JP2021155245A - 分散液、組成物、封止部材、発光装置、照明器具、表示装置および分散液の製造方法 - Google Patents

分散液、組成物、封止部材、発光装置、照明器具、表示装置および分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物粒子を含みメチル系シリコーン樹脂に分散させた際に金属酸化物粒子の凝集が抑制されている分散液これを含有する組成物該組成物を用いて形成される封止部材該封止部材を有する発光装置該発光装置を備えた照明器具及び表示装置並びに分散液の製造方法の提供。【解決手段】本発明に係る分散液は表面修飾材料により表面修飾された金属酸化物粒子を含み分散液を真空乾燥して得られる金属酸化物粒子についてFT−IRにより800cm−1以上3800cm−1以下の波数の範囲の透過スペクトルを測定した際にIA/IB≦3.5を満足し(IAは3500cm−1のスペクトル値IBは1100cm−1のスペクトル値)シラン化合物が一般式(2)で表されるケイ素化合物である分散液。R2nSi(OR1)m(2)(R1は炭素数が2以上のアルキル基、R2は有機基、n及びmは整数、n+m=4、1≦n≦3)【選択図】図1

Description

本発明は、シラン化合物とシリコーン化合物とにより表面修飾された金属酸化物粒子を含む分散液、組成物、封止部材、発光装置、照明器具、表示装置および分散液の製造方法に関する。
小型、長寿命化、低電圧駆動等の長所を有する光源として、発光ダイオード(LED)が広く用いられている。LEDパッケージ中のLEDチップは、一般に、酸素、水分といった外部環境に存在する劣化因子との接触を防止するために、樹脂を含む封止材料で封止されている。したがって、LEDチップにおいて発した光は、封止材料を透過して外部に向かって出射される。そのため、LEDパッケージから放出される光束を増大させるためには、LEDチップにおいて放出された光をLEDパッケージ外部に効率よく取り出すことが重要となる。
LEDチップから放出された光の取り出し効率を向上させるための封止材料として、アルケニル基、H−Si基、およびアルコキシ基から選ばれた1以上の官能基を有する表面修飾材料によって表面修飾された金属酸化物粒子と、マトリックス樹脂組成物とを含有してなる光散乱複合体形成用組成物が知られている(例えば、特許文献1)。
この光散乱複合体形成用組成物では、分散粒子径が小さく、かつ屈折率が高い金属酸化物粒子を含む分散液が、シリコーン樹脂に透明性が比較的維持された状態で混合されている。これにより、光散乱複合体形成用組成物を硬化して得られる光散乱複合体は、光透過性の低下が抑制されており、かつ、光散乱性が向上している。
国際公開第2016/142992号
ところで、本発明者等は、屈折率の高い金属酸化物粒子を封止材料に含有させることにより、得られる封止部材の光散乱性を向上させるのみならず、封止部材の屈折率を向上させることができることを知見した。封止部材の屈折率が向上すると、一般に封止された発光素子からの光の取り出し効率が向上する。このような目的で金属酸化物粒子を封止材料に含有させる場合、屈折率の向上の観点からは、金属酸化物粒子の含有量が大きい方が有利である。
一方、近年、LEDの高寿命化のために、封止材料に用いる封止用樹脂として、耐熱性の高いメチル系シリコーン樹脂の需要が高まっている。メチル系シリコーン樹脂は、従来一般的に使用されていたフェニルシリコーン樹脂等と比較して、メチル基の含有量が大きく、疎水性の度合いが大きい。そのため、特許文献1に記載されている発明のように、表面が疎水化された金属酸化物粒子であっても、メチル系シリコーン樹脂と混合した時に、金属酸化物粒子同士が凝集して、透明な組成物が得られないという課題があった。このような課題は、封止材料中の金属酸化物粒子の含有量が大きくなるにつれて顕著になる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、金属酸化物粒子を含み、メチル系シリコーン樹脂に分散させた際に金属酸化物粒子の凝集が抑制されている分散液、これを含有する組成物、該組成物を用いて形成される封止部材、該封止部材を有する発光装置、該発光装置を備えた照明器具および表示装置、並びに分散液の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、表面修飾材料により表面修飾された金属酸化物粒子と、疎水性溶媒と、を含む分散液であって、
上記表面修飾材料はシラン化合物とシリコーン化合物を含み、
上記分散液を真空乾燥により乾燥して得られる上記金属酸化物粒子について、フーリエ変換式赤外分光光度計により800cm−1以上3800cm−1以下の波数の範囲の透過スペクトルを測定し、当該範囲におけるスペクトルの最大値を100、最小値を0となるようにスペクトルの値を規格化した際に、以下の式(1):
IA/IB≦3.5 (1)
(式中、「IA」は、3500cm−1におけるスペクトル値、「IB」は、1100cm−1におけるスペクトル値をそれぞれ示す。)
を満足し、
上記シラン化合物が一般式(2)で表されるケイ素化合物である、分散液を提供する。
Si(OR (2)
(但し、Rは炭素数が2以上のアルキル基、Rは有機基、nおよびmは整数であり、n+m=4、1≦n≦3)
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、上記分散液と樹脂成分との混合物である、組成物を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、上記組成物の硬化物である、封止部材を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、上記封止部材と、上記封止部材により封止された発光素子と、を備える発光装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、上記発光装置を備える、照明器具を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、上記発光装置を備える、表示装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シラン化合物と金属酸化物粒子とを混合して混合液を得る工程Bと、
上記混合液中において上記金属酸化物粒子を分散して、上記金属酸化物粒子が分散した第1の分散液を得る工程Cと、
上記第1の分散液に疎水性溶媒を加えて、第2の分散液を得る工程Dと、
上記第2の分散液にシリコーン化合物を加えて、第3の分散液を得る工程Eと、を有し、
上記工程Bの混合液中における上記金属酸化物粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下であり、上記混合液中における上記シラン化合物と上記金属酸化物粒子との合計の含有量が65質量%以上98質量%以下であり、
上記疎水性溶媒を加える工程Dは、上記第1の分散液を加熱した後に、上記疎水性溶媒を上記金属酸化物粒子が凝集しない速度で加える工程d1、上記第1の分散液を加熱しながら、上記疎水性溶媒を上記金属酸化物粒子が凝集しない速度で加える工程d2、または、上記疎水性溶媒を上記金属酸化物粒子が凝集しない速度で加えた後に、上記第1の分散液を加熱する工程d3であり、
上記シラン化合物が一般式(2)で表されるケイ素化合物である、分散液の製造方法を提供する。
Si(OR (2)
(但し、Rは炭素数が2以上のアルキル基、Rは有機基、nおよびmは整数であり、n+m=4、1≦n≦3)
本発明の一態様においては、さらに、上記シラン化合物と水とを混合して、加水分解された上記シラン化合物を含む加水分解液を得る工程Aを有し、上記混合液を得る工程Bにおいて、上記加水分解液と上記金属酸化物粒子とを混合することにより、上記混合液を得てもよい。
以上、本発明によれば、金属酸化物粒子を含み、メチル系シリコーン樹脂に分散させた際に金属酸化物粒子の凝集が抑制されている分散液、これを含有する組成物、該組成物を用いて形成される封止部材、該封止部材を有する発光装置、該発光装置を備えた照明器具および表示装置、並びに分散液の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る発光装置の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る発光装置の他の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る発光装置の他の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る発光装置の他の一例を示す模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<1.本発明者等の着想>
まず、本発明の詳細な説明に先立ち、本発明者等による本発明に至るまでの着想について説明する。
一般に、封止部材の原料となる封止材料(組成物)の製造において、金属酸化物粒子は、表面修飾材料により修飾され、シリコーン樹脂等の樹脂に分散される。しかしながら、メチル系シリコーン樹脂は、従来一般的に使用されていたフェニルシリコーン樹脂等と比較して、メチル基の含有量が大きく、疎水性の度合いが大きい。そのため、上述したように表面修飾材料により修飾した場合であっても、金属酸化物粒子は、メチル系シリコーン樹脂中に均一に分散することが困難であった。
そこで、本発明者等は、問題を解決すべく鋭意検討した結果、単純に表面修飾材料の使用量を増加させても金属酸化物粒子のメチル系シリコーン樹脂への分散性は大きくは向上しないことを知見した。
この結果を受け、本発明者等はさらに検討を行い、金属酸化物粒子の表面における表面修飾材料の修飾状態について着目した。すなわち、仮に多量の表面修飾材料を使用して金属酸化物粒子を修飾した場合であっても、金属酸化物粒子の表面に少量しか表面修飾材料が付着していない場合、金属酸化物粒子の表面は充分には疎水化されない。一方、仮に少量の表面修飾材料を使用して金属酸化物粒子を修飾した場合であっても、表面修飾材料の金属酸化物粒子の表面への付着割合が高く、金属酸化物粒子の表面に多量に表面修飾材料が付着している場合、金属酸化物粒子の表面は充分に疎水化される。
そして、本発明者等は、表面修飾材料としてシラン化合物およびシリコーン化合物を用いている場合において上記のような金属酸化物粒子への表面修飾材料の付着の度合いがフーリエ変換式赤外分光光度計(FT−IR)により測定・観察できることを見出した。そして、後述する方法により、シラン化合物およびシリコーン化合物を金属酸化物粒子の表面に充分に付着させることができ、経時安定性にも優れることも見出した。
<2.分散液>
本実施形態に係る分散液について説明する。本実施形態に係る分散液は、シラン化合物とシリコーン化合物とにより表面修飾された金属酸化物粒子と、疎水性溶媒とを含む。
そして、本実施形態においては、分散液を真空乾燥により乾燥して得られる金属酸化物粒子について、フーリエ変換式赤外分光光度計により800cm−1以上3800cm−1以下の波数の範囲の透過スペクトルを測定し、当該範囲におけるスペクトルの最大値を100、最小値を0となるようにスペクトルの値を規格化した際に、以下の式(1):
IA/IB≦3.5 (1)
(式中、「IA」は、3500cm−1におけるスペクトル値、「IB」は、1100cm−1におけるスペクトル値をそれぞれ示す。)
を満足し、前記シラン化合物が一般式(2)で表されるケイ素化合物である。
Si(OR (2)
(但し、Rは炭素数が2以上のアルキル基、Rは有機基、nおよびmは整数であり、n+m=4、1≦n≦3)
以上により、本実施形態に係る分散液をメチル系シリコーン樹脂と混合し、金属酸化物粒子をメチル系シリコーン樹脂に分散させた際に、金属酸化物粒子の凝集が抑制される。
この結果、混合物として得られる組成物(樹脂組成物)は、濁りが抑制され、比較的透明になる。
また、Rは炭素数が2以上のアルキル基であるため、本実施形態に係る分散液をメチル系シリコーン樹脂と混合して得られた組成物の経時による粘度の上昇を抑制することができる。
詳しく説明すると、フーリエ変換式赤外分光光度計により測定される透過スペクトルのうち、波数1100cm−1の位置は、シロキサン結合(Si−O−Si結合)に帰属し、波数3500cm−1の位置は、シラノール基(Si−OH基)に帰属する。シラン化合物およびシリコーン化合物は、それぞれ、Si−O−Si結合を形成可能なSi−OH基や、Si−OH基を形成可能な基を有する。したがって、3500cm−1におけるスペクトル値(IA)と、1100cm−1におけるスペクトル値(IB)とを比較することにより、シラン化合物およびシリコーン化合物のSi−OHや、Si−OH基を形成可能な基の反応度合いを観察することが可能となる。
そして、本発明者等は、IA/IBが3.5以下であることにより、シラン化合物およびシリコーン化合物が金属酸化物粒子の表面に充分に付着していることを見出した。これにより、金属酸化物粒子は、メチル系シリコーン樹脂と混合した際において、凝集することなく、メチル系シリコーン樹脂中に分散することが可能となる。この結果、混合物として得られる組成物は、濁りが抑制され、比較的透明になる。さらには、金属酸化物粒子が含有されていることから、当該組成物を用いて発光素子を封止する封止部材を得た場合、当該封止部材の屈折率は、メチル系シリコーン樹脂単独のものと比較して、向上している。以上により、本実施形態に係る分散液を用いて組成物を得、当該組成物を用いて発光素子を封止した場合、封止部材の高い屈折率および光透過率に起因して、発光装置の明るさが向上する。
これに対して、IA/IBが3.5を超える場合、シラン化合物およびシリコーン化合物が金属酸化物粒子の表面に充分には付着しておらず、金属酸化物粒子のメチル系シリコーン樹脂中の分散性を優れたものとすることができない。この結果、分散液とメチル系シリコーン樹脂とを混合した際に、金属酸化物粒子の凝集が生じ、得られる組成物に濁りが生じてしまう。IA/IBは、上述したように3.5以下であるが、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。
また、IA/IBの下限値は、IA=0が好ましいため、0である。しかし、シラノール基(Si−OH基)が少量残存していてもメチル系シリコーン樹脂に混合することはできるため、IA/IBの下限値は0であってもよく、0.1であってもよく、0.5であってもよく、1.0であってもよく、1.5であってもよい。
なお、金属酸化物粒子のフーリエ変換式赤外分光光度計(FT−IR)による透過スペクトルの測定は、具体的には以下のように行うことができる。
本実施形態の分散液を真空乾燥で乾燥する。乾燥条件は、分散液の量と濃度により適宜調整すればよい。例えば、固形分が30質量%の分散液10gであれば、100℃、20hPa以下で2時間以上乾燥すればよい。真空乾燥機としては、EYELA東京理科器械株式会社製のVACUUM OVEN VOS−201SDを用いることができる。
次いで、乾燥により得られた金属酸化物粒子0.01g〜0.05gを用いることにより、フーリエ変換式赤外分光光度計(例えば、日本分光株式会社製、型番:FT/IR−670 Plus)で測定することができる。
また、本実施形態では、シラン化合物として一般式(2)で表されるケイ素化合物を用いている。その理由は以下の通りである。
加水分解性基(OR基)を有するシラン化合物で金属酸化物粒子を表面処理した場合、OR基は加水分解されてOH基となるか、OR基のまま残存する。この残存したOR基が加水分解されやすいと、表面処理後であっても、残存したOR基が空気中の水分と反応して加水分解され、シラン化合物同士や、シラン化合物とシリコーン化合物の脱水縮合反応が進行すると推測される。その結果、このような表面修飾金属酸化物粒子と樹脂の混合物は、粘度が上昇しやすく、経時安定性が悪いものとなってしまう。
しかし、本実施形態ではRは炭素数が2以上のアルキル基であるため、OR基が金属酸化物粒子の表面に残存したとしても、空気中の水分との加水分解反応が抑制され、分散液等の粘度の上昇を抑制できる。そのため、本実施形態の分散液は、経時安定性に優れる。
(OR)基がすべて加水分解され、すべて金属酸化物粒子の表面に結合すれば、OR基の炭素数は1でも問題ないが、そのような表面処理を達成するのは容易ではない。そこで、一般式(2)で表されるシラン化合物を用いることにより、OR基が残存しても、分散液等の経時安定性を向上させることができる。
本実施形態の分散液と、メチルフェニルシリコーン(メチル系シリコーン樹脂)とを、金属酸化物粒子と表面修飾材料(シラン化合物およびシリコーン化合物)の合計質量と、メチルフェニルシリコーンとの質量比で30:70となるように混合し、疎水性溶媒を除去した場合の粘度が9Pa・s以下であることが好ましい。
メチルフェニルシリコーンは、信越化学工業社製のKER−2500−Bである。
粘度の下限値は、KER−2500−Bそのものの粘度であるが、上記粘度は、例えば、1Pa・s以上であってもよく、2Pa・s以上であってもよく、3Pa・s以上であってもよい。
疎水性溶媒は、エバポレータ等で完全に除去することが好ましいが、完全に除去することは困難であるため、5質量%程度残存していてもよい。
粘度は、レオメーター(商品名:レオストレスRS−6000、HAAKE社製)を用い、25℃、剪断速度1(1/S)の条件で測定する。
疎水性溶媒を除去すると、粒子同士が近接することとなり、組成物(金属酸化物粒子と表面修飾材料と、メチル系シリコーン樹脂とを含む組成物)の粘度が増粘する。したがって、疎水性溶媒を除去した場合の粘度とは、分散液から疎水性溶媒を除去してから1時間以内に測定した組成物の粘度を意味する。
上記粘度が9Pa・s以下であると、上記メチルフェニルシリコーンと分散液を混合し、疎水性溶媒を除去した後の組成物の粘度の上昇が緩やかであるため、組成物の取扱いが容易となり、封止部材の品質安定性を向上することができる。
本実施形態の分散液と、メチルフェニルシリコーンとを、金属酸化物粒子と表面修飾材料の合計質量と、メチルフェニルシリコーンとの質量比で30:70となるように混合し、疎水性溶媒を除去して1カ月経過後の粘度が60Pa・s以下であることが好ましい。
1カ月経過後の粘度が60Pa・s以下であれば、表面処理後のシラン化合物の脱水縮合反応が抑制されており、実用に十分に耐えられるレベルである。
1カ月経過後の粘度は50Pa・s以下であることがより好ましく、40Pa・s以下であることがさらに好ましい。
上述したような金属酸化物粒子についてのIA/IBの値を達成し、かつ、シラン化合物として一般式(2)で表されるケイ素化合物を用いることにより、経時安定性を向上できるという知見は、現在に至るまでなく、本発明者等は、後述する方法により初めて達成できることを見出している。
以下、分散液に含まれる各成分について説明する。
(2.1金属酸化物粒子)
金属酸化物粒子は、後述する封止部材中において発光素子から放出される光を散乱させる。また、金属酸化物粒子は、その種類によっては封止部材の屈折率を向上させる。これらにより、金属酸化物粒子は、発光装置において光の明るさの向上に寄与する。
本実施形態に係る分散液中に含まれる金属酸化物粒子としては、特に限定されない。本実施形態において、金属酸化物粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化鉄粒子、酸化銅粒子、酸化スズ粒子、酸化セリウム粒子、酸化タンタル粒子、酸化ニオブ粒子、酸化タングステン粒子、酸化ユーロピウム粒子、酸化イットリウム粒子、酸化モリブデン粒子、酸化インジウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化ゲルマニウム粒子、酸化鉛粒子、酸化ビスマス粒子、および酸化ハフニウム粒子並びにチタン酸カリウム粒子、チタン酸バリウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、ニオブ酸カリウム粒子、ニオブ酸リチウム粒子、タングステン酸カルシウム粒子、イットリア安定化ジルコニア粒子、アルミナ安定化ジルコニア粒子、カルシア安定化ジルコニア粒子、マグネシア安定化ジルコニア粒子、スカンジア安定化ジルコニア粒子、ハフニア安定化ジルコニア粒子、イッテルビア安定化ジルコニア粒子、セリア安定化ジルコニア粒子、インジア安定化ジルコニア粒子、ストロンチウム安定化ジルコニア粒子、酸化サマリウム安定化ジルコニア粒子、酸化ガドリニウム安定化ジルコニア粒子、アンチモン添加酸化スズ粒子、およびインジウム添加酸化スズ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む金属酸化物粒子が好適に用いられる。
上述した中でも、透明性や封止樹脂(樹脂成分)との相溶性(親和性)を向上させる観点から、分散液は、酸化ジルコニウム粒子および酸化チタン粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、金属酸化物粒子は、封止部材の屈折率を向上させる観点から、屈折率が1.7以上であることが好ましい。
金属酸化物粒子は、より好ましくは酸化ジルコニウム粒子および酸化チタン粒子の少なくとも一方であり、特に好ましくは、酸化ジルコニウム粒子である。
なお、金属酸化物粒子は、分散液において一次粒子として分散していてもよいし、一次粒子が凝集した二次粒子として分散していてもよい。通常、金属酸化物粒子は、二次粒子として分散している。
分散液における金属酸化物粒子の平均分散粒子径は、特に限定されないが、例えば、10nm以上300nm以下であり、20nm以上250nm以下であることが好ましく、30nm以上200nm以下であることがより好ましい。金属酸化物粒子の平均分散粒子径が10nm以上であることにより、この分散液を用いて製造される後述する発光装置の光の明るさが向上する。また、金属酸化物粒子の平均分散粒子径が300nm以下であることにより、分散液やこれを用いて製造される後述する組成物、封止部材の光の透過率の低下を抑制することができる。その結果、発光装置の光の明るさが向上する。
なお、金属酸化物粒子の平均分散粒子径は、動的光散乱法により得られる散乱強度分布の累積百分率が50%のときの金属酸化物粒子の粒子径D50であることができ、動的光散乱式の粒度分布計(例えば、HORIBA社製、型番:SZ−100SP)により測定することができる。測定は、固形分を5質量%に調整した分散液を対象として光路長10mm×10mmの石英セルを用いて行うことができる。なお、本明細書において「固形分」とは、分散液において揮発可能な成分を除去した際の残留物をいう。例えば、分散液1.2gを磁性るつぼに入れて、ホットプレートで、100℃で1時間加熱した時に、揮発せずに残留する成分(金属酸化物粒子や表面修飾材料等)を固形分とすることができる。
また、金属酸化物粒子の平均分散粒子径は、金属酸化物粒子が一次粒子または二次粒子のいずれの状態で分散しているかに関わらず、分散している状態の金属酸化物粒子の径に基づいて測定、算出される。また、本実施形態において、金属酸化物粒子の平均分散粒子径は、表面修飾材料が付着した金属酸化物粒子の平均分散粒子径として測定されてもよい。分散液中には、表面修飾材料が付着した金属酸化物粒子と、表面修飾材料が付着していない金属酸化物粒子とが存在し得るため、通常、金属酸化物粒子の平均分散粒子径は、これらの混合状態における値として測定される。
金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、例えば、3nm以上200nm以下であることが好ましく、5nm以上170nm以下であることがより好ましく、10nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。金属酸化物粒子の平均一次粒子径が上記範囲であることにより、封止部材の透明性の低下を抑制することができる。この結果、発光装置の光の明るさをより一層向上させることができる。
金属酸化物粒子の平均一次粒子径の測定は、例えば、透過型電子顕微鏡での観察により行うことができる。まず、透過型電子顕微鏡により、分散液から金属酸化物粒子を採取したコロジオン膜を観察し、透過型電子顕微鏡画像を得る。次いで、透過型電子顕微鏡画像中の金属酸化物粒子を所定数、例えば100個を選び出す。そして、これらの金属酸化物粒子各々の最長の直線分(最大長径)を測定し、これらの測定値を算術平均して求める。
ここで、金属酸化物粒子同士が凝集している場合には、この凝集体の凝集粒子径を測定するのではない。この凝集体を構成している金属酸化物粒子の粒子(一次粒子)の最大長径を所定数測定し、平均一次粒子径とする。
また、分散液中の金属酸化物粒子の含有量は、後述する樹脂成分と混合できれば特に限定されない。分散液中の金属酸化物粒子の含有量は、例えば、1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
これにより、分散液の粘度が過剰に大きくなることを抑制できるため、後述する樹脂成分との混合が容易になる。また、樹脂成分と混合後に溶媒(分散媒)量が過剰となることを抑制でき、溶媒の除去が容易となる。
以上説明した金属酸化物粒子の表面には、以下に説明する表面修飾材料が付着している。これにより、分散液および当該分散液を用いて製造される分散液中において安定して金属酸化物粒子が分散する。
(2.2表面修飾材料)
本実施形態に係る分散液は、表面修飾材料としてシラン化合物とシリコーン化合物を含む。さらにシラン化合物は、一般式(2)で表されるものである。
表面修飾材料として、シラン化合物とシリコーン化合物のみを用いてもよい。
この表面修飾材料は、分散液内において、少なくともその一部が金属酸化物粒子の表面に付着して、当該表面を修飾することにより、金属酸化物粒子の凝集を防止する。さらに、樹脂成分との相溶性を向上させる。
ここで、表面修飾材料が金属酸化物粒子に「付着する」とは、表面修飾材料が金属酸化物粒子に対し、これらの間の相互作用や反応により接触または結合することをいう。接触としては、例えば、物理吸着が挙げられる。また、結合としては、例えば、イオン結合、水素結合、共有結合等が挙げられる。
そして、本実施形態に係る分散液は、表面修飾材料として、少なくともシラン化合物およびシリコーン化合物を含む。すなわち、本実施形態において、金属酸化物粒子は、少なくともシラン化合物およびシリコーン化合物により表面修飾されている。
シラン化合物は、金属酸化物粒子の表面付近に付着しやすい。一方、シリコーン化合物は、比較的大きな分子量を有し、主に分散媒や後述する樹脂成分との親和性の向上に寄与する。このようなシラン化合物とシリコーン化合物とを併用することにより、金属酸化物粒子のメチル系シリコーン樹脂中における分散安定性が向上する。
これに対し、分散液がシラン化合物およびシリコーン化合物のうちいずれか一方を含まない場合、上述したような効果は得られない。例えば、分散液がシラン化合物を含まない場合、シリコーン化合物が金属酸化物粒子の表面に付着し難く、メチル系シリコーン樹脂中での金属酸化物粒子の分散性が劣るものとなる。一方、分散液がシリコーン化合物を含まない場合、金属酸化物粒子とメチル系シリコーン樹脂との親和性が充分に大きくならず、メチル系シリコーン樹脂中での金属酸化物粒子の分散性が劣るものとなる。
シラン化合物は、一般式(2)で表される。
Si(OR (2)
は有機基であれば特に限定されず、後述する樹脂と相溶性がよいものを選択すればよい。Rとしては例えば、炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。これらの中でも、金属酸化物粒子に付着しやすい点で、炭素数が1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数が1〜3のアルキル基がさらに好ましく、炭素数が1〜2のアルキル基がよりさらに好ましく、炭素数が1であるメチル基が最も好ましい。
は、炭素数が2以上のアルキル基である。炭素数の数は、表面修飾のしやすさと、経時安定性とのバランスを勘案して選択すればよく、2以上6以下であることが好ましく、2以上5以下であることがより好ましく、2以上4以下であることがさらに好ましく、2以上3以下であることがよりさらに好ましく、2であることが最も好ましい。
上述した通り、(OR)は加水分解性基であるため、Rの一部はHであってもよい。
(OR)は、表面処理反応後は、金属酸化物粒子に結合するか、ORまたはOHとして金属酸化物粒子の表面に残存する。OHは残存しないのが好ましいが、完全に除去することは困難であるため、(1)式を満たすのであれば、少量は残存してもよい。
nは1以上3以下であり、1以上2以下であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
mは1以上3以下であり、2以上3以下であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。
一般式(2)を満たすシラン化合物としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリエトキシシラン、およびエチルトリプロポキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等のアルキル基およびアルコキシ基を含むシラン化合物、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルケニル基およびアルコキシ基を含むシラン化合物、ジエトキシモノメチルシラン、モノエトキシジメチルシラン、ジフェニルモノエトキシシラン等のH−Si基およびアルコキシ基を含むシラン化合物、フェニルトリエトキシシラン等のその他アルコキシ基を含むシラン化合物、並びにトリエトキシシラン、ジエトキシシラン、モノエトキシシラン等のH−Si基を含むシラン化合物等が挙げられる。これらのシラン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、アルコキシ基、特にエトキシ基を有するシラン化合物は、金属酸化物粒子に付着しやすいため好ましい。
このような表面修飾材料としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリエトキシシラン、およびエチルトリプロポキシシランからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、メチルトリエトキシシランを用いることがより好ましい。
分散液中におけるシラン化合物の含有量は、特に限定されないが、金属酸化物粒子に対して、例えば、50質量%以上500質量%以下であることが好ましく、70質量%以上400質量%以下であることがより好ましく、90質量%以300質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、金属酸化物粒子の表面に、シラン化合物を介して充分な量のシリコーン化合物を付着させることができ、金属酸化物粒子の分散安定性を向上させるとともに、メチル系シリコーン樹脂への分散性を向上させることができる。
シリコーン化合物としては、例えば、アルコキシ基含有フェニルシリコーン、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、メチルフェニルハイドロジェンシリコーン、ジフェニルハイドロジェンシリコーン、アルコキシ両末端フェニルシリコーン、アルコキシ両末端メチルフェニルシリコーン、アルコキシ基含有メチルフェニルシリコーン、アルコキシ基含有ジメチルシリコーン、アルコキシ片末端トリメチル片末端(メチル基片末端)ジメチルシリコーンおよびアルコキシ基含有フェニルシリコーン等が挙げられる。これらのシリコーン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン化合物は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、レジン(ポリマー)であってもよい。表面修飾が容易であることより、モノマーかオリゴマーを用いることが好ましい。
上述した中でも、反応のし易さと疎水性の高さの観点から、シリコーン化合物は、好ましくはアルコキシ基含有フェニルシリコーン、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルコキシ両末端フェニルシリコーン、アルコキシ両末端メチルフェニルシリコーン、アルコキシ基含有メチルフェニルシリコーン、アルコキシ基含有ジメチルシリコーン、アルコキシ片末端トリメチル片末端(メチル基片末端)ジメチルシリコーンおよびアルコキシ基含有フェニルシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、より好ましくはメトキシ基含有フェニルシリコーン、ジメチルシリコーン、メトキシ基含有ジメチルシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
分散液中におけるシリコーン化合物の含有量は、特に限定されないが、金属酸化物粒子に対して、例えば、50質量%以上500質量%以下であることが好ましく、80質量%以上400質量%以下であることがより好ましく、100質量%以上300質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、金属酸化物粒子の表面に、充分な量のシリコーン化合物を付着させることができ、金属酸化物粒子の分散安定性を向上させるとともに、メチル系シリコーン樹脂への分散性を向上させることができる。さらに、遊離したシリコーン化合物の量を減らすことができ、メチル系シリコーン樹脂中における金属酸化物粒子の不本意な凝集を抑制することができる。
また、分散液は、表面修飾材料としてシラン化合物およびシリコーン化合物以外の成分を含んでもよい。このような成分としては、例えば、炭素−炭素不飽和結合含有脂肪酸、具体的には、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
金属酸化物粒子に対する表面修飾材料の量、すなわち、シラン化合物とシリコーン化合物の合計の含有量は、特に限定されず、例えば、100質量%以上1000質量%以下であることが好ましく、150質量%以上800質量%以下であることがより好ましく、190質量%以上600質量%以下であることがさらに好ましい。表面修飾材料の量が上述した範囲内であると、遊離する表面修飾材料の量を低減しつつ、金属酸化物粒子の分散性を充分に向上させることができる。
(2.3疎水性溶媒)
また、本実施形態に係る分散液は、金属酸化物粒子を分散する疎水性溶媒を分散媒として含む。この疎水性溶媒は、表面修飾材料が付着した金属酸化物粒子を分散させることができ、後述する樹脂成分と混合することができるものであれば、特に限定されない。
このような疎水性溶媒としては、例えば、芳香族類、飽和炭化水素類、不飽和炭化水素類等が挙げられる。これらの疎水性溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、疎水性溶媒は、芳香族類、特に芳香族炭化水素が好ましい。芳香族類は、後述するメチル系シリコーン樹脂との相溶性に優れ、これにより得られる組成物の粘度特性の向上および形成される封止部材の品質(透明性、形状等)の向上に資する。
このような芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、1−フェニルプロパン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、o−、m−またはp−キシレン、2−、3−または4−エチルトルエン等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した中でも、分散液の安定性や、後述する組成物製造時における疎水性溶媒の除去等における取り扱い性の容易性の観点からは、疎水性溶媒は、トルエン、o−、m−またはp−キシレン、ベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましく用いられる。
分散液に含まれる疎水性溶媒の含有量は、所望の固形分となるように適宜調整すればよい。疎水性溶媒の含有量は、例えば、40質量%以上95質量%以下であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、分散液と後述する樹脂成分、特にメチル系シリコーン樹脂との混合がより容易となる。
本実施形態の分散液は、親水性溶媒を含んでいてもよい。親水性溶媒は、例えば、後述する方法に起因して、分散液中に含まれ得る。このような親水性溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒等が挙げられる。これらの親水性溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルコール系溶媒としては、例えば、炭素数1〜4の分岐または直鎖状アルコール化合物およびそのエーテル縮合物が挙げられる。これらのアルコール系溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アルコール系溶媒に含まれるアルコール化合物は、第1級アルコール、第2級アルコールおよび第3級アルコールのいずれであってもよい。また、アルコール系溶媒に含まれるアルコール化合物は、一価アルコール、二価アルコールおよび三価アルコールのいずれであってもよい。より具体的には、アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、メタンジオール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブチンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、3−メトキシ−1,2−プロパンジオール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル等が挙げられる。
水と疎水性溶媒双方との親和性に優れ、これらの混和を促進させる観点から、親水性溶媒は、好ましくはアルコール系溶媒を含む。この場合において、アルコール系溶媒を構成するアルコール化合物の炭素数は、1以上3以下であることが好ましく、1以上2以下であることがより好ましい。
上述した中でも、メタノールおよびエタノール、特にメタノールは、上記のアルコール系溶媒の効果を充分に発現することができるために好適に用いることができる。
また、分散液中における親水性溶媒の含有量は、例えば、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。親水性溶媒の含有量は0質量%であってもよい。
(2.4その他の成分)
本実施形態に係る分散液は、上述した以外の成分を含んでもよい。例えば、本実施形態に係る分散液は、必要に応じて上述した以外の成分、例えば、分散剤、分散助剤、酸化防止剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤等の一般的な添加剤等を含んでいてもよい。
また、本実施形態に係る分散液は、後述する方法に起因して含まれ得る成分、例えば、酸、水、アルコール等を含んでもよい。
なお、本明細書において、本実施形態に係る分散液は、樹脂成分を含み、硬化により封止部材を形成可能な本実施形態に係る組成物とは区別される。すなわち、本実施形態に係る分散液は、単純に硬化させても封止部材を形成可能な程度には後述する樹脂成分を含まない。より具体的には、本実施形態に係る分散液における、樹脂成分と金属酸化物粒子との質量比率は、樹脂成分:金属酸化物粒子で、0:100〜40:60の範囲にあることが好ましく、0:100〜20:80の範囲にあることがより好ましい。本実施形態に係る分散液は、さらに好ましくは後述する樹脂成分を本質的に含まず、特に好ましくは後述する樹脂成分を完全に含まない。
本実施形態に係る分散液は、金属酸化物粒子の表面がシラン化合物およびシリコーン化合物により充分に修飾されている。そして、このように修飾された金属酸化物粒子は、メチル系シリコーン樹脂との親和性に優れ、メチル系シリコーン樹脂中において比較的均一に分散することができる。したがって、メチル系シリコーン樹脂中に金属酸化物粒子を分散させた場合であっても、白濁等の濁りの発生が抑制される。さらに、金属酸化物粒子を含むメチル系シリコーン樹脂の粘度変化も抑制されている。
<3.分散液の製造方法>
次に、本実施形態に係る分散液の製造方法について説明する。
本実施形態に係る分散液の製造方法は、シラン化合物と金属酸化物粒子とを混合して混合液を得る工程Bと、
上記混合液中において上記金属酸化物粒子を分散し、上記金属酸化物粒子が分散した第1の分散液を得る工程Cと、
上記第1の分散液に疎水性溶媒を加えて、第2の分散液を得る工程Dと、
上記第2の分散液にシリコーン化合物を加えて、第3の分散液を得る工程Eと、を有し、
上記工程Bの混合液中における上記金属酸化物粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下であり、上記混合液中における上記表面修飾材料と上記金属酸化物粒子との合計の含有量が65質量%以上98質量%以下であり、
上記疎水性溶媒を加える工程Dは、上記第1の分散液を加熱した後に、上記疎水性溶媒を上記金属酸化物粒子が凝集しない速度で加える工程d1、上記第1の分散液を加熱しながら、上記疎水性溶媒を上記金属酸化物粒子が凝集しない速度で加える工程d2、または、上記疎水性溶媒を上記金属酸化物粒子が凝集しない速度で加えた後に、上記第1の分散液を加熱する工程d3であり、前記シラン化合物が一般式(2)で表されるケイ素化合物である。
Si(OR (2)
(但し、Rは炭素数が2以上のアルキル基、Rはそれぞれ独立して有機基、nおよびmは整数であり、n+m=4、1≦n≦3)
なお、上記シラン化合物と上記金属酸化物粒子の合計の含有量は、固形分により評価することもできる。
また、上記シラン化合物と上記金属酸化物粒子との合計含有量には、後述するシラン化合物の加水分解で発生するアルコールは含まない。すなわち、上記シラン化合物と上記金属酸化物粒子との合計含有量とは、シラン化合物と、加水分解されたシラン化合物と、金属酸化物粒子との合計含有量を意味する。なお、上記合計含有量が上記シラン化合物に付着された金属酸化物粒子の含有量を含めた値であることは言うまでもない。
また、本実施形態においては、上記の各工程に先立ち、シラン化合物と水とを混合して、加水分解されたシラン化合物を含む加水分解液を得る工程A(加水分解工程)を有してもよい。
以下、各工程について詳細に説明する。
(工程A(加水分解工程))
加水分解工程では、シラン化合物と水とを混合して、加水分解されたシラン化合物を含む加水分解液を得る。このように予めシラン化合物の少なくとも一部が加水分解した混合液を用いることにより、後述する分散工程において金属酸化物粒子にシラン化合物が付着し易くなる。
シラン化合物としては、上述したシラン化合物のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、加水分解液中におけるシラン化合物の含有量は、特に限定されず、加水分解液中の他の成分の残部とすることができるが、例えば、60質量%以上99質量%以下であることが好ましく、70質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、加水分解工程において、シラン化合物以外の表面修飾材料を加水分解液に含有させてもよい。
また、加水分解工程において、加水分解液は水を含む。水は、シラン化合物等の表面修飾材料の加水分解反応の基質となる。
加水分解液中における水の含有量は、特に限定されず、例えば、シラン化合物の量に対応して適宜設定できる。例えば、加水分解液に添加される水の量が、前記シラン化合物1molに対して、0.5mol以上5mol以下であることが好ましく、0.6mol以上3mol以下であることがより好ましく、0.7mol以上2mol以下であることがさらに好ましい。これにより、シラン化合物の加水分解反応を充分に進行させつつ、過剰量の水により製造される分散液において金属酸化物粒子の凝集が生じることをより確実に防止することができる。
あるいは、加水分解液中における水の含有量は、例えば、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
また、加水分解液には、シラン化合物および水とともに触媒が添加されてもよい。触媒としては、例えば、酸または塩基を用いることができる。
酸は、加水分解液中においてシラン化合物の加水分解反応を触媒する。一方、塩基は、加水分解されたシラン化合物と金属酸化物粒子表面の官能基、例えば、水酸基やシラノール基との縮合反応を触媒する。これにより、後述する分散工程(工程C)においてシラン化合物を初めとしたシラン化合物が金属酸化物粒子に付着し易くなり、金属酸化物粒子の分散安定性が向上する。
ここで、上記の「酸」とは、いわゆるブレンステッド−ローリの定義に基づく酸をいい、シラン化合物等の表面修飾材料の加水分解反応においてプロトンを与える物質をいう。また、上記の「塩基」とは、いわゆるブレンステッド−ローリの定義に基づく塩基をいい、ここでは、シラン化合物等の表面修飾材料の加水分解反応およびその後の縮合反応においてプロトンを受容する物質をいう。
酸としては、シラン化合物の加水分解反応においてプロトンを供給可能であれば特に限定されず、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸等の無機酸や酢酸、クエン酸、ギ酸等の有機酸が挙げられる。これらの有機酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基としては、シラン化合物の加水分解反応においてプロトンを受容可能であれば特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、アミン等が挙げられる。これらの塩基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した中でも、触媒としては、酸を用いることが好ましい。酸としては、酸性度の観点から、無機酸が好ましく、また、塩酸がより好ましい。
加水分解液中における触媒の含有量は、特に限定されないが、例えば、10ppm以上1000ppm以下であることが好ましく、20ppm以上800ppm以下であることがより好ましく、30ppm以上600ppm以下であることがさらに好ましい。これにより、シラン化合物の加水分解を充分に促進させつつ、シラン化合物の副反応を抑制することができる。
また、加水分解液は、親水性溶媒を含んでいてもよい。親水性溶媒は、加水分解液中において、水とシラン化合物の混和を促進させ、シラン化合物の加水分解反応をより一層促進させる。
このような親水性溶媒としては、例えば、上述した分散液に含まれ得る各種親水性溶媒が挙げられる。
上述した中でも、水と疎水性溶媒双方との親和性に優れ、これらの混和を促進させる観点から、親水性溶媒は、好ましくはアルコール系溶媒からなる群から選択される少なくとも1種を含み、より好ましくはメタノール、エタノールからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
また、加水分解液中における親水性溶媒の含有量は、特に限定されないが、例えば、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。これにより、加水分解液中におけるシラン化合物および水の含有量を充分に大きくすることができる。また、加水分解液中における親水性溶媒の含有量は、例えば、10質量%以上であることが好ましく、好ましくは15質量%以上であることがより好ましい。これにより、表面修飾材料と水との混和をより一層促進することができ、この結果表面修飾材料の加水分解反応を効率よく進行させることができる。なお、加水分解液中において、加水分解反応由来の化合物を除く親水性溶媒が含まれなくてもよい。
本実施形態では、アルコキシ基を有するシラン化合物を加水分解するため、アルコキシ基由来のアルコール化合物が混合液中に含まれることとなる。加水分解反応は、金属酸化物粒子の吸着水でも進行するため、工程A〜工程Eのいずれでも起こり得る。そのため、アルコール化合物を除去する工程がない限りは、得られる分散液にはアルコール化合物が含まれることとなる。
加水分解工程では、加水分解液を調製後、一定の温度で所定の時間保持してもよい。これにより、シラン化合物の加水分解をより一層促進させることができる。
この処理において、加水分解液の温度は、特に限定されず、シラン化合物の種類によって適宜変更できるが、例えば、5℃以上65℃以下であることが好ましく、30℃以上60℃以下であることがより好ましい。
また、保持時間は、特に限定されないが、例えば、10分以上180分以下であることが好ましく、30分以上120分以下であることがより好ましい。
なお、上記の加水分解液の保持において、加水分解液を適宜撹拌してもよい。
(工程B(混合工程))
混合工程では、シラン化合物と金属酸化物粒子とを混合して混合液を得る。混合工程では、シラン化合物と金属酸化物粒子の他に、水や触媒を混合してもよい。なお、上述した加水分解工程により加水分解液を得ている場合、加水分解液と金属酸化物粒子とを混合することにより、混合液が得られる。
そして、混合液中における金属酸化物粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下であり、シラン化合物と金属酸化物粒子との合計の含有量が65質量%以上98質量%以下であるように、混合が行われる。
このように、本実施形態においては、混合液中のシラン化合物と金属酸化物粒子との合計の含有量が非常に大きい。そして、従来必須であると考えられていた有機溶媒、水等の分散媒は、混合液中に含まれないか、あるいは非常に少量のみ混合される。あるいは、加水分解により、不可避的なアルコール化合物が少量含まれる程度である。このような場合であっても、分散工程を経ることにより、混合液中において、金属酸化物粒子の均一な分散が可能であるとともに、シラン化合物の金属酸化物粒子への均一な付着(表面修飾)が達成される。
詳しく説明すると、一般に金属酸化物粒子を液相中にて表面修飾材料により表面修飾する場合には、金属酸化物粒子と表面修飾材料のみならず分散媒を混合して混合液を得、当該混合液について分散機を用いて分散処理することが一般的である。ここで、このような表面修飾された金属酸化物粒子は、メチル系シリコーン樹脂と混合した際に、充分に当該メチル系シリコーン樹脂中に分散できず凝集してしまい、結果として、メチル系シリコーン樹脂に白濁等の濁りが生じる問題がある。このような場合、添加される金属酸化物粒子は、所期の性能が充分に発揮されない。
分散媒は、通常、混合液の粘度を低くし、金属酸化物粒子を均一に分散させ、表面修飾材料に金属酸化物粒子の表面を均一に修飾させることを目的として添加される。従来、分散媒を用いない場合、分散液の粘度が上昇する結果、表面修飾材料が金属酸化物粒子の表面に充分に付着しないと考えられていた。本発明者等は、驚くべきことに、このような従来必須であると考えられてきた分散媒を使用しないか、あるいは少量のみ使用し、金属酸化物粒子を高濃度のシラン化合物中に直接分散させることにより、得られる分散液中において、金属酸化物粒子の均一な分散が達成されるとともに、金属酸化物粒子へのシラン化合物の均一な修飾が可能であることを見出した。
シラン化合物は、低分子であり、粘度が比較的小さい。さらに、上述した加水分解工程において加水分解されていることにより、金属酸化物粒子への付着性が良好である。このため、シラン化合物は、高濃度の表面修飾材料中での金属酸化物粒子の分散に極めて好適である。
シラン化合物と金属酸化物粒子との合計の含有量が65質量%未満である場合、上記2成分以外の成分、例えば、分散媒が多くなり過ぎ、後述する分散工程(工程C)においてシラン化合物を充分に金属酸化物粒子の表面に付着させることができない。その結果、金属酸化物粒子表面に水酸基が多く残存し、得られる分散液を疎水性の材料と混合した際に、金属酸化物粒子が凝集してしまい、疎水性の材料に濁りが生じてしまう。シラン化合物と金属酸化物粒子との合計の含有量は、65質量%以上であればよいが、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。
これに対して、シラン化合物と金属酸化物粒子との合計の含有量が98質量%を超えると、混合液の粘度が高くなりすぎて、後述する分散工程(工程C)においてシラン化合物を充分に金属酸化物粒子の表面に付着させることができない。シラン化合物と金属酸化物粒子との合計の含有量は、98質量%以下であればよいが、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
また、上述したように、混合液中における金属酸化物粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下である。これにより、金属酸化物粒子に対するシラン化合物の量を適切な範囲内とすることができ、金属酸化物粒子の表面に均一にシラン化合物を付着させることができるとともに、混合液の粘度の上昇を抑制することができる。
これに対して、混合液中における金属酸化物粒子の含有量が10質量%未満である場合、金属酸化物粒子に対してシラン化合物の量が過剰となり、得られる分散液において過剰のシラン化合物が金属酸化物粒子の凝集を誘発する。混合液中における金属酸化物粒子の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
また、金属酸化物粒子の含有量が49質量%を超えると、金属酸化物粒子に対してシラン化合物の量が不足し、金属酸化物粒子に充分な量のシラン化合物が付着しない。また、金属酸化物粒子の含有量が多くなり過ぎる結果、混合液の粘度が大きくなり過ぎ、後述する分散工程(工程C)において、金属酸化物粒子を充分に分散できない。混合液中における金属酸化物粒子の含有量は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
混合液中における金属酸化物粒子の含有量に対するシラン化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、100質量%以上800質量%以下であることが好ましく、140質量%以上600質量%以下であることがより好ましく、180質量%以上400質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、金属酸化物粒子に対するシラン化合物の量を適切な範囲内とすることができ、金属酸化物粒子の表面に均一にシラン化合物を付着させることができる。
また、混合工程では、混合液にさらに有機溶媒を混合してもよい。混合液に有機溶媒を混合することにより、表面修飾材料の反応性を制御することが可能となり、金属酸化物粒子表面への表面修飾材料の付着の程度を制御することが可能となる。さらに、有機溶媒により、混合液の粘度の調節が可能となる。
このような有機溶媒としては、上述した本実施形態に係る分散液の分散媒として挙げた疎水性溶媒や親水性溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
混合液中における有機溶媒の含有量は、上述した金属酸化物粒子およびシラン化合物の含有量を満足するものであれば特に限定されない。なお、混合液中に有機溶媒が含まれなくてもよいことはいうまでもない。
(工程C(分散工程))
分散工程では、混合液中において金属酸化物粒子を分散して、金属酸化物粒子が分散した第1の分散液を得る。本実施形態において、金属酸化物粒子は、加水分解された高濃度のシラン化合物中において分散される。したがって、得られる第1の分散液においては、金属酸化物粒子の表面に比較的均一にシラン化合物が付着しており、かつ、金属酸化物粒子が比較的均一に分散する。
金属酸化物粒子の分散は、公知の分散機により行うことができる。分散機としては、例えば、ビーズミル、ボールミル、ホモジナイザー、ディスパー、撹拌機等が好適に用いられる。
ここで、分散工程では、分散液中における金属酸化物粒子の粒子径(分散粒子径)がほぼ均一となるように、過剰なエネルギーは付与せず、必要最低限のエネルギーを付与して、混合液中において金属酸化物粒子を分散させることが好ましい。
(工程D(添加工程(第1の添加工程)))
添加工程では、上記の第1の分散液に疎水性溶媒を添加し、分散液を所望の固形分(濃度)に調整する。
分散工程で得られた第1の分散液は、固形分(濃度)が高いため、粘度が高く、ハンドリング性が悪い。しかし、固形分を低くするために、得られた第1の分散液に疎水性溶媒を添加すると、粒子表面の疎水性が低いため、粒子が凝集してしまい、均一な分散液が得られなかった。
そこで、本発明者等は、得られた第1の分散液を加熱し、疎水性溶媒を徐々に添加することで、固形分の低い分散液に調整できることも見出した。
そのメカニズムは以下のように推測される。
分散液を加熱することにより、金属酸化物粒子に付着したシラン化合物の重合が進行し、粒子表面の疎水性が向上する。重合反応が進行し過ぎても金属酸化物粒子は凝集するため、重合反応が進行中の分散液に疎水性溶媒を徐々に添加することにより、過剰な重合反応を抑制しつつ、表面が徐々に疎水化され、疎水性の溶媒を徐々に混合することができる。
すなわち、金属酸化物粒子が凝集しない程度の量の疎水性溶媒を添加し、添加した量の疎水性溶媒と相溶できる程度に、シラン化合物の重合反応を進行させることにより、所望の固形分に調整された分散液を得ることができる。
上述の通り、疎水性溶媒は、金属酸化物粒子が凝集しないように、徐々に添加すればよい。そのため、第1の分散液を加熱してから疎水性溶媒を添加してもよく、疎水性溶媒を添加してから第1の分散液を加熱してもよく、第1の分散液の加熱と疎水性溶媒の添加を同時に行ってもよい。
すなわち、添加工程は、上記の第1の分散液を加熱した後に、上記の疎水性溶媒を上記の金属酸化物粒子が凝集しない速度で加える工程d1であってもよく、上記の第1の分散液を加熱しながら、上記の疎水性溶媒を上記の金属酸化物粒子が凝集しない速度で加える工程d2であってもよく、または、上記の疎水性溶媒を上記の金属酸化物粒子が凝集しない速度で加えた後に、上記の第1の分散液を加熱する工程d3であってもよい。
金属酸化物粒子が凝集しない速度は、特に限定されない。例えば、1時間で3質量%以上20質量%以下の範囲で固形分が低くなるような速度で連続的に疎水性溶媒を添加すればよい。加熱温度が高い場合には疎水性溶媒の添加量を多くし、加熱温度が低い場合には疎水性溶媒の添加量を少なくするように、疎水性溶媒の添加量を適宜調整すればよい。
例えば、30分毎、1時間毎、または2時間毎に、3質量%以上20質量%以下の範囲で固形分が低くなるように、疎水性溶媒を段階的に添加すればよい。加熱温度が高い場合には一度に添加する疎水性溶媒の添加量を多めにし、加熱温度が低い場合には一度に添加する疎水性溶媒の添加量を少なくするように、疎水性溶媒の添加量を適宜調整すればよい。
加熱温度は、シラン化合物の重合反応が進行する温度であれば特に限定されない。加熱温度は、例えば、35℃以上80℃以下であることが好ましい。加熱温度が35℃以上であることにより、シラン化合物の重合反応を進行させることができる。一方、加熱温度が80℃以下であることにより、シラン化合物の急激な反応による金属酸化物粒子の凝集を抑制することができる。
加熱時間は、固形分の調整が終わるまで適宜実施すればよく、例えば、4時間以上12時間以下であることが好ましい。加熱時間が4時間以上であることにより、シラン化合物の重合反応が進行し、疎水性溶媒と混合することが可能となる。一方、加熱時間が12時間以下であることにより、シラン化合物の重合反応の進行し過ぎによる金属酸化物粒子の凝集を抑制することができる。
疎水性溶媒は、本実施形態の分散液と混合したい材料と相溶できるものであれば特に限定されない。疎水性溶媒としては、例えば、芳香族類、飽和炭化水素類、不飽和炭化水素類等が挙げられる。これらの疎水性溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも、芳香族類、特に芳香族炭化水素が好ましい。芳香族類は、メチル系シリコーン樹脂との相溶性に優れ、これにより得られる組成物の粘度特性の向上および形成される封止部材の品質(透明性、形状等)の向上に資する。
芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、1−フェニルプロパン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、2−エチルトルエン、3−エチルトルエン、4−エチルトルエン等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、分散液の安定性や、後述する組成物製造時における分散媒の除去等における取り扱い性の容易性の観点から、芳香族炭化水素としては、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンおよびベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましく用いられる。
最終的な分散液に含まれる疎水性溶媒の含有量は、所望の固形分となるように適宜調整すればよい。疎水性溶媒の含有量は、例えば、40質量%以上95質量%以下であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
第1の添加工程により、所望の固形分に調整された第2の分散液が得られる。第2の分散液を用いることにより、以下の工程における分散液のハンドリング性が向上する。
(工程F(除去工程))
本実施形態では、工程Dと、工程Eの間に、加水分解により生じたアルコールを除去する工程Fを設けてもよい。
除去工程を設けることにより、以下に説明する工程の生産効率が向上すると推測される。
除去する方法は特に限定されないが、例えば、エバポレータを用いることができる。
除去工程は、アルコールが完全に除去されるまで行ってもよく、5質量%程度残存していてもよい。
(工程E(第2の添加工程))
次に、金属酸化物粒子をシリコーン化合物により処理して、第3の分散液を得る。上述したように、分散工程では、シラン化合物が金属酸化物粒子の表面に比較的均一に付着している。したがって、シリコーン化合物は、シラン化合物を介して金属酸化物粒子の表面に比較的均一に付着することができる。
第2の添加工程では、まず、第2の分散液とシリコーン化合物とを混合し、処理液を得る。次いで、処理液を一定の温度で所定の時間保持してもよい。これにより、シリコーン化合物の金属酸化物粒子への付着をより一層促進させることができる。
シリコーン化合物としては、上述したシリコーン化合物が挙げられる。これらのシリコーン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン化合物は、第3の分散液中におけるシリコーン化合物の含有量が金属酸化物粒子に対して、例えば、好ましくは50質量%以上500質量%以下、より好ましくは80質量%以上400質量%以下、さらに好ましくは100質量%以上300質量%以下となるように第2の分散液と混合することができる。これにより、金属酸化物粒子の表面に、充分な量のシリコーン化合物を付着させることができ、金属酸化物粒子の分散安定性を向上させるとともに、メチル系シリコーン樹脂への分散性を向上させることができる。さらに、遊離したシリコーン化合物の量を減らすことができ、メチル系シリコーン樹脂中における金属酸化物粒子の不本意な凝集を抑制することができる。
第2の添加工程では、保持温度は、特に限定されず、シリコーン化合物の種類によって適宜変更できるが、例えば、40℃以上130℃以下であることが好ましく、50℃以上120℃以下であることがより好ましい。
また、保持時間は、特に限定されないが、例えば、1時間以上24時間以下であることが好ましく、2時間以上20時間以下であることがより好ましい。
なお、上記の保持において、第2の分散液を適宜撹拌してもよい。
また、第2の添加工程では、複数回シリコーン化合物による処理を行ってもよい。例えば、異なる種類のシリコーン化合物を用い、複数回シリコーン化合物による処理を行うことにより、メチル系シリコーン樹脂の種類に合わせた金属酸化物粒子の表面状態の制御がより容易となる。
また、第2の添加工程では、シリコーン化合物による処理後に固形分を測定し、所望の固形分となるように疎水性溶媒を添加してもよい。固形分を小さくすることにより、後述する封止用樹脂との混合が容易となる。
以上により、金属酸化物粒子をシリコーン化合物により処理し、第3の分散液を得ることができる。
本実施形態に係る分散液の製造方法を用いて製造された分散液は、金属酸化物粒子が均一に分散するとともに、金属酸化物粒子の表面がシラン化合物およびシリコーン化合物により均一かつ充分に修飾されている。そして、このように修飾された金属酸化物粒子は、メチル系シリコーン樹脂との親和性に優れ、メチル系シリコーン樹脂中において比較的均一に分散することができる。したがって、メチル系シリコーン樹脂中に金属酸化物粒子を分散させた場合であっても、白濁等の濁りの発生が抑制される。さらに、金属酸化物粒子を含むメチル系シリコーン樹脂の粘度変化も抑制されている。
なお、本実施形態に係る分散液には、必要に応じて上述した以外の成分、例えば、分散剤、分散助剤、酸化防止剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤等の一般的な添加剤等が混合されてもよい。これらは、必要に応じて、任意の工程において添加される。
上述のように、本実施形態の分散液は、シラン化合物に金属酸化物粒子を直接分散させることによって、金属酸化物粒子を疎水性材料と混合することができるようになった。従来の分散液より、シラン化合物が金属酸化物粒子に多く付着し、かつ、緻密な被覆がなされていると推測される。しかしながら、金属酸化物粒子の表面がどのような状態になっているために、分散液が疎水性材料と混合することができるようになったのか不明である。そのため、本実施形態の分散液の特徴を、シラン化合物およびシリコーン化合物によって修飾された金属酸化物粒子の表面の状態により、直接特定することは、不可能である。分散液が、金属酸化物粒子と、少なくとも一部が金属酸化物粒子に付着した1種以上のシラン化合物および1種以上のシリコーン化合物と、疎水性溶媒とを含むことを鑑みると、金属酸化物粒子を疎水性材料と混合することができるようにするための表面の状態を文言により一概に特定することは、金属酸化物粒子を疎水性材料と混合できることが、シラン化合物およびシリコーン化合物の構造・分散液中における重合度、金属酸化物粒子の形状・粒子径・粒度分布・比表面積等、多数の要因の複雑な絡み合いによって発現していると推察されることに照らせば、およそ不可能である。
<4.組成物>
次に、本実施形態に係る組成物について説明する。
本実施形態に係る組成物は、上述した分散液と樹脂成分との混合物である。したがって、本実施形態に係る組成物は、上述したシラン化合物とシリコーン化合物とにより表面修飾された金属酸化物粒子に加え、樹脂成分、すなわち樹脂およびその前駆体の少なくとも一方を含む。
本実施形態に係る組成物は、後述するように硬化させて発光素子の封止部材として用いられる。本実施形態に係る組成物は、上述した屈折率と透明性の向上に寄与する金属酸化物粒子を含むことにより、封止部材に用いた際に発光装置の光の明るさを向上させることができる。
さらには、本実施形態に係る組成物は、上述したシラン化合物とシリコーン化合物とにより表面修飾された金属酸化物粒子を含むため、樹脂成分としてメチル系シリコーン樹脂が含まれる場合であっても、金属酸化物粒子の凝集が抑制され、透明性の低下が抑制されている。このため、本実施形態に係る組成物を封止部材に用いた際に発光装置の光の明るさを向上させることができる。
本実施形態の組成物における、金属酸化物粒子の含有量は、透明性の高い組成物を得る観点においては、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましい。
また、シラン化合物、シリコーン化合物等の表面修飾材料の含有量は、本実施形態に係る分散液における含有量に対応することができる。
樹脂成分は、本実施形態に係る組成物における主成分である。樹脂成分は、本実施形態に係る組成物を封止材料として用いた際において硬化して発光素子を封止することにより、発光素子に水分、酸素等の外部環境からの劣化因子が到達することを防止する。また、本実施形態において、樹脂成分より得られる硬化物は、基本的に透明であり、発光素子から放出される光を透過させることができる。
このような樹脂成分としては、封止材料として用いることができれば特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂や、エポキシ樹脂等の樹脂を、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、耐久性の観点から、シリコーン樹脂、特にメチル系シリコーン樹脂が好ましい。
メチル系シリコーン樹脂としては、例えば、ジメチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂等を用いることができる。
樹脂成分中に占めるメチル系シリコーン樹脂の含有量は、所望の特性により調整すればよく、特に限定されず、例えば、100質量%であってもよいし、20質量%以上80質量%以下であってもよく、30質量%以上70質量%以下であってもよく、40質量%以上60質量%以下であってもよい。従来、メチル系シリコーン樹脂中に金属酸化物粒子を含有させると、金属酸化物粒子が凝集し、透明性が低下するとともに、屈折率が充分に向上しなかった。これに対し、本実施形態に係る組成物は、上述したシラン化合物とシリコーン化合物とにより表面修飾された金属酸化物粒子を含むため、樹脂成分としてメチル系シリコーン樹脂がこのように多量に含まれる場合であっても、金属酸化物粒子の凝集が抑制され、透明性の低下が抑制されている。一方、メチル系シリコーン樹脂を採用することが可能となることから、組成物を用いて形成される封止部材の耐久性が向上する。
樹脂成分の構造としては、二次元の鎖状の構造であってもよく、三次元網状構造であってもよく、かご型構造であってもよい。
樹脂成分は、封止部材として用いた際に硬化したポリマー状となっていればよく、組成物中において、硬化前の状態、すなわち、前駆体であってもよい。したがって、組成物中に存在する樹脂成分は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、ポリマーであってもよい。
樹脂成分は、付加反応型のものを用いてもよく、縮合反応型のものを用いてもよく、ラジカル重合反応型のものを用いてもよい。
JIS Z 8803:2011に準拠して測定される25℃における樹脂成分の粘度は、例えば、10mPa・s以上100,000mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以上10,000mPa・s以下であることがより好ましい、1,000mPa・s以上7,000mPa・s以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に係る組成物中における樹脂成分の含有量は、他の成分の残部とすることができるが、例えば、10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係る組成物中における樹脂成分と表面修飾された金属酸化物粒子との質量比は、樹脂成分:表面修飾された金属酸化物粒子で、50:50〜90:10の範囲にあることが好ましく、60:40〜80:20の範囲にあることがより好ましい。
本実施形態に係る組成物は、本実施形態に係る分散液由来の分散媒を含んでいてもよく、除去されていてもよい。すなわち、分散液由来の分散媒を完全に除去してもよく、組成物中に1質量%以上10質量%以下程度残存していてもよく、2質量%以上5質量%以下程度残存していてもよい。
また、本実施形態に係る組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、蛍光体粒子を含んでいてもよい。蛍光体粒子は、発光素子から放出される特定の波長の光を吸収し、所定の波長の光を放出する。すなわち、蛍光体粒子により光の波長の変換ひいては色調の調整が可能となる。
蛍光体粒子は、後述するような発光装置に使用できるものであれば、特に限定されず、発光装置の発光色が所望の色となるように、適宜選択して用いることができる。
本実施形態の組成物中における蛍光体粒子の含有量は、所望の明るさが得られるように、適宜調整して用いることができる。
また、本実施形態の組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、防腐剤、重合開始剤、重合禁止剤、硬化触媒、光拡散剤等の、一般的に用いられる添加剤が含有されていてもよい。光拡散剤としては、平均粒子径が1μm〜30μmのシリカ粒子を用いることが好ましい。
本実施形態に係る組成物は、本実施形態に係る分散液と樹脂成分とを混合することにより製造することができる。また、混合後、必要に応じて、分散液に含有されていた分散媒をエバポレータ等で除去してもよい。
本実施形態に係る組成物は、上述したシラン化合物とシリコーン化合物とにより表面修飾された金属酸化物粒子を含むため、樹脂成分としてメチル系シリコーン樹脂が含まれる場合であっても、金属酸化物粒子の凝集が抑制され、透明性の低下が抑制されている。このため、本実施形態に係る組成物を用いて、発光装置の光の明るさを向上させる封止部材を形成することができる。
<5.封止部材>
本実施形態に係る封止部材は、本実施形態に係る組成物の硬化物である。本実施形態に係る封止部材は、通常、発光素子上に配置される封止部材またはその一部として用いられる。
本実施形態に係る封止部材の厚みや形状は、所望の用途や特性に応じて適宜調整することができ、特に限定されるものではない。
本実施形態に係る封止部材は、上述したように本実施形態に係る組成物を硬化することにより製造することができる。組成物の硬化方法は、本実施形態に係る組成物中の樹脂成分の特性に応じて選択することができ、例えば、熱硬化や電子線硬化等が挙げられる。より具体的には、本実施形態の組成物中の樹脂成分を付加反応や重合反応により硬化することにより、本実施形態の封止部材が得られる。
封止部材中における金属酸化物粒子の平均分散粒子径は、10nm以上300nm以下であることが好ましく、20nm以上250nm以下であることがより好ましく、30nm以上200nm以下であることがさらに好ましい。
なお、封止部材中の金属酸化物粒子の平均分散粒子径は、封止部材の透過型電子顕微鏡観察(TEM)により測定される、個数分布基準の平均粒子径(メジアン径)である。また、本実施形態に係る封止部材中の金属酸化物粒子の平均分散粒子径は、封止部材中における金属酸化物粒子の分散粒子径に基づいて測定、算出される値である。平均分散粒子径は、金属酸化物粒子が一次粒子または二次粒子のいずれの状態で分散しているかに関わらず、分散している状態の金属酸化物粒子の径に基づいて測定、算出される。また、本実施形態において、封止部材中の金属酸化物粒子の平均粒子径は、後述する表面修飾材料が付着した金属酸化物粒子の平均粒子径として測定されてもよい。封止部材中には、表面修飾材料が付着した金属酸化物粒子と、表面修飾材料が付着していない金属酸化物粒子とが存在し得るため、通常、封止部材中の金属酸化物粒子の平均粒子径は、これらの混合状態における値として測定される。
本実施形態に係る封止部材は、本実施形態に係る組成物の硬化物であるので、屈折率と透明性とに優れている。そのため、本実施形態によれば、発光装置の光の明るさを向上させる取り出し効率に優れる封止部材を得ることができる。
<6.発光装置>
次に、本実施形態に係る発光装置について説明する。本実施形態に係る発光装置は、上述した封止部材と、当該封止部材に封止された発光素子とを備える。
発光素子としては、例えば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)等が挙げられる。特に、本実施形態に係る封止部材は、発光ダイオードの封止に適している。
以下、発光素子が、チップ上の発光ダイオード、すなわちLEDチップであり、発光装置がLEDパッケージである例を挙げて、本実施形態に係る発光装置を説明する。
図1〜図4は、それぞれ、本発明の実施形態に係る発光装置の一例を示す模式図(断面図)である。
なお、図中の各部材の大きさは、説明を容易とするため適宜強調されており、実際の寸法、部材間の比率を示すものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1に示す発光装置(LEDパッケージ)1Aは、凹部21を有する基板2と、基板2の凹部21の底面上に配置される発光素子(LEDチップ)3と、凹部21において発光素子3を覆うように封止する封止部材4Aとを備えている。
封止部材4Aは、上述した本実施形態に係る封止部材により構成されている。したがって、封止部材4A中においては、上述した本実施形態に係る組成物由来の金属酸化物粒子が分散されており、この結果、発光装置1Aにおける光の取出し効率が向上している。また、封止部材4A内においては、蛍光体粒子5が分散している。蛍光体粒子5は、発光素子3より出射される光の少なくとも一部の波長を変換する。
図2に示す発光装置1Bは、封止部材4Bが2層となっている点で発光装置1Aと異なる。すなわち、封止部材4Bは、発光素子3を直接覆う第1の層41Bと、第1の層41Bを覆う第2の層43Bとを有している。第1の層41Bと第2の層43Bとは、共に本実施形態に係る封止部材である。第1の層41B内においては、蛍光体粒子5が分散している。一方、第2の層43Bは、蛍光体粒子5を含まない。発光装置1Bは、封止部材4Bを構成する第1の層41Bおよび第2の層43B内において、上述した本実施形態に係る組成物由来の金属酸化物粒子が分散されていることにより、光の明るさが向上している。
図3に示す発光装置1Cも、封止部材4Cの構成が封止部材4Aのものと異なる点で、発光装置1Aと異なっている。封止部材4Cは、発光素子3を直接覆う第1の層41Cと、第1の層41Cを覆う第2の層43Cとを有している。第1の層41Cは、本実施形態に係る封止部材ではなく、上述した金属酸化物粒子を含まない樹脂の封止部材であり、封止部材に用いることのできる樹脂等により構成されている。また、第1の層41C内においては、蛍光体粒子5が分散している。一方、第2の層43Cは、本実施形態に係る封止部材である。発光装置1Cは、封止部材4Cを構成する第2の層43C内において、上述した本実施形態に係る組成物由来の金属酸化物粒子が分散されていることにより、光の取出し効率が向上している。
図4に示す発光装置1Dでは、封止部材4Dは、発光素子3を直接覆う第1の層41Dと、第1の層41Dを覆う第2の層43Dと、第2の層43Dをさらに覆う第3の層45Dとを有している。第1の層41Dおよび第2の層43Dは、本実施形態に係る封止部材ではなく、上述した金属酸化物粒子を含まない樹脂の封止部材であり、封止部材に用いることのできる樹脂等により構成されている。また、第2の層43D内においては、蛍光体粒子5が分散している。一方、第3の層45Dは、本実施形態に係る封止部材である。発光装置1Dは、封止部材4Dを構成する第3の層45D内において、上述した本実施形態に係る組成物由来の金属酸化物粒子が分散されていることにより、光の明るさが向上している。
なお、本実施形態に係る発光装置は、図示の態様に限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る発光装置は、封止部材中に蛍光体粒子を含まなくてもよい。また、本実施形態に係る封止部材は、封止部材中の任意の位置に存在することができる。
以上、本実施形態に係る発光装置は、発光素子が本実施形態の封止部材により封止されているため、光の明るさが向上している。
また、本実施形態に係る発光装置は、上述したような本実施形態に係る組成物により発光素子が封止される。したがって、本発明は、一側面において、本実施形態に係る組成物を用いて発光素子を封止する工程を有する発光装置の製造方法にも関する。同側面において、上記製造方法は、本実施形態に係る分散液と樹脂成分とを混合して上記組成物を得る工程を有していてもよい。
なお、発光素子の封止は、例えば、ディスペンサー等により、本実施形態に係る組成物を発光素子上に付与し、その後当該組成物を硬化させることにより行うことができる。
<7.照明器具、表示装置>
上述したような本実施形態に係る発光装置は、例えば、照明器具および表示装置に用いることができる。したがって、本発明は、一側面において、本実施形態に係る発光装置を備える照明器具または表示装置に関する。
照明器具としては、例えば、室内灯、室外灯等の一般照明装置、携帯電話やOA機器等の、電子機器のスイッチ部の照明等が挙げられる。
本実施形態に係る照明器具は、本実施形態に係る発光装置を備えるため、同一の発光素子を使用しても従来と比較して放出される光束が大きくなり、周囲環境をより明るくすることができる。
表示装置としては、例えば、携帯電話、携帯情報端末、電子辞書、デジタルカメラ、コンピュータ、テレビ、およびこれらの周辺機器等が挙げられる。
本実施形態に係る表示装置は、本実施形態に係る発光装置を備えるため、同一の発光素子を使用しても従来と比較して放出される光束が大きくなり、例えばより鮮明かつ明度の高い表示を行うことができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、あくまでも本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。
[実施例1]
(1.分散液の作製)
(i)加水分解工程
メチルトリエトキシシラン(信越工業化学社製、製品名KBE−13)90.78質量部と、水9.21質量部と、塩酸(1N)0.01質量部と、を添加して混合し、加水分解液を得た。次いでこの加水分解液を60℃で30分撹拌し、メチルトリエトキシシランの加水分解処理を行い、加水分解液を得た。
(ii)混合工程
平均一次粒子径が12nmの酸化ジルコニウム粒子(住友大阪セメント社製)30質量部、上記加水分解液70質量部を混合して、混合液を得た。混合液中の酸化ジルコニウム粒子の含有量は30質量%、メチルトリエトキシシランの含有量は63.5質量%、酸化ジルコニウム粒子とメチルトリエトキシシランの合計の含有量は、93.5質量%であった。
(iii)分散工程
この混合液をビーズミルで6時間分散処理した後、ビーズを除去し、第1の分散液を得た。
第1の分散液の固形分(100℃で1時間)を測定した結果、70質量%であった。
(iv)第1の添加工程
得られた第1の分散液を60℃で2時間加熱した。次いで、固形分が40質量%となるように分散液にトルエンを添加し、60℃で2時間加熱した。
次いで、固形分が30質量%となるように分散液にトルエンを添加し、60℃で1時間加熱した。
次いで、固形分が20質量%となるように分散液にトルエンを添加し、60℃で1時間加熱することで、第2の分散液を得た。
(v)第2の添加工程
トルエンで固形分が20質量%に調整された第2の分散液88.1質量部と、メトキシ基含有フェニルシリコーンレジン(信越化学工業社製、KR217)11.9質量部と、を混合して処理液を得、この処理液を110℃で1時間加熱し、実施例1に係る分散液(第3の分散液)を得た。
(2.分散液の評価)
(i)粒度分布
得られた実施例1に係る分散液の一部を採取し、トルエンで固形分を5質量%に調整した分散液中の酸化ジルコニウム粒子のD10とD50とD90を、粒度分布計(HORIBA社製、型番:SZ−100SP)を用いて測定した。その結果、D10は110nm、D50は135nm、D90は150nmであった。なお、分散液に含まれる粒子は、基本的に表面修飾材料(メチルトリエトキシシラン、メトキシ基含有フェニルシリコーンレジン)が付着した酸化ジルコニウム粒子のみであるから、測定されたD10、D50、D90は、酸化ジルコニウム粒子のD10、D50およびD90であると考えられた。
(ii)FT−IR分析
トルエンで固形分を30質量%に調整した実施例1に係る分散液10gを真空乾燥機(EYELA東京理化器機社製、装置名:VACUUM OVEN VOS−201SD)を用いて、100℃、20hPaの条件下で2時間乾燥した。次いで、得られた金属酸化物粒子0.01g〜0.05gを用いて、フーリエ変換式赤外分光光度計(日本分光株式会社製、型番:FT/IR−670 Plus)で、800cm−1以上3800cm−1以下の波数の範囲の透過スペクトルを測定した。この測定範囲におけるスペクトルの最大値を100、最小値を0となるようにスペクトルの値を規格化し、3500cm−1の値(IA)と1100cm−1の値(IB)を求めた。この結果、IAは51.5、IBは26.5であり、IA/IBは1.9であった。結果を表1に示す。
(3.組成物の作製)
トルエンで固形分を30質量%に調整した実施例1に係る分散液5.0gと、メチルフェニルシリコーン(商品名:KER−2500−B、信越化学工業社製)3.5gとを混合した。すなわち、ジルコニアおよび表面修飾材料の合計質量と、メチルフェニルシリコーンとが、質量比で30:70となるように混合した。
次いで、この混合液をエバポレータによりトルエンを除去することで、実施例1に係る組成物を得た。
得られた実施例1に係る組成物の外観を目視で観察した結果、透明であった。この結果、組成物中において、酸化ジルコニウム粒子は、凝集が抑制され、比較的均一に分散していることが確認できた。
(組成物の安定性の評価)
実施例1の組成物の粘度を、レオメーター(商品名:レオストレスRS−6000、HAAKE社製)を用い、25℃、剪断速度1(1/s)の条件で測定した。
その結果、粘度は、7.5Pa・sであった。
この組成物を室温(25℃)で保管し、1ヶ月後の粘度を測定した。その結果、組成物の粘度は23.5Pa・sであり、増粘はしたものの、実用に耐えられるレベルであった。このことからも、組成物中において酸化ジルコニウム粒子が長期にわたり安定して分散していることが確認できた。
(4.LEDパッケージの作製と明るさの評価)
実施例1に係る組成物1質量部に、メチルフェニルシリコーン樹脂(商品名:KER−2500−A/B、信越化学工業社製)を14質量部加えて、組成物中に表面修飾酸化ジルコニウム粒子が2質量%となるように調整し、混合した。この組成物1質量部に蛍光体粒子(イットリウム・アルミニウム・ガーネット:YAG)を0.38質量部混合した組成物(表面修飾酸化ジルコニウム粒子と樹脂の合計量:蛍光体粒子=100:38)を、LEDリードフレーム内に300μmの厚みで充填した。その後、室温で3時間保持した。次いで、ゆっくりと組成物を加熱硬化させて封止部材を形成し、白色LEDパッケージを作製した。
得られた白色LEDパッケージについて、全光束測定システム(大塚電子社製)にて、LEDパッケージに電圧3V、電流150mAを印加し測光することにより明るさを測定した。この結果、この白色LEDパッケージの明るさは、75.1lmであった。
[実施例2]
平均一次粒子径が12nmの酸化ジルコニウム粒子に代えて、平均一次粒子径が90nmの酸化ジルコニウム粒子(住友大阪セメント社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る分散液(第3の分散液)を得た。混合工程において得られた混合液中の酸化ジルコニウム粒子の含有量は30質量%、メチルトリエトキシシランの含有量は63.5質量%、酸化ジルコニウム粒子とメチルトリエトキシシランの合計の含有量は93.5質量%であった。
なお、第1の分散液の固形分(100℃で1時間)を測定した結果、70質量%であった。
実施例2に係る分散液中の酸化ジルコニウム粒子の粒度分布を実施例1と同様に、トルエンで固形分を5質量%に調整した分散液で評価した結果、D10は125nm、D50は160nm、D90は290nmであった。
さらに、実施例2に係る分散液について実施例1と同様に、FT−IR分析を行った結果、IAは48.5、IBは25.1であり、IA/IBは、1.9であった。
トルエンで固形分を30質量%に調整した実施例2に係る分散液を、実施例1と同様に、メチルフェニルシリコーンと混合し、トルエンを除去することで、実施例2に係る組成物を得た。得られた組成物の外観を目視で観察した結果、透明な組成物であった。
組成物の粘度を、実施例1と同様に測定した結果、作製直後の粘度は、6.5Pa・sであった。
この組成物を室温(25℃)で保管し、1ヶ月後の粘度を測定した。その結果、組成物の粘度は19.9Pa・sであり、増粘はしたものの、実用に十分に耐えられるレベルであった。
実施例1に係る組成物の代わりに、実施例2に係る組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、白色LEDパッケージを作製した。その結果、この白色LEDパッケージの明るさは74.3lmであった。
[比較例1]
混合工程において、上記加水分解液70質量部を混合する替わりに、上記加水分解液20質量部と、イソプロピルアルコール50質量部とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、混合工程と分散工程を行い、分散液(第1の分散液)を得た。
第1の分散液の固形分(100℃で1時間)を測定した結果、38質量%であった。
(iv)第1の添加工程
得られた分散液(第1の分散液)に、固形分が20質量%となるようにトルエンを添加し、60℃で2時間加熱した。次いで、揮発した量と同程度のトルエンを分散液に添加し、60℃で2時間加熱した。次いで、揮発した量と同程度のトルエンを分散液に添加し、60℃で1時間加熱した。次いで、揮発した量と同程度のトルエンを分散液に添加し、60℃で1時間加熱することで、表面修飾が促進され、イソプロピルアルコールがトルエンに置換された分散液(第2の分散液)を得た。
(v)第2の添加工程
固形分が20質量%に調整された第2の分散液88.1質量部と、メトキシ基含有フェニルシリコーンレジン(商品名:KR217、信越化学工業社製)11.9質量部と、を混合して処理液を得、この処理液を110℃で1時間加熱し、比較例1に係る分散液(第3の分散液)を得た。
比較例1に係る分散液中の酸化ジルコニウム粒子の粒度分布を実施例1と同様に、トルエンで固形分を5質量%に調整した分散液で評価した結果、D10は91nm、D50は112nm、D90は136nmであった。
さらに、トルエンで固形分を30質量%に調整した比較例1に係る分散液について実施例1と同様に、FT−IR分析を行ったところ、IAは42.1、IBは10.0であり、IA/IBは、4.2であった。
トルエンで固形分を30質量%に調整した比較例1に係る分散液を、実施例1と同様に、メチルフェニルシリコーンと混合し、トルエンを除去して、比較例1に係る組成物を得た。その結果、比較例1に係る組成物は白濁し、LEDを封止できる組成物を得ることができなかった。
[比較例2]
実施例1の加水分解工程において、メチルトリエトキシシランの代わりにメチルトリメトキシシランを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る分散液(第3の分散液)を得た。
比較例2に係る分散液中の酸化ジルコニウム粒子の粒度分布を実施例1と同様に、トルエンで固形分を5質量%に調整した分散液で評価した結果、D10は104nm、D50は122nm、D90は143nmであった。
トルエンで固形分を30質量%に調整した比較例2に係る分散液について実施例1と同様に、FT−IR分析を行ったところ、IAは50.3、IBは25.5であり、IA/IBは、2.0であった。
トルエンで固形分を30質量%に調整した比較例2に係る分散液を、実施例1と同様に、メチルフェニルシリコーンと混合し、トルエンを除去して、比較例2に係る組成物を得た。得られた組成物の外観を目視で観察した結果、透明な組成物であった。
組成物の粘度を、実施例1と同様に測定した結果、作製直後の粘度は、6.5Pa・sであった。
この組成物を室温(25℃)で保管し、1ヶ月後の粘度を測定した。その結果、組成物の粘度は85.4Pa・sであり、実用に耐えられるレベルではあるものの、実施例と比較して大幅に増粘した。
実施例1に係る組成物の代わりに、比較例2に係る組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、白色LEDパッケージを作製した。その結果、この白色LEDパッケージの明るさは74.2lmであった。
以上の実施例1、実施例2および比較例1、比較例2における分散液の製造条件、分散液、組成物の評価についてまとめて表1に示す。
Figure 2021155245
[参考例]
表面修飾酸化ジルコニウム粒子を含まない白色LEDパッケージを作製し、明るさを測定した。すなわち、実施例1のLEDパッケージの作製において、表面修飾酸化ジルコニウム粒子と樹脂の合計量:蛍光体粒子=100:38とする代わりに、樹脂の合計量:蛍光体粒子=100:38としたこと以外は実施例1と同様にして、参考例の白色LEDパッケージを作製した。
得られた白色パッケージについて、実施例1と同様に測定した結果、この白色LEDパッケージの明るさは、72.5lmであった。
以上、高濃度のシラン化合物中で酸化ジルコニウム粒子を分散処理した実施例1、実施例2においては、メチルフェニルシリコーンと分散液とを混合した場合であっても、酸化ジルコニウム粒子が好適に分散されており、濁りの発生や粘度の過度の上昇が観察されなかった。また、白色LEDパッケージの明るさを向上できることが確認された。
一方で、比較例1においては、メチルフェニルシリコーンと分散液と混合すると、得られた組成物は、ゲル化し、発光素子を封止するための組成物としては不適切であった。
また、実施例1と比較例2を比較することにより、アルコキシ基の炭素数が2であるメチルトリエトキシシランを用いることにより、アルコキシ基の炭素数が1であるメチルトリメトキシシランを用いるよりも、経時による組成物の粘度の上昇が抑制できることが確認された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1A、1B、1C、1D 発光装置
2 基板
21 凹部
3 発光素子
4A、4B、4C、4D 封止部材
41B、41C、41D 第1の層
43B、43C、43D 第2の層
45D 第3の層
5 蛍光体粒子

Claims (7)

  1. 表面修飾材料により表面修飾された金属酸化物粒子と、疎水性溶媒と、を含む分散液であって、
    前記表面修飾材料はシラン化合物とシリコーン化合物を含み、
    前記分散液を真空乾燥により乾燥して得られる前記金属酸化物粒子について、フーリエ変換式赤外分光光度計により800cm−1以上3800cm−1以下の波数の範囲の透過スペクトルを測定し、当該範囲におけるスペクトルの最大値を100、最小値を0となるようにスペクトルの値を規格化した際に、以下の式(1):
    IA/IB≦3.5 (1)
    (式中、「IA」は、3500cm−1におけるスペクトル値、「IB」は、1100cm−1におけるスペクトル値をそれぞれ示す。)
    を満足し、
    前記シラン化合物が一般式(2)で表されるケイ素化合物である、分散液。
    Si(OR (2)
    (但し、Rは炭素数が2以上のアルキル基、Rは有機基、nおよびmは整数であり、n+m=4、1≦n≦3))
  2. 請求項1に記載の分散液と樹脂成分との混合物である、組成物。
  3. 請求項2に記載の組成物の硬化物である、封止部材。
  4. 請求項3に記載の封止部材と、前記封止部材により封止された発光素子と、を備える発光装置。
  5. 請求項4に記載の発光装置を備える、照明器具。
  6. 請求項4に記載の発光装置を備える、表示装置。
  7. シラン化合物と金属酸化物粒子とを混合して混合液を得る工程Bと、
    前記混合液中において前記金属酸化物粒子を分散し、前記金属酸化物粒子が分散した第1の分散液を得る工程Cと、
    前記第1の分散液に疎水性溶媒を加えて、第2の分散液を得る工程Dと、
    前記第2の分散液にシリコーン化合物を加えて、第3の分散液を得る工程Eと、を有し、
    前記工程Bの混合液中における前記金属酸化物粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下であり、前記混合液中における前記シラン化合物と前記金属酸化物粒子との合計の含有量が65質量%以上98質量%以下であり、
    前記疎水性溶媒を加える工程Dは、前記第1の分散液を加熱した後に、前記疎水性溶媒を前記金属酸化物粒子が凝集しない速度で加える工程d1、前記第1の分散液を加熱しながら、前記疎水性溶媒を前記金属酸化物粒子が凝集しない速度で加える工程d2、または、前記疎水性溶媒を前記金属酸化物粒子が凝集しない速度で加えた後に、前記第1の分散液を加熱する工程d3であり、
    前記シラン化合物が一般式(2)で表されるケイ素化合物である、分散液の製造方法。
    Si(OR (2)
    (但し、Rは炭素数が2以上のアルキル基、Rはそれぞれ独立して有機基、nおよびmは整数であり、n+m=4、1≦n≦3)
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