上記で作製したアクリル系粘着性ポリマー(a)の溶液250質量部(固形分換算100質量部)に対して、光重合開始剤としてIGM Resins B.V.社製のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤(商品名:Omnirad369)を1.25質量部、架橋剤として東ソー社製のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、固形分濃度:45質量%)を0.25質量部(固形分換算0.11質量部)の比率で配合し、酢酸エチルにて希釈、攪拌して、固形分濃度40質量%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した。
<自己修復性樹脂層(B)2用の第1の形態のウレタン系樹脂組成物溶液の作製>
株式会社トクシキ社製の自己修復塗料(商品名:AUP−818、熱硬化性ポリウレタン系樹脂、固形分濃度50質量%、水酸基価65mgKOH/g)200質量部(固形分換算100質量部)に対して、架橋剤として東ソー社製のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートHX、固形分濃度:100質量%)を45.27質量部(固形分換算45.27質量部)の比率で配合し、メチルエチルケトンにて希釈、攪拌して、固形分濃度45質量%の第1の形態のウレタン系樹脂組成物溶液を作製した。AUP−818の水酸基(−OH)に対するコロネートHXのイソシアネート基(−NCO)の当量比[(NCO)/(OH)]は1.0である。
<粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液の作製>
綜研化学社製の粘着剤溶液(商品名:SKダイン2094、アクリル系粘着剤、固形分濃度25質量%、酸価33mgKOH/g)400質量部(固形分換算100質量部)に対して、架橋剤として綜研化学社製のエポキシ系架橋剤(商品名:E−AX、固形分濃度:5質量%)を1.08質量部(固形分換算0.054質量部)の比率で配合し、酢酸エチルにて希釈、攪拌して、固形分濃度23質量%の粘着剤溶液を作製した。
<積層体10の作製>
先ず、2つの吐出口を有する重層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面の上に、上記樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液と上記自己修復性樹脂層(B)2用の第1の形態のウレタン系樹脂組成物溶液とを、自己修復性樹脂層(B)2の第1の形態のウレタン系樹脂組成物溶液が上方(樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液に対して剥離ライナーと反対側)になるように同時に塗工し、乾燥温度80〜130℃、乾燥時間3分間の条件で溶剤を乾燥させた。続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した他のPET製の剥離ライナー(重剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面側を乾燥後の自己修復性樹脂層(B)2上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、40℃雰囲気下で72時間エージングし、自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1とが積層された塗布型の2層の積層体を得た。得られた樹脂層(A)1の乾燥後の厚さは30μm、自己修復性樹脂層(B)2の乾燥後の厚さは30μmであった。
次に、1つの吐出口を有する単層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面の上に、粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液を、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗工し、乾燥温度80〜130℃、乾燥時間3分間の条件で溶剤を乾燥させた。続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した上記の2層の積層体の樹脂層(A)1側のPET製の剥離ライナーを剥離した後、上記樹脂層(A)1を乾燥後の上記粘着剤層(C)3上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、40℃雰囲気下で72時間エージングし、樹脂層(A)1の一方の面に自己修復性樹脂層(B)2、もう一方の面に粘着剤層(C)3が積層された塗布型の3層の積層体10(両面に剥離ライナーを備えた状態としては積層体20)を得た。得られた積層体10の総厚さは、85μmであった。
(実施例2)
アクリル系粘着性ポリマー(a)に代えて、アクリル系粘着性ポリマー(b)を用いて樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
(実施例3)
アクリル系粘着性ポリマー(a)に代えて、アクリル系粘着性ポリマー(c)を用いて樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
(実施例4)
アクリル系粘着性ポリマー(a)に代えて、アクリル系粘着性ポリマー(d)を用いて樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
(実施例5)
アクリル系粘着性ポリマー(a)に代えて、アクリル系粘着性ポリマー(e)を用いて樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
(実施例6)
アクリル系粘着性ポリマー(a)に代えて、アクリル系粘着性ポリマー(f)を用いて樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
(実施例7)
アクリル系粘着性ポリマー(a)に代えて、アクリル系粘着性ポリマー(g)を用いて樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
(実施例8)
樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液の作製を下記とした以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
<樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液の作製>
上記で作製したアクリル系粘着性ポリマー(h)の溶液303質量部(固形分換算100質量部)に対して、光重合開始剤としてIGM Resins B.V.社製のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤(商品名:Omnirad369)を1.25質量部、架橋剤として東ソー社製のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、固形分濃度:45質量%)を0.25質量部(固形分換算0.11質量部)の比率で配合し、酢酸エチルにて希釈、攪拌して、固形分濃度33質量%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した。
(実施例9)
アクリル系粘着性ポリマー(g)に代えて、アクリル系粘着性ポリマー(i)を用いて樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例8と同様にして積層体10を得た。
(実施例10)
<樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液の作製>
上記で作製したアクリル系粘着性ポリマー(d)の溶液250質量部(固形分換算100質量部)に対して、光重合開始剤としてIGM Resins B.V.社製のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤(商品名:Omnirad369)を1.25質量部、架橋剤として東ソー社製のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、固形分濃度:45質量%)を0.25質量部(固形分換算0.11質量部)の比率で配合し、酢酸エチルにて希釈、攪拌して、固形分濃度40質量%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した。
<自己修復性樹脂層(B)2用の第2の形態のウレタン系樹脂組成物溶液の作製>
株式会社トクシキ社製の自己修復塗料(商品名:AUP−727、紫外線硬化性ウレタン系樹脂、固形分濃度30質量%)を希釈せずにそのまま第2の形態のウレタン系樹脂組成物溶液として使用した。
<粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液の作製>
綜研化学社製の粘着剤溶液(商品名:SKダイン2094、アクリル系粘着剤、固形分濃度25質量%)400質量部(固形分換算100質量部)に対して、架橋剤として綜研化学社製のエポキシ系架橋剤(商品名:E−AX、固形分濃度:5質量%)を1.08質量部(固形分換算0.054質量部)の比率で配合し、酢酸エチルにて希釈、攪拌して、固形分濃度23質量%の粘着剤溶液を作製した。
<積層体10の作製>
先ず、重層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面の上に、上記樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液と上記粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液とを、粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液が上方(樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液に対して剥離ライナーと反対側)になるように同時に塗工し、乾燥温度80〜130℃、乾燥時間3分間の条件で溶剤を乾燥させた。続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した他のPET製の剥離ライナー(重剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面側を乾燥後の粘着剤層(C)3上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、40℃雰囲気下で72時間エージングし、樹脂層(A)1と粘着剤層(C)3とが積層された塗布型の2層の積層体を得た。得られた樹脂層(A)1の乾燥後の厚さは30μm、粘着剤層(C)3の乾燥後の厚さは25μmであった。
次に、単層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面の上に、上記自己修復性樹脂層(B)2用の第2の形態のウレタン系樹脂組成物溶液を、乾燥後の厚さが30μmとなるように塗工し、乾燥温度80〜130℃、乾燥時間3分間の条件で溶剤を乾燥させ、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い積算光量が300mJ/cmとなるように紫外線を照射して自己修復性樹脂層(B)2を硬化させた。続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した上記の2層の積層体の樹脂層(A)1側のPET製の剥離ライナーを剥離した後、上記樹脂層(A)1を乾燥および硬化後の上記自己修復性樹脂層(B)2上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とし、樹脂層(A)1の一方の面に自己修復性樹脂層(B)2、もう一方の面に粘着剤層(C)3が積層された塗布型の3層の積層体10(両面に剥離ライナーを備えた状態としては積層体20)を得た。得られた積層体10の総厚さは、85μmであった。
(実施例11)
東ソー社製のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、固形分濃度:45質量%)の配合量を0.25質量部(固形分換算0.11質量部)から2.50質量部(固形分換算1.10質量部)に変更して樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例3と同様にして積層体10を得た。
(実施例12)
東ソー社製のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、固形分濃度:45質量%)の配合量を0.25質量部(固形分換算0.11質量部)から25.0質量部(固形分換算11.10質量部)に変更して樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例3と同様にして積層体10を得た。
(実施例13)
積層体1の作製を下記とした以外は実施例3と同様にして積層体10を得た。
<積層体1の作製>
先ず、重層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面の上に、上記樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液と上記粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液とを、粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液が上方(樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液に対して剥離ライナーと反対側)になるように同時に塗工し、乾燥温度80〜130℃、乾燥時間3分間の条件で溶剤を乾燥させた。続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した他のPET製の剥離ライナー(中剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面側を乾燥後の粘着剤層(C)3上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、40℃雰囲気下で72時間エージングし、樹脂層(A)1と粘着剤層(C)3とが積層された塗布型の2層の積層体を得た。得られた樹脂層(A)1の乾燥後の厚さは30μm、粘着剤層(C)3の乾燥後の厚さは25μmであった。
次に、単層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(重剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面の上に、上記自己修復性樹脂層(B)2用の第1の形態のウレタン系樹脂組成物溶液を、乾燥後の厚さが30μmとなるように塗工し、乾燥温度80〜130℃、乾燥時間3分間の条件で溶剤を乾燥させた。続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した上記の2層の積層体の樹脂層(A)1側のPET製の剥離ライナーを剥離した後、上記樹脂層(A)1を乾燥後の上記自己修復性樹脂層(B)2上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、40℃雰囲気下で72時間エージングし、樹脂層(A)1の一方の面に自己修復性樹脂層(B)2、もう一方の面に粘着剤層(C)3が積層された塗布型の3層の積層体10(両面に剥離ライナーを備えた状態としては積層体20)を得た。得られた積層体10の総厚さは、85μmであった。
(実施例14)
樹脂層(A)1の乾燥後の厚さを10μmに変更した以外は実施例4と同様にして積層体10を得た。積層体10の総厚さは65μmであった。
(実施例15)
樹脂層(A)1の乾燥後の厚さを20μmに変更した以外は実施例4と同様にして積層体10を得た。積層体10の総厚さは75μmであった。
(実施例16)
樹脂層(A)1の乾燥後の厚さを50μmに変更した以外は実施例4と同様にして積層体10を得た。積層体10の総厚さは105μmであった。
(実施例17)
自己修復性樹脂層(B)2の乾燥後の厚さを10μmに変更した以外は実施例4と同様にして積層体10を得た。積層体10の総厚さは65μmであった。
(実施例18)
自己修復性樹脂層(B)2の乾燥後の厚さを20μmに変更した以外は実施例4と同様にして積層体10を得た。積層体10の総厚さは75μmであった。
(実施例19)
自己修復性樹脂層(B)2の乾燥後の厚さを50μmに変更した以外は実施例4と同様にして積層体10を得た。積層体10の総厚さは105μmであった。
(実施例20)
粘着剤層(C)3の樹脂組成物溶液の作製を下記に変更した以外は実施例4と同様にして積層体10を得た。積層体10の総厚さは105μmであった。
<粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液の作製>
トーヨーケム株式会社製の粘着剤溶液(商品名:オリバインSP−205、ウレタン系粘着剤、固形分濃度50質量%、酸価14mgKOH/g)200質量部(固形分換算100質量部)に対して、架橋剤としてテーヨーケム株式会社製のポリイソシアネート系架橋剤(商品名:T−501B、固形分濃度:75質量%)を6.00質量部(固形分換算4.50質量部)の比率で配合し、酢酸エチルにて希釈、攪拌して、固形分濃度45質量%の粘着剤溶液を作製した。
(実施例21)
粘着剤層(C)3の樹脂組成物溶液の作製を下記に変更した以外は実施例9と同様にして積層体10を得た。積層体10の総厚さは105μmであった。
<粘着剤層(C)3用の樹脂組成物溶液の作製>
トーヨーケム株式会社製の粘着剤溶液(商品名:オリバインSP−205、ウレタン系粘着剤、固形分濃度50質量%、酸価14mgKOH/g)200質量部(固形分換算100質量部)に対して、架橋剤としてテーヨーケム株式会社製のポリイソシアネート系架橋剤(商品名:T−501B、固形分濃度:75質量%)を6.00質量部(固形分換算4.50質量部)の比率で配合し、酢酸エチルにて希釈、攪拌して、固形分濃度45質量%の粘着剤溶液を作製した。
(実施例22)
樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を下記の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液に変更した以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
<樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液の作製>
上記で作製したアクリル系粘着性ポリマー(a)の溶液125質量部(固形分換算50質量部)とアクリル系粘着性ポリマー(k)の溶液125質量部(固形分換算50質量部)を混合して十分に撹拌した後、光重合開始剤としてIGM Resins B.V.社製のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤(商品名:Omnirad369)を1.25質量部、架橋剤として東ソー社製のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、固形分濃度:45質量%)を0.25質量部(固形分換算0.11質量部)の比率で配合し、酢酸エチルにて希釈、攪拌して、固形分濃度40質量%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した。
(比較例1)
樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を下記の熱可塑性ウレタン樹脂組成物溶液に変更した以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
<樹脂層(A)1用の熱可塑性ウレタン樹脂組成物溶液の作製>
荒川化学工業社製の熱可塑性ウレタン樹脂溶液(商品名:TSP−2242、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、固形分濃度:30質量%、水酸基価:6mgKOH/g)を希釈せずにそのまま樹脂層(A)1用の樹脂組成物溶液として使用した。
(比較例2)
樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を下記の活性エネルギー線非硬化性樹脂組成物溶液に変更した以外は実施例1と同様にして積層体10を作製した。
<樹脂層(A)1用の活性エネルギー線非硬化性樹脂組成物溶液の作製>
上記で作製した二重結合基を有さないアクリル系粘着性ポリマー(i)の溶液250質量部(固形分換算100質量部)に対して、架橋剤として東ソー社製のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、固形分濃度:45質量%)を0.25質量部(固形分換算0.11質量部)の比率で配合し、酢酸エチルにて希釈、攪拌して、固形分濃度38質量%の活性エネルギー線非硬化性樹脂組成物溶液を作製した。
(比較例3)
アクリル系粘着性ポリマー(a)に代えて、アクリル系粘着性ポリマー(j)を用いて樹脂層(A)1用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液を作製した以外は実施例1と同様にして積層体10を得た。
3.積層体の評価方法
上記実施例1〜22および上記比較例1〜3で作製した積層体10について、紫外線(UV)照射前の伸び率、紫外線(UV)照射後の曲面追従性および紫外線(UV)照射後の自己修復性を以下のように測定、評価した。紫外線(UV)照射後の樹脂層(A)1の貯蔵弾性率(G’)、紫外線(UV)照射後の自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1の密着力、自己修復性樹脂層(B)2の紫外線透過率についても以下のように測定、評価した。
3.1 積層体10の紫外線(UV)照射前の伸び率の測定
それぞれの積層体10について、紫外線(UV)を照射する前の状態において、JIS Z 0237(2009)にて規定される方法に基づいて伸び率を測定した。ここで、伸び率100%とは、元の長さの2倍の長さまで伸びたことを意味する。なお、測定の際には積層体10は剥離ライナーが無い状態である。
3.2 積層体10の紫外線(UV)照射後の曲面追従性の評価
それぞれの積層体10について、25mm×25mmの大きさに裁断した試験試料を3枚準備した。粘着剤層(C)3側の剥離ライナーを剥離して、直径10mmで長さ20cmのガラス棒に図4に示したようにガラス棒の曲面に沿って3枚の試験試料をそのままゆっくりと貼り付けた。次いで、自己修復性樹脂層(B)2側の剥離ライナーを剥離した後、アイグラフィックス社製高圧水銀灯(型式H04−L21)を用い、ガラス棒を回転させながら、照度75mW/cmにて、積算光量が300mJ/cmとなるように自己修復性樹脂層(B)面側から紫外線(UV)を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)を硬化させた。23℃で1週間保存後、各試験試料の端部に浮きが無いかを目視にて確認した。但し、比較例1の積層体10については、紫外線(UV)は照射せずに評価に供した。
また、それぞれの積層体10について、25mm幅の粘着テープ巻回体を作製し、粘着剤層(C)3側の剥離ライナーを5cm程度剥離して、粘着剤層(C)3の端部を上記のガラス棒に貼り付け、次いで、自己修復性樹脂層(B)2側の剥離ライナーを5cm程度剥離して、積層体10を1.5倍程度に伸張させた状態でガラス棒に貼り付けていき、図4に示したようなイメージとなるように積層体10を切断した。3枚の試験試料をガラス棒に貼り付けた。次いで、アイグラフィックス社製高圧水銀灯(型式H04−L21)を用い、ガラス棒を回転させながら、照度75mW/cmにて、積算光量が300mJ/cmとなるように自己修復性樹脂層(B)面側から紫外線(UV)を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)を硬化させた。23℃で1週間保存後、各試験試料の端部に浮きが無いかを目視にて確認した。但し、比較例1の積層体10については、紫外線(UV)は照射せずに評価に供した。
曲面追従性は、以下の判断基準で評価を行った。なお、〇の評価を合格とした。
〇:3枚の試験試料すべてについて、端部に浮きが見られない
×:3枚の試験試料の内、少なくとも一枚について、端部に浮きが見られた
3.3 積層体10の紫外線(UV)照射後の自己修復性の評価
それぞれの積層体1について、以下の2種類の方法で自己修復性を評価した。なお、測定の際には積層体10は剥離ライナーが無い状態である。
3.3.1 自己修復性(1)
新東科学株式会社製の表面性試験機(TYPE:14DR)を用いて、荷重をかけた真鍮ブラシで復性樹脂層(B)2の表面を引っ掻き、23℃の環境下で生じた傷が1分以内に消失しうる最大荷重を測定した。生じた傷の消失の確認は目視で行った。具体的には、先ず、それぞれの積層体10を、25mm幅×50mm長さの大きさに裁断し、試験試料とした。次いで、積層体10の試験試料を、ガラス板の上に、粘着剤層(C)3により積層体1を伸ばさずに貼り付け、アイグラフィックス社製高圧水銀灯(型式H04−L21)を用い、照度75mW/cmにて、積算光量が300mJ/cmとなるように自己修復性樹脂層(B)2面側から紫外線(UV)を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1を硬化させた。但し、比較例1の積層体10については、紫外線(UV)は照射せずに評価に供した。続いて、積層体10が貼り付けられた試験試料を表面性試験機の測定台の上に固定し、摺動圧子のアダプタとして用いる真鍮ブラシ(エスコ社製、ブラシ長さ:5mm、ブラシの数:20本、ブラシの先端径:直径1.5mm)の上の分銅受け皿に所定の重りを載せ、所定の摺動速度で測定台を移動して、真鍮ブラシの先端で自己修復性樹脂層(B)2の表面を一回引っ掻いて傷を付け、23℃の環境下で生じた傷が1分以内に消失しうる最大荷重を、その積層体10の自己修復性能の耐荷重として評価とした。摺動速度は、(1)1m/分、(2)3m/分、(3)6m/分の3条件とした。
3.3.2 自己修復性(2)
積層体10の試験試料を伸び率50%となるまで手で引き伸ばし、その状態のまま、ガラス板の上に、粘着剤層(C)3により貼り付け、アイグラフィックス社製高圧水銀灯(型式H04−L21)を用い、積算光量が300mJ/cmとなるように自己修復性樹脂層(B)2面側から紫外線(UV)を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1を硬化させた。但し、比較例1の積層体10については、紫外線(UV)は照射せずに評価に供した。
続いて、積層体10が貼り付けられた試験試料を表面性試験機の測定台の上に固定し、上記自己修復性(1)の評価と同じ方法および条件にて、積層体10の伸び率50%の状態における自己修復性能を評価した。
自己修復性は、以下の判断基準で評価を行った。なお、△以上の評価を合格とした。
◎:耐荷重2.0N以上
〇:耐荷重1.0N以上2.0N未満
△:耐荷重0.8N以上1.0N未満
×:耐荷重0.8N未満
3.4 紫外線(UV)照射後の樹脂層(A)1の貯蔵弾性率(G’)の測定
株式会社日立ハイテクサイエンス社製の動的粘弾性測定装置DMS6100(製品名)を用いて、それぞれの積層体10に使用された樹脂層(A)1について紫外線(UV)照射後の動的粘弾性スペクトルを測定し、貯蔵弾性率(G’)を求めた。具体的には、先ず、それぞれの積層体10に使用された樹脂層(A)1用の樹脂組成物溶液を準備した。次に、1つの吐出口を有する単層塗工用ダイを用いて、巻き出し軸部から繰り出したPET製の剥離ライナー(軽剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面の上に、樹脂層(A)1用の樹脂組成物溶液を、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗工し、乾燥温度80〜130℃、乾燥時間3分間の条件で溶剤を乾燥させた。
続いて、別の巻き出し軸部から繰り出した他のPET製の剥離ライナー(重剥離タイプ、厚さ50μm)の剥離処理面側を乾燥後の自樹脂層(A)1上に重ね合わせラミネート(加圧貼合)し、巻き取って原反とした後、40℃雰囲気下で72時間エージングし、樹脂層(A)1の単層の両面剥離ライナー付きの原反を得た。このようにして得られた各樹脂層(A)1の原反からそれぞれ10mm×50mmの大きさのシートを10枚切り出し、剥離ライナーを剥離しながら各単層50μmの樹脂層(A)1を10枚重ね合わせ、総厚さが500μmの樹脂層(A)1の試験試料を作製した。試験試料の両面には剥離ライナーが備えられた状態である。
続いて、アイグラフィックス社製高圧水銀灯(型式H04−L21)を用い、照度75mW/cmにて、積算光量が300mJ/cmとなるように剥離ライナー越しに樹脂層(A)1の試験試料に紫外線(UV)を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)1を硬化させた。但し、比較例1の積層体10に使用された樹脂層(A)1については、紫外線(UV)は照射せずに測定に供した。
次いで、紫外線(UV)照射後の試験試料を幅10mm×長さ50mmの大きさに裁断し、動的粘弾性測定用の試料とした。測定条件は、引張りモードにて周波数1Hzのせん断ひずみを与えながら、昇温速度2℃/分とし、−50℃から150℃まで温度を変化させ、動的粘弾性スペクトルを測定した。得られた動的粘弾性スペクトルの105〜150℃の温度域における貯蔵弾性率(G’)の最小値と最大値を読み取り、それらの値が8.0×10〜3.0×10Paの範囲内にあるか否かを確認した。なお、動的粘弾性測定の際には樹脂層(A)1の測定用の試料は剥離ライナーが無い状態である。
3.5 紫外線(UV)照射後の自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1の密着力の測定
それぞれの積層体10に使用された自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1について、紫外線(UV)照射後の密着力を測定した。実施例10、13以外については、自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1を同時重層により積層した塗布型の2層の積層体をそのまま測定に用いた。実施例10、13については、粘着剤層(C)3を積層せずに単層塗工用ダイを用いて樹脂層(A)1の単層の原反を作製した以外は、実施例10、13の積層体の作製と同じ方法により、自己修復性樹脂層(B)と樹脂層(A)1をラミネート(加圧貼合)により積層した塗布型の2層の積層体を作製し、それらを測定に用いた。具体的には、先ず、上記の2層の積層体を25mm幅に裁断し、剥離ライナーを剥離した自己修復樹脂層(B)2および樹脂層(A)1のそれぞれの面に、裏打ち用テープとして、マクセル株式会社製のPET基材からなるシリコーン系粘着テープ(型番:No.626050 フィルムテープ)の粘着剤層側の面を貼り合わせた。その後、アイグラフィックス社製高圧水銀灯(型式H04−L21)を用い、自己修復性樹脂層(B)2面側から、照度75mW/cmにて、積算光量が300mJ/cmとなるように紫外線(UV)を照射した。但し、比較例1の自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1の2層の積層体については、紫外線(UV)は照射せずに測定に供した。次いで、引張試験機を用い、自己修復樹脂層(B)面側の裏打ちテープと樹脂層(A)1面側の裏打ちテープの端をチャックし、300mm/分の速さでT字剥離し、密着力(N/10mmに換算)を測定した。T字ピールした。なお、測定において、自己修復性樹脂層(B)2と裏打ちテープの界面で剥がれが生じた場合は、自己修復性樹脂層(B)2と裏打ちテープの界面の密着力である3.4N/10mmより大きい(≧3.4N/10mm)値であると評価した。
3.6 自己修復性樹脂層(B)2の紫外線(UV)透過率の測定
それぞれの積層体10に使用された自己修復性樹脂層(B)2について、紫外線(UV)透過率を測定した。具体的には、それぞれの積層体10に使用された自己修復性樹脂層(B)2と同じ厚さの単層の自己修復性樹脂層(B)2を、積層体10を作製する時と同じ塗工条件、エージング条件により別途準備し、日本分光社製の分光光度計V−670DS(製品名)を用いて、波長360nmにおける平行光線透過率を測定した。なお、測定の際には自己修復性樹脂層(B)2は剥離ライナーが無い状態である。
4.評価結果
実施例1〜22、および比較例1〜3の積層体10に対する評価結果について、積層体10の層構成等と合わせて表2〜6に示す。
Figure 2021160142
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表2〜6に示すように、本発明の要件を満たす実施例1〜22の積層体10は、自己修復性、伸び率、曲面追従性、自己修復性樹脂層(B)/樹脂層(A)の密着性のいずれの評価においても好ましい結果が得られることが確認された。ここで自己修復性の評価結果における耐荷重(N)が「≧2.0」という表記は、2.0Nを超える荷重で試験した時に真鍮ブラシが曲がってしまい、これ以上の評価ができなかったことを意味する。
自己修復性樹脂層(B)2および粘着剤層(C)3の構成および自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1の積層方法(同時重層)が同じで、樹脂層(A)1の構成のみが異なる実施例1〜9、実施例11、12、実施例22の比較において、樹脂層(A)1の紫外線(UV)照射後の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)が3.3×10Pa以上である実施例3〜7、実施例9、11、12の積層体10は、自己修復性の評価のいずれの条件においても≧2.0Nであり、特に優れていることが分かった。
樹脂層(A)1の厚さのみが異なる実施例4、実施例14〜16の比較において、樹脂層(A)1の厚さが20μm以上である実施例4、実施例15、16の積層体10は、樹脂層(A)1の厚さが10μmである実施例14の積層体10よりも自己修復性が優れていることが分かった。
自己修復樹脂層(B)2の厚さのみが異なる実施例4、実施例17〜19の比較において、自己修復樹脂層(B)2の厚さが20μm以上である実施例4、実施例18、19の積層体10は、自己修復樹脂層(B)2の厚さが10μmである実施例17の積層体10よりも自己修復性が優れていることが分かった。
自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1とが同時重層により積層された実施例1〜9、実施例11、12、実施例14〜22の積層体10は、自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1とが加圧貼合(ラミネート)により積層された実施例10、13の積層体10よりも、紫外線(UV)照射後の自己修復性樹脂層(B)2と樹脂層(A)1の密着性が優れていることが分かった。
実施例4に対して、自己修復性樹脂層(B)2の樹脂組成のみを紫外線硬化性ポリウレタン樹脂組成物に変更した実施例10、粘着剤層(C)3の樹脂組成のみをウレタン系粘着剤に変更した実施例20の積層体10は、実施例4の積層体10とほぼ同等の特性を示すことが分かった。
実施例9に対して、粘着剤層(C)3の樹脂組成のみをウレタン系粘着剤に変更した実施例21の積層体10は、実施例9の積層体10とほぼ同等の特性を示すことが分かった。
これにより、実施例1〜21の積層体10は、曲面形状や段差形状を有する物品に貼り付けて使用する表面保護部材として有用であることが確認された。
これに対し、表6に示すように、本発明の要件を満たさない比較例1〜3の積層体10の自己修復性の評価結果は、実施例1〜22よりも劣る結果であることが確認された。
具体的には、樹脂層(A)1が熱可塑性ウレタン樹脂から構成される比較例1の積層体10は、伸び率は十分であったが、樹脂層(A)1の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率の値が8.0×10Pa未満で柔らかいため、自己修復性については、実施例1〜22と比較して劣る結果であり、特に真鍮ブラシで引っ掻く際の摺動速度が小さいほど、自己修復性が劣る(耐荷重が小さい)傾向が見られた。
また、樹脂層(A)1が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有しない比較例2の積層体10は、伸び率は十分であったが、紫外線(UV)を照射しても貯蔵弾性率(G’)が増大することはなく、室温付近ですでに柔らかくなりすぎて、貯蔵弾性率(G’)の測定が不可となった。その結果、自己修復性については、総じて劣る結果であった。
さらに、樹脂層(A)1が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有するが、紫外線(UV)照射後の105〜150℃の温度範囲全てにおける貯蔵弾性率(G’)が本発明の範囲の下限を下回る比較例3の積層体10は、伸び率は十分であったが、自己修復性については、比較例1よりも優位性は認められたものの、実施例1〜22と比べると劣る結果であった。
1…樹脂層(A)、
2…自己修復性樹脂層(B)、
3…粘着剤層(C)、
4、5…剥離ライナー、
6…ガラス棒、
10…積層体、
20…両面に剥離ライナーを備えた積層体

Claims (6)

  1. 活性エネルギー線の後照射により硬化が可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の一方の面に積層されたウレタン系樹脂組成物を含む活性エネルギー線が透過可能な自己修復性樹脂層(B)と、前記樹脂層(A)のもう一方の面に積層された粘着剤層(C)とを備えた自己修復性積層体であって、
    前記樹脂層(A)は、下記条件(1)で紫外線照射した後に、下記条件(2)で動的粘弾性を測定した際の105〜150℃の温度範囲における貯蔵弾性率(G’)の値が8.0×10〜3.0×10Paの範囲の値となるものであることを特徴とする自己修復性積層体。
    条件(1)
    紫外線照射検体:幅10mm×長さ50mm(厚さ500μm)の樹脂層(A)の両面に剥離ライナーとしてPETフィルム(厚さ50μm)を積層したもの、光源:高圧水銀灯、照度:75mW/cm、積算光量:300mJ/cm
    条件(2)
    動的粘弾性測定検体:条件(1)で紫外線照射した後の樹脂層(A)で剥離ライナーとしてのPETフィルムを剥がしたもの、周波数:1Hz、昇温速度:2℃/分、測定温度範囲:−50℃〜150℃
  2. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、炭素−炭素二重結合および官能基を有するアクリル系粘着性ポリマー、光重合開始剤、ならびに、該官能基と反応する架橋剤を含み、前記炭素−炭素二重結合および官能基を有するアクリル系粘着性ポリマーの炭素−炭素二重結合含有量は、0.33〜2.00meq/gの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の自己修復性を有する積層体。
  3. 前記ウレタン系樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物であり、官能基を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂と該官能基と反応する架橋剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自己修復性を有する積層体。
  4. 前記樹脂層(A)の厚さが20〜50μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の自己修復性を有する積層体。
  5. 請求項3に記載の自己修復性を有する積層体において、少なくとも、前記樹脂層(A)および前記自己修復性樹脂層(B)は、当該樹脂層(A)および当該自己修復性樹脂層(B)に対して離型性を有するシート基材上に、前記樹脂層(A)形成用塗料および前記自己修復性樹脂層(B)形成用塗料をウェットオンウェット法により積層して形成することを特徴とする自己修復性を有する積層体の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の自己修復性を有する積層体を、物品に前記粘着剤層(C)を介して貼り付けた後に、前記積層体の表面(自己修復性樹脂層(B))側から活性エネルギー線を照射して、前記樹脂層(A)を架橋および硬化させることを特徴とする自己修復性を有する積層体の使用方法。
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