JP2021158992A - 微生物由来トリテルペン酸化酵素を用いたグリチルレチン酸の製造方法 - Google Patents

微生物由来トリテルペン酸化酵素を用いたグリチルレチン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、グリチルレチン酸を安価にかつ効率的に製造することができる新たな手法を提供することを目的とする。【解決手段】麹菌のチトクロームP450を11−オキソ−β−アミリンに作用させる工程を含む、グリチルレチン酸の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、麹菌由来のトリテルペン酸化酵素を利用したグリチルレチン酸の製造方法に関する。
グリチルレチン酸やグリチルリチン酸は、抗炎症作用や美白作用といった産業上有用な生理活性を有することが知られており、様々な薬剤や化粧品等において利用されている。グリチルリチン酸は、マメ科植物である甘草の根(甘草根)からアルコール含有水溶液等で抽出・精製することができる。また、グリチルレチン酸は、グリチルリチン酸を硫酸等の強酸で、又は微生物の酵素で加水分解することにより製造することができる(特許文献1、非特許文献1)。
しかし、原料となる甘草の生産が不安定であること、甘草根には不純物が多いためグリチルリチン酸の抽出及び精製が容易ではないこと、ならびに、グリチルリチン酸からグリチルレチン酸への加水分解において、強酸条件による副産物の発生や、微生物由来の酵素を用いることによる夾雑物の混入等、様々な課題を有しており、グリチルリチン酸やグリチルレチン酸を安価に効率よく製造することは容易ではなかった。
このような課題を解決する手法として、グリチルレチン酸の生合成経路に関与し、オレアナン型トリテルペンを酸化する活性を有する酵素をコードする遺伝子が導入された微生物を用いてグリチルレチン酸を製造する方法が開発・報告されている(特許文献2)。
図1に模式的に示すとおり、グリチルレチン酸の生合成の過程は、〈1〉2,3−オキシドスクアレンを開環しβ−アミリンを生成する工程、〈2〉β−アミリンの11位の炭素を酸化して、11−オキソ−β−アミリンを生成する工程、〈3〉(i)11−オキソ−β−アミリンの30位の炭素を酸化して30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリンを生成する工程、(ii)30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリンの30位を酸化してグリチルレトアルデヒドを生成する工程、(iii)グリチルレトアルデヒドの30位を酸化してグリチルレチン酸を生成する工程、を包含する。
特許文献2には、ミヤコグサ(Lotus japonicus)由来のβ−アミリン合成酵素(上記〈1〉の工程の反応を触媒する)、ならびに、カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)由来のβ−アミリン11位酸化酵素(上記〈2〉の工程の反応を触媒する)とβ−アミリン30位酸化酵素(上記〈3〉の工程の反応を触媒する)をコードする遺伝子が導入された形質転換酵母が開示されており、この酵母ではβ−アミリン合成酵素及びβ−アミリン11位酸化酵素により11−オキソ−β−アミリンを生じ、これよりβ−アミリン30位酸化酵素がグリチルレチン酸及びその異性体である20−エピ−グリチルレチン酸を生成したことが記載されている。
しかしながら、このような形質転換酵母におけるグリチルレチン酸の蓄積量は高くなく、また、その量は生合成中間体(β−アミリン、11−オキソ−β−アミリン、30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン、グリチルレトアルデヒド及び30−ヒドロキシ−β−アミリン)や本来酵母が生産するエルゴステロールの蓄積量に基づいて推定される量と比べて低いものであった。
したがって、当該分野においては依然として、グリチルリチン酸やグリチルレチン酸を安価にかつ効率的に製造することができる新たな手法が切望されていた。
中国特許出願公開第101607980号公報 WO2010/024437
Wang,J.et al.,Applied Biochemistry and Microbiology,2010,Vol.46,No.4,pp.421−425
本発明は、グリチルレチン酸を安価にかつ効率的に製造することができる新たな手法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、麹菌Aspergillus oryzae由来のチトクロームP450がオレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有することを見出した。そして、当該酵素を導入して作製した形質転換体を利用してグリチルレチン酸を製造できること、また当該形質転換体を利用することによってグリチルレチン酸の高い蓄積が得られる一方で、20−エピ−グリチルレチン酸といった夾雑物の蓄積は極めて少ないことを見出した。
本発明はこれらの知見に基づくものであり、以下の発明を包含する。
[1] 以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチド:
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド、
を11−オキソ−β−アミリンに作用させる工程を含む、グリチルレチン酸の製造方法。
[2] 細胞内で行なう、[1]の製造方法。
[3] 前記細胞が、前記(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドを発現する形質転換体である、[2]の製造方法。
[4] 前記細胞が、さらに、β−アミリン合成酵素、及び/又は、オレアナン型トリテルペン11位酸化酵素を発現する形質転換体である、[3]の製造方法。
[5] 前記形質転換体の宿主が微生物である、[3]又は[4]の製造方法。
[6] 以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチド:
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド、
を発現する、グリチルレチン酸産生能を有する形質転換体。
[7] さらに、β−アミリン合成酵素、及び/又は、オレアナン型トリテルペン11位酸化酵素を発現する、[6]の形質転換体。
[8] 前記形質転換体の宿主が微生物である、[6]又は[7]の形質転換体。
本発明によれば、グリチルレチン酸を安価にかつ効率的に製造することができる。
図1は、グリチルレチン酸の生合成の過程を模式的に示す。 図2は、下記試料のTMS化物のGC−MS分析のトータルイオンクロマトグラムを示す。(A)CYP5106A1を発現する酵母株と11−オキソ−β−アミリンを接触させた反応から抽出した試料;矢印は30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン(13.0分)、及び、グリチルレチン酸(14.3分)のピークを示す。(B)CYP5106A1を発現しない酵母株と11−オキソ−β−アミリンを接触させた反応から抽出した試料。(C)30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン。(D)グリチルレチン酸。 図3は、下記試料のTMS化物のGC−MS分析のトータルイオンクロマトグラムの下記ピーク付近のマススペクトルを示す。(A)CYP5106A1を発現する酵母株と11−オキソ−β−アミリンを接触させた反応から抽出した試料;13.0分付近ピーク。(B)CYP5106A1を発現する酵母株と11−オキソ−β−アミリンを接触させた反応から抽出した試料;14.3分付近ピーク。(C)30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン;13.0分付近ピーク。(D)グリチルレチン酸;14.3分付近ピーク。 図4は、CYP5106A1のアミノ酸配列(配列番号1)とAnCYP5106A1homologのアミノ酸配列(配列番号135)とAnCYP5106A1homolog(gap−filled)のアミノ酸配列(配列番号136)との配列アライメントの結果を示す。 図5は、形質転換酵母YJT177株及びYJT201株における、29−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン及び20−エピ−グリチルレチン酸について、GC保持時間の測定結果を示す。各ピークはそれぞれ以下を示す:(1):β−アミリン;OA:オレアノール酸(内部標準);(2):11−オキソ−β−アミリン;(3):30−ヒドロキシ−11−オキソ−b−アミリン;(4):29−ヒドロキシ−11−オキソ−b−アミリン;GA:グリチルレチン酸;(6):20−エピ―グリチルレチン酸。
本発明において利用される「ポリペプチド」は、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチドである。「オレアナン型トリテルペン」とは、5環性のオレアナン骨格を有し、6個のイソプレン単位からなるC30のイソプレノイドを意味する。このようなオレアナン型トリテルペンとしては、例えば、オレアノール酸、ヘデラゲニン、β−アミリン、カメリアゲニン、ソヤサポゲノール、サイコゲニン、11−オキソ−β−アミリン、30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン、グリチルレトアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明において、「オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性」とは、特に、11−オキソ−β−アミリンの30位の炭素を酸化して30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリンを生成する反応を触媒する活性、30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリンの30位を酸化してグリチルレトアルデヒドを生成する反応を触媒する活性、及びグリチルレトアルデヒドの30位を酸化してグリチルレチン酸を生成する反応を触媒する活性からなる群から選択される一以上、好ましくは全ての活性を意味する。
本発明において利用される「ポリペプチド」は、上記活性を有するポリペプチドであればよく、特に限定はされないが、例えば、チトクロームP450に属するポリペプチドを利用することができる。チトクロームP450(「シトクロムP450」、「CYP」とも称される)とは、薬物代謝酵素として知られる一群の還元型プロトヘム含有タンパク質酵素をいう。この酵素は、適切な電子伝達体タンパク質(本酵素の場合は、NADPH−チトクロームP450還元酵素またはチトクロームb5を利用する)を介してもたらされるNAD(P)H等の電子供与体に由来する電子と酸素を用いて基質に一酸素原子を結合させ、同時に水を発生させる一原子酸素添加反応を触媒する。本発明においては、Aspergillus属に属する微生物に由来するチトクロームP450を利用することができる。Aspergillus属に属する微生物としては、例えば、Aspergillus oryzae、Aspergillus flavus、Aspergillus minisclerotigenes、Aspergillus parasiticus、Aspergillus noboparasiticus、Aspergillus sergii、Aspergillus transmotanensis、Aspergillus arachidocola、Aspergillus pseudotamarii、Aspergillus pseudocaelatus、Aspergillus caelatus、Aspergillus tamarii等が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明において利用される上記「ポリペプチド」は、具体的には以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドとして特定することができる。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなるポリペプチド。
本ポリペプチドは、配列番号1で表されるアミノ酸配列で示される麹菌Aspergillus oryzaeに由来するチトクロームP450の一分子種である「CYP5106A1」(GenBank:BAJ04467.1にて登録されている)に相当する。
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなり、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド。
ここで「1もしくは数個」とは、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個を意味する。(b)のポリペプチドには、例えば、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有する、(a)に示すCYP5106A1のアミノ酸置換、欠失、もしくは付加変異体等が含まれる(これらに限定はされない)。
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなり、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド。
ここで「配列同一性」とは、配列番号1で表されるアミノ酸配列の全長に対して、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、とりわけ好ましくは99%以上の配列同一性を示すことを意味する。配列同一性は、例えばBLAST、FASTA、CLUSTALW等の周知のプログラムを用いて求めることができる。(c)のポリペプチドには、例えば、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有する、(a)に示すCYP5106A1の他生物種に由来するオルソログ等が含まれる(これらに限定はされない)。
なお、上記(b)及び(c)のポリペプチドにおいて、配列番号1で表されるアミノ酸配列の130〜142番目のアミノ酸残基に対応する配列領域にはアミノ酸の置換、欠失、もしくは付加等の変異は含まれないことが好ましい。当該領域に変異が含まれる場合、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性の低下、又は欠失を生じる場合がある。「対応する配列領域」は、BLAST、FASTA、CLUSTALW等の周知のプログラムを用いた配列アライメントにより同定することができる。
また、本発明において利用される「ポリペプチド」には、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有する限り、前記(a)〜(c)のポリペプチドの断片であってもよい。ここで「ポリペプチドの断片」とは、上記(a)〜(c)のポリペプチドにおいて少なくとも50、100、200、300、又は400アミノ酸の連続する領域を意味する。
本発明のポリペプチドは、例えばAspergillus属に属する微生物から従来公知の方法を用いて取得されたものであってもよいし、あるいは、公知の化学合成法によって合成されたものであってもよく、あるいは、従来公知の遺伝子組換え技術に準じて、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて作製された形質転換体により生合成されたものであってもよい。
特に、(b)及び(c)のポリペプチドは、(a)のポリペプチドに従来公知の手法を用いて変異を導入することによって得ることができる。変異を導入する方法としては、Kunkel法、Gapped duplex法、部位特異的突然変異誘発法、市販の変異導入用キット(例えば、Mutant−K(TaKaRa社)やMutant−G(TaKaRa社))、LA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(TaKaRa社)等を用いた変異導入法、突然変異誘発剤(例えば、メタンスルホン酸エチル、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン等のアルキル化剤)を利用する方法、紫外線を照射する方法等が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明においては、上記のポリペプチドを11−オキソ−β−アミリンに作用させることにより、グリチルレチン酸を製造することができる。
上記のポリペプチドを11−オキソ−β−アミリンに作用させて行うグリチルレチン酸の製造は、インビトロにて、又は細胞内にて行うことができる。インビトロで行う場合には、前記ポリペプチドを、適当な反応液内で11−オキソ−β−アミリンと反応させることによって行うことができる。反応液の組成は、NADPH等の電子供与体、電子伝達体タンパク質等を有し、pH、及び塩濃度等が前記ポリペプチドの至適活性条件にあればよく、特に限定されない。本発明において利用可能な「電子伝達体タンパク質」としては、NADPHを用いて前記ポリペプチドを還元する活性を有するタンパク質であればよく、例えば、NADPH−チトクロームP450還元酵素やチトクロームb5等が挙げられる。「電子伝達体タンパク質」には前記活性を有する限り、当該タンパク質の断片も含まれる。電子伝達体タンパク質の由来となる生物種に限定はない。例えば、NADPH−チトクロームP450還元酵素は、植物のMedicago truncatula、微生物 Aspergillus oryzae、Saccharomyces cerevisiae等に由来するものを利用することができる。また、チトクロームb5は、例えば、植物のGlycyrrhiza uralensis、微生物 Aspergillus oryzae、Saccharomyces cerevisiae等に由来するものを利用することができる。
細胞内で作用させる場合には、上記のポリペプチドを適当な宿主(生物又は細胞)に直接付与して、培養することによって行うことができる。あるいは、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んで構築した発現ベクターを適当な宿主に導入し、得られた形質転換体を培養することによって行うことができる。(a)〜(c)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであればよく、特に限定はされない。例えば、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとして、以下の(d)〜(g)のいずれかのポリヌクレオチドが挙げられる。
(d)配列番号2に示す塩基配列を有するポリヌクレオチド。
配列番号2に示す塩基配列を有するポリヌクレオチドは、前記Aspergillus oryzae由来のCYP5106A1をコードする。
(e)配列番号2に示す塩基配列において1もしくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列であって、前記ポリペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド。
ここで「1もしくは数個」とは、1〜60個、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜15個、さらに好ましくは1〜9個、よりさらに好ましくは3〜6個を意味する。
(f)配列番号2に示す塩基配列に対して80%以上の配列同一性を有する塩基配列であって、前記ポリペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド。
ここで「配列同一性」とは、配列番号2に示す塩基配列の全長に対して、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、とりわけ好ましくは99%以上の配列同一性を示すことを意味する。配列同一性は、例えばBLAST、FASTA、CLUSTALW等の周知のプログラムを用いて求めることができる。
(g)配列番号2に示す塩基配列と相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であって、前記ポリペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド。
ここで「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、15〜750mM、好ましくは15〜500mM、より好ましくは15〜300mMのナトリウム塩の存在下、25〜70℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは55〜68℃の温度にてハイブリダイゼーションを行った後、15〜750mM、好ましくは15〜500mM、より好ましくは15〜300mMのナトリウム塩の存在下、50〜70℃、好ましくは55〜70℃、より好ましくは60〜65℃の温度にて洗浄する条件をいう。
また、本発明において利用されるポリヌクレオチドは、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチドをコードする限り、前記(d)〜(g)のポリヌクレオチドの断片であってもよい。ここで「ポリヌクレオチドの断片」とは、上記(d)〜(g)のポリヌクレオチドの塩基配列において少なくとも150、300、600、900、又は1200塩基の連続する領域を意味する。このような断片には、上記ポリペプチドの断片をコードするものが含まれる。
また、本発明において利用されるポリヌクレオチドは、スプライシングされる前の塩基配列、すなわちイントロンを含むmRNA前駆体に対応する塩基配列を有していてもよい。
本発明において利用されるポリヌクレオチドは、例えばAspergillus属に属する微生物のDNAライブラリー又はゲノムDNAライブラリーより従来公知の手法により取得されたものであってもよいし、あるいは、化学合成法等の従来公知の核酸配列合成法によって合成されたものであってもよい。
特に、(e)及び(f)のポリヌクレオチドは、配列番号2に示す塩基配列に上述の変異を導入する方法で変異を導入することによって得ることができる。
「発現ベクター」は、従来公知の遺伝子組換え技術(Sambrook,J.et.al.,(2012)Molecular Cloning:a Laboratory Manual Fourth Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York)を用いて構築することができ、前記ポリヌクレオチドを適当なベクターに導入して得ることができる。ベクターの種類は特に限定されず、従来公知のベクター、例えば、pESC系、pBI系、pPZP系、pSMA系、pUC系、pBR系、pBluescript系、pTriEXTM系等のプラスミドベクターや、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、インゲンマメモザイクウイルス(BGMV)、タバコモザイクウイルス(TMV)等のウイルスベクター、又はpBI系等のバイナリーベクター等(これらに限定はされない)より、導入する宿主にて利用可能なものを適宜選択することができる。
発現ベクターには、上記ポリヌクレオチドの他に、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター等の発現調節領域を含めることができ、当該発現調節領域に上記ポリヌクレオチドを作動可能に連結することができる。「作動可能に連結する」とは、当該発現調節領域の制御下において上記ポリヌクレオチドが発現されるように、当該ポリヌクレオチドを配置、連結することを意味する。発現ベクターに含めるプロモーター、エンハンサー、ターミネーターの種類は特に限定されず、導入する宿主に応じて従来公知のものを適宜選択することができる。
例えば、プロモーターとしては、宿主が酵母である場合には、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、酵母解糖系遺伝子由来のプロモーター、TPI1プロモーター、ADH2−4cプロモーター等を利用することができる(これらに限定されない)。宿主が真菌である場合には、ADH3プロモーター、tpiAプロモーター等を利用することができる(これらに限定されない)。宿主が細菌である場合には、バチルス・ステアロテルモフィルス・マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子、バチルス・リケニホルミスαアミラーゼ遺伝子、バチルス・アミロリケファチエンス・BANアミラーゼ遺伝子、バチルス・サブチリス・アルカリプロテアーゼ遺伝子若しくはバチルス・プミルス・キシロシダーゼ遺伝子のプロモーター、又はファージ・ラムダのPRもしくはPLプロモーター、大腸菌のlac、trpもしくはtacプロモーター等を利用することができる(これらに限定されない)。
エンハンサーとしては、例えば、SV40エンハンサー、CMVエンハンサー、CaMV 35Sプロモーターのエンハンサー等を利用することができる(これらに限定されない)。
ターミネーターとしては、TEF1ターミネーター、PGK1ターミネーター、CYC1ターミネーター、CaMV 35Sターミネーター、大腸菌リポポリプロテインlppの3’ターミネーター、trpオペロンターミネーター、amyBターミネーター、ADH1遺伝子のターミネーター等を利用することができる(これらに限定されない)。
発現ベクターにはまた、選抜マーカーを含めてもよい。選抜マーカーとしては、薬剤耐性遺伝子(例えば、テトラサイクリン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、等)、蛍光又は発光レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グリーンフルオレッセンスプロテイン(GFP))、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NPT II)、ジヒドロ葉酸還元酵素等を利用することができる(これらに限定されない)。
発現ベクターの宿主への導入は、従来公知の手法、例えば、エレクトロポレーション法、リポソーム法、パーティクルガン法、マイクロインジェクション法、PEG−リン酸カルシウム法等により行うことができる。導入されたポリヌクレオチドは、宿主のゲノムDNA中に組み込まれて保持もしくは一過的に保持されてもよいし、あるいは、発現ベクターに含まれたままで保持もしくは一過的に保持されてもよい。
本発明において利用可能な「宿主」としては、前記ポリペプチドが当該宿主内で機能可能である、及び/又は、発現ベクターにより導入されたポリヌクレオチドが当該宿主内で発現し前記ポリペプチドを産生可能なものであればよく、特に限定はされない。例えば、宿主は、微生物(酵母、大腸菌、枯草菌、真菌等)、植物、動物細胞、昆虫細胞等が挙げられる。微生物としては、好ましくは酵母、大腸菌、枯草菌、真菌等の微生物であり、特に好ましくは酵母である。宿主として微生物を利用することで、容易に培養することがき、大量に増殖させることができるため、簡便に、安定的に、かつ安価にて、グリチルレチン酸を製造することができ有効である。植物としては、好ましくはマメ科植物であり、より好ましくはマメ亜科植物である。本発明において「植物」とは、植物体、植物器官、植物組織、植物細胞、それらの培養物、種子を含む。
宿主がオレアナン型トリテルペンを生合成できないものである場合には、β−アミリン及び11−オキソ−β−アミリンの一又は複数を宿主に直接付与することでグリチルレチン酸を製造できる。あるいは、宿主にオレアナン型トリテルペンの生合成能を付与するために、一以上の適当なオレアナン型トリテルペン合成酵素をコードするポリヌクレオチドを導入することでグリチルレチン酸を製造できる。これにより、本来オレアナン型トリテルペンを生合成できない生物種又は生物細胞も宿主として選択することができ、グリチルレチン酸の製造を可能とする。
上記「オレアナン型トリテルペン合成酵素」としては、β−アミリン合成酵素(本明細書中、「OSC1」と記載する場合がある)、及び、オレアナン型トリテルペン11位酸化酵素が挙げられる。「OSC1」は、2,3−オキシドスクアレンを開環しβ−アミリンを生成する反応を触媒する酵素である。本発明において「OSC1」には、前記酵素の活性を保持する限り、前記酵素の断片も含まれる。「オレアナン型トリテルペン11位酸化酵素」は、β−アミリンの11位の炭素を酸化して、11−オキソ−β−アミリンを生成する反応を触媒する酵素(本明細書中、「CYP88D6」と記載する場合がある)である。本発明において「オレアナン型トリテルペン11位酸化酵素」には、前記酵素の活性を保持する限り、前記酵素の断片も含まれる。OSC1及びオレアナン型トリテルペン11位酸化酵素は、宿主において発現し、機能することができる限り、任意の生物種に由来するものを利用することができる。したがって、OSC1及びオレアナン型トリテルペン11位酸化酵素は同一の生物種に由来するものであってもよいし、それぞれ異なる生物種に由来するものであってもよい。例えば、本発明においてはマメ科植物(ミヤコグサ属等)由来のOSC1と、マメ科植物(カンゾウ属等)由来のオレアナン型トリテルペン11位酸化酵素を利用することができる。
一以上の適当なオレアナン型トリテルペン合成酵素をコードするポリヌクレオチドは、上記オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチドコードするポリヌクレオチドと同じ発現ベクターに含めて宿主に導入してもよいし、あるいは、それぞれ別々の発現ベクターに含めて宿主に導入してもよい。各ポリヌクレオチドの発現は、それぞれ独立に、又は同調して制御してもよい。独立した発現制御は、例えば、前記ポリヌクレオチドをそれぞれ誘導条件の異なるプロモーターに連結する、又は発現強度の異なるプロモーターに連結することにより達成できる。同調的発現制御は、例えば、それぞれのポリヌクレオチドを同一種のプロモーターに連結することで達成できる。
また、宿主が上記電子伝達体タンパク質を持たない場合は、上記電子伝達体タンパク質を直接付与してもよいし、あるいは、当該電子伝達体タンパク質をコードするポリヌクレオチドを宿主に導入してもよい。当該電子伝達体タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、宿主において発現し、機能することができる限り、任意の生物種に由来するものを利用することができる。したがって、当該電子伝達体タンパク質をコードするポリヌクレオチドとして、NADPH−チトクロームP450還元酵素をコードするポリヌクレオチド及びチトクロームb5をコードするポリヌクレオチドを用いる場合、各ポリヌクレオチドは同一の生物種に由来するものであってもよいし、それぞれ異なる生物種に由来するものであってもよい。電子伝達体タンパク質をコードするポリヌクレオチドの宿主への導入は発現ベクターを用いて行うことができる。電子伝達体タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、前記(a)〜(c)をコードするポリヌクレオチドと同一の発現ベクターであってもよいし、異なる発現ベクターであってもよい。各ポリヌクレオチドの発現は、それぞれ独立に、又は同調して制御してもよい。独立した発現制御は、例えば、前記ポリヌクレオチドをそれぞれ誘導条件の異なるプロモーターに連結する、又は発現強度の異なるプロモーターに連結することにより達成できる。同調的発現制御は、例えば、それぞれのポリヌクレオチドを同一種のプロモーターに連結することで達成できる。
宿主又は形質転換体の培養は、用いた宿主に適した条件下にて培養する。培地には、炭素源(例えば、グルコース、グリセリン、マンニトール、フルクトース、ラクトース、エタノール、酢酸等)、窒素源(例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の無機窒素、カゼイン分解物、酵母抽出物、ポリペプトン、バクトトリプトン、ビーフ抽出物等の有機窒素源)、無機塩(例えば、二リン酸ナトリウム、二リン酸カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等)、ビタミン(ビタミンB1等)、薬剤(アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン等の抗生物質)等を適宜配合することができる。培地は用いた宿主に適した公知のものを利用することが可能であり、宿主として酵母を使用した場合には、YPD培地、YPM培地、YPG培地、YPDM培地、SMM培地等を用いることができる。また、β−アミリン及び11−オキソ−β−アミリンの一又は複数を宿主に直接付与する場合には、これらの化合物を培地中に含めることによって行ってもよいし、あるいは、β−アミリン及び/又は11−オキソ−β−アミリンを産生する他の微生物と一緒に培養することによって行ってもよい。
培養は、10〜50℃の温度にて、必要に応じて通気、攪拌しながら、数時間〜数日間行うことができる。
培養される宿主又は形質転換体の細胞内において、前記Aspergillus oryzae由来のオレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチドは、11−オキソ−β−アミリンに作用して30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリンを生成し、30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリンに作用してグリチルレトアルデヒドを生成し、及び、グリチルレトアルデヒドに作用してグリチルレチン酸を生成する。当該ポリペプチドを利用したグリチルレチン酸の生成反応においては、夾雑物(例えば、20−エピ−グリチルレチン酸等)の生成を抑えることができ、純度の高いグリチルレチン酸を製造することができる。
培養後、製造されたグリチルレチン酸は、固相抽出、液液分配抽出、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の分離、精製手段の一又は複数を用いて回収することができる。
以下、本発明を実施例により、更に詳しく説明する。
<実施例1>Aspergillus oryzae RIB40由来CYP5106A1を発現する酵母株の構築
麹菌Aspergillus oryzae RIB40株(NBRC100959)のmRNAを用いて構築したCYP5106A1遺伝子を含むpUC18プラスミドDNA(Nazir,K.H.M.N.H.,et al.,Arch.Microbiol.,192,395−408,2010)を鋳型として、2種類のプライマーCYP5106A1−F(CCTCTTTTGCGTCAGCACTCAT)(配列番号3)及びCYP5106A1−R(GGGCTCTAGACTATCGCCCCACCCA))(配列番号4)と混合後、Phusion DNA polymerase(New England Biolabs社)により、96℃で3分間処理した後、(96℃、30秒間→55℃、20秒間→72℃、60秒間)×40サイクルからなるPCRを行った。PCR溶液を電気泳動し、約1.6kbの増幅断片をQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社)で精製した。このDNA断片をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(タカラバイオ社)で処理したのち、XbaI(タカラバイオ社)で消化した。得られたDNA断片を、発現用プラスミドDNA(Nazir,K.H.M.N.H.,et al.,Appl.Environ.Microbiol.,77,3147−3150,2011)をPshAI(タカラバイオ社)及びSpeI(タカラバイオ社)で
線状化して得られたDNA断片と混合してライゲーション反応を行い、GAPDHプロモーター下流でCYP5106A1を発現するプラスミドを構築した。得られたCYP5106A1発現プラスミドのDNAを用いて、FastTM−Yeast Transforomation Kit(G−Biosciences社)により出芽酵母Saccharomyces cerevisiae AH22株(MATa leu2−3 leu2−112 his4−519 can1)を形質転換し、CYP5106A1遺伝子を発現する酵母株を構築した。
<実施例2>Aspergillus oryzae由来CYP5106A1を発現する酵母株の11−オキソ−β−アミリン酸化活性の確認
<実施例1>にて構築した酵母株を1リットル中に80gグルコース、26.8g酵母ニトロゲンベース(アミノ酸不含)(ForMedium社)、1.0g DO Supplement(−Leu)(タカラバイオ社)、66mg 5−アミノレブリン酸(富士フイルム和光純薬社)、及び、0.1gの11−オキソ−β−アミリンを含む人工培地500μlに植菌し、暗所下、28℃にて振盪培養した。3日間後、200μlの培養液を取り出して等容のアセトン:メタノール(1:1)溶液と混合したのち、全量を濾過(孔径0.45μm、ワットマン社)した。濾液に800μlの酢酸エチル(富士フイルム和光純薬社)を添加して激しく振盪したのち、上層(有機層)を回収した。これを3回繰り返し、得られた有機層の溶媒を減圧乾燥にて除去し、残渣を乾固した。この残渣をN−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(シグマ―アルドリッチ社製、以後、MSTFA)50μlとN,N’−ジメチルホルムアミド50μlの添加により溶解し、60℃、30分間加熱によりトリメチルシリル化反応(以後、TMS化)したものを測定試料とした。また、30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン及びグリチルレチン酸(富士フイルム和光純薬社)についてもそれぞれ同様にTMS化して測定試料を作製した。これらをGC−MS(分析条件は下記表1)にて分析したところ、CYP5106A1を発現する酵母株と11−オキソ−β−アミリンを接触させた反応から抽出した試料のトータルイオンクロマトグラムでは、30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン(13.0分)、及び、グリチルレチン酸(14.3分)のTMS化物と同じリテンションタイムにピークが検出された(図2)。また、これら二つのピークのマススペクトルはそれぞれ30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン及びグリチルレチン酸TMS化物と一致した(図3)。他方、CYP5106A1遺伝子を持たないコントロール酵母と11−オキソ−β−アミリンの培養から抽出し、TMS化した試料のGC−MSではこれらに該当するピークを検出できなかったことから、CYP5106A1が11−オキソ−β−アミリンの30位酸化活性を有しており、これを発現する酵母では11−オキソ−β−アミリンから30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン及びグリチルレチン酸を生産できることが示された。上記試験に用いた基質の調製及び同定はSeki,H.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,105,14204−14209,2008、及び、Seki,H.,et al.,Plant Cell,23,4112−4123,2011に記載の方法に基づいて実施した。
Figure 2021158992
<実施例3>酵母株の構築
出芽酵母YPH500(MATalpha ura3−52 lys2−801amber ade2−101ochre trp1−Δ63 his3−Δ200 leu2−Δ1)はナショナルバイオリソースプロジェクト(以後、NBRP)から分譲された。以下、出芽酵母の形質転換は、Frozen−EZ Yeast Transformation II(Zymo Research社)を用いて行った。
<実施例4>pPerg7_HIS3_Pmet3_ERG7ベクターの構築
出芽酵母BY4742(MATalpha leu2Δ ura3Δ his3−Δ1 lys2Δ、Open Biosystems社)よりYeast DNA Extraction Kit(Thermo Fisher Scientific社)を用いてゲノムDNAを調製した。このDNAを鋳型として、KOD Plus Neo DNAポリメラーゼ(TOYOBO社)を用い、Pmet−F2(GATCGAGCTCTTTAGTACTAACAGAGACTTTTGTCA)(配列番号5)及びPmet−R3(AAATTCTGTCATAAGCTTAATTATACTTTATTCTTGTTA)(配列番号6)の両プライマーにて、PCRをおこないMet3遺伝子プロモーター領域のDNA断片を増幅し、増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社)で精製し約0.5kbpのDNA断片を取得した。
続いて、同じゲノムDNAを鋳型として、ERG7−F1(AATTAAGCTTATGACAGAATTTTATTCTGACAC)(配列番号7)およびERG7−R1(GATCGTCGACAAGCGTATGTGTTTCATATGCC)(配列番号8)の両プライマーにて、KOD Plus Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりERG7遺伝子DNA断片を増幅し、増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで約2.2kbpのDNAを精製した。Met3遺伝子プロモーター領域のDNA断片およびERG7遺伝子DNA断片を混合し、Pmet−F2(GATCGAGCTCTTTAGTACTAACAGAGACTTTTGTCA)(配列番号5)及びERG7−R1(GATCGTCGACAAGCGTATGTGTTTCATATGCC)(配列番号8)の両プライマーにて、KOD Plus Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRにより、Met3遺伝子プロモーター_ERG7遺伝子(以後、Pmet3_ERG7断片)DNA断片を増幅し、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約2.7kbpのDNA断片を取得した。次に、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(タカラバイオ社)を用い、ベクターpYES−DEST52(Invitrogen社)DNAを鋳型として、pYES−URAt−R(AAAACTGTATTATAAGTAAATGCATG)(配列番号9)及びpYES−XhoI−F1(CTCGAGCATGCATCTAGAGGGCCGCATCATG)(配列番号10)の両プライマーとして、KOD Plus Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりpYES由来Amp−pUC oriを含むDNA断片(以後、Amp−pUC ori断片)を増幅し、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約2.2kbpのDNAを取得した。このあと、出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型として、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼ(TOYOBO社)を用い、Perg7−340F(TTATAATACAGTTTTGTTAACATTACTATTAAATTCTCAA)(配列番号11)及びPerg7−R(AGCTCACTAGTCGACCTGTTTTGTACTTTCTTTGTG)(配列番号12)の両プライマーにて、PCRによりERG7遺伝子プロモーター領域を増幅し、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し約0.34kbpのDNA断片(以後、Perg7断片)を取得した。また、ベクターpESC−His(Stratagene社)DNAを鋳型といて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用い、His−F(GTCGACTAGTGAGCTCAGATTGTACTGAGAGTGCAC)(配列番号13)及びHis−R(ATCGATAAGCTAGCTTCTCCTTACGCATCTGTGC)(配列番号14)の両プライマーにて、HIS3遺伝子DNA断片を増幅し、約0.9kbpのDNA(以後、HIS3断片)を取得した。
先に得られたPmet3_ERG7断片を鋳型といて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用い、Pmet−F5(AGCTAGCTTATCGATTTAGTACTAACAGAGACTTTTG)(配列番号15)及びERG7−HpaI−R(AGATGCATGCTCGAGGTTAACAGGTGCTATACACAAG)(配列番号16)の両プライマーにて、PCRを行い、Pmet3_ERG7の3’部位に制限酵素HpaI部位を追加したDNA断片(以後、Pmet3_ERG7_HpaI断片)を増幅し、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製した。
つぎに、Perg7のDNA断片及びHIS3断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、Perg7−340F(TTATAATACAGTTTTGTTAACATTACTATTAAATTCTCAA)(配列番号11)及びHis−R(ATCGATAAGCTAGCTTCTCCTTACGCATCTGTGC)(配列番号14)の両プライマーを添加してさらにPCR反応を続けることで、Perg7_HIS3のDNAを増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、Perg7_HIS3に相当する約1.3kbpのDNA断片を取得した。
続いて、Perg7_HIS3とPmet3_ERG7_HpaIのDNA断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、Perg7−340F(TTATAATACAGTTTTGTTAACATTACTATTAAATTCTCAA)(配列番号11)及びERG7−HpaI−R(AGATGCATGCTCGAGGTTAACAGGTGCTATACACAAG)(配列番号16)の両プライマーを添加してさらにPCR反応を続けることで、Perg7_HIS3−Pmet3_ERG7のDNAを増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、Perg7_HIS3−Pmet3_ERG7に相当する約4.0kbpのDNA断片を取得した。さらに、得られたPerg7_HIS3−Pmet3_ERG7とAmp−pUC ori断片を、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpPerg7_HIS3−Pmet3_ERG7を構築した。
<実施例5>プラスミドpESC−His−GuCPR1−GuCYB5の構築
GeneArtTMStringsTM DNA Fragments合成(Invitrogen社)にてウラルカンゾウ由来CPR1(GenbankにQCZ35624.1で登録;配列番号137)をコードする遺伝子(以後、GuCPR1;配列番号138)をその5’末端と3’末端の非翻訳領域にそれぞれ制限酵素SacI及びNotI部位を構築する配列のDNA断片を合成した。得られたDNA断片を、制限酵素SacI及びNotIで消化したpESC−Hisベクター(Stratagene社))のDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、Gal10プロモーター下流にGuCPR1を接続したpESC−His−GuCPR1を構築した。
次にクソニンジン由来チトクロームB5(Paddon,C.J.,et al.,Nature.,496,528−532,2013、GenPept登録AFX82679.1;配列番号139)とアミノ酸配列一致性の高いポリペプチドをGlycyrrhiza uralensis database(http://ngs−data−archive.psc.riken.jp/Gur/blast.pl)にて探索し、アミノ酸配列一致性が78%であるポリペプチド(Unigene23309、以後、GuCYB5(配列番号140))を見出した。これをGeneArtTMStringsTM DNA Fragments合成にてこのGuCYB5をコードする遺伝子(配列番号141)をその5’末端と3’末端の非翻訳領域にそれぞれ制限酵素SalI及びXhoI部位を構築する配列のDNA断片を合成した。得られたDNA断片を、制限酵素SalI及びXhoIで(いずれもタカラバイオ社)消化したpESC−His―GuCPR1のDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、Gal1プロモーター下流にGuCYB5を接続したpESC−His−GuCPR1−GuCYB5を構築した。
<実施例6>プラスミドpPerg7−Pgal1_GuCYB5−Pgal10_GuCPR1−HIS3−Pmet_ERG7の構築
<実施例5>にて得られたプラスミドpESC−His−GuCPR1−GuCYB5を鋳型として、Tcyc1−R−SalI(TACAAAACAGGTCGACTTCGAGCGTCCCAAAACC)(配列番号17)及びpESC−His−1881−F(TCTCAGTACAATCTGTCCATTCGCCATTCAGGCTG)(配列番号18)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRを行い、GuCPR1及びGuCYB5の発現ユニットを増幅した。これを<実施例4>で構築したpPerg7−HIS3−Pmet3_ERG7を制限酵素SalI及びSacI(いずれもタカラバイオ社)で消化して得られるDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合して、プラスミドpPerg7−Pgal1_GuCYB5−Pgal10_GuCPR1−HIS3−Pmet3_ERG7t3_ERG7を構築した。
<実施例7>erg7::Pgal1_GuCYB5−Pgal10_GuCPR1−HIS3−Pmet3_ERG7のDNA断片取得
<実施例6>にて得られたプラスミドpPerg7−Pgal1_GuCYB5−Pgal10_GuCPR1−HIS3−Pmet3_ERG7を制限酵素HpaI(タカラバイオ社)で消化し、erg7::Pgal1_GuCYB5−Pgal10_GuCPR1−HIS3−Pmet3_ERG7のDNA断片を取得した。
<実施例8>プラスミドpPgal1_ERG20−Pgal10_ERG9−Pgal1_ERG1の構築
ベクターpESC−HisのDNAを鋳型として、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用い、GAL10−EcoRI−F(gaattcgaattttcaaaaattcttac)(配列番号19)及びGAL1−BamH−R(ggatccggggttttttctcc)(配列番号20)の両プライマーにて、Gal10プロモーター及びGal1プロモーターを含む領域のDNA断片を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで精製し約0.7kbpのDNA断片(Pgal10−Pgal1)を取得した。また、pESC−HisのDNAを鋳型として、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用い、pESC−His3089−F(GCTTGGTACCGCGGCTAGC)(配列番号21)およびpESC−His−3430R(TGAGCTGATACCGCTCGCC)(配列番号22)の両プライマーにて、CYC1ターミネーターを含む領域を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで精製し約0.3kbpのDNA断片(以後、CYC1ターミネーターDNA断片−a)を取得した。同様に、pESC−His1751−F(GCCGGCGAACGTGGCGAGAAAG)(配列番号23)およびpESC−His−2268−R(GAGCTCTTAATTAACAATTCTTCG)(配列番号24)の両プライマーにて、ADH1ターミネーターを含む領域を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで精製し約0.5kbpのDNA断片を取得した。次にベクターpYES−DEST52を鋳型としてPrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用い、DEST52−GAL1p−DraIII−F(agggcgatggcccactacgtgACGGATTAGAAGCCGCCGAG)(配列番号25)及びGAL1−BamH−R(ggatccggggttttttctcc)(配列番号20)の両プライマーにて、Gal1プロモーター含む領域を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで精製し約0.3kbpのDNA断片(CYC1ターミネーターDNA断片−b)を取得した。pYES−CYC1t−F(TCTAGAGGGCCGCATCATGT)(配列番号26)およびpYES−CYC1t−R(cgccacgttcgccggCAGCTTGCAAATTAAAGCCT)(配列番号27)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRを行い、CYC1ターミネーターDNA断片−bを増幅しMinElute Gel Extraction Kitで精製し取得した。
さらに、出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型として、ERG1−GAL1−F(gagaaaaaaccccggatccATGTCTGCTGTTAACGTTGCAC)(配列番号28)及びERG1−CYC1t−R(GCTAGCCGCGGTACCAAGCttaaccaatcaactcaccaaaca)(配列番号29)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりERG1遺伝子のDNA断片を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約1.5kbpのDNA(ERG1断片)を精製し取得した。同様にERG9−GAL10−F(aagaatttttgaaaattcgaattcATGGGAAAGCTATTACAATTGGC)(配列番号30)及びERG9−ADH1t−R(GAAGAATTGTTAATTAAGAGCTCtcacgctctgtgtaaagtgta)(配列番号31)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりERG9遺伝子のDNA断片を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約1.3kbpのDNA(ERG9断片)を精製し取得した。さらに同様に、ERG20−GAL1−F(gagaaaaaaccccggatccATGGCTTCAGAAAAAGAAATTAGG)(配列番号32)及びERG20−CYC1t−R(CATGATGCGGCCCTCTAGActatttgcttctcttgtaaactttg)(配列番号33)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりERG20のDNA断片を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約1.1kbpのDNA(ERG20断片)を取得した。
続いて同様に、Trp−303−His3430−F(ggcgagcggtatcagctcaATAGCTTGTCACCTTACGTAC)(配列番号34)及びTrp−PmacI−His−3435−R(accgtattaccgcctCACGTGCTCAATAGTCACC)(配列番号35)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりTRP1遺伝子の5‘非翻訳領域(以後、TRP1_5’linker)を増幅したのち、MinElute Gel Extraction Kitで約約0.1kbpのDNAを精製し取得した。次にこのDNAを鋳型にGAL1−CYC1t−F(gagaaaaaaccccggatccgagCTCGAGCGGTATCAGCTCAA)(配列番号36)及びTrp−PmacI−His−3435−R (accgtattaccgcctCACGTGCTCAATAGTCACC)(配列番号35)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRを行い、末端にGAL1プロモーターの3’末端と相補する配列を有するTRP1_5‘linkerを増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約0.1kbpのDNAを精製し取得した。このDNA断片とベクターpYES−DEST52を鋳型として増幅したGAL1プロモーターのDNA断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、pESC−DraIII−F(agggcgatggcccactac)(配列番号37)及びTrp−PmacI−His−3435−R(accgtattaccgcctCACGTGCTCAATAGTCACC)(配列番号35)の両プライマーを添加して、さらにPCR反応を続けることで、GAL1プロモーター_TRP1_5’linkerのDNA断片を接続したDNAを増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約1.5kbpのDNA断片を取得した。次にpESC−TRP(Stratagene社)のDNAを鋳型にpESC−His3435−F(aggcggtaatacggttatcc)(配列番号38)及びpESC−DraIII−R(gtgggccatcgccctgatag)(配列番号39)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA PolymeraseによりpESC−TRPプラスミドのADH1ターミネーターからCYC1ターミネーターを除く領域を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約4.7kbpのDNA断片を取得した。このDNA断片とGAL1プロモーター_TRP1_5‘linkerのDNA断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、GAL1プロモーター_TRP1_5‘linkerをpESC−TRPに挿入したプラスミド(以後、pESC−TRP−Pgal1_TRP1linker)を構築した。このプラスミドDNAを制限酵素BamHI及びXhoIで消化し、pESC−TRP−Pgal1_TRP1linkerのDNA断片を得た。pESC−TRPを鋳型として増幅したADH1ターミネーターのDNA断片とCYC1ターミネーターDNA断片−bを混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、pYES−CYC1t− F (TCTAGAGGGCCGCATCATGT)(配列番号26)およびpESC−His−2268−R(GAGCTCTTAATTAACAATTCTTCG)(配列番号24)を添加してさらにPCR反応を続けることで、ADH1ターミネーターとCYC1ターミネーターDNA断片−b(以後、Tcyc1−b−Tadh1)を接続したDNAを増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約0.6kbpのDNA断片を取得した。Tcyc1−b−Tadh1のDNA断片及びERG20のDNA断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG20−GAL1−F2(aaaaaaccccggatccATGGCT)(配列番号40)とpESC−His−2260−R(AATTAACAATTCTTCGCCAGAG)(配列番号41)の両プライマーを添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG20_Tcyc1−b−Tadh1のDNAを増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約1.7kbpのDNA断片を取得した。次に、Pgal10−Pgal1のDNA断片及びERG9のDNA断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG9−ADH1t−R(GAAGAATTGTTAATTAAGAGCTCtcacgctctgtgtaaagtgta)(配列番号31)およびGAL1−BamH−R(ggatccggggttttttctcc)(配列番号20)を添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG9をPgal10の下流に接続したERG9_Pgal10−Pgal1断片を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約2.0kbpのDNA断片を取得した。また、ERG1のDNA断片及びCYC1ターミネーターDNA断片−aを混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG1−GAL1−F(gagaaaaaaccccggatccATGTCTGCTGTTAACGTTGCAC)(配列番号28)およびpESC−His−3430R(TGAGCTGATACCGCTCGCC)(配列番号22)を添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG1の下流にCYC1ターミネーターDNA断片−aを接続したERG1_Tcyc1−a断片を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約1.8kbpのDNA断片を取得した。そして、ERG9_Pgal10−Pgal1断片及びERG1_Tcyc1−a断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG9−ADH1t−R(GAAGAATTGTTAATTAAGAGCTCtcacgctctgtgtaaagtgta)(配列番号31)およびCYC1t−XhoI−3430R(GCTGATACCGCTCGAGgcagccgaac)(配列番号42)を添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG9_Pgal10−Pgal1_ERG1_Tcyc1を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約3.8kbpのDNA断片を取得した。上記で得たpESC−TRP−Pgal1_TRP1linkerのDNA断片及びERG9_Pgal10−Pgal1_ERG1_Tcyc1断片並びにERG20_Tcyc1−b−Tadh1断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、Pgal1_ERG20_Tcyc1−Tadh1_ERG9_Pgal10−Pgal1_ERG1_Tcyc1の断片がpESC−TRPに挿入されたプラスミドpPgal1_ERG20−Pgal10_ERG9−Pgal1_ERG1を構築した。
<実施例9>pTrp1Geneプラスミドの構築
出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型にTrp−BglII−F(acgaggccctttcgtGTTTAAACAGCAGATCTGATGACTGGTC)(配列番号43)およびTrp−BglII−R(accgtattaccgcctGTTTAAACAGATCTTTTATGCTTGC)(配列番号44)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりプロモーター領域を含むTRP1遺伝子約1.4kbpのDNA断片を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約1.4kbpのDNAを精製し取得した。次にpESC−TRPベクターDNAを鋳型として、pESC−His3435−F(aggcggtaatacggttatcc)(配列番号38)及びpESC−trp−6526R(acgaaagggcctcgtgatac)(配列番号45)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりTRP1遺伝子を含まないpESCベクター領域のDNA断片を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約5.8kbpのDNAを精製し取得した。BY4742のゲノムDNAよりPCRで増幅したTRP1遺伝子DNA及びpESC−TRPより増幅したTRP1以外の領域のDNAを混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合しpTrp1Geneプラスミドを得た。
<実施例10>trp1::Pgal1_ERG20−Pgal10_ERG9−Pgal1_ERG1−TRP1のDNA断片取得
<実施例8>により得られたプラスミドpPgal1_ERG20−Pgal10_ERG9−Pgal1_ERG1のDNA断片を制限酵素DraIII(New England Biolab社)及びXhoIで消化し、Pgal1_ERG20−Pgal1
0_ERG9−Pgal1_ERG1のDNA断片を得た。<実施例9>により得られたpTrp1GeneのDNAを鋳型として、Ptrp−225−F(gttcggctgcCTCGAATATATGTGTACTTTGCAGT(配列番号46))およびPtrp−373−R(CTTCTAATCCGTCACTGTCAGCTCTTTTAGATCGG(配列番号47))の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりpESCベクター含むDNA断片を増幅した。これらをIn−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いIn−Fusion反応して、Pgal1_ERG20−Pgal10_ERG9−Pgal1_ERG1のDNA断片をpTrp1GeneのTRP1プロモーター上流(−373〜−225領域)に挿入したプラスミドpTrp−ERG20−9−1を構築した。このプラスミドDNAを制限酵素BglII(タカラバイオ社)で消化し、trp1::Pgal1_ERG20−Pgal10_ERG9−Pgal1_ERG1−TRP1のDNA断片を取得した。
<実施例11>プラスミドpPgal1_ERG10−Pgal10_ERG19−Pgal1_ERG12の構築
出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型として、ERG10−GAL1−F(gagaaaaaaccccggatccATGTCTCAGAACGTTTACATTG)(配列番号48)およびERG10−CYC1t−R(CATGATGCGGCCCTCTAGATCATATCTTTTCAATGACAATAGAG)(配列番号49)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりERG10のDNA断片を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約1.2kbpのDNA(ERG10断片)を取得した。同様に、ERG12−GAL1−F(gagaaaaaaccccggatccATGTCATTACCGTTCTTAACTTC)(配列番号50)、ERG12−CYC1t−R(GCTAGCCGCGGTACCAAGCTTATGAAGTCCATGGTAAATTCG)(配列番号51)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりERG12のDNA断片を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約1.3kbpのDNA(ERG12断片)を取得した。さらに同様に、ERG19−GAL10−F(aagaatttttgaaaattcgaattcATGACCGTTTACACAGCATCC)(配列番号52)およびERG19−ADH1t−R(GCTCTTAATTAACAATTCTTCGTTATTCCTTTGGTAGACCAGTCT)(配列番号53)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりERG19のDNA断片を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約1.2kbpのDNA(ERG19断片)を取得した。<実施例8>で作製したTcyc1−b−Tadh1のDNA断片及びERG10のDNA断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG10−GAL1−F2(aaaaaaccccggatccATGTCT)(配列番号54)及びADH1t−Link−R(TTGTTAATTAAGAGCAGAGGTTTGGTCAAGTC)(配列番号55)の両プライマーを添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG10_Tcyc1−b−Tadh1のDNAを増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約1.8kbpのDNA断片を取得した。次に、<実施例8>で得たPgal10−Pgal1のDNA断片及びERG19のDNA断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG19−ADH1t−R(GCTCTTAATTAACAATTCTTCGTTATTCCTTTGGTAGACCAGTCT)(配列番号53)およびGAL1−BamH−R(ggatccggggttttttctcc)(配列番号20)を添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG19をPgal10の下流に接続したERG19_Pgal10−Pgal1断片を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約1.9kbpのDNA断片を取得した。また、ERG12のDNA断片及び<実施例8>で得たCYC1ターミネーターDNA断片−aを混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG12−GAL1−F(gagaaaaaaccccggatccATGTCATTACCGTTCTTAACTTC)(配列番号50)及びpESC−His−3430R(TGAGCTGATACCGCTCGCC)(配列番号22)を添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG12の下流にCYC1ターミネーターDNA断片−aを接続したERG12_Tcyc1−a断片を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約1.6kbpのDNA断片を取得した。そして、ERG19_Pgal10−Pgal1断片及びERG12_Tcyc1−a断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG19−ADH1t−R(GCTCTTAATTAACAATTCTTCGTTATTCCTTTGGTAGACCAGTCT)(配列番号53)およびCYC1t−XhoI−3430R(GCTGATACCGCTCGAGgcagccgaac)(配列番号42)を添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG19_Pgal10−Pgal1_ERG12_Tcyc1を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約3.5kbpのDNA断片を取得した。<実施例8>で得たpESC−TRP−Pgal1_TRP1linkerのDNA断片及びERG19_Pgal10−Pgal1_ERG12_Tcyc1断片並びにERG10_Tcyc1−b−Tadh1断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、Pgal1_ERG10_Tcyc1−Tadh1_ERG19_Pgal10−Pgal1_ERG12_Tcyc1の断片がpESC−TRPに挿入されたプラスミドpPgal1_ERG10−Pgal10_ERG19−Pgal1_ERG12を構築した。
<実施例12>pUra3Geneプラスミドの構築
出芽酵母INVSc1(MATa his3Δ1 leu2 trp1−289 ura3−52/Matalpha hisΔ1 leu2 trp1−289 ura3−52、Invitrogen社)からYeast DNA Extraction Kitを用いてゲノムDNAを抽出した。そのゲノムDNAを鋳型として、Ura−SmaI−F(acgaggccctttcgtCCCGGGCGGATTACTACCGTTG)(配列番号56)及びUra−600−F_C(CTGTTCGGAGATTACCGAATC)(配列番号57)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりURA3遺伝子のプロモーター及びその上流領域を含む領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約0.6kbpのDNAのDNA断片を取得した。プラスミドpESC−Ura(Stratagene社)のDNAを鋳型として、Ura−600−F(GATTCGGTAATCTCCGAACAG)(配列番号58)及びUra−SmaI−R(accgtattaccgcctCCCGGGTAATAACTGATATAATTAAATTG)(配列番号59)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりUra3遺伝子の後半部分を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約1.0kbpのDNAのDNA断片を取得した。これらのDNA断片を混合して鋳型とし、Ura−SmaI−F(acgaggccctttcgtCCCGGGCGGATTACTACCGTTG(配列番号56)及びUra−SmaI−R(accgtattaccgcctCCCGGGTAATAACTGATATAATTAAATTG)(配列番号59)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりUra3プロモーター及びその上流領域並びにURA3遺伝子を含むDNAを増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約1.6kbpのDNAのDNA断片を取得した。このDNA断片と<実施例9>で作製したpESC−TrpからTRP1を除いた約5.88kbpのDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、pUra3Geneプラスミドを構築した。
<実施例13>ura3::Pgal1_ERG10−Pgal10_ERG19−Pgal1_ERG12−URA3のDNA断片取得
<実施例11>で構築したpPgal1_ERG10−Pgal10_ERG19−Pgal1_ERG12のDNAを鋳型として、pESC−DraIII−F(agggcgatggcccactac)(配列番号37)およびCYC1t−XhoI−3430−R(GCTGATACCGCTCGAGgcagccgaac)(配列番号42)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりPgal1_ERG10−Pgal10_ERG19−Pgal1_ERG12を含む領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約5.6kbpのDNA断片を取得した。<実施例12>で構築したpUra3GeneプラスミドのDNAを鋳型として、Pura−239−F(TCGAGCGGTATCAGCGGTTTCAGGGTCCATAAAGC)(配列番号60)およびPura−239−R(gtgggccatcgccctCCACAGCCACATTAACCTTC)(配列番号61)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりpUra3Gene全体を増幅し、MinElute Gel Extraction KitでDNA断片を取得した。これらのDNA断片を混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、Pgal1_ERG10−Pgal10_ERG19−Pgal1_ERG12をpUra3GeneのURA3プロモーター上流領域に挿入したプラスミドpUra−ERG10−19−12を構築した。そしてpUra−ERG10−19−12プラスミドDNAを制限酵素SmaI(タカラバイオ社)で消化し、ura3
::Pgal1_ERG10−Pgal10_ERG19−Pgal1_ERG12−URA3のDNA断片を取得した。
<実施例14>プラスミドpPgal1_IDI1−Pgal10_ERG13−Pgal1_ERG8の構築
出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型として、ERG8−GAL1−F(gagaaaaaaccccggatccATGTCAGAGTTGAGAGCCTTC)(配列番号62)及びERG8−CYC1t−R(GCTAGCCGCGGTACCAAGCTTATTTATCAAGATAAGTTTCCGG)(配列番号63)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりERG8のDNA断片を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約1.4kbpのDNA(ERG8断片)を取得した。同様に、ERG13−GAL10−F(aagaatttttgaaaattcgaattcATGAAACTCTCAACTAAACTTTGTT)(配列番号64)及びERG13−ADH1t−R(GCTCTTAATTAACAATTCTTCGTTATTTTTTAACATCGTAAGATCTTC)(配列番号65)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりERG13のDNA断片を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約1.5kbpのDNA(ERG13断片)を取得した。さらに同様に、IDI1−GAL1−F(gagaaaaaaccccggatccATGACTGCCGACAACAATAGTA)(配列番号66)およびIDI1−CYC1t−R(CATGATGCGGCCCTCTAGATTATAGCATTCTATGAATTTGCCTG)(配列番号67)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりIDI1のDNA断片を増幅しMinElute Gel Extraction Kitで約0.9kbpのDNA(IDI1断片)を取得した。<実施例8>で作製したTcyc1−b−Tadh1のDNA断片及びIDI1のDNA断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、IDI1−GAL1−F2(aaaaaaccccggatccATGACT)(配列番号68)とADH1t−Link−R(TTGTTAATTAAGAGCAGAGGTTTGGTCAAGTC)(配列番号55)の両プライマーを添加してさらにPCR反応を続けることで、IDI1_Tcyc1−b−Tadh1のDNAを増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約1.5kbpのDNA断片を取得した。次に、<実施例8>で得たPgal10−Pgal1のDNA断片及びERG13のDNA断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG13−ADH1t−R(GCTCTTAATTAACAATTCTTCGTTATTTTTTAACATCGTAAGATCTTC)(配列番号65)及びGAL1−BamH−R short(CCGGGGTTTTTTCTCCTTG)(配列番号20)の両プライマーを添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG13をPgal10の下流に接続したERG13_Pgal10−Pgal1断片を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約2.2kbpのDNA断片を取得した。また、ERG8のDNA断片及び<実施例8>で得たCYC1ターミネーターDNA断片−aを混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG8−GAL1−F(gagaaaaaaccccggatccATGTCAGAGTTGAGAGCCTTC)(配列番号62)及びpESC−His−3430R(TGAGCTGATACCGCTCGCC)(配列番号22)を添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG8の下流にCYC1ターミネーターDNA断片−aを接続したERG8_Tcyc1−a断片を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約1.7kbpのDNA断片を取得した。そして、ERG13_Pgal10−Pgal1断片及びERG8_Tcyc1−a断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseによりプライマーを添加せずにPCR反応を進めたのち、ERG13−ADH1t−R(GCTCTTAATTAACAATTCTTCGTTATTTTTTAACATCGTAAGATCTTC)(配列番号65)及びCYC1t−XhoI−3430R(GCTGATACCGCTCGAGgcagccgaac)(配列番号42)を添加してさらにPCR反応を続けることで、ERG13_Pgal10−Pgal1_ERG8_Tcyc1を増幅した。その後、得られた増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製し、約3.9kbpのDNA断片を取得した。<実施例8>で得たpESC−TRP−Pgal1_TRP1linkerのDNA断片及びERG13_Pgal10−Pgal1_ERG8_Tcyc1断片並びにIDI1_Tcyc1−b−Tadh1断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、Pgal1_IDI1_Tcyc1−Tadh1_ERG13_Pgal10−Pgal1_ERG8_Tcyc1の断片がpESC−TRPに挿入されたプラスミドpPgal1_IDI1−Pgal10_ERG13−Pgal1_ERG8を構築した。
<実施例15>pAde2Geneプラスミドの取得
出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型にAde2−HpaI−F(acgaggccctttcgtTAACACTTCCTCTACCATTGCAT)(配列番号69)及びAde2−HpaI−R(accgtattaccgcctGTTAACAGATCTCACAATCATG)(配列番号70)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりADE2プロモーター及びその上流領域並びにADE2遺伝子領域を含むDNA断片を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約1.4kbpのDNAを精製し取得した。このDNA断片と<実施例9>で作製したpESC−TrpからTRP1を除いた約5.88kbpのDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、pAde2Geneプラスミドを構築した。
<実施例16>ade2:: Pgal1_IDI1−Pgal10_ERG13−Pgal1_ERG8−ADE2のDNA断片取得
<実施例14>により得られたプラスミドpPgal1_IDI1−Pgal10_ERG13−Pgal1_ERG8のDNAを鋳型として、pESC−DraIII−F(agggcgatggcccactac)(配列番号37)およびCYC1t−XhoI−3430−R(GCTGATACCGCTCGAGgcagccgaac)(配列番号42)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりPgal1_IDI1−Pgal10_ERG13−Pgal1_ERG8−ADE2の領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約5.7kbpのDNAを精製し取得した。<実施例15>により得られたプラスミドpAde2GeneのDNAを鋳型として、Pade2−400F(TCGAGCGGTATCAGCTACCTTTTGATGCGGAATTGAC)(配列番号71)およびPade2−430R(GTGGGCCATCGCCCTCATGAAACTAGGCAACTTTTCG)(配列番号72)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりpAde2GeneのADE2プロモーター上流領域の一部を除く領域を増幅し、MinElute Gel Extraction KitでDNA断片を精製し取得した。これらのDNA断片を混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、Pgal1_IDI1−Pgal10_ERG13−Pgal1_ERG8をpAde2GeneのADE2プロモーター上流領域に挿入したプラスミドpAde−IDI1−ERG13−8を構築した。そしてpAde−IDI1−ERG13−8プラスミドDNAを制限酵素HpaIで消化し、ade2::Pgal1_IDI1
−Pgal10_ERG13−Pgal1_ERG8−ADE2のDNA断片を取得した。
<実施例17>プラスミドpESC−OSC1tadh1−upc2−1−tHMG1の構築
出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型として、UPC2−F1(ttgaaaattcgaattcATGAGCGAAGTCGGTATACAG)(配列番号73)及びupc2−1−R1(ATGCATATCACCACCTCCACTG)(配列番号74)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりUPC2のN末端から888残基のグリシンをアスパラギン酸に置換する変異を導入したUPC2遺伝子の前半の領域(以後、upc2−1a)を含むDNA断片を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約2.7kbpのDNAを取得した。次にupc2−1−F1(GGTGGTGATATGCATATGATGC)(配列番号75)及びUPC2−R1(ttaagagctcagaTCTATCATAACGAAAAATCAGAG)(配列番号76)の両プライマーにて同様にPCRを行い、UPC2のN末端から888残基のグリシンをアスパラギン酸に置換する変異を導入したUPC2遺伝子の後半の領域(以後、upc2−1b)を含むDNA断片を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約0.1kbpのDNAを取得した。
次に、upc2−1aのDNA断片及びupc2−1bのDNA断片を混合して鋳型とし、UPC2−F1(ttgaaaattcgaattcATGAGCGAAGTCGGTATACAG(配列番号73)およびUPC2−R1(ttaagagctcagaTCTATCATAACGAAAAATCAGAG)(配列番号76)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりUPC2全長を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約2.8kbpのDNAを精製し、UPC2変異体のDNA(以後、upc2−1)を取得した。プラスミドベクターpESC−TRPを制限酵素BglII及びEcoRI(いずれもタカラバイオ社)で消化して得られるDNA断片とupc2−1のDNA断
片を混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpESC−upc2−1を構築した。次にpESC−upc2−1のDNAを制限酵素DraIII及びNgoMIV(New England Biolab社)で消化し、MinElute Gel Extraction Kitで約9.1kbpのDNAを取得した。同様に、pYES3−ADH−OSC1プラスミド(Seki,H.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,105,14204−14209,2008)を鋳型として、ADH1p−F(agggcgatggcccaccGTTTCCTCGTCATTGTTCTCG)(配列番号77)及びADH1t−R1(cgccacgttcgccggatccgtgtggaagaac)(配列番号78)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRにより増幅し、MinElute Gel Extraction KitでADH1プロモーターの一部_ミヤコグサ(Lotus japonicum)由来オキシドスクアレン環化酵素遺伝子(LjOSC1)_ADH1ターミネーターの領域を含む約2.8kbpのDNA(Padh1p_LjOSC1_Tadh1)を混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpESC−OSC1tadh1−upc2−1を構築した。出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型として、HMGR−F1(GGGCCCGGGCGTCGACatggCTGCAGACCAATTGG)(配列番号79)及びHMGR−R1(ACCAAGCTTACTCGAGTTAGGATTTAATGCAGGTGAC)(配列番号80)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRにより、膜結合領域とリンカー領域の一部を除いたHMG1遺伝子(以後、tHMG1)のDNA断片を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約1.6kbpのDNAを取得した。このDNAをプラスミドpESC−OSC1tadh1−upc2−1を制限酵素SalI及びXhoIで消化して得られるDNA断片と混合した上で、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpESC−OSC1tadh1−upc2−1−tHMG1を構築した。
<実施例18>pLys2Geneプラスミドの構築
出芽酵母INVSc1のゲノムDNAを鋳型として、Lys2−1812−HpaI−F(acgaggccctttcgtTAACAGGAACGATCGTACTC)(配列番号81)及びLys2−HpaI−R(accgtattaccgcctGTTAACGATTAAATCCATTGTGTTTTC(配列番号82)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりLYS2遺伝子のC末端側部分及びターミネーター下流を含む領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約2.0kbpのDNAを精製した。このDNAを<実施例9>でpESC−TRPより増幅して得られた約5.8kbpのDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpLys2Geneを構築した。
<実施例19>lys2::LYS2−Pgal10_upc2−1−Pgal1_tHMG1のDNA断片取得
<実施例17>にて得られたプラスミドpESC−OSC1tadh1−upc2−1−tHMG1を制限酵素HpaI及びXhoIで消化し、MinElute Gel Extraction KitでTadh1−Tadh1_upc2−1_Pgal10−Pgal1_tHMG1の領域からなる5.8kbpのDNA断片を得た。また、pESC−OSC1tadh1−upc2−1−tHMG1のDNAを鋳型として、HMGR−XhoI−F(TAAATCCTAACTCGAGTAAGC)(配列番号83)及びCYC1t−XhoI−3430R(GCTGATACCGCTCGAGgcagccgaac)(配列番号42)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりCYC1ターミネーターDNA領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約0.4kbpのDNA断片を取得した。また、<実施例18>にて得られたpLys2Geneプラスミドを鋳型としてTlys2−F(TCGAGCGGTATCAGCAAGGTTGAGCATTACGTATG)(配列番号84)及びLys2−Tadh1−R(GAAATTCGCTTAGTTTTAAGCTGCTGCGGAGCTTC)(配列番号85)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりLYS2遺伝子のターミネーター領域からpESCベクター部分及びLYS2遺伝子のC末端側の領域を含むDNA断片を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約6.3kbpのDNA断片を取得した。これら三つDNA断片を混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いて結合し、Tadh1−Tadh1_upc2−1_Pgal10−Pgal1_tHMG1_Tcyc1のユニットがpLys2GeneのLYS2遺伝子の3’非翻訳領域に挿入されたプラスミドpLys2−Pgal10_upc2−1−Pgal10_tHMG1を構築した。このpLys2−Pgal10_upc2−1−Pgal10_tHMG1プラスミドDNAを制限酵素HpaIで消化し、lys2::LYS2−Pgal10_upc2−1−Pgal1_tHMG1のDNA断片を取得した。
<実施例20>pYES−gal7−Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR2のプラスミド構築
<実施例4>で得たPmet3−ERG7断片を鋳型にPmet−F5(AGCTAGCTTATCGATTTAGTACTAACAGAGACTTTTG)(配列番号15)及びERG7_660−R5(AGATGCATGCTCGAGCTAAAGTAACCAAGTTTCAGGAGG)(配列番号86)にて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりPmet3−ERG7に制限酵素SphI部位を接続したDNA断片を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで1.2kbp(Pmet3−ERG7_S)を得た。プラスミドpENTR(登録商標)/D−TOPO(Invitrogen社)のDNAを鋳型として、URAp−Kan−F(AACAAAAACCTGCAGTAATACAAGGGGTGTTATG)(配列番号87)及びKan−URAt−R(TTATAATACAGTTTTGAATTCTGATTAGAAAAACTCATCG)(配列番号88)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりカナマイシン耐性遺伝子(以後、KanR)を含む領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約0.9kbpのDNAを取得した。pTEF1/Zeoプラスミド(Life Technologies社)を鋳型として、TEF1−EM−7−F−link(ATCGATAAGCTAGCTGCCGGCCAGATCTGAGCTC)(配列番号89)及びEM7−Kan−R(TTGAATATGGCTCATGGTTTAGTTCCTCACC)(配列番号90)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりTEF1プロモーター領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約0.5kbpのDNA(Ptef1)を取得した。プラスミドpYES−DEST52のDNAを鋳型にpYES−ClaI−R(ATCGATAAGCTAGCTTTTCAATTC)(配列番号91)及びpYES−XhoI−F1(CTCGAGCATGCATCTAGAGGGCCGCATCATG)(配列番号10)の両方のプライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRにより当該プラスミドのGAL1プロモーターからCYC1ターミネーターを含む部分を除いた領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約3.0kbpのDNA(pYES−URA3)を取得した。次に、pYES−URA3断片とPmet3−ERG7_S断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpYES−Pmet3_ERG7−URA3を得た。このプラスミドDNAを鋳型として、pYES−URAp−R(CTGCAGGTTTTTGTTCTGTGC)(配列番号92)及びpYES−URAt−F(AAAACTGTATTATAAGTAAATGCATG)(配列番号9)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRにより、このプラスミドのURA3遺伝子を除く領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約3.5kbpのDNAを取得した。このDNA断片とKanRのDNA断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、pYES−Pmet7_ERG7−URA3のURA3遺伝子をKanRで置換したpYES−Pmet7_ERG7−KanRを得た。さらにこのプラスミドDNAを鋳型として、Pmet−F5(AGCTAGCTTATCGATTTAGTACTAACAGAGACTTTTG)(配列番号15)及びKm−F(ATGAGCCATATTCAACGGGA)(配列番号93)の両プライマーにてPrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRにより、このプラスミドのURA3遺伝子上流部分を除く領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約4.2kbpのDNAを取得した。このDNA断片とPtef1のDNA断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、KanRの上流にPtef1が挿入されたプラスミドpYES−Pmet3−ERG7−Ptef1_KanRを構築した。このプラスミドpYES−Pmet3−ERG7−Ptef1_KanRを鋳型として、TEF1−EM−7−F−link(ATCGATAAGCTAGCTGCCGGCCAGATCTGAGCTC)(配列番号89)及び−pYEC−Tura_R(GTCGACGAGCTCGAGCCTTTTTCAATGGGTAATAACTG)(配列番号94)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりPtef1_KanR_Tura3の領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約1.5kbpのDNAを取得した。
次に、出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型として、Pgal80−F(CCTTTTTCAATGGGTTAACCAACCTAAAGGTATTAAC)(配列番号95)及びPgal80−R(CTCGAGCTCGTCGACGACGGGAGTGGAAAGAACGG)(配列番号96)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRを行い、GAL80のプロモーター領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約0.4kbpのDNA(Pgal80)を取得した。同様に、Tgal80−F(AGCTAGCTTATCGATAGCATCTTGCCCTGTGCTTG)(配列番号97)及びTgal80−R(accgtattaccgcctGTTAACAGTTTGTTTGATCAT)(配列番号98)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRを行い、GAL80のターミネーター領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約0.4kbpのDNA(Tgal80)を取得した。また、pYES−Pmet3−ERG7−Ptef1_KanRのプラスミドDNAを鋳型として、の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRにより同ベクターのPmet3_ERG7_Tcyc1及びPtef1_KanR_Tura3領域を除く部分を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約0.8kbpのDNA断片(PYES_pUCori)を取得した。PYES_pUCori断片、Pgal80断片、Tgal80断片、及び、Ptef1_KanR_Tura3断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpPgal80−KanR−Tgal80を得た。GeneArtTMStringsTMDNA Fragments合成にてタルウマゴヤシ(Medicago truncatula)由来NADPH−チトクロームP450還元酵素(GenPept登録XP_003602898.1;配列番号142)の遺伝子(以後、MtCPR2;配列番号143)配列を有するDNAを合成した。このDNAを、制限酵素SalI及びXhoIで消化したpESC−TRPプラスミドのDNA断片と混合したのちIn−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、pESC−MtCPR2−TRPを構築した。このプラスミドDNAを鋳型として、Pgal1−F−NgoMIV(CTCAGATCTGGCCGGCACGGATTAGAAGCCGCCGAG)(配列番号99)及びMtCPR−R(GGCAAGATGCTATCGACCAAGCTTACTCGAGTTAC)(配列番号100)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりPgal1_MtCPR2の領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約2.6kbpのDNAを取得した。このDNA断片を、制限酵素NgoMIV及びClaIで消化したpGal80−KanR−Tgal80のDNA断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpGal80−KanR−Pgal1_MtCPR2_Tgal80を得た。Yeast DNA Extraction Kit(Thermo Fisher Scientific社)により調製した出芽酵母YPH500のゲノムDNAを鋳型として、Gal7−1010−R(CCTTTTTCAATGGGTTAACAATTCAAAACCAACCAAG)(配列番号101)及びGal7−30−F(TTGAAAAAGGCTCGAGAGCCATTCCCATAGACGTTAC)(配列番号102)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりGAL7遺伝子の30番目の塩基から1010番目の塩基までを増幅したのち、MinElute Gel Extraction Kitで約1.0kbpのDNA断片(gal7内部断片)を取得した。同様に、Tgal1−1605F(TGTTTGGTAACTCGAGCTTTGTTCAGAACAACTTCTC)(配列番号103)及びTgal1−2386−R(accgtattaccgcctGTTAACCGAAAGATCTTCTCTATGG)(配列番号104)の両プライマーにて、KOD Fx Neo DNAポリメラーゼを用いたPCRによりGAL1ターミネーター領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約0.8kbpのDNA断片(Tgal1)を取得した。上記にて得られたプラスミドpGal80−KanR−Pgal1_MtCPR2_Tgal80を鋳型にpYEC−Tura_R1(TCGAGCCTTTTTCAATGGGTAATAACTG)(配列番号105)及びMtCPR−R1(AGCTCGAGTTACCAAACATCTCTTAAG)(配列番号106)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRにより、KanR−Pgal1_MtCPR2の領域を増幅した。その後、MinElute Gel Extraction Kitで約4.0kbpのDNA断片(KanR−Pgal1_MtCPR2)を取得した。このDNA断片及びTgal1断片を混合し、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いてプライマーを添加しないPCRを進めた後、pYEC−Tura_R1(TCGAGCCTTTTTCAATGGGTAATAACTG)(配列番号105)及びTgal1−2386−R(accgtattaccgcctGTTAACCGAAAGATCTTCTCTATGG)(配列番号104)の両プライマーを添加してさらにPCRを行い、MinElute Gel Extraction Kitで約4.8kbpのDNA断片(KanR−Pgal1_MtCPR2_Tgal1)を取得した。このKanR−Pgal1_MtCPR2_Tgal1断片、gal70内部断片、及び、PYES_pUCori断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpYES−gal7−Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR2を構築した。
<実施例21>Δgal1,7,10::Ptef1_Kan−Pgal1−MtCPR2のDNA断片取得
<実施例20>にて得られたプラスミドpYES−gal7−Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR2のDNAを制限酵素HpaIで消化しΔgal1,7,10::Ptef1_Kan−Pgal1−MtCPR2のDNA断片を取得した。
<実施例22>pYES−gal7−Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR1のプラスミド構築
タルウマゴヤシ由来NADPH−チトクロームP450還元酵素(GenPept登録XP_003610109.1(配列番号144))は<実施例20>記載の同じくタルウマゴヤシ由来NADPH−チトクロームP450還元酵素(GenPept登録XP_003602898.1)とのアミノ酸配列同一性が70%である。この遺伝子(以後、MtCPR1(配列番号145))配列を有するDNA断片をGeneArtTMStringsTMDNA Fragments合成にて取得した。このDNA断片を、制限酵素SalI及びXhoIで消化したpESC−TRPプラスミドのDNA断片と混合してIn−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、pESC−MtCPR2−TRPを構築した。このプラスミドDNAを鋳型として、Pgal1−F−NgoMIV(CTCAGATCTGGCCGGCACGGATTAGAAGCCGCCGAG)(配列番号99)及びMtCPR−R(GGCAAGATGCTATCGACCAAGCTTACTCGAGTTAC)(配列番号100)の両プライマーにて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRによりPgal1_MtCPR1の領域を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約2.6kbpのDNAを取得した。これで得られたDNAを制限酵素XhoIで消化してPgal1_MtCPR1/XhoI断片を取得した。また、<実施例20>で取得したプラスミドpYES−gal7−Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR2のDNAを鋳型にTER−EM−7−F−link(ATCGATAAGCTAGCTGCCGGCCAGATCTGAGCTC)(配列番号89)及びTgal1−1605F(TGTTTGGTAACTCGAGCTTTGTTCAGAACAACTTCTC)(配列番号103)にて、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いたPCRにより、Pgal1−MtCPR2を除くベクター部分を増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約5.0kbpのDNA断片(Tgal1−gal7−KanR_Ptef1)を取得した。このDNA断片をさらに制限酵素NgoMIVで消化したうえで、Pgal1_MtCPR1/XhoI断片と混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、プラスミドpYES−gal7−Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR1を構築した。
<実施例23>Δgal1,7,10::Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR1のDNA断片取得
<実施例22>にて得られたプラスミドpYES−gal7−Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR1のDNAを制限酵素HpaIで消化し、Δgal1,7,10:
:Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR1のDNA断片を取得した。
<実施例24>酵母株YJT8の構築
出芽酵母YPH500を<実施例7>で取得したerg7::Pgal1_GuCYB5−Pgal10_GuCPR1−HIS3−Pmet3_ERG7のDNA断片で形質転換した。次に、得られた形質転換酵母株を<実施例10>で取得したtrp1::Pgal1_ERG20−Pgal10_ERG9−Pgal1_ERG1−TRP1のDNA断片を用いて形質転換した。これにより得られた形質転換酵母株を<実施例13>で取得したura3::Pgal1_ERG10−Pgal10_ERG19−Pgal1_ERG12−URA3のDNA断片を用いて形質転換した。これにより得られた形質転換酵母株を続いて<実施例16>で取得したade2::Pgal1_IDI1−Pgal10_ERG13−Pgal1_ERG8−ADE2のDNA断片で形質転換した。これにより得られた形質転換酵母株をさらに<実施例19>で取得したlys2::LYS2−Pgal10_upc2−1−Pgal1_tHMG1のDNA断片により形質転換し酵母株YJT8を得た。
<実施例25>酵母株の構築
酵母株YJT8を<実施例23>で取得したΔgal1,7,10::Ptef1_Kan−Pgal1_MtCPR1のDNA断片、または、<実施例21>で取得したΔgal1,7,10::Ptef1_Kan−Pgal1−MtCPR2のDNA断片で形質転換し、それぞれ酵母株YJT8a、または、酵母株YJT8bを得た。
<実施例26>オレアナン型トリテルペン11位酸化酵素(CYP88D6)酵母発現ベクターであるpESC−CYP88D6の構築
pUC−57にクローニングされたウラルカンゾウGlycyrrhiza uralensis β−アミリン11位酸化酵素CYP88D6(配列番号146)の合成遺伝子配列CYP88D6(配列番号147)を鋳型として、synCYP88D6−F1(aaaaaaccccggatccATGGAAGTACACTGGGTCTG)(配列番号107)及びsynCYP88D6−R1(ccgcggtaccaagcttTCAGGCACAGGATACTTTGATG)(配列番号108)の両プライマーを用い、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×26サイクルからなるPCRを行い、CYP88D6を含むDNA断片を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、約1.5kbpの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen 社)で精製した。一方、pESC−LEU(Stratagene社)のDNAを鋳型として、LEU2d−F(aaaaaggcgccGAAATCGGCAAAATCCCTTATAAATC)(配列番号109)及びLEU2d−R(TTTCggcgccttttttatatatatttcaaggatatac)(配列番号110)の両プライマーにて、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを用いてpESC−LEUのLEU2遺伝子の上流を除く領域を増幅した。MinElute Gel Extraction Kitで約7.0kbpのDNAを取得した。このDNA断片をIn−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて環化し、LEU2遺伝子のプロモーター領域を短縮したプラスミドpESC−LEUdを得た。このプラスミドDNAを制限酵素BamHI及びHindIIIで消化した。これらをIn−Fusion(登録商標)HD Cloning Kit(Clontech社)を用いIn−Fusion反応して、CYP88D6酵母発現ベクターであるpESC−CYP88D6を得た。
<実施例27>CYP88D6とβ−アミリン合成酵素(LjOSC1)の酵母での同時発現ベクターpESC−OSC1−CYP88D6の構築
pENTRTM/D−TOPO(登録商標)エントリーベクターにクローニングされたミヤコグサLotus japonicusのβ−アミリン合成酵素(OSC1)(配列番号148)の人工合成遺伝子配列(配列番号149)を鋳型として、OSC1−NotI−F(CACTAAAGGGCGGCCATGTGGAAGTTGAAAGTTGC)(配列番号111)及びOSC1−SacI−R(GAATTGTTAATTAAGTTAAACAGCGGTAGATGGC)(配列番号112)を用い、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃30秒間)×36サイクルからなるPCRを行い、OSC1を含むDNA断片を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、約2.3kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社)で精製した。一方、実施例26で作製したpESC−CYP88D6も同様に制限酵素NotI及びSacIで消化し、これらをIn−Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いIn−Fusion反応して、CYP88D6とLjOSC1の酵母での同時発現ベクターpESC−OSC1−CYP88D6を得た。
<実施例28>出芽酵母ADH2プロモーターDNA断片の調製
Yeast DNA Extraction Kit(Thermo Fisher Scientific社)により調製した出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型として、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)及びPadh2−R(TGTGTATTACGATATAGTTAATAG)(配列番号114)の両プライマーを用い、KOD FX Neo DNAポリメラーゼ(TOYOBO社)により94℃で1分間処理した後、(98℃10秒間→60℃30秒間→68℃60秒間)×33サイクルからなるPCRを行った。PCR溶液を電気泳動し、約0.59kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社)で精製し、出芽酵母ADH2プロモーターのDNA断片を得た。
<実施例29>出芽酵母TEF1ターミネーターDNA断片の調製
出芽酵母BY4742のゲノムDNAを鋳型として、TEF1ter−F(TCTAGAGGGCCGCATGGAGATTGATAAGACTTTTCTAG)(配列番号115)及びTEF2ter−R(atataaaaaaggcgccTGAAAAAAGAGGGGAATTTTTAG)(配列番号116)の両プライマーを用い、KOD FX Neo DNAポリメラーゼ(TOYOBO社)により94℃で1分間処理した後、(98℃10秒間→60℃30秒間→68℃60秒間)×33サイクルからなるPCRを行った。PCR溶液を電気泳動し、約0.17kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen 社)で精製し、出芽酵母TEF1ターミネーターDNA断片を得た。
<実施例30>
麹菌Aspergillus oryzaeのCYP5106A1遺伝子の調製
GeneArtTM StringsTM DNA Fragments合成(Invitrogen社)にてCYP5106A1−N末端DNA断片(740bp)及びCYP5106A1−C末端側DNA断片(915bp)をそれぞれ合成した。両DNA断片を混合後、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×13サイクルからなるPCRを行い、DNA断片を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、約1.6kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社)で精製し、麹菌Aspergillus oryzaeの CYP5106A1のDNA断片(配列番号132)を得た。
<実施例31>ADH2プロモーター_CYP5106A1 DNA断片の調製
<実施例28>により得られたADH2プロモーターDNA断片と<実施例30>により得られたCYP5106A1 DNA断片を混合後、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→50℃10秒間→72℃20秒間)×4サイクルからなるPCRを行った後、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)及びlink to #88−R(ATGCGGCCCTCTAGATCA)(配列番号117)の両プライマーを添加、更に95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→50℃5秒間→72℃20秒間)×33サイクルからなるPCRを行った。PCR溶液を電気泳動し、約2.2kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社)で精製し、ADH2プロモーター_CYP5106A1のDNA断片を取得した。
<実施例32>ADH2プロモーター_CYP5106A1_Ttef1 DNA断片の調製
<実施例31>により得られたADH2プロモーター_CYP5106A1のDNA断片と<実施例29>により得られた出芽酵母TEF1ターミネーターDNA断片を混合後、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→50℃10秒間→72℃20秒間)×4サイクルからなるPCRを行った後、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)及びTEF1ter−R(atataaaaaaggcgccTGAAAAAAGAGGGGAATTTTTAG)(配列番号116)の両プライマーを添加、更に95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃20秒間)×33サイクルからなるPCRを行った。PCR溶液を電気泳動し、約2.4kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社)で精製し、ADH2プロモーター_CYP5106A1_Ttef1のDNA断片を取得した。
<実施例33>ベクターpESC−Leu2d−CYP5106A1−OSC1−CYP88D6の構築
pESC−OSC1−CYP88D6を制限酵素NgoMIV、及び、KasI(New England Biolab社)で消化したのち、<実施例32>により得られたADH2プロモーター_CYP5106A1_Ttef1のDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kit(Clontech社)を用いてIn−Fusion反応して、酵母での同時発現ベクターpESC−Leu2d−CYP5106A1−OSC1−CYP88D6を得た。
<実施例34>pESC−Leu2d−Padh2_CYP72A63L149I−Tcyc1−OSC1−CYP88D6の構築
タルウマゴヤシCYP72A63の合成遺伝子配列(Genscript社)を含むpUC−57プラスミドDNAを鋳型として、synCYP72A63−F1(gagaaaaaaccccggatccATGGAAGTTTTTATGTTTCCTAC)(配列番号118)及びsynCYP72A63−R1(CATGATGCGGCCCTCTAGATCATAATTTGTGTAAGATAATAGAAG)(配列番号119)の両プライマー並びにPrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを添加して、95℃で2分間処理した後、(98℃、10秒間→55℃、5秒間→72℃20秒間)×37サイクルからなるPCRを行い、CYP72A63を含むDNA断片を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、約1.6kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kitで精製した。得られたCYP72A63のDNA断片と<実施例8>により得られたCYC1ターミネーターDNA断片−bのDNA断片を混合後、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを添加して、95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃20秒間)×4サイクルからなるPCRを行った後、synCYP72A63−F1(gagaaaaaaccccggatccATGGAAGTTTTTATGTTTCCTAC)(配列番号118)及びDEST52−CYC1t−R(cgccacgttcgccggCAGCTTGCAAATTAAAGCCT)(配列番号27)の両プライマーを添加、更に95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃20秒間)×24サイクルからなるPCRにより、CYP72A63−CYC1ターミネーターを増幅し、MinElute Gel Extraction Kitで約1.8kbpのDNAを精製した。このCYP72A63−CYC1ターミネーターのDNA断片と<実施例28>により得られたADH2プロモーターDNA断片を混合後、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを添加して、95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→50℃10秒間→72℃20秒間)×4サイクルからなるPCRを行った後、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)およびDEST52−CYC1t−KasI−R(atataaaaaaggcgccAGCTTGCAAATTAAAGCCT)(配列番号120)の両プライマーを添加、更に95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃20秒間)×24サイクルからなるPCRを行った。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction KitでADH2プロモーター_CYP72A63_CYC1ターミネーター(以後、Padh2_CYP72A63_Tcyc1)に相当する約2.4kbpのDNA断片を取得した。このPadh2_CYP72A63_Tcyc1のDNA断片を鋳型として、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)およびA63opt_443_R(ATACCTACTGACAAGTACTTGG)(配列番号121)の両プライマーを用い、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを添加して、95℃で4分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×27サイクルからなるPCRを行い、ADH2プロモーターからCYP72A63遺伝子の5’末端443bpまでのDNA(以後、CYP72A63−a)を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kitを用いて約1.0kbpのDNA断片を精製した。続いて、CYP72A63の149番目のアミノ酸残基ロイシンのコドン(CTA)をイソロイシンのコドン(ATT)に置換したプライマーA63opt−149I_F(CTTGTCAGTAGGTATCATTGATCATGAAGG)(配列番号122)及びプライマーDEST52−CYC1t−R(cgccacgttcgccggCAGCTTGCAAATTAAAGCCT)(配列番号27)を用い、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseにより95℃で4分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×27サイクルからなるPCRを行い、CYP72A63遺伝子の5’末端スタートコドンから428番目塩基からCYC1ターミネーターまでのDNA断片(以後、CYP72A63−b)を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kitを用いて約1.4kbpのDNA断片を取得した。pESC−OSC1−CYP88D6を制限酵素NgoMIV及びKasI(いずれもNew England Biolab社)で消化したのち、上記により得られたCYP72A63−a及びCYP72A63−bのDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、酵母での発現ベクターpESC−Leu2d−Padh2_CYP72A63L149I_Tcyc1−OSC1−CYP88D6を構築した。
<実施例35>発現ベクター―pESC−Leu2d−Padh2_CYP72A63L149I−OSC1−CYP88D6の構築
<実施例34>で構築したpESC−Leu2d−Padh2_CYP72A63L149I_Tcyc1−OSC1−CYP88D6のDNAを鋳型として、
Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)およびlink to #88−R(ATGCGGCCCTCTAGATCA)(配列番号117)の両プライマーを用い、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseにより95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃20秒間)×30サイクルからなるPCRを行った。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kitを用いPadh2_CYP72A63L149Iに相当する約2.2kbpのDNA断片を取得した。続いて、このDNA断片及び<実施例29>で取得した出芽酵母TEF1ターミネーターのDNA断片並びに制限酵素NgoMIVとKasIで消化したpESC−OSC1−CYP88D6のDNA断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて反応して、酵母での同時発現ベクターpESC−Leu2d−Padh2_CYP72A63L149I−OSC1−CYP88D6を得た。
<実施例36>Aspergillus nominus NRRL13137由来のチトクロームP450モノオキシゲナーゼ遺伝子の調製
Aspergillus oryzae由来CYP5106A1とアミノ酸配列一致性が79%であるAspergillus nomius NRRL13137由来のチトクロームP450モノオキシゲナーゼ(以下、「CYP5106A1homolog」と記載)について、GeneArtTM StringsTM DNA Fragments合成(Invitrogen社)により、同アミノ酸配列のN末端側に相当する約600bpからなるDNA断片、及び、同じくアミノ酸配列のC末端側に相当する約1000bpからなるDNA断片をそれぞれ合成した。両DNA断片を混合後、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×13サイクルからなるPCRを行い、DNA断片を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、約1.6kbのAnCYP5106A1homologのDNA断片(配列番号133)の増幅を確認した。
<実施例37>ADH2プロモーター_AnCYP5106A1homolog_Ttef1のDNA断片の調製
<実施例36>により得られたAnCYP5106A1homologのDNA断片と<実施例29>により得られた出芽酵母TEF1ターミネーターDNA断片を混合後、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→50℃10秒間→72℃15秒間)×4サイクルからなるPCRを行った後、AnCYP5106A1homolog−F(CTATTAACTATATCGTAATACACAATGTCCTTCGTTTCCGTTATCAT)(配列番号123)及びTEF1ter−R(atataaaaaaggcgccTGAAAAAAGAGGGGAATTTTTAG)(配列番号116)の両プライマーを添加、更に95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→50℃5秒間→72℃15秒間)×27サイクルからなるPCRを行った。PCR溶液を電気泳動し、約1.8kbのAnCYP5106A1homolog_Ttef1のDNA断片の増幅を確認した。次に、AnCYP5106A1homolog_Ttef1のDNA断片と<実施例28>により得られたADH2プロモーターDNA断片を混合後、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→50℃10秒間→72℃20秒間)×4サイクルからなるPCRを行った後、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)及びTEF1ter−R(atataaaaaaggcgccTGAAAAAAGAGGGGAATTTTTAG)(配列番号116)の両プライマーを添加、更に95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃20秒間)×27サイクルからなるPCRを行った。PCR溶液を電気泳動し、約2.4kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社)で精製し、ADH2プロモーター_AnCYP5106A1homolog_Ttef1のDNA断片を取得した。
<実施例38>ベクターpESC−AnCYP5106A1homolog−OSC1−CYP88D6の構築
pESC−OSC1−CYP88D6を制限酵素NgoMIV、及び、KasI(New England Biolab社)で消化したのち、<実施例37>により得られたADH2プロモーター_AnCYP5106A1homolog_Ttef1のDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kit(Clontech社)を用いてIn−Fusion反応して、酵母での発現ベクターpESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog−OSC1−CYP88D6を得た。
<実施例39>ADH2プロモーター_AnCYP5106A1homolog(gap−filled)_Ttef1のDNA断片を調製
AnCYP5106A1homolog(配列番号135)とCYP5106A1の全長アミノ酸配列一致性は79%であるが、AnCYP5106A1homologはCYP5106A1のN末端から130番目のアミノ酸から142番目のアミノ酸まで連続13残基の欠損がある(図4)。そこで、CYP5106A1のN末端から130−142番目の13アミノ酸の配列をAnCYP5106A1homologの129番目のグルタミン酸残基後に挿入したAnCYP5106A1homolog(gap−filled)(配列番号136)をコードするポリヌクレオチド(配列番号134)を含む発現ユニットとしてADH2プロモーター_AnCYP5106A1homolog(gap−filled)_Ttef1のDNA断片を調製した。
まず、ADH2プロモーターからAnCYP5106A1homologのN末端から129番目までのアミノ酸配列とその直後に挿入する13アミノ酸配列のN末端側部分を含む領域のDNA(以後、「AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−a」と記載)を増幅するため、<実施例37>で得られたADH2プロモーター_AnCYP5106A1homolog_Ttef1のDNA断片を鋳型として、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)及びAnCYP5106A1homolog−GF−R(GCCAAGTTCTTACCGAAAACATTCATCTTTTCCAACAAAGAAGATGGTTTG)(配列番号124)の両プライマーを用い、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、更に95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×27サイクルからなるPCRを行い、AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−aのDNA断片を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、約1kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社)で精製した。続いて、挿入する13アミノ酸配列のC末端側部分からAnCYP5106A1homologのN末端より130番目からC末端までのアミノ酸配列とTtef1までのDNA(以後、「AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−b」と記載)を増幅するため、<実施例37>で得られたADH2プロモーター_AnCYP5106A1homolog_Ttef1のDNA断片を鋳型として、AnCYP5106A1homolog−GF−F(CGGTAAGAACTTGGCTACTGTTGAAGGTGCTGATTGGCAAAG)(配列番号125)及びTEF1ter−R(atataaaaaaggcgccTGAAAAAAGAGGGGAATTTTTAG)(配列番号116)の両プライマーを用い、PrimerSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(TAKARA社)により95℃で2分間処理した後、更に95℃で2分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×27サイクルからなるPCRを行い、AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−bのDNA断片を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、約1.4kbの増幅断片をMinElute Gel Extraction Kit(Qiagen社)で精製し、AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−bのDNA断片を取得した。
<実施例40>pESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−OSC1−CYP88D6の構築
pESC−OSC1−CYP88D6を制限酵素NgoMIV、及び、KasI(いずれもNew England Biolab社)で消化したのち、<実施例39>により得られたAnCYP5106A1homolog(gap−filled)−a及びAnCYP5106A1homolog(gap−filled)−bのDNA断片と混合し、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kit(Clontech社)を用いてIn−Fusion反応して、酵母での発現ベクターpESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−OSC1−CYP88D6を得た。
<実施例41>AnCYP5106A1homolog(gap−filled)とCYP5106A1のキメラ遺伝子A21/A14の発現ベクターの構築
<実施例40>により得られたベクターpESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−OSC1−CYP88D6を鋳型として、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)及びCYP5106A−425−R(TCAACAGTAGCCAAGTTCTTAC)(配列番号126)の両プライマーを用い、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseにより95℃で4分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×30サイクルからなるPCRを行い、ADH2プロモーターからAnCYP5106A1homolog(gap−filled)のN末端137番アミノ酸残基までのDNA断片(以後、A2−1DNA断片)を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kitを用いて約1.0kbpのDNA断片を取得した。同時に、<実施例33>により得られたベクターpESC−Leu2d−CYP5106A1−OSC1−CYP88D6のDNAを鋳型として、CYP5106A−411−F(CTTGGCTACTGTTGAAGGTG)(配列番号127)及びTEF1ter−R(atataaaaaaggcgccTGAAAAAAGAGGGGAATTTTTAG)(配列番号116)の両プライマーを用い、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを添加して95℃で4分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×30サイクルからなるPCRを行い、CYP5106A1のN末端138番アミノ酸残基からTEF1ターミネーターまでのDNA断片(以後、A1−4DNA断片)を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kitを用いて約1.4kbpのDNA断片を取得した。続いて、A2−1DNA断片、A1−4DNA断片と制限酵素NgoMIV、及び、KasIで消化したpESC−OSC1−CYP88D6の断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、AnCYP5106A1homolog(gap−filled)(1−141aa)/CYP5106A1(142−534aa)のキメラ遺伝子(A21/A14)発現ユニットを含む酵母での同時発現ベクターpESC−Leu2d−A21/A14−OSC1−CYP88D6を得た。
<実施例42>AnCYP5106A1homolog(gap−filled)とCYP5106A1のキメラ遺伝子A22/A15の発現ベクターの構築
<実施例40>により得られたベクターpESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−OSC1−CYP88D6を鋳型として、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)及びCYP5106A1−859−R(TAGAGGACAACAAATCAGCATGAGC)(配列番号128)の両プライマーを用い、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseにより95℃で4分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×30サイクルからなるPCRを行い、ADH2プロモーターからAnCYP5106A1homolog(gap−filled)のN末端282番アミノ酸残基までのDNA断片(以後、A2−2DNA断片)を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kitを用いて約1.4kbpのDNA断片を取得した。
次に、<実施例33>により得られたベクターpESC−Leu2d−CYP5106A1−OSC1−CYP88D6のDNAを鋳型として、CYP5106A1−845−F(ATTTGTTGTCCTCTATTTTGGCTCC)(配列番号129)及びTEF1ter−R(atataaaaaaggcgccTGAAAAAAGAGGGGAATTTTTAG)(配列番号116)の両プライマーを用い、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを添加して95℃で4分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×30サイクルからなるPCRを行い、CYP5106A1のN末端283番アミノ酸残基からTEF1ターミネーターまでのDNA断片(以後、A1−5DNA断片)を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kitを用いて約1.0kbpのDNA断片を取得した。続いて、A2−2DNA断片、A1−5DNA断片と制限酵素NgoMIV、及び、KasIで消化したpESC−OSC1−CYP88D6の断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、AnCYP5106A1homolog(gap−filled)(1−286aa)/CYP5106A1(287−534aa)のキメラ遺伝子(A22/A15)発現ユニットを含む酵母での同時発現ベクターpESC−Leu2d−A22/A15−OSC1−CYP88D6を得た。
<実施例43>AnCYP5106A1homolog(gap−filled)とCYP5106A1のキメラ遺伝子A23/A16の発現ベクターの構築の作製
<実施例40>により得られたベクターpESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−OSC1−CYP88D6を鋳型として、Padh2−NgoMIV−F(cgccacgttcgccgGCAAAACGTAGGGGCAAAC)(配列番号113)及び−CYP5106A−1286−R(AATGGATCTGGACCCCATTG)(配列番号130)の両プライマーを用い、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseにより95℃で4分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×30サイクルからなるPCRを行い、ADH2プロモーターからAnCYP5106A1homolog(gap−filled)のN末端424番アミノ酸残基までのDNA断片(以後、A2−3DNA断片)を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kitを用いて約1.9kbpのDNA断片を取得した。次に、<実施例33>により得られたベクターpESC−Leu2d−CYP5106A1−OSC1−CYP88D6のDNAを鋳型として、CYP5106A−1272−F(GGGTCCAGATCCATTGGCTTG)(配列番号131)及びTEF1ter−R(atataaaaaaggcgccTGAAAAAAGAGGGGAATTTTTAG)(配列番号116)の両プライマーを用い、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymeraseを添加して95℃で4分間処理した後、(98℃10秒間→55℃5秒間→72℃15秒間)×30サイクルからなるPCRを行い、CYP5106A1のN末端425番アミノ酸残基からTEF1ターミネーターまでのDNA断片(以後、A1−6DNA断片)を増幅した。PCR溶液を電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kitを用いて約0.5kbpのDNA断片を取得した。続いて、A2−3DNA断片、A1−6DNA断片と制限酵素NgoMIV、及び、KasIで消化したpESC−OSC1−CYP88D6の断片を混合し、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kitを用いて結合し、AnCYP5106A1homolog(gap−filled)(1−428aa)/CYP5106A1(429−534aa)のキメラ遺伝子(A23/A16)発現ユニットを含む酵母での同時発現ベクターpESC−Leu2d−A23/A16−OSC1−CYP88D6を得た。
<実施例44>酵母株YJT201及びYJT179の作製
<実施例25>で取得した酵母株YJT8aを<実施例33>で構築したpESC−Leu2d−CYP5106A1−OSC1−CYP88D6、または、<実施例34>で構築したpESC−Leu2d−CYP72A63L149I−OSC1−CYP88D6で形質転換し、それぞれ酵母株YJT201、又は、酵母株YJT179を得た。
<実施例45>形質転換酵母のYJT184及びYJT177の作製
<実施例25>で取得した酵母株YJT8bを<実施例33>で構築したpESC−Leu2d−CYP5106A1−OSC1−CYP88D6、又は、<実施例34>で構築したpESC−Leu2d−CYP72A63L149I−OSC1−CYP88D6で形質転換し、それぞれ酵母株YJT184、又は、酵母株YJT177を得た。
<実施例46>菌株YJT223及びYJT224の作製
<実施例25>で構築した酵母YJT8b株を<実施例38>で構築したpESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog−OSC1−CYP88D6、または、<実施例40>で構築したpESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−OSC1−CYP88D6で形質転換し、それぞれ菌株YJT223、又は、菌株YJT224を得た。
<実施例47>菌株YJT225及びYJT226の作製
<実施例25>で構築した酵母YJT8a株を<実施例38>で構築したpESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog−OSC1−CYP88D6、又は、<実施例40>で構築したpESC−Leu2d−AnCYP5106A1homolog(gap−filled)−OSC1−CYP88D6で形質転換し、それぞれ菌株YJT225、又は、菌株YJT226を得た。
<実施例48>菌株YJT247、YJT248、及び、YJT249の作製
<実施例25>で取得した酵母株YJT8aを<実施例41>で構築した発現ベクターpESC−Leu2d−A21/A14−OSC1−CYP88D6、または、<実施例42>で構築した発現ベクターpESC−Leu2d−A22/A15−OSC1−CYP88D6、あるいは、<実施例43>で構築した発現ベクターpESC−Leu2d−A23/A16−OSC1−CYP88D6で形質転換し、それぞれ菌株YJT247,または、YJT248、あるいは、YJT249を得た。
<実施例49>酵母株YJT201、YJT179、YJT184、及び、YJT177における生成物の蓄積量の確認
<実施例44>及び<実施例45>で構築した酵母株YJT201、YJT179、YJT184、及び、YJT177を4%(w/v)グルコースを含むSC−His/Trp/Leu/Ura/Lys/Ade培地(1Lに40gグルコース、6.7g酵母ニトロゲンベース(アミノ酸不含)(BD DifcoTM社)、及び、それぞれ0.05mgのL−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン酸、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−スレオニン、L−チロシン、L−バリンを含む)に植菌し、30℃、200rpmで振盪培養した。30時間後、各酵母株の培養液について、OD600nm値に培養液の容量(mL)を乗じた値が0.6になる培養液量を2,100×g、室温で5分間遠心し、その沈殿を10mL SP培地(2%(w/v)グルコース、0.5%(w/v)ガラクトース、及び、1mM L−メチオニンを含むSC−His/Trp/Leu/Ura/Lys/Ade培地)に懸濁し、30℃、230rpmで振盪培養した。培養を開始して3日間後、それぞれの培養液に2ml添加培地(10%(w/v)グルコース及び2.5%(w/v)ガラクトースを含む水溶液)を添加し、培養開始して7日間後に2mlの2.5%(w/v)エタノール水溶液を添加した。培養を開始してから10日間後、0.5ml培養液に0.4mlの酢酸エチル(富士フイルム和光純薬社)を加えて混合した後、その上層(酢酸エチル層)をできるだけ回収した。この操作を3回繰り返し、回収した酢酸エチル層を合わせたのち、減圧乾燥で酢酸エチル層を除去した。残渣に0.5mlのメタノール:クロロホルム(1:1)を添加してよく混合後、15,000rpm、5分間、室温で遠心分離した。上清15ulをガラス製容器にて減圧乾固後、MSTFA 50μlに溶解し、80℃で50分間加熱したものをGC−MS分析の試料とした。用いたGC−MSの条件は下記表2に示す。生産物の同定及び定量はβ−アミリン(EXTRASYNTHESE社)、グリチルレチン酸(富士フイルム和光純薬社)、及び、Seki,H.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,105,14204−14209,2008、及び、Seki,H.,et al.,Plant Cell,23,4112−4123,2011に記載の方法で調製した11−オキソ−β−アミリン、30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン及び30−ヒドロキシ−β−アミリンを標品としてGCの保持時間ならびにMSスペクトルを比較することにより決定したただし、グリチルレトアルデヒドの同定及び定量は想定される分子量及びGC保持時間並びに30−ヒドロキシ−β−アミリン標品のシグナル強度を参考にした。
Figure 2021158992
その結果、グリチルレチン酸の蓄積量については、酵母YJT8a株をベースにCYP72A63L149Iを発現するYJT179株が平均18mg/Lであったのに対して、同じ株をベースにCYP5106A1を発現するYJT201株は平均62mg/Lであった。また、酵母YJT8b株をベースとしてCYP72A63L149Iを発現するYJT177株が平均45mg/Lのグリチルレチン酸蓄積であったのに対して、同じ株をベースにCYP5106A1を発現するYJT184株は平均49mg/Lであり、育種の元株及びオレアナン型トリテルペン30位酸化酵素への電子伝達蛋白質として用いるNADPH−チトクロームP450還元酵素の分子種に関わらずCYP5106A1を発現する酵母株はCYP72A63L149Iを発現する酵母株よりグリチルレチン酸の蓄積量が高く、グリチルレチン酸の発酵生産には好ましいことが示唆された。(下記表3)
Figure 2021158992
また、CYP72A63L149Iを有するYJT177の抽出物において、29−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリン及び20−エピ−グリチルレチン酸(GCの保持時間及びMSスペクトルを比較することにより決定した)に対応するピークを検出したが、CYP5106A1を有するYJT201の抽出物において、これらのピークは検出されなかった(図5)。この結果からCYP5106A1を発現する酵母は既存のCYP72A63やその変異体と比較してグリチルリチン酸以外の副産物蓄積がなく、グリチルリチン酸の発酵生産に好ましいことが示唆された。
<実施例50>酵母株YJT223,YJT224,YJT225,YJT226におけるAnCYP5106A1homolog及びAnCYP5106A1homolog(gap−filled)における生成物の蓄積量の確認
<実施例46>及び<実施例47>で得られた酵母株YJT223、YJT224、YJT225、及び、YJT226株を<実施例49>に記載の方法で培養し、それぞれの菌体から抽出したオレアナン型トリテルペンの蓄積量を比較した。結果を下記表4に示す。AnCYP5106A1homolog遺伝子を導入した酵母株(YJT223,YJT225)からは30位炭素が酸化されたオレアナン型トリテルペンは検出されなかった。一方、AnCYP5106A1homolog(gap−filled)遺伝子を導入した酵母株(YJT224,YJT226)からは30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリンが検出されたが、グリチルレトアルデヒド及びグリチルレチン酸はほとんど検出されなかった。この結果から、11−オキソ−β−アミリンの30位水酸化活性だけでなく、それをグリチルレチン酸に至るまで酸化する活性をCYP5106A1が有すること、及び、AnCYP5106A1homologに欠失している13アミノ酸からなる配列はオレアナン型トリテルペンの30位炭素水酸化活性に重要であるが、それに続く酸化活性への寄与は高くないことが示唆された。
Figure 2021158992
<実施例51>酵母株YJT201、YJT226,YJT247,YJT248,及び,YJT249におけるCYP5106A1とAnCYP5106A1homolog(gap−filled)のキメラ分子のオレアナン型トリテルペン30位酸化酵素活性の検証
<実施例44>及び<実施例47>並びに<実施例48>で得られた酵母株YJT201、YJT226,YJT247,YJT248,及び,YJT249を<実施例49>記載の方法で培養し、それぞれの菌体から抽出したオレアナン型トリテルペンの蓄積量を比較した。結果を下記表5に示す。YJT226は<実施例50>と同様に30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリンの蓄積を確認したが、その酸化体であるグリチルレトアルデヒド及びグリチルレチン酸の蓄積は検出できなかった。他方、AnCYP5106A1homolog(gap−filled)の全長534アミノ酸のうち、C末端側110アミノ酸(N末端から425番目〜534番目)の配列をCYP5106A1の同じ位置のアミノ酸配列に置き換えたポリペプチドをコードするキメラ遺伝子A23/A16を発現するYJT249ではグリチルレトアルデヒド及びグリチルレチン酸の蓄積を検出できたことから、このアミノ酸領域は30−ヒドロキシ−11−オキソ−β−アミリンの30位水酸基をさらにカルボン酸にまで酸化する機能に重要であることが示唆された。また、本キメラとCYP5106A1のアミノ酸一致性は85%であった。YJT247及びYJT248のオレアナン型トリテルペンの蓄積プロファイルはほぼ同等であり、そのグリチルレチン酸蓄積量はYJT201とほぼ同等であったことから、CYP5106A1のN末端から283番目〜424番目のアミノ酸配列はオレアナン型トリテルペンの30位水酸基の酸化を促進する機能を有していることが示唆された。
Figure 2021158992

Claims (8)

  1. 以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチド:
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド、
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド、
    を11−オキソ−β−アミリンに作用させる工程を含む、グリチルレチン酸の製造方法。
  2. 細胞内で行なう、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記細胞が、前記(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドを発現する形質転換体である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記細胞が、さらに、β−アミリン合成酵素、及び/又は、オレアナン型トリテルペン11位酸化酵素を発現する形質転換体である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記形質転換体の宿主が微生物である、請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチド:
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド、
    (c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、オレアナン型トリテルペンの30位の炭素を酸化する活性を有するポリペプチド、
    を発現する、グリチルレチン酸産生能を有する形質転換体。
  7. さらに、β−アミリン合成酵素、及び/又は、オレアナン型トリテルペン11位酸化酵素を発現する、請求項6に記載の形質転換体。
  8. 前記形質転換体の宿主が微生物である、請求項6又は7に記載の形質転換体。
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