図1は本発明の実施形態に係るショベル100の側面図である。ショベル100の下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられている。アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成している。ブーム4は、ブームシリンダ7により駆動され、アーム5は、アームシリンダ8により駆動され、バケット6は、バケットシリンダ9により駆動される。
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載されている。
キャビン10内にはコントローラ30が設置されている。コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能するように構成されている。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM、及びROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
図2は、図1に示すショベル100に搭載される駆動システムの構成例を示すブロック図であり、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御ラインをそれぞれ二重線、実線、破線、及び一点鎖線で示している。
ショベル100の駆動システムは、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブユニット17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作圧センサ29、コントローラ30、及び油温センサS1等を含む。
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。また、エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給するように構成されている。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御するように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量(押し退け容積)を制御する。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26を含む各種油圧制御機器に作動油を供給するように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、パイロットポンプ15が担っていた機能は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、コントロールバルブユニット17に作動油を供給する機能とは別に、絞り等により作動油の圧力を低下させた後で操作装置26等に作動油を供給する機能を備えていてもよい。
コントロールバルブユニット17は、メインポンプ14から受け入れた作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。本実施形態では、コントロールバルブユニット17は、バルブハウジング17Hと、バルブハウジング17H内に摺動可能に配置される制御弁170〜176を含む。コントロールバルブユニット17は、制御弁170〜176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できる。制御弁170〜176は、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御するように構成されている。油圧アクチュエータは、走行用油圧モータ1M、旋回用油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9を含む。走行用油圧モータ1Mは、左走行用油圧モータ1ML及び右走行用油圧モータ1MRを含む。
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施形態では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する制御弁のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出するように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
操作圧センサ29は、操作装置26の操作内容を検出するように構成されている。本実施形態では、操作圧センサ29は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を圧力(操作圧)の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作装置26の操作内容は、操作レバーの傾斜角を検出する角度センサ等の操作圧センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
油温センサS1は、作動油の温度を検出できるように構成されている。図2に示す例では、油温センサS1は、メインポンプ14に関する吸い込み油路である油路41に取り付けられ、メインポンプ14が作動油タンクから吸い込む作動油の温度を検出できるように構成されている。そして、油温センサS1は、検出した値をコントローラ30に対して出力するように構成されている。但し、油温センサS1は、別の油路に取り付けられていてもよい。
次に、図3を参照し、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例について説明する。図3は、図1に示すショベル100に搭載される油圧システムの構成例を示す概略図である。図3は、図2と同様に、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御ラインを、それぞれ、実線、点線、及び一点鎖線で示している。
図3に示す油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14から、油路40及び油路45を経て、或いは、油路40、油路46、及び油路45を経て、或いは、油路40、油路42、油路46、及び油路45を経て、或いは、油路40、油路43、油路44、及び油路45を経て作動油タンクまで作動油を循環させている。メインポンプ14は、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rを含む。
油路40は、コントロールバルブユニット17内に配置された複数の制御弁のそれぞれを貫通する作動油ラインであり、左油路40L及び右油路40Rを含む。左油路40Lは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁171L、172、173、175L、及び176Lのそれぞれを貫通する作動油ラインである。右油路40Rは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁170、171R、174、175R、及び176Rのそれぞれを貫通する作動油ラインである。
油路41は、メインポンプ14の吸い込み油路であり、左メインポンプ14Lに関する吸い込み油路である左油路41L、及び、右メインポンプ14Rに関する吸い込み油路である右油路41Rを含む。図3に示す例では、油温センサS1は、左油路41Lに取り付けられている。但し、油温センサS1は、右油路41R等の別の油路に取り付けられていてもよい。
油路42は、コントロールバルブユニット17内に配置された複数の制御弁のそれぞれをメインポンプ14と作動油タンクとの間で並列に接続する作動油ラインであり、左油路42L及び右油路42Rを含む。左油路42Lは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁171L、172、173、175L、及び176Lのそれぞれを左メインポンプ14Lと作動油タンクとの間で並列に接続する作動油ラインである。右油路42Rは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁170、171R、174、175R、及び176Rのそれぞれを右メインポンプ14Rと作動油タンクとの間で並列に接続する作動油ラインである。
油路43は、メインポンプ14の吐出圧が所定圧に達したときに作動油を作動油タンクに放出するための作動油ラインであり、中央油路43C、左油路43L、及び右油路43Rを含む。左油路43Lは、左油路42Lと中央油路43Cとを繋ぐ作動油ラインであり、右油路43Rは、右油路42Rと中央油路43Cとを繋ぐ作動油ラインである。
油路44は、制御弁のスプール部を迂回するようにバルブハウジング17H内に形成された作動油ラインであり、中央油路44C、左油路44L、及び右油路44Rを含む。左油路44L及び右油路44Rは、中央油路43Cと中央油路44Cとを繋ぐ作動油ラインである。中央油路44Cは、左油路44L及び右油路44Rのそれぞれと油路45とを繋ぐ作動油ラインである。
図3に示す例では、油路44は、コントロールバルブユニット17内において、制御弁171〜176の上流側から、制御弁171〜176を避けるようにして、制御弁171〜176の下流側に延びるように配置されている。
油路45は、油路40、油路44、及び油路46のそれぞれと作動油タンクとを繋ぐ作動油ラインである。
油路46は、制御弁171〜176のそれぞれと油路45とを繋ぐ作動油ラインである。図3に示す例では、油路46は、左油路46L及び右油路46Rを含む。左油路46Lは、左走行用油圧モータ1ML、エンドアタッチメント駆動用の油圧アクチュエータ(図示せず。)、旋回用油圧モータ2A、ブームシリンダ7、及びアームシリンダ8のそれぞれから排出された作動油が流れ込む作動油ラインである。右油路46Rは、右走行用油圧モータ1MR、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9のそれぞれから排出された作動油が流れ込む作動油ラインである。
制御弁170は、走行直進弁として機能するスプール弁である。制御弁170は、下部走行体1の直進性を高めるべくメインポンプ14から走行用油圧モータ1Mに適切に作動油が供給されるように作動油の流れを切り換えるように構成されている。具体的には、走行用油圧モータ1Mと他の何れかの油圧アクチュエータとが同時に操作されている場合、左メインポンプ14Lが左走行用油圧モータ1ML及び右走行用油圧モータ1MRの双方に作動油を供給できるように制御弁170は切り換えられる。他の油圧アクチュエータが何れも操作されていない場合には、左メインポンプ14Lが左走行用油圧モータ1MLに作動油を供給でき、且つ、右メインポンプ14Rが右走行用油圧モータ1MRに作動油を供給できるように、制御弁170は切り換えられる。
制御弁171は、メインポンプ14が吐出する作動油を走行用油圧モータ1Mへ供給し、且つ、走行用油圧モータ1Mが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えることができるように構成されている。図3に示す例では、制御弁171は、制御弁171L及び制御弁171Rを含む。制御弁171Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行用油圧モータ1MLへ供給し、且つ、左走行用油圧モータ1MLが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁171Rは、左メインポンプ14L又は右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右走行用油圧モータ1MRへ供給し、且つ、右走行用油圧モータ1MRが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁172は、メインポンプ14が吐出する作動油をエンドアタッチメント駆動用の油圧アクチュエータ(図示せず。)へ供給し、且つ、エンドアタッチメント駆動用の油圧アクチュエータが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。エンドアタッチメント駆動用の油圧アクチュエータは、例えば、グラップル、ブレーカ、又はカッタ等のエンドアタッチメントを駆動するための油圧シリンダである。
制御弁173は、メインポンプ14が吐出する作動油を旋回用油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回用油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁174は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するためのスプール弁である。
制御弁175は、メインポンプ14が吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。図3に示す例では、制御弁175は、制御弁175L及び制御弁175Rを含む。制御弁175Lは、左メインポンプ14L又は右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7のボトム側油室へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁175Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁176は、メインポンプ14が吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。図3に示す例では、制御弁176は、制御弁176L及び制御弁176Rを含む。制御弁176Lは、左メインポンプ14L又は右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁176Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
図3は、コントロールバルブユニット17を構成するバルブハウジング17Hの範囲を点線で示している。すなわち、図3は、制御弁170〜176、油路40、油路42〜油路46、及びリリーフ弁50等がバルブハウジング17H内に配置されていることを示している。但し、図3に示すバルブハウジング17Hの範囲は、バルブハウジング17Hの実際の形状を表すものではない。バルブハウジング17Hは、典型的には、略直方体形状を有する。また、図3に示す、バルブハウジング17H内における各油路は、接続関係を表すのみであり、実際の油路の経路を表すものではない。
レギュレータ13は、メインポンプ14の斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14の吐出量(押し退け容積)を制御する。図3に示す例では、レギュレータ13は、左レギュレータ13L及び右レギュレータ13Rを含む。コントローラ30は、例えば、左メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を左レギュレータ13Lで調節して左メインポンプ14Lの吐出量を減少させる。右メインポンプの吐出量についても同様である。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収パワー(吸収馬力)がエンジン11の出力パワー(出力馬力)を超えないようにするためである。
左操作レバー26Lは、操作装置26の1つであり、旋回用油圧モータ2A及びアームシリンダ8を操作するために用いられる。具体的には、操作者は、左操作レバー26Lを前後方向に操作することでアームシリンダ8を伸縮させることができ、左操作レバー26Lを左右方向に操作することで旋回用油圧モータ2Aを回転させることができる。
左操作レバー26Lは、前後方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向(後方)に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向(前方)に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。左右方向に操作された場合についても同様である。
右操作レバー26Rは、操作装置26の1つであり、ブームシリンダ7及びバケットシリンダ9を操作するために用いられる。具体的には、操作者は、右操作レバー26Rを前後方向に操作することでブームシリンダ7を伸縮させることができ、右操作レバー26Rを左右方向に操作することでバケットシリンダ9を伸縮させることができる。
右操作レバー26Rは、前後方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じたパイロット圧を制御弁175のパイロットポートに作用させる。具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向(後方)に操作された場合に、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向(前方)に操作された場合には、制御弁175Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。左右方向に操作された場合についても同様である。
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。図3に示す例では、吐出圧センサ28は、左吐出圧センサ28L及び右吐出圧センサ28Rを含む。左吐出圧センサ28Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。右吐出圧センサ28Rは、右メインポンプ14Rの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
操作圧センサ29は、操作装置26に対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。図3に示す例では、操作圧センサ29は、左操作圧センサ29L及び右操作圧センサ29Rを含む。左操作圧センサ29Lは、左操作レバー26Lに対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。右操作圧センサ29Rは、右操作レバー26Rに対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作内容は、例えば、レバー操作方向及びレバー操作量(レバー操作角度)等である。
走行操作装置(図示せず。)は、下部走行体1を走行させるための操作装置である。走行操作装置は、典型的には、左走行レバー、右走行レバー、左走行ペダル、及び右走行ペダルを含む。走行操作装置は、左操作レバー26L及び右操作レバー26Rと同様に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量又はペダル操作量に応じたパイロット圧を制御弁171のパイロットポートに作用させる。走行操作装置に対する操作者の操作内容は、対応する操作圧センサによって圧力の形で検出され、検出値がコントローラ30に対して出力される。
コントローラ30は、吐出圧センサ28及び操作圧センサ29等の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させるように構成されている。
次に、図3に示す油圧システムで採用されるネガティブコントロール制御について説明する。油路40には、最も下流にある制御弁176と作動油タンクとの間に絞り18が配置されている。制御弁176を通過して作動油タンクに至る作動油の流れは、絞り18で制限される。そして、絞り18は、レギュレータ13を制御するための制御圧、すなわち、メインポンプ14の吐出量を制御するための制御圧を発生させる。なお、絞り18を通過する作動油の流量は、「ブリード流量」と称される。制御圧センサ19は、制御圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
図3に示す例では、絞り18は、開口面積が変化しない固定絞りであり、左油路40Lにおいて、制御弁176Lと作動油タンクとの間に配置される左絞り18Lと、右油路40Rにおいて、制御弁176Rと作動油タンクとの間に配置される右絞り18Rとを含む。制御圧センサ19は、左絞り18Lが発生させた制御圧を検出する左制御圧センサ19Lと、右絞り18Rが発生させた制御圧を検出する右制御圧センサ19Rとを含む。
コントローラ30は、制御圧に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14の吐出量を制御する。以下では、制御圧とメインポンプ14の吐出量との関係を「ネガティブコントロール特性」と称する。ネガティブコントロール特性に基づく吐出量の制御は、例えば、ROM等に記憶されている参照テーブルを利用することで実現されてもよく、所定の計算式を利用することで実現されてもよい。コントローラ30は、例えば、所定のネガティブコントロール特性を表す参照テーブルを参照し、制御圧が大きいほどメインポンプ14の吐出量を減少させ、制御圧が小さいほどメインポンプ14の吐出量を増大させる。
具体的には、図3に示すような、操作装置26が何れも操作されておらず油圧アクチュエータが何れも動作していない場合、すなわち、油圧システムが待機状態にある場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、制御弁176Lを通って左絞り18Lに至る。そして、左絞り18Lに至る作動油の流量が所定流量以上であれば、左絞り18Lの上流で発生する制御圧は所定圧に達する。制御圧が所定圧に達すると、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を所定の許容最小吐出量まで減少させ、吐出された作動油が左油路40Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。待機状態におけるこの所定の許容最小吐出量は、「スタンバイ流量」と称される。コントローラ30は、右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御する。
一方、左走行用油圧モータ1ML、エンドアタッチメント駆動用の油圧アクチュエータ、旋回用油圧モータ2A、ブームシリンダ7、及びアームシリンダ8のうちの何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を通って操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そのため、制御弁176Lを通って左絞り18Lに至る作動油の流量は減少し、左絞り18Lの上流で発生する制御圧は低下する。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を供給し、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。コントローラ30は、右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御する。なお、以下では、油圧アクチュエータに流れ込む作動油の流量は、「アクチュエータ流量」と称される。この場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流量は、左油路40Lに関するアクチュエータ流量と左油路40Lに関するブリード流量の合計に相当する。右メインポンプ14Rが吐出する作動油の流量についても同様である。
上述のような構成により、図3に示す油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14から必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できる。また、待機状態においては、図3に示す油圧システムは、油圧エネルギの無駄な消費を抑制できる。ブリード流量をスタンバイ流量まで低減させることができるためである。
リリーフ弁50は、油路40における作動油の圧力が所定のリリーフ圧を超えたときに作動油を作動油タンクに放出するように構成されている。油路40における作動油の圧力の過度の上昇は、油圧システムを構成する油圧機器又は構造物の破損をもたらすおそれがあるためである。図3に示す例では、リリーフ弁50は、油路40と作動油タンクとを繋ぐ油路43に配置されている。また、油路43にはチェック弁51が配置されている。なお、図3に示す例では、リリーフ弁50は、リリーフ圧が固定的に設定されている固定リリーフ圧であるが、リリーフ圧が可変である可変リリーフ弁であってもよい。
チェック弁51は、油路43から油路40への作動油の流れを止めるように構成されている。図3に示す例では、チェック弁51は、左油路43Lから左油路40Lへの作動油の流れを止める左チェック弁51Lと、右油路43Rから右油路40Rへの作動油の流れを止める右チェック弁51Rとを含む。
図3に示す例では、リリーフ弁50は、中央油路43Cに配置され、左チェック弁51Lは、左油路43Lに配置され、右チェック弁51Rは、右油路43Rに配置されている。
このように、図3に示す油圧システムは、1つのリリーフ弁50により、左油路40L及び右油路40Rのそれぞれにおける作動油を作動油タンクに放出できるように構成されている。但し、図3に示す油圧システムは、左油路40Lにおける作動油を作動油タンクに放出するための左リリーフ弁と、右油路40Rにおける作動油を作動油タンクに放出するための右リリーフ弁とを別々に備えていてもよい。この場合、左リリーフ弁は、左油路40Lと作動油タンクとを繋ぐ油路に配置され、右リリーフ弁は、右油路40Rと作動油タンクとを繋ぐ油路に配置される。
次に、ショベル100で実行される暖機作業について説明する。暖機作業は、コントロールバルブユニット17を循環する作動油の温度を上昇させるための作業である。典型的には、ショベル100の操作者は、寒冷地でショベル100を始動させたときにこの暖機作業を実行する。作動油の温度の上昇は、例えば、リリーフ弁50から作動油を放出することによって実現される。典型的には、操作者は、右操作レバー26Rを左方向に倒してバケット6を閉じ、更に、バケット6が完全に閉じた後も、右操作レバー26Rを左方向に倒し続ける。すなわち、操作者は、バケットシリンダ9が最大限に伸長した後も、バケットシリンダ9のボトム側油室に向けて作動油を供給し続ける。この場合、右メインポンプ14Rが吐出する作動油は、バケット6が完全に閉じられるまでは、制御弁174を介してバケットシリンダ9のボトム側油室に流入するが、バケット6が完全に閉じられた後は、バケットシリンダ9のボトム側油室に流入できず、右油路40R内の作動油の圧力を上昇させる。そして、右油路40R内の作動油の圧力がリリーフ弁50のリリーフ圧を上回るとリリーフ弁50が開き、右メインポンプ14Rが吐出する作動油は、右油路43R、右チェック弁51R、リリーフ弁50、中央油路43C、油路44、及び油路45を通じて作動油タンクに放出される。その結果、右メインポンプ14Rが吐出する作動油は、リリーフ弁50を通過する際の摩擦によって加熱される。この放出が継続されると、作動油タンク内の作動油の温度は上昇する。
操作者は、キャビン10内に設置されている表示装置に表示された作動油の温度に関する情報を見ながら、作動油の温度が所望の温度に達したか否かを判断できる。コントローラ30は、油温センサS1から取得した作動油の温度に関する情報を表示装置に表示させるように構成されている。操作者は、作動油の温度が所望の温度に達したと判断すると、右操作レバー26Rを中立位置に戻し、リリーフ弁50を通じた作動油の放出を停止させることで、暖機作業を終了させる。
仮に中央油路43Cが油路46の上流端に接続されていた場合、リリーフ弁50を通過した高温の作動油は、後掲の図5(A)における二点鎖線矢印AR0で示すように、制御弁170〜176のそれぞれの一部と接触してそれらを順番に加熱しながら作動油タンクに放出される。油路46は、後掲の図4(A)に示すように、コントロールバルブユニット17のバルブハウジング17H内に形成されているスプール穴と交差するように構成されているためである。スプール穴は、制御弁を構成するスプール部が収容される穴である。この場合、作動油タンク内の作動油の温度が所望の温度まで上昇した時点では、コントロールバルブユニット17は、油路46に近い部分では暖まっているが、油路46から遠い部分では冷えたままである。
コントロールバルブユニット17の一部のみが局所的に暖まっているこのような状態のときに、作動油が十分に暖まったとしてショベル100の通常動作が開始されてしまうと、ショベル100の動きが不安定になってしまうおそれがある。例えば、ブーム4を上昇させるために操作者が右操作レバー26Rを後方に傾けると、制御弁175を構成するスプール部が、コントロールバルブユニット17のバルブハウジング17H内に形成されているスプール穴に固着してしまうおそれがある。スプール部の一部は、暖機作業中に高温の作動油に接していたために熱膨張しているためであり、スプール穴の大部分は、暖機作業中に高温の作動油に接していないために熱膨張していないためである。この場合、ブーム4は、右操作レバー26Rが中立位置に戻されたとしても、スプール部が中立弁位置に戻らないため、上昇し続けてしまうおそれがある。
この問題は、スプール部の熱容量(サイズ)とバルブハウジング17Hの熱容量(サイズ)との違いに起因するものと考えられる。すなわち、この問題は、スプール部の熱容量がバルブハウジング17Hの熱容量よりも顕著に小さいため、スプール部の熱膨張がスプール穴の熱膨張よりも速く進行することによって引き起こされると考えられる。
そこで、本発明の実施形態に係るショベル100は、暖機作業中に制御弁が局所的に加熱されてしまうのを防止し、且つ、暖機作業中にコントロールバルブユニット17におけるより広い部分が暖まるようにすることで、ショベル100の動きが不安定になるといった問題が発生するのを抑制できるように構成されている。具体的には、ショベル100は、暖機作業中にスプール部の一部のみが局所的に加熱されてしまうのを防止し、且つ、暖機作業中にスプール穴が全体的に加熱されるようにすることで、ショベル100の動きが不安定になるといった問題が発生するのを抑制できるように構成されている。
より具体的には、油路44は、コントロールバルブユニット17のバルブハウジング17H内に形成されているスプール穴と交差しないように形成されている。
ここで、図4及び図5を参照し、バルブハウジング17Hの構成例について説明する。図4及び図5は、バルブハウジング17Hの断面図である。具体的には、図4(A)は、図5(A)及び図5(B)に示す一点鎖線L3を含むXZ平面に平行な仮想面におけるバルブハウジング17Hの断面を示す。図4(B)は、図5(A)及び図5(B)に示す一点鎖線L4を含むXZ平面に平行な仮想面におけるバルブハウジング17Hの断面を示す。図5(A)は、図4(A)及び図4(B)に示す一点鎖線L1を含むXY平面に平行な仮想面におけるバルブハウジング17Hの断面を示す。図5(B)は、図4(A)及び図4(B)に示す一点鎖線L2を含むXY平面に平行な仮想面におけるバルブハウジング17Hの断面を示す。
図4(A)は、中立弁位置にある制御弁173と、左弁位置にある制御弁174とを示す。中立弁位置にある制御弁173のスプール部173Sは、図5(A)の矢印AR1で示すような左油路40Lを通じた作動油の流れを可能にしている。その一方で、中立弁位置にあるスプール部173Sは、図4(A)に示すように、油路56aから油路2L及び油路2Rへの作動油の流れを遮断し、且つ、油路2L及び油路2Rから左油路46Lへの作動油の流れを遮断している。油路56aは、左油路42Lと油路2L又は油路2Rとを繋ぐ作動油ラインであり、制御弁173が右側に移動したときに左油路42Lと油路2Lとを繋ぎ、制御弁173が左側に移動したときに左油路42Lと油路2Rとを繋ぐ。油路2Lは、旋回用油圧モータ2Aの左側ポートに接続される作動油ラインであり、油路2Rは、旋回用油圧モータ2Aの右側ポートに接続される作動油ラインである。制御弁173が左側に移動して左油路40Lが遮断されると、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、左油路42L内に流入し、更にチェック弁55aを開いて油路56aに流入する。また、制御弁173が左側に移動すると、油路56aと油路2Rとが繋がるため、油路56aに流入した作動油は、油路2Rを通って旋回用油圧モータ2Aの右側ポートに流入し、旋回用油圧モータ2Aを回転させる。また、制御弁173が左側に移動すると、油路2Lと左油路46Lとが繋がるため、旋回用油圧モータ2Aの左側ポートから吐出される作動油は、油路2Lを通って左油路46Lに流入し、油路45を通って作動油タンクに排出される。
左弁位置にある制御弁174のスプール部174Sは、図4(A)に示すように、右油路40Rを通じた作動油の流れを遮断している。その一方で、左弁位置にあるスプール部174Sは、図4(A)の矢印AR2で示すように、油路56bから油路9Bへの作動油の流れを可能にし、且つ、図4(A)の矢印AR3で示すように、油路9Rから右油路46Rへの作動油の流れを可能にしている。油路56bは、右油路42Rと油路9R又は油路9Bとを繋ぐ作動油ラインであり、制御弁174が右側に移動したときに右油路42Rと油路9Rとを繋ぎ、制御弁174が左側に移動したときに右油路42Rと油路9Bとを繋ぐように構成されている。油路9Rは、バケットシリンダ9のロッド側油室に接続される作動油ラインであり、油路9Bは、バケットシリンダ9のボトム側油室に接続される作動油ラインである。図4(A)に示すように制御弁174が左側に移動して右油路40Rが遮断されると、右メインポンプ14Rが吐出する作動油は、右油路42R内に流入し、更にチェック弁55bを開いて油路56bに流入する。また、制御弁174が左側に移動すると、油路56bと油路9Bとが繋がるため、油路56bに流入した作動油は、矢印AR2で示すように、油路9Bを通ってバケットシリンダ9のボトム側油室に流入し、バケットシリンダ9を伸長させる。また、制御弁174が左側に移動すると、油路9Rと右油路46Rとが繋がるため、バケットシリンダ9のロッド側油室から吐出される作動油は、矢印AR3で示すように、油路9Rを通って右油路46Rに流入し、油路45を通って作動油タンクに排出される。
暖機作業は、上述のように、バケットシリンダ9が最大限に伸長した後もバケットシリンダ9のボトム側油室に作動油を供給し続けることによって実現される。暖機作業が行われているときには、右油路40Rを流れる作動油は、制御弁174のスプール部174Sによって遮断され、右油路42Rを流れる作動油は、もはやバケットシリンダ9のボトム側油室に流入することができないため、行き場を失う。そのため、右メインポンプ14Rが吐出した作動油は、図4(B)の矢印AR4で示すように、右油路43Rに配置された右チェック弁51Rを経てリリーフ弁50に至る。そして、右メインポンプ14Rの吐出圧がリリーフ圧を超えると、右メインポンプ14Rが吐出した作動油は、リリーフ弁50を開き、図4(B)の矢印AR5及び図5(B)の矢印AR6で示すように、油路44に流入し、油路45に向かって流れる。
具体的には、リリーフ弁50を通過した作動油は、図5(B)の矢印AR6で示すように、左油路44L及び右油路44Rのそれぞれを通って流れ、中央油路44Cで合流した後、図5(A)の矢印AR7で示すように、油路45を通って作動油タンクに排出される。
油路44は、図5(A)及び図5(B)で示すように、制御弁171〜176よりも−Y側から、制御弁171〜176を避けるようにして、制御弁171〜176よりも+Y側に延びるように配置されている。すなわち、油路44は、バルブハウジング17Hにおいて、制御弁171〜176が配置されている部分よりもバルブハウジング17Hの一端(−Y側の端部)に近い部分から、制御弁171〜176が配置されている部分よりもバルブハウジング17Hの一他端(+Y側の端部)に近い部分まで延びるように構成されている。
また、図5(A)及び図5(B)に示す例では、油路44は、制御弁171〜176よりも−Y側で左油路44Lと右油路44Rとに分岐している。そして、左油路44Lと右油路44Rとは、制御弁171〜176よりも−Y側で合流している。
左油路44Lは、バルブハウジング17H内に形成されているスプール穴と交差しないように形成されている。同様に、右油路44Rは、バルブハウジング17H内に形成されているスプール穴と交差しないように形成されている。本実施形態では、図4(A)に示すように、左油路44Lは、バルブハウジング17Hの左上隅に形成され、右油路44Rは、バルブハウジング17Hの右上隅に形成されている。
この構成により、バルブハウジング17Hは、暖機作業中、加熱された作動油が通過する油路43〜油路45が形成された第1部分が優先的に暖められる。そして、第1部分に伝わった熱は、熱伝導によってバルブハウジング17Hの残りの部分に伝わる。そのため、バルブハウジング17Hは、全体的に暖められて熱膨張し、バルブハウジング17H内に形成された複数のスプール穴のそれぞれも熱膨張する。
一方で、スプール穴内に収容されている制御弁は、暖機作業中、高温の作動油に直接接触することはない。そのため、暖機作業中に制御弁のスプール部の一部のみが局所的に加熱されてしまうことはなく、その後の通常動作において、局所的に熱膨張したスプール部の一部がスプール穴内で固着してしまうこともない。
このように、バルブハウジング17Hは、暖機作業が行われた後の通常動作において、制御弁のスプール部がスプール穴内で固着してしまうのを防止できる。
次に、図6を参照し、バルブハウジング17Hの別の構成例について説明する。図6は、バルブハウジング17Hの別の構成例の断面図であり、図4(A)に対応している。
図6に示すバルブハウジング17Hは、リリーフ弁50の下流側に配置されている油路44が4つに分岐するように構成されている点で、図4及び図5に示すバルブハウジング17Hと異なるが、その他の点で図4及び図5に示すバルブハウジング17Hと共通している。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
図6に示すバルブハウジング17Hに形成されている油路44は、左上油路44TL、右上油路44TR、左下油路44BL、及び右下油路44BRを含む。左上油路44TLは、図4(A)に示す左油路44Lと同様に、バルブハウジング17Hの左上隅に形成され、図5(B)に示す左油路44Lと同様に、バルブハウジング17Hの左側面に沿って真っ直ぐに延びている。また、右上油路44TRは、図4(A)に示す右油路44Rと同様に、バルブハウジング17Hの右上隅に形成され、図5(B)に示す右油路44Rと同様に、バルブハウジング17Hの右側面に沿って真っ直ぐに延びている。左下油路44BLは、バルブハウジング17Hの左中央部に形成され、バルブハウジング17Hの左側面に沿って真っ直ぐに延びている。また、右下油路44BRは、バルブハウジング17Hの右中央部に形成され、バルブハウジング17Hの右側面に沿って真っ直ぐに延びている。
暖機作業が行われているときにリリーフ弁50を通過した作動油は、左上油路44TL、右上油路44TR、左下油路44BL、及び右下油路44BRのそれぞれを通って流れ、中央油路44Cで合流した後、油路45を通って作動油タンクに排出される。
この構成により、図6に示すバルブハウジング17Hは、図4及び図5に示すバルブハウジング17Hに比べ、早期に暖められ得る。図6に示すバルブハウジング17Hでは、油路44を通過する作動油とバルブハウジング17Hとの間の接触面積が、図4及び図5に示すバルブハウジング17Hにおける接触面積よりも大きいためである。また、図6に示すバルブハウジング17Hは、図4及び図5に示すバルブハウジング17Hと同様に、暖機作業が行われているときに制御弁と高温の作動油とが接触しないように構成されている。そのため、図6に示すバルブハウジング17Hは、熱容量の差に起因して、スプール部の外径が一時的にしろスプール穴の内径よりも大きくなってしまうのをより確実に防止できる。
上述のように、本発明の実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に搭載される油圧ポンプとしてのメインポンプ14と、上部旋回体3に搭載されるコントロールバルブユニット17と、メインポンプ14が吐出する作動油によって駆動される油圧アクチュエータとを有する。そして、ショベル100は、図3に示すように、コントロールバルブユニット17を構成するバルブハウジング17H内に形成され、且つ、メインポンプ14が吐出する作動油を油圧アクチュエータに供給可能な第1油路としての油路40と、油路40に配置された制御弁170〜176と、バルブハウジング17H内に形成され、且つ、制御弁170〜176のそれぞれのスプール部を迂回する第2油路としての油路44とを更に有する。
この構成により、ショベル100は、暖機作業の際にバルブハウジング17Hのより広い部分を暖めることができる。
具体的には、油路44は、バルブハウジング17H内に形成されたスプール穴と立体交差するように形成されている。言い換えれば、油路44は、スプール穴と直交しないように、すなわち、スプール穴を経由しないように形成されている。
なお、油路44は、図4及び図5に示す例では、制御弁176の下流側で油路40と合流するように形成されているが、油路40と合流しないように形成されていてもよい。例えば、油路44は、油路45とは異なる別の油路を通じて作動油タンクに放出されてもよい。
油路44の上流側には、リリーフ弁50が配置されていてもよい。そして、油路44は、リリーフ弁50の下流側において分岐するように形成されていてもよい。或いは、油路44は、バルブハウジング17H内で蛇行するように構成されていてもよい。
これらの構成により、ショベル100は、暖機作業の際にバルブハウジング17Hのより広い部分を暖めることができる。
なお、ショベル100は、コントロールバルブユニット17内に配置された複数の制御弁170〜176のそれぞれをメインポンプ14と作動油タンクとの間で並列に接続する第3油路としての油路42を更に有していてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
例えば、上述の実施形態では、油路44は、油路45に接続されており、油路44を流れる作動油は、油路45を通って作動油タンクに排出されている。しかしながら、油路44を流れる作動油は、油路45を通らずに、作動油タンクに排出されてもよい。すなわち、バルブハウジング17Hには、油路44と作動油タンクとを繋ぐ別の油路が形成されていてもよい。