JP2021155569A - インクセット及び印刷物の製造方法 - Google Patents

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彩弥子 中尾
肇 角田
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肇 角田
秀樹 今西
Hideki Imanishi
秀樹 今西
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Abstract

【課題】画像部の耐久性及び柔軟性に優れる印刷物を提供する。【解決手段】水性インクジェットインクと、オーバーコート剤とを含み、前記水性インクジェットインクは、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤、水分散性樹脂、色材、及び水を含み、前記オーバーコート剤は、水、及び前記オーバーコート剤全量に対して3質量%以上の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含む、水性インクジェットインクセットが提供される。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、インクセット及び印刷物の製造方法に関する。
インクジェット記録システムは、流動性の高い液体インクを微細なノズルから噴射し、基材に付着させて印刷を行う印刷システムである。このシステムは、比較的安価な装置で、高解像度、高品位の画像を、高速かつ低騒音で印刷可能という特徴を有し最近急速に普及している。
インクとしては、安価に高画質の印刷物が得られることから、水性タイプのインクが普及している。水性インクは、水分を含有することにより乾燥性を高めたインクであり、さらに環境性に優れるという利点もある。
インクジェット記録システムは近年、普通紙や専用紙等の紙媒体だけではなく、インクが繊維に沿って滲みやすい織物、フェルト等の不織布、木質材、基材のもつ空隙により機能を発現するような機能性多孔質材等にも利用され、さらにインクが浸透しにくいプラスチック基材、合成紙、金属基材、ガラス基材等にも利用されている。このような多様な基材に高品質な印刷を施すためには、高い画像性に加え、様々な建築材、家具、日用品等に用いられるような基材である場合、高い耐久性が求められる。
印刷画像を形成した後に、耐久性が高い樹脂を含むオーバーコート層をコーティングして、印刷物に耐久性を付与する方法がある(特許文献1)。
また、特許文献2には、金属板上に、色相塗膜、印刷層、及びクリヤー塗膜が設けられ、クリヤー塗膜が特定のポリエステル樹脂を含む塗装金属板が開示されている。
特開2013−163370号公報 特開2008−149584号公報
基材上の、印刷画像が形成された画像部の塗膜は、耐久性に加えて、柔軟性を備えることが望ましい。紙媒体、織物、不織布等の変形可能な基材では、基材の変形に応じて基材上の画像部の塗膜も追従して変形し、塗膜にひびが発生しないことが望まれる。また、画像部に曲げ加工等の加工を施す用途もあり、加工部分の画像性を確保することも望ましい。オーバーコート層を施した部分に曲げ加工を施すと、オーバーコート層の樹脂量が多い場合、樹脂膜にひびが入り、いわゆる白化現象が観察されることがある。
本発明の実施形態は、画像部の耐久性及び柔軟性に優れる印刷物を形成可能な水性インクジェットインク及び印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態により、水性インクジェットインクと、オーバーコート剤とを含み、前記水性インクジェットインクは、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤、水分散性樹脂、色材、及び水を含み、前記オーバーコート剤は、水、及び前記オーバーコート剤全量に対して3質量%以上の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含む、水性インクジェットインクセットが提供される。
本発明の他の実施形態により、基材に水性インクジェットインクをインクジェット印刷法により付与することと、前記水性インクジェットインクが付与された前記基材に、オーバーコート剤を付与することとを含み、前記水性インクジェットインクは、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤、水分散性樹脂、色材、及び水を含み、前記オーバーコート剤は、水、及び前記オーバーコート剤全量に対して3質量%以上の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含む、印刷物の製造方法が提供される。
本発明の実施形態によれば、画像部の耐久性及び柔軟性に優れる印刷物を形成可能なインクセット及び印刷物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施形態を用いて説明する。以下の実施形態における例示が本発明を限定することはない。
<インクセット>
一実施形態によるインクセットは、水性インクジェットインク(以下、単に「インク」、又は「水性インク」と称することがある。)と、オーバーコート剤とを含み、水性インクジェットインクは、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(以下、単に「アセチレングリコール系界面活性剤S」、又は、「界面活性剤S」と称することがある。)、水分散性樹脂、色材、及び水を含み、オーバーコート剤は、水、及びオーバーコート剤全量に対して3質量%以上の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含む。
一実施形態によれば、画像部の耐久性及び柔軟性に優れる印刷物を提供することができる。その理由の一つを以下に説明するが、以下の理由に拘束されない。
一実施形態によるインクセットは、オーバーコート剤とインクとを含み、オーバーコート剤は耐久性が高い水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含み、インクは、このポリカーボネート型ウレタン系樹脂を適度に膨潤させ得る低HLBのアセチレングリコール系界面活性剤Sを含む。オーバーコート剤に含まれる、耐久性に優れた水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂によって、強固で耐久性を備えた樹脂膜を、オーバーコート層として形成することができる。また、基材上で、オーバーコート剤のポリカーボネート型ウレタン系樹脂が、先に付与されたインクの低HLBのアセチレングリコール系界面活性剤Sと接触して適度に膨潤することにより、得られるオーバーコート層に柔軟性をもたらすことができる。このようにして、耐久性及び柔軟性に優れるオーバーコート層が印刷画像の上に形成されることで、画像部の耐久性及び柔軟性に優れる印刷物を提供することができる。
印刷画像が形成された画像部の耐久性及び柔軟性に優れることから、この画像部に曲げ加工等の加工を施す場合にも、加工部分のヒビ又は白化現象の発生を抑制することができる。また、加工後の画像部の耐久性を高めることができる。
耐久性に優れたオーバーコート層が形成されることにより、画像部の耐水性も向上させることができる。
「水性インクジェットインク」
インクは、水分散性樹脂を含むことができる。
水分散性樹脂は、水分散性を示すことから、水中で水に溶解することなく粒子状に分散して水中油(O/W)型の樹脂エマルションを形成することができる。水分散性樹脂は、インク中で樹脂粒子として分散状態で含まれることが好ましい。
水分散性樹脂は、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂、ノニオン性樹脂のいずれであってもよい。水性インクに適する色材はアニオン性を示すものが多いことから、水中での色材の安定性を考慮して、アニオン性樹脂、両性樹脂、ノニオン性樹脂を好ましく用いることができる。
水分散性樹脂としては、自己乳化型樹脂のように、樹脂が有する官能基が樹脂粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面に分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。
水分散性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂等が挙げられる。水分散性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、これらの樹脂のうち1種を、または2種以上を組み合わせて用いてよい。
水分散性樹脂としては、水分散性ウレタン系樹脂、水分散性(メタ)アクリル系樹脂、またはそれらの組み合わせが好ましい。水分散性樹脂としては、インク塗膜の柔軟性の向上の観点からは、水分散性ウレタン系樹脂が好ましい。
水分散性ウレタン系樹脂としては、例えば、水分散性ポリエーテル型ウレタン系樹脂、水分散性ポリエステル型ウレタン系樹脂、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂等が挙げられる。
水分散性ウレタン系樹脂としては、例えば、水分散性ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂、水分散性ポリエステル型脂肪族ウレタン系樹脂、水分散性ポリカーボネート型脂肪族ウレタン系樹脂等も挙げられる。
水分散性ウレタン系樹脂としては、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物を用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を用いることができ、好ましくはジイソシアネートである。
インク塗膜の強度の向上及びインク塗膜の柔軟性の向上の観点から、水分散性ウレタン系樹脂としては、ウレタン骨格部分が脂肪族ウレタン骨格であることが好ましく、ウレタン骨格部分が脂肪族ジイソシアネートに由来して鎖状であることがより好ましい。
ウレタン系樹脂自体の黄変を防止し、得られる樹脂膜の透明性を向上させ、水性インクの発色性をより改善する観点から、ポリイソシアネートとして脂肪族ポリイソシアネートを用いて合成した水分散性ウレタン系樹脂が好ましい。
水分散性(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル系単位、アクリル系単位、又はこれらの組み合わせを少なくとも含む重合体を意味する。
水分散性(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系モノマー由来の単位を含む重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(B)は、(メタ)アクリル系モノマー由来の単位とともに、その他のモノマー由来の単位を含んでもよい。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。これらは、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の単位としては、スチレン単位、酢酸ビニル単位、塩化ビニル単位等が挙げられる。これらは、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水分散性(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル共重合体、又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、又はこれらの組み合わせである。
水分散性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1000〜100000が好ましい。例えば、水分散性ウレタン系樹脂の重量平均分子量は、10000〜100000が好ましく、15000〜80000がより好ましい。例えば、水分散性(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、1000〜100000が好ましく、5000〜80000がより好ましい。ここで、樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーション(GPC)法で、ポリスチレン換算による値である。以下、特に断りのない限り同じである。
水分散性樹脂は、インク中で粒子状となる水中油(O/W)型の樹脂エマルションとしてインクに配合することができ、インク中で樹脂粒子の状態となることが好ましい。
水分散性樹脂のインク中での樹脂粒子の平均粒子径は、インクジェット印刷に適した大きさであればよく、一般的には平均粒子径で300nm以下であることが好ましい。この平均粒子径は、インクの吐出性及びインクの貯蔵安定性の観点から、より好ましくは250nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下であり、一層好ましくは150nm以下である。さらに、色材として顔料を用いる場合は、顔料粒子同士の結着性をより高める観点からは、この樹脂粒子の平均粒子径は、顔料の平均粒子径(一般的には80〜200nm程度)よりも小さいことが好ましい。
また、水分散性樹脂のインク中での樹脂粒子の平均粒子径の下限値は、特に限定はされないが、インクの貯蔵安定性の観点から、水分散性樹脂のインク中での樹脂粒子の平均粒子径は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。
本明細書において、特に断らない限り、平均粒子径は、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の粒子径値(メジアン径)である。動的光散乱式粒子径分布測定装置としては、ナノ粒子解析装置nanoParticaSZ−100(株式会社堀場製作所)等を用いることができる。
インクに配合する水分散性樹脂の樹脂エマルションは、固形分量が10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましく、30〜40質量%であることがさらに好ましい。
インクに配合する水分散性樹脂の樹脂エマルションは、エマルションの状態で粘度が1〜300mPa・sであることが好ましく、1〜100mPa・sがより好ましい。
表面エネルギーが異なる多様な基材に高品質な印刷をするためには、インクの濡れ広がりやすさが重要になり得る。そのため、インクに配合する樹脂エマルションの粘度は低い方が好ましい。
水分散性ウレタン系樹脂の樹脂エマルションの市販品としては、例えば、三井化学株式会社製の「タケラックW-6020」、「タケラックW-6061」、「タケラックW-5661」(いずれも商品名)、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス150」、「スーパーフレックス420」、「スーパーフレックス470」、「スーパーフレックスE−4800」(商品名)、DSM社製「NeoRez R−967」、「NeoRez R−600」、「NeoRez R−9621」(いずれも商品名)等が挙げられる。
水分散性(メタ)アクリル系樹脂の樹脂エマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製の「モビニール7320」、「モビニール7400」、「モビニール7420」、「モビニール966A」、「モビニール6960」(いずれも商品名)、BASFジャパン株式会社製の「ジョンクリル7100」、「ジョンクリル390」、「ジョンクリルPDX−7370」(いずれも商品名)、DIC株式会社製「ボンコートCE−6400」、「ボンコートCF−6140」、「VF−1040」、「ボンコートEC−905EF」「ボンコート5400EF」(いずれも商品名)等が挙げられる。
水分散性樹脂は、固形分量の質量比で、色材1に対し、0.1〜10が好ましく、0.1〜8がさらに好ましく、0.5〜2がさらに好ましい。
水分散性樹脂の量は、固形分量で、インク全量に対し、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましい。
水分散性樹脂の量は、固形分量で、インク全量に対し、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましい。
例えば、水分散性樹脂の量は、固形分量で、インク全量に対し、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、4〜10質量%がさらに好ましい。
インクは、水分散性樹脂に加えて、その他の樹脂を含んでもよい。例えば、その他の樹脂として、水溶性樹脂等を挙げることができる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂にアニオン性の官能基を導入したアニオン性水溶性樹脂を用いることができる。
その他の樹脂は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他の樹脂を含むインク中の樹脂の合計量(有効成分)は、インク全量に対し、1〜20質量%が好ましい。また、インクにその他の樹脂が配合される場合、インクに配合される全ての樹脂の合計量に対し、水分散性樹脂の合計量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
インクは、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤S)を含むことができる。
アセチレングリコール系界面活性剤は、アセチレン基を有するグリコールであって、好ましくはアセチレン基が中央に位置して左右対称の構造を備えるグルコールであり、アセチレングリコールにエチレンオキサイドを付加した構造を備えてもよい。
アセチレングリコール系界面活性剤Sとして、エチレンオキサイドを付加したアセチレングリコールを用いる場合において、エチレンオキサイドの付加モル数は5以下が好ましく、4以下がより好ましい。
画像部の耐久性及び柔軟性の向上の観点から、インクに含まれるアセチレングリコール系界面活性剤Sは、HLB値が10.0以下であることが好ましく、9.0以下であることがより好ましく、8.0以下であることがより好ましく、5.0以下であってもよい。
アセチレングリコール系界面活性剤Sは、HLB値の下限値は特に限定されないが、インクの貯蔵安定性の観点から、HLB値が1.0以上であることが好ましく、2.0以上がより好ましく、3.0以上であってもよい。
例えば、アセチレングリコール系界面活性剤(C)は、HLB値が1.0以上10.0以下であることが好ましく、2.0以上9.0以下であることがより好ましく、2.0以上8.0以下であることがさらに好ましく、3.0以上5.0以下であることがさらに好ましい。
ここで、HLB値は、界面活性剤の性質を示す尺度の一つであり、分子中の親水基と親油基とのバランスを数値化したものである。HLB値は、いくつかの算出方法によって提唱されているが、本明細書において、グリフィン法によって算出される値であり、下記式(1)によって算出される。
HLB値=20×(親水部の式量)/(界面活性剤の分子量)・・・式(1)
ここで、「親水部」は、界面活性剤の分子構造中に含まれている親水性の部分を示し、好ましくは、ポリオキシアルキレン基、水酸基に対する主鎖の炭素数が3以下のアルコール基、又はこれらの組み合わせである。界面活性剤に複数の親水性の部分が含まれる場合は、上記式(1)において親水部の式量はこれらの合計量とする。
ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基(ポリエチレンオキサイド;EO)、ポリオキシプロピレン基(ポリプロピレンオキサイド;PO)等が挙げられる。
また、アルコール基としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、スクロース(ショ糖)、マンニット、グリコール類等が挙げられる。
「疎水部」は、界面活性剤の分子構造中に含まれている疎水性の部分を示し、例えば、水酸基に対する主鎖の炭素数が4以上の脂肪族アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸等に由来する脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、有機シロキサン、ハロゲン化アルキル等、又はこれらの組み合わせである。
HLB値が10.0以下のアセチレングリコール系界面活性剤の市販品として、例えば、「オルフィンE1004」、「サーフィノール420、440」(いずれも商品名)(以上、日信化学工業株式会社製)、「アセチレノールE13T」、「アセチレノールE40」(いずれも商品名)(以上、川研ファインケミカル株式会社)等を挙げることができる。
上記したアセチレングリコール系界面活性剤Sは、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アセチレングリコール系界面活性剤Sは、基材に対するインクの濡れ性を向上させて画像の均一性を向上させる観点、及び、画像部の耐久性及び柔軟性の向上の観点から、有効成分量で、インク全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤Sは、インクの貯蔵安定性を向上させる観点から、有効成分量で、インク全量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
例えば、アセチレングリコール系界面活性剤Sは、有効成分量で、インク全量に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。
インクは、上記したアセチレングリコール系界面活性剤Sに加えて、その他の界面活性剤を含んでもよい。その他の界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを好ましく用いることができ、より好ましくは非イオン性界面活性剤である。
その他の界面活性剤として、HLB値が10.0より大きいアセチレングリコール系界面活性剤を用いてもよい。
HLB値が10.0より大きいアセチレン系界面活性剤の市販品として、例えば、「オルフィンE1010、E1006、E1020」、「サーフィノール465、485」(以上、日信化学工業株式会社製)等を挙げることができる(いずれも商品名)。
さらにその他の界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ソルビタンエステル等のエステル型界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型界面活性剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型界面活性剤;アセチレンアルコール系界面活性剤;アセチレン基を有する界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤等が挙げられる。なかでも、アセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレン基を有する界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を好ましく用いることができる。
その他の界面活性剤をインクに配合する場合では、インク中の界面活性剤全量に対し、アセチレングリコール系界面活性剤Sは、有効成分の質量割合で、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましい。
インクは、色材を含むことができる。色材としては、顔料、染料、又はこれらの組み合わせを含むことができる。画像の耐候性及び発色性の点から、顔料を好ましく用いることができる。
顔料は、顔料分散体としてインクに好ましく配合することができる。
顔料分散体としては、顔料が溶媒中に分散可能なものであって、インク中で顔料が分散状態となるものであればよい。例えば、顔料を顔料分散剤で水中に分散させたもの、自己分散性顔料を水中に分散させたもの、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を水中で分散させたもの等を用いることができる。
顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料;カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン顔料等の金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
さらに、有機顔料としては、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等が挙げられる。
また、無機顔料としては、コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、これらの金属酸化物及び硫化物、並びに黄土、群青、紺青等が挙げられる。
また、顔料として白色顔料を用いてもよい。白色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム等の無機顔料が挙げられる。
これらの顔料の平均粒子径は50〜500nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。これらの顔料の平均粒子径は、発色性の観点から50nm以上であることが好ましく、吐出安定性の観点から500nm以下であることが好ましい。
インク中に顔料を安定に分散させるために、高分子分散剤や界面活性剤に代表される顔料分散剤を好ましく用いることができる。
高分子分散剤の市販品として、例えば、エボニックジャパン株式会社製のTEGOディスパースシリーズ「TEGOディスパース740W」、「TEGOディスパース750W」、「TEGOディスパース755W」、「TEGOディスパース757W」、「TEGOディスパース760W」(いずれも商品名)、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ「ソルスパース20000」、「ソルスパース27000」、「ソルスパース41000」、「ソルスパース41090」、「ソルスパース43000」、「ソルスパース44000」、「ソルスパース46000」(いずれも商品名)、BASFジャパン株式会社製のジョンクリルシリーズ「ジョンクリル57J」、「ジョンクリル60J」、「ジョンクリル63J」、(いずれも商品名)、ビックケミー・ジャパン株式会社製の「DISPERBYK−102」、「DISPERBYK−185」、「DISPERBYK−190」、「DISPERBYK−193」、「DISPERBYK−199」(いずれも商品名)」等が挙げられる。
界面活性剤型分散剤には、インク中の顔料の分散安定性、及び前処理剤からのイオン性の影響を考慮して、非イオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
界面活性剤型分散剤の市販品として、例えば、花王株式会社製エマルゲンシリーズ「エマルゲンA−60」、「エマルゲンA−90」、「エマルゲンA−500」、「エマルゲンB−66」、「エマルゲン430」、「エマルゲン420」(いずれも商品名)等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
これらの顔料分散剤は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料分散剤を用いる場合では、顔料分散剤の添加量はその種類によって異なり特に限定はされない。例えば、顔料分散剤は、有効成分の質量比で、顔料1に対し、0.005〜0.5の範囲で添加することができる。
色材として自己分散性顔料を配合してもよい。自己分散性顔料は、化学的処理又は物理的処理により顔料の表面に親水性官能基が導入された顔料である。自己分散性顔料に導入させる親水性官能基としては、イオン性を有するものが好ましく、顔料表面をアニオン性又はカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定に分散させることができる。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基等が好ましい。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基等が好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられるが、これらに限定されることはない。顔料表面の処理方法としては、ジアゾ化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミン酸処理、真空プラズマ処理等が挙げられる。
自己分散性顔料としては、例えば、キャボット社製CAB−O−JETシリーズ「CAB−O−JET200」、「CAB−O−JET300」、「CAB−O−JET250C」、「CAB−O−JET260M」、「CAB−O−JET270」(いずれも商品名)、オリヱント化学工業株式会社製「BONJET BLACK CW−1」、「BONJET BLACK CW−2」、「BONJET BLACK CW−4」(いずれも商品名)等を好ましく使用することができる。
顔料分散剤で顔料があらかじめ分散された顔料分散体を使用してもよい。顔料分散剤で分散された顔料分散体の市販品としては、例えば、クラリアント社製「HOSTAJET」シリーズ(商品名)、冨士色素株式会社製「FUJI SP」シリーズ(商品名)等が挙げられる。上記した顔料分散剤で分散された顔料分散体を使用してもよい。また、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を使用してもよい。
色材として染料を配合してもよい。染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられる。これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものを好ましく用いることができる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。
上記した色材は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
色材は、有効成分量で、インク全量に対し、0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましく、2質量%〜5質量%がさらに好ましい。
インクは、水性溶媒として水を含むことが好ましく、主溶媒が水であってもよい。なお、上記した樹脂エマルション、顔料分散体等に溶媒として水が含まれる場合は、各成分中の水はインク中の水の一部に換算して、インクを作製する。
水としては、特に制限されないが、イオン成分をできる限り含まないものが好ましい。特に、インクの貯蔵安定性の観点から、カルシウム等の多価金属イオンの含有量が少ないことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等を用いるとよい。
水は、インク粘度の調整の観点から、インク全量に対して20質量%〜90質量%で含まれることが好ましく、30質量%〜80質量%で含まれることがより好ましい。
インクは、水溶性有機溶剤を含むことができる。水溶性有機溶剤は、水と相溶性を示すことが好ましい。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解又は混和可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;モノアセチン、ジアセチン等のアセチン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、β−チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。
これらは、単独で用いてもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して用いてもよい。
水溶性有機溶剤としては、水との相溶性の向上、及び、水分散性樹脂の分散安定性の向上の観点から、グリコール類、グリコールエーテル類、及びこれらの組み合わせを用いることが好ましく、より好ましくはグリコールエーテル類である。
水溶性有機溶剤としては、低HLBの界面活性剤の溶解性を向上させる観点から、低極性溶剤を用いることが好ましい。低極性溶剤としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリアセチン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、2−ピロリドン等を好ましく用いることができる。
水溶性有機溶剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、インク全量に対し、1〜80質量%で含ませることができ、10〜60質量%であることがより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。
低極性の水溶性有機溶剤は、インク全量に対し、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜3質量%がさらに好ましい。
その他、インクには、上記の成分に加え、任意に、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(浸透剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等のその他の添加剤を適宜含有させることができる。
インクのpHを調整するために、公知のpH調整剤を添加することもできる。硫酸、硝酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン等は、pH調整剤として、あるいはインクの増粘助剤として用いることができる。
酸化防止剤を配合することにより、インク成分の酸化を防止し、インクの保存安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、たとえば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等を用いることができる。
防腐剤を配合することにより、インクの腐敗を防止して保存安定性を向上させることができる。防腐剤としては、たとえば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のトリアジン系防腐剤;2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシド、8−オキシキノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバメート系防腐剤;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸等を用いることができる。
インクの粘度は、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において1〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、インクジェット印刷装置用として適している。
インクの作製方法は、特に限定されないが、各成分を適宜混合することで所望のインクを得ることができる。例えば、色材に顔料分散体を用いる場合は、顔料と顔料分散剤と水との混合物をビーズミル等の分散機を用いて分散させて顔料分散体を得て、次いで、顔料分散体と水分散性樹脂の樹脂エマルションと水と水溶性有機溶剤とを一括又は分割して混合してインクを得ることができる。また、得られた組成物をフィルター等を用いてろ過してもよい。
「オーバーコート剤」
オーバーコート剤は、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含むことができる。オーバーコート剤が水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含むことで、オーバーコート層として、耐久性の高い樹脂膜を形成することができる。また、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤によって、適度に膨潤する傾向がある。水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂が膨潤することで、得られたオーバーコート層に柔軟性をもたらすことができる。また、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を用いた場合、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤により過度に膨潤しにくく、樹脂膜の柔軟性と耐久性を両立させることができる。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、水分散性を示すことから、水中で水に溶解することなく粒子状に分散して水中油(O/W)型の樹脂エマルションを形成することができる。水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、オーバーコート剤中で樹脂粒子として分散状態で含まれることが好ましい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂、ノニオン性樹脂のいずれであってもよいが、例えば、アニオン性樹脂、両性樹脂、ノニオン性樹脂を好ましく用いることができる。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂としては、自己乳化型樹脂のように、樹脂が有する官能基が樹脂粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面に分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、ウレタン骨格を有し、ウレタン骨格以外に、主鎖にカーボネート結合を含む水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂であることが好ましい。水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂としては、例えば、水分散性ポリカーボネート型脂肪族ウレタン系樹脂を用いてもよい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂としては、ポリイソシアネートとポリカーボネートポリオールとの反応生成物を用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を用いることができ、好ましくはジイソシアネートである。
オーバーコート層の強度をさらに高め、及びオーバーコート層の柔軟性をさらに高める観点から、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂としては、ウレタン骨格部分が脂肪族ウレタン骨格であることが好ましく、ウレタン骨格部分が脂肪族ジイソシアネートに由来して鎖状であることがより好ましい。
ウレタン系樹脂自体の黄変を防止し、得られるオーバーコート層の透明性を向上させる観点から、ポリイソシアネートとして脂肪族ポリイソシアネートを用いて合成した水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂が好ましい。
ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、ジイソシアン酸イソホロン、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイルトリイソシアナート等を挙げることができる。
これらは、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカーボネートポリオールとしては、1分子中に2個以上の水酸基を有するポリカーボネート化合物を用いることができ、好ましくは2個以上の水酸基を有する鎖状のポリカーボネート化合物である。
ポリカーボネートポリオールとしては、ジアルキルカーボネート類やアルキレンカーボネート類等のカーボネート類と、グリコールとの反応によって得られるものを用いることができる。
ジアルキルカーボネート類の具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、エチルイソブチルカーボネート等が挙げられる。アルキレンカーボネート類の具体例としてはとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、1,3−ペンチレンカーボネート、1,4−ペンチレンカーボネート、1,5−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、2,4−ペンチレンカーボネート、ネオペンチルカーボネート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
グリコールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等から選ばれた直鎖脂肪族ジオール、このような直鎖脂肪族ジオールのホモポリマーまたは2つ以上の直鎖脂肪族ジオールを共重合したコポリマー、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等から選ばれた分岐の脂肪族ジオール、このような分岐の脂肪族ジオールのホモポリマーまたは2つ以上の分岐の脂肪族ジオールを共重合したコポリマー、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールトリメチロールプロパンなどから選ばれた脂環式のジオールまたはポリオールのホモポリマー、または2つ以上の脂環式のジオールまたはポリオールを共重合したコポリマー等が挙げられる。これらは、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を乾燥膜にした試験片を、インクに配合される界面活性剤に浸漬し、12時間後に取り出した際の、浸漬前からの質量基準の膨潤率が1%以上50%以下であることが好ましい。
ここで、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の膨潤率は、以下の手順にしたがって測定して求めた数値である。
測定対象のインクに配合される水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂と界面活性剤との組み合わせにおいて、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を界面活性剤に浸漬した状態で、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂が膨潤する質量割合を求める。測定対象のオーバーコート剤に2種類以上の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂が配合される場合は、膨潤率の測定において、2種類以上の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の質量比をオーバーコート剤中の配合割合に合わせて混合して用いる。同様に、測定対象のインクに2種類以上の界面活性剤が配合される場合は、膨潤率の測定において、2種類以上の界面活性剤の質量比をインク中の配合割合と合わせて混合して用いる。測定対象のインクに、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤以外のその他の界面活性剤が含まれる場合は、膨潤率の測定において、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤とその他の界面活性剤とを合わせて混合して用いる。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、その構造の中にカーボネート結合を複数持っている。また、樹脂の網目構造の隙間に界面活性剤が入ることで樹脂の膨潤が起こる。そのため、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の結晶性、界面活性剤中の分子量やカーボネート結合量、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂と界面活性剤の溶解度パラメーターの差などを調整することで、膨潤率を制御可能になる。
具体的には、測定対象のインクに用いられる水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂、又はその樹脂エマルションを100℃で乾燥し、水分を十分に蒸発させて、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の乾燥膜を得る。乾燥膜にした試験片の質量を測定後、測定対象のインクに用いられる界面活性剤に試験片を浸漬し、12時間保持した後に取り出し、試験片表面の界面活性剤をふき取り、試験片の質量を測定する。膨潤率は、下記式から求めることができる。
膨潤率[%]={((浸漬後の試験片の質量)−(浸漬前の試験片の質量))/(浸漬前の試験片の質量)}×100
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の膨潤率は、例えば、0〜60%であってよく、好ましくは1〜50%であり、より好ましくは、3〜50%であり、さらに好ましくは5%以上50%未満であり、さらに好ましくは10〜45%である。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の膨潤率は、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂が界面活性剤によって適切に軟らかくなり、オーバーコート層の柔軟性をより向上させる観点から、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましく、10%以上がさらに好ましい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の膨潤率は、樹脂が界面活性剤の作用によって柔らかくなりすぎることをより効果的に防止して、オーバーコート層の強度をより向上させる観点から、50%以下が好ましく、50%未満がより好ましく、45%以下がより好ましい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、基材上で透明の塗膜を形成する樹脂であることが好ましい。これによって、インク画像の発色への影響を低減することができる。水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂として水分散性ポリカーボネート型脂肪族ウレタン系樹脂を用いると、オーバーコート層形成での加熱処理において、樹脂の黄変及び変質を防止することができ、インク画像の発色性をより高めることができる。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、10000〜100000が好ましく、15000〜80000がより好ましい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、オーバーコート剤中で粒子状となる水中油(O/W)型の樹脂エマルションとしてオーバーコート剤に配合することができ、オーバーコート剤中で樹脂粒子の状態となることが好ましい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂のオーバーコート剤中での樹脂粒子の平均粒子径は特に限定されないが、一般的には1μm以下であることが好ましく、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下である。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂のオーバーコート剤中での樹脂粒子の平均粒子径の下限値は特に限定はされないが、オーバーコート剤の貯蔵安定性の観点から、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂のオーバーコート剤中での樹脂粒子の平均粒子径は、30nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。
例えば、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂のオーバーコート剤中での樹脂粒子の平均粒子径は、30nm〜1μmが好ましく、30nm〜500nmがより好ましく、50nm〜200nmがさらに好ましい。
オーバーコート剤に配合する水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の樹脂エマルションは、固形分量が10〜50質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましい。
オーバーコート剤に配合する水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の樹脂エマルションは、エマルションの状態で粘度が1〜300mPa・sであることが好ましく、1〜100mPa・sがより好ましい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の樹脂エマルションの市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス470」(商品名)(アニオン性水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂エマルション)、「スーパーフレックス420」(商品名)(アニオン性水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂エマルション)、DSM社製「NeoRez R−986」(商品名)(アニオン性水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂エマルション)、三井化学株式会社製の「タケラックW-6061」(商品名)(アニオン性水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂エマルション)、「タケラックW-635」(商品名)(ノニオン性水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂エマルション)等が挙げられる。
画像部の耐久性及び柔軟性の向上の観点から、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の量は、固形分量で、オーバーコート剤全量に対し、3質量%以上が好ましい。水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の量は、固形分量で、オーバーコート剤全量に対し、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましい。
水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の量は、固形分量で、オーバーコート剤全量に対し、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。
例えば、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の量は、固形分量で、オーバーコート剤全量に対し、3〜40質量%以上が好ましく、5〜30質量%以上がより好ましく、8〜25質量%以上がさらに好ましい。
オーバーコート剤は、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂に加えて、その他の樹脂を含んでもよい。例えば、その他の樹脂として、バインダー樹脂を配合することができる。
その他の樹脂として、その他の水分散性樹脂、水溶性樹脂、これらの組み合わせ等を挙げることができる。
その他の水分散性樹脂としては、例えば、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂等が挙げられる。その他の水分散性樹脂としては、例えば、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂以外の水分散性ウレタン系樹脂を用いてもよく、その例としては、水分散性ポリエーテル型ウレタン系樹脂、水分散性ポリエステル型ウレタン系樹脂等が挙げられる。
これらの水分散性樹脂は、水中油(O/W)型の樹脂エマルションとしてオーバーコート剤に配合することができる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂にアニオン性の官能基を導入したアニオン性水溶性樹脂を用いることができる。
上記したその他の樹脂は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
オーバーコート剤にその他の樹脂が配合される場合、その他の樹脂(有効成分)は、オーバーコート剤全量に対し、1〜20質量%が好ましい。また、オーバーコート剤にその他の樹脂が配合される場合、インクに配合される全ての樹脂の合計量に対し、水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
オーバーコート剤は、水性溶媒として水を含むことが好ましく、主溶媒が水であってもよい。なお、上記した樹脂エマルションに溶媒として水が含まれる場合は、樹脂エマルション中の水はオーバーコート剤中の水の一部に換算して、オーバーコート剤を作製する。
水としては、特に制限されないが、イオン成分をできる限り含まないものが好ましい。特に、オーバーコート剤の貯蔵安定性の観点から、カルシウム等の多価金属イオンの含有量が少ないことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等を用いるとよい。
水は、オーバーコート剤の粘度の調整の観点から、オーバーコート剤全量に対して20質量%〜90質量%で含まれることが好ましく、30質量%〜80質量%で含まれることがより好ましく、40〜80質量%で含まれることがさらに好ましい。
オーバーコート剤は、水溶性有機溶剤を含むことができる。水溶性有機溶剤は、水と相溶性を示すことが好ましい。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解又は混和可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、上記した、インクに配合可能な水溶性有機溶剤を用いることができる。このような水溶性有機溶剤は、一種を単独で用いてもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して用いてもよい。
水溶性有機溶剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、オーバーコート剤全量に対し、1〜50質量%で含ませることができ、5〜40質量%であることがより好ましく、10〜20質量%がより好ましい。
オーバーコート剤は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを好ましく用いることができ、より好ましくは非イオン性界面活性剤である。
界面活性剤として、上記した、インクに配合可能な界面活性剤を用いることができる。このような界面活性剤は、一種を単独で用いてもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して用いてもよい。
界面活性剤のオーバーコート剤中の量は、オーバーコート剤全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。界面活性剤のオーバーコート剤中の量は、オーバーコート剤全量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
例えば、界面活性剤は、オーバーコート剤全量に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.3〜3質量%がさらに好ましい。
オーバーコート剤は、HLBが10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤S)を含んでよいが、オーバーコート層の耐久性の向上と、それによる画像部の耐久性の向上の観点から、オーバーコート剤中のアセチレングリコール系界面活性剤Sの量は、オーバーコート剤全量に対して、3.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
その他、オーバーコート剤には、上記の成分に加え、任意に、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(浸透剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜含有させることができる。このようなその他の添加剤としては、特に限定されず、例えば、インクにおいて説明したその他の添加剤から1種または2種以上を選択して使用することできる。
オーバーコート剤の粘度は、特に限定されず、オーバーコート剤の付与方法等によって適宜選択することができる。例えば、23℃において1〜100mPa・sであることが好ましく、3〜50mPa・sであることがより好ましい。
オーバーコート剤の作製方法は、特に限定されないが、各成分を適宜混合することで所望のインクを得ることができる。例えば、各成分を一括又は分割して混合してオーバーコート剤を得ることができる。また、得られた組成物をフィルター等を用いてろ過してもよい。
「前処理剤」
インクセットは、前処理剤をさらに含んでもよい。
水性インクジェットインクは、未処理の基材に付与してもよく、又は、前処理剤によって処理された基材に対して付与してもよい。特に、基材として非浸透性基材を用いる場合では、水性インクジェットインクが基材に浸透しにくいため、前処理剤によって基材を処理することが好ましい。
前処理剤は、例えば、水性媒体とともに、界面活性剤、凝集剤、無機粒子等、又はこれらの組み合わせを含むことが好ましい。より好ましくは、前処理剤は、水性媒体と、界面活性剤及び/又は凝集剤とを含む。また、前処理剤は、凝集剤を基材に定着させるためにバインダー樹脂を含んでもよい。
界面活性剤は、有効成分量で、前処理剤全量に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、0.7〜2質量%がさらに好ましい。
バインダー樹脂は、有効成分量で、前処理剤全量に対し、0.5〜20.0質量%が好ましい。
基材を凝集剤によって処理しておくことで、水性インクジェットインクが基材に塗工される際に、インク中の色材成分が基材上で凝集して、印刷物の発色性をより高めることができる。
凝集剤としては、カチオン性樹脂、多価金属塩、有機酸、無機酸、無機酸の塩等、又はこれらの組み合わせを用いることができる。カチオン性樹脂としては、カチオン性水溶性樹脂、カチオン性水分散性樹脂、又はこれらの組み合わせであってよい。
カチオン性樹脂、多価金属塩、有機酸、及び無機酸を含む凝集剤の合計量は、前処理剤全量に対し、1〜50質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
前処理剤は、水性溶媒として水を含むことが好ましく、主溶媒が水であってもよい。
前処理剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、水溶性有機溶剤を含むことができる。
水及び水溶性有機溶剤については、上記したインクで説明したものを用いることができる。
さらに前処理剤には、上記の成分に加え、任意に、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(浸透剤)、消泡剤、定着剤、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤等を適宜含有させることができる。
インクセットは、例えば、その他のインク、及び/又はその他の処理剤を含んでもよい。
「基材」
インクセットは、浸透性基材及び非浸透性基材のいずれにも適用することができる。なかでも、非浸透性基材に対して、より効果的に画像部の耐久性及び柔軟性を向上させることができる。非浸透性基材にインクが付与されると、乾燥時に、アセチレングリコール系界面活性剤Sは、溶媒とともに、色材、樹脂等から分離しやすい。このため、界面活性剤の作用によるオーバーコート剤の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の適度な膨潤が起こりやすくなる。
非浸透性基材は、基材内部に液体が染み込んでいかない基材であり、具体的には、インク中の液体の大部分が基材の表面上に留まる基材である。
非浸透性基材としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、チタン、錫、クロム、カドミウム、合金(例えばステンレス、スチール等)等の金属板等の金属基材;ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス等の板ガラス等のガラス基材;PETフィルム、OHTシート、ポリエステルシート、ポリプロピレンシート等の樹脂製シート、アクリル板等の樹脂基材;アルミナ、ジルコニア、ステアタイト、窒化ケイ素等の成形体等のセラミック基材等が挙げられる。
これらの基材は、メッキ層、金属酸化物層、樹脂層等が形成されていてもよく、又は、界面活性剤、コロナ処理等を用いて表面処理されていてもよい。一実施形態において、インクセットは、未処理の基材に対して用いてもよい。
<印刷物の製造方法>
一実施形態の印刷物の製造方法は、基材に水性インクジェットインクをインクジェット印刷法により付与すること(以下、「工程1」と称する場合もある)と、水性インクジェットインクが付与された基材に、オーバーコート剤を付与すること(以下、「工程2」という場合もある。)とを含む。
水性インクジェットインクには、上記した水性インクジェットインクを用いることができる。同様に、オーバーコート剤には、上記したオーバーコート剤を用いることができる。また、基材はとくに限定されず、例えば、上述のインクセットを適用することができる基材として説明したものを用いることができる。
印刷物の製造方法は、基材に水性インクジェットインクをインクジェット印刷法により付与すること(工程1)を含むことができ、この工程において、水性インクジェットインクを用いて基材に画像を形成することができる。
印刷物の製造方法は、例えば、基材に水性インクジェットインクを付与して画像を形成する前に、前処理剤を用いて基材を処理することを含むことができる。
印刷物の製造方法は、例えば、基材に水性インクジェットインクを付与して画像を形成する前に、白インクを用いて基材に白塗装を施してもよい。これによって、水性インクジェットインクによるインク塗膜の発色性をより高めることができる。白インクとしては、特に限定されずに通常の処方のインクにおいて色材として白顔料を含むものを用いてよいし、一実施形態による水性インクジェットインクにおいて色材として白顔料を含むものを用いてもよい。
水性インクジェットインクを用いて基材に画像を形成する方法としては、インクジェット印刷法を用いて行うことができる。インクジェット印刷法は、基材に非接触で、オンデマンドで簡便かつ自在に画像形成をすることができる。
インクジェット印刷装置は、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよく、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を基材に付着させるようにすることが好ましい。
インクが付与された基材は、揮発分の除去のために熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は、25℃〜200℃が好ましく、50℃〜180℃がより好ましく、100〜150℃がさらに好ましい。
印刷物の製造方法は、水性インクジェットインクが付与された基材に、オーバーコート剤を付与すること(工程2)を含むができる。インクが付与された基材に対して、上述の熱処理を行う場合は、工程2は、工程1の後に、上述の熱処理を行った後に行うことが好ましい。
オーバーコート剤は、基材の、インクが付与される領域(以下、「印刷領域」という場合もある。)に付与することが好ましく、印刷領域を含む領域、例えば、基材の全面に付与してもよい。
基材にオーバーコート剤を付与する方法は特に限定されない。例えば、スプレー法、浸漬法、パッド法、コーティング法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法等の任意の方法を使用することができる。
オーバーコート剤の付与量は、付与面積あたり1〜500g/mが好ましく、10〜100g/mがより好ましい。
オーバーコート剤が付与された基材は、揮発分の除去のために熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は、50℃〜200℃が好ましく、50℃〜180℃がより好ましく、100〜150℃がさらに好ましい。
一実施形態による印刷物は、基材と、基材に形成されるインク画像層と、オーバーコート層とをこの順で有する。インク画像層は、上記した水性インクジェットインクを用いて得ることができ、オーバーコート層は、上記したオーバーコート剤を用いて得ることができる。基材としては、特に限定されず、例えば、上記したインクセットインクを適用することができる基材を用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。以下の説明において、特に説明のない箇所では、膨潤率の単位を除き、「%」は「質量%」を示し、表中の「−」は未添加または未実施を示す。
<顔料分散体の作製>
マゼンタ顔料としてDIC株式会社製「FASTOGEN SUPER MAGENTA RGT」60g、アクリル系分散剤として、ビックケミー・ジャパン株式会社社製「DISPERBYK−190」(有効成分40%)24g、イオン交換水212g、pH調整剤として、富士フイルム和光純薬株式会社製トリエタノールアミン3g、防腐剤として、ロンザジャパン株式会社製「PROXEL XL2(S)」1gをプレミックスした。その後、500mLのPP(ポリプロピレン)容器に300gの混合物を入れ、直径Φ0.5mmのジルコニアビーズを、PP容器中の総量が容器の9割程度になるように添加した。このPP容器をロッキングミル(株式会社セイワ技研製)にセットし、2時間分散した後、ジルコニアビーズを分散液から分離し、顔料分散体(マゼンタ分散体:顔料分20.0%)を得た。
<インクの作製>
表1に、インク1〜6の処方を示す。表1において、マゼンタ顔料分散体の配合量は、顔料分散体の総量で示す。また、各樹脂エマルションの配合量は、樹脂エマルションの総量で示す。表1中に示す顔料分散体の顔料分及び樹脂エマルションの固形分の単位は質量%である。
表に示すインクの処方にしたがって、各材料を混合し、その後、孔径3μmのメンブレンフィルターで濾過し、インク1〜6を得た。
用いた材料は、以下の通りである。
(成分A−1:顔料分散体)
マゼンタ分散体:上記手順によって製造したもの(顔料分20.0%)。
(成分A−2:樹脂エマルション)
樹脂エマルション1:三井化学株式会社製「タケラックW−6020」(水分散性ウレタン系樹脂のエマルション、固形分30.0%)。
樹脂エマルション2:ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール 7320」(水分散性(メタ)アクリル系樹脂のエマルション、固形分40.0%)。
以上の樹脂エマルションは、いずれもアニオン性である。
(成分A−3:水溶性有機溶剤)
表中のグリセリン、プロピレングリコール、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルは、富士フイルム和光純薬株式会社より入手可能である。
(成分A−4:界面活性剤)
アセチレングリコール系界面活性剤1:日信化学工業株式会社製「サーフィノール420」(HLB:4.0)。
アセチレングリコール系界面活性剤2:日信化学工業株式会社製「サーフィノール440」(HLB:8.1)。
アセチレングリコール系界面活性剤3:日信化学工業株式会社製「サーフィノール485」(HLB:17.2)。
以上の界面活性剤は、いずれも非イオン性であり、有効成分100質量%である。
界面活性剤のHLB値は、界面活性剤の分子構造から、グリフィン法にしたがって下記式(1)より求めた数値である。
HLB値=20×(親水部の式量)/(界面活性剤の分子量)・・・式(1)
Figure 2021155569
<オーバーコート剤の作製>
表2及び表3に、オーバーコート剤1〜10の処方を示す。各表において、各樹脂エマルションの配合量は、樹脂エマルションの総量で示す。表中に示す樹脂エマルションの固形分の単位は質量%である。表中の樹脂エマルションに含まれる溶媒は主に水であるため、この溶媒の量を水の量として換算し、これを含めたオーバーコート剤中の水の量を「水分量」(質量%)として表中に示す。
各表に示すオーバーコート剤の処方にしたがって、各材料を混合し、その後、孔径3μmのメンブレンフィルターで濾過し、オーバーコート剤1〜10を得た。
用いた材料は、以下の通りである。
(成分B−1:樹脂エマルション)
ポリカーボネート型ウレタン系樹脂エマルション1:第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス470」(水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂のエマルション、固形分38.0%)。
ポリカーボネート型ウレタン系樹脂エマルション2:第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス420」(水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂のエマルション、固形分32.0%)。
ポリカーボネート型ウレタン系樹脂エマルション3:DSM社製「NeoRez R−986」(水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂のエマルション、固形分35.0%)。
ポリエーテル型ウレタン系樹脂エマルション1:三井化学株式会社製「タケラックW−5561」(水分散性ポリエーテル型ウレタン系樹脂のエマルション、固形分35.0%)。
ポリエーテル型ウレタン系樹脂エマルション2:DSM社製「NeoRez R−967」(水分散性ポリエーテル型ウレタン系樹脂のエマルション、固形分40.0%)。
ポリエステル型ウレタン系樹脂エマルション:第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス820」(水分散性ポリエステル型ウレタン系樹脂のエマルション、固形分30.0%)。
以上の樹脂エマルションは、いずれもアニオン性である。
(成分B−2:水溶性有機溶剤)
表中のグリセリン及び1,3−プロパンジオールは、富士フイルム和光純薬株式会社より入手可能である。
(成分B−3:界面活性剤)
アセチレングリコール系界面活性剤3:日信化学工業株式会社製「サーフィノール485」(HLB:17.2)。
Figure 2021155569
Figure 2021155569
<膨潤率>
表4〜表7に、実施例1〜10及び比較例1〜5のインクとオーバーコート剤との組み合わせを示す。実施例1〜10及び比較例1及び2のオーバーコート剤に含まれるウレタン系樹脂エマルションの膨潤率は、表4〜表7に記載されるインク及びオーバーコート剤について、以下の手順にしたがって測定した。
測定対象のオーバーコート剤に配合されるウレタン系樹脂エマルションとインクに含まれる界面活性剤との組み合わせにおいて、ウレタン系樹脂エマルションを界面活性剤に浸漬した状態で、ウレタン系樹脂エマルションが膨潤する割合を求めた。
測定対象のインク中に含まれるウレタン系樹脂エマルションを直径5cmのガラスシャーレに、固形分で1.5gになる量を入れ、100℃の熱乾燥器にいれ、水分を蒸発させ樹脂を乾燥させて乾燥膜を得た。乾燥膜にした試験片を1cm×1cmの大きさにカットし、その質量を測定後、ガラス瓶に入れ、そこに測定対象のインク中に含まれる界面活性剤を1.0g加え乾燥膜を浸漬し、12時間後に取り出し乾燥膜表面の界面活性剤をふき取った後、質量を測定した。膨潤率は下記式から算出した。
膨潤率[%]={((浸漬後の乾燥膜の質量)−(浸漬前の乾燥膜の質量))/(浸漬前の乾燥膜の質量)}×100
<評価方法>
表4〜表7に記載されるインク及びオーバーコート剤を用いて、以下の手順に従って、実施例及び比較例の加飾物品を作製し、以下の評価を行った。結果を表4〜表7に併せて示す。
基材には、白塗装されたアルミニウム板(ニッカル商工株式会社、アルミ平板)を用いた。
10cm×10cmにカットした白塗装アルミニウム板を70℃のオーブンで10分間加熱した。
各インクをインクジェットプリンタ(Anajet社製Anajet mPower−10)のインクジェットヘッドに導入し、加熱した白塗装アルミニウム板の表面温度が40℃になった状態で、マゼンタの単色でベタ画像を印刷した。
印刷後に150℃のオーブンで10分間加熱乾燥させた。
加熱乾燥後、印刷画像の上に、ワーグナー社製スプレーガンを用いて、オーバーコート剤を50g/mの量で付与した。
オーバーコート剤を付与後、150℃のオーブンで10分間加熱乾燥させ、得られた印刷物を加飾物品とした。
(画像部の耐久性)
得られた加飾物品の印刷画像が形成された画像部を荷重60kg/mかけて底面積9cm×9cmのスチールウールで往復し、基材表面の変化を観察した。以下の基準で画像部の耐久性を評価した。
AA:30往復擦っても画像に大きな変化がない。
A:30往復擦って、画像がやや白っぽくなる。
B:30往復以下で画像が剥がれる。
C:10往復以下で画像が剥がれる。
(画像部の耐水性)
得られた加飾物品の印刷画像が形成された画像部を荷重60kg/mかけて底面積9cm×9cmの水をしみこませた布で往復し、基材表面の変化を観察した。以下の基準で画像部の耐水性を評価した。
AA:30往復擦っても画像に大きな変化がない。
A:30往復擦って、画像がやや白っぽくなる。
B:30往復以下で画像が剥がれる。
C:10往復以下で画像が剥がれる。
(画像部の柔軟性)
得られた加飾物品をベンダーで90度に折り曲げ、折り曲げた部分の画像の変化を観察した。以下の基準で画像部の柔軟性を評価した。
AA:曲げによる画像の微小なひび割れによる白化が観察されなかった。
A:白化は観察されないが、拡大鏡で分かる微小なひび割れが観察された。
B:白化が観察されたが、剥がれは観察されなかった。
C:白化が観察され、画像が割れた部分から剥がれが生じていた。
Figure 2021155569
Figure 2021155569
Figure 2021155569
Figure 2021155569
各表に示す通り、各実施例の印刷物では画像部の耐久性及び柔軟性に優れ、さらに画像部の耐水性にも優れていた。
オーバーコート剤が水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含まない比較例1、2及び4、オーバーコート剤中の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂の量が少ない比較例3、並びに、インクがHLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤を含まない比較例5の印刷物では、いずれも、実施例の印刷物に比べ、画像部の耐久性及び柔軟性に劣り、さらに画像部の耐水性にも劣っていた。

Claims (3)

  1. 水性インクジェットインクと、オーバーコート剤とを含み、
    前記水性インクジェットインクは、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤、水分散性樹脂、色材、及び水を含み、
    前記オーバーコート剤は、水、及び前記オーバーコート剤全量に対して3質量%以上の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含む、
    水性インクジェットインクセット。
  2. 前記水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂は、前記水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を乾燥膜にした試験片を、前記水性インクジェットインクに配合される界面活性剤に浸漬し、12時間後に取り出した際の膨潤率が5%以上50%未満である、請求項1に記載の水性インクジェットインクセット。
  3. 基材に水性インクジェットインクをインクジェット印刷法により付与することと、
    前記水性インクジェットインクが付与された前記基材に、オーバーコート剤を付与することとを含み、
    前記水性インクジェットインクは、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤、水分散性樹脂、色材、及び水を含み、
    前記オーバーコート剤は、水、及び前記オーバーコート剤全量に対して3質量%以上の水分散性ポリカーボネート型ウレタン系樹脂を含む、
    印刷物の製造方法。
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